説明

医療器具に使用するための吸収性強化複層布および製造方法

【課題】医療処置に関連し、1つ以上の第2の吸収性織布またはメリヤス生地によって強化された第1の吸収性不織布を含む、吸収性強化複層布を提供する。
【解決手段】本発明は、1つ以上の第2の吸収性織布またはメリヤス生地によって強化された第1の吸収性不織布を含む、吸収性強化複層布、および、それの製造方法に向けられている。更に詳しくは、第1の吸収性不織布は、脂肪族ポリエステルのポリマー、共重合体またはそれらの混合物を含有する繊維を含み、しかも、第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化再生セルロース繊維を含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、医療器具において有用である吸収性強化複層布と、それの製造方法とに関する。
【0002】
〔発明の背景〕
医療処置に関連し複層布を使用することは、一般に知られている。例えば、複層布は、汎用パッド、創傷被覆材、(ヘルニア修復用メッシュ、癒着防止メッシュおよび組織強化メッシュを包含する)外科用メッシュ、欠損閉鎖デバイスおよび止血材として使用される。
【0003】
リヒテンシュタイン(Lichtenstein)等の米国特許第5,593,441号明細書は、複合人工器官であって、好ましくは、組織が内方成長するのを可能にするポリプロピレンメッシュ[例えば、マーレックス(Marlex)(登録商標)メッシュ]のシートを有する、人工器官を記述している。この参考文献は、組織の補強および欠損の閉鎖に適している他の外科用材料であって、ポリグラクチン910(Vicryl(登録商標))メッシュのような吸収性メッシュを包含する、外科用材料を利用することができることを開示している。リヒテンシュタイン等の複合人工器官はまた、癒着障壁(好ましくは、シリコーンエラストマーのシート)を有する。この参考文献は概して、[ニュージャージー州サマービル、エチコン社(Ethicon,Inc.)から市販されている]インターシード(Interceed)(登録商標)(TC7)吸収性癒着障壁のような酸化再生セルロースを癒着障壁として使用して、短時間での効用を有する複合人工器官を製造することができることを示唆している。リヒテンシュタイン等の複合人工器官は、弱体化した筋肉壁を強化し修復し、同時に、術後癒着の発生を制限するために使用されると記述されている。
【0004】
シルダー(Schilder)等の米国特許第5,686,090号明細書には、非吸収性膜または吸収性膜と組み合わされたフリース(fleece)を使用して、隣接組織に対する誤成長(mis-growths)を防ぎ、癒着を軽減することが記述されている。シルダー等は概して、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリグラクチン(polyglactin)、ポリジオキサノンまたはポリグレカプロン(poliglecaprone)25は、フリース材料または膜材料として使用することができることを開示している。この参考文献で使用される用語「フリース」は、それの空隙率によって示されている。該空隙率は、200Paの入口圧力、50cmの試験表面、および、1mmの試験厚さで測定されたガス流量が100〜1000リットル/(ms)の範囲であると記述されている。シルダー等の複合材料は概して、複層インプラント(multilayered implant)であると記述されている。
【0005】
更に、複層布(multilayered fabrics)は、ヒト組織工学および整形外科用途にとって有用である。最近、ヒト組織工学が出現したことによって、損傷組織/病変組織を修復し再生するための数多くのアプローチが提案されている。ヒト組織工学の方策は、組織機能を最終的に回復するか、または改善することのできる生体適合材料を使用することを探究してきた。定着可能かつリモデリング可能な足場材料(colonizable and remodelable scaffolding materials)を、組織テンプレート(tissue templates)、導管、障壁および貯蔵庫(reservoirs)として使用することが、大々的に研究されてきた。生体組織の再構築/再生を行うためだけでなく、組織の成長を誘発するための走化性因子(chemotactic agents)を送出するために、とりわけ、フォーム、スポンジ、ゲル、ヒドロゲル、織物(textile)および不織布の形態の、合成材料ならびに天然材料が、生体外および生体内で使用されてきた。様々な形態の足場(scaffolds)を積層して、ヒト組織工学による複層足場を形成することができる。
【0006】
しかし、従来技術は、1つ以上の第2の吸収性織布またはメリヤス生地によって強化された第1の吸収性不織布を有する、吸収性強化複層布を記述も示唆もしていない。
【0007】
本明細書で使用される用語「不織布(nonwoven fabric)」とは、製織(weaving)とも編成(knitting)とも異なるプロセスによって製造される、ボンデッドファブリック(bonded fabrics:接着布)、フォームドファブリック(formed fabrics:形成布)、または、エンジニアードファブリック(engineered fabrics:加工布)を包含するが、それらに限定されない。更に詳しくは、用語「不織布」とは、一般にフラットシート形態である多孔質織物様材料であって、主としてまたは完全に、ウェブ(web)、シートまたはバット(batt)の状態に組み立てられたステープル繊維(staple fibers)で構成された材料をいう。不織布の構造は、例えば、典型的には、多かれ少なかれ無作為に配列されているステープル繊維の配列に基づいている。不織布の引張特性、応力−歪関係(stress-strain properties)および触質性(tactile properties)は通常、例えば、ステープル繊維のからみ合い(entanglement)および強化(reinforcement)によって作り出される繊維−繊維の摩擦に由来し、かつ/または、接着、化学結合もしくは物理結合に由来する。それにもかかわらず、不織布を製造するのに使用される素材は、製織または編成を包含するプロセスによって製造されたヤーン、スクリム(scrims)、ネット(netting)またはフィラメントとすることができる。
【0008】
〔発明の概要〕
本発明は、1つ以上の第2の吸収性織布またはメリヤス生地によって強化された第1の吸収性不織布を含む、吸収性強化複層布、および、その製造方法に向けられている。更に詳しくは、第1の吸収性不織布は、脂肪族ポリエステルのポリマー、共重合体またはそれらの混合物を含有する繊維を含み、しかも、第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化再生セルロース繊維を含む。
【0009】
〔発明の詳細な記述〕
本吸収性強化複層布は概して、不織布と1つ以上の強化布とを含む。強化布は、不織布が直接的または間接的に取り付けられることがある裏地(backing)を提供する。
【0010】
不織布は、本明細書に記述される吸収性強化複層布の第1の吸収性不織布として機能する。第1の吸収性不織布は、脂肪族ポリエステルのポリマー、共重合体またはそれらの混合物を含有する繊維を含む。それらの脂肪族ポリエステルは典型的には、乳酸、(L−ラクチド、D−ラクチド、メソラクチド、および、D−ラクチドとL−ラクチドとの混合物を包含する)ラクチド、グリコール酸、グリコリド、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、ならびに、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)を包含するが、それらに限定されない、モノマーの開環重合によって合成される。
【0011】
第1の吸収性不織布は、好ましくは、グリコリドとラクチドとの共重合体を含み、この共重合体においては、グリコリドがモル基準で約70〜95%の範囲の量にあり、残部がラクチドである。
【0012】
代わりの具体例において、第1の吸収性不織布は、脂肪族ポリエステルのポリマー、共重合体もしくはそれらの混合物を含有する繊維を単独で含むか、または、当該繊維を酸化多糖類繊維との組み合わせで含む。
【0013】
不織布は、製織とも編成とも異なるプロセスによって製造されることが好ましい。例えば、不織布は、製織または編成を包含するプロセスによって製造されたヤーン、スクリム(scrims)、ネット(netting)またはフィラメントから作ることができる。ヤーン、スクリム、ネットおよび/またはフィラメントは、捲縮されて(crimped)、相互のからみ合い、および、第2の吸収性織布(woven fabric)またはメリヤス生地(knitted fabric)への取付けが改善される。そのような捲縮されたヤーン、スクリム、ネットおよび/またはフィラメントは、次いで、からみ合うのに十分な長さのステープルに切断することができる。ステープルは、長さが約2.54mm〜76.2mm(約0.1〜3.0インチ)の間、好ましくは約19.05mm〜63.5mm(約0.75〜2.5インチ)の間、最も好ましくは約38.1mm〜50.8mm(約1.5〜2.0インチ)の間である場合がある。ステープルは、カーディングを行って(carded)、不織布バット(nonwoven batt)を作り出すことができる。不織布バットは、次いで、ニードルパンチングを行なうか、またはカレンダリングを行なって、第1の吸収性不織布にすることができる。更に、ステープルは、ねじれを入れる(kink)か、または毛羽立たせる(piled)ことができる。
【0014】
前記不織布を製造するための他の既知方法を利用することができ、それらの方法には、空気集積(air laying)、ウェットフォーミング(wet forming)およびスティッチボンディング(stitch bonding)のようなプロセスが包含される。そのような方法は、高分子科学工学百科事典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering),第10巻,第204頁〜253頁(1987)、および、アルビン・ターバンク(Albin Turbank)による不織布の序論(Introduction to Nonwovens)(ジョージア州アトランタ、タッピ・プレス(Tappi Press))(1999年)に、概して解説されている。両刊行物は、参照されることによって、その内容全体を本明細書に組み入れられる。
【0015】
前記不織布の厚さは、約0.25〜2mmの範囲である場合がある。該不織布の坪量は、約1.55×10−5〜3.10×10−4g/mm(約0.01〜0.2g/平方インチ)、好ましくは約4.65×10−5〜1.55×10−4g/mm(約0.03〜0.1g/平方インチ)、最も好ましくは約6.20×10−5〜1.24×10−4g/mm(約0.04〜0.08g/平方インチ)の範囲である。第1の吸収性不織布の重量百分率は、吸収性強化複層布の全重量に基づき、約10〜80%の範囲である場合がある。
【0016】
第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、強化布として機能し、また、酸化多糖類を含み、特には、酸化セルロース、および酸化セルロースの中和された誘導体を含有する。例えば、該セルロースは、カルボン酸−酸化セルロースまたはアルデヒド−酸化セルロースである場合がある。更に好ましくは、酸化された再生多糖類(regenerated polysaccharides)を使用して、第2の吸収性織布またはメリヤス生地を作ることができる。酸化された再生多糖類は、酸化再生セルロースを包含するが、それに限定されない。再生セルロースは、再生されなかったセルロースと比べてより高い均一度を有するため、再生セルロースは好ましい。再生セルロースと、酸化再生セルロースの製法に関する詳細な記述とは、米国特許第3,364,200号、米国特許第5,180,398号および米国特許第4,626,253号明細書に開示されている。それら米国特許明細書の各々の内容は、参照されることによって、その内容全体が開示されるかのように、本明細書に組み入れられる。
【0017】
強化布として利用することのできる繊維の例は、インターシード(Interceed)(登録商標)吸収性癒着障壁、サージセル(Surgicel)(登録商標)吸収性止血材、サージセル・ヌ−ニット(Surgicel Nu-Knit)(登録商標)吸収性止血材、および、サージセル(Surgicel)(登録商標)細繊維吸収性止血材(Fibrillar absorbable hemostat)を包含するが、それらに限定されない[それらは、それぞれ、ジョンソン・アンド・ジョンソン・ウーンド・マネージメント・ワールドワイド社(Johnson & Johnson Wound Management Worldwide)、または、ガインケア・ワールドワイド社(Gynecare Worldwide)から市販されている。それらの会社は、いずれも、ニュージャージー州サマービル、エチコン社(Ethicon, Inc.)の一部門である]。
【0018】
本発明において利用される強化布が、意図された用途で使用されるのに必要な物理特性を有するという条件で、該強化布は、織られている(woven)か、または編まれている(knitted)場合がある。そのような布は、例えば、米国特許第4,626,253号、米国特許第5,002,551号および米国特許第5,007,916号明細書に記述されている。それらの米国特許明細書の内容は、参照されることによって、その内容全体が開示されるかのように、本明細書に組み入れられる。好ましい具体例において、強化布は、ブライトレーヨン(bright rayon)のヤーンを材料として作られた、たて編トリコット生地(warp knitted tricot fabric)であって、その後、カルボキシル部分またはアルデヒド部分を、強化布に生分解性を提供するのに有効な量で含有するように酸化される該たて編トリコット生地である。
【0019】
別の具体例において、第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、脂肪族ポリエステルのポリマー、共重合体、または、それらの混合物で構成された繊維と組み合わされた酸化多糖類繊維を含有する。
【0020】
第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化再生セルロースを含有することが好ましく、約1.55×10−6〜3.10×10−4g/mm(約0.001〜0.2g/平方インチ)の範囲、好ましくは約1.55×10−5〜1.55×10−4g/mm(約0.01〜0.1g/平方インチ)の範囲、最も好ましくは約6.20×10−5〜1.09×10−4g/mm(約0.04〜0.07g/平方インチ)の範囲の坪量を有することができる。
【0021】
第1の吸収性不織布は、第2の吸収性織布またはメリヤス生地に直接的または間接的に取り付けられる。例えば、該不織布は、ニードルパンチング、カレンダリング、エンボス加工(embossing)もしくはハイドロエンタングルメント(hydroentanglement)、または、化学結合もしくは熱結合(thermal bonding)によって、第2の吸収性織布またはメリヤス生地の中に組み入れることができる。第1の吸収性不織布のステープルは、互いにからみ合わされて、第2の吸収性織布またはメリヤス生地の中に埋め込むことができる。更に詳しくは、化学結合もしくは熱結合と違った方法について、第1の吸収性不織布のステープルの少なくとも約1%、好ましくは約10〜20%、好ましくは約50%以下が第2の吸収性織布またはメリヤス生地の反対側に露出するような具合に、第1の吸収性不織布は第2の吸収性織布またはメリヤス生地に取り付けることができる。このことによって、第1の吸収性不織布と第2の吸収性織布またはメリヤス生地とは、確実に結合されたままとなり、通常の取り扱い条件の下では層間剥離しない。実質的にいかなる第2の吸収性織布またはメリヤス生地も、第1の吸収性不織布による被覆(coverage)の視覚的な欠けがないように、吸収性強化複層布は均一である。
【0022】
本明細書に記述される複層布を製造する1つの方法は、次のプロセスによる。繊維1本当りのデニールが約1〜4である吸収性ポリマー繊維を、約80〜120デニールのマルチフィラメントヤーン(multifilament yarn)にまとめて、次いで、約800〜1200デニールのヤーンにまとめて、熱的に捲縮し、次いで、約19.05〜38.1mm(約0.75〜1.5インチ)の間の長さを有するステープルに切断する。該ステープルは、マルチローラー乾式レイ・カーディング装置(multiroller dry lay carding machine)の中に1回以上送り込み、カーディングを行って均一な不織布バットにすることができ、同時に、湿度は、15〜24℃の室温で約20〜60%の間に制御する。例えば、均一な不織布バットは、互い違いに配置されたローラーとストリップロール(stripper rolls)とによって覆われたメインシリンダ(main cylinder)を有する、単シリンダローラー・トップカード(single cylinder roller-top card)を用いて作ることができる。その場合、不織布バットは、ドッファーローラー(doffer roller)によってシリンダの表面から外し、次いで、コレクターロール(collector roll)上に堆積させる。該不織布バットは、ニードルパンチング、または、カレンダリング等の他のいずれかの手段によって更に処理することができる。その後、第1の吸収性不織布は、ニードルパンチング等の様々な技術によって、第2の吸収性織布またはメリヤス生地に取り付けることができる。吸収性強化複層布は、次いで、適切な溶媒で洗浄することによって洗い上げ、次いで、穏やかな条件の下、10〜30分間乾燥させることができる。
【0023】
ステープルの長さ、ステープルの開き度(opening)、ステープルの送り速度、相対湿度、等のプロセスパラメータを制御することが望ましい。例えば、前記のまとめられたヤーンは、25.4mm(1インチ)につき約5〜50捲縮数、好ましくは25.4mm(1インチ)につき約10〜30捲縮数を有することができる。長くかつ不完全に切断されたステープルはいかなるものも、カーディング装置(carding machine:梳毛機)上に張り付き、ピリング(pilling)を生じる傾向があるため、前記の捲縮ヤーン(crimped yarns)を効果的に切断することが望ましい。ステープルの長さの好ましい範囲は、約19.05〜63.5mm(約0.75〜2.5インチ)、好ましくは約38.1〜50.8mm(約1.5〜2.0インチ)である。
【0024】
均一性を最適化し、静電気の蓄積を最小限に抑えるため、バット・プロセッシング(but processing)を行う間、好ましくは、均一な不織布バットを形成するためのカーディングを行う間、相対湿度を制御することができる。不織布バットは、約15〜24℃の室温で少なくとも約20%の相対湿度で、乾燥レイ・カーディングプロセス(dry lay carding process)を用いて処理することが好ましい。不織布バットは、約40%〜60%の相対湿度で処理することが更に好ましい。
【0025】
複層布は、あらゆる紡糸仕上げ剤(spin finish)を溶解するのに適した溶媒を用いて洗い上げる。溶媒は、イソプロピルアルコール、ヘキサン、酢酸エチルおよび塩化メチレンを包含するが、それらに限定されない。次いで、複層布は、十分な乾燥を提供し、同時に、収縮を最小限に抑える条件の下で、乾燥させる。
【0026】
強化された吸収性複層布は、約0.5〜3.0mmの間、好ましくは約1.00〜2.5mmの間、最も好ましくは約1.2〜2.0mmの間の平均厚さを有することができる。上記厚さは、厚さ測定の方法に左右される。好ましい方法は、通常、一般に繊維工業のために(とりわけ、不織布工業のために)使用されているASTM法(ASTM D5729-97およびASTM D1777-64)である。そのような方法は、この場合、以下に記述されるように、僅かに部分修正を行って本実施形態に適切に採用することができる。強化された吸収性複層布の坪量は、約7.75×10−5〜3.87×10−4g/mm(約0.05〜0.25g/平方インチ)の間、好ましくは約1.24×10−4〜3.10×10−4g/mm(約0.08〜0.2g/平方インチ)の間、最も好ましくは約1.55×10−4〜2.79×10−4g/mm(約0.1〜0.18g/平方インチ)の間である。強化された吸収性複層布は、各々の平方インチの全体にわたる坪量または厚さが約10%以下の変動(variation)(平均の相対標準偏差)であるような具合に、均一である。
【0027】
更に、前記不織布は、止血剤等の生理活性剤を含有することができる。使用することのできる止血剤は、天然に存在するか、組換え体であるか、または合成物質である、凝血促進酵素(procoagulant enzymes)、タンパク質およびペプチドを包含するが、それらに限定されない。更に具体的には、プロトロンビン、トロンビン、フィブリノーゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ファクターX/Xa、ファクターVII/VIIa、ファクターIX/IXa、ファクターXI/XIa、ファクターXII/XIIa、組織因子、フォン・ウィルブランド因子(von Willebrand Factor)、コラーゲン、エラスチン(elastin)、ゼラチン、止血活性度を有する合成ペプチド、上記のものの誘導体、および、それらのいずれかの組合せを利用することができる。好ましい止血剤は、トロンビンおよび/またはフィブリノーゲン、ならびに、フィブリンである。
【0028】
加えて、前記不織布は、薬理学的かつ生物学的に活性な薬剤を含有することができる。それらの薬剤は、創傷治癒薬、抗菌性物質、抗菌剤、成長因子、鎮痛薬、および麻酔薬を包含するが、それらに限定されない。前記の吸収性強化複層布が組織足場として使用される場合、標的組織(targeted tissue)に植え込みを行う前、該複層布に適切な細胞型を接種するか、または培養することができる。
【0029】
実施例1 酸化再生セルロース(ORC)布を有するPGL不織布
ポリ(グリコリド・コ・ラクチド)(PGL、90/10モル/モル)を溶融紡糸して、繊維にした。マルチフィラメントヤーンは、まとめて、捲縮し、次いで、44.45mm(1.75インチ)の長さを有するステープルに切断した。該ステープルは、不織布バット(nonwoven batt)を作り出すためにカーディングを行い、次いで、圧縮して、約1.25mmの厚さおよび約98.1mg/ccの密度にした。次いで、該不織布は、エチコン社(Ethicon, Inc.)から商品名「インターシード(Interceed)(登録商標)」という名で入手できるカルボン酸−酸化再生セルロース・メリヤス生地の中にニードルパンチングを行って、該不織布を該酸化再生セルロース布に固定した。最終の複層布は、該不織布を約60重量%含有した。
【0030】
実施例2 酸化再生セルロース(ORC)布を有するPGL不織布
ポリ(グリコリド・コ・ラクチド)(PGL、90/10モル/モル)を溶融紡糸して、繊維にした。マルチフィラメントヤーンは、まとめて、捲縮し、次いで、44.45mm(1.75インチ)の長さを有するステープルに切断した。該ステープルは、不織布バットを作り出すためにカーディングを行い、次いで、圧縮して、約1.22mmの厚さおよび約103.4mg/ccの密度にした。次いで、該不織布は、エチコン社から商品名「サージセル・ヌ・ニット(Surgicel NuKnit)(登録商標)」という名で入手できるカルボン酸−酸化再生セルロース・メリヤス生地の中にニードルパンチングを行って、該不織布を該酸化再生セルロース布に固定した。最終の複層布は、該不織布を約25重量%含有した。
【0031】
実施例3 酸化再生セルロース(ORC)布を有するPGL不織布
ポリ(グリコリド・コ・ラクチド)(PGL、90/10モル/モル)を溶融紡糸して、繊維にした。マルチフィラメントヤーンは、まとめて、捲縮し、次いで、44.45mm(1.75インチ)の長さを有するステープルに切断した。該ステープルは、不織布バットを作り出すためにカーディングを行い、次いで、圧縮して、約1.1mmの厚さおよび約102.8mg/ccの密度を有するフェルト(felt)にした。次いで、該不織布は、エチコン社から商品名「サージセル(Surgicel)(登録商標)」という名で入手できるカルボン酸−酸化再生セルロース・メリヤス生地の中にニードルパンチングを行って、該不織布を該酸化再生セルロース布に固定した。最終の複層布は、該不織布を約60重量%含有した。
【0032】
実施例4 酸化再生セルロース(ORC)布を有するPGL不織布
ポリ(グリコリド・コ・ラクチド)(PGL、90/10モル/モル)を溶融紡糸して、繊維にした。80デニールのマルチフィラメントヤーンをまとめて、800デニールのまとめられたヤーン(consolidated yarn)にした。そのまとめられたヤーンは、約110℃で捲縮した。捲縮ヤーンは、約31.75mm(約1.25インチ)の長さを有するステープルに切断した。捲縮ステープル20gを精確に秤量し、次いで、マルチローラー・カーディング装置(multi-roller carding machine)の供給コンベヤーベルトの上に均一に広げた。環境条件(温度:21℃/相対湿度:55%)を制御した。次いで、ステープルをカーディングして、不織布バットを作り出した。該バットを、ピックアップローラー(pick-up roller)から取り外し、4つの均等な部分に切断した。これらは、回収方向に垂直なカーダー(carder)の中に再び供給した。この第2の試み(pass)の後、該バットは、秤量し(19.8g:布収率99%)、次いで、圧縮してフェルトにした。該圧縮フェルトは、酸化再生セルロース布上に正確に敷かれ、次いで、ニードルパンチング機に2回通過させることによって固着させた。該複層布は、耳切りして(trimmed)、3台の別個のイソプロピルアルコール浴で洗い上げ、紡糸仕上げ剤およびあらゆるマシン油を取り除いた。洗い上げられた複層布は、70℃のオーブンで30分間乾燥させ、冷却し、次いで、秤量した。
【0033】
前記複層布の「厚さ」は、本明細書に記述されるように測定した。測定用具は、次の通りであった:
(1)ミツトヨ製絶対ゲージ(Mitutoyo Absolute gauge)モデルナンバーID−C125EB[コード番号:543−452B]。該ゲージ上で直径25.4mm(1インチ)の脚を使用した。
(2)所定の位置でロックし、キャリパーをダイ定盤(die platen)に設定するために、磁気的支持装置(magnetic holder)を使用した。
(3)2枚の金属板:約69.85mm×50.8mm×15.24mm(約2.75インチ×2インチ×0.60インチ)、40.8g〜41.5gの間の重さ(組合せ合計は約82.18g)。
【0034】
滑らかな機械仕上げ面である定盤表面の上に、前記複層布を配置した。前記2枚の金属板を、該複層布上で互いの上に配置し、次いで、該複層布が確実に平らになるように、それら金属板の角を丁寧に加圧した。それら金属板の頂部に前記ゲージ脚を配置し、次いで、該ゲージ脚を再び持ち上げて再び配置し、その時、読み取りを行った。
【0035】
洗い上げた複層布から、12枚の25.4mm×25.4mm(1インチ×1インチ)断片をダイで打ち抜き、精確に秤量した。各々の25.4mm×25.4mm(1インチ×1インチ)断片の厚さは、信頼性の高い平均を得るために、金属プレートの異なる領域で4〜5回測定した。表1に、各々の断片の重量および厚さを示す。それらの値は、両方の層の被覆度(coverage)が、あらゆる方向で類似していることを示している。
【0036】
【表1】

【0037】
実施例5 ポリグラクチン910ステープルの加工処理に及ぼす湿度の影響
80デニールのポリグラクチン(polyglactin)910のまとめられたヤーンを捲縮し、次いで、切断して44.45mm(1.75インチ)のステープルにした。室温は21〜22℃の間に保持し、相対湿度は、室内湿度調節装置で制御し、36%から60%まで変動した。この一連の試験(runs)のための追加の静電気制御手段は全く使用しなかった。捲縮ステープルは、カーディングを行って、約812.8mm×203.2mm(約32インチ×8インチ)のバットにした。カーディング装置(carding machine)を2回通過させた後、バットの中に組み込まれたステープルの百分率(即ち、収率)は、湿度の増加と共に増加し、かつ、該バットの品質は収率と共に改善された。
【0038】
【表2】

【0039】
実施例6 ポリグラクチン910ステープルの加工処理に及ぼすステープル長さの影響
80デニールのポリグラクチン910のまとめられたヤーンを捲縮し、次いで、切断して長さ31.75mm(1.25インチ)、38.1mm(1.5インチ)および44.45mm(1.75インチ)のステープルにした。室温は20.56〜21.67℃(69〜71°F)の間に保持し、相対湿度は室内湿度調節装置で55%までに制御した。この一連の試験(runs)のための追加の静電気制御手段は全く使用しなかった。捲縮ステープルは、カーディングを行って、約812.8mm×203.2mm(約32インチ×8インチ)のバットにした。
【0040】
【表3】

【0041】
実施例7
ポリ(グリコリド・コ・ラクチド)(PGL、90/10モル/モル)を溶融紡糸し繊維にした。80デニールのマルチフィラメントヤーンをまとめて、800デニールのまとめられたヤーンにした。該まとめられたヤーンは、約110℃で捲縮した。捲縮ヤーンは、約31.75mm(約1.25インチ)の長さを有するステープルに切断した。該ヤーンを高湿度環境(55%を超える相対湿度)で約30分間、状態調節(conditioning)を行った後、その捲縮ステープル44gを精確に秤量した。該ヤーンは、マルチローラー・カーディング装置(multi-roller carding machine)の供給コンベヤーベルトの上に均一に広げた。送り時間(5分)は、30〜45秒以内に精確に制御した。環境条件(温度:21℃/相対湿度:25%)を記録した。複数個の静電気バー(static bars)を、第2のランダマイザーローラー(2nd Randomiser roller)の近辺だけでなく鋼製ピックアップローラー(pick up roller)の近辺でも使用し、作業を行う間作動させ、結果として得られるバット(batt)の均一性と収率とに及ぼす静電気発生(static generation)の有害な影響を最小限に抑えた。次いで、該ステープルをカーディングして、不織布バットを作り出した。前記第2のランダマイザーローラーの2つのエッジの近辺に、諸条件・効果等を十分に配慮して、2つの真空吸込み口(vacuum inlets)を配置し、結果として得られるバットの幅を制御した。バットは、前記ピックアップローラーから取り外して秤量した(41g、収率91%)。その均一なバットは、ORC(酸化再生セルロース)布の上に正確に敷き、次いで、ニードルパンチ加工機での1回のパス(pass)によって固着させた。ニードル貫通深さは、12mmに制御した。その複層布は、耳切りし(trimmed)、次いで、イソプロピルアルコールの入っている槽の中に吊るされたラック(rack)の上で(同様にして作り出した他のシートと一緒に)洗い上げて、紡糸仕上げ剤およびあらゆるマシン油を取り除いた。洗い上げた複層布(マトリックスシート)は、カレンダーにかけて過剰の溶媒を除去し、次いで、70℃のオーブンで約30分間乾燥させ、冷却し、次いで、秤量した。
【0042】
実施例8
前述のマトリックスシートは、両側に、灰色がかった白色/ベージュ色を有する。片側は、不織布側であり、反対側はメリヤス生地側であるということができる。ある用途のためには、該マトリックスの、メリヤス生地面に対する不織布面を識別することが非常に重要となる場合がある。厄介な環境条件の下、色およびテキスチャー(texture)が(ある程度)類似していると、一方の側面を他方の側面と識別することが困難になる。該マトリックスシートに、観察者が2つの側面を識別することを可能にする側面特徴(sidedness)を提供する幾つかの手段を用いた。これらの手段には、物理的方法(縫い工程(stitching)/メリヤス編み工程(knitting)、編み工程(braiding)、ひだつけ工程(pleating)、等)、熱加工方法(thermo-mechanical means)(熱的方法、熱エンボス加工法(heat embossing means);レーザーエッチング法)、および、(染料を用いる)クロム法(chromic means)が包含される。これらの手段は、側面特徴を獲得するために用いることができる。次の諸例は、これらの手段の幾つかを記述する。
8a)前記マトリックスシートは、ポリグラクチン(polyglactin)910繊維の、幅1mm、長さ101.6mm(4インチ)の編みテープを取り付けることによって、メリヤス生地側が修飾された。該テープは、側面特徴を提供する点では成功するが、より長い被吸収性の(resorbing)ポリグラクチン910の量を増大させる。
8b)ニードルパンチ加工工程の間、メリヤス生地および不織布バットの下に、染めナイロン繊維で作ったウェブ(web)を置いた。該ウェブは、ニードルパンチ加工プロセスによって、メリヤス生地側に固定する。該ウェブは、優れた側面特徴を提供し、もし吸収性材料として入手できれば、完全に被吸収性の(resorbable)植え込み可能なマトリックスシートを作るために使用することができるであろう。該ウェブ(メッシュ)は、不織布側に同様にして固定することができる。該ウェブを固定するための他の手段は、現実的には、熱加工方法であるかもしれない。そのようなウェブを含有させるのは、機械的強化の理由による場合もある。そのような場合、該ウェブは、両側に、または、2つの層の間にさえ固定することができる。そのような強化構造体は複数の用途を有することができる。
8c)(ニードルパンチ加工工程によって)前記マトリックスシートのメリヤス生地側に備わっている少量のポリグラクチン910は、熱的に変性して、側面特徴を作り出すことができる。これには、ポリグラクチン910の光沢のある膜が形成されるような具合に、圧力下で加熱することが含まれる。他の選択肢には、識別可能なパターンの熱エンボス加工が含まれる。両方のアプローチによって、側面特徴は達成されるが、結果として、ポリマー/構成体が熱的に劣化する場合がある。
8d)ニードルパンチ加工工程の前、前記の酸化再生セルロースメリヤス生地にひだ(垂直なひだ、または、水平なひだ)を付ける。それらのひだは、熱および圧力を用いることによって安定化させる。次いで、ひだの付いた布は、実施例7に記述される残りのプロセスにおいて、通常の布に代えて使用する。結果として得られるマトリックスシートは、側面特徴を達成する明瞭な縞(stripes)を有する。
8e)染めポリグラクチン910は、不織布側が着色されており、反対側が灰色がかった白色/ベージュ色であるマトリックスシートを作り出す。この構成体は、側面特徴を達成する。染料は、メリヤス生地側に染め縫合糸等を用いることによって、同様に使用することができる。縫合糸(テープに編まれた縫合糸、または、現状のままで使用される縫合糸)は、縫い込むか、または、熱的に結合させることができる。
【0043】
実施例9 吸収性強化複層布を用いた回旋腱板の修復
回旋腱板(rotator cuff)に問題がある場合、外科医は先ず、関節鏡を用いて損傷の程度を診る。次いで、患者は、全身麻酔の下、裂傷を修復するための開放手術を受ける。
【0044】
麻酔薬を投与し、肩の準備ができた後、肩の頂部前面の角(top front corner of the shoulder)の上に美容整形的切開(cosmetic incision)を行う。この切開によって、三角筋(deltoid muscle)の前部と中間部との間の継ぎ目へアクセスすることが可能になる。この継ぎ目を分離することによって、肩力(shoulder's power)のかなりの部分を担っている重要な三角筋を引き離すことも損傷させることもしないで、回旋腱板へアクセスすることが可能になる。全ての瘢痕組織(scar tissue)は、三角筋および肩峰(acromion)(三角筋が付着している肩甲骨の部分)の下の空間から除去される。厚くなった嚢(bursa)、および、回旋腱板と上腕骨(上腕の骨)との粗い縁(edge)もまた、滑らかになり、該嚢および該縁は、肩峰および三角筋の下を円滑に確実に通過する。
【0045】
前記腱板の腱の縁を識別し、腱板組織の質および量を測定する。修復の目標は、腕の骨上の位置であって、腱がその位置から裂かれている、位置に、良質の腱を再び取り付けることである。溝(groove)またはトラフ(trough)を、該腱板の正常な取付け部位に作る。該腱を支持し回復を助けるため、外科医は、吸収性強化複層布のパッチ(patch)を所定の位置に、それの全面にわたって縫合する。縫合糸(多数の手術用糸)は、該溝の中に、該腱の縁を確実に引き寄せ、該腱は該溝まで回復させられる。
【0046】
外科医は次いで、三角筋と皮膚の切開部とを閉鎖することによって、手術を完了する。時間が経つと、身体は、前記領域内に、周囲の組織と調和する新しい組織を作り出す。身体はまた、2〜4ヶ月で植え込まれたパッチを吸収する。
【0047】
実施例10 吸収性強化複層布を用いた膝軟骨の修復
外科医は先ず、関節鏡(arthroscope)によって膝を診察する。関節鏡は、医師が膝関節を調べるのを可能にする小さいデバイスである。損傷が発見されると、外科的処置が行われる。
【0048】
麻酔薬が投与され、膝の準備ができた後、膝蓋骨の頂部前面の角の上の皮膚を通して美容整形的切開を行う。先ず、損傷軟骨を除去する。次いで、前記の吸収性強化複層布を該損傷の中に植え込む。該複層布は、縫合糸、留め鋲(tack)、または、多数種の生体適合性接着剤のうちいずれか、を用いて、損傷部位へ取り付けることができる。
【0049】
外科医は次いで、皮膚の切開部を閉鎖することによって、手術を完了する。軟骨細胞は、前記植え込まれた複層布の中に移動し、次いで、該植え込まれた複層布の中で増殖し、次いで、該細胞/複層布インプラントは、周囲の軟骨と一体化する(intergrates)。時間と共に、それら細胞は、成熟し、損傷部にヒアリン軟骨(hyaline cartilage)を充填する。
【0050】
前記の諸実施例は、本発明の幾つかの具体例を実証するが、それらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、本発明の完全な記述の一因になるものと解釈されるべきである。それらの実施例に記載の全ての強化布は、商品名で呼ばれる、対応の市販製品の非殺菌材料である。
【0051】
〔実施の態様〕
(1)複層布において、
第1の吸収性不織布と、
1つ以上の第2の吸収性織布またはメリヤス生地と、
を含む、複層布。
(2)実施態様1に記載の複層布において、
前記第1の吸収性不織布は、乳酸、(L−ラクチド、D−ラクチド、メソラクチド、および、D−ラクチドとL−ラクチドとの混合物を包含する)ラクチド、グリコール酸、グリコリド、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン、ならびに、トリメチレンカーボネートから成る群から選ばれた1種類以上のモノマーの脂肪族ポリエステルのポリマーまたは共重合体を含有する繊維を含む、複層布。
(3)実施態様2に記載の複層布において、
前記第1の吸収性不織布は、グリコリド/ラクチド共重合体を含有している、複層布。
(4)実施態様2に記載の複層布において、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化多糖類を含有している、複層布。
(5)実施態様4に記載の複層布において、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化セルロースを含有している、複層布。
(6)実施態様5に記載の複層布において、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化再生セルロースを含有している、複層布。
(7)実施態様5に記載の複層布において、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化再生セルロースを含有する吸収性メリヤス生地である、複層布。
(8)実施態様1に記載の複層布において、
前記第1の吸収性不織布は、グリコリド/ラクチドの共重合体を含有し、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化再生セルロースを含有している、複層布。
(9)実施態様8に記載の複層布において、
前記第1の吸収性不織布は、約0.75〜2.5インチの長さを有するステープルを含む、複層布。
(10)実施態様9に記載の複層布において、
前記ステープルは、捲縮されている、複層布。
(11)実施態様8に記載の複層布において、
前記第1の吸収性不織布は、約38.1〜50.8mm(約1.5〜2インチ)の長さを有するステープルを含む、複層布。
(12)実施態様11に記載の複層布において、
前記ステープルは、捲縮されている、複層布。
(13)実施態様8に記載の複層布において、
前記第1の吸収性不織布は、ポリグリコリドをモル基準で約70〜95%含有し、残部がポリラクチドであり、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化再生セルロースを含有している、複層布。
(14)実施態様11に記載の複層布において、
前記ステープルは、フィラメント1本当り約0.001〜4デニールの繊維から得られている、複層布。
(15)実施態様14に記載の複層布において、
前記第1の吸収性不織布は、約1.55×10−5〜3.10×10−4g/mm(約0.01〜0.2g/平方インチ)の坪量を有し、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、約1.55×10−6〜3.10×10−4g/mm(約0.001〜0.2g/平方インチ)の坪量を有している、複層布。
(16)複層布において、
第1の吸収性不織布と、
第2の吸収性織布またはメリヤス生地と、
抗菌性物質、抗菌剤、成長因子、鎮痛薬および麻酔薬から成る群から選ばれた少なくとも1種の薬剤と、
を含む、複層布。
【0052】
(17)実施態様1に記載の複層布を製造する方法において、
(a)吸収性ポリマーの繊維またはヤーンを、25.4mm(1インチ)につき約10〜30捲縮数の範囲で捲縮する工程と、
(b)前記捲縮された繊維またはヤーンを、約2.54〜63.5mm(約0.1〜2.5インチ)の間の長さのステープルに切断する工程と、
(c)前記ステープルのカーディングを行って、前記第1の吸収性不織布を形成する工程と、
(d)前記第1の吸収性不織布を第2の吸収性織布またはメリヤス生地に取り付ける工程と、
(e)工程(c)のための環境の湿度を、約15〜24℃の室温で約20〜60%に制御する工程と、
を含む、方法。
(18)実施態様17に記載の方法において、
前記工程(c)のための環境の湿度は、約15〜24℃の室温で約40〜60%である、方法。
(19)実施態様17に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、乳酸、(L−ラクチド、D−ラクチド、メソラクチド、および、D−ラクチドとL−ラクチドとの混合物を包含する)ラクチド、グリコール酸、グリコリド、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン、ならびに、トリメチレンカーボネートから成る群から選ばれる1種類以上のモノマーの脂肪族ポリエステルのポリマーまたは共重合体を含有する繊維を含む、方法。
(20)実施態様19に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、グリコリド/ラクチドの共重合体を含有する、方法。
(21)実施態様19に記載の方法において、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化多糖類を含有する、方法。
(22)実施態様21に記載の方法において、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化セルロースを含有する、方法。
(23)実施態様19に記載の方法において、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化再生セルロースを含有する、方法。
(24)実施態様22に記載の方法において、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化再生セルロースを含有する吸収性メリヤス生地である、方法。
(25)実施態様17に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、グリコリド/ラクチド共重合体を含有し、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化再生セルロースを含有する、方法。
(26)実施態様17に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、約19.05〜63.5mm(約0.75〜2.5インチ)の長さを有するステープルを含む、方法。
(27)実施態様26に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、約38.1〜50.8mm(約1.5〜2.0インチ)の長さを有するステープルを含む、方法。
(28)実施態様17に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、グリコリドとラクチドとの共重合体を、グリコリドがモル基準で約70〜95%の範囲の量で、残部がラクチドとなるように含有し、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化再生セルロースを含有する、方法。
(29)実施態様28に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、ニードルパンチ加工によって、前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地に取り付けられる、方法。
(30)実施態様29に記載の方法において、
前記の吸収性ポリマーの繊維は、フィラメント1本当り約0.001〜4デニールの範囲である、方法。
(31)実施態様29に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、約1.55×10−5〜3.10×10−4g/mm(約0.01〜0.2g/平方インチ)の坪量を有し、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、約1.55×10−6〜3.10×10−4g/mm(約0.001〜0.2g/平方インチ)の坪量を有する、方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複層布において、
第1の吸収性不織布と、
1つ以上の第2の吸収性織布またはメリヤス生地と、
を含む、複層布。
【請求項2】
請求項1に記載の複層布を製造する方法において、
(a)吸収性ポリマーの繊維またはヤーンを、25.4mm(1インチ)につき約10〜30捲縮数の範囲で捲縮する工程と、
(b)前記捲縮された繊維またはヤーンを、約2.54〜63.5mm(約0.1〜2.5インチ)の間の長さのステープルに切断する工程と、
(c)前記ステープルのカーディングを行って、前記第1の吸収性不織布を形成する工程と、
(d)前記第1の吸収性不織布を第2の吸収性織布またはメリヤス生地に取り付ける工程と、
(e)工程(c)のための環境の湿度を、約15〜24℃の室温で約20〜60%に制御する工程と、
を含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記工程(c)のための環境の湿度は、約15〜24℃の室温で約40〜60%である、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、乳酸、(L−ラクチド、D−ラクチド、メソラクチド、および、D−ラクチドとL−ラクチドとの混合物を包含する)ラクチド、グリコール酸、グリコリド、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン、ならびに、トリメチレンカーボネートから成る群から選ばれる1種類以上のモノマーの脂肪族ポリエステルのポリマーまたは共重合体を含有する繊維を含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、グリコリド/ラクチドの共重合体を含有する、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法において、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化再生セルロースを含有する、方法。
【請求項7】
請求項2に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、約19.05〜63.5mm(約0.75〜2.5インチ)の長さを有するステープルを含む、方法。
【請求項8】
請求項2に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、グリコリドとラクチドとの共重合体を、グリコリドがモル基準で約70〜95%の範囲の量で、残部がラクチドとなるように含有し、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、酸化再生セルロースを含有する、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、ニードルパンチ加工によって、前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地に取り付けられる、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記第1の吸収性不織布は、約1.55×10−5〜3.10×10−4g/mm(約0.01〜0.2g/平方インチ)の坪量を有し、
前記第2の吸収性織布またはメリヤス生地は、約1.55×10−6〜3.10×10−4g/mm(約0.001〜0.2g/平方インチ)の坪量を有する、方法。

【公表番号】特表2009−533568(P2009−533568A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505336(P2009−505336)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/013284
【国際公開番号】WO2007/117238
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】