説明

化粧用剤の送達のためのペプチドに基づく系

本発明は、化粧上有益な作用剤のヒト毛髪、ヒト皮膚若しくはヒト爪への送達のためのペプチドに基づく試薬を含んでなる組成物および系に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の交差引用
本出願は、2009年3月30日に出願された米国仮出願第61/164,533号明細書(その全体は本明細書に組み込まれる)の利益を主張する。
【0002】
本発明は、ヒト毛髪、ヒト皮膚および/若しくはヒト爪への化粧用の有益な作用剤の送達のためのペプチドに基づく試薬を含んでなる組成物および系に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの化粧用保護製品は、1種若しくはそれ以上の微粒子の有益な作用剤(agents)、例えば、毛髪、皮膚および爪のようなケラチンを含有する体表面の化粧特性を改良する着色剤および調整剤から構成される。これらの微粒子の有益な作用剤はこれらの体表面に耐久性に結合しない。結果として、これらの製品は所望の効果を維持するために体表面に頻繁に再適用される必要がある。
【0004】
多様なタンパク質に基づく試薬が、標的表面に対する若しくは標的表面への有益な作用剤の標的化送達のための有益な作用剤の結合耐久性を改良するための試みにおいて開発された。全体として、これらは非実用的であり、およびこれらの「結合」タンパク質の多くは高価かつ調製するのが困難であり、そして効果的な結合のための複雑な支持足場(scaffold)構造を必要とする例えば免疫グロブリン、免疫グロブリン由来タンパク質および免疫グロブリン以外の結合タンパク質を包含する(多様な足場構造に補助されるアプローチの総説については非特許文献1を参照されたい)。
【0005】
一本鎖ペプチドおよびペプチドに基づく試薬が、化粧的応用、例えば毛髪、皮膚および爪のための伝統的着色剤および調整剤(特許文献1および特許文献2、特許文献3ならびに特許文献4;特許文献5および特許文献6;特許文献7、特許文献8および特許文献9;特許文献10;特許文献11;ならびに特許文献12および特許文献13)、カーボンナノチューブに基づく毛髪着色剤(特許文献14)、皮膚日焼け止め剤(特許文献15および特許献16)、毛髪日焼け止め剤(特許文献17)、ふけ防止剤(特許文献18)、および抗ざ瘡剤(特許文献19)での使用について報告されている。
【0006】
毛髪、皮膚および/若しくは爪に対する強い親和性をもつある種の一本鎖結合ペプチドが、ファージディスプレイを使用して同定されている(特許文献1および特許文献2、特許文献3ならびに特許文献4;特許文献20;特許文献21;特許文献22;ならびに特許文献23)。加えて、正に荷電したアミノ酸に基づく経験的に生成される毛髪および皮膚結合ペプチドが報告されている(特許文献24)。これらのアプローチは、複雑な足場構造および/若しくは免疫グロブリン様構造を欠く短い直鎖状ペプチドが、毛髪、皮膚および/若しくは爪の表面に対する強い親和性(すなわちK<10−5M)を有し得ることを具体的に説明する。
【0007】
しかしながら、単一の短いペプチドの結合強さはほとんどの化粧的応用に必要とされる耐久性に合致するのに十分でないかもしれない。それらの応用において、同定された表面結合ペプチドの2種若しくはそれ以上を一緒に連結して、標的とされる表面(すなわち皮膚、毛髪若しくは爪)に対する増大された親和性を有する直鎖状結合ドメイン(本明細書で「手(hands)」ともまた称される)を製造し得る。しばしば、2種若しくはそれ以上の結合ドメインを、個々の標的表面結合ペプチドを分離する短いペプチドスペーサーを介して連結しうる。
【0008】
各ドメインが最低2種の基質を一緒に結合するよう設計され、該結合ドメインの最低1個が最低1種のケラチンを含有する身体基質(例えば毛髪、皮膚および/若しくは爪)に対する親和性を有するよう設計された一方で第二の結合ドメインが有益な作用剤に対する親和性を有するよう設計された、複数の合理的に設計された結合ドメインを有するペプチドが報告されている(特許文献10および特許文献8;ならびに特許文献25)。これらのペプチドに基づく試薬は最低2個の結合ドメインを含んでなり(本明細書で「両手ペプチド(two−handed peptides)」若しくは「両手ペプチドに基づく試薬」と称される)、ここで各結合ドメインはそれらのそれぞれの基質に対する親和性を有するよう設計されている。
【0009】
有益な作用剤をヒト毛髪、皮膚および/若しくは爪に効果的に結合し得かつ「両手(two−handed)」でない、選択的直鎖状ペプチドおよび化粧用系に対する必要性が存続している。温和な条件を使用して有益な作用剤がペプチドから解放され得る選択的ペプチドに対する必要性もまた存続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,220,405号明細書におけるHuangら
【特許文献2】米国特許出願公開第US2005/0226839号明細書におけるHuangら
【特許文献3】米国特許出願公開第US2007/0053837号明細書におけるHuangら
【特許文献4】米国特許出願公開第US2008/0152600号明細書におけるHuangら
【特許文献5】米国特許出願公開第US2007/0196395号明細書におけるWangら
【特許文献6】米国特許出願公開第US2006/0199206号明細書におけるWangら
【特許文献7】米国特許出願公開第US2006/0073111号明細書におけるO’Brienら
【特許文献8】米国特許第7,285264号明細書におけるO’Brienら
【特許文献9】公開PCT出願第WO2008/054746号明細書におけるO’Brienら
【特許文献10】米国特許出願公開第US2007/0065387号明細書におけるBeckら
【特許文献11】米国特許出願公開第US2008/0107614号明細書におけるFahnestockら
【特許文献12】米国特許出願第12/198358号明細書におけるBensonら
【特許文献13】米国特許出願第12/198382号明細書におけるBensonら
【特許文献14】米国特許出願公開第US2005/0229335号明細書におけるHuangら
【特許文献15】米国特許第7,309,482号明細書におけるBuseman−Williamsら
【特許文献16】米国特許出願公開第US2007/0110686号明細書におけるLoweら
【特許文献17】米国特許出願公開第2008/0175798号明細書におけるBeckら
【特許文献18】米国特許出願第12/273,753号明細書におけるO’Brienら
【特許文献19】米国特許出願第12/273,778号明細書におけるO’Brienら
【特許文献20】公開PCT出願第WO01/79479号明細書におけるEstellら
【特許文献21】米国特許出願公開第2002/0098524号明細書におけるMurrayら
【特許文献22】米国特許出願公開第2003/0152976号明細書におけるJanssenら
【特許文献23】公開PCT出願第WO04/048399号明細書におけるJanssenら
【特許文献24】Rotheらへの第WO2004/000257号明細書
【特許文献25】Grinstaffらへの米国特許出願公開第2003/0185870号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Binz,H.ら(2005)Nature Biotechnology 23、1257−1268
【発明の概要】
【0012】
[発明の要約]
本発明は、10−5モル濃度若しくはそれ未満のK若しくはMB50でヒト毛髪、ヒト皮膚若しくはヒト爪の最低1種に結合し、かつ、親和性対(affinity pair)の第一の部分をさらに含んでなる最低1個の結合ドメインを含んでなるペプチド成分;ならびに約0.01ミクロンと約75ミクロンの間の平均粒子径および該親和性対の第二の部分を有する微粒子の有益な作用剤の安定な分散系を含んでなる化粧用系に向けられ;該最低1個の結合ドメインは、それが該分散系の粒子に対して有するより大きいヒト毛髪、皮膚若しくは爪に対する結合親和性を有する。有益な作用剤の適用およびヒト毛髪、皮膚若しくは爪の最低1種からの該有益な作用剤の除去を包含する、本発明の化粧用系の使用方法もまた記述される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一態様すなわち毛髪に粒子を結合されたビオチニル化HCP5二量体ペプチドの蛍光を描く。
【図2】シリカ被覆された酸化鉄色素を使用する本発明のある態様の毛髪着色能力を示すヒストグラムである。
【図3A】被覆された酸化鉄粒子への初期曝露後に実施例7に示される手順に従って処理された毛髪房(tress)を描く。
【図3B】実施例7に示される手順に従って処理され次いで水で洗浄された毛髪房を描く。
【図3C】実施例7に示される手順に従って処理され次いで0.25%SLES洗浄液(Wash)で洗浄された毛髪房を描く。
【図4A】(HCP5)2−ビオチンおよび500nmストレプトアビジン被覆酸化鉄粒子で処理された毛髪の電子顕微鏡写真である。
【図4B】(HCP5)2−ビオチンおよび200nmストレプトアビジン被覆酸化鉄粒子で処理された毛髪の電子顕微鏡写真である。
【配列の説明】
【0014】
以下の配列は37 C.F.R.1.821−1.825(「ヌクレオチド配列および/若しくはアミノ酸配列の開示を含有する特許出願に対する要件−配列表の規則(Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures−the Sequence Rules)」)に準拠し、また、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998)ならびにEPOおよびPCTの配列表の要件(実施細則の規則5.2および49.5(a−2)、ならびに208節および附属書C)に一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列に使用される記号および形式は37 C.F.R.§1.822に示される規則に準拠する。
配列番号1−184および186−189は、ケラチンを含有する体表面に結合するペプチドのアミノ酸配列である。配列番号1−134および184は毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。配列番号130−134は毛髪および皮膚に結合する経験的に生成される配列である。配列番号135−182は皮膚結合ペプチドのアミノ酸配列である。配列番号183−184は爪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号185は金属イオンに結合するペプチド(「HAT」)標識のアミノ酸配列である。
配列番号186はC末端リシン残基をもつ配列番号76のアミノ酸配列である。
配列番号187はC末端リシン残基をもつ配列番号82のアミノ酸配列である。
配列番号188はC末端リシン残基をもつ配列番号86のアミノ酸配列である。
配列番号189はC末端リシン残基をもつ配列番号110のアミノ酸配列である。
配列番号190は、配列番号82のランダム化バージョンを含んでなるペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号191は、配列番号120のランダム化バージョンを含んでなるペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号192は、配列番号30のランダム化バージョンを含んでなるペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号193は色素結合ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号194はセルロースアセテート結合ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号195はセルロースアセテート結合ペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号196はペプチドHC263のアミノ酸配列である。
配列番号197はペプチドHC264のアミノ酸配列である。
配列番号198はペプチドHC214のアミノ酸配列である。
配列番号199はペプチドHC204のアミノ酸配列である。
配列番号200はペプチドHC205のアミノ酸配列である。
配列番号201はペプチドHC352のアミノ酸配列である。
配列番号202はペプチドHC423のアミノ酸配列である。
配列番号203はペプチドHC424のアミノ酸配列である。
配列番号204は、本明細書で「HCP5二量体」ともまた称されるペプチド(HCP5)2のアミノ酸配列である。
配列番号205は、C末端リシン残基をもつ配列番号204のペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号206はストレプトアビジン結合ペプチド標識のアミノ酸配列である。
配列番号207はペプチドHC260のアミノ酸配列である。
配列番号208はペプチドリンカー「tonB」のアミノ酸配列である。
配列番号209はペプチド架橋のアミノ酸配列である。
配列番号210はペプチドHC353のアミノ酸配列である。
配列番号211はペプチドHC634のアミノ酸配列である。
配列番号212はペプチドHC635のアミノ酸配列である。
配列番号213はペプチドHC636のアミノ酸配列である。
配列番号214はペプチドHC637のアミノ酸配列である。
配列番号215はペプチドHC638のアミノ酸配列である。
配列番号216はペプチドHC639のアミノ酸配列である。
配列番号217はペプチドHC640のアミノ酸配列である。
配列番号218はペプチドHC641のアミノ酸配列である。
配列番号219はペプチドHC642のアミノ酸配列である。
配列番号220はペプチドHC643のアミノ酸配列である。
配列番号221はペプチドHC644のアミノ酸配列である。
配列番号222はペプチドHC645のアミノ酸配列である。
配列番号223−234は、色素表面と静電的に会合するように設計されたペプチドのアミノ酸配列である。
配列番号235はペプチドHHHHHHのアミノ酸配列である。
配列番号225はC末端ポリリシンブロックをもつ配列番号212のアミノ酸配列である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[発明の詳細な記述]
ヒト毛髪、ヒト皮膚若しくはヒト爪の最低1種への有益な作用剤の適用のための改良された化粧用系が開発され、そして本明細書に記述される。これらの系の製造および使用方法もまた記述される。本発明の化粧用系は、安定な微粒子の分散系で提供されるペプチド成分および微粒子の有益な作用剤を含んでなる。
【0016】
ペプチド成分
ペプチド成分は、ヒト毛髪、ヒト皮膚若しくはヒト爪である最低1種のヒト体表面に結合する最低1個のペプチド結合ドメインを含んでなる。本発明のある種のペプチド成分は長さが約500アミノ酸若しくはそれ未満であることができる。該ペプチド成分は例えば水性溶液、粉末、乳液、懸濁液、分散系、ゲル、クリーム若しくはエアゾル(aerosol)として提供し得る。該ペプチド成分は、総組成物の約0.01%ないし約10%、いくつかの態様においては約0.01%ないし約5重量%の濃度でヒト毛髪、皮膚若しくは爪の最低1種に適用しうる。
【0017】
本発明の範囲内で、「ペプチド」、「ペプチド性物質(peptidic)」および「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合により一緒に結合された2個若しくはそれ以上のアミノ酸のポリマーを指すのに本明細書で互換性に使用することができ、ここでペプチドは指定されない長さのものである。ペプチド、オリゴペプチドおよびポリペプチドは本定義内に包含される。一局面において、本用語はペプチドの発現後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化などもまた包含する。例えば1種のアミノ酸の1種若しくはそれ以上のアナログまたは標識アミノ酸を含有するペプチドおよびペプチド模倣薬もまた該定義内に包含される。例示的態様において、ペプチド成分は15ないし500、15ないし250若しくは15ないし100アミノ酸を含むことができる。特定のアミノ酸を同定するのに以下の略語を使用することができる。
【0018】
アミノ酸 3文字略語 1文字略語
アラニン Ala A
アルギニン Arg R
アスパラギン Asn N
アスパラギン酸 Asp D
システイン Cys C
グルタミン Gln Q
グルタミン酸 Glu E
グリシン Gly G
ヒスチジン His H
イソロイシン Ile I
ロイシン Leu L
リシン Lys K
メチオニン Met M
フェニルアラニン Phe F
プロリン Pro P
セリン Ser S
トレオニン Thr T
トリプトファン Trp W
チロシン Tyr Y
バリン Val V
いずれかのアミノ酸(若しくは本明細書に定義されるところの)
Xaa X
【0019】
本明細書で使用されるところの「結合ドメイン」は、特定の表面(1種若しくは複数)例えばヒト毛髪、皮膚および/若しくは爪に対する親和性を有すると同定された1種、理想的には2種若しくはそれ以上のより短いペプチド(「サブドメイン」)を含んでなるペプチドを指す。ある態様において、結合ドメインは該より短いペプチドの2から約50種まで若しくは2ないし約25種を包含しうる。他の態様は2ないし約10種のより短いペプチドを包含する結合ドメインを有するものを包含する。他の態様は2、3、4若しくは5種のより短いペプチドを包含する結合ドメインである。
【0020】
これらのより短いペプチドは、相互に直接連結されて結合ドメインを形成しうるか、または1種若しくはそれ以上の短いペプチドスペーサーを介して連結されて結合ドメインを形成しうる。いくつかの態様において、ペプチドスペーサーは長さが1から100まで若しくは1ないし50アミノ酸である。他の態様において、ペプチドスペーサーは長さが約1ないし約25、3ないし約40若しくは3ないし約30アミノ酸である。長さが約5ないし約20アミノ酸であるスペーサーがなお他の態様にある。
【0021】
ある態様において、本発明の結合ドメインは10−5モル濃度(M)若しくはそれ未満の結合親和性値でヒト毛髪、皮膚および爪の最低1種に結合する。いくつかの態様において、ペプチド結合ドメインは、最低約50〜500mMの塩の存在下で10−5若しくはそれ未満の結合親和性値を有することができる。「結合親和性」という用語は、そのそれぞれの基質、この場合はヒト毛髪、皮膚若しくは爪との結合ペプチドの相互作用の強さを指す。結合親和性は、結合ペプチドの解離定数(「K」)若しくは「MB50」に関して定義若しくは測定し得る。
【0022】
「K」は、標的上の結合部位が半分占有される、すなわちペプチドが結合された標的(結合された標的物質)の濃度がペプチドが結合されていない標的の濃度に等しい場合のペプチドの濃度に対応する。解離定数が小さくなるほどペプチドがより強固に結合される。例えば、ナノモル濃度(nM)の解離定数をもつペプチドはマイクロモル濃度(μM)の解離定数をもつペプチドより強固に結合する。本発明のある態様は10−5若しくはそれ未満のK値を有することができる。
【0023】
「MB50」は、ELISAに基づく結合アッセイで得られる最大シグナルの50%であるシグナルを生じる結合ペプチドの濃度を指す。例えば、米国特許出願公開第2005/022683号明細書(ここに引用することにより組み込まれる)の実施例3を参照されたい。MB50は、複合体の成分の結合相互作用すなわち親和性の強さの指標を提供する。MB50の値が小さくなるほど、該ペプチドのその対応する基質との相互作用が強くすなわち「より良好に」なる。例えば、ナノモル濃度(nM)のMB50をもつペプチドはマイクロモル濃度(μM)のMB50をもつペプチドより強固に結合する。本発明のある態様は10−5若しくはそれ未満のMB50値を有することができる。
【0024】
いくつかの態様において、ペプチド結合ドメインは、約10−5M未満若しくはこれに等しい、約10−6M未満若しくはこれに等しい、約10−7M未満若しくはこれに等しい、約10−8M未満若しくはこれに等しい、約10−9M未満若しくはこれに等しい、または約10−10M未満若しくはこれに等しいK若しくはMB50値により測定されるところの結合親和性を有する。少なくともヒト毛髪に結合することが同定されたペプチドは「毛髪結合ペプチド(HBP)」ともまた称される。少なくともヒト皮膚に結合することが同定されたペプチドは「皮膚結合ペプチド(SBP)」ともまた称される。少なくともヒト爪に結合することが同定されたペプチドは「爪結合ペプチド(NBP)」ともまた称される。
【0025】
いくつかの態様において、ペプチド結合ドメインは長さが約60アミノ酸までであるペプチド結合サブドメインから構成される。ある態様は、長さが7ないし約60アミノ酸であるペプチド結合サブドメインを有することができる。長さが7ないし50若しくは7ないし30アミノ酸であるペプチド結合サブドメインが他の態様にある。長さが7ないし27アミノ酸であるペプチド結合サブドメインがなお他の態様にある。
【0026】
単一の毛髪、皮膚および/若しくは爪結合ドメインを含んでなるペプチド成分が本発明のある態様である一方、本発明の他の態様において、ペプチド成分がヒト毛髪、ヒト皮膚若しくはヒト爪の最低1種に結合する1個超の結合ドメインを含んでなることが有利でありうる。複数のすなわち2個若しくはそれ以上の結合ドメインの包含は、例えば、単一結合ドメインを包含するペプチド成分よりなおより化粧上耐久性であるペプチド成分を提供し得る。いくつかの態様において、ペプチド成分は2から約50若しくは2ないし約25個のペプチド結合ドメインを包含する。他の態様は、2ないし約10若しくは2ないし5個のペプチド結合ドメインを包含するペプチド成分を包含する。
【0027】
複数の結合ドメインは直接一緒に連結し得るか、若しくはそれらはペプチドスペーサーを使用して一緒に連結し得る。ある種のペプチドスペーサーは長さが1から100まで若しくは1ないし50アミノ酸である。いくつかの態様において、ペプチドスペーサーは長さが約1ないし約25、3ないし約40若しくは3ないし約30アミノ酸である。長さが約5ないし約20アミノ酸であるスペーサーが他の態様にある。
【0028】
本発明の結合ドメインは、それらが分散系の粒子に対して有するより大きいヒト毛髪、皮膚若しくは爪に対する結合親和性もまた有することができる。分散系の粒子を上回るヒト毛髪、皮膚若しくは爪に対する結合ドメインのこの優先的な親和性は、結合ドメインが分散系の粒子を上回るヒト毛髪、皮膚若しくは爪に対するより大きい結合親和性を有しない系と比較して、より大きなパーセンテージの結合ドメインがヒト毛髪皮膚若しくは爪の最低1種への結合に利用可能である化粧用系をもたらす。いくつかの態様において、結合ドメインは、それらが分散系の粒子に対して有するより最低約2倍(2−fold)より大きい(すなわち約2倍(2 times)より大きい)ヒト毛髪、皮膚若しくは爪に対する結合親和性を有する。他の態様において、結合ドメインは、分散系の粒子に対してそ
れらが有するより最低5倍(5−fold)より大きい(すなわち約5倍(5−times)より大きい)ヒト毛髪、皮膚若しくは爪に対する結合親和性を有する。なお他の態様において、該結合ドメインは、分散系の粒子に対してそれらが有するより最低10倍(10−fold)より大きい(すなわち約10倍(10−times)より大きい)ヒト毛髪、皮膚若しくは爪に対する結合親和性を有する。
【0029】
ペプチド結合ドメイン、およびそれらが構成されるそのより短いペプチドは、例えば、ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームディスプレイ、mRNAディスプレイのようないずれかの既知のバイオパニング(biopanning)技術およびそれらの組合せを包含する当業者に既知のいずれかの数の方法を使用して同定し得る。
【0030】
ペプチドのランダムライブラリーの生成は公知であり、そして、細菌ディスプレイ(Kemp,D.J.;Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78(7):4520−4524(1981)およびHelfmanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80(1):31−35、(1983))、酵母ディスプレイ(Chienら、Proc Natl Acad Sci USA 88(21):9578−82(1991))、コンビナトリアル固相ペプチド合成(米国特許第5,449,754号明細書、米国特許第5,480,971号明細書、米国特許第5,585,275号明細書、米国特許第5,639,603号明細書)およびファージディスプレイ技術(米国特許第5,223,409号明細書、米国特許第5,403,484号明細書、米国特許第5,571,698号明細書、米国特許第5,837,500号明細書);リボソームディスプレイ(米国特許第5,643,768号明細書;米国特許第5,658,754号明細書;および米国特許第7,074,557号明細書)ならびにmRNAディスプレイ技術(PROFUSIONTM;米国特許第6,258,558号明細書;米国特許第6,518,018号明細書;米国特許第6,281,344号明細書;米国特許第6,214,553号明細書;米国特許第6,261,804号明細書;米国特許第6,207,446号明細書;米国特許第6,846,655号明細書;米国特許第6,312,927号明細書;米国特許第6,602,685号明細書;米国特許第6,416,950号明細書;米国特許第6,429,300号明細書;米国特許第7,078,197号明細書;および米国特許第6,436,665号明細書)を包含する多様な技術により成し遂げうる。こうした生物学的ペプチドライブラリーを生成するための技術はDani,M.、J.of Receptor & Signal Transduction Res.、21(4):447−468(2001)に記述される。
【0031】
ペプチドの一ランダム生成方法はファージディスプレイによる。1985年のその導入以来、ファージディスプレイは、薬物標的のためのペプチド、タンパク質および小分子を包含する多様なリガンドを発見するため広範に使用されている(Dixit、J.of Sci.& Ind.Research、57:173−183(1998))。該応用は、タンパク質フォールディング(folding)、新規触媒活性、新規特異性をもつDNA結合タンパク質、および組織工学のための新規のペプチドに基づく生体材料足場構造を研究することのような他の領域に広がった(Hoess、Chem.Rev.101:3205−3218(2001)およびHolmes、Trends Biotechnol.20:16−21(2002))。Whaleyら(Nature 405:665−668(2000))は、多様な結晶学的形態の無機半導体基質に特異的に結合し得るペプチド配列を同定するためのファージディスプレイスクリーニングの使用を開示している。
【0032】
ペプチドライブラリーを抗標的(anti−target)と接触させて該抗標的に結合するペプチドを除去すること、その後結合しないペプチドを該標的と接触させることを
含んでなる改変スクリーニング法が記述されている(Estellら 第WO 01/079479号明細書、Murrayら 米国特許出願公開第2002/0098524号明細書、およびJanssenら 米国特許出願公開第2003/0152976号明細書)。標的/抗標的方法を使用して、毛髪に優先的に結合しかつ皮膚に結合しないペプチド配列、および皮膚に優先的に結合しかつ毛髪に結合しないペプチド配列を同定し得る。同一の方法を使用して、Janssenら(第WO 04/048399号明細書)は、他のケラチンを含有する体表面に結合するペプチド(すなわち皮膚結合および毛髪結合ペプチド)ならびに数種の他の結合モチーフを同定した。
【0033】
ファージディスプレイは、ペプチド若しくはタンパク質をバクテリオファージのコートタンパク質に遺伝子的に融合してファージビリオンの外側での融合ペプチドの表示をもたらす一方で、該融合をコードするDNAはビリオン内に存する選択技術である。表示されるペプチドとそれをコードするDNAの間のこの物理的連結が、「バイオパニング」と呼ばれる単純なin vitro選択手順によるそれぞれ対応するDNA配列に連結されたペプチドの多数のバリアントのスクリーニングを可能にする。本明細書で使用されるところの「バイオパニング」は、表示されるペプチドのライブラリーが指定される標的物質(例えば毛髪)に対してパニングされる(panned;選り分けられる)いかなる選択手順(ファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、mRNAディスプレイなど)を記述するのにも使用しうる。その最も単純な形態において、ファージディスプレイバイオパニングは、プレート若しくはビーズ上に固定された目的の標的とファージで表示されたバリアントのプールをインキュベートすること、未結合のファージを洗い流すこと、およびファージと標的の間の結合相互作用を破壊することにより特異的に結合されたファージを溶出することにより実施する。溶出されたファージをその後in vivoで増幅し、そして該過程を反復して、最も強固な結合配列に好都合にファージプールの段階的濃縮をもたらす。3回若しくはそれ以上の選択/増幅後に、個々のクローンをDNA配列決定により特徴付ける。
【0034】
ペプチド結合ドメインは、ヒト毛髪、皮膚若しくは爪の最低1種に対する親和性を有することが報告された配列から経験的にもまた生成し得る。例えば、ヒト体表面に対する親和性を有するペプチドは、米国特許第7,220,405号および同第7,285,264号明細書;米国特許出願公開第US 2005−0226839号、同第US 2005−0249682号、同第US 2007−0065387号、同第US 2007−0067924号、同第US 2007−0196305号、同第US 2007−0110686号、同第US 2006−0073111号および同第US 2006−0199206号明細書;米国特許出願第11/877,692号明細書;米国特許出願公開第2008−0175798号明細書;ならびにPCT特許出願公開第WO2004048399号明細書に記述されている。ヒト体表面ペプチドは表1A−1Fにもまた示す。
【0035】
【表1A−1】

【0036】
【表1A−2】

【0037】
【表1A−3】

【0038】
【表1A−4】

【0039】
【表1A−5】

【0040】
【表1A−6】

【0041】
【表1A−7】

【0042】
【表1A−8】

【0043】
【表1A−9】

【0044】
【表1A−10】

【0045】
【表1B】

【0046】
【表1C】

【0047】
【表1D】

【0048】
【表1E】

【0049】
【表1F】

【0050】
一態様において、ペプチド結合ドメインは、配列番号1−184、186−189、196−200、204−205および211−222よりなる群に示される最低1種のペプチドを含んでなる。別の態様において、ペプチド結合ドメインは、配列番号1−134、184、186−189、196−200および211−222よりなる群から選択さ
れる毛髪結合ペプチドを包含する。なお別の態様において、ペプチド結合ドメインは配列番号130−182よりなる群から選択される皮膚結合である。他の態様において、ペプチド結合ドメインは配列番号196−200若しくは配列番号210−222の最低1種を含んでなる。
【0051】
なお別の態様において、ペプチド結合ドメインは配列番号130−182よりなる群から選択される最低1種の皮膚結合ペプチドを含んでなる。なお別の態様において、ペプチド結合ドメインは配列番号183−184よりなる群から選択される爪結合である。
【0052】
ヒト毛髪、ヒト皮膚若しくはヒト爪の最低1種に結合する最低1種の結合ドメインを含んでなることに加え、本発明のペプチド成分は親和性対の第一の部分をさらに含んでなる。本明細書で使用されるところの「親和性対」は、相互に対する既知の親和性を有する作用剤の対を指し、該親和性対の該第一の部分はバイオパニングに由来しなかった。親和性対は、共有結合に基づかず、例えばイオン結合(静電的相互作用)、水素結合、疎水性結合、キレート化、生物学的親和性を包含する結合会合(bonding association)に基づくことができるか、若しくは親和性対はそれらの組合せに基づく。
【0053】
例えば、本発明の親和性対はイオン結合対を包含しうる。「イオン結合」対は、一方が正味の正の荷電を有しかつ他方が正味の負の荷電を有する2部分の会合複合体を指す。静電的相互作用ともまた称されるイオン結合は、最も強い結合の中でも共有結合に強さが匹敵し、そして約50nmの長距離のものである。(Isrealachvili,J.N.、Intermolecular and Surface Forces、第2版;Academic Press:ニューヨーク州ニューヨーク(1992)pp.32−34)。
【0054】
ある種のアミノ酸はイオン化可能な側鎖、例えばアスパラギン酸およびグルタミン酸の側鎖中のカルボキシル基ならびにリシン、アルギニンおよびヒスチジン残基に配置されるアミノ基を含有する。数種のペプチドは、しばしば、荷電されたアミノ酸のいずれかが該ペプチド配列中にある場合に正味の電荷(正若しくは負)およびある種の電荷分布を含有する。ペプチド分子の全体若しくは部分の正味の電荷は、有益な作用剤の親和性対の反対に荷電した第二の部分との静電引力を誘導し得るか、若しくは該有益な作用剤の親和性対の同様に荷電した第二の部分との静電反発を誘導し得る。
【0055】
イオン(静電)結合対の例は、限定されるものでないが、正に荷電した微粒子の有益な作用剤に結合された負に荷電したペプチド、正に荷電したコーティング(例えば陰イオン交換樹脂)から構成されるかもしくはそれで被覆された微粒子の有益な作用剤に結合された負に荷電したペプチド、負に荷電した微粒子の有益な作用剤(例えば雲母、シリカ)に結合された正に荷電したペプチド、負の電荷を提供するコーティング(例えばSO−2のような基を有する陽イオン交換樹脂)を含んでなる微粒子の有益な作用剤に結合された正に荷電したペプチドを挙げることができる。
【0056】
微粒子の有益な作用剤の親和性対の第二の部分の電荷および電荷密度を得ることができ、そして適正な表面処理およびpH条件で調節し得る。電荷は:1)アミノ、カルボキシル、スルホンおよびヒドロキシル基などのような表面官能基のイオン化;2)溶液からのイオンの特異的吸着(specific adsorption)から発し得る。この文脈において、「特異的吸着」は、吸着されたイオンが正味の表面電荷を創製し得るように吸着が部分的に電気以外の性質のものであることを意味している。不活性の有益な作用剤については、当該技術分野における複数の表面処理アプローチを使用して、1)表面を酸化するための酸素プラズマ若しくは表面のヒドロキシルおよび他の基を創製するための特殊ガスのプラズマ重合を使用して(C.L.Rinschら、Langmuir(199
6)、12(2995−3002);2)金属酸化物表面上でシロキサン単層を形成するアミノプロピルシランのような末端官能基をもつ自己集成性単層を形成して(Xia、Y.N.とWhitesides,G.M.、Angew.Chem.Int.Ed.(1998)、37:551−575);3)多価電解質マルチプレイヤー(multiplayer)をいずれかの表面に吸着して所望の電荷記号および電荷密度をもつ荷電した表面を生じさせるために多層集成方法を使用して(Decher,G.、Science(1997)、277:1232−1237);ならびに4)荷電したポリマー若しくはゾル−ゲルの沈殿コーティング(precipitation−coating)、イオン化可能な官能基を創製し得る。有益な作用剤の表面電荷は、その表面等電点(IEP)すなわち正味の表面電荷がゼロであるpH値を特徴とし得る。従って、IEPより低いpHでは、有益な作用剤とりわけ微粒子の有益な作用剤の親和性対の第二の部分は正の電荷を有し;一方、そのIEPより大きいpHでは有益な作用剤は負の電荷を有する。
【0057】
静電的相互作用の範囲をイオン強度でさらに調節し得る。すなわち、より低いイオン強度はより長い相互作用範囲を提供する一方、より高いイオン強度はより短い相互作用範囲を提供する。相互作用範囲の調節は、低イオン強度で安定なペプチドと有益な作用剤の付加物を得るがしかしより高いイオン強度で体表面への有益な作用剤の送達を高めることに適用し得る。
【0058】
親和性対の第一の部分の正味の電荷は系のpHに依存して正でも若しくは負でもよい。一態様において、親和性対の第一の部分の正味の荷電は指定されるpHで正であり、ここでpHは3.0から約10までの範囲にわたることができる。別の態様において、親和性対の第一の部分の正味の電荷は指定されるpHで負であり、ここでpHは3.0から約10までの範囲にわたることができる。
【0059】
本発明の親和性対は水素結合に基づく対もまた包含しうる。「水素結合」対は、一方の部分の相対的に電気陰性の原子の水素原子の他の部分の電気陰性の原子との会合複合体を指す。
【0060】
「疎水性結合」対は、それらが会合複合体を形成することを可能にする疎水性ドメイン若しくは特徴を双方の部分が有する2部分の会合複合体を指す。微粒子の有益な作用剤の表面は疎水性でありうる。であるから、有効な数の疎水性アミノ酸残基を含んでなる親和性対の第一の部分をペプチド成分に組み込みうる。微粒子の有益な作用剤の表面は本質的に疎水性でありうるか、若しくは別の疎水性部分と会合することが可能な疎水性表面を有するよう改変しうる。例えば、微粒子の有益な作用剤はいずれかの数の公知のコーティング技術を使用して疎水性ポリマーで被覆しうる。疎水性ペプチドを包含する親和性対の第一の部分は、典型的に、最低1.5のヒドロパシー(hydoropathy)指数を有する疎水性アミノ酸から構成されることができる(KyteとDoolittle、J.Mol.Biol.(1982)157(157):105−132)。一態様において、疎水性アミノ酸はイソロイシン、バリン、ロイシン、フェニルアラニン、システイン、メチオニンおよびアラニンよりなる群から選択される。
【0061】
「キレート化に基づく」対は、ルイス塩基がルイス酸に2個若しくはそれ以上の孤立電子対を供与するルイス酸およびルイス塩基の配位共有結合複合体を指す。キレート化に基づく対の一例は多様なアミノ酸側鎖および金属イオンの相互作用である。キレート化に基づく対での使用のための例示的金属は、二価金属例えばニッケル、銅、コバルトおよび亜鉛を包含する。
【0062】
「ポリヒスチジン標識」は、ニッケル、銅、コバルト若しくは亜鉛のような固定された金属イオンに結合するのにしばしば使用される。該金属イオンは、典型的に、ニトリロ酢
酸(NTA)−アガロース、HisPurコバルト樹脂、イミノジ酢酸(IDA)樹脂、カルボキシメチルアスパラギン酸(CMA)樹脂、TALON(登録商標)(若しくはいずれかの他の固定された金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)樹脂IMAC)のような媒体に組み込まれる。金属親和性樹脂は、Thermo Fisher Scientific(イリノイ州ロックフォード)、EMD BioSciences(ウィスコンシン州マディソン)およびClontech(カリフォルニア州パロアルト)のような多様な供給元から商業的に入手可能である。ポリヒスチジン標識は、合成でも、若しくは「HAT」(KDHLIHNVHKEFHAHAHNK(配列番号185))のような天然に存在するヒスチジン親和性標識であってもよい。一態様において、ポリヒスチジン標識は長さが6から約10まで、6約8若しくは約6個の連続する(「HHHHHH」)ヒスチジン残基の範囲にわたる。
【0063】
一態様において、ペプチド成分は、微粒子の有益な作用剤の表面の固定された金属イオンに結合することが可能な最低1個のポリヒスチジン標識を含んでなる。別の態様において、微粒子の有益な作用剤は粒子の表面に有効量の適切な媒体を含んでなる。金属キレート樹脂を、微粒子の有益な作用剤の表面に部分的若しくは完全なコーティングとして塗布しうる。別の態様において、微粒子の有益な作用剤の表面に塗布される樹脂は四配座金属配位子(米国特許第5,962,641号明細書;引用することにより本明細書に組み込まれる)を含んでなる。別の態様において、親和性対は、ペプチド成分に組み込まれたポリヒスチジン標識、すなわち樹脂固定された金属イオンにマイクロモル濃度の親和性で結合することが可能な有効数のヒスチジン残基よりなる組み込まれたアミノ酸モチーフ、および微粒子の有益な作用剤に組み込まれた金属イオンを包含するキレート化対であり、ここで該金属イオンはニッケル、銅、コバルト、亜鉛およびそれらの混合物よりなる群から選択される。
【0064】
本発明の親和性対の他の例は、限定されるものでないがビオチン:アビジン、ビオチン:ストレプトアビジン、ストレプトアビジン標識:ストレプトアビジン、マルトース結合タンパク質(MBP):マルトース若しくはアミラーゼ、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST):グルタチオンを挙げることができる。
【0065】
親和性対は生物学的親和性にもまた基づくことができる。本明細書で使用されるところの生物学的親和性は抗体−抗原親和性を包含しない。抗体−抗原親和性は本発明の範囲からとりわけ除外される。一態様において、親和性対は、ペプチドに基づく試薬がエピトープ配列を含んでなりかつ微粒子の有益な作用剤が対応する抗体を含んでなるエピトープ標識:抗体対を包含しうる。商業的にエピトープの標識の例は、限定されるものでないがHA標識、FLAG標識、E標識、S標識およびmyc標識を挙げることができる。
【0066】
本発明のある態様において、親和性対の第一の部分は、ポリヒスチジン標識、ビオチン、ストレプトアビジン標識、マルトース結合タンパク質、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、エピトープ標識、HA標識、FLAG標識、E標識、S標識、myc標識、ならびに配列番号185、206および223−234よりなる群から選択される。別の態様において、親和性対の第一の部分は、ポリヒスチジン標識、ビオチン、ならびに配列番号185、206および223−234よりなる群から選択される。
【0067】
場合によっては、本発明の結合ドメインは、他の物質を上回るヒト毛髪、皮膚若しくは爪の最低1種に対する優先的結合を表し得る。例えば、本発明の結合ドメインは、ウール、カシミア若しくはヤク毛よりヒト毛髪、皮膚若しくは爪にさらに優先的に結合しうる。別の態様において、本発明の結合ドメインは、綿若しくは変性セルロース繊維よりヒト毛髪、皮膚若しくは爪にさらに優先的に結合する。なお別の態様において、本発明の結合ドメインは、金属、セラミック、磁器、ガラス、絹、木材、ポリエステル若しくはポリ塩化
ビニルよりヒト毛髪、皮膚若しくは爪にさらに優先的に結合する。
【0068】
有益な作用剤
その用語が本発明で使用されるところの「有益な作用剤」は、それらに沈着される場合にヒト毛髪、皮膚および/若しくは爪に利益を賦与する特性をもつ組成物若しくは作用剤を含有する化粧用組成物に向けられる。本発明の有益な作用剤は微粒子の形態にある。すなわち、該有益な作用剤は小型の別個の粒子として提供される。本発明の微粒子の有益な作用剤は親和性対の第二の部分を有し、そして約0.01ミクロン(10nm)と約75ミクロン(75,000nm)の間の平均粒子径を有する安定な微粒子分散系に組み込まれる。一態様において、平均粒子径は、レーザー回折および/若しくは動的光散乱のような光散乱法により測定されるところの0.01ミクロンないし75ミクロンである。いくつかの態様において、平均粒子径は約60ミクロン未満、約40ミクロン未満若しくは約10ミクロン未満である。他の態様において、平均粒子径は約0.2ミクロン(200nm)と0.4ミクロン(400nm)の間である。他の態様において、該分散系の粒子はナノ粒子であることができる、すなわち約10nmと約100nmの間の平均粒子系を有することができる。
【0069】
本明細書で言及される「粒子径(particle size)」が、その双方が当該技術分野で既知であるレーザー回折(ISO 13320−1:1996を参照されたい;国際標準機構、スイス・ジュネーブ)および/若しくは動的光散乱(ISO 13321:1996を参照されたい)の方法論のような光散乱法を使用して得られる粒子径測定値を指すことができることが、当業者により理解されるであろう。例示的装置はMalvern Instruments Ltd.英国ウスターシャーから入手可能である。
【0070】
約0.01ミクロンと約75ミクロンの間の平均粒子径を有する安定な微粒子分散系中で微粒子の有益な作用剤を提供することが、本発明の化粧用系のペプチド成分への有益な作用剤の結合を容易にすることが発見された。
【0071】
本発明の「微粒子の有益な作用剤の安定な分散系」は、長時間にわたり安定であるサンプルマトリックス内に分散された微粒子の有益な作用剤の粒子を指す。
【0072】
本明細書で使用されるところの「安定な」という用語は、サンプルマトリックス内に分散された粒子が長時間にわたり安定である分散系を指すことができる。粒子は、サンプルの平均粒子径が時間とともにかなり一定のまま留まる場合に安定に分散されたとみなすことができる。一態様において、サンプルは、該サンプルの平均粒子径が分散系形成後24時間以内に微粒子の有益な作用剤の初期粒子径を100%以上超えて増加しない場合に安定に分散されている。別の態様において、サンプルは、該サンプルの平均粒子径が分散系形成後2日以内に微粒子の有益な作用剤の初期粒子径を50%以上超えて増加しない場合に安定に分散されていることができる。ある態様において、分散系形成後3日以内に平均粒子径の50%以上の増加が存在しない。他の態様において、分散系形成の最低5日以内に平均粒子径の50%以上の増加が存在しない。なお他の態様において、分散系形成の7日以内に平均粒子径の50%以上の増加が存在しない。一態様において、微粒子分散系は、50個の一次粒子より大きいいかなる凝集物の検出も伴わずに平均粒子径が最低7日にわたり50%以上増加しない場合に安定である。当業者は、最小量のエネルギー(例えば、化粧用組成物若しくは化粧用系内の粒子の均一な分散を再形成するための人的混合/振とうを典型的に伴う穏やかな人的振とう/攪拌)で粒子を容易に再分散し得る限りは、安定な粒子分散系が時間がたつにつれて若干の沈殿を有してもよいことを認識するであろう。
【0073】
限定されるものでないが、いくつかを挙げれば立体的に安定化された分散系、分散剤、
イオン性分散剤、非イオン性分散剤およびポリマー性分散剤の使用を挙げることができる、安定な粒子分散系を形成するための手段が当該技術分野で報告されている。
【0074】
ポリマー性分散剤は、塗料および仕上げ剤のようなコーティング系ならびにインクジェット印刷インク中の色素を安定化するために広範に使用されている(Reuterら、Progress in Organic Coatings 37:161 167(1999)、Schmitzら、Progress in Organic Coatings 35:191 196(1999)およびSpinelli、Adv.Mater.10:1215 1218(1998))。該分散剤は、色素粒子すなわち微粒子の有益な作用剤の周囲に殻を形成して凝結および凝析を予防するようはたらく。水系中では、色素分散系は一般に非イオン性若しくはイオン性技術いずれによっても安定化される。非イオン性技術において、色素粒子は、水中に拡がりかつエントロピー的若しくは立体的安定化を提供する水溶解性の親水性区分を有するポリマーにより安定化される。この目的上有用な代表的ポリマーは、ポリビニルアルコール、セルロース由来物(cellulosics)およびエチレンオキシド修飾フェノールを包含する。非イオン性技術はpH変化若しくはイオン汚染に感受性でない一方、それは、最終生成物が水感受性であるために多くの応用に対する大きな欠点を有する。従って、インクの応用などで使用される場合、該色素は水分への曝露に際してにじむ傾向があることができる。
【0075】
イオン性技術において、色素粒子は、中和されたアクリル酸、マレイン酸若しくはビニルスルホン酸のようなイオン含有単量体のポリマーにより安定化される。該ポリマーは荷電した二層機構により安定化を提供してそれによりイオン性反発が粒子の凝結を妨害する。中和する成分は適用後に蒸発する傾向があるため、ポリマーはその後低下された水溶解性を有しかつ最終生成物は水感受性でない。立体的およびイオン性双方の安定化を提供するブロックおよびグラフトポリマーのようなポリマー分散剤は最も堅牢な色素分散系を作成する(Spinelli、上記)。
【0076】
ランダムおよびブロック双方の構造を有するポリマー分散剤が開示されている。例えば、米国特許第4,597,794号明細書におけるOhtaらは、イオン性の親水性セグメントおよび色素表面に付着する芳香族疎水性セグメントを有するランダムポリマー分散剤を開示する。米国特許第5,085,698号明細書におけるMaらは、水性インクジェットインクの分散剤としてのAB若しくはBABブロックコポリマーの使用を開示する。Aセグメントは色素粒子に結合するようはたらく疎水性ホモポリマー若しくはコポリマーであり、そしてBセグメントは水性媒体中に色素を分散するようはたらく親水性ポリマー若しくはその塩である。米国特許第5,519,085号明細書におけるMaらはABCトリブロックポリマー分散剤を開示し、ここでAセグメントは水中の色素の分散を助長するようはたらく親水性ポリマーであり、Bセグメントは色素に結合することが可能なポリマーであり、そしてCセグメントは分散系を安定化するようはたらく親水性若しくは疎水性ポリマーである。第GB 2349153号明細書にRoseらにより記述されるところのポリマー分散剤の組合せもまた使用しうる。これらのランダムおよびブロックポリマー分散剤は分散された色素に良好な安定性を提供する一方、さらなる改良がより高品質のコーティングの応用に望ましい。例えば、色素とのより強い相互作用を有する分散剤が分散系の安定化を改良することができる。さらに、コーティング支持体とのより強い相互作用をもつ分散剤はより耐久性のコーティングをもたらすことができる。これは、高められた耐久性が必要とされる織物印刷にとりわけ重要である。
【0077】
自己分散する色素は、別個の分散剤を伴わずに安定な分散系を可能にするために化学結合された分散可能性を賦与する基で表面修飾された色素である。水性担体媒体中の分散系について、表面修飾は親水性基および最も典型的にはイオン化可能な親水性基の付加を必要とする。自己分散する色素は、官能基若しくは官能基を含有する分子を物理的処理(真
空プラズマのような)によるか若しくは化学的処理(例えばオゾン、次亜塩素酸などでの酸化)により色素の表面上にグラフトすることにより、製造しうる。単一の型若しくは複数の型の親水性官能基を1個の色素粒子に結合しうる。自己分散する色素は、例えば米国特許第5,571,311号明細書、米国特許第5,609,671号明細書、米国特許第5,968,243号明細書、米国特許第5,928,419号明細書、米国特許第6,323,257号明細書、米国特許第5,554,739号明細書、米国特許第5,672,198号明細書、米国特許第5,69,8016号明細書、米国特許第5,718,746号明細書、米国特許第5,749,950号明細書、米国特許第5,803,959号明細書、米国特許第5,837,045号明細書、米国特許第5,846,307号明細書、米国特許第5,895,522号明細書、米国特許第5,922,118号明細書、米国特許第6,123,759号明細書、米国特許第6,221,142号明細書、米国特許第6,221,143号明細書、米国特許第6,281,267号明細書、米国特許第6,329,446号明細書、米国特許第6,332,919号明細書、米国特許第6,375,317号明細書、米国特許第6,287,374号明細書、米国特許第6,398,858号明細書、米国特許第6,402,825号明細書、米国特許第6,468,342号明細書、米国特許第6,503,311号明細書、米国特許第6,506,245号明細書および米国特許第6,852,156号明細書に記述されている。先行する参考文献の開示は引用することにより本明細書により組み込まれる。
【0078】
ゼータ電位は分散系中の隣接する同様に荷電した粒子間の反発の程度を示す。高いゼータ電位(負若しくは正)をもつコロイドは電気的に安定化される一方、低いゼータ電位をもつコロイドは凝析若しくは凝結する傾向がある(“Zeta Potential of Colloids in Water and Waste Water”、ASTM Standard D 4187−82、米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)、1985)。一態様において、微粒子の有益な作用剤のゼータ電位の絶対値は最低25mVである。別の態様において、ペプチド試薬−微粒子の有益な作用剤の複合体のゼータ電位の絶対値は最低25mVである。
【0079】
親和性部分の第二の部分はいずれかの数の方法で有益な作用剤に組み込みうる。例えば、有益な作用剤の物理特性は親和性対の第二の部分を包含しうる。親和性対の第二の部分は有益な作用剤に本質的に存在しうるか、若しくは有益な作用剤は親和性対の第二の部分を包含するよう改変し得る。例えば、いくつかの態様において、有益な作用剤は荷電した着色した色素(pigment)若しくは色素(dye)であることができ、該電荷がイオン性の親和性対の第二の部分を形成する。親和性対の第二の部分は、親和性対の第一のメンバー(例えばポリヒスチジン標識)に対する親和性を有する塗布された物質若しくはコーティング(例えば金属キレート樹脂)でありうる。他の態様において、親和性対の第二の部分は有益な作用剤に共有結合しうる。
【0080】
本発明で有用な微粒子の有益な作用剤の制限しない例は、日焼け止め剤、抗菌剤、発泡(sparkling)粒子、賦香剤、調整剤、抗真菌剤、香料、抗溶解剤、アロマセラピー剤、昆虫忌避剤などを包含する。
【0081】
日焼け止め剤の制限しない例は、酸化亜鉛および二酸化チタンのような無機微粒子;ならびにメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(スイス・バーゼルのCiba Specialty ChemicalsからBisoctrizoleとして入手可能)のような有機微粒子を包含する。微粒子の抗菌剤の制限しない例は、銀に基づく粒子および活性炭に基づく粒子を包含する。微粒子の有益な作用剤を含有するミクロスフェアの例は、適用の間に被包(encapsulation)内に有益な作用剤を保持しかつケラチンを含有する表面上への沈着後のある所望の時点で該有益な作用剤を
被包から放出させる、被包化(encapsulated)若しくは微小被包化された(microencapsulated)有益な作用剤を包含しうる。賦香剤の例は活性炭粒子およびゼオライトを包含する。
【0082】
本発明の有益な作用剤は、着色された色素、微小粒子若しくはナノ粒子のような着色された粒子、またはそれらの組合せを包含する着色された微粒子であってもまたよい。
【0083】
色素、とりわけ金属化合物若しくは半金属化合物を、イオン、イオン以外若しくは酸化された形態で本発明の組成物および方法で使用しうる。該色素は、この形態で個別に若しくは混合物中で、または個別の混合酸化物あるいは混合酸化物および純粋な酸化物の混合物を包含するそれらの混合物としてのいずれであってもよい。例は、チタン酸化物(例えばTiO)、亜鉛酸化物(例えばZnO)、アルミニウム酸化物(例えばAl)、鉄酸化物(例えばFe)、マンガン酸化物(例えばMnO)、ケイ素酸化物(例えばSiO)、ケイ酸塩、セリウム酸化物、ジルコニウム酸化物(例えばZrO)、硫酸バリウム(BaSO)若しくはそれらの混合物などである。適する色素は商業的に入手可能である。一例はMerckにより供給されるHombitec(登録商標)L5(INCI名:チタン二酸化物)である。
【0084】
色素の他の例は以下、すなわちD&C Red No.36、D&C Red No.30、D&C Orange No.17、Green 3レーキ、Ext.Yellow 7レーキ、Orange 4レーキ、Red 28レーキ、D&C Red No.7、11、31および34のカルシウムレーキ、D&C Red No.12のバリウムレーキ、D&C Red No.13のストロンチウムレーキ、FD&C Yellow
No.5および6のアルミニウムレーキ、FD&C No.40のアルミニウムレーキ、D&C Red No.21、22、27および28のアルミニウムレーキ、FD&C
Blue No.1のアルミニウムレーキ、D&C Orange No.5のアルミニウムレーキ、D&C Yellow No.10のアルミニウムレーキ、D&C Red No.33のジルコニウムレーキ、CROMOPHTHAL(登録商標)Yellow、SUNFAST(登録商標)Magenta、SUNFAST(登録商標)Blue、鉄酸化物、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、カオリン、フェロシアン化鉄アンモニウム、炭酸マグネシウム、カルミン、硫酸バリウム、雲母、オキシ塩化ビスマス、ステアリン酸亜鉛、マンガンバイオレット、酸化クロム、二酸化チタン、二酸化チタンナノ粒子、酸化亜鉛、酸化バリウム、ウルトラマリンブルー、クエン酸ビスマス、ヒドロキシアパタイト、ケイ酸ジルコニウム、カーボンブラック粒子などを包含する。
【0085】
本発明の色素若しくは粒子は被覆され得るか若しくは被覆されないことができ、そして、被覆される粒子は陰イオン性、親水性若しくは疎水性であり得る。適する陰イオン性コーティングは、例えばシリカ、アルミノケイ酸塩、C14−16オレフィンスルホン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム/トリデセス(trideceth)−6カルボン酸ナトリウムおよびポリアクリル酸ナトリウム/水素化レシチン/水酸化アルミニウムを包含する。本発明での使用に適する被覆されない色素の例を表2に示す。
【0086】
【表2】

【0087】
陰イオン性の被覆された色素の例を表3に示す。
【0088】
【表3】

【0089】
親水性の被覆された色素の例を表4に示す。
【0090】
【表4】

【0091】
疎水性の被覆された色素の例を表5に示す。
【0092】
【表5】

【0093】
化粧用系
本発明の化粧用系の例示的一使用方法は、ヒト毛髪、皮膚若しくは爪の最低1種へのペプチド成分の適用を含んでなる。ペプチド成分が毛髪、皮膚若しくは爪に結合するのに十分な時間の後に、微粒子の有益な作用剤の安定な分散系を毛髪、皮膚若しくは爪に結合さ
れたペプチド成分に適用する。該安定な分散系は、ペプチド成分の親和性対の第一の部分が有益な作用剤の親和性対の第二の部分に結合するのに十分な時間適用されるべきである。
【0094】
有益な作用剤およびペプチド成分が一旦結合されれば、親和性対を破壊してペプチド成分および有益な作用剤の解離(uncoupling)をもたらし得る。親和性対を破壊することが可能な試薬は化粧用系で使用される親和性対の型に基づくことができる。こうした試薬の典型的なものは、必要とされるところの高い若しくは低いpHまたは高い若しくは低いイオン強度を有する緩衝液を包含する水性溶液である。
【0095】
ヒト毛髪、ヒト皮膚若しくはヒト爪の最低1種への有益な作用剤のある適用方法は、10−5モル濃度若しくはそれ未満のK若しくはMB50値でヒト毛髪、皮膚若しくは爪の最低1種に結合しかつ親和性対の第一の部分をさらに含んでなる最低1個の結合ドメインを有するペプチド成分を含んでなる組成物とヒト毛髪、皮膚若しくは爪を、ヒト毛髪、皮膚若しくは爪に結合ドメインを結合させるのに十分な時間接触させること;ならびにその後、約0.01ミクロンないし約75ミクロンの間の平均粒子径および親和性対の第二の部分を有する微粒子の有益な作用剤の安定な分散系と該ヒト毛髪、皮膚若しくは爪を接触させることを含んでなり;該結合ドメインは分散系の微粒子に対してそれが有するより大きいヒト毛髪、皮膚若しくは爪に対する結合親和性を有する。
【0096】
他の方法は、ヒト毛髪、ヒト皮膚若しくはヒト爪の最低1種から親和性対の第二の部分と会合された有益な作用剤を除去することを包含し、親和性対を破壊することが可能である水性溶液を提供すること;および、該親和性対を破壊するのに十分な時間、該水性溶液とヒト毛髪、皮膚若しくは爪を接触させることを含んでなり、ここで、ヒト毛髪、皮膚若しくは爪は、10−5モル濃度若しくはそれ未満のMB50値のKでヒト毛髪、皮膚若しくは爪に結合しかつ親和性対の第一の部分をさらに含んでなる最低1個の結合ドメインを有するペプチド成分を含んでなる組成物と、該結合ドメインがヒト毛髪、皮膚若しくは爪に結合するのに十分な時間、以前に接触されており;該ヒト毛髪、皮膚若しくは爪はその後、0.01ミクロン若しくはそれ未満ないし約75ミクロンの間の平均粒子径および親和性対の第二の部分を有する微粒子の有益な作用剤の安定な分散系と接触されている。
【実施例】
【0097】
本発明は以下の実施例にさらに定義される。これらの実施例は本発明の好ましい態様を示す一方で具体的説明としてのみ示されることが理解されるべきである。上の論考およびこれらの実施例から、当業者は本発明の必須の特徴を確かめることができ、かつ、その技術思想および範囲から離れることなく、それを多様な用途および条件に適合させるように本発明の多様な変更および改変を行い得る。
【0098】
使用される略語の意味するところは後に続くとおりである。すなわち、「min」は分(1若しくは複数)を意味しており、「h」は時間(1若しくは複数)を意味しており、「μL」はマイクロリットル(1若しくは複数)を意味しており、「mL」はミリリットル(1若しくは複数)を意味しており、「L」はリットル(1若しくは複数)を意味しており、「nm」はナノメートル(1若しくは複数)を意味しており、「mm」はミリメートル(1若しくは複数)を意味しており、「cm」はセンチメートル(1若しくは複数)を意味しており、「μm」はマイクロメートル(1若しくは複数)を意味しており、「mM」はミリモル濃度を意味しており、「M」はモル濃度を意味しており、「mmol」はミリモル(1若しくは複数)を意味しており、「μモル」はマイクロモル(1若しくは複数)を意味しており、「g」はグラム(1若しくは複数)を意味しており、「μg」はマイクログラム(1若しくは複数)を意味しており、「mg」はミリグラム(1若しくは複数)を意味しており、「g」は重力定数を意味しており、「rpm」は1分間あたり回転
を意味している。
【0099】
一般的方法
本明細書で使用される標準的組換えDNAおよび分子クローニング技術は当該技術分野で公知であり、そして、Sambrook,J.とRussell,D.、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版、Cold
Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(2001);およびSilhavy,T.J.、Bennan,M.L.とEnquist,L.W.、Experiments with Gene Fusions、Cold Spring Harbor Laboratory Cold Press Spring Harbor,NY(1984);ならびにAusubel,F.M.ら、Short Protocols in Molecular
Biology、第5版 CurrentoProtocls and John Wiley and Sons,Inc.、ニューヨーク、2002により記述されている。
【0100】
細菌培養物の維持および増殖に適する材料および方法もまた当該技術分野で公知である。以下の実施例での使用に適する技術は、Manual of Methods for
General Bacteriology、Phillipp Gerhardt、R.G.E.Murray、Ralph N.Costilow、Eugine W.Nester、Willis A.Wood、Noel R.KriegとG.Briggs Phillips編、American Society for Microbiology、ワシントンDC、1994、若しくはThomas D.BrockによりBiotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology、第2版、Sinauer Associates,Inc.、マサチューセッツ州サンダーランド、1989に見出しうる。細菌細胞の増殖および維持に使用された全部の試薬、制限酵素および材料は、別の方法で明記されない限り、Aldrich Chemicals(ウィスコンシン州ミルウォーキー)、BD Diagnostic Systems(メリーランド州スパークス)、Life Technologies(メリーランド州ロックビル)若しくはSigma Chemical Company(ミズーリ州セントルイス)から得た。
【実施例1】
【0101】
ペプチド結合ドメインの例示的選択方法
ファージ−ペプチドの適するライブラリーを、上述された方法を使用して生成するか、若しくは該ライブラリーを商業的供給元から購入する。ファージ−ペプチドのライブラリーを生成した後に、それらをその後適切な量の基質と接触させる。ファージ−ペプチドのライブラリーは基質と接触させるために適する溶液に溶解する。試験基質は溶液中に懸濁しうるか、またはプレート若しくはビーズ上に固定しうる。例示的一溶液は界面活性剤を含有する緩衝水性生理的食塩水溶液である。適する溶液は、0.05ないし0.5%TWEEN(登録商標)20を含むトリス緩衝生理的食塩水(TBS)であり得る。該溶液を、基質へのペプチドの物質輸送速度を増大させるためにいずれかの手段により付加的に攪拌して、それにより最大結合を達成するのに必要とされる時間を短縮しうる。
【0102】
接触に際して、多数のランダムに生成されたファージ−ペプチドが基質に結合してファージペプチド−基質複合体を形成することができる。未結合のファージ−ペプチドは洗浄することにより除去しうる。全部の未結合物質を除去した後に、基質に対する変動する程度の結合親和性を有するファージ−ペプチドを、変動する緊縮性を有する緩衝液中での選択された洗浄により分画しうる。使用される緩衝液の緊縮性を増大させることはファージ−ペプチド−基質複合体中のファージ−ペプチドと基質の間の結合の必要とされる強さを
増大させる。
【0103】
限定されるものでないが、酸性pH(1.5〜3.0);塩基性pH(10〜12.5);MgCl(3〜5M)およびLiCl(5〜10M)のような高塩濃度;水;エチレングリコール(25〜50%);ジオキサン(5〜20%);チオシアン酸塩(1〜5M);グアニジン(2〜5M);尿素(2〜8M);ならびに多様な濃度のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、DOC(デオキシコール酸ナトリウム)、Nonidet P−40、Triton X−100、TWEEN(登録商標)20のような多様な界面活性剤を挙げることができる多数の物質を使用して、ペプチド選択における緩衝溶液の緊縮性を変動させることができ、ここでTWEEN(登録商標)20が例示的である。これらの物質は、限定されるものでないがトリス−HCl、トリス緩衝生理的食塩水、トリス−ホウ酸、トリス−酢酸、トリエチルアミン、リン酸緩衝液およびグリシン−HClを挙げることができる緩衝溶液中で調製することができ、ここでトリス緩衝生理的食塩水が例示的である。
【0104】
基質に対する増大する結合親和性を有するファージペプチドが、増大する緊縮性をもつ緩衝液を使用して選択過程を反復することにより溶出されうることが認識されるであろう。溶出されたファージ−ペプチドは、当該技術分野で既知のいずれかの手段により同定かつ配列決定し得る。
【0105】
一態様において、ケラチンを含有する体表面に結合するペプチドの以下の生成方法を使用しうる。コンビナトリアルに生成したファージ−ペプチドのライブラリーを基質(例えばヒト毛髪、皮膚若しくは爪)と接触させてファージペプチド−基質複合体を形成する。該ファージ−ペプチド−基質複合体を複合体形成されないペプチドおよび未結合の基質から分離し、そしてファージ−ペプチド−基質複合体からの結合されたファージ−ペプチドを例えば酸処理により該複合体から溶出する。その後、溶出されたファージ−ペプチドを同定かつ配列決定する。標的基質に結合するがしかし他の基質(例えばケラチンを含有しない基質)に結合しないペプチド配列を同定するために、差引きパニング段階を付加しうる。とりわけ、コンビナトリアルに生成したファージ−ペプチドのライブラリーを最初に標的以外と接触させてそれに結合するファージ−ペプチドを除去する。その後、結合しないファージ−ペプチドを標的基質と接触させ、そして上の過程が後に続く。あるいは、コンビナトリアルに生成したファージ−ペプチドのライブラリーを標的以外および標的と同時に接触させうる。その後ファージ−ペプチド−基質複合体をファージ−ペプチド−標的以外複合体から分離し、そして所望のファージ−基質複合体について上述された方法が後に続く。
【0106】
あるいは、1種のケラチンを含有する体表面(毛髪のような)に対する別のケラチンを含有する表面(皮膚のような)を上回るより高い親和性をもつペプチドを単離するための改変ファージディスプレイスクリーニング法を使用しうる。該変法において、ファージ−ペプチド−基質複合体を上述されたとおり形成する。その後、これらの複合体を溶出緩衝液で処理する。上述された溶出緩衝液のいずれも使用しうる。いくつかの態様において、溶出緩衝液は酸性溶液である。その後、残存する、溶出抵抗性のファージ−ペプチド−基質複合体を使用して、大腸菌(E.coli)ER2738のような細菌宿主細胞を直接感染/トランスフェクトする。感染した宿主細胞を、LB(ルリア−ベルタニ)培地のような適切な増殖培地中で増殖させ、そして、この培養物を、IPTG(イソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド)およびS−GalTMを含むLB培地のような適する増殖培地を含有する寒天上に広げる。増殖後に、プラークをDNA単離および配列決定のため選択して、目的の基質に対する高結合親和性をもつペプチド配列を同定する。あるいは、PCRを使用して、米国特許出願公開第2003/0152976号明細書にJanssenらにより記述されたところの適切なプライマーを使用してファージ−ペプチド−基質
複合体でPCRを直接実施することにより、上述された改変ファージディスプレイスクリーニング法からの溶出抵抗性のファージペプチドを同定しうる。
【実施例2】
【0107】
ペプチドの結合親和性および特異性の決定
本実施例の目的は、ELISAアッセイを使用してMB50値として測定される毛髪および色素表面に対する多様な毛髪結合ペプチドの親和性および特異性を決定することであった。短い直鎖状ペプチドのそれぞれをファージディスプレイを使用して最初に同定した。別の方法で示されない限り、実施例2に提供される配列は、検出の目的上ビオチニル化されたC末端リシン残基を包含する。多様なケラチンを含有する物質(例えば毛髪、皮膚および爪)に対する親和性を有する体表面に結合するペプチドの例を上の表1に提供する。
【0108】
毛髪結合ペプチドの合成
毛髪結合ペプチドを、標準的固相合成法を使用して合成し、そして検出の目的上結合配列のC末端リシン残基でビオチニル化した。試験されたペプチドのアミノ酸配列を表6に提供する。
【0109】
【表6】

【0110】
毛髪および赤色酸化鉄粒子(Sensient Technologies、ウィスコンシン州ミルウォーキーからのUnipure Red)に結合するビオチニル化ペプチドのMB50測定を、毛髪束を使用して行った。毛髪サンプルを、一端で幅の狭いテープを使用して一緒に束ねた約1cm長の100本の毛髪よりなる束に集成した。該毛髪束をSUPERBLOCK(登録商標)ブロッキング緩衝液(Pierce Chemical Co.、イリノイ州ロックフォード)中室温(約22℃)で1時間インキュベートし、次いでTBST(0.05%TWEEN(登録商標)20中TBS)で3回洗浄した。TBST中の多様な濃度のビオチニル化ペプチドおよび1mg/mLのBSAよりなるペプチド結合緩衝液を該毛髪束に添加し、そして室温で1時間インキュベートし、次いでTBSTで6回洗浄した。その後、ストレプトアビジン−ワサビペルオキシダーゼ(HRP)複合物(Pierce Chemical Co.、イリノイ州ロックフォード)を各ウェルに添加し(ウェルあたり1.0μg)そして室温で1hインキュベートし、次いでTBSTで6回洗浄した。全部の毛髪束を新たなチューブに移し、そしてその後、発色および吸光度測定を標準的プロトコルに従って実施した。結果はGraphPad Prism 4.0(GraphPad Software,Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用してA450としてペプチドの濃度に対しプロットした。MB50値をスキャッチャードプロットから計算しかつ表7に示す。
【0111】
表7に示される結果は、毛髪結合ペプチドが、例示される粒子表面(赤色酸化鉄色素粒子)に対してより毛髪に対するより良好な結合親和性を有したことを示した。
【0112】
【表7】

【実施例3】
【0113】
毛髪保護ペプチド263(HC263)は白髪へのCo−NTA磁性ビーズの結合を媒介する
およそ5mgの5mm長の毛髪房(strand)(90%白髪、ヒト)を2mL微小遠心管に移した。およそ1mLのTBST0.1緩衝液(0.1%TWEEN(登録商標)−20を含む25mMトリス、150mM NaCl、pH7.2)若しくは変動する濃度のHC263ペプチドを包含する同一緩衝液を毛髪に添加した。
【0114】
該ペプチド試薬の毛髪結合ドメイン部分の全般的設計は、一般に、短いN末端、次いでペプチドリンカーにより分離される最低2個の毛髪結合ペプチドから構成された。該毛髪結合ドメインをその後、ペプチドスペーサー(場合によっては「ペプチド架橋」と本明細書で称される)を介して、金属キレート樹脂(例えばコバルト−NTA樹脂)に対する会合親和性を有するC末端ポリヒスチジン領域(「his標識」)に結合した。ペプチドに基づく試薬を集成するのに使用されたペプチドの配列を表8に示す。
【0115】
【表8】

【0116】
混合物をNutator上室温(約22℃)で1時間振とうした。毛髪をTBST0.5緩衝液(0.5%TWEEN(登録商標)−20を含む25mMトリス、150mM
NaCl、pH7.2)で3回洗浄した。洗浄した後に毛髪を900μLのTalon緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、pH8.0、300mM塩化ナトリウム、0.01%TWEEN(登録商標)−20)に再懸濁した。毛髪/ペプチド複合物の1サブセットを1mLの0.25%SLES(ナトリウムラウリルエーテルサルフェート)でNutator上室温で5min付加的に1回洗浄し、その後1mLのTBST0.1緩衝液で2回洗浄した。およそ0.2mgのTALONTMビーズ(DYNABEADS(登録商標)TALONTM、Invitrogen、カタログ番号101.01D)をDYNAL(登録商標)MPCTM磁石上でTALONTM緩衝液で2回洗浄し、そして100μLのTALONTM緩衝液中の各反応に添加した。該磁性ビーズを、ペプチドに組み込まれた6個のヒスチジン残基(C末端his標識)に特異的に結合するCo−NTAで被覆した。毛髪およびビーズを、チューブを磁石上に置く前に穏やかに振とうしながら10分間インキュベートした。
【0117】
毛髪に結合するビーズは、一旦磁石に適用されればチューブの側に共移動すると期待された。結合の強さを視覚的に評価し、そして0(結合がほとんど若しくは全く観察されない)ないし5(最高量の観察される結合)の尺度で等級付けした。表9は、0.2μMおよび0.02μMのHC263(配列番号196)の濃度での最適結合を示す結果を要約する。0.007μMで結合の減少が観察された。0.2μMのペプチドでの結合はSLESで毛髪を洗浄することにより損なわれなかった。
【0118】
【表9】

【実施例4】
【0119】
Co−NTA磁性ビーズの白髪へのペプチドに媒介される結合
実施例3で観察された影響を達成するためのペプチドの要件を決定するため、付加的なペプチドを試験した(表10)。それぞれ本発明の例示的一態様である工作されたペプチドHC263、HC264、HC204、HC205およびHC214はそれぞれ、Co−NTA被覆された磁性ビーズへの結合を可能にするポリヒスチジン標識を有する。HC352、HC423およびHC242はHC263のような2個若しくはそれ以上の毛髪結合ドメインを有するが、しかしポリヒスチジン標識を有さず、そして対照として使用した。HC264はランダム化した毛髪結合配列を除きHC263と同一の配列組成を有する。
【0120】
【表10】

【0121】
実施例3の毛髪結合アッセイを使用して、表10の試験ペプチドの結合の強さを評価した。結果を表11に要約する。
【0122】
【表11】

【実施例5】
【0123】
毛髪への磁性ビーズのHC263に媒介される結合
ペプチドHC263(配列番号196)を、多様な表面すなわちヒト毛髪、ヤク毛、ウール、綿、SONTARA(登録商標)(不織スパンレース織物シート布地、E.I.duPont de Nemours and Company,Inc.、デラウェア州ウェルミントン)およびセルロース(濾紙)への磁性ビーズのペプチドに媒介される結合について試験した。およそ5mgのヒト毛髪(90%白髪)、ヤク毛、ウール、綿、SONTARA(登録商標)若しくは濾紙を2mL微小遠心管に添加した。0.2μMのHC263を含有するおよそ1mLのTBST0.1緩衝液(0.1%TWEEN(登録商標)−20を含む25mMトリス、150mM NaCl、pH7.2)を添加した。該混合物をNutator(BD Diagnostics、ニュージャージー州フランクリンレイクス)上室温(約22℃)で30分間振とうした。サンプルをTBST0.5緩衝液(0.5%TWEEN(登録商標)−20を含む25mMトリス、150mM NaCl、pH7.2)で3回洗浄した。洗浄した後にサンプルを900μLのTALONTM(Clontech、カリフォルニア州マウンテンビュー)緩衝液(50mMリン酸ナトリウム、pH8.0、300mM塩化ナトリウム、0.01%TWEEN(登録商標)−20)に再懸濁した。およそ0.2mgのTALONTMビーズ(DYNABEADS(登録商標)TALONTM、Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド;カタログ番号101.01D)をDYNAL(登録商標)MPCTM磁石上(Invitrogen)にてTALONTM緩衝液で2回洗浄し、そして100μLのTALONTM緩衝液中の各反応に添加した。
【0124】
多様な表面への該磁性ビーズの結合の強さを、1000倍の倍率で撮影された走査型電子顕微鏡(SEM)画像の可視化により評価した。相対的採点システムを使用して、多様な表面へのビーズの結合の強さをSEM画像に基づき等級付けした(0=ほとんど若しくは全く結合なし、5=強い結合)。表12は、ペプチドHC263により媒介される磁性ビーズの強い結合がヒト毛髪でのみ起こることを示す。
【0125】
【表12】

【実施例6】
【0126】
ビオチン−ペプチドおよびストレプトアビジン−ポリスチレン粒子を利用する沈着
ビオチニル化ペプチドおよびストレプトアビジン被覆ビーズ系を使用して、本発明の方法および組成物の毛髪へのビーズの結合を具体的に説明した。逐次沈着を以下の方法により達成した。すなわち、
ヒト毛髪サンプルを、本明細書に示される方法に従って得られた20mMのHCP5二量体ペプチド(配列番号204)を含有する水性溶液に入れた。HCP5二量体は、短いスペーサー(HCP5−GGSGPGSGG−HCP5)を使用して一緒に結合されたファージディスプレイライブラリーに元は由来する2個のHCP5毛髪結合ペプチド(配列番号112)を含んでなる。HCP5二量体は、ビオチニル化(配列番号205)およびビオチニル化されない(配列番号204)双方のバージョン(ビオチン結合を容易にするため単一リシン残基がビオチニル化バージョンのC末端に付加された)でAmerican Peptide Co.,Inc.(カリフォルニア州サニーベール)から購入した。
【0127】
毛髪サンプルはビオチニル化若しくはビオチニル化されていないペプチドいずれかに該毛髪サンプルを曝露することにより前処理した。3インチ長の天然の暗褐色毛髪(International Hair Importers)の房(strand)を2%SLESで30秒間前洗浄し、その後DI水で徹底的にすすいだ。毛髪房をその後ペプチドの5〜20マイクロモル濃度溶液10mLに1時間まで浸漬した。10種の毛髪サンプルをビオチニル化ペプチドに曝露し、そして10種の毛髪サンプルをビオチニル化されていないペプチドに曝露した。ペプチド溶液はDI水若しくはpH7.2のトリス−HCl緩衝液(5mM〜150mMからの範囲にわたるイオン強度)いずれか中で1時間まで調製した。該ペプチド処理段階は、毛髪サンプルへのペプチドの沈着をもたらすと期待される。ペプチドで処理した毛髪サンプルをその後、ペプチド処理緩衝液の溶液への30秒間の浸漬によりすすいで過剰のペプチドを除去した。次に、ペプチドで処理した毛髪サンプルを、ビオチンとストレプトアビジンの間の結合を可能にするため、40nmの蛍光標識したストレプトアビジン被覆ポリスチレン粒子(Invitrogen、カリフォルニア州カールズバッド)とともにインキュベートした。粒子分散系は、DI水および0.1%までのTWEENを含有するpH7.2のトリス緩衝生理的食塩水(5mM〜150mMからの範囲にわたるイオン強度)を包含する多様な媒体で創製した。結合は暗所で室温(約22℃)での24時間までのインキュベーション時間の間に起こることを可能にされた。サンプルはインキュベーション時間の間に継続的に回転して反転した。
【0128】
インキュベーション時間が終了した後、蛍光顕微鏡検査を使用して、40nmの蛍光標識したストレプトアビジン被覆ポリスチレン粒子の毛髪への結合を見た。図1は、ビオチ
ニル化HCP5二量体ペプチドが、観察された蛍光により明示されるとおり毛髪に粒子を結合したことを具体的に説明する。
【実施例7】
【0129】
ビオチン−ペプチドおよびストレプトアビジン−酸化鉄を利用する沈着
ビオチニル化ペプチドおよびストレプトアビジンビーズ系を使用して毛髪を着色した。逐次沈着を以下の方法により達成した。
【0130】
100%着色されていない毛髪を含有するおよそ1インチ長の小さい毛髪房(tress)を、本明細書に示される方法に従って得られた20mMのペプチド(DI水若しくはトリス緩衝生理的食塩水、pH7.2、5〜150mMイオン強度中)を含む水性溶液に室温で1時間まで入れた。ペプチドHC260は大腸菌(E.coli)中で組換え的に製造した。大腸菌(E.coli)産生宿主を使用するペプチド試薬の組換え的製造および単離方法は当該技術分野で公知である(例えば米国特許第7,285,264号明細書(引用することにより本明細書に組み込まれる)の実施例17〜20)。機能的ペプチド単位の配列を使用してHCP5二量体(「(HCP5)2」)HC260を創製するを表13に提供する。ペプチド試薬(すなわち工作されたペプチド)の式を表14に提供する。HC260はストレプトアビジンに結合するペプチド標識(SB33N)を含有するよう工作した。
【0131】
【表13】

【0132】
【表14】

【0133】
毛髪サンプルは多様なペプチドに毛髪を曝露することにより前処理した。ペプチドが毛髪に層を創製した。ペプチド層を伴う毛髪サンプルをSLES溶液ですすいで過剰のペプチドを除去した。次に、ペプチドで処理した毛髪サンプルをストレプトアビジン標識酸化
鉄粒子(Bangs Laboratories,Inc.、インジアナ州フィッシャーズ;Ademtech,Inc.、仏国・Pessas)とインキュベートして、ビオチンとストレプトアビジン若しくはHC260中のストレプトアビジン結合ドメインとストレプトアビジンの間の結合を可能にした。粒子は分散された形態で購入し、そして指定される量のDI水若しくはAdemtechからのカップリング緩衝液いずれかを添加することにより0.025〜1重量%に希釈した。結合は、暗所で室温(約22℃)で24時間までのインキュベーション時間の間に起こることを可能にされた。サンプルは結合持続期間のインキュベーション時間(binding duration incubation period)の間、継続的に回転して反転した。
【0134】
表15は、着色されたストレプトアビジン被覆酸化鉄ビーズ(500nm)がビオチニル化ペプチド(HCP5)2とともに毛髪サンプルに沈着した一方、着色されたストレプトアビジン被覆酸化鉄ビーズ(500mm)はビオチニル化されていないペプチド(HCP5)2とともに毛髪サンプルに同様には沈着しなかったことを示す。毛髪サンプル#3はビオチニル化されていない(HCP5)2ペプチドで被覆し、また、毛髪サンプル#4はビオチニル化された(HCP5)2ペプチドで被覆した。酸化鉄処理された毛髪の関連する色強度の色尺度を(0〜5)と定義し、ここで0は色沈着なしでありかつ5は最も濃い色である。表15で、毛髪サンプル#3は0という関連する色強度値を有する一方、毛髪サンプル#4は4という関連する色強度値を有する。
【0135】
【表15】

【0136】
表16は連続処理法を使用して多様なペプチド構築物およびストレプトアビジン被覆酸化鉄ビーズで処理した毛髪サンプルの視覚的色評価を示す。ストレプトアビジン結合パートナー(すなわちビオチン若しくはストレプトアビジン結合ペプチドモチーフいずれか)を含有するペプチド構築物で処理された毛髪サンプルは、着色したストレプトアビジン被覆酸化鉄ビーズで処理された場合に毛髪着色を高めた。
【0137】
ストレプトアビジン結合ドメインはHC260であるは10−4Mという推定ストレプトアビジン結合K値を有するSB33Nであった。表16は毛髪の処理された房を示す。色尺度で、ペプチドは後に続くとおり評価された。すなわち(HCP5)2=0、(HCP5)2−ビオチン=4、HC260=2。
【0138】
【表16】

【0139】
表17〜19はストレプトアビジン被覆酸化鉄粒子を使用する毛髪着色の視覚的色評価を示す。サンプル#3および#4は500nm粒子を用いるHCP5二量体[(HCP5)2]のそれぞれビオチニル化されていないおよびビオチニル化バージョンに対応し、また、サンプル#1および#2はそれぞれ200nm粒子を用いるそれぞれペプチド(HCP5)2および(HCP5)2−ビオチンに対応する。さらに、水洗および0.25%SLES洗浄段階を示す。初期データに前述された色尺度を使用して、被覆されたペプチドへの曝露後しかし水で洗浄する前の色評価は後に続くとおりであった。すなわち、サンプル1=0、サンプル2=0、サンプル3=0およびサンプル4=4(表17;図3A)。水での洗浄後の色評価は後に続くとおりであった。すなわち、サンプル1=0、サンプル2=0、サンプル3=0およびサンプル4=3(表18;図3B)。0.25%SLES(ナトリウムラウリルエーテルサルフェート)洗浄データにおいて:サンプル1=0、サンプル2=0、サンプル3=0およびサンプル4=2(表19;図3C)。
【0140】
【表17】

【0141】
【表18】

【0142】
【表19】

【0143】
実施例7は、色のヒト認識に対する粒子径の影響を示す。ヒトは約400nmないし700nm範囲にある色を認識し得る。紫外光すなわち200〜400nmはヒトに可視性でない。表17〜19に示されるとおり、500nmビーズで処理された(HCP5)2−ビオチン処理した毛髪のみが認識可能な色を表した。200nmビーズで処理された(HCP5)2−ビオチン処理した毛髪は、200nmビーズが毛髪に沈着された場合であっても認識可能な色を表さなかった。図4Aおよび4Bを参照されたい。
【実施例8】
【0144】
連続適用されるペプチドおよび色素での毛髪着色
天然の白髪の小房(minitress)(0.5〜1cm幅、1インチ長)をInternational Hair Inc.、サウスカロライナ州フローレンスから得た。該毛髪房を2%ナトリウムラウリルエーテルサルフェート(SLES、Rhodapex ES−2K)溶液で手洗浄し、次いでDI水ですすぎかつ試験前に風乾した。ペプチドHC634、HC635、HC636、HC637、HC638、HC639、HC640、HC641、HC642、HC643、HC644およびHC645をそれぞれ秤量しかつ濃度0.7mg/mLでpH7.5、25mMトリス緩衝液に溶解した。毛髪結合ドメインは、tonBリンカー(配列番号208)により結合される毛髪結合ペプチドHP2E(配列番号84)およびGray3A(配列番号77)を含んでなる。該結合ドメインを、色素(すなわちシリカ被覆赤色酸化鉄)に対する親和性を有する多様なペプチド(すなわち親和性対の第一の部分)に架橋ペプチド(配列番号209)を介して結合した。
【0145】
【表20】

【0146】
各毛髪房を回転装置上1.7mL微小遠心バイアル中で0.6mLのペプチド溶液と15分間インキュベートした。毛髪房の複製物を各ペプチド溶液について運転した(run)。その後、房をバイアルから取り出しかつDI水ですすぎ、ペーパータオルで水気を取り、そして色素の応用のため新しいラベルをつけたバイアルに入れた。シリカ被覆酸化鉄粒子を、米国特許第2,885,366号明細書(本明細書に組み込まれる)に開示される方法に従って作成した。シリカ被覆赤色酸化鉄分散系を2(IEP2)および5(IEP5)の等電点で調製した。およそ0.6mLのpH7.5、25mMトリス緩衝液中1%色素分散系を各バイアルに添加し、そしてペプチド処理された毛髪房と回転装置上で10分間インキュベートした。その後、毛髪房を取り出しかつ水道水ですすぎ、ペーパータオルで水気を取りかつ空気で乾燥した。L**bスコアを、毛髪サンプルの両側の4個の異なる点でX−Rite分光光度計(X−Rite Incorporated、ミネソタ州グランドラピッズ)を使用して各毛髪房について測定し、そしてL**bスコアの平均を色取り込みΔE計算(ΔE)に使用した。このために参照として未処理の天然の白髪を使用した。いずれのペプチド対照も、同一手順を用いて毛髪房を直接色素分散系に適用することにより試験しなかった。
【0147】
ΔE値は、下の等式(1)すなわち
ΔE=((L*1−L*2)2 +(a*1−a*2)2 +(b*1−b*2)2)1/2 (1)
ここで、L*は軽さ変数でありかつa*およびb*は国際照明委員会(International Commission of Illumination)(CIE)により定義されるところの(Minolta、Precise Color Communication−Color Control From Feeling to Instrumentation、Minolta Camera Co.、1996)CIELAB色空間の色度座標である、
を使用して計算し得る。
【0148】
ペプチドに媒介される毛髪着色の結果を図2に要約する。ペプチドを伴わずに、IEP2およびIEP5双方のシリカ被覆酸化鉄色素は約5〜8ΔE単位のバックグラウンド色取り込みを生じた一方、ペプチドに媒介される色素沈着はIEP2色素で2ないし43ΔE単位の色取り込みおよびIEP5色素で37〜42ΔE単位の色取り込みを生じた。該ペプチド−色素系は毛髪を効果的に着色することが示された。
【実施例9】
【0149】
ペプチド成分からの有益な作用剤の除去
段階1:毛髪房を、本発明のペプチド成分例えば(HCP5)2−ビオチンを含有するペプチド溶液と約15minインキュベートすることができ、そして水ですすぎかつ水気を取ることができる。インキュベートした毛髪房をその後、本発明の微粒子の有益な作用剤の安定な分散系で約10min処理することができる。例えば、インキュベートされた毛髪房を、ストレプトアビジン被覆酸化鉄ビーズを含んでなる安定な分散系で処理することができ、その後水ですすぎかつ水気を取ることができる。
【0150】
段階2:本発明の方法により着色される毛髪房を処理して本発明の微粒子の有益な作用剤を除去し得る。例えば、有益な作用剤が着色剤である場合、該着色剤を除去し得る。毛髪房を段階1に従って調製し得る。毛髪房を水性溶液例えば0.25%SLES洗浄液で1回若しくはそれ以上処理して、ビオチンおよびストレプトアビジンの親和性を破壊しかつストレプトアビジン被覆酸化鉄ビーズを毛髪房から放出させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10−5モル濃度若しくはそれ未満のKまたはMB50値でヒト毛髪、ヒト皮膚若しくはヒト爪の最低1種に結合しかつ親和性対の第一の部分をさらに含んでなる最低1個の結合ドメインを含んでなるペプチド成分;ならびに
約0.01ミクロンと約75ミクロンの間の平均粒子径および親和性対の第二の部分を有する微粒子の有益な作用剤の安定な分散系
を含んでなり;
該最低1個の結合ドメインが、分散系の粒子に対してそれが有するよりも大きいヒト毛髪、皮膚若しくは爪に対する結合親和性を有する、
化粧用系。
【請求項2】
約0.01ミクロンと約75ミクロンの間の平均粒子径が動的光散乱およびレーザー回折よりなる群から選択される方法により測定される、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項3】
結合ドメインが複数のサブドメインを含んでなる、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項4】
有益な作用剤と親和性対の第二の部分の間の会合が非共有結合である、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項5】
結合ドメインが、ウール、カシミヤ若しくはヤク毛より、ヒト毛髪、皮膚若しくは爪にさらに優先的に結合する、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項6】
結合ドメインが、綿若しくは変性セルロース繊維より、ヒト毛髪、皮膚若しくは爪にさらに優先的に結合する、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項7】
結合ドメインが、金属、セラミック、磁器、ガラス、絹、木、ポリエステル若しくはポリ塩化ビニルより、ヒト毛髪、皮膚若しくは爪にさらに優先的に結合する、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項8】
微粒子がナノ粒子である、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項9】
親和性対が、イオン結合に基づく、水素結合に基づく、疎水性結合に基づく、キレート化に基づく、生物学的親和性に基づく、若しくは親和性対がそれらの組合せに基づく、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項10】
親和性対が、アビジンに対するビオチン、ストレプトアビジンに対するビオチン、ストレプトアビジンに対するストレプトアビジン標識、マルトースに対するマルトース結合タンパク質、アミラーゼに対するマルトース結合タンパク質、金属に対するポリヒスチジン標識、グルタチオンに対するグルタチオンS−トランスフェラーゼ、抗体に対するエピトープ標識、若しくはそれらの組合せに基づく、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項11】
金属が二価金属である、請求項10に記載の化粧用系。
【請求項12】
金属がコバルト、銅、ニッケル、亜鉛若しくはそれらの組合せである、請求項11に記載の化粧用系。
【請求項13】
エピトープ標識がHA標識、FLAG標識、E標識、S標識若しくはmyc標識である、請求項10に記載の化粧用系。
【請求項14】
有益な作用剤が、日焼け止め剤、調整剤、被包された香料、抗菌剤、ふけ防止剤、抗真菌剤、賦香剤、被包された生理活性剤、毛髪除去剤、抗ざ瘡剤若しくは着色剤である、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項15】
着色剤が、着色された色素、着色された粒子若しくはそれらの組合せである、請求項14の化粧用系。
【請求項16】
結合ドメインが、それが分散系の粒子に対して有するより2倍大きいヒト毛髪、皮膚若しくは爪に対する結合親和性を有する、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項17】
安定な分散系が電荷が安定化されている、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項18】
微粒子の有益な作用剤のゼータ電位の絶対値が最低25mVである、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項19】
安定な分散系が立体的に安定化されている、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項20】
安定な分散系が分散剤を含んでなる、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項21】
分散剤がイオン性分散剤若しくは非イオン性分散剤である、請求項20に記載の化粧用系。
【請求項22】
第一の結合ドメインがバイオパニングを使用して同定される、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項23】
第一の結合ドメインが、ファージディスプレイ、細菌ディスプレイ、酵母ディスプレイ、リボソームディスプレイ、mRNAディスプレイ若しくはそれらの組合せを使用して同定される、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項24】
結合ドメインが、約10−5モル濃度ないし約10−10モル濃度のK若しくはMB50値により測定されるところのヒト毛髪、ヒト皮膚若しくはヒト爪に対する結合親和性を有する、請求項1に記載の化粧用系。
【請求項25】
ヒト毛髪、皮膚若しくは爪を、10−5モル濃度若しくはそれ未満のKまたはMB50値でヒト毛髪、皮膚若しくは爪の最低1種に結合しかつ親和性対の第一の部分をさらに含んでなる最低1個の結合ドメインを有するペプチド成分を含んでなる組成物と、該結合ドメインがヒト毛髪、皮膚若しくは爪に結合するのに十分な時間接触させること;およびその後、約0.01ミクロンと約75ミクロンの間の平均粒子径および親和性対の第二の部分を有する微粒子の有益な作用剤の安定な分散系をヒト毛髪、皮膚若しくは爪に適用すること
を含んでなり;
該最低1個の結合ドメインが、それが該分散系の粒子に対して有するより大きいヒト毛髪、皮膚若しくは爪に対する結合親和性を有する、
ヒト毛髪、ヒト皮膚若しくはヒト爪の最低1種への有益な作用剤の適用方法。
【請求項26】
ヒト毛髪、皮膚若しくは爪を安定な微粒子分散系とその後接触させる前に、ヒト毛髪、皮膚若しくは爪を水性溶液と接触させることをさらに含んでなる、請求項25に記載の方法。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公表番号】特表2012−522057(P2012−522057A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503550(P2012−503550)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/029016
【国際公開番号】WO2010/117709
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(599019535)ジヨンソン・アンド・ジヨンソン・コンシユーマー・カンパニーズ・インコーポレーテツド (1)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】