説明

医用画像診断装置

【課題】 監視カメラの向きが変わった時にも、好適に監視カメラによる画像上に前記医用画像診断装置による撮影位置が表示可能な医用画像診断装置を提供する。
【解決手段】 撮影条件を入力する入力手段と、被検体を載置する寝台天板を、被検体の体軸方向、体軸と垂直な水平方向、鉛直方向に移動可能な医用寝台装置を有し、被検体を監視するために前記寝台の上方に設定され、向きが変更可能なビデオカメラと、前記ビデオカメラが寝台天板の移動に同期してビデオカメラを向ける方向を変える制御手段とを備えた医用画像表示装置において、医用画像表示装置による撮影領域を被検体の位置に合わせて監視画像上に表示する表示手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体を監視するための監視カメラを設置した医用画像診断装置に関し、特に、該監視カメラの向きが変わった時にも、好適に監視カメラによる画像上に前記医用画像診断装置による撮影位置が表示可能な医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置は、寝台に載置された被検体の透視画像等を撮像する。医用画像を撮像する装置として、X線CT装置、MRI装置、X線診断装置、X線透視撮影装置、SPECT装置、PET装置等の様々な医用画像診断装置が開発されている。このような装置では、被検体を寝台に載置し、寝台の鉛直方向である高さ方向に上下動、被検体の体軸方向に沿って前後動、体軸に垂直な水平方向に左右動させて、被検体の所望の部位を撮像空間に搬入させる。
【0003】
しかしながら、例えばX線CT装置において、被検体を撮影しながら移動させる場合、被曝を伴うため被検体の安全性が考慮されなければならない。そのため、検査室に確認窓や、ビデオカメラを設置し、操作室から被検体の様子を観察する。ビデオカメラで被検体の移動範囲の全体を確認できるようにする場合には、ビデオカメラの設定位置と向きを調整するようにするものが一般的である。また、被検体の表情を捉えるため、ビデオカメラが撮影プランに合わせて向きを変更するものもある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-189388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、上記従来技術を検討した結果、次のような課題に気がついた。すなわち、特許文献1では、被検体の移動方向に沿って向きの変更が可能なビデオカメラが備えられているが、向きの変更に伴うビデオカメラの視野の変更に伴い、該ビデオカメラによる映像上に表示される撮影位置をどのように変更するかに関して配慮がなされていない。
【0006】
そこで本発明は、監視カメラの向きの変更に応じて、該監視カメラによる画像上に撮影位置を表示可能な医用画像診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明によれば、撮影条件を入力する入力手段と、被検体を載置する寝台天板を、被検体の体軸方向、体軸と垂直な水平方向、鉛直方向に移動可能な医用寝台装置を有し、被検体を監視するために前記寝台の上方に設定され、向きが変更可能なビデオカメラと、前記ビデオカメラが寝台天板の移動に同期してビデオカメラを向ける方向を変える制御手段とを備えた医用画像表示装置において、医用画像表示装置による撮影領域を被検体の位置に合わせて監視画像上に表示する表示手段を備えたことを特徴とする医用画像表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、医用画像診断装置による寝台に載置された被検体上での撮影位置を、好適に監視カメラによる画像上に表示可能な医用画像診断装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を適用したX線CT装置の全体構成図
【図2】ビデオカメラ5の監視画像上に撮影位置21を表示させた図
【図3】寝台天板をひっこめるように移動した際の監視画像上に撮影位置21を表示させた図
【図4】ビデオカメラの向きが変化した際の監視画像上に撮影位置21を表示させた図
【図5】本実施例の動作についてのフローチャート
【図6】実施例の変形例でビデオカメラ5の設置箇所を変化させた図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を適用してなる実施例のX線CT装置を、図を用いて説明する。なお、本実施例ではX線CT装置について説明するが、本発明の表示手段はMRI装置、X線診断装置、透視撮影装置、SPECT装置、PET装置等の様々な医用画像撮影装置に備えられるものとしてよい。
【0011】
図1は本発明を適用したX線CT装置の全体構成図である。図2は、ビデオカメラ5の監視画像上に撮影位置23を表示させた図(左側が仰向けに横たわされた被検体の右側から見た図、右側は監視画像22上に撮影位置23を表示した図)であり、図3は寝台天板を右側へひっこめるように移動した際の監視画像上に撮影位置21を表示させた図(左側が移動前、右側が移動後)であり、図4はビデオカメラの向きが変化した際の監視画像上に撮影位置21を表示させた図(左側が変化前、右側が変化後)であり、図5は本実施例の動作についてのフローチャートであり、図6は実施例の変形例でビデオカメラ5の設置箇所を変化させた図(左側が仰向けに横たわされた被検体の鉛直方向上側から見た図、右側は監視画像22上に撮影位置23を表示させた図)である。
【0012】
図1に示すように、X線CT装置1は、スキャナ2、寝台3、操作卓4、ビデオカメラ5、モニタ6、から構成される。X線CT装置1は、寝台3上の天板7に載置された被検体8をスキャナ2の開口部に搬入してスキャンすることにより、被検体8の透過X線データを取得する。
【0013】
寝台3は、被検体8が載置される天板7と、寝台制御装置201と、天板前後動装置202と、天板左右動装置203と、寝台上下動装置204とから構成される。
【0014】
寝台制御装置201は、天板前後動装置202、天板左右動装置203、寝台上下動装置204を制御して、被検体8を体軸方向に前後動や、体軸と垂直方向であって水平な方向である左右動や、鉛直な方向である上下動に移動する。これにより、被検体8がスキャナ2のX線照射空間に搬入及び搬出され、撮影位置が合わせられる。
【0015】
操作卓4は、モニタ6と、操作装置401と、システム制御装置402と、画像再構成装置403と、表示装置404と、記憶装置405とから構成される。
【0016】
モニタ6には、表示装置404から出力される再構成画像やスキャノグラム画像、システム制御装置402が取り扱う情報やビデオカメラ5により得られた監視画像が出力される。
【0017】
操作装置401は、例えば、キーボード、マウス等のポインティングデバイス、テンキー等の入力装置、各種スイッチボタン等により構成される。操作者によって入力される各種指示や情報をシステム制御装置402に出力する。操作者はモニタ6や操作装置401を使用して対話的にX線CT装置1を操作する。
【0018】
システム制御装置402は、スキャナ2や寝台3、操作卓4、ビデオカメラ5を制御し、撮影処理を実行する。また、ビデオカメラ5からの監視画像に、天板7の前後左右上下位置とビデオカメラの向きの情報から空間的に撮影位置を算出し、表示装置404に出力する。
【0019】
画像再構成装置403は、システム制御装置402の制御によりスキャナ2から転送される透過X線データを取得し透過画像を再構成する。
【0020】
記憶装置405は、ハードディスク等により構成されるものであり、システム制御装置402に接続される。記憶装置405には、透過X線データや透視画像が記憶される。また、X線CT装置1の機能を実現するプログラム等が記憶される。
【0021】
ビデオカメラ5は、ビデオカメラ制御装置501により向きが制御される。また、ビデオカメラ5から取得された監視画像はモニタ6に出力される。
【0022】
図3において、撮影開始時の撮影スライスの一端のX線CT座標系での位置を、「撮影開始位置」と呼び、その座標を(x0、y0、z0)とする。撮影スライスの一端は、天板が移動した際、X線CT座標系での位置が(x1、y1、z1)となる。ただし、体軸方向を(z)方向、鉛直上下方向を(y)方向、体軸に垂直な水平方向を(x)方向とする。また、ビデオカメラ5のX線CT座標系での位置を(x2、y2、z2)とする。ただし、設置された位置から寝台3に向かって、真下を向いた角度を0度とする。
【0023】
図3に示すように、天板7が移動した場合は、システム制御装置402は天板7の実移動量をビデオカメラ5の監視画像上での移動量に変換する。変換式はビデオカメラ5の座標(x2、y2、z2)と天板位置(x1、y1、z1)から求める。なお、ビデオカメラ5の座標(y2)と天板7の座標(y1)により体軸(z)方向、左右(x)方向の監視画像上の移動量変換式が決まる。ただし、変換式から求めた監視画像上での撮影位置23の移動量はz方向における視野中心21、x方向における24から外に向かう視野領域毎で一様な変化ではない。
【0024】
システム制御装置402は、ビデオカメラ5の座標(y2)と天板7の座標(y1)から監視画像の監視画像視野領域22を取得する。そして、システム制御装置402は、監視画像視野領域22から監視画像上の移動量変換の倍率が求め、体軸(z)方向、左右(x)方向の変換式の係数を得る。
【0025】
図4のようにビデオカメラ5の向きがθ1になる場合は、θ0の場合と異なり、移動量の換算式は視野領域Aと視野領域Bに分けられ、したがって、システム制御装置402は、ビデオカメラ5の向きθ1と(y2)-(y1)からの監視画像上の移動量変換式及び角度要素を加えた変換式の係数を算出する。
【0026】
次に実施例の動作について図5を用いて説明する。システム制御装置402は、撮影位置が決定されたら(ステップ51)天板7とビデオカメラ5の向きを取得する(ステップ52及び53)。システム制御装置402は、取得した天板7及びビデオカメラ5の座標情報と、ビデオカメラの向き情報から監視画像上の移動量変換式の係数を算出する(ステップ54)。システム制御装置402は、求めた変換式から撮影位置の実座標を監視画像上の座標に変換し、表示装置404に出力する(ステップ55)。これは位置関係の変化がなく、撮影領域表示が終了されるまで繰り返し更新する(ステップ56、ステップ57)。
【0027】
図6は、実施例の変形例でビデオカメラ5の設置箇所の態様の例を示した図について説明する。
【0028】
被検体8の側面にビデオカメラ5が設置されている。側面に設置されたビデオカメラ5の座標を(x3、y3、z3)とする。側面ビデオカメラ5の監視画像視野領域を表示する際には、システム制御装置402は、ビデオカメラ5座標(x3)と天板7座標(x1)により移動量変換の倍率が求め、体軸(z)方向、上下(y)方向の変換式を得る。
【0029】
第1の変形例の動作についても、図5のフローチャートとほぼ同等である。また、操作者が任意に正面監視画像、側面監視画像を切り換えると、ビデオカメラ5は必要に応じて正面監視画像、側面監視画像の切り換えをし、表示装置404に出力する。または、ビデオカメラ5の一覧として表示装置に正面監視画像、側面監視画像の両方を出力するようにしても良い。
【符号の説明】
【0030】
3 寝台、5 ビデオカメラ、7 天板、8 被検体、21 ビデオカメラ視野中心(x方向)、22 監視画像視野領域、23 撮影領域、24 ビデオカメラ視野中心(z方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影条件を入力する入力手段と、被検体を載置する寝台天板を、被検体の体軸方向、体軸と垂直な水平方向、鉛直方向に移動可能な医用寝台装置を有し、被検体を監視するために前記寝台の上方に設定され、向きが変更可能なビデオカメラと、前記ビデオカメラが寝台天板の移動に同期してビデオカメラを向ける方向を変える制御手段とを備えた医用画像表示装置において、医用画像表示装置による撮影領域を被検体の位置に合わせて監視画像上に表示する表示手段を備えたことを特徴とする医用画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−105897(P2012−105897A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258474(P2010−258474)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】