医用画像を運動補正する方法及び装置
【課題】一体型PET/CTシステムのような多重モダリティ・システムにおいて、運動関連の撮像アーティファクトを減少させる。
【解決手段】画像において運動関連の撮像アーティファクトを減少させる方法が、関心領域の画像データセット(14)を得るステップと、画像データセットを用いて複数の中間画像(150)を形成するステップと、運動情報(250)を生成するために複数の中間画像に多変量データ解析手法を施すステップと、運動情報に基づいて中間画像(150)を複数のビン(300)に振り分けるステップと、複数のビンの少なくとも一つを用いて関心領域の画像(500)を形成するステップとを含んでいる。
【解決手段】画像において運動関連の撮像アーティファクトを減少させる方法が、関心領域の画像データセット(14)を得るステップと、画像データセットを用いて複数の中間画像(150)を形成するステップと、運動情報(250)を生成するために複数の中間画像に多変量データ解析手法を施すステップと、運動情報に基づいて中間画像(150)を複数のビン(300)に振り分けるステップと、複数のビンの少なくとも一つを用いて関心領域の画像(500)を形成するステップとを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示される主題は一般的には、イメージング・システムに関し、さらに具体的には、医用画像を運動補正する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異なるモダリティ、例えば計算機式断層写真法(CT)、磁気共鳴撮像(MRI)、陽電子放出断層写真法(PET)、及び単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)を用いて走査を行なう多重モダリティ・イメージング・システムが存在する。動作時には、これら従来のイメージング・システムの画質は撮像対象の運動に影響され得る。具体的には、撮像対象の運動が画質を低下させ得る。さらに明確に述べると、画像アーティファクトが画像取得時の対象の移動によって発生される。呼吸運動が医用イメージング・システムに見受けられる哺乳動物(例えば人間及び動物)の不随意運動の一般的な原因である。呼吸運動は、医師が病変の大きさの決定、病変の位置の決定、又は病変の定量化等の画像精査を行なう際に誤りを招く場合がある。
【0003】
また、多重モダリティ・システム、例えば一体型PET/CTシステムでは、PET画像及びCT画像を互いに対して位置合わせすべきである。しかしながら、CT画像は典型的には短時間で取得されるので、CT画像によって生成される減弱マップは呼吸運動の存在しない全呼気時の患者の減弱特性を表わす。対照的に、PET画像は典型的には相対的に長時間で取得され、取得時間が長いため患者は自由に呼吸することを許される。これら二つのデータ取得モードの間の不整合のため、減弱補正後のPET画像に画像アーティファクトが生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0135556号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像アーティファクトを減少させる一つの公知の方法は、多数の呼吸相のCT画像(又は最大強度CT画像)を平均して、多数の呼吸サイクルにわたって収集されるPET取得の効果を模擬するものである。撮像アーティファクトを減少させるもう一つの公知の方法は、呼吸同期式CT取得を用いて、呼吸同期式PET取得の呼吸特性とよりよく整合する減弱補正マップを生成するものである。さらにもう一つの方法として、走査時に保息するように患者に依頼する場合もある。しかしながら、PETデータは数分間にわたって取得される場合があるので、患者は典型的には、PET取得時には何度か呼吸しなければならず、画像アーティファクトを生ずる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、画像において運動関連の撮像アーティファクトを減少させる方法が提供される。この方法は、関心領域の画像データセットを得るステップと、運動情報を生成するために画像データセットに多変量データ解析手法を施すステップと、運動情報に基づいて画像データセットを複数のビンに振り分けるステップと、複数のビンの少なくとも一つを用いて関心領域の画像を形成するステップとを含んでいる。
【0007】
もう一つの実施形態では、スキャナと、スキャナに結合されて動作するコンピュータとを含む医用イメージング・システムが提供される。コンピュータは、スキャナを用いて対象の撮像データセットを取得し、この画像データセットを用いて複数の中間画像を形成し、運動情報を生成するために複数の中間画像に多変量データ解析手法を施し、運動情報に基づいて中間画像を複数のビンに振り分けて、複数のビンの少なくとも一つを用いて関心領域の画像を形成するようにプログラムされている。
【0008】
さらにもう一つの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。このコンピュータ可読媒体は、スキャナを用いて対象の撮像データセットを取得し、画像データセットを用いて複数の中間画像を形成し、運動情報を生成するために複数の中間画像に多変量データ解析手法を施し、運動情報に基づいて中間画像を複数のビンに振り分けて、複数のビンの少なくとも一つを用いて関心領域の画像を形成することをコンピュータに指令するようにプログラムされたプログラムで符号化されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】様々な実施形態に従って形成されるイメージング・システム例を示す単純化した概略図である。
【図2】様々な実施形態による運動関連の撮像アーティファクトを減少させる方法を示す流れ図である。
【図3】様々な実施形態に従って形成されるサイノグラム例を示す単純化したブロック図である。
【図4】様々な実施形態に従って形成され得る平均情報を表わす画像例を示す図である。
【図5】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報を表わす画像例を示す図である。
【図6】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報例を示す図である。
【図7】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報を表わすもう一つの画像例を示す図である。
【図8】様々な実施形態に従って形成され得る運動信号例を示す図である。
【図9】様々な実施形態に従って形成され得る画像例を示す図である。
【図10】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報を表わすもう一つの画像例を示す図である。
【図11】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報例を示す図である。
【図12】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報を表わすもう一つの画像例を示す図である。
【図13】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報例を示す図である。
【図14】様々な実施形態に従って形成されるイメージング・システム例を示す見取り図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以上の概要及び以下の様々な実施形態の詳細な説明は、添付図面と併せて読むとさらに十分に理解されよう。図面が様々な実施形態の機能ブロックの線図を示す範囲までにおいて、機能ブロックは必ずしもハードウェア回路の間の区分を示す訳ではない。従って、例えば、機能ブロックの1又は複数(例えばプロセッサ若しくはメモリ)が単体のハードウェア(例えば汎用信号プロセッサ若しくはランダム・アクセス・メモリのブロック、又はハード・ディスク等)として具現化されてもよいし、多数のハードウェアとして具現化されてもよい。同様に、プログラムは独立型プログラムであってもよいし、オペレーティング・システムのサブルーチンとして組み込まれていてもよいし、インストールされているソフトウェア・パッケージの関数等であってもよい。尚、様々な実施形態は図面に示されている構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0011】
本書で用いる場合には、単数形で記載されており単数不定冠詞を冠した要素またはステップとの用語は、排除を明記していない限りかかる要素又はステップを複数備えることを排除しないものと理解されたい。さらに、本発明の「一実施形態」に対する参照は、所載の特徴を同様に組み入れている追加の実施形態の存在を排除しないものと解釈されたい。また、反対に明記されていない限り、特定の特性を有する一つの要素若しくは複数の要素を「含んでいる」又は「有している」実施形態は、この特性を有しないような追加の要素も包含し得る。
【0012】
また、本書で用いられる「画像を再構成する」との表現は、画像を表わすデータが生成されるが可視画像は形成されないような本発明の実施形態を排除するものではない。従って、本書で用いられる「画像」との用語は、可視画像及び可視画像を表わすデータの両方を広く指す。但し、多くの実施形態は少なくとも1枚の可視画像を形成する又は形成するように構成されている。
【0013】
図1は、陽電子放出断層写真法(PET)イメージング・システム10の一例を示す単純化したブロック図である。PETイメージング・システム10は、患者16の四次元(4D)放出(エミッション)データセット14を生成するように動作可能なPETスキャナ12を含み得る。4D放出データセット14は三つの空間次元及び時間を表わす。4D放出データセット14はメモリ装置20に記憶され得る。メモリ装置20は、電気式システム、磁気式システム及び/又は光学式システムを含めた記憶回路の任意の組み合わせを含み得る。メモリ装置20には、例えば読み出し専用メモリ(ROM)22、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)24、及び/又はバルク・メモリ26が含まれ得る。
【0014】
メモリ装置20は、プロセッサ30によって実行されるプログラム命令を記憶することができる。プログラム命令は、任意の適当なコンピュータ言語、例えばMatlabで書かれていてよい。プロセッサ30は、例えば特にマイクロプロセッサ、ディジタル信号プロセッサ及びフィールド・プログラマブル論理アレイのような適当な処理システムの任意の一つ又は組み合わせであってよい。処理システムは、任意の適当な計算装置、例えばコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、ラップトップ・コンピュータ、ノートブック・コンピュータ、ハード・ドライブ方式装置、又はデータを受け取り、送出し、また記憶し得る任意の装置として具現化され得る。入出力(I/O)装置32が設けられて、利用者入力を受け取り、且つ/又は利用者に出力を提供することができる。I/O装置32はまた、例えば通信網を介して他の装置へ及び/又は他の装置からデータを転送することを可能にする通信リンクであってもよい。I/O装置32は、PET画像を表示する表示装置(図示されていない)を含み得る。I/O装置32は、利用者からの入力を受け取る装置を含み得る。例えば、この装置は、マウス、トラックボール、又は接触感知型インタフェイスを含み得る。イメージング・システム10はまた、運動特性決定モジュール50を含んでおり、このモジュール50は、放出データセット14の内部の運動を識別して、識別された運動を用いて放出データセット14を複数のビンに区分するように構成されており、次いで、ビンの少なくとも一つを用いて患者16の少なくとも一つの画像を再構成する。このことについては後にあらためて詳述する。この実施形態の例では、放出データセット14は4D放出データセットであり、運動特性決定モジュールはプロセッサ30にインストールされている。運動特性決定モジュールは、ハードウェア装置、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして具現化され得る。
【0015】
図2は、図1に示すPETイメージング・システム10によって実行される方法の一例のブロック図である。この実施形態の例では、方法100は、運動特性決定モジュール50を用いて具現化され得る。さらに明確に述べると、方法100は、本書に記載される方法の実施形態を実行するようにプロセッサ30に指示する命令を記憶した機械可読媒体(1又は複数)として提供され得る。媒体(1又は複数)は、任意の形式のCD−ROM、DVD、フロッピィ・ディスク、ハード・ディスク、光ディスク、フラッシュRAMドライブ若しくは他の形式のコンピュータ可読媒体、又はこれらの組み合わせであってよい。
【0016】
方法100は、対象16の運動を扱うために放出データセット14について運動特性決定、すなわち運動減少を提供する。動作について述べると、方法100は、対象16の運動を識別して、放出データセット14を再編成し、対象16の画像を再構成することを可能にする。尚、方法100はPETイメージング・システム10から得られる放出データセット14に関して記載されているが、CTイメージング・システムから得られる透過(トランスミッション)データセットにも適用され得ることを認められたい。また、方法100は、本書で議論される撮像モダリティの任意のものを用いて得られる任意の画像データセット又はサイノグラム・データに適用されることができ、放出データセット14は例に過ぎない。
【0017】
ブロック102では、対象16の放出データセット14(何れも図1に示す)が得られる。この実施形態の例では、放出データセット14はPETイメージング・システム10(図1に示す)を用いて得られている。放出データセット14は、当該放出データセット14を生成するための対象16の放出走査を行なうことにより取得され得る。選択随意で、放出データセット14は、対象16の事前走査時に収集されたデータから得られてもよく、この場合には放出データセット14はメモリ装置20(図1に示す)のようなメモリに既に記憶されている。放出データセット14は、例えばリスト・モード・データセットのような任意の形式として記憶されていてよい。放出データセット14は、患者16の実時間走査時に得られてもよい。例えば、本書に記載される各方法は、患者16の実時間検査時にPETスキャナ12から放出データを受け取りながらこの放出データに対して実行され得る。
【0018】
ブロック104では、放出データセット14を用いて複数の中間画像150を経時的に形成する。この実施形態の例では、中間画像150はサイノグラム150である。選択随意で、中間画像が再構成画像であってもよい。図3に示すように、複数のサイノグラム150は、例えば300ミリ秒の第一の時間フレームにわたり取得される第一のサイノグラム集合150aを含み得る。複数のサイノグラム150は、第一のサイノグラム集合150aに続く時間フレームにわたり取得される第二のサイノグラム集合150bを含むことができ、以下同様である。このように、走査工程の間の各々の時間フレーム、例えば300msの時間フレーム毎に一組のサイノグラム集合が生成される。生成されるサイノグラム150の数は、イメージング・システム10に設置されている検出器の数、期待される運動の速度、及びブロック102において行なわれる走査の長さ等に基づく。このように、複数のサイノグラム150は、走査工程の連続した各時間フレームにわたり取得される多数のサイノグラム集合(150a…150n)を含むことができ、例えば単一のサイノグラム集合は走査工程全体にわたり300ミリ秒毎に取得され得る。サイノグラム150は、システム10をサイノグラム・モードで動作させることにより生成され得る。サイノグラム・モードは一般に取得モードと呼ばれており、このモードでは、選択随意で同一の飛行時間(TOF)を有する消滅事象が、所定の(軸からの半径、角度)形式でサイノグラムとして記憶される。応答の配列がサイノグラムとして公知である。尚、他の方法及び/又は装置をデータ記憶に用いてよいこと、並びに本書に記載されるサイノグラムは、データを記憶するかかる方法の一例を表わしていることを認められたい。
【0019】
ブロック105では、ブロック104で生成されたサイノグラム150を前処理して対応する集合151を得る。例えば、サイノグラム150を前処理するためには、1)サイノグラムの異なる要素にわたり平均する(すなわちデータ容量及び雑音の低減)2)サイノグラムの幾つかの要素の除去(例えば運動が生ずると期待される場合、又は患者データが高周波空間情報にのみ寄与している場合にマスクを適用し、例えば偶発同時計数若しくは散乱同時計数のみの領域を除外する)3)既知の経時的変化の補正(例えば放射性崩壊によるもの)4)好ましくは一様分散を有する近似的ガウス分布型にデータを変換するために要素単位での操作をデータに施す等を行なうことができる。例えば、ポアソン分布型のデータの場合には、適当な変換としては、アンスコム(Anscombe)変換、フリーマン−テューキー(Freeman-Tukey)変換、又は単に平方根を取る等がある。平均化もマスク適用も、外部情報、例えば事前走査、並びに/又は運動の主方向及び位置についての事前知識に頼ることができる。例えば、患者の外形又は横隔膜のような関心領域を、事前CT走査から得られた画像から決定することができる。次いで、この領域情報をPETスキャナのモデルを用いてサイノグラムへ変換することができる。また、平均データ自体からマスクを導くこともできる(例えば閾値に基づいて背景計数を検出する)。
【0020】
ブロック106では、前処理済みサイノグラム集合151a…151nを用いて、時間平均情報152を生成する。例えば、ブロック104において各々の時間フレーム毎に25組のサイノグラム集合150a…150nが生成されたとすると、ブロック105では25個の前処理済みサイノグラム151a…151nが生成され、ブロック106では150aのサイノグラム一つ一つの要素一つ一つについて平均情報152が生成されて、25個の対応する要素の平均を算出する。
【0021】
図4は、サイノグラム集合151a…151nから生成され得る平均情報152の例を示す。サイノグラム集合151a…151nについて生成された平均情報の視覚的表現を図4ではPC0と示す。平均情報152は、前述のように各々の前処理済みサイノグラム集合150について平均情報(経時的)を決定することにより取得される。例えば、図4の例えばPC0は、四つの一様な対象例160、162、164及び166を走査することにより取得される平均情報を示しており、この場合には四つの対象の各々の運動は上下方向にあった。図4に示すように、四つの対象160、162、164及び166は各々、各々の対象の外辺の近くに平均ピクセル強度の変化を呈する。また、各々の対象160、162、164及び166のそれぞれ内部領域170、172、174及び176、並びに周囲の背景域180は実質的に均質であり、経時的にピクセル強度の偏りが殆ど又は全く存在しないことを示している。
【0022】
ブロック108では、各々のサイノグラム集合151a…151nについての平均情報152をそれぞれのサイノグラム集合150から減算してゼロ平均情報を生成し、次いでこの情報をPCAに入力する。従って、走査の一例において25組のサイノグラム集合150が経時的に生成されたとすると、この方法は、25組のサイノグラム集合150の各々の組について平均情報152を生成し、次いで25組のサイノグラム集合150の各々の組についてゼロ平均情報154を生成することを含んでいる。
【0023】
ブロック110では、次いでサイノグラム集合154をPCA方法の入力として用いる(以下、この前処理とPCAとの組み合わせをマスク付き容積単位PCA(Masked Volume Wise PCA)又はMVW−PCAと呼ぶ)。PCAの説明は広く入手可能である。要約すると、この方法は、データの(推定)共分散行列の支配的固有ベクトルを求める。出力は、一定数の固有ベクトル(各々集合154aと同じ容量の一組のサイノグラム集合に対応する)及び対応する固有値である。最大の固有値を有する固有ベクトルが、サイノグラム集合154a…154nの最大の変化(経時的)を説明する。初めの数個の固有ベクトルのみ算出することが可能であり、また望ましい。というのは最小の固有値を有する固有ベクトルはデータの雑音に対応するからである。これらの固有ベクトルをしばしば「主成分」と呼び、固有値の降順にPC1、PC2等と符号を付す。図5に示すように、PC1の画像は、図4で用いられたデータ例の第一の主成分を表わす。この例では、PC1の画像は、経時的に運動による最大変化を有する区域を示す。例えば、実質的に均質な色(ゼロに極めて近い値に対応する)を用いて示される対象160、162、164及び166の中心域は、対象のこの部分の元のデータの値が実質的に経時的に変化しなかったことを示す。また、PC1は、運動の程度又は量を表わす影付き区域を用いて対象160、162、164及び166(図5に示す)の端辺の周りに何らかの運動が存在していることを示す。例えば、PC1は、対象160の運動を表わす影付き領域160a及び160bを示している。領域162a及び162bは対象162の運動を表わす。領域164a及び164bは対象164の運動を表わし、領域166a及び166bは対象166の運動を表わす。また、この影は、PC1における対応する要素の値の符号を示す。例えば、領域160aの影は正の値を示し、領域160bの影は負の値を示す。対象160、162、164及び166の中心領域内では相対的に小さい運動の効果しか存在しないため、対象160、162、164及び166自体は、実質的に均質な色として示されている。また、対象160、162、164及び166の周りでは運動の相対的に小さい効果しか存在しないため、背景180も実質的に同じ色として示されている。
【0024】
図2に戻り、ブロック110において、各々のサイノグラム集合150について生成されるゼロ平均情報154を用いて、図6に示す1又は複数の重み係数156を生成する。さらに明確に述べると、PCAは、解析される各々の主成分毎に単一の重み係数、信号及び/又は曲線を出力する。この例では、PCAは、第一の主成分に対応する重み係数156を出力する。重み係数156は図6では各々の時間フレームに1個ずつの点として示されている。この実施形態の例では、重み係数156は、PC1の値と、ゼロ平均情報154a…154nによるサイノグラム集合の各々との要素単位の乗算を行なって、当該サイノグラム集合にわたる総和を求めることにより生成され、このようにして、各々のサイノグラム集合154a、154b…154n毎に単一の数を得る。
【0025】
さらに明確に述べると、図5に示す画像PC1を参照して述べると、PC1は、領域160a、160b、162a、162b、164a、164b、166a及び166bの影によって示される時間変化が放出データに存在していることを示す。特定の時間フレームにおいて、対象160、162、164及び166がそれぞれの最上位置に位置する場合には、ゼロ平均情報とPC1との乗算の結果は、領域160a、162a、164a及び166aでは例えば正となるが、これらの領域以外のあらゆる箇所では実質的にゼロとなる。従って、この時間フレームでの重み係数156の値は正となる。反対に、対象が最下位置にある場合には、信号の値は負となる(又は実際には最上位置の反対の符号を有する)。従って、重み係数156の値は、単一の正の数となる場合には第一の方向において大きさの変化が観察されたことを示す。重み係数156の値は、単一の負の数となる場合には反対の第二の方向において大きさの負の変化が観察されたことを示す。重み係数156の値がゼロである場合には、対象の平均位置に関する変化が存在しないことを示す。また、重み係数156の値は一定範囲の正及び負の値の範囲内にあり得る。例えば、小さい正の値は平均に関する対象の相対的に小さい移動を示し得る。一方、より大きい正の値は対象16のより大きい移動を表わし得る。
【0026】
この実施形態の例では、MVW−PCAはゼロ平均情報154をさらに明確に識別するように構成され得る。例えば、図7は、PCAによって出力され得る第二の成分を表わす画像PC2を示す。尚、MVW−PCAによって生成されるPC画像の量は、ゼロ平均情報を特性決定するための所望の精度に基づいていてよいことを認められたい。例えば、MVW−PCAは、PC1画像のみを用いて後にあらためて詳述する運動信号を発生し得る。PCAから出力され得る異なる主成分に対応する運動信号は、異なる形式の運動、例えば呼吸運動、心運動及び体動等を表わし得る。このことについては後にあらためて詳述する。
【0027】
図2に戻り、ブロック112では、ブロック110で導かれた重み係数156を用いて、運動信号250を発生する。例えば、図8は、MVW−PCAを用いて導かれる運動信号例250を示しており、x軸は時間を表わし、y軸はブロック110において各々のサイノグラム集合150について導かれた重み係数156の大きさを表わす。この実施形態の例では、重み係数156は、サイノグラム集合150の各々の組について時間逐次態様で導かれる。例えば、MVW−PCAは、この実施形態の例では走査時に生成される第一のサイノグラムであるサイノグラム集合150aについての重み係数156aを導く。次いで、MVW−PCAは、第二のサイノグラム集合150bについては重み係数156bを導き、走査手順において取得される最後のサイノグラム集合150nについては重み係数156nを導く。図8に示すように、複数の重み係数156が時間逐次態様で配列されて、重み係数156を表わす点を結ぶ線が引かれる。重み係数156から運動信号250が導かれる。一実施形態では、運動信号250は重み係数156と実質的に同じである。もう一つの実施形態では、運動信号250は、例えば雑音を低減するために重み係数156をフィルタ処理することにより得られる。
【0028】
ブロック114では、放出データセット14、例えばサイノグラム150を、運動信号250(図8に示す)を用いて複数のビン300に振り分ける。例えば、図8は、サイノグラム150を複数のビン300にマッピングするのに用いられる運動信号の例250を示している。また、図9は、300…310と番号を振った複数のビンを示しており、すなわちn=6個のビンがある。このように、この実施形態の例では、サイノグラム150を300、302、304、306、308及び310と番号を振った6個のビン300に振り分ける。但し、図8に示すビンの量は一例であること、また動作時には6個よりも少ないビンを用いても6個よりも多いビンを用いてもよいことを認められたい。このようなものとして、各々のビン300、302、304、306、308及び310が撮像データセット14の全情報量の約1/6ずつを含んでいる。
【0029】
例えば、放出データを取得するためにブロック102において行なわれる走査の合計長さが3分間であったとする。また、撮像データセット14が6個のビンに振り分けられ、各々のそれぞれのビンが約30秒間分の情報を含んでいるとする。この実施形態の例では、サイノグラム150を前述の運動信号250に基づいてそれぞれのビンに振り分ける。さらに明確に述べると、サイノグラム150を、前述のように導かれる運動信号250の値に基づいて特定のビンに振り分ける。従って、この実施形態の例では、各々のビンが、走査手順時に同じ近似的な空間的位置の対象160、162、164及び166を表わす放出データを含む。例えば、ビン300は、呼吸相の開始時に取得される対象160を表わす情報を含むことができ、ビン310は、呼吸相の終了時に取得される撮像データを含み得る。また、各々の介在するビン、例えばビン302、304、306及び308は、吸気と呼気との間の運動状態を表わす撮像データを含み得る。ビン300、302、304、306、308及び310の各々が、複数の呼吸サイクルにわたり取得される撮像データを受け入れるように構成される。また、ビン300、302、304、306、308及び310の各々が、患者の呼吸サイクルにおける近似的に同じ点を表わす撮像データを受け入れるように構成される。従って、ビン300、302、304、306、308及び310の各々が、患者16の一定の運動状態を表わす撮像データを含む。この実施形態の例では、運動信号250から取得される情報を用いて、撮像データ14を6個の実質的に等しい部分に分割して、それぞれのビン300、302、304、306、308及び310の実質的に等しい部分を記憶する。このように、ブロック114の同期工程の終結時には、6個のビン300、302、304、306、308及び310の各々が同じ運動特性に関連する放出データを含む。
【0030】
この実施形態の例では、放出データを各ビンに振り分けた後に、複数のビン300、302、304、306、308及び310を再構成して放出能分布を表わす画像を得、次いで空間的に位置合わせすることができる。例えば、一実施形態では、ビン300を参照ビンとして選択して、ビン302、304、306、308及び310を参照ビン300に対して位置合わせすることができる。ビン02、304、306、308及び310を参照ビン300に対して位置合わせする場合には剛体位置合わせ又は非剛体位置合わせの何れを用いてもよい。剛体位置合わせ及び非剛体位置合わせは、操作者によって手動で行なわれてもよいし、プロセッサ30によって自動で行なわれてもよい。尚、運動が殆ど又は全く存在しない幾つかの区域では位置合わせが必要とされない場合もあることを認められたい。運動情報を用いて、位置合わせ工程における費用関数を調節することができる。一般的には、運動情報を用いて、運動に影響される区域又は運動に影響されない区域を識別すると、位置合わせ工程を改善することができる。
【0031】
この実施形態の例では、非剛体位置合わせを行なうステップは、ビン302、304、306、308及び310の内部の三次元(3D)空間の情報を参照ビン300に揃えるようにビン302、304、306、308及び310の内部の情報を変換することを含んでいる。例えば、ビン302の画像を参照ビン300の画像に関して僅かに傾けることができる。従って、ビン302の内部の画像を傾けると、これらの画像が参照ビン300の画像に揃う。残りのビン304、306、308及び310も再度揃えて、参照ビン300の画像に実質的に合致するようにする。動作について述べると、剛体位置合わせ工程は、解剖学的又は他の特徴/点/標認点を選択して、これらの特徴又は点を画像に内部の検出された辺又は境界と併用して画像を揃えることにより具現化され得る。代替的には、異なる標識を用いて既知の解剖学的位置を識別してもよい。剛体位置合わせはまた、曲線状輪郭、例えば画像の内部の骨の輪郭に基づいていてもよい。剛体位置合わせはまた、容積に基づく方式又は表面に基づく方式であってもよい。但し、所定の比較可能な規準又は類似性尺度を最適化する又は算出することを含む任意の剛体位置合わせ工程が実行され得ることを認められたい。
【0032】
もう一つの実施形態では、非剛体位置合わせ手順を用いて、ビン300、302、304、306、308及び310の内部の情報に運動補正を施すことができる。動作について述べると、非剛体位置合わせ又は弾性位置合わせは非剛体変換を含んでいる。これらの非剛体変換は、画像特徴の局所的な歪み(ワープ)を許容して、局所的な変形を考慮して位置合わせを行なう。
【0033】
非剛体変換アプローチとしては、例えば多項式ワーピング、平滑基底関数の補間(薄板スプライン及びウェーブレット)、並びに物理的連続体モデル(粘性流体モデル及び大変形微分同相写像)等がある。非剛体位置合わせは、ビン300、302、304、306、308及び310に振り分けられた情報を用いて行なわれる。非剛体位置合わせは、例えば点又は標認点の歪みを含んでいてよく、点又は標認点の補間及び相関によって輪郭に沿った最良のフィッティングを与える。代替的には、画像ボクセルを比較して、対応する領域を配合する配合工程を実行してもよい。一般的には、局所的な非剛体位置合わせは、異なる画像セットにおける変動又は移動を見込んだ任意の形式の弾性変形モデルを含んでいる。
【0034】
図2に戻り、ブロック116において、ビン300、302、304、306、308及び310に記憶された2D画像、すなわち運動補正済み画像を共に平均して、単一の運動補正済み画像を形成する。
【0035】
もう一つの実施形態では、MVW−PCAを用いて、呼吸運動、心運動及び/又は全身的な体動のように異なる形式の移動に対応する多数の運動信号を構築する。例えば、図9は、心筋に類似した一様な対象の例504を走査することにより取得される二つの時間フレーム500及び502を示しており、この場合には運動は収縮/拡張、及び異なる(より遅い)速度での上下方向での並進を表わす。図10は、この例において図9に示す対象504から得られる第一の主成分PC1を示す。MVW−PCAは、図5の場合と同様の特徴を示す。図11は、前述の実施形態において構築されたような成分に対応する重み係数510を示す。この例では、重み係数510は並進(又は呼吸運動)によって大部分決定されている。図12は第二の成分PC2を示し、対応する重み係数520を図13に示す。この例では、PC2は、収縮(又は心)運動によって大部分決定されている。さらに明確に述べると、図12に示す領域530は実質的に正の数を有し、領域532は実質的に負の数を有する。従って、図13を再び参照すると、円環が特定の時間フレームにおいて大きい半径を有するときには、PC2から構築される重み係数520は、参照番号540に示すように実質的に正となる。同様に、円環が小さい半径を有するときには、信号は参照番号542に示すように実質的に負となる。
【0036】
前述の実施形態と同様に、次いで、重み係数を二重同期(dual-gating)モジュールへの入力として用いて、各々の同期ゲートが特定の呼吸状態及び心状態に対応するようにして放出データを振り分ける。例えば、6種の呼吸状態及び3種の心状態が識別される場合には全18個のビンを用い、この場合には信号510が呼吸状態を決定し、重み係数520が心状態を決定する。この実施形態の例では、次いで、振り分けられた放出データを再構成して、得られる画像を互いに対して位置合わせする。位置合わせアルゴリズムは、異なる形式の運動を考慮に入れて、例えば並進及び収縮の組み合わせ運動を推定することができる。
【0037】
さらにもう一つの実施形態では、各主成分及び/又はそれぞれの対応する信号を解析して、運動の形式を識別し、応用に依存してさらなる処理を行なうことができる。一例として、応用によって呼吸運動を補正するが、心同期ゲートはそのままにして駆出率を決定することができる。識別工程は、それぞれの運動の既知の特徴を用いる。例えば、呼吸運動は殆どの場合、足から頭へ向かう方向に生じ、従って、対応する主成分は殆どの場合、収縮運動と反対になるように構造の最上部及び最下部において反対の符号の値を有する。一実施形態では、主成分から心臓の近似的な中心が決定されて半径方向プロファイルが構築される。プロファイルが最上部方向及び最下部方向で実質的に同じである場合には、PCは心臓に対応するものと標識され、また反対も同様である。代替的には又は加えて、主成分に対応する信号に周波数解析が施される。支配的周波数が例えば1サイクル毎秒から2サイクル毎秒の範囲にある場合には、PCは心拍に対応するものと標識され、例えば1/10サイクル毎秒から1/2サイクル毎秒の範囲は呼吸運動に対応するものと標識される。同様に、極めて緩慢な移動又は極めて急速な移動を全身的な体動に対応するものと標識することができる。本実施形態では、識別の後に、雑音を低減し、且つ/又は異なる形式の運動同士の間の干渉を除去するために、各PC又はそれぞれの信号をそれぞれの既知の特徴に従って処理すると有利な場合がある。所与の例では、信号510は、一旦大部分で呼吸と標識されると、呼吸に対応しない周波数を除去するために中域通過フィルタによってフィルタ処理され、他の信号についても同様の適当なフィルタによって処理され得る。幾つかの応用では、フィルタ処理後の信号を用いて同期ゲートを決定すると有利な場合がある。
【0038】
また、代替的な多変量データ解析手法を用いて各成分を抽出してもよい。かかる多変量データ解析手法としては、例えば独立成分解析(ICA)及び正則化主成分解析(rPCA)等があるが、他の解析手法を用いてもよく、かかる手法の多くがPCAを初期段階として用いることを認められたい。これらの手法の幾つかは、期待される運動パターンについての事前情報の利用を可能にしており、かかる手法は雑音の多い状況において有利であり得る。単純な例として、サイノグラム集合150を先ず空間的に及び/又は時間的にフィルタ処理して、無用の周波数を除去することができる。例えば、呼吸運動のみを検出すればよい場合には、時間的な中域通過フィルタをデータに施した後にPCAを用いることができる。この実施形態の例では、マスク付き容積単位主成分解析(MVW−PCA)の統計学的な手法を用いる。動作について述べると、MVW−PCAは放出データセット14を解析して、臨床関連成分を求める。この場合には、MVW−PCAを用いて運動関連成分を識別する。さらに明確に述べると、MVW−PCAは、運動情報を診断情報及び雑音から分離するのに用いられる数学的なアルゴリズムである。この実施形態の例では、MVW−PCAは、例えば運動特性決定モジュール50及び/又はメモリ装置20に記憶され得る命令として具現化される。
【0039】
本書に記載される様々な実施形態は、図14に示すような多重モダリティ・イメージング・システム400を提供し得る。多重モダリティ・イメージング・システム400は任意の形式のイメージング・システムであってよく、例えば図1に示す陽電子放出断層写真法(PET)10、単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)、計算機式断層写真法(CT)、超音波システム、磁気共鳴撮像(MRI)又は診断画像を形成することが可能な他の任意のシステムのような異なる形式の医用イメージング・システムであってよい。様々な実施形態は多重モダリティ医用イメージング・システムに限定されず、例えば独立型PETイメージング・システム、独立型CTイメージング・システム、磁気共鳴撮像(MRI)、及び単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)のような単一モダリティの医用イメージング・システムにおいても用いられ得る。また、様々な実施形態は人体の被検体を撮像する医用イメージング・システムに限定されず、人体以外の対象等を撮像する獣医学用システム又は非医用システムを含み得る。
【0040】
図14では、多重モダリティ・イメージング・システム400は、第一のモダリティ・ユニット410及び第二のモダリティ・ユニット412を含んでいる。これら二つのモダリティ・ユニットは、多重モダリティ・イメージング・システム400が第一のモダリティ・ユニット410を用いて第一のモダリティにおいて対象又は患者16を走査し、また第二のモダリティ・ユニット412を用いて第二のモダリティにおいて患者16を走査することを可能にする。多重モダリティ・イメージング・システム400は、異なるモダリティにおける多数の走査を見込んでおり、単一モダリティのシステムよりも向上した診断能力を容易にする。一実施形態では、多重モダリティ・イメージング・システム400はCT/PETイメージング・システム400であって、例えば第一のモダリティ410がCTイメージング・システムであり、第二のモダリティ412がPETイメージング・システム10である。イメージング・システム400は、CTイメージング・システム410に関連するガントリ420と、PETイメージング・システム10に関連するガントリ422とを含むものとして示されている。動作時に、患者16は、例えば電動テーブル426を用いて、イメージング・システム400を通して画定されている中央開口424の内部に配置される。
【0041】
ガントリ420はX線源430を含んでおり、X線源30はガントリ420の反対側に設けられている検出器アレイ432へ向けてX線のビームを投射する。検出器アレイ432は、患者16を透過した投射X線を一括で感知する複数の検出器素子を含む複数の検出器横列(図示されていない)によって形成されている。各々の検出器素子が、入射X線ビームの強度を表わし、これにより患者16を透過したときのビームの減弱の推定を可能にする電気信号を発生する。X線減弱データを取得する1回の走査の間に、ガントリ420及び該ガントリ420に装着された各構成要素が回転中心の周りを旋回する。加えて、PETイメージング・システムが、放出データを取得するように構成されている検出器(図示されていない)を含んでいる。
【0042】
動作時に、電動テーブル426は、操作者ワークステーション440から受けた1又は複数の命令に応答して患者16をガントリ420及び/又はガントリ422のの中央開口424の内部に移動する。次いで、ワークステーション440は第一及び第二のモダリティ410及び412を動作させて、患者16を走査すると共に患者16の減弱データ及び/又は放出データを取得する。ワークステーション440は、イメージング・システム400の近くに配置されて通信リンク442を介してイメージング・システム440に結線されたパーソナル・コンピュータ(PC)として具現化され得る。ワークステーション440はまた、イメージング・システム400へ情報を送信し、またイメージング・システム400から情報を受信するラップトップ・コンピュータ又は掌中型コンピュータのような可搬型コンピュータとして具現化されてもよい。選択随意で、通信リンク442は、ワークステーション440へ又はワークステーション440からイメージング・システム400へ無線式で情報を送信することを可能にする無線通信リンクであってよい。動作について述べると、ワークステーション440は、イメージング・システム400の動作を実時間で制御するように構成される。ワークステーション440はまた、本書に記載される医用画像診断取得工程及び再構成工程を実行するようにプログラムされる。さらに明確に述べると、ワークステーション444は、上で詳述したように、4Dデータセット14の内部の運動を識別し、識別された運動を用いて4Dデータセット14を複数のビンに区分けして、次いでこれらの区分けされたデータ集合を用いて患者16の画像を再構成するように構成されている運動特性決定モジュール50を含み得る。
【0043】
操作者ワークステーション440は、中央処理ユニット(CPU)又はコンピュータ444、表示器446、及び入力装置448を含んでいる。本書で用いられる「コンピュータ」との用語は、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定応用向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、論理回路、又は本書に記載された作用を実行することが可能な他の任意の回路又はプロセッサを用いたシステムを含む任意のプロセッサ方式又はマイクロプロセッサ方式のシステムを含み得る。上の例は例示のみのためのものであり、従って「コンピュータ」との語の定義及び/又は意味を如何なる方法でも限定しないものとする。この実施形態の例では、コンピュータ444は、第一及び第二のモダリティ410及び412から受け取った情報を処理するために1又は複数の記憶要素又はメモリに記憶されている一組の命令集合を実行する。記憶要素はまた、所望又は必要に応じてデータ又は他の情報を記憶することができる。記憶要素は、情報ソースの形態にあってもよいし、コンピュータ444の内部に位置する物理的メモリ素子の形態にあってもよい。
上述の一組の命令は、本書に記載される様々な実施形態の方法及び工程のような特定の動作を実行するように処理機械としてのコンピュータ444に命令する様々な命令を含み得る。この一組の命令はソフトウェア・プログラムの形態にあってもよい。本書で用いられる「ソフトウェア」及び「ファームウェア」との用語は互換的であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めたメモリに記憶されて、コンピュータによって実行される任意のコンピュータ・プログラムを含んでいる。以上のメモリ形式は例示のみのためのものであり、従ってコンピュータ・プログラムの記憶に利用可能なメモリの形式に関して制限するものではない。
【0044】
ソフトウェアは、システム・ソフトウェア又はアプリケーション・ソフトウェアのような様々な形態にあってよい。さらに、ソフトウェアは、別個のプログラムの集合、より大きなプログラムの内部のプログラム・モジュール又はプログラム・モジュールの一部の形態にあってよい。ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュール型プログラミングを含み得る。処理機械による入力データ処理は、利用者の命令に応答して行なわれてもよいし、以前の処理の結果に応答して行なわれてもよいし、他の処理機械によって発行された要求に応答して行なわれてもよい。
【0045】
コンピュータ444は通信リンク442に接続して、入力装置448から入力、例えば利用者命令を受け取る。入力装置448は、例えばキーボード、マウス、タッチ・スクリーン・パネル、及び/又は音声認識システム等であってよい。入力装置448及び付設される制御パネル・スイッチを通じて、操作者はCTイメージング・システム410及びPETイメージング・システム10の動作、並びに走査のための患者16の配置を制御することができる。同様に、操作者は、表示器446において得られる画像の表示を制御して、コンピュータ444によって実行されるプログラムを用いて画像強調作用を実行することができる。
【0046】
本書に記載される様々な実施形態の幾つかについての技術的効果は、画質を高めて、呼吸運動、心運動、及び患者運動等を補償することにある。さらに明確に述べると、後に生ずるアーティファクトを減少させ、例えば腫瘍のような様々な対象の検出を改善するために画質を高めて運動を捉えるために、MVW−PCAを用いて著しい運動の変化の検出及び視覚化を改善すると共に、検出された変化に基づいて画像データをビンに振り分けることができる。画像データは、例えばPETイメージング・システム、SPECTイメージング・システム、MRIイメージング・システム、超音波イメージング・システム、及び/又はMRIイメージング・システムを用いて取得され得る。
【0047】
本書に記載される様々な実施形態は、プロセッサ又はコンピュータが撮像装置を動作させて本書に記載される方法の一実施形態を実行するように命令を記録した有形で非一時的な機械可読媒体(1又は複数)を提供する。媒体(1又は複数)は、任意の形式のCD−ROM、DVD、フロッピィ・ディスク、ハード・ディスク、光ディスク、フラッシュRAMドライブ若しくは他の形式のコンピュータ可読媒体、又はこれらの組み合わせであってよい。
【0048】
様々な実施形態、並びに/又は構成要素、例えばモニタ若しくは表示器、若しくは内部の構成要素及び制御器はまた、1又は複数のコンピュータ又はプロセッサの一部として具現化され得る。コンピュータ又はプロセッサは、計算装置、入力装置、表示ユニット、及び例えばインターネットにアクセスするためのインタフェイスを含み得る。コンピュータ又はプロセッサはマイクロプロセッサを含み得る。マイクロプロセッサは通信バスに接続され得る。コンピュータ又はプロセッサはまた、メモリを含み得る。メモリは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び読み出し専用メモリ(ROM)を含み得る。コンピュータ又はプロセッサはさらに、記憶装置を含んでいてよく、記憶装置はハード・ディスク・ドライブ、又はフロッピィ・ディスク・ドライブ及び光ディスク・ドライブ等のような着脱式記憶ドライブであってよい。記憶装置はまた、コンピュータ又はプロセッサにコンピュータ・プログラム又は他の命令を読み込む他の同様の手段であってよい。
【0049】
以上の記載は例示説明のためのものであって制限するものではないことを理解されたい。例えば、上述の各実施形態(及び/又は各実施形態の諸観点)を互いに組み合わせて用いてよい。加えて、様々な実施形態の範囲を逸脱することなく、特定の状況又は材料を様々な実施形態の教示に合わせて適応構成する多くの改変を施すことができる。本書に記載されている材料の寸法及び形式は、様々な実施形態の各パラメータを定義するためのものであるが、限定するものではなく例示に過ぎない。以上の記載を吟味すれば、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなろう。従って、様々な実施形態の範囲は、特許請求の範囲に関連して、かかる特許請求の範囲が網羅する均等構成の全範囲と共に決定されるものとする。特許請求の範囲では、「including包含する」との用語は「comprising含む」の標準英語の同義語として、また「in whichこのとき」との用語は「whereinここで」の標準英語の同義語として用いられている。さらに、特許請求の範囲では、「第一」、「第二」及び「第三」等の用語は単にラベルとして用いられており、これらの用語の目的語に対して数値的要件を課すものではない。さらに、特許請求の範囲の制限は、「手段プラス機能(means-plus-function)」形式で記載されている訳ではなく、かかる特許請求の範囲の制限が、「〜のための手段」に続けて他の構造を含まない機能の言明を従えた文言を明示的に用いていない限り、合衆国法典第35巻第112条第6パラグラフに基づいて解釈されることはないものとする。
【0050】
この書面の記載は、最適な態様を含めて様々な実施形態を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が様々な実施形態を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な様々な実施形態の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0051】
10:陽電子放出断層写真法(PET)イメージング・システム
12:PETスキャナ
14:4D放出データセット
16:患者
20:メモリ装置
22:読み出し専用メモリ(ROM)
24:ランダム・アクセス・メモリ(RAM)
26:バルク・メモリ
30:プロセッサ
32:入出力(I/O)装置
50:運動特性決定モジュール
100:方法
150:中間画像集合
151:前処理済みサイノグラム集合
152:時間平均情報
154:ゼロ平均情報
156:重み係数
160、162、164、166:一様な対象
170、172、174、176:内部領域
180:背景域
160a、160b、162a、162b、164a、164b、166a、166b:運動を表わす影付き領域
250:運動信号
300、302、304、306、308、310:ビン
400:多重モダリティ・イメージング・システム
410:第一のモダリティ・ユニット
412:第二のモダリティ・ユニット
420:第一のモダリティ・ユニットに関連するガントリ
422:第二のモダリティ・ユニットに関連するガントリ
424:中央開口
426:電動テーブル
430:X線源
432:検出器アレイ
440:操作者ワークステーション
442:通信リンク
444:中央処理ユニット(CPU)
446:表示器
448:入力装置
500、502:時間フレーム
504:一様な対象
510、520:重み係数
530、540:正の数を有する領域
532、542:負の数を有する領域
【技術分野】
【0001】
本書に開示される主題は一般的には、イメージング・システムに関し、さらに具体的には、医用画像を運動補正する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異なるモダリティ、例えば計算機式断層写真法(CT)、磁気共鳴撮像(MRI)、陽電子放出断層写真法(PET)、及び単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)を用いて走査を行なう多重モダリティ・イメージング・システムが存在する。動作時には、これら従来のイメージング・システムの画質は撮像対象の運動に影響され得る。具体的には、撮像対象の運動が画質を低下させ得る。さらに明確に述べると、画像アーティファクトが画像取得時の対象の移動によって発生される。呼吸運動が医用イメージング・システムに見受けられる哺乳動物(例えば人間及び動物)の不随意運動の一般的な原因である。呼吸運動は、医師が病変の大きさの決定、病変の位置の決定、又は病変の定量化等の画像精査を行なう際に誤りを招く場合がある。
【0003】
また、多重モダリティ・システム、例えば一体型PET/CTシステムでは、PET画像及びCT画像を互いに対して位置合わせすべきである。しかしながら、CT画像は典型的には短時間で取得されるので、CT画像によって生成される減弱マップは呼吸運動の存在しない全呼気時の患者の減弱特性を表わす。対照的に、PET画像は典型的には相対的に長時間で取得され、取得時間が長いため患者は自由に呼吸することを許される。これら二つのデータ取得モードの間の不整合のため、減弱補正後のPET画像に画像アーティファクトが生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0135556号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像アーティファクトを減少させる一つの公知の方法は、多数の呼吸相のCT画像(又は最大強度CT画像)を平均して、多数の呼吸サイクルにわたって収集されるPET取得の効果を模擬するものである。撮像アーティファクトを減少させるもう一つの公知の方法は、呼吸同期式CT取得を用いて、呼吸同期式PET取得の呼吸特性とよりよく整合する減弱補正マップを生成するものである。さらにもう一つの方法として、走査時に保息するように患者に依頼する場合もある。しかしながら、PETデータは数分間にわたって取得される場合があるので、患者は典型的には、PET取得時には何度か呼吸しなければならず、画像アーティファクトを生ずる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、画像において運動関連の撮像アーティファクトを減少させる方法が提供される。この方法は、関心領域の画像データセットを得るステップと、運動情報を生成するために画像データセットに多変量データ解析手法を施すステップと、運動情報に基づいて画像データセットを複数のビンに振り分けるステップと、複数のビンの少なくとも一つを用いて関心領域の画像を形成するステップとを含んでいる。
【0007】
もう一つの実施形態では、スキャナと、スキャナに結合されて動作するコンピュータとを含む医用イメージング・システムが提供される。コンピュータは、スキャナを用いて対象の撮像データセットを取得し、この画像データセットを用いて複数の中間画像を形成し、運動情報を生成するために複数の中間画像に多変量データ解析手法を施し、運動情報に基づいて中間画像を複数のビンに振り分けて、複数のビンの少なくとも一つを用いて関心領域の画像を形成するようにプログラムされている。
【0008】
さらにもう一つの実施形態では、非一時的コンピュータ可読媒体が提供される。このコンピュータ可読媒体は、スキャナを用いて対象の撮像データセットを取得し、画像データセットを用いて複数の中間画像を形成し、運動情報を生成するために複数の中間画像に多変量データ解析手法を施し、運動情報に基づいて中間画像を複数のビンに振り分けて、複数のビンの少なくとも一つを用いて関心領域の画像を形成することをコンピュータに指令するようにプログラムされたプログラムで符号化されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】様々な実施形態に従って形成されるイメージング・システム例を示す単純化した概略図である。
【図2】様々な実施形態による運動関連の撮像アーティファクトを減少させる方法を示す流れ図である。
【図3】様々な実施形態に従って形成されるサイノグラム例を示す単純化したブロック図である。
【図4】様々な実施形態に従って形成され得る平均情報を表わす画像例を示す図である。
【図5】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報を表わす画像例を示す図である。
【図6】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報例を示す図である。
【図7】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報を表わすもう一つの画像例を示す図である。
【図8】様々な実施形態に従って形成され得る運動信号例を示す図である。
【図9】様々な実施形態に従って形成され得る画像例を示す図である。
【図10】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報を表わすもう一つの画像例を示す図である。
【図11】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報例を示す図である。
【図12】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報を表わすもう一つの画像例を示す図である。
【図13】様々な実施形態に従って形成され得る運動情報例を示す図である。
【図14】様々な実施形態に従って形成されるイメージング・システム例を示す見取り図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以上の概要及び以下の様々な実施形態の詳細な説明は、添付図面と併せて読むとさらに十分に理解されよう。図面が様々な実施形態の機能ブロックの線図を示す範囲までにおいて、機能ブロックは必ずしもハードウェア回路の間の区分を示す訳ではない。従って、例えば、機能ブロックの1又は複数(例えばプロセッサ若しくはメモリ)が単体のハードウェア(例えば汎用信号プロセッサ若しくはランダム・アクセス・メモリのブロック、又はハード・ディスク等)として具現化されてもよいし、多数のハードウェアとして具現化されてもよい。同様に、プログラムは独立型プログラムであってもよいし、オペレーティング・システムのサブルーチンとして組み込まれていてもよいし、インストールされているソフトウェア・パッケージの関数等であってもよい。尚、様々な実施形態は図面に示されている構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0011】
本書で用いる場合には、単数形で記載されており単数不定冠詞を冠した要素またはステップとの用語は、排除を明記していない限りかかる要素又はステップを複数備えることを排除しないものと理解されたい。さらに、本発明の「一実施形態」に対する参照は、所載の特徴を同様に組み入れている追加の実施形態の存在を排除しないものと解釈されたい。また、反対に明記されていない限り、特定の特性を有する一つの要素若しくは複数の要素を「含んでいる」又は「有している」実施形態は、この特性を有しないような追加の要素も包含し得る。
【0012】
また、本書で用いられる「画像を再構成する」との表現は、画像を表わすデータが生成されるが可視画像は形成されないような本発明の実施形態を排除するものではない。従って、本書で用いられる「画像」との用語は、可視画像及び可視画像を表わすデータの両方を広く指す。但し、多くの実施形態は少なくとも1枚の可視画像を形成する又は形成するように構成されている。
【0013】
図1は、陽電子放出断層写真法(PET)イメージング・システム10の一例を示す単純化したブロック図である。PETイメージング・システム10は、患者16の四次元(4D)放出(エミッション)データセット14を生成するように動作可能なPETスキャナ12を含み得る。4D放出データセット14は三つの空間次元及び時間を表わす。4D放出データセット14はメモリ装置20に記憶され得る。メモリ装置20は、電気式システム、磁気式システム及び/又は光学式システムを含めた記憶回路の任意の組み合わせを含み得る。メモリ装置20には、例えば読み出し専用メモリ(ROM)22、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)24、及び/又はバルク・メモリ26が含まれ得る。
【0014】
メモリ装置20は、プロセッサ30によって実行されるプログラム命令を記憶することができる。プログラム命令は、任意の適当なコンピュータ言語、例えばMatlabで書かれていてよい。プロセッサ30は、例えば特にマイクロプロセッサ、ディジタル信号プロセッサ及びフィールド・プログラマブル論理アレイのような適当な処理システムの任意の一つ又は組み合わせであってよい。処理システムは、任意の適当な計算装置、例えばコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、ラップトップ・コンピュータ、ノートブック・コンピュータ、ハード・ドライブ方式装置、又はデータを受け取り、送出し、また記憶し得る任意の装置として具現化され得る。入出力(I/O)装置32が設けられて、利用者入力を受け取り、且つ/又は利用者に出力を提供することができる。I/O装置32はまた、例えば通信網を介して他の装置へ及び/又は他の装置からデータを転送することを可能にする通信リンクであってもよい。I/O装置32は、PET画像を表示する表示装置(図示されていない)を含み得る。I/O装置32は、利用者からの入力を受け取る装置を含み得る。例えば、この装置は、マウス、トラックボール、又は接触感知型インタフェイスを含み得る。イメージング・システム10はまた、運動特性決定モジュール50を含んでおり、このモジュール50は、放出データセット14の内部の運動を識別して、識別された運動を用いて放出データセット14を複数のビンに区分するように構成されており、次いで、ビンの少なくとも一つを用いて患者16の少なくとも一つの画像を再構成する。このことについては後にあらためて詳述する。この実施形態の例では、放出データセット14は4D放出データセットであり、運動特性決定モジュールはプロセッサ30にインストールされている。運動特性決定モジュールは、ハードウェア装置、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして具現化され得る。
【0015】
図2は、図1に示すPETイメージング・システム10によって実行される方法の一例のブロック図である。この実施形態の例では、方法100は、運動特性決定モジュール50を用いて具現化され得る。さらに明確に述べると、方法100は、本書に記載される方法の実施形態を実行するようにプロセッサ30に指示する命令を記憶した機械可読媒体(1又は複数)として提供され得る。媒体(1又は複数)は、任意の形式のCD−ROM、DVD、フロッピィ・ディスク、ハード・ディスク、光ディスク、フラッシュRAMドライブ若しくは他の形式のコンピュータ可読媒体、又はこれらの組み合わせであってよい。
【0016】
方法100は、対象16の運動を扱うために放出データセット14について運動特性決定、すなわち運動減少を提供する。動作について述べると、方法100は、対象16の運動を識別して、放出データセット14を再編成し、対象16の画像を再構成することを可能にする。尚、方法100はPETイメージング・システム10から得られる放出データセット14に関して記載されているが、CTイメージング・システムから得られる透過(トランスミッション)データセットにも適用され得ることを認められたい。また、方法100は、本書で議論される撮像モダリティの任意のものを用いて得られる任意の画像データセット又はサイノグラム・データに適用されることができ、放出データセット14は例に過ぎない。
【0017】
ブロック102では、対象16の放出データセット14(何れも図1に示す)が得られる。この実施形態の例では、放出データセット14はPETイメージング・システム10(図1に示す)を用いて得られている。放出データセット14は、当該放出データセット14を生成するための対象16の放出走査を行なうことにより取得され得る。選択随意で、放出データセット14は、対象16の事前走査時に収集されたデータから得られてもよく、この場合には放出データセット14はメモリ装置20(図1に示す)のようなメモリに既に記憶されている。放出データセット14は、例えばリスト・モード・データセットのような任意の形式として記憶されていてよい。放出データセット14は、患者16の実時間走査時に得られてもよい。例えば、本書に記載される各方法は、患者16の実時間検査時にPETスキャナ12から放出データを受け取りながらこの放出データに対して実行され得る。
【0018】
ブロック104では、放出データセット14を用いて複数の中間画像150を経時的に形成する。この実施形態の例では、中間画像150はサイノグラム150である。選択随意で、中間画像が再構成画像であってもよい。図3に示すように、複数のサイノグラム150は、例えば300ミリ秒の第一の時間フレームにわたり取得される第一のサイノグラム集合150aを含み得る。複数のサイノグラム150は、第一のサイノグラム集合150aに続く時間フレームにわたり取得される第二のサイノグラム集合150bを含むことができ、以下同様である。このように、走査工程の間の各々の時間フレーム、例えば300msの時間フレーム毎に一組のサイノグラム集合が生成される。生成されるサイノグラム150の数は、イメージング・システム10に設置されている検出器の数、期待される運動の速度、及びブロック102において行なわれる走査の長さ等に基づく。このように、複数のサイノグラム150は、走査工程の連続した各時間フレームにわたり取得される多数のサイノグラム集合(150a…150n)を含むことができ、例えば単一のサイノグラム集合は走査工程全体にわたり300ミリ秒毎に取得され得る。サイノグラム150は、システム10をサイノグラム・モードで動作させることにより生成され得る。サイノグラム・モードは一般に取得モードと呼ばれており、このモードでは、選択随意で同一の飛行時間(TOF)を有する消滅事象が、所定の(軸からの半径、角度)形式でサイノグラムとして記憶される。応答の配列がサイノグラムとして公知である。尚、他の方法及び/又は装置をデータ記憶に用いてよいこと、並びに本書に記載されるサイノグラムは、データを記憶するかかる方法の一例を表わしていることを認められたい。
【0019】
ブロック105では、ブロック104で生成されたサイノグラム150を前処理して対応する集合151を得る。例えば、サイノグラム150を前処理するためには、1)サイノグラムの異なる要素にわたり平均する(すなわちデータ容量及び雑音の低減)2)サイノグラムの幾つかの要素の除去(例えば運動が生ずると期待される場合、又は患者データが高周波空間情報にのみ寄与している場合にマスクを適用し、例えば偶発同時計数若しくは散乱同時計数のみの領域を除外する)3)既知の経時的変化の補正(例えば放射性崩壊によるもの)4)好ましくは一様分散を有する近似的ガウス分布型にデータを変換するために要素単位での操作をデータに施す等を行なうことができる。例えば、ポアソン分布型のデータの場合には、適当な変換としては、アンスコム(Anscombe)変換、フリーマン−テューキー(Freeman-Tukey)変換、又は単に平方根を取る等がある。平均化もマスク適用も、外部情報、例えば事前走査、並びに/又は運動の主方向及び位置についての事前知識に頼ることができる。例えば、患者の外形又は横隔膜のような関心領域を、事前CT走査から得られた画像から決定することができる。次いで、この領域情報をPETスキャナのモデルを用いてサイノグラムへ変換することができる。また、平均データ自体からマスクを導くこともできる(例えば閾値に基づいて背景計数を検出する)。
【0020】
ブロック106では、前処理済みサイノグラム集合151a…151nを用いて、時間平均情報152を生成する。例えば、ブロック104において各々の時間フレーム毎に25組のサイノグラム集合150a…150nが生成されたとすると、ブロック105では25個の前処理済みサイノグラム151a…151nが生成され、ブロック106では150aのサイノグラム一つ一つの要素一つ一つについて平均情報152が生成されて、25個の対応する要素の平均を算出する。
【0021】
図4は、サイノグラム集合151a…151nから生成され得る平均情報152の例を示す。サイノグラム集合151a…151nについて生成された平均情報の視覚的表現を図4ではPC0と示す。平均情報152は、前述のように各々の前処理済みサイノグラム集合150について平均情報(経時的)を決定することにより取得される。例えば、図4の例えばPC0は、四つの一様な対象例160、162、164及び166を走査することにより取得される平均情報を示しており、この場合には四つの対象の各々の運動は上下方向にあった。図4に示すように、四つの対象160、162、164及び166は各々、各々の対象の外辺の近くに平均ピクセル強度の変化を呈する。また、各々の対象160、162、164及び166のそれぞれ内部領域170、172、174及び176、並びに周囲の背景域180は実質的に均質であり、経時的にピクセル強度の偏りが殆ど又は全く存在しないことを示している。
【0022】
ブロック108では、各々のサイノグラム集合151a…151nについての平均情報152をそれぞれのサイノグラム集合150から減算してゼロ平均情報を生成し、次いでこの情報をPCAに入力する。従って、走査の一例において25組のサイノグラム集合150が経時的に生成されたとすると、この方法は、25組のサイノグラム集合150の各々の組について平均情報152を生成し、次いで25組のサイノグラム集合150の各々の組についてゼロ平均情報154を生成することを含んでいる。
【0023】
ブロック110では、次いでサイノグラム集合154をPCA方法の入力として用いる(以下、この前処理とPCAとの組み合わせをマスク付き容積単位PCA(Masked Volume Wise PCA)又はMVW−PCAと呼ぶ)。PCAの説明は広く入手可能である。要約すると、この方法は、データの(推定)共分散行列の支配的固有ベクトルを求める。出力は、一定数の固有ベクトル(各々集合154aと同じ容量の一組のサイノグラム集合に対応する)及び対応する固有値である。最大の固有値を有する固有ベクトルが、サイノグラム集合154a…154nの最大の変化(経時的)を説明する。初めの数個の固有ベクトルのみ算出することが可能であり、また望ましい。というのは最小の固有値を有する固有ベクトルはデータの雑音に対応するからである。これらの固有ベクトルをしばしば「主成分」と呼び、固有値の降順にPC1、PC2等と符号を付す。図5に示すように、PC1の画像は、図4で用いられたデータ例の第一の主成分を表わす。この例では、PC1の画像は、経時的に運動による最大変化を有する区域を示す。例えば、実質的に均質な色(ゼロに極めて近い値に対応する)を用いて示される対象160、162、164及び166の中心域は、対象のこの部分の元のデータの値が実質的に経時的に変化しなかったことを示す。また、PC1は、運動の程度又は量を表わす影付き区域を用いて対象160、162、164及び166(図5に示す)の端辺の周りに何らかの運動が存在していることを示す。例えば、PC1は、対象160の運動を表わす影付き領域160a及び160bを示している。領域162a及び162bは対象162の運動を表わす。領域164a及び164bは対象164の運動を表わし、領域166a及び166bは対象166の運動を表わす。また、この影は、PC1における対応する要素の値の符号を示す。例えば、領域160aの影は正の値を示し、領域160bの影は負の値を示す。対象160、162、164及び166の中心領域内では相対的に小さい運動の効果しか存在しないため、対象160、162、164及び166自体は、実質的に均質な色として示されている。また、対象160、162、164及び166の周りでは運動の相対的に小さい効果しか存在しないため、背景180も実質的に同じ色として示されている。
【0024】
図2に戻り、ブロック110において、各々のサイノグラム集合150について生成されるゼロ平均情報154を用いて、図6に示す1又は複数の重み係数156を生成する。さらに明確に述べると、PCAは、解析される各々の主成分毎に単一の重み係数、信号及び/又は曲線を出力する。この例では、PCAは、第一の主成分に対応する重み係数156を出力する。重み係数156は図6では各々の時間フレームに1個ずつの点として示されている。この実施形態の例では、重み係数156は、PC1の値と、ゼロ平均情報154a…154nによるサイノグラム集合の各々との要素単位の乗算を行なって、当該サイノグラム集合にわたる総和を求めることにより生成され、このようにして、各々のサイノグラム集合154a、154b…154n毎に単一の数を得る。
【0025】
さらに明確に述べると、図5に示す画像PC1を参照して述べると、PC1は、領域160a、160b、162a、162b、164a、164b、166a及び166bの影によって示される時間変化が放出データに存在していることを示す。特定の時間フレームにおいて、対象160、162、164及び166がそれぞれの最上位置に位置する場合には、ゼロ平均情報とPC1との乗算の結果は、領域160a、162a、164a及び166aでは例えば正となるが、これらの領域以外のあらゆる箇所では実質的にゼロとなる。従って、この時間フレームでの重み係数156の値は正となる。反対に、対象が最下位置にある場合には、信号の値は負となる(又は実際には最上位置の反対の符号を有する)。従って、重み係数156の値は、単一の正の数となる場合には第一の方向において大きさの変化が観察されたことを示す。重み係数156の値は、単一の負の数となる場合には反対の第二の方向において大きさの負の変化が観察されたことを示す。重み係数156の値がゼロである場合には、対象の平均位置に関する変化が存在しないことを示す。また、重み係数156の値は一定範囲の正及び負の値の範囲内にあり得る。例えば、小さい正の値は平均に関する対象の相対的に小さい移動を示し得る。一方、より大きい正の値は対象16のより大きい移動を表わし得る。
【0026】
この実施形態の例では、MVW−PCAはゼロ平均情報154をさらに明確に識別するように構成され得る。例えば、図7は、PCAによって出力され得る第二の成分を表わす画像PC2を示す。尚、MVW−PCAによって生成されるPC画像の量は、ゼロ平均情報を特性決定するための所望の精度に基づいていてよいことを認められたい。例えば、MVW−PCAは、PC1画像のみを用いて後にあらためて詳述する運動信号を発生し得る。PCAから出力され得る異なる主成分に対応する運動信号は、異なる形式の運動、例えば呼吸運動、心運動及び体動等を表わし得る。このことについては後にあらためて詳述する。
【0027】
図2に戻り、ブロック112では、ブロック110で導かれた重み係数156を用いて、運動信号250を発生する。例えば、図8は、MVW−PCAを用いて導かれる運動信号例250を示しており、x軸は時間を表わし、y軸はブロック110において各々のサイノグラム集合150について導かれた重み係数156の大きさを表わす。この実施形態の例では、重み係数156は、サイノグラム集合150の各々の組について時間逐次態様で導かれる。例えば、MVW−PCAは、この実施形態の例では走査時に生成される第一のサイノグラムであるサイノグラム集合150aについての重み係数156aを導く。次いで、MVW−PCAは、第二のサイノグラム集合150bについては重み係数156bを導き、走査手順において取得される最後のサイノグラム集合150nについては重み係数156nを導く。図8に示すように、複数の重み係数156が時間逐次態様で配列されて、重み係数156を表わす点を結ぶ線が引かれる。重み係数156から運動信号250が導かれる。一実施形態では、運動信号250は重み係数156と実質的に同じである。もう一つの実施形態では、運動信号250は、例えば雑音を低減するために重み係数156をフィルタ処理することにより得られる。
【0028】
ブロック114では、放出データセット14、例えばサイノグラム150を、運動信号250(図8に示す)を用いて複数のビン300に振り分ける。例えば、図8は、サイノグラム150を複数のビン300にマッピングするのに用いられる運動信号の例250を示している。また、図9は、300…310と番号を振った複数のビンを示しており、すなわちn=6個のビンがある。このように、この実施形態の例では、サイノグラム150を300、302、304、306、308及び310と番号を振った6個のビン300に振り分ける。但し、図8に示すビンの量は一例であること、また動作時には6個よりも少ないビンを用いても6個よりも多いビンを用いてもよいことを認められたい。このようなものとして、各々のビン300、302、304、306、308及び310が撮像データセット14の全情報量の約1/6ずつを含んでいる。
【0029】
例えば、放出データを取得するためにブロック102において行なわれる走査の合計長さが3分間であったとする。また、撮像データセット14が6個のビンに振り分けられ、各々のそれぞれのビンが約30秒間分の情報を含んでいるとする。この実施形態の例では、サイノグラム150を前述の運動信号250に基づいてそれぞれのビンに振り分ける。さらに明確に述べると、サイノグラム150を、前述のように導かれる運動信号250の値に基づいて特定のビンに振り分ける。従って、この実施形態の例では、各々のビンが、走査手順時に同じ近似的な空間的位置の対象160、162、164及び166を表わす放出データを含む。例えば、ビン300は、呼吸相の開始時に取得される対象160を表わす情報を含むことができ、ビン310は、呼吸相の終了時に取得される撮像データを含み得る。また、各々の介在するビン、例えばビン302、304、306及び308は、吸気と呼気との間の運動状態を表わす撮像データを含み得る。ビン300、302、304、306、308及び310の各々が、複数の呼吸サイクルにわたり取得される撮像データを受け入れるように構成される。また、ビン300、302、304、306、308及び310の各々が、患者の呼吸サイクルにおける近似的に同じ点を表わす撮像データを受け入れるように構成される。従って、ビン300、302、304、306、308及び310の各々が、患者16の一定の運動状態を表わす撮像データを含む。この実施形態の例では、運動信号250から取得される情報を用いて、撮像データ14を6個の実質的に等しい部分に分割して、それぞれのビン300、302、304、306、308及び310の実質的に等しい部分を記憶する。このように、ブロック114の同期工程の終結時には、6個のビン300、302、304、306、308及び310の各々が同じ運動特性に関連する放出データを含む。
【0030】
この実施形態の例では、放出データを各ビンに振り分けた後に、複数のビン300、302、304、306、308及び310を再構成して放出能分布を表わす画像を得、次いで空間的に位置合わせすることができる。例えば、一実施形態では、ビン300を参照ビンとして選択して、ビン302、304、306、308及び310を参照ビン300に対して位置合わせすることができる。ビン02、304、306、308及び310を参照ビン300に対して位置合わせする場合には剛体位置合わせ又は非剛体位置合わせの何れを用いてもよい。剛体位置合わせ及び非剛体位置合わせは、操作者によって手動で行なわれてもよいし、プロセッサ30によって自動で行なわれてもよい。尚、運動が殆ど又は全く存在しない幾つかの区域では位置合わせが必要とされない場合もあることを認められたい。運動情報を用いて、位置合わせ工程における費用関数を調節することができる。一般的には、運動情報を用いて、運動に影響される区域又は運動に影響されない区域を識別すると、位置合わせ工程を改善することができる。
【0031】
この実施形態の例では、非剛体位置合わせを行なうステップは、ビン302、304、306、308及び310の内部の三次元(3D)空間の情報を参照ビン300に揃えるようにビン302、304、306、308及び310の内部の情報を変換することを含んでいる。例えば、ビン302の画像を参照ビン300の画像に関して僅かに傾けることができる。従って、ビン302の内部の画像を傾けると、これらの画像が参照ビン300の画像に揃う。残りのビン304、306、308及び310も再度揃えて、参照ビン300の画像に実質的に合致するようにする。動作について述べると、剛体位置合わせ工程は、解剖学的又は他の特徴/点/標認点を選択して、これらの特徴又は点を画像に内部の検出された辺又は境界と併用して画像を揃えることにより具現化され得る。代替的には、異なる標識を用いて既知の解剖学的位置を識別してもよい。剛体位置合わせはまた、曲線状輪郭、例えば画像の内部の骨の輪郭に基づいていてもよい。剛体位置合わせはまた、容積に基づく方式又は表面に基づく方式であってもよい。但し、所定の比較可能な規準又は類似性尺度を最適化する又は算出することを含む任意の剛体位置合わせ工程が実行され得ることを認められたい。
【0032】
もう一つの実施形態では、非剛体位置合わせ手順を用いて、ビン300、302、304、306、308及び310の内部の情報に運動補正を施すことができる。動作について述べると、非剛体位置合わせ又は弾性位置合わせは非剛体変換を含んでいる。これらの非剛体変換は、画像特徴の局所的な歪み(ワープ)を許容して、局所的な変形を考慮して位置合わせを行なう。
【0033】
非剛体変換アプローチとしては、例えば多項式ワーピング、平滑基底関数の補間(薄板スプライン及びウェーブレット)、並びに物理的連続体モデル(粘性流体モデル及び大変形微分同相写像)等がある。非剛体位置合わせは、ビン300、302、304、306、308及び310に振り分けられた情報を用いて行なわれる。非剛体位置合わせは、例えば点又は標認点の歪みを含んでいてよく、点又は標認点の補間及び相関によって輪郭に沿った最良のフィッティングを与える。代替的には、画像ボクセルを比較して、対応する領域を配合する配合工程を実行してもよい。一般的には、局所的な非剛体位置合わせは、異なる画像セットにおける変動又は移動を見込んだ任意の形式の弾性変形モデルを含んでいる。
【0034】
図2に戻り、ブロック116において、ビン300、302、304、306、308及び310に記憶された2D画像、すなわち運動補正済み画像を共に平均して、単一の運動補正済み画像を形成する。
【0035】
もう一つの実施形態では、MVW−PCAを用いて、呼吸運動、心運動及び/又は全身的な体動のように異なる形式の移動に対応する多数の運動信号を構築する。例えば、図9は、心筋に類似した一様な対象の例504を走査することにより取得される二つの時間フレーム500及び502を示しており、この場合には運動は収縮/拡張、及び異なる(より遅い)速度での上下方向での並進を表わす。図10は、この例において図9に示す対象504から得られる第一の主成分PC1を示す。MVW−PCAは、図5の場合と同様の特徴を示す。図11は、前述の実施形態において構築されたような成分に対応する重み係数510を示す。この例では、重み係数510は並進(又は呼吸運動)によって大部分決定されている。図12は第二の成分PC2を示し、対応する重み係数520を図13に示す。この例では、PC2は、収縮(又は心)運動によって大部分決定されている。さらに明確に述べると、図12に示す領域530は実質的に正の数を有し、領域532は実質的に負の数を有する。従って、図13を再び参照すると、円環が特定の時間フレームにおいて大きい半径を有するときには、PC2から構築される重み係数520は、参照番号540に示すように実質的に正となる。同様に、円環が小さい半径を有するときには、信号は参照番号542に示すように実質的に負となる。
【0036】
前述の実施形態と同様に、次いで、重み係数を二重同期(dual-gating)モジュールへの入力として用いて、各々の同期ゲートが特定の呼吸状態及び心状態に対応するようにして放出データを振り分ける。例えば、6種の呼吸状態及び3種の心状態が識別される場合には全18個のビンを用い、この場合には信号510が呼吸状態を決定し、重み係数520が心状態を決定する。この実施形態の例では、次いで、振り分けられた放出データを再構成して、得られる画像を互いに対して位置合わせする。位置合わせアルゴリズムは、異なる形式の運動を考慮に入れて、例えば並進及び収縮の組み合わせ運動を推定することができる。
【0037】
さらにもう一つの実施形態では、各主成分及び/又はそれぞれの対応する信号を解析して、運動の形式を識別し、応用に依存してさらなる処理を行なうことができる。一例として、応用によって呼吸運動を補正するが、心同期ゲートはそのままにして駆出率を決定することができる。識別工程は、それぞれの運動の既知の特徴を用いる。例えば、呼吸運動は殆どの場合、足から頭へ向かう方向に生じ、従って、対応する主成分は殆どの場合、収縮運動と反対になるように構造の最上部及び最下部において反対の符号の値を有する。一実施形態では、主成分から心臓の近似的な中心が決定されて半径方向プロファイルが構築される。プロファイルが最上部方向及び最下部方向で実質的に同じである場合には、PCは心臓に対応するものと標識され、また反対も同様である。代替的には又は加えて、主成分に対応する信号に周波数解析が施される。支配的周波数が例えば1サイクル毎秒から2サイクル毎秒の範囲にある場合には、PCは心拍に対応するものと標識され、例えば1/10サイクル毎秒から1/2サイクル毎秒の範囲は呼吸運動に対応するものと標識される。同様に、極めて緩慢な移動又は極めて急速な移動を全身的な体動に対応するものと標識することができる。本実施形態では、識別の後に、雑音を低減し、且つ/又は異なる形式の運動同士の間の干渉を除去するために、各PC又はそれぞれの信号をそれぞれの既知の特徴に従って処理すると有利な場合がある。所与の例では、信号510は、一旦大部分で呼吸と標識されると、呼吸に対応しない周波数を除去するために中域通過フィルタによってフィルタ処理され、他の信号についても同様の適当なフィルタによって処理され得る。幾つかの応用では、フィルタ処理後の信号を用いて同期ゲートを決定すると有利な場合がある。
【0038】
また、代替的な多変量データ解析手法を用いて各成分を抽出してもよい。かかる多変量データ解析手法としては、例えば独立成分解析(ICA)及び正則化主成分解析(rPCA)等があるが、他の解析手法を用いてもよく、かかる手法の多くがPCAを初期段階として用いることを認められたい。これらの手法の幾つかは、期待される運動パターンについての事前情報の利用を可能にしており、かかる手法は雑音の多い状況において有利であり得る。単純な例として、サイノグラム集合150を先ず空間的に及び/又は時間的にフィルタ処理して、無用の周波数を除去することができる。例えば、呼吸運動のみを検出すればよい場合には、時間的な中域通過フィルタをデータに施した後にPCAを用いることができる。この実施形態の例では、マスク付き容積単位主成分解析(MVW−PCA)の統計学的な手法を用いる。動作について述べると、MVW−PCAは放出データセット14を解析して、臨床関連成分を求める。この場合には、MVW−PCAを用いて運動関連成分を識別する。さらに明確に述べると、MVW−PCAは、運動情報を診断情報及び雑音から分離するのに用いられる数学的なアルゴリズムである。この実施形態の例では、MVW−PCAは、例えば運動特性決定モジュール50及び/又はメモリ装置20に記憶され得る命令として具現化される。
【0039】
本書に記載される様々な実施形態は、図14に示すような多重モダリティ・イメージング・システム400を提供し得る。多重モダリティ・イメージング・システム400は任意の形式のイメージング・システムであってよく、例えば図1に示す陽電子放出断層写真法(PET)10、単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)、計算機式断層写真法(CT)、超音波システム、磁気共鳴撮像(MRI)又は診断画像を形成することが可能な他の任意のシステムのような異なる形式の医用イメージング・システムであってよい。様々な実施形態は多重モダリティ医用イメージング・システムに限定されず、例えば独立型PETイメージング・システム、独立型CTイメージング・システム、磁気共鳴撮像(MRI)、及び単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)のような単一モダリティの医用イメージング・システムにおいても用いられ得る。また、様々な実施形態は人体の被検体を撮像する医用イメージング・システムに限定されず、人体以外の対象等を撮像する獣医学用システム又は非医用システムを含み得る。
【0040】
図14では、多重モダリティ・イメージング・システム400は、第一のモダリティ・ユニット410及び第二のモダリティ・ユニット412を含んでいる。これら二つのモダリティ・ユニットは、多重モダリティ・イメージング・システム400が第一のモダリティ・ユニット410を用いて第一のモダリティにおいて対象又は患者16を走査し、また第二のモダリティ・ユニット412を用いて第二のモダリティにおいて患者16を走査することを可能にする。多重モダリティ・イメージング・システム400は、異なるモダリティにおける多数の走査を見込んでおり、単一モダリティのシステムよりも向上した診断能力を容易にする。一実施形態では、多重モダリティ・イメージング・システム400はCT/PETイメージング・システム400であって、例えば第一のモダリティ410がCTイメージング・システムであり、第二のモダリティ412がPETイメージング・システム10である。イメージング・システム400は、CTイメージング・システム410に関連するガントリ420と、PETイメージング・システム10に関連するガントリ422とを含むものとして示されている。動作時に、患者16は、例えば電動テーブル426を用いて、イメージング・システム400を通して画定されている中央開口424の内部に配置される。
【0041】
ガントリ420はX線源430を含んでおり、X線源30はガントリ420の反対側に設けられている検出器アレイ432へ向けてX線のビームを投射する。検出器アレイ432は、患者16を透過した投射X線を一括で感知する複数の検出器素子を含む複数の検出器横列(図示されていない)によって形成されている。各々の検出器素子が、入射X線ビームの強度を表わし、これにより患者16を透過したときのビームの減弱の推定を可能にする電気信号を発生する。X線減弱データを取得する1回の走査の間に、ガントリ420及び該ガントリ420に装着された各構成要素が回転中心の周りを旋回する。加えて、PETイメージング・システムが、放出データを取得するように構成されている検出器(図示されていない)を含んでいる。
【0042】
動作時に、電動テーブル426は、操作者ワークステーション440から受けた1又は複数の命令に応答して患者16をガントリ420及び/又はガントリ422のの中央開口424の内部に移動する。次いで、ワークステーション440は第一及び第二のモダリティ410及び412を動作させて、患者16を走査すると共に患者16の減弱データ及び/又は放出データを取得する。ワークステーション440は、イメージング・システム400の近くに配置されて通信リンク442を介してイメージング・システム440に結線されたパーソナル・コンピュータ(PC)として具現化され得る。ワークステーション440はまた、イメージング・システム400へ情報を送信し、またイメージング・システム400から情報を受信するラップトップ・コンピュータ又は掌中型コンピュータのような可搬型コンピュータとして具現化されてもよい。選択随意で、通信リンク442は、ワークステーション440へ又はワークステーション440からイメージング・システム400へ無線式で情報を送信することを可能にする無線通信リンクであってよい。動作について述べると、ワークステーション440は、イメージング・システム400の動作を実時間で制御するように構成される。ワークステーション440はまた、本書に記載される医用画像診断取得工程及び再構成工程を実行するようにプログラムされる。さらに明確に述べると、ワークステーション444は、上で詳述したように、4Dデータセット14の内部の運動を識別し、識別された運動を用いて4Dデータセット14を複数のビンに区分けして、次いでこれらの区分けされたデータ集合を用いて患者16の画像を再構成するように構成されている運動特性決定モジュール50を含み得る。
【0043】
操作者ワークステーション440は、中央処理ユニット(CPU)又はコンピュータ444、表示器446、及び入力装置448を含んでいる。本書で用いられる「コンピュータ」との用語は、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定応用向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、論理回路、又は本書に記載された作用を実行することが可能な他の任意の回路又はプロセッサを用いたシステムを含む任意のプロセッサ方式又はマイクロプロセッサ方式のシステムを含み得る。上の例は例示のみのためのものであり、従って「コンピュータ」との語の定義及び/又は意味を如何なる方法でも限定しないものとする。この実施形態の例では、コンピュータ444は、第一及び第二のモダリティ410及び412から受け取った情報を処理するために1又は複数の記憶要素又はメモリに記憶されている一組の命令集合を実行する。記憶要素はまた、所望又は必要に応じてデータ又は他の情報を記憶することができる。記憶要素は、情報ソースの形態にあってもよいし、コンピュータ444の内部に位置する物理的メモリ素子の形態にあってもよい。
上述の一組の命令は、本書に記載される様々な実施形態の方法及び工程のような特定の動作を実行するように処理機械としてのコンピュータ444に命令する様々な命令を含み得る。この一組の命令はソフトウェア・プログラムの形態にあってもよい。本書で用いられる「ソフトウェア」及び「ファームウェア」との用語は互換的であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めたメモリに記憶されて、コンピュータによって実行される任意のコンピュータ・プログラムを含んでいる。以上のメモリ形式は例示のみのためのものであり、従ってコンピュータ・プログラムの記憶に利用可能なメモリの形式に関して制限するものではない。
【0044】
ソフトウェアは、システム・ソフトウェア又はアプリケーション・ソフトウェアのような様々な形態にあってよい。さらに、ソフトウェアは、別個のプログラムの集合、より大きなプログラムの内部のプログラム・モジュール又はプログラム・モジュールの一部の形態にあってよい。ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュール型プログラミングを含み得る。処理機械による入力データ処理は、利用者の命令に応答して行なわれてもよいし、以前の処理の結果に応答して行なわれてもよいし、他の処理機械によって発行された要求に応答して行なわれてもよい。
【0045】
コンピュータ444は通信リンク442に接続して、入力装置448から入力、例えば利用者命令を受け取る。入力装置448は、例えばキーボード、マウス、タッチ・スクリーン・パネル、及び/又は音声認識システム等であってよい。入力装置448及び付設される制御パネル・スイッチを通じて、操作者はCTイメージング・システム410及びPETイメージング・システム10の動作、並びに走査のための患者16の配置を制御することができる。同様に、操作者は、表示器446において得られる画像の表示を制御して、コンピュータ444によって実行されるプログラムを用いて画像強調作用を実行することができる。
【0046】
本書に記載される様々な実施形態の幾つかについての技術的効果は、画質を高めて、呼吸運動、心運動、及び患者運動等を補償することにある。さらに明確に述べると、後に生ずるアーティファクトを減少させ、例えば腫瘍のような様々な対象の検出を改善するために画質を高めて運動を捉えるために、MVW−PCAを用いて著しい運動の変化の検出及び視覚化を改善すると共に、検出された変化に基づいて画像データをビンに振り分けることができる。画像データは、例えばPETイメージング・システム、SPECTイメージング・システム、MRIイメージング・システム、超音波イメージング・システム、及び/又はMRIイメージング・システムを用いて取得され得る。
【0047】
本書に記載される様々な実施形態は、プロセッサ又はコンピュータが撮像装置を動作させて本書に記載される方法の一実施形態を実行するように命令を記録した有形で非一時的な機械可読媒体(1又は複数)を提供する。媒体(1又は複数)は、任意の形式のCD−ROM、DVD、フロッピィ・ディスク、ハード・ディスク、光ディスク、フラッシュRAMドライブ若しくは他の形式のコンピュータ可読媒体、又はこれらの組み合わせであってよい。
【0048】
様々な実施形態、並びに/又は構成要素、例えばモニタ若しくは表示器、若しくは内部の構成要素及び制御器はまた、1又は複数のコンピュータ又はプロセッサの一部として具現化され得る。コンピュータ又はプロセッサは、計算装置、入力装置、表示ユニット、及び例えばインターネットにアクセスするためのインタフェイスを含み得る。コンピュータ又はプロセッサはマイクロプロセッサを含み得る。マイクロプロセッサは通信バスに接続され得る。コンピュータ又はプロセッサはまた、メモリを含み得る。メモリは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び読み出し専用メモリ(ROM)を含み得る。コンピュータ又はプロセッサはさらに、記憶装置を含んでいてよく、記憶装置はハード・ディスク・ドライブ、又はフロッピィ・ディスク・ドライブ及び光ディスク・ドライブ等のような着脱式記憶ドライブであってよい。記憶装置はまた、コンピュータ又はプロセッサにコンピュータ・プログラム又は他の命令を読み込む他の同様の手段であってよい。
【0049】
以上の記載は例示説明のためのものであって制限するものではないことを理解されたい。例えば、上述の各実施形態(及び/又は各実施形態の諸観点)を互いに組み合わせて用いてよい。加えて、様々な実施形態の範囲を逸脱することなく、特定の状況又は材料を様々な実施形態の教示に合わせて適応構成する多くの改変を施すことができる。本書に記載されている材料の寸法及び形式は、様々な実施形態の各パラメータを定義するためのものであるが、限定するものではなく例示に過ぎない。以上の記載を吟味すれば、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなろう。従って、様々な実施形態の範囲は、特許請求の範囲に関連して、かかる特許請求の範囲が網羅する均等構成の全範囲と共に決定されるものとする。特許請求の範囲では、「including包含する」との用語は「comprising含む」の標準英語の同義語として、また「in whichこのとき」との用語は「whereinここで」の標準英語の同義語として用いられている。さらに、特許請求の範囲では、「第一」、「第二」及び「第三」等の用語は単にラベルとして用いられており、これらの用語の目的語に対して数値的要件を課すものではない。さらに、特許請求の範囲の制限は、「手段プラス機能(means-plus-function)」形式で記載されている訳ではなく、かかる特許請求の範囲の制限が、「〜のための手段」に続けて他の構造を含まない機能の言明を従えた文言を明示的に用いていない限り、合衆国法典第35巻第112条第6パラグラフに基づいて解釈されることはないものとする。
【0050】
この書面の記載は、最適な態様を含めて様々な実施形態を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が様々な実施形態を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な様々な実施形態の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0051】
10:陽電子放出断層写真法(PET)イメージング・システム
12:PETスキャナ
14:4D放出データセット
16:患者
20:メモリ装置
22:読み出し専用メモリ(ROM)
24:ランダム・アクセス・メモリ(RAM)
26:バルク・メモリ
30:プロセッサ
32:入出力(I/O)装置
50:運動特性決定モジュール
100:方法
150:中間画像集合
151:前処理済みサイノグラム集合
152:時間平均情報
154:ゼロ平均情報
156:重み係数
160、162、164、166:一様な対象
170、172、174、176:内部領域
180:背景域
160a、160b、162a、162b、164a、164b、166a、166b:運動を表わす影付き領域
250:運動信号
300、302、304、306、308、310:ビン
400:多重モダリティ・イメージング・システム
410:第一のモダリティ・ユニット
412:第二のモダリティ・ユニット
420:第一のモダリティ・ユニットに関連するガントリ
422:第二のモダリティ・ユニットに関連するガントリ
424:中央開口
426:電動テーブル
430:X線源
432:検出器アレイ
440:操作者ワークステーション
442:通信リンク
444:中央処理ユニット(CPU)
446:表示器
448:入力装置
500、502:時間フレーム
504:一様な対象
510、520:重み係数
530、540:正の数を有する領域
532、542:負の数を有する領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナ(1)と、該スキャナに結合されて動作するコンピュータ(30)とを含む医用イメージング・システム(10)であって、前記コンピュータは、
前記スキャナを用いて対象(16)の撮像データセット(14)を取得し、
該画像データセットを用いて複数の中間画像(150)を形成し、
運動情報(250)を生成するために前記複数の中間画像に多変量データ解析手法を施し、
前記運動情報に基づいて前記中間画像を複数のビン(300)に振り分けて、
該複数のビンの少なくとも一つを用いて関心領域の画像(500)を形成する
ようにプログラムされている、医用イメージング・システム(10)。
【請求項2】
前記コンピュータ(30)は、四次元(4D)陽電子放出断層写真法(PET)放出データセット及び4D単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)放出データセット、又は4D計算機式断層写真法(CT)データセットの少なくとも一つを得るようにさらにプログラムされている、請求項1に記載の医用イメージング・システム(10)。
【請求項3】
前記多変量データ解析手法を実行するために、前記コンピュータ(30)は、前記複数の中間画像のマスク付き容積単位主成分解析(MVW−PCA)を行なって前記運動情報を生成するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載の医用イメージング・システム(10)。
【請求項4】
前記コンピュータ(30)は、
前記運動情報の周波数解析を用いて異なる形式の運動を識別する
ようにさらにプログラムされている、請求項1に記載の医用イメージング・システム(10)。
【請求項5】
前記コンピュータ(30)は、
複数の重み係数(156)を生成するように前記複数の中間画像(150)の前記多変量データ解析手法を施して、
前記重み係数に基づいて前記中間画像を複数のビン(300)に振り分ける
ようにさらにプログラムされている、請求項1に記載の医用イメージング・システム(10)。
【請求項6】
前記コンピュータ(30)は、
複数の重み係数(156)を生成するように前記複数の中間画像(150)の前記多変量データ解析手法を施し、
前記複数の重み係数を用いて運動信号(250)を発生して、
該運動信号に基づいて前記中間画像を複数のビン(300)に振り分ける
ようにさらにプログラムされている、請求項1に記載の医用イメージング・システム(10)。
【請求項7】
スキャナ(1)を用いて対象(16)の撮像データセット(14)を取得し、
該画像データセットを用いて複数の中間画像(150)を形成し、
運動情報(250)を生成するために前記複数の中間画像に多変量データ解析手法を施し、
前記運動情報に基づいて前記中間画像を複数のビン(300)に振り分けて、
該複数のビンの少なくとも一つを用いて前記関心領域(500)の画像を形成する
ことをコンピュータ(30)に指令するようにプログラムされたプログラムで符号化されている非一時的コンピュータ可読媒体(50)。
【請求項8】
前記多変量データ解析手法を施すために、前記複数の中間画像(150)のマスク付き容積単位主成分解析(MVW−PCA)を行なって前記運動情報(250)を生成することをコンピュータ(30)に指令するようにさらにプログラムされている、請求項7に記載のコンピュータ可読媒体(50)。
【請求項9】
複数の重み係数(156)を生成するように前記複数の中間画像(150)の前記多変量データ解析手法を施して、
前記重み係数に基づいて前記中間画像を前記複数のビンに振り分ける
ことをコンピュータ(30)に指令するようにさらにプログラムされている請求項7に記載のコンピュータ可読媒体(50)。
【請求項1】
スキャナ(1)と、該スキャナに結合されて動作するコンピュータ(30)とを含む医用イメージング・システム(10)であって、前記コンピュータは、
前記スキャナを用いて対象(16)の撮像データセット(14)を取得し、
該画像データセットを用いて複数の中間画像(150)を形成し、
運動情報(250)を生成するために前記複数の中間画像に多変量データ解析手法を施し、
前記運動情報に基づいて前記中間画像を複数のビン(300)に振り分けて、
該複数のビンの少なくとも一つを用いて関心領域の画像(500)を形成する
ようにプログラムされている、医用イメージング・システム(10)。
【請求項2】
前記コンピュータ(30)は、四次元(4D)陽電子放出断層写真法(PET)放出データセット及び4D単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)放出データセット、又は4D計算機式断層写真法(CT)データセットの少なくとも一つを得るようにさらにプログラムされている、請求項1に記載の医用イメージング・システム(10)。
【請求項3】
前記多変量データ解析手法を実行するために、前記コンピュータ(30)は、前記複数の中間画像のマスク付き容積単位主成分解析(MVW−PCA)を行なって前記運動情報を生成するようにさらにプログラムされている、請求項1に記載の医用イメージング・システム(10)。
【請求項4】
前記コンピュータ(30)は、
前記運動情報の周波数解析を用いて異なる形式の運動を識別する
ようにさらにプログラムされている、請求項1に記載の医用イメージング・システム(10)。
【請求項5】
前記コンピュータ(30)は、
複数の重み係数(156)を生成するように前記複数の中間画像(150)の前記多変量データ解析手法を施して、
前記重み係数に基づいて前記中間画像を複数のビン(300)に振り分ける
ようにさらにプログラムされている、請求項1に記載の医用イメージング・システム(10)。
【請求項6】
前記コンピュータ(30)は、
複数の重み係数(156)を生成するように前記複数の中間画像(150)の前記多変量データ解析手法を施し、
前記複数の重み係数を用いて運動信号(250)を発生して、
該運動信号に基づいて前記中間画像を複数のビン(300)に振り分ける
ようにさらにプログラムされている、請求項1に記載の医用イメージング・システム(10)。
【請求項7】
スキャナ(1)を用いて対象(16)の撮像データセット(14)を取得し、
該画像データセットを用いて複数の中間画像(150)を形成し、
運動情報(250)を生成するために前記複数の中間画像に多変量データ解析手法を施し、
前記運動情報に基づいて前記中間画像を複数のビン(300)に振り分けて、
該複数のビンの少なくとも一つを用いて前記関心領域(500)の画像を形成する
ことをコンピュータ(30)に指令するようにプログラムされたプログラムで符号化されている非一時的コンピュータ可読媒体(50)。
【請求項8】
前記多変量データ解析手法を施すために、前記複数の中間画像(150)のマスク付き容積単位主成分解析(MVW−PCA)を行なって前記運動情報(250)を生成することをコンピュータ(30)に指令するようにさらにプログラムされている、請求項7に記載のコンピュータ可読媒体(50)。
【請求項9】
複数の重み係数(156)を生成するように前記複数の中間画像(150)の前記多変量データ解析手法を施して、
前記重み係数に基づいて前記中間画像を前記複数のビンに振り分ける
ことをコンピュータ(30)に指令するようにさらにプログラムされている請求項7に記載のコンピュータ可読媒体(50)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−233896(P2012−233896A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−103242(P2012−103242)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−103242(P2012−103242)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
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