説明

医療用フィルターおよびフィルター廃却方法。

【課題】医療現場の血や唾液や痰や膿等の粘性の異物が詰まり難く、細菌類の感染の心配の少ない、フィルターエレメントを提供する。
【解決手段】医療現場で発生した異物を真空引きしその中の比較的大きな異物を除去した後の流体から更に異物を除去する目的で配設した医療用フィルターである。フィルターエレメント51に早期に粘性の異物が付着し機能が低下するのを防止する目的で、フィルターエレメント51の上流である内側に大きな異物しか捕捉出来ない異物分離手段56、56Aを設け、流体流路zがフィルターを構成しているボディ52から異物分離手段56、56Aの内側とフィルターエレメント51の外側と内側に各々保持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用フィルターおよびフィルター廃却方法に関する技術であって、更に詳細に述べると、粘性の異物が多い不衛生で寿命の短い医療現場で使用するフィルターに関し、特に粘性の異物に対処した具体的な構成と方策を示した医療用フィルターおよびフィルター廃却方法について述べたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に使用しているフィルターとして、分離する異物の種類や大きさ等によって、3μm以上の大きさの異物を捕捉出来るような性能を持ったプレフィルタや0.3μm以上の大きさの異物や油を捕捉出来るような性能を持った油分除去フィルタや0.01μm以上の大きさの異物や油を捕捉出来るような性能を持った高性能油分除去フィルタを、状況に合わせて時には二種類や三種類を複合して使用し、その応用としてドレントラップの作動を考慮してまた気液を分離する、圧縮空気からの異物分離方法および異物分離装置に関するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
以下、従来の圧縮空気からの異物分離方法および異物分離装置について説明する。
【0004】
この場合、エアーコンプレッサ11からの圧縮空気吐出配管101、102、103、104、111、112の途中にプレフィルタ22A、または前記プレフィルタ22Aおよび油分除去フィルタ24または/および高性能油分除去フィルタ25のいずれかを配設した圧縮空気からの異物分離装置において、オートドレントラップ21bを備えフィルターエレメント22aを内蔵した前記プレフィルタ22Aを前記エアーコンプレッサ11に一番近い所に配設し、圧縮空気が前記フィルターエレメント22aの内側から外側に流れるように圧縮空気流路zを形成し、圧縮空気内の3μm以上の大きさの異物を前記フィルターエレメント22aによって捕捉し前記フィルターエレメント22aの内部に残留させ、前記異物x以外の圧縮空気や水滴となったドレンyだけが前記フィルターエレメント22aの外側に送り込まれることで前記オートドレントラップ21bに到達しないように前記フィルターエレメント22aを構成し、前記フィルターエレメント22aの内側に、前記フィルターエレメント22aとは別に、圧縮空気の気液を分離する気液分離手段30、32を配設した内容のものであった。
【特許文献1】 特許番号第3326741号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の、圧縮空気からの異物分離方法および異物分離装置に関しては、以下に示すような課題があった。
【0006】
先ず、従来は分離する異物の種類や大きさ等によって状況に合わせて時には二種類や三種類のフィルターを複合して使用していたが、医療現場の血や唾液や痰や膿等の粘性の異物に対してはフィルターエレメントで詰まり易いという特異な状況が有った。
【0007】
また、医療用フィルターということは、患者からの異物に触れる可能性が有り、細菌類の感染に対する心配がある中で、十分に配慮されていなかった。
【0008】
特に、フィルターエレメントの交換に際しては、最も細菌類の感染に対する心配があったが、十分に配慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、医療現場で発生した異物を真空引きしその中の比較的大きな異物を除去した後の流体から更に異物を除去する目的で配設したフィルターエレメント51を内蔵した医療用フィルター50A、50B、50C、50Dがある中で、前記フィルターエレメント51に早期に粘性の異物が付着し機能が低下するのを防止する目的で、前記フィルターエレメント51の上流である内側に前記フィルターエレメント51の異物捕捉能力に較べて大きな異物しか捕捉出来ない異物分離手段56、56Aを設け、流体流路zが前記フィルター50A、50B、50C、50Dを構成しているボディ52から前記異物分離手段56、56Aの内側と前記フィルターエレメント51の外側に形成され、前記異物分離手段56、56Aと前記フィルターエレメント51で捕捉した各々の異物は前記異物分離手段56、56Aと前記フィルターエレメント51の内側に各々保持していることを特徴とし、更には、前記異物分離手段56、56Aに早期に粘性の異物が付着し機能が低下するのを防止する目的で、前記異物分離手段56、56Aの上流である内側に粘性の異物が付着し易い異物付着手段57を配設したことを特徴とし、更には、医療現場で発生した異物を真空引きしその中の比較的大きな異物を除去した後の流体から更に異物を除去する目的で配設したフィルターエレメント51を内蔵した医療用フィルター50Eがある中で、前記フィルターエレメント51に早期に粘性の異物が付着し機能が低下するのを防止する目的で、前記フィルターエレメント51の上流である内側に粘性の異物が付着し易い異物付着手段57を設け、流体流路zが前記フィルター50Eを構成しているボディ52から前記フィルターエレメント51の内側と前記フィルターエレメント51の外側に形成され、前記フィルターエレメント51で捕捉された異物は前記フィルターエレメント51の内側に保持されていることを特徴とし、更には、前記異物分離手段56、56Aは金網56または布袋56Aであり、前記異物付着手段57は布57であることを特徴とし、更には、前記布57は、硬い材料のものであることを特徴とし、更には、前記フィルターエレメント51は前記ボディ52とケース53の間に位置するものであり、前記ボディ52の下部で前記フィルターエレメント51を上部鍔51bの内側に位置させたOリング54によって装着し、その後に前記ボディ52に前記ケース53を螺合によって締結すると同時に前記フィルターエレメント51を確実に固定する構成になっているものであることを特徴とし、更には、前記ボディ52に形成された前記流体流路zに消毒液を流すことが可能なように消毒液容器41を設けたことを特徴とし、更には、前記フィルターエレメント51の交換に際して真空引きの影響を防ぐ目的で、前記フィルター50A、50B、50C、50D、50Eの前後に開閉弁48、49を設けたことを特徴とすることによって、上記課題を解決したのである。
【0010】
また本発明は、防水袋を用意し、その防水袋でケース53を配水管58も含めて覆い、ボディ52と前記ケース53の螺合による締結を防水袋ごと前記ケース53を回転させることによって離脱させ、前記フィルターエレメント51を取出すものであることを特徴とし、更には、別の防水袋を用意し、前記ケース53と前記フィルターエレメント51が同時に離脱した場合には、前記ケース53を逆さに転倒させることで別の防水袋に前記フィルターエレメント51を収納し、前記ケース53だけが離脱した場合には、別の防水袋で前記フィルターエレメント51を覆い、前記ボディ52と前記フィルターエレメント51の間の前記Oリング54による装着を別の防水袋ごと前記フィルターエレメント51を引き下げることによって離脱させ収納し、別の防水袋ごと前記フィルターエレメント51を廃却することを特徴とすることによって、上記課題を解決したのである。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明によって、以下に示すような効果をあげることが出来る。
【0012】
第一に、フィルターエレメントに加えて、異物分離手段を、更には異物付着手段を設けることによって、特に異物分離手段としてフィルターエレメントの異物捕捉能力に較べて大きな異物しか捕捉出来ない金網や布袋をフィルターエレメントの上流に位置させ、異物付着手段として布をその中でも硬い材料のものをフィルターエレメントや異物分離手段の上流である内側に収納することで、粘性の異物によって早期にフィルターエレメントの機能が低下するのを防止出来るようになった。
【0013】
第二に、フィルターエレメントはボディとケースの間に位置するものであり、ボディの下部でフィルターエレメントを上部鍔の内側に位置させたOリングによって装着し、その後にボディにケースを螺合によって締結すると同時にフィルターエレメントを確実に固定する構成により、分解即ちフィルターエレメント交換に容易な構成となっている。
【0014】
第三に、消毒液を流すことが可能なように消毒液容器を設けることで、細菌に配慮したフィルターとなった。
【0015】
第四に、フィルターの前後に開閉弁を設けることで、装置全体を停止させなくてもフィルターエレメントの交換が可能となった。
【0016】
第五に、本発明によるフィルターの構成と、フィルターエレメント交換に際しての防水袋の使用によって、異物に触れる事無くフィルターエレメントの交換が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の医療用フィルターおよびフィルター廃却方法の実施の形態を図面と共に詳細に説明する。
ここで、図1は、本発明の全体図であり、図2は、本発明の医療用フィルターの第一例であり、図3は、本発明の医療用フィルターの第二例であり、図4は、本発明の医療用フィルターの第三例であり、図5は、本発明の医療用フィルターの第四例であり、図6は、本発明の医療用フィルターの第五例である。
【0018】
一般に、歯科医や外科医や内科医等の医療現場に於いて、図1に見られる様な装置によって医療現場で発生した異物を回収して処理している。 即ち、真空ポンプ70に吸引配管101、102、103、104、105、106を接続し真空引きをしている中で、吸引配管101の端末に吸引器具20を接続し、レバー20aの吸引操作によって吸引口20bより、例えば歯科医の医療現場では、歯を削った物や血や唾液や痰や膿等の粘性の有る異物を吸引していた。
【0019】
この場合、吸引された異物は、汚物槽30に集められる。 ここで、汚物槽30は隔壁30aを形成して、重かったり大きな異物は、隔壁30aに衝突することで汚物30xとして底部に貯溜されていく。 尚、吸引器具20の接続している吸引配管101に関しては一組に限定する必要は無く、複数組を汚物槽30に接続しても構わない。
【0020】
当然のことながら、ビールスや細菌類や微小の異物は汚物槽30を通過し下流に流れて行く。 その為に、ビールスや細菌類や微小の異物を捕捉する目的で、汚物槽30に、吸引配管102と開閉弁48と吸引配管103といずれかのフィルター50A、50B、50C、50D、50Eと吸引配管104と開閉弁49と吸引配管105を接続しているのである。
【0021】
更に、吸引配管105に続いて真空タンク60を接続し、吸引配管106から真空ポンプ70と接続している。
【0022】
ここで、開閉弁48,49の目的は、真空ポンプ70を含めたこの様な装置が作動している中で装置全体を停止させないでフィルターエレメント51の交換が可能な様に設けたものである。 この場合、図1に見られる様に、一組の吸引器具20と前後の開閉弁48、49を含めた一組のいずれかのフィルター50A、50B、50C、50D、50Eだけでは、その効果は明確に感じられないと思うが、複数組の吸引器具20と前後の開閉弁48、49を含めた複数組のいずれかのフィルター50A、50B、50C、50D、50Eという設定の場合を考えた場合には、装置全体を停止すると言う事は非常に問題が大きいということである。
【0023】
また、真空タンク60の目的は、真空引きをしている中で、複数組の吸引器具20が一斉に使用された場合、真空ポンプ70の能力によって能力不足になる可能性が有るが、それを防止する為に設けたものである。
【0024】
以下に、フィルター50A、50B、50C、50D、50Eに関し各種の実施例の具体的な内容を記載する。
【0025】
(第一実施例)
図2に於いて、50Aはフィルターであり、フィルターエレメント51とボディ52とケース53とパッキン55と異物分離手段56としての金網56と配水管58と開閉弁59と消毒液容器41と消毒液配管42と開閉弁43から構成されている。
【0026】
尚、フィルターエレメント51は、エレメント本体51aと上部鍔51bと下部鍔51cとOリング54によって構成されている。 この場合、上部鍔51bは、ドーナツの形状をして中央部を流体が通過出来るようになっていて、Oリング54は、上部鍔51bの内側に形成され、下部鍔51cは、円盤状の形をしている。 従って、フィルターエレメント51の下部は、閉じた状態になっている。 この様に、フィルターエレメント51を構成することによって、フィルターエレメント51で捕捉された異物は、フィルターエレメント51の内部に滞留するようになっている。
【0027】
そして、このフィルターエレメント51は、フィルター50Aを構成しているボデイ52とケース53に間に配設されていて、ボデイ52の雌ネジ52kとケース53の雄ネジ53yを螺合によって結合することで、ボデイ52の段部52iとケース53の三ないし数個所の座53zの間に位置するようになっている。 この場合、ボデイ52とケース53の間にはパッキン55を配設して流体の漏洩を防止しているが、位置としては、ケース53の上端部側に配設しても構わない。 また、ボデイ52とケース53の間のパッキン55は、Oリングや他のものでも構わない。
【0028】
ここで、フィルターエレメント51を構成している上部鍔51bの内側に配設したOリング54が、フィルター50Aを構成しているボデイ52の上部鍔接触面52jに接触することによって、フィルターエレメント51の上部で、フィルターエレメント51内部と外部の間を流体が漏洩するのを防止している。
【0029】
また、フィルターエレメント51を構成している下部鍔51cは、フィルター50Aを構成しているケース53の内側に形成された3ないし数個所の座53zに載置された状態となっている。
【0030】
更に、ボデイ52は、流体流路zの一部である入口52xと流路52zと出口52yを形成している。 また、フィルターエレメント51を構成している下部鍔51cが、フィルター50Aを構成しているケース53の内側に形成された座53zに載置されることによって、フィルター50Aを構成しているケース53をフィルターエレメント51の外側と内側と下部の三つの部屋に分型している。
【0031】
一方、このフィルターエレメント51の上流である内側には、異物分離手段56としての金網56が収納されていて、金網56は金網本体56aと上部フランジ56bと下フランジ56cによって構成されている。 この場合、上部フランジ56bは、ドーナツの形状をして中央部を流体が通過出来るようになっていて、下部フランジ56cは、円盤状の形をしている。 従って、金網56の下部は、閉じた状態になっている。 尚、下部フランジ56cは、金網本体56aと同じ材料ということも考えられる。 この様に、金網56を構成することによって、金網56で捕捉された異物は、金網56の内部に滞留するようになっている。
【0032】
特に、異物分離手段56としての金網56に関して述べると、医療現場で使用するフィルターの場合、血や唾液や痰や膿等の粘性の有る異物が流れてきて早い時点でフィルターエレメント51を詰まらせるが、それを防止する目的でフィルターエレメント51の上流である内側に異物分離手段56としての目の粗い金網56を配設したもので、この目の粗い金網56による粘性の有る異物を阻止はするが詰まらせるまでには至らないという働きによって、従来の課題に対応したものである。 また、異物分離手段56としての目の粗い金網56は、フィルターエレメント51の異物捕捉能力に較べて大きな異物しか捕捉出来ない、能力的には一ランク下回る性能のものを配備していることに特徴を持っているのである。
【0033】
そして、ボデイ52の入口52xと、ボデイ52の流路52zと、金網56の内側と、金網本体56aと、金網56の外側と、フィルターエレメント51の内側と、エレメント本体51aと、フィルターエレメント51の外側と、ボデイ52の出口52yとで流体流路zを形成している。
【0034】
更に、ボディ52の上部には消毒液配管42が接続してあって、消毒液配管42の端部には消毒用の消毒液を貯溜する目的の消毒液容器41が、消毒液配管42の途中には手動で流路を開閉する開閉弁43が配設してある。 尚、消毒液配管42に関しては、螺合による場合も考えられる。
【0035】
また、ケース53下部に形成している水排出口53xには、配水管58がケース53と螺合によって結合し、配水管58の途中には手動で流路を開閉する開閉弁59が配設してあって、必要に応じて水を排出するようになっている。
【0036】
本発明による、医療用フィルターおよびフィルター廃却方法は前述したように構成されており、以下に、その動作について説明する。
【0037】
先ず、装置全体が接続した状態で準備され、フィルター50A前後の開閉弁48、49が開放され、フィルター50Aを構成している開閉弁43、59が閉鎖している中で、真空ポンプ70を作動させると、排気301を出しながら真空タンク60を真空状態にさせていく。
【0038】
その様な状態で、吸引器具20のレバー20aを吸引の状態に操作すると、吸引器具20の吸引口20bより医療現場での異物を吸引する。
【0039】
この場合、吸引された異物は真空引きによって、吸引配管101を経由して汚物槽30に送り込まれる。 ここで、吸引された異物の大半は、隔壁30aに衝突して汚物槽30の底部に汚物30xとして貯溜される。
【0040】
一方、汚物槽30で捕捉されなかったビールスや細菌類や微小の異物は、真空引きされた流体に混ざって、吸引配管102と開閉弁48と吸引配管103を通って、フィルター50Aを構成しているボディ52の入口52xと流路52zを経由して異物分離手段56である金網56の内側に到達する。 ここで、粘性の異物は金網本体56aによって捕捉され、他の異物xも含め金網56の内側に残留させられる。 この事によって、特に粘性の異物と一部の異物xだけが確実に捕捉除去されて、フィルターエレメント51の内側に送り込まれる。
【0041】
また、フィルターエレメント51の内側に送り込まれた流体は、一部の異物xをフィルターエレメント51の内側に残留させながら、エレメント本体51aを通り特にビールスや細菌類が取り除かれてフィルターエレメント51の外側からボディ52の出口52yを通り、吸引配管104と開閉弁49と吸引配管105と真空タンク60と吸引配管106と真空ポンプ70を経由して排気301として排出される。
【0042】
尚、金網56の内側から金網本体56aとエレメント本体51aを経由してフィルターエレメント51の外側に流体が流れる過程で発生した水滴yは、フィルターエレメント51の外側からケース53の下部に滴下するようになっている。
【0043】
ところで、一定の期間経過した場合また特にフィルターエレメント51の性能か低下した場合には、異物分離手段56である金網56を含めてフィルターエレメント51の交換が必要となる。
【0044】
その際には、汚物槽30と真空タンク60の間に、吸引配管102と開閉弁48と吸引配管103とフィルター50Aと吸引配管104と開閉弁49と吸引配管105のフィルターを含めた配管系列が並列で複数組配設しているという前提の下に、交換しようとするフィルターエレメント51を構成しているフィルター50Aの前後の開閉弁48、49を閉鎖の状態にする。
【0045】
その中で先ず、開閉弁43を開いて消毒液容器41の中の消毒液を滴下し、フィルター50Aの内部を消毒する。
【0046】
そこで、防水袋と成り得るビニール袋またはポリエチレン袋を用意し、その防水袋でケース53を配水管58も含めて覆い、ボディ52とケース53の螺合による締結を防水袋ごとケース53を回転させることによって離脱させる。
【0047】
一方、別の防水袋を用意し、ケース53とフィルターエレメント51が同時に離脱した場合には、ケース53を逆さに転倒させることで別の防水袋にフィルターエレメント51を収納し、ケース53だけが離脱した場合には、別の防水袋でフィルターエレメント51を覆い、ボディ52とフィルターエレメント51の間のOリング54による装着を別の防水袋ごとフィルターエレメント51を引き下げることによって離脱させ収納し、別の防水袋ごとフィルターエレメント51を廃却する。
【0048】
当然のことながら、フィルターエレメント51の内側には、異物分離手段56としての金網56が収納されているので、異物分離手段56としての金網56もフィルターエレメント51と同時に廃却されることになる。
【0049】
この様に、防水袋を使用してフィルターエレメント51を交換することによって、医療フィルターとして使用したフィルターエレメント51でも患者の異物に触れる可能性を確実に防ぎ、ビールスや細菌類に感染する可能性を排除して、安全な交換が可能になったのである。
【0050】
(第二実施例)
図3に於いて、50Bはフィルターであり、フィルターエレメント51とボディ52とケース53とパッキン55と異物分離手段56としての金網56と異物付着手段57としての小片の布57と配水管58と開閉弁59と消毒液容器41と消毒液配管42と開閉弁43から構成されている。
【0051】
この場合、第二実施例が第一実施例と異なる点は、異物分離手段56としての金網56の上流である内側に異物付着手段57としての粘性の異物が付着し易い小片の布57を収納している点である。
【0052】
ここで、異物付着手段57としての小片の布57を収納している理由は、第一実施例で血や唾液や痰や膿等の粘性の有る異物を取り除く目的でフィルターエレメント51の内側に異物分離手段56としての金網56を収納しているが、更にその効果を高める為に小片の布57を収納したものである。
【0053】
尚、小片の布57に関しては、1〜30平方cmの大きさのポリプロピレンやポリスチレンの繊維が考えられるが、硬い材料のものを使用すると更に効果的である。 その理由は、真空引きをしている状況の下で、布57の大きさが大きい程、金網56の内側に付着しにくいということと、硬い材料を使用すればその効果が更に顕著であることによるものである。 従って、布57は大きいという意味を含めて、細長い形状にすることも非常に有効である。
【0054】
また、収納の密度としては、空間部の3〜80%を占めるように、それなりの空間が確保されることが非常に望ましい。 その理由は、収納の密度が80%を越すと目詰まりを起こし易く、収納の密度が3%以下であると金網56の内側に小片の布57が付着し易いことによるものであるが、当然粘性の有る異物の状況によって異なってくる。 更に、細長い形状にしたり硬い材料を使用するほど、収納の密度が小さくても構わないという状況でもある。
【0055】
ところで、前述以外の内容に関しては、第一実施例と同じ内容の記載となるので省略する。
【0056】
本発明による、医療用フィルターおよびフィルター廃却方法は前述したように構成されており、その動作については、第一実施例と概ね同じ内容となるので省略する。
【0057】
(第三実施例)
図4に於いて、50Cはフィルターであり、フィルターエレメント51とボディ52とケース53とパッキン55と異物分離手段56Aとしての布袋56Aと配水管58と開閉弁59と消毒液容器41と消毒液配管42と開閉弁43から構成されている。
【0058】
この場合、第三実施例が第一実施例と異なる点は、異物分離手段56としての金網56の代わりに異物分離手段56Aとしての布袋56Aを構成している点で金網56の代わりに布袋56Aを使用したものである。 尚、布袋56Aの材料としては、目の粗いポリプロピレンやポリスチレンの繊維が考えられるが、硬い材料のものを使用するのが望ましいとも言える。
【0059】
もう少し具体的には、異物分離手段56Aとしての布袋56Aがフィルターエレメント51の異物捕捉能力に較べて大きな異物しか捕捉出来ないような目の粗い布製である必要がある。 また、布袋56Aは、布袋本体56mとバネ金具56nより構成されていて、布袋本体56mの入口に装着したバネ金具56nを、ボディ52の流路52zの内側に差し込むことで拡大しながら押し付ける方向で固定するような構成となっている。
【0060】
ところで、前述以外の内容に関しては、第一実施例と同じ内容の記載となるので省略する。
【0061】
本発明による、医療用フィルターおよびフィルター廃却方法は前述したように構成されており、その動作については、第一実施例と概ね同じ内容となるので省略する。
【0062】
(第四実施例)
図5に於いて、50Dはフィルターであり、フィルターエレメント51とボディ52とケース53とパッキン55と異物分離手段56Aとしての布袋56Aと異物付着手段57としての小片の布57と配水管58と開閉弁59と消毒液容器41と消毒液配管42と開閉弁43から構成されている。
【0063】
この場合、第四実施例が第三実施例と異なる点は、異物分離手段56Aしての布袋56Aの内側に異物付着手段57としての小片の布57を収納している点である。
【0064】
ここで、異物付着手段57としての小片の布57を収納している理由は、第三実施例で血や唾液や痰や膿等の粘性の有る異物を取り除く目的でフィルターエレメント51の内側に異物分離手段56Aしての布袋56Aを収納しているが、更にその効果を高める為に小片の布57を収納したものである。
【0065】
尚、小片の布57に関しては、硬い材料のものを使用すると更に効果的である。 その理由は、硬い材料を使用すれば、真空引きをしている状況の下で金網56の内側に小片の布57が付着しにくいということによるものである。 但し、布57に関しては、第二実施例と同じ内容の記載になるので省略する。
【0066】
ところで、前述以外の内容に関しては、第一実施例や第二実施例や第三実施例と同じ内容の記載となるので省略する。
【0067】
本発明による、医療用フィルターおよびフィルター廃却方法は前述したように構成されており、その動作については、第一実施例や第二実施例や第三実施例と概ね同じ内容となるので省略する。
【0068】
(第五実施例)
図6に於いて、50Eはフィルターであり、フィルターエレメント51とボディ52とケース53とパッキン55と異物付着手段57としての小片の布57と配水管58と開閉弁59と消毒液容器41と消毒液配管42と開閉弁43から構成されている。
【0069】
この場合、第五実施例が第二実施例や第四実施例と異なる点は、異物分離手段56としての金網56や異物分離手段56Aしての布袋56Aの内側に異物付着手段57としての小片の布57を収納しているのに対し、フィルターエレメント51の内部に異物分離手段56としての金網56や異物分離手段56Aしての布袋56Aを使用せず異物付着手段57としての小片の布57だけを収納した点である。 尚、異物付着手段57としての小片の布57の内容に関しては第二実施例に記載しているので省略する。 但し、異物付着手段57としての布57は、フィルターエレメント51に早期に粘性の異物が付着し機能が低下するのを防止する目的で配設したものである。
【0070】
ところで、前述以外の内容に関しては、第一実施例や第二実施例と同じ内容の記載となるので省略する。
【0071】
本発明による、医療用フィルターおよびフィルター廃却方法は前述したように構成されており、その動作については、第一実施例や第二実施例と概ね同じ内容となるので省略する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】 本発明の全体図
【図2】 本発明の医療用フィルターの第一例
【図3】 本発明の医療用フィルターの第二例
【図4】 本発明の医療用フィルターの第三例
【図5】 本発明の医療用フィルターの第四例
【図6】 本発明の医療用フィルターの第五例
【符号の説明】
【0073】
20・・・・・・吸引器具
20a・・・・・レバー
20b・・・・・吸引口
30・・・・・・汚物槽
30a・・・・・隔壁
30x・・・・・汚物
41・・・・・・消毒液容器
42・・・・・・消毒液配管
43・・・・・・開閉弁
48・・・・・・開閉弁
49・・・・・・開閉弁
50A・・・・・フィルター
50B・・・・・フィルター
50C・・・・・フィルター
50D・・・・・フィルター
50E・・・・・フィルター
51・・・・・・フィルターエレメント
51a・・・・・エレメント本体
51b・・・・・上部鍔
51c・・・・・下部鍔
52・・・・・・ボディ
52i・・・・・段部
52j・・・・・上部鍔接触面
52k・・・・・雌ネジ
52x・・・・・入口
52y・・・・・出口
52z・・・・・流路
53・・・・・・ケース
53x・・・・・水排出口
53y・・・・・雄ネジ
53z・・・・・座
54・・・・・・Oリング
55・・・・・・パッキン
56・・・・・・異物分離手段(金網)
56A・・・・・異物分離手段(布袋)
56a・・・・・金網本体
56b・・・・・上部フランジ
56c・・・・・下部フランジ
56m・・・・・布袋本体
56n・・・・・バネ金具
57・・・・・・異物付着手段(布)
58・・・・・・配水管
59・・・・・・開閉弁
60・・・・・・真空タンク
70・・・・・・真空ポンプ
101・・・・・吸引配管
102・・・・・吸引配管
103・・・・・吸引配管
104・・・・・吸引配管
105・・・・・吸引配管
106・・・・・吸引配管
301・・・・・排気
x・・・・・・・異物
y・・・・・・・水滴
z・・・・・・・流体流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療現場で発生した異物を真空引きしその中の比較的大きな異物を除去した後の流体から更に異物を除去する目的で配設したフィルターエレメント(51)を内蔵した医療用フィルター(50A、50B、50C、50D)がある中で、前記フィルターエレメント(51)に早期に粘性の異物が付着し機能が低下するのを防止する目的で、前記フィルターエレメント(51)の上流である内側に前記フィルターエレメント(51)の異物捕捉能力に較べて大きな異物しか捕捉出来ない異物分離手段(56、56A)を設け、流体流路(z)が前記フィルター(50A、50B、50C、50D)を構成しているボディ(52)から前記異物分離手段(56、56A)の内側と前記フィルターエレメント(51)の外側に形成され、前記異物分離手段(56、56A)と前記フィルターエレメント(51)で捕捉した各々の異物は前記異物分離手段(56、56A)と前記フィルターエレメント(51)の内側に各々保持していることを特徴とする医療用フィルター。
【請求項2】
前記異物分離手段(56、56A)に早期に粘性の異物が付着し機能が低下するのを防止する目的で、前記異物分離手段(56、56A)の上流である内側に粘性の異物が付着し易い異物付着手段(57)を配設したことを特徴とする請求項1に記載の医療用フィルター。
【請求項3】
医療現場で発生した異物を真空引きしその中の比較的大きな異物を除去した後の流体から更に異物を除去する目的で配設したフィルターエレメント(51)を内蔵した医療用フィルター(50E)がある中で、前記フィルターエレメント(51)に早期に粘性の異物が付着し機能が低下するのを防止する目的で、前記フィルターエレメント(51)の上流である内側に粘性の異物が付着し易い異物付着手段(57)を設け、流体流路(z)が前記フィルター(50E)を構成しているボディ(52)から前記フィルターエレメント(51)の内側と前記フィルターエレメント(51)の外側に形成され、前記フィルターエレメント(51)で捕捉された異物は前記フィルターエレメント(51)の内側に保持されていることを特徴とする医療用フィルター。
【請求項4】
前記異物分離手段(56、56A)は金網(56)または布袋(56A)であり、前記異物付着手段(57)は布(57)であることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の医療用フィルター。
【請求項5】
前記布(57)は、硬い材料のものであることを特徴とする請求項4に記載の医療用フィルター。
【請求項6】
前記フィルターエレメント(51)は前記ボディ(52)とケース(53)の間に位置するものであり、前記ボディ(52)の下部で前記フィルターエレメント(51)を上部鍔(51b)の内側に位置させたOリング(54)によって装着し、その後に前記ボディ(52)に前記ケース(53)を螺合によって締結すると同時に前記フィルターエレメント(51)を確実に固定する構成になっているものであることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の医療用フィルター。
【請求項7】
前記ボディ(52)に形成された前記流体流路(z)に消毒液を流すことが可能なように消毒液容器(41)を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の医療用フィルター。
【請求項8】
前記フィルターエレメント(51)の交換に際して真空引きの影響を防ぐ目的で、前記フィルター(50A、50B、50C、50D、50E)の前後に開閉弁(48、49)を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の医療用フィルター。
【請求項9】
防水袋を用意し、その防水袋でケース(53)を配水管(58)も含めて覆い、ボディ(52)と前記ケース(53)の螺合による締結を防水袋ごと前記ケース(53)を回転させることによって離脱させ、前記フィルターエレメント(51)を取出すものであることを特徴とするフィルター廃却方法。
【請求項10】
別の防水袋を用意し、前記ケース(53)と前記フィルターエレメント(51)が同時に離脱した場合には、前記ケース(53)を逆さに転倒させることで別の防水袋に前記フィルターエレメント(51)を収納し、前記ケース(53)だけが離脱した場合には、別の防水袋で前記フィルターエレメント(51)を覆い、前記ボディ(52)と前記フィルターエレメント(51)の間の前記Oリング(54)による装着を別の防水袋ごと前記フィルターエレメント(51)を引き下げることによって離脱させ収納し、別の防水袋ごと前記フィルターエレメント(51)を廃却することを特徴とする請求項9に記載のフィルター廃却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−81869(P2006−81869A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302156(P2004−302156)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000154521)株式会社フクハラ (87)
【Fターム(参考)】