説明

医療用チューブ及びその製造方法

【課題】外径が小さく、薄肉で機械的特性が高く、かつチューブの内面、外面または内外面が低い摩擦抵抗を有する医療用チューブ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】内層が離型性フィラメント3をコイル状に回旋、または編組編みしたチューブ状形体物からなり、その外面が外層用樹脂層2で被覆された構造を有する医療用チューブ。離型性フィラメントは、金属線の表面をフッ素樹脂で被覆したフッ素樹脂被覆金属線、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂で被覆したフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線、及びフッ素樹脂フィラメントから選ばれる少なくとも1つの離型性フィラメントである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカテーテルなどの用途に好適な医療用チューブ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カテーテル等に用いられる医療用チューブについて説明する。近年、医療技術の高度な進歩に伴い、その治療方法も従来の切開手術に代わり、患者の体腔内に直接カテーテル等の医療器具を挿入して治療を行うカテーテル治療法や、画像診断装置を用いて患部の観察や診断を行う内視鏡診断方法が主流になってきている。医療用チューブはこのような新しい医療技術の治療現場で用いられる各種のカテーテルや内視鏡などの基幹となるチューブとして使用されている。
【0003】
前記したカテーテル治療法では、人体の細かで複雑に配置されている血管の内部に、ガイドワイヤーの誘導によってカテーテルが患部まで挿入され治療がなされる。このような治療法においては、カテーテルを迅速かつ、正確に患部に到達させる必要がある。そのため、カテーテルに用いる医療用チューブには血管の中に押し込みやすい特性(プッシャビリティー)、カテーテルの基端部で操作された回転力がカテーテルの先端部まで確実に伝達される特性(トルク伝達性)あるいは、カテーテルの先端で血管を損傷させることを防止するための柔軟性、耐キンク性など、施術時の操作に必要とされる機械的特性と共に多くの機能的な特性が求められている。例えば、施術時に患者の肉体的、あるいは精神的な苦痛や不安を軽減するめに、医療用チューブの外径はできる限り小さく、かつ薄壁(厚みが薄い)で内腔が大きいことも重要な特性の1つである。
【0004】
更に、これらの医療チューブには前記トルク伝達性や、耐キンク性などの特性に加えて、チューブ内外壁面の低摩擦特性も要求されている。すなわちカテーテル治療法では、治療用カテーテルを疾患部まで導くガイディングカテーテル内に治療用カテーテルが挿入され、ガイドワイヤーによって疾患部まで誘導される。このような操作において、治療用カテーテルの外表面はガイディングカテーテルの内壁に接触し、また、内表面はガイドワイヤーの外面に接触することになる。そのため、治療用カテーテルとして、内面および外面の摩擦特性が低い医療用チューブの開発が嘱望されている。
【0005】
これらの医療用チューブにおいて、その内外表面の摩擦抵抗を下げる方法は、あらかじめフッ素樹脂やシリコーン樹脂などで作製されたチューブの外側にポリエチレンやポリウレタンなどを多重押出被覆して、チューブ内面の低摩擦化と機械特性を両立させる構造や製造方法が用いられている。
【0006】
現在、これらのカテーテルにはポリウレタン、ポリエチレン、ナイロンあるいはフッ素樹脂やシリコーンゴムなど多くの種類の材料と、これらが多層化(内層、中間層、外層など多層化された構造)された種々の構造のものが使用されている。また、耐キンク性やトルク伝達性などの機械的特性を向上させるため、内層チューブの外側に金属ワイヤーを編組状やコイル状に巻きつけ、さらにその上にプラスチック樹脂層を設けた医療用チューブが特許文献1及び2で提案されている。
【特許文献1】特開2000−24115号公報
【特許文献2】特開2000−262625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら前記従来の方法は、フッ素樹脂等を用いて摩擦抵抗の低い内層チューブを作製した後、その外層に機械的な補強層として金属ワイヤーを編組状やコイル状に巻き付けているためチューブの外径や、厚みが厚くなり、医療用チューブに必要特性とされる、できる限り小径で、且つ薄壁で内腔が大きいチューブの製作、あるいはチューブの内面を安価な方法で低摩擦化することが難しいという問題がある。また、薄肉で内腔の大きいチューブは折れ曲がりや潰れが生じやすく、プッシャビリティーやトルク伝達性などの特性が得られないなど、前記した必要特性を満たすことのできる医療用チューブは未だ開発されていない。
【0008】
そこで本発明は、これらの問題を解決し、外径が小さく薄肉で機械的特性が高く、かつ、チューブの内面、外面または内外面が低い摩擦抵抗を有する医療用チューブ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、離型性フィラメントを出発材料として用いることで、チューブ内面の低摩擦化を図り、且つ前記離型性フィラメントを直接、コイル状に回旋あるいは編組編みしてチューブ状形体物に成形した構造にすることで、チューブの補強力を高めることができ、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の医療用チューブは、内層と外層の少なくとも2層からなる医療用チューブであって、前記医療用チューブの内層が離型性フィラメントをコイル状に回旋したチューブ状形体物、または離型性フィラメントを編組編みしたチューブ状形体物から成り、前記内層の外面が外層用樹脂層で被覆された構造を有することを特徴とする。
【0011】
また、前記離型性フィラメントは、金属線の表面をフッ素樹脂で被覆したフッ素樹脂被覆金属線、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂で被覆したフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線、及びフッ素樹脂フィラメントから選ばれる少なくとも1つの離型性フィラメントであることを特徴とする。
【0012】
次に、前記外層用樹脂層がフッ素樹脂または、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂であって前記チューブ状形体物内層と融着していることを特徴とする。
【0013】
次に、本発明の医療用チューブの製造方法は、連続した金属線から成る芯体の表面に離型性フィラメントをコイル状に回旋または編組編み加工してチューブ状形体物を作製した後、前記チューブ状形体物の外面を外層用樹脂層で被覆して医療用チューブ中間品を作製し、その後、該医療用チューブ中間品と芯体を分離することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の医療用チューブによると、フッ素樹脂を被覆したフッ素樹脂被覆金属線、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂を被覆したフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線、あるいはフッ素樹脂フィラメントのいずれか1つの離型性フィラメントを、チューブ状形体物に成形した構造の内層であるため、内層の内面はフッ素樹脂の低摩擦特性を有し、また、コイル状に回旋、または編組編みの構造は機械的な補強力を高める役割も同時に果たすので、薄肉であっても折れ曲がりや潰れの発生がなく、高い機械的特性を有する。さらに、本発明の医療用チューブの内面は、離型性フィラメントによりコイル状または編組状に形成されているため、チューブ内面には適度な凹凸が存在し、ガイドワイヤーなどの挿入に対して接触する面積が小さく、フッ素樹脂の低摩擦性と凹凸形状が組み合わされた特性を有し、ガイドワイヤー等がスムースに出し入れでき、さらに、内層の内面がフッ素樹脂であるため化学的に安定で血栓などの発生も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の医療用チューブの一例を示す模式断面図である。図1は離型性フィラメントとしてフッ素樹脂被覆金属線1を用い、コイル状に隙間無くフッ素樹脂被覆金属線を接触させて密に回旋したチューブ状形体物の内層を有し、その外表面に外層用樹脂層としてフッ素樹脂層2が被覆され、融着された構造を有する医療用チューブである。符号3は金属線、4は金属線を被覆しているフッ素樹脂層である。
【0016】
本発明の医療用チューブは、医療用チューブの内層が離型性フィラメントをコイル状に回旋したチューブ状形体物または、離型性フィラメントを編組編みしたチューブ状形体物から成り、前記内層の外面が外層用樹脂層で被覆された構造である。前記したチューブ状形体物の構造は、医療用チューブとしてのプッシャビリティー、あるいはトルク伝達性などを得るための役割を果たし、薄肉であっても折れ曲がりや潰れの発生がなく、優れた機械的特性が得られる。また、内層の内面は、凹凸形状を有し、フッ素樹脂自体が持つ低摩擦性と凹凸形状が組み合わされ摩擦抵抗が低く、ガイドワイヤーなどの挿入、引き出しの操作性に優れている。
【0017】
本発明においては、前記離型性フィラメントが、金属線にフッ素樹脂を被覆したフッ素樹脂被覆金属線、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂を被覆したフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線、およびフッ素樹脂フィラメントから選ばれるいずれか1つであることが好ましい。フッ素樹脂被覆金属線、及びフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線を離型性フィラメントとして用いることがより好ましい。前記各被覆金属線は細い線径を用いて薄肉のチューブを製作でき、折れ曲がりや潰れに対する機械的特性の改善が得られやすいからである。
【0018】
次に、前記離型性フィラメントに用いる金属線は、ステンレス、チタン、鉄、タングステン、ボロン、ニッケル、ピアノ線、あるいは各種の合金線であることが好ましい。金属線の線径は10μm〜1000μmのものが好ましく、より好ましい範囲は30μm〜500μmである。また前記金属線は、丸線、半丸線、平角線などの形状の金属線が好ましい。コイル状に回旋加工した場合、耐キンク性、押し圧による潰れなどの特性を改良できるからである。
【0019】
前記フッ素樹脂被覆金属線に用いるフッ素樹脂はテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(PETFE)ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられ、これらのフッ素樹脂は単体で、または混合して用いることができる。PFA、FEP,PTFEは化学的な安定性、低い摩擦特性を有することから最も好ましい材料である。
【0020】
フッ素樹脂被覆金属線のフッ素樹脂層の厚みは5μm〜200μmの範囲が好ましく、より好ましい範囲は10μm〜100μmである。この範囲であるとコイル状に回旋加工する場合にもキズなどの発生が無く、取り扱いも容易であり、またチューブ状形体物に成形した場合、低い摩擦特性と耐久性が得られるからである。
【0021】
次に、本発明において他の好ましい離型性フィラメントは、ポリイミド前駆体溶液にフッ素樹脂粉末を混合した混合液を用い、金属線に塗布した後、イミド化して得られるフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆線金属線を用いることである。本発明者らは、医療用チューブ内外面の摺動性の改良について、フッ素樹脂とポリイミド樹脂からなる医療用チューブを特許公開2005−205183号公報で既に提案している。前記公報で提案した医療用チューブは、フッ素樹脂とポリイミド前駆体溶液の混合液を用いてチューブ状に成形した後、加熱してイミド化して得られる医療用チューブであり、ポリイミド前駆体溶液中に混合したフッ素樹脂は、該フッ素樹脂の融点以上の温度でイミド化を完結することによって、チューブの表面に溶融して析出し、該チューブの内面又は内外面はフッ素樹脂の低い摩擦特性を有する医療用チューブに関するものである。
【0022】
前記特許で開示しているように、ポリイミド前駆体溶液にフッ素樹脂粉末を混合し、チューブ状に成形し、加熱してイミド化を完結すると、フッ素樹脂はチューブの表面、あるいは表裏面に溶融して析出し、フッ素樹脂の有する離型性、撥水性、あるいは低摩擦性などの特性が得られることが判明している。本発明においては、これらのフッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液を金属線に塗布し加熱して、イミド化を完結することにより、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線の表面にフッ素樹脂が溶融して析出し、離型性、低摩擦性の優れた離型性フィラメントを得ることができる。次いでこの離型性フィラメントをコイル状に回旋、あるいは編組編みしてチューブ状形体物に成形することによって、チューブの薄肉化と機械的特性を同時に満たすことができ、嘱望されている医療用チューブを提供することができる。
【0023】
前記、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線の被覆層の厚みは、5〜100μmの範囲が好ましい。ポリイミド樹脂被膜は厚みが薄くても十分な機械的特性が得られ、被覆層の厚みを薄くすることにより薄肉で内腔の大きい医療用チューブを得ることができるからである。
【0024】
また次に、本発明においてはフッ素樹脂単体からなるフィラメントを離型性フィラメントとして用い、コイル状に回旋または編組編し、チューブ状形体物に成形して内層として用いること好ましい。フッ素樹脂単体よりなるフィラメントはPFA、FEP、PCTFE、PETFE、PVDFなどを溶融押出成形したものを用いることが好ましい。
【0025】
前記フッ素樹脂フィラメントの外径は30μm〜1000μmのものが好ましく、さらに好ましくは50μm〜700μmの範囲である。外径が30μm以下では実質的に補強材として作用しなく、1000μm以上ではチューブの厚みが厚くなり好ましくない。
【0026】
次に、本発明においては、離型性フィラメントを用いコイル状に回旋して得られるチューブ状形体物の構造は、離型性フィラメントを隙間無く接触させて、密にコイル状に回旋した構造であると、耐キンク性や押し付けによる潰れなどの変形が解消でき好ましい。離型性フィラメントをコイル状に隙間無く密に回旋して成形した後、加熱処理することで離型性フィラメントどうしが融着し、チューブ状の形体を保持し、且つ柔軟性と化学的に安定した特性を兼ね備えたチューブを作製できる。
【0027】
また、離型性フィラメントを、コイル状に回旋してチューブ状形体物に成形した構造が、前記したように密にコイル状に回旋した部分と、所定のピッチで螺旋状に回旋した部分を有する構造であると、螺旋状に回旋した部分を医療用チューブの先端部に用い、カテーテルの先端で血管を損傷させることを防止するための柔軟性を付与することができ好ましい。
【0028】
次に、本発明においては、外層用樹脂層がフッ素樹脂、またはフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂であり、チューブ状形体物の内層と融着していることが好ましい。フッ素樹脂被覆金属線やフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線、あるいはフッ素樹脂フィラメントでチューブ状形体物に成形された内層は、そのままの状態では柔軟ではあるが変形しやすく、その外面をフッ素樹脂、またはフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂の外層用樹脂層で覆い融着した形状であれば機械的特性をより向上できるからである。
【0029】
前記外層用樹脂層として用いるフッ素樹脂は、特に限定するものではなくPFA、FEP、PTFE、PCTFE、PETFE、PVDFなどを単体でまたは混合して用いることができる。
【0030】
本発明においては、フッ素樹脂を外層用樹脂層として用いる場合には厚みが10〜300μmの範囲が好ましく、30〜100μmの範囲がより好ましい。この範囲であると医療用チューブとして十分な柔軟性、耐キンク性及び機械的特性を得ることができるからである。
【0031】
次に、前記外層用樹脂層として用いるフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂は、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線の被覆材料として用いたものをそのまま使用することができる。また、医療用チューブの要求特性に応じて、フッ素樹脂粉末の種類や混合量を変更して、被覆線の被覆層、あるいは外層用樹脂層として個別に使用することもできる。本発明においては、ポリイミド前駆体溶液に混合するフッ素樹脂粉末はPTFE、PFA、FEP、CPTFE等の粉末を単体で、あるいは混合して用いることができる。PTFE、PFA、FEPは耐熱性、離型性に優れ、また化学的に不活性であり好ましい材料である。前記フッ素樹脂粉末の混合量はポリイミド前駆体溶液の固形分に対して3〜50質量%の範囲が好ましい。特に好ましくは10〜40質量%の範囲である。
【0032】
また、前記フッ素樹脂粉末の平均粒径は、0.1〜25μmの範囲が好ましい。より好ましくは、1.0〜15μmの範囲である。このような範囲内であるとフッ素樹脂粉末の凝集が少なく均一に分散できるからである。
【0033】
また、前記フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線の被覆層、あるいはフッ素樹脂混合ポリイミド外層用樹脂層はポリイミド前駆体溶液を出発原料として用いることができ、前記ポリイミド前駆体溶液は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの略等モルを有機極性溶媒中で反応させて得ることができる。
【0034】
前記、芳香族テトラカルボン酸二無水物の代表例としては、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物等が挙げられる。
【0035】
また、前記芳香族ジアミンの代表例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド−3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、4,4’−ジアミノフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、m−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン等が挙げられる。
【0036】
これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物及び芳香族ジアミンは、単独で、あるいは混合して使用することができる。またポリイミド前駆体溶液まで完成させてそれらの前駆体を混合して使用することもできる。
【0037】
前記芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを反応させる有機極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、ジメチルテトラメチレンスルホン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γブチロラクトン等が挙げられる。これらの有機極性溶媒は単体でまたは混合して用いることができる。
【0038】
上記、ポリイミド前駆体溶液は、前記芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを有機極性溶媒中で通常は90度C以下で反応させることによって得られ、溶媒中の固形分濃度は、医療用チューブの仕様や加工条件によって設定することができるが10〜30質量%である。
【0039】
また、有機極性溶媒中で芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応させると、その重合状況によって溶液の粘度が上昇するが、使用に際しては所定の粘度に希釈して使用することができる。製造条件や作業条件によって通常1〜5000ポイズの粘度で使用される。
【0040】
また、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線、あるいはフッ素樹脂混合ポリイミド外層用樹脂層の外面にフッ素樹脂を析出させるためには、ポリイミド前駆体溶液中に混合している当該フッ素樹脂の融点を越える温度でイミド化処理する必要がある。前記イミド化処理の最高温度は、混合したフッ素樹脂の融点よりも10度C以上高い温度で30分以内の時間でイミド化を完結させることが好ましい。30分以上になるとフッ素樹脂の熱分解や、ポリイミドの機械的特性が低下するおそれがあり好ましくない。
【0041】
次に、本発明においては、フッ素樹脂、あるいはフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂よりなる外層樹脂層の外面に必要に応じて、さらにポリウレタン、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、ポリエステルなどのプラスチック材料を被覆して柔軟性、取り扱い操作性などの特性を付加することが好ましい。また、医療用チューブの必要特性により、離型性フィラメントをコイル状に回旋、または編組編みしたチューブ状形体物上に前記プラスチック材料を直接被覆することもできる。カテーテル等の医療用器具は疾患部位や施術の内容によって特性の異なる多くの種類のカテーテルが要求され、柔軟性、低コスト化などの要求に対応できるからである。
【0042】
本発明の医療用チューブは一例として次のような方法で製造できる。所定の外径(チューブの内径に相当する径)の長尺の金属線からなる芯体の表面に、あらかじめ作製したフッ素樹脂被覆金属線をコイル状に隙間無く密に回旋させてチューブ状形体物を成形する。その後、前記成形物をフッ素樹脂ディスパージョン中に浸漬し所定の厚みで塗布して外層用樹脂層を成形し、外層用樹脂層の焼成と同時に内層のフッ素樹脂被覆層と融着させ、一体化して長尺の医療用チューブ中間品を作製する。その後、前記長尺の医療用チューブ中間品を所定の長さに切断し、前記芯体の両端を掴み延伸し、その外径を小さくさせ抜取り本発明の医療用チューブを得ることができる。本発明の医療用チューブは、その内面がフッ素樹脂で形成されており、且つ、コイル状、または編組状の細かな凹凸を有するため、芯体から医療用チューブを傷つけることなく容易に抜き取ることがでる。
【0043】
本発明の製造方法において前記芯体は、ステンレス線、銀メッキ銅線などを用いることができる。芯体は使い捨てになるため、安価な金属線であることが好ましい。
【0044】
次に離型性フィラメントとして用いるフッ素樹脂被覆金属線は、溶融押出被覆法、静電粉体塗装法、あるいはフッ素樹脂分散液をコーティングし、焼成する方法などによって作製することができる。本発明においては、金属線の表面に必要によりプライマーを塗布し乾燥後、PTFE、PFA、FEPなどの分散液(ディスパージョン、あるいはエナメル溶液)を所定の厚みに塗布した後、フッ素樹脂を焼成して作製する方法が好ましい。この方法であるとフッ素樹脂を薄く、均一に被覆することができ、また金属線の断面形状が変わっても対応しやすいからである。
【0045】
次に、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線の製造方法は、あらかじめポリイミド前駆体溶液にフッ素樹脂粉末を混合した混合液中に金属線を浸漬し、所定の内径のダイスを用い一定の厚みに成形した後、乾燥及び加熱してイミド化を完結させて作製することができる。なお、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線の外面にフッ素樹脂を析出させるためには、前記イミド化を完結させるときの温度を、フッ素樹脂の融点よりも高い温度に加熱することが必須条件である。
【0046】
次に、フッ素樹脂被覆金属線、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線などの離型性フィラメントをコイル状に回旋または編組編みする方法は、定法によるコイリングマシン、横巻きシールド機、ブレードマシン、編組機などを用いて作製することができる。
【0047】
次に、外層用樹脂層の成形方法は、PFAやFEP、あるいはポリエチレン、ナイロンなどの熱可塑性プラスチック材料を外層用樹脂として用いる場合には溶融押出方法などで成形することができる。本発明においては、フッ素樹脂ディスパージョンやフッ素樹脂混合ポリイミド前駆体などの液体原料を用い、浸漬によりコーティングし、その後加熱焼成、あるいはイミド化を完結する方法であることが好ましい。この方法であるとコイル状に回旋、あるいは編組編みによって形成したチューブ状形体物の微小な凹凸部に液体原料を含浸したような状態で成形でき、内層と外層用樹脂層を一体化して強固に融着できるからである。また、図2に示すようにフッ素樹脂被覆金属線などが芯体に所定のピッチで螺旋状に回旋された場合であっても、チューブ状形体品を包み込むような構造で外層用樹脂層を成形でき、柔軟な医療用チューブを作製できるからである。
【0048】
次に、フッ素樹脂混合ポリイミド前駆体を金属線の被覆層、及び外層用樹脂層として用いて医療用チューブを製造する場合には、まず、フッ素樹脂混合ポリイミド被覆金属線を作製する工程でのイミド化温度は、フッ素樹脂の融点以下の温度で処理して被覆線を作製する。続いて芯体上に前記被覆金属線をコイル状に回旋させ、その表面に外層用樹脂層としてフッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液を塗布する。その後、フッ素樹脂の融点以上に加熱して被覆層と外層を融着させる方法が好ましい。フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線を作製する時に、フッ素樹脂の融点以下の温度でイミド化を進行させると、前記被覆金属線表面にはフッ素樹脂は析出していなく、その外面に外層用樹脂層となるフッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液の成形が容易だからである。
(実施例)
【0049】
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。また、本発明で得られた医療用チューブ内面の動摩擦抵抗値は以下の方法で測定した。図3に示すように長さ900mmの医療用チューブ52に、線径0.33mm,長さ1100mmのナイロン線(ユニチカ社製商品名“グンター4号”)51をあらかじめ挿入し、直径67mmのチューブ支持体53に前記チューブを4周巻き付け、その両端約25mm部分はそれぞれ垂直に保持し、粘着テープで固定し、この支持体を引張試験機の固定チャックに57に取り付ける。その後、前記ナイロン線51の片方の端部を引張試験機55のクリップ54に固定し、矢印56の方向に1分間に200mmの速度で引張り、このときの荷重を測定することにより、医療用チューブ内壁とナイロン線外面との摩擦抵抗値を測定した。引張り荷重が小さいほど摩擦抵抗は小さいことになる。測定は前記引張り荷重の値を引張り距離間100mmにわたりチャートに記録させ、そのデータより3回試験の平均値を算出した。
【実施例1】
【0050】
(1)フッ素樹脂被覆金属線の作製
直径0.05mmのステンレス線を準備し、プライマー(デュポン(株)社製「855−300」)中に浸漬し150度Cで乾燥して、約2μmの厚みにコーティングしたプライマーコート線を作製した。続いて、前記プライマーコート線をPTFEディスパージョン(デュポン(株)社製「855−510」)中に浸漬し、150度Cで乾後、380度Cで焼成し20μmの厚みでPTFEが被覆されたフッ素樹脂被覆金属線を作製し巻き取った。
【0051】
(2)コイル状に回旋した内層チューブ状形体物(A)の作製
芯体として外径0.5mmのステンレス線を用い、前記(1)工程で作製したフッ素樹脂被覆金属線を前記ステンレス線上に隙間なく密にコイル状に回旋し、フッ素樹脂被覆金属線によるチューブ状形体物(A)(芯体上にコイル状に回旋したチューブ状形体物)を作製した。
【0052】
(3)外層用樹脂層の成形
前記チューブ状形体物(A)を(1)項で使用したPTFEディスパージョン(デュポン(株)社製「855−510」)中に浸漬し、150〜270度Cの温度で乾燥し、浸漬と乾燥を5回繰り返しその後、380度Cで焼成し外層用樹脂層を成形した医療用チューブ中間品(A’)を作製した。外層用樹脂層の厚みは50μmであった。その後、前記医療用チューブ中間品(A’)を2mの長さに切断し、両端部の外層用樹脂層及び内層を約20mm剥がして芯体を露出させ、その両端を引っ張り縮径させ芯体を抜き取り、医療用チューブを得た。得られた医療用チューブの内径は0.5mmであり、総厚は約145μmで薄く、しかもコイル状に回旋した構造のフッ素樹脂被覆金属線で補強され、折れ曲がりや押し付けに強い医療用チューブを作製できた。また、内面の摩擦抵抗値を測定したところ、0.15Nであり、同径のPTFE単体チューブの摩擦抵抗値(0.3N)と比較して1/2であり、低摩擦特性を有する医療用チューブを得ることができた。
【実施例2】
【0053】
(1)フッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液の作製
ポリイミド前駆体溶液として((株)IST社製PyreML「RC5063」を用いた。この前駆体溶液は芳香族テトラカルボン酸二無水物としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物「BPDA」及び芳香族ジアミンとしてパラフェニレンジアミン「PPD」を用い、N−メチル−2−ピロリドン「NMP」中で重合したものであり固形分は17.5%であった。前記ポリイミド前駆体溶液に平均粒子径3.0μmのPTFE粉末(融点327度C:デュポン社製商品名「Zonyl MP1100」)をポリイミド前駆体溶液の固形分100質量部に対して28質量部の割合になるように添加して攪拌し均一に分散させた。その後250メッシュのステンレス金網を用いて粗い異物を濾過し、フッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液を得た。このポリイミド前駆体溶液の回転粘度は100ポイズであった。なお、回転粘度は温度23度CにおいてB型粘度計で測定した値である。
【0054】
(2)フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線の作製
直径0.05mmのステンレス線を準備し、前記フッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液中に浸漬し、ダイスを介して前駆体溶液の厚みが約5μに成るように塗布し、150度Cから250度Cの温度で乾燥させ、塗布及び乾燥を連続して繰り返してフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被膜の半硬化後の厚みを7μmに成形した。このフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線表面にはフッ素樹脂は析出していなく、ポリイミド樹脂が半硬化状態の被膜で被覆されたフッ素樹脂混合ポリイミド半硬化被覆金属線である。
【0055】
(3)コイル状に回旋したチューブ状形体物(B)の作製
芯体として外径1.25mmのステンレス線を用い、前記工程で作製したフッ素樹脂混合ポリイミド半硬化被覆線を隙間なく密に回旋してチューブ状形体物(B)(芯体上にコイル状に回旋したチューブ状形体物)を作製した。
【0056】
(4)外層用樹脂層の作製
前記チューブ状形体物(B)を本実施例(1)項で作成したフッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液に再度浸漬し、ダイスを介して塗布して、150〜250度Cの温度で乾燥し、塗布と乾燥を繰り返しその後、380〜400度Cでイミド化を完結させ医療用チューブ中間品(B’)を作製した。前記外層用樹脂層の厚みは30μmであった。その後、医療用チューブ中間品(B’)を2mの長さに切断し、芯体を縮径させ抜き取り、医療用チューブを作製した。得られた医療用チューブの内径は1.25mmであり、総厚は約95μmで薄く、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂から得られた外層用樹脂層表面及び内層の内面にはPTFE樹脂が溶融して析出し、フッ素樹脂が有する離型性、撥水性、及び低い摩擦特性を有し、折れ曲がりや押し付けに強い医療用チューブを作製できた。また、内面の摩擦抵抗値を測定したところ、0.22Nであり、低い摩擦抵抗を有する医療用チューブを作製することができた。
【実施例3】
【0057】
外径1.50mmの銀メッキ銅線を芯体として用い実施例1で作製したフッ素樹脂被覆金属線16本を編組編みしたチューブ状形体物(C)を作成した。その後、実施例1と同様にPTFEから成る外層用樹脂層を成形し医療用チューブ中間品(C’)を作製した後、芯体と分離して医療用チューブを作製した。得られた医療用チューブの内径は1.5mmであり、総厚みは220μmで薄く、編組加工されたフッ素樹脂被覆線で補強され、折れ曲がりや押し付けに強い医療用チューブを作製できた。また、内面の摩擦抵抗値を測定したところ、0.19Nであり、チューブの内外面がフッ素樹脂層で形成された低い摩擦抵抗を有する医療用チューブを得ることができた。
【実施例4】
【0058】
(1)PFAフィラメントによるチューブ状形体物(D)の作製
離型性フィラメントとして繊維径75μmのPFAフィラメントを用い、芯体として外径0.75mmのステンレス線の表面に前記フィラメントを隙間なく密にコイル状に回旋したPFAフィラメントによるチューブ状形体物(D)(コイル状に回旋したチューブ状形体物)を作製した。
【0059】
(2)外層用樹脂層の作製
前記PFAフィラメントによるチューブ状形体物(D)をPFAディスパージョン(デュポン社製商品名PFA920HPプラス「ENA−162−8」中に浸漬し、150〜250度Cの温度で乾燥し、ディッピングと乾燥を5回繰り返しその後、330度Cの温度で焼成して医療用チューブ中間品(D’)を作製した。外層用樹脂層の厚みは70μmであった。その後、医療用チューブ中間品(D’)を2mの長さに切断し、両端部の外層樹脂層及び内層を約20mm剥がして芯体を露出させ、前記芯体の両端を引っ張り縮径させ芯体を抜き取り、医療用チューブを得た。得られた医療用チューブの内径は0.75mmであり膜厚は145μmで薄く、しかもコイル状に回旋しPFAフィラメントで補強され、折れ曲がりや押し付けに強い医療用チューブを作製できた。また、内面の摩擦抵抗値を測定したところ、0.16Nであり、低い摩擦抵抗の医療用チューブを得ることができた。
【実施例5】
【0060】
実施例2において外層用樹脂層の作製時にフッ素樹脂混合ポリイミド前駆体のポリイミド前駆体溶液を((株)IST社製PyreML「RC5019」)に変えて外層用樹脂層の厚みを30μmに成形した用いた以外は実施例2と同様の条件で医療用チューブを作製した。なお、「RC5019」前駆体溶液は芳香族テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物「PMDA」及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル「ODA」をNMP中で重合したものであり固形分は17.5%であった。得られた医療用チューブの内径は1.25mmであり、総厚みは約95μmで薄く、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂から得られた外層用樹脂層表面にはPTFE樹脂が溶融して析出し、フッ素樹脂が有する離型性、撥水性、及び低い摩擦特性を有し、折れ曲がりや押し付けに強い医療用チューブを作製できた。また、内面の摩擦抵抗値を測定したところ、0.15Nであり、低い摩擦抵抗の医療用チューブを得ることができた。また、この医療用チューブは外層用樹脂層に用いたポリイミド樹脂が柔軟な特性を有することから実施例2で作製した医療用チューブよりも耐キンク性、柔軟性に優れていた。
【実施例6】
【0061】
実施例1で作成したフッ素樹脂被覆金属線を用いたチューブ状形体物(A)を用い、このチューブ状形体物(A)を350度Cのトンネル炉内を通過させて熱処理し、コイル状に隙間なく密に回旋したフッ素樹脂被覆金属線の各被覆層を融着させた。その後、外層樹脂層として常温硬化型ウレタン樹脂(日本ポリウレタン(株))をダイス成形によって70μmの厚みに成形し、硬化反応を十分に促進させるため100度Cの温度で熱処理し、その後芯体を抜き取り内層がフッ素樹脂被覆金属線のチューブ状形体物からなり、外層がポリウレタンで被覆された医療用チューブを得た。得られた医療用チューブの総厚みは約165μmと一般のカテーテルチューブと比較して薄く内面の摩擦抵抗値を測定した結果0.12Nであり、内面の低摩擦化と共に、折れ曲げに強く、柔軟性に優れた医療用チューブを作製できた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の医療用チューブはカテーテルや内視鏡などの基幹となるチューブとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施例1のフッ素樹脂被覆金属線を隙間無く密に回旋した構造の医療用チューブの模式断面図である
【図2】本発明の医療用チューブでフッ素樹脂被覆金属線を所定のピッチで螺旋状に回旋した構造の医療用チューブの模式断面図である
【図3】本発明の医療用チューブ内面の動摩擦抵抗の測定方法を示す概略図である。
【符号の説明】
【0064】
1 フッ素樹脂被覆金属線
2 外層用樹脂層
3 金属線
4 金属線の被覆層
50 動摩擦抵抗測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層と外層の少なくとも2層からなる医療用チューブであって、前記内層が離型性フィラメントをコイル状に回旋したチューブ状形体物、または離型性フィラメントを編組編みしたチューブ状形体物から成り、前記内層の外面が外層用樹脂層で被覆された構造を有する医療用チューブ。
【請求項2】
前記離型性フィラメントは、金属線の表面をフッ素樹脂で被覆したフッ素樹脂被覆金属線、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂で被覆したフッ素樹脂混合ポリイミド樹脂被覆金属線、及びフッ素樹脂フィラメントから選ばれる少なくとも1つの離型性フィラメントであることを特徴とする請求項1に記載の医療用チューブ。
【請求項3】
前記外層用樹脂層がフッ素樹脂または、フッ素樹脂混合ポリイミド樹脂であって前記チューブ状形体物内層と融着していることを特徴とする請求項1に記載の医療用チューブ。
【請求項4】
連続した金属線から成る芯体の表面に離型性フィラメントをコイル状に回旋、または編組編み加工してチューブ状形体物を作製した後、前記チューブ状形体物の外面を外層用樹脂層で被覆して医療用チューブ中間品を作製し、その後、該医療用チューブ中間品と芯体を分離することを特徴とする医療用チューブの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−229452(P2007−229452A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22587(P2007−22587)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(391059399)株式会社アイ.エス.テイ (102)
【Fターム(参考)】