説明

医用画像診断装置及び医用画像処理方法

【課題】アブレーションによる不整脈治療をする際に、焼灼したポイントを透視画像上に表示する医用画像診断装置を提供する。
【解決手段】被検体にX線を曝射するX線発生部と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを支持体に支持し、被検体を撮影する撮影部と、被検体に対して支持体を回転・移動して被検体を透視するように制御する制御部と、被検体にアブレーション用カテーテルを挿入したときに先端位置を認識し、焼灼ポイントを示す画像を生成する画像処理部と、透視によって得た透視画像又は参照画像の少なくとも一方の画像上に焼灼ポイントを示す画像を時系列的に重ねて表示する表示部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アブレーションによる不整脈治療をする際に、焼灼ポイントを透視画像上に時系列的に表示する医用画像診断装置及び医用画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のX線診断装置(例えばアンギオ装置)では、被検体に対してX線を発生するX線発生部と、被検体を透過したX線を2次元的に検出しX線投影データを生成するX線検出部を備えている。X線発生部とX線検出部は、アーム(一般にCアームと呼ばれる)に支持されており、Cアームを寝台上の被検体の体軸方向に移動、又は被検体の体軸周りに回転することで、被検体を様々な方向から撮影することができる。
【0003】
また従来では、X線診断装置にてアブレーションによる不整脈治療が行われている。アブレーションとは、不整脈治療の一種で、アブレーション用カテーテルを血管から挿入して心臓内に運び、不整脈の発生起因となる信号の発生源や、信号の伝播通路となる心壁や肺静脈血管内に対し、アブレーション用カテーテル先端を押し当て、高周波エネルギーを放出することで、組織を焼灼(火傷状態にする)し、不整脈起因の信号が心壁内を通れなくすることで、不整脈を治療する方法である。
【0004】
また近年の不整脈治療では、CARTOなどの3次元電位マッピングシステムの発達により、カテーテルアブレーションによる治療時間の短縮、治療成績の向上が得られている。(非特許文献1参照)。
【0005】
特に不整脈の一種である心房細動を引き起こす信号発生場所は、90%が肺静脈の左心房への出口周辺であり、この肺静脈出口付近をぐるりと焼灼することで、不整脈信号が伝播しないようにする治療が多い。肺静脈の出口周辺をぐるりと焼灼するには、どこを焼灼したかの履歴を画像で残すことが重要となる。
【0006】
しかしながら、実際には透視画像上でカテーテルの位置、心臓の位置、肺静脈の出口などを確認しながら、アブレーションを進めているが、焼灼履歴を透視画像上に残すことができず、カテーテルの位置等を認識することができないという不具合があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】東京都立広尾病院:Electro-anatomicalマッピング法(CARTOシステム)平成14年8月 <URL:http://www.byouin.metro.tokyo.jp/hiroo/5_electro.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明が解決しようとする課題は、アブレーションによる不整脈治療をする際に、焼灼したポイントを透視画像上に表示する医用画像診断装置及び医用画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る医用画像診断装置は、被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを支持体に支持し、前記被検体を撮影する撮影部と、前記被検体に対して前記支持体を回転・移動して前記被検体を透視するように制御する制御部と、前記被検体にアブレーション用カテーテルを挿入したときに先端位置を認識し、焼灼ポイントを示す画像を生成する画像処理部と、前記透視によって得た透視画像又は参照画像の少なくとも一方の画像上に前記焼灼ポイントを示す画像を時系列的に重ねて表示する表示部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態に係る医用画像診断装置の構成を示すブロック図。
【図2】一実施形態における医用画像診断装置の全体構造を示す斜視図。
【図3】カテーテルアブレーション治療を概略的に説明する図。
【図4】不整脈の一種である心房細動を引き起こす信号発生場所を示す図。
【図5】アブレーション用カテーテルでの焼灼ポイントを透視画像上に表示する処理を示すフローチャート。
【図6】図5のフローチャートの処理を説明する説明図。
【図7】第2の実施形態におけるアブレーション用カテーテルでの焼灼ポイントを透視画像上に表示する処理を示すフローチャート。
【図8】図7のフローチャートの処理を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る医用画像診断装置について図面を参照して詳細に説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付す。
【実施例1】
【0012】
図1は、一実施形態に係る医用画像診断装置の構成を示すブロック図である。図1の医用画像診断装置は、例えば、アンギオ装置と呼ばれるX線画像診断装置100であり、被検体Pに対してX線を発生するX線発生部10と、被検体Pを透過したX線を2次元的に検出するとともに、検出結果に基づいてX線投影データを生成するX線検出部20を備えている。
【0013】
X線発生部10は、X線管11とX線絞り器12を有するX線照射部と、高電圧制御部13と高電圧発生器14を備えている。X線管11は、X線を発生する真空管であり、陰極(フィラメント)より放出された電子を高電圧により加速してタングステン陽極に衝突させX線を発生する。高電圧制御部13は、システム制御部50(後述)からの指示信号に従って高電圧発生器14を制御し、X線管11の管電流、管電圧、X線パルス幅、照射周期、撮影区間、照射時間等からなるX線照射条件の制御を行なう。
【0014】
X線検出部20は、平面検出器(FPD:Flat Panel Detector)21と、平面検出器21から読み出された電荷を電圧に変換する電荷・電圧変換器22と、電荷・電圧変換器22の出力をデジタル信号に変換するA/D変換器23を備え、A/D変換器23からX線投影データを出力する。
【0015】
X線発生部10と、X線検出部20はアーム(Cアーム)24に支持されている。Cアーム24は、寝台の天板25に載置した被検体Pの体軸方向に移動可能であり、また被検体Pの体軸周りに回転可能である。尚、X線発生部10とX線検出部20は撮影部26を構成し、Cアーム24を回転することで、撮影部26は被検体Pの周囲を回転し、異なる複数の角度方向から被検体Pを撮影することができる。
【0016】
またX線画像診断装置100は、画像処理部30を備えている。画像処理部30は、A/D変換器23からのX線投影データを処理して画像データの生成と保存を行なうもので、画像データ記憶部31と演算部32を含む。画像データ記憶部31には、X線投影データが順次保存されて画像データが生成される。また演算部32は、生成された画像データに対し、必要に応じて輪郭強調やS/N改善等を目的とした画像処理や演算を行なう。また被検体Pの生体信号、例えばECG信号(心電波形)、心音図波形、脈波等を計測するECG計測部33を有している。
【0017】
画像処理部30で処理された画像データは、画像データ記憶部31から読み出され、表示部35に供給される。表示部35は、画像データの表示を行うため、表示データ生成部36、変換部37、モニタ38を備えている。表示データ生成部36は、画像データに対して付帯情報を合成したり、所定の表示フォーマットへの変換を行って表示データを生成する。また変換部37は、表示データに対してD/A(デジタル/アナログ)変換とテレビフォーマット変換を行なって映像信号を生成し、この映像信号を液晶等のモニタ38に表示する。
【0018】
また画像処理部30は、バスライン39を介してシステム制御部50に接続されている。画像データ記憶部31と演算部32はシステム制御部50の制御のもとに画像データを処理する。
【0019】
システム制御部50は、CPUと記憶回路(図示せず)を備え、操作部51から供給された入力情報、設定情報及び選択情報に基づいてバスライン39を介してX線画像診断装置100の各ユニットを統括的に制御する制御部を構成する。
【0020】
操作部51は医師等のユーザが各種コマンドの入力等を行なうもので、マウス、トラックボール、ジョイスティック等のポインティングデバイス52や、キーボード、表示パネルあるいは各種スイッチ等を備えたインタラクティブなインターフェースを有する。以下の説明では、ポインティングデバイス52としてマウスを例に説明する。また操作部50は、天板25の移動方向や移動速度の設定、撮像系の回動/移動方向及び回動/移動速度の設定、管電圧や管電流を含むX線照射条件の設定等を行なう。
【0021】
またX線画像診断装置100は、移動機構部40を備えている。移動機構部40は、絞り移動制御部41と機構制御部42を有する。絞り移動制御部41は、X線絞り器12における絞り羽根等の移動制御を行ない、ROI(関心領域:Region of Interest)を設定する。機構制御部42は、被検体Pを載置する天板25の移動機構43や、Cアームを回転移動する回転移動機構44の制御を行う。移動機構部40は、操作部51の操作に応答して動作し、システム制御部50の制御のもとに各部の移動制御を行う。
【0022】
図2は、X線画像診断装置100(アンギオ装置)の全体的な構成を示す斜視図である。図2において、X線発生部10とX線検出部20がCアーム24によって対向して支持されている。またCアーム24に対して寝台が配置されており、寝台の天板25には、被検体(図示せず)が載置され、天板25の位置及び高さは機構制御部42によって制御可能である。
【0023】
Cアーム24は、例えば天井部に設けられたレールに支持され、被検体の頭部(Cranial)から脚部(Caudal)に向かう体軸方向に移動可能である。またCアーム24の回転により撮影部26(X線発生部10とX線検出部20)は、被検体の周囲を体軸回りに回転することができる。また撮影部26をCアーム24に沿ってスライド回転することができる。
【0024】
X線投影データは、画像処理部30によって処理され、画像データをモニタ38に表示する。モニタ38は、例えば天井部に取り付けられている。また、寝台には操作部511を取り付けており、操作部511の操作に応答してシステム制御部50は、天板25の高さの制御、Cアーム24の移動/回転の制御、X線の照射範囲の調整、照射タイミングの制御等を行う。
【0025】
図3は、カテーテルアブレーション治療を概略的に説明する図である。図3においては、高周波発生装置60を備え、不整脈治療する際にアブレーション用カテーテル61を血管から挿入し、心臓内に運ぶ。心房細動の場合、左房にまでアブレーション用カテーテル61を運び、不整脈の発生起因となる信号の発生源や、信号の伝播通路となる心壁や肺静脈血管内に対し、アブレーション用カテーテルの先端を押し当てる。図3の枠A内に示すようにアブレーション用カテーテル61の先端に設けた電極62から高周波エネルギーを放出することで、組織を焼灼(火傷状態にする)し、不整脈起因の信号が心壁内を通れなくするで、不整脈を治療する。
【0026】
不整脈の一種である心房細動を引き起こす信号発生場所は、図4に示すように90%が肺静脈の左心房への出口周辺(点線B)であり、この肺静脈出口付近をぐるりと焼灼することで、不整脈信号が伝播しないように治療する。
【0027】
ところで、肺静脈の出口周辺をぐるりと焼灼するには、どこを焼灼したかの履歴を画像で残すことが重要である。実施形態では、透視画像上でカテーテルの位置、心臓の位置、肺静脈の出口などを確認しながら、アブレーションを進めることができ、かつ焼灼履歴(アブレーションの履歴)を残すようにしたものである。
【0028】
以下、画像処理部30による画像処理について説明する。画像処理部30は、アブレーション用カテーテルでの焼灼ポイントを、透視画像上に表示するもので、図5のフローチャートに従って処理を行う。
【0029】
図5において、ステップS1では、撮影部26により透視を行う。透視を終了するとモニタ38にはLIH画像を表示する。即ち、X線画像診断装置100では、線量の少ないX線を照射してX線画像を得る「透視」と、線量の多いX線を照射して画像データを記録し、記録した画像データから診断情報を得る「撮影」がある。また透視終了の際に得た透視像を静止画像としてモニタに表示することがあるが、この静止画像をLIH(Last Image Hold)画像と称する。
【0030】
ステップS2では、部分撮影(透視)を実施するROIを選択する。部分撮影(透視)とは、ROI透視のことである。ステップS3では、X線曝射の不要領域を絞り羽根で覆い、必要なエリアのみX線を照射する。つまり、画像上で、X線を照射させたい領域を選択した後、部分撮影(透視)専用のフットスイッチを押すことで、自動的に設定したROIの外側に絞り羽根が入り、ROI内だけにX線が当たる。また、ROIの外側は絞り羽根が入っていて、暗画像になっているが、ROIの外側にはLIH画像を残す。
【0031】
ステップS4では、アブレーション用カテーテル61の先端に設けた電極62から高周波エネルギーを放出して組織を焼灼する。また、ROI内を透視した画像のデータを複数フレーム分、画像データ記憶部31に保存する。
【0032】
次にステップS5では、透視した各フレーム上で、アブレーション用カテーテルの先端を決定する。元々アブレーションでは、電位を測るカテーテル、アブレーション用カテーテル等、沢山のカテーテルが心臓に入っており、通常の透視下では、どれがアブレーション用カテーテルであるか区別が付き難い。しかし、実際には、アブレーション用カテーテルの先端は、少し特殊な形状をしており、また電極数も少ないので、特長はある。
【0033】
また部分撮影(透視)を実施するときは、基本的にアブレーション(焼灼)を実行している時であり、且つ、X線照射エリアはROI設定内に限られているため、アブレーション用カテーテルの認識がしやすく、ソフトウェアによる認識ミスが少ない。したがって、アブレーション用カテーテルの先端は、先端形状の学習や、電極数から認識する。
【0034】
アブレーション用カテーテルの先端が認識できれば、部分撮影(透視)でX線照射した複数フレームの画像を収集して画像データ記憶部31に保管し、各フレームでのアブレーション用カテーテルの先端の位置を計算する。
【0035】
その後、ステップS6では、複数フレームでのアブレーション用カテーテルの先端の各位置の平均位置を割り出すことにより、焼灼ポイントを算出する。焼灼ポイントの算出は、複数フレームの画像をもとに算出される。
【0036】
ステップS7では、算出した焼灼ポイントを示す画像を生成して透視画像上に表示する。以下、同様にしてROIを設定し、次の焼灼ポイントにアブレーション用カテーテルの先端を移動して焼灼し、ROI内を透視した画像データを複数フレーム分、画像データ記憶部31に保存する。またそれぞれの焼灼ポイントを算出し、順次に焼灼ポイントの画像を生成して透視画像上に表示する。
【0037】
したがって、透視画像上には各焼灼ポイントを時系列的に表示することができ、アブレーション履歴を表示することができる。アブレーション履歴の表示により、アブレーションによる焼灼残しがおきにくく、正確なアブレーションができる。
【0038】
尚、焼灼ポイントは、ユーザの意思により、表示に加えるかどうかを選択することができる。また焼灼ポイントは、透視画像上だけでなく、参照画像上に表示しても良い。参照画像は、造影剤を投与した状態の透視画像であり、例えば一般の透視画像の隣に並べて表示する画像である。
【0039】
図6は、図5のフローチャートの処理を説明する画像例であり、S1〜S7は、図5のステップS1〜S7の符号に合わせている。
【0040】
図6の(S1)は、撮影部26により透視を行った後のモニタに表示された画像(LIH画像または参照画像等)を示す。ここではLIH画像を示す。図6の(S2)は、部分撮影(透視)を実施するROIの選択を示し、モニタに表示された画像(LIH画像または参照画像等)からROIを選択する。ROIの選択は、絞り移動制御部41を制御して行い、X線曝射の不要領域を絞り羽根で覆い、必要なエリアのみX線を照射する。ROIの選択により、設定したROIの外側に絞り羽根が入り、ROI内だけにX線が当たる。図6(S2)では、ROIの外側は絞り羽根が入っていて、暗画像になっているが、ROIの外側にはLIH画像を残す。つまり、ROI内の透視画像のみが更新される。
【0041】
次にアブレーション用カテーテル61の先端に設けた電極62から高周波エネルギーを放出して組織を焼灼する。また、ROI内を透視した画像データは、複数フレーム分、画像データ記憶部31に保存され、透視した各フレーム上で、アブレーション用カテーテルの先端を決定する。
【0042】
図6の(S5a)ではROI内の画像を拡大して示している。図6(S5a)では、アブレーション用カテーテル61の先端62を、その先端形状や電極数等の特長から認識する。また透視を行う間、心臓が動く。例えば矢印C方向に動くものとすると、図6の(S5b)に示すようにアブレーション用カテーテルの先端62も動く。そこで、複数フレームでのアブレーション用カテーテルの先端の各位置の平均位置を算出する。また平均位置を焼灼ポイントとし、図6の(S6)に示すように、焼灼ポイントを示す画像D1を生成する。
【0043】
以下、同様にして次の焼灼ポイントにアブレーション用カテーテルの先端を移動して焼灼し、ROI内を透視した画像データを複数フレーム分、画像データ記憶部31に保存し、それぞれの焼灼ポイントを示す画像D1,D2,D3…を生成する。
【0044】
そして、図6の(S7)に示すように、焼灼ポイントを示す画像D1,D2,D3…を透視画像上に時系列的に表示する。したがって、透視画像上にはアブレーション履歴を表示することができる。図6の(S7a)は、焼灼ポイントを示す画像D1,D2,D3…を拡大して示す図であり、アブレーション履歴を表示することができる。
【0045】
第1の実施形態では、人の手を介さず、アブレーション用カテーテルによる焼灼点を時系列的に透視モニタ上に表示できるようになる。その結果、焼灼した場所を認識しながら、手技を進めることができ、かつ焼灼漏れを軽減することができる。つまり、短時間で、アブレーション治療を実施などが可能となり、医者、技師、看護士、患者の負担低減、及び被曝低減などの効果が期待できる。
【実施例2】
【0046】
次に第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、アブレーション用カテーテルを認識せずに、焼灼ポイントを示す画像を生成して表示するものである。第2の実施形態では、図1において、マウス52とモニタ38間の信号ライン53と、演算部32とモニタ38間の信号ライン54が追加される。
【0047】
第2の実施形態では、アブレーション用カテーテルの先端をどこに移動するかをマウス52(ポインティングデバイス)によって指示し、焼灼ポイントを指定して焼灼するものである。
【0048】
図7は、第2の実施形態においてアブレーション用カテーテルでの焼灼ポイントを透視画像上に表示する際のフローチャートを示す。図7のステップS11では、撮影部26により透視を行う。透視を終了するとモニタ38にはLIH画像を表示する。
【0049】
ステップS12では、部分撮影(透視)を実施するROIを選択する。つまり、部分撮影(透視)の実施時は、LIH画像上で、マウス52を用いてポインタを移動してアブレーション用カテーテルの先端位置を指定し、そこをROIの中心としてスポットエリアを設定する。
【0050】
選択したスポットエリアの中心が、アブレーションの中心位置と考えることができる(心房細動は、左房の治療であり、左房は心筋が大きく動くことはないため、この考えが適用できる)。したがって、ステップS13において、演算部32は、ポインタの位置をROIの中心として捉え、アブレーション用カテーテルの先端と認識する。そして認識した位置を画像データ記憶部31に記憶する。
【0051】
ステップS14では、記憶した位置に焼灼ポイントを示す画像を生成し、透視画像上に表示する。以下、順次に焼灼ポイントを移動してアブレーション用カテーテルの先端を認識し、認識した位置に焼灼ポイントを示す画像を時系列的に表示することで、アブレーション履歴を表示する。
【0052】
図8(a)は、ROIを選択した状態を示しており、マウス52を用いて、ポインタEを動かし、ROIの中心位置にアブレーション用カテーテルの先端がくるように指示する。
【0053】
図8(b)は、ポインタEの位置をE1からE2にずらしてROIの位置を変えた状態を示す。システム制御部50は、ROIの中心、つまりポインタEの位置をアブレーション用カテーテルの先端と認識して、その位置を画像データ記憶部31に記憶する。したがって、マウス52によってポインタEの位置を順次に変えて、アブレーション用カテーテルの先端位置を指示することにより、透視画像上には焼灼ポイントを示す画像D1,D2を表示することができる。
【0054】
図8(c)は、アブレーション履歴の表示例を示し、画像D1,D2,D3…は、図6(S7a)に相当する図である。尚、焼灼ポイントは、ユーザの意思により、表示に加えるかどうかを選択することができる。また焼灼ポイントは、透視画像上だけでなく、参照画像上に表示しても良い。
【0055】
第2の実施形態によれば、アブレーション用カテーテルを認識せずに、焼灼ポイント(アブレーション履歴)を表示することができる。
【0056】
以上述べたように本発明の実施形態によれば、アブレーション用カテーテルによる焼灼ポイントを時系列的にモニタ上に表示することができ、焼灼した場所を認識しながら、手技を進めることができる。また焼灼漏れを軽減することができ、短時間で、アブレーション治療を実施することができる。
【0057】
尚、以上の実施形態では、X線検出部20に平面検出器21を用いる例を述べたが、平面検出器21に代えてX線I.I.(Image Intensifier)とX線TVカメラを含むX線検出部を用いることもできる。
【0058】
以上、本発明のいくつかの実施形態を述べたが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
100…医用画像診断装置(X線画像診断装置)
10…X線発生部
11…X線管
20…X線検出部
21…平面検出器
24…Cアーム
25…天板
26…撮影部
30…画像処理部
31…画像データ記憶部
32…演算部
35…表示部
39…バスライン
40…移動機構部
41…絞り移動制御部
50…システム制御部
51…操作部
52…ポインティングデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを支持体に支持し、前記被検体を撮影する撮影部と、
前記被検体に対して前記支持体を回転・移動して前記被検体を透視するように制御する制御部と、
前記被検体にアブレーション用カテーテルを挿入したときに先端位置を認識し、焼灼ポイントを示す画像を生成する画像処理部と、
前記透視によって得た透視画像又は参照画像の少なくとも一方の画像上に前記焼灼ポイントを示す画像を時系列的に重ねて表示する表示部と、
を具備する医用画像診断装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記透視画像上に設定されたROI内の画像から前記アブレーション用カテーテルの先端位置を認識し、前記焼灼ポイントを示す画像を生成する請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、複数フレームの透視画像に含まれる前記アブレーション用カテーテルの先端の平均位置を算出して、前記焼灼ポイントを示す画像を生成する請求項2記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記アブレーション用カテーテルの先端をどこに移動するかをポインタによって指示するポインティングデバイスを備え、前記透視画像上に設定されたROIの中心を前記ポインタによって指示し、
前記画像処理部は、前記ポインタで指示した位置を順次に記憶し、前記記憶した位置に前記焼灼ポイントを示す画像を生成する請求項1記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
被検体にX線を曝射するX線発生部と前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器とを支持体に支持し、前記支持体を回転・移動して前記被検体を透視し、
前記被検体にアブレーション用カテーテルを挿入したときに先端位置を透視画像上で認識して、焼灼ポイントを示す画像を生成し、
前記透視によって得た透視画像又は参照画像の少なくとも一方の画像上に前記焼灼ポイントを示す画像を時系列的に重ねて表示する医用画像処理方法。
【請求項6】
前記透視画像上に設定されたROI内の画像から前記アブレーション用カテーテルの先端位置を認識し、前記焼灼ポイントを示す画像を生成する請求項5記載の医用画像処理方法。
【請求項7】
複数フレームの透視画像に含まれる前記アブレーション用カテーテルの先端画像の平均位置を算出して、前記焼灼ポイントを示す画像を生成する請求項6記載の医用画像処理方法。
【請求項8】
前記アブレーション用カテーテルの先端をどこに移動するかをポインタによって指示するポインティングデバイスを備え、
前記透視画像上に設定されたROIの中心を前記ポインタによって指示し、
前記ポインタで指示した位置を順次に記憶し、前記記憶した位置に前記焼灼ポイントを示す画像を生成する請求項5記載の医用画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−81594(P2013−81594A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222897(P2011−222897)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】