説明

化粧枠

【課題】 部品点数を削減して組立て作業を容易化し、水密性に対する信頼性を向上することができる化粧枠を提供する。
【解決手段】 開口部4の開口3に臨む上面、下面および一対の側面に沿って設けられるパネル体10の相互に隣接する各長手方向両端部を連結部材11によって連結し、各パネル体10の長手方向両端部間から開口3に臨む凹溝15と、各パネル体10の一表面の凹溝15に近接した領域とにわたってシール材16を充填する。凹溝15は、各連結部材11の棒状の基部30に形成され、各パネル体10の長手方向および厚み方向に垂直な幅方向に延び、各パネル体10の開口3に臨む一表面を含む第1の仮想一表面S1よりも各パネル体10の他表面を含む第2の仮想一表面側S2に退避して形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の窓および出入口などを構成する建物躯体の開口部に設けられる合成樹脂製の化粧枠に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁には、採光および換気などのために窓が設けられる。このように窓が形成される外壁の開口部には、美観を向上するために、化粧枠が設けられる。この化粧枠は、複数のパネル体である化粧枠材から成り、各化粧枠材が開口部に個別に固定されて、開口部に装着される。各化粧枠材は、容易に成形することができるように、合成樹脂によって形成される。
【0003】
このように形成される化粧枠の典型的な先行技術としては、たとえば特許文献1を挙げることができる。この先行技術では、化粧枠を形成する縦枠と横枠とを連結するコーナー部材の前記縦枠および前記横枠との当接面にシリコーン樹脂を打設し、その後、前記縦枠と前記横枠とを前記コーナー部材を介して連結することによって、化粧枠の連結部分における水密性を確保するようにしている。また、この先行技術では、前記コーナー部材に目地材を取付け、前記シリコーン樹脂を打設した連結部分を覆うことによって、連結部分における水密性をより向上させるとともに、目地材によって連結部分が内側から見えないようにして外観上の美感を向上させている。
【0004】
【特許文献1】特開平6−81545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記先行技術では、コーナー部材毎に各2箇所においてシリコーン樹脂を打設しなければならず、水密性を確保するために使用するシリコーン樹脂の充填量が多くなるばかりか、コーナー部材毎に各2箇所においてシール材を充填して隙間を塞ぐ水密処理を、現場で作業者が手作業によって行わなければならない。そのため、化粧枠の組立工程数が多くなり、組立て作業時の作業効率が悪いという問題がある。
【0006】
また、前記先行技術では、シール材の充填が不十分である場合には、シール材の充填後の硬化による収縮によって、連結部分における確実な水密性が確保されず、水密性に対する信頼性が低いという問題がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、部品点数を削減して組立て作業を容易化し、水密性に対する信頼性を向上することができる化粧枠を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、建物の躯体に形成される開口部に設けられる合成樹脂製の化粧枠であって、
前記開口部の開口に臨む上面、下面および一対の側面に沿ってそれぞれ設けられるパネル体と、
各パネル体の相互に隣接する各長手方向両端部を連結する連結部材であって、前記相互に隣接する各長手方向両端部間に介在され、各パネル体の前記長手方向および厚み方向に垂直な幅方向に延び、各パネル体の前記開口に臨む一表面を含む第1の仮想一表面よりも各パネル体の他表面を含む第2の仮想一表面側に退避した凹溝が形成される棒状の基部を有する連結部材と、
各パネル体の各長手方向両端部が前記連結部材によって連結された状態で、各長手方向両端部間から開口に臨む前記凹溝と、各パネル体の一表面の前記凹溝に近接した領域とにわたって充填されるシール材とを含むことを特徴とする化粧枠である。
【0009】
また、本発明は、前記連結部材の基部には、各パネル体に挿入される複数の差込み片が前記幅方向に間隔をあけかつ相互に垂直に突出して形成されるとともに、前記基部の両側に配置される各パネル体のいずれか一方に臨んで開口する軸孔が形成され、
各連結部材の各差込み片が各パネル体に差し込まれて枠組みされた状態で、ねじ部材の軸部を前記軸孔に挿通して、前記基部に隣接する各一方のパネル体に螺着させ、各基部と各一方のパネル体とが連結されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各パネル体を枠組みした後、各連結部材とその両側に連結される各パネル体との間に形成される各凹溝に、シール材を打設する。したがって、一度の打設で一方のパネル体と連結部材との間、および他方のパネル体と連結部材との間を同時にかつ確実にシールして作業工程数を削減することができ、化粧枠の連結部分における水密性を向上することができる。
【0011】
また、前記各連結部材と各パネル体との間には、前記凹溝が臨んで開口するので、シール材の充填量を可及的に少なくしてシール材の充填に要する作業時間を短縮し、化粧枠の組立て作業の手間を削減することができる。しかも、シール材は前記凹溝から各パネル体の一表面にわたる程度の僅かな充填量を打設すればよいので、僅かなシール材によって高くかつ確実な水密性を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の一形態の化粧枠1の連結部分の構成を示す一部の拡大断面図であり、図2は化粧枠1が開口部4に設けられた状態を示す鉛直断面図であり、図3は化粧枠1が開口部4に設けられた状態の一部を示す拡大断面図であり、図4はパネル体10を示す全体の断面図である。建物の躯体である外壁2には、たとえば浴室である室内に採光または換気のための窓を構築するために四角形状の開口3が形成される。この開口3を外囲する開口部4には、屋外空間5寄りの位置に前記開口3を開閉するためのガラス障子6が窓枠7によって開閉自在に保持されて設けられ、このガラス障子6および窓枠7の浴室8側には、前記窓枠7に隣接して、本実施形態の化粧枠1が嵌め込まれて設けられる。
【0013】
前記化粧枠1は、開口部4の開口3に臨む上面、下面および一対の側面に沿ってそれぞれ設けられるパネル体10と、各パネル体10の相互に隣接する各長手方向両端部を連結する連結部材11と、各パネル体10の各長手方向両端部が前記連結部材11によって連結された状態で、各長手方向両端部間から開口3に臨む凹溝15と、各パネル体10の一表面の前記凹溝15に近接した領域とにわたって充填されるシール材16とを含む。
【0014】
前記連結部材11は、各パネル体10の相互に隣接する各長手方向両端部間に介在され、各パネル体10の前記長手方向および厚み方向に垂直な幅方向に延び、各パネル体10の前記開口3に臨む一表面を含む第1の仮想一表面S1よりも各パネル体10の他表面を含む第2の仮想一表面側S2に退避した凹溝15が形成される棒状の基部43を有する。
【0015】
前記シール材16は、たとえばポリサルファイド樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂またはアクリル樹脂等を主成分とした液状シーリング材、もしくはクロロプレンまたはポリ塩化ビニル等のビード状の成形シーリング材から成り、本実施の形態ではシリコーン樹脂を用いている。
【0016】
パネル体10は、パネル本体20と、カバー体21とを有する。パネル本体20は、図4の紙面に垂直な長手方向に延びる断面が略L字状の長尺部材であって、平坦状の基部30と、基部30の前記長手方向に垂直な平面上で左右方向となる幅方向一端部から前記長手方向に垂直な平面上で上下方向となる厚み方向一方側に略垂直に屈曲して連なる端壁部31とを有する。
【0017】
基部30には、長手方向両端部間にわたって貫通し、各長手方向両端部の各端面で開口する複数の貫通孔32が、幅方向へ間隔をあけて平行に形成される。端壁部31の前記厚み方向両端部には、前記幅方向に関して前記基部30から離反方向へ突出する係合片33が形成される。端壁部31には前記カバー体21が装着される。
【0018】
前記基部30の幅方向(図3の左右方向)は、基部30の長手方向(パネル体の長手方向と同一)に垂直な方向であり、基部30の厚み方向(図3の上下方向)は、基部30の長手方向および幅方向へ垂直な方向である。また端壁部31の長手方向は、基部30の長手方向と同一であり、端壁部31の幅方向は、基部30の厚み方向と同一であり、端壁部31の厚み方向は、基部30の幅方向と同一である。さらにカバー体21の長手方向、幅方向および厚み方向は、カバー体21が端壁部31に装着された状態で、端壁部31の長手方向、幅方向および厚み方向とそれぞれ同一である。
【0019】
前記基部30は、パネル本体20の幅方向に相互に間隔をあけて略平行に配置されて、パネル本体20の長手方向に延びる2つの平板状部分35と、パネル本体20の厚み方向へ延びる複数の板状連結部分36と、パネル本体20の厚み方向へ延びる複数の筒状連結部分37とを有し、前記2つの平板状部分35が、前記複数の板状連結部分36と前記複数の筒状連結部分37において相互に連結されることによって形成される。前記複数の筒状連結部分37には、星形の貫通孔が形成される。
【0020】
前記端壁部31は、基部30の幅方向一端部から基部30の厚み方向に略垂直に屈曲して連なる平板状部分38と、前記平板状部分38から基部30の幅方向に関して前記基部30の一端部から離反する方向に突出して形成される2つの係合片33とを有する。前記係合片33は、パネル本体20の幅方向に相互に間隔をあけて略平行に配置されて形成される。このように端壁部31の前記平板状部分38には2つの係合片33が形成されるので、前記平板状部分38には前記係合片33を側壁とする凹溝34が形成される。
【0021】
このようなパネル本体20は、基部30の厚み方向他方側の外表面部分、すなわち、枠組みされた状態で、開口部4と当接する面が、耐候性の高い材料、たとえばアクリロニトリルアクリルゴムスチレン(略称:AAS)樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(略称:ABS)樹脂の押出し成型によって実現される。
【0022】
図5は、カバー体21が装着された状態のパネル体10の端壁部31付近を示す拡大断面図である。前記カバー体21は、平板状部分24と、前記平板状部分24の幅方向一端部から厚み方向に略垂直に屈曲して連なるカバー片25と、前記平板状部分24の他端部から厚み方向に略垂直に屈曲して連なる第1係合爪26と、前記平板状部分24の幅方向一端部側近傍から厚み方向に略垂直に突出して形成される第2係合爪27とを有する。前記カバー片25は、前記第2係合爪27を外側から覆うように形成される。このようなカバー体21の外表面は、耐候性を有する上記AAS樹脂などによって形成されている。
【0023】
カバー体21は、前記2つの係合爪26,27を前記パネル体10の端壁部31に形成される前記各係合片33に嵌合させることによって、前記パネル体10と相互に係合される。
【0024】
各係合爪26,27の基端側部分のカバー体における幅方向の寸法Δは、前記各係合片33の基端側部分の端壁部31における幅方向の最小寸法よりも小さく、前記各係合爪26,27の剛性は、前記各係合片33の剛性よりも小さくなるように形成されている。したがって、前記カバー体21を前記端壁部31に装着するにあたって、前記各係合爪26,27を相互に近接する方向に弾性変形させた後、弾性回復力によって前記近接した状態から相互に離反する方向に復帰させてカバー体21に係止させて装着することができ、また前記カバー体21を前記長手方向へスライドさせることによって前記各係合爪26,27と各係合片33とを係合させて、カバー体21を各係合片33に係合させて装着することも可能である。
【0025】
このようにカバー体21は、パネル本体20に装着するにあたって、パネル本体20を変形させないようにする構成となっている。したがって、カバー体21に比べて大きな部材であり、交換が困難なパネル本体20の損傷を防止することができる。
【0026】
次に、前述の連結部材11の構成について説明する。
連結部材11は、各パネル体10が連結部材11を介して四角筒状に組立てられた化粧枠1が建物の開口部4に取付けられた状態で、浴室8側から見て右側に設けられるパネル体10の両端部を、略水平に配置される各パネル体10の一端部に連結する一対の右側用連結部材41と、浴室側から見て左側に設けられるパネル体10の両端部を、略水平に配置される各パネル体10の一端部に連結する一対の左側用連結部材42との2種類から成り、総称する場合には単に「連結部材11」と記す。
【0027】
図6は化粧枠1を浴室8側から見て右下側に配置される右側用連結部材41を示す図であり、図6(1)は右側用連結部材41の底面図であり、図6(2)は右側用連結部材41の左側面図であり、図6(3)は右側用連結部材41の平面図である。図7は化粧枠1を浴室8側から見て左下側に配置される左側用連結部材42を示す図であり、図7(1)は左側用連結部材42の平面図であり、図7(2)は左側用連結部材42の右側面図であり、図7(3)は左側用連結部材42の底面図である。これらの図面を参照して、連結部材11の構成について説明する。
【0028】
前記連結部材11は、長手棒状の基部43と、前記基部43の軸線に垂直な第1方向Aに突出する複数(本実施の形態では5)の第1差込み片44と、基部43の軸線および前記第1方向Aに対して垂直な第2方向Bに突出する複数(本実施の形態では5)の第2差込み片45とを有する。前記各複数の第1差込み片44と各複数の第2差込み片45とは、前記基部43の軸線方向に間隔ΔL1,ΔL2をあけて離間して形成される。本実施の形態において、前記間隔ΔL1,ΔL2は同一寸法に選ばれ、パネル体10の各貫通孔32の間隔に対応する。
【0029】
図8は図6(3)の切断面線A−Aから見た拡大断面図であり、図9は図6(3)の切断面線B−Bから見た拡大断面図である。前記基部43は、断面が大略W字状の棒状本体51と、棒状本体51の長手方向に間隔をあけて一体的に形成される複数(本実施の形態では9)のリブ52とを有する。前記棒状本体51は、各パネル体10の相互に隣接して配置される各一端部をそれぞれ支持する断面が台形形状の一対のパネル当接部分53と、各パネル当接部分53を連結する断面が略V字状の連結部分54とを有する。各パネル当接部分53は、基部43の前記軸線を含む仮想一平面S3に関して面対称に、たとえば直角に形成される。
【0030】
前記連結部分54は、前記開口3に臨んで凹状に退避して形成される凹状部分55と、前記凹状部分55に前記仮想一平面S3上で連なり、前記開口3に対して面外方向に凸に突出して形成される凸状部分56とを有する。
【0031】
再び図6および図7をも参照して、前記複数のリブ52は、各パネルの前記凸状部分56の前記連結部分54が連なる側とは反対側の各遊端側の内側端縁辺P1,P2に接する仮想一平面S4と、この仮想一平面S4に対向する外表面とにわたって前記間隔ΔL3毎に設けられる。
【0032】
また前記基部43には、前記基部43の両側に配置される各パネル体10のいずれか一方に臨んで開口する軸孔57が形成される。各連結部材11の各差込み片(44,45)が各パネル体10に差し込まれて枠組みされた状態で、前記軸孔57にねじ部材17の軸部を挿通してドライバなどの締付け工具の掛合部を掛合し、前記基部43に隣接する各一方のパネル体10に螺着することによって、各パネル体10の両端部に連結部材11を固定するができる。このようにして各連結部材11は、各基部43を各一方のパネル体10の端部に強固に、しかも分離可能に連結される。
【0033】
図10は図6(2)の矢視E付近の部分拡大図である。
前記基部43には、前述したように各複数の差込み片44,45がそれぞれ設けられる。各差込み片44,45は、突状部分61と、突状部分61が垂直に一体的に形成される板状部分62とを有する。これらの突状部分61および板状部分62は、前記棒状本体51の前記パネル当接部分53から、前記第1方向Aまたは第2方向Bに突出し、基部43に一体的に形成される。
【0034】
各複数の差込み片44,45は、図1に示すように、基端部から遊端部に向かって先細状に形成され、遊端部はパネル体10の貫通孔32の厚み方向寸法よりも僅かに小さく、基端部は貫通孔32の前記厚み方向寸法よりも僅かに大きく形成される。このように各複数の差込み片44,45が形成されるので、各複数の差込み片44,45が各パネル体10の各貫通孔32に付け根まで差込まれた状態、すなわちパネル当接部分53に各パネル体10の長手方向に隣接する各一端部の各端面が当接した状態では、各パネル体10の貫通孔32に突状部分61が貫通孔32に臨む内面を厚み方向に押圧して、連結部材11が各パネル体10から抜け止めされ、連結部材11と各パネル体10とが相互に連結されて枠組みされる。
【0035】
図11は右側用連結部材41を示す図であり、図11(1)は図6に示す右側用連結部材41の正面図であり、図11(2)は前記右側用連結部材41の背面図である。図12は左側用連結部材42を示す図であり、図12(1)は左側用連結部材42の正面図であり、図12(2)は左側用連結部材42の背面図である。図13は右側用連結部材41を図6(3)の切断面線C−Cから見た拡大断面図であり、図14は左側用連結部材42を図7(1)の切断面線D−Dから見た断面図である。なお、右側用連結部材41および左側用連結部材42は面対称に構成されるため、対応する部分には同一の参照符を付し、重複を避けて右側用連結部材41について説明する。
【0036】
前記連結部材11は、基部43の軸線方向一端部に連なって、前記基部43の軸線に関して前記第1方向Aおよび第2方向Bと反対側に張り出す四角形状のフランジ部46をさらに有する。
【0037】
前記フランジ部46は、前記棒状本体51の長手方向一端部が垂直に連なり、略正方形の平板状部分64と、前記第1方向Aへ突出する第1位置決め片65と、前記第2方向Bへ突出する第2位置決め片66と、平板状部分64から基部43の軸線方向(図11の紙面に垂直な方向)に突出する2つの係合突起67と、前記平板状部分64から基部43の軸線方向に突出するカバー片68とを有する。
【0038】
前記第1位置決め片65と第2位置決め片66とは、略長方形の薄板状であり、浴室8側から見て前記平板状部分64の背面寄りの各側縁辺から各差込み片44,45と平行に突出して形成される。
【0039】
前記各係合突起67は、フランジ部46の周縁部よりも内側で浴室8側の表面から突出し、第1方向Aに平行に延びて形成される。これらの係合突起67は、パネル体10の各係合片33と同様の断面形状および位置関係を有し、相互間の間隔は、パネル体10の各係合片33の相互間の間隔と同一である。
【0040】
カバー片68は、略かまぼこ状であり、前記平板状部分64の一端部に基部43の軸線方向に連なって形成される。前記カバー片68の一端部は、平板状部分64の端部から前記カバー体21のカバー片25の厚み分だけ突出している。
【0041】
前記平板状部分64における前記各係合突起67の間に設けられる領域には凹所69が形成され、この凹所69の中央付近には、化粧枠1を開口部4に取付けるためのビス孔が形成される。このように凹所69を設けることによって、連結部材11を開口部4にねじ止めした際に、ねじ部材のねじ頭が、カバー体21に干渉することを防ぐことができる。
【0042】
左側用連結部材42のフランジ部46は、上述した右側用連結部材41のカバー片68および係合突起67が右側用連結部材41に関して面対象で形成される点において、右側用連結部材41と相違する。左側用連結部材42のフランジ部46のその他の構成は、右側用連結部材41のフランジ部46の構成と同一である。
【0043】
図15は化粧枠1の分解斜視図であり、図16は組立てられた化粧枠1の開口部4への取付け動作を説明するための斜視図である。前記化粧枠1を開口部4に取付けるに際しては、まず各パネル体10を前述の連結部材11を用いて四角枠状に連結して組立てた後、開口部4へ浴室8側から装着し、四隅にシール材16を打設してカバー体21を装着する。
【0044】
前記連結部材11は、相互に直角に連結すべき2つのパネル体10のうち、第1のパネル体10に形成される貫通孔32に各第1差込み片44を嵌合させ、第2のパネル体10に形成される貫通孔32に各第2差込み片45を嵌合させることによって、連結部材11と前記2つのパネル体10とを係合することができる。このようにして連結部材11は、前記2つのパネル体10を略垂直に配置して相互に連結することができる。
【0045】
このとき連結部材11は、第1位置決め片65を第1のパネル体10の端壁部31に形成される凹溝34に案内して位置決めし、第2位置決め片66を第2のパネル体10の端壁部31に形成される凹溝34に案内して位置決めする。このようにすることで連結部材11の各係合突起67は、2つのパネル体10が連結された状態で、縦枠に相当するパネル体10の係合片33の延長線上の位置に配置される。この状態で、連結部材11の基部43に形成される前記軸孔57にねじ部材17の軸部を挿通して、連結部材11を各連結部材11の前記基部43に隣接する各一方のパネル体10に螺着する。このようにして連結部材11は、各基部43と各一方のパネル体10とを連結することができる。
【0046】
このような化粧枠1は、各パネル体10を各連結部材11を用いて相互に連結して四角筒状に枠組みした状態で、開口部4に取付けられる。このようにして、化粧枠1は開口部4をパネル体10の基部30で開口3側から覆うことができる。この状態で各連結部材11のフランジ部46に形成されるビス孔にねじ部材の軸部を挿通して、化粧枠1を開口部4に固定する。
【0047】
このようにして化粧枠1が開口部4に固定された状態で、各パネル体10の端壁部31にカバー体21が装着され、前記各パネル体10の端壁部31がカバー体21によって覆われる。
【0048】
さらに化粧枠1では、美観を向上するために、連結部材11のフランジ部46が、カバー体21によって覆われる構成となっている。具体的に述べると、連結部材11によって連結される2つのパネル体10のうち、浴室8側から見て左右方向となる間口方向の両側に配置される各パネル体10に装着されるカバー体21をフランジ部46まで延出し装着する。延出されるカバー体21は、連結部材11の各係合突起67を利用してフランジ部46に係合装着される。
【0049】
再び図1をも参照して、シール材16について説明する。化粧枠1が開口部4に固定された状態で、化粧枠1の四隅の各連結部分には、各パネル体10の相互に近接する各一端部と、連結部材11の基部43に形成される凹状部分55とによって凹溝15が形成される。この状態で、作業者は前記凹溝15と前記凹溝15に近接した領域とにわたってシール材16を充填する。このようにして、化粧枠1の連結部分をシールすることができる。
【0050】
また、前記凹溝15は、その開口幅よりも内部空間が広い形状を有している。これによって、前記シール材16が剥がれることを防止することができ、化粧枠1の連結部分における水密性を向上することができる。
【0051】
以上のように本実施形態によれば、各パネル体10を枠組みした後、各連結部材11とその両側に連結される各パネル体10との間に形成される各凹溝15に、シール材16が打設されるので、一度の打設で一方のパネル体10と連結部材11との間、および他方のパネル体10と連結部材11との間を同時にかつ確実にシールして作業工程数を削減することができ、化粧枠1の連結部分における水密性を向上することができる。
【0052】
また、前記各連結部材11と各パネル体10との間には、前記凹溝15が臨んで開口するので、シール材16の充填量を可及的に少なくしてシール材16の充填に要する作業時間を短縮し、化粧枠1の組立て作業の手間を削減することができる。しかも、シール材16は前記凹溝15から各パネル体10の一表面にわたる程度のわずかな充填量を打設すればよいので、僅かなシール材16によって高くかつ確実な水密性を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の一形態の化粧枠1の連結部分の構成を示す一部の拡大断面図である。
【図2】化粧枠1が開口部4に設けられた状態を示す鉛直断面図である。
【図3】化粧枠1が開口部4に設けられた状態の一部を示す拡大断面図である。
【図4】パネル体10を示す全体の断面図である。
【図5】カバー体21が装着された状態のパネル体10の端壁部31付近を示す拡大断面図である。
【図6】化粧枠1を浴室8側から見て右下側に配置される右側用連結部材41を示す図であり、図6(1)は右側用連結部材41の底面図であり、図6(2)は右側用連結部材41の左側面図であり、図6(3)は右側用連結部材41の平面図である。化粧枠1を浴室8側から見て右下側に配置される右側用連結部材41を示す図である。
【図7】化粧枠1を浴室8側から見て左下側に配置される左側用連結部材42を示す図であり、図7(1)は左側用連結部材42の平面図であり、図7(2)は左側用連結部材42の右側面図であり、図7(3)は左側用連結部材42の底面図である。
【図8】図6(3)の切断面線A−Aから見た拡大断面図である。
【図9】図6(3)の切断面線B−Bから見た拡大断面図である。
【図10】図6(2)の矢視E付近の部分拡大図である。
【図11】右側用連結部材41を示す図であり、図11(1)は図6に示す右側用連結部材41の正面図であり、図11(2)は前記右側用連結部材41の背面図である。
【図12】左側用連結部材42を示す図であり、図12(1)は左側用連結部材42の正面図であり、図12(2)は左側用連結部材42の背面図である。
【図13】右側用連結部材41を図6(3)の切断面線C−Cから見た拡大断面図である。
【図14】左側用連結部材42を図7(1)の切断面線D−Dから見た断面図である。
【図15】化粧枠1の分解斜視図である。
【図16】組立てられた化粧枠1の開口部4への取付け動作を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 化粧枠
2 外壁
3 開口
4 開口部
5 屋外空間
6 ガラス障子
7 窓枠
8 浴室
10 パネル体
11 連結部材
15 凹溝
16 シール材
20 パネル本体
21 カバー体
30 基部
31 端壁部
32 貫通孔
33 係合片
34 凹溝
43 基部
44 第1差込み片
45 第2差込み片
46 フランジ部
51 棒状本体
52 リブ
53 パネル体当接部分
54 連結部分
55 凹状部分
56 凸状部分
57 軸孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体に形成される開口部に設けられる合成樹脂製の化粧枠であって、
前記開口部の開口に臨む上面、下面および一対の側面に沿ってそれぞれ設けられるパネル体と、
各パネル体の相互に隣接する各長手方向両端部を連結する連結部材であって、前記相互に隣接する各長手方向両端部間に介在され、各パネル体の前記長手方向および厚み方向に垂直な幅方向に延び、各パネル体の前記開口に臨む一表面を含む第1の仮想一表面よりも各パネル体の他表面を含む第2の仮想一表面側に退避した凹溝が形成される棒状の基部を有する連結部材と、
各パネル体の各長手方向両端部が前記連結部材によって連結された状態で、各長手方向両端部間から開口に臨む前記凹溝と、各パネル体の一表面の前記凹溝に近接した領域とにわたって充填されるシール材とを含むことを特徴とする化粧枠。
【請求項2】
前記連結部材の基部には、各パネル体に挿入される複数の差込み片が前記幅方向に間隔をあけかつ相互に垂直に突出して形成されるとともに、前記基部の両側に配置される各パネル体のいずれか一方に臨んで開口する軸孔が形成され、
各連結部材の各差込み片が各パネル体に差し込まれて枠組みされた状態で、ねじ部材の軸部を前記軸孔に挿通して、前記基部に隣接する各一方のパネル体に螺着させ、各基部と各一方のパネル体とが連結されることを特徴とする請求項1に記載の化粧枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−209562(P2009−209562A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52588(P2008−52588)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(390035253)キョーセー株式会社 (4)
【Fターム(参考)】