説明

医療用具用洗浄剤

【課題】腐食性を有さず、環境負荷が小さく、優れた洗浄性を有し、洗浄性が長期間持続する医療用具用洗浄剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物、酵素及び水を含有する医療用具用洗浄剤。好ましくはさらにN−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩、アルギニン塩酸塩などの化合物を含有する。


[式中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用具用洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
血液洗浄のための人工透析は、半透膜を介し、患者の血液と透析液を間接的に接触させ、血液中の老廃物除去、塩濃度調整、水分除去を行う治療法である。
【0003】
人工透析装置やそれに付随する管などには多様な汚れが付着する。例えば、タンク等の開放部分から入り込む細菌や、血液等由来のたんぱく汚れ、脂肪などの他、炭酸カルシウムなどが付着する。
人工透析装置及びその周辺機器の洗浄および消毒方法としては、
(1)患者体内より濾過されたタンパク質等の老廃物の洗浄と消毒を目的に次亜塩素酸ナトリウムを用いる方法と、炭酸カルシウムの洗浄を目的に酢酸を用いる方法とを連続して行う方法、
(2)消毒と炭酸カルシウムの洗浄を目的に過酢酸水溶液を用いる方法と患者体内より濾過されたタンパク質等の老廃物の洗浄目的に次亜塩素酸ナトリウムを用いる方法を連続して行う方法(例えば、特許文献1参照)、
(3)過酢酸水溶液にリン酸等の無機酸を加えタンパク質等の洗浄能力を高めた水溶液を用い、消毒と炭酸カルシウムの洗浄と患者体内より濾過されたタンパク質等の老廃物の洗浄を一度に行う方法(例えば、特許文献2参照)等がある。
しかしながら、(1)の方法や、(2)の方法は、次亜塩素酸ナトリウムの特性である強い腐食性によって装置部品や配管等の劣化がおこるばかりでなく、2種類の洗浄方法を連続して行うことから作業上煩雑であり、多大な労力と時間を費やすという問題がある。また、実際の透析治療現場においては夜間遅い時間まで治療を行う場合もあり、2種類の洗浄方法を連続して行うことが出来ない場合もある。さらに、塩素を未処理のまま廃液として排出し環境に悪影響を与えるという問題もある。
また、(3)の方法は、例えば、特許文献2の実施例において、リン酸を20%または40%含有する殺菌洗浄剤組成物が開示されている。しかしながら、このように多量のリン酸を使用すれば、リンは環境負荷物質の代表的な物質であるため、この方法で洗浄を行うと自然環境に多大な影響を与えることが避けられない。
【0004】
また、過酸化水素3.5〜6%、有機酸5〜30%、及び有機過酸0.4〜3.4%を含み、(有機酸+有機過酸)/過酸化水素の重量比が1以上である水溶液からなる医療機器用消毒洗浄剤が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、過酸化水素、有機酸及び有機過酸を含有する医療機器用消毒洗浄剤は、リン酸等の環境負荷物質を含まないものの、タンパク質等の老廃物や炭酸カルシウムの洗浄性が十分でないという問題を有している。
【0005】
これらのことから、酵素を用いてタンパク質を分解洗浄する方法が提案されている(特許文献4)。酵素を使用する方法は、強アルカリ条件を必要としないマイルドな洗浄方法であり、作業者の負担も軽減される。しかしながら、酵素は水溶液中で非常に不安定であり、一定期間保管後に酵素活性が低下する欠点を有する。そのため、一定期間保管後に洗浄性が低下する大きな課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−224299号公報
【特許文献2】特開2003−292996号公報
【特許文献3】特開平11−76380号公報
【特許文献4】特開2006−193684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の目的は、腐食性を有さず、環境負荷が小さく、優れた洗浄性を有し、洗浄性が長期間持続する医療用具用洗浄剤を提供することである。特に人工透析装置や内視鏡、歯科治療機器等の幅広い医療機器類、およびそれらに付随する管、密閉系容器などの部品であって、カートリッジやディスポーザルではないため洗浄の必要な部品の洗浄において優れた性能を示す、医療用具用洗浄剤を提供することを目的とする。
なお、本発明において、「洗浄性が長期間持続する」とは、一定期間保管した後に測定した洗浄性と、保管する直前に測定した洗浄性との差が小さく、一定の洗浄性を示すことを意味する。
また、本発明において、「酵素活性の持続性が高い」とは、一定期間保管した後に測定した酵素活性と、保管する直前に測定した酵素活性とで変化が小さく、一定の酵素活性を示すことを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、酵素(a)及び水を含有する医療用具用洗浄剤であることを要旨とする。
【化1】

[式(1)中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【発明の効果】
【0009】
本発明の医療用具用洗浄剤は、血液等のタンパク汚れに対する高い洗浄性を長期間持続することができ、高い洗浄レベルを要求される医療用具用洗浄剤に特に好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の医療用具用洗浄剤は、下記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、酵素(a)及び水を含有する医療用具用洗浄剤である。
【0011】
【化2】

【0012】
[式(1)中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【0013】
酵素を液体中で保存すると、凝集や加水分解等を起こし酵素活性が著しく低下するという問題点があるが、本発明では、特定の化学構造を有する上記の化合物(A)を医療用具用洗浄剤に含有させることにより解決できる。
【0014】
一般式(1)で表される化合物として、具体的にはグアニジン、尿素及びチオ尿素が挙げられる。
【0015】
一般式(1)で表される化合物の塩としては、グアニジンの塩が挙げられる。
塩としては塩酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩及びリン酸塩等が挙げられる。
【0016】
化合物(A)としては、酵素活性の持続性の観点で、グアニジンの塩及び尿素が好ましく、さらに好ましくはグアニジンの塩、次にさらに好ましくはグアニジン塩酸塩である。
【0017】
本発明の医療用具用洗浄剤中に含まれる化合物(A)の含有量(重量%)は、洗浄性の持続性及び酵素活性の持続性の観点から医療用具用洗浄剤の重量に対し0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.02〜10、次にさらに好ましくは0.03〜5、特に好ましくは0.05〜3である。
本発明の医療用具用洗浄剤中に含まれる化合物(A)の含有量は、洗浄性の持続性及び酵素活性の持続性の観点から、酵素(a)の重量に対し、1〜1000重量%が好ましく、さらに好ましくは5〜500重量%であり、次にさらに好ましくは10〜300重量%である。
【0018】
本発明の医療用具用洗浄剤は、さらに下記一般式(2)で表される化合物(B)を含有することができる。洗浄性の持続性及び酵素活性の持続性の観点から、(B)を含有することが好ましい。
【0019】
【化3】

【0020】
一般式(2)中、Qはアミノ基又はアルキル基を表し、アルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の置換基に置換されていてもよい。
【0021】
Qのアルキル基としては炭素数1〜22のアルキル基が挙げられ、具体的にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、セチル基、ステアリル基及びベヘニル基等が挙げられる。これらのアルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の置換基に置換されてもよい。
水素原子以外の置換基としては、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミノ基及びヒドロキシル基等が挙げられる。置換基の数は1〜3が好ましく、さらに好ましくは2〜3である。例えばQがブチル基の場合、ブチル基末端の水素原子2つが1つのアミノ基及び1つのカルボキシル基で置換された場合は(B)はアルギニンを表す。
【0022】
化合物(B)としては、アルギニン又はその塩(B−1)、アルギニン誘導体又はその塩(B−2)及びグアニジン誘導体又はその塩(B−3)が挙げられる。
【0023】
アルギニン又はその塩(B−1)として、アルギニン、アルギニンの無機酸塩(塩酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩及びケイ酸塩等)及びアルギニンの有機酸塩(ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、トリメリット酸塩及びピロメリット酸塩等)が挙げられる。
【0024】
アルギニン誘導体又はその塩(B−2)において、アルギニン誘導体は下記一般式(3)で表されるアルギニンのα−アミノ基若しくはα−カルボキシル基又はこれらの両方の基が置換された誘導体である。
α−アミノ基の置換は、下記一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)又は一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)への置換であり、α−カルボキシル基の置換は下記一般式(6)で表されるエステル基又は下記一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)への置換である。
【0025】
言い換えると、アルギニン誘導体又はその塩(B−2)では、α−アミノ基又はα−カルボキシル基の少なくともいずれか一方が置換されている。すなわち、Yがアミノ基の場合、Zは下記一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)又は下記一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)であり、Zがカルボキシル基の場合は、Yは下記一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)又は下記一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)である。
【0026】
【化4】

【0027】
一般式(3)中、Yはアミノ基、下記一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)又は下記一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)を表す。Zは、カルボキシル基、下記一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)又は下記一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)を表す。
【0028】
【化5】

【0029】
一般式(4)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜36の1価の炭化水素基を表し、この炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0030】
一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)におけるR1の炭化水素基としては、炭素数1〜36の1価の炭化水素基であり、直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が含まれる。
直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基及びベヘニル基等が挙げられる。
分岐の脂肪族炭化水素基としては、イソプロピル基及びt−ブチル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基及びシクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基及びメチルベンジル基等が挙げられる。
これらの炭化水素基のうち、洗浄性の持続性及び酵素活性の持続性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはメチル基である。
水素原子以外の置換基としては、アミノ基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミノ基及びヒドロキシル基等が挙げられる。
【0031】
一般式(4)で表されるN−アルキルカルボニル−アミド基(Y−1)として具体的には、ホルムアミド基、アセチルアミド基、プロピオン酸アミド基、ブチル酸アミド基、ヘキシル酸アミド基、シクロヘキシル酸アミド基、オクチル酸アミド基及びベンゾイルアミド基等が挙げられる。
【0032】
【化6】

【0033】
一般式(5)中、R2とR3はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜36の炭化水素基を表し、これらの炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0034】
一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)において、R2とR3は、R1と同様の炭化水素基が含まれ、これらの炭化水素基はR1と同様に、その一部が他の官能基に置換されていてもよい。
【0035】
一般式(5)で表されるイミノ基(Y−2)としては、メチルイミノ基等が挙げられる。
【0036】
【化7】

【0037】
一般式(6)中、R4は、炭素数1〜36の炭化水素基を表す、又は多価アルコール若しくは糖から1つのヒドロキシル基を除いた残基を表す。
この炭化水素基はその水素原子一部が他の官能基、例えば、ヒドロキシル基、メトキシル基、エトキシル基、ニトロ基及びヒドロキシフェニル基からなる群より選ばれる官能基で置換されていてもよい。
【0038】
一般式(6)で表されるエステル基(Z−1)において、R4が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、その炭化水素基は、前記R1と同様の炭化水素基が含まれる。
4が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、これらの炭化水素基のうち、洗浄性の持続性及び酵素活性の持続性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはエチル基である。
【0039】
多価アルコールとしては、2価〜3価のアルコールが含まれ、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
糖としては、グルコース、スクロース、ソルビトール、マンニトール及びトレハロース等が挙げられる。
【0040】
【化8】

【0041】
一般式(7)中、R5は、水素原子又は炭素数1〜36の炭化水素基を表し、この炭化水素基はその水素原子の一部が水素原子以外の他の官能基に置換されていてもよい。
【0042】
一般式(7)で表されるN−アルキルアミド基(Z−2)において、R5が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、その炭化水素基としては、前記R1と同様の炭化水素基が含まれ、これらの炭化水素基はR1と同様に、その一部が他の官能基に置換されていてもよい。
5が炭素数1〜36の炭化水素基の場合、これらの炭化水素基のうち、洗浄性の持続性及び酵素活性の持続性の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましく、さらに好ましくはメチル基及びエチル基、最も好ましくはメチル基である。
【0043】
アルギニン誘導体又はその塩(B−2)がアルギニン誘導体の塩の場合、無機酸塩(塩酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、硫酸塩及びケイ酸塩等)及び有機酸塩(ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、トリメリット酸塩及びピロメリット酸塩等)が挙げられる。
【0044】
アルギニン誘導体又はその塩(B−2)の化合物として具体的に、N−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩が挙げられる。
【0045】
グアニジン誘導体又はその塩(B−3)としては、Qを特に限定するものではないが、具体的にアミノグアニジン(−NH2)、ジシアンジアミド(−CN)、グアニルチオウレア(−C(=S)NH2)、ドデシルグアニジン(−C1225)、エチルグアニジン(−C25)、オクチルグアニジン(−C817)及びビグアニド(−C(=NH)NH2)が挙げられる。ここで、()内はQを表す。
【0046】
これらのうち、洗浄性の持続性及び酵素活性の持続性の観点で、好ましくは(B−1)及び(B−2)であり、さらに好ましくは、(B−2)であり、特に好ましいのはN−α−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩である。
【0047】
本発明の医療用具用洗浄剤中に含まれる化合物(B)の含有量(重量%)は、洗浄性の持続性及び酵素活性の持続性の観点から医療用具用洗浄剤の重量に対し0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.03〜10、次にさらに好ましくは0.05〜5である。
本発明の医療用具用洗浄剤中に含まれる化合物(B)の含有量は、洗浄性の持続性及び酵素活性の持続性の観点から、酵素(a)の重量に対し、1〜1000重量%であることが好ましく、さらに好ましくは5〜500重量%、次にさらに好ましくは10〜300重量%である。
【0048】
本発明の医療用具用洗浄剤は化合物(A)のみを含有すればよいが、洗浄性の持続性及び酵素活性の持続性の観点から、化合物(A)及び化合物(B)を含有することが好ましい。
【0049】
(A)及び(B)を含有する場合、(A)と(B)との重量比((A)の重量/(B)の重量)は0.1〜9が好ましく、さらに好ましくは0.2〜8であり、特に好ましくは0.5〜5である。
【0050】
本発明における必須成分である酵素(a)としては、プロテアーゼ(a−1)、アミラーゼ(a−2)、リパーゼ(a−3)及びセルラーゼ(a−4)等が挙げられる。
【0051】
プロテアーゼ(a−1)としては、動物、植物又は微生物起源のものが含まれ、入手しやすさの観点から、微生物起源のものが好ましい。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。プロテアーゼのうち、効果の持続性の観点から、セリンプロテアーゼが好ましく、具体的に、サブチリシン、特にバシラス菌(Bacillus)由来のもの、例えばサブチリシン Novo、サブチリシン Carlsberg、サブチリシン 309、サブチリシン 147及びサブチリシン 168及び、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源のもの)及びフザリウム(Fusarium)プロテアーゼ、パパインが挙げられる。
【0052】
市販のプロテアーゼとしては、ノボザイムス社のAlcalaseTM、SavinaseTM、PrimaseTM、DurazymTM及びEsperaseTM並びにジェネンコア社のPurafectTM及びPurafect OXPTM等が挙げられる。
【0053】
アミラーゼ(a−2)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。アミラーゼとしては、例えば、英国特許第1,296,839号明細書に詳細に記載されているB.リヘニフォルミス(B. licheniformis)の特殊株から得られるα−アミラーゼが挙げられる。
市販のアミラーゼとしては、ノボザイムス社の DuramylTM、TermamylTM、FungamylTM及びBANTM並びにGist−Brocades社のRapidaseTM及びMaxamyl PTMが挙げられる。
【0054】
リパーゼ(a−3)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。リパーゼの例としては、フミコーラ・ランギノーザ(Humicola lanuginosa)リパーゼ(欧州特許第258 068号明細書及び欧州特許第305 216号明細書)、リゾムーコル・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ及びカンジダ(Candida)リパーゼ(欧州特許第238 023号明細書)、C.アンタークティカ(C. ntarctica)リパーゼA及びB、シュードモナス(Pseudomonas)リパーゼ(欧州特許第214 761号明細書)、P.シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)及びP.アルカリゲネス(P.alcaligenes)リパーゼ(欧州特許第218 272号明細書)、P.セパシア(P.cepacia)リパーゼ(欧州特許第331 376号明細書)、P.スタッツェリ(P.stutzeri)リパーゼ、P.フルオレッセンス(P.fluorescens)リパーゼ及びバシラス(Bacillus)リパーゼ(英国特許第1,372,034号明細書)、B.サチリス(B.subtilis)リパーゼ(Dartois 他(1993), Biochemica et Biophysica Acta1131,253−260)、B.ステアロサーモフィラス(B.stearothermophilus)リパーゼ(特公昭64−744992号公報)並びにB.ピュミルス(B.pumilus)リパーゼ(国際公開第91/16422号)が挙げられる。
【0055】
市販のリパーゼとしては、ジェネンコア社の M1 LipaseTM、Luma fastTM及びLipomaxTM、ノボザイムス社のLipolaseTM及びLipolase UltraTM並びに天野エンザイム社のLipase P“Amano”TMが挙げられる。
【0056】
セルラーゼ(a−4)としては、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に、又は遺伝子的に修飾された変異体も含まれる。セルラーゼとしては、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)から生産される真菌セルラーゼとして米国特許第4,435,307号明細書に開示されているものが含まれる。
【0057】
市販のセルラーゼとしては、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)の株により生産されたノボザイムス社のCelluzymeTM及び花王社のKAC−500(B)TMが挙げられる。
【0058】
上記の酵素(a)のうち、洗浄性の観点で、プロテアーゼ(a−1)が好ましい。
【0059】
本発明において、化粧品組成物に含まれる酵素(a)は、2種以上を含むことができる。2種以上を含む場合の組み合わせとしては、プロテアーゼ2種以上、プロテアーゼとアミラーゼ、プロテアーゼとリパーゼ又はプロテアーゼとアミラーゼとリパーゼを含む組み合わせが挙げられる。
【0060】
本発明の医療用具用洗浄剤に含まれる酵素(a)の含有量は、洗浄性の観点から医療用具用洗浄剤の重量に対し、0.01〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3重量%、特に好ましくは0.1〜2重量%である。
【0061】
本発明の必須成分である水は、特に限定するものではなく、水道水、イオン交換水、蒸留水及び逆浸透水等が挙げられる。
【0062】
本発明の医療用具用洗浄剤に含まれる水の含有量は、洗浄性の持続性及び酵素活性の持続性の観点から、医療用具用洗浄剤の重量に対し、20〜99.9重量%が好ましく、さらに好ましくは37〜99.9重量%、次ぎにさらに好ましくは60〜99重量%、特に好ましくは65〜97.9、特にさらに好ましくは87〜97.9重量%、最も好ましくは93〜95である。
【0063】
本発明の医療用具用洗浄剤には、上記の化合物(A)、(B)、酵素(a)及び水以外に、粘度調整剤(b)、界面活性剤(c)、水混和性有機溶剤(d)、無機塩(e)、糖(f)、アルギニン以外のアミノ酸(g)、pH調整剤(h)及び防腐剤(i)を含有することができる。
【0064】
粘度調整剤(b)として、医療用具用洗浄剤に用いられている公知の物質を用いることができ、例えば、セチルメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。
【0065】
界面活性剤(c)として、ノニオン性界面活性剤(c−1)、アニオン性界面活性剤(c−2)、カチオン性界面活性剤(c−3)及び両性界面活性剤(c−4)が挙げられる。
【0066】
ノニオン性界面活性剤(c−1)としては、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[オレイルアルコールエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物等]、脂肪族アミン(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)[ヘキサデシルアミンエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物、ラウリルアミンエチレンオキサイド付加物、ステアリルアミンエチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)グリコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)及びジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=30)等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール及びモノラウリン酸ソルビタン等]、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(ポリ)アルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜8,重合度=1〜100)[ソルビタンモノラウレートエチレンオキサイド(重合度=10)付加物及びメチルグルコースジオレエートエチレンオキサイド(重合度=50)付加物等]、脂肪酸N−ヒドロキシアルキルアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド及び1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、アルキル(炭素数1〜22)(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)フェニルエーテル、アルキル(炭素数8〜24)(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)−アミノアルキル(炭素数8〜24)−エーテル及びアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
【0067】
アニオン性界面活性剤(c−2)としては、炭素数8〜24のアルキルエーテルカルボン酸又はその塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレンエーテルカルボン酸又はその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキル硫酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレン硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)硫酸ナトリウム及びラウリル(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)硫酸−トリエタノールアミン塩等]、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸スルホン酸ナトリウム、炭素数8〜24のアルキルフェニルスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルキルリン酸エステル塩及び炭素数8〜24のアルキル(ポリ)オキシエチレンリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
【0068】
カチオン性界面活性剤(c−3)としては、第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]及びアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]等が挙げられる。
【0069】
両性界面活性剤(c−4)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
【0070】
界面活性剤(c)としては、1種又は2種以上が使用出来る。2種以上を使用する場合、その組み合わせとしては、例えばノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤、及びノニオン性界面活性剤と両性界面活性剤の組み合わせ等が挙げられる。
【0071】
界面活性剤(c)として、洗浄性の観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤のうち、脂肪族アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)、多価(2価〜10価又はそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(ポリ)アルキレンオキサイド付加物(アルキレン基の炭素数2〜8,重合度=1〜100)、脂肪族アミン(炭素数8〜24)エチレンオキサイドプロピレンオキサイド付加物(重合度=1〜100)及びアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシドがさらに好ましい。
【0072】
水混和性有機溶剤(d)としては、水100gに対する溶解度が10g以上の溶剤であれば特に限定するものではないが、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール及びソルビトール等が挙げられる。
【0073】
無機塩(e)として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ギ酸ナトリウム、硫酸マグネシウム及び硫酸アンモニウム等が挙げられる。
【0074】
糖(f)として、トレハロース、スクロース、デキストリン、シクロデキストリン、マルトース、フルクトース、ヒアルロン酸及びコンドロイチン硫酸等が挙げられる。
【0075】
アルギニン以外のアミノ酸(g)として、グリシン、アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、ロイシン、リシン、ヒスチジン及びそれらの塩等が挙げられる。
【0076】
pH調整剤(h)としては、従来のpH調整剤が使用でき、例えば、ホウ酸バッファー、リン酸バッファー、酢酸バッファー、Trisバッファー、HEPESバッファー及びクエン酸等が挙げられる。
【0077】
防腐剤(i)としては、従来の防腐剤を用いることができる。例えば、パラベン、フェノキシエタノール、ソルビン酸及びフェノール等が挙げられる。
【0078】
本発明の医療用具用洗浄剤中に含まれる粘度調整剤(b)の含有量(重量%)は、ハンドリングの観点から医療用具用洗浄剤の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜1、次にさらに好ましくは0〜0.5である。
本発明の医療用具用洗浄剤に含まれる界面活性剤(c)の含有量は、洗浄性の観点から医療用具用洗浄剤の重量に対し、0〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは2〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。
本発明の医療用具用洗浄剤に含まれる水混和性有機溶剤(d)の含有量は、洗浄性及び酵素活性の観点から、医療用具用洗浄剤の重量に対し、0〜50重量%が好ましく、さらに好ましくは0〜30重量%、特に好ましくは0〜10重量%である。
本発明の医療用具用洗浄剤中に含まれる無機塩(e)の含有量(重量%)は、洗浄性及び酵素活性の観点から医療用具用洗浄剤の重量に対し0〜40が好ましく、さらに好ましくは0〜30、次にさらに好ましくは0〜20である。
本発明の医療用具用洗浄剤中に含まれる糖(f)の含有量(重量%)は、洗浄性及び酵素活性の観点から医療用具用洗浄剤の重量に対し0〜10が好ましく、さらに好ましくは0〜5、次にさらに好ましくは0〜3である。
本発明の医療用具用洗浄剤中に含まれるアミノ酸(g)の含有量(重量%)は、洗浄性及び酵素活性の観点から医療用具用洗浄剤の重量に対し0〜10が好ましく、さらに好ましくは0〜5、次にさらに好ましくは0〜3である。
本発明の医療用具用洗浄剤中に含まれるpH調整剤(h)の含有量(重量%)は、洗浄性及び酵素活性の観点から医療用具用洗浄剤の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜1である。
本発明の医療用具用洗浄剤中に含まれる防腐剤(i)の含有量(重量%)は、洗浄性及び酵素活性の観点から医療用具用洗浄剤の重量に対し0〜5が好ましく、さらに好ましくは0〜3、次にさらに好ましくは0〜2である。
【0079】
本発明の医療用具用洗浄剤は、各成分を混合することにより得られ、製造方法は特に限定されるものではない。1例を下記に示す。
(1)水に、化合物(A)及び必要により化合物(B)を加え、25℃で均一になるまで撹拌する。
(2)酵素(a)以外の成分を所定量添加し均一に溶解させる。
(3)最後に酵素(a)を添加し溶解させ、医療用具用洗浄剤を製造する。
【0080】
本発明において医療用具用洗浄剤とは、人工透析装置や内視鏡、歯科治療機器等の幅広い医療機器類、およびそれらに付随する管、密閉系容器などの部品であって、カートリッジやディスポーザルではないため洗浄の必要な部品を洗浄するための洗剤である。
【実施例】
【0081】
以下の実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0082】
<製造例1>
N−α−アセチルアルギニン{アルギニンアセトアミド、株式会社エムピーバイオジャパン}12.6部(0.05モル部)、メタンスルホン酸1部及びエタノール92部(2モル部)を均一混合し、80℃で5時間加熱攪拌し、エバポレーターで濃縮後、塩酸5.2部(0.05モル部)を加え中和した。その後、水から再結晶し、減圧乾燥{60℃、20Pa}して、{N−α−アセチルアルギニンエチルエステル塩酸塩}を得た。
【0083】
<実施例1〜14>
表1の割合で25℃で配合し、本発明の医療用具用洗浄剤を作製した。
【0084】
<比較例1〜7>
表2の割合で25℃で配合し、比較用の医療用具用洗浄剤を作製した。
【0085】
<性能試験>
<酵素活性の測定>
医療用具用洗浄剤の酵素活性を、医療用具用洗浄剤を作製直後と、25℃で3ヶ月保管した後で比較した。
0.5重量%カゼイン水溶液のTrisバッファー溶液(溶液中のTrisバッファーの濃度は50ミリモル/L)5mLに、作製直後の実施例1〜14又は比較例1〜7の医療用具用洗浄剤を10μL加え、37℃で10分間放置した。その後、15重量%TCA液(和光純薬工業製)を5mL加え、遠心分離機で固液分離した(15,000rpm、5分、4℃)。上澄み1mL、0.5M炭酸カリウム水溶液5mL、3倍希釈したフォーリン試薬1mLを加え、10分放置した。
この液の660nmにおける吸光度(A660)を分光光度計で測定した。
作製直後の医療用具用洗浄剤に変えて、25℃で3ヶ月保管した後の医療用具用洗浄剤を使用する以外は上記と同様にして、吸光度(A’660)を測定した。
酵素活性の持続性は以下の式で算出した。結果を表1、表2に示す。

酵素活性の持続性=(A’660)/(A660)×100
【0086】
<洗浄率の測定>
遠心分離機で馬保存血液を1,500rpm、10分で固液分離させ、沈殿部40重量%を均一に混合し、ステンレス板(SUS430)に20μLを2cm2の広さに塗りつけ、循風乾燥機に入れ、90℃、1時間熱変性させ、汚染板を作製した。
まず、汚染板を40℃でイオン交換水に10分間浸漬後、ステンレス板状に洗浄できずに残った馬血液中のATP(アデノシン三リン酸)をルシフェラーゼにより発色させて定量する。これを洗浄率0%とする。一方、汚れが完全に落ちた場合(洗浄率100%)の場合のATP量を0として検量線を作成した。
イオン交換水100重量部に作製直後の実施例1〜14又は比較例1〜7の医療用具用洗浄剤1重量部を溶解させ、この洗浄液に汚染板を10分間浸漬後、上記と同様にルシフェラーゼで発色させ、洗浄率(C0)%を算出した。結果を表1、2に示す。
作製直後の医療用具用洗浄剤に変えて、25℃で3ヶ月保管後に上記と同様に洗浄率(C’)%を算出した。結果を表1、2に示す。
洗浄性の持続性は下記の式で算出した。結果を表1、2に示す。

洗浄性の持続性(%)=(C’)/(C0)×100
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
表1及び2中の化合物(A)、化合物(B)及び酵素(a)は下記のものを使用した。
グアニジン塩酸塩:和光純薬工業製
尿素:和光純薬工業製
アルギニン塩酸塩:和光純薬工業製
プロテアーゼ:和光純薬工業製
リパーゼ:和光純薬工業製
アミラーゼ:和光純薬工業製
【0090】
表1及び2の酵素活性の持続性の結果から、実施例1〜14の医療用具用洗浄剤は、比較例1〜7の医療用具用洗浄剤よりも酵素活性の持続性が高いことがわかる。
また、表2より、比較例1〜4の医療用具用洗浄剤においては、作製直後の血液汚れに対する洗浄率は高いものの、25℃で3ヶ月保管後に洗浄率が低下しており、洗浄性の持続性が低いことがわかる。さらに、比較例5〜7の医療用具用洗浄剤においては、洗浄性の持続性は高いものの、作製直後及び25℃で3ヶ月保管後の洗浄率が低く、洗浄性が十分でない。
一方、表1の本発明の医療用具用洗浄剤である実施例1〜14においては、25℃で3ヶ月保管後も血液汚れに対する洗浄率は高く維持されており、洗浄性の持続性が高いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の医療用具用洗浄剤は、酵素を含む洗浄剤の性能を持続できる。そのため、高い洗浄性を要求される医療用具用の洗浄剤として特に好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(A)、酵素(a)及び水を含有する医療用具用洗浄剤。
【化1】

[式中、Xはイミノ基、酸素原子又は硫黄原子を表す。]
【請求項2】
酵素(a)がプロテアーゼである請求項1記載の医療用具用洗浄剤。
【請求項3】
化合物(A)がグアニジン塩酸塩である請求項1又は2に記載の医療用具用洗浄剤。
【請求項4】
さらに下記一般式(2)で表される化合物(B)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の医療用具用洗浄剤。
【化2】

[式中、Qは、アミノ基又はアルキル基を表し、アルキル基中の水素原子の一部が水素原子以外の基に置換されていてもよい。]
【請求項5】
化合物(A)の含有量が医療用具用洗浄剤の重量を基準として0.01〜30重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の医療用具用洗浄剤。

【公開番号】特開2011−208138(P2011−208138A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54550(P2011−54550)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】