説明

医用画像管理システム

【課題】 医用画像の保存期限の設定及び期限後の処理をユーザが独自に設定可能とすると共に、期限後の処理の履歴を残すことにより、操作性及び安全性に優れ安価なランニングコストで済むようにする。
【解決手段】 管理条件設定画面11により、医用画像に対する所見の有無、継続通院の有無、保存期限、期限後の処理、確認メッセージの有無の組合わせを、ユーザが条件A〜Dにより選択可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像を保存及び管理する医用画像管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、診断用途で作成した医用画像を保存、検索機能を有する医用画像管理システムが知られている。
【0003】
医用画像は情報量が多く、また長期に渡り保存管理する必要があるため、膨大な記憶媒体又は記憶装置を必要とし、多大なランニングコストが発生するという問題がある。
【0004】
例えば、この問題を回避するために、特許文献1に記載されているように、指定期限後の画像を自動的に圧縮する方法が知られている。
【0005】
【特許文献1】特許第2838521号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、医用画像情報はその画像に対する所見の有無や、継続通院の有無、関連画像の有無等により重要度が大きく左右される。更に、その重要度の考え方も医師により個人差があり、一律に決定することは非常に困難である。
【0007】
また、医師の最終確認無しに医用画像を加工処理することは危険が伴うと共に、加工処理の履歴が残らないことも、医用画像管理システムとしての安全性を欠くという問題が生ずる。
【0008】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、保存期限の設定及び期限後の処理をユーザが独自に設定可能とし、期限後の処理の履歴を残すことによりユーザの目的を満たし、かつランニングコストを抑制し、操作性及び安全性に優れた医用画像管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の要旨は、医用画像を保存し、保存した前記医用画像を検索する医用画像管理システムであって、前記医用画像に付帯するパラメータに応じて保存期限を設定する第1の設定ステップと、該第1の設定ステップにより抽出した前記医用画像に対して期限後の処理を設定する第2の設定ステップと、該第2の設定ステップにより抽出した前記医用画像に対して施した処理を記録する記録ステップとを有することを特徴とする医用画像管理システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る医用画像管理システムによれば、保存期限の設定及び期限後の処理をユーザが独自に設定可能となると共に、期限後の処理の履歴を残すことにより、ユーザの目的を満たし、かつランニングコストを抑制し、操作性及び安全性が優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は実施例に係る医用画像管理システムの構成図を示しており、医用画像の保存及び管理を行う画像管理サーバ1と、患者の個人情報や診断フロー及び通院履歴等を管理する患者管理サーバ2と、各患者の診断結果等を管理する診断情報管理サーバ3と、画像発生装置等の医療機器4A、4Bと、医用画像の閲覧及び診断結果の登録作業等を行う診断用端末5から成り、それぞれ病院内ネットワーク等を介して接続されている。そして、それぞれが必要なアクセスを行いながら医用情報の管理ができるようになっている。
【0012】
先ず、来院した患者は患者管理サーバ2に患者情報が登録され、医師による問診等の後に、例えば医療機器4Aによる検査を指示される。
【0013】
操作者は患者管理サーバ2を介して検査の発生を医療機器4Aに伝達し、医療機器4Aを介して医用画像を得ると共に、得られた画像を画像管理サーバ1に記録し、患者管理サーバ2に検査の終了を記録する。
【0014】
医師は診断用端末5を用い、患者管理サーバ2を介して画像管理サーバ1内の画像を基に読影し、読影結果を診断情報管理サーバ3に記録すると、患者管理サーバ2に読影の終了が伝達される。
【0015】
図2は画像管理サーバ1の管理条件設定画面11を示しており、検出するパラメータは任意に設定可能であるが、本実施例における検出パラメータは、所見の有無、継続通院の有無、保存期限、期限後の処理、確認メッセージの有無が選択可能としている。これらのパラメータの組み合わせによる各条件A〜Dをユーザがプルダウンメニュー等で選択可能な構成とされている。例えば、条件Aにおいては、所見無し、かつ継続通院無しの場合には問題無しと判断され、5年後に画像を削除する指示をする。
【0016】
条件Bにおいては、所見は無いが別の理由で継続通院しているために、最終通院後から7年後に画像を削除する指示をする。
【0017】
条件Cにおいては、所見はあるが他病院等に紹介したために継続通院無しで、7年後に画像を圧縮する指示をする。
【0018】
条件Dにおいては、所見も継続通院もあるため、最終通院後から10年後に別媒体に保存を行い、保存後に削除等を指示する。
【0019】
また、保存期限は最終通院後の保存期限を設定しても、対象画像生成後からの期限を設定しても、選択式にしても何れでもよい。また、それぞれの保存期限後の処理を実行する前に、確認メッセージを表示するか否かの選択も可能とされている。
【0020】
本実施例においては、保存期限を設定するパラメータが所見の有無、継続通院の有無、保存期間に相当し期限後の処理を設定するパラメータが、期間後の処理、確認メッセージの有無に相当する。
【0021】
また、上述のパラメータの設定完了後は、管理設定画面の中央下部に設けられている登録釦12を用いて設定を決定する。
【0022】
上述の手順で画像管理サーバの管理方法が予め設定されており、この設定内容は初めから設定する構成でもよいし、事前にある程度準備され、操作者の好みに応じて必要部分のみ変更される構成にすることもできる。
【0023】
図3は画像管理サーバ1が検索及び抽出を行う場合のフローチャート図を示している。この作業は、毎日行ってもよいし、スケジュールを設定し定期的に行ってもよい。
【0024】
先ず、ステップS1において検索が開始されると、ステップS2において全画像の検索が完了したか否かの検出を行う。検索が完了している場合には、ステップS3へ進み検索を終了する。検索が完了していない場合にはステップS4に進み、対象画像の付帯情報や診断情報管理サーバ3に問い合わせ、所見の有無を検出する。所見がある場合にはステップS5に進み、所見が無い場合にはステップS6に進む。
【0025】
なお、ステップS5、S6は同一の処理であり、患者管理サーバ2に問い合わせ、継続通院の有無を検出する。これらのステップS5、S6により、図2における条件A〜Dに振り分けられ、次のステップS7〜S10に移行する。
【0026】
ステップS7においては、最終通院後10年以上経過したか否かを検出し、経過している場合にはステップS11に進み、確認メッセージを表示し、未だ10年経過していない場合にはステップS2に戻る。ステップS8においては、保存期間が7年以上経過したか否かを検出し、経過している場合にはステップS12に進み、確認メッセージを表示し、未だ7年以上経過していない場合にはステップS2に戻る。
【0027】
ステップS9においては、最終通院後7年以上経過したか否かを検出し、経過している場合にはS13に進み、確認メッセージを表示し、経過していない場合にはステップS2に戻る。ステップS10においては保存期間から5年以上経過したか否かを検出し、経過している場合にはステップS14に進み、実行記録を保存する。経過していない場合にはステップS2に戻る。
【0028】
図2において、確認メッセージ有りを選択した条件B〜Dにおいては、ステップS11〜S13において確認メッセージが表示され、ステップS15〜S17にそれぞれ進み、確認操作を行うとそれぞれステップS18〜S20に進み、実行記録の保存をする。
【0029】
そして、ステップS18〜S20及びステップS14を経て、それぞれステップS21〜S24に進み、それぞれ設定された別媒体への保存、画像圧縮、削除、削除等の処理を行った後にステップS2に戻る。以上の一連の作業を繰り返すことにより、全ての画像に対する検出が終了する。
【0030】
このフローチャート図では、ステップS11〜S13における確認メッセージの表示に対する操作で、処理の実行操作が行われるまで待機するものとしたが、後でまとめて一覧表示して確認作業を行わせたり、或いは処理を実行したくない場合に確認後に期限後の処理を変更したり、保存期限を変更したり、処理の対象から除外する等の設定変更作業を可能としてもよい。
【0031】
また、ステップS11〜S13において、確認メッセージを表示する際に、図4に示すように、ファイル名、患者氏名、初診日、最終通院日、病名、アクセス回数、関連画像を表示することにより、確認作業の確実性を向上させることが可能となる。
【0032】
なお、ステップS21において別媒体に保存する場合には、図示しない予め設定された別媒体に画像の書き込み作業を行い、無事完了した時点で画像の削除を行う。この場合に、完全に削除して画像管理サーバ1に削除の履歴を書き込んでも、患者管理サーバ2又は診断情報管理サーバ3に同時に履歴を書き込んでも何れでもよい。また、単なる履歴だけではなく、別媒体へのパス情報等を書き込むとなおよい。
【0033】
更に、削除した画像と全く同じ形式及び名前のファイルを生成し、容量の僅かなサムネイル画像に入れ換えて、その付帯情報に削除の履歴と別媒体へのパス情報等を書き込む方法も考えられる。
【0034】
図5は上述のサムネイル画像のファイルを生成する際の変換内容を示した概略図を示し、画像ファイルの内部情報を示している。先ず(a)に示す別媒体への保存対象画像の付帯情報をそのままコピーし、(b)に示すように、付帯情報領域に処理の履歴及び別媒体へのパス情報等を追記し、画像領域には容量の僅かなサムネイル画像等に入れ換えることにより、サムネイル画像のファイルを生成した後に、別媒体へ保存済みの(a)の画像を削除する。
【0035】
このような処理を行うことにより、画像管理サーバ1は画像に対し全く同じ条件でのアクセスが可能となり、かつ必要に応じて履歴を参照することが可能となる。
【0036】
ステップS22において、画像の圧縮が選択された場合には画像の圧縮処理を行い、その履歴情報を画像の付帯情報領域や、画像管理サーバ1の履歴管理領域に書き込む。また、ステップS23、S24において画像の削除が選択された場合には、ステップS21の別媒体への保存後の処理と同様に、画像管理サーバ1、患者管理サーバ2又は診断情報管理サーバ3に履歴を書き込んでもよい。更に図5に示したように、削除した画像と全く同じ形式及び名前のファイルを生成することにより、同様に画像管理サーバ1は全く同じ条件で画像を扱えば、必要に応じて履歴を参照することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本実施例においては、画像管理サーバ1が病院内のネットワークに接続される例を示したが、インターネット等を用いて異なる場所に配置してもよい。また、その場合の期限後の処理は、ローカル領域への保存等の選択肢も考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例の医用画像管理システムの構成図である。
【図2】管理条件設定画面の説明図である。
【図3】動作フローチャート図である。
【図4】確認メッセージ画面の説明図である。
【図5】画像ファイルの変換内容の概略図である。
【符号の説明】
【0039】
1 画像管理サーバ
2 患者管理サーバ
3 診断情報管理サーバ
4A、4B 医療機器
5 診断用端末
11 管理条件設定画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を保存し、保存した前記医用画像を検索する医用画像管理システムであって、前記医用画像に付帯するパラメータに応じて保存期限を設定する第1の設定ステップと、該第1の設定ステップにより抽出した前記医用画像に対して期限後の処理を設定する第2の設定ステップと、該第2の設定ステップにより抽出した前記医用画像に対して施した処理を記録する記録ステップとを有することを特徴とする医用画像管理システム。
【請求項2】
前記第2の設定ステップにより抽出した前記医用画像に対して処理を施すか否かを確認する確認ステップを有することを特徴とする請求項1に記載の医用画像管理システム。
【請求項3】
前記確認ステップは、前記第2の設定ステップにより抽出した前記医用画像に対して前記パラメータと共に表示することを特徴とする請求項2に記載の医用画像管理システム。
【請求項4】
前記記録ステップは、記録情報を含む前記医用画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の医用画像管理システム。
【請求項5】
前記パラメータは、所見の有無及び継続通院の有無としたことを特徴とする請求項1に記載の医用画像管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−75273(P2006−75273A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261121(P2004−261121)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】