説明

化粧用シート

【課題】皮膚から角栓を除去する際に皮膚に十分に密着することができ、皮膚からの角栓除去能力が優れている化粧用シートを提供すること。
【解決手段】 化粧用シートは、短辺と長辺とを有する化粧用シートであって、一方の長辺は、線対称となるように凹部辺を2箇所有し、凹部辺と短辺との間にはハの字型に線状の切れ込みが設けられている。また、この化粧用シートは、セパレータの一方の面に、皮膚貼付層および透湿性基材を有する。この皮膚貼付層は、水溶性高分子および無機充填剤を含有する湿潤粘着性組成物からなることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧用シートに関し、特に、角栓除去等に使用される化粧用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、皮膚の角栓除去に適した化粧用シートとして、不織布等からなる基材層の片面に、水溶性高分子を用いて皮膚貼付層を形成したものが知られている。この化粧用シートは、通常、まず、鼻部などの貼付される部位を予め水で濡らした後に貼付される。貼付された化粧用シートは、この状態で約10分間放置され、水分が蒸発した後、ゆっくりと剥離除去される。このような一連の操作を経て、水で溶解若しくは湿潤した皮膚貼付層が、毛穴内に存在する角栓と接触した後、乾燥することによって、角栓と一体化するので、皮膚貼付層を剥がすことによって角栓も除去できるのである。
【0003】
したがって、角栓除去能力を最大限に引き出すためには、化粧用シートはできるだけ広い面積で皮膚面と接触していることが好ましい。例えば、化粧用シートを鼻部に適用する場合には、特に角栓が多く存在している小鼻部分の全面に化粧用シートが十分に密着することが好ましい。
【0004】
しかしながら、人体の鼻部は凹凸が大きく、平面状のシートを貼付する場合には、浮き上がり部分や皺が発生しやすいので、空気の咬み込みが生じて化粧用シートを十分に皮膚に接触させることは難しい。また、平面状のシートの一部に空気の咬み込みが発生してしまうと空気の咬み込み部を指等で押圧して排除しようとするが、その押圧により皮膚貼付層が基材層内に沈み込んでしまうので、角栓除去能力が低下する。
【0005】
本発明は上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、皮膚に十分に密着接触することができ、特に、小鼻に十分に密着接触することができ、角栓を十分に除去することができる化粧用シートを提供することにある。
【0006】
【特許文献1】特開平5−221843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明は、鼻部に十分に密着接触することが可能な、角栓除去能力に優れた化粧用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の化粧用シートは、短辺と長辺とを有する化粧用シートであって、一方の長辺は、線対称となるように凹部辺を2箇所有し、凹部辺と短辺との間にはハの字型に線状の切れ込みが設けられており、かつ、該化粧用シートは、セパレータ、皮膚貼付層および透湿性基材をこの順に有することを特徴とする。
【0009】
本発明の化粧用シートは、人体の鼻部を覆うために適合した大きさであることが好ましい。また、前記凹部辺は、人体の鼻部に適合する形状であることが好ましい。
【0010】
本発明において、化粧用シートは、前記線状の切れ込みが人体の鼻部の小鼻外縁部に沿った位置に設けられていることが好ましい。あるいは、前記線状の切れ込みが人体の鼻部の小鼻内縁部に沿った位置に設けられていることが好ましい。
【0011】
本発明において、前記長辺には、1箇所以上切断線が設けられていることが好ましい。
かかる場合、前記切断線は化粧用シートの中央線上に設けられていることが好ましい。
【0012】
本発明において、前記皮膚貼付層は、水溶性高分子、及び、無機充填剤を含有する湿潤粘着性組成物を用いて成ることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、鼻部への密着接触が可能で、皮膚からの角栓除去能が高い化粧用シートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の化粧用シートは、人体の鼻部へ十分に密着接触するのに適した大きさ、形状を有する。すなわち、2つの長辺と2つの短辺とを有する略矩形状のシートであり、一方の長辺は、化粧用シートの中央線で線対称となるように凹部辺を2箇所有し中央線部分で凸部辺が形成されていて、一方の長辺全体で山の字型形状の曲線を成している。さらに、凹部辺と短辺との間にハの字型に線状の切れ込み(打ち抜き線、切り抜き)が設けられている。また、本発明の化粧用シートは、基材の一方の面に皮膚貼付層および透湿性基材を有する。以下に本発明の化粧用シートの代表的な実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0015】
以下に本発明の第1の実施形態について、図1を用いて説明する。図1において、2つの長辺2,2’と2つの短辺3,3’からなる略矩形状の化粧用シート1は、1方の長辺2が鼻部に適合するように曲線で形成されている。すなわち、矩形状の略中央線4が鼻筋上でその先端部分5が鼻頭に来るように設計されており、この中央線4を線対称の軸として左右に1箇所ずつ凹部辺6、6’が形成されている。また、矩形状の内部にはハの字型の切れ込み7、7’が形成されていて、鼻部の凹凸に適合できるようになっている。ハの字型の切れ込み7、7’が設けられている位置は、凹部辺6と短辺3との間、および、凹部辺6’と短辺3’との間であって、人体の小鼻ふくらみの外側の曲線に沿った位置である。なお、このハの字型の切れ込み7、7’は、直線であってもよいし、小鼻の縁に対応するような曲線であってもよい。このような切れ込み7,7’が設けられていれば、平面状の化粧用シートであっても、小鼻の丸みに適合させることができるので、皺や空気の咬み込みを防ぐことができる。
【0016】
本発明の化粧用シートは、ハの字型に配置された切れ込みの位置および形状が小鼻の内側曲線に適合するように形成されていてもよい。この実施形態を図2を用いて以下に説明する。
【0017】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る化粧用シートの平面図である。図2において、2つの長辺12,12’と2つの短辺13,13’からなる略矩形状の化粧用シート10は、1方の長辺12が鼻部に適合するように曲線で形成されている。すなわち、矩形状の略中央線14が鼻筋上でその先端部分15が鼻頭に来るように設計されており、この中央線14を線対称の軸として左右に1箇所ずつ凹部辺16、16’が形成されている。また、矩形状の内部にはハの字型の切れ込み17、17’が形成されていて、鼻部の凹凸に適合できるようになっている。この実施形態では、ハの字型の切れ込み17、17’が設けられている位置は、凹部辺16と短辺13との間、および、凹部辺16’と短辺13’との間であって、人体の小鼻ふくらみの内側の曲線に沿った位置である。また、このハの字型の切れ込み17、17’は、直線であってもよいし、小鼻の内側の縁に対応するような曲線であってもよい。このような切れ込み17,17’が設けられていれば、平面状の化粧用シートであっても、小鼻の丸みに適合させることができるので、皺や空気の咬み込みを防ぐことができる。
【0018】
本発明の化粧用シートは、長辺の少なくとも1箇所以上に切断線が設けられていてもよい。更にまた、上述の第1の実施形態あるいは第2の実施形態に更に切断線が設けられていてもよく、このように切断線が形成されていれば、鼻部等の曲面に更に適合しやすくなるので、シートの浮き上がり、皺の発生、空気の咬み込みを効果的に防ぐことができる。第1の実施形態に更に切断線を形成した実施形態について図3を用いて以下に説明する。
【0019】
図3は本発明の第3の実施形態に係る化粧用シートを示す平面図である。図3において、2つの長辺22,22’と2つの短辺23,23’からなる略矩形状の化粧用シート20は、1方の長辺22が鼻部に適合するように曲線で形成されている。すなわち、矩形状の中央線24が鼻筋上でその先端部分25が鼻頭に来るように設計されており、この中央線24を線対称の軸として左右に1箇所ずつ凹部辺26、26’が形成されている。また、矩形状の内部にはハの字型の切れ込み27、27’が形成されていて、鼻部の凹凸に適合できるようになっている。ハの字型の切れ込み27、27’が設けられている位置は、凹部辺26と短辺23との間、および、凹部辺26’と短辺23’との間であって、人体の小鼻ふくらみの外側の曲線に沿った位置である。なお、このハの字型の切れ込み27、27’は、直線であってもよいし、小鼻の縁に対応するような曲線であってもよい。図3においては、中央線24上に、先端部分25から切断線28が、また、中央線24と長辺22’とが交わる交点25’から切断線28’が設けられている。ここでは、切断線28と切断線28’とは略同じ長さの切断線であるが、必要に応じて設計可能であり異なる長さでもよい。更にまた、凹部辺が設けられていない方の他方の長辺22’を切断するように、凹部辺26の底部分の位置の延長線上に、すなわち、凹部辺26の底部分の位置に対応する長辺部分を切断するように切断線29が、また、凹部辺26’の延長線上に切断線29’が設けられている。ここでは、切断線29と切断線29’とは略同じ長さの切断線であるが、必要に応じて設計可能であり異なる長さでもよい。このように、長辺を切断する切断線が1箇所以上設けられていることにより、更に、曲面にフィットしやすくなる。
【0020】
本発明の化粧用シートは、セパレータ、皮膚貼付層、および、透湿性基材をこの順に有する。例えば、図1、図2、図3等に示す化粧用シートは、基材の片面に皮膚貼付層および剥離シートを有する。この皮膚貼付層は、水溶性高分子および無機充填剤を含有する湿潤粘着性組成物を用いて形成されたものである。
【0021】
本発明に用いられる無機充填剤の具体例としては、シリカ(特に無水珪酸)、アルミナ、二酸化チタン、カーボンブラック、タルク、チタンブラック、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、薬用炭等が挙げられる。
【0022】
これらの充填剤は、1種類のみを使用してもよいし、あるいは2種類以上を併用してもよい。本発明に使用される充填剤は、通常、粉体状態が好ましく、その形状は特に限定されないが、均一な分散性が得られることを考慮すると球形であることが好ましい。また、その平均粒径は0.01〜50μmであることが好ましく、特に、0.1〜10μmであることが好ましい。
【0023】
湿潤粘着性組成物に充填剤を含有させることによって、形成された皮膚貼付層の湿潤して乾燥させた後の機械的強度を向上させることができる。また、充填剤を含有させることによって、貼付後、乾燥するのに要する乾燥所要時間を短縮させることができる。したがって、充填剤を含有させれば貼付層の厚みが厚くても、従来品のような長時間を要することはない。なお、乾燥所要時間が短くなる理由は、充填剤と、水溶性高分子及び液状可塑剤との界面が、水分逸散の通路として機能するものと推察される。
【0024】
充填剤は、水溶性高分子100重量部に対して通常、10〜200重量部の範囲内で使用することが好ましく、25〜100重量部の範囲内で使用することが更に好ましい。充填剤の使用量が10〜200重量部の範囲内であれば、形成された皮膚貼付層の柔軟性が乏しくなって貼付部位に良好にフィットし難くなるようなことはなく、また、乾燥所要時間が長くなることもなく、かつ、皮膚貼付層を貼り付けて乾燥した後の機械的強度の改善効果が得られる。
【0025】
本発明に用いられる水溶性高分子は、水または親水性媒体の存在により粘着性を発揮するものである。角栓除去に適した水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン及びビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましいものとして挙げられる。また、水溶性高分子の分子量が大き過ぎると、湿潤粘着性組成物を用いて形成された皮膚貼付層は、水又は親水性媒体の存在によって粘着力が充分とならないことがあり、分子量が小さ過ぎると、皮膚貼付層の機械的強度が低下することがあって、貼付後、乾燥したシート状貼付材を貼付部位から剥離除去する際に皮膚貼付層の一部が残渣として残ることがあるので、これらの水溶性高分子は、重量平均分子量が5,000〜500万であることが好ましく、特に、2万〜120万であることが好ましい。
【0026】
粘着性を発揮させるために用いた水等を蒸発させるための乾燥時間を短縮させ、かつ、剥離時の痛みを更に和らげることを可能にするという観点からは、低分子量の水溶性高分子、すなわち重量平均分子量が70万未満、好ましくは5,000〜30万の水溶性高分子と、高分子量の水溶性高分子、すなわち重量平均分子量が70万以上、好ましくは100万〜500万の水溶性高分子とを混合して使用することが更に好ましい。高分子量の水溶性高分子と低分子量の水溶性高分子とを混合して用いる場合、その配合割合は、用いる水溶性高分子の分子量や使用目的等に応じて適宜決定されることが好ましいが、例えば、高分子量の水溶性高分子と低分子量の水溶性高分子との割合は、重量比で、おおよそ、5:95〜95:5であることが好ましく、さらに好ましくは20:80〜70:30である。角栓の除去効率、剥がす際の皮膚に与える痛みの軽減等の観点からは、低分子量の水溶性高分子の配合割合を多くすることが好ましい。本発明においては、例えば、重量平均分子量が120万のポリビニルピロリドンと重量平均分子量が45万のポリビニルピロリドンとを併用することが好ましい。併用する場合その使用割合は、重量平均分子量が120万のポリビニルピロリドンと重量平均分子量が45万のポリビニルピロリドンを重量比で30:70〜60:40の範囲内で併用することが好ましく、40:60〜50:50で併用することが更に好ましい。
【0027】
本発明に係る湿潤粘着性組成物には保湿成分を配合することができる。本発明に用いられる保湿成分としては、水溶性高分子に対して相溶性を有し、溶解して可塑化効果を示す材料が使用される。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、その他のポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、その他のポリプロピレングリコール類、グリセリン、ジグリセリン、その他のポリグリセリン類、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール等のブチレングリコール類、ソルビトール、マンニトール等の糖アルコール類、ラノリン、レシチン、オリーブ油等のグリセライド類、などが例示される。これらは1種類のみを使用してもよいし、あるいは、2種類以上を併用してもよい。
【0028】
保湿成分の使用量が過大であると、形成された皮膚貼付層の湿潤して乾燥させた後の機械的強度が乏しくなり易く、過小であると、柔軟性が乏しくなって貼付部位に良好にフィットさせることが難しくなる傾向にある。したがって、保湿成分は、水溶性高分子100重量部に対して、1〜75重量部の範囲で使用することが好ましく、5〜50重量部の範囲で使用することが更に好ましい。
【0029】
本発明に係る湿潤粘着性組成物は、必要に応じて、化粧料、香料、防腐剤、着色剤、アルコール、薬剤、紫外線吸収剤、あるいは、その他の化粧用シートに通常使用される薬剤や添加剤を本発明の効果を阻害しない範囲内で含んでもよい。
【0030】
水溶性高分子及び無機充填材と、必要に応じて保湿成分等とを含有する湿潤粘着性組成物は、エチルアルコール、メチルアルコール等の親水性媒体や水等と共に塗布液とした後、剥離処理が施された剥離シート、あるいは、基材上に塗布乾燥されて、シート状の皮膚貼付層が形成される。
【0031】
本発明において、皮膚貼付層の厚みは、10μm〜500μmであることが好ましく、50μm〜250μmであることが更に好ましい。また、基材の厚みは、10μm〜200μmであることが好ましい。
【0032】
本発明の化粧用シートに用いられる基材は、皮膚貼付層の乾燥速度の観点から透湿性のある透湿性基材であることが好ましい。その構造としては、織布、不織布、編布、紙等の繊維の集合体類、および、多孔性フィルム、透気性フィルム等のフィルム類などが例示される。これらのうち、貼付部位の曲面になじみやすい適度の伸縮性を有するものが特に好ましい。また、材料に関しては、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、セルロース等の、合成あるいは天然の有機高分子類が例示される。
【0033】
本発明の化粧用シートは、基材および皮膚貼付層の上にセパレータを有する。このセパレータとしては、表面が剥離処理されているシート、あるいは、表面が剥離処理されていないシートが用いられる。例えば、セパレータが軽剥離しやすい場合等には、表面が剥離処理されていないシートを用いることが好ましい。
【0034】
本発明の化粧用シートは、例えば、剥離処理が施されたシートの剥離処理面に、あるいは、剥離処理が施されていないシートに、湿潤粘着性組成物を水等に分散させた塗布液を塗布し、その上に基材を重ねて乾燥させることにより形成することができる。この化粧用シートは、基材/皮膚貼付層/セパレータの構成を有し、所定の形状に裁断される。セパレータは、使用時に剥がされるまで、皮膚貼付層を衛生面から、あるいは貼着力の面から保護することができる。また、セパレータを有する構成であれば、化粧用シートを枚葉状に積み重ねて保存することもできるという利点もある。なお、セパレータとしては、例えば、表面をシリコーン樹脂などのポリマーで処理した紙、フィルム、シート等、表面処理が施されていない紙、フィルム、シート等を用いることができ、また、フィルムの材料としては、特に限定されることなく使用することができるが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル等のプラスチックを用いることができる。
【0035】
本発明の化粧用シートは、1枚のシートに複数個配置された形で打ち抜き成形されてもよい。すなわち、例えば、セパレータ、皮膚貼付層および透湿性基材を有する1枚のシートから例えば第1の実施形態の化粧用シートを複数枚同時に形成してもよい。本発明においては、このように複数枚の化粧用シートが連続して配置されているものも場合によっては化粧用シートと称して、本発明の化粧用シートに含まれるものとする。
【0036】
本発明の第1の実施形態に係る化粧用シートを複数枚配置した化粧用シートを図4に示す。また、同様に第2の実施形態に係る化粧用シートを複数枚配置した化粧用シートを図5に示し、第3の実施形態に係る化粧用シートを複数枚配置した化粧用シートを図6に示す。さらには、第1の実施形態に係る化粧用シート、第2の実施形態に係る化粧用シート、および、第3の実施形態に係る化粧用シートの2種以上が1枚のシートに配置された化粧用シート(図示せず)でもよい。
【0037】
例えば、図4に示す化粧用シートは、基材側から打ち抜きを行うがシート片が切り離されないようにしても良い。すなわち、皮膚貼付層は完全に切断されているがセパレータの途中までしか切断されていない第1の実施形態の形状のシート片が、1枚のセパレータの上に複数個配置されている化粧用シートとすることもできる。
【0038】
本発明によれば、鼻部等にフィットすることができる化粧用シートを提供することができるので、皮膚面、特に鼻部等に十分に密着させることができて、皮膚貼付層の成分が十分に皮膚表面内に浸透していって、毛穴内に形成された油分等の分泌物あるいはゴミ、埃等からなる角栓を十分に取り込んで除去することができる。
【0039】
本発明の化粧用シートは、化粧用シート中の水分の揮散を防止するために不透湿性基材で包装されていてもよく、例えば、不透湿性基材等からなる袋等によって密閉保存されていてもよい。不透湿性基材としては、例えばアルミニウム等の金属箔等が好ましく使用されるが、プラスチックフィルム等との積層体でもよく、例えば、アルミニウムとポリエステルフィルムとの積層体等が好ましく使用される。
【0040】
本発明の化粧用シートは、ピールオフ型のパック等に代表されるような角栓除去シート、にきびシート等に有用であり、特に鼻部のように複雑に湾曲した肌にぴったりと貼付でき、鼻部の角栓除去シートとして有効に利用できる。
【実施例】
【0041】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。
【0042】
(実施例1)
水溶性高分子として重量平均分子量が120万のポリビニルピロリドンを57重量%、グリセリン7重量%、無水珪酸34重量%、及び、酸化チタン2重量%を用い、これらを適量の精製水を用いて攪拌、混合して塗布液を作製した。この塗布液を、剥離処理されていないポリエチレンフィルム(厚み50μm)の片面に、塗布量が110g/mで均一な厚さとなるように塗布して皮膚貼付層を形成し、この皮膚粘着層の上に、ポリエステル繊維からなるスパンレース不織布(坪量:40g/m)を重ね、105℃で1.5分間乾燥させて、3層構造のシートを作製した。得られたシートから、図1に示すような形状の化粧用シートを作製した。
【0043】
得られた化粧用シートについて、浮き(空気の咬み込み)の発生の有無、皺(歪み)の発生の有無、および、角栓除去性の評価を行った。但し、得られた化粧用シートを中心線で約半分に裁断し、化粧用シート試験片とした。その結果を表1に示す。
【0044】
(比較例1)
実施例1と同様にして得られた3層構造のシートから、図1に示す実施形態においてハの字型の切り込みを有していない形態の化粧用シートを作製した。
得られた化粧用シートについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0045】
上記実施例1および比較例1において使用された評価方法を下記に示す。
(1)浮き(空気の咬み込み)発生の有無
健常な成人ボランティア7名の鼻部に水を適量塗布した後、小鼻の片方の半分に実施例1の化粧用シート試験片を、小鼻の他方の半分に比較例1の化粧用シート試験片を貼付した。各ボランティアごとに、貼付した状態の化粧用シート試験片を肉眼で観察し、浮き(空気の咬み込み)が全く発生していない場合には「非常に良い」、発生していた場合には「悪い」と評価した。なお、ボランティアの半数以上が示した評価結果を表1に示した。
【0046】
(2)皺(歪み)の発生の有無
健常な成人ボランティア7名の鼻部に水を適量塗布した後、小鼻の片方の半分に実施例1の化粧用シート試験片を、小鼻の他方の半分に比較例1の化粧用シート試験片を貼付した。各ボランティアごとに、貼付した化粧用シート試験片を肉眼で観察し、シートに皺(歪み)が全く発生していない場合には「非常に良い」、発生していた場合には「悪い」と評価した。なお、ボランティアの半数以上が示した評価結果を表1に示した。
【0047】
(3)角栓除去性の評価方法
健常な成人ボランティア7名の鼻部に水を適量塗布した後、小鼻の片方の半分に実施例1の化粧用シート試験片を、小鼻の他方の半分に比較例1の化粧用シート試験片を貼付した。このように貼付した状態で約10分間放置し、化粧用シートが乾燥した後、剥離した。各ボランティアごとに、剥離した実施例1の化粧用シートと比較例1の化粧用シートの皮膚貼付層を肉眼で観察し、角栓が多く取れた場合を「非常に良い」、角栓がほとんど取れなかった場合を「悪い」と評価した。なお、ボランティアの半数以上が示した評価結果を表1に示した。
【0048】
【表1】

【0049】
表1から実施例1の化粧用シートは全ての評価において「非常に良い」の結果が得られたが、比較例1の化粧用シートは「悪い」の評価しか得られなかった。すなわち、本発明の化粧用シートは鼻部への密着接触に優れており、角栓除去能力にも優れていることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の化粧用シートは、ピールオフ型のパック等に代表されるような角栓除去シート、にきびシート等に有用であり、特に鼻部の角栓除去シートとして有効に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る化粧用シートの平面図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態に係る化粧用シートの平面図である。
【図3】図3は、本発明の第3の実施形態に係る化粧用シートの平面図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態に係る化粧用シートを複数枚配置した化粧用シートの平面図である。
【図5】図5は、本発明の第2の実施形態に係る化粧用シートを複数枚配置した化粧用シートの平面図である。
【図6】図6は、本発明の第3の実施形態に係る化粧用シートを複数枚配置した化粧用シートの平面図である。
【符号の説明】
【0052】
1、10、20 化粧用シート
2、2’、12、12’、22、22’ 長辺
3、3’、13、13’、23、23’ 短辺
4、14、24 中央線
5、15、25 先端部分
6、6’、16、16’、26、26’ 凹部辺
7、7’、17、17’、27、27’ 切り込み
28、28’、29、29’ 切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短辺と長辺とを有する化粧用シートであって、一方の長辺は、線対称となるように凹部辺を2箇所有し、凹部辺と短辺との間にはハの字型に線状の切れ込みが設けられており、かつ、該化粧用シートは、セパレータ、皮膚貼付層および透湿性基材をこの順に有することを特徴とする化粧用シート。
【請求項2】
前記化粧用シートが人体の鼻部を覆うために適合した大きさであることを特徴とする請求項1記載の化粧用シート。
【請求項3】
前記凹部辺が人体の鼻部に適合する形状であることを特徴とする請求項1または2記載の化粧用シート。
【請求項4】
前記線状の切れ込みが人体の鼻部の小鼻外縁部に沿った位置に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の化粧用シート。
【請求項5】
前記線状の切れ込みが人体の鼻部の小鼻内縁部に沿った位置に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の化粧用シート。
【請求項6】
前記長辺には、1箇所以上切断線が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の化粧用シート。
【請求項7】
前記切断線が化粧用シートの中央線上に設けられていることを特徴とする請求項6記載の化粧用シート。
【請求項8】
前記皮膚貼付層が、水溶性高分子、及び、無機充填剤を含有する湿潤粘着性組成物を用いて成ることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の化粧用シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−201707(P2008−201707A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38867(P2007−38867)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】