説明

医療器具に使用するためのポリマー/セラミック複合材料

1つまたは複数の複合領域を有する、埋め込み可能または挿入可能な医療器具。これらの複合領域は、ポリマーおよびゾル・ゲル誘導セラミックを含む。該ポリマーおよびゾル・ゲル・セラミックは、両連続相または分離したポリマー相とゾル・ゲル誘導セラミック相を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具を構成するための新規で改善された材料に関する。
【背景技術】
【0002】
被験体に埋め込まれるか、または挿入されるように構成された種々の医療器具が知られている。このような器具には、非常に要求が厳しくなる可能性がある付随の機械的要件がある。
【0003】
例えば、カテーテルの遠位端に設けられたバルーンが医療に広く用いられている。このタイプのバルーンを用いて、例えばカテーテルが挿入される管を広げる、または閉鎖された管を無理に開放することができる。バルーンの強度およびサイズの要件は、バルーンの意図された用途およびカテーテルが挿入される管のサイズに応じて大きく変わる。このようなバルーンのさらに厳しい用途の一つは、カテーテルが長い距離にわたって非常に小さな管に挿入され、バルーンの膨張によって血管の狭窄を開放するのに用いられるバルーン血管形成(例えば、経皮経管冠動脈形成術、すなわち「PCTA」)に関連するものである。これらの場合には、製品の性能を強化し、患者の外傷の可能性を最小にして回復するように、カテーテルのサイズおよび質量を低減する必要がある。例えば、これらの用途においては、非常に薄壁であり、丈夫であり、且つ強度が高いバルーンが必要とされる。バルーンの壁厚がカテーテルの遠位端の最小径を制限し、故に血管系を通るカテーテルの通過し易さを決定し、治療可能な管の大きさを制限することから、薄壁が必要である。バルーンを用いて狭窄を押し広げるので、丈夫さ、および高い強度が必要とされており、この課題を達成するのに必要な高い内圧(例えば、10〜25気圧)下においてバルーンの薄壁が破裂してはならない。
【0004】
医療器具界は、医療器具の能力を増強するためにナノテクノロジーを研究している。例えば、様々な例では、ブレンドおよび化合技術を用いてナノ粒子を医療器具に組み込む試みがなされている。いくつかの場合には、材料内のナノ粒子の分布が不均一であることが大きな原因で、結果は不本意なものになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらおよび他の課題は、本発明の組成物、デバイスおよび技術によって対処される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、1つまたは複数の複合領域を含むか、または1つまたは複数の複合領域からなる、埋め込み可能または挿入可能な医療器具が提供される。これらの複合領域は、ポリマーおよびゾル・ゲル誘導セラミックの組み合わせを含むハイブリッド材料から形成される。
【0007】
本発明の利点は、増強された強度、丈夫さおよび/または耐磨耗性を含む強化された機械的特性をもたらす複合領域が医療器具に設けられることである。
本発明のこれらおよび他の態様、実施形態、ならびに利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲を検討すれば当業者には直ちに明白となろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の多数の態様および実施形態の以下の詳細な説明を参照すれば、本発明をより完全に理解することができる。以下の本発明の詳細な説明は説明を目的とするものであって、本発明を限定しようとするものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって定められる。
【0009】
すべての米国特許文書を含む、本願のどこかで言及する公表文書はすべて、それらの全体として本願明細書に援用される。本願のどこかで言及するどの同時係属出願も、その全体として本願明細書に援用される。
【0010】
一態様では、本発明は、ポリマーおよびセラミックを含むハイブリッド材料を含むか、またはそれらからなる1つまたは複数の複合領域を含むか、またはそれらからなる埋め込み可能または挿入可能な医療器具を提供する。利点の中でも特に、複合領域は、例えば増強された強度、丈夫さおよび耐磨耗性を含む強化された種々の機械的特性を提供することができる。
【0011】
本発明と関連して使用される医療器具には、処置的使用のため、またはインプラントとして埋め込まれるか挿入される種々の埋め込み可能または挿入可能な医療器具を含む。例としては、バルーン、カテーテル(例えば、バルーン・カテーテルなどの腎または血管カテーテル)、ガイド・ワイヤ、フィルタ(例えば、大静脈フィルタ)、ステント(冠動脈ステント、脳ステントなどの末梢血管ステント、尿道ステント、尿管ステント、胆管ステント、気管ステント、消化管ステントおよび食道ステントを含む)、ステント・グラフト、血管グラフト、血管アクセス・ポート、脳動脈瘤充填コイル(Guglilmi離脱型コイルおよび金属コイルを含む)を含む塞栓デバイス、心筋栓、ペースメーカー・リード、左室補助心臓およびポンプ、完全人工心臓、心臓弁、血管弁、組織充填デバイス、縫合糸、縫合糸固定具、吻合クリップおよびリング、手術部位の組織吻合および結紮クリップ、カニューレ、金属ワイヤ・リガチャー、整形外科用プロテーゼ、人工関節のほか、体内への埋め込みまたは挿入のために適合された種々の他の医療器具が挙げられる。
【0012】
本発明の医療器具は、診断、全身的治療または任意の組織または器官の局所治療に用いられる、埋め込み可能または挿入可能な医療器具を含む。非限定的な例には、腫瘍;心臓、冠血管系および末梢血管系(全体的に「血管系」と呼ばれる)を含む器官、腎、膀胱、尿道、尿管、前立腺、膣、子宮および卵巣を含む泌尿生殖器系、眼、肺、気管、食道、腸管、胃、脳、肝および膵、骨格筋、平滑筋、乳房、皮膚組織、軟骨、歯および骨がある。本願で用いられる場合、「治療」とは、疾患または病状の予防、疾患または病状に伴う症状の軽減または除去、あるいは疾患または病状の実質的または完全な除去を言う。一般的な被験体(「患者」とも言う)は脊椎動物の被験体であり、より一般的には哺乳動物の被験体であり、さらに一般的にはヒト被験体である。
【0013】
いくつかの実施形態では、複合領域は医療器具全体に相当する。他の実施形態では、該複合領域は1つまたは複数の医療器具部分に相当する。例えば、該複合領域は、医療器具に組み込まれる1つまたは複数の鎖の形態、基礎医療器具の基材の全体または一部分のみを覆って形成される1つまたは複数の層の形態等の可能性がある。層は種々の形状(例えば、所望のパターンの)であり、種々の場所において下側の基材を覆って設けられることができ、層は種々の複合材料(例えば、異なる複合組成物が異なる場所に設けられてもよい)から形成されることができる。基礎医療器具基材として使用される材料には、ポリマー材料、セラミック材料および金属材料のほか、炭素をベースにした材料またはケイ素をベースにした材料などの他の無機材料が挙げられる。本願において使用される場合、ある所与の材料の「層」は、材料の厚さがその長さおよび幅の両方と比較して小さい領域である。本願において使用される場合、層は平坦である必要はなく、例えば、基礎基材の輪郭を呈する。層は不連続(例えば、パターン化された)でもよい。
【0014】
本発明によるコーティングの具体的な実施形態をバルーン・カテーテル100の外観である図1に示す。カテーテル100を本発明をわかり易くするために示しており、他のカテーテルを含む多様な他の医療器具が本発明の範囲にある。図示のカテーテル100は、液体導入用のルアー・ポート114と、ガイド・ワイヤ112を導入してカテーテル100を操作するためのハブ116とを有するルアー・アセンブリ110を含む。ルアー・アセンブリ110によって、膨張用流体または薬品の注入あるいはガイド・ワイヤ112の導入といった、カテーテル内腔へのアクセスが可能となる。図示のバルーン・カテーテル100は、バルーン120を含んだ遠位部分102を備える。遠位部分102は任意の所望の長さであってよい。図示の実施形態では、カテーテル100には、遠位部分102の全表面を覆って延在するコーティング102cの形態である本発明の複合領域が設けられている。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、治療薬が複合領域内または複合領域の真下に配置され、いずれの場合にも該複合領域は担体領域またはバリヤ領域と呼ばれることができる。「複合担体領域」とは、治療薬をさらに含み、そこから治療薬が放出される複合領域を意味する。「複合バリヤ領域」とは、治療薬の源と意図される放出部位との間に配置され、治療薬が放出される速度を制御する複合領域を意味する。例えば、いくつかの実施形態では、医療器具は、治療薬の源を囲繞する複合バリヤ領域からなる。他の実施形態では、複合バリヤ領域は治療薬の源を覆って配置され、次いで、医療器具の基材の全部または一部を覆って配置される。
【0016】
上記のように、本発明の複合領域は、ポリマーおよびセラミックの組み合わせを含むハイブリッド材料から形成される。例えば、この複合領域は両連続ポリマー相およびセラミック相を含むことができ、セラミック相のドメインはポリマー・マトリクスに分散されることができ、ポリマー相のドメインはセラミック・マトリクスのドメインに分散されることができる。いつかの実施形態では、ポリマーおよびセラミックが両連続相に存在するとき、すなわち、セラミック網およびポリマー網が明白に分子レベルまで浸透して電界放射顕微鏡法、またはさらには透過型電子顕微鏡法で分離したドメインが観察されなくなる場合に、最高の材料特性が得られる。分離した分散相が存在する場合、該分散相の少なくとも1つの断面寸法(例えば、球状または円筒状相の直径、リボンまたはプレート形状相の厚さ、等)が1ミクロン(1000nm)未満であり、例えば0.1nm〜500nm乃至1〜10nmの範囲であることを意味するナノスケールの寸法であることが好ましい。一般に、このような寸法が小さくなれば、ポリマー相とセラミック相のとの間に存在する界面積は大きくなる。
【0017】
ある場合には、複数のポリマー相および/またはセラミック相が存在することができる。例えば、複合領域がブロック・コポリマーまたは異なるポリマーのブレンドを含む場合、複数のポリマー相が存在することができる。
【0018】
本発明の複合領域に使用されるポリマーは、環状、直鎖および分岐構造を含む種々の構造を有することができる。分岐構造には、特に星形形状の構造(例えば、3本以上の鎖が1つの分岐点から出現する構造)、櫛形構造(例えば、主鎖および複数の側鎖を有する構造)および樹枝状構造(例えば、樹枝状ポリマーおよび超分岐状ポリマー)が挙げられる。本発明の複合領域に使用されるポリマーは、例えば、単一の構成単位の複数の複製を含むホモポリマー鎖および/またはランダム分布、統計的分布、勾配分布および周期的分布(例えば、交互になった)を含む任意の種々の分布で存在することができる、少なくとも2つの類似しない構成単位の複数の複製を含むコポリマー鎖を含むことができる。2つ以上の異なったホモポリマーまたはコポリマー鎖を含んだポリマーは、本願中では「ブロック・コポリマー」と呼ばれる。
【0019】
本発明の複合領域に使用されるポリマーは、例えば以下の1つ以上から選択されてよい:ポリカルボン酸ポリマーおよびポリアクリル酸を含むコポリマー;アセタールポリマーおよびコポリマー;アクリレートおよびメタクリレートポリマーおよびコポリマー(例えば、n−ブチルメタクリレート);セルロースアセテート、ニトロセルロース、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セロファン、レーヨン、レーヨントリアセテート、およびカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテルを含む、セルロース・ポリマーおよびコポリマー;ポリオキシメチレンポリマーおよびコポリマー;ポリエーテル・ブロック・イミド、およびポリエーテル・ブロック・アミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミドおよびポリエーテルイミドなどの、ポリイミドポリマーおよびコポリマー;ポリアリルスルホンおよびポリエーテルスルホンを含む、ポリスルホンポリマーおよびコポリマー;ナイロン6,6、ナイロン12、ポリカプロラクタムおよびポリアクリルアミドを含む、ポリアミドポリマーおよびコポリマー;アルキド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アリル樹脂およびエポキシド樹脂を含む樹脂;ポリカーボネート;ポリアクリロニトリル;ポリビニルピロリドン(架橋されたものおよび架橋されていないもの);スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−エチレン−ブチレンコポリマー(例えば、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン−ポリスチレン(SEBS)コポリマー、Kraton(登録商標)Gシリーズポリマーとして発売)、スチレン−イソプレンコポリマー(例えば、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマーおよびスチレン−イソブチレンコポリマー(例えば、ピンチュク(Pinchuk)の米国特許第6545097号明細書に開示されたものなどのポリイソブチレン−ポリスチレンおよびポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック・コポリマー)、ポリビニルケトン、ポリビニルカルバゾール、およびポリビニルアセテートなどのポリビニルエステルを含む、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライドなどのポリハロゲン化ビニル、エチレンビニルアセテートコポリマー(EVA)、ポリビニリデンクロライド、ポリビニルメチルエーテルなどのポリビニルエーテル、ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、ビニル芳香族オレフィンコポリマーを含む、ビニルモノマーのポリマーおよびコポリマー;ポリベンゾイミダゾール;エチレン−メタクリル酸コポリマーおよびエチレン−アクリル酸コポリマー(酸基のいくつかは亜鉛またはヨウ化ナトリウム(一般にイオノマーとして知られている)で中和することができる);ポリエチレンオキシド(PEO)を含む、ポリアルキレンオキシドポリマーおよびコポリマー;ラクチド(乳酸のほかd−、l−およびメソ−ラクチドを含む)、イプシロンカプロラクトン、グリコリド(グリコール酸を含む)、ヒロドキシブチレート、ヒドロキシバレレート、パラ−ジオキサノン、トリメチレンカーボネート(および、そのアルキル誘導体)、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン(ポリ(乳酸)およびポリ(カプロラクトン)のコポリマーは1つの具体例である)のポリマーおよびコポリマーなどのポリエチレンテレフタレートおよび脂肪族ポリエステルを含むポリエステル、ポリフェニレンエーテルなどのポリアリールエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンを含むポリエーテルポリマーおよびコポリマー;ポリフェニレンスルフィド;ポリイソシアネート;ポリプロピレン、ポリエチレン(低および高密度、低および高分子量)、ポリブチレン(ポリブテ−1−エンおよびポリイソブチレン等)などのポリアルキレン、ポリオレフィンエラストマー(例えば、サントプレン)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリ−4−メチル−ペン−1−エン、エチレン−アルファ−オレフィンコポリマー、エチレン−メチルメタクリレートコポリマーおよびエチレン−ビニルアセテートコポリマーを含む、ポリオレフィンポリマーおよびコポリマー;ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ヘキサフルオロプロペン)(FEP)、変性エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む、フッ素化ポリマーおよびコポリマー;シリコンポリマーおよびコポリマー;熱可塑性ポリウレタン(TPU);エラストマー性ポリウレタンおよびポリウレタンコポリマー(ポリエーテルをベースにした、ポリエステルをベースにした、ポリカーボネートをベースにした、脂肪族をベースにした、芳香族をベースにした、およびこれらの混合物であるブロックおよびランダムコポリマーを含む。市販のポリウレタンコポリマーの例には、Bionate(登録商標)、Carbothane(登録商標)、Tecoflex(登録商標)、Tecothane(登録商標)、Tecophilic(登録商標)、Tecoplast(登録商標)、Pellethane(登録商標)、Chronothane(登録商標)およびChronoflex(登録商標)が挙げられる)などのエラストマー;p−キシリレンポリマー;ポリイミノカーボネート;酸化ポリエチレン−ポリ乳酸コポリマーなどのコポリ(エーテル−エステル);ポリホスファジン;シュウ酸ポリアルキレン、;ポリオキサアミドおよびポリオキサエステル(アミン基および/またはアミド基を含有するものを含む);ポリオルトエステル; フィブリン、フィブリノゲン、コラーゲン、エラスチン、キトサン、ゼラチン、スターチ、ヒアルロン酸などのグリコサミノグリカンを含む、ポリペプチド、タンパク質、ポリサッカライドおよび脂肪酸(およびこれらのエステル)などの、バイオポリマー;このほか、上記のさらなるコポリマーが挙げられる。本発明のいくつかの実施形態によれば、ポリマーは、有機ポリマーまたはM(OR)基(式中、MおよびRは本願中で以下に定められる通りである)で修飾した有機ポリマーである。
【0020】
セラミック材料は典型的には、金属または半金属酸化物あるいは混合酸化物化合物の網である。適した金属または半金属の例には、特にケイ素酸化物、ジルコニウム酸化物、チタン酸化物、アルミニウム酸化物、スズ酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、レニウム酸化物および/またはイリジウム酸化物が挙げられる。一般に、セラミック相内の金属/半金属原子(本願中では全般的にMとして示される)はM−O−M結合などの共有結合を介して互いに結合しているが、セラミック相内にはM−OH残基などのヒドロキシル基が存在していることに起因して、例えば水素結合を含む他の相互作用も共通して存在する。
【0021】
本発明の複合領域内に使用されるセラミックは、有利にはゾル・ゲル法を用いて形成される。ゾル・ゲル法では、使用される前駆物質材料は典型的には、無機金属および半金属塩、金属および半金属錯体/キレート(例えば、金属アセチルアセトン錯体)、金属および半金属水酸化物、または有機金属および有機半金属化合物(例えば、金属アルコキシドならびにケイ素アルコキシドおよびケイ素アシロキシド)である。ケイ素アルコキシドおよびケイ素アシロキシドは、強力で安定したC−Si結合を有するとともにポリマー網とセラミック網との間に強力な結び付きを形成することができる関連する化合物との共縮合を含む種々の形成が選択可能であることから有利である。
【0022】
典型的なゾル・ゲル法においては、上記のものなどの前駆物質を加水分解および縮合(重合とも呼ばれる)反応に曝して、コロイド懸濁液、すなわち「ゾル」が形成される。例えば、最適な半金属または金属(ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、スズ、ハフニウム、タンタル、モリブデン、タングステン、レニウム、イリジウム等など)の最適なアルコキシド(メトキシド、エトキシド、イソプロポキシド、tert−ブトキシド等など)が、適した溶媒、例えば、1つまたは複数のアルコールに溶解されることができる。次に、例えば、水あるいは酸性または塩基性水溶液(この水溶液はアルコールなどの有機溶媒種をさらに含み得る)などの他の水溶液を加え、加水分解および縮合を生じさせることによってゾルが形成される。必要に応じて、ゾルの粘度および/または表面張力を制御するための作用物質などの追加の作用物質が添加されてもよい。以下の単純なスキームからわかるように、この反応は基本的にはセラミック網形成法(その開示全体を本願に援用する、G.キケルビック(G.Kickelbick)、「Concepts for the incorporation of inorganic building blocks into organic polymers on a nanoscale」Prog. Polym. Sci.,28(2003)83−114から)である。
【0023】
【化1】

一般に、Rは炭化水素基、適切には、場合によっては1つまたは複数のエーテル酸素原子で遮断可能な1〜20個の炭素原子のアルキル基、あるいはアシル基、例えば、ホルミル、アセチルまたはベンゾイルであることができる。さらに、nはMの価数であることが適しており、mは0〜nの正数である。
【0024】
ゾルは、例えば、それら全体を本願に明示的に援用するランカマー(Langkammerer)の米国特許第2490691号明細書;ウェングロビウス(Wengrovius)の米国特許第4950779号明細書;スーら(Su et al)の米国特許第6140445号明細書;およびペティら(Petty et al)の米国特許第6323277号明細書に記載の方法によって調整された溶媒可溶性シロキサンオリゴマー組成物であってもよいか、または、そういったオリゴマーのさらなる縮合/加水分解反応によって得られることができる。
【0025】
ゾルをさらに処理すれば、固体材料を種々の異なった形態で製造することが可能となる。例えば、ゾルを基材の上にスプレー・コーティング、塗布装置(例えば、ローラまたはブラシによる)を用いたコーティング、スピン・コーティング、ディップ・コーティング等することによって、基材の上に薄膜を形成することが可能であり、これによって「ウェット・ゲル」が形成される。ディップ・コーティングを使用する場合、ゾルからの引き抜き速度を変化させて、該薄膜の特性に影響を及ぼすことが可能である。例えば、乾燥したゾルがそこから放出され得るモールドまたは他のフォーム(例えば、シート)の中または上にゾルを入れることによって、モノリシック・ウェット・ゲルを形成することができる。次いで、このウェット・ゲルを乾燥させる。ウェット・ゲル中の溶媒を超臨界条件下で除去すれば、一般に「エアロゲル」と呼ばれる物質が得られる。フリーズ・ドライ(凍結乾燥)によりゲルを乾燥させる場合、得られた物質は一般に「クリオゲル」と呼ばれる。周囲温度および周囲圧で乾燥すれば、一般に「キセロゲル」と呼ばれるものが得られる。高温乾燥(例えば、オーブンを用いた)、真空乾燥(例えば、周囲温度または高温での)等を含む他の乾燥による可能性も利用可能である。
【0026】
ポリマー合成、操作、処理等の原理のほか類似の方法を用いて、本発明に使用される複合材料が得られる。ゾル・ゲル法は、例えば周囲温度で実施可能であることから、ポリマーおよびそれらの前駆物質(本発明のいくつかの実施形態では、治療剤も)に関連して使用されるに適している。ポリマー/セラミック複合物を生成するための種々の技法の詳細なレビューは、例えば、キックルビック(Kickelbick)(上記参照)に見ることができる。ポリマー/セラミック・ナノ複合材料を記載している他の公表文書には、P.シュー(P.Xu)、「Polymer−Ceramic Nanocomposites」、Encyclopedia of Materials:Science and Technology、Elsevier Science Ltd.(2000);L.シェンら(L.Shen,et al)、「In situ polymerization and characterization of polyamide−6/silica nanocomposite derived from water glass」、Polymer International、53、1153−1160(2004);K.ハースら(K.Haas et al)、「Hybrid Organic/Organic Polymers with Nanoscale Building Blocks;Precursors,Processing,Properties and Applications」、Rev.Adv.Mater.Sci.,5(2003)47−52;R.ゾッピら(R.Zoppi et al)、「Hybrids of Poly(ethylene oxide−b−amide−6) and ZrOゾル・ゲル: Preparation,Characterization,and Application in Processes of Membranes Separation」、Advances in Polymer Technology,Vol.21,No.1,2−16(2002);H.フアングら(H.Huang et al)、「Structure−property behaviour of hybrid materials incorporating tetraethoxysilane with multifunctional poly(tetramethylene oxide)」、Polymer,30,2001−2012(1989);およびJ.ピュンら、「Synthesis of Nanocomposite Organic/Inorganic Hybrid Materials Using Controlled/‘Living’ Radical Polymerization」,Chem.Mater.,13:3436−3448(2001)を含み、これら全部も本願に明示的に援用される。
【0027】
例えば、予め形成されたポリマー存在下でゾル・ゲル法を行うことによってポリマー/セラミック複合物を生成することが知られており、この方法は、例えば、ポリマーがゾル形成溶液(例えば、 オルトケイ酸テトラエチルとしても知られているテトラエトキシシラン(TEOS)またはオルトケイ酸テトラメチルとしても知られているテトラメトキシシラン(TMOS)を含むものなどのアルコキシ種を含んだ溶液)中で可溶である場合および/またはポリマーがセラミック相と実質的な非共有相互作用を有する(例えば、ポリマー相およびセラミック相内のヒドロキシル基と電気陰性原子との間の水素結合に起因する)場合にうまくいくことができ、眼で見える相分離が回避される。
【0028】
逆に、例えばキセロゲルなどのゲルにモノマーを含浸させ、ゲル内のモノマーを重合させることも知られている。上記と同様、眼で見える相分離を防ぐのに十分に強力な、モノマー/ポリマーとゲルとの間に非共有相互作用が存在する場合に、最良の結果が得られる。
【0029】
しかし、本発明の特に有益ないくつかの実施形態では、ナノスケール相ドメインまたは両連続相を得る最良の方法は、ポリマー網とセラミック網との間に共有結合相互作用をもたらすことによる。この結果は、(a)ポリマーおよびセラミック前駆物質基の両方を有する種を準備し、その後、重合および加水分解/縮合を同時に行う工程、(b)ポリマー前駆物質基(例えば、ビニル基または環状エーテル基などの重合反応に関与することができる基)を有するセラミック・ゾルを準備し、その後、有機重合工程を行う工程、および/または(c)セラミック前駆物質基(金属または半金属アルコキシド基などの、加水分解/縮合に関与することのできる基)を有するポリマーを準備し、その後、該前駆物質基を加水分解/縮合する工程を含む、多数の知られた技法を用いて達成することが可能である。
【0030】
本発明の一実施例では、有機/セラミック・ハイブリッド複合物は、有機ポリマー成分を適した溶媒に溶解し、セラミック・ゾル前駆物質を添加することによって調製される。有機ポリマー成分とセラミック・ゾル前駆物質との比は、重量に基づいて95/5〜5/95、例えば80/20〜20/80の範囲であることができる。強酸水溶液を加えて、セラミック・ゾル前駆物質の加水分解および縮合が達成される。セラミック・ゾル源中、相当するアルコキシ当たり約1モルの水の比で水が加えられる。この混合物を還流させながら、例えば4〜24時間撹拌してゾルを形成し、その後、例えば、医療器具基材の上にキャスティングまたはコーティングすることによって、該混合物を用いてコーティングが調製する。場合によっては、熱および/または吸引を加えて溶媒を除去してコーティングを完全に乾燥させ、数週間エージングを行ってセラミック縮合反応が実質的に完了させる。ペバックス(登録商標)6333、7033または7233などのポリマーのカテーテル・シャフトまたはバルーンのような基材に関し、有機ポリマーは、例えば、ペバックス(登録商標)グレード2533、3533または4033などのペバックス(登録商標)ブロック・コポリマーまたはそれらの混合物であってもよい。このような系の場合、溶媒はブタノール、プロパノールまたはシクロヘキサノールなどのアルコール溶媒、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶媒、あるいは2種以上のそういった溶媒の混合物であってもよい。該セラミック・ゾル前駆物質は、例えばテトラエトキシシラン、ジルコニウムイソプロポキシド、チタニウムイソプロポキシド、またはこれらの混合物であってもよい。強酸は、例えば、0.05〜0.3モル/LのHCLであってよい。得られたコーティングでは、丈夫さ、基材への付着性および耐摩耗性が良好に組み合わされている。
【0031】
有機重合反応および加水分解/縮合反応を同時に実行することに関し、これらの反応の各々に容易に関与することができる基を含んだ種々のハイブリッド種が知られている。これらのハイブリッド種は典型的には、有機重合(典型的にはコモノマーに関連する)に関与することのできる有機基を含む。このような有機基には、ビニル(−C−C)、ビニリデン(>C=C)、環状エーテル(例えば、
【0032】
【化2】

式中、yは1〜5である。)、イソシアネート基(−N=C=O)、アミン基(−NHR、式中RはHまたは炭化水素である)、カルビノール基(≧C−OH)および/またはポリオルガノシロキサンに重合可能なジオルガノシロキサン基(例えば、ジメチルシロキシ基、メチルフェニルシロキシ基、ジエチルシロキシ基等)を含む。これらのハイブリッド種は典型的には、−M(OR)基などの追加の基も含む。Mは上記に定めたような金属または半金属であり、xは典型的には1〜5であり、その値がMの価数n未満である少なくとも1である整数であり(同じM原子が2つ以上の結合によってハイブリッド種に結合している場合、またはメチル、エチル、スチリルエチル、メタクリルオキシプロピル、グリシドキシプロピル、アルキルアミノ、アリルまたはビニルなどの1つまたは複数の一価の炭素連結有機基にも結合している場合、xはn−1未満であり得る)、同一であるかまたは異なっていてもよい種々のR基は炭化水素基またはアシル基、例えば、1〜10個の炭素原子の、直鎖、分岐または環状アルキル基、芳香族基またはアルキル芳香族基、好適には1〜6個の炭素を有する直鎖または分岐アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等)であり、ゾル・ゲル法(典型的には、M(OR)(式中、M、nおよびRは上記に定めた通りである)などの他の有機金属または有機半金属化合物と関連して)に関連する加水分解/縮合反応に関与することができる。このようなハイブリッド種の具体的な例には、スチリルエチルトリメトキシシラン、
【0033】
【化3】

アクリロキシプロピルトリメトキシシランおよびビニルトリメトキシリランのほか、それら全体を明示的に本願に援用した、ランカマー(Langkammerer)の米国特許第2490691号明細書;ウェングロビウス(Wengrovius)の米国特許第4950779号明細書;ホーンら(Horn et.l)の米国特許第5282998号明細書;ベルグストロームら(Bergstrom et al)の米国特許第5210168号明細書;スーら(Su et al)の米国特許第6140445号明細書;およびペティら(Petty et al)の米国特許第6323277号明細書に記載されているような官能性オリゴマーも含む。
【0034】
上記のように、そのようなハイブリッド種は、例えば、(a)1つまたは複数の任意の有機モノマー、例えばビニル基含有モノマー(例えば、特に、スチレン)、ビニリデン基含有モノマー(例えば、アルキル(メタ)アクリレート、エポキシ官能性(メタ)アクリレート、ウレタンジメタクリレートおよび/またはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート)、環状エーテルモノマー(例えば、
【0035】
【化4】

式中、yは1〜5であり、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびテトラヒドロフラン、ならびに種々のエポキシ官能性化合物、特に1モル当たり2個以上のエポキシ基を有する化合物を含む)、ポリイソシアネート、ポリアミン、ポリオールおよび/またはジオルガノシロキサンオリゴマー(例えば、環状ヘキサメチルトリシロキサンおよびオクタメチルテトラシロキサンのほか種々の直鎖状ジオルガノシロキサンオリゴマー)、(b)1つまたは複数の任意の有機金属または有機半金属化合物、例えばSi(OR)(式中、Rは上記に定めた通りである(例えば、TEOSまたはTMOS)、(c)水、(d)必要に応じて、適した触媒、および(e)有機重合および加水分解/縮合が始まるときには、必要に応じて、エネルギー(例えば、熱または光子)と組み合わされることができる。具体的な例として、3−MPS、メチルメタクリレート、TEOS、水、酸および過酸化ベンゾイルの混合物から、ポリマー相およびセラミック相を有する複合材料を形成することが知られている。当然、このハイブリッド種は既に重合可能有機基およびゾル形成−M(OR)基の両方を同じ分子上に有しているので、ある場合には、特にハイブリッド種が官能化オリゴマーの場合には、追加の成分a)およびb)の一方または他方が回避されてもよい。
【0036】
ハイブリッド種を用いて、上記経路(b)および(c)に従って複合領域を形成することが可能である。例えば、ある場合には、そのようなハイブリッド種を最初に用いて、セラミック相(ハイブリッド種に見られる有機ポリマー前駆物質基を含む)を準備し、続いて、典型的には1つまたは複数のコモノマーの存在下で有機重合を行う。例えば、ビニル基、ビニリデン基、環状エーテル基またはシロキサン基などの1つまたは複数の重合可能有機基および−M(OR)基(例えば、特に、3−MPS、SESまたは3−GPS)などの1つまたは複数の無機基を含んだハイブリッド種が、加水分解および縮合が発生するように水および酸触媒の存在下で、式M(OR)(例えば、TEOSまたはTMOS)の化合物などの有機金属化合物と結合されることができる。この結果、ビニル含有モノマー、ビニリデン含有モノマー、環状エーテル含有モノマーおよびシロキサン含有モノマーを含む、ある範囲のコモノマーとの重合反応に関与することのできるある範囲の基を有するセラミック相が、特にアゾビス(イソブチロニトリル)開始重合または過酸化物開始重合および制御/「リビング」ラジカル重合、例えば、金属触媒による原子移動ラジカル重合(ATRP)、安定フリーラジカル重合(SFRP)、窒素酸化物媒介法(NMP)および交換移動(例えば、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT))法などの熱重合法、光重合法、アニオン重合法、カチオン重合法およびラジカル重合法を含む、ある範囲の有機重合反応を介して形成されることができる。これらの方法は文献に十分に詳述されており、例えば、ピュンとマティジャスゼウスキー(Pyun and Matyjaszewski)、「Synthesis of Nanocomposite Organic/Inorganic Hybrid Materials Using Controlled/“Living” Radical Polymerization」、Chem.Mater.,13:3436−3448(2001)による論文に記載されており、これらの内容すべてが本願に援用される。用いることができる重合反応のさらなる例には、ポリエステルまたはポリアミドを形成するための縮合重合などの逐次重合、ポリウレタンおよびポリ尿素を形成するためのポリイソシアネートおよびポリオールまたはポリアミンの反応、ポリオール、ポリアミンまたは多硫化物とのポリエポキシドの反応、および複数のアクリル酸基、マレイン酸基、フマル酸基またはナド酸基をその上に有する化合物へのポリアミンのマイケル付加がある。
【0037】
逆に、上記経路(c)の一態様によれば、ポリマーには加水分解/縮合に関与することができる無機基が付与されることができ、これによってセラミック相と緊密に結び付く。これらの実施形態では、上記のものなどのハイブリッド種は、典型的には1つまたは複数のコモノマーの存在下において、上記のような、適した重合法により有機重合反応に利用されることができる。次いで、得られたポリマーに組み入れられた無機基は、例えば、上記のような方法を用いて加水分解/縮合に関与するのに利用されることができ、これによって、ポリマー相と共有結合したセラミック相が形成される。
【0038】
他の方法では、既存のポリマーがセラミック・ゾルの加水分解/縮合に関与することができる無機基に関与するか、または該無機基が与えられる。例えば、適した結合化学を用いれば、多様なポリオールポリマー、すなわち、2個以上の炭素結合ヒドロキシル基をその上に有するポリマーにゾル・ゲル法に関与するための−M(OR)基を与えることが可能である。このようなポリオールポリマーはポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールを含む。ポリオール化合物のヒドロキシ基は、例えば、本願に全体が援用されたV.ムンチョウら(V.Munchow,et al,)「Poly[(oligoethylene glycol)dihydroxytitanate] as organic−inorganic polymer−electrolytes」、Electrochimica Acta,45(2000)1211−1221の様式で、TEOSまたはテトラエトキシチタネートなどの化合物と直接反応することができる。
【0039】
直接反応に代わる方法では、ポリマーポリオールなどのポリオール化合物のヒドロキシル基をあるハイブリッド種と反応させて、ゾル/ゲル加水分解/縮合に関与することができる末端基またはペンダント基を形成することが可能である。例えば、反応または式M(OR)n−1(R−N=C=O)(式中、種々のR基は同一であるかまたは異なっていてよく、M、nおよびRは上記に定めた通りであり、Rは二価の炭素連結有機基、適切にはアルキレンまたはアルキレンオキシアルキレン)のイソシアナートアルキル置換化合物を有するポリオールである。例えば、
【0040】
【化5】

(式中、Rはアルキレン(例えば、エチレン、プロピレン、テトラメチレン等)であり、rは上記に定めた通りである)のポリエーテルをM(OR)n−1(R−N=C=O))と反応させて
【0041】
【化6】


を生成することができる。
【0042】
次いで、種々の−M(OR)n−1基は、通常M(OR)などの無機種の存在下で上記のような加水分解/縮合に利用可能である。このようにして生成されるポリマー・セラミック材料の一例が、その全内容が本願に援用されたS.K.ヤングら(S.K Young et al)、「Covalent and non−covalently coupled polyester−inorganic composite materials」、Polymer43、(2002)6101−6114(例えば、6104頁)に記載のように、イソシアナートプロピルトリメトキシシランを用いてトリメトキシシラン基で封入され、次いでTEOSと共反応したポリ(ε−カプロラクタン)である。
【0043】
また、3−GPSなどのエポキシ官能性加水分解性シラン化合物をポリオールと反応させて、類似の−M(OR)n−1で終端された化合物、例えば−M(OR)n−1で終端されたポリエーテルを得ることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、得られたポリマーが追加の重合工程に曝される。具体例として、ペンダント−M(OR)基を有するポリエーテル(例えば、ペンダント−Si(OEt)基を有する3−GPS修飾ポリエーテル)を、ポリアミド形成モノマー(例えば、ラウロラクタム)との、場合によっては追加のポリオールポリマーとのブロック共重合に用いて、ゾル・ゲル反応に関与するための基を有するポリエーテル−ポリアミド・ブロック・コポリマーを形成することが可能である。これは、上記のような−M(OR)基を得るためのポリエーテル−ポリアミド・ブロック・コポリマーの直接修飾とは対照的である。
【0045】
ポリオールポリマーは、セラミックと化合し易いことから本発明に使用される組成物の有用な構成要素であり、セラミックに共有結合しない場合であっても、セラミック網と水素結合することが可能である。これによってポリマー相およびセラミック相のマクロ・ドメイン相分離を阻止することが容易になる。多くの場合、それらはポリイソシアネート、ポリエポキシド等との反応を含む、さらなる重合または架橋反応に関与することもできる。
【0046】
医療器具に一般に用いられる多数のポリマー材料は、マクロ−ドメイン相分離に対して系を安定させることのできるセラミック網との水素結合を形成することができる、ヒドロキシル基、アミド基、カルボン酸基または他の基を有する。例えば、ポリエーテル・ブロック・ポリアミド(例えば、ペバックス)およびポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)は、末端ヒドロキシル基または末端カルボン酸基および内部アミド基を有する。エーテルおよびエステル官能性も、セラミック相中のMOH残基との水素結合を形成することができる。さらに、本願に援用されたA.ランバートIIIら(A.Lambert III,et al)、「[Poly(ethylene terephthalate)ionomer]/Silicate Hybrid Materials via Polymer−in Situ Sol−Gel Reactions」、J.Applied Polymer Science,84,1749−1761(2002)に記載のように、ポリマー(例えば、ポリオレフィン・イオノマーまたはポリエステル・イオノマーにおいて提供されるような)中のイオン結合もセラミック網と相互作用して、該複合物の熱的特性、機械的特性、電気的特性および/または機械的特性に影響を及ぼすことができる。
【0047】
ある場合には、ゾル・ゲル・セラミックの成分は同時有機重合反応のための触媒であってもよく、またはポリマー反応成分はゾル・ゲル・セラミック縮合を触媒することができる。例えば、有機チタネートはイソシアネートとポリオールとの間でウレタン形成反応を触媒することができるか、またはポリイソシアネートまたはポリエポキシドとの反応に用いられる有機アミンはアルコキシシラン縮合を触媒することができる。このような系の特定の例は、3−GPS誘導セラミック網および本願に援用されたL.マテジュカら(L.Matejka,et al)、「Block−copolymer organic−inorganic networks.Structure,morphology and thermomechanical properties」、Polymer,45(2004)3267−3276に記載されたようなJeffamine(登録商標)M600またはM2005(ポリ(オキシプロピレン)ジアミン)などのアミン終端ポリエーテルを有する。このような系では、アミン終端ポリマーがシリカドメイン成長を触媒するだけでなく、エポキシ−アミン不可反応にも関与する。
【0048】
ある場合には、セラミック相に共有結合を設けるセグメントに加えて、複合領域にポリマー鎖セグメントを付与することが好ましい。例えば、このようなポリマー鎖セグメントは、セラミック相(例えば、ブロック・コポリマー中で)に共有結合を設けるポリマー鎖に共有結合することができるか、または他のポリマーを該組成物の混合成分として設け、該組成物の物理的または化学的特性を修飾することができる。このようなポリマー鎖セグメントは、上記ポリマーから選択されてもよい。この追加のポリマー鎖セグメントは、種々の理由のために設けらられることができる。例えば、該ポリマー鎖セグメントを導入して、(a)複合領域をより親水性または疎水性にし、(b)必要に応じて、治療薬の放出特性を調節し、(c)該物質の機械的特性に影響を及ぼすことなどが可能である。
【実施例】
【0049】
スフォルカ・M.L.ら(Sforca,M.L.,et al.)、「Hybrid membranes based on SiO/polyether−b−polyamide:morphology and applications」、Journal of Applied Polymer Science,Vol.82,pp.178−85,2001に記載の方法に従って溶液およびフィルムを準備する。
【0050】
ペバックス(登録商標)4033ペレットを1−ブタノール/1−プロパノール(比率70/30)に還流温度で4時間溶解させる。室温(約25℃)で撹拌しながら、TEOSをペバックス溶液に15または25重量%(ペバックスおよびTEOSの総重量に基づく)の量で添加する。続いて、これに0.15MのHCl(TEOS/HO比=1/4)を添加する。この溶液を室温にて24時間撹拌する。
【0051】
キャスティング溶液をペトリ皿に落とす。この溶媒をオーブンにて70℃で蒸発させる。真空オーブンにて80℃で1日さらに乾燥させる。
図2Aおよび2Bから分かるように、得られたフィルムの顕微鏡写真は、図2aのTEOS/ポリマー・フィルム(15/85)からTEOS/ポリマー・フィルム(25/75)へとドメイン・サイズが増大した無機ゾル・ゲル誘導セラミック成分の長くなった分離したドメインを示している。
【0052】
このフィルムは、カテーテルおよびバルーン、例えばナイロンまたはペバックス(登録商標)ポリマーのカテーテルおよびバルーン用の丈夫な耐摩耗性コーティングとして有用である。
【0053】
上記のように、本発明の医療器具は場合によっては、1つまたは複数の治療薬を含む。「治療薬」、「薬品」、「薬学上の活性剤」、「薬学上の活性物質」および他の関連用語を本願中では同義的に用いてよい。これらの用語は遺伝子治療薬、非遺伝子治療薬および細胞を含む。治療薬の具体的な実施例には、特に、パクリタキセル、シロリムス、エベロリムス、タクロリムス、Epo D 、デキサメタゾン、エストラジオール、ハロフギノン、シロスタゾール、ゲルダナマイシン、ABT−578(アボット・ラボラトリーズ)(Abbott Laboratories)、トラピジル、リプロスチン(liprostin)、アクチノムシンD(Actinomcin D)、レステン−NG(Resten−NG)、Ap−17、アブシキシマブ、クロピドグレル、リドグレル、βブロッカー、bARKct阻害剤、ホスホランバン阻害剤およびSerca2遺伝子/タンパク質が挙げられる。本発明の実施に有用な多数の追加の治療薬も、その全開示が本願に援用された米国特許出願第2004/0175406号明細書に開示されている。本発明の医療器具と関連して幅広い治療薬の装填量を使用することができ、治療有効量は、当業者が容易に決定可能であるか、最終的には、例えば、治療される状態、患者の年齢、性別および状態、治療薬の性質、1つ以上の複合領域の性質、医療器具の性質等により異なる。
【0054】
本発明のポリマー/セラミック・ハイブリッド材料から形成された医療器具の複合領域を設けるために、多数の方法が利用可能である。
例えば、上記の種々の方法は、ゾル・ゲル法で形成された「ゾル」に類似するセラミック相を含有した懸濁液の形成を生じさせる、加水分解および縮合を伴う。いくつかの方法では、この懸濁液もポリマーを含む。続いて水(存在し得る他の溶媒も)を除去すれば、ゾル・ゲル法における「ゲル」に類似する固相の形成が生じる。
【0055】
いくつかの実施形態では、そういった懸濁液を用いて、医療器具または医療器具構成要素を直接形成し、続いて水/溶媒を除去してもよい。いくつかの実施形態では、例えば、熱可塑性を有するポリマーが存在する場合、さらなる処理のために、懸濁液を乾燥させ、加熱して溶融物を形成してもよい。
【0056】
懸濁液を処理するのに有用な方法には、注入、スプレー、スプレー・コーティング、塗布装置(例えば、ローラまたはブラシによる)を用いたコーティング、スピン・コーティング、ディップ・コーティング、ウェブ・コーティング、エア・サスペンションを含む機械的懸濁を用いたコーティングを伴う方法、インク・ジェット法、静電法およびこれらの方法を組み合わせたものが挙げられる。溶融物を処理するための有用な熱可塑的方法は、圧縮成形、射出成形、ブロー成形、回転、真空形成およびカレンダリングのほか、種々の長さのシート、繊維、ロッド、チューブおよび他の種々の長さの断面形状の押し出し成形およびこれらの方法の組み合わせを含む。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態では、懸濁液または溶融物を基材に塗布して複合領域が形成される。該基材は、例えば、該懸濁液または溶融物が塗布される埋め込み可能または挿入可能な医療器具(例えば、特に、バルーン、ガイド・ワイヤまたはステント)の全部または一部に相当することができる。該基材は、例えば複合領域が固化後にそこから除去されるモールドなどのテンプレートにも相当することができる。他の実施形態では、例えば、押し出し法または共押し出し法では、医療器具のための複合領域は基材を用いずに形成される。
【0058】
1つまたは複数の治療薬(および/またはあらゆる他の任意の薬剤)を複合領域に設けることが望ましい場合、これらの治療薬が処理条件下で安定している限り、それらを懸濁液または溶融物に溶解または分散させ、複合領域と一緒に共処理することが可能である。あるいは、いくつかの実施形態では、治療薬および/または他の任意の薬剤を複合領域形成の後に導入することも可能である。例えば、いくつかの実施形態では、該治療薬はある溶媒に溶解または分散され、得られた溶液が予め形成された複合領域と(例えば、ディッピング、スプレー等の上記塗布法の1つまたは複数を用いて)接触させられる。上記のように、本発明のいくつかの実施形態では、複合バリヤ領域が治療薬含有領域を覆って設けられる。これらの実施形態では、例えば上記の懸濁液に基づく方法または溶融液に基づく方法の1つを用いて、治療薬含有領域を覆って複合領域を形成することが可能である。あるいは、予め形成された複合領域を、治療薬含有領域を覆って付着させることが可能である。
【0059】
ポリマー成分およびゾル・ゲル誘導セラミック成分の選択および比率を変化させれば、治療薬の所望の放出速度を生成することができる。したがって、いくつかの態様では、本発明は、体内に長期間(例えば、6ヵ月以上)残存するように設計された、埋め込みデバイス、特に、ステント、グラフト、弁、血管アクセス・ポート、塞栓デバイス、心筋栓、ペースメーカー・リード、縫合糸、整形外科用プロテーゼ等に向けられたものである。
【0060】
上記実施例および開示は説明のためのものであって、包括的なものではない。これらの実施例および説明は、多数の変形例および代替例を当業者に示唆する。これらの代替例および変形例はいずれも、用語「からなる」が「含むが、限定するものではない」を意味する特許請求の範囲内にあるものとする。当業者であれば、本願中に記載の具体的な実施形態に対する他の均等物を認識できよう。この均等物も特許請求の範囲によって包含されることが意図される。さらに、本発明が従属項の特徴の他の任意の可能性のある組み合わせを有する他の実施形態に特定的に向けられたものとしても認識されるように、従属項に提示した具体的な特徴を本発明の範囲内の他の様式で互いに組み合わせることが可能である。例えば、請求項を公開する目的で、多項従属形式が管轄権内で受容されたものである場合、添付の従属項はいずれも、請求項の順序に関係なく、そのような従属項において言及されたすべての前項を有する全請求項から多項従属形式で二者択一的に記載されているものとして解釈されるべきである。多項従属形式が制限された管轄においては、添付の従属項は各々、そういった従属項に記載の具体的な請求項以外に前項が有する請求項からの依存性を創成する単一の従属形式で各々二者択一的に記載されたものとしても解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明によるバルーン・カテーテルの外観図。
【図2A】SiO/ペバックス複合フィルム(約30重量%SiO)の走査型電子顕微鏡写真。
【図2B】SiO/ペバックス複合フィルム(約85重量%SiO)の走査型電子顕微鏡写真。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合領域を備え、埋め込み可能または挿入可能である医療器具であって、前記複合領域は、分離相もしくは両連続相またはその両方においてポリマーおよびゾル・ゲル誘導セラミックを備えている医療器具。
【請求項2】
バルーン、ガイド・ワイヤ、大静脈フィルタ、ステント、ステント・グラフト、血管グラフト、脳動脈瘤充填コイル、心筋栓、心臓弁、血管弁および組織工学スキャフォールドから選択される請求項1に記載の医療器具。
【請求項3】
前記ゾル・ゲル誘導セラミックが、シリコン、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、スズ、ハフニウム、タンタル、モリブデン、タングステン、レニウム、もしくはイリジウム、またはこれらの混合物の酸化物網を備える請求項1に記載の医療器具。
【請求項4】
前記ポリマーが有機ポリマーである請求項1に記載の医療器具。
【請求項5】
前記有機ポリマーが複数のヒドロキシル基、アミド基、カルボン酸基、エステル基またはエーテル基をその上に有する請求項4に記載の医療器具。
【請求項6】
前記有機ポリマーがポリアミドもしくはポリエーテルまたはその両方のセグメントを備える請求項4に記載の医療器具。
【請求項7】
前記複合領域が、前記ポリマーと前記ゾル・ゲル誘導セラミックとの間の共有結合を備える請求項1に記載の医療器具。
【請求項8】
前記共有結合が炭素連結有機ケイ素基を備える請求項7に記載の医療器具。
【請求項9】
前記セラミックが酸化ケイ素を備える請求項1に記載の医療器具。
【請求項10】
前記セラミックが本質的に酸化ケイ素からなる請求項1に記載の医療器具。
【請求項11】
前記セラミックが、チタン酸化物およびジルコニウム酸化物から選択される金属酸化物を備える請求項1に記載の医療器具。
【請求項12】
前記ゾル・ゲル誘導セラミックおよび前記ポリマーがそれぞれ、相互貫入網を前記複合領域内に形成する請求項1に記載の医療器具。
【請求項13】
前記ゾル・ゲル誘導セラミックおよび前記ポリマーが両連続相を形成する請求項1に記載の医療器具。
【請求項14】
前記ポリマーまたは前記ゾル・ゲル誘導セラミックの一方が連続相を形成し、他方が不連続相を形成する請求項1に記載の医療器具。
【請求項15】
前記不連続相が、1000nm以下の少なくとも1つの断面寸法を有する分散ドメインとして存在する請求項14に記載の医療器具。
【請求項16】
前記不連続相が、0.1〜500nmの範囲の少なくとも1つの断面寸法を有する分散ドメインとして存在する請求項14に記載の医療器具。
【請求項17】
前記不連続相が、1〜10nmの範囲の少なくとも1つの断面寸法を有する分散ドメインとして存在する請求項14に記載の医療器具。
【請求項18】
前記複合領域が、(a)有機基と金属または半金属含有基とを備える分子種を準備する工程と、(b)(i)該有機基または該有機基の一部をポリマー鎖に組み込む重合反応および(ii)該金属または半金属含有基あるいは該金属または半金属含有基の一部を金属または半金属酸化物網に組み込む、加水分解反応および縮合反応を実行する工程とを備える方法によって形成される請求項1に記載の医療器具。
【請求項19】
前記重合反応ならびに前記加水分解反応および縮合反応が同時に実行される請求項18に記載の医療器具。
【請求項20】
前記重合反応ならびに前記加水分解反応および縮合反応が順次に実行される請求項18に記載の医療器具。
【請求項21】
前記分子種が、(i)ビニル、ビニリデン、または環状エーテル有機基と、(ii)−M(OR)基(式中、MはSi、Zr、およびTiから選択され、xは1〜n−1の整数であり、nはMの価数であり、R基は同一であるかまたは異なっており、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、環状アルキル基、芳香族基、および1〜10個の炭素原子を有するアルキル芳香族基から選択される)とを備える請求項18に記載の医療器具。
【請求項22】
前記重合反応が、ビニル基含有コモノマー、ビニリデン基含有コモノマーおよび環状エーテル基含有コモノマーから選択されるコモノマーの存在下で起こり、前記加水分解反応および縮合反応が、M(OR)分子の存在下で起こる請求項21に記載の医療器具。
【請求項23】
前記複合領域が、(a)金属または半金属含有基を備えるポリマーを準備する工程と、(b)該金属または半金属含有基あるいは該金属または半金属含有基の一部を金属または半金属酸化物網に組み込む加、水分解反応および縮合反応を実行する工程とを備える方法によって形成される請求項1に記載の医療器具。
【請求項24】
前記ポリマーが、1モル当たり少なくとも1つの−M(OR)基(式中、MはSi、Zr、およびTiから選択され、xは1〜n−1の整数であり、nはMの価数であり、R基は同一であるかまたは異なっており、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、環状アルキル基、芳香族基、および1〜10個の炭素原子を有するアルキル芳香族基から選択される)を含む請求項23に記載の医療器具。
【請求項25】
前記加水分解反応および縮合反応が、式M(OR)の化合物の存在下で実行される請求項23に記載の医療器具。
【請求項26】
前記複合領域が、(a)セラミック・ゾル成分およびポリマー成分を備える懸濁液を準備する工程と、(b)前記懸濁液から水を除去する工程とを備える方法によって形成される請求項1に記載の医療器具。
【請求項27】
前記懸濁液が基材上に層として塗布され、続いて前記懸濁液から水が除去される請求項26に記載の医療器具。
【請求項28】
前記複合領域が、(a)セラミック成分とポリマー成分とを備える溶融物を準備する工程と、(b)該溶融物を冷却する工程とを備える方法によって形成される請求項1に記載の医療器具。
【請求項29】
複数の前記複合領域を含む請求項1に記載の医療器具。
【請求項30】
複数のポリマー相が前記複合領域内に存在する請求項1に記載の医療器具。
【請求項31】
前記複合領域内またはその真下に配置された治療薬をさらに備える請求項1に記載の医療器具。
【請求項32】
体内に長期間埋め込まれるように設計される請求項31に記載の医療器具。
【請求項33】
前記治療薬が抗増殖剤である請求項31に記載の医療器具。
【請求項34】
分離相もしくは両連続相またはその両方にポリマーおよびゾル・ゲル誘導セラミックを備える、耐磨耗性コーティングを有するカテーテル、バルーンまたはステント。
【請求項35】
前記ポリマーが、少なくとも1つのポリエーテル・ブロックを含むブロック・コポリマーである請求項34に記載のカテーテル、バルーンまたはステント。
【請求項36】
前記ブロック・コポリマーが、ポリエーテルのブロックおよびポリアミドのブロックを備える請求項35に記載のカテーテル、バルーンまたはステント。
【請求項37】
前記ゾル・ゲル誘導セラミックが、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたはそれらの混合物である請求項34に記載のカテーテル、バルーンまたはステント。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2008−534121(P2008−534121A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504022(P2008−504022)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/000727
【国際公開番号】WO2006/107359
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】