説明

医用画像保管装置および医用画像表示システム

【課題】不要な医用画像を配信することなく、効率よく比較読影を行うことを可能にする。
【解決手段】画像保管装置が、複数の医用画像を比較する比較読影において用いられる医用画像の組み合わせを示す情報を読影規則として記憶し、読影画像の表示要求を画像診断ワークステーションから受信した場合に、保管している医用画像の中から要求された読影画像を取得するとともに、記憶している読影規則に基づいて、当該読影画像と比較される比較画像を取得し、取得した読影画像および比較画像を検査情報として画像診断ワークステーションに配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医用画像を保管する医用画像保管装置および医用画像表示システムに関し、特に、複数の医用画像を比較する比較読影が行われる際の医用画像の配信および表示に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、CR(Computed Radiography)装置などの画像診断装置によって撮像された医用画像を保管する画像保管装置と、画像保管装置に保管された医用画像をネットワーク経由で取得し、取得した医用画像を表示して診断レポートの作成を支援する画像診断ワークステーションとがある。
【0003】
これらの装置を用いて検査を行う場合、読影医は、画像診断ワークステーションを操作して、画像保管装置に保管されている医用画像の中から検査で撮像された医用画像を取得し、取得した医用画像の読影を行う。そして、かかる医用画像の読影を行う場合、通常、読影医は、今回の検査で撮像された医用画像と過去の検査で撮像された医用画像とを比較する「比較読影」を行うことが多い。かかる比較読影において読影の対象となる医用画像を、以下では「読影画像」と呼び、読影画像と比較される医用画像を、以下では「比較画像」と呼ぶ。
【0004】
図8は、従来の画像保管装置および画像診断ワークステーションを用いた比較読影を説明するための図である。同図は、ある検査において、X線CT装置を用いて被検体Pの頭部の撮像が行われた場合を示している。ここで、画像保管装置には、被検体Pに関する医用画像として、今回の検査で撮像された頭部のCT画像(X線CT装置によって撮像された医用画像)と、前回の検査で撮像された頭部のCT画像と、過去の検査で撮像された胸部のCR画像(CR装置によって撮像された医用画像)と、やはり過去の検査で撮像された胸部のCT画像とがそれぞれ記憶されていたとする。
【0005】
この検査において比較読影が行われる場合、まず、読影医による操作のもと、画像診断ワークステーションが、今回の検査で撮像された医用画像である読影画像の表示を要求するための表示要求を画像保管装置に対して送信する。例えば、同図(1)に示すように、画像診断ワークステーションは、今回の検査で撮像された被検体Pの頭部のCT画像に関する表示要求を画像保管装置に対して送信する。
【0006】
この表示要求を受信すると、画像保管装置は、要求された読影画像を保管している医用画像の中から取得し、取得した読影画像を検査情報として画像診断ワークステーションに配信する。例えば、同図(2)に示すように、画像保管装置は、被検体Pの頭部のCT画像を取得し、検査情報として画像診断ワークステーションに配信する。
【0007】
この時、通常、画像保管装置は、要求された読影画像だけでなく、画像診断ワークステーションにおいて行われる比較読影に備えて、比較画像となり得る全ての医用画像、すなわち、被検体Pに関する全ての医用画像を取得し、検査情報としてさらに画像診断ワークステーションに配信する。例えば、同図(2)に示すように、画像保管装置は、前回の検査で撮像された頭部のCT画像と、過去の検査で撮像された胸部のCR画像と、過去の検査で撮像された胸部のCT画像をさらに画像診断ワークステーションに配信する。
【0008】
そして、画像保管装置から検査情報が配信されると、画像診断ワークステーションは、検査情報として配信された医用画像のうち、読影画像を表示する。この時、配信された医用画像の中に複数の読影画像があった場合、画像診断ワークステーションは、例えば、同図(3)に示すように、複数の読影画像(ここでは、今回の検査で撮像された頭部のCT画像)を画面上にサムネイル表示する。そして、表示した読影画像の中から操作者によって一つの読影画像が選択されると、画像診断ワークステーションは、選択された読影画像を所定の大きさで画面上に表示する。
【0009】
続いて、画像ワークステーションは、比較読影のために過去の検査で撮像された医用画像を表示するよう読影医から要求されると、画像保管装置から配信された医用画像の中から要求された医用画像を取得し、取得した医用画像を比較画像として読影画像とともに表示する。例えば、画像診断ワークステーションは、同図(4)に示すように、読影画像である今回の検査で撮像された頭部のCT画像に並べて、前回の検査で撮像された頭部のCT画像を比較画像として表示する。
【0010】
こうして、画像診断ワークステーションによって読影画像および比較画像が表示されると、読影医は、それぞれの医用画像を用いて比較読影を行う。なお、上記の例では、比較画像として、読影画像と同じCT画像を用いた場合について説明したが、検査の種類によっては、他の画像診断装置(例えば、CR装置やMRI装置)によって撮像された医用画像が比較画像として用いられる場合もある。そこで、例えば、特許文献1には、複数種類の画像診断装置によって撮像された医用画像を同一画面上に効率よく並べて表示することによって、比較読影を効率化するための技術が開示されている。
【0011】
【特許文献1】特開2007−144151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した従来の技術では、画像診断ワークステーションからの表示要求に応じて検査情報を配信する際に、画像保管装置が、今回の検査で撮像された医用画像だけでなく、過去の検査において撮像された同じ被検体の全ての医用画像を画像診断ワークステーションに配信しているため、実際には比較読影において比較画像として用いられない不要な医用画像も画像診断ワークステーションに配信していた。これにより、画像診断ワークステーションが画像表示に関する処理を行う際の負荷が増加し、効率よく比較読影を行うことができなくなっていた。
【0013】
この発明は、上述した従来技術による課題を解決するためになされたものであり、不要な医用画像を配信することなく、効率よく比較読影を行うことを可能にする医用画像保管装置および医用画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1記載の本発明は、医用画像を保管する医用画像保管装置であって、複数の医用画像を比較する比較読影において用いられる医用画像の組み合わせを示す情報を読影規則として記憶する読影規則記憶手段と、読影画像に関する表示要求を医用画像観察装置から受信した場合に、保管している医用画像の中から当該読影画像を取得するとともに、前記読影規則記憶手段によって記憶されている読影規則に基づいて、当該読影画像と比較される比較画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された読影画像および比較画像を検査情報として前記医用画像観察装置に配信する検査情報配信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項4記載の本発明は、医用画像を保管する医用画像保管装置と、医用画像保管装置に保管されている医用画像を表示する医用画像観察装置とを含んで構成される画像表示システムであって、前記医用画像観察装置が、比較読影に用いられる読影画像の表示要求を前記医用画像保管装置に送信する表示要求送信手段を備え、前記医用画像保管装置が、複数の医用画像を比較する比較読影において用いられる医用画像の組み合わせを示す情報を読影規則として記憶する読影規則記憶手段と、前記読影画像の表示要求を前記医用画像観察装置から受信した場合に、保管している医用画像の中から当該読影画像を取得するとともに、前記読影規則記憶手段によって記憶されている読影規則に基づいて、当該読影画像と比較される比較画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された読影画像および比較画像を検査情報として前記医用画像観察装置に配信する検査情報配信手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1または4記載の本発明によれば、不要な医用画像を配信することなく、効率よく比較読影を行うことが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る医用画像保管装置および医用画像表示システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、X線CT装置やMRI装置、CR装置などの画像診断装置と、画像保管装置と、画像診断ワークステーションとがネットワークを介して接続されて構成される画像診断システムに本発明を適用した場合について説明することとし、本実施例における「画像保管装置」が、本発明に係る医用画像保管装置に対応し、「画像診断ワークステーション」が、本発明に係る医用画像観察装置に対応し、両装置を含んで構成される部分が、本発明に係る医用画像表示システムに対応する。
【実施例】
【0018】
まず、本実施例に係る画像診断システムの概要について説明する。図1は、本実施例に係る画像診断システムの概要を説明するための説明図である。同図は、図8に示した例と同様に、ある検査において、X線CT装置を用いて被検体Pの頭部の撮像が行われた場合を示している。ここで、画像保管装置には、被検体Pに関する医用画像として、今回の検査で撮像された頭部のCT画像と、前回の検査で撮像された頭部のCT画像と、過去の検査で撮像された胸部のCR画像と、やはり過去の検査で撮像された胸部のCT画像とがそれぞれ記憶されていたとする。
【0019】
この検査において比較読影が行われる場合、画像診断ワークステーションは、図8(1)〜(4)と同様の手順で読影画像および比較画像を表示する。例えば、図1(1)〜(4)に示すように、画像診断ワークステーションは、今回の検査で撮像された被検体Pの頭部のCT画像を読影画像として表示し、前回の検査で撮像された被検体Pの頭部のCT画像を比較画像として表示する。そして、画像診断ワークステーションに表示された読影画像および比較画像を用いて、読影医が、画像診断ワークステーションに表示された医用画像を用いて比較読影を行う。
【0020】
そして、本実施例に係る画像診断システムでは、読影医が、例えば比較読影を行った後に、実際に比較読影で用いた読影画像および比較画像の組み合わせと、それらの医用画像を表示した際の表示形式とを「読影規則」として保存(登録)しておくよう画像診断ワークステーションに対して要求することができるようにしている。
【0021】
この読影規則の登録要求を読影医から受け付けると、画像診断ワークステーションは、その時点で表示している読影画像および比較画像の組み合わせと、それらの画像の表示形式とを読影規則として登録するよう要求するための登録要求を画像保管装置に送信する。例えば、同図(5)に示すように、画像診断ワークステーションは、頭部のCT画像および前回の検査で撮像された頭部のCT画像の組み合わせと、それらの医用画像を左右に並べて表示する表示形式とを読影規則とする登録要求を画像保管装置に送信する。
【0022】
画像保管装置は、読影規則の登録要求を画像診断ワークステーションから受信すると、読影規則として登録するよう要求された読影画像および比較画像の組み合わせと表示形式とを対応付けて、読影規則として記憶部に登録する。例えば、同図(6)に示すように、画像保管装置は、頭部のCT画像および前回の検査で撮像された頭部のCT画像との組み合わせとそれらの医用画像を左右に並べて表示する表示形式とを対応付けて、読影規則として記憶部に登録する。
【0023】
そして、これ以降、同じ被検体Pの頭部のCT画像を撮像する新規の検査が行われる場合には、画像保管装置は、読影画像の表示要求を受信すると、保管している医用画像の中から要求された読影画像を取得するとともに、記憶している読影規則に基づいて、当該読影画像と比較される比較画像を取得し、取得した読影画像および比較画像を検査情報として画像診断ワークステーションに配信する。
【0024】
例えば、画像保管装置は、同図(7)に示すように、新規の検査において頭部のCT画像に関する表示要求を受信すると、要求された頭部のCT画像を読影画像として取得するとともに、記憶している読影規則に基づいて、その前回の検査、すなわち、今回の検査で撮像された頭部のCT画像を比較画像として取得し、さらに、それぞれの医用画像を左右に並べて表示する表示形式を取得し、同図(8)に示すように、取得した読影画像、比較画像および表示形式をそれぞれ検査情報として画像診断ワークステーションに配信する。
【0025】
この検査情報を受信すると、画像診断ワークステーションは、検査情報として受信した読影画像および比較画像を、同じく配信される表示形式に従って表示する。例えば、画像診断ワークステーションは、同図(9)に示すように、新規の検査で撮像される頭部のCT画像と、今回の検査で撮像された頭部のCT画像とを左右に並べて表示する。
【0026】
このように、本実施例では、画像保管装置が、記憶している読影規則に基づいて、比較画像となる医用画像を絞り込んで配信するので、必要な医用画像のみが効率よく高速に画像診断ワークステーションに配信されることになり、画像診断ワークステーションにおいて、効率よく比較読影を行うことが可能になる。また、画像保管装置が、読影画像および比較画像を配信する際に、それぞれの医用画像を表示する際の表示形式も合わせて配信するので、画像診断ワークステーションにおいて、読影医などの操作者が表示に関する操作を行うことなく、読影画像および比較画像を比較読影を行える状態でそれぞれ表示することが可能になる。
【0027】
次に、本実施例に係る画像診断システムの構成について説明する。図2は、本実施例に係る画像診断システムの構成を示す構成図である。同図に示すように、この画像診断システムは、X線CT装置、MRI装置、CR装置などの画像診断装置10と、画像保管装置100と、画像診断ワークステーション200とがそれぞれネットワーク20を介して接続されて構成されている。
【0028】
なお、ここでは、画像診断装置10として、X線CT装置、MRI装置、CR装置が1台ずつ接続されている場合を示したが、本発明はこれに限られるわけではなく、同じ種類の画像診断装置が複数接続されていてもよく、また、X線診断装置など、他の画像診断装置が接続されていてもよい。
【0029】
画像保管装置100は、画像診断装置10によって撮像された医用画像を保管する装置である。図3は、本実施例に係る画像保管装置100の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、この画像保管装置100は、インタフェース部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0030】
インタフェース部110は、ネットワークを介して他の装置との間でやり取りされるデータの送受信を制御する処理部である。例えば、このインタフェース部110は、画像診断ワークステーション200から医用画像の表示要求を受信したり、画像診断ワークステーション200に対して検査情報を送信したりする。
【0031】
記憶部120は、制御部130によって行われる処理を実現するための各種プログラムや各種データを記憶する記憶部であり、本発明に関連する機能部としては、画像記憶部120aと、画像DB部120bと、読影規則記憶部120cとを有する。
【0032】
画像記憶部120aは、画像診断装置10によって撮像された各種の医用画像を記憶する記憶部であり、画像DB部120bは、画像記憶部120aにおける医用画像の格納場所や画像圧縮率など、画像記憶部120aによって記憶された医用画像に関する各種の管理情報を記憶する記憶部である。
【0033】
読影規則記憶部120cは、複数の医用画像を比較する比較読影において用いられる医用画像の組み合わせを示す情報を読影規則として記憶する記憶部である。図4および図5は、読影規則記憶部120cによって記憶される読影規則の一例を示す図(1)および(2)である。
【0034】
具体的には、読影規則記憶部120cは、読影画像に関する属性情報と、比較画像に関する属性情報と、読影画像および比較画像を表示する際の表示形式を示す情報とを対応付けた読影規則を被検体ごとに記憶する。例えば、図4に示すように、読影規則記憶部120cは、読影規則を一意に識別する管理ID(ID)、読影規則が作成された日付および時刻(CREATE_DATETIME)、読影規則が最後に更新された日付および時刻(UPDATE_DATETIME)、読影規則を作成した操作者を識別する操作者ID(OPE_ID)、読影規則を作成した操作者の名称(OPE_NAME)、読影規則を作成した操作者によって入力されたコメント(OPE_COMMENT)、読影画像となる医用画像の格納場所を示す画像インデックス(IMAGE_INDEX)、読影画像となる医用画像を撮像したモダリティ(MODALITY)、モダリティの形式を示す装置型名(MODELNAME)、読影規則の登録要求を送信した画像診断ワークステーションを示すステーション名(STATION)、読影画像となる医用画像の検査部位(BODYPART)、読影画像と比較される比較画像に関する情報や、読影画像および比較画像の表示形式が設定される操作パラメータ(PARAM)などを対応付けた読影規則を記憶する。
【0035】
ここで、操作パラメータには、例えば、ある読影画像を比較読影する際に、前回の検査で撮像された頭部のCT画像と、同じ回の検査で撮像された頭部のMR画像と、同じ回の検査で撮像された頸部のCT画像とがそれぞれ比較画像として用いる場合には、図5に示すように、それぞれの比較画像を示す属性情報(検査時点、モダリティ、検査部位)が設定される。
【0036】
さらに、操作パラメータには、例えば、比較読影を行う際に、表示領域を上下、左右にそれぞれ2分割して、左上に読影画像を表示し、右下に1つ目の比較画像を表示し、右上に2つめの比較画像を表示し、左下に3つ目の比較画像を表示する場合には、図5に示すように、表示画面の分割形式、および、各画像を表示する位置が表示形式として設定される。
【0037】
図3の説明にもどって、制御部130は、画像保管装置100の全体制御を行う処理部であり、本発明に関連する機能部としては、画像取得部130aと、検査情報配信部130bと、読影規則受信部130cと、読影規則登録部130dとを有する。
【0038】
画像取得部130aは、画像記憶部120aによって記憶されている医用画像の中から読影画像および比較画像を取得する処理部である。具体的には、この画像取得部130aは、インタフェース部110を介して、読影画像に関する表示要求を画像診断ワークステーション200から受信した場合に、画像DB部120bにより記憶された管理情報に基づいて、画像記憶部120aによって記憶されている医用画像の中から要求された読影画像を取得する。
【0039】
また、読影画像を取得するとともに、画像取得部130aは、読影規則記憶部120cによって記憶されている読影規則の中に、受信した表示要求に含まれている被検体、モダリティおよび検査部位を示す情報に対応する読影規則があるか否かを確認する。そして、対応する読影規則があった場合には、画像取得部130aは、その読影規則の操作パラメータを参照して、そこに設定されている比較画像に関する情報に基づいて、画像記憶部120aによって記憶されている医用画像の中から、要求された読影画像と比較される比較画像を取得する。
【0040】
例えば、図5に示したように操作パラメータが設定されていた場合には、画像取得部130aは、今回撮像された読影画像と比較される比較画像として、前回の検査で撮像された頭部のCT画像と、今回の検査で撮像された頭部のMR画像と、今回の検査で撮像された頸部のCT画像とを、画像記憶部120aによって記憶されている医用画像の中からそれぞれ取得する。
【0041】
また、画像取得部130aは、比較画像を取得するとともに、参照した読影規則の操作パラメータから表示形式を示す情報も取得する。例えば、図5に示したように操作パラメータが設定されていた場合には、画像取得部130aは、表示領域を上下、左右にそれぞれ2分割し、左上に読影画像を表示し、右下に、前回の検査で撮像された頭部のCT画像を表示し、右上に、今回の検査で撮像された頭部のMR画像を表示し、左下に、今回の検査で撮像された頸部のCT画像をそれぞれ表示する表示形式を示す情報を取得する。
【0042】
なお、画像取得部130aは、読影規則記憶部120cによって記憶されている読影規則の中に、受信した表示要求に含まれている被検体、モダリティおよび検査部位を示す情報に対応する読影規則があるか否かを確認した際に、対応する読影規則がなかった場合には、要求された読影画像と同じ被検体に関する全ての医用画像を比較画像として取得する。
【0043】
図3の説明に戻って、検査情報配信部130bは、画像診断ワークステーション200に検査情報を配信する処理部である。具体的には、この検査情報配信部130bは、画像取得部130aによって、読影画像および比較画像、ならびに、それらの医用画像を表示する際の表示形式を示す情報が取得された場合に、取得された情報を検査情報として、インタフェース部110を介して、画像診断ワークステーション200に配信する。
【0044】
読影規則受信部130cは、画像診断ワークステーション200から読影規則の登録要求を受信する処理部である。具体的には、この読影規則受信部130cは、読影規則の登録要求を画像診断ワークステーション200から受信した場合に、その登録要求とともに送信された読影画像および比較画像に関する属性情報と、それらの医用画像の表示形式を示す情報とを読影規則登録部130dに引き渡す。
【0045】
読影規則登録部130dは、読影規則を読影規則記憶部120cに登録する処理部である。具体的には、この読影規則登録部130dは、読影規則受信部130cから読影画像および比較画像の組み合わせを示す属性情報と、それらの画像の表示形式を示す情報とが渡された場合に、それらの情報を対応付けて、読影規則として読影規則記憶部120cに登録する。
【0046】
画像診断ワークステーション200は、画像保管装置100から医用画像を取得して表示する装置である。図6は、本実施例に係る画像診断ワークステーション200の機能構成を示すブロック図である。同図に示すように、この画像診断ワークステーション200は、入力部210と、表示部220と、インタフェース部230と、記憶部240と、制御部250とを有する。
【0047】
入力部210は、読影医などの操作者によって行われる各種指示に関する情報を入力する入力装置であり、例えば、キーボードやマウスなどによって実現される。表示部220は、画像保管装置100から取得した医用画像などを表示する出力装置であり、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどによって実現される。
【0048】
インタフェース部230は、ネットワークを介して他の装置との間でやり取りされるデータの送受信を制御する処理部である。例えば、このインタフェース部230は、画像保管装置100に対して医用画像の表示要求を送信したり、画像保管装置100から検査情報を受信したりする。
【0049】
記憶部240は、制御部250によって行われる処理を実現するための各種プログラムや各種データを記憶する記憶部であり、本発明に関連する機能部としては、検査情報記憶部240aを有する。検査情報記憶部240aは、画像保管装置100から送信された検査情報を記憶する記憶部である。
【0050】
制御部250は、画像診断ワークステーション200の全体制御を行う処理部であり、本発明に関連する機能部としては、検査情報受信部250aと、画像表示制御部250bと、読影規則登録要求部250cとを有する。
【0051】
検査情報受信部250aは、画像保管装置100から送信された検査情報を受信する処理部である。具体的には、この検査情報受信部250aは、インタフェース部230を介して、読影画像および比較画像、ならびに、読影画像および比較画像を表示する際の表示形式を示す情報を含む検査情報を画像保管装置100から受信した場合に、受信した検査情報を画像表示制御部250bに引き渡す。
【0052】
画像表示制御部250bは、読影医などの操作者から各種指示を受け付け、受け付けた各種指示に基づいて画像保管装置100から医用画像を取得して表示部220に表示する処理部である。具体的には、この画像表示制御部250bは、比較読影において、入力部210を介して操作者から読影画像の表示要求を受け付けた場合には、当該読影画像の表示要求を画像保管装置100に対して送信する。ここで送信される表示要求には、表示を要求する読影画像を取得するための情報や、当該読影画像に関する被検体、モダリティおよび検査部位を示す属性情報などが含まれる。
【0053】
そして、画像表示制御部250bは、送信した表示要求に応じて画像保管装置100から配信された検査情報を、検査情報受信部250aを介して受け付けると、検査情報として配信された読影画像および比較画像、ならびに、それらの医用画像を表示する際の表示形式を示す情報に基づいて、読影画像および比較画像をそれぞれ表示する。
【0054】
例えば、図5に示したように操作パラメータに基づいて、読影画像として、今回の検査で撮像された頭部のCT画像が配信され、比較画像として、前回の検査で撮像された頭部のCT画像、今回の検査で撮像された頭部のMR画像、および、今回の検査で撮像された頸部のCT画像がそれぞれ配信され、それらの医用画像を表示する際の表示形式が画像保管装置100から配信されたとする。
【0055】
この場合、画像表示制御部250bは、表示部220の表示領域を上下、左右にそれぞれ2分割して、左上に、読影画像として今回の検査で撮像された頭部のCT画像を表示し、右下に、1つ目の比較画像として前回の検査で撮像された頭部のCT画像を表示し、右上に、2つめの比較画像として今回の検査で撮像された頭部のMR画像を表示し、左下に、3つ目の比較画像として今回の検査で撮像された頸部のCT画像を表示する。
【0056】
また、画像表示制御部250bは、比較画像の追加表示や表示形式の変更など、画像表示の切り替えに関する指示を操作者から受け付けた場合には、受け付けた指示に応じて、画像保管装置100から配信された比較画像の中から新たに比較画像を取得して追加表示したり、読影画像や比較画像の表示形式を変更したりする。
【0057】
読影規則登録要求部250cは、読影医などの操作者から読影規則の登録要求を受け付け、画像保管装置100に読影規則の登録要求を送信する処理部である。具体的には、この読影規則登録要求部250cは、入力部210を介して、操作者から読影規則の登録要求を読影医から受け付けると、その時点で画像表示制御部250bによって表示されている読影画像および比較画像に関する属性情報と、それらの画像の表示形式を示す情報とを含めた読影規則の登録要求を、インタフェース部230を介して画像保管装置100に送信する。
【0058】
次に、本実施例に係る画像保管装置100および画像診断ワークステーション200の処理手順について説明する。図7は、本実施例に係る画像保管装置100および画像診断ワークステーション200の処理手順を示すフローチャートである。なお、ここでは、比較読影が行われる際の画像保管装置100および画像診断ワークステーション200の処理手順について説明する。
【0059】
同図に示すように、本実施例に係る画像診断システムでは、比較読影が行われる際には、まず、画像診断ワークステーション200において、画像表示制御部250bが、操作者からの要求に応じて、読影画像の表示要求を画像保管装置100に送信する(ステップS101)。
【0060】
読影画像の表示要求が送信されると、画像保管装置100では、画像取得部130aが、要求された読影画像を画像記憶部120aから取得し(ステップS102)、さらに、その読影画像に対応する読影規則が読影規則記憶部120cに登録されているか否かを確認する(ステップS103)。
【0061】
ここで、要求された読影画像に対応する読影規則が登録されていなかった場合には(ステップS103,No)、画像取得部130aは、要求された読影画像と同じ被検体に関する全ての医用画像を比較画像として取得する(ステップS104)。
【0062】
一方、要求された読影画像に対応する読影規則が登録されていた場合には(ステップS103,Yes)、画像取得部130aは、その読影規則に基づいて医用画像を絞り込み、絞り込んだ医用画像を比較画像として取得する(ステップS105)。この時、さらに、画像取得部130aは、取得した読影画像および比較画像を表示する際の表示形式を示す情報を読影規則記憶部120cから取得する(ステップS106)。
【0063】
続いて、画像保管装置100では、検査情報配信部130bが、画像取得部130aによって取得された読影画像および比較画像と、それらの医用画像を表示する際の表示形式を示す情報を、検査情報として画像診断ワークステーション200に配信する(ステップS107)。
【0064】
検査情報が配信されると、画像診断ワークステーション200では、検査情報受信部250aが検査情報を受信し、画像表示制御部250bが、検査情報に基づいて読影画像および比較画像を表示する(ステップS108)。
【0065】
そして、画像表示制御部250bは、比較画像の追加表示や表示形式の変更など、画像表示の切り替えに関する指示を操作者から受け付けた場合には(ステップS109,Yes)、受け付けた指示に応じて、比較画像の追加表示や表示形式の変更を行う(ステップS110)。
【0066】
その後、画像診断ワークステーション200では、読影規則登録要求部250cが、操作者から読影規則の登録要求を受け付けると(ステップS111,Yes)、その時点で表示している読影画像および比較画像と、それらの表示形式を示す情報とを含めた読影規則の登録要求を画像保管装置100に送信する(ステップS112)。
【0067】
そして、画像診断ワークステーション200から読影規則の登録要求が送信されると、画像保管装置100では、読影規則受信部130cが、その登録要求を受信し、読影規則登録部130dが、登録要求とともに受信された情報を読影規則として読影規則記憶部120cに登録する(ステップS113)。
【0068】
なお、ここでは、画像保管装置100が、要求された読影画像に対応する読影規則が読影規則記憶部120cに登録されていた場合に、ただちに、その読影規則に基づいて比較画像として取得する場合について説明したが、例えば、要求された読影画像に対応する読影規則が読影規則記憶部120cに複数登録されているような場合には、それら複数の読影規則をいったん画像診断ワークステーション200に送信して操作者に選択させ、選択された読影規則を用いて比較画像を取得するようにしてもよい。
【0069】
上述してきたように、本実施例に係る画像診断システムでは、画像診断ワークステーション200において、画像表示制御部250bが、比較読影に用いられる読影画像の表示要求を画像保管装置100に送信する。そして、画像保管装置100において、読影規則記憶部120cが、複数の医用画像を比較する比較読影において用いられる医用画像の組み合わせを示す情報を読影規則として記憶し、画像取得部130aが、読影画像の表示要求を画像診断ワークステーション200から受信した場合に、保管している医用画像の中から要求された読影画像を取得するとともに、読影規則記憶部120cによって記憶されている読影規則に基づいて、当該読影画像と比較される比較画像を取得し、検査情報配信部130bが、画像取得部130aによって取得された読影画像および比較画像を検査情報として画像診断ワークステーション200に配信する。これにより、本実施例では、比較画像となる医用画像が絞り込まれて配信されるので、必要な医用画像のみが効率よく高速に画像診断ワークステーション200に配信されることになり、画像診断ワークステーションにおいて、効率よく比較読影を行うことが可能になる。
【0070】
また、本実施例に係る画像診断システムでは、画像保管装置100において、読影規則記憶部120cが、比較読影において複数の医用画像が表示される際の表示形式を示す情報を読影規則としてさらに記憶し、画像取得部130aが、読影規則記憶部120cによって記憶された読影規則に基づいて、読影画像および比較画像が表示される際の表示形式をさらに取得し、検査情報配信部130bが、画像取得部130aによって取得された表示形式を検査情報としてさらに配信する。これにより、本実施例では、読影画像および比較画像が配信される際に、それぞれの医用画像を表示する際の表示形式も合わせて配信されるので、画像診断ワークステーション200において、読影医などの操作者が表示に関する操作を行うことなく、比較読影を行える状態で読影画像および比較画像をそれぞれ表示することが可能になる。
【0071】
従来、画像診断ワークステーション200において比較読影を行うためには、読影医などの操作者が多数の操作を行う必要があり、そのために多くの準備時間が必要になっていた。しかし、本実施例に係る画像診断システムでは、画像診断ワークステーション200が比較読影を行える状態で医用画像を表示することができるので、従来、比較読影のために必要とされていた操作や準備時間が不要になり、読影時間を短縮することが可能になる。また、読影したい医用画像のみを優先的に抽出して表示することができるので、少ない操作で効率的な読影環境を提供することが可能になる。
【0072】
また、本実施例に係る画像診断システムでは、画像保管装置100において、読影規則受信部130cが、比較読影において用いられる医用画像の組み合わせを示す情報を画像診断ワークステーション200から受信し、読影規則登録部130dが、読影規則受信部130cによって受信された情報を読影規則として読影規則記憶部120cに登録する。これにより、本実施例では、読影医などの操作者からの要求に応じて、読影規則を学習することができるようになり、様々な読影規則に基づいて柔軟に比較読影を行うことが可能になる。
【0073】
なお、本実施例において図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明に係る医用画像保管装置および医用画像表示システムは、複数の医用画像を比較して読影を行う比較読影に有用であり、特に、不要な医用画像を医用画像観察装置に配信することなく、効率よく比較読影を行うことが要求される場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本実施例に係る画像診断システムの概要を説明するための説明図である。
【図2】本実施例に係る画像診断システムの構成を示す構成図である。
【図3】本実施例に係る画像保管装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】読影規則記憶部によって記憶される読影規則の一例を示す図(1)である。
【図5】読影規則記憶部によって記憶される読影規則の一例を示す図(2)である。
【図6】本実施例に係る画像診断ワークステーションの機能構成を示すブロック図である。
【図7】本実施例に係る画像保管装置および画像診断ワークステーションの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】従来の画像保管装置および画像診断ワークステーションを用いた比較読影を説明するための図である。
【符号の説明】
【0076】
10 画像診断装置
20 ネットワーク
100 画像保管装置
110 インタフェース部
120 記憶部
120a 画像記憶部
120b 画像DB部
120c 読影規則記憶部
130 制御部
130a 画像取得部
130b 検査情報配信部
130c 読影規則受信部
130d 読影規則登録部
200 画像診断ワークステーション
210 入力部
220 表示部
230 インタフェース部
240 記憶部
240a 検査情報記憶部
250 制御部
250a 検査情報受信部
250b 画像表示制御部
250c 読影規則登録要求部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を保管する医用画像保管装置であって、
複数の医用画像を比較する比較読影において用いられる医用画像の組み合わせを示す情報を読影規則として記憶する読影規則記憶手段と、
読影画像に関する表示要求を医用画像観察装置から受信した場合に、保管している医用画像の中から当該読影画像を取得するとともに、前記読影規則記憶手段によって記憶されている読影規則に基づいて、当該読影画像と比較される比較画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された読影画像および比較画像を検査情報として前記医用画像観察装置に配信する検査情報配信手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像保管装置。
【請求項2】
前記読影規則記憶手段は、前記比較読影において前記複数の医用画像が表示される際の表示形式を示す情報を前記読影規則としてさらに記憶し、
前記画像取得手段は、前記読影規則記憶手段によって記憶された読影規則に基づいて、前記読影画像および前記比較画像が表示される際の表示形式をさらに取得し、
前記検査情報配信手段は、前記画像取得手段によって取得された表示形式を前記検査情報としてさらに配信することを特徴とする請求項1に記載の医用画像保管装置。
【請求項3】
前記比較読影において用いられる医用画像の組み合わせを示す情報を前記医用画像観察装置から受信する読影規則受信手段と、
前記読影規則受信手段によって受信された情報を読影規則として前記読影規則記憶手段に登録する読影規則登録手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の医用画像保管装置。
【請求項4】
医用画像を保管する医用画像保管装置と、医用画像保管装置に保管されている医用画像を表示する医用画像観察装置とを含んで構成される医用画像表示システムであって、
前記医用画像観察装置が、
比較読影に用いられる読影画像の表示要求を前記医用画像保管装置に送信する表示要求送信手段を備え、
前記医用画像保管装置が、
複数の医用画像を比較する比較読影において用いられる医用画像の組み合わせを示す情報を読影規則として記憶する読影規則記憶手段と、
前記読影画像の表示要求を前記医用画像観察装置から受信した場合に、保管している医用画像の中から当該読影画像を取得するとともに、前記読影規則記憶手段によって記憶されている読影規則に基づいて、当該読影画像と比較される比較画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された読影画像および比較画像を検査情報として前記医用画像観察装置に配信する検査情報配信手段と、
を備えたことを特徴とする医用画像表示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−207615(P2009−207615A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52290(P2008−52290)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】