説明

医療機器管理システム

【課題】オペレータが内視鏡等の医療機器の作業履歴を直感的に理解することができる医療機器管理システムを提供する。
【解決手段】オペレータによって内視鏡プロセッサ、洗浄装置、内視鏡保管庫等に搬出入される内視鏡を監視カメラにより撮影するとともに、撮影した内視鏡の機器IDを取得し、これらを関連付けて管理サーバにて記録管理する。そして、所望の内視鏡の履歴(作業履歴、移動履歴)を確認する場合には、検索情報として機器IDを入力する。機器IDが入力されると、管理サーバは、入力された機器IDに対応して管理している画像を抽出し、この抽出した画像から静止画インデックス画像を作成し、モニタ装置に表示するようにしている。これにより、オペレータは、所望の内視鏡の履歴を、その内視鏡を含む静止画インデックス画像から直感的に理解することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療機器管理システムに係り、特に内視鏡等の医療機器の履歴を管理する医療機器管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡毎の固有の識別情報をキーとして、内視鏡の現在の使用状況、過去の使用来歴、修理来歴、洗浄来歴等を一元管理するようにした内視鏡用データファイリングシステムが提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、内視鏡画像を記録する内視鏡画像ファイリングシステムにおいて、内視鏡の洗浄装置から内視鏡の固有の識別情報と関連づけた洗浄情報を院内LANを介して受信し、前記洗浄装置により洗浄された内視鏡に係る洗浄情報と当該内視鏡の固有の識別情報とを関連づけた洗浄管理データを生成し、又は洗浄管理データを更新し、これにより予約時に内視鏡検査に使用する内視鏡が滅菌・洗浄されているか否か等を確認でき、検査を効率的に行うことができる内視鏡画像ファイリングシステムが提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特許第3394742号公報
【特許文献2】特許第3791894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の特許文献1、2に記載のシステムは、内視鏡の使用や洗浄に関する情報を画像データとともに、一括管理することができるが、事前にオペレータの作業ミスを防止する観点で履歴の管理を行っていない。
【0005】
また、管理されている履歴は、主としてテキスト表示用の情報であるため、内容を判別しにくいという問題がある。
【0006】
例えば、オペレータが使用済みの内視鏡を検査・処置室から洗浄室に搬入し、ここで、予備洗浄(手洗いを含む)、洗浄装置での洗浄を経て内視鏡を保管庫に保管するまでの作業ステップ等が、適正に行われたか否かをテキストベースの履歴からは容易に判断することができないという問題がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、オペレータが内視鏡等の医療機器の作業履歴を直感的に理解することができ、オペレータの作業ミスの防止に寄与することができる医療機器管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために請求項1に係る医療機器管理システムは、オペレータとともに院内を移動する医療機器を撮影する監視カメラと、前記医療機器を特定する機器固有の識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記監視カメラによって撮影された医療機器を含む画像と、該医療機器の識別情報とを関連づけて記録管理する画像管理手段と、所望の医療機器の履歴を確認する際に前記所望の医療機器の識別情報を入力する情報入力手段と、前記情報入力手段によって入力された識別情報に基づいて前記画像管理手段から前記識別情報に対応して管理されている画像を抽出する画像抽出手段と、前記抽出された画像を表示する表示手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
即ち、監視カメラによりオペレータによって搬出入される内視鏡等の医療機器を撮影するとともに、撮影した医療機器を特定する機器固有の識別情報を取得し、これらを関連付けて記録管理する。そして、所望の医療機器の履歴を確認すべく所望の医療機器の識別情報を入力すると、その入力された識別情報に対応して管理されている画像が抽出され、この抽出された画像を表示手段に表示するようにしている。これにより、所望の医療機器の履歴(作業履歴、移動履歴)を、その医療機器を含む撮影画像から直感的に理解することができ、例えば、オペレータは、作業前に対象物(医療機器)の直前の履歴を確認してから次の作業を実施することができ、作業ステップが異なるオペレータによって分業されていても、作業ミスが発生しないようにすることができる。
【0010】
請求項2に示すように請求項1に記載の医療機器管理システムにおいて、前記監視カメラは、前記医療機器の作業位置ごとに配設され、又は前記医療機器の移動経路に沿って配設されることを特徴としている。例えば、監視カメラは、医療機器が内視鏡の場合には、内視鏡が使用される検査室又は処置室等での作業領域、内視鏡を洗浄する作業領域、内視鏡を保管する領域等に配設され、又はこれらの領域間で内視鏡が搬出入される移動経路に配設される。
【0011】
請求項3に示すように請求項1に記載の医療機器管理システムにおいて、前記監視カメラは、オペレータの視野範囲を撮影する頭部装着型カメラであることを特徴としている。監視カメラを頭部装着型カメラとすることにより、医療機器を取り扱うオペレータの視野範囲を常時撮影することが可能となり、医療機器の履歴画像を撮影することができる。
【0012】
請求項4に示すように請求項1から3のいずれかに記載の医療機器管理システムにおいて、前記識別情報取得手段は、前記監視カメラと対応付けて配置され、前記監視カメラの撮影範囲に前記医療機器が入ると、該医療機器の識別情報を非接触で取得することを特徴としている。
【0013】
請求項5に示すように請求項4に記載の医療機器管理システムにおいて、前記識別情報取得手段は、各医療機器に設けられたRFIDタグから前記識別情報を読み取るRFIDタグ・リーダであることを特徴としている。
【0014】
請求項6に示すように請求項4に記載の医療機器管理システムにおいて、前記識別情報取得手段は、前記監視カメラが撮影した画像に基づいて画像中の医療機器の固有の識別情報を画像認識により取得することを特徴としている。例えば、医療機器が機器固有の形状を有する場合には、撮影画像から医療機器の形状を画像認識することにより識別情報を取得し、また、医療機器にバーコード、色分けタグ等が付されている場合には、これらを画像認識で読み取るようにしてもよい。
【0015】
請求項7に示すように請求項1から6のいずれかに記載の医療機器管理システムにおいて、前記監視カメラは、前記識別情報取得手段による前記医療機器の識別情報の取得時に同期して記録用の画像を撮影し、又は前記識別情報の取得時から取得不能になる期間、記録用の動画又はコマ送り画像を撮影することを特徴としている。これによれば、医療機器が撮影されていない画像を記録する必要がなく、また撮影画像の管理も容易にできる。
【0016】
請求項8に示すように請求項1から7のいずれかに記載の医療機器管理システムにおいて、前記画像管理手段は、前記取得した画像を更に撮影場所に関連づけて、又は前記医療機器とともに操作される操作対象機器に関連づけて管理することを特徴としている。例えば、監視カメラが定点カメラの場合には、監視カメラの設置場所が撮影場所に対応し、この撮影場所に関連づけて画像を管理し、又は医療機器とともに操作される操作対象機器(医療機器が内視鏡の場合には、内視鏡プロセッサ、洗浄装置、保管庫等)を含む画像を撮影している場合には、その撮影している操作対象機器に関連づけて画像を管理する。更に、監視カメラが頭部装着型カメラの場合には、GPS装置(Global Positioning System)付きのカメラを適用することで、撮影場所を取得することができ、この撮影場所に関連づけて画像を管理する。
【0017】
請求項9に示すように請求項8に記載の医療機器管理システムにおいて、前記情報入力手段は、前記撮影場所又は前記操作対象機器に関連する情報を入力する機能を有し、前記画像抽出手段は、前記情報入力手段によって入力された識別情報及び前記撮影場所又は前記操作対象機器に関連する情報に基づいて前記画像管理手段から前記識別情報及び前記撮影場所又は前記操作対象機器に対応して管理されている画像を抽出することを特徴としている。これにより、医療機器を含む画像を、その医療機器の撮影場所、又は前記操作対象機器における作業ステップ別に抽出して医療機器の履歴を確認することができる。
【0018】
請求項10に示すように請求項1から8のいずれかに記載の医療機器管理システムにおいて、前記画像管理手段は、前記取得した画像を更に撮影日時に関連づけて管理することを特徴としている。これによれば、抽出した画像を時系列順に並べることができる。
【0019】
請求項11に示すように請求項1から10のいずれかに記載の医療機器管理システムにおいて、前記画像抽出手段によって抽出された画像を編集し、編集した画像を前記表示手段に出力する編集手段を更に備え、前記編集手段は、前記抽出された画像から複数の静止画からなる静止画インデックス画像、又は複数の動画からなる動画インデックス画像を作成することを特徴としている。これによれば、短時間で履歴画像を確認することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、監視カメラによりオペレータによって搬出入される内視鏡等の医療機器を撮影し、医療機器を特定する機器固有の識別情報と関連付けて記録管理し、必要に応じて所望の医療機器の画像を抽出して表示するようにしたため、所望の医療機器の履歴(作業履歴、移動履歴)を、その医療機器を含む撮影画像から直感的に理解することができ、オペレータの作業ミスの防止に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面に従って本発明に係る医療機器管理システムの好ましい実施の形態について説明する。
【0022】
<システム構成>
図1は本発明に係る医療機器管理システムの実施の形態を示す概略図であり、内視鏡検査や内視鏡手術等に使用された内視鏡10(医療機器)を取り扱う場合に適用される医療機器管理システムに関して示している。また、図2は医療機器管理システムの実施の形態を示すブロック図である。
【0023】
図1及び図2に示すように、この医療機器管理システムは、オペレータによって搬出入される内視鏡10を監視するための監視カメラ20(20−1、20−2、…、20−n)と、管理サーバ30と、これらを接続する院内LAN(Local Area Network)50とによって構成されている。
【0024】
[監視カメラ20]
監視カメラ20は、内視鏡10の作業位置ごとに設置されており、図1に示す例では、監視カメラ20−1は、内視鏡が使用される検査室又は処置室等の天井に設置され、内視鏡プロセッサ60に着脱される内視鏡10を撮影し、監視カメラ20−2は、内視鏡10の洗浄装置70が配置された部屋の天井に設置され、洗浄装置70に出し入れされる内視鏡10を撮影する。
【0025】
また、図1には示していないが、監視カメラ20は、内視鏡保管庫が設置された部屋の天井に設置され、内視鏡保管庫に出し入れされる内視鏡を撮影したり、また、これらの内視鏡の作業領域間の内視鏡の移動経路の天井にも設置され、移動経路上の内視鏡を撮影したりする。
【0026】
監視カメラ20は、監視カメラ本体21と、RFIDタグ・リーダ22とから構成されている。
【0027】
内視鏡10の手元操作部には、その内視鏡10を特定する機器固有の識別情報(ID)が記憶されたRFIDタグ11が埋め込まれており、監視カメラ20のRFIDタグ・リーダ22は、RFIDタグ11から機器IDを読み取り、これを監視カメラ本体21に通知する。尚、RFIDタグ・リーダ22としては、例えば、監視カメラ本体21の撮影範囲内に存在するRFIDタグ11と無線通信できるものが適用される。
【0028】
監視カメラ本体21は、RFIDタグ・リーダ22から機器IDを受け取ると、撮影を開始する。これにより、内視鏡10を含む画像(動画、又はコマ送り画像)を取り込む。撮影の終了は、RFIDタグ・リーダ22が機器IDの検出が不能となる時点としてもよいし、撮影開始時点から予め設定された一定時間(作業時間に相当する時間、移動経路上の撮影範囲の通過時間)の経過後としてもよい。
【0029】
各監視カメラ20−1、20−2、…、20−nによって撮影された画像は、機器ID、カメラID、及び撮影日時(含む時刻)の付属情報とともに管理サーバ30に伝送される。
【0030】
尚、RFIDタグ・リーダ22は、内視鏡プロセッサ60、洗浄装置70等に設置したり、床面等に複数設置したりするようにしてもよい。この場合、特定の監視カメラで撮影される範囲と、その監視カメラで撮影される範囲内の内視鏡10のRFIDタグ11と通信するRFIDタグ・リーダ22とは対応づけておき、RFIDタグ・リーダ22が機器IDを検出すると、そのRFIDタグ・リーダ22に対応する監視カメラに直接、又は管理サーバ30を経由して機器IDを通知し、あるいは管理サーバ30がリモートで監視カメラの撮影動作を制御し、管理サーバ30側で監視カメラから取得した撮影画像と機器IDとの対応付けを行うようにしてもよい。
【0031】
また、監視カメラ20は、天井に設置する場合に限らず、各機器(内視鏡プロセッサ60、洗浄装置70、オートクレーブ装置、内視鏡保管庫)に設置してもよい。
【0032】
[管理サーバ30]
図2に示すように管理サーバ30は、主として各構成要素の動作を制御する中央処理装置(CPU)31と、装置の制御プログラムが格納され、またプログラム実行時の作業領域となる主メモリ32と、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ等のモニタ装置40と、モニタ装置40の表示を制御するグラフィックボード33と、監視カメラ20等と接続される通信インターフェース(通信I/F)34と、本発明に係る処理プログラム等が格納され、また撮影された画像等が保存管理されるハードディスク装置35と、CD−ROMドライブ36と、キーボード41のキー操作を検出して指示入力としてCPU31に出力するキーボードコントローラ37と、位置入力装置としてのマウス42の状態を検出してモニタ装置40上のマウスポインタの位置やマウス42の状態等の信号をCPU31に出力するマウスコントローラ38とから構成されている。
【0033】
上記構成の管理サーバ30は、各監視カメラ20によって撮影された画像をハードディスク装置35に逐次保存するとともに、機器IDが入力されると、その機器IDに対応して管理されている画像を抽出し、特定の内視鏡10の作業履歴、移動履歴を示す画像をモニタ装置40に表示させる。
【0034】
図3(a)はハードディスク装置35に逐次保存管理される画像のデータベース構造の一例を示す図である。
【0035】
同図に示すように、各監視カメラ20によって撮影され、機器ID、撮影場所(カメラID)、撮影日時が付属している画像は、撮影日時順に逐次保存されるとともに、機器ID、撮影場所、及び撮影日時によって検索可能に管理されている。
【0036】
尚、カメラIDによって特定される監視カメラと、撮影場所とは一対一に対応しており、カメラIDから撮影場所(例えば、検査室、洗浄室、保管庫等の作業エリア、撮影場所)を撮影画像に対して関連付けることができる。
【0037】
また、撮影日時は、監視カメラの時計機能により撮影された画像に付された日時を使用することができる。
【0038】
次に、本発明に係る医療機器管理システムの作用について説明する。
【0039】
なお、モニタ装置40は、複数ヶ所(各作業場所毎)に設置することが望ましい。
【0040】
<第1実施形態>
オペレータは、作業対象の内視鏡を取り扱うときに、その内視鏡の作業履歴の確認を画像で行う。
【0041】
この場合、オペレータは、内視鏡に付されているRFIDタグの機器IDを管理サーバ30に入力する。機器IDの入力は、オペレータがキーボード41を操作して入力してもよいし、又は管理サーバ30に付属しているRFIDタグ・リーダ(図示せず)によって内視鏡に付されているRFIDタグを読み取らせるようにしてもよい。
【0042】
ここで、キーボードおよび表示モニタ、またはRFIDタグ・リーダは、各作業場所毎に設置することが望ましい。あるいは、各操作対象機器(内視鏡プロセッサ、洗浄機、保管庫等)にRFIDタグ・リーダを設置し、読取った機器IDをLAN経由で管理サーバ30に伝送する方法でもよい。
【0043】
また、内視鏡は、保管室(内視鏡保管庫)→検査室(内視鏡プロセッサ)→洗浄室(洗浄装置)→保管室の流れに沿って搬送される。オペレータは、この内視鏡の移動履歴、作業履歴の全体をトレースする場合と、特定位置(又は特定の作業ステップ)をトレースする場合とを、管理サーバ30のキーボード41等を使用して適宜選択でき、特定の作業ステップをトレースする場合には、その作業ステップの位置情報、又は確認したい作業情報の入力を行う。
【0044】
例えば、機器IDとして、「001」が入力され、更に全体トレースが選択された場合には、CPU31は、図3に示したデータベースより機器ID「001」で管理されている全ての画像(この実施の形態では動画)を抽出し、この抽出した画像を撮影した時間順に並べて一連の動画にする。続いて、一連の動画から動画全体を確認するための複数の静止画を抽出し、これらの静止画を縮小して一覧表示するためのインデックス画像(静止画インデックス画像)を生成する。
【0045】
尚、動画から複数の静止画を抽出する方法としては、撮影シーンを解析し、撮影シーンが変化したときのコマ画像を抽出する方法、動画を所定の時間間隔で分割し、分割された各動画からそれぞれ代表画像(例えば、先頭のコマ画像)を抽出する方法、その他、公知の方法を使用することができる。
【0046】
上記のようにして編集された静止画インデックス画像は、モニタ装置40に表示される。オペレータは、モニタ装置40に表示された静止画インデックス画像を視認することにより、作業対象の内視鏡の作業履歴、移動履歴を直感的に確認することができる。
【0047】
図4はモニタ装置40に表示される静止画インデックス画像の一例を示す図である。
【0048】
この静止画インデックス画像は、9コマの静止画から構成されており、表示画面の左上から右下にわたって撮影の時間順に並べられている。
【0049】
図4に示す静止画インデックス画像は、オペレータが内視鏡を洗浄装置に搬入し(静止画(1)〜(2))、続いて、内視鏡を洗浄装置にセットし(静止画(3)〜(5))、洗浄終了後に洗浄装置から内視鏡を取り出し(静止画(6))、洗浄後の内視鏡を内視鏡保管庫に搬入し(静止画(7))、内視鏡を内視鏡保管庫に収納した後、立ち去った様子(静止画(8)、(9))を示している。
【0050】
オペレータは、内視鏡保管庫の保管されている内視鏡を検査室に搬入する場合、その内視鏡が正しく洗浄され、保管されていたこと(内視鏡の安全性)を確認する必要があるが、上記の静止画インデックス画像から直感的に確認することができ、これにより作業ミスを防止することができる。
【0051】
図4に示した例は、特定の作業ステップをトレース(内視鏡の検査室への搬入作業時の洗浄から保管までの作業をトレース)する場合に関して示したが、その他の特定の作業ステップをトレースする場合の例として、
・内視鏡の保管室への搬入作業時:
洗浄開始から終了までの作業が正常か確認
・内視鏡の洗浄装置へのセット作業時:
検査開始から搬出までの作業が正常か確認
などが挙げられる。
【0052】
オペレータは、特定の作業ステップをトレースする場合には、その作業ステップを示す情報(撮影場所、作業内容)をキーボード41により入力し、または予め準備されているメニューからマウス42により選択する。
【0053】
CPU31は、機器IDとともに、特定の作業ステップを示す情報が入力されると、これらの情報に基づいて必要な画像のみを検索し、検索した画像から上述した静止画インデックス画像を生成し、モニタ装置40に表示させる。
【0054】
オペレータは、モニタ装置40に表示された静止画インデックス画像を視認することにより、所望の作業ステップにおける内視鏡の履歴をトレースすることができ、内視鏡の経過時間、間違った場所(保管庫)に内視鏡が掛けられていないか、内視鏡がどこかに接触していないか等を確認することができる。
【0055】
また、複数のオペレータにより内視鏡の作業を分担し、互いに作業を引き継ぐ場合があるが、この場合に、他のオペレータの作業内容を静止画インデックス画像により直感的に確認することができる。
【0056】
<第2実施形態>
図5は監視カメラの他の実施の形態を示す図であり、オペレータの視野範囲を撮影する頭部装着型カメラ等に関して示している。
【0057】
図5に示す監視カメラは、カメラ付きヘッドマウントディスプレイ(カメラ付きHMD)80と、携帯端末90とから構成されている。また、カメラ付きHMD80又は携帯端末90とは、無線又は有線によって通信できるようになっている。
【0058】
カメラ付きHMD80は、頭部装着型のカメラ部81と、HMD表示部82とを有し、オペレータは、内視鏡10を取り扱うときには常にカメラ付きHMD80を装着し、カメラ付きHMD80を動作させる。
【0059】
カメラ部81は、図5に示すようにオペレータの視野範囲(オペレータが前方を向いているときの視野範囲)を撮影する。このカメラ部81によって撮影された画像(動画、又はコマ送り画像)は、携帯端末90に伝送される。このとき、カメラ付きHMD80にGPS装置及びRFIDタグ・リーダが設けられている場合には、撮影画像とともに、内視鏡10の機器ID、及びGPS情報(緯度、経度)を携帯端末に伝送する。尚、GPS装置及びRFIDタグ・リーダは、携帯端末に設けるようにしてもよく、また、GPS装置はカメラ付きHMD側に設け、RFIDタグ・リーダは携帯端末側に設けるようにしてもよい。
【0060】
携帯端末90は、機器IDが付属する画像のみを、機器ID及びGPS情報とともに管理サーバ30に無線通信により伝送する。
【0061】
HMD表示部82は、例えばハーフミラーを介して実際に目の前にあるものを透過して見ることができるとともに、液晶モニタ等の表示画面を見ることができる公知のものである。このHMD表示部82には、携帯端末90の画面を表示させたり、管理サーバ30のモニタ装置40に表示させる画面を表示させたりすることができる。
【0062】
尚、カメラ付きHMD80を監視カメラとして機能させる場合には、HMD表示部82は必ずしも設けなくてもよい。また、RFIDタグ・リーダは、例えば、オペレータが内視鏡10を持ったときの距離範囲内でRFIDタグ11と通信できるものが好ましく、これによれば、オペレータが内視鏡10を持っているとき、または内視鏡10に接近しているときの画像のみを、管理サーバ30に伝送することができる。
【0063】
携帯端末90から伝送された画像及び付属情報は、図3に示したように管理サーバ30で保存管理される。ここで、撮影場所の情報としては、GPS情報が利用される。
【0064】
なお、撮影位置情報の取得手段として、その他にも、室内の特定位置(複数ヶ所)に設置されたRFIDタグを無線方式で読取る手法や、室内の複数ヶ所から発信される電波の強度を利用する手法等、各種の公知の手法が適用可能である。
【0065】
<他の実施形態>
上記実施形態では、医療機器を特定する機器IDを、対象機器(内視鏡)に埋め込まれたRFIDタグから読み取るようにしたが、これに限らず、撮影画像と、撮影画像中の医療機器の標準画像とから医療機器そのものを画像認識するようにしてもよい。内視鏡の場合には、通常、黒一色であるため、画像認識しやすい。また、対象機器に付加したタグの色(機器の種類によってタグが色分けされている場合)や、バーコードを読み取ることにより機器を認識するようにしてもよい。
【0066】
また、この実施形態の表示画像は、静止画インデックス画像としたが、分割画面に複数の動画を所定時間分、並列表示する動画インデックス画像としたり、所定時間分ずつ継続表示させるようにしてもよい。また、動画表示の場合には、早送り表示したり、変化のない画像(例えば、洗浄装置での洗浄中の画像や、保管庫で保管中の画像)は、スキップして表示するようにしてもよい。
【0067】
更に、機器ID,撮影日時と、内視鏡のスケジュール等から特定の内視鏡が使用された患者(患者ID)を割り出し、その患者IDからどのような病歴の患者に内視鏡が使用されたかを求め、内視鏡の履歴画像とともに、その内視鏡が使用された患者の病歴等を表示するようにしてもよい。これによれば、内視鏡がどのような病歴や処置に使用されたか等を確認することができ、内視鏡の洗浄、滅菌等が十分であったかどうかの確認もできる。
【0068】
また、図3(a)において、撮影場所と撮影画像を関連付けてデータベース化しているが、その他に、図3(b)に示すように操作対象機器(内視鏡プロセッサ、洗浄装置、保管庫等)毎に撮影画像を関連付けることも可能である。
【0069】
ここで、内視鏡プロセッサ、洗浄装置、保管庫等は、それぞれ複数台あってもよい。例えば、各操作対象機器において、RFIDタグ・リーダを設置し、また各操作対象機器自体に個別情報を割り当てておく。操作対象機器で内視鏡の機器IDを読み取った時、その内視鏡の機器IDとそれを扱った操作対象機器の機器IDをセットでデータベース化することができる。なお、各操作対象機器の設置場所は、設置時に管理サーバに登録しておけばよいので、撮影画像との関連付けは、上記実施例通り行われる。
【0070】
更に、本発明の撮影対象の医用機器は、内視鏡に限らず、メス、鉗子等の器具、その他、オペレータが取り扱う機器であれば、如何なるものにも適用できる。
【0071】
また、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は本発明に係る医療機器管理システムの実施の形態を示す概略図である。
【図2】図2は上記医療機器管理システムの実施の形態を示すブロック図である。
【図3】図3はハードディスク装置に逐次保存管理される画像のデータベース構造の一例を示す図である。
【図4】図4はモニタ装置に表示される静止画インデックス画像の一例を示す図である。
【図5】図5はオペレータの視野範囲を撮影する頭部装着型カメラを含む監視カメラの他の実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
10…内視鏡、11…RFIDタグ、20、20−1、20−2、20−n…監視カメラ、21…監視カメラ本体、22…RFIDタグ・リーダ、30…管理サーバ、31…中央処理装置(CPU)、32…主メモリ、33…グラフィックボード、35…ハードディスク装置、40…モニタ装置、41…キーボード、42…マウス、50…院内LAN、60…内視鏡プロセッサ、70…洗浄装置、80…カメラ付きヘッドマウントディスプレイ(カメラ付きHMD)、81…カメラ部、82…HMD表示部、90…携帯端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータとともに院内を移動する医療機器を撮影する監視カメラと、
前記医療機器を特定する機器固有の識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記監視カメラによって撮影された医療機器を含む画像と、該医療機器の識別情報とを関連づけて記録管理する画像管理手段と、
所望の医療機器の履歴を確認する際に前記所望の医療機器の識別情報を入力する情報入力手段と、
前記情報入力手段によって入力された識別情報に基づいて前記画像管理手段から前記識別情報に対応して管理されている画像を抽出する画像抽出手段と、
前記抽出された画像を表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする医療機器管理システム。
【請求項2】
前記監視カメラは、前記医療機器の作業位置ごとに配設され、又は前記医療機器の移動経路に沿って配設されることを特徴とする請求項1に記載の医療機器管理システム。
【請求項3】
前記監視カメラは、オペレータの視野範囲を撮影する頭部装着型カメラであることを特徴とする請求項1に記載の医療機器管理システム。
【請求項4】
前記識別情報取得手段は、前記監視カメラと対応付けて配置され、前記監視カメラの撮影範囲に前記医療機器が入ると、該医療機器の識別情報を非接触で取得することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の医療機器管理システム。
【請求項5】
前記識別情報取得手段は、各医療機器に設けられたRFIDタグから前記識別情報を読み取るRFIDタグ・リーダであることを特徴とする請求項4に記載の医療機器管理システム。
【請求項6】
前記識別情報取得手段は、前記監視カメラが撮影した画像に基づいて画像中の医療機器の固有の識別情報を画像認識により取得することを特徴とする請求項4に記載の医療機器管理システム。
【請求項7】
前記監視カメラは、前記識別情報取得手段による前記医療機器の識別情報の取得時に同期して記録用の画像を撮影し、又は前記識別情報の取得時から取得不能になる期間、記録用の動画又はコマ送り画像を撮影することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の医療機器管理システム。
【請求項8】
前記画像管理手段は、前記取得した画像を更に撮影場所に関連づけて、又は前記医療機器とともに操作される操作対象機器に関連づけて管理することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の医療機器管理システム。
【請求項9】
前記情報入力手段は、前記撮影場所又は前記操作対象機器に関連する情報を入力する機能を有し、
前記画像抽出手段は、前記情報入力手段によって入力された識別情報及び前記撮影場所又は前記操作対象機器に関連する情報に基づいて前記画像管理手段から前記識別情報及び前記撮影場所又は前記操作対象機器に対応して管理されている画像を抽出することを特徴とする請求項8に記載の医療機器管理システム。
【請求項10】
前記画像管理手段は、前記取得した画像を更に撮影日時に関連づけて管理することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の医療機器管理システム。
【請求項11】
前記画像抽出手段によって抽出された画像を編集し、編集した画像を前記表示手段に出力する編集手段を更に備え、
前記編集手段は、前記抽出された画像から複数の静止画からなる静止画インデックス画像、又は複数の動画からなる動画インデックス画像を作成することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の医療機器管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−291308(P2009−291308A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145917(P2008−145917)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】