説明

医療、特に、歯科医療の器具を消毒、殺菌及び/又は維持するための装置

本発明は、医療、特に、歯科医療の器具を消毒、殺菌及び/又は維持するための装置(1)であって、当該装置は、媒体、特に、装置(1)に利用される洗浄製品及び/又はメンテナンス製品、の貯蔵容器(50)を接続するための接続ユニット(60)を備え、接続ユニット(60)が、貯蔵容器(50)の同定を可能にする、チェック手段及び/又は同定手段(61,66)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具を、消毒、殺菌及び/又は維持するために提供される装置に関する。より詳しくは、その装置は、歯科器具を調整するために使用されるべきである。
【背景技術】
【0002】
医療または歯科医療のハンドピースは、治療中に医療実務者がハンドル・スリーブとして握るつかむ筒状部である。歯科実務で通常使われるハンドピースは、いわゆるドリル・ハンドピースであり、より特定的には、その前方端のドリルを運び、後方端が供給チューブに連結に継手によって結合されている。治療器具を駆動するエネルギーの供給ライン、および、空気及び/又は水などの治療媒体の流体ラインは、ハンドピースを通って延びている。前方端の領域に配置されたタービンに供給するための圧縮空気がその中に供給された、いわゆるタービン・ハンドピースと、駆動ユニットとしての電気モータを持つ、いわゆるモータ・ハンドピースとは、しばしば区別される。
【0003】
ハンドピースの機能を維持するために、特に回転可能に実装された駆動要素については、時々メンテナンスが必要である。さらに、歯科実務でますます厳しくなる衛生の要求は、規則的な時間間隔で調整しなければならないハンドピースに結びつく。適切な必需品の調整とメンテナンスを成功させることは、歯科医によって完全に充足されねばならない。この完全な充足は、決して些細ではない、個人的なまたは組織的な努力を必要とする。
【0004】
今まで、歯科ハンドピースは、患者への使用の後に最初にスプレー消毒され、それから外部での洗浄を行う器具によって手動で再処理されていた。対照的に、一般に、器具の内部は洗浄されなかった。しかしながら、一方では、洗浄および消毒の装置が市販で入手可能であり、器具がオイルケアにさらされる前に、その装置内で調整される。機械的方法だけが安全で再現可能な洗浄およびメンテナンスを可能にするので、機械的な調整は、器具の手動的なメンテナンスに対して著しい長所を有する。
【0005】
しかしながら、今までに知られた装置は、一般的には単に、個々の調整ステップに使用することができるもので、そのため、それぞれの場合において洗浄、メンテナンスおよび殺菌が別々に実行されねばならない。これに必要な装置の総体は比較的大きなスペースをとり、各装置が、それぞれ、電気的、気体的および流体的な接続を要求する。従って、個々の装置による、歯科器具の完全な機械的調整の完成は、非常に厄介で多額の支出につながる。
【0006】
さらなる不利益は、個々の装置が一般に相互に連結しないという事実からなり、その故に、装置間のデータ交換が存在し得ない。器具調整の連続的な自動ドキュメンテーションの作成が不可能なので、この不利益は、次には作業スタッフのより多くの固定費に結びつく。更に、途中のステップで装置から装置まで器具は手動で運搬されねばならず、このことはスタッフの集中的な雇用を引き起こし、また多くの時間を要求する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、医療、特に、歯科医療の器具を消毒、殺菌及び/又は維持するための、あるいは一般的には、調整のための装置であって、その器具が前述の不利益を回避する新たな装置を明示すという目的に基づくものである。
【0008】
特に、本発明は、装置に具備され、当該装置によって利用される媒体の貯蔵容器を接続するための接続ユニットに関する。洗浄及び/又はメンテナンス製品、例えば、異なる調整ステップ中に使用される、様々な化学物質がある。その物質の誤用は、結果として修正された供給手順になってしまい、厳しい問題、特に、調整する器具を破損することに結びつきかねない。
【0009】
これを回避するために、医療、特に、歯科医療の器具を消毒、殺菌及び/又は維持するための装置が本発明により提案される。この装置は、媒体の貯蔵容器、より詳細には、この装置に利用される洗浄製品あるいはメンテナンス製品の貯蔵容器を接続するための接続ユニットを有する。発明によれば、その装置内に、接続ユニットは、貯蔵容器の同定を可能に同定を可能にする、チェック手段または同定手段を有する。
【0010】
第1の典型的な実施例による様に、接続ユニットは、例えば、機械的なチェック要素を有する。その要素は、接続される貯蔵容器に応じて、異なるデザイン及び/又は配置をもつ。この機械的なチェック要素は、装置上で貯蔵容器の、組み立てられた状態において、容器中に形成された凹所にかみ合うピンまたは突起になり得る。他の選択肢として、関連する貯蔵容器のまわりをつかむクランプは、チェック要素として利用され得る。
【0011】
これらの単純な手段は、様々な容器の符号化を結果として生じる。そのために、これらの手段は、個々の場合の容器が、これらに備えられたコネクタで、単に組み立てられ得ることを保証する。上に記述された、種類の誤用は、このように回避することができる。そのため、発明による装置の動作信頼性が増大される。
【0012】
上述した解決策の代替として、貯蔵容器にトランスポンダを割り当てることが、当該トランスポンダを読み出すための読出装置を、装置の接続ユニットにさらにまた持たせることにおいて、実現可能となるであろう。
【0013】
発明による更なる変形による様に、貯蔵容器に、その中に置かれた製品を特徴づける磁石を具備させ、また、この磁石からの磁界を検知するための手段が、接続ユニットに具備されている。
【0014】
更なる変形による様に、貯蔵容器は、その外側に光学的符号(例えば有色のリング、イメージ)を持つようにさせ、接続ユニットに、この光学的符号を検知し、および評価するように設計された手段が具備されている。
【0015】
別の変形もまた、接続ユニットに、容器内に位置された製品の物理的特性及び/又は化学的性質を検知するように設計された手段を提供する。これは、また、その中に配置された製品をもつ貯蔵容器が正しい位置に配置されていること、または、誤った配置であることが認識され得ることを、保証することができる。
【0016】
別の変形もまた、接続ユニットに、容器に付された符号の手動入力のための手段を提供する。容器が装置に接続される場合、それに応じて、適切なユーザはコードを入力しなければならない。コードは、それが容器の中で位置していた正確な媒体を特徴づけるかどうかに関し、接続ユニットによってチェックされる。
【0017】
更なる他の選択肢による様に、接続ユニットに、貯蔵容器内で位置されるキーと相互に作用するロックが具備されている。
【0018】
最後に、少なくとも1つの受動素子を備え容器に配置される電気回路もまた、具備され得る。接続ユニットは、この回路へ接続されるように、および、この受動素子の特性を確証するように、設計された手段を有し得る。これは、さらにまた、容器中に位置される媒体のタイプを特徴づけることができる。処理において、回路に対し、ヒューズ素子を追加的にもち得ることが効果的になされ、この状態は、接続ユニットの手段によって不可逆的に変更可能である。
【0019】
上述した全ての変形は、貯蔵容器についての不注意な混合、および、それらについての、結果として起こる誤った調整を回避可能にしている。
【0020】
以下の文章において、発明は、添付された図面に基づいてより詳細に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、歯科器具を消毒、殺菌及び/又は維持するための、本発明による装置の処理チャンバまたはリンスチャンバの断面的な図解を示す。
【図2】図2は、機械的にメンテナンス製品容器を符号化するために最初の変形を示す;
【図3】図3は、メンテナンス製品容器の符号化のための、第2のオプションを示す。
【図4】図4aおよび図4bは、貯蔵容器と、クランプの形をしているチェック要素との間の相互作用を示す。
【図5】図5aおよび図5bは、機械的にメンテナンス製品容器を符号化するための第3の変形を示す。
【図6】図6aから図6cは、メンテナンス製品容器の様々な、実現可能な実施例を示す。
【図7】図7は、メンテナンス製品容器の同定のために更なる変形を示す。
【図8】図8は、メンテナンス製品容器の同定のために更なる変形を示す。
【図9】図9は、メンテナンス製品容器の同定のために更なる変形を示す。
【図10】図10は、メンテナンス製品容器の同定のために更なる変形を示す。
【図11】図11は、メンテナンス製品容器の同定のために更なる変形を示す。
【図12】図12は、メンテナンス製品容器の同定のために更なる変形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、まず第1に、医療、特に、歯科医療の器具を消毒、殺菌及び/又は維持するための装置の実施例を図解的に示しており、以下に、当該装置を参照符号1によって一般的に表す。発明によるメンテナンス装置1の中央の要素は圧力容器2であり、それは処理チャンバあるいはリンスチャンバ3を囲んでいる。処理の間、洗浄され又はメンテナンスされる器具4は、このリンスチャンバ3内に配置されている。ここで、器具4は、多くのプラグ挿し込み口あるいは継手5がその上に配された器具ホルダに補助されて配置されている。様々な継手5は、異なる製造業者からの結合系をもつ器具4を調整できるように、好適に構成されている。この場合では、処理チャンバ3のカバー6は器具ホルダとして役立つ。このカバー6は、洗浄される器具4の供給システムへの流体結合を保証する。カバーは、密閉ユニットによって圧力容器2の縁またはフランジの上に留められ、この容器に対して密閉される。その後、洗浄製品及び/又はメンテナンス製品は、個々の器具4およびそのチャネルに対し、カバー6内へ統合された接続管を介して個別にあるいは組み合わせて、加給され得る。
【0023】
器具を洗浄及び/又はメンテナンスするときの処理は、第一に、以下に一般的な用語で記述される。ここで、調整が始められる前に、処理チャンバ3の圧力シールがチェックされる。処理において、カバー6が正しくはめ込まれ、圧力容器2に密閉されることが確保される。チェックは、カバー6と圧力容器2のフランジの中を通るラインとの間の流体ラインが、正確に接続されたかどうかに関しても行なわれる。
【0024】
装置1に水を供給するために、下流式の混床イオン交換器を備え、あるいはこの交換器を備えない浸透設備によって、水道水が好適にろ過され、溶解塩が除去される。15μS/cmより小さい質の水が装置側の貯蔵容器へ送られ、その貯蔵容器の充填水準が、浮遊スイッチで例示された水準スイッチによってモニタされ、その質がコンダクタンス・センサによってモニタされる。貯蔵容器内への注入口は、衛生上の理由でいわゆるカスケードで実現される。
【0025】
発明による装置の助けによって器具が調整されると、次のステップが連続して行なわれる。
【0026】
a) 洗浄
水は、最初に、上述した貯蔵容器から処理チャンバ3内に送られる。これは、ポンプによって、あるいは、真空による吸収によって、引き起こされ得る。水は、加熱要素の援助により、処理チャンバ内3でおおよそ45℃まで加熱される。処理において、タンパク質が凝固するのを防ぐために温度が45℃より大きくない処置が行われる。水は、ポンプの助力によって更に循環し、圧力容器2の外側面または中央のドーム内に器具を洗浄するために付けられた噴霧ノズルによって、器具4の外面上に注がれる。処理において、洗浄水を、器具4及び/又は器具4の噴霧水路を通して、及び/又は、処理チャンバ3の外部洗浄用の噴霧ノズルを通して、送ることができる。
【0027】
洗浄媒体は、循環中に加熱され得る。従って、洗浄されるべき表面は、冷たい洗浄媒体によって初めに洗浄される。この場合の洗浄製品は、粉末または錠剤の形態で処理チャンバ3に加給され得る、あるいは、それは適切な貯蔵容器からの加給時に測量され得る。この場合の洗浄媒体は、界面活性剤またはリン酸塩からなり、10を超えるpH価を有し得る。洗浄処理を完了するために、水は圧力容器2から流出される。
【0028】
b)リンス 中和
続くステップで、次に、水が貯蔵容器から処理チャンバ3内へ送られ、そして、すぐにほぼ45℃から60℃へと加熱される。リンス補助剤と中和剤が、水の循環中に他の貯蔵容器から計量された状態で加えられる。他の選択肢として、ステップa)と比較して高い温度の結果、洗浄錠剤の別の構成成分もこのとき溶解させ得る。液体は、再度、並列な又は時間オフセットを設ける方法で、あるいは間欠的動作で、器具4と噴霧水路を通って送られ、または噴霧ノズルを介して器具4の外面に注がれる。特に3から5の間のpH価を備えたリン酸エステルは、リンス補助剤あるいは中和剤として使用される。
【0029】
液体は、再び排水管へ圧力容器から流出され得る。または、続くメンテナンス処理で器具4から出てくる過剰なメンテナンス製品を取り去るため、あるいは、暖かい液体で脂っこい器具外面を簡単にすすぐために、液体を容器内に残しておくこともできる。この場合、液体は、メンテナンス処理の後に流出されるだけであり、器具4に圧縮空気を加えることは、噴霧水が器具4の内部に入り込むのを防ぐために、おそらく有用である。
【0030】
c)メンテナンス
3番目のステップにおいて、メンテナンス製品貯蔵容器からのメンテナンス製品は器具の内部へ送られる。その結果、ギヤーとベアリング表面は円滑になる。ここで、メンテナンス製品は、油としての液状形態で、あるいは、圧力缶から、圧縮空気の噴流内に注入されることができる。油も圧力缶内に含まれる起泡剤によって泡立たせることができる。そして、器具の内部をこの油/空気泡で満たすことができる。この場合、気泡は比較的速く崩壊する。従って、油は、器具の内部全体に一様に薄い油膜を形成する。生物分解性の脂肪酸エステル油/白油混合物は潤滑剤として使用される。
【0031】
d)リンス・オフ
上に記述されたメンテナンス処理の後、容器にまだあるリンス補助液体で器具の外側をすすぐことができる。この代わりとして、貯蔵容器からの真水がポンプによって処理チャンバ3へ送られ、噴霧ノズルによって器具の外面に注がれる。
【0032】
e)殺菌 予備減圧
貯蔵容器からの真水は、器具を殺菌する目的で処理チャンバ3に供給される。換気目的のために、真空装置は処理チャンバ3に接続され、処理チャンバ3内の圧力がモニタされ、または記録される。
【0033】
空気は、真空装置の助力によって処理チャンバ3から外に吸い出される。真空度は、加熱要素で水を熱することにより大気圧まで低下する。その後、処理チャンバ3が水蒸気で満たされ、その内部で、殺菌プログラムによって、この処理が数回繰り返され得る。
【0034】
蒸発水の量を、各減圧サイクルにおいて再び一杯にすることができ、この代わりに、蒸気の生成に必要な全量の水も、殺菌サイクルの最初に処理チャンバ3へ直接導入され得る。
【0035】
処理チャンバ3内に置かれた加熱要素により蒸気を生成することに代えて、換気中に圧力を等しくして殺菌するために処理チャンバ3の外部に据えられた蒸気圧力チャンバから、水蒸気が供給され得る。
【0036】
f)乾燥および冷却
一旦殺菌が終了すれば、器具4は、処理チャンバ3内に存在する水蒸気のくびれにより乾かされる。これは、容器壁あるいは容器内に置かれた要素が、貯蔵容器から得られた水を、例えば、それらを通して送ることによって、冷やされるという事実のおかげで達成される。ここで、水は、連続的にあるいは合間内に供給され得る。冷却過程が完了した後に、水が流れ出る。チャンバ3内の温度が50℃より今しがた下がったので、カバー6を開くことができる。これが、器具4のための調整サイクルを完了させる。
【0037】
上記の記述から明らかにされることは、装置1が歯科器具の完全な自動調整を可能にするということである。作業スタッフはもはや処置を講ずる必要はなく、従って、これは非常に便利なシステムである。記述された、器具を調整する処理からそれることが可能であることは言うまでもない。
【0038】
器具が調整されるときの洗浄、メンテナンスおよび消毒のために異なる化学物質が使用されるということを、上述された手順のステップから得ることができる。物質は、異なる状態(固体、粉状体または液体)およびパッケージング(噴霧缶、液体ディスペンサーの瓶あるいは錠剤)で提供され利用される。ここで、異なる製品は、パッケージングまたは容器上の適切な押印によって通常、ラベル付けされる。
【0039】
装置を操作するスタッフは、その使用の間にパッケージング上の異なるラベルに注意しなければならない。例えば、スタッフは関連する接続ユニットに正しいカートリッジかスプレー缶を挿入しなければならない。物質の混合は、修正された適用手順に帰着するであろう。それは、最悪のシナリオとしては、調整される器具への損傷に結びつき、そうでなくとも、少なくとも、予見された効果を害することに結びつき得る。これは、患者とユーザの両方への重大な損害を生じる結果となり得る。
【0040】
これらの不都合を回避するために、この発明は、装置が独立して様々な貯蔵容器を同定し、あるいは、誤った配置を防ぐように、当該装置を具体化することを提案する。
【0041】
最初の変形において、様々な物質のための容器または貯蔵容器を用意することに対し、容器の異なる外的形状に基づく機械的な符号化システムを提供する。そこで、装置は、適切な同定システムまたはブロッキング・システムを装備している。そのシステムは、末端効果においては、それに提供される装置の接続ユニットの貯蔵容器を配置することを単に可能とすることに導く。この目的のために、貯蔵容器は、異なる外的形状及び/又は異なる寸法をもち得る。接続ポートに、異なる接続ねじ、または、異なる直径をもつものを装備することも実現可能であろう。
【0042】
カートリッジの形をしている貯蔵容器または缶は、通常、対応する接続ユニットと接続される。この接続は、接続バルブ内へのねじ込み、接続バルブ内への挿入と磁力による保持、リフト機構または接続バルブに対する押圧によるインクルージョン・バルブ内への押圧、あるいは、ばね力による保持によって行われる。テーパがついたくびれを、物質に応じて異なる高さで貯蔵容器に適用することが、いま、提案され、装置側で、ガス同定要素またはチェック要素が符号化される。これらの要素は、ブラケット、クランプ、ギャップゲージまたはピンの形をし、貯蔵容器が接続ユニットに挿入されたときに、くびれ内にかみ合う。貯蔵容器が必要なくびれを持たないならば、あるいは、くびれが間違った位置に配置されているならば、結果として、容器を接続ユニットへ接続することができない、あるいは、装置が具備するドアを閉めることができない。これは、末端効果においては、装置を動作できないことに結びつく。正しくない媒体の供給は、これによって排除される。
【0043】
発明によるこの考えの第1の実施例は、図2に図解される。参照符号50を付して提供される缶は、装置のコネクタ60内に挿入される。チェック要素または同定要素61をもつコネクタ60は、ブラケット62に取り付けられるピンの形をしている。缶50はその外部周囲にくびれ51を有し、このくびれは、ピンがくびれ51内にかみ合うことができるように、ピン61と同一水準に実現されている。くびれ50の幅は、完全なねじりまたは挿入に対して、缶50が軸方向に十分なあそびをもち得るような寸法となっている。
【0044】
対照的に、くびれ51が、ピン61と同一水準で配置されず、もしくは、存在さえしていないならば、これは、図示されたコネクタ60の中への挿入のために提供されない、正しくない貯蔵容器である。ピン61が、いま、正しくない容器の挿入を防ぐので、容器を正しい中身と接続することが唯一可能であることを保証する。
【0045】
第2の変形は、図3と、図4a及び/又は図4bとに図解される。ここで、缶50は、枢軸動作できないコネクタ60へねじ留めされる。したがって、それは既に使用位置にある。正しくない缶が、いま、あご形のクランプ66がハウジング・フラップ65上に配置されているという事実のおかげで指示され得る。このクランプもまた、缶50のケーシング上で対応する周辺のくびれ52へかみ合うために提供される。くびれ52が間違った水準に実現されるならば、その結果は図4aの配置に帰着する。図4aにおいて、あご型のクランプ66は、ハウジング・フラップ65が閉鎖することを防止する。対照的に、正しい缶50が挿入されるならば、図4bによるような配置が出現し、その配置内で、ハウジング・フラップ65が完全に閉じられ得る。ここで、電気回路またはセンサは、追加安全策として、ハウジング・フラップ65の完全閉鎖をモニタすることができる。装置は、このフラップ65が完全には閉まっていないならば動作することを妨げられる。
【0046】
第3の実施例は、図5aおよび図5b内に図解される。ここでは、缶50は、旋回動作可能なコネクタ60へねじ留めでき、次に、図5bの使用位置へと後ろに旋回される。あご形のクランプ66は再度、使用される。正しい貯蔵容器が使用されるならば、それは周辺のくびれ52へかみ合う。対照的に、誤った缶を配置することが試みられるならば、後ろに旋回することは防止される。
【0047】
したがって、3つの記述された変形はすべて、装置のコネクタ60にチェック要素を付けることに基づいている。チェック要素は、正しくない貯蔵容器の不注意な挿入を防ぐため、貯蔵容器の対応する形と相互に作用する。処理において、非常に異なるくびれ、あるいは凹所は、図6aから図6cに示されるように、容器50の周壁に具備され得る。
【0048】
図7から図12は、接続された貯蔵容器の同一性のチェックのために代替の解決策を示す。これらの解決策は、以下のテキストの中で説明されるものとする。
【0049】
図7による様に、変形例における貯蔵容器50は、トランスポンダ70を具備する。次には、装置の接続ユニットは、トランスポンダ70と通信するための概略的に図解された読出装置71をもつ。トランスポンダ70は、好適には、缶50の底上に外部的に位置される。しかしながら、さらに、トランスポンダは、外側面上に位置されてもよい。通信用の搬送周波数は、おおよそ125kHz近辺である。いくつかの缶が使用される場合、それぞれの缶は、不正確に装備がされている装置を停止するために、トランスポンダの助力を用いて、それ自身のエンコーディングを受信する。除去された中身の量、あるいは、除去のサイクル番号が、トランスポンダ上で後ろに書かれている。したがって、缶内でまだ利用可能な中身の量もまた、推定され得る。例での方法によって、丁度よい時に代替の貯蔵容器の調達を始めるために、装置にこれを表示すこともできる。これは、正しくなく装備の防止に加えて、追加の利点を備える。
【0050】
図8によるような変形例において、貯蔵容器50に磁石75が具備され、これが缶の内容を特徴づけている。装置の接続ユニットは対応するセンサ76、例えばホール・センサをもち、これにより磁石75の磁界を検知し得る。貯蔵容器50の中身も、この場合は適切な磁石の選択により、特徴づけることができる。更に、接続ユニットの媒体経路に位置されたバルブを始動させ、あるいは開くために、同時に磁石75が使用され得る。これは、追加として、動作信頼性を増加させる。
【0051】
図9によるような変形において、光学的印が貯蔵容器の外側に付けられており、その印は、図解された実施例においては有色のリング80によって形成される。次に、装置1上に位置される色センサ81は、貯蔵容器50の上に印刷された色を同定し得る。異なる色の使用は、異なる貯蔵容器を識別することを再度、可能にする。この代わりとして、貯蔵容器の外側上に、イメージ、あるいは、一般的な用語における、光学素子を配置し、装置の適切な手段によってこれを同定および評価することも実現可能であろう。その後、缶の上で位置されるシンボルは、誤装備を同定するために、または、適切であるなら、正しい貯蔵容器の使用を同定するために、デジタルカメラおよび適切なパターン認識ソフトウェアの援助によって確証され得る。
【0052】
変形例において、図10による様に、コード85は貯蔵容器の外側面上に印刷される。このコードは、容器が取り付けられた後、装置上に位置される入力欄86を介して、ユーザによって入力されねばならない。その後、装置上の適切なチェック・ユニットは、肯定的な結果の場合には缶が開かれた状態で、コードの正確さをチェックする。それが更なる開始にもはや利用可能でないように、その後、この入力されたコードも内部に格納され得る。これは、また、容器の多重使用を防止する。
【0053】
図11による様な変形例において、貯蔵容器50は、あるタイプのキーを含んでいる。それは、装置内の対応するロックまたはロック・シリンダと相互に作用する。したがって、貯蔵容器50のキー90は、缶50への経路を開くため、または、その缶を保持するために利用され得る。これは、機械的、電子的あるいは電気的な手段によって引き起こされ得る。処理において、縁端及び同種のものとしてキーが与えられることができ、または、それが同時に、装置のための缶受けとして役立つように、キーを実現し得る。
【0054】
図に図解されていない変形において、貯蔵容器の中身に対して、その物理的性質及び/又は化学的性質によって同定されるようにすることもまた、行い得る。この目的のために、接続ユニットはセンサをもち、それによって、例えばコンダクタンス、屈折率、色、蛍光、その同種のものが、媒体が初めて除去されるときに決定される。これはまた、誤装備を同定できる。
【0055】
最後に、図12は、貯蔵容器の中身が電気回路によって同定される変形を示す。電気回路は、少なくとも1つの受動素子、例えば抵抗器、インダクタ、キャパシタを含んでいる。回路は、容器に関連した回路基板上に配置される。それは、調整装置の接続ユニットへの接続を可能にする接触接続を有する。
【0056】
図12に図解される変形において、例えば貯蔵容器が挿入されるときに、接続は、コネクタK1によって装置に確立される。抵抗R1及び抵抗R2は分圧器となり、予め決められた電圧がコネクタK1に印加されると、PIN2経由で電圧を確立することができる。その後、貯蔵容器は、抵抗器に異なる値を利用することにより、それに応じて符号化することができる。
【0057】
回路は、更に、その状態を一度だけ変更可能なヒューズ素子をもつ。例での方法によって、この要素は、過負荷領域にあるダイオードによって形成することができる。
【0058】
プラグイン・コネクタK1の入力1は、ヒューズがまだ元のままであるかを確証するために使用され得る。貯蔵容器が完全に空ならば、スイッチS1はヒューズのトリガとなり得る。その後、ブローされたヒューズは、容器が空であることの指標として役立つ。別の缶に回路基板を移す試みがなされる場合、これは、ブローされたヒューズに基づく装置によって、同定することができる。焼き切られる、薄い回路基板コンダクタ要素、または、非常に低い等級の抵抗器が、ダイオードの代わりに使用され得る。
【0059】
記述された全ての変形は、容器を、その中に含まれた媒体で明白に特徴づける可能性に余裕を与え、そして、そのために、装置を不正確に装備することが信頼性よく防止される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療、特に、歯科医療の器具を消毒、殺菌及び/又は維持するための装置(1)であって、当該装置は、媒体、より特定的には、前記装置(1)に利用される洗浄製品及び/又はメンテナンス製品の貯蔵容器(50)を接続するための接続ユニット(60)をもつ装置において、
前記接続ユニット(60)が、前記貯蔵容器(50)の同定を可能にする、チェック手段または同定手段(61,66)を有する
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記接続ユニット(60)は、異なるデザイン及び/又はポジショニングをもつ、機械的なチェック要素または同定要素(61,66)を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
機械的なチェック要素または同定要素(61,66)が、前記貯蔵容器(50)の組み立てられた状態で前記容器(50)に形成される凹所にかみ合うピンまたは突起である、
ことを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記機械的なチェック要素または同定要素(61,66)は、前記貯蔵容器の組み立てられた状態における前記貯蔵容器(50))のまわりを少なくとも部分的につかむ、クランプである、
ことを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記機械的なチェック要素または同定要素(61,66)が、前記装置(1)のフラップまたはドア(65)の(65)の上に配置され、
装置(1)が、さらに、前記フラップまたはドア(65)の完全な閉鎖をチェックするためユニットをさらに有する、
ことを特徴とする、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記貯蔵容器(50)はトランスポンダ(70)を有し、
前記接続ユニットは、前記トランスポンダ(70)を読み出すための読出装置(71)を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記貯蔵容器(50)に、前記容器内に位置されて製品を特徴づける磁石(75)を有し、
前記接続ユニットは、この磁石(75)からの磁界を検知するための手段を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記貯蔵容器(50)は、例えば有色のリング(80)あるいは像である光学的符号をもち、
前記貯蔵容器は、その外面および接続ユニット上に、光学的符号を検知し評価するために設計されている手段を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記接続ユニットは、前記容器(50)内に位置された製品の物理的及び/又は化学的な特性を検知するように設計された手段を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記接続ユニットは、前記容器(50)に付されたコード(85)の手動入力のための手段を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記接続ユニットは、前記貯蔵容器内に位置されたキーと相互に作用するロックを有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの受動構成部品をもつ電気回路が、前記容器(50)の上に配置され、
前記接続ユニットが、前記回路に接続され、受動構成部品の特性を確証するように設計された手段を有する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記回路は、その状態を不可逆的に変更可能なヒューズ素子をもつ、
請求項12に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−520710(P2012−520710A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500265(P2012−500265)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053601
【国際公開番号】WO2010/106159
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(305039194)カルテンバッハ ウント ホイクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (36)
【氏名又は名称原語表記】Kaltenbach & Voigt GmbH
【Fターム(参考)】