医薬化合物の結晶化
ヒト薬物送達系の医薬組成物に好適なタダラフィルの新規結晶形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年2月26日に出願された米国特許仮出願第61/208,624号に対する優先権を主張し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、薬物タダラフィルの新規の結晶形ならびにこれらの調製および使用方法に関する。1つ以上のこれらの形態は、様々な薬物送達系において医薬組成物中の固体剤形として使用することができる。
【背景技術】
【0003】
タダラフィルは、(6R−trans)−6−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−ピラジノ[l’,2’:1,6]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオンとして知られ、389.41g/モルの分子量を表す式C22H19N3O4を有し、化学構造:
【化1】
によって表される。タダラフィルは、もともとICOSによって1994年に開発され、後に2007年にICOSを吸収したEli Lilly社との共同作業によって上市された。タダラフィルは水にほとんど溶けない白色固体粒子物質であり、テトラヒドロフランおよびクロロホルム中でやや難溶であるが、ジオキサンには可溶である。タダラフィルは、n−オクタノール/緩衝液pH7.4中で見かけの分配係数(logP)app=1.7を有する。
【0004】
Cialis(登録商標)の商品名で勃起障害(ED)の治療のために現在使用されているタダラフィルは、cGMP(環状グアノシン一リン酸)に特異的な5型ホスホジエステラーゼ(PDE5)の阻害剤であり、陰茎の海綿体中の5型ホスホジエステラーゼを阻害することにより、海綿体中の神経末端および内皮細胞で一酸化窒素の効果を増強する。その結果、血管拡張、海綿体への血液の流入増加をもたらし、性的刺激を受けると続いて陰茎の勃起が起きる。タダラフィルはまた、肺高血圧症の治療としても、現在、研究されている。ED治療のために、タダラフィルは、必要に応じて5−20mgの範囲の用量を含む毎日の使用(2.5および5mg)のための錠剤として製造されている。Cialis(登録商標)処方情報(2010年2月)を参照のこと。タダラフィル、タダラフィルを調製する方法、その治療上の使用、およびそれを含む医薬組成物は、米国特許第5,859,006号、同第6,140,329号、同第6,821,975号、同第6,943,166号、同第7,182,958号に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
EDを治療するためにそれを使用する上での主な制約は、一つには水溶解度が非常に低いためであり得るが、タダラフィルは、食物摂取に無関係に、平均ピーク血漿中濃度(Cmax)を達成するのに0.5〜6時間(Tmax)を要するという事実である。したがって、水溶解度と、それに続いて溶解速度を高めることは、Tmaxを短縮し、作用開始をより迅速にすることができる。さらに、このことは、胃腸管中の滞在時間を短縮させて、胃腸膜との長い接触によって望ましくない副作用を生じる可能性を低減させる。
【0006】
タダラフィルの様々な結晶多形は文献に開示されている(例えば米国特許出願第2006/0111571A1号参照)。それぞれアセトンおよびメチルエチルケトン溶媒和物であるII形およびIII形を含む、8種の多形体が知られている。
【0007】
一般に、医薬組成物中の医薬品有効成分(API)は、化学誘導体、溶媒和物、水和物、共結晶および/または塩を包含する様々な相異なる化学的形態で調製することができる。そのような化合物はまた、同一の化学組成の相異なる物理的形態に調製することもできる。例えば、これらは非晶質であってもよく、相異なる結晶形(多形体)を有していてもよく、および/またはもとのAPIの化学組成と変わらない、相異なる溶媒和状態または水和状態で存在してもよい。薬学的に有用な化合物の新規の結晶形の発見は、物理化学的特性、続いてそのような化合物の臨床性能を改善する機会を提供することができる。さらに、それによって、例えば、標的/持続放出特性またはより高い物理安定度に起因した改善された貯蔵寿命、改善された粒子サイズまたは粒度分布、または下流での加工をより容易にするかまたはさらにその送達経路を変えるための粉末の流動性および取り扱いを有する、APIの薬学的剤形を設計するための入手可能な一連の供給源が拡がる。
【0008】
例えば、同一化学組成の結晶形(多形体)は互いに異なる水溶解度を有し得るが、多形体は、通常、熱力学的に安定なほど溶けにくくなる。さらに、APIの多形体はまた、固相安定性、より高い貯蔵寿命、生物学的利用能、粒子形態学、蒸気圧、密度、色度、融点および圧縮性などの物理化学的性質において異なることがある。しかし、所望の多形体を一貫して生み出すのは時に困難であるか、または、これらの水溶解度はほとんど改善されないか、または、すべての多形の特性評価は困難であり得る。さらに、発見される多形体が1つのみである場合には、APIの物理化学的性質を操作し改善する機会はより少なくなる。これらの制約は、使用可能な剤形へのAPI製剤化に悪影響を及ぼすか、またはAPI開発の放棄さえ製薬会社に強い得る。
【0009】
したがって、そのような制約に取り組み、水溶解度、溶解速度、生物学的利用能、Cmax、Tmax、固相安定性、貯蔵寿命、下流での加工性(例えば流動性、圧縮性、脆弱度、粒子サイズおよび粒度分布)、非晶性化合物の結晶化などのAPIの特性を高め、多形の変化を減少させ、毒性を低減することができる共結晶などの新規の結晶性分子複合体、味覚マスキングおよび/またはその生産および製造法の効率化を生み出すことは高く評価されよう。固体剤形の経口送達のためには、薬物物質の新規の結晶形が、そのような改善された特性、特に増加した水溶解度および固相安定性を有することはしばしば有利である。また、そのような固体形態の溶解速度を上げ、生物学的利用能を増し、より迅速な開始を提供して治療効果を早めることが一般に望ましい。さらに、対象に投与された場合、用量対用量(dose-for-dose)の基準で他の既存の形態と比較して、ピーク血漿レベルにより速く達し、治療上の血漿中濃度がより長く持続する結晶形を有することが有用である。
【0010】
タダラフィルの低い水溶解度と関係する制約ゆえに、よい早い開始を達成するかまたは可能ならその臨床特性を改善するために経口投与での使用のために製剤化することができる水溶解度を含む物理化学的性質が改善された新規の形態を開発する必要がある。
【0011】
溶解速度を改善し、Tmaxを短くし、迅速な開始を達成し、胃腸管中の滞在時間を短縮することができる、結晶性分子複合体、例えば、それらの共結晶を含むタダラフィルの新規の結晶形を生成することにより、これらの制約に取り組むことは可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、水溶解度、溶解速度を改善するおよび/またはTmaxを短縮することができるタダラフィルの新規の組成物および結晶形の生成に関する。本発明の一態様は、共結晶などのタダラフィルの新規の結晶性分子複合体、およびそのような物質を含有する混合物を含む。さらに、本発明は、そのような複合体、および薬学剤形中のAPI(医薬品有効成分)として好適なタダラフィルの結晶性分子複合体の組成物を調製する方法をさらに含む。本開示に関係する特定の分子複合体は、タダラフィルと、シュウ酸、4−ヒドロキシ安息香酸、マロン酸、3−フェニルプロパン酸、メチルパラベンおよびプロピルパラベンとの複合体を含むが、これらに限定されない。
【0013】
本発明の前述の特色および利点ならびに他の特色および利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明からより明白になるであろう。そのような記載は、本発明の例示であり、限定されるものではない。図面および実施例によって記載されたものを包含する本文中に開示されたタダラフィル形態の容易に理解できる変形は、本開示の当業者には明らかであり、また、そのような変形は本発明の一部であると考える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】タダラフィルとシュウ酸との結晶性分子複合体(1:1)のPXRD回折図を示す図である。
【図2】タダラフィルとシュウ酸との結晶性分子複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す図である。
【図3】タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との結晶性分子複合体(1:2)のPXRD回折図を示す図である。
【図4】タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との結晶性分子複合体(1:2)のFTIRスペクトルを示す図である。
【図5】タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体(1:1)のPXRD回折図を示す図である。
【図6】タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す図である。
【図7】タダラフィルとマロン酸との結晶性分子複合体(1:1)のPXRD回折図を示す図である。
【図8】タダラフィルとマロン酸との結晶性分子複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す図である。
【図9】タダラフィルとメチルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)のPXRD回折図を示す図である。
【図10】タダラフィルとメチルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す図である。
【図11】タダラフィルとプロピルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)のPXRD回折図を示す図である。
【図12】タダラフィルとプロピルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、タダラフィルの共結晶などの新規の結晶性分子複合体を提供し、その物理化学的特性および可能な臨床特性を改善する。例えば、上に論じたように、新規の結晶形は、タダラフィルの水溶解度を改善することができる場合、特に有利である。さらに、新規の結晶形で付与される結晶特性は、生物学的利用能が改善され、かつ、その血漿中濃度および/または血清濃度が改善されて、そのことが経口送達された製剤に対して特に有利な場合に有用である。
【0016】
多くの新規のタダラフィル結晶形が本明細書において合成され、特性評価され、開示されている。新規のタダラフィル結晶形は、タダラフィルについて当該技術分野で知られているような薬学的剤形に製剤化し、その治療上の使用のために投与することができる。本明細書において述べられる技法および手法は、当業者によってさらに使用されて、これらの容易に分かる変形を調製することができるが、該変形は本発明の開示の一部と考えられる。
【0017】
したがって、第1の態様において、本発明は、タダラフィルと共形成成分(co-former)との結晶性分子複合体に関する。共形成成分は、短鎖、短鎖乃至中度鎖の有機酸、例えば、シュウ酸またはマロン酸;ヒドロキシ安息香酸またはヒドロキシ安息香酸エステル、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、メチルパラベン、プロピルパラベン(例えばn−プロピルパラベン、イソプロピルパラベン);またはフェニルアルカン酸、例えば、3−フェニルプロパン酸などであってよい。他の可能な共形成成分は、米国特許第7452555号および米国特許出願第2003/0224006A1号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。分子複合体中の共形成成分のモル比は、1:3〜3:1、好ましくは1:2〜2:1の範囲であってもよい。結晶性分子複合体は、乾式粉砕または溶媒粉砕(solvent grinding)、単一または混合溶媒系における溶液の加熱、スラリー化または溶媒蒸発などの公知の技法を使用して調製することができる。
【0018】
一態様において、本発明は、タダラフィルとメチルパラベンとの1:1結晶性分子複合体に関する。下記の実施例において示されるように、タダラフィルとメチルパラベンとの1:1結晶性分子複合体は、乾式粉砕によってまたは溶媒スラリー中で調製することができる。タダラフィルとメチルパラベンとが共結晶化することが示されたように、本発明のこの結晶性分子複合体も、溶媒粉砕、単一または混合溶媒系における溶液の加熱または溶媒蒸発などの、しかしこれらに限定されない、当該技術分野で公知の他の技法によって調製することができる。
【0019】
本発明の別の態様は、タダラフィルとプロピルパラベンとの1:1結晶性分子複合体に関する。下記の実施例において示されるように、タダラフィルとプロピルパラベンとの1:1結晶性分子複合体は、乾式粉砕によってまたは溶媒スラリー中で調製することができる。タダラフィルとメチルパラベンが共結晶化することが示されたように、本発明のこの結晶性分子複合体も、溶媒粉砕、単一または混合溶媒系における溶液の加熱または溶媒蒸発などの、しかしこれらに限定されない、当該技術分野で公知の他の技法によって調製することができる。
【0020】
本発明の別の態様は、タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との1:2結晶性分子複合体に関する。下記の実施例において示されるように、タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との1:2結晶性分子複合体は、乾式粉砕によってまたは溶媒スラリー中で調製することができる。タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸が共結晶化することが示されたように、本発明のこの結晶質の分子複合体も、溶媒粉砕、単一または混合溶媒系における溶液の加熱または溶媒蒸発などの、しかしこれらに限定されない、当該技術分野で公知の他の技法によって調製することができる。
【0021】
本発明の別の態様は、タダラフィルとマロン酸との1:1結晶性分子複合体に関する。下記の実施例において示されるように、タダラフィルとマロン酸との1:1結晶性分子複合体は、乾式粉砕によってまたは溶媒スラリー中で調製することができる。タダラフィルとマロン酸が共結晶化することが示されたように、本発明のこの結晶質の分子複合体も、溶媒粉砕、単一または混合溶媒系における溶液の加熱または溶媒蒸発などの、しかしこれらに限定されない、当該技術分野で公知の他の技法によって調製することができる。
【0022】
本発明の別の態様は、タダラフィルとシュウ酸との1:1結晶性分子複合体に関する。下記の実施例において示されるように、タダラフィルとシュウ酸との1:1結晶性分子複合体は乾式粉砕によって調製することができる。タダラフィルとシュウ酸とが共結晶化することが示されたように、本発明のこの結晶性分子複合体も、溶媒粉砕、単一または混合溶媒系における溶液の加熱、溶媒スラリー化または溶媒蒸発などの、しかしこれらに限定されない、当該技術分野で公知の他の技法によって調製することができる。
【0023】
本発明の別の態様は、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との1:1結晶性分子複合体に関する。下記の実施例において示されるように、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との1:1結晶性分子複合体は、乾式粉砕によってまたは溶媒スラリー中で調製することができる。本発明の別の態様は、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸とをアセトニトリル中に溶解し溶媒混合物を蒸発させることにより、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体を提供する。タダラフィルと3−フェニルプロパン酸とが共結晶化することが示されたように、本発明のこの結晶性分子複合体も、溶媒粉砕、単一または混合溶媒系における溶液の加熱または溶媒蒸発などの、しかしこれらに限定されない、当該技術分野で公知の他の技法によって調製することができる。
【0024】
本発明の別の態様は、上記のタダラフィルの結晶性分子複合体、および特定の具体例として、異なる経路を介して人の身体に送達することができる医薬製剤に好適である、4−ヒドロキシ安息香酸、マロン酸、シュウ酸、3−フェニルプロパン酸、メチルパラベンおよびプロピルパラベンとの結晶性分子複合体を提供する。結晶性分子複合体に加えて、そのような医薬製剤は、結合剤、充填剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味料、香味剤、防腐剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、および他の従来の賦形剤および添加剤を包含するが、これらに限定されない、1つ以上の薬学的に許容される担体を包含してもよい。本発明の結晶性タダラフィル分子複合体およびこれらを含有する医薬製剤は、タダラフィル自体について知られているのと同一の療法において使用されてもよい。タダラフィルの医薬製剤、その治療上の使用および治療の方法は、上に述べたように米国特許第5,859,006号、同第6,140,329号、同第6,821,975号、同第6,943,166号および同第7,182,958号に記載されている。
【実施例】
【0025】
以下の実施例は本発明を例証するが、その範囲を限定するものではない。
【0026】
本開示のすべての実験において使用される出発物質としてのタダラフィルは、中国Beijing Apifocus Co.Ltd.によって供給され、99.9%の公称化学純度を有する。結晶度を改善し、固相特性を妨害する恐れがある疑わしい物理的不純物を取り除くためには、THFなどの溶媒からの再結晶によるさらなる精製が必要であった。
【0027】
実施例1:タダラフィルとシュウ酸との複合体(1:1)の調製
【0028】
タダラフィル120mgをシュウ酸28mgとともに粉砕し、アセトニトリル20μLを固体混合物に加えた。粉砕後に集めた固体は、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0029】
実施例2:タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との複合体(1:2)の調製
【0030】
タダラフィル123.2mgを4−ヒドロキシ安息香酸88.3mgとともに粉砕し、アセトニトリル40μLを固体混合物に加えた。粉砕後に集めた固体は、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0031】
実施例3:スラリー法によるタダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との複合体(1:2)の調製
【0032】
タダラフィル1000mgを、4−ヒドロキシ安息香酸710mgおよびアセトニトリル5mLとともにスラリー化した。スラリー化の後に集めた固体は乾燥し、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0033】
実施例4:タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との複合体(1:1)の調製
【0034】
タダラフィル110mgを3−フェニルプロパン酸42mgとともに粉砕し、アセトニトリル20μLを固体混合物に加えた。粉砕後に集めた固体は、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0035】
実施例5:スラリー法による、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との複合体(1:1)の調製
【0036】
タダラフィル50mgを、3−フェニルプロパン酸288.75mgおよびアセトニトリル1mLとともにスラリー化した。スラリー化の後に集めた固体は乾燥し、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0037】
実施例6:タダラフィルとマロン酸との複合体(1:1)の調製
【0038】
タダラフィル110mgをマロン酸30mgとともに粉砕し、アセトニトリル40μLを固体混合物に加えた。粉砕後に集めた固体は、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0039】
実施例7:スラリー法によるタダラフィルとマロン酸との複合体(1:1)の調製
【0040】
タダラフィル200mgを、マロン酸212mgおよびアセトニトリル1mLとともにスラリー化した。スラリー化の後に集めた固体は乾燥し、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0041】
実施例8:タダラフィルとメチルパラベンとの複合体(1:1)の調製
【0042】
タダラフィル100mgをメチルパラベン39mgとともに粉砕し、アセトニトリル20μLを固体混合物に加えた。粉砕後に集めた固体は、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0043】
実施例9:スラリー法によるタダラフィルとメチルパラベンとの複合体(1:1)の調製
【0044】
タダラフィル200mgをメチルパラベン156mgおよびアセトニトリル1mLとともにスラリー化した。スラリー化の後に集めた固体は乾燥し、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0045】
実施例10:タダラフィルとプロピルパラベンとの複合体(1:1)の調製
【0046】
タダラフィル100mgをプロピルパラベン46mgとともに粉砕し、アセトニトリル20μLを固体混合物に加えた。粉砕後に集めた固体は、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0047】
実施例11:スラリー法によるタダラフィルとプロピルパラベンとの複合体(1:1)の調製
【0048】
タダラフィル200mgをプロピルパラベン184mgおよびアセトニトリル1mLとともにスラリー化した。スラリー化の後に集めた固体は乾燥し、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0049】
特性評価実施例
結晶形を観察するために使用する分析技術は、フーリエ変換FTIR分光法(FTIR)および粉末X線回折(PXRD)を含む。そのような分析技術において用いられる特定の方法論は、例示とみられるべきであり、データ収集の文脈において限定されるものではない。例えば、データを収集するために使用される特定の機器は変わってもよく、通常作業者の誤差または較正標準は変動することがあり、試料の調製法は変動することがある(例えばFTIR分析用のKBrディスクまたはヌジョールマル(Nujol mull)技法の使用)。
【0050】
粉末X線回折(PXRD)
共結晶生成物はすべて、Cu Ka(λ=1.540562Å)、40kV、40mAを用いたD−8 Bruker X線粉末回析で観察した。データは、0.05°2θ刻みで1.0°/分の走査速度を使用して、連続走査方式で3〜40°2θの角度範囲にわたり収集した。ピークは、°2θ±0.2°2θで報告する。
【0051】
フーリエ変換FTIR分光法(FTIR):FTIR分析は、固体ATR付属品を装備したPerkin Elmer Spectrum 100 FTIR分析装置で実施した。ピークは、cm−1±1cm−1で報告する。
【0052】
実施例12:タダラフィルとシュウ酸との複合体(1:1)の特性評価
【0053】
タダラフィルとシュウ酸との複合体(1:1)のPXRD回折図は図1に示される。下記の表1は、図1のPXRDパターンからの代表的ピークをリスト化している。表1の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図1に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとシュウ酸との結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0054】
図2は、タダラフィルとシュウ酸との複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す。下記の表2は、図2のFTIRスペクトルからの代表的ピークをリスト化している。表2の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図2に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとシュウ酸との結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0055】
実施例13:タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との複合体(1:2)の特性評価
【0056】
タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との複合体(1:2)のPXRD回折図は図3に示される。下記の表1は、図3のPXRDパターンからの代表的なピークをリスト化している。表1の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図3に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との結晶性分子複合体(1:2)を特性評価するために使用することができる。
【0057】
図4は、タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との複合体(1:2)のFTIRスペクトルを示す。下記の表2は、図4のFTIRスペクトルからの代表的なピークをリスト化している。表2の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図4に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との結晶性分子複合体(1:2)を特性評価するために使用することができる。
【0058】
実施例14:タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との複合体(1:1)の特性評価
【0059】
タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との複合体(1:1)のPXRD回折図は図5に示される。下記の表1は図5のPXRDパターンからの代表的なピークをリスト化している。表1の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図5に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0060】
図6は、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す。下記の表2は図6のFTIRスペクトルからの代表的なピークをリスト化している。表2の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図6に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、 本発明のタダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0061】
実施例15:タダラフィルとマロン酸との複合体(1:1)の特性評価
【0062】
タダラフィルとマロン酸との複合体(1:1)のPXRD回折図は、図7に示される。下記の表1は図7のPXRDパターンからの代表的なピークをリスト化している。表1の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図7に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとマロン酸との結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0063】
図8は、タダラフィルとマロン酸との複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す。下記の表2は、図8のFTIRスペクトルから代表的なピークをリスト化している。表2の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図8に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとマロン酸との結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0064】
実施例16:タダラフィルとメチルパラベンとの複合体(1:1)の特性評価
【0065】
タダラフィルとメチルパラベンとの複合体(1:1)のPXRD回折図は図9に示される。下記の表1は図9のPXRDパターンから代表的なピークをリスト化している。表1の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図9に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとメチルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0066】
図10は、タダラフィルとメチルパラベンとの複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す。下記の表2は図10のFTIRスペクトルから代表的なピークをリスト化している。表2の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図10に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとメチルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0067】
実施例17:タダラフィルとプロピルパラベンとの複合体(1:3)の特性評価
【0068】
タダラフィルプロピルパラベン複合体(1:1)のPXRD回折図は、図11中に示される。下記の表1は図11のPXRDパターンから代表的なピークをリスト化している。表1の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図11に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとプロピルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0069】
図12は、タダラフィルとプロピルパラベンとの複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す。下記の表2は図12のFTIRスペクトルからの代表的なピークをリスト化している。表2の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図12に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとプロピルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【表1】
【表2】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年2月26日に出願された米国特許仮出願第61/208,624号に対する優先権を主張し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、薬物タダラフィルの新規の結晶形ならびにこれらの調製および使用方法に関する。1つ以上のこれらの形態は、様々な薬物送達系において医薬組成物中の固体剤形として使用することができる。
【背景技術】
【0003】
タダラフィルは、(6R−trans)−6−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−ピラジノ[l’,2’:1,6]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオンとして知られ、389.41g/モルの分子量を表す式C22H19N3O4を有し、化学構造:
【化1】
によって表される。タダラフィルは、もともとICOSによって1994年に開発され、後に2007年にICOSを吸収したEli Lilly社との共同作業によって上市された。タダラフィルは水にほとんど溶けない白色固体粒子物質であり、テトラヒドロフランおよびクロロホルム中でやや難溶であるが、ジオキサンには可溶である。タダラフィルは、n−オクタノール/緩衝液pH7.4中で見かけの分配係数(logP)app=1.7を有する。
【0004】
Cialis(登録商標)の商品名で勃起障害(ED)の治療のために現在使用されているタダラフィルは、cGMP(環状グアノシン一リン酸)に特異的な5型ホスホジエステラーゼ(PDE5)の阻害剤であり、陰茎の海綿体中の5型ホスホジエステラーゼを阻害することにより、海綿体中の神経末端および内皮細胞で一酸化窒素の効果を増強する。その結果、血管拡張、海綿体への血液の流入増加をもたらし、性的刺激を受けると続いて陰茎の勃起が起きる。タダラフィルはまた、肺高血圧症の治療としても、現在、研究されている。ED治療のために、タダラフィルは、必要に応じて5−20mgの範囲の用量を含む毎日の使用(2.5および5mg)のための錠剤として製造されている。Cialis(登録商標)処方情報(2010年2月)を参照のこと。タダラフィル、タダラフィルを調製する方法、その治療上の使用、およびそれを含む医薬組成物は、米国特許第5,859,006号、同第6,140,329号、同第6,821,975号、同第6,943,166号、同第7,182,958号に記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
EDを治療するためにそれを使用する上での主な制約は、一つには水溶解度が非常に低いためであり得るが、タダラフィルは、食物摂取に無関係に、平均ピーク血漿中濃度(Cmax)を達成するのに0.5〜6時間(Tmax)を要するという事実である。したがって、水溶解度と、それに続いて溶解速度を高めることは、Tmaxを短縮し、作用開始をより迅速にすることができる。さらに、このことは、胃腸管中の滞在時間を短縮させて、胃腸膜との長い接触によって望ましくない副作用を生じる可能性を低減させる。
【0006】
タダラフィルの様々な結晶多形は文献に開示されている(例えば米国特許出願第2006/0111571A1号参照)。それぞれアセトンおよびメチルエチルケトン溶媒和物であるII形およびIII形を含む、8種の多形体が知られている。
【0007】
一般に、医薬組成物中の医薬品有効成分(API)は、化学誘導体、溶媒和物、水和物、共結晶および/または塩を包含する様々な相異なる化学的形態で調製することができる。そのような化合物はまた、同一の化学組成の相異なる物理的形態に調製することもできる。例えば、これらは非晶質であってもよく、相異なる結晶形(多形体)を有していてもよく、および/またはもとのAPIの化学組成と変わらない、相異なる溶媒和状態または水和状態で存在してもよい。薬学的に有用な化合物の新規の結晶形の発見は、物理化学的特性、続いてそのような化合物の臨床性能を改善する機会を提供することができる。さらに、それによって、例えば、標的/持続放出特性またはより高い物理安定度に起因した改善された貯蔵寿命、改善された粒子サイズまたは粒度分布、または下流での加工をより容易にするかまたはさらにその送達経路を変えるための粉末の流動性および取り扱いを有する、APIの薬学的剤形を設計するための入手可能な一連の供給源が拡がる。
【0008】
例えば、同一化学組成の結晶形(多形体)は互いに異なる水溶解度を有し得るが、多形体は、通常、熱力学的に安定なほど溶けにくくなる。さらに、APIの多形体はまた、固相安定性、より高い貯蔵寿命、生物学的利用能、粒子形態学、蒸気圧、密度、色度、融点および圧縮性などの物理化学的性質において異なることがある。しかし、所望の多形体を一貫して生み出すのは時に困難であるか、または、これらの水溶解度はほとんど改善されないか、または、すべての多形の特性評価は困難であり得る。さらに、発見される多形体が1つのみである場合には、APIの物理化学的性質を操作し改善する機会はより少なくなる。これらの制約は、使用可能な剤形へのAPI製剤化に悪影響を及ぼすか、またはAPI開発の放棄さえ製薬会社に強い得る。
【0009】
したがって、そのような制約に取り組み、水溶解度、溶解速度、生物学的利用能、Cmax、Tmax、固相安定性、貯蔵寿命、下流での加工性(例えば流動性、圧縮性、脆弱度、粒子サイズおよび粒度分布)、非晶性化合物の結晶化などのAPIの特性を高め、多形の変化を減少させ、毒性を低減することができる共結晶などの新規の結晶性分子複合体、味覚マスキングおよび/またはその生産および製造法の効率化を生み出すことは高く評価されよう。固体剤形の経口送達のためには、薬物物質の新規の結晶形が、そのような改善された特性、特に増加した水溶解度および固相安定性を有することはしばしば有利である。また、そのような固体形態の溶解速度を上げ、生物学的利用能を増し、より迅速な開始を提供して治療効果を早めることが一般に望ましい。さらに、対象に投与された場合、用量対用量(dose-for-dose)の基準で他の既存の形態と比較して、ピーク血漿レベルにより速く達し、治療上の血漿中濃度がより長く持続する結晶形を有することが有用である。
【0010】
タダラフィルの低い水溶解度と関係する制約ゆえに、よい早い開始を達成するかまたは可能ならその臨床特性を改善するために経口投与での使用のために製剤化することができる水溶解度を含む物理化学的性質が改善された新規の形態を開発する必要がある。
【0011】
溶解速度を改善し、Tmaxを短くし、迅速な開始を達成し、胃腸管中の滞在時間を短縮することができる、結晶性分子複合体、例えば、それらの共結晶を含むタダラフィルの新規の結晶形を生成することにより、これらの制約に取り組むことは可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、水溶解度、溶解速度を改善するおよび/またはTmaxを短縮することができるタダラフィルの新規の組成物および結晶形の生成に関する。本発明の一態様は、共結晶などのタダラフィルの新規の結晶性分子複合体、およびそのような物質を含有する混合物を含む。さらに、本発明は、そのような複合体、および薬学剤形中のAPI(医薬品有効成分)として好適なタダラフィルの結晶性分子複合体の組成物を調製する方法をさらに含む。本開示に関係する特定の分子複合体は、タダラフィルと、シュウ酸、4−ヒドロキシ安息香酸、マロン酸、3−フェニルプロパン酸、メチルパラベンおよびプロピルパラベンとの複合体を含むが、これらに限定されない。
【0013】
本発明の前述の特色および利点ならびに他の特色および利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明からより明白になるであろう。そのような記載は、本発明の例示であり、限定されるものではない。図面および実施例によって記載されたものを包含する本文中に開示されたタダラフィル形態の容易に理解できる変形は、本開示の当業者には明らかであり、また、そのような変形は本発明の一部であると考える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】タダラフィルとシュウ酸との結晶性分子複合体(1:1)のPXRD回折図を示す図である。
【図2】タダラフィルとシュウ酸との結晶性分子複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す図である。
【図3】タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との結晶性分子複合体(1:2)のPXRD回折図を示す図である。
【図4】タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との結晶性分子複合体(1:2)のFTIRスペクトルを示す図である。
【図5】タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体(1:1)のPXRD回折図を示す図である。
【図6】タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す図である。
【図7】タダラフィルとマロン酸との結晶性分子複合体(1:1)のPXRD回折図を示す図である。
【図8】タダラフィルとマロン酸との結晶性分子複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す図である。
【図9】タダラフィルとメチルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)のPXRD回折図を示す図である。
【図10】タダラフィルとメチルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す図である。
【図11】タダラフィルとプロピルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)のPXRD回折図を示す図である。
【図12】タダラフィルとプロピルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、タダラフィルの共結晶などの新規の結晶性分子複合体を提供し、その物理化学的特性および可能な臨床特性を改善する。例えば、上に論じたように、新規の結晶形は、タダラフィルの水溶解度を改善することができる場合、特に有利である。さらに、新規の結晶形で付与される結晶特性は、生物学的利用能が改善され、かつ、その血漿中濃度および/または血清濃度が改善されて、そのことが経口送達された製剤に対して特に有利な場合に有用である。
【0016】
多くの新規のタダラフィル結晶形が本明細書において合成され、特性評価され、開示されている。新規のタダラフィル結晶形は、タダラフィルについて当該技術分野で知られているような薬学的剤形に製剤化し、その治療上の使用のために投与することができる。本明細書において述べられる技法および手法は、当業者によってさらに使用されて、これらの容易に分かる変形を調製することができるが、該変形は本発明の開示の一部と考えられる。
【0017】
したがって、第1の態様において、本発明は、タダラフィルと共形成成分(co-former)との結晶性分子複合体に関する。共形成成分は、短鎖、短鎖乃至中度鎖の有機酸、例えば、シュウ酸またはマロン酸;ヒドロキシ安息香酸またはヒドロキシ安息香酸エステル、例えば、4−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、メチルパラベン、プロピルパラベン(例えばn−プロピルパラベン、イソプロピルパラベン);またはフェニルアルカン酸、例えば、3−フェニルプロパン酸などであってよい。他の可能な共形成成分は、米国特許第7452555号および米国特許出願第2003/0224006A1号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。分子複合体中の共形成成分のモル比は、1:3〜3:1、好ましくは1:2〜2:1の範囲であってもよい。結晶性分子複合体は、乾式粉砕または溶媒粉砕(solvent grinding)、単一または混合溶媒系における溶液の加熱、スラリー化または溶媒蒸発などの公知の技法を使用して調製することができる。
【0018】
一態様において、本発明は、タダラフィルとメチルパラベンとの1:1結晶性分子複合体に関する。下記の実施例において示されるように、タダラフィルとメチルパラベンとの1:1結晶性分子複合体は、乾式粉砕によってまたは溶媒スラリー中で調製することができる。タダラフィルとメチルパラベンとが共結晶化することが示されたように、本発明のこの結晶性分子複合体も、溶媒粉砕、単一または混合溶媒系における溶液の加熱または溶媒蒸発などの、しかしこれらに限定されない、当該技術分野で公知の他の技法によって調製することができる。
【0019】
本発明の別の態様は、タダラフィルとプロピルパラベンとの1:1結晶性分子複合体に関する。下記の実施例において示されるように、タダラフィルとプロピルパラベンとの1:1結晶性分子複合体は、乾式粉砕によってまたは溶媒スラリー中で調製することができる。タダラフィルとメチルパラベンが共結晶化することが示されたように、本発明のこの結晶性分子複合体も、溶媒粉砕、単一または混合溶媒系における溶液の加熱または溶媒蒸発などの、しかしこれらに限定されない、当該技術分野で公知の他の技法によって調製することができる。
【0020】
本発明の別の態様は、タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との1:2結晶性分子複合体に関する。下記の実施例において示されるように、タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との1:2結晶性分子複合体は、乾式粉砕によってまたは溶媒スラリー中で調製することができる。タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸が共結晶化することが示されたように、本発明のこの結晶質の分子複合体も、溶媒粉砕、単一または混合溶媒系における溶液の加熱または溶媒蒸発などの、しかしこれらに限定されない、当該技術分野で公知の他の技法によって調製することができる。
【0021】
本発明の別の態様は、タダラフィルとマロン酸との1:1結晶性分子複合体に関する。下記の実施例において示されるように、タダラフィルとマロン酸との1:1結晶性分子複合体は、乾式粉砕によってまたは溶媒スラリー中で調製することができる。タダラフィルとマロン酸が共結晶化することが示されたように、本発明のこの結晶質の分子複合体も、溶媒粉砕、単一または混合溶媒系における溶液の加熱または溶媒蒸発などの、しかしこれらに限定されない、当該技術分野で公知の他の技法によって調製することができる。
【0022】
本発明の別の態様は、タダラフィルとシュウ酸との1:1結晶性分子複合体に関する。下記の実施例において示されるように、タダラフィルとシュウ酸との1:1結晶性分子複合体は乾式粉砕によって調製することができる。タダラフィルとシュウ酸とが共結晶化することが示されたように、本発明のこの結晶性分子複合体も、溶媒粉砕、単一または混合溶媒系における溶液の加熱、溶媒スラリー化または溶媒蒸発などの、しかしこれらに限定されない、当該技術分野で公知の他の技法によって調製することができる。
【0023】
本発明の別の態様は、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との1:1結晶性分子複合体に関する。下記の実施例において示されるように、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との1:1結晶性分子複合体は、乾式粉砕によってまたは溶媒スラリー中で調製することができる。本発明の別の態様は、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸とをアセトニトリル中に溶解し溶媒混合物を蒸発させることにより、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体を提供する。タダラフィルと3−フェニルプロパン酸とが共結晶化することが示されたように、本発明のこの結晶性分子複合体も、溶媒粉砕、単一または混合溶媒系における溶液の加熱または溶媒蒸発などの、しかしこれらに限定されない、当該技術分野で公知の他の技法によって調製することができる。
【0024】
本発明の別の態様は、上記のタダラフィルの結晶性分子複合体、および特定の具体例として、異なる経路を介して人の身体に送達することができる医薬製剤に好適である、4−ヒドロキシ安息香酸、マロン酸、シュウ酸、3−フェニルプロパン酸、メチルパラベンおよびプロピルパラベンとの結晶性分子複合体を提供する。結晶性分子複合体に加えて、そのような医薬製剤は、結合剤、充填剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味料、香味剤、防腐剤、緩衝剤、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤、および他の従来の賦形剤および添加剤を包含するが、これらに限定されない、1つ以上の薬学的に許容される担体を包含してもよい。本発明の結晶性タダラフィル分子複合体およびこれらを含有する医薬製剤は、タダラフィル自体について知られているのと同一の療法において使用されてもよい。タダラフィルの医薬製剤、その治療上の使用および治療の方法は、上に述べたように米国特許第5,859,006号、同第6,140,329号、同第6,821,975号、同第6,943,166号および同第7,182,958号に記載されている。
【実施例】
【0025】
以下の実施例は本発明を例証するが、その範囲を限定するものではない。
【0026】
本開示のすべての実験において使用される出発物質としてのタダラフィルは、中国Beijing Apifocus Co.Ltd.によって供給され、99.9%の公称化学純度を有する。結晶度を改善し、固相特性を妨害する恐れがある疑わしい物理的不純物を取り除くためには、THFなどの溶媒からの再結晶によるさらなる精製が必要であった。
【0027】
実施例1:タダラフィルとシュウ酸との複合体(1:1)の調製
【0028】
タダラフィル120mgをシュウ酸28mgとともに粉砕し、アセトニトリル20μLを固体混合物に加えた。粉砕後に集めた固体は、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0029】
実施例2:タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との複合体(1:2)の調製
【0030】
タダラフィル123.2mgを4−ヒドロキシ安息香酸88.3mgとともに粉砕し、アセトニトリル40μLを固体混合物に加えた。粉砕後に集めた固体は、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0031】
実施例3:スラリー法によるタダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との複合体(1:2)の調製
【0032】
タダラフィル1000mgを、4−ヒドロキシ安息香酸710mgおよびアセトニトリル5mLとともにスラリー化した。スラリー化の後に集めた固体は乾燥し、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0033】
実施例4:タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との複合体(1:1)の調製
【0034】
タダラフィル110mgを3−フェニルプロパン酸42mgとともに粉砕し、アセトニトリル20μLを固体混合物に加えた。粉砕後に集めた固体は、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0035】
実施例5:スラリー法による、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との複合体(1:1)の調製
【0036】
タダラフィル50mgを、3−フェニルプロパン酸288.75mgおよびアセトニトリル1mLとともにスラリー化した。スラリー化の後に集めた固体は乾燥し、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0037】
実施例6:タダラフィルとマロン酸との複合体(1:1)の調製
【0038】
タダラフィル110mgをマロン酸30mgとともに粉砕し、アセトニトリル40μLを固体混合物に加えた。粉砕後に集めた固体は、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0039】
実施例7:スラリー法によるタダラフィルとマロン酸との複合体(1:1)の調製
【0040】
タダラフィル200mgを、マロン酸212mgおよびアセトニトリル1mLとともにスラリー化した。スラリー化の後に集めた固体は乾燥し、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0041】
実施例8:タダラフィルとメチルパラベンとの複合体(1:1)の調製
【0042】
タダラフィル100mgをメチルパラベン39mgとともに粉砕し、アセトニトリル20μLを固体混合物に加えた。粉砕後に集めた固体は、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0043】
実施例9:スラリー法によるタダラフィルとメチルパラベンとの複合体(1:1)の調製
【0044】
タダラフィル200mgをメチルパラベン156mgおよびアセトニトリル1mLとともにスラリー化した。スラリー化の後に集めた固体は乾燥し、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0045】
実施例10:タダラフィルとプロピルパラベンとの複合体(1:1)の調製
【0046】
タダラフィル100mgをプロピルパラベン46mgとともに粉砕し、アセトニトリル20μLを固体混合物に加えた。粉砕後に集めた固体は、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0047】
実施例11:スラリー法によるタダラフィルとプロピルパラベンとの複合体(1:1)の調製
【0048】
タダラフィル200mgをプロピルパラベン184mgおよびアセトニトリル1mLとともにスラリー化した。スラリー化の後に集めた固体は乾燥し、続く分析のためにねじ蓋バイアル中に保管した。
【0049】
特性評価実施例
結晶形を観察するために使用する分析技術は、フーリエ変換FTIR分光法(FTIR)および粉末X線回折(PXRD)を含む。そのような分析技術において用いられる特定の方法論は、例示とみられるべきであり、データ収集の文脈において限定されるものではない。例えば、データを収集するために使用される特定の機器は変わってもよく、通常作業者の誤差または較正標準は変動することがあり、試料の調製法は変動することがある(例えばFTIR分析用のKBrディスクまたはヌジョールマル(Nujol mull)技法の使用)。
【0050】
粉末X線回折(PXRD)
共結晶生成物はすべて、Cu Ka(λ=1.540562Å)、40kV、40mAを用いたD−8 Bruker X線粉末回析で観察した。データは、0.05°2θ刻みで1.0°/分の走査速度を使用して、連続走査方式で3〜40°2θの角度範囲にわたり収集した。ピークは、°2θ±0.2°2θで報告する。
【0051】
フーリエ変換FTIR分光法(FTIR):FTIR分析は、固体ATR付属品を装備したPerkin Elmer Spectrum 100 FTIR分析装置で実施した。ピークは、cm−1±1cm−1で報告する。
【0052】
実施例12:タダラフィルとシュウ酸との複合体(1:1)の特性評価
【0053】
タダラフィルとシュウ酸との複合体(1:1)のPXRD回折図は図1に示される。下記の表1は、図1のPXRDパターンからの代表的ピークをリスト化している。表1の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図1に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとシュウ酸との結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0054】
図2は、タダラフィルとシュウ酸との複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す。下記の表2は、図2のFTIRスペクトルからの代表的ピークをリスト化している。表2の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図2に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとシュウ酸との結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0055】
実施例13:タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との複合体(1:2)の特性評価
【0056】
タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との複合体(1:2)のPXRD回折図は図3に示される。下記の表1は、図3のPXRDパターンからの代表的なピークをリスト化している。表1の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図3に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との結晶性分子複合体(1:2)を特性評価するために使用することができる。
【0057】
図4は、タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との複合体(1:2)のFTIRスペクトルを示す。下記の表2は、図4のFTIRスペクトルからの代表的なピークをリスト化している。表2の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図4に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との結晶性分子複合体(1:2)を特性評価するために使用することができる。
【0058】
実施例14:タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との複合体(1:1)の特性評価
【0059】
タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との複合体(1:1)のPXRD回折図は図5に示される。下記の表1は図5のPXRDパターンからの代表的なピークをリスト化している。表1の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図5に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0060】
図6は、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す。下記の表2は図6のFTIRスペクトルからの代表的なピークをリスト化している。表2の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図6に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、 本発明のタダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0061】
実施例15:タダラフィルとマロン酸との複合体(1:1)の特性評価
【0062】
タダラフィルとマロン酸との複合体(1:1)のPXRD回折図は、図7に示される。下記の表1は図7のPXRDパターンからの代表的なピークをリスト化している。表1の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図7に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとマロン酸との結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0063】
図8は、タダラフィルとマロン酸との複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す。下記の表2は、図8のFTIRスペクトルから代表的なピークをリスト化している。表2の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図8に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとマロン酸との結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0064】
実施例16:タダラフィルとメチルパラベンとの複合体(1:1)の特性評価
【0065】
タダラフィルとメチルパラベンとの複合体(1:1)のPXRD回折図は図9に示される。下記の表1は図9のPXRDパターンから代表的なピークをリスト化している。表1の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図9に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとメチルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0066】
図10は、タダラフィルとメチルパラベンとの複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す。下記の表2は図10のFTIRスペクトルから代表的なピークをリスト化している。表2の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図10に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとメチルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0067】
実施例17:タダラフィルとプロピルパラベンとの複合体(1:3)の特性評価
【0068】
タダラフィルプロピルパラベン複合体(1:1)のPXRD回折図は、図11中に示される。下記の表1は図11のPXRDパターンから代表的なピークをリスト化している。表1の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図11に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとプロピルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【0069】
図12は、タダラフィルとプロピルパラベンとの複合体(1:1)のFTIRスペクトルを示す。下記の表2は図12のFTIRスペクトルからの代表的なピークをリスト化している。表2の代表的ピークまたはこれらのピークのサブセット、および図12に示すピークまたはこれらのピークのサブセットは、本発明のタダラフィルとプロピルパラベンとの結晶性分子複合体(1:1)を特性評価するために使用することができる。
【表1】
【表2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タダラフィルと共形成成分とを含む、タダラフィルの結晶性分子複合体。
【請求項2】
前記共形成成分が短鎖乃至中度鎖の有機酸、アルコールおよびアミンからなる群から選択される、請求項1に記載のタダラフィルの結晶性分子複合体。
【請求項3】
前記複合体中の共形成成分のモル比が1:3〜3:1の範囲である、請求項1に記載のタダラフィルの結晶性分子複合体。
【請求項4】
タダラフィルとシュウ酸との分子複合体、タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との分子複合体、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との分子複合体;タダラフィルとマロン酸との分子複合体;タダラフィルとメチルパラベンとの分子複合体;およびタダラフィルとプロピルパラベンとの分子複合体からなる群から選択される、タダラフィルの結晶性分子複合体。
【請求項5】
前記分子複合体が、8.8、13.6、15.6、18.0、20.8、22.4および25.1°2θ±0.2°2θにおいてピークを有するX線粉末回折図;921、1032、1241、1441、1637、1784および3316cm−1±1cm−1においてピークを有する赤外線スペクトル;または両方を特徴とする、請求項4に記載のタダラフィルとシュウ酸との結晶性分子複合体。
【請求項6】
請求項5に記載のタダラフィルとシュウ酸との結晶性分子複合体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項7】
前記分子複合体が、7.9、14.4、17.7、18.8、19.5、24.5および25.0°2θ±0.2°2θにおいてピークを有するX線粉末回折図;849、921、1271、1441、1606、1647および1672cm−1±1cm−1においてピークを有する赤外線スペクトル;または両方を特徴とする、請求項4に記載のタダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との結晶性分子複合体。
【請求項8】
請求項7に記載のタダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との結晶性分子複合体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
前記分子複合体が、5.5、10.1、15.6、19.5、21.6、23.0および25.5°2θ±0.2°2θにおいてピークを有するX線粉末回折図;748、919、1143、1432、1645、1737および3324cm−1±1cm−1においてピークを有する赤外線スペクトル;または両方を特徴とする、請求項4に記載のタダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体。
【請求項10】
請求項9に記載のタダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項11】
前記分子複合体が、10.5、13.5、15.1、16.8、19.0、24.0および26.0°2θ±0.2°2θにおいてピークを有するX線粉末回折図;748、1037、1246、1649、1767、3091および3350cm−1±1cm−1においてピークを有する赤外線スペクトル;または両方を特徴とする、請求項4に記載のタダラフィルとマロン酸との結晶性分子複合体。
【請求項12】
請求項11に記載のタダラフィルとマロン酸との結晶性分子複合体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項13】
前記分子複合体が、5.3、11.6、16.2、20.4、22.0、24.2および28.2°2θ±0.2°2θにおいてピークを有するX線粉末回折図;747、1225、1266、1432、1646、1706および3343cm−1±1cm−1においてピークを有する赤外線スペクトル;または両方を特徴とする、請求項4に記載のタダラフィルとメチルパラベンとの結晶性分子複合体。
【請求項14】
前記分子複合体が、5.2、10.5、15.3、18.7、20.6、22.0および24.5°2θ±0.2°2θにおいてピークを有するX線粉末回折図;747、1098、1271、1433、1645、1700および3338cm−1±1cm−1においてピークを有する赤外線スペクトル;または両方を特徴とする、請求項4に記載のタダラフィルとプロピルパラベンとの結晶性分子複合体。
【請求項15】
請求項13及び14にそれぞれ記載のタダラフィルとメチルパラベンおよびプロピルパラベンとの結晶性分子複合体ならびに薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項16】
請求項1に記載のタダラフィルの結晶性分子複合体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項1】
タダラフィルと共形成成分とを含む、タダラフィルの結晶性分子複合体。
【請求項2】
前記共形成成分が短鎖乃至中度鎖の有機酸、アルコールおよびアミンからなる群から選択される、請求項1に記載のタダラフィルの結晶性分子複合体。
【請求項3】
前記複合体中の共形成成分のモル比が1:3〜3:1の範囲である、請求項1に記載のタダラフィルの結晶性分子複合体。
【請求項4】
タダラフィルとシュウ酸との分子複合体、タダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との分子複合体、タダラフィルと3−フェニルプロパン酸との分子複合体;タダラフィルとマロン酸との分子複合体;タダラフィルとメチルパラベンとの分子複合体;およびタダラフィルとプロピルパラベンとの分子複合体からなる群から選択される、タダラフィルの結晶性分子複合体。
【請求項5】
前記分子複合体が、8.8、13.6、15.6、18.0、20.8、22.4および25.1°2θ±0.2°2θにおいてピークを有するX線粉末回折図;921、1032、1241、1441、1637、1784および3316cm−1±1cm−1においてピークを有する赤外線スペクトル;または両方を特徴とする、請求項4に記載のタダラフィルとシュウ酸との結晶性分子複合体。
【請求項6】
請求項5に記載のタダラフィルとシュウ酸との結晶性分子複合体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項7】
前記分子複合体が、7.9、14.4、17.7、18.8、19.5、24.5および25.0°2θ±0.2°2θにおいてピークを有するX線粉末回折図;849、921、1271、1441、1606、1647および1672cm−1±1cm−1においてピークを有する赤外線スペクトル;または両方を特徴とする、請求項4に記載のタダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との結晶性分子複合体。
【請求項8】
請求項7に記載のタダラフィルと4−ヒドロキシ安息香酸との結晶性分子複合体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項9】
前記分子複合体が、5.5、10.1、15.6、19.5、21.6、23.0および25.5°2θ±0.2°2θにおいてピークを有するX線粉末回折図;748、919、1143、1432、1645、1737および3324cm−1±1cm−1においてピークを有する赤外線スペクトル;または両方を特徴とする、請求項4に記載のタダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体。
【請求項10】
請求項9に記載のタダラフィルと3−フェニルプロパン酸との結晶性分子複合体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項11】
前記分子複合体が、10.5、13.5、15.1、16.8、19.0、24.0および26.0°2θ±0.2°2θにおいてピークを有するX線粉末回折図;748、1037、1246、1649、1767、3091および3350cm−1±1cm−1においてピークを有する赤外線スペクトル;または両方を特徴とする、請求項4に記載のタダラフィルとマロン酸との結晶性分子複合体。
【請求項12】
請求項11に記載のタダラフィルとマロン酸との結晶性分子複合体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項13】
前記分子複合体が、5.3、11.6、16.2、20.4、22.0、24.2および28.2°2θ±0.2°2θにおいてピークを有するX線粉末回折図;747、1225、1266、1432、1646、1706および3343cm−1±1cm−1においてピークを有する赤外線スペクトル;または両方を特徴とする、請求項4に記載のタダラフィルとメチルパラベンとの結晶性分子複合体。
【請求項14】
前記分子複合体が、5.2、10.5、15.3、18.7、20.6、22.0および24.5°2θ±0.2°2θにおいてピークを有するX線粉末回折図;747、1098、1271、1433、1645、1700および3338cm−1±1cm−1においてピークを有する赤外線スペクトル;または両方を特徴とする、請求項4に記載のタダラフィルとプロピルパラベンとの結晶性分子複合体。
【請求項15】
請求項13及び14にそれぞれ記載のタダラフィルとメチルパラベンおよびプロピルパラベンとの結晶性分子複合体ならびに薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項16】
請求項1に記載のタダラフィルの結晶性分子複合体および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−519178(P2012−519178A)
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552157(P2011−552157)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/025421
【国際公開番号】WO2010/099323
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(511206515)タール ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/025421
【国際公開番号】WO2010/099323
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(511206515)タール ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】
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