説明

医療消耗品のための高密度バーコード

少なくとも一つの医療機能を実行するための医療装置(112)、特に携帯装置として構成される医療装置(112)が提案される。医療装置(112)は、医療機能を実行するように、少なくとも一つの医療消耗品(122)と交信するように設計される。医療装置(112)は、医療消耗品(122)の光学コード(138)から情報の少なくとも一つのアイテムを読み出すための少なくとも一つのコードリーダ(142)を有する。コードリーダ(142)は、少なくとも一つのイメージセンサ(156)を備える。コードリーダ(142)は、少なくとも一つの面光源(161)をさらに備える。そして面光源(161)は、光学コード(138)を透過する形で照射するように設計される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの医療機能を実行するように設計された医療装置に関する。医療装置は、さらに、その医療機能を実行するために少なくとも一つの医療消耗品と交信するように設計される。例として、かかる医療装置は、医学分析、医療診断又は内科治療の分野において用いられる。
【背景技術】
【0002】
医療消耗品の使用は、医薬及び医療技術の分野において絶対不可欠な役割を果たす。そのため、例えば医療装置は、医療診断、医学分析及び内科治療において頻繁に用いられ、これらの装置は、多くの場合、例えば診断、分析又は治療の機能、又はこれらの機能の組み合わせを有し、この機能を実行するために一つ以上の医療消耗品を必要とする。医療消耗品と医療装置はともに医療システムを形成する。ここで、医療消耗品は、必ずしも医療装置に物理的に結合される必要がない。
【0003】
かかる医療システム及び医療装置の例は、サンプル中の少なくとも一つの検体の定量的及び/又は定性的な検出、例えば体液中の一つ以上の代謝産物の検出のために用いられる医療分析装置を含む。適用例として、ここでは体液内、例えば血液、間質液、唾液又は尿内のグルコース量を決定するためのグルコース測定装置に参照がなされる。一般に、かかる分析装置又は他の分析装置は、検体の定量的及び/又は定性的な検出に用いることができる一つ以上のテスト素子を用いる。例としてこれらのテスト素子は、それらが検体と接触状態になると、化学的又は物理的方法により検出可能な特定の反応を実行する一つ以上のテストフィールドを備える。または、そのテストフィールドは特定の測定可能な変化を経験する。従って、分析装置は、光学的方法、電気化学的方法又はテスト素子を用いる他の方法で、定量的及び/又は定性的に検体の濃度(concentration)を決定するように設計することができる。例として、テスト素子は、テストチューブ、テストストリップ、テストテープ、上面及び/又は円周上に配置されたテストフィールドを持つテストホイール、複数のテストフィールドを持つ折り畳み式のテストペーパーとして、あるいは異なる形で存在し得る。ここで、テスト素子は、個別に、あるいは例えば一つ以上のマガジン内に多数存在し得る。後者の場合、マガジン自体が消耗品として構成され得る。
【0004】
消耗品を持つかかる医療システムの他の例はランセットシステムである。ここでは、例えば穿刺補助器具(a piercing aid)が医療装置として働く。一般に、この穿刺補助器具は、例えば血液又は間質液のサンプルを生成するために、ランセットの形をした一つ以上の消耗品によって患者の肌の一部に穴を開けるように設計される。
【0005】
医療システム、医療装置及び医療消耗品のさらなる例は、測定機器を持つ医薬システムである。一般に、かかる測定機器は、少なくとも一つの医療消耗品、あるいは多数のタイプの医療消耗品と交信する。そのため、例えばカートリッジ又は薬剤の他の貯蔵容器を使用することができ、それらは測定機器によって測定される。この場合、薬剤自体及び/又は対応する容器(例えばカートリッジ)を持つ薬剤は消耗品とみなすことができる。かかる測定機器の例は、医薬ポンプ、例えばインスリンポンプである。しかしながら一般に、これらの測定機器は、さらなるタイプの医療消耗品、特にカテーテル又は類似の医療消耗品も必要とする。
【0006】
医療装置及び少なくとも一つの消耗品を持つこのタイプの医療システムの、多数のさらなるタイプが公知である。またここで、消耗品は組み合わせて存在してもよく、そのため一種類の一つ以上の消耗品が、少なくともさらなる種類の一つ以上の消耗品と結合されてもよい。医療消耗品は、個別に、あるいは個別の素子のマガジンとして存在してもよい。
【0007】
実際に、かかる医療システムの課題は、医療装置が、その医療機能を実行するために消耗品と正しく交信できるように、可変の情報を必要とするという事実からなる。そのため、例えばテスト素子は、一群(batch)の間で異なるものとすることができ、そのため、一群に特有の情報が、サンプル中の少なくとも一つの検体の定量的及び/又は定性的な検出の正確な評価のために必要とされる。例として、この情報は、光学ルミネッセンス特性又は吸収特性、すなわちテスト素子のテストフィールドのルミネッセンス及び/又は色が検体の濃度とともにどのように変わるかに関する情報のアイテムとし、又はそのアイテムを含んでもよい。代替として又はそれに加えて、この情報は電気化学の評価の情報を包含してもよい。ここでは例えば、電流のプロファイル及び/又は電位が測定される。
【0008】
例として、ランセットシステム、例えば複数のランセットを持つランセットマガジンの形又は個別のランセットの形をした消耗品を持つランセットシステムの場合、穿刺補助器具は、正規のタイプの消耗品、例えば正規の製造業者からのランセット又は正規のタイプのランセットがその穿刺補助器具の中へ挿入されているかについての情報を要求できる。また一般に、このタイプの消耗品又は他のタイプの消耗品におけるかかる情報は、例えば正規又は認可された製造業者からの品と「偽造の」消耗品とを区別するように不正防止のために用いることができる。後者により、経済的な損害を回避することに加えて、偽造の医療製品からの健康関連の被害のリスクを大いに低減することができる。
【0009】
少なくとも一つの治療機能(例えば医薬機能も)を持つ医療システムの場合、医療装置は、一般に少なくとも一つの医療消耗品と正しく交信するための特定の情報を要求する。例として、少なくとも一つの測定機器、例えばインスリンポンプを持つ医療システムの場合、薬剤のカートリッジのタイプ及び/又は容量についての情報が要求されてもよい。薬剤を測定するために、例えばカテーテル及び/又はカニューレ等の消耗品の使用がなされる場合、カテーテルの正しい初期充填又はあふれさせること(「プライミング」)を確保するために、例えばかかる消耗品の充填体積、例えばカテーテルの充填体積が必要とされてもよい。
【0010】
これらはかかる医療システムにおいて交換することができる又は交換しなければならない情報のほんの数例である。この問題を解決するために先行技術には様々なオプションがある。
【0011】
例として、第1のオプションは医療システムの医療装置の中へコードナンバー又は類似するコードを入力することにより情報を理解することからなる。しかしながらここでは、利用者は、正しく実行されなければならない追加の操作行動を起こす必要を負わされる。これは、コードと利用される消耗品との間の間違った関連付けにつながる。さらに、利用されるコードは情報密度において最低であり、従って一般に、利用される消耗品の特性についての総合的な情報を含まない。
【0012】
さらに、新しい消耗品の各群、例えば新しいテスト素子の各群に情報キャリヤを取り付けるオプションがある。例として、これは従来のグルコース測定装置に実装されている。例として、これは例えば各パックに加えることができるいわゆるROMキーとすることができる。測定の評価のために正しい情報が用いられるように、利用者は新しい一群を用いる前に、分析装置へROMキーを入力することが要求される。この技術の有利な点は、情報密度を比較的高くできるという事実からなる。しかしながら、追加のデータキャリヤとしてROMキーを使用しなければならないので、一般にこの方法にはあまり費用効果がない。またさらにこの場合も、この方法は、利用者による追加の操作行動を要求し、利用される消耗品との一意的な関連付けを確保することができない。特に高齢の患者又は子供の場合、例えばテストストリップの新しい一群が使用されるときにROMキーが交換されないというリスクがある。これにより誤った測定結果が出力されることになるので、これにより誤った測定結果に基づいて間違った医薬に関する結果がもたらされる。
【0013】
そのため、先行技術は、かかる情報キャリヤが消耗品上に直接提供される様々な医療システムも開示する。すなわち情報キャリヤは、分離した情報キャリヤとして提供されず、むしろ消耗品に固定して結合される。医療分野のコスト圧力が絶えず増大しているため、これらの情報キャリヤはコスト効率の良いように設計しなければならず、さらに非常に小さいデザインにしなければならないので、多くの場合、例えば無線周波数のラベルなどの公知の電子情報キャリヤは、少なくともかかる電子情報キャリヤの製造費用がまだ消耗品の全コストの大部分を形成する限りは、使用することができない。
【0014】
そのため、二次元又は三次元の光学コードが医療消耗品に適用される医療システムが公知であり、その光学コードは対応する医療装置の光学コードリーダにより読み取ることができる。例として、かかるシステムは、米国特許第6,588,670B2号に記載される。また、光学コードとして適当なバーコードを備えるテストストリップが、米国特許第4,476,149号及び米国特許第6,168,957号に記載される。以下の文章における例示の方法において、かかる光学コードに参照がなされる。
【0015】
そのため例えば、米国特許第4,476,149号には、長手方向に読み出される低密度バーコードを用いた消耗品に係る特徴が記載される。バーコードが消耗品上に直接に付けられ、分析又は挿入方法が有効になる瞬間に読み出されると、これにより消耗品との確実な関連付けが確保される。消耗品自体は、光学コードとともにデータキャリヤを構成する。しかしながら、長手方向にバーコードを読み取ることは実際には問題がある。近年の一次元バーコードに固有の特性にかかわらず、テストストリップの形をした消耗品がバーコードリーダを介して導かれる手動の引き出し(pulling-through)方法はあまり確実ではないので、一般に消耗品は電動の方法で読み出されなければならない。またこのために、消耗品の形は、消耗品が医療装置の中に引き込まれるように何らかの形で限定されなければならない。さらに、バーコードは、低から中の情報密度のみを認める。米国特許第6,588,670B2号には、医療装置の中に統合されたスキャナを用いる、低密度の一次元バーコードによる消耗品に係る特徴が開示される。この場合、バーコードは消耗品上にある。そのバーコードは関連付けの問題を低減するが、ここでは利用者に追加の操作行動により消耗品をスキャンすることを要求する。
【0016】
米国特許第6,168,957号には、スペクトルが定められた色情報を用いた特徴が開示される。ここでは、消耗品に適用される色情報が参照用に用いられ、それにより情報キャリヤとして用いられる。しかしながら、技術的な限界及び関連する原理の結果として、一般にかかる色情報の情報容量は比較的低い。
【発明の概要】
【0017】
従って本発明の目的は、公知の医療システム及び医療装置のデメリットを少なくとも大いに回避する医療装置及び医療装置を提供することである。特に、高いデータ密度及び高いデータ完全性、またデータ情報の一意的な関連付けが確保されるべきであり、一方それと同時に、利用者による追加の操作行動を回避し、費用効率の良い実装を有し、高い信頼性を有するべきである。
【0018】
本発明の目的は、独立請求項の特徴を備える医療装置及び医療システムにより達成される。個別に又は組み合わせて実施することができる、本発明の有利な進歩が、従属請求項に記載される。
【0019】
本発明の第1の側面において、少なくとも一つの医療機能を実行するための医療装置が提案される。かかる医療装置について、上記した先行技術の非常に一般的な用語に参照がなされる。上記したように原理上、この医療機能は、医薬又は医療技術の分野において通常要求される任意の機能、特に診断及び/又は分析機能並びに/又は治療機能とすることができる。ここで原理上、診断機能とは、患者の少なくとも一つの医学的状態を定めることを目的とする任意の機能であると理解される。ここで、分析機能とは、例えばサンプルの一つ以上のパラメータを測定することを目的とするほとんど全ての測定機能を意味すると理解される。液体、固体又は気体のサンプルにおける少なくとも一つの検体の定性的及び/又は定量的な検出がここに例として言及される。治療機能とは、対象とされる方法で患者の体の状態に影響を与えることを目的とする機能を意味すると理解される。一般に、この影響は、体の状態を改善すること、すなわち例えば回復を目的とするであろう。しかしながら、他のタイプの影響を与えること、例えば美容の理由による影響を与えることも可能である。医薬、例えば注射による薬剤の投与は、治療機能の例として言及される。しかしながら原理上、他のタイプの治療機能、例えば指圧療法及び鍼療法も可能である。本発明の範囲内で実施することができる医療装置のさらなる例において、先行技術の上記の記述に参照がなされる。また原理上、医療装置は、複数の医療機能、例えば診断機能及び/又は治療機能の組み合わせを実行することができる。この少なくとも一つの医療機能を実行するために、医療装置は、それに対応して一つ以上の機械的機器及び/又は一つ以上の電子的機器並びに/又はプログラム技術の方法により選択的に設計される一つ以上のコンピュータ機器により構成されてもよい。
【0020】
医療装置は、少なくとも一つの医療機能を実行するために少なくとも一つの医療消耗品と交信するように設計される。ここで、交信とは、その少なくとも一つの医療機能を実現するために機能的な交信を意味すると理解されるべきである。例として、これは分析、治療又は診断のための交信とすることができる。その交信のタイプの組み合わせも可能である。このために、医療装置と消耗品の間の物理的な結合の存在は必須ではない。しかしながら、かかる物理的な結合は、例えば機械的結合及び/又は電気的結合の形で、同様に良好に提供することができる。そのため、医療装置は、例えば医療消耗品の位置決めをする位置決め機器を備える。これは、以下により詳細に説明されるであろう。一般に、医療装置は、少なくとも一つの医療消耗品を、それぞれ、取り入れ、又は保持し、又は位置決めをする、保持機器及び/又は容器及び/又は位置決め機器を備えることができる。
【0021】
医療消耗品は、医療装置の医療機能を有効にし、又は少なくともサポートするように設計されるべきである。医療消耗品は、例えば分析及び/又は診断及び/又は治療機能を確保するために、医療装置と相補的な形で交信するように設計することができる。ここで一般に、用語「消耗品」は、好ましくは大量生産することができる品を意味すると理解されるべきである。医療装置は一般に多様な使用に適するのに対し、この消耗品は要求通りに交換可能とすべきである。そのため例えば、消耗品は、単一の使用のためもしくは複数の使用のため又は単に限定数の使用のために提供することができる。
【0022】
医療消耗品は、様々な方法で設計することができる。先行技術から公知であり、また本発明の範囲内で使用すること、又は本発明に従って変更することができる、上記したタイプの消耗品に、原理的に参照がなされる。そのため例えば、医療装置は、サンプル、例えば液体のサンプル、特に体液中に少なくとも一つの検体を検出するための分析装置を備えてもよい。特に体液中の代謝体、例えばグルコース、コレステロール及び/又は類似する代謝体が検体として考えられる。例として、凝固物の検出も可能である。分析装置は、少なくとも一つのテスト素子の形で医療消耗品と交信するように設計してもよい。上記で説明したように、このテスト素子は、例えばテストチューブ、テストストリップ、テストテープ、上面及び/又は円周上に配置された多数のテストフィールドを持つテストホイールとして、複数のテストフィールドを持つ折り畳み式のテストペーパーとして、あるいは異なる形で構成することができる。これに関して、上述した記載に参照がなされる。ここで、医療消耗品として、個別のテスト素子、例えば個別のテストストリップが理解される。あるいは上記で説明したように、これは、例えば適切なマガジン及び/又は筐体内に保持することができる複数のテスト素子を意味してもよい。後者の場合、それに対応してマガジン及び/又は筐体、好ましくは交換可能な筐体部分も消耗品と考えることができ、以下により詳細に説明するように、そこに光学コードを提供することもできる。
【0023】
代替として又はそれに加えて、医療消耗品は、患者の皮膚片に穴を開けるための一つ以上のランセット及び/又はいわゆるマイクロサンプラーも含んでもよい。それらは、穴を開けることと、毛細血管によってサンプルを採取することの組み合わせを提供する。また、かかるランセット又はマイクロサンプラーは、格納された形で又は多数の形で存在することができる。ランセット全体、あるいは個別のランセット、及び/又はランセットマガジンは、同様に消耗品と考えることができる。
【0024】
他の代替として又はそれに加えて、医療装置は、少なくとも一つの薬剤を測定するための測定機器及び/又は他の治療機器を備えてもよい。特に、医療装置は、医薬ポンプ、例えばインスリンポンプを備えてもよい。これに関してもまた、上述した記載に参照がなされる。この場合、消耗品は、例えば測定機器が交信するカテーテル及び/又はカニューレ(これらの二つの用語は、以下の記述において本質的に同意語として用いられる)を含んでもよい。従って、医療システムは、例えばいわゆる「注入セット」として構成されてもよい。カテーテルは通常空気で満たされるように供給されるので、空気の少なくとも大部分がカテーテルから追い出されるように、体に及び/又は体内へ適用される前に、例えばインスリン等、医療用の液体の注入で洗い流さなければならない。それぞれのカテーテルに特有の充填体積は、光学コード内に含むことができる情報のアイテムとすることができる。その光学コードは以下により詳細に説明される。例として、光学コードは、カテーテル自体又はカテーテルの容器に付けることができる。これにより、自動プライミング、すなわち自動的なプライミング手順を少なくともかなり単純に行うことができる。
【0025】
上記で説明したように、医療装置は、少なくとも一つの医療機能を実行するように設計される。特に、医療装置は、携帯装置、すなわち利用者が輸送装置の補助なく手で持つことができる装置として構成されてもよい。この場合、以下により詳細に説明される医療装置のコンパクトな実施形態が、特に有利な形で注目される。また、携帯装置は、少なくとも一つのエネルギー貯蔵部、特にバッテリ又は再充電可能なバッテリを備えてもよい。携帯装置は、特に利用者によってその携帯装置を操作するための一つ以上の操作部及び/又は一つ以上の表示部を備えてもよい。さらに、携帯装置は、他の装置と通信するための一つ以上のインタフェース、例えばコンピュータ又はコンピュータシステムと通信するための一つ以上のインタフェースを備えてもよい。
【0026】
医療装置は、医療消耗品の光学コードから情報の少なくとも一つのアイテムを読み出すための少なくとも一つのコードリーダを有する。コードリーダは、複数のセンサを持つイメージセンサを備える。ここで、光学コードとは、電磁スペクトルの可視及び/又は赤外線及び/又は紫外線のスペクトル領域の光を用いて読み出される情報のキャリヤ、特に二次元及び/又は三次元のバーコードを意味すると理解されるべきである。代替として又はそれに加えて、多数の他のタイプの光学コード、例えば一次元バーコード、グレースケールコードもしくは類似するタイプの光学コード又は以上の組み合わせ及び/又は他のタイプの光学コードが実装されてもよい。例として、光学コードは、医療消耗品の表面に付けること、及び/又は他の方法で医療消耗品の支持材と結合することができ、例えばこの支持材の中へ導入することができる。従ってそれに対応して、表面とは、光学コードが少なくとも部分的に光学的に透過な少なくとも一つのコーティングにより覆われ、従ってそのコードを全体的に又は部分的に読み出すことがさらに可能であるということを意味するとも理解することができる。いずれの場合も、光学コードが適切な波長の電磁放射によって外部から読み出されることを可能とすべきである。
【0027】
医療装置のコードリーダは、少なくとも一つの光マルチチャネル評価ユニットを備える。それは以下において簡潔に「イメージセンサ」と称される。イメージセンサは複数のセンサを備えるのが好ましい。これらのセンサは光信号を記録するのに適すべきである。これらのセンサは、例えば一次元又は二次元のセンサアレイで、例えば一次元又は二次元の構造を有することができる。
【0028】
本発明の第1の側面において、医療装置は、面の実施形態を有する少なくとも一つの光源をさらに備える。この面光源は、光学コードを透過する形で照射するように設計される。ここで、透過性の照明とは、光源から放射され光学コードに伝達される励起光が少なくとも部分的に支持材を通過する照明を意味すると理解されるべきである。そしてその支持材上に光学コードが付けられ、かつ/又はその支持材の中へ光学コードが導入される。そのため、特に透過性の照明は背景照明を備えてもよい。例として、光源は、光学コードの、イメージセンサに対して反対側に配置されてもよい。例として、光学コードが消耗品の支持材と結合される場合、例えば光学コードがこの支持材に取り付けられ、かつ/又はこの支持材の中へ導入されている場合、面光源によりもたらされる照明は、面光源により放射される光が支持材を通過するようにすべきである。支持材は、例えば細片の形又は消耗品の壁面の形で、略平面のデザインを有するのが好ましい。この場合、面光源によって照射される光が支持材の平面を垂直に通過すれば、特に好ましい。また、その光は、光学コード及び/又は支持材との交信について取り得るタイプを制限せず、以下で励起光と称される。その平面は光学コードの平面としてもよい。そのため、励起光が支持材及び/又は光学コードを略垂直に通過するように、例えば面光源とイメージセンサは、支持材の相互に対向する側に配置してもよい。しかしながら原理的に、他の実施形態、例えば励起光が斜め又は水平方向から支持材の中へ結合され、その後この支持材を少なくとも部分的に突き抜け、特定の経路を越えてこの支持材内部を伝播し、かつ/又は一回以上反射され、その後最終的に光学コードを照射、例えばイメージセンサの視点において光学コードを背後から照射する実施形態も可能である。特に後者の場合、原理的に、光源とイメージセンサは支持材の同じ側に配置してもよい。取り得る配置に係る例示的実施形態が以下により詳細に説明される。
【0029】
ここで、点光源に反して面光源は、一般論として肉眼で見える平面範囲、好ましくは少なくとも1mm2の範囲、特に少なくとも5mm2の範囲を持つ光源を意味すると理解すべきである。この光源の平面範囲は、面光源と平行な平面における光学コードの水平方向の範囲の少なくとも50%であるのが好ましい。面光源は、少なくとも面光源の領域と平行な平面における光学コードの水平方向の範囲の領域に相当する発光領域を有するのが特に好ましい。ここで、面光源は、複数の個別の面光源から構成されてもよい。
【0030】
特に、面光源は、発光フィルムを備えてもよい。代替として又はそれに加えて、面光源は少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス光源を有してもよい。また、エレクトロルミネッセンス光源はエレクトロルミネッセンス発光フィルムとして構成されてもよい。ここで、エレクトロルミネッセンス光源とは、電気的方法によりルミネッセンスを示すように励起される少なくとも一つの材料を備える光源を意味すると理解されるべきである。例として、電荷キャリヤがエレクトロルミネッセンス材料の中へ注入され、又は二つ以上の電極からエレクトロルミネッセンス材料に提供されるという事実によって、この励起はもたらされる。エレクトロルミネッセンス材料が光を放射するように励起されるように、その電荷キャリヤは、エレクトロルミネッセンス材料の内部及び/又はエレクトロルミネッセンス材料と結合される他の材料の内部で再結合する。かかるエレクトロルミネッセンス材料は、無機及び/又は有機とすることができる。そのため、先行技術は多数の無機エレクトロルミネッセンス材料を開示している。有機エレクトロルミネッセンス材料は、例えば有機発光ダイオード(OLED)の技術から公知である。面光源はエレクトロルミネッセンスフィルムを備えるのが特に好ましい。ここで、エレクトロルミネッセンスフィルムとは面エレクトロルミネッセンス素子を意味すると理解されるべきである。その面エレクトロルミネッセンス素子は、柔軟な支持物、好ましくはフィルムに適用される。かかるエレクトロルミネッセンスフィルムは、有機及び/又は無機のエミッター材料に基づいており、様々なサイズのものが市販されている。複数のエレクトロルミネッセンスフィルムを組み合わせて使用することもできる。
【0031】
上記したように、面光源は、少なくとも光学コードの領域をカバーする発光領域を提供するのが特に好ましい。しかしながら代替として、例えば冗長な光学コードの場合、光学コードの一部のみがカバーされてもよい。これは以下でさらに詳細に説明される。さらに、面光源は、イメージセンサの領域の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも100%であるのが好ましい。特にこの場合、面光源は、イメージセンサに対して、面光源の発光領域がイメージセンサの感知領域と平行に配置され、かつ好ましくはイメージセンサの感知領域をカバーするように配置されてもよい。そのため、光学コードを持つ医療消耗品は、イメージセンサ又はイメージセンサの感知領域と面光源との間に任意の他の方法で挿入され、導入され、又は位置付けられてもよく、手動導入及び自動導入の両方が可能である。
【0032】
特に、医療装置は、光学コードからの情報を読み出す時に、イメージセンサが光学コード上に直接位置し、又は光学コードの直接の近傍に配置されるように、医療消耗品と交信するように設計される。ここで、「直接の近傍」とは、イメージセンサ又はイメージセンサのアクティブな領域が、光学コードから光学コード自体の水平方向の範囲又はイメージセンサの水平方向の範囲より遠くに離れていない配置を意味すると理解されるべきである。特に、イメージセンサ又はイメージセンサの感知領域と光学コードとの間の距離は、イメージセンサのセンサの水平方向の範囲の5倍以下、好ましくはこの2倍以下、特に好ましくはセンサの水平方向の範囲以下であるように配置がなされるのが好ましい。イメージセンサの感知領域は、光学コード上に、又は光学コードがその上に付けられ、もしくはその中へ導入される支持材上に、直接位置するのが特に好ましい。
【0033】
特に、イメージセンサは、ビームの経路を偏向させることなく、かつそこに一つ以上の光学素子を配置させることなく、光学コードを取得することができる。しかしながら同様に、かかる光学素子の供給がなされてもよい。原理的に、かかる光学素子の例は、結像特性及び/又は像のビーム偏向をもたらすことができる任意の光学素子である。実施例は、レンズ、プリズム、光ファイバボード又は同様のものを含む。例として、一つ以上の軽量の光ファイバボードが、イメージセンサと消耗品又は光学コードとの間に提供されてもよい。ここで、軽量の光ファイバボードとは、複数の光ファイバを備える素子を意味すると理解されるべきである。その複数の光ファイバの全ては平行に又は略平行に並べられるのが好ましい。しかしながらこの場合、「略平行」とは、平行であることから逸脱する配置、例えば20°以下、好ましくは5°以下を意味すると理解することができる。この場合、本発明の範囲内で「光ファイバ」とは、特に全反射の結果として、可視及び/又は赤外線及び/又は紫外線のスペクトル領域の光に対して透過的であり、かつ光導波管として働く素子を意味すると理解されるべきである。例として、軽量の光ファイバボードは、例えばその光ファイバを合わせて融合させ、鋳造させ又は接着させて、かかる光ファイバを一束として備えてもよい。その軽量の光ファイバによって最大限取り得る範囲まで設置スペースが利用されるように、これらの光ファイバが少なくとも一つの寸法において最高密度のパッケージとして配置されるように、これらの光ファイバが軽量の光ファイバボード内部に配置されるのが好ましい。軽量の光ファイバボードの取り得る実施形態に関して、原理的に先行技術に参照がなされる。
【0034】
特に上記で説明したように、面光源は、少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス光源を備えてもよい。特に、面光源は、外面から理解されるように、好ましくは単色光を放射する発光領域を提供することができる。特に、かかる発光領域、好ましくは単色発光領域を生成するために、光源は、一つ以上の発光体に加えて、その発光領域を提供するように交信できるさらなる素子を備えてもよい。そのため例として、面光源は少なくとも一つの光導波管も備えてもよい。例として、光導波管は、例えば初めは点発光体又は非面発光体から励起光が供給されるようにすることができる。その励起光は、光導波管を通過した後に発光領域を照射する。ここで一般に、光導波管とは、全反射の原理に基づいて光を導くことができる素子を意味すると理解されるべきである。また、光導波管は、発光領域を照射、例えば単色で照射するために、例えば点放射体又は線放射体からの光を拡張してもよい。ここで、単色照射とは、その領域にわたる光強度が、好ましくは50%より大きく変化しない、特に20%より大きく変化しない、特に好ましくは10%より大きく変化しない照射を意味すると理解されるべきである。
【0035】
上記で説明したように、医療装置は、特に少なくとも一つの位置決め機器を備えてもよい。この位置決め機器は、例えば光学コードが最適に読み取られるように、消耗品と医療装置を互いに対して位置決めをするように設計してもよい。例として、消耗品は医療装置の容器の中へ完全に又は部分的に挿入可能とし、位置決め機器を容器に結合させ、又は容器の中へ挿入させてもよい。例として、位置決め機器は、読み出し位置において光学コードに対するイメージセンサの最適な位置決めが確保されるように、例えば最適な距離及び/又は最適な配置が確保されるように、医療装置と消耗品を互いに対して位置決めをするように設計してもよい。代替として又はそれに加えて、位置決め機器は、特に間違った位置決めを避けるために、消耗品もしくは光学コードと、イメージセンサ及び/又はコードリーダの他の素子との間で常に距離が変化しないことを確保するように設計してもよい。
【0036】
コードリーダは、さらに時間分解測定を実行するように設計してもよい。そのため例えば、光学コード及び/又は光学コードと結合される支持材は、ルミネッセンス特性、特に蛍光特性を有してもよい。例えば光学コードの取得精度を向上させるために、励起光及び/又はルミネッセンス光のスペクトル成分が時間分解の形で取得されてもよい。例としてここでは、異なる減衰期間のルミネッセンスが使用されてもよい。
【0037】
面光源の使用がなされる上記の本発明の第1の側面では、イメージセンサは、ビームの経路を偏向させることなく、かつそこに光学素子を配置させることなく、光学コードを取得することができる。しかしながら上記で説明したように同様に、かかる光学素子の供給がなされてもよい。そのため、第2の側面では、少なくとも一つの医療機能を実行するために医療装置が提案される。その医療装置は、例えば一つ以上の上記の変形における上記の医療装置のように構成することができる。この場合も、医療装置は少なくとも一つの医療機能を実行するように設計され、その医療機能を実行するために少なくとも一つの医療消耗品と交信するように設計される。この場合も、医療装置は、医療消耗品の光学コードから情報の少なくとも一つのアイテムを読み出すための少なくとも一つのコードリーダを有する。そのコードリーダは、複数のセンサを持つ少なくとも一つのイメージセンサを備える。
【0038】
さらにこの場合も、コードリーダは少なくとも一つの光源を備える。前述の本発明の第1の側面とは異なり、本発明のこの第2の側面において、光源は面のデザインを有してもよい。しかしながら、その光源は異なるデザインを有してもよい。光源は、光学コードを透過する形で照射するように設計される。透過照明の取り得る実施形態に関して、上記の第1の側面の記載に参照がなされる。この場合も、光源、特に面光源は、光学コードの、イメージセンサに対して反対側に配置されるのが好ましい。しかしながら代替として又はそれに加えて、光源の他の配置も可能である。その配置において、この光源は光学コードを透過する形で照射する。例として、光源は、医療消耗品の、イメージセンサと同じ側に配置されてもよい。例としてこの場合、側部の照明があってもよい。光学コードと結合される、消耗品及び/又は消耗品の支持材は、好ましくは完全に又は部分的に光に対して透過的であり、かつ/又は光伝導特性をさらに有する。例として、消耗品の支持材は拡散光伝導特性を有してもよく、それにより水平方向に結合される光源からの照明は光学コードに達し、光学コードを背後から照射し、かつ/又は光学コードを後ろ側から励起し、かつ/又はそれを送る。用語「透過照明」は、光学コードの後ろ側の照明に係る全てのオプションを包含すべきである。
【0039】
ここで、医療装置のこの第2の側面において、少なくとも一つの偏向素子が、光学コードとイメージセンサの間に配置される。その偏向素子は、ビームの経路を少なくとも一回偏向させるように設計される。ここで原理的に、任意の偏向素子、特にミラー及び/又はプリズムの使用がなされてもよい。医療装置のスペースを節約する実施形態を可能にするために、偏向素子は、光学コードを取得するためのビームの経路を折り返すように使用されてもよい。
【0040】
さらなるポイントに関して原理的に、本発明のこの第2の側面のような医療装置は、前述の第1の側面の記載のように構成することができる。そのため特にこの場合も、医療装置は、光源が面光源、特に発光フィルム及び/又はエレクトロルミネッセンス光源、好ましくはエレクトロルミネッセンスフィルムを備えるように構成されてもよい。面光源は、さらなる素子、特に少なくとも一つの光導波管を備えてもよい。さらに、医療装置は、少なくとも一つの位置決め機器を備えてもよい。この場合も、前述の記載に参照がなされる。さらに、コードリーダは、時間分解測定を実行するように設計してもよい。さらなる取り得る実施形態に関して、本発明の第1の側面にかかる上記の記載に参照がなされる。
【0041】
上記した一つ以上の実施形態のような医療装置に加えて、医療システムがさらに提案される。その医療システムは、本発明の第1の側面に従った、かつ/又は本発明の第2の側面に従った、上記した一つ以上の実施形態のような少なくとも一つの医療装置を備える。さらに、その医療システムは、少なくとも一つの光学コードを持つ医療消耗品を備える。この医療消耗品の取り得る実施形態に関して、前述の記載に参照がなされる。
【0042】
特に、光学コードは、医療消耗品の少なくとも一つの支持材と結合されてもよい。例として、この結合は、光学コードが支持材に付けられる、例えば支持材上にプリントされるという事実、及び/又は支持材の中へ、例えば積層化されたデザインの支持材もしくは他の形の支持材の中へ導入されるという事実によってもたらされる。
【0043】
ここで本発明の範囲内において、支持材が光伝導特性、特に拡散光伝導特性を有するのが一般に特に好ましい。一般に、支持材は、医療装置の光源からの、特に医療装置の面光源からの励起光に対して少なくとも部分的に透過的であるべきである。またここで、支持材及び/又は光学コードは、少なくとも一つの光コンバータを備えてもよい。例として、かかる光コンバータは、例えば多光子の処理の範囲内において、励起光に係るより長い波長の光子からより短い波長を持つ光子を生成することができる。一般に、光コンバータとは、第1の波長を持つ光を第2の波長、例えばより短い波長又はより長い波長を持つ光に変換することができる材料及び/又は素子を意味すると理解されるべきである。言い換えると、光コンバータは、例えばアップコンバータ又はダウンコンバータ、すなわち光をより高いエネルギーの光又はより低いエネルギーの光に変換することができるコンバータを備えることができる。例として、この光コンバータは、染料、顔料、蛍光物質の形で又は類似する形で利用できる。例として、光コンバータは、適切な励起光、例えば光源により放射される励起光により励起されてもよい。その光コンバータは、コード内に含まれる情報を読み出すために、コードリーダ及び/又はイメージセンサにより取得することができる。一般に、情報の少なくとも一つのアイテムは、例えば光源からの励起光が光学コードによって吸収されるという事実によって読み出される。ここでは例えば、空間分解された吸収が得られる。代替として又はそれに加えて、光学コードの励起及び/又は光学コードの周囲の励起、例えば支持材の励起もあってよい。例として上記で説明したように、光学コードは、それ自体がルミネッセンス特性を有するように設計してもよい。そのルミネッセンスは励起光によって励起される。例として、このルミネッセンスは蛍光及び/又はリン光を含んでもよい。
【0044】
また、さらなる好ましい実施形態では、光学コードは冗長なデザインを有してもよい。ここで、冗長なデザインとは、例えば光学コード、例えばバーコードが同一の符号を持つ多数の領域を含むという事実によって、情報の少なくとも一つのアイテムがそのコード内に同一又は類似の形で複数回含まれるデザインを意味すると理解されるべきである。この場合、コードリーダ、例えばイメージセンサは、単にこれらの領域のうちの一つを取得すれば十分である。一般に、コードリーダは、異なる領域を連続して、又は好ましくは同時に取得するような形で光学コードを取得することができる。
【0045】
上記で提案された一つ以上の実施形態における医療装置及び医療システムは、公知の医療装置及び医療システムを上回る多数の利点を有する。そのため特に、光学コードを高いデータ密度で実装し、高いデータ完全性で取得することができる。データ情報は、利用される消耗品と一意的に関連付けることができる。そのため、間違った医薬をその後にもたらすおそれがある、誤った測定結果を提供するリスクを回避することが可能である。
【0046】
さらに、利用者による追加の操作処理は必要ない。原理的に、読み出し処理のために必要な駆動技術を省略することも可能である。しかしながらこれは、快適さを向上させるためのオプションとして追加的に提供されてもよい。概してこれにより、読み出し処理の高信頼性を得ることが可能となる。同時に原理的に、例えば無線周波数のラベル等の電子情報キャリヤの使用を省略することが可能である。しかしながら原理的に、かかる電子情報キャリヤが追加的に提供されてもよい。一般にこれにより、医療消耗品の費用効率の高い生産を確保することができる。
【0047】
医療装置及び医療システムに係る前述の有利な実施形態により、前述の利点をさらに強調し、発展させることができる。
【0048】
前述の高いデータ密度及び高いデータ完全性に関して、特に一次元又は二次元バーコード、例えばいわゆるデータマトリックスコードの利用がなされてもよい。これらは、高いデータ密度と、例えば冗長コード及び/又はエラー訂正コードの任意的な使用の結果として、高いデータ完全性との両方を有する。さらに高いデータ密度を達成するために、光学コード、例えばバーコードは、三次元のデザインを有してもよく、かつ/又は異なるスペクトル領域で消耗品の表面に付けられてもよく、かつ/又は任意の他の方法で消耗品、例えば消耗品の支持材の中へ導入されてもよい。マルチスペクトルの照明装置及びフィルタの使用により、光学コード、例えば様々なバーコード層のスペクトルに係る様々なスペクトル表現からの順次的な読み出しが可能となる。そのため、例えば上記した光源、特に面光源は、異なるスペクトル領域に光を放射するように設計してもよい。このために、光源は、例えば異なるスペクトル特性を持つ複数の個別の光源を備えてもよい。この場合原理的に、例えば異なるセンサを用いる様々なスペクトル表現が、順次的にあるいは同時に記録されてもよい。光学コード、例えばバーコードは、可視及び/又は赤外線及び/又は紫外線のスペクトル領域の光によって読み出すことができる。
【0049】
提案される発明の重要な利点として記載されるべきである上記した一意的な関連付けに関して、この一意的な関連付けは、特に光学コードが消耗品、例えば消耗品の支持材と結合されるという事実から明らかになることに注意すべきである。従って、消耗品自体は分離できず、一意的に特徴付けられる。そのため、消耗品自体がデータキャリヤを構成し、又は少なくともこのデータキャリヤを含む。
【0050】
消耗品の識別及び/又は光学コードもしくはこの光学コードに含まれる情報からの読み出しを可能とするために、利用者によるさらなる追加の操作行動の必要がないという利点に関して、特に医療装置の中へのコードリーダの統合に参照がなされるべきである。消耗品が医療装置の中へ挿入されたとき、又は消耗品が医療装置に取り付けられたとき、例えば医療装置上に付着されたとき、コードリーダ自体は、光学コード、例えばバーコードを読み取ることができる。ここで原理的に、医療装置と医療消耗品の間の交信のタイプ及びスピードは、光学コードからの正確な読み取りとは関係がない。例として、医療消耗品が医療装置の中へ挿入され、かつ/又は医療装置に結合されるスピードは、大した役割を果たさない。特にこれは、上記で説明したように、光学コードが好ましくは全体として結像される、すなわち好ましくは光学ビームの経路によって同時に結像されるイメージセンサとして、光学の線センサ又は面センサを使用することにより達成することができる。挿入又は結合された医療消耗品が正しい末端位置に位置するとすぐに、光学コードが読み取られるのが好ましい。例えば消耗品の挿入は利用者により直接に見ることができるので、それ故にこれは、追加の操作行動も生じさせない。
【0051】
誤った読み取り処理のない高い信頼性に関して、特に消耗品の挿入最終位置における機械的な許容が、光学コード、例えばバーコードの冗長な適用により達成されるという事実に参照がなされるべきである。特にこれは、医療消耗品が完全には正しく医療装置に挿入されず、かつ/又は他の形で完全には正しく医療装置に結合されなかった場合でさえ、バーコードの全ての必須のモジュールは常にイメージセンサ上に、例えば面センサ上に静止して結像されるということを意味することができる。
【0052】
上記で説明したように、外部光の影響及び反射が抑制され、かつ/又は回避されるという事実によって信頼性がさらに高くなる。そのため上記で説明したように、支持材及び/又は光学コード自体は光コンバータを含んでもよい。その光コンバータは励起光及び/又は励起された光を異なるスペクトル領域へ変換する。そのため例えば、アップコンバータ及び/又はダウンコンバータが含まれてもよい。同様に、例えばパルス状の励起光と、支持材及び/又は光学コードにより反射された光又は放射された光との間の時間的に交互の応答を可能とするために、支持材及び/又は光学コード自体は、完全に又は部分的に蛍光性であるように、例えば蛍光特性を有するように設計されてもよい。
【0053】
この場合も上記で説明したように、様々な波長を持つ励起光による同時の照明、及びそれに続く、複数のスペクトル領域に感度を持つイメージセンサによるスペクトル分離が可能である。
【0054】
さらに上記で説明したように、医療システム及び医療装置は、非常に費用効率が高く、かつスペースを節約する形で実装することができる。このように特に、面光源は、コードリーダの設置の高さを低くすることにつながる。例として、この光源は、消耗品の透過性の部分に付けられる光学コード、例えばバーコードを通り抜ける透過性の照明をもたらすことができる。上記で説明したようにその過程で、例えば光伝導システム、例えばライトパイプ及び/又は設置の高さを低減するエレクトロルミネッセンスフィルムの利用がなされてもよい。さらに上記で説明したように、設置の高さの低減は、ビームの経路を折り返すことにより達成することができる。
【0055】
光学コードの読み出しに関して信頼性をさらに向上させるために、上記した位置決め機器の利用がなされてもよい。特に位置決め機器は、光源及び/又はイメージセンサに対して医療消耗品を位置決めするために使用することができ、そのため光学コードの読み取りを良くすることができる。特に、読み取られるべき光学コードと、光源及び/又はイメージセンサとの間に固定の間隔を確保するために、位置決め機器は少なくとも一つのスペーサを含んでもよい。代替として又はそれに加えて、位置決め機器は、例えば医療消耗品及び/又は医療消耗品の一部を接触面又は他の接触素子に対して押圧するために、押圧素子を含んでもよい。また、位置決め機器はモジュールのデザインを有してもよい。特に、位置決め機器は、それとは違って成形した医療消耗品に対しても位置決め機器が適合できるように設計してもよい。
【0056】
本発明のさらなる詳細及び特徴は、従属する請求項とともに以下の好ましい例示的実施形態に係る記述から明らかになるであろう。ここで、それぞれの特徴が個別に実施され、又は複数の特徴が共に組み合わされて実施される。本発明は例示的実施形態に限定されるものではない。例示的実施形態は図面において概略的に図示される。この場合、個別の図における同一の参照数字は、同一もしくは機能的に同一の要素又はそれらの機能に関して相互に対応する要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に従った、血糖測定装置を持つ医療システムの第1の例示的実施形態を示す図である。
【図2】インスリンポンプ及び注入セットを持つ医療システムの第2の例示的実施形態を示す図である。
【図3】面光源を持つ、透過原理で動作するコードリーダの例示的実施形態を示す図である。
【図4】医療消耗品の光伝導支持材を使用する光学コードの透過性の照明を持つコードリーダのさらなる例示的実施形態を示す図である。
【図5】冗長な光学コードの例示的実施形態を示す図である。
【図6】取り得る時間分解測定スキームの例示的実施形態を示す図である。
【図7】位置決め機器を持つコードリーダのさらなる例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1及び図2は、医療システム110の二つの異なる実施形態を例示の形で図示する。かかるシステムは、それぞれ一つの医療装置112及び少なくとも一つの医療消耗品122を有する。図1では、医療装置112が血糖測定装置114として例示の形で構成される。図2では、医療装置112がインスリンポンプ116により例示の形で表される。一般に、医療装置112は、入力手段118及び/又は出力手段120を介して利用者との交信が提供されるように構成することができる。例として、出力手段120は、例えば測定値、設定パラメータ又は情報の他のアイテムを表示する一つ以上のディスプレイを備えることができる。従って、医療装置112は、利用者に対して医療システム110のインタフェースを構成し、かつ/又はかかるインタフェースを提供することができる。
【0059】
図1及び図2に図示される医療システム110は、一つ以上の医療消耗品112を備える。このように、図1に図示された血糖測定装置114は、図1において二つの異なる実施形態で例示の形で示される一つ以上のテスト素子124と交信する。このように例えば、図1の右上側の画像部分は平らで細長い形の硬いテスト素子126を示す。一方、図1の右下側の画像部分はテストストリップ128の形でテスト素子124を示す。図示された血糖測定装置114において両方のタイプのテスト素子124が使用されてもよい。同様に、血糖測定装置114の中のマガジン(図示せず)内にある大多数の個別のテスト素子124を使用することも可能である。
【0060】
例として、両方のテスト素子124は、体液のサンプルを塗りつけるための塗布位置130を有してもよい。テスト素子124が血糖測定装置114の中へ挿入されたとき、又は代替としてあるいはそれに加えて、例えば異なるデザインを持つ異なるタイプの医療システム110において、テスト素子124が血糖測定装置114の外側に位置付けられたときに、このサンプルは塗りつけることができる。
【0061】
血糖測定装置114は入力穴132を備える。その入力穴132は、位置決め機器134又はかかる位置決め機器134の一部として同時に機能することができる。テスト素子124が入力穴132の中へ正しく挿入された場合に、この入力穴132は血糖測定装置114とテスト素子124の間の交信を可能にする。
【0062】
例として、塗布位置130に塗りつけられるサンプルは、光学的かつ/又は電気化学的な方法で評価される。例として、図1の右下側の画像部分のテスト素子124において図示されるように、電極接触部136の提供がなされる。テストストリップ128が血糖測定装置114の中へ挿入されているとき、テストストリップ128はその電極接触部136を用いて血糖測定装置114に接触される。
【0063】
テスト素子124の特性は一群ごとに変化し得るので、テスト素子124上に特に高い密度を有することができる光学コード138を付けることが提案される。図1に象徴的に示されるこの光学コード138は、例えば二次元バーコード、例えば二次元の35bitのバーコードとして構成することができる。また、かかる光学コード138の最小ユニットは、多くの場合モジュールとして参照され、図1において引用符号140で示される。例として、これらのモジュール140は、図1において5×7のマトリクスに配置される。しかしながら、他の実施形態も可能であることは言うまでもない。例として、モジュール140は、300nmと3000nmの間の波長帯で、例えば300nmと3000nmの間の全波長帯内で、そのグレースケール値及び/又はカラー値について相互に異なる。
【0064】
光学コード138を読み取ることができるように、医療装置112、特に血糖測定装置114は、単に図1に示されるコードリーダ142を備える。テスト素子124が位置決め機器134の中へ正しく挿入されるとすぐに、かつ/又は同様にテスト素子124が既に挿入されている間に、コードリーダ142は、付けられた光学コード138を読み取ることができる。
【0065】
例えばテスト素子124の形で、光学コード138を医療消耗品122上に付けることに加えて又はその代替として、光学コード138は少なくとも一つの医療消耗品122の容器に付けられてもよい。この場合、その容器は、図1に図示されないが、それ自体が医療消耗品122とみなされるべきである。かかる容器は、一つ以上のかかる医療消耗品122を含んでもよい。また、かかる光学コード138を読み出すことができるように、コードリーダ142は、容器に付けられている間、かつ/又は容器に接近したときに光学コード138を読み出すことができるように、例えば完全に又は部分的に医療装置112、例えば血糖測定機器114の外側に付けられてもよい。例としてこの場合、コードリーダ142は、付けられるリーダの形で構成されてもよい。
【0066】
図2に図示される医療システム110において、医療消耗品122の三つの異なる実施形態が例示の形で図示される。このように、光学コード138は、(図2に図示しない)インスリンカートリッジ144の形で医療消耗品122上に付けてもよい。代替として又はそれに加えて、光学コード138は、一次カートリッジ又は一次カートリッジの容器に付けてもよい。その一次カートリッジからインスリンカートリッジ144の中へインスリンが満たされ、それにより一次カートリッジも医療消耗品122として機能を果たすことができる。
【0067】
加えて、図2は、医療消耗品122を注入セット146の形で図示する。この注入セット146は、インスリンポンプ116のアダプタ150に取り付けることが可能なチューブ状のカニューレ148と、また体内組織の中へ挿入するための実際のカニューレ152を含む。上記に示したように、例えば注入セット146全体の充填体積及び/又はその一部は、インスリンポンプ116の「プライミング」のために必要とされる必須のパラメータを構成する。例としてこの場合も、例えば注入セット146自体上に、かつ/又は注入セット146の容器154上に、少なくとも一つの光学コード138が提供されてもよい。このために同様に、注入セット146自体を医療消耗品122とみなすことができる。同様に図1のような例示的実施形態に類似して、インスリンポンプ116が充填体積に関するこの情報及び/又は光学コード内に含まれる他の情報、例えばプライミング手順についての情報を使用できるように、インスリンポンプ116のコードリーダ142を用いてこの光学コード138を読み取ることができる。代替的に又は追加的に、他のタイプの情報もこの形で転送することができる。
【0068】
図2において、コードリーダ142は、インスリンポンプ116の筐体の一端に象徴的に配置され、例えば情報を読み出すために、容器154及び/又は注入セット156上の光学コード138に付けられてもよく、又は光学コード138の近辺に導かれてもよい。また、容器154及び/又は他のタイプの医療消耗品122は、コードリーダ142が付けられ、かつ/又は位置付けられるのをより容易にするために、少なくとも一つの位置決め補助器具157を備えてもよい。その位置決め補助器具は、図2にフレームの形状で例示の形で示される。しかしながら原理的に、位置決め補助器具157の他の実施形態も可能である。例として、位置決め補助器具157は、光学コード138に対するコードリーダ142の相対的な位置決め及び/又は配置を簡単にすることができる。そのため、例えば位置決め補助器具157は、光学コード138に対するコードリーダ142の水平方向の位置決め、及び/又はコードリーダ142と光学コード138の間の間隔、及び/又は少なくとも一つの傾き角度についての、コードリーダ142と光学コード138の間の角度配置を設定し、かつ/又は固定するために用いることができる。このために例として、位置決め補助器具157は、一つ以上の接触領域、及び/又は一つ以上の接触境界、及び/又は一つ以上の間隔、及び/又は一つ以上のガイドを含んでもよい。
【0069】
図2に示される実施形態の代替として又はそれに加えて、光学コード138は、医療消耗品122の他の位置に配置してもよく、異なる方法で読み出してもよい。例として代替的に又は追加的に、光学コード138は、チューブ状のカニューレ148の扁平で透明な末端に付けてもよい。その光学コードは、医療装置112、例えばインスリンポンプ116の内部に取り付けられたコードリーダ142を用いて読み出すことができる。
【0070】
図3は、医療装置112に使用することができる、取り得るコードリーダ142の第1の例示的実施形態を図示する。図示される例示的実施形態において、コードリーダ142は、好ましくは複数の個別のセンサ157を持つ少なくとも一つのイメージセンサ156を備える。その複数の個別のセンサ157は、例えばイメージセンサ156の感知領域を共に形成する。例として、このイメージセンサ156は、センサ157の一次元又は二次元の配列、例えばCCDチップとすることができる。代替として又はそれに加えて他のイメージセンサの利用がなされてもよい。
【0071】
さらに、図示される例示的実施形態において、コードリーダ142は光源159を備える。その光源159は、この実施例では面光源161として構成される。特に、この面光源161は、完全に又は部分的に照明フィルム158として構成されてもよく、かつ/又はかかる照明フィルム158を備えてもよい。特に、この照明フィルム158は、有機及び/又は無機のエレクトロルミネッセンスフィルムとすることができる。特に図3に図示されるように、面光源161は、光学コード138の領域より大きい領域を有する。特に図3に例示的な形で図示されるように、面光源161は、光学コード138の、イメージセンサ156に対して反対側に、例えばテストストリップ128に対して反対側に配置されてもよい。
【0072】
図3に示される例示的実施形態において、光学コード138は、例えば支持材162、例えばテストストリップ128及び/又は他のタイプのテスト素子124の支持材上に付けられてもよい。特に、この支持材162は、例えば材料の適切な選択の結果、及び/又は支持材162の非常に薄い実施形態として、光学的に透過的なデザインを有してもよい。光学コード138は、光源159を用いて透過照明される(transilluminated)。その光源159は、電圧源160及び/又は他のタイプのエネルギー供給と結合される。光源159の面のデザインの結果として、光源159の設置の高さは、従来の光源と比較して非常に低減させることができる。
【0073】
支持材162及びそこへ取り付けられ又はその中へ導入される光学コード138を通って伝達される光は、イメージセンサ156へ導かれる。例としてこれは、例えば図3に示されるようにレンズ166及び/又は結像光学素子の他の形によって、イメージセンサ156の感知領域上に光学コード138を結像することによりもたらされる。
【0074】
また、光源159から光学コード138上へ放射された光は、その光の光学コード138及び/又は支持材162との交信と関係なく、励起光163と呼ばれる。また、光学コード138とイメージセンサ156の間の光は、検出光165と呼ばれる。例として、この検出光165は、例えば伝達された励起光163及び/又は他のタイプの光、例えば光学コード138及び/又は支持材162によって直接に放射される光、例えばリン光性光及び/又は蛍光性光等のルミネッセンス光としてもよいし、又はそれらの光を含んでもよい。このために、光学コード138及び/又は支持材162は、例えば一つ以上のルミネッセンス材料、例えば蛍光光性材料及び/又は例えばルミネッセンスコンバータ又は同様のもの等の、励起光162及び/又は検出光165に他の形で影響を与える材料を備えてもよい。
【0075】
さらに図3は、折り返されるビームの経路を通って検出光165が送られる、すなわち検出光165が直線でイメージセンサ156に伝わらないオプションを示す。従って、少なくとも一つの偏向素子167がビームの経路に選択的に提供される。この場合、偏向素子167はミラー164により例示的な形で表される。代替として又はそれに加えて、他のタイプの偏向素子167が使用されてもよい。また、この少なくとも一つの偏向素子167は設置空間を低減するのに役立つ。図1に示される、単に一つの45°のミラー164で折り返されるビームの経路の代替として又はそれに加えて、他の配置、例えばビームが、部分的にそれ自体へ反射して戻る、又は元のビームに対して非常に小さい角度でそれ自体へ反射して戻るビームの経路の利用がなされてもよい。これによっても、設置空間を非常に低減することが可能になる。
【0076】
さらに、追加の光学素子がコードリーダ142に提供されてもよい。その追加の光学素子は、例えば結像特性及び/又はビームの経路に影響を与える特性及び/又は他の形のビーム特性を有する。フィルタ178はこの光学素子の一例を構成する。フィルタ178は図3に象徴的に示される。例として、この光学フィルタ178は励起光163の照明経路及び/又は検出光165の経路、すなわちイメージセンサ156の上流に配置することができる。複数の光学フィルタの利用も可能である。
【0077】
コードリーダ142のさらなる取り得る実施形態が図4に図示される。この例では同様に、光源159の提供がなされる。しかしながら、光源159は必ずしも面光源として構成される必要はない。しかしながらこの場合も代替的に又は追加的に、例えば設置空間の低減のために面光源の使用も可能である。
【0078】
図3のような例示的実施形態と対照的に、図4のように図示された例示的実施形態では、光源159とイメージセンサ156は、光学コード138の一方の同じ側に配置される。光学コード138は、同様に医療消耗品122の支持材162上に付けられ、又はそこに挿入される。しかしながら図示された例示的実施形態において、この支持材は必ずしも完全に透過する形で構成される必要がないが、例えば拡散光伝導特性を有してもよい。例としてこれは、例えば白い粒子の形で、非常に多数の散乱中心を持つ支持材とすることができる。例として、これらの粒子はそれらが反射できるように構成されてもよい。反射できる層状のデザインも可能である。そのためこれにより、例えば透過する形で又は少なくとも部分的な光散乱特性を持つように設計される、医療消耗品122の支持材162の提供が可能となる。しかしながら、これらの特性を持つ他の実施形態も可能である。
【0079】
一つ以上の光源159が光学コード138側に配置されてもよいことが、図4から推測できる。結果として、励起光163は、支持材162の中で合わさり、そこから光学コード138側に送られ、かつ/又はセンサ156の像の視点において光学コード138を背後から照射するように、すなわち光学コード138を透過する形で照射するように散乱される。従って、励起光163は、照明光172としてみなされてもよい。照明光172は支持材162の中を通り、光学コード138を透過する形で照射するように、そこから再度反射されてもよい。
【0080】
従って、光学コード138によって反射される光及び/又は光学コード138の透過照明の検出、すなわち透過光の検出が可能である。代替として又はそれに加えて上記で説明したように、光学コード138及び/又は光学コード138のモジュール140は、例えばルミネッセンス特性、変換特性又は同様のもの等の光学特性を有してもよい。このために例として、ルミネッセンス発光のインクがそこにプリントされ、かつ/又は染料もしくは同様のもののレーザ変換がなされる。代替として又はそれに加えて、支持材162が対応する特性を有してもよい。例として、拡散励起光163の伝導特性を持つ支持材162としてポリエステルが使用されてもよい。そのポリエステルは、ドーピング、例えば、支持材162が原理的に常に白い印象(white impression)を与えるように、二酸化チタンのドーピングが提供されてもよい。
【0081】
この場合も、光学コード138の像は、イメージセンサ156上に生成されるのが好ましい。このためにこの場合も選択的に、例えば図4に図示されるように、レンズ166のような一つ以上の光学素子の提供がなされてもよい。この場合も選択的に、設置空間を低減するためにビームの経路は折り返されてもよい。このためにこの場合も、少なくとも一つの偏向素子167、例えばこの場合も図3と同様に一つ以上のミラー164の提供がなされてもよい。さらにこの場合も代替的に又は追加的に、一つ以上のさらなる光学素子が励起光163及び/又は検出光165のビームの経路へ導入されてもよい。この場合も例として、フィルタ178が図4に示される。
【0082】
この場合も、図4に図示された光学コードリーダ142は、非常にコンパクトなデザインを有する。例として、少なくとも一つの光源159を、コンパクトな照明プリント回路基板176上に配置することができる。また、図4に図示された、検出光165のビームの経路の選択的な折り返しにより、コードリーダ142のコンパクトさがもたらされる。特にこの例示的実施形態では、コードリーダ142は、付けられるリーダとして設計されてもよく、例えば容器154に付けられた光学コード138を読み取るために使用されてもよい。しかしながら原理的に、他の実施形態及び/又は使用も可能である。
【0083】
さらに一般に、イメージセンサ156、例えばイメージセンサ156のアクティブなセンサ領域196上に光学コード138の完全な像が結像されると、特に好ましい。このために例として、アクティブなセンサ面196には十分なサイズが提供される。しかしながら原理的に、他の実施形態、例えばイメージセンサ156によって単に光学コード138の一部が結像され、かつ/又は取得される実施形態も可能である。この場合、他の場合も同様であるが、光学コード138は冗長な光学コードとして構成され、又は冗長な情報で構成されるのが特に好ましい。かかる実施形態の一例が図5に図示される。この例示的実施形態では、光学コードは、繰り返しの、同一のコードユニット180を有する。これらのコードユニット180は、それぞれ、取得され得るモジュール140の同じパターンで構成される。これにより、たとえイメージセンサ156が光学コード138の一部、好ましくは少なくとも一つの完全なコードユニット180を含む一部のみを取得しても、光学コード138に含まれる情報を読み出すことが可能となる。
【0084】
一般に、コードリーダ142は、光学コード138の実施形態とは関係なく、光学コード138に含まれる情報を完全に又は部分的に予め評価することができる。このために、イメージセンサ156は、例えば、予め光学コード138の部分的又は完全な評価を可能とする、それ自身の知性を備えてもよい。例として、フィルタ、イメージ認識アルゴリズム又は同様のものをイメージセンサ156に予め組み込んでもよい。原理上、さらなる評価も可能である。他の代替として又はそれに加えて、コードリーダ142は、そこに含まれる情報の少なくとも一つのアイテムを得るために、さらに完全に又は部分的に光学コード138を評価する追加の電子部品を備えてもよい。例として、これらの追加の部品は、図4に示されるセンサプリント回路基板198上にイメージセンサ156に加えて配置されてもよく、あるいは分離して配置されてもよい。センサプリント回路基板198は、照明プリント回路基板176と部分的に又は完全に同一のデザインを有してもよい。他の代替として又はそれに加えて、さらなる評価が医療装置112の制御ユニット、例えば血糖測定装置114及び/又はインスリンポンプ116の中央制御ユニットによって完全に又は部分的に行われてもよい。様々な実施形態が可能である。
【0085】
上記の例示的実施形態では、光源159を用いた光学コード138の照明が静的であるように説明がされた。しかしながら必ずしもそのケースである必要はなく、代替的又は追加的に、時間分解の照明及び/又は計測としてもよい。かかる動的な又は時間分解の測定スキームの例示的実施形態が図6に象徴的に示される。しかしながら、多数のさらなる測定スキームも可能である。
【0086】
図6では、励起光163の強度Iが時刻とともにプロットされる。図6により、時刻t0において強度I0を持つ照明パルス182が放射されることが認識できる。図6に破線で示されるように、この照明パルス182は、例えば照明パルス182の実期間Δtより長く続く残光184を表すように、光学コード138の染料を励起することができる。例として、この残光184はルミネッセンス、例えばリン光を含んでもよい。
【0087】
そして時刻t0+t1(ここでt1>Δt)において、イメージセンサ156は、検出光165を残光184の形で抽出することができる。例としてこれは、照明パルス182によって始動する、イメージセンサ156の電子駆動部の、対応する「ゲート」によりもたらされ得る。図6には図示されないが、イメージセンサ156が十分な量の検出光165を記録できるように、この場合も、この像の記録は一定の時間を超えて行われてもよい。この結果として、図6に示される一時的な測定スキームは、励起反応の測定方法を用いて、照明パルス182からの励起光163を残光184の形で検出光165から分離することができ、その結果として信号対雑音比及びバックグラウンド抑制が非常に向上する。
【0088】
またその測定方法は、繰り返し実行されてもよく、同様に図6に示される。このように時刻t0+t2(ここでt2>t1)において照明パルス182が繰り返されてもよい。例としてこれにより、周期的な照明がもたらされる。例としてこれにより、例えばいわゆるロックイン方法を用いて周波数選択的な評価も可能となるように、周期的に測定スキームが実行できるようになる。
【0089】
図7は、位置決め機器134の取り得る例示的実施形態を概略図で示す。ここで、コードリーダ142は、例えば大部分は前述の例示的実施形態に記載されたコードリーダ142のように構成することができ、それにより取り得る実施例について上記の記載に参照がなされる。図7には光源159は図示されない。例としてこの場合も、照明は上記の例示的実施形態のようにもたらされてもよい。そのため例えば、光源159、例えば面光源161は、光学コード138の、イメージセンサ156に対して反対側に提供され、かつ/又は光源159は、光学イメージセンサ156と同じ側に提供されてもよい。
【0090】
図7に図示された例示的実施形態において、位置決め機器134は、選択的に医療消耗品122を挿入することができるスロット186を備える。例としてこの場合も、この医療消耗品122はテスト素子124、例えばテストストリップ128としてもよい。しかしながらこの場合も、他のタイプの医療消耗品122も可能である。その位置決め機器134はこれらの消耗品122の幾何学的形状に適合させてもよい。そのため、例えばスロット186は、適切な他のタイプのホルダー及び/又は類似する機器に置き換えてもよい。
【0091】
図7に図示された例示的実施形態において、位置決め機器134は、さらに選択的にスペーサ188を備える。例として、このスペーサ188は、医療消耗品122とイメージセンサ156の間に所定の最小間隔を確保するように設計された間隔レール190を含む。
【0092】
さらに図7に図示された例示的実施形態において、位置決め機器134は、選択的に圧迫素子192を備えてもよい。その圧迫素子192は、ここではスプリング素子194として例示的な形で示される。この圧迫素子192は、医療消耗品122に対してイメージセンサ156の方向に力を加える。このように、医療消耗品122は間隔レール190に対して押圧され、それにより医療消耗品122とイメージセンサ156の間の間隔が所望の最大間隔を超えないことが確保される。しかしながら原理上、位置決め機器の他の実施形態、特に光学コード138及びイメージセンサ156、又はそのアクティブなセンサ領域196を、相互に対して所定の間隔内に位置付けることを可能とする実施形態も可能である。
【0093】
上記で説明したように、光源159は面光源161を備えるのが特に好ましい。光源159の面のデザインは様々な方法でもたらされる。第1に、例えば上記した照明フィルム158等の自動ルミネッセンス素子の利用がなされる。しかしながら、照明される領域に影響を与える面光源161は、異なる形でも実現することができる。
【符号の説明】
【0094】
110 医療システム
112 医療装置
114 血糖測定機器
116 インスリンポンプ
118 入力手段
120 出力手段
122 医療消耗品
124 テスト素子
126 硬いテスト素子
128 テストストリップ
130 塗布位置
132 入力穴
134 位置決め機器
136 電極接触部
138 光学コード
140 モジュール
142 コードリーダ
144 インスリンカートリッジ
146 注入セット
148 チューブ状のカニューレ
150 アダプタ
152 カニューレ
154 容器
156 イメージセンサ
157 位置決め補助器具
157 センサ
158 照明フィルム
159 光源
160 電圧源
161 面光源
162 支持材
163 励起光
164 ミラー
165 検出光
166 レンズ
167 偏向素子
176 照明プリント回路基板
178 フィルタ
178 ファイバコア
180 コードユニット
182 照明パルス
184 残光
186 スロット
188 スペーサ
190 間隔レール
192 圧迫素子
194 スプリング素子
196 アクティブなセンサ領域
198 センサプリント回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの医療機能を実行するための医療装置(112)、特に携帯装置として構成される医療装置(112)であって、
前記医療装置(112)は、前記医療機能を実行するように、少なくとも一つの医療消耗品(122)と交信するように設計され、
前記医療装置(112)は、前記医療消耗品(122)の光学コード(138)から情報の少なくとも一つのアイテムを読み出すための少なくとも一つのコードリーダ(142)を有し、
前記コードリーダ(142)は、少なくとも一つのイメージセンサ(156)を備え、
前記コードリーダ(142)は、少なくとも一つの面光源(161)をさらに備え、
前記面光源(161)は、少なくとも1mm2の平面範囲を有し、
前記面光源(161)は、前記光学コード(138)を透過する形で照射するように設計される、医療装置(112)。
【請求項2】
前記面光源(161)は、少なくとも一つの発光フィルム及び/又は少なくとも一つのエレクトロルミネッセンス光源、特にエレクトロルミネッセンスフィルムを備える、請求項1に記載の医療装置(112)。
【請求項3】
前記医療装置(112)は、前記光学コード(138)からの前記情報を読み出す時に、前記イメージセンサ(156)が前記光学コード(138)上に直接位置し、又は前記光学コード(138)の直接の近傍に配置されるように、前記医療消耗品(122)と交信するように設計される、請求項1又は2に記載の医療装置(112)。
【請求項4】
前記イメージセンサ(156)は、ビームの経路を偏向させることなく、かつ前記イメージセンサ(156)に光学素子を配置させることなく、前記光学コード(138)を取得する、請求項1〜3の何れか一項に記載の医療装置(112)。
【請求項5】
少なくとも一つの医療機能を実行するための医療装置(112)であって、
前記医療装置(112)は、前記医療機能を実行するように、少なくとも一つの医療消耗品(122)と交信するように設計され、
前記医療装置(112)は、前記医療消耗品(122)の光学コード(138)から情報の少なくとも一つのアイテムを読み出すための少なくとも一つのコードリーダ(142)を有し、
前記コードリーダ(142)は、少なくとも一つのイメージセンサ(156)を備え、
前記コードリーダ(142)は、少なくとも光源(159)をさらに備え、
前記光源(159)は、前記光学コード(138)を透過する形で照射するように設計され、
少なくとも一つの偏向素子(167)が、前記光学コード(138)と前記イメージセンサ(156)の間に配置され、
前記偏向素子(167)は、ビームの経路を少なくとも一回偏向させるように設計され、
前記光源(159)は、面光源(161)、特に発光フィルム及び/又はエレクトロルミネッセンス光源、特に好ましくはエレクトロルミネッセンスフィルムを備える、特に請求項1〜4の何れか一項に記載の医療装置(112)。
【請求項6】
前記偏向素子(167)は、ミラー(164)又はプリズムから選択される、請求項5に記載の医療装置(112)。
【請求項7】
前記光源(159)、特に前記面光源(161)は、前記光学コード(138)の、前記イメージセンサ(156)に対して反対側に配置される、請求項1〜6の何れか一項に記載の医療装置(112)。
【請求項8】
前記面光源(161)は、光導波管を備える、請求項1〜7の何れか一項に記載の医療装置(112)。
【請求項9】
前記医療消耗品(122)の位置決めをするための少なくとも一つの位置決め機器(134)を備える、請求項1〜8の何れか一項に記載の医療装置(112)。
【請求項10】
前記コードリーダ(142)は、時間分解測定を実行するように設計される、請求項1〜9の何れか一項に記載の医療装置(112)。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の少なくとも一つの医療装置(112)を備え、
少なくとも一つの光学コード(138)を持つ少なくとも一つの医療消耗品(122)をさらに備える、医療システム。
【請求項12】
前記光学コード(138)は、前記医療消耗品(122)の少なくとも一つの支持材(162)と結合、特に前記支持材(162)上に付けられ、
前記支持材(162)は、光伝導特性、特に拡散光伝導特性を有する、請求項11に記載の医療システム。
【請求項13】
前記光学コード(138)は、前記医療消耗品(122)の少なくとも一つの支持材(162)と結合、特に前記支持材(162)上に付けられ、
前記支持材(162)及び/又は前記光学コード(138)は、光コンバータを含む、請求項11又は12に記載の医療システム。
【請求項14】
前記光学コード(138)は、前記医療消耗品(122)の少なくとも一つの支持材(162)と結合、特に前記支持材(162)上に付けられ、
前記支持材(162)及び/又は前記光学コード(138)は、ルミネッセンス特性、特に蛍光特性を有する、請求項11〜13の何れか一項に記載の医療システム。
【請求項15】
前記光学コード(138)は、冗長なデザインを有する、請求項11〜14の何れか一項に記載の医療装置(112)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−505491(P2013−505491A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529268(P2012−529268)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063598
【国際公開番号】WO2011/033013
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】