医用情報表示装置
【課題】医用情報の検索に関する効率や操作性の向上を実現する。
【解決手段】
オブジェクト取得要求部21は、患者階層、検査階層、シリーズ階層、オブジェクト階層の4階層のうちのユーザ指定の階層の特徴を示す複数のオブジェクトの取得要求をサーバ100に送信する。オブジェクト受信部23は、取得要求に応じてサーバ100から送信された複数のオブジェクトを受信する。代表動画像生成部25は、受信された複数のオブジェクトに基づいて動画像を生成する。表示部27は、生成された動画像を表示する表示部。
【解決手段】
オブジェクト取得要求部21は、患者階層、検査階層、シリーズ階層、オブジェクト階層の4階層のうちのユーザ指定の階層の特徴を示す複数のオブジェクトの取得要求をサーバ100に送信する。オブジェクト受信部23は、取得要求に応じてサーバ100から送信された複数のオブジェクトを受信する。代表動画像生成部25は、受信された複数のオブジェクトに基づいて動画像を生成する。表示部27は、生成された動画像を表示する表示部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用情報の検索結果を表示する医用情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のモダリティ(画像診断機器)の性能の向上やスループットの向上、検査方法の充実化により、検査で取得されるデータ量・データ種が急増している。データ量・データ種の増加に伴い、目的のオブジェクトを探し出すための利便性や操作性が低下している。
【0003】
目的のオブジェクトを探し出すための利便性や操作性の向上のため、検索結果リストとともに代表画像が表示されている。代表画像は、検索対象の検査やシリーズに関する一枚の画像であり、検索対象の検査やシリーズの特徴を端的に表している。代表画像は、例えば、位置決めシリーズ以外、最後に表示されていたシリーズ、あるいは正しい位置決め決定後に取得されたシリーズから選択されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009―160326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、代表画像は、全ての検査やシリーズの特徴を示しきれていない。例えば、「造影検査画像群」や「画像とレポートがある検査」の場合、代表画像は、これら検査の特徴を示すことができない。このため、多種多様なオブジェクトが混在している大容量の医用情報管理装置から目的のオブジェクトに到達するのは容易ではない。
【0006】
目的は、医用情報の検索に関する効率や操作性の向上を実現する医用情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る医用情報表示装置は、医用情報を記録したオブジェクトと複数の階層の識別情報とを対応付けて管理する医用情報管理装置にネットワークを介して接続された医用情報表示装置であって、前記複数の階層の各々に対応付けて特徴の抽出方法を記憶する記憶部と、前記抽出方法に基づいて、前記複数の階層のうちの所定の階層に属する複数のオブジェクトの中から前記所定の階層の特徴を表す複数のオブジェクトを選択する選択部と、前記選択された複数のオブジェクトに基づいて動画像を生成する生成部と、前記生成された動画像をその階層の特徴情報として表示する表示部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る医用情報表示装置のネットワーク環境を示す図である。
【図2】図1の医用情報表示装置とサーバとによる一般的な情報検索の流れを簡単に説明する。
【図3】図1の医用情報表示装置とサーバとによる一般的なオブジェクトの取得の流れを簡単に説明する。
【図4】図1の医用情報表示装置の構成を示す図。
【図5】図1の医用情報表示装置により実行される代表動画像の生成・表示処理の典型的な流れを示す図。
【図6】図1の検索条件設定部13により実行される、オブジェクトの特性を判断するための判断処理の流れの一例を示す図。
【図7】図5のステップSA8〜SA11までの処理を、取得対象として「オーバレイ情報が付加されたフレーム群」を例に挙げて説明するための図。
【図8】図5のステップS13に関する検索結果リストと代表動画像との表示例を示す図。
【図9】図5のステップS13に関する検索結果リストと代表動画像との表示例を示す他の図。
【図10】図5のステップSA8〜SA11までの処理を、取得対象として「ECG同期に関するフレーム群」を例に挙げて説明するための図。
【図11】図5のステップSA8〜SA11までの処理を、取得対象として「造影検査に関するフレーム群」を例に挙げて説明するための図。
【図12】図5のステップSA8〜SA11までの処理を、取得対象として「造影検査に関するフレーム群」を例に挙げて説明するための他の図。
【図13】図5のステップS13に関する検索結果リストと代表動画像との表示を、取得対象として「造影検査に関するフレーム群」を例に挙げて示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用情報表示装置を説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る医用情報表示装置(クライアント)1のネットワーク環境を示す図である。図1に示すように、医用情報表示装置1は、ネットワークを介して医用情報管理装置(以下、サーバと呼ぶことにする。)100に接続されている。
【0011】
サーバ100は、医用情報を階層化して管理している。例えば、医用情報は、DICOM規格に準拠した階層、すなわち、上から順番に患者階層、検査階層、シリーズ階層、オブジェクト階層の4階層に区分して管理されている。オブジェクトは、医用画像(概念的にオリジナル画像と画像処理により生成された処理画像とを含む)、レポート、音声、撮影生データ(例えば、X線CT装置における投影データや超音波診断装置におけるエコーデータ)、心電図、及び呼吸波形等の医用情報を含む。オブジェクトは、付帯情報に関連付けて管理されている。付帯情報は、オブジェクトに関する患者情報や検査情報、シリーズ情報、オブジェクト情報等の属性情報を含む。付帯情報としては、例えば、患者ID、検査ID、検査日付、検査部位、シリーズID、画像ID等がある。これら付帯情報は、オブジェクトを一意に識別するための識別情報になりうる。なお、本実施形態に係る階層は4階層に限定されず、4階層より少ない、あるいは4階層より多い複数階層であればよい。このようにサーバ100は、医用情報を記録したオブジェクトと複数の階層の識別情報とを対応付けて管理している。
【0012】
医用情報表示装置1とサーバ100とは、例えば、DICOM規格に準拠した通信(DICOM通信)を行う。医用情報表示装置1は、サーバ100から医用情報の検索結果やオブジェクトを取得し表示する。
【0013】
次に図2を参照しながら、医用情報表示装置1とサーバ100とによる一般的な情報検索の流れを簡単に説明する。図2に示すように、まずユーザは、医用情報表示装置1に検索条件を指定し、検索要求の開始指示をする。検索条件は、検索対象の階層(例えば、患者階層、検査階層、シリーズ階層、オブジェクト階層)と一致条件(いわゆる検索キー。例えば、特定の患者に関する識別情報、特定の検査に関する識別情報、特定のシリーズに関する識別情報、特定のオブジェクトに関する識別情報)とを含む。検索要求の開始指示がなされると医用情報表示装置1は、指定された検索条件による検索をサーバ100に要求する。DICOM通信の場合、医用情報表示装置1からサーバ100に対してDICOM_Query機能で検索要求がなされる。検索要求がなされるとサーバ100は、指定された検索条件でデータベースを検索する。このデータベースは、サーバ100の大容量記憶装置に記憶されているオブジェクトの記憶アドレスとオブジェクトの識別情報とを関連付けている。サーバ100は、検索条件に合致するオブジェクトの識別情報を検索結果として抽出する。そしてサーバ100は、医用情報表示装置1に検索結果を送信する。医用情報表示装置1は、送信された検索結果を表示する。
【0014】
次に図3を参照しながら、医用情報表示装置1とサーバ100とによる一般的なオブジェクトの取得の流れを説明する。図3に示すように、まずユーザは、医用情報表示装置1に取得条件を指定し、取得要求の開始指示をする。取得条件は、取得したいオブジェクトを特定するためのキーワードを含む。取得要求の開始指示がなされると医用情報表示装置1は、指定された取得条件によるデータ取得をサーバ100に要求する。DICOM通信の場合、医用情報表示装置1からサーバ100に対してDICOM_Retrieve機能で取得要求がなされる。取得要求がなされるとサーバ100は、指定された取得条件に合致するオブジェクトをサーバ100の大容量記憶装置から読み出す。そしてサーバ100は、読み出されたオブジェクトを医用情報表示装置1に送信する。DICOM通信の場合、サーバ100は、医用情報表示装置1に対してDICOM_Storage機能でデータ送信がなされる。また、サーバ100は、取得条件に合致するオブジェクトがサーバ100の大容量記憶装置に記憶されていなかった場合、医用情報表示装置1にその旨を通知する。医用情報表示装置1は、送信されたオブジェクトを表示したり、該当するオブジェクトがサーバ100に記憶されてなかった旨の情報を表示したりする。
【0015】
本実施形態に係る医用情報表示装置1は、検索対象の階層に関する検索結果リストを表示する際、この検索結果リストとともに、検索対象の階層の特徴を端的に示す動画像を表示する。以下、この動画像を代表動画像と呼び、また、代表動画像の表示対象の階層を動画像表示対象の階層と呼ぶことにする。本実施形態に係る医用情報表示装置1は、検索結果リストとともに代表動画像を表示することで、患者や検査、シリーズ、オブジェクトの内容を正確にわかりやすくユーザに提示できる。ユーザは、代表動画像を観察することで、簡便に目的の患者や検査、シリーズ、オブジェクトを探し当てることができる。
【0016】
図4は、医用情報表示装置1の構成を示す図である。図4に示すように、医用情報表示装置1は、操作部11、検索条件設定部13、検索要求部15、検索結果受信部17、取得条件設定部19、オブジェクト取得要求部21、オブジェクト受信部23、代表動画像生成部25、及び表示部27を備える。
【0017】
操作部11は、入力機器を介してユーザからの各種指令や情報入力を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、スイッチ等が利用可能である。
【0018】
検索条件設定部13は、操作部11を介したユーザによる指示に従って、又は自動的に、動画像表示対象の階層の検索結果を取得するための検索条件を設定する。また、検索条件設定部13は、操作部11を介したユーザによる指示に従って、又は自動的に、動画像表示対象の階層からオブジェクト階層まで到達するための検索条件を設定する。
【0019】
検索要求部15は、検索条件設定部13により設定された検索条件で動画像表示対象の階層の検索をサーバ100に要求する。このように検索要求部15は、動画像表示対象の階層に関する検索要求をサーバ100に送信する送信部として機能する。
【0020】
検索結果受信部17は、検索要求に応じてサーバ100が送信した検索結果を受信する。このように検索結果受信部17は、検索要求に応じてサーバ100から送信された検索結果を受信する受信部として機能する。
【0021】
取得条件設定部19は、代表動画像の生成に利用される複数のオブジェクトを取得するための取得条件を設定する。
【0022】
オブジェクト取得要求部21は、取得条件設定部19により設定された取得条件でオブジェクトの取得をサーバ100に要求する。このようにオブジェクト取得要求部21は、動画像表示対象の特徴を示す複数のオブジェクトの取得要求をサーバ100に送信する送信部として機能する。
【0023】
オブジェクト受信部23は、取得要求に応じてサーバ100が送信したオブジェクトを繰り返し受信する。このようにオブジェクト受信部23は、取得要求に応じてサーバ100から送信された複数のオブジェクトを受信する受信部として機能する。
【0024】
換言すれば、検索条件設定部13、検索要求部15、取得条件設定部19、及びオブジェクト取得要求部21は、抽出方法の記憶部とオブジェクトの選択部とを構成する。記憶部は、4階層の各々に対応付けて特徴の抽出方法を記憶する。特徴の抽出方法は、検索条件や取得条件に対応する。選択部は、操作部11を介して、あるいは自動的に選択された抽出方法に基づいて、4階層のうちの抽出対象の階層に属する複数のオブジェクトの中から、この抽出対象の階層の特徴を表す複数のオブジェクトを選択する。
【0025】
代表動画像生成部25は、オブジェクト受信部23により受信された複数のオブジェクトに基づいて代表動画像を生成する。具体的には、代表動画像生成部25は、受信された複数のオブジェクトに基づいて複数の画像(以下、代表動画像の元となる画像を代表画像と呼ぶことにする。)を生成し、生成された複数の代表画像を一枚一枚連続して表示可能な代表動画像を生成する。換言すれば、代表動画像生成部25は、選択部により選択された複数のオブジェクトに基づいて代表動画像を生成する。
【0026】
表示部27は、動画表示対象の階層の検索結果リストと代表動画像とを既定の表示レイアウトに従って表示する。また、表示部27は、検索条件や取得条件を入力するための条件設定画面を表示することもできる。
【0027】
次に医用情報表示装置1により実行される代表動画像の生成・表示処理における動作例を説明する。図5は、医用情報表示装置1により実行される代表動画像の生成・表示処理の典型的な動作例を示す図である。
【0028】
まずユーザは、表示部27に表示されている条件設定画面を見ながら、操作部11を介して動画像表示対象の階層や一致条件を入力する。検索条件設定部13は、入力された階層や一致条件に従って検索条件を設定する(ステップSA1)。例えば、動画像表示対象の階層が患者階層の場合、モダリティの種類と検査日付とのうちの少なくとも1つが一致条件に設定される。動画像表示対象の階層が検査階層の場合、例えば、モダリティの種類、オブジェクトの種類、撮影部位、造影の有無の少なくとも1つが一致条件に設定される。動画像表示対象の階層がシリーズ階層の場合、例えば、オブジェクトの種類、撮影部位とのうちの少なくとも1つが一致条件に設定される。動画像表示対象の階層がマルチフレームのオブジェクトの階層の場合、例えば、フレームの画素値、オーバレイ情報の有無、ECG波形との同期の有無、ウィンドウレベル、ウィンドウ幅、拡大率、縮小率のうちの少なくとも1つが一致条件に設定される。
【0029】
検索条件が設定されると検索要求部15は、設定された検索条件で動画像表示対象の階層の検索をサーバ100に要求する(ステップSA2)。検索は、上述のように、例えば、DICOM_Query等により行われる。サーバ100は、ステップSA1において設定された検索条件に従って検索を実行し、検索結果を得る。サーバ100は、検索結果を医用情報表示装置1に送信する。
【0030】
検索要求に応じてサーバ100が検索結果を送信すると、検索結果受信部17は、サーバ100からの検索結果を受信する(ステップSA3)。この検索結果は、代表動画像と共に表示される検索結果のリスト情報となる。
【0031】
ここで、検索結果受信部17は、受信された最新の検索結果が属する階層がオブジェクト階層であるか否かを判断する(ステップSA4)。検索結果受信部17は、最新の検索結果が属する階層がオブジェクト階層ではなく、患者階層、検査階層、あるいはシリーズ階層である場合(ステップSA4:NO)、検索条件設定部13にその旨の情報を供給する。この際、検索結果受信部17は、受信された最新の検索結果のデータを検索条件設定部13に供給する。
【0032】
ステップSA4において最新の検索結果が属する階層がオブジェクト階層でないと判断された場合、検索条件設定部13は、最新の検索結果が属する階層よりも一つ下の階層のための検索条件を設定する(ステップSA5)。この検索条件は、動画像表示対象の階層を特徴付けるオブジェクトを自動的に検索するために設定される。すなわち、動画像表示対象の階層以下の階層に属する検索対象は、動画像表示対象が必要とするものに設定される。動画像表示対象階層以下の階層に属する検索対象は、予め定められたルールに従って検索条件設定部13により自動的に設定される。このルールは、様々なツールにより実現されるが、例えば、オブジェクトの特性を判断するための判断処理により実現される。
【0033】
図6は、検索条件設定部13により実行される、オブジェクトの特性を判断するための判断処理の流れの一例を示す図である。図6に示すように、まず、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下に造影検査画像群が含まれているか否かを判定する(ステップSB1)。オブジェクトが造影検査に関するものである場合、そのオブジェクトの付帯情報にその旨のコードが付されている。従ってオブジェクトの付帯情報により、そのオブジェクトが造影検査に関するものであるか否かを特定することができる。造影検査画像群を含むと判定した場合(ステップSB1:YES)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下に造影検査画像群が含まれている旨のフラグAをたてる(ステップSB2)。
【0034】
ステップSB2が行われると、または、造影検査画像群を含まないと判定した場合(ステップSB1:NO)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下にオーバレイ情報を含む画像群が含まれているか否かを判定する(ステップSB3)。オブジェクトがオーバレイ情報を含んでいる場合、そのオブジェクトの付帯情報にその旨のコードが付されている。従ってオブジェクトの付帯情報により、そのオブジェクトがオーバレイ情報を含んでいるか否かを特定することができる。オーバレイ情報を含むと判定した場合(ステップSB3:YES)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下にオーバレイ情報を含む画像群が含まれている旨のフラグBをたてる(ステップSB4)。
【0035】
ステップSB4が行われると、または、オーバレイ情報を含まないと判定した場合(ステップSB3:NO)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下にECG同期に関する画像群が含まれているか否かを判定する(ステップSB5)。オブジェクトがECGに同期して取得された場合、そのオブジェクトの付帯情報にその旨のコードが付されている。従ってオブジェクトの付帯情報により、そのオブジェクトがECG同期に関するか否かを特定することができる。ECG同期に関する判定した場合(ステップSB5:YES)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下にECG同期に関する画像群が含まれている旨のフラグCをたてる(ステップSB6)。
【0036】
ステップSB6が行われると、または、ECG同期に関しないと判定した場合(ステップSB5:NO)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下に輝度調整がなされたオブジェクトを含む画像群が含まれているか否かを判定する(ステップSB7)。輝度調整は、例えば、ウィンドウレベルやウィンドウ幅の調整を意味する。オブジェクトに輝度調整がなされている場合、そのオブジェクトの付帯情報にその旨のコードが付されている。従ってオブジェクトの付帯情報により、そのオブジェクトに輝度調整がなされているか否かを特定することができる。輝度調整がなされていると判定した場合(ステップSB7:YES)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下に輝度調整がなされたオブジェクトを含む画像群が含まれている旨のフラグDをたてる(ステップSB8)。
【0037】
このようにして検索条件設定部13は、上述の判断処理により動画像表示対象の階層に含まれるオブジェクトの特性を特定していく。なお、図6に示す特性の判断処理は、一例であり、各特性の判定順序や判定される特性の内容は、これに限定されない。
【0038】
図6に示す特性の判断処理が終了すると検索条件設定部13は、予め定められた特性の優先順位に従って、検索対象の検査、シリーズ、又はオブジェクトを設定する。例えば、条件A(造影検査)と条件C(ECG同期)とを満足する場合、すなわち、フラグAとフラグCとの両方がたっている場合、造影検査画像群を含む検査、シリーズ、又はオブジェクトが検索対象に設定される。例えば、条件A(造影検査)と条件B(オーバレイ有り)とを満足する場合、すなわち、フラグAとフラグBとの両方がたっている場合、オーバレイ情報が付された造影検査画像群を含む検査、シリーズ、又はオブジェクトが検索対象に設定される。
【0039】
なお上記の検索対象の設定ルールにおいては、一連の判定処理と特性の優先順位とにより、動画像表示対象の階層以下の階層に属する検索対象が設定されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、オブジェクトの特性の組み合わせと取得すべきオブジェクトとが関連付けられた決定表により設定されてもよい。
【0040】
ステップSA5において次の階層の検索条件が設定されると検索要求部15は、設定された検索条件で動画像表示対象の階層の検索をサーバ100に要求する(ステップSA6)。サーバ100は、上述のように、ステップSA5において設定された検索条件に従って検索を実行し、検索結果を得る。サーバ100は、検索結果を医用情報表示装置1に送信する。
【0041】
検索要求に応じてサーバ100が検索結果を送信すると、検索結果受信部17は、送信された検索結果を受信する(ステップSA7)。
【0042】
ステップSA7において検索結果が受信されると検索結果受信部17は、再び、受信された検索結果の階層がオブジェクト階層であるか否かを判断する(ステップSA4)。このようにして、最新の検索結果がオブジェクト階層に到達するまでステップSA4〜ステップSA7が繰り返される。
【0043】
例えば、動画像表示対象の階層が患者階層であり、特定の患者に関する検査を検索する場合、モダリティの種類や検査日付を指定して検索するとよい。この検索により、指定したモダリティや検査日付に関する検査のリストが検索結果としてサーバ100から返信される。次に、検査リストのうちの特定の検査に関するシリーズを検索する場合、例えば、最新日付に関するシリーズが検索されるとよい。この検索により、特定の検査に属する最新日付のシリーズのリストが検索結果としてサーバ100から返信される。
【0044】
そしてステップSA4において検索結果の階層がオブジェクト階層であると判断した場合(ステップSA4:YES)、検索結果受信部17は、その旨の情報とともに、最新の検索結果を取得条件設定部19に供給する。
【0045】
検索結果の階層がオブジェクトの階層であると判断された場合(ステップSA4:YES)、取得条件設定部19は、動画像表示対象の階層を特徴付けるオブジェクトの取得条件を設定する(ステップSA8)。この取得条件は、検索結果に従って自動的に設定される。取得条件は、動画像表示対象が必要とする条件に設定される。
【0046】
取得条件が設定されるとオブジェクト取得要求部21は、設定された取得条件でオブジェクトの取得をサーバ100に要求する(ステップSA9)。取得要求は、上述のように、例えば、DICOM_Retrieve等により行われる。サーバ100は、上述のように、ステップSA8において設定された取得条件に従ってオブジェクトを大容量記憶装置から取得する。サーバ100は、取得されたオブジェクトを医用情報表示装置1に送信する。
【0047】
取得要求に応じてサーバ100がオブジェクトを送信すると、オブジェクト受信部23は、サーバ100からのオブジェクトを受信する(ステップSA10)。受信されたオブジェクトは、代表動画像生成部25に供給される。
【0048】
オブジェクト受信部23によりオブジェクトが受信されると取得条件設定部19は、さらにオブジェクトを取得するか否かを判断する(ステップSA11)。例えば、取得条件設定部19は、予め設定されている条件、もしくは階層ごとの条件に従って、オブジェクトを取得するか否かを判断する。オブジェクトをさらに取得すると判断した場合(ステップSA11:YES)、取得条件設定部19は、取得したオブジェクトと、動画像表示対象階層が必要とする条件とから、次のオブジェクトの取得条件を設定する。そして、さらにオブジェクトを取得しないと判断されるまでステップSA8〜ステップSA11が繰り返される。オブジェクトは少なくとも2回は取得されるので、このことに応じてステップSA8〜ステップSA11は、少なくとも2回は実行される。
【0049】
以下に、ステップSA8〜SA11までの処理を、取得対象として「オーバレイ情報が付加されたフレーム群」を例に挙げて、図7を参照しながら説明する。図7に示すように、マルチフレームのオブジェクトに含まれるフレーム群は、時間経過に従って配列されている。各フレームには、時間経過に従って昇順又は降順に画像番号が付されている。まず、オーバレイ情報が付加されたフレーム群の中から1フレームを取得する。最初のフレームは、付帯情報で指定されている基準フレーム(フレーム1)であっても、オーバレイ情報が付加されているフレーム群のうちの中間フレームであってもよい。ここでは、中間フレームが始めに取得されるものとする。最初に取得されたフレームを第1フレームと呼ぶことにする。フレームは、例えば、画像番号を取得条件として取得される。次に、オーバレイ情報が付加されているフレーム群のうちの最も早い時刻に取得されたフレーム(第2のフレーム)と最も遅い時刻に取得されたフレーム(第3のフレーム)とが取得される。その後は、取得済みのフレームの中間フレームが順次取得される。例えば、最初のフレームと中間フレームとのオブジェクトの取得は、予め設定されている条件、もしくは階層ごとの条件に応じた回数だけ繰り返される。取得するフレームの枚数は、2枚以上であれば何枚でも良い。取得するフレームの枚数は、オブジェクトの特徴に応じて決定されていても良い。
【0050】
このようにして取得条件設定部19は、取得するフレームの枚数だけオブジェクトを取得すると、オブジェクトをさらに取得しないと判断する(ステップSA11:NO)。この場合、取得条件設定部19は、その旨の情報を代表動画像生成部25に供給する。そして代表動画像生成部25は、受信された複数のオブジェクトに基づいて代表動画像を生成する(ステップSA12)。代表動画像生成部25は、全てのオブジェクトの取得が完了してから代表動画像を生成してもよいし、オブジェクトが受信される毎に代表動画像を更新してもよい。オブジェクトがDICOM_Structured_Report等の形式のレポート情報、ECG等の波形情報、音声情報、3Dのボリューム情報、撮影生データ等の画像以外の場合、代表動画像生成部25は、これらオブジェクトを画像に変換する。より詳細には、オブジェクトが画像以外の場合、代表動画像生成部25は、これら画像以外のオブジェクトを表示した場合の画像をキャプチャし、キャプチャされた画像を代表画像として扱う。このように画像以外のオブジェクトを画像に変換することで、動画像表示対象の階層の特徴が画像以外のオブジェクトにある場合であっても、ユーザは、視覚的にその特徴を把握することができる。また、代表動画像を検索結果リストと同一画面に表示するために、代表動画像生成部25は、代表動画像の表示領域の大きさに応じてオリジナルの代表画像の大きさ(マトリクスサイズ)を縮小もしくは拡大する。
【0051】
代表動画像が生成されると表示部27は、ステップSA3において受信された検索結果のリストとステップSA12において生成された代表動画像とを既定のレイアウトで表示する。図8は、検索結果リストと代表動画像との表示例を示す図である。なお図8は、検査階層の検索結果リスト(検査リスト)が表示される例を示している。図8に示すように、代表動画像は、動画像表示対象の階層に属するレコード毎(動画像表示対象の階層が検査階層の場合は検査毎)に生成され、レコードに視覚的に関連付けて表示される。例えば、検査リストとしては、ステップSA3において受信された検索結果のテキスト情報と、その検査のテキスト特徴を端的に示す代表動画像DGが表示される。代表動画像DGの表示領域は、例えば、各検査のテキスト情報の横に配置される。代表動画像DG中の各代表画像は、時間経過に従って表示領域に一枚ずつ繰り返し表示される。代表画像の一枚あたりの表示時間は、ユーザにより操作部11を介して設定可能である。
【0052】
以下、動画像表示対象階層が患者階層、検査階層、シリーズ階層、及びオブジェクト階層の場合に関する具体例をそれぞれ説明する。
【0053】
〔患者階層〕
1.入力された検索条件で患者リストを取得する(ステップS1〜S3)。
【0054】
2.患者リスト内の対象患者の検査情報を取得する(ステップS4〜S7)。検索条件としてモダリティの種類や検査日付が設定される。
【0055】
3.取得された検査情報から、最新の検査のモダリティの種類と同一の検査のみを対象として、それぞれの検査から1以上のオブジェクトを取得する(ステップS4〜S11)。もしくは、最新の検査あるいは所定番目の検査のみを対象としてもよい。もしくは、最新の検査から遡ってN番目のみを対象としてもよい。シリーズ以下の検索方法は、後述の検査以下の検索方法を利用してもよいし、中間のシリーズ、最初のシリーズ、中間のオブジェクト、最初のオブジェクトを利用してもよい。
【0056】
これにより、例えば、対象患者が10月にMR検査、12月にCT検査、1月に超音波検査、2月にCT検査をしていた場合、2月のCT検査に関する代表画像と12月のCT検査に関する代表画像とに基づく代表動画像が生成され(ステップS12)、生成された代表動画像が表示される(ステップS13)。もしくは、2月のCT検査に関する代表画像と1月の超音波検査に関する代表画像とに基づく代表動画像が生成され、生成された代表動画像が表示される。もしくは、2月のCT検査に関する代表画像と、1月の超音波検査に関する代表画像と、10月のMR検査に関する代表画像と、に基づく代表動画像が生成され、生成された代表動画像が表示される。従って代表動画像を観察するだけで、対象患者に関する複数の検査を視覚的に容易且つ正確に把握することができる。
【0057】
〔検査階層〕
1.入力された検索条件で検査リストを取得する(ステップS1〜S3)。
【0058】
2.検査リスト内の対象検査のシリーズ情報を取得する(ステップS4〜S7)。検索条件としてモダリティの種類が設定される。
【0059】
3.取得されたシリーズ情報から、レポート情報、波形情報、音声情報、3Dデータ、撮影生データのシリーズから1つ以上のシリーズを選択し、選択されたシリーズの各々から1以上のオブジェクトを取得する(ステップS4〜S11)。これら画像以外のオブジェクトは、画像に変換される(ステップS12)。
【0060】
画像情報のシリーズに関しては、全てのシリーズから1つ以上のオブジェクト情報を取得し、オリジナル画像が含まれるシリーズ、処理画像が含まれるシリーズからそれぞれ1つ以上のオブジェクトを取得する(ステップS4〜S11)。
【0061】
シリーズ以下の検索・選択方法は、後述のシリーズ以下の検索方法を利用してもよいし、中間・最初のシリーズ、画像を利用してもよい。
【0062】
これにより、例えば、対象検査がCTのオリジナル画像、CTの処理画像、及び読影レポートで構成されていた場合、CTのオリジナル画像に基づく代表画像(オリジナル代表画像)、CTの処理画像に基づく代表画像(処理代表画像)、読影レポートに基づく代表画像(レポート代表画像)を生成し、生成されたオリジナル代表画像、処理代表画像、及びレポート代表画像に基づいて代表動画像を生成する(ステップS12)。そして図9に示すように、生成された代表動画像DGが繰り返し表示される(ステップS13)。換言すれば、オリジナル代表画像I1、処理代表画像(例えば、MIP画像)I2、及びレポート代表画像I3を一枚ずつ切り換えながら繰り返し表示する。ユーザは、代表動画像を観察するだけで、対象検査の内容を視覚的に容易且つ正確に把握することができる。
【0063】
なお、検査を特徴付けるシリーズの選択方法として撮影部位を利用する場合は、シリーズの検索条件として検査部位が設定されるとよい。検査部位ごとの最新シリーズがオブジェクトの取得対象シリーズとして選択されるとよい。この際、シリーズリスト内の最新シリーズから所定期間内にあるシリーズの中から、取得対象シリーズが選択されるとよい。
【0064】
検査を特徴付けるシリーズの選択方法として造影の有無を利用する場合、シリーズの検索条件として造影検査情報が設定される。シリーズリスト内の最新シリーズから所定期間内のシリーズで、造影あり・なしのうちの最新シリーズが取得対象シリーズとして選択される。
【0065】
〔シリーズ階層〕
1.入力された検索条件でシリーズリストを取得する(ステップS1〜S3)。
【0066】
2.シリーズリスト内の対象シリーズのオブジェクト情報を取得する(ステップS4〜S7)。検索条件としてオブジェクトの種類や撮影部位が設定される。
【0067】
3.取得されたオブジェクト情報から、画像情報、レポート情報、波形情報、音声情報、3Dデータ、撮影生データのシリーズから1つ以上のシリーズを選択し、選択されたシリーズの各々から1以上のオブジェクトを取得する(ステップS4〜S11)。そして取得された複数のオブジェクトに基づいて複数の代表画像を生成し、生成された複数の代表画像に基づいて代表動画像を生成する(ステップS12)。そして生成された代表動画像が繰り返し表示される(ステップS13)。従って代表動画像を観察するだけで、対象シリーズの内容を視覚的に容易且つ正確に把握することができる。
【0068】
なお、画像情報のオブジェクトに関しては、オリジナル画像のオブジェクト、画像処理が施された画像のオブジェクトからそれぞれ1つ以上のオブジェクトを取得する。オブジェクトがマルチフレーム等の多数の画像を含む場合、後述のマルチフレームのオブジェクトの検索方法を利用してもよいし、中間の画像や最初の画像を利用してもよい。
【0069】
〔オブジェクトの階層(ECG同期)〕
1.入力された検索条件でオブジェクトリストを取得する(ステップS1〜S3)。検索条件としてECG同期の情報を設定する。
【0070】
2.ECGのR波同期として付帯情報で指定されている基準フレームを取得する(ステップS8〜S10)。
【0071】
3.ESGのR波同期で指定された基準フレームから1心拍の位相範囲内での中間フレームを次に取得する。順次、取得済みの画像の中間を次の取得対象として取得し、予め設定されたフレーム数に達するまで繰り返す(ステップS8〜S11)。
【0072】
以下、図10を参照しながら2と3の処理を具体的に説明する。図10に示すように、ECG同期のマルチフレームのオブジェクトは、ECG波形に関連付けられている。ECG波形中のR波に同期して取得されたフレームは、典型的には、基準フレームとして付帯情報で指定されている。まず初めにこの基準フレームが取得される。次に基準フレームを中心とした1心拍内のフレームを特定する。この1心拍内のフレームのうち最も早い時間に取得されたフレームを始端フレーム、最も遅い時間に取得されたフレームを終端フレームと呼ぶことにする。フレーム1が取得されると、次は、始端フレームと基準フレームとの中間フレーム、終端フレームと基準フレームとの中間フレームをそれぞれ取得する。この後は、既定のフレーム数に到達するまで、順次中間フレームを取得する。既定のフレーム数は、2以上であり、操作部11を介してユーザにより任意に設定可能である。
【0073】
このようにして、心位相の異なる複数のフレームを取得し、取得された複数のフレームに基づいて複数の代表画像を生成し、生成された複数の代表画像に基づいて代表動画像を生成する。生成された代表動画像は、画像リストとともに表示される。従ってユーザは、代表動画像を観察するだけで、その検査がECG同期、すなわち、心臓の動態検査であることを一目瞭然に理解することができる。
【0074】
〔オブジェクトの階層(造影検査)〕
1.入力された検索条件でオブジェクトリストを取得する(ステップS1〜S3)。検索条件として造影情報を設定する。
【0075】
2.造影検査オブジェクトの付帯情報で指定されている基準フレームを造影検査マルチフレームの中から取得する(ステップS8〜S11)。
【0076】
3.基準フレームと造影検査マルチフレーム中の始端フレームとの中間フレーム、基準フレームと造影検査マルチフレーム中の終端フレームとの中間フレームをそれぞれ取得する(ステップS8〜S11)。もしくは、付帯情報で指定されている注目時間範囲内での最初のフレームと最後のフレームとを取得する。
【0077】
4. 2.で取得された基準フレームの画素値と3.で取得されたフレームの画素値との差分の大きさに応じて、さらにフレームを取得するか否かを判断する。フレームを取得すると判断した場合、予め定められたルールに従ってフレームを取得する。フレームを取得しないと判断した場合、取得されたフレームに基づいて代表動画像を生成し(ステップS12)、生成された代表動画像を表示する(ステップS13)。
【0078】
以下、図11、図12、及び図13を参照しながら2.3.4.の処理を具体的に説明する。図11に示すように、まず、付帯情報で指定された基準フレーム(フレーム1)が取得される。次に例えば、フレーム1と造影検査マルチフレーム中の始端フレーム(図示せず)との中間フレーム(フレーム2―1)、フレーム1と造影検査マルチフレーム中の終端フレーム(図示せず)との中間フレーム(フレーム2―2)をそれぞれ取得する。
【0079】
次にフレーム1上の注目領域の平均画素値p1とフレーム2―1の平均画素値p2−1との差分p1−p2−1を算出し、算出された差分p1−p2−1と閾値Pとの大小を比較する。p1−p2−1>Pの場合、フレーム1は造影中画像であり、フレーム2−1は造影前画像であると識別される。同様に、次にフレーム1上の注目領域の平均画素値p1とフレーム2―2の平均画素値p2−2との差分p1−p2−2を算出し、算出された差分p1−p2−2と閾値Pとの大小を比較する。p1−p2−2>Pの場合、フレーム1は造影中画像であり、フレーム2−2は造影後画像であると識別される。フレーム2−1が造影前画像であり、且つフレーム2−2が造影後画像である場合、フレームの取得を終了してもよいし、3番目のフレームとして、フレーム1とフレーム2−1との中間フレーム、フレーム1とフレーム2―2との中間フレームをそれぞれ取得してもよい。
【0080】
以下に、フレームの他の取得方法を説明する。図12に示すように、0<p1−p2−x<P、もしくは−P<p1−p2−x<0の場合に3番目のフレームを取得してもよい。x=1の場合、3番目のフレームとして、フレーム1とフレーム2−2との中間フレーム3―1―1、フレーム2−1と始端フレームとの中間フレーム3―1―2をそれぞれ取得する。x=2の場合、3番目のフレームとして、フレーム1とフレーム2−1との中間フレーム3―2―1、フレーム2−2と終端フレームとの中間フレーム3―2―2をそれぞれ取得する。
【0081】
あるいは、p1−p2−x<−Pならば、フレーム2−xは造影中画像、フレーム1は造影前画像あるいは造影後画像と識別される。この場合、さらなるフレームの取得を終了してもよいし、あるいはフレーム1とフレーム2−xとの中間フレームを3番目のフレームとして取得してもよい。
【0082】
これらを、予め設定されたフレーム数に到達するまで、もしくは他の取得終了の条件に一致するまで繰り返す。そして取得した複数のフレームに基づいて複数の代表画像を生成し、生成された複数の代表画像に基づいて代表動画像を生成する。生成された代表動画像は、図13に示すように、画像リストとともに表示される。図13に示すように、動画像表示対象が造影検査のマルチフレームオブジェクトの場合、代表動画像DGは、造影タイミングが比較的大きく異なる複数のフレームから構成される。具体的には、代表動画像DGは、3フレームの代表画像、すなわち、造影前画像に基づく代表画像(造影前代表画像)I4、造影中画像に基づく代表画像(造影中代表画像)I5、及び造影後画像に基づく代表画像(造影後代表画像)I6により構成される。表示部27は、造影前代表画像I4、造影中代表画像I5、及び造影後代表画像I6を一枚ずつ切り換えながら繰り返し表示する。従ってユーザは、代表動画像を観察するだけで、その検査が造影検査であることを一目瞭然に理解することができる。
【0083】
上述のように医用情報表示装置1は、その検索結果リストが属する階層(動画像表示対象の階層)の特徴を示す複数のオブジェクトを取得する。この際、動画像表示対象の階層に含まれる全てのオブジェクトではなく、動画像表示対象の階層の特徴を示すオブジェクトが選択的に取得される。次に医用情報表示装置1は、取得された複数のオブジェクトに基づいて複数の代表画像を生成し、生成された複数の代表画像を動画像表示対象の階層の特徴を端的に示す代表動画像を生成する。そして医用情報表示装置1は、生成された代表動画像を検索結果リストとともに表示する。代表動画像は、動画像表示対象の階層に含まれる全てのオブジェクトを示す特徴を表現するのに必要なフレームから構成される。従ってユーザは、代表動画像を観察するだけで、簡便に動画像表示対象の階層の特徴、すなわち、その階層の内容を視覚的に正確且つ簡便に把握することができる。ユーザは、動画像表示対象の階層の内容を正確且つ簡便に把握できるので、ユーザ所望の検査やオブジェクトに到達するまでの時間を短縮できる。かくして医用情報表示装置1は、医用情報の検索に関する効率や操作性の向上を実現することができる。
【0084】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…医用情報表示装置(クライアント)、11…操作部、13…検索条件設定部、15…検索要求部、17…検索結果受信部、19…取得条件設定部、21…オブジェクト取得要求部、23…オブジェクト受信部、25…代表動画像生成部、27…表示部、100…医用情報管理装置(サーバ)
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用情報の検索結果を表示する医用情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のモダリティ(画像診断機器)の性能の向上やスループットの向上、検査方法の充実化により、検査で取得されるデータ量・データ種が急増している。データ量・データ種の増加に伴い、目的のオブジェクトを探し出すための利便性や操作性が低下している。
【0003】
目的のオブジェクトを探し出すための利便性や操作性の向上のため、検索結果リストとともに代表画像が表示されている。代表画像は、検索対象の検査やシリーズに関する一枚の画像であり、検索対象の検査やシリーズの特徴を端的に表している。代表画像は、例えば、位置決めシリーズ以外、最後に表示されていたシリーズ、あるいは正しい位置決め決定後に取得されたシリーズから選択されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009―160326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、代表画像は、全ての検査やシリーズの特徴を示しきれていない。例えば、「造影検査画像群」や「画像とレポートがある検査」の場合、代表画像は、これら検査の特徴を示すことができない。このため、多種多様なオブジェクトが混在している大容量の医用情報管理装置から目的のオブジェクトに到達するのは容易ではない。
【0006】
目的は、医用情報の検索に関する効率や操作性の向上を実現する医用情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る医用情報表示装置は、医用情報を記録したオブジェクトと複数の階層の識別情報とを対応付けて管理する医用情報管理装置にネットワークを介して接続された医用情報表示装置であって、前記複数の階層の各々に対応付けて特徴の抽出方法を記憶する記憶部と、前記抽出方法に基づいて、前記複数の階層のうちの所定の階層に属する複数のオブジェクトの中から前記所定の階層の特徴を表す複数のオブジェクトを選択する選択部と、前記選択された複数のオブジェクトに基づいて動画像を生成する生成部と、前記生成された動画像をその階層の特徴情報として表示する表示部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る医用情報表示装置のネットワーク環境を示す図である。
【図2】図1の医用情報表示装置とサーバとによる一般的な情報検索の流れを簡単に説明する。
【図3】図1の医用情報表示装置とサーバとによる一般的なオブジェクトの取得の流れを簡単に説明する。
【図4】図1の医用情報表示装置の構成を示す図。
【図5】図1の医用情報表示装置により実行される代表動画像の生成・表示処理の典型的な流れを示す図。
【図6】図1の検索条件設定部13により実行される、オブジェクトの特性を判断するための判断処理の流れの一例を示す図。
【図7】図5のステップSA8〜SA11までの処理を、取得対象として「オーバレイ情報が付加されたフレーム群」を例に挙げて説明するための図。
【図8】図5のステップS13に関する検索結果リストと代表動画像との表示例を示す図。
【図9】図5のステップS13に関する検索結果リストと代表動画像との表示例を示す他の図。
【図10】図5のステップSA8〜SA11までの処理を、取得対象として「ECG同期に関するフレーム群」を例に挙げて説明するための図。
【図11】図5のステップSA8〜SA11までの処理を、取得対象として「造影検査に関するフレーム群」を例に挙げて説明するための図。
【図12】図5のステップSA8〜SA11までの処理を、取得対象として「造影検査に関するフレーム群」を例に挙げて説明するための他の図。
【図13】図5のステップS13に関する検索結果リストと代表動画像との表示を、取得対象として「造影検査に関するフレーム群」を例に挙げて示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用情報表示装置を説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る医用情報表示装置(クライアント)1のネットワーク環境を示す図である。図1に示すように、医用情報表示装置1は、ネットワークを介して医用情報管理装置(以下、サーバと呼ぶことにする。)100に接続されている。
【0011】
サーバ100は、医用情報を階層化して管理している。例えば、医用情報は、DICOM規格に準拠した階層、すなわち、上から順番に患者階層、検査階層、シリーズ階層、オブジェクト階層の4階層に区分して管理されている。オブジェクトは、医用画像(概念的にオリジナル画像と画像処理により生成された処理画像とを含む)、レポート、音声、撮影生データ(例えば、X線CT装置における投影データや超音波診断装置におけるエコーデータ)、心電図、及び呼吸波形等の医用情報を含む。オブジェクトは、付帯情報に関連付けて管理されている。付帯情報は、オブジェクトに関する患者情報や検査情報、シリーズ情報、オブジェクト情報等の属性情報を含む。付帯情報としては、例えば、患者ID、検査ID、検査日付、検査部位、シリーズID、画像ID等がある。これら付帯情報は、オブジェクトを一意に識別するための識別情報になりうる。なお、本実施形態に係る階層は4階層に限定されず、4階層より少ない、あるいは4階層より多い複数階層であればよい。このようにサーバ100は、医用情報を記録したオブジェクトと複数の階層の識別情報とを対応付けて管理している。
【0012】
医用情報表示装置1とサーバ100とは、例えば、DICOM規格に準拠した通信(DICOM通信)を行う。医用情報表示装置1は、サーバ100から医用情報の検索結果やオブジェクトを取得し表示する。
【0013】
次に図2を参照しながら、医用情報表示装置1とサーバ100とによる一般的な情報検索の流れを簡単に説明する。図2に示すように、まずユーザは、医用情報表示装置1に検索条件を指定し、検索要求の開始指示をする。検索条件は、検索対象の階層(例えば、患者階層、検査階層、シリーズ階層、オブジェクト階層)と一致条件(いわゆる検索キー。例えば、特定の患者に関する識別情報、特定の検査に関する識別情報、特定のシリーズに関する識別情報、特定のオブジェクトに関する識別情報)とを含む。検索要求の開始指示がなされると医用情報表示装置1は、指定された検索条件による検索をサーバ100に要求する。DICOM通信の場合、医用情報表示装置1からサーバ100に対してDICOM_Query機能で検索要求がなされる。検索要求がなされるとサーバ100は、指定された検索条件でデータベースを検索する。このデータベースは、サーバ100の大容量記憶装置に記憶されているオブジェクトの記憶アドレスとオブジェクトの識別情報とを関連付けている。サーバ100は、検索条件に合致するオブジェクトの識別情報を検索結果として抽出する。そしてサーバ100は、医用情報表示装置1に検索結果を送信する。医用情報表示装置1は、送信された検索結果を表示する。
【0014】
次に図3を参照しながら、医用情報表示装置1とサーバ100とによる一般的なオブジェクトの取得の流れを説明する。図3に示すように、まずユーザは、医用情報表示装置1に取得条件を指定し、取得要求の開始指示をする。取得条件は、取得したいオブジェクトを特定するためのキーワードを含む。取得要求の開始指示がなされると医用情報表示装置1は、指定された取得条件によるデータ取得をサーバ100に要求する。DICOM通信の場合、医用情報表示装置1からサーバ100に対してDICOM_Retrieve機能で取得要求がなされる。取得要求がなされるとサーバ100は、指定された取得条件に合致するオブジェクトをサーバ100の大容量記憶装置から読み出す。そしてサーバ100は、読み出されたオブジェクトを医用情報表示装置1に送信する。DICOM通信の場合、サーバ100は、医用情報表示装置1に対してDICOM_Storage機能でデータ送信がなされる。また、サーバ100は、取得条件に合致するオブジェクトがサーバ100の大容量記憶装置に記憶されていなかった場合、医用情報表示装置1にその旨を通知する。医用情報表示装置1は、送信されたオブジェクトを表示したり、該当するオブジェクトがサーバ100に記憶されてなかった旨の情報を表示したりする。
【0015】
本実施形態に係る医用情報表示装置1は、検索対象の階層に関する検索結果リストを表示する際、この検索結果リストとともに、検索対象の階層の特徴を端的に示す動画像を表示する。以下、この動画像を代表動画像と呼び、また、代表動画像の表示対象の階層を動画像表示対象の階層と呼ぶことにする。本実施形態に係る医用情報表示装置1は、検索結果リストとともに代表動画像を表示することで、患者や検査、シリーズ、オブジェクトの内容を正確にわかりやすくユーザに提示できる。ユーザは、代表動画像を観察することで、簡便に目的の患者や検査、シリーズ、オブジェクトを探し当てることができる。
【0016】
図4は、医用情報表示装置1の構成を示す図である。図4に示すように、医用情報表示装置1は、操作部11、検索条件設定部13、検索要求部15、検索結果受信部17、取得条件設定部19、オブジェクト取得要求部21、オブジェクト受信部23、代表動画像生成部25、及び表示部27を備える。
【0017】
操作部11は、入力機器を介してユーザからの各種指令や情報入力を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、スイッチ等が利用可能である。
【0018】
検索条件設定部13は、操作部11を介したユーザによる指示に従って、又は自動的に、動画像表示対象の階層の検索結果を取得するための検索条件を設定する。また、検索条件設定部13は、操作部11を介したユーザによる指示に従って、又は自動的に、動画像表示対象の階層からオブジェクト階層まで到達するための検索条件を設定する。
【0019】
検索要求部15は、検索条件設定部13により設定された検索条件で動画像表示対象の階層の検索をサーバ100に要求する。このように検索要求部15は、動画像表示対象の階層に関する検索要求をサーバ100に送信する送信部として機能する。
【0020】
検索結果受信部17は、検索要求に応じてサーバ100が送信した検索結果を受信する。このように検索結果受信部17は、検索要求に応じてサーバ100から送信された検索結果を受信する受信部として機能する。
【0021】
取得条件設定部19は、代表動画像の生成に利用される複数のオブジェクトを取得するための取得条件を設定する。
【0022】
オブジェクト取得要求部21は、取得条件設定部19により設定された取得条件でオブジェクトの取得をサーバ100に要求する。このようにオブジェクト取得要求部21は、動画像表示対象の特徴を示す複数のオブジェクトの取得要求をサーバ100に送信する送信部として機能する。
【0023】
オブジェクト受信部23は、取得要求に応じてサーバ100が送信したオブジェクトを繰り返し受信する。このようにオブジェクト受信部23は、取得要求に応じてサーバ100から送信された複数のオブジェクトを受信する受信部として機能する。
【0024】
換言すれば、検索条件設定部13、検索要求部15、取得条件設定部19、及びオブジェクト取得要求部21は、抽出方法の記憶部とオブジェクトの選択部とを構成する。記憶部は、4階層の各々に対応付けて特徴の抽出方法を記憶する。特徴の抽出方法は、検索条件や取得条件に対応する。選択部は、操作部11を介して、あるいは自動的に選択された抽出方法に基づいて、4階層のうちの抽出対象の階層に属する複数のオブジェクトの中から、この抽出対象の階層の特徴を表す複数のオブジェクトを選択する。
【0025】
代表動画像生成部25は、オブジェクト受信部23により受信された複数のオブジェクトに基づいて代表動画像を生成する。具体的には、代表動画像生成部25は、受信された複数のオブジェクトに基づいて複数の画像(以下、代表動画像の元となる画像を代表画像と呼ぶことにする。)を生成し、生成された複数の代表画像を一枚一枚連続して表示可能な代表動画像を生成する。換言すれば、代表動画像生成部25は、選択部により選択された複数のオブジェクトに基づいて代表動画像を生成する。
【0026】
表示部27は、動画表示対象の階層の検索結果リストと代表動画像とを既定の表示レイアウトに従って表示する。また、表示部27は、検索条件や取得条件を入力するための条件設定画面を表示することもできる。
【0027】
次に医用情報表示装置1により実行される代表動画像の生成・表示処理における動作例を説明する。図5は、医用情報表示装置1により実行される代表動画像の生成・表示処理の典型的な動作例を示す図である。
【0028】
まずユーザは、表示部27に表示されている条件設定画面を見ながら、操作部11を介して動画像表示対象の階層や一致条件を入力する。検索条件設定部13は、入力された階層や一致条件に従って検索条件を設定する(ステップSA1)。例えば、動画像表示対象の階層が患者階層の場合、モダリティの種類と検査日付とのうちの少なくとも1つが一致条件に設定される。動画像表示対象の階層が検査階層の場合、例えば、モダリティの種類、オブジェクトの種類、撮影部位、造影の有無の少なくとも1つが一致条件に設定される。動画像表示対象の階層がシリーズ階層の場合、例えば、オブジェクトの種類、撮影部位とのうちの少なくとも1つが一致条件に設定される。動画像表示対象の階層がマルチフレームのオブジェクトの階層の場合、例えば、フレームの画素値、オーバレイ情報の有無、ECG波形との同期の有無、ウィンドウレベル、ウィンドウ幅、拡大率、縮小率のうちの少なくとも1つが一致条件に設定される。
【0029】
検索条件が設定されると検索要求部15は、設定された検索条件で動画像表示対象の階層の検索をサーバ100に要求する(ステップSA2)。検索は、上述のように、例えば、DICOM_Query等により行われる。サーバ100は、ステップSA1において設定された検索条件に従って検索を実行し、検索結果を得る。サーバ100は、検索結果を医用情報表示装置1に送信する。
【0030】
検索要求に応じてサーバ100が検索結果を送信すると、検索結果受信部17は、サーバ100からの検索結果を受信する(ステップSA3)。この検索結果は、代表動画像と共に表示される検索結果のリスト情報となる。
【0031】
ここで、検索結果受信部17は、受信された最新の検索結果が属する階層がオブジェクト階層であるか否かを判断する(ステップSA4)。検索結果受信部17は、最新の検索結果が属する階層がオブジェクト階層ではなく、患者階層、検査階層、あるいはシリーズ階層である場合(ステップSA4:NO)、検索条件設定部13にその旨の情報を供給する。この際、検索結果受信部17は、受信された最新の検索結果のデータを検索条件設定部13に供給する。
【0032】
ステップSA4において最新の検索結果が属する階層がオブジェクト階層でないと判断された場合、検索条件設定部13は、最新の検索結果が属する階層よりも一つ下の階層のための検索条件を設定する(ステップSA5)。この検索条件は、動画像表示対象の階層を特徴付けるオブジェクトを自動的に検索するために設定される。すなわち、動画像表示対象の階層以下の階層に属する検索対象は、動画像表示対象が必要とするものに設定される。動画像表示対象階層以下の階層に属する検索対象は、予め定められたルールに従って検索条件設定部13により自動的に設定される。このルールは、様々なツールにより実現されるが、例えば、オブジェクトの特性を判断するための判断処理により実現される。
【0033】
図6は、検索条件設定部13により実行される、オブジェクトの特性を判断するための判断処理の流れの一例を示す図である。図6に示すように、まず、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下に造影検査画像群が含まれているか否かを判定する(ステップSB1)。オブジェクトが造影検査に関するものである場合、そのオブジェクトの付帯情報にその旨のコードが付されている。従ってオブジェクトの付帯情報により、そのオブジェクトが造影検査に関するものであるか否かを特定することができる。造影検査画像群を含むと判定した場合(ステップSB1:YES)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下に造影検査画像群が含まれている旨のフラグAをたてる(ステップSB2)。
【0034】
ステップSB2が行われると、または、造影検査画像群を含まないと判定した場合(ステップSB1:NO)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下にオーバレイ情報を含む画像群が含まれているか否かを判定する(ステップSB3)。オブジェクトがオーバレイ情報を含んでいる場合、そのオブジェクトの付帯情報にその旨のコードが付されている。従ってオブジェクトの付帯情報により、そのオブジェクトがオーバレイ情報を含んでいるか否かを特定することができる。オーバレイ情報を含むと判定した場合(ステップSB3:YES)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下にオーバレイ情報を含む画像群が含まれている旨のフラグBをたてる(ステップSB4)。
【0035】
ステップSB4が行われると、または、オーバレイ情報を含まないと判定した場合(ステップSB3:NO)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下にECG同期に関する画像群が含まれているか否かを判定する(ステップSB5)。オブジェクトがECGに同期して取得された場合、そのオブジェクトの付帯情報にその旨のコードが付されている。従ってオブジェクトの付帯情報により、そのオブジェクトがECG同期に関するか否かを特定することができる。ECG同期に関する判定した場合(ステップSB5:YES)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下にECG同期に関する画像群が含まれている旨のフラグCをたてる(ステップSB6)。
【0036】
ステップSB6が行われると、または、ECG同期に関しないと判定した場合(ステップSB5:NO)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下に輝度調整がなされたオブジェクトを含む画像群が含まれているか否かを判定する(ステップSB7)。輝度調整は、例えば、ウィンドウレベルやウィンドウ幅の調整を意味する。オブジェクトに輝度調整がなされている場合、そのオブジェクトの付帯情報にその旨のコードが付されている。従ってオブジェクトの付帯情報により、そのオブジェクトに輝度調整がなされているか否かを特定することができる。輝度調整がなされていると判定した場合(ステップSB7:YES)、検索条件設定部13は、動画像表示対象の階層下に輝度調整がなされたオブジェクトを含む画像群が含まれている旨のフラグDをたてる(ステップSB8)。
【0037】
このようにして検索条件設定部13は、上述の判断処理により動画像表示対象の階層に含まれるオブジェクトの特性を特定していく。なお、図6に示す特性の判断処理は、一例であり、各特性の判定順序や判定される特性の内容は、これに限定されない。
【0038】
図6に示す特性の判断処理が終了すると検索条件設定部13は、予め定められた特性の優先順位に従って、検索対象の検査、シリーズ、又はオブジェクトを設定する。例えば、条件A(造影検査)と条件C(ECG同期)とを満足する場合、すなわち、フラグAとフラグCとの両方がたっている場合、造影検査画像群を含む検査、シリーズ、又はオブジェクトが検索対象に設定される。例えば、条件A(造影検査)と条件B(オーバレイ有り)とを満足する場合、すなわち、フラグAとフラグBとの両方がたっている場合、オーバレイ情報が付された造影検査画像群を含む検査、シリーズ、又はオブジェクトが検索対象に設定される。
【0039】
なお上記の検索対象の設定ルールにおいては、一連の判定処理と特性の優先順位とにより、動画像表示対象の階層以下の階層に属する検索対象が設定されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、オブジェクトの特性の組み合わせと取得すべきオブジェクトとが関連付けられた決定表により設定されてもよい。
【0040】
ステップSA5において次の階層の検索条件が設定されると検索要求部15は、設定された検索条件で動画像表示対象の階層の検索をサーバ100に要求する(ステップSA6)。サーバ100は、上述のように、ステップSA5において設定された検索条件に従って検索を実行し、検索結果を得る。サーバ100は、検索結果を医用情報表示装置1に送信する。
【0041】
検索要求に応じてサーバ100が検索結果を送信すると、検索結果受信部17は、送信された検索結果を受信する(ステップSA7)。
【0042】
ステップSA7において検索結果が受信されると検索結果受信部17は、再び、受信された検索結果の階層がオブジェクト階層であるか否かを判断する(ステップSA4)。このようにして、最新の検索結果がオブジェクト階層に到達するまでステップSA4〜ステップSA7が繰り返される。
【0043】
例えば、動画像表示対象の階層が患者階層であり、特定の患者に関する検査を検索する場合、モダリティの種類や検査日付を指定して検索するとよい。この検索により、指定したモダリティや検査日付に関する検査のリストが検索結果としてサーバ100から返信される。次に、検査リストのうちの特定の検査に関するシリーズを検索する場合、例えば、最新日付に関するシリーズが検索されるとよい。この検索により、特定の検査に属する最新日付のシリーズのリストが検索結果としてサーバ100から返信される。
【0044】
そしてステップSA4において検索結果の階層がオブジェクト階層であると判断した場合(ステップSA4:YES)、検索結果受信部17は、その旨の情報とともに、最新の検索結果を取得条件設定部19に供給する。
【0045】
検索結果の階層がオブジェクトの階層であると判断された場合(ステップSA4:YES)、取得条件設定部19は、動画像表示対象の階層を特徴付けるオブジェクトの取得条件を設定する(ステップSA8)。この取得条件は、検索結果に従って自動的に設定される。取得条件は、動画像表示対象が必要とする条件に設定される。
【0046】
取得条件が設定されるとオブジェクト取得要求部21は、設定された取得条件でオブジェクトの取得をサーバ100に要求する(ステップSA9)。取得要求は、上述のように、例えば、DICOM_Retrieve等により行われる。サーバ100は、上述のように、ステップSA8において設定された取得条件に従ってオブジェクトを大容量記憶装置から取得する。サーバ100は、取得されたオブジェクトを医用情報表示装置1に送信する。
【0047】
取得要求に応じてサーバ100がオブジェクトを送信すると、オブジェクト受信部23は、サーバ100からのオブジェクトを受信する(ステップSA10)。受信されたオブジェクトは、代表動画像生成部25に供給される。
【0048】
オブジェクト受信部23によりオブジェクトが受信されると取得条件設定部19は、さらにオブジェクトを取得するか否かを判断する(ステップSA11)。例えば、取得条件設定部19は、予め設定されている条件、もしくは階層ごとの条件に従って、オブジェクトを取得するか否かを判断する。オブジェクトをさらに取得すると判断した場合(ステップSA11:YES)、取得条件設定部19は、取得したオブジェクトと、動画像表示対象階層が必要とする条件とから、次のオブジェクトの取得条件を設定する。そして、さらにオブジェクトを取得しないと判断されるまでステップSA8〜ステップSA11が繰り返される。オブジェクトは少なくとも2回は取得されるので、このことに応じてステップSA8〜ステップSA11は、少なくとも2回は実行される。
【0049】
以下に、ステップSA8〜SA11までの処理を、取得対象として「オーバレイ情報が付加されたフレーム群」を例に挙げて、図7を参照しながら説明する。図7に示すように、マルチフレームのオブジェクトに含まれるフレーム群は、時間経過に従って配列されている。各フレームには、時間経過に従って昇順又は降順に画像番号が付されている。まず、オーバレイ情報が付加されたフレーム群の中から1フレームを取得する。最初のフレームは、付帯情報で指定されている基準フレーム(フレーム1)であっても、オーバレイ情報が付加されているフレーム群のうちの中間フレームであってもよい。ここでは、中間フレームが始めに取得されるものとする。最初に取得されたフレームを第1フレームと呼ぶことにする。フレームは、例えば、画像番号を取得条件として取得される。次に、オーバレイ情報が付加されているフレーム群のうちの最も早い時刻に取得されたフレーム(第2のフレーム)と最も遅い時刻に取得されたフレーム(第3のフレーム)とが取得される。その後は、取得済みのフレームの中間フレームが順次取得される。例えば、最初のフレームと中間フレームとのオブジェクトの取得は、予め設定されている条件、もしくは階層ごとの条件に応じた回数だけ繰り返される。取得するフレームの枚数は、2枚以上であれば何枚でも良い。取得するフレームの枚数は、オブジェクトの特徴に応じて決定されていても良い。
【0050】
このようにして取得条件設定部19は、取得するフレームの枚数だけオブジェクトを取得すると、オブジェクトをさらに取得しないと判断する(ステップSA11:NO)。この場合、取得条件設定部19は、その旨の情報を代表動画像生成部25に供給する。そして代表動画像生成部25は、受信された複数のオブジェクトに基づいて代表動画像を生成する(ステップSA12)。代表動画像生成部25は、全てのオブジェクトの取得が完了してから代表動画像を生成してもよいし、オブジェクトが受信される毎に代表動画像を更新してもよい。オブジェクトがDICOM_Structured_Report等の形式のレポート情報、ECG等の波形情報、音声情報、3Dのボリューム情報、撮影生データ等の画像以外の場合、代表動画像生成部25は、これらオブジェクトを画像に変換する。より詳細には、オブジェクトが画像以外の場合、代表動画像生成部25は、これら画像以外のオブジェクトを表示した場合の画像をキャプチャし、キャプチャされた画像を代表画像として扱う。このように画像以外のオブジェクトを画像に変換することで、動画像表示対象の階層の特徴が画像以外のオブジェクトにある場合であっても、ユーザは、視覚的にその特徴を把握することができる。また、代表動画像を検索結果リストと同一画面に表示するために、代表動画像生成部25は、代表動画像の表示領域の大きさに応じてオリジナルの代表画像の大きさ(マトリクスサイズ)を縮小もしくは拡大する。
【0051】
代表動画像が生成されると表示部27は、ステップSA3において受信された検索結果のリストとステップSA12において生成された代表動画像とを既定のレイアウトで表示する。図8は、検索結果リストと代表動画像との表示例を示す図である。なお図8は、検査階層の検索結果リスト(検査リスト)が表示される例を示している。図8に示すように、代表動画像は、動画像表示対象の階層に属するレコード毎(動画像表示対象の階層が検査階層の場合は検査毎)に生成され、レコードに視覚的に関連付けて表示される。例えば、検査リストとしては、ステップSA3において受信された検索結果のテキスト情報と、その検査のテキスト特徴を端的に示す代表動画像DGが表示される。代表動画像DGの表示領域は、例えば、各検査のテキスト情報の横に配置される。代表動画像DG中の各代表画像は、時間経過に従って表示領域に一枚ずつ繰り返し表示される。代表画像の一枚あたりの表示時間は、ユーザにより操作部11を介して設定可能である。
【0052】
以下、動画像表示対象階層が患者階層、検査階層、シリーズ階層、及びオブジェクト階層の場合に関する具体例をそれぞれ説明する。
【0053】
〔患者階層〕
1.入力された検索条件で患者リストを取得する(ステップS1〜S3)。
【0054】
2.患者リスト内の対象患者の検査情報を取得する(ステップS4〜S7)。検索条件としてモダリティの種類や検査日付が設定される。
【0055】
3.取得された検査情報から、最新の検査のモダリティの種類と同一の検査のみを対象として、それぞれの検査から1以上のオブジェクトを取得する(ステップS4〜S11)。もしくは、最新の検査あるいは所定番目の検査のみを対象としてもよい。もしくは、最新の検査から遡ってN番目のみを対象としてもよい。シリーズ以下の検索方法は、後述の検査以下の検索方法を利用してもよいし、中間のシリーズ、最初のシリーズ、中間のオブジェクト、最初のオブジェクトを利用してもよい。
【0056】
これにより、例えば、対象患者が10月にMR検査、12月にCT検査、1月に超音波検査、2月にCT検査をしていた場合、2月のCT検査に関する代表画像と12月のCT検査に関する代表画像とに基づく代表動画像が生成され(ステップS12)、生成された代表動画像が表示される(ステップS13)。もしくは、2月のCT検査に関する代表画像と1月の超音波検査に関する代表画像とに基づく代表動画像が生成され、生成された代表動画像が表示される。もしくは、2月のCT検査に関する代表画像と、1月の超音波検査に関する代表画像と、10月のMR検査に関する代表画像と、に基づく代表動画像が生成され、生成された代表動画像が表示される。従って代表動画像を観察するだけで、対象患者に関する複数の検査を視覚的に容易且つ正確に把握することができる。
【0057】
〔検査階層〕
1.入力された検索条件で検査リストを取得する(ステップS1〜S3)。
【0058】
2.検査リスト内の対象検査のシリーズ情報を取得する(ステップS4〜S7)。検索条件としてモダリティの種類が設定される。
【0059】
3.取得されたシリーズ情報から、レポート情報、波形情報、音声情報、3Dデータ、撮影生データのシリーズから1つ以上のシリーズを選択し、選択されたシリーズの各々から1以上のオブジェクトを取得する(ステップS4〜S11)。これら画像以外のオブジェクトは、画像に変換される(ステップS12)。
【0060】
画像情報のシリーズに関しては、全てのシリーズから1つ以上のオブジェクト情報を取得し、オリジナル画像が含まれるシリーズ、処理画像が含まれるシリーズからそれぞれ1つ以上のオブジェクトを取得する(ステップS4〜S11)。
【0061】
シリーズ以下の検索・選択方法は、後述のシリーズ以下の検索方法を利用してもよいし、中間・最初のシリーズ、画像を利用してもよい。
【0062】
これにより、例えば、対象検査がCTのオリジナル画像、CTの処理画像、及び読影レポートで構成されていた場合、CTのオリジナル画像に基づく代表画像(オリジナル代表画像)、CTの処理画像に基づく代表画像(処理代表画像)、読影レポートに基づく代表画像(レポート代表画像)を生成し、生成されたオリジナル代表画像、処理代表画像、及びレポート代表画像に基づいて代表動画像を生成する(ステップS12)。そして図9に示すように、生成された代表動画像DGが繰り返し表示される(ステップS13)。換言すれば、オリジナル代表画像I1、処理代表画像(例えば、MIP画像)I2、及びレポート代表画像I3を一枚ずつ切り換えながら繰り返し表示する。ユーザは、代表動画像を観察するだけで、対象検査の内容を視覚的に容易且つ正確に把握することができる。
【0063】
なお、検査を特徴付けるシリーズの選択方法として撮影部位を利用する場合は、シリーズの検索条件として検査部位が設定されるとよい。検査部位ごとの最新シリーズがオブジェクトの取得対象シリーズとして選択されるとよい。この際、シリーズリスト内の最新シリーズから所定期間内にあるシリーズの中から、取得対象シリーズが選択されるとよい。
【0064】
検査を特徴付けるシリーズの選択方法として造影の有無を利用する場合、シリーズの検索条件として造影検査情報が設定される。シリーズリスト内の最新シリーズから所定期間内のシリーズで、造影あり・なしのうちの最新シリーズが取得対象シリーズとして選択される。
【0065】
〔シリーズ階層〕
1.入力された検索条件でシリーズリストを取得する(ステップS1〜S3)。
【0066】
2.シリーズリスト内の対象シリーズのオブジェクト情報を取得する(ステップS4〜S7)。検索条件としてオブジェクトの種類や撮影部位が設定される。
【0067】
3.取得されたオブジェクト情報から、画像情報、レポート情報、波形情報、音声情報、3Dデータ、撮影生データのシリーズから1つ以上のシリーズを選択し、選択されたシリーズの各々から1以上のオブジェクトを取得する(ステップS4〜S11)。そして取得された複数のオブジェクトに基づいて複数の代表画像を生成し、生成された複数の代表画像に基づいて代表動画像を生成する(ステップS12)。そして生成された代表動画像が繰り返し表示される(ステップS13)。従って代表動画像を観察するだけで、対象シリーズの内容を視覚的に容易且つ正確に把握することができる。
【0068】
なお、画像情報のオブジェクトに関しては、オリジナル画像のオブジェクト、画像処理が施された画像のオブジェクトからそれぞれ1つ以上のオブジェクトを取得する。オブジェクトがマルチフレーム等の多数の画像を含む場合、後述のマルチフレームのオブジェクトの検索方法を利用してもよいし、中間の画像や最初の画像を利用してもよい。
【0069】
〔オブジェクトの階層(ECG同期)〕
1.入力された検索条件でオブジェクトリストを取得する(ステップS1〜S3)。検索条件としてECG同期の情報を設定する。
【0070】
2.ECGのR波同期として付帯情報で指定されている基準フレームを取得する(ステップS8〜S10)。
【0071】
3.ESGのR波同期で指定された基準フレームから1心拍の位相範囲内での中間フレームを次に取得する。順次、取得済みの画像の中間を次の取得対象として取得し、予め設定されたフレーム数に達するまで繰り返す(ステップS8〜S11)。
【0072】
以下、図10を参照しながら2と3の処理を具体的に説明する。図10に示すように、ECG同期のマルチフレームのオブジェクトは、ECG波形に関連付けられている。ECG波形中のR波に同期して取得されたフレームは、典型的には、基準フレームとして付帯情報で指定されている。まず初めにこの基準フレームが取得される。次に基準フレームを中心とした1心拍内のフレームを特定する。この1心拍内のフレームのうち最も早い時間に取得されたフレームを始端フレーム、最も遅い時間に取得されたフレームを終端フレームと呼ぶことにする。フレーム1が取得されると、次は、始端フレームと基準フレームとの中間フレーム、終端フレームと基準フレームとの中間フレームをそれぞれ取得する。この後は、既定のフレーム数に到達するまで、順次中間フレームを取得する。既定のフレーム数は、2以上であり、操作部11を介してユーザにより任意に設定可能である。
【0073】
このようにして、心位相の異なる複数のフレームを取得し、取得された複数のフレームに基づいて複数の代表画像を生成し、生成された複数の代表画像に基づいて代表動画像を生成する。生成された代表動画像は、画像リストとともに表示される。従ってユーザは、代表動画像を観察するだけで、その検査がECG同期、すなわち、心臓の動態検査であることを一目瞭然に理解することができる。
【0074】
〔オブジェクトの階層(造影検査)〕
1.入力された検索条件でオブジェクトリストを取得する(ステップS1〜S3)。検索条件として造影情報を設定する。
【0075】
2.造影検査オブジェクトの付帯情報で指定されている基準フレームを造影検査マルチフレームの中から取得する(ステップS8〜S11)。
【0076】
3.基準フレームと造影検査マルチフレーム中の始端フレームとの中間フレーム、基準フレームと造影検査マルチフレーム中の終端フレームとの中間フレームをそれぞれ取得する(ステップS8〜S11)。もしくは、付帯情報で指定されている注目時間範囲内での最初のフレームと最後のフレームとを取得する。
【0077】
4. 2.で取得された基準フレームの画素値と3.で取得されたフレームの画素値との差分の大きさに応じて、さらにフレームを取得するか否かを判断する。フレームを取得すると判断した場合、予め定められたルールに従ってフレームを取得する。フレームを取得しないと判断した場合、取得されたフレームに基づいて代表動画像を生成し(ステップS12)、生成された代表動画像を表示する(ステップS13)。
【0078】
以下、図11、図12、及び図13を参照しながら2.3.4.の処理を具体的に説明する。図11に示すように、まず、付帯情報で指定された基準フレーム(フレーム1)が取得される。次に例えば、フレーム1と造影検査マルチフレーム中の始端フレーム(図示せず)との中間フレーム(フレーム2―1)、フレーム1と造影検査マルチフレーム中の終端フレーム(図示せず)との中間フレーム(フレーム2―2)をそれぞれ取得する。
【0079】
次にフレーム1上の注目領域の平均画素値p1とフレーム2―1の平均画素値p2−1との差分p1−p2−1を算出し、算出された差分p1−p2−1と閾値Pとの大小を比較する。p1−p2−1>Pの場合、フレーム1は造影中画像であり、フレーム2−1は造影前画像であると識別される。同様に、次にフレーム1上の注目領域の平均画素値p1とフレーム2―2の平均画素値p2−2との差分p1−p2−2を算出し、算出された差分p1−p2−2と閾値Pとの大小を比較する。p1−p2−2>Pの場合、フレーム1は造影中画像であり、フレーム2−2は造影後画像であると識別される。フレーム2−1が造影前画像であり、且つフレーム2−2が造影後画像である場合、フレームの取得を終了してもよいし、3番目のフレームとして、フレーム1とフレーム2−1との中間フレーム、フレーム1とフレーム2―2との中間フレームをそれぞれ取得してもよい。
【0080】
以下に、フレームの他の取得方法を説明する。図12に示すように、0<p1−p2−x<P、もしくは−P<p1−p2−x<0の場合に3番目のフレームを取得してもよい。x=1の場合、3番目のフレームとして、フレーム1とフレーム2−2との中間フレーム3―1―1、フレーム2−1と始端フレームとの中間フレーム3―1―2をそれぞれ取得する。x=2の場合、3番目のフレームとして、フレーム1とフレーム2−1との中間フレーム3―2―1、フレーム2−2と終端フレームとの中間フレーム3―2―2をそれぞれ取得する。
【0081】
あるいは、p1−p2−x<−Pならば、フレーム2−xは造影中画像、フレーム1は造影前画像あるいは造影後画像と識別される。この場合、さらなるフレームの取得を終了してもよいし、あるいはフレーム1とフレーム2−xとの中間フレームを3番目のフレームとして取得してもよい。
【0082】
これらを、予め設定されたフレーム数に到達するまで、もしくは他の取得終了の条件に一致するまで繰り返す。そして取得した複数のフレームに基づいて複数の代表画像を生成し、生成された複数の代表画像に基づいて代表動画像を生成する。生成された代表動画像は、図13に示すように、画像リストとともに表示される。図13に示すように、動画像表示対象が造影検査のマルチフレームオブジェクトの場合、代表動画像DGは、造影タイミングが比較的大きく異なる複数のフレームから構成される。具体的には、代表動画像DGは、3フレームの代表画像、すなわち、造影前画像に基づく代表画像(造影前代表画像)I4、造影中画像に基づく代表画像(造影中代表画像)I5、及び造影後画像に基づく代表画像(造影後代表画像)I6により構成される。表示部27は、造影前代表画像I4、造影中代表画像I5、及び造影後代表画像I6を一枚ずつ切り換えながら繰り返し表示する。従ってユーザは、代表動画像を観察するだけで、その検査が造影検査であることを一目瞭然に理解することができる。
【0083】
上述のように医用情報表示装置1は、その検索結果リストが属する階層(動画像表示対象の階層)の特徴を示す複数のオブジェクトを取得する。この際、動画像表示対象の階層に含まれる全てのオブジェクトではなく、動画像表示対象の階層の特徴を示すオブジェクトが選択的に取得される。次に医用情報表示装置1は、取得された複数のオブジェクトに基づいて複数の代表画像を生成し、生成された複数の代表画像を動画像表示対象の階層の特徴を端的に示す代表動画像を生成する。そして医用情報表示装置1は、生成された代表動画像を検索結果リストとともに表示する。代表動画像は、動画像表示対象の階層に含まれる全てのオブジェクトを示す特徴を表現するのに必要なフレームから構成される。従ってユーザは、代表動画像を観察するだけで、簡便に動画像表示対象の階層の特徴、すなわち、その階層の内容を視覚的に正確且つ簡便に把握することができる。ユーザは、動画像表示対象の階層の内容を正確且つ簡便に把握できるので、ユーザ所望の検査やオブジェクトに到達するまでの時間を短縮できる。かくして医用情報表示装置1は、医用情報の検索に関する効率や操作性の向上を実現することができる。
【0084】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1…医用情報表示装置(クライアント)、11…操作部、13…検索条件設定部、15…検索要求部、17…検索結果受信部、19…取得条件設定部、21…オブジェクト取得要求部、23…オブジェクト受信部、25…代表動画像生成部、27…表示部、100…医用情報管理装置(サーバ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用情報を記録したオブジェクトと複数の階層の識別情報とを対応付けて管理する医用情報管理装置にネットワークを介して接続された医用情報表示装置であって、
前記複数の階層の各々に対応付けて特徴の抽出方法を記憶する記憶部と、
前記抽出方法に基づいて、前記複数の階層のうちの所定の階層に属する複数のオブジェクトの中から前記所定の階層の特徴を表す複数のオブジェクトを選択する選択部と、
前記選択された複数のオブジェクトに基づいて動画像を生成する生成部と、
前記生成された動画像をその階層の特徴情報として表示する表示部と、
を具備する医用情報表示装置。
【請求項2】
患者階層、検査階層、シリーズ階層、オブジェクト階層の4階層により医用情報を管理する医用情報管理装置にネットワークを介して接続された医用情報表示装置であって、
前記4階層のうちのユーザ指定の階層の特徴を示す複数のオブジェクトの取得要求を前記医用情報管理装置に送信する取得要求部と、
前記取得要求に応じて前記医用情報管理装置から送信された複数のオブジェクトを受信するオブジェクト受信部と、
前記受信された複数のオブジェクトに基づいて動画像を生成する生成部と、
前記生成された動画像を表示する表示部と、
を具備する医用情報表示装置。
【請求項3】
前記4階層のうちのユーザ指定の階層に関する検索要求を前記医用情報管理装置に送信する検索要求部と、
前記検索要求に応じて前記医用情報管理装置から送信された検索結果を受信する検索結果受信部と、
をさらに備え、
前記表示部は、前記受信された検索結果のリストと前記動画像とを表示する、
請求項2記載の医用情報表示装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記オブジェクトが画像でない場合、前記オブジェクトを画像に変換する、請求項2記載の医用情報表示装置。
【請求項5】
前記検索結果リストに応じて自動的に、又はユーザからの指示に従って手動的に、前記オブジェクト階層に到達するための検索条件を決定する決定部をさらに備える、請求項2記載の医用情報表示装置。
【請求項6】
前記ユーザ指定の階層が患者の場合、前記検索条件は、モダリティの種類と検査時期とのうちの少なくとも一つである、請求項5記載の医用情報表示装置。
【請求項7】
前記ユーザ指定の階層が検査の場合、前記検索条件は、モダリティの種類、オブジェクトの種類、撮影部位、造影の有無のうちの少なくとも一つである、請求項5記載の医用情報表示装置。
【請求項8】
前記ユーザ指定の階層がシリーズの場合、前記検索条件は、オブジェクトの種類と撮影部位とのうちの少なくとも一つである、請求項5記載の医用情報表示装置。
【請求項9】
前記ユーザ指定の階層がオブジェクトの場合、前記検索条件は、造影検査に関するか否か、オーバレイ情報の有無、ECG波形との同期の有無、ウィンドウレベル、ウィンドウ幅、拡大率、及び縮小率のうちの少なくとも一つである、請求項5記載の医用情報表示装置。
【請求項10】
前記取得要求部は、造影検査のマルチフレームからフレームを取得する場合、フレーム間の画素値差と閾値との比較に応じてフレームを取得する、請求項2記載の医用情報表示装置。
【請求項1】
医用情報を記録したオブジェクトと複数の階層の識別情報とを対応付けて管理する医用情報管理装置にネットワークを介して接続された医用情報表示装置であって、
前記複数の階層の各々に対応付けて特徴の抽出方法を記憶する記憶部と、
前記抽出方法に基づいて、前記複数の階層のうちの所定の階層に属する複数のオブジェクトの中から前記所定の階層の特徴を表す複数のオブジェクトを選択する選択部と、
前記選択された複数のオブジェクトに基づいて動画像を生成する生成部と、
前記生成された動画像をその階層の特徴情報として表示する表示部と、
を具備する医用情報表示装置。
【請求項2】
患者階層、検査階層、シリーズ階層、オブジェクト階層の4階層により医用情報を管理する医用情報管理装置にネットワークを介して接続された医用情報表示装置であって、
前記4階層のうちのユーザ指定の階層の特徴を示す複数のオブジェクトの取得要求を前記医用情報管理装置に送信する取得要求部と、
前記取得要求に応じて前記医用情報管理装置から送信された複数のオブジェクトを受信するオブジェクト受信部と、
前記受信された複数のオブジェクトに基づいて動画像を生成する生成部と、
前記生成された動画像を表示する表示部と、
を具備する医用情報表示装置。
【請求項3】
前記4階層のうちのユーザ指定の階層に関する検索要求を前記医用情報管理装置に送信する検索要求部と、
前記検索要求に応じて前記医用情報管理装置から送信された検索結果を受信する検索結果受信部と、
をさらに備え、
前記表示部は、前記受信された検索結果のリストと前記動画像とを表示する、
請求項2記載の医用情報表示装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記オブジェクトが画像でない場合、前記オブジェクトを画像に変換する、請求項2記載の医用情報表示装置。
【請求項5】
前記検索結果リストに応じて自動的に、又はユーザからの指示に従って手動的に、前記オブジェクト階層に到達するための検索条件を決定する決定部をさらに備える、請求項2記載の医用情報表示装置。
【請求項6】
前記ユーザ指定の階層が患者の場合、前記検索条件は、モダリティの種類と検査時期とのうちの少なくとも一つである、請求項5記載の医用情報表示装置。
【請求項7】
前記ユーザ指定の階層が検査の場合、前記検索条件は、モダリティの種類、オブジェクトの種類、撮影部位、造影の有無のうちの少なくとも一つである、請求項5記載の医用情報表示装置。
【請求項8】
前記ユーザ指定の階層がシリーズの場合、前記検索条件は、オブジェクトの種類と撮影部位とのうちの少なくとも一つである、請求項5記載の医用情報表示装置。
【請求項9】
前記ユーザ指定の階層がオブジェクトの場合、前記検索条件は、造影検査に関するか否か、オーバレイ情報の有無、ECG波形との同期の有無、ウィンドウレベル、ウィンドウ幅、拡大率、及び縮小率のうちの少なくとも一つである、請求項5記載の医用情報表示装置。
【請求項10】
前記取得要求部は、造影検査のマルチフレームからフレームを取得する場合、フレーム間の画素値差と閾値との比較に応じてフレームを取得する、請求項2記載の医用情報表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−68747(P2012−68747A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211268(P2010−211268)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]