医療用X線CT撮影装置
【課題】患者の局部をX線発生部とX線検出器との間に配設する際の制約をなるべく少なくすること。
【解決手段】基体22と、X線発生源36とX線検出器37とを対向状態で支持する支持アーム部32と、支持アーム部32を基体22に対して回転可能に支持する回転支持部40とを有する回転支持部とを有する支持部30と、支持部30を回転駆動する回転駆動部とを備えている。基体22及び回転支持部40のうちの少なくとも一方に、回転軸A周りに空間を形成する空洞部48が形成されている。この空洞部48内に、筒状体60が支持部30に対して回転自在な状態で配設されている。
【解決手段】基体22と、X線発生源36とX線検出器37とを対向状態で支持する支持アーム部32と、支持アーム部32を基体22に対して回転可能に支持する回転支持部40とを有する回転支持部とを有する支持部30と、支持部30を回転駆動する回転駆動部とを備えている。基体22及び回転支持部40のうちの少なくとも一方に、回転軸A周りに空間を形成する空洞部48が形成されている。この空洞部48内に、筒状体60が支持部30に対して回転自在な状態で配設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医療用の診断等に用いられるX線CT撮影装置であって、特に、手足の関節や乳房等の患者の局部を撮影するX線CT撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者の局部を撮影するX線CT撮影装置として、特許文献1に開示のものがある。
【0003】
特許文献1は、患者の頭部を撮影する可搬型CT撮影装置を開示している。このCT撮影装置は、X線発生源とX線検出器とを対向配置した状態で第1アームによって支持すると共に、当該第1アームをモータによって回転駆動可能に支持している。そして、X線発生源とX線検出器との間に頭部を配設した状態で、第1アームを回転させることによって、X線発生源とX線検出器とを頭部周りに回転させて、X線CT撮影を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/260095号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示のCT撮影装置では、第1アームの回転軸の一方側部分は、モータ及び軸受構造等によって占有された構成とされている。このため、X線発生源とX線検出器とに対する患部の配設態様が制約されることとなっていた。例えば、モータ及び軸受構造等が邪魔となって、患者の上腕、股関節或は胸部等をX線発生源とX線検出器との間の空間に配設することが困難となっていた。
【0006】
そこで、本発明は、装置の構造の簡素さを保ちつつ、患者の局部をX線発生部とX線検出器との間に配設する際の制約をなるべく少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の態様は、患者の局部をCT撮影する医療用X線CT撮影装置であって、基体と、X線コーンビームを発生させるX線発生源とX線検出器とを対向状態で支持する支持アーム部と、前記X線発生源と前記X線検出器とを水平方向に沿った回転軸周りに回転させるように前記支持アーム部を前記基体に対して回転可能に支持する回転支持部とを有する支持部と、前記支持部を回転駆動する回転駆動部と、を備え、前記基体及び前記回転支持部のうちの少なくとも一方に、前記回転軸周りに空間を形成する空洞部が形成され、前記空洞部内に、少なくとも前記X線発生源と前記X線検出器との間に向けて開口する筒状体が、前記支持部に対して相対的に回転する状態で配設されている。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体は前記回転軸を中心軸とする円筒状に形成され、かつ、前記筒状体は、回転支持部に軸受を介して回転自在に保持されている。
【0009】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体は前記回転軸を中心とする円筒状に形成され、かつ、前記筒状体は前記基体に取付けられている。
【0010】
第4の態様は、第3の態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体は前記基体に対して前記回転軸周りに相対回転不能な状態で取付けられている。
【0011】
第5の態様は、第3の態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体は前記基体に対して前記回転軸周りに回転調整可能に取付けられている。
【0012】
第6の態様は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記支持部を、前記回転軸と直交しかつ互いに直交する2軸方向に沿って移動可能にする2軸移動機構部をさらに備える。
【0013】
第7の態様は、第1〜第6のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記支持部を、前記回転軸方向に沿って移動可能にする回転軸方向移動機構部をさらに備える。
【0014】
第8の態様は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記支持部を、前記回転軸方向に沿ったY方向に移動させるY方向移動機構部と、上下方向に沿ったZ方向に移動させるZ方向移動機構部と、前記Y方向と前記Z方向の双方に直交するX方向に移動させるX方向移動機構部とを備え、前記Z方向移動機構部が前記Y方向移動機構部と前記X方向移動機構部とを前記Z方向に移動させる。
【0015】
第9の態様は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体に、患者の撮影対象箇所を一定位置に保持するための保持部が設けられている。
【0016】
第10の態様は、第1〜第9のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記X線発生源からのX線コーンビームの照射領域を規制するX線規制部をさらに備え、局所CT撮影の実行を可能とする。
【0017】
第11の態様は、第1〜第10のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記支持部及び前記筒状体の少なくとも一方に、位置付用の光を照射する位置付用光照射部が設けられている。
【0018】
第12の態様は、第1〜第11のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体に、撮影対象箇所を一定位置に保持するための外部保持部材を、連結及び分離可能にする連結分離部が設けられている。
【0019】
第13の態様は、第1〜第12のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体は、有底円筒状に形成されている。
【0020】
第14の態様は、第1〜第13のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体のうち前記X線発生源と前記X線検出器との間に向けて開口する開口部に、前記X線発生源と前記X線検出器との前記回転軸周りの旋回軌跡の内側に向けて張出す張出部が設けられている。
【0021】
第15の態様は、第14の態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記張出部は、前記開口部に対して連結及び分離可能に取付けられている。
【0022】
第16の態様は、第1〜第15のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記基体は、床上を転がり可能な車輪を有する。
【0023】
第17の態様は、第1〜第16のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記支持部の回転中において、前記回転軸方向から見て前記X線コーンビームの照射領域の一方側の側部が常に撮影領域の外縁を通ると共に、他方側の側部が前記撮影領域の外縁よりも内側を通り、かつ、前記回転軸方向から見て前記X線コーンビームが前記撮影領域の全域に満たないが前記撮影領域の全域の半分以上の領域を照射するように、前記X線発生源が配置され、前記支持部が360度以上旋回可能に構成されている。
【0024】
第18の態様は、第1〜第17のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記X線検出器を前記X線発生源に対して相対的に近接離隔させて拡大率を変更する拡大率変更機構を備える。
【発明の効果】
【0025】
第1の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、患者の撮影対象箇所近傍を前記空洞部内に配設しつつ当該撮影対象箇所をX線発生源とX線検出器との間に配設することができる。そして、この状態で、筒状体の回転を停止させつつ、支持部を回転させてCT撮影を行うことができる。このため、患者の局部をX線発生源とX線検出器との間に配設する際の制約をなるべく少なくすることができる。
【0026】
第2の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、前記筒状体は、回転支持部に軸受を介して回転自在に保持されているため、支持部を回転駆動する回転駆動部のレイアウト制約が少なくなる。
【0027】
第3の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、支持部の回転中に、筒状体をより確実に回転させない状態にすることができる。
【0028】
第4の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、支持部の回転中に、筒状体をより確実に回転させない状態にすることができる。
【0029】
第5の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、筒状体内に配設される撮影対象箇所近傍の状況に応じて筒状体を回転調整することができる。
【0030】
第6の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、支持部を前記2軸方向に移動させることにより、撮影対象箇所に対するX線発生源及びX線検出器の位置調整を容易に行える。これにより、位置の微調整を行う際に患者に動いてもらう必要がなくなり、患者の負担が軽減される。
【0031】
第7の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、支持部を回転軸方向に移動させることにより、撮影対象箇所に対するX線発生源及びX線検出器の位置調整を容易に行える。これにより、位置の微調整を行う際に患者に動いてもらう必要がなくなり、患者の負担が軽減される。
【0032】
第8の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、水平方向に広がりのある前記Y方向移動機構部と前記X方向移動機構部を、回転軸近傍に配置することができ、基体の底部近辺のサイズを小さくすることができる。これにより、運搬に適した構成の医療用X線CT撮影装置を実現し易い。
【0033】
第9の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、撮影対象箇所近傍を保持部により保持することで、患者の撮影対象箇所をより一定位置に静止させた状態で、CT撮影を行うことができる。
【0034】
第10の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、より限定された領域である局所X線CT撮影を行うことができ、被曝線量を軽減できる。
【0035】
第11の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、X線発生源とX線検出器との間で、撮影対象箇所をより正確に位置付けできるため、位置付け不備による再撮影を回避できる可能性が高まる。
【0036】
第12の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、ベッド或は腕の支持台等を筒状体に連結した状態でX線CT撮影を行うことができ、患者の撮影対象箇所をより一定位置に静止させた状態で、X線CT撮影を行うことができる。
【0037】
第13の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、基体のうち筒状体の底の外側に各種機構を組込めるため、構成の簡素化等が容易となる。
【0038】
第14の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、撮影対象箇所と前記X線発生源或は前記X線検出器との接触が抑制される。
【0039】
第15の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、前記張出部は、前記開口部に対して連結及び分離可能に取付けられているため、撮影対象箇所に応じて張出部を着脱でき、多様な箇所のX線CT撮影を行える。
【0040】
第16の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、本医療用X線CT撮影装置を容易に移動させることができる。
【0041】
第17の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、簡易な構造で撮影領域の拡大ができ、腕の関節等小さな対象部位から、腰椎周辺等大きな対象部位までカバーして撮影対象とすることができる。これにより、X線検出器の有効利用が可能な医療用X線CT撮影装置を実現できる。
【0042】
第18の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、簡易な構造で撮影領域の拡大ができ、腕の関節等小さな対象部位から、腰椎周辺等大きな対象部位までカバーして撮影対象とすることができる。これにより、X線検出器の有効利用が可能な医療用X線CT撮影装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1実施形態に係る医療用X線CT撮影装置を示す斜視図である。
【図2】同上の医療用X線CT撮影装置を示す側面図である。
【図3】同上の医療用X線CT撮影装置を示す平面図である。
【図4】同上の医療用X線CT撮影装置を示す正面図である。
【図5】同上の医療用X線CT撮影装置を示す背面図である。
【図6】同上の医療用X線CT撮影装置の支持部及び筒状体部分を示す分解斜視図である。
【図7】同上の医療用X線CT撮影装置の回転支持部及び筒状体部分を示す断面図である。
【図8】図7の一部拡大断面図である。
【図9】通常のCT撮影の様子を模式的に示す図である。
【図10】オフセットCT撮影の様子を模式的に示す図である。
【図11】通常のCT撮影とオフセットCT撮影とを切換可能とした具体的構成例を示す図である。
【図12】通常のCT撮影とオフセットCT撮影とを切換可能とした具体的構成例を示す図である。
【図13】撮影領域を変更する別の例を示す図である。
【図14】図13に示す例におけるCT撮影を模式的に示す図である。
【図15】第1実施形態の変形例1に係る回転支持部及び筒状体部分を示す断面図である。
【図16】図15の一部拡大断面図である。
【図17】第1実施形態の変形例2に係る移動機構部を示す斜視図である。
【図18】第1実施形態の変形例2に係る移動機構部を示す側面図である。
【図19】同上の移動機構部のうち主としてZ方向移動機構部及びY方向移動機構部230を示す斜視図である。
【図20】同上の移動機構部のうち主としてZ方向移動機構部及びY方向移動機構部230を示す側面図である。
【図21】図17に示す状態から支持部を移動させた状態を示す斜視図である。
【図22】図18に示す状態から支持部を移動させた状態を示す側面図である。
【図23】第1実施形態の変形例3であって筒状体内に保持部を設けた例を示す斜視図である。
【図24】第1実施形態の変形例3であって筒状体に保持部を設けると共に張出部を設けた例を示す要部側面図である。
【図25】同上の保持部及び張出部を示す正面図である。
【図26】同上の保持部及び張出部を示す斜視図である。
【図27】同上の保持部及び張出部を示す斜視図である。
【図28】同上の保持部及び張出部を設けた医療用X線CT撮影装置を示す斜視図である。
【図29】同上の保持部を設けた医療用X線CT撮影装置を示す斜視図である。
【図30】第1実施形態の変形例3であって筒状体に医療用ベッドを連結するための連結分離部を設けた例を示す斜視図である。
【図31】同上の連結分離部及び医療用ベッドを示す斜視図である。
【図32】同上の連結分離部及び医療用ベッドを示す下方からの斜視図である。
【図33】同上の連結分離部が設けられた筒状体を示す側面図である。
【図34】同上の連結分離部が設けられた筒状体を示す斜視図である。
【図35】同上の連結分離部及び医療用ベッドを示す底面図である。
【図36】同上の連結分離部及び医療用ベッドを用いた撮影例を示す正面図である。
【図37】同上の連結分離部及び医療用ベッドを用いた撮影例を示す側面図である。
【図38】第2実施形態に係る医療用X線CT撮影装置の支持部及び回転駆動部部分を示す側面図である。
【図39】同上の医療用X線CT撮影装置の支持部及び回転駆動部部分を示す平面図である。
【図40】同上の医療用X線CT撮影装置の支持部及び回転駆動部部分を示す背面図である。
【図41】同上の医療用X線CT撮影装置の支持部及び筒状体部分を示す断面図である。
【図42】図41において筒状体を取外した状態を示す断面図である。
【図43】図41の部分断面図である。
【図44】第2実施形態の変形例1に係る支持部及び筒状体部分を示す部分断面図である。
【図45】第2実施形態の変形例2に係る支持部及び筒状体部分を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係る医療用X線CT撮影装置について説明する。図1〜図5は実施形態に係る医療用X線CT撮影装置20を示す図であり、図6は同医療用X線CT撮影装置20の支持部30及び筒状体60部分を示す分解斜視図であり、図7及び図8は同医療用X線CT撮影装置20の回転支持部40及び筒状体60部分を示す要部断面図である。
【0045】
この医療用X線CT撮影装置20は、患者の局部、例えば、頭部、頚椎、腕関節、手指、乳房、腰椎、股関節、膝、足等をCT撮影するための装置であり、基体22と、支持部30と、回転駆動部50と、筒状体60とを備えている。
【0046】
基体22は、本装置20を構成する各部が直接或は間接的に組付けられるベースとなる部分であり、この基体22に、後に詳述する本装置を構成する重要部分である支持部30及び筒状体60が設けられている。図示の例では、基体22のうち鉛直方向に沿った一主面に支持部30、筒状体60が設けられている。なお、以下の説明では、便宜上、基体22のうち支持部30及び筒状体60が設けられた側を前側、その反対側を後ろ側という場合がある。
【0047】
また、基体22の下部には、床上を転がり可能な車輪として、一対の車輪24及び方向変換可能な補助車輪25が設けられている。また、基体22の上側部分の後部には手押し用ハンドル26が設けられている。そして、本装置20の利用者等が上記手押し用ハンドル26を持って進行方向を操作しつつ装置20を押すことで、本装置20が床面等の上を走行移動し所望の位置に搬送されるようになっている。すなわち、本医療用X線CT撮影装置20は、その設置場所を変更可能な可搬型の医療用X線CT撮影装置20として構成されている。上述のように、利用者等が手押し用ハンドルを持って装置20を押して搬送するようにしてもよいが、車輪24を図示しないモータなどを用いた駆動機構で駆動するようにしてもよい。
【0048】
なお、本医療用X線CT撮影装置20を移動可能にする構成は上記例に限られない。例えば、方向転換可能な車輪が3つ以上設けられた構成であってもよく、2つの車輪及び1つの固定脚を設け、移動時には固定脚を浮かせた状態で2つの車輪の回転により移動させるようにしてもよい。各車輪の少なくとも一部に回転を制動するブレーキを設けてもよく、また、各車輪の少なくとも一部に車輪の回り止めを行う周知のロック機構を設けて、安全に医療用X線CT撮影装置20の停止状態が維持できるようにしてもよい。
【0049】
また、基体22の上側部分の後部には表示部27及び入力部28が設けられると共に、基体22の内部には図示省略のCT撮影処理ユニットが設けられている。表示部27は、液晶表示装置或は有機EL表示装置等、CT撮影に係る諸情報を表示する表示装置であり、入力部28は複数のスイッチ等によって構成されており、CT撮影に係る諸指示を入力するための入力装置である。入力部28は、操作を受け付ける機能のあるものであればよく、例えばマウス、キーボード、タッチパッドなど各種のものが適宜用いられる。表示部27を、タッチペンとタッチペンの操作を受け付けるディスプレイで構成したり、タッチパネル、タッチスクリーンなどで構成してもよい。この場合には表示部27が、入力部28としての機能を兼ねる。
【0050】
また、CT撮影処理ユニットは、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータ等によって構成された処理制御ユニットである。このCT撮影処理ユニットは、予め格納されたソフトウエア及び入力部28等によって入力された諸指示に従って、CT撮影時における回転駆動部50の動作制御及び撮影によってX線検出器37で得られる電気信号に基づいて撮影対象のCT画像を再構成する演算処理等を行うように構成されている。撮影されたCT画像は、表示部27に表示されてもよいし、有線或は無線の通信回路を通じて他の表示部に表示される構成であってもよいし、磁気記録媒体、光学記録媒体、フラッシュメモリ等の記録媒体に記録されてもよい。
【0051】
また、基体22の一主面には取付穴部20hが形成されており、この取付穴部20hを利用して支持部30及び筒状体60が基体22に設けられている。
【0052】
回転駆動部50は、回転速度、回転角度等を制御可能なモータ等によって構成されている。この回転駆動部50は、その駆動軸部を略水平姿勢にして取付穴部20hの略中心に向けた姿勢で、上記基体22内に一定位置又は位置変更可能に支持されている。なお、回転駆動部50を基体22内で位置変更可能に支持する例については変形例として後に説明する。そして、この回転駆動部50に後述する回転支持部40が連結されることで、支持部30が回転駆動可能に支持される(図8参照)。
【0053】
支持部30は、X線発生源36とX線検出器37とを対向状態で支持する支持アーム部32と、この支持アーム部32を基体22に対して回転可能に支持する回転支持部40とを有している。
【0054】
より具体的には、回転支持部40は、内側回転支持部42と外側回転支持部44とが一体化された構成とされている。内側回転支持部42は、有底円筒状に形成されており、上記取付穴部20hを通って基体22内に配設される。また、外側回転支持部44は、内側回転支持部42よりも大きな(ここでは一回り程度大きな)部材に形成されており、取付穴部20h部分で基体22の外方位置に配設されている。
【0055】
また、内側回転支持部42の底部には、外リング部材43aと内リング部材43bとが玉等の転動体等を介して相対回転可能に連結された回転駆動用軸受部43が設けられている。回転駆動部50は、回転しないケーシングと、ケーシングに対して回転し、ケーシングから突出する回転体部分52を備えている。そして、外リング部材43aがねじ等を介して回転駆動部50のケーシングに取付固定され、内リング部材43bがねじ等を介して内側回転支持部42の底部に取付固定されている。これにより、回転支持部40が回転駆動部50の固定部位であるケーシングに対して回転自在に支持されている(図8参照)。また、内側回転支持部42の底部外面には、回転軸A周りに沿って複数の突起部42Pが突設され、当該突起部42Pが回転駆動部50側の回転体部分52の凹部に嵌め込まれている(図8参照)。そして、回転駆動部50の回転駆動力が回転体部分52から回転支持部40に伝達されて、本回転支持部40が略水平方向に沿った回転軸A周りに回転駆動されることとなる。上記のように軸受部を設けることで、回転軸Aが略水平であっても、支持部30が生むモーメント荷重が直接回転駆動部50にかかることを防ぎ、回転軸のブレを防ぐことができる。回転駆動用軸受部43を介在させず、回転体部分52に直接内側回転支持部42を固定する構成に比べ、上述の構成により支持部30が生むモーメント荷重を分散できる。
【0056】
また、支持アーム部32は、上記外側回転支持部44により間隔を有して片持ち状に支持された一対のアーム部33,34を有している。これらの一対のアーム部33,34と外側回転支持部44とは、全体として略U字状の外形状を有している。一対のアーム部33,34は、互いに略並行状に延びるように支持されており、その一対のアーム部33,34間に撮影対象となる患者の局部を配設可能な間隔が設けられている。そして、この支持アーム部32が上記回転支持部40により基体22に対して前記回転軸A周りに回転可能及び回転駆動可能に支持されている。
【0057】
X線発生源36は、X線管等、X線コーンビームを発生させるX線発生器によって構成されている。このX線発生源36は、他方のアーム部34の先端部に向けてX線コーンビームを照射可能な位置及び姿勢で、一方のアーム部33の先端部内面側部分に取付けられている。なお、このX線発生源36によるX線の照射方向前方に、X線コーンビームの照射領域を規制するX線規制部36Pが設けられている。X線規制部36Pは、X線コーンビームの広がりを規制する開口が形成された板状部材であり、コリメータと呼ばれることもある。開口形状は、X線CT撮影を行う態様に応じて、スリット状或は所定大きさの略方形開口形状に形成されている。開口を形成するための板状部材としては、一枚の板に一つまたは複数の開口が設けられたもの、二枚以上の板をずらして重ね合わせることで開口を形成するもの、さらには二枚以上の板を移動可能に配置して開口形状及び開口面積を変更可能としたもの、等、目的とするCT撮影の対象となる領域に応じた種々の構成が採用される。
【0058】
X線検出器37は、X線発生源36から照射され、撮影対象である患部を透過したX線を検出する部分であり、2次元的に広がった検知面を有するフラットパネルディテクタ(FPD)或はX線蛍光増倍管(I.I.=Image Intensifier)等により構成されている。このX線検出器37は、X線発生源36からのX線が検知面に照射可能な姿勢で、他方のアーム部34の先端部内面側部分に取付けられている。
【0059】
そして、上記回転支持部40及び支持アーム部32を回転軸A周りに回転させることで、X線発生源36とX線検出器37とが回転軸A周りに回転する構成とされている。この構成により、CT画像を再構成するために必要な、複数方向から患部を撮影した複数のX線投影データを取得することができる。
【0060】
なお、上記X線規制部36P及びX線検出器37は、X線CT撮影を行う態様(例えば、X線CT撮影を行う範囲が異なる場合等)に応じて交換可能に設けられていてもよい。
【0061】
また、上記一方のアーム部33の先端部には、位置付用の光を照射する位置付用光照射部38が設けられている。位置付用光照射部38は、発光ダイオード或は電球等により構成され、可視光を発するように構成されている。この位置付用光照射部38は、X線発生源36及びX線検出器37との間の空間に向けて光を照射可能な姿勢で、一方のアーム部33の先端部に取付けられている。また、スリットを形成した遮蔽板及びレンズ等により、位置付用光照射部38から照射される光が、X線発生源36及びX線検出器37による撮影位置を示すように規制されている。ここで、位置付用光照射部38から照射される光が前記撮影位置を示す態様としては、当該光が回転軸Aを狙って照射される場合、或は、撮影領域の境界を示す場合等が考えられ、また、光は線状に照射されても、点状に照射されても、面状に照射されてもよい。また、位置付用光照射部38の取付位置は、一方のアーム部33の先端部に限られず、一方のアーム部33の他の部分、他方のアーム部34、回転支持部40及び筒状体60等であってもよい。
【0062】
また、回転支持部40には、前記回転軸A周りに拡がる空間を形成する空洞部48が形成されている。ここでは、上記外側回転支持部44側で開口し、回転駆動部50に接する内側回転支持部42の奥側を底部とする有底円筒状の空洞部が形成される。本実施形態では、外側回転支持部44の外向き面に開口すると共に内側回転支持部42の奥側を底部としさらに中心軸が前記回転軸Aと略一致する有底円筒状の空洞部48が形成されている。そして、外側回転支持部44の中央の空洞に有底円筒状の内側回転支持部42の開口側の端部外周が嵌合固定されている。空洞部48は、外側回転支持部44及び内側回転支持部42の本来の支持機能を保てる範囲で可能な限り大きな開口形状であることが好ましい。
【0063】
また、上記空洞部48内に、X線発生源36とX線検出器37との間の空間に向けて開口する筒状体60が、支持部30に対して回転軸A周りに回転自在な状態で配設されている。
【0064】
より具体的には、筒状体60は、空洞部48内に回転自在に配設可能でかつ可及的に大きな内部空間を形成可能な構成であることが好ましい。ここでは、筒状体60は、有底円筒状に形成されており、その外径は空洞部48の内径よりも僅かに小さく、かつ、その軸方向の長さは空洞部48の軸方向長さと略同一である。そして、筒状体60の中心軸と回転軸Aとを略一致させた状態で、筒状体60が空洞部48内に配設される。
【0065】
また、上記筒状体60は、回転支持部40に軸受70を介して回転自在に保持されている(図7及び図8参照)。筒状体60は支持部30に対して回転する関係にある。図38〜図43の構成に係る、後述する第2実施形態のように、筒状体660が基体22に対して固定された関係にあり、筒状体660に対して支持部30が回転する関係の構成もあるので、本願における筒状体の支持部に対する回転は相対的なものである。
【0066】
すなわち、上記筒状体60の底部と空洞部48の底部との間にリング状の軸受70が設けられている。軸受70は、内リング部材72と、この内リング部材72周りに回転自在に配設される外リング部材74とを有している。ここでは、軸受70として、ジャーナル軸受、特に、複数の円筒コロをその環状配列方向に沿って交互に直交させるように配列させたクロスローラーリングを想定している。クロスローラーリングを用いることにより、回転軸方向及びその径方向を含む種々方向の力を受けることができるというメリットがある。そして、外リング部材74が空洞部48の底部具体的には内側回転支持部42の底部にねじ等を介して固定され、内リング部材72が筒状体60の底部にねじ等を介して固定されている。これにより、筒状体60が、回転支持部40の底部に軸受70を介して回転自在に支持され、回転駆動部50の駆動により回転支持部40を回転させる際に、筒状体60を回転させない状態に維持することができる。すなわち、基体22に対して回転支持部40を回転させ、CT撮影を行っている際にも、筒状体60は基体22に対して回転させない状態に維持することができる。
【0067】
回転支持部40が回転する際、筒状体60に触れずにおくと、摩擦が働いて筒状体60も回転支持部40の回転に従って回転するであろうが、筒状体60に制動力を働かせると回転支持部40が回転していても筒状体60は回転しない状態に維持可能である。
【0068】
なお、筒状体60を回転自在に支持する構成例は上記例に限られない。そのための変形例については後で説明する。
【0069】
この医療用X線CT撮影装置20では、患者の局部、例えば、上腕10aを撮影する場合には、まず、患者の腕10を回転軸Aに沿ってX線発生源36とX線検出器37との間に配設する(図2参照)。そして、腕10を一定位置に保った状態で、回転駆動部50の駆動により回転軸A周りにX線発生源36とX線検出器37とを回転させる。なお、本医療用X線CT撮影装置20では、X線発生源36とX線検出器37とは、X線CT撮影のための回転中において、回転軸Aに沿った方向では停止している。つまり、回転軸Aの軸方向で高さを表すとすると、同じ高さで回転している。そして、X線検出器37で得られる複数の投影データを反映する信号に基づいて画像再構成のための演算が行われ、CT画像が得られる。
【0070】
この医療用X線CT撮影装置20によると、X線発生源36とX線検出器37との間の撮影領域から、回転軸Aに沿って一対のアーム部33,34の取付端側に外れた位置に筒状体60による空間が形成されている。患者の局部を撮影する際に、撮影対象箇所近傍を空洞部48内にある筒状体60内空間に配設しつつ、当該撮影箇所となる局部をX線発生源36とX線検出器37との間に配設することができる。例えば、上記のように上腕10aを撮影する場合には、手先10bを筒状体60内の空間に配設しつつ、上腕10a部分をX線発生源36とX線検出器37との間に配設することができる。そして、この状態で、筒状体60の回転を停止させつつ、支持部30の回転によりX線発生源36とX線検出器37とを回転させてX線CT撮影を行うことができる。このため、患者の局部をX線発生源36とX線検出器37との間に配設する際の制約をなるべく少なくすることができる。なお、患者の各種局部を撮影する例については後に変形例でも説明する。
【0071】
特に、筒状体60は、回転支持部40に形成された空洞部48内で、軸受70を介して回転自在に保持されている。つまり、筒状体60を回転自在に支持するための構成が筒状体60と回転支持部40との間に全て組込まれている。このため、回転支持部40を回転駆動するための回転駆動部50のレイアウト制約が少なくなり、例えば、上記のように回転駆動部50を筒状体60の軸方向延長上で基体22内に組むことが容易となる。これにより、基体22を回転軸Aに沿って投影した面積を小さくすることができ、医療用X線CT撮影装置20の小型化を図ることができる。
【0072】
また、筒状体60は、有底円筒状であるため、その底の外側部分に各種機構、例えば、軸受70、回転駆動部50等を組込むことが容易となり、これにより、構成の簡易化等が容易となる。
【0073】
空洞部48の底部近傍に軸受70と回転駆動軸受部43が集中していること、具体的には空洞部48の底部において、空洞部48の内側には軸受70が、外側には回転駆動軸受部43が設けられていることも、回転駆動部50と空洞部48の開口端の間の距離の短縮させることに貢献している。これにより医療用X線CT撮影装置20のさらなる小型化が図られている。
【0074】
また、患者の局部をX線発生源36とX線検出器37との間に配設する際、位置付用光照射部38からの照射光が患者の腕10に照射される箇所を確認して、当該撮影対象箇所となる局部の位置決めをより正確に行うことができる。このため、位置付け不備による撮影失敗及び再撮影を回避できる可能性が高まり、患者に対する負担を少なくできる。
【0075】
また、X線発生源36の照射方向前方に、X線コーンビームの照射領域を規制するX線規制部36Pが設けられているため、診断、治療等のため必要とされる、より限定された領域で、局所X線CT撮影を行うことができ、被曝線量を軽減できる。局所X線CT撮影については、本願と同一の出願人による特許第3919048号のような、歯科における前歯や臼歯のみの撮影、あるいは耳鼻科における鼻や耳のみの撮影を行うX線CT撮影技術を利用することができる。
【0076】
また、基体22の下部には、床上を転がり可能な車輪として、一対の車輪24及び方向変換可能な補助車輪25が設けられているため、本装置20を、患者の所在箇所等に、容易に移動させることができる。本装置20を診療室間あるいは病棟間で移動させることも容易である。尚、本装置20によるCT撮影は、支持部30を旋回させる角度を特に問わず、例えば支持部30を患者の局部周りに180度乃至360度旋回させることでCT撮影を行うことができる。また、X線発生源36とX線検出器37とを、撮影領域全域に満たないが全域の半分以上の領域のX線投影データを取得できるよう配置し、その対向状態で支持部30を旋回させてCT撮影を行う、いわゆるオフセットCT撮影を行うこともできる。オフセットCT撮影では、撮影領域全体について180度以上の投影データを得るために支持部30を360度以上旋回させる。このオフセットCT撮影によれば、局所領域撮影に限定したX線コーンビームであっても、当該コーンビームの幅以上の広い領域、例えば患者の腰椎などをCT撮影することもでき、患者の被爆線量を抑えつつ広い領域のCT撮影を行うこともできる。
【0077】
ここで、オフセットCT撮影の構成について詳述する。
【0078】
図9は回転軸Aの軸方向から見た場合の通常のCT撮影の様子を模式的に示す図であり、図10は回転軸Aの軸方向から見た場合のオフセットCT撮影の様子を模式的に示す図である。
【0079】
回転軸Aの軸方向から見た場合とは、空洞部48の底部側から見た場合と考えても、空洞部48の開口側から見た場合と考えてもよい。
【0080】
本願では、オフセットCT撮影ではなく、撮影領域全域が常にX線コーンビームで照射される範囲に収まっているCT撮影を「通常のCT撮影」と称し、オフセットCT撮影によるCT撮影を文字通り「オフセットCT撮影」と称する。
【0081】
図9に示すように、通常のCT撮影では、CT撮影中、撮影領域FE1全域が常にX線コーンビームCBで照射される範囲に収まっている。X線検出器37は、X線コーンビームCBで照射される範囲の全域のX線を受光する。X線コーンビームCBの回転軸Aの軸方向から見た広がりを角度AG1とし、X線コーンビームCBの広がりの角度AG1の対称軸をBC1とする。
【0082】
X線コーンビームCBの回転軸Aの軸方向から見た広がりの一方の境界をビーム側部EG1とし、他方の境界をビーム側部EG2とする。X線のうち対称軸BC1を通る部分を、センタービームXCB1とする。広がり角度AG1は対称軸BC1によって角度AG2と角度AG3に等分される。いうまでもないが、角度AG2と角度AG3は等角である。
【0083】
撮影領域FE1の外縁は真円であり、撮影領域FE1の中心が撮影領域中心AC1である。
【0084】
支持部30を機械的要素としての支持部30として考えた場合に、支持部30は回転駆動部50で回転駆動される機械的旋回軸を有する。部材で考えると、内側回転支持部42が回転駆動部50から回転力を与えられる部材としての機械的旋回軸の役割を果たす。図9に示した例では、機械的旋回軸の軸心は撮影領域中心AC1と位置的に一致している。
【0085】
CT撮影中は、X線発生源36がX線コーンビームCBを照射しつつ、X線発生源36とX線検出器37が撮影領域FE1を間に挟んで旋回し、X線検出器37が開始位置LA1から90度旋回した位置LA2、180度旋回した位置LA3、270度旋回した位置LA4を経て位置LA1へと移動する。
【0086】
通常のCT撮影ではX線検出器37が位置LA3まで移動した位置で、再構成によりCT画像を得るのに差し支えない範囲の投影データが得られるので、位置LA3まで移動したところでCT撮影を終了してもよい。
【0087】
CT撮影中、センタービームXCB1は常に撮影領域中心AC1を通過し、ビーム側部EG1とビーム側部EG2は常に撮影領域FE1の外縁に接している。
【0088】
図10に示すように、オフセットCT撮影では、CT撮影中、撮影領域FE2の一部の領域のみがX線コーンビームCBで照射される範囲に収まっている。X線検出器37は、X線コーンビームCBで照射される範囲の全域のX線を受光する。X線コーンビームCBの回転軸Aの軸方向から見た広がりを角度AG4とし、X線コーンビームCBの広がり角度AG4の対称軸をBC2とする。
【0089】
X線コーンビームCBの回転軸Aの軸方向から見た広がりの一方の境界をビーム側部EG3とし、他方の境界をビーム側部EG4とする。X線のうち対称軸BC2を通る部分はセンタービームXCB2である。広がり角度AG4は対称軸BC2によって角度AG5と角度AG6に等分される。いうまでもないが、角度AG5と角度AG6は等角である。
【0090】
撮影領域FE2の外縁は真円であり、撮影領域FE2の中心が撮影領域中心AC2である。支持部30の機械的旋回軸の軸心は撮影領域中心AC2と位置的に一致している。
【0091】
CT撮影中は、X線発生源36がX線コーンビームCBを照射しつつ、X線発生源36とX線検出器37が撮影領域FE2を間に挟んで旋回し、X線検出器37が開始位置LB1から90度旋回した位置LB2、180度旋回した位置LB3、270度旋回した位置LB4を経て位置LB1へと移動する。
【0092】
オフセットCT撮影においては、X線の対象軸BC2が撮影領域FE2の撮影領域中心AC2を通らずに、撮影領域中心AC2を中心とする円弧CL1上を移動することで広い範囲の撮影を行う。最も広く撮影領域を拡大する場合、被写体の関心領域の中心を通るX線が、X線検出器の2次元検出面の端に入射するようにする。
【0093】
ビーム側部EG3とビーム側部EG4のいずれか一方のみ、図10に示す例ではビーム側部EG3の方が常に撮影領域FE2の外縁に接し、ビーム側部EG4の方は常に撮影領域FE2の外縁より内側にある。
【0094】
X線検出器37により各瞬間で撮影される領域は撮影領域の全体を含まないが、被写体の周りの360°の回転により、各瞬間に撮影している領域より広い撮影領域について、CT画像再構成に必要なデータが収集される。もちろん、360°を越えて撮影を続けてもよい。
【0095】
図11、図12は、図1の医療用X線CT撮影装置において、通常のCT撮影とオフセットCT撮影とを切換可能とした具体的構成例である。図11が通常のCT撮影の状態、図12がオフセットCT撮影の状態を示す。
【0096】
通常のCT撮影はノーマルCT撮影モードで実行され、オフセットCT撮影はオフセットCT撮影モードで実行される。
【0097】
アーム部34は、X線検出器ホルダ案内部34Dを備える。X線検出器ホルダ案内部34DにはX線検出器ホルダ34Hが移動可能に嵌合している。この移動可能な嵌合構造によって、X線検出器ホルダ34Hは、支持部30の旋回によってX線検出器37(アーム部34の端部)が描く円弧(回転軸Aから見た円弧)に接する接線に平行な方向に変位可能である。
【0098】
なお、X線検出器ホルダ案内部34DとX線検出器ホルダ34Hの間には図示を省略する案内機構があり、X線検出器ホルダ34HがX線検出器ホルダ案内部34Dから外れずに変位できるようになっている。
【0099】
X線検出器ホルダ34Hは、X線検出器37を保持可能に構成されている。X線検出器ホルダ34HのX線発生源36に対向する面は開放されていて、X線検出器37のX線検出面を遮らないようになっている。
【0100】
アーム部34の内部に駆動モータ34M1が固定され、その駆動軸にローラ34Rが設けられている。ローラ34Rは、X線検出器ホルダ34Hの背面に当接している。そして、駆動モータ34M1の駆動によるローラ34Rの回転で、X線検出器ホルダ34Hが上述の接線に平行な方向へ変位可能に構成されている。
【0101】
そして、X線検出器37を図11に示すように位置付することによって図9に示す通常のCT撮影を行い、X線検出器37を図12に示すように位置付することによって図10に示すオフセットCT撮影を行う。
【0102】
図9の通常のCT撮影を行う場合と、図10のオフセットCT撮影を行う場合とで、X線規制部36PのCT撮影用の開口の位置をX線検出器37が移動した分に対応して移動させるとよい。つまり、X線検出器37の位置が変位しても、X線検出器37がX線コーンビームCBで照射される範囲の全域のX線を受光するように、X線コーンビームCBの照射方向を変える。
【0103】
このような、X線検出器ホルダ案内部34D、X線検出器ホルダ34H、駆動モータ34M1等を含み、オフセットCT撮影を可能たらしめる機構を、本願ではオフセットCT撮影機構と称することとする。
【0104】
本例のオフセットCT撮影機構は通常のCT撮影とオフセットCT撮影の切換が可能な構成であるが、X線検出器37を当初からオフセットCT撮影用の位置に固定した構造として、オフセットCT撮影専用のX線CT撮影装置としてもよい。
【0105】
図11、図12においては、理解を容易にするために簡易な構造のオフセットCT撮影機構を図示したが、実際にはいかような機構を用いても構わず、オフセットCT撮影を可能たらしめる機構であればよい。オフセットCT撮影機構は、本願のいずれの例にも付加しうる。
【0106】
図13は撮影領域を変更する別の例である。図13においては、図1の医療用X線CT撮影装置において、アーム部34を部分的に変形している。
【0107】
アーム部34は回転支持部40に固定されるアーム基部34Bとアーム基部34Bに対して変位可能な移動アーム部34Tとを備えている。
【0108】
移動アーム部34Tは、案内機構34NによってX線発生源36に近接または離隔する方向に変位可能である。
【0109】
移動アーム部34Tの変位駆動は駆動モータ34M2により行われる。駆動モータ34M2はアーム基部34Bに固定されている。駆動モータ34M2の回転軸に直接または間接にねじ軸部34MAが連結され、駆動モータ34M2の駆動によりねじ軸部34MAが回転駆動されるようになっている。
【0110】
移動アーム部34Tには雌ねじ部材34TSが固定されており、ねじ軸部34MAが雌ねじ部材34TSに螺合している。そして、ねじ軸部34MAの回転駆動により、雌ねじ部材34TSがX線発生源36に近接または離隔する方向に変位駆動される。この雌ねじ部材34TSの変位駆動により、移動アーム部34TがX線発生源36に近接または離隔する方向に変位駆動される。
【0111】
図示の例では、位置LT1のX線検出器37の位置をホームポジションとして、X線発生源36に近接した位置LT2を撮影領域拡大位置としている。無論、位置LT2のX線検出器37の位置をホームポジションとして、X線発生源36から離隔する位置LT1を撮影領域縮小位置としてもよく、または、位置LT1と位置LT2の中間地点をホームポジションとして、位置LT1への変位も位置LT2への変位も可能としてもよい。初期位置であるホームポジション及びその位置からの移動方向等の設定は自由である。
【0112】
位置LT1のX線検出器37でCT撮影を行う場合と、位置LT2のX線検出器37でCT撮影を行う場合とで、X線規制部36PのCT撮影用の開口の開口幅をX線検出器37が近接離隔した分に対応して変更させるとよい。つまり、X線検出器37の位置が変位しても、X線検出器37がX線コーンビームCBで照射される範囲の全域のX線を受光するようにX線コーンビームCBの照射幅を変える。この場合、位置LT1のX線検出器37でCT撮影を行う場合に比べ、位置LT2のX線検出器37でCT撮影を行う場合はX線規制部36PのCT撮影用の開口の開口幅が大きくなる。
【0113】
アーム基部34B、移動アーム部34T、駆動モータ34M2、ねじ軸部34MA、雌ねじ部材34TS等を含む、拡大率を変更可能たらしめる機構を、本願では拡大率変更機構と称することとする。
【0114】
図14は図13の例において回転軸Aの軸方向から見た場合のCT撮影を模式的に示す図である。
【0115】
位置LT1にX線検出器37がある場合は、撮影領域FE1の領域のCT撮影が可能であり、位置LT2にX線検出器37がある場合は、撮影領域FE3の領域のCT撮影が可能である。位置LT2のX線検出器37は被写体に近い分、拡大率が小さく、位置LT1のX線検出器37よりも広い範囲のCT撮影が可能である。位置LT1のX線検出器37は被写体から遠い分、拡大率が大きく、位置LT2のX線検出器37よりも狭い範囲のCT撮影を行う。よって、位置LT1のX線検出器37は、狭い観察対象部位を大きく表示して観察したい場合に好適である。
【0116】
因みに、拡大率は、X線発生源36のX線焦点とX線検出器37のX線検出面との距離をDTAとし、X線発生源36のX線焦点と撮影領域中心AC1までの距離をDTBとすると、DTA/DTBで算出される。
【0117】
図13の構成の実施例において、さらに図11、図12の構成のオフセットCT撮影機構を設けるようにしてもよく、その場合はさらに撮影領域の拡大縮小の自由度が拡がる。
【0118】
図13においては、理解を容易にするために簡易な構造の拡大率変更機構を図示したが、実際にはいかような機構を用いても構わず、拡大率の変更を可能たらしめる機構であればよい。例えば、X線発生源側を移動させることで、X線検出器をX線発生源に対して相対的に近接離隔させるようにして、拡大率を変更するようにしてもよい。また、拡大率変更機構は、本願のいずれの例にも付加しうる。
【0119】
以下、上記第1実施形態を前提とする各変形例について説明する。以下の各変形例に関する説明では、上記第1実施形態で説明したものと同様構成については同一符号を付する等してその説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0120】
<変形例1>
変形例1では、上記第1実施形態における軸受70の変形例を説明する。図15及び図16は回転支持部40及び筒状体160部分を示す要部断面図であり、変形例1に係る軸受170を示している。
【0121】
筒状体160は、上記筒状体60に対して、底部側部分を小径(ここでは僅かに小径)にした構成とされている。
【0122】
この軸受170は、筒状体160の外周と回転支持部40の空洞部48の内周との間に設けられており、筒状体160の開口側にある開口側軸受部172と底側にある底側軸受部174とを有している。
【0123】
開口側軸受部172は、外リング部材172aと内リング部材172bとが玉等の転動体等を介して相対回転自在に連結された構成とされ、底側軸受部174は、外リング部材174aと内リング部材174bとが玉の転動体等を介して相対回転自在に連結された構成とされている。
【0124】
また、上記開口側軸受部172と底側軸受部174とは、回転荷重及び回転軸Aの方向にかかるスラスト荷重を受け止めるよう構成された、組合せタイプのアンギュラ玉軸受とされており、さらに、開口側軸受部172と底側軸受部174とは、回転軸Aに直交する方向にかかるモーメント荷重に耐える方向に組み合わされて取り付けられている。そして、外リング部材172a,174aが回転支持部40の空洞部48の内周面に固定され、内リング部材172b,174bが筒状体160の外周面に固定されている。これにより、種々の荷重に耐えるよう組み合わされたアンギュラ玉軸受によって、筒状体160が空洞部48内で回転支持部40に対して相対回転自在に支持された構成とされている。
【0125】
この変形例1によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。変形例1においては、内リング部材172aの内側自体が空洞部48の充分な空間を確保しているので、軸受自体が空洞部48の役割を果たすことで医療用X線CT撮影装置20の小型化に寄与している。
【0126】
この変形例1のように、筒状体を回転自在に支持する構成としては種々の態様を想定することができる。例えば、筒状体を回転自在に支持する軸受としては、ジャーナル軸受であってもよいし、アンギュラ玉軸受であってもよい。特に、第1実施形態のように、筒状体の底部に配設したジャーナル軸受を用いることによって、簡易な構成でかつ筒状体の内部空間径をなるべく大きくするように、筒状体を支持することができる。また、本変形例1のように、筒状体をその外周で回転自在に支持するアンギュラ玉軸受を用いることによって、筒状体の中心軸の偏心及び傾きを有効に抑制することができる。また、用いる軸受は、すべり軸受であってもよいし、転がり軸受であってもよく、さらに、転がり軸受の場合、玉軸受であってもよいし、コロ軸受であってもよい。
【0127】
<変形例2>
変形例2では、支持部30を移動可能に支持する例について説明する。図17及び図18は支持部30を移動可能に支持する移動機構部210を示す図であり、図19及び図20は図17及び図18において支持部30、回転駆動部50及び駆動部搭載プレート238を省略した図であり、図21及び図22は図17及び図18に示す状態から支持部30を移動させた状態を示す図である。図21及び図22では、図17及び図18に示す状態から支持部30を移動させた方向を矢印で示している。なお、本移動機構部210の説明において、回転軸A方向をY方向、上下方向をZ方向、Y軸及びZ軸の双方に直交する方向をX方向という。
【0128】
この移動機構部210は、支持部30をZ方向に沿って移動させるZ方向移動機構部220と、支持部30をY方向に沿って移動させるY方向移動機構部230と、支持部30をX方向に沿って移動させるX方向移動機構部240とを有している。なお、基体22には、支持部30を移動させることができるように、十分に大きな取付穴部22hが形成されている。
【0129】
Z方向移動機構部220は、基体22内の底部に固定された基部プレート212上に立設状に固定されている。Z方向移動機構部220は、昇降プレート228を略水平姿勢でZ方向に移動可能に支持するZ方向ガイド部222と、昇降プレート228をZ方向に移動駆動するZ方向駆動部224とを有している。Z方向ガイド部222は、例えば、基部プレート212上に立設された外角筒内に内角筒がスライド移動可能に挿通され、内角筒の上端部に昇降プレート228が略水平姿勢で固定された構成等を採用することができる。また、Z方向駆動部224は、モータ224aを有しており、そのモータ224aの回転駆動力により上記昇降プレート228をZ方向に移動駆動する。モータ224aの回転駆動力を、昇降プレート228を昇降駆動する力として伝達する機構としては、例えば、Z方向に沿って回転自在に立設されたボールねじ軸に、昇降プレート228と一体化された雌ねじ部材を螺合させ、モータ224aによりボールねじ軸を回転させることにより、雌ねじ部材及び昇降プレート228を昇降駆動する構成、モータ224aにより循環回転駆動されるチェーンの駆動により昇降プレート228を昇降駆動させる構成等を採用することができる。周知の油圧シリンダとピストンで昇降プレート228を昇降駆動するようにしてもよい。
【0130】
また、Y方向移動機構部230は、上記昇降プレート228上に設けられたY方向ガイド部232と、駆動部搭載プレート238をY方向に移動駆動するY方向駆動部234とを有している。Y方向ガイド部232は、昇降プレート228上にY方向に沿って配設されたガイド突条部232aと当該ガイド突条部232aを移動自在に配設された可動受部232bとを有している(図19参照)。ここでは、Y方向ガイド部232は、昇降プレート228上にX方向に間隔を有して2つ設けられている。そして、それぞれの可動受部232b上に駆動部搭載プレート238がねじ止等で固定されることで、当該駆動部搭載プレート238が昇降プレート228上でY方向に移動可能に支持されている。また、Y方向駆動部234は、モータ234aと、ボールねじ軸部234bと、雌ねじ部材234cとを有している。モータ234aは、駆動部搭載プレート238の一側部に取付固定されており、ボールねじ軸部234bは駆動部搭載プレート238の一側部に回転自在に配設されている。また、ボールねじ軸部234bは、直接或はギヤ、ベルト等の伝達部材を介して、モータ234aの回転軸に連結されている。また、雌ねじ部材234cはボールねじ軸部234bに螺合すると共に、昇降プレート228にねじ止等で固定されている。そして、モータ234aによりボールねじ軸部234bを回転駆動することにより、雌ねじ部材234c及び昇降プレート228に対してボールねじ軸部234b、モータ234a及び駆動部搭載プレート238がY方向に沿って移動駆動される構成とされている。
【0131】
また、X方向移動機構部240は、上記駆動部搭載プレート238上に設けられたX方向ガイド部242と、回転駆動部50をX方向に移動駆動するX方向駆動部244とを有している。X方向ガイド部242は、移動自在にガイドする方向がX方向である点を除いて、上記Y方向ガイド部232と略同様構成とされており、回転駆動部50をX方向に移動可能に支持している。また、X方向駆動部244は、移動駆動する方向がX方向である点を除いて、上記Y方向駆動部234と同様構成とされており、モータ244aの駆動により回転駆動部50をX方向に沿って移動駆動する構成とされている。部分的に図示を省略するが、板状に形成された回転駆動部50の底部にモータ244aが取付固定されており、駆動部搭載プレート238に固定された雌ねじ部材に螺合するねじ軸部を駆動する。モータ244aの駆動により、X方向ガイド部242にガイドされ、回転駆動部50の底部に固定された可動受部がX方向に移動する。
【0132】
なお、回転駆動部50の固定部位であるケーシングを、駆動部搭載プレート238上に立設した不図示の垂直固定プレートにねじ等で固定すれば、例えば電気モータである回転駆動部50のステータを回転不能に固定し、回転駆動部50のロータを安定して回転させることができる。
【0133】
また、回転駆動部50には、第1実施形態で説明したように、支持部30が回転駆動可能に支持されている。そして、Z方向移動機構部220の駆動により回転駆動部50及び支持部30がZ方向(上下方向)に移動駆動され、Y方向移動機構部230の駆動により回転駆動部50及び支持部30がY方向(回転軸A方向)に移動駆動され、X方向移動機構部240の駆動により回転駆動部50及び支持部30がX方向(左右方向)に移動駆動される構成とされている。
【0134】
つまり、この移動機構部210では、Z方向移動機構部220及びX方向移動機構部240が、支持部30を回転軸Aと直交しかつ互いに直交する2軸方向(X方向及びZ方向)に沿って移動可能にする2軸移動機構部を構成している。また、Y方向移動機構部230が、支持部30を回転軸A方向(Y方向)に沿って移動可能にする回転軸方向移動機構部を構成している。
【0135】
なお、上記移動機構部210の駆動制御は、例えば、CT撮影処理ユニットによる制御下、利用者による入力部28への指示に基づいて行われる。
【0136】
つまり、患者の局部をX線発生源36とX線検出器37との間の一定位置に配設した状態で、撮影の対象となる局部がX線発生源36とX線検出器37との間の所定の撮影領域に配設されるように、支持部30及びそれによって支持されたX線発生源36とX線検出器37をX方向、Y方向及びZ方向に移動させる。
【0137】
これにより、患者に動いてもらわなくとも、撮影対象箇所である局部に対するX線発生源36とX線検出器37の位置調整を容易に行うことができ、患者の負担が軽減される。さらに、本変形例2によれば、様々なCT撮影を実行することができる。例えば、支持部30を180度旋回させて右膝のCT撮影を行い、次いで支持部30をX方向に移動させた後に、先ほどとは逆方向に支持部30を180度旋回させて左膝のCT撮影を行う、というように、患者の局部のうち左右対称位置を連続的に撮影することができる。また例えば、患者の腕の一部のCT撮影を行い、次いで支持部30をY方向に移動させた後に、先ほどの撮影対象に続く腕の部分のCT撮影を行い、取得されたCT画像をつなぎ合わせる画像処理を行うことで、患者の腕の尺骨等、回転軸Aの方向に沿って長さを持った患者の局部をCT撮影することもできる。
【0138】
なお、上記移動機構部210は、3軸方向全てにおいて支持部30を移動可能にする構成である必要はない。例えば、Y方向移動機構部230を省略し、Z方向移動機構部220とX方向移動機構部240とによって、支持部30を回転軸Aと直交する方向に移動可能にする構成であってもよく、或は、Z方向移動機構部220及びX方向移動機構部240を省略し、Y方向移動機構部230によって支持部30を回転軸A方向に移動可能にする構成であってもよい。
【0139】
また、上記では、モータの駆動によって支持部30を動かす構成としたが、手回し式のハンドル等を用いて支持部30を動かす構成としてもよい。
【0140】
<変形例3>
変形例3では、CT撮影時に撮影対象箇所となる患者の局部を一定位置に保持するための構成について説明する。
【0141】
図23は筒状体60内に、保持部310を設けた例を示す斜視図である。
【0142】
保持部310は、筒状体60内で患者の一部を保持する部材であり、ここでは、軸方向長さ寸法が筒状体60の内部空間の軸方向長さと略同一で、かつ、径が筒状体60の内部空間の径と略同一である略円柱状とされている。この保持部310は、筒状体60内に、当該筒状体60に対して一定位置及び姿勢で着脱可能に配設される。ここでは、保持部310を弾性樹脂等の弾性部材によって形成し、当該保持部310を弾性的に圧縮させつつ筒状体60内に嵌め込む構成とすることで、保持部310を筒状体60内に上記一定位置及び姿勢で配設している。その他、凹凸嵌め込み構造、ねじ止等により、保持部310を筒状体60内に上記一定位置及び姿勢で配設してもよい。
【0143】
また、保持部310の一方側端面には、患者の体の一部を保持可能な保持凹部312が形成されている。ここでは、保持凹部312は、保持部310の外周側及び一方端面側で開口し、一対の側面312a、載置面312b及び底面312cで囲まれた凹状部分に形成されている。一対の側面312aのうちの一方は他方よりも長く形成され、載置面312bは一対の側面312aに対して傾斜している。そして、足14の足先15を載置面312bに載置するようにして保持凹部312内に配設でき、これにより患者の撮影対象箇所(例えば膝関節、股関節等)を一定位置に保持できるようになっている。
【0144】
つまり、例えば、足の膝関節をCT撮影する場合等に、足先15を保持凹部312内に配設することで、足14の膝関節をX線発生源36とX線検出器37との間に一定位置に静止させた状態で配設維持しやすい。そして、この状態で、X線発生源36とX線検出器37とを回転させて膝関節等のX線CT撮影を行う。この際、筒状体60及び保持部310は、支持部30に対して相対回転自在であるため、保持部310を回転させないで支持部30を回転させることができ、従って、X線CT撮影を行っている間も上記足先15の保持状態を維持することができ、撮影対象箇所となる膝関節等を一定位置に静止させつつ、X線CT撮影を行うことができ、X線CT撮影の失敗を抑制することができる。特に、患者の一部を対象とする局部X線CT撮影では、位置決め精度が要求されるため、有効であるといえる。
【0145】
図24〜図29に示す例では、筒状体460に、保持部410を設けると共に、張出部430を設けた例について説明する。
【0146】
筒状体460は、上記第1実施形態における筒状体60と同様構成の筒状体本体部分462の開口外周部に、筒状体460の径方向外側に向けて張出す鍔状部464を形成した構成とされている(図24,図25及び図28参照)。
【0147】
保持部410は、筒状体460の外方で患者の体の一部を保持するものであり、ここでは、板状部412と取付片414とねじ部416とを有している。
【0148】
板状部412は、略長方形板状に形成され、少なくとも一端部は筒状体460内に配設可能な幅を有している。ここでは、板状部412は、その長手方向全体に亘って略同一幅に形成されている。
【0149】
取付片414は、板状部412の一方主面(図24、図25等では下側の主面)に略垂下状に設けられた長尺板状片に形成されている。取付片414の先端部にはねじ部416を挿通可能なねじ挿通孔が形成されると共に、上記鍔状部464にねじ部416を螺合可能なねじ穴が形成されている。なお、板状部412が回転軸Aよりも下方の位置に配設されるように、取付片414の長さ寸法及びねじ穴の位置が設定されている。
【0150】
そして、板状部412を略水平姿勢にしてその一端部を筒状体460内に配設した状態で、ねじ部416を取付片414のねじ挿通孔に挿通すると共に鍔状部464のねじ穴に螺合させる。そして、取付片414を鍔状部とねじ部416のねじ頭との間で挟持することで、鍔状部464に対して保持部410が一定姿勢で着脱可能に取付固定される。
【0151】
そして、板状部412上に載置された撮影対象箇所が、回転軸A上に配設されるようになっている。
【0152】
張出部430は、上記筒状体460のうちX線発生源36とX線検出器37との間にむけて開口する開口部に、X線発生源36とX線検出器37との回転軸A周りの旋回軌跡の内側に向けて張出すように設けられている。
【0153】
より具体的には、張出部430は、筒状体460内に設けられた筒側取付部材440を介して筒状体460に着脱自在に取付けられている。
【0154】
張出部430は、無底円筒形状をその軸方向に沿って部分的に切除したような形状とされている。回転軸Aに略直交する面における張出部430の断面形状は、上記筒状体460内に配設可能な円弧状形状を有しており、その外周面は筒状体460の内周面と略同一径の円弧をなしている。また、筒状体460の前記断面形状は、二分の一円弧よりも大きな円弧状を描いており、本張出部430の軸方向一端部を筒状体460内に配設した状態で、張出部430の周方向両側部が筒状体460の直径方向のラインを越えて下方に配設されるようになっている。これにより、張出部430の軸方向一端部を筒状体460内に配設した状態で、張出部430の外周面が筒状体460の内周面に対して、回転軸A周りに180度を超える範囲で接触し、張出部430の軸方向他端部が筒状体460の開口から略水平姿勢で延出する姿勢が安定して保持されるようになっている。
【0155】
また、張出部430の一端面には、ピン状の装着用突起部434が突設されている。ここでは、張出部430の一端面に略均等間隔で3つの装着用突起部434が形成されている。
【0156】
また、筒側取付部材440は、筒状体460の内周面に接触した状態で、当該筒状体460内に配設可能な環状部材に形成されている(図24,図25及び図28参照)。筒側取付部材440は、凹凸嵌め込み構造或は筒状体460内への圧入構造等によって、筒状体460に対して相対回転不能に配設されていることが好ましい。
【0157】
この筒側取付部材440の外向き面に、上記装着用突起部434を嵌め込み可能な装着用凹部444が形成されている。ここでは、筒側取付部材440の外向き面には当該3つの装着用突起部434に対応する各位置に3つの装着用凹部444が形成されている。
【0158】
なお、上記筒側取付部材440は、筒状体460に対して一体形成された部材であってもよく、換言すれば、装着用凹部444は筒状体460自体に形成されていてもよい。
【0159】
上記張出部430の一端部を筒状体460に嵌め込むように配設して、各装着用突起部434を対応する各装着用凹部444に嵌め込むことで、張出部430が筒状体460に対して着脱可能に取付けられる。この状態では、張出部430のうち筒状体460から延出する他端部は、上記板状部412の上方位置で回転軸Aを囲むようにして略水平姿勢で延在している(図28参照)。この取付状態において、張出部430は、少なくとも一対のアーム部33,34を越える位置まで延出していることが好ましい。なお、この状態から張出部430を筒状体460の開口側に引抜くと、当該張出部430を筒状体460から取外すことができる。
【0160】
そして、X線CT撮影を行う際には、アーム部33,34の先端部外方位置に、回転軸Aと略直交する仕切パネル450を配設する。この仕切パネル450には、回転軸A延長上を開口させるようにして、略L字状の切欠部452が形成されている。なお、切欠部452の水平辺部分の高さと、張出部430の周方向両側端面及び保持部410の板状部412の下面の高さ位置とを一致させ、張出部430の周方向両側端面及び保持部410の板状部412の下面を、切欠部452の水平辺部分に載置状に支持して、張出部430、筒状体460及び保持部410等が回転しないように規制してもよい。
【0161】
そして、上記状態で、仕切パネル450の外方に椅子等を配設し、当該椅子に座った患者が腕を、切欠部452を通って板状部412と張出部430との間に配設する。この際、手先を筒状体460内に配設することができるため、腕を筒状体460に向けて深く差出して、上腕部分等をX線発生源36とX線検出器37との間に配設することができる。板状部412と張出部430で囲まれた内部空間を利用して、この内部空間と腕の間にX線吸収係数の小さい樹脂等のスペーサーを詰めて腕の固定を確実にしてもよい。
【0162】
この後、当該状態で、X線発生源36とX線検出器37とを回転軸A周りに回転させることで、X線CT撮影を行うことができる。このX線CT撮影を行うために、板状部412と張出部430は、少なくともX線が照射される範囲においてX線吸収係数の小さい材料によって形成されている。
【0163】
この際、筒状体460及び保持部410は、支持部30に対して相対回転自在であるため、保持部410を回転させないで支持部30を回転させてX線CT撮影を行うことができる。従って、上記腕等の一定位置での保持状態を維持することができ、撮影対象箇所となる腕等を一定位置に静止させつつ、X線CT撮影を行うことができ、X線CT撮影の失敗を抑制することができる。
【0164】
また、撮影中において、撮影対象箇所である腕等と、X線発生源36とX線検出器37との間には、張出部430が介在している。このため、撮影対象箇所である腕等とX線発生源36或はX線検出器37との接触がより確実に抑制される。
【0165】
また、張出部430は、筒状体460の開口部に対して連結及び分離可能に取付けられているため、撮影対象箇所に応じて張出部430を着脱することができる。頸部を撮影する場合等、張出部430が邪魔になりそうな場合には張出部430を取外して撮影を行い、腕或は脚等の細長い部分を撮影する場合には張出部430を取付けて撮影を行うことができる。このため、撮影対象箇所に応じて張出部430を着脱して、多様な箇所のX線CT撮影を行える。
【0166】
なお、上記では、保持部410と張出部430との双方を設けた例で説明したが、必ずしもその必要はない。例えば、張出部430だけを設けた構成であってもよいし、図29に示すように、保持部410だけを設けた構成であってもよい。すなわち、図29では、着座した患者の腕10を装置20側に向けて略水平姿勢に伸して保持部410の板状部412上に載置支持し、この状態で、X線CT撮影を行うようにしている。
【0167】
図30〜図37に示す例では、本医療用X線CT撮影装置20外にある外部保持部材を、筒状体560に対して連結及び分離可能にするための例について説明する。ここでは、外部保持部材が患者の体全体を保持する医療用ベッド510である場合を想定して説明する。もっとも、外部保持部材としては、ベッドの他、患者の体の一部を保持する部材、例えば、腕を載置状に支持する支持台等であってもよい。
【0168】
医療用ベッド510は、ベッド本体部512と、中間台514と、下部基台516(図36及び図37参照)とを有している。
【0169】
ベッド本体部512は、両側部から幅方向中央部に向けて弧状に凹む長尺板状に形成されている。ベッド本体部512は、一般的な人間を寝転んだ状態で支持可能な程度の幅寸法及び長さ寸法に形成されている。また、ベッド本体部512の一端側部分513のうち載置される患者等の体軸に関する左右の一部は略L字状に切欠かれて、ベッド本体部512の長手方向に沿って延びる第1辺部分513aとその幅方向に沿って延びる第2辺部分513bとが形成された構成とされている。
【0170】
そして、上記第2辺部分513bを筒状体560の開口部分に当接させるようにして、前記一端側部分513を筒状体560内に配設できるようになっている。
【0171】
このベッド本体部512は、中間台514及び下部基台516により、筒状体560に対応する高さ位置で、略水平姿勢で支持されている。一端側部分513は中間台514から張り出すように中間台514に固定されている。
【0172】
また、筒状体560は、上記第1実施形態における筒状体60と同様構成の筒状体本体部分562の開口外周部に、筒状体560の径方向外側に向けて張出す鍔状部564を形成した構成とされている。
【0173】
連結分離部570は、一対の挟込辺572が間隔を有して対向配置された構成とされている(図33及び図34参照)。一対の挟込辺572間には、鍔状部564を配設可能な間隔がもうけられている。また、一方の挟込辺572には、固定用ねじ部574が螺合状態で配設されている。そして、一対の挟込辺572により鍔状部564を挟込むようにして、連結分離部570を鍔状部564の周方向の所望の位置に配設した状態で固定用ねじ部574を締付けることで、固定用ねじ部574の先端部と他方の挟込辺572との間で鍔状部564が挟持され、当該連結分離部570が鍔状部564の所望の位置に固定される。また、ここでは、連結分離部570は2つ設けられている。2つの連結分離部570は、上記ベッド本体部512の一端側部分513を筒状体560内に配設した状態で、第2辺部分513bに下方より当接可能な位置で、鍔状部564に取付固定されている(図32参照)。
【0174】
そして、ベッド本体部512の一端側部分513を筒状体560内に配設し、各第2辺部分513bの下面部分を連結分離部570に当接させることにより、筒状体560にベッド本体部512が着脱可能に連結されている。この状態では、所定の水平姿勢に保持されたベッド本体部512の第2辺部分513bの下面が連結分離部570に当接している。このため、筒状体560の回転がより確実に規制されている。ここで、筒状体と外部保持部材とを連結するとは、外部保持部材に対する筒状体の回転を規制した状態で、筒状体と外部保持部材とが一体的に連なることをいい、筒状体と外部保持部材とを分離するとは、外部保持部材に対する筒状体の回転規制を解除した状態で、筒状体と外部保持部材とを距離的に離すことをいう。
【0175】
そして、例えば、撮影対象箇所として患者の膝関節を撮影する場合には、図36及び図37に示すようにする。即ち、脚17を一端側部分513に配設するようにして患者16をベッド本体部512上に寝かして、撮影対象である片脚を回転軸A上に配設すると共に、撮影対象ではない他方の片脚を曲げてX線照射領域から外れた状態にする。そして、医療用ベッド510及び医療用X線CT撮影装置20のうちの少なくとも一方を動かして、上記ベッド本体部512の一端側部分513を筒状体560内に配設すると共に各第2辺部分513bの下面を連結分離部570に当接させる。この状態で、X線発生源36とX線検出器37とを回転軸A周りに回転させることで、X線CT撮影を行うことができる。
【0176】
これにより、患者の撮影対象箇所である脚等をより一定位置に静止させた状態で、X線CT撮影を行うことができ、X線CT撮影の失敗等を抑制することができる。
【0177】
しかも、ベッド本体部512と医療用X線CT撮影装置20とを遠近移動させることで、上記連結及び分離を行えるため、利用者にとって便利である。また、脚の骨折などにより、X線CT撮影が求められているにも関わらず移動することが困難な患者にとっては、負担が大幅に軽減される。
【0178】
また、本変形例3に係る各構成は、第1実施形態で説明した医療用X線CT撮影装置20に対して、筒状体の交換、保持部等の追加等によって比較的容易かつ簡易な構成で実現できるという利点もある。
【0179】
{第2実施形態}
第2実施形態に係る医療用X線CT撮影装置について説明する。なお、本実施の形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。図38〜図43は本第2実施形態に係る医療用X線CT撮影装置の要部を示す図である。この医療用X線CT撮影装置では、筒状体660が基体に取付けられている。
【0180】
すなわち、第1実施形態における基体22に対応する基体内には、駆動部搭載プレート638が一定位置又は位置を変更可能に支持されている。駆動部搭載プレート638には、支持軸部610がねじ止等により取付固定されると共に、その支持軸部610の側方にモータ等の回転駆動部650がブラケット等を介して取付固定されている。
【0181】
支持軸部610の一端部は略円筒状に形成されており、その外周に設けられた軸受部612を介して、支持部30が支持軸部610に対して回転自在に支持されている。また、支持軸部610の一端部端面には、筒状体660が支持軸部610に対して回転不能に支持されている。
【0182】
より具体的には、支持軸部610の一端部の外周に、外リング部材612aと内リング部材612bとが玉等の転動体等を介して相対回転可能に連結された軸受部612(図43参照)が設けられている。内リング部材612bはねじ等を介して支持軸部610の一端部に取付固定され、外リング部材612aはねじ等を介して支持部30の内側回転支持部42の底部に取付固定されている。これにより、支持部30が支持軸部610に対して一定位置でかつ相対回転可能に支持されている。
【0183】
勿論、ここで用いられる軸受についても、上記第1実施形態の変形例2で述べたのと同様に、ジャーナル軸受等種々の軸受を適宜採用できる。また、すべり軸受であってもよいし、転がり軸受であってもよく、さらに、転がり軸受の場合、玉軸受であってもよいし、コロ軸受であってもよい。
【0184】
また、回転駆動部650の回転軸部に取付けられたプーリー体652及び外リング部材612aの外周に設けられたプーリー体653に無端環状の駆動ベルト654が巻掛けられている(図38、図39及び図40参照)。そして、駆動ベルト654を介して回転駆動部650の回転駆動力が回転支持部40に伝達され、当該支持部30が回転駆動されるようになっている。
【0185】
また、第1実施形態における筒状体60に対応する筒状体660の底面には、取付環状部664が設けられている。取付環状部664は、上記内リング部材612bに対応する位置に形成された環状部材であり、当該内リング部材612bの外面に環状面を持って面接触可能に形成されている。また、上記内リング部材612bの外面にはピン状の突部612cが形成されている(図42及び図43参照)。ここでは、内リング部材612bを支持軸部610に固定するためのねじの頭部をピン状に形成することで突部612cとしており、この突部612cが環状に沿って間隔を有して複数設けられている。また、取付環状部664のうち内リング部材612bと接触する側の部分に、上記各突部612cを挿入可能な嵌込孔部665が複数形成されている。
【0186】
そして、筒状体660を回転支持部40の空洞部48内に奥まで嵌め込むと、各突部612cが嵌込孔部665に嵌め込まれ、これにより、筒状体660が内リング部材612b及び支持軸部610等を介して基体22に対して一定位置でかつ相対回転不能に取付けられる構成とされている。また、筒状体660を回転支持部40の空洞部48内から開口側に引抜くと、各突部612cと各嵌込孔部665との嵌め込みが解除され、筒状体660を基体22から取外せるようになっている。
【0187】
この第2実施形態によると、筒状体660は基体22に対して一定位置でかつ相対回転不能に取付けられているため、X線CT撮影を行うために支持部30を回転させても、筒状体660をより確実に回転させない状態にすることができる。従って、撮影対象箇所をより確実に静止させた状態でX線CT撮影を行うことができ、X線CT撮影の失敗をより確実に抑制することができる。
【0188】
<変形例1>
第2実施形態に係る変形例1について説明する。本変形例の説明において、上記第2実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付する等してその説明を省略する。図44は本変形例に係る医療用X線CT撮影装置の要部を示す図である。
【0189】
この変形例では、第1実施形態における筒状体60に対応する筒状体760が、軸受部710を介して支持軸部610に取付けられ、基体22に対して一定位置でかつ相対回転可能に取付けられた構成とされている。
【0190】
より具体的には、支持軸部610の一端部と筒状体760の底部との間に軸受部710が設けられている。軸受部710は、外リング部材710aと内リング部材710bとが玉等の転動体等を介して相対回転可能に連結された構成とされている。内リング部材710bには、上記嵌込孔部665と同様の嵌込孔部765が形成されており、上記と同様に、各突部612cが嵌込孔部765に着脱可能に嵌め込まれるようになっている。なお、内リング部材710bは筒状体760には固定されていない。また、外リング部材710aは、筒状体760の底部にねじ等を介して取付固定されている。
【0191】
勿論、ここで用いられる軸受についても、上記第1実施形態の変形例2で述べたのと同様に、ジャーナル軸受等種々の軸受を適宜採用できる。また、すべり軸受であってもよいし、転がり軸受であってもよく、さらに、転がり軸受の場合、玉軸受であってもよいし、コロ軸受であってもよい。
【0192】
そして、筒状体760を回転支持部40の空洞部48内に奥まで嵌め込むと、各突部612cが嵌込孔部765に着脱可能に嵌め込まれて、軸受部710の内リング部材710bが支持軸部610に一定位置でかつ相対回転不能に取付固定される。そして、外リング部材710aが内リング部材710bに対して相対回転することで、筒状体760が支持軸部610に対して相対回転可能となる。このようにして、筒状体760が支持軸部610、即ち、基体に対して一定位置でかつ相対回転可能に取付けられている。
【0193】
この変形例によると、筒状体760が回転軸A周りに回転調整可能であるため、筒状体760に配設される撮影対象箇所近傍の状況に応じて筒状体760を回転調整することができる。例えば、筒状体760内に上記保持部310を配設したような場合に、当該保持部310により保持する患者の一部(つまり、足先)の姿勢等に応じて、患者が痛みを伴わず楽な姿勢となるように、筒状体760を回転させることができ、患者の負担が小さくなる。
【0194】
<変形例2>
第2実施形態に係る変形例2について説明する。本変形例の説明において、上記第2実施形態で説明したものと同様の構成要素については同一符号を付する等してその説明を省略する。図45は本変形例に係る医療用X線CT撮影装置の要部を示す図である。
【0195】
この変形例では、第1実施形態における筒状体60に対応する筒状体860が、軸受部810を介して内側回転支持部42に取付けられ、かつ、基体22に対して一定位置で取付けられた構成とされている。
【0196】
より具体的には、内側回転支持部42の内面底部と筒状体860の底部との間に軸受部810が設けられている。軸受部810は、外リング部材810aと内リング部材810bとが玉等の転動体等を介して相対回転可能に連結された構成とされている。外リング部材810aは、内側回転支持部42の内面底部にねじ等を介して取付固定されている。また、内リング部材810bは、筒状体860の底部にねじ等を介して取付固定されている。
【0197】
勿論、ここで用いられる軸受についても、上記第1実施形態の変形例2で述べたのと同様に、ジャーナル軸受等種々の軸受を適宜採用できる。また、すべり軸受であってもよいし、転がり軸受であってもよく、さらに、転がり軸受の場合、玉軸受であってもよいし、コロ軸受であってもよい。
【0198】
そして、筒状体860の底部からは、基体22に向かって固定支持部861が延設されており、筒状体860を回転支持部40の空洞部48内に奥まで嵌め込むと、固定支持部861が、回転支持部40及び支持軸部610内に挿通され、かつ固定支持部861の基体側端部が基体22に対して回転不能に固定されるようになっている。内側回転支持部42の底部には固定支持部861の長手方向と同じ方向を軸方向として筒状部42Aが延設され、支持軸部610と筒状部42Aの間に軸受が介在して支持軸部610に対して筒状部42Aが相対回転するようになっている。
【0199】
このようにして、内リング部材810bが外リング部材810aに対して相対回転することで、回転支持部40が回転している間も、筒状体860が支持軸部610に対して一定位置で相対回転不能となる。固定支持部861を基体22に対して相対回転不能に取付けるための構成としては、例えば、固定支持部861及び基体22のいずれか一方側に凸部を形成し、他方側に凹部を形成し、両者を凹凸嵌め込む構成等を採用することができる(図41〜図43における筒状体660の取付構造参照)。特に、複数の凸部を回転軸A周りに均等間隔で形成すると共に、同様に複数の凹部を回転軸A周りに均等間隔で形成することで、回転軸A周りで、基体22に対する筒状体860の取付角度を調整できる。
【0200】
この変形例によると、支持軸部610と軸受部810との間に間隔をあけ、その間隔を利用して、X線源36やX線検出器37から伸びる信号線等をまとめたケーブル類を、回転支持部40に巻きつけ、ケーブル類と回転支持部40とを同時に回転させることができるため、簡易な構成で信号線等の断線を防ぐことができる。尚、本変形例においても、固定支持部861の基体側端部が基体22に対して固定される前であれば、筒状体860が回転軸A周りに回転調整可能であるため、筒状体860に配設される撮影対象箇所近傍の状況に応じて筒状体860を回転調整することができる。例えば、筒状体860内に上記保持部310を配設したような場合に、当該保持部310により保持する患者の一部(つまり、足先)の姿勢等に応じて、患者が痛みを伴わず楽な姿勢となるように、筒状体860を回転させることができ、患者の負担が小さくなる。
【0201】
{共通変形例}
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した内容は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。
【0202】
例えば、上記実施形態では、回転支持部40に空洞部48を設けているが、必ずしもその必要はない。例えば、上記回転駆動部50を省略し、代りに、内側回転支持部の周りに軸受及び回転駆動機構等を設けた場合には、回転支持部に形成した空洞部に連続させるようにして、基体に空洞部を形成するようにしてもよい。この場合に、空洞部は両側に開口する構成であってもよい。また、例えば、回転支持部がリング状の軸受により構成され、その軸受により囲まれる空間において、基体の一主面が直接的にX線発生源とX線検出器との間に面するように露出している場合には、当該基体に空洞部を設けてもよい。また、空洞部48は必ずしも円形である必要はなく、多角形状或はX線CT撮影時に保持する患者の体の一部形状に応じた形状であってもよい。回転支持部40に空洞部48が設けられず、回転支持部40が基体22内部にあって、支持アーム部32の先端が基体22から突出する構造の医療用X線CT撮影装置も考えうる。この場合は、基体22の側だけに空洞部48を設ける。無論、この空洞部48はX線発生源36とX線検出器37の回転軸周りに空間を形成するように設けられる。
【0203】
また、筒状体は、有底円筒である必要はない。例えば、軸方向両端側に開口する形状であってもよく、また、多角筒状であってもよい。
【0204】
また、上記ではX線CT撮影を行う例で説明したが、X線発生源36とX線検出器37を回転させずに単純X線撮影(単純透過像の取得)を行ってもよい。
【0205】
また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。例えば、第2実施形態において、第1実施形態の変形例2で説明した移動機構部210を組込んでもよいし、また、第1実施形態の第3変形例で説明した保持部等を組込んでもよい。
【符号の説明】
【0206】
20 医療用X線CT撮影装置、22 基体、24 車輪、25 補助車輪、30 支持部、32 支持アーム部、36 X線発生源、36P X線規制部、37 X線検出器、38 位置付用光照射部、40 回転支持部、48 空洞部、50,650 回転駆動部、60,160,460,560,650,760,860 筒状体、70,170 軸受、210 移動機構部、220 Z方向移動機構部、230 Y方向移動機構部、240 X方向移動機構部、310,410 保持部、430 張出部、434 装着用突起部、440 筒側取付部材、444 装着用凹部、510 医療用ベッド、512 ベッド本体部、570 連結分離部、610 支持軸部、612 軸受部、710,810 軸受部、A 回転軸。
【技術分野】
【0001】
この発明は、医療用の診断等に用いられるX線CT撮影装置であって、特に、手足の関節や乳房等の患者の局部を撮影するX線CT撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者の局部を撮影するX線CT撮影装置として、特許文献1に開示のものがある。
【0003】
特許文献1は、患者の頭部を撮影する可搬型CT撮影装置を開示している。このCT撮影装置は、X線発生源とX線検出器とを対向配置した状態で第1アームによって支持すると共に、当該第1アームをモータによって回転駆動可能に支持している。そして、X線発生源とX線検出器との間に頭部を配設した状態で、第1アームを回転させることによって、X線発生源とX線検出器とを頭部周りに回転させて、X線CT撮影を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/260095号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示のCT撮影装置では、第1アームの回転軸の一方側部分は、モータ及び軸受構造等によって占有された構成とされている。このため、X線発生源とX線検出器とに対する患部の配設態様が制約されることとなっていた。例えば、モータ及び軸受構造等が邪魔となって、患者の上腕、股関節或は胸部等をX線発生源とX線検出器との間の空間に配設することが困難となっていた。
【0006】
そこで、本発明は、装置の構造の簡素さを保ちつつ、患者の局部をX線発生部とX線検出器との間に配設する際の制約をなるべく少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の態様は、患者の局部をCT撮影する医療用X線CT撮影装置であって、基体と、X線コーンビームを発生させるX線発生源とX線検出器とを対向状態で支持する支持アーム部と、前記X線発生源と前記X線検出器とを水平方向に沿った回転軸周りに回転させるように前記支持アーム部を前記基体に対して回転可能に支持する回転支持部とを有する支持部と、前記支持部を回転駆動する回転駆動部と、を備え、前記基体及び前記回転支持部のうちの少なくとも一方に、前記回転軸周りに空間を形成する空洞部が形成され、前記空洞部内に、少なくとも前記X線発生源と前記X線検出器との間に向けて開口する筒状体が、前記支持部に対して相対的に回転する状態で配設されている。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体は前記回転軸を中心軸とする円筒状に形成され、かつ、前記筒状体は、回転支持部に軸受を介して回転自在に保持されている。
【0009】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体は前記回転軸を中心とする円筒状に形成され、かつ、前記筒状体は前記基体に取付けられている。
【0010】
第4の態様は、第3の態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体は前記基体に対して前記回転軸周りに相対回転不能な状態で取付けられている。
【0011】
第5の態様は、第3の態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体は前記基体に対して前記回転軸周りに回転調整可能に取付けられている。
【0012】
第6の態様は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記支持部を、前記回転軸と直交しかつ互いに直交する2軸方向に沿って移動可能にする2軸移動機構部をさらに備える。
【0013】
第7の態様は、第1〜第6のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記支持部を、前記回転軸方向に沿って移動可能にする回転軸方向移動機構部をさらに備える。
【0014】
第8の態様は、第1〜第5のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記支持部を、前記回転軸方向に沿ったY方向に移動させるY方向移動機構部と、上下方向に沿ったZ方向に移動させるZ方向移動機構部と、前記Y方向と前記Z方向の双方に直交するX方向に移動させるX方向移動機構部とを備え、前記Z方向移動機構部が前記Y方向移動機構部と前記X方向移動機構部とを前記Z方向に移動させる。
【0015】
第9の態様は、第1〜第8のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体に、患者の撮影対象箇所を一定位置に保持するための保持部が設けられている。
【0016】
第10の態様は、第1〜第9のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記X線発生源からのX線コーンビームの照射領域を規制するX線規制部をさらに備え、局所CT撮影の実行を可能とする。
【0017】
第11の態様は、第1〜第10のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記支持部及び前記筒状体の少なくとも一方に、位置付用の光を照射する位置付用光照射部が設けられている。
【0018】
第12の態様は、第1〜第11のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体に、撮影対象箇所を一定位置に保持するための外部保持部材を、連結及び分離可能にする連結分離部が設けられている。
【0019】
第13の態様は、第1〜第12のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体は、有底円筒状に形成されている。
【0020】
第14の態様は、第1〜第13のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記筒状体のうち前記X線発生源と前記X線検出器との間に向けて開口する開口部に、前記X線発生源と前記X線検出器との前記回転軸周りの旋回軌跡の内側に向けて張出す張出部が設けられている。
【0021】
第15の態様は、第14の態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記張出部は、前記開口部に対して連結及び分離可能に取付けられている。
【0022】
第16の態様は、第1〜第15のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記基体は、床上を転がり可能な車輪を有する。
【0023】
第17の態様は、第1〜第16のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記支持部の回転中において、前記回転軸方向から見て前記X線コーンビームの照射領域の一方側の側部が常に撮影領域の外縁を通ると共に、他方側の側部が前記撮影領域の外縁よりも内側を通り、かつ、前記回転軸方向から見て前記X線コーンビームが前記撮影領域の全域に満たないが前記撮影領域の全域の半分以上の領域を照射するように、前記X線発生源が配置され、前記支持部が360度以上旋回可能に構成されている。
【0024】
第18の態様は、第1〜第17のいずれか一つの態様に係る医療用X線CT撮影装置であって、前記X線検出器を前記X線発生源に対して相対的に近接離隔させて拡大率を変更する拡大率変更機構を備える。
【発明の効果】
【0025】
第1の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、患者の撮影対象箇所近傍を前記空洞部内に配設しつつ当該撮影対象箇所をX線発生源とX線検出器との間に配設することができる。そして、この状態で、筒状体の回転を停止させつつ、支持部を回転させてCT撮影を行うことができる。このため、患者の局部をX線発生源とX線検出器との間に配設する際の制約をなるべく少なくすることができる。
【0026】
第2の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、前記筒状体は、回転支持部に軸受を介して回転自在に保持されているため、支持部を回転駆動する回転駆動部のレイアウト制約が少なくなる。
【0027】
第3の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、支持部の回転中に、筒状体をより確実に回転させない状態にすることができる。
【0028】
第4の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、支持部の回転中に、筒状体をより確実に回転させない状態にすることができる。
【0029】
第5の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、筒状体内に配設される撮影対象箇所近傍の状況に応じて筒状体を回転調整することができる。
【0030】
第6の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、支持部を前記2軸方向に移動させることにより、撮影対象箇所に対するX線発生源及びX線検出器の位置調整を容易に行える。これにより、位置の微調整を行う際に患者に動いてもらう必要がなくなり、患者の負担が軽減される。
【0031】
第7の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、支持部を回転軸方向に移動させることにより、撮影対象箇所に対するX線発生源及びX線検出器の位置調整を容易に行える。これにより、位置の微調整を行う際に患者に動いてもらう必要がなくなり、患者の負担が軽減される。
【0032】
第8の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、水平方向に広がりのある前記Y方向移動機構部と前記X方向移動機構部を、回転軸近傍に配置することができ、基体の底部近辺のサイズを小さくすることができる。これにより、運搬に適した構成の医療用X線CT撮影装置を実現し易い。
【0033】
第9の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、撮影対象箇所近傍を保持部により保持することで、患者の撮影対象箇所をより一定位置に静止させた状態で、CT撮影を行うことができる。
【0034】
第10の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、より限定された領域である局所X線CT撮影を行うことができ、被曝線量を軽減できる。
【0035】
第11の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、X線発生源とX線検出器との間で、撮影対象箇所をより正確に位置付けできるため、位置付け不備による再撮影を回避できる可能性が高まる。
【0036】
第12の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、ベッド或は腕の支持台等を筒状体に連結した状態でX線CT撮影を行うことができ、患者の撮影対象箇所をより一定位置に静止させた状態で、X線CT撮影を行うことができる。
【0037】
第13の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、基体のうち筒状体の底の外側に各種機構を組込めるため、構成の簡素化等が容易となる。
【0038】
第14の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、撮影対象箇所と前記X線発生源或は前記X線検出器との接触が抑制される。
【0039】
第15の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、前記張出部は、前記開口部に対して連結及び分離可能に取付けられているため、撮影対象箇所に応じて張出部を着脱でき、多様な箇所のX線CT撮影を行える。
【0040】
第16の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、本医療用X線CT撮影装置を容易に移動させることができる。
【0041】
第17の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、簡易な構造で撮影領域の拡大ができ、腕の関節等小さな対象部位から、腰椎周辺等大きな対象部位までカバーして撮影対象とすることができる。これにより、X線検出器の有効利用が可能な医療用X線CT撮影装置を実現できる。
【0042】
第18の態様に係る医療用X線CT撮影装置によると、簡易な構造で撮影領域の拡大ができ、腕の関節等小さな対象部位から、腰椎周辺等大きな対象部位までカバーして撮影対象とすることができる。これにより、X線検出器の有効利用が可能な医療用X線CT撮影装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1実施形態に係る医療用X線CT撮影装置を示す斜視図である。
【図2】同上の医療用X線CT撮影装置を示す側面図である。
【図3】同上の医療用X線CT撮影装置を示す平面図である。
【図4】同上の医療用X線CT撮影装置を示す正面図である。
【図5】同上の医療用X線CT撮影装置を示す背面図である。
【図6】同上の医療用X線CT撮影装置の支持部及び筒状体部分を示す分解斜視図である。
【図7】同上の医療用X線CT撮影装置の回転支持部及び筒状体部分を示す断面図である。
【図8】図7の一部拡大断面図である。
【図9】通常のCT撮影の様子を模式的に示す図である。
【図10】オフセットCT撮影の様子を模式的に示す図である。
【図11】通常のCT撮影とオフセットCT撮影とを切換可能とした具体的構成例を示す図である。
【図12】通常のCT撮影とオフセットCT撮影とを切換可能とした具体的構成例を示す図である。
【図13】撮影領域を変更する別の例を示す図である。
【図14】図13に示す例におけるCT撮影を模式的に示す図である。
【図15】第1実施形態の変形例1に係る回転支持部及び筒状体部分を示す断面図である。
【図16】図15の一部拡大断面図である。
【図17】第1実施形態の変形例2に係る移動機構部を示す斜視図である。
【図18】第1実施形態の変形例2に係る移動機構部を示す側面図である。
【図19】同上の移動機構部のうち主としてZ方向移動機構部及びY方向移動機構部230を示す斜視図である。
【図20】同上の移動機構部のうち主としてZ方向移動機構部及びY方向移動機構部230を示す側面図である。
【図21】図17に示す状態から支持部を移動させた状態を示す斜視図である。
【図22】図18に示す状態から支持部を移動させた状態を示す側面図である。
【図23】第1実施形態の変形例3であって筒状体内に保持部を設けた例を示す斜視図である。
【図24】第1実施形態の変形例3であって筒状体に保持部を設けると共に張出部を設けた例を示す要部側面図である。
【図25】同上の保持部及び張出部を示す正面図である。
【図26】同上の保持部及び張出部を示す斜視図である。
【図27】同上の保持部及び張出部を示す斜視図である。
【図28】同上の保持部及び張出部を設けた医療用X線CT撮影装置を示す斜視図である。
【図29】同上の保持部を設けた医療用X線CT撮影装置を示す斜視図である。
【図30】第1実施形態の変形例3であって筒状体に医療用ベッドを連結するための連結分離部を設けた例を示す斜視図である。
【図31】同上の連結分離部及び医療用ベッドを示す斜視図である。
【図32】同上の連結分離部及び医療用ベッドを示す下方からの斜視図である。
【図33】同上の連結分離部が設けられた筒状体を示す側面図である。
【図34】同上の連結分離部が設けられた筒状体を示す斜視図である。
【図35】同上の連結分離部及び医療用ベッドを示す底面図である。
【図36】同上の連結分離部及び医療用ベッドを用いた撮影例を示す正面図である。
【図37】同上の連結分離部及び医療用ベッドを用いた撮影例を示す側面図である。
【図38】第2実施形態に係る医療用X線CT撮影装置の支持部及び回転駆動部部分を示す側面図である。
【図39】同上の医療用X線CT撮影装置の支持部及び回転駆動部部分を示す平面図である。
【図40】同上の医療用X線CT撮影装置の支持部及び回転駆動部部分を示す背面図である。
【図41】同上の医療用X線CT撮影装置の支持部及び筒状体部分を示す断面図である。
【図42】図41において筒状体を取外した状態を示す断面図である。
【図43】図41の部分断面図である。
【図44】第2実施形態の変形例1に係る支持部及び筒状体部分を示す部分断面図である。
【図45】第2実施形態の変形例2に係る支持部及び筒状体部分を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係る医療用X線CT撮影装置について説明する。図1〜図5は実施形態に係る医療用X線CT撮影装置20を示す図であり、図6は同医療用X線CT撮影装置20の支持部30及び筒状体60部分を示す分解斜視図であり、図7及び図8は同医療用X線CT撮影装置20の回転支持部40及び筒状体60部分を示す要部断面図である。
【0045】
この医療用X線CT撮影装置20は、患者の局部、例えば、頭部、頚椎、腕関節、手指、乳房、腰椎、股関節、膝、足等をCT撮影するための装置であり、基体22と、支持部30と、回転駆動部50と、筒状体60とを備えている。
【0046】
基体22は、本装置20を構成する各部が直接或は間接的に組付けられるベースとなる部分であり、この基体22に、後に詳述する本装置を構成する重要部分である支持部30及び筒状体60が設けられている。図示の例では、基体22のうち鉛直方向に沿った一主面に支持部30、筒状体60が設けられている。なお、以下の説明では、便宜上、基体22のうち支持部30及び筒状体60が設けられた側を前側、その反対側を後ろ側という場合がある。
【0047】
また、基体22の下部には、床上を転がり可能な車輪として、一対の車輪24及び方向変換可能な補助車輪25が設けられている。また、基体22の上側部分の後部には手押し用ハンドル26が設けられている。そして、本装置20の利用者等が上記手押し用ハンドル26を持って進行方向を操作しつつ装置20を押すことで、本装置20が床面等の上を走行移動し所望の位置に搬送されるようになっている。すなわち、本医療用X線CT撮影装置20は、その設置場所を変更可能な可搬型の医療用X線CT撮影装置20として構成されている。上述のように、利用者等が手押し用ハンドルを持って装置20を押して搬送するようにしてもよいが、車輪24を図示しないモータなどを用いた駆動機構で駆動するようにしてもよい。
【0048】
なお、本医療用X線CT撮影装置20を移動可能にする構成は上記例に限られない。例えば、方向転換可能な車輪が3つ以上設けられた構成であってもよく、2つの車輪及び1つの固定脚を設け、移動時には固定脚を浮かせた状態で2つの車輪の回転により移動させるようにしてもよい。各車輪の少なくとも一部に回転を制動するブレーキを設けてもよく、また、各車輪の少なくとも一部に車輪の回り止めを行う周知のロック機構を設けて、安全に医療用X線CT撮影装置20の停止状態が維持できるようにしてもよい。
【0049】
また、基体22の上側部分の後部には表示部27及び入力部28が設けられると共に、基体22の内部には図示省略のCT撮影処理ユニットが設けられている。表示部27は、液晶表示装置或は有機EL表示装置等、CT撮影に係る諸情報を表示する表示装置であり、入力部28は複数のスイッチ等によって構成されており、CT撮影に係る諸指示を入力するための入力装置である。入力部28は、操作を受け付ける機能のあるものであればよく、例えばマウス、キーボード、タッチパッドなど各種のものが適宜用いられる。表示部27を、タッチペンとタッチペンの操作を受け付けるディスプレイで構成したり、タッチパネル、タッチスクリーンなどで構成してもよい。この場合には表示部27が、入力部28としての機能を兼ねる。
【0050】
また、CT撮影処理ユニットは、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータ等によって構成された処理制御ユニットである。このCT撮影処理ユニットは、予め格納されたソフトウエア及び入力部28等によって入力された諸指示に従って、CT撮影時における回転駆動部50の動作制御及び撮影によってX線検出器37で得られる電気信号に基づいて撮影対象のCT画像を再構成する演算処理等を行うように構成されている。撮影されたCT画像は、表示部27に表示されてもよいし、有線或は無線の通信回路を通じて他の表示部に表示される構成であってもよいし、磁気記録媒体、光学記録媒体、フラッシュメモリ等の記録媒体に記録されてもよい。
【0051】
また、基体22の一主面には取付穴部20hが形成されており、この取付穴部20hを利用して支持部30及び筒状体60が基体22に設けられている。
【0052】
回転駆動部50は、回転速度、回転角度等を制御可能なモータ等によって構成されている。この回転駆動部50は、その駆動軸部を略水平姿勢にして取付穴部20hの略中心に向けた姿勢で、上記基体22内に一定位置又は位置変更可能に支持されている。なお、回転駆動部50を基体22内で位置変更可能に支持する例については変形例として後に説明する。そして、この回転駆動部50に後述する回転支持部40が連結されることで、支持部30が回転駆動可能に支持される(図8参照)。
【0053】
支持部30は、X線発生源36とX線検出器37とを対向状態で支持する支持アーム部32と、この支持アーム部32を基体22に対して回転可能に支持する回転支持部40とを有している。
【0054】
より具体的には、回転支持部40は、内側回転支持部42と外側回転支持部44とが一体化された構成とされている。内側回転支持部42は、有底円筒状に形成されており、上記取付穴部20hを通って基体22内に配設される。また、外側回転支持部44は、内側回転支持部42よりも大きな(ここでは一回り程度大きな)部材に形成されており、取付穴部20h部分で基体22の外方位置に配設されている。
【0055】
また、内側回転支持部42の底部には、外リング部材43aと内リング部材43bとが玉等の転動体等を介して相対回転可能に連結された回転駆動用軸受部43が設けられている。回転駆動部50は、回転しないケーシングと、ケーシングに対して回転し、ケーシングから突出する回転体部分52を備えている。そして、外リング部材43aがねじ等を介して回転駆動部50のケーシングに取付固定され、内リング部材43bがねじ等を介して内側回転支持部42の底部に取付固定されている。これにより、回転支持部40が回転駆動部50の固定部位であるケーシングに対して回転自在に支持されている(図8参照)。また、内側回転支持部42の底部外面には、回転軸A周りに沿って複数の突起部42Pが突設され、当該突起部42Pが回転駆動部50側の回転体部分52の凹部に嵌め込まれている(図8参照)。そして、回転駆動部50の回転駆動力が回転体部分52から回転支持部40に伝達されて、本回転支持部40が略水平方向に沿った回転軸A周りに回転駆動されることとなる。上記のように軸受部を設けることで、回転軸Aが略水平であっても、支持部30が生むモーメント荷重が直接回転駆動部50にかかることを防ぎ、回転軸のブレを防ぐことができる。回転駆動用軸受部43を介在させず、回転体部分52に直接内側回転支持部42を固定する構成に比べ、上述の構成により支持部30が生むモーメント荷重を分散できる。
【0056】
また、支持アーム部32は、上記外側回転支持部44により間隔を有して片持ち状に支持された一対のアーム部33,34を有している。これらの一対のアーム部33,34と外側回転支持部44とは、全体として略U字状の外形状を有している。一対のアーム部33,34は、互いに略並行状に延びるように支持されており、その一対のアーム部33,34間に撮影対象となる患者の局部を配設可能な間隔が設けられている。そして、この支持アーム部32が上記回転支持部40により基体22に対して前記回転軸A周りに回転可能及び回転駆動可能に支持されている。
【0057】
X線発生源36は、X線管等、X線コーンビームを発生させるX線発生器によって構成されている。このX線発生源36は、他方のアーム部34の先端部に向けてX線コーンビームを照射可能な位置及び姿勢で、一方のアーム部33の先端部内面側部分に取付けられている。なお、このX線発生源36によるX線の照射方向前方に、X線コーンビームの照射領域を規制するX線規制部36Pが設けられている。X線規制部36Pは、X線コーンビームの広がりを規制する開口が形成された板状部材であり、コリメータと呼ばれることもある。開口形状は、X線CT撮影を行う態様に応じて、スリット状或は所定大きさの略方形開口形状に形成されている。開口を形成するための板状部材としては、一枚の板に一つまたは複数の開口が設けられたもの、二枚以上の板をずらして重ね合わせることで開口を形成するもの、さらには二枚以上の板を移動可能に配置して開口形状及び開口面積を変更可能としたもの、等、目的とするCT撮影の対象となる領域に応じた種々の構成が採用される。
【0058】
X線検出器37は、X線発生源36から照射され、撮影対象である患部を透過したX線を検出する部分であり、2次元的に広がった検知面を有するフラットパネルディテクタ(FPD)或はX線蛍光増倍管(I.I.=Image Intensifier)等により構成されている。このX線検出器37は、X線発生源36からのX線が検知面に照射可能な姿勢で、他方のアーム部34の先端部内面側部分に取付けられている。
【0059】
そして、上記回転支持部40及び支持アーム部32を回転軸A周りに回転させることで、X線発生源36とX線検出器37とが回転軸A周りに回転する構成とされている。この構成により、CT画像を再構成するために必要な、複数方向から患部を撮影した複数のX線投影データを取得することができる。
【0060】
なお、上記X線規制部36P及びX線検出器37は、X線CT撮影を行う態様(例えば、X線CT撮影を行う範囲が異なる場合等)に応じて交換可能に設けられていてもよい。
【0061】
また、上記一方のアーム部33の先端部には、位置付用の光を照射する位置付用光照射部38が設けられている。位置付用光照射部38は、発光ダイオード或は電球等により構成され、可視光を発するように構成されている。この位置付用光照射部38は、X線発生源36及びX線検出器37との間の空間に向けて光を照射可能な姿勢で、一方のアーム部33の先端部に取付けられている。また、スリットを形成した遮蔽板及びレンズ等により、位置付用光照射部38から照射される光が、X線発生源36及びX線検出器37による撮影位置を示すように規制されている。ここで、位置付用光照射部38から照射される光が前記撮影位置を示す態様としては、当該光が回転軸Aを狙って照射される場合、或は、撮影領域の境界を示す場合等が考えられ、また、光は線状に照射されても、点状に照射されても、面状に照射されてもよい。また、位置付用光照射部38の取付位置は、一方のアーム部33の先端部に限られず、一方のアーム部33の他の部分、他方のアーム部34、回転支持部40及び筒状体60等であってもよい。
【0062】
また、回転支持部40には、前記回転軸A周りに拡がる空間を形成する空洞部48が形成されている。ここでは、上記外側回転支持部44側で開口し、回転駆動部50に接する内側回転支持部42の奥側を底部とする有底円筒状の空洞部が形成される。本実施形態では、外側回転支持部44の外向き面に開口すると共に内側回転支持部42の奥側を底部としさらに中心軸が前記回転軸Aと略一致する有底円筒状の空洞部48が形成されている。そして、外側回転支持部44の中央の空洞に有底円筒状の内側回転支持部42の開口側の端部外周が嵌合固定されている。空洞部48は、外側回転支持部44及び内側回転支持部42の本来の支持機能を保てる範囲で可能な限り大きな開口形状であることが好ましい。
【0063】
また、上記空洞部48内に、X線発生源36とX線検出器37との間の空間に向けて開口する筒状体60が、支持部30に対して回転軸A周りに回転自在な状態で配設されている。
【0064】
より具体的には、筒状体60は、空洞部48内に回転自在に配設可能でかつ可及的に大きな内部空間を形成可能な構成であることが好ましい。ここでは、筒状体60は、有底円筒状に形成されており、その外径は空洞部48の内径よりも僅かに小さく、かつ、その軸方向の長さは空洞部48の軸方向長さと略同一である。そして、筒状体60の中心軸と回転軸Aとを略一致させた状態で、筒状体60が空洞部48内に配設される。
【0065】
また、上記筒状体60は、回転支持部40に軸受70を介して回転自在に保持されている(図7及び図8参照)。筒状体60は支持部30に対して回転する関係にある。図38〜図43の構成に係る、後述する第2実施形態のように、筒状体660が基体22に対して固定された関係にあり、筒状体660に対して支持部30が回転する関係の構成もあるので、本願における筒状体の支持部に対する回転は相対的なものである。
【0066】
すなわち、上記筒状体60の底部と空洞部48の底部との間にリング状の軸受70が設けられている。軸受70は、内リング部材72と、この内リング部材72周りに回転自在に配設される外リング部材74とを有している。ここでは、軸受70として、ジャーナル軸受、特に、複数の円筒コロをその環状配列方向に沿って交互に直交させるように配列させたクロスローラーリングを想定している。クロスローラーリングを用いることにより、回転軸方向及びその径方向を含む種々方向の力を受けることができるというメリットがある。そして、外リング部材74が空洞部48の底部具体的には内側回転支持部42の底部にねじ等を介して固定され、内リング部材72が筒状体60の底部にねじ等を介して固定されている。これにより、筒状体60が、回転支持部40の底部に軸受70を介して回転自在に支持され、回転駆動部50の駆動により回転支持部40を回転させる際に、筒状体60を回転させない状態に維持することができる。すなわち、基体22に対して回転支持部40を回転させ、CT撮影を行っている際にも、筒状体60は基体22に対して回転させない状態に維持することができる。
【0067】
回転支持部40が回転する際、筒状体60に触れずにおくと、摩擦が働いて筒状体60も回転支持部40の回転に従って回転するであろうが、筒状体60に制動力を働かせると回転支持部40が回転していても筒状体60は回転しない状態に維持可能である。
【0068】
なお、筒状体60を回転自在に支持する構成例は上記例に限られない。そのための変形例については後で説明する。
【0069】
この医療用X線CT撮影装置20では、患者の局部、例えば、上腕10aを撮影する場合には、まず、患者の腕10を回転軸Aに沿ってX線発生源36とX線検出器37との間に配設する(図2参照)。そして、腕10を一定位置に保った状態で、回転駆動部50の駆動により回転軸A周りにX線発生源36とX線検出器37とを回転させる。なお、本医療用X線CT撮影装置20では、X線発生源36とX線検出器37とは、X線CT撮影のための回転中において、回転軸Aに沿った方向では停止している。つまり、回転軸Aの軸方向で高さを表すとすると、同じ高さで回転している。そして、X線検出器37で得られる複数の投影データを反映する信号に基づいて画像再構成のための演算が行われ、CT画像が得られる。
【0070】
この医療用X線CT撮影装置20によると、X線発生源36とX線検出器37との間の撮影領域から、回転軸Aに沿って一対のアーム部33,34の取付端側に外れた位置に筒状体60による空間が形成されている。患者の局部を撮影する際に、撮影対象箇所近傍を空洞部48内にある筒状体60内空間に配設しつつ、当該撮影箇所となる局部をX線発生源36とX線検出器37との間に配設することができる。例えば、上記のように上腕10aを撮影する場合には、手先10bを筒状体60内の空間に配設しつつ、上腕10a部分をX線発生源36とX線検出器37との間に配設することができる。そして、この状態で、筒状体60の回転を停止させつつ、支持部30の回転によりX線発生源36とX線検出器37とを回転させてX線CT撮影を行うことができる。このため、患者の局部をX線発生源36とX線検出器37との間に配設する際の制約をなるべく少なくすることができる。なお、患者の各種局部を撮影する例については後に変形例でも説明する。
【0071】
特に、筒状体60は、回転支持部40に形成された空洞部48内で、軸受70を介して回転自在に保持されている。つまり、筒状体60を回転自在に支持するための構成が筒状体60と回転支持部40との間に全て組込まれている。このため、回転支持部40を回転駆動するための回転駆動部50のレイアウト制約が少なくなり、例えば、上記のように回転駆動部50を筒状体60の軸方向延長上で基体22内に組むことが容易となる。これにより、基体22を回転軸Aに沿って投影した面積を小さくすることができ、医療用X線CT撮影装置20の小型化を図ることができる。
【0072】
また、筒状体60は、有底円筒状であるため、その底の外側部分に各種機構、例えば、軸受70、回転駆動部50等を組込むことが容易となり、これにより、構成の簡易化等が容易となる。
【0073】
空洞部48の底部近傍に軸受70と回転駆動軸受部43が集中していること、具体的には空洞部48の底部において、空洞部48の内側には軸受70が、外側には回転駆動軸受部43が設けられていることも、回転駆動部50と空洞部48の開口端の間の距離の短縮させることに貢献している。これにより医療用X線CT撮影装置20のさらなる小型化が図られている。
【0074】
また、患者の局部をX線発生源36とX線検出器37との間に配設する際、位置付用光照射部38からの照射光が患者の腕10に照射される箇所を確認して、当該撮影対象箇所となる局部の位置決めをより正確に行うことができる。このため、位置付け不備による撮影失敗及び再撮影を回避できる可能性が高まり、患者に対する負担を少なくできる。
【0075】
また、X線発生源36の照射方向前方に、X線コーンビームの照射領域を規制するX線規制部36Pが設けられているため、診断、治療等のため必要とされる、より限定された領域で、局所X線CT撮影を行うことができ、被曝線量を軽減できる。局所X線CT撮影については、本願と同一の出願人による特許第3919048号のような、歯科における前歯や臼歯のみの撮影、あるいは耳鼻科における鼻や耳のみの撮影を行うX線CT撮影技術を利用することができる。
【0076】
また、基体22の下部には、床上を転がり可能な車輪として、一対の車輪24及び方向変換可能な補助車輪25が設けられているため、本装置20を、患者の所在箇所等に、容易に移動させることができる。本装置20を診療室間あるいは病棟間で移動させることも容易である。尚、本装置20によるCT撮影は、支持部30を旋回させる角度を特に問わず、例えば支持部30を患者の局部周りに180度乃至360度旋回させることでCT撮影を行うことができる。また、X線発生源36とX線検出器37とを、撮影領域全域に満たないが全域の半分以上の領域のX線投影データを取得できるよう配置し、その対向状態で支持部30を旋回させてCT撮影を行う、いわゆるオフセットCT撮影を行うこともできる。オフセットCT撮影では、撮影領域全体について180度以上の投影データを得るために支持部30を360度以上旋回させる。このオフセットCT撮影によれば、局所領域撮影に限定したX線コーンビームであっても、当該コーンビームの幅以上の広い領域、例えば患者の腰椎などをCT撮影することもでき、患者の被爆線量を抑えつつ広い領域のCT撮影を行うこともできる。
【0077】
ここで、オフセットCT撮影の構成について詳述する。
【0078】
図9は回転軸Aの軸方向から見た場合の通常のCT撮影の様子を模式的に示す図であり、図10は回転軸Aの軸方向から見た場合のオフセットCT撮影の様子を模式的に示す図である。
【0079】
回転軸Aの軸方向から見た場合とは、空洞部48の底部側から見た場合と考えても、空洞部48の開口側から見た場合と考えてもよい。
【0080】
本願では、オフセットCT撮影ではなく、撮影領域全域が常にX線コーンビームで照射される範囲に収まっているCT撮影を「通常のCT撮影」と称し、オフセットCT撮影によるCT撮影を文字通り「オフセットCT撮影」と称する。
【0081】
図9に示すように、通常のCT撮影では、CT撮影中、撮影領域FE1全域が常にX線コーンビームCBで照射される範囲に収まっている。X線検出器37は、X線コーンビームCBで照射される範囲の全域のX線を受光する。X線コーンビームCBの回転軸Aの軸方向から見た広がりを角度AG1とし、X線コーンビームCBの広がりの角度AG1の対称軸をBC1とする。
【0082】
X線コーンビームCBの回転軸Aの軸方向から見た広がりの一方の境界をビーム側部EG1とし、他方の境界をビーム側部EG2とする。X線のうち対称軸BC1を通る部分を、センタービームXCB1とする。広がり角度AG1は対称軸BC1によって角度AG2と角度AG3に等分される。いうまでもないが、角度AG2と角度AG3は等角である。
【0083】
撮影領域FE1の外縁は真円であり、撮影領域FE1の中心が撮影領域中心AC1である。
【0084】
支持部30を機械的要素としての支持部30として考えた場合に、支持部30は回転駆動部50で回転駆動される機械的旋回軸を有する。部材で考えると、内側回転支持部42が回転駆動部50から回転力を与えられる部材としての機械的旋回軸の役割を果たす。図9に示した例では、機械的旋回軸の軸心は撮影領域中心AC1と位置的に一致している。
【0085】
CT撮影中は、X線発生源36がX線コーンビームCBを照射しつつ、X線発生源36とX線検出器37が撮影領域FE1を間に挟んで旋回し、X線検出器37が開始位置LA1から90度旋回した位置LA2、180度旋回した位置LA3、270度旋回した位置LA4を経て位置LA1へと移動する。
【0086】
通常のCT撮影ではX線検出器37が位置LA3まで移動した位置で、再構成によりCT画像を得るのに差し支えない範囲の投影データが得られるので、位置LA3まで移動したところでCT撮影を終了してもよい。
【0087】
CT撮影中、センタービームXCB1は常に撮影領域中心AC1を通過し、ビーム側部EG1とビーム側部EG2は常に撮影領域FE1の外縁に接している。
【0088】
図10に示すように、オフセットCT撮影では、CT撮影中、撮影領域FE2の一部の領域のみがX線コーンビームCBで照射される範囲に収まっている。X線検出器37は、X線コーンビームCBで照射される範囲の全域のX線を受光する。X線コーンビームCBの回転軸Aの軸方向から見た広がりを角度AG4とし、X線コーンビームCBの広がり角度AG4の対称軸をBC2とする。
【0089】
X線コーンビームCBの回転軸Aの軸方向から見た広がりの一方の境界をビーム側部EG3とし、他方の境界をビーム側部EG4とする。X線のうち対称軸BC2を通る部分はセンタービームXCB2である。広がり角度AG4は対称軸BC2によって角度AG5と角度AG6に等分される。いうまでもないが、角度AG5と角度AG6は等角である。
【0090】
撮影領域FE2の外縁は真円であり、撮影領域FE2の中心が撮影領域中心AC2である。支持部30の機械的旋回軸の軸心は撮影領域中心AC2と位置的に一致している。
【0091】
CT撮影中は、X線発生源36がX線コーンビームCBを照射しつつ、X線発生源36とX線検出器37が撮影領域FE2を間に挟んで旋回し、X線検出器37が開始位置LB1から90度旋回した位置LB2、180度旋回した位置LB3、270度旋回した位置LB4を経て位置LB1へと移動する。
【0092】
オフセットCT撮影においては、X線の対象軸BC2が撮影領域FE2の撮影領域中心AC2を通らずに、撮影領域中心AC2を中心とする円弧CL1上を移動することで広い範囲の撮影を行う。最も広く撮影領域を拡大する場合、被写体の関心領域の中心を通るX線が、X線検出器の2次元検出面の端に入射するようにする。
【0093】
ビーム側部EG3とビーム側部EG4のいずれか一方のみ、図10に示す例ではビーム側部EG3の方が常に撮影領域FE2の外縁に接し、ビーム側部EG4の方は常に撮影領域FE2の外縁より内側にある。
【0094】
X線検出器37により各瞬間で撮影される領域は撮影領域の全体を含まないが、被写体の周りの360°の回転により、各瞬間に撮影している領域より広い撮影領域について、CT画像再構成に必要なデータが収集される。もちろん、360°を越えて撮影を続けてもよい。
【0095】
図11、図12は、図1の医療用X線CT撮影装置において、通常のCT撮影とオフセットCT撮影とを切換可能とした具体的構成例である。図11が通常のCT撮影の状態、図12がオフセットCT撮影の状態を示す。
【0096】
通常のCT撮影はノーマルCT撮影モードで実行され、オフセットCT撮影はオフセットCT撮影モードで実行される。
【0097】
アーム部34は、X線検出器ホルダ案内部34Dを備える。X線検出器ホルダ案内部34DにはX線検出器ホルダ34Hが移動可能に嵌合している。この移動可能な嵌合構造によって、X線検出器ホルダ34Hは、支持部30の旋回によってX線検出器37(アーム部34の端部)が描く円弧(回転軸Aから見た円弧)に接する接線に平行な方向に変位可能である。
【0098】
なお、X線検出器ホルダ案内部34DとX線検出器ホルダ34Hの間には図示を省略する案内機構があり、X線検出器ホルダ34HがX線検出器ホルダ案内部34Dから外れずに変位できるようになっている。
【0099】
X線検出器ホルダ34Hは、X線検出器37を保持可能に構成されている。X線検出器ホルダ34HのX線発生源36に対向する面は開放されていて、X線検出器37のX線検出面を遮らないようになっている。
【0100】
アーム部34の内部に駆動モータ34M1が固定され、その駆動軸にローラ34Rが設けられている。ローラ34Rは、X線検出器ホルダ34Hの背面に当接している。そして、駆動モータ34M1の駆動によるローラ34Rの回転で、X線検出器ホルダ34Hが上述の接線に平行な方向へ変位可能に構成されている。
【0101】
そして、X線検出器37を図11に示すように位置付することによって図9に示す通常のCT撮影を行い、X線検出器37を図12に示すように位置付することによって図10に示すオフセットCT撮影を行う。
【0102】
図9の通常のCT撮影を行う場合と、図10のオフセットCT撮影を行う場合とで、X線規制部36PのCT撮影用の開口の位置をX線検出器37が移動した分に対応して移動させるとよい。つまり、X線検出器37の位置が変位しても、X線検出器37がX線コーンビームCBで照射される範囲の全域のX線を受光するように、X線コーンビームCBの照射方向を変える。
【0103】
このような、X線検出器ホルダ案内部34D、X線検出器ホルダ34H、駆動モータ34M1等を含み、オフセットCT撮影を可能たらしめる機構を、本願ではオフセットCT撮影機構と称することとする。
【0104】
本例のオフセットCT撮影機構は通常のCT撮影とオフセットCT撮影の切換が可能な構成であるが、X線検出器37を当初からオフセットCT撮影用の位置に固定した構造として、オフセットCT撮影専用のX線CT撮影装置としてもよい。
【0105】
図11、図12においては、理解を容易にするために簡易な構造のオフセットCT撮影機構を図示したが、実際にはいかような機構を用いても構わず、オフセットCT撮影を可能たらしめる機構であればよい。オフセットCT撮影機構は、本願のいずれの例にも付加しうる。
【0106】
図13は撮影領域を変更する別の例である。図13においては、図1の医療用X線CT撮影装置において、アーム部34を部分的に変形している。
【0107】
アーム部34は回転支持部40に固定されるアーム基部34Bとアーム基部34Bに対して変位可能な移動アーム部34Tとを備えている。
【0108】
移動アーム部34Tは、案内機構34NによってX線発生源36に近接または離隔する方向に変位可能である。
【0109】
移動アーム部34Tの変位駆動は駆動モータ34M2により行われる。駆動モータ34M2はアーム基部34Bに固定されている。駆動モータ34M2の回転軸に直接または間接にねじ軸部34MAが連結され、駆動モータ34M2の駆動によりねじ軸部34MAが回転駆動されるようになっている。
【0110】
移動アーム部34Tには雌ねじ部材34TSが固定されており、ねじ軸部34MAが雌ねじ部材34TSに螺合している。そして、ねじ軸部34MAの回転駆動により、雌ねじ部材34TSがX線発生源36に近接または離隔する方向に変位駆動される。この雌ねじ部材34TSの変位駆動により、移動アーム部34TがX線発生源36に近接または離隔する方向に変位駆動される。
【0111】
図示の例では、位置LT1のX線検出器37の位置をホームポジションとして、X線発生源36に近接した位置LT2を撮影領域拡大位置としている。無論、位置LT2のX線検出器37の位置をホームポジションとして、X線発生源36から離隔する位置LT1を撮影領域縮小位置としてもよく、または、位置LT1と位置LT2の中間地点をホームポジションとして、位置LT1への変位も位置LT2への変位も可能としてもよい。初期位置であるホームポジション及びその位置からの移動方向等の設定は自由である。
【0112】
位置LT1のX線検出器37でCT撮影を行う場合と、位置LT2のX線検出器37でCT撮影を行う場合とで、X線規制部36PのCT撮影用の開口の開口幅をX線検出器37が近接離隔した分に対応して変更させるとよい。つまり、X線検出器37の位置が変位しても、X線検出器37がX線コーンビームCBで照射される範囲の全域のX線を受光するようにX線コーンビームCBの照射幅を変える。この場合、位置LT1のX線検出器37でCT撮影を行う場合に比べ、位置LT2のX線検出器37でCT撮影を行う場合はX線規制部36PのCT撮影用の開口の開口幅が大きくなる。
【0113】
アーム基部34B、移動アーム部34T、駆動モータ34M2、ねじ軸部34MA、雌ねじ部材34TS等を含む、拡大率を変更可能たらしめる機構を、本願では拡大率変更機構と称することとする。
【0114】
図14は図13の例において回転軸Aの軸方向から見た場合のCT撮影を模式的に示す図である。
【0115】
位置LT1にX線検出器37がある場合は、撮影領域FE1の領域のCT撮影が可能であり、位置LT2にX線検出器37がある場合は、撮影領域FE3の領域のCT撮影が可能である。位置LT2のX線検出器37は被写体に近い分、拡大率が小さく、位置LT1のX線検出器37よりも広い範囲のCT撮影が可能である。位置LT1のX線検出器37は被写体から遠い分、拡大率が大きく、位置LT2のX線検出器37よりも狭い範囲のCT撮影を行う。よって、位置LT1のX線検出器37は、狭い観察対象部位を大きく表示して観察したい場合に好適である。
【0116】
因みに、拡大率は、X線発生源36のX線焦点とX線検出器37のX線検出面との距離をDTAとし、X線発生源36のX線焦点と撮影領域中心AC1までの距離をDTBとすると、DTA/DTBで算出される。
【0117】
図13の構成の実施例において、さらに図11、図12の構成のオフセットCT撮影機構を設けるようにしてもよく、その場合はさらに撮影領域の拡大縮小の自由度が拡がる。
【0118】
図13においては、理解を容易にするために簡易な構造の拡大率変更機構を図示したが、実際にはいかような機構を用いても構わず、拡大率の変更を可能たらしめる機構であればよい。例えば、X線発生源側を移動させることで、X線検出器をX線発生源に対して相対的に近接離隔させるようにして、拡大率を変更するようにしてもよい。また、拡大率変更機構は、本願のいずれの例にも付加しうる。
【0119】
以下、上記第1実施形態を前提とする各変形例について説明する。以下の各変形例に関する説明では、上記第1実施形態で説明したものと同様構成については同一符号を付する等してその説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0120】
<変形例1>
変形例1では、上記第1実施形態における軸受70の変形例を説明する。図15及び図16は回転支持部40及び筒状体160部分を示す要部断面図であり、変形例1に係る軸受170を示している。
【0121】
筒状体160は、上記筒状体60に対して、底部側部分を小径(ここでは僅かに小径)にした構成とされている。
【0122】
この軸受170は、筒状体160の外周と回転支持部40の空洞部48の内周との間に設けられており、筒状体160の開口側にある開口側軸受部172と底側にある底側軸受部174とを有している。
【0123】
開口側軸受部172は、外リング部材172aと内リング部材172bとが玉等の転動体等を介して相対回転自在に連結された構成とされ、底側軸受部174は、外リング部材174aと内リング部材174bとが玉の転動体等を介して相対回転自在に連結された構成とされている。
【0124】
また、上記開口側軸受部172と底側軸受部174とは、回転荷重及び回転軸Aの方向にかかるスラスト荷重を受け止めるよう構成された、組合せタイプのアンギュラ玉軸受とされており、さらに、開口側軸受部172と底側軸受部174とは、回転軸Aに直交する方向にかかるモーメント荷重に耐える方向に組み合わされて取り付けられている。そして、外リング部材172a,174aが回転支持部40の空洞部48の内周面に固定され、内リング部材172b,174bが筒状体160の外周面に固定されている。これにより、種々の荷重に耐えるよう組み合わされたアンギュラ玉軸受によって、筒状体160が空洞部48内で回転支持部40に対して相対回転自在に支持された構成とされている。
【0125】
この変形例1によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。変形例1においては、内リング部材172aの内側自体が空洞部48の充分な空間を確保しているので、軸受自体が空洞部48の役割を果たすことで医療用X線CT撮影装置20の小型化に寄与している。
【0126】
この変形例1のように、筒状体を回転自在に支持する構成としては種々の態様を想定することができる。例えば、筒状体を回転自在に支持する軸受としては、ジャーナル軸受であってもよいし、アンギュラ玉軸受であってもよい。特に、第1実施形態のように、筒状体の底部に配設したジャーナル軸受を用いることによって、簡易な構成でかつ筒状体の内部空間径をなるべく大きくするように、筒状体を支持することができる。また、本変形例1のように、筒状体をその外周で回転自在に支持するアンギュラ玉軸受を用いることによって、筒状体の中心軸の偏心及び傾きを有効に抑制することができる。また、用いる軸受は、すべり軸受であってもよいし、転がり軸受であってもよく、さらに、転がり軸受の場合、玉軸受であってもよいし、コロ軸受であってもよい。
【0127】
<変形例2>
変形例2では、支持部30を移動可能に支持する例について説明する。図17及び図18は支持部30を移動可能に支持する移動機構部210を示す図であり、図19及び図20は図17及び図18において支持部30、回転駆動部50及び駆動部搭載プレート238を省略した図であり、図21及び図22は図17及び図18に示す状態から支持部30を移動させた状態を示す図である。図21及び図22では、図17及び図18に示す状態から支持部30を移動させた方向を矢印で示している。なお、本移動機構部210の説明において、回転軸A方向をY方向、上下方向をZ方向、Y軸及びZ軸の双方に直交する方向をX方向という。
【0128】
この移動機構部210は、支持部30をZ方向に沿って移動させるZ方向移動機構部220と、支持部30をY方向に沿って移動させるY方向移動機構部230と、支持部30をX方向に沿って移動させるX方向移動機構部240とを有している。なお、基体22には、支持部30を移動させることができるように、十分に大きな取付穴部22hが形成されている。
【0129】
Z方向移動機構部220は、基体22内の底部に固定された基部プレート212上に立設状に固定されている。Z方向移動機構部220は、昇降プレート228を略水平姿勢でZ方向に移動可能に支持するZ方向ガイド部222と、昇降プレート228をZ方向に移動駆動するZ方向駆動部224とを有している。Z方向ガイド部222は、例えば、基部プレート212上に立設された外角筒内に内角筒がスライド移動可能に挿通され、内角筒の上端部に昇降プレート228が略水平姿勢で固定された構成等を採用することができる。また、Z方向駆動部224は、モータ224aを有しており、そのモータ224aの回転駆動力により上記昇降プレート228をZ方向に移動駆動する。モータ224aの回転駆動力を、昇降プレート228を昇降駆動する力として伝達する機構としては、例えば、Z方向に沿って回転自在に立設されたボールねじ軸に、昇降プレート228と一体化された雌ねじ部材を螺合させ、モータ224aによりボールねじ軸を回転させることにより、雌ねじ部材及び昇降プレート228を昇降駆動する構成、モータ224aにより循環回転駆動されるチェーンの駆動により昇降プレート228を昇降駆動させる構成等を採用することができる。周知の油圧シリンダとピストンで昇降プレート228を昇降駆動するようにしてもよい。
【0130】
また、Y方向移動機構部230は、上記昇降プレート228上に設けられたY方向ガイド部232と、駆動部搭載プレート238をY方向に移動駆動するY方向駆動部234とを有している。Y方向ガイド部232は、昇降プレート228上にY方向に沿って配設されたガイド突条部232aと当該ガイド突条部232aを移動自在に配設された可動受部232bとを有している(図19参照)。ここでは、Y方向ガイド部232は、昇降プレート228上にX方向に間隔を有して2つ設けられている。そして、それぞれの可動受部232b上に駆動部搭載プレート238がねじ止等で固定されることで、当該駆動部搭載プレート238が昇降プレート228上でY方向に移動可能に支持されている。また、Y方向駆動部234は、モータ234aと、ボールねじ軸部234bと、雌ねじ部材234cとを有している。モータ234aは、駆動部搭載プレート238の一側部に取付固定されており、ボールねじ軸部234bは駆動部搭載プレート238の一側部に回転自在に配設されている。また、ボールねじ軸部234bは、直接或はギヤ、ベルト等の伝達部材を介して、モータ234aの回転軸に連結されている。また、雌ねじ部材234cはボールねじ軸部234bに螺合すると共に、昇降プレート228にねじ止等で固定されている。そして、モータ234aによりボールねじ軸部234bを回転駆動することにより、雌ねじ部材234c及び昇降プレート228に対してボールねじ軸部234b、モータ234a及び駆動部搭載プレート238がY方向に沿って移動駆動される構成とされている。
【0131】
また、X方向移動機構部240は、上記駆動部搭載プレート238上に設けられたX方向ガイド部242と、回転駆動部50をX方向に移動駆動するX方向駆動部244とを有している。X方向ガイド部242は、移動自在にガイドする方向がX方向である点を除いて、上記Y方向ガイド部232と略同様構成とされており、回転駆動部50をX方向に移動可能に支持している。また、X方向駆動部244は、移動駆動する方向がX方向である点を除いて、上記Y方向駆動部234と同様構成とされており、モータ244aの駆動により回転駆動部50をX方向に沿って移動駆動する構成とされている。部分的に図示を省略するが、板状に形成された回転駆動部50の底部にモータ244aが取付固定されており、駆動部搭載プレート238に固定された雌ねじ部材に螺合するねじ軸部を駆動する。モータ244aの駆動により、X方向ガイド部242にガイドされ、回転駆動部50の底部に固定された可動受部がX方向に移動する。
【0132】
なお、回転駆動部50の固定部位であるケーシングを、駆動部搭載プレート238上に立設した不図示の垂直固定プレートにねじ等で固定すれば、例えば電気モータである回転駆動部50のステータを回転不能に固定し、回転駆動部50のロータを安定して回転させることができる。
【0133】
また、回転駆動部50には、第1実施形態で説明したように、支持部30が回転駆動可能に支持されている。そして、Z方向移動機構部220の駆動により回転駆動部50及び支持部30がZ方向(上下方向)に移動駆動され、Y方向移動機構部230の駆動により回転駆動部50及び支持部30がY方向(回転軸A方向)に移動駆動され、X方向移動機構部240の駆動により回転駆動部50及び支持部30がX方向(左右方向)に移動駆動される構成とされている。
【0134】
つまり、この移動機構部210では、Z方向移動機構部220及びX方向移動機構部240が、支持部30を回転軸Aと直交しかつ互いに直交する2軸方向(X方向及びZ方向)に沿って移動可能にする2軸移動機構部を構成している。また、Y方向移動機構部230が、支持部30を回転軸A方向(Y方向)に沿って移動可能にする回転軸方向移動機構部を構成している。
【0135】
なお、上記移動機構部210の駆動制御は、例えば、CT撮影処理ユニットによる制御下、利用者による入力部28への指示に基づいて行われる。
【0136】
つまり、患者の局部をX線発生源36とX線検出器37との間の一定位置に配設した状態で、撮影の対象となる局部がX線発生源36とX線検出器37との間の所定の撮影領域に配設されるように、支持部30及びそれによって支持されたX線発生源36とX線検出器37をX方向、Y方向及びZ方向に移動させる。
【0137】
これにより、患者に動いてもらわなくとも、撮影対象箇所である局部に対するX線発生源36とX線検出器37の位置調整を容易に行うことができ、患者の負担が軽減される。さらに、本変形例2によれば、様々なCT撮影を実行することができる。例えば、支持部30を180度旋回させて右膝のCT撮影を行い、次いで支持部30をX方向に移動させた後に、先ほどとは逆方向に支持部30を180度旋回させて左膝のCT撮影を行う、というように、患者の局部のうち左右対称位置を連続的に撮影することができる。また例えば、患者の腕の一部のCT撮影を行い、次いで支持部30をY方向に移動させた後に、先ほどの撮影対象に続く腕の部分のCT撮影を行い、取得されたCT画像をつなぎ合わせる画像処理を行うことで、患者の腕の尺骨等、回転軸Aの方向に沿って長さを持った患者の局部をCT撮影することもできる。
【0138】
なお、上記移動機構部210は、3軸方向全てにおいて支持部30を移動可能にする構成である必要はない。例えば、Y方向移動機構部230を省略し、Z方向移動機構部220とX方向移動機構部240とによって、支持部30を回転軸Aと直交する方向に移動可能にする構成であってもよく、或は、Z方向移動機構部220及びX方向移動機構部240を省略し、Y方向移動機構部230によって支持部30を回転軸A方向に移動可能にする構成であってもよい。
【0139】
また、上記では、モータの駆動によって支持部30を動かす構成としたが、手回し式のハンドル等を用いて支持部30を動かす構成としてもよい。
【0140】
<変形例3>
変形例3では、CT撮影時に撮影対象箇所となる患者の局部を一定位置に保持するための構成について説明する。
【0141】
図23は筒状体60内に、保持部310を設けた例を示す斜視図である。
【0142】
保持部310は、筒状体60内で患者の一部を保持する部材であり、ここでは、軸方向長さ寸法が筒状体60の内部空間の軸方向長さと略同一で、かつ、径が筒状体60の内部空間の径と略同一である略円柱状とされている。この保持部310は、筒状体60内に、当該筒状体60に対して一定位置及び姿勢で着脱可能に配設される。ここでは、保持部310を弾性樹脂等の弾性部材によって形成し、当該保持部310を弾性的に圧縮させつつ筒状体60内に嵌め込む構成とすることで、保持部310を筒状体60内に上記一定位置及び姿勢で配設している。その他、凹凸嵌め込み構造、ねじ止等により、保持部310を筒状体60内に上記一定位置及び姿勢で配設してもよい。
【0143】
また、保持部310の一方側端面には、患者の体の一部を保持可能な保持凹部312が形成されている。ここでは、保持凹部312は、保持部310の外周側及び一方端面側で開口し、一対の側面312a、載置面312b及び底面312cで囲まれた凹状部分に形成されている。一対の側面312aのうちの一方は他方よりも長く形成され、載置面312bは一対の側面312aに対して傾斜している。そして、足14の足先15を載置面312bに載置するようにして保持凹部312内に配設でき、これにより患者の撮影対象箇所(例えば膝関節、股関節等)を一定位置に保持できるようになっている。
【0144】
つまり、例えば、足の膝関節をCT撮影する場合等に、足先15を保持凹部312内に配設することで、足14の膝関節をX線発生源36とX線検出器37との間に一定位置に静止させた状態で配設維持しやすい。そして、この状態で、X線発生源36とX線検出器37とを回転させて膝関節等のX線CT撮影を行う。この際、筒状体60及び保持部310は、支持部30に対して相対回転自在であるため、保持部310を回転させないで支持部30を回転させることができ、従って、X線CT撮影を行っている間も上記足先15の保持状態を維持することができ、撮影対象箇所となる膝関節等を一定位置に静止させつつ、X線CT撮影を行うことができ、X線CT撮影の失敗を抑制することができる。特に、患者の一部を対象とする局部X線CT撮影では、位置決め精度が要求されるため、有効であるといえる。
【0145】
図24〜図29に示す例では、筒状体460に、保持部410を設けると共に、張出部430を設けた例について説明する。
【0146】
筒状体460は、上記第1実施形態における筒状体60と同様構成の筒状体本体部分462の開口外周部に、筒状体460の径方向外側に向けて張出す鍔状部464を形成した構成とされている(図24,図25及び図28参照)。
【0147】
保持部410は、筒状体460の外方で患者の体の一部を保持するものであり、ここでは、板状部412と取付片414とねじ部416とを有している。
【0148】
板状部412は、略長方形板状に形成され、少なくとも一端部は筒状体460内に配設可能な幅を有している。ここでは、板状部412は、その長手方向全体に亘って略同一幅に形成されている。
【0149】
取付片414は、板状部412の一方主面(図24、図25等では下側の主面)に略垂下状に設けられた長尺板状片に形成されている。取付片414の先端部にはねじ部416を挿通可能なねじ挿通孔が形成されると共に、上記鍔状部464にねじ部416を螺合可能なねじ穴が形成されている。なお、板状部412が回転軸Aよりも下方の位置に配設されるように、取付片414の長さ寸法及びねじ穴の位置が設定されている。
【0150】
そして、板状部412を略水平姿勢にしてその一端部を筒状体460内に配設した状態で、ねじ部416を取付片414のねじ挿通孔に挿通すると共に鍔状部464のねじ穴に螺合させる。そして、取付片414を鍔状部とねじ部416のねじ頭との間で挟持することで、鍔状部464に対して保持部410が一定姿勢で着脱可能に取付固定される。
【0151】
そして、板状部412上に載置された撮影対象箇所が、回転軸A上に配設されるようになっている。
【0152】
張出部430は、上記筒状体460のうちX線発生源36とX線検出器37との間にむけて開口する開口部に、X線発生源36とX線検出器37との回転軸A周りの旋回軌跡の内側に向けて張出すように設けられている。
【0153】
より具体的には、張出部430は、筒状体460内に設けられた筒側取付部材440を介して筒状体460に着脱自在に取付けられている。
【0154】
張出部430は、無底円筒形状をその軸方向に沿って部分的に切除したような形状とされている。回転軸Aに略直交する面における張出部430の断面形状は、上記筒状体460内に配設可能な円弧状形状を有しており、その外周面は筒状体460の内周面と略同一径の円弧をなしている。また、筒状体460の前記断面形状は、二分の一円弧よりも大きな円弧状を描いており、本張出部430の軸方向一端部を筒状体460内に配設した状態で、張出部430の周方向両側部が筒状体460の直径方向のラインを越えて下方に配設されるようになっている。これにより、張出部430の軸方向一端部を筒状体460内に配設した状態で、張出部430の外周面が筒状体460の内周面に対して、回転軸A周りに180度を超える範囲で接触し、張出部430の軸方向他端部が筒状体460の開口から略水平姿勢で延出する姿勢が安定して保持されるようになっている。
【0155】
また、張出部430の一端面には、ピン状の装着用突起部434が突設されている。ここでは、張出部430の一端面に略均等間隔で3つの装着用突起部434が形成されている。
【0156】
また、筒側取付部材440は、筒状体460の内周面に接触した状態で、当該筒状体460内に配設可能な環状部材に形成されている(図24,図25及び図28参照)。筒側取付部材440は、凹凸嵌め込み構造或は筒状体460内への圧入構造等によって、筒状体460に対して相対回転不能に配設されていることが好ましい。
【0157】
この筒側取付部材440の外向き面に、上記装着用突起部434を嵌め込み可能な装着用凹部444が形成されている。ここでは、筒側取付部材440の外向き面には当該3つの装着用突起部434に対応する各位置に3つの装着用凹部444が形成されている。
【0158】
なお、上記筒側取付部材440は、筒状体460に対して一体形成された部材であってもよく、換言すれば、装着用凹部444は筒状体460自体に形成されていてもよい。
【0159】
上記張出部430の一端部を筒状体460に嵌め込むように配設して、各装着用突起部434を対応する各装着用凹部444に嵌め込むことで、張出部430が筒状体460に対して着脱可能に取付けられる。この状態では、張出部430のうち筒状体460から延出する他端部は、上記板状部412の上方位置で回転軸Aを囲むようにして略水平姿勢で延在している(図28参照)。この取付状態において、張出部430は、少なくとも一対のアーム部33,34を越える位置まで延出していることが好ましい。なお、この状態から張出部430を筒状体460の開口側に引抜くと、当該張出部430を筒状体460から取外すことができる。
【0160】
そして、X線CT撮影を行う際には、アーム部33,34の先端部外方位置に、回転軸Aと略直交する仕切パネル450を配設する。この仕切パネル450には、回転軸A延長上を開口させるようにして、略L字状の切欠部452が形成されている。なお、切欠部452の水平辺部分の高さと、張出部430の周方向両側端面及び保持部410の板状部412の下面の高さ位置とを一致させ、張出部430の周方向両側端面及び保持部410の板状部412の下面を、切欠部452の水平辺部分に載置状に支持して、張出部430、筒状体460及び保持部410等が回転しないように規制してもよい。
【0161】
そして、上記状態で、仕切パネル450の外方に椅子等を配設し、当該椅子に座った患者が腕を、切欠部452を通って板状部412と張出部430との間に配設する。この際、手先を筒状体460内に配設することができるため、腕を筒状体460に向けて深く差出して、上腕部分等をX線発生源36とX線検出器37との間に配設することができる。板状部412と張出部430で囲まれた内部空間を利用して、この内部空間と腕の間にX線吸収係数の小さい樹脂等のスペーサーを詰めて腕の固定を確実にしてもよい。
【0162】
この後、当該状態で、X線発生源36とX線検出器37とを回転軸A周りに回転させることで、X線CT撮影を行うことができる。このX線CT撮影を行うために、板状部412と張出部430は、少なくともX線が照射される範囲においてX線吸収係数の小さい材料によって形成されている。
【0163】
この際、筒状体460及び保持部410は、支持部30に対して相対回転自在であるため、保持部410を回転させないで支持部30を回転させてX線CT撮影を行うことができる。従って、上記腕等の一定位置での保持状態を維持することができ、撮影対象箇所となる腕等を一定位置に静止させつつ、X線CT撮影を行うことができ、X線CT撮影の失敗を抑制することができる。
【0164】
また、撮影中において、撮影対象箇所である腕等と、X線発生源36とX線検出器37との間には、張出部430が介在している。このため、撮影対象箇所である腕等とX線発生源36或はX線検出器37との接触がより確実に抑制される。
【0165】
また、張出部430は、筒状体460の開口部に対して連結及び分離可能に取付けられているため、撮影対象箇所に応じて張出部430を着脱することができる。頸部を撮影する場合等、張出部430が邪魔になりそうな場合には張出部430を取外して撮影を行い、腕或は脚等の細長い部分を撮影する場合には張出部430を取付けて撮影を行うことができる。このため、撮影対象箇所に応じて張出部430を着脱して、多様な箇所のX線CT撮影を行える。
【0166】
なお、上記では、保持部410と張出部430との双方を設けた例で説明したが、必ずしもその必要はない。例えば、張出部430だけを設けた構成であってもよいし、図29に示すように、保持部410だけを設けた構成であってもよい。すなわち、図29では、着座した患者の腕10を装置20側に向けて略水平姿勢に伸して保持部410の板状部412上に載置支持し、この状態で、X線CT撮影を行うようにしている。
【0167】
図30〜図37に示す例では、本医療用X線CT撮影装置20外にある外部保持部材を、筒状体560に対して連結及び分離可能にするための例について説明する。ここでは、外部保持部材が患者の体全体を保持する医療用ベッド510である場合を想定して説明する。もっとも、外部保持部材としては、ベッドの他、患者の体の一部を保持する部材、例えば、腕を載置状に支持する支持台等であってもよい。
【0168】
医療用ベッド510は、ベッド本体部512と、中間台514と、下部基台516(図36及び図37参照)とを有している。
【0169】
ベッド本体部512は、両側部から幅方向中央部に向けて弧状に凹む長尺板状に形成されている。ベッド本体部512は、一般的な人間を寝転んだ状態で支持可能な程度の幅寸法及び長さ寸法に形成されている。また、ベッド本体部512の一端側部分513のうち載置される患者等の体軸に関する左右の一部は略L字状に切欠かれて、ベッド本体部512の長手方向に沿って延びる第1辺部分513aとその幅方向に沿って延びる第2辺部分513bとが形成された構成とされている。
【0170】
そして、上記第2辺部分513bを筒状体560の開口部分に当接させるようにして、前記一端側部分513を筒状体560内に配設できるようになっている。
【0171】
このベッド本体部512は、中間台514及び下部基台516により、筒状体560に対応する高さ位置で、略水平姿勢で支持されている。一端側部分513は中間台514から張り出すように中間台514に固定されている。
【0172】
また、筒状体560は、上記第1実施形態における筒状体60と同様構成の筒状体本体部分562の開口外周部に、筒状体560の径方向外側に向けて張出す鍔状部564を形成した構成とされている。
【0173】
連結分離部570は、一対の挟込辺572が間隔を有して対向配置された構成とされている(図33及び図34参照)。一対の挟込辺572間には、鍔状部564を配設可能な間隔がもうけられている。また、一方の挟込辺572には、固定用ねじ部574が螺合状態で配設されている。そして、一対の挟込辺572により鍔状部564を挟込むようにして、連結分離部570を鍔状部564の周方向の所望の位置に配設した状態で固定用ねじ部574を締付けることで、固定用ねじ部574の先端部と他方の挟込辺572との間で鍔状部564が挟持され、当該連結分離部570が鍔状部564の所望の位置に固定される。また、ここでは、連結分離部570は2つ設けられている。2つの連結分離部570は、上記ベッド本体部512の一端側部分513を筒状体560内に配設した状態で、第2辺部分513bに下方より当接可能な位置で、鍔状部564に取付固定されている(図32参照)。
【0174】
そして、ベッド本体部512の一端側部分513を筒状体560内に配設し、各第2辺部分513bの下面部分を連結分離部570に当接させることにより、筒状体560にベッド本体部512が着脱可能に連結されている。この状態では、所定の水平姿勢に保持されたベッド本体部512の第2辺部分513bの下面が連結分離部570に当接している。このため、筒状体560の回転がより確実に規制されている。ここで、筒状体と外部保持部材とを連結するとは、外部保持部材に対する筒状体の回転を規制した状態で、筒状体と外部保持部材とが一体的に連なることをいい、筒状体と外部保持部材とを分離するとは、外部保持部材に対する筒状体の回転規制を解除した状態で、筒状体と外部保持部材とを距離的に離すことをいう。
【0175】
そして、例えば、撮影対象箇所として患者の膝関節を撮影する場合には、図36及び図37に示すようにする。即ち、脚17を一端側部分513に配設するようにして患者16をベッド本体部512上に寝かして、撮影対象である片脚を回転軸A上に配設すると共に、撮影対象ではない他方の片脚を曲げてX線照射領域から外れた状態にする。そして、医療用ベッド510及び医療用X線CT撮影装置20のうちの少なくとも一方を動かして、上記ベッド本体部512の一端側部分513を筒状体560内に配設すると共に各第2辺部分513bの下面を連結分離部570に当接させる。この状態で、X線発生源36とX線検出器37とを回転軸A周りに回転させることで、X線CT撮影を行うことができる。
【0176】
これにより、患者の撮影対象箇所である脚等をより一定位置に静止させた状態で、X線CT撮影を行うことができ、X線CT撮影の失敗等を抑制することができる。
【0177】
しかも、ベッド本体部512と医療用X線CT撮影装置20とを遠近移動させることで、上記連結及び分離を行えるため、利用者にとって便利である。また、脚の骨折などにより、X線CT撮影が求められているにも関わらず移動することが困難な患者にとっては、負担が大幅に軽減される。
【0178】
また、本変形例3に係る各構成は、第1実施形態で説明した医療用X線CT撮影装置20に対して、筒状体の交換、保持部等の追加等によって比較的容易かつ簡易な構成で実現できるという利点もある。
【0179】
{第2実施形態}
第2実施形態に係る医療用X線CT撮影装置について説明する。なお、本実施の形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。図38〜図43は本第2実施形態に係る医療用X線CT撮影装置の要部を示す図である。この医療用X線CT撮影装置では、筒状体660が基体に取付けられている。
【0180】
すなわち、第1実施形態における基体22に対応する基体内には、駆動部搭載プレート638が一定位置又は位置を変更可能に支持されている。駆動部搭載プレート638には、支持軸部610がねじ止等により取付固定されると共に、その支持軸部610の側方にモータ等の回転駆動部650がブラケット等を介して取付固定されている。
【0181】
支持軸部610の一端部は略円筒状に形成されており、その外周に設けられた軸受部612を介して、支持部30が支持軸部610に対して回転自在に支持されている。また、支持軸部610の一端部端面には、筒状体660が支持軸部610に対して回転不能に支持されている。
【0182】
より具体的には、支持軸部610の一端部の外周に、外リング部材612aと内リング部材612bとが玉等の転動体等を介して相対回転可能に連結された軸受部612(図43参照)が設けられている。内リング部材612bはねじ等を介して支持軸部610の一端部に取付固定され、外リング部材612aはねじ等を介して支持部30の内側回転支持部42の底部に取付固定されている。これにより、支持部30が支持軸部610に対して一定位置でかつ相対回転可能に支持されている。
【0183】
勿論、ここで用いられる軸受についても、上記第1実施形態の変形例2で述べたのと同様に、ジャーナル軸受等種々の軸受を適宜採用できる。また、すべり軸受であってもよいし、転がり軸受であってもよく、さらに、転がり軸受の場合、玉軸受であってもよいし、コロ軸受であってもよい。
【0184】
また、回転駆動部650の回転軸部に取付けられたプーリー体652及び外リング部材612aの外周に設けられたプーリー体653に無端環状の駆動ベルト654が巻掛けられている(図38、図39及び図40参照)。そして、駆動ベルト654を介して回転駆動部650の回転駆動力が回転支持部40に伝達され、当該支持部30が回転駆動されるようになっている。
【0185】
また、第1実施形態における筒状体60に対応する筒状体660の底面には、取付環状部664が設けられている。取付環状部664は、上記内リング部材612bに対応する位置に形成された環状部材であり、当該内リング部材612bの外面に環状面を持って面接触可能に形成されている。また、上記内リング部材612bの外面にはピン状の突部612cが形成されている(図42及び図43参照)。ここでは、内リング部材612bを支持軸部610に固定するためのねじの頭部をピン状に形成することで突部612cとしており、この突部612cが環状に沿って間隔を有して複数設けられている。また、取付環状部664のうち内リング部材612bと接触する側の部分に、上記各突部612cを挿入可能な嵌込孔部665が複数形成されている。
【0186】
そして、筒状体660を回転支持部40の空洞部48内に奥まで嵌め込むと、各突部612cが嵌込孔部665に嵌め込まれ、これにより、筒状体660が内リング部材612b及び支持軸部610等を介して基体22に対して一定位置でかつ相対回転不能に取付けられる構成とされている。また、筒状体660を回転支持部40の空洞部48内から開口側に引抜くと、各突部612cと各嵌込孔部665との嵌め込みが解除され、筒状体660を基体22から取外せるようになっている。
【0187】
この第2実施形態によると、筒状体660は基体22に対して一定位置でかつ相対回転不能に取付けられているため、X線CT撮影を行うために支持部30を回転させても、筒状体660をより確実に回転させない状態にすることができる。従って、撮影対象箇所をより確実に静止させた状態でX線CT撮影を行うことができ、X線CT撮影の失敗をより確実に抑制することができる。
【0188】
<変形例1>
第2実施形態に係る変形例1について説明する。本変形例の説明において、上記第2実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付する等してその説明を省略する。図44は本変形例に係る医療用X線CT撮影装置の要部を示す図である。
【0189】
この変形例では、第1実施形態における筒状体60に対応する筒状体760が、軸受部710を介して支持軸部610に取付けられ、基体22に対して一定位置でかつ相対回転可能に取付けられた構成とされている。
【0190】
より具体的には、支持軸部610の一端部と筒状体760の底部との間に軸受部710が設けられている。軸受部710は、外リング部材710aと内リング部材710bとが玉等の転動体等を介して相対回転可能に連結された構成とされている。内リング部材710bには、上記嵌込孔部665と同様の嵌込孔部765が形成されており、上記と同様に、各突部612cが嵌込孔部765に着脱可能に嵌め込まれるようになっている。なお、内リング部材710bは筒状体760には固定されていない。また、外リング部材710aは、筒状体760の底部にねじ等を介して取付固定されている。
【0191】
勿論、ここで用いられる軸受についても、上記第1実施形態の変形例2で述べたのと同様に、ジャーナル軸受等種々の軸受を適宜採用できる。また、すべり軸受であってもよいし、転がり軸受であってもよく、さらに、転がり軸受の場合、玉軸受であってもよいし、コロ軸受であってもよい。
【0192】
そして、筒状体760を回転支持部40の空洞部48内に奥まで嵌め込むと、各突部612cが嵌込孔部765に着脱可能に嵌め込まれて、軸受部710の内リング部材710bが支持軸部610に一定位置でかつ相対回転不能に取付固定される。そして、外リング部材710aが内リング部材710bに対して相対回転することで、筒状体760が支持軸部610に対して相対回転可能となる。このようにして、筒状体760が支持軸部610、即ち、基体に対して一定位置でかつ相対回転可能に取付けられている。
【0193】
この変形例によると、筒状体760が回転軸A周りに回転調整可能であるため、筒状体760に配設される撮影対象箇所近傍の状況に応じて筒状体760を回転調整することができる。例えば、筒状体760内に上記保持部310を配設したような場合に、当該保持部310により保持する患者の一部(つまり、足先)の姿勢等に応じて、患者が痛みを伴わず楽な姿勢となるように、筒状体760を回転させることができ、患者の負担が小さくなる。
【0194】
<変形例2>
第2実施形態に係る変形例2について説明する。本変形例の説明において、上記第2実施形態で説明したものと同様の構成要素については同一符号を付する等してその説明を省略する。図45は本変形例に係る医療用X線CT撮影装置の要部を示す図である。
【0195】
この変形例では、第1実施形態における筒状体60に対応する筒状体860が、軸受部810を介して内側回転支持部42に取付けられ、かつ、基体22に対して一定位置で取付けられた構成とされている。
【0196】
より具体的には、内側回転支持部42の内面底部と筒状体860の底部との間に軸受部810が設けられている。軸受部810は、外リング部材810aと内リング部材810bとが玉等の転動体等を介して相対回転可能に連結された構成とされている。外リング部材810aは、内側回転支持部42の内面底部にねじ等を介して取付固定されている。また、内リング部材810bは、筒状体860の底部にねじ等を介して取付固定されている。
【0197】
勿論、ここで用いられる軸受についても、上記第1実施形態の変形例2で述べたのと同様に、ジャーナル軸受等種々の軸受を適宜採用できる。また、すべり軸受であってもよいし、転がり軸受であってもよく、さらに、転がり軸受の場合、玉軸受であってもよいし、コロ軸受であってもよい。
【0198】
そして、筒状体860の底部からは、基体22に向かって固定支持部861が延設されており、筒状体860を回転支持部40の空洞部48内に奥まで嵌め込むと、固定支持部861が、回転支持部40及び支持軸部610内に挿通され、かつ固定支持部861の基体側端部が基体22に対して回転不能に固定されるようになっている。内側回転支持部42の底部には固定支持部861の長手方向と同じ方向を軸方向として筒状部42Aが延設され、支持軸部610と筒状部42Aの間に軸受が介在して支持軸部610に対して筒状部42Aが相対回転するようになっている。
【0199】
このようにして、内リング部材810bが外リング部材810aに対して相対回転することで、回転支持部40が回転している間も、筒状体860が支持軸部610に対して一定位置で相対回転不能となる。固定支持部861を基体22に対して相対回転不能に取付けるための構成としては、例えば、固定支持部861及び基体22のいずれか一方側に凸部を形成し、他方側に凹部を形成し、両者を凹凸嵌め込む構成等を採用することができる(図41〜図43における筒状体660の取付構造参照)。特に、複数の凸部を回転軸A周りに均等間隔で形成すると共に、同様に複数の凹部を回転軸A周りに均等間隔で形成することで、回転軸A周りで、基体22に対する筒状体860の取付角度を調整できる。
【0200】
この変形例によると、支持軸部610と軸受部810との間に間隔をあけ、その間隔を利用して、X線源36やX線検出器37から伸びる信号線等をまとめたケーブル類を、回転支持部40に巻きつけ、ケーブル類と回転支持部40とを同時に回転させることができるため、簡易な構成で信号線等の断線を防ぐことができる。尚、本変形例においても、固定支持部861の基体側端部が基体22に対して固定される前であれば、筒状体860が回転軸A周りに回転調整可能であるため、筒状体860に配設される撮影対象箇所近傍の状況に応じて筒状体860を回転調整することができる。例えば、筒状体860内に上記保持部310を配設したような場合に、当該保持部310により保持する患者の一部(つまり、足先)の姿勢等に応じて、患者が痛みを伴わず楽な姿勢となるように、筒状体860を回転させることができ、患者の負担が小さくなる。
【0201】
{共通変形例}
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した内容は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。
【0202】
例えば、上記実施形態では、回転支持部40に空洞部48を設けているが、必ずしもその必要はない。例えば、上記回転駆動部50を省略し、代りに、内側回転支持部の周りに軸受及び回転駆動機構等を設けた場合には、回転支持部に形成した空洞部に連続させるようにして、基体に空洞部を形成するようにしてもよい。この場合に、空洞部は両側に開口する構成であってもよい。また、例えば、回転支持部がリング状の軸受により構成され、その軸受により囲まれる空間において、基体の一主面が直接的にX線発生源とX線検出器との間に面するように露出している場合には、当該基体に空洞部を設けてもよい。また、空洞部48は必ずしも円形である必要はなく、多角形状或はX線CT撮影時に保持する患者の体の一部形状に応じた形状であってもよい。回転支持部40に空洞部48が設けられず、回転支持部40が基体22内部にあって、支持アーム部32の先端が基体22から突出する構造の医療用X線CT撮影装置も考えうる。この場合は、基体22の側だけに空洞部48を設ける。無論、この空洞部48はX線発生源36とX線検出器37の回転軸周りに空間を形成するように設けられる。
【0203】
また、筒状体は、有底円筒である必要はない。例えば、軸方向両端側に開口する形状であってもよく、また、多角筒状であってもよい。
【0204】
また、上記ではX線CT撮影を行う例で説明したが、X線発生源36とX線検出器37を回転させずに単純X線撮影(単純透過像の取得)を行ってもよい。
【0205】
また、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。例えば、第2実施形態において、第1実施形態の変形例2で説明した移動機構部210を組込んでもよいし、また、第1実施形態の第3変形例で説明した保持部等を組込んでもよい。
【符号の説明】
【0206】
20 医療用X線CT撮影装置、22 基体、24 車輪、25 補助車輪、30 支持部、32 支持アーム部、36 X線発生源、36P X線規制部、37 X線検出器、38 位置付用光照射部、40 回転支持部、48 空洞部、50,650 回転駆動部、60,160,460,560,650,760,860 筒状体、70,170 軸受、210 移動機構部、220 Z方向移動機構部、230 Y方向移動機構部、240 X方向移動機構部、310,410 保持部、430 張出部、434 装着用突起部、440 筒側取付部材、444 装着用凹部、510 医療用ベッド、512 ベッド本体部、570 連結分離部、610 支持軸部、612 軸受部、710,810 軸受部、A 回転軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の局部をCT撮影する医療用X線CT撮影装置であって、
基体と、
X線コーンビームを発生させるX線発生源とX線検出器とを対向状態で支持する支持アーム部と、前記X線発生源と前記X線検出器とを水平方向に沿った回転軸周りに回転させるように前記支持アーム部を前記基体に対して回転可能に支持する回転支持部とを有する支持部と、
前記支持部を回転駆動する回転駆動部と、
を備え、
前記基体及び前記回転支持部のうちの少なくとも一方に、前記回転軸周りに空間を形成する空洞部が形成され、
前記空洞部内に、少なくとも前記X線発生源と前記X線検出器との間に向けて開口する筒状体が、前記支持部に対して相対的に回転する状態で配設された、医療用X線CT撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体は前記回転軸を中心軸とする円筒状に形成され、かつ、前記筒状体は、回転支持部に軸受を介して回転自在に保持されている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体は前記回転軸を中心とする円筒状に形成され、かつ、前記筒状体は前記基体に取付けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項4】
請求項3記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体は前記基体に対して前記回転軸周りに相対回転不能な状態で取付けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項5】
請求項3記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体は前記基体に対して前記回転軸周りに回転調整可能に取付けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記支持部を、前記回転軸と直交しかつ互いに直交する2軸方向に沿って移動可能にする2軸移動機構部をさらに備える、医療用X線CT撮影装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記支持部を、前記回転軸方向に沿って移動可能にする回転軸方向移動機構部をさらに備える、医療用X線CT撮影装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記支持部を、前記回転軸方向に沿ったY方向に移動させるY方向移動機構部と、上下方向に沿ったZ方向に移動させるZ方向移動機構部と、前記Y方向と前記Z方向の双方に直交するX方向に移動させるX方向移動機構部とを備え、
前記Z方向移動機構部が前記Y方向移動機構部と前記X方向移動機構部とを前記Z方向に移動させる、医療用X線CT撮影装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体に、患者の撮影対象箇所を一定位置に保持するための保持部が設けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記X線発生源からのX線コーンビームの照射領域を規制するX線規制部をさらに備え、局所CT撮影の実行を可能とする、医療用X線CT撮影装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記支持部及び前記筒状体の少なくとも一方に、位置付用の光を照射する位置付用光照射部が設けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体に、撮影対象箇所を一定位置に保持するための外部保持部材を、連結及び分離可能にする連結分離部が設けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項13】
請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体は、有底円筒状に形成されている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項14】
請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体のうち前記X線発生源と前記X線検出器との間に向けて開口する開口部に、前記X線発生源と前記X線検出器との前記回転軸周りの旋回軌跡の内側に向けて張出す張出部が設けられた、医療用X線CT撮影装置。
【請求項15】
請求項14記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記張出部は、前記開口部に対して連結及び分離可能に取付けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項16】
請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記基体は、床上を転がり可能な車輪を有する、医療用X線CT撮影装置。
【請求項17】
請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記支持部の回転中において、前記回転軸方向から見て前記X線コーンビームの照射領域の一方側の側部が常に撮影領域の外縁を通ると共に、他方側の側部が前記撮影領域の外縁よりも内側を通り、かつ、前記回転軸方向から見て前記X線コーンビームが前記撮影領域の全域に満たないが前記撮影領域の全域の半分以上の領域を照射するように、前記X線発生源が配置され、
前記支持部が360度以上旋回可能に構成された、医療用X線CT撮影装置。
【請求項18】
請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記X線検出器を前記X線発生源に対して相対的に近接離隔させて拡大率を変更する拡大率変更機構を備える医療用X線CT撮影装置。
【請求項1】
患者の局部をCT撮影する医療用X線CT撮影装置であって、
基体と、
X線コーンビームを発生させるX線発生源とX線検出器とを対向状態で支持する支持アーム部と、前記X線発生源と前記X線検出器とを水平方向に沿った回転軸周りに回転させるように前記支持アーム部を前記基体に対して回転可能に支持する回転支持部とを有する支持部と、
前記支持部を回転駆動する回転駆動部と、
を備え、
前記基体及び前記回転支持部のうちの少なくとも一方に、前記回転軸周りに空間を形成する空洞部が形成され、
前記空洞部内に、少なくとも前記X線発生源と前記X線検出器との間に向けて開口する筒状体が、前記支持部に対して相対的に回転する状態で配設された、医療用X線CT撮影装置。
【請求項2】
請求項1記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体は前記回転軸を中心軸とする円筒状に形成され、かつ、前記筒状体は、回転支持部に軸受を介して回転自在に保持されている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体は前記回転軸を中心とする円筒状に形成され、かつ、前記筒状体は前記基体に取付けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項4】
請求項3記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体は前記基体に対して前記回転軸周りに相対回転不能な状態で取付けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項5】
請求項3記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体は前記基体に対して前記回転軸周りに回転調整可能に取付けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記支持部を、前記回転軸と直交しかつ互いに直交する2軸方向に沿って移動可能にする2軸移動機構部をさらに備える、医療用X線CT撮影装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記支持部を、前記回転軸方向に沿って移動可能にする回転軸方向移動機構部をさらに備える、医療用X線CT撮影装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記支持部を、前記回転軸方向に沿ったY方向に移動させるY方向移動機構部と、上下方向に沿ったZ方向に移動させるZ方向移動機構部と、前記Y方向と前記Z方向の双方に直交するX方向に移動させるX方向移動機構部とを備え、
前記Z方向移動機構部が前記Y方向移動機構部と前記X方向移動機構部とを前記Z方向に移動させる、医療用X線CT撮影装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体に、患者の撮影対象箇所を一定位置に保持するための保持部が設けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記X線発生源からのX線コーンビームの照射領域を規制するX線規制部をさらに備え、局所CT撮影の実行を可能とする、医療用X線CT撮影装置。
【請求項11】
請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記支持部及び前記筒状体の少なくとも一方に、位置付用の光を照射する位置付用光照射部が設けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体に、撮影対象箇所を一定位置に保持するための外部保持部材を、連結及び分離可能にする連結分離部が設けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項13】
請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体は、有底円筒状に形成されている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項14】
請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記筒状体のうち前記X線発生源と前記X線検出器との間に向けて開口する開口部に、前記X線発生源と前記X線検出器との前記回転軸周りの旋回軌跡の内側に向けて張出す張出部が設けられた、医療用X線CT撮影装置。
【請求項15】
請求項14記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記張出部は、前記開口部に対して連結及び分離可能に取付けられている、医療用X線CT撮影装置。
【請求項16】
請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記基体は、床上を転がり可能な車輪を有する、医療用X線CT撮影装置。
【請求項17】
請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記支持部の回転中において、前記回転軸方向から見て前記X線コーンビームの照射領域の一方側の側部が常に撮影領域の外縁を通ると共に、他方側の側部が前記撮影領域の外縁よりも内側を通り、かつ、前記回転軸方向から見て前記X線コーンビームが前記撮影領域の全域に満たないが前記撮影領域の全域の半分以上の領域を照射するように、前記X線発生源が配置され、
前記支持部が360度以上旋回可能に構成された、医療用X線CT撮影装置。
【請求項18】
請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載の医療用X線CT撮影装置であって、
前記X線検出器を前記X線発生源に対して相対的に近接離隔させて拡大率を変更する拡大率変更機構を備える医療用X線CT撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【公開番号】特開2011−25012(P2011−25012A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128798(P2010−128798)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】
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