説明

医薬化合物を投与するための方法、キット、および組成物

本発明は、微小皮膚剥離粒子を用いて医薬化合物を投与する方法、キット、および組成物を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化合物を組織に送達する方法、キット、および組成物、そしてさらに特に、(例えば、皮膚の1以上の層を除去することにより)皮膚を破壊するステップと皮膚に薬物を包埋するステップを含むものである皮膚関連症状を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの従来の皮膚破壊、例えば微小皮膚剥離(microdermabration)の方法は、皮膚の最表面層を粒子または液のジェット推進により除去するステップを含む。しかしながら慣用の微小皮膚剥離操作は粒子の有意な包埋を生じない。ほとんどの粒子は角質層を貫通するのに十分な運動量密度(粒子断面積で除した運動量)を有しない。一般的に、操作中のマイクロ剥離粒子の偶発的な包埋は肉芽腫を形成しうるので望ましくないと考えられる。従って、微小皮膚剥離デバイスの製造業者は、粒子の包埋を最小化するように、操作パラメーター(粒子径、粒子密度、吸引圧力、粒子速度、通過数)を調節する。
【0003】
典型的な微小皮膚剥離操作は100〜150ミクロンのオーダーの比較的大きい粒子を使用し、これらの粒子は実質的に皮膚破壊を得るには好都合であるが、粒子の皮膚中への包埋を必要とする応用にとっては必ずしも望ましいことではない。(0.1〜250ミクロンの範囲の粒子の包埋がありうるのであって、薬物送達用の典型的な粒子径は10ミクロンのオーダーでありうる。)
【0004】
経皮薬物送達のための粒子を皮膚に包埋する方法は、従来技術で記載されている。「速度ベース」または「無針(needle-free)」と呼ばれるこれらの技法は、角質層を突破して下層組織に貫入するために、粒子を非常に高い速度(一般に超音速)で推進することに基づく。圧縮ヘリウムを用いて、固体薬物粒子をベンチュリノズルを通して800m/sの速度に加速することが、Bellhouseら、米国特許番号5,630,796により報じられている。米国特許番号7,207,967は、10〜70ミクロンの平均サイズの薬物含有粒子を200〜3000m/secの範囲の速度に加速する、速度ベースの方法を記載している。粒子を加速するために適当な圧力は瞬間的な超音波ヘリウムガスジェットにより得られる。米国特許番号6,893,664は無針シリンジを利用する方法であって、容器からのガスの流出を制限しているガス容器を突破する広さを調節することにより、推進する粒子の貫入深さを制御できる前記方法を記載している。開発中の無針デバイスのいくつかの例としては、Intraject(登録商標)、Implaject(登録商標)、Jet Syringe(登録商標)、Iject(登録商標)、Mini-ject(登録商標)、Crossjet(登録商標)、およびPowderJect(登録商標)が挙げられる。例えば、PowderJect(登録商標)デバイスは、薬物で満たしたカセットを含有するチャンバーに、加圧ヘリウムガスが進入できるガスキャニスターから成る。粉末の薬物はガスが放出されると瞬時に破裂する2枚のポリカーボネート膜の間に置かれている;破裂すると、次いでガスは急速に膨張し、衝撃波を形成して600〜900m/sの速度でノズル下方に進行する。粒子速度はノズル幾何、破裂強度、およびガス圧力により制御する。
【0005】
薬物粒子を皮膚に対して推進する現行の経皮技法には一般的にいくつかの制限がある。第一に、ジェット推進した薬物のある画分が角質層内に留まる。PowderJectデバイスを用いる場合、LahmおよびLee(J of Pharm Sci, 95, 7, 2006)は、角質層内に留まる薬物の通過する薬物に対する比はほぼ10:1であることを示している。その結果、投与した薬物の重要な画分が無駄になる。現存技法の第二の問題は、超音速で加速された粒子は典型的にはお互いに強く衝突して有意な粒子摩擦を生じ;かかる粒子が皮膚と衝突する時には、そのサイズ分布はさらに低い値にシフトしてしまう(Lahm and Lee, J of Pharm Sci, 95, 7, 2006)。その結果、その後の薬物の放出パターンおよび包埋される粒子の深さと保持に重要な役割を果たす、皮膚に送達される粒子のサイズの正確な制御が困難である。速度ベース技法に関連する別の問題は、信頼性の欠如と偶発的な挫傷である。
【0006】
薬物を経皮送達する他の技法は粒子を高速で推進することに関わらない、しかしその代わり、皮膚を介する薬物輸送の主な抵抗となる角質層を除去または改変し、次いで薬物を局所に適用する。これらのデバイスは皮膚科医が広く利用している技法、例えば、皮膚剥離または光に基づく方法である。局所薬物製剤の送達を促進するかかるデバイスの1つはMed Pharm Ltdにより開発され、WO 05058226A1に記載されている。Carlisle Scientificが現在開発中の他の技法は、鋭い金属顆粒を用いて角質層を破壊すること(マイクロ切断)により皮膚内にマイクロチャネルを作製する。薬物送達を促進するための皮膚剥離に基づく技法において、微小皮膚剥離デバイスは角質層を除去するためだけに使用され、薬物を包埋するために使用されてない。その代わりに、薬物は剥離ステップの後に局所製剤で適用される。
【0007】
局所薬物送達を促進するための皮膚剥離に基づく技法はいくつかの制限を有しうる。第一に、角質層の一部または全てを除去して、典型的には皮膚の薬剤に対する浸透性を増加させるものの、いくつかの分子は皮膚の残存層を貫入するには大き過ぎる。例えば、大きいタンパク質、または担体粒子中に製剤化しなければならない薬物(例えば、制御放出デポ)は、表皮または真皮を通して容易に拡散することができない。第二に、薬物を局所に適用する現行手法において、薬物は最高濃度が皮膚表面にあって経時的に生じる濃度勾配を介して皮膚中に分布することは避けられない。その結果、皮膚の深層において関連する時間(例えば、時間、日、または週)にわたって高い薬物濃度を得ることは困難であり、または所望の治療標的でない外層(例えば、角質層または表皮)において高い薬物濃度を避けることは不可能でありうる。第三に、いくつかの場合、薬物適用後に皮膚を覆わないままにすることが必要である;包埋された薬物粒子は洗い落とされないものの、局所に適用した薬物は摩擦を介して(例えば、衣類との)または水との接触で洗い落とされうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US 5,630,796
【特許文献2】US 7,207,967
【特許文献3】US 6,893,664
【特許文献4】WO 05058226A1
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Lahm and Lee, J of Pharm Sci, 95, 7, 2006
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は化合物を組織に送達する方法、キット、および組成物、ならびにさらに特に、(例えば、皮膚の層を除去することにより)皮膚を破壊するステップと皮膚に薬物を包埋するステップを含むものである皮膚関連症状を治療する方法を特徴とする。
【0011】
速度ベースの薬物送達方法と皮膚剥離に基づく薬物送達方法の両方に制限があるので、これらの2つの方法の利点を組合わせた技法が所望される。本発明の方法は、粒子の連続的な経皮送達方法であって、(a)速度ベースのデバイスで必要とされるものより低い粒子速度、小さい粒子径、および低い粒子密度で実施し、一方、(b)角質層を除去することにより皮膚中への高い貫入効率を維持し、かつ(c)皮膚内の薬物の深さおよび分布の優れた制御を保持することを特徴とする。本発明においては、より小さい粒子径の組込みを用いて、肉芽腫を形成することなく皮膚における包埋を果たしかつ薬物送達を最適化することができる。本発明の組成物は、制御放出用に製剤化された医薬化合物を含有する微小皮膚剥離粒子を特徴とする。ある特定の事例では、これらの薬物の固体粒子を局所製剤(例えばクリーム、ゲル、泡状物)で適用するのではなく、皮膚に対して推進することにより浸透を改善することが望ましい。次に、いくつかの事例では、薬物を皮膚内の特定の深さに挿入して、皮膚の特定構造(例えば、表皮、真皮、毛隆起、毛乳頭、皮脂腺など)の近くに置くことが望ましい。
【0012】
一態様において、本発明は、粒子を組織上へ連続的に推進するステップを含むものである医薬化合物(例えば、治療または化粧化合物)を組織(例えば、内部または外部組織)へ送達する(例えば、経皮送達デバイスまたは微小皮膚剥離デバイスを用いて)方法であって、粒子の少なくともいくつかは治療化合物を含み、粒子の少なくともいくつか(例えば、0.1%、1%、5%、10%、20%、30%、50%以上)を組織に包埋し、そして治療化合物を組織中に放出する前記方法を特徴とする。
【0013】
他の態様において、本発明は、粒子を組織中に包埋するステップを含むものである医薬化合物(例えば、治療または化粧化合物)を組織へ送達する方法であって、粒子の少なくともいくつかは治療化合物を含み、粒子の少なくともいくつか(例えば、0.1%、1%、5%、10%、20%、30%、50%以上)を組織中へ推進することにより包埋し;そして治療化合物を前記組織中に放出する方法を特徴とする。
【0014】
他の態様において、本発明は医薬化合物を制御放出するように製剤化した微小皮膚剥離粒子を特徴とする。微小皮膚剥離粒子は少なくとも部分的に例えば、体温と60℃の間で溶融するように、少なくとも部分的に体温で溶融するように、または少なくとも部分的に室温と体温の間で溶融するように製剤化することができる。かかる微小皮膚剥離粒子は高融点脂肪および低融点脂肪であってもよい。かかる微小皮膚剥離粒子はまた、組織(例えば、皮膚)に固着するように製剤化することができる。微小皮膚剥離粒子は、高い表面電荷または極性、カルボン酸、ポリ(酸無水物)群、高分子量ポリマー、および高い鎖柔軟性をもつポリマーからなる群より選択される少なくとも1つの特性を有しうる。微小皮膚剥離粒子の直径は0.01μm〜200μm(例えば、0.01μm、0.05μm、0.1μm、0.5μm、1μm、10μm、25μm、50μm、75μm、100μm、150μm、175μm、および200μm)でありうる。
【0015】
他の態様において、本発明はまた、ハンドピース、チップ、推進剤、ならびに剥離担体中に製剤化した治療化合物粒子を含有するカートリッジおよび剥離粒子と治療化合物粒子の混合物を含有するカートリッジからなる群より選択されるカートリッジを含む微小皮膚剥離デバイスを特徴とする。
【0016】
さらに他の態様において、本発明はハンドピース、チップ、推進剤、ならびに剥離粒子を含有するカートリッジおよび治療化合物粒子を含有するカートリッジを含む微小皮膚剥離デバイスを特徴とする。
【0017】
他の態様において、本発明はハンドピース、チップ、推進剤、および剥離固体担体中に製剤化されている治療化合物粒子を含有するカートリッジを含む微小皮膚剥離デバイスを特徴とする。
【0018】
さらに他の態様において、本発明は微小皮膚剥離デバイスを用いる微小皮膚剥離キットを特徴とし、前記キットはカートリッジおよびチップを含み、前記カートリッジは微小皮膚剥離粒子を含み、そして前記微小皮膚剥離粒子は制御放出用に製剤化された治療化合物を含む。このキットはまた、リサイクルユニットおよび/または回収ユニットを特徴とする。
【0019】
以上のいずれかの態様において、粒子は0.01mm〜7mm(例えば、10〜30μm、30〜100μm、500μm、800μm、2mm、および5mm)の深さに包埋することができる。
【0020】
以上のいずれかの態様において、粒子は、治療化合物を含有する粒子と治療化合物を含有しない粒子の混合物であってもよい。この態様において、治療化合物を含有する粒子は治療化合物を含有しない粒子とサイズまたは形状が異なってもよい。関係する態様において、上記方法はまた、非治療化合物をサイズまたは形状に基づいて選択的に除去することを特徴とする。かかる粒子を、サイズもしくは形状に基づいて回収し、リサイクルし、および/または精製することができる。他の関係する態様において、本発明は、医薬化合物を含有する粒子の、例えば、サイズもしくは形状に基づく選択的回収、リサイクル、および/または精製を特徴とする。
【0021】
他の関係する態様において、粒子は色々な医薬化合物を含有する粒子の混合物であってもよい。粒子の混合物はサイズおよび形状が異なるものであってもよい。かかる粒子を同時に推進してもよいし、または異なる粒子のサイズおよび/または形状に応じて異なる深さの順に推進してもよい。
【0022】
先行する態様のいずれにおいても、方法はさらに組織を(例えば、微小皮膚剥離デバイスを用いて)破壊するステップを含んでもよい。この破壊は、組織(例えば、皮膚)の胚様状態および/または再上皮化をトリガーする量であってもよい。この態様においては、化合物を組織の破壊前に、破壊と同時に、または破壊後に投与してもよい。また、この態様においては、治療化合物を、毛嚢新生を促進する、嚢新生もしくは毛増殖を阻害する、加齢に関係する皮膚症状を予防もしくは治療する、色素沈着障害を治療する、増殖を治療する、またはざ瘡を治療するのに十分な量だけ投与してもよい。
【0023】
この破壊は0.01〜7mmの深さまで組織の除去をもたらしうる。例えば、前記破壊は角質層、表皮の一部分、全表皮、真皮の一部分、全真皮、皮脂腺、隆起、および皮膚乳頭からなる群より選択される少なくとも1つの皮膚構成要素の除去をもたらしうる。
【0024】
上記方法または組成物のいずれにおいても、治療化合物を制御放出用に製剤化することができる。例えば、該化合物を(1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10日の期間後に)遅延放出するようにまたは(1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10日の期間にわたって)持続放出するように製剤化することができる。制御放出は、内因源(例えば、温度、化学、圧力、水、細胞分泌物、酵素、溶存ガス、および反応性酸素種)によりまたは外因源(例えば、電磁線照射、電流、光、熱、化学、圧力、超音波、水、溶媒、触媒、および酵素)により活性化することができる。
【0025】
また、以上の方法または組成物のいずれにおいても、治療化合物は次の化合物であってもよい:小分子EGFRインヒビター、またはその代謝物(例えば、約2,000ダルトン未満の非-天然窒素-含有複素環、レフルノミド、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、カネルチニブ、バンデタニブ、CL-387785、PKI166、ペリチニブ、HKI-272、およびHKI-357)、EGF、EGFR抗体(ザルツムマブ、セツキシマブ、IMC11F8、マツズマブ、SC100、ALT110、PX1032、BMS599626、MDX214、およびPX1041)、毛嚢におけるWntタンパク質の発現のサプレッサーまたはDkk1タンパク質の発現のインデューサー(例えば、塩化リチウム由来の、塩化リチウムと相乗作用のある分子、アゴニスト6-ブロモインジルビン-3'-オキシム、デオキシコール酸、ピリミジン誘導体、アンタゴニストケルセチン、ICG-001、プリン誘導体QS11、真菌誘導体PKF115-854およびCGP049090、ならびに有機分子NSC668036)、レチノイン酸シグナル伝達経路のモジュレーター(trans-レチノイン酸、N-レチノイル-D-グルコサミン、およびセレチノイドG)、エストロゲンシグナル伝達経路のモジュレーター(例えば、17β-エストラジオールおよび選択的なエストロゲン受容体モジュレーター)、ユビキチン-プロテアソーム系をモジュレートする化合物、イミキモドまたはIL-1αのサイトカインシグナル伝達をモジュレートする化合物、メラノコルチンシグナル伝達、チロシナーゼ活性、アポトーシスシグナル伝達、エンドセリンシグナル伝達、核内受容体シグナル伝達、TGFβ-SMADシグナル伝達、骨形態形成のタンパク質シグナル伝達、幹細胞因子シグナル伝達、アンドロゲンシグナル伝達、レチノイン酸シグナル伝達、ペルオキシソーム増殖因子活性化応答受容体シグナル伝達、エストロゲンシグナル伝達、サイトカインシグナル伝達、増殖因子シグナル伝達、非アンドロゲン作用性ホルモンシグナル伝達、toll様受容体シグナル伝達、およびニューロトロフィン、神経内分泌シグナル伝達、およびサイトカインシグナル伝達のモジュレーター、過酸化ベンゾイル、光増感剤(例えば、アミノレブリン酸)、インターフェロン、ダカルバジン、インターロイキン-2、イミキモド、または転写因子MITFの発現のプロモーター。
【0026】
用語「包埋する」および「包埋」は、粒子を組織の表面内または表面下にしっかりと深く固定またはセットすることを意味する。
【0027】
用語「医薬化合物」は組織と接触したときに、治療、化粧または予防の活性をもたらすいずれかの化合物を意味する。
【0028】
用語「投与」および「投与する」は医薬組成物の用量を患者に与えることを意味し、ここで投与の方法は、例えば、局所、経口、静脈内、経皮、皮下、腹腔内、または筋肉内である。
【0029】
本明細書で使用する「再上皮化」は、創傷後、新しい表皮を形成する間に起こるプロセスを意味する。このプロセスが進行中の組織は、全体に発生した毛嚢の欠落、胚様状態の細胞によりまたは角質層の欠落により特徴付けることができる。
【0030】
本明細書で使用する「分化を促進する」は、指定されたように分化する細胞の割合を上昇させるか、または皮膚の単位面積当たりの細胞の数を上昇させる作用を意味する。
【0031】
「未拘束の表皮細胞」は、HF細胞に分化するように誘導することができる表皮幹細胞、隆起細胞、隆起由来の細胞、または当技術分野で公知のいずれかの他の型の細胞を意味する。
【0032】
「コルチコステロイド」は、水素化シクロペンタノペルヒドロフェナントレン環系を特徴とし、免疫抑制活性および/または抗炎症活性を有する天然または合成化合物を意味する。天然コルチコステロイドは一般に副腎皮質により産生される。合成コルチコステロイドはハロゲン化されていてもよい。コルチコステロイドの例は本明細書に記載される。
【0033】
「破壊」とは、既存の組織(例えば、毛嚢および周りの表皮および/または真皮)に対して「胚様」状態を誘導するのに充分な量の撹乱を意味する。胚様状態は、毛嚢の隆起領域または毛嚢間表皮からの上皮幹細胞の活性化、遊走、および分化を含む。皮膚破壊の深さは、深くなる順に、角質層の部分的除去、角質層の完全な除去、表皮の部分的除去、表皮の完全な除去、真皮の部分的破壊、および真皮の完全な除去を含みうる。皮膚破壊はまた、角質層および/または外表皮への撹乱無しで、中〜下層表皮および/または真皮の破壊を含みうる。化学、エネルギー、機械、音響、超音波、および/または電磁に基づく方法により、異なるレベルの皮膚破壊が行われる。
【0034】
「制御放出」とは、製剤からの治療化合物の制御された空間的および時間的放出を意味する。用語「制御放出」は、遅延放出、持続放出、およびパルスまたは周期的パターンの製剤からの放出を含む。化合物の制御放出は、外因または内因刺激により活性化されうる。
【0035】
「遅延放出」は、治療活性成分が製剤(例えば担体粒子)から直ちに放出されないことを意味する。
【0036】
「持続放出」は、治療活性化合物が長期間にわたって放出される制御放出の型を意味する。
【0037】
本明細書において「局所投与用に製剤化された」は、治療、化粧、または予防化合物を含有し、製薬上許容される賦形剤とともに分散組成物を生成するように製剤化された本発明の組成物を意味する。局所投与用に製剤化された組成物(例えば、クリーム、ゲル、ローション、軟膏、微小皮膚剥離粒子、および本明細書に記載の他の局所製剤)は、組成物の局所投与についての説明書を含む治療、予防または化粧処方に関する政府規制に従って製造または販売されるものである。
【0038】
「微小皮膚剥離」は粒子または液ジェットの推進を利用する皮膚破壊の技法を意味する。本用語はまた、小さい、往復動のハードチップ(例えば、ダイアモンド)を用いる皮膚破壊の技法も意味する。
【0039】
「微小皮膚剥離粒子」は、皮膚上に推進されると、皮膚の破壊をもたらす組成物を意味する。用語「微小皮膚剥離粒子」は、治療化合物を含む組成物と治療活性化合物を有しない組成物の両方を含む。微小皮膚剥離粒子は、治療化合物を含有する凍結溶液を含みうるしまたは室温で固体である治療化合物の製剤を含みうる。
【0040】
「微小皮膚剥離デバイス」は粒子または液ジェットの推進を利用する皮膚破壊用のデバイスを意味する。本用語はまた、小さい、往復動のハードチップ(例えば、ダイアモンド)を用いる皮膚破壊用のデバイスを意味する。本明細書に記載の通り、微小皮膚剥離デバイスは、凍結粒子、または室温でまたは操作を行う温度で固体である粒子を推進することができる。
【0041】
用語「リサイクルユニット」は、推進された微小皮膚剥離粒子またはそれに含有される治療化合物を、微小皮膚剥離から生じる細胞デブリスおよび他の皮膚破壊の副産物から分離するデバイスを意味する。
【0042】
用語「回収ユニット」は、推進された微小皮膚剥離粒子、微小皮膚剥離から生じる細胞デブリス、および他の皮膚破壊の副産物を回収するデバイスを意味する。
【0043】
「小分子EGFRインヒビター」は、1以上のEGFRファミリーチロシンキナーゼの機能を阻害する分子を意味する。EGFRファミリーのチロシンキナーゼとしては、EGFR、HER-2、およびHER-4(Raymond et al., Drugs 60(suppl.1):15 (2000);およびHarari et al., Oncogene 19:6102 (2000))が挙げられる。小分子EGFRインヒビターとしては、例えばゲフィチニブ(Baselga et al., Drugs 60(suppl.1):33 (2000))、エルロチニブ(Pollack et al., J. Pharm. Exp. Ther. 291:739 (1999))、ラパチニブ(Lackey et al., 92nd AACR Meeting, New Orleans, abstract 4582 (2001))、カネルチニブ(Bridges et al., Curr. Med. Chem. 6:825 (1999))、バンデタニブ(Wedge et al., Cancer Res. 62:4645 (2002))、CL-387785(Discafani et al., Biochem. Pharmacol. 57:917 (1999))、PKI166(Takada et al., Drug Metab. Dispos. 32:1272 (2004))、ペリチニブ(Torrance et al., Nature Medicine 6:1024 (2000))、HKI-272, HKI-357(HKI-272とHKI-357については例えば、Greenberger et al., 11th NCI-EORTC-AACR Symposium on New Drugs in Cancer Therapy, Amsterdam, abstract 388 (2000);Rabindran et al., Cancer Res. 64:3958 (2004);Holbro et al., Ann. Rev. Pharm. Tox. 44:195 (2004);Tsou et al., J. Med. Chem. 48:1107 (2005);およびTejpar et al., J. Clin. Oncol. ASCO Annual Meeting Proc. 22:3579 (2004)参照)、ならびにレフルノミド(Kochhar et al., FEBS Lett. 334:161 (1993))が挙げられる。これらの化合物のそれぞれの構造を以下の表1に示す。
【表1】



【0044】
本発明の方法と組成物で使用できる小分子EGFRインヒビターとしては、アニリノキナゾリン類、例えばゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、カネルチニブ、バンデタニブ、およびCL-387785、そしてPCT公開WO/2005/018677、米国特許番号5,747,498、および5,457,105に開示された他のアニリノキナゾリン類;キノリン-3-カルボニトリル類、例えばペリチニブ、HKI-272、およびHKI-357、そして米国特許番号6,288,082、および6,002,008に開示されたキノリン-3-カルボニトリル類;ピロロピリミジン類、例えばPKI166、および米国特許番号6,713,474および米国特許公開番号20060211678、20060035912、20050239806、20050187389、20050165029、20050153989、20050037999、20030187001、および20010027197に開示されたピロロピリミジン類;ピリドピリミジン類、例えば米国特許番号5,654,307および6,713,484に開示されたもの;ピラゾピリミジン類、例えば米国特許番号6,921,763および6,660,744、および米国特許公開番号20060167020、20060094706、20050267133、20050119282、20040006083、および20020156081に開示されたもの;イソキサゾール類、例えばレフルノミド;イミダゾロキナゾリン類、ピロロキナゾリン類、およびピラゾロキナゾリン類が挙げられる。好ましくは小分子EGFRインヒビターは、複素二環または複素三環系を含有する。上記の特許公報のそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
用語「A77 7628」は次式:
【化1】

で表される構造を有するレフルノミドの活性代謝物を意味する。
【0046】
本発明の他の特徴や利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】微小皮膚剥離および薬物送達デバイスの模式図である。
【図2】リサイクルユニットも含む、代わりの微小皮膚剥離デバイスの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明は、医薬化合物を患者に投与するための組成物、方法、キット、およびデバイスを特徴とする。一般的に、本発明は、医薬化合物を含有する粒子(例えば、制御放出製剤中に)の患者組織(例えば、皮膚)中への推進を特徴とする。粒子を、例えば、無傷の組織中に推進することができるし、または1以上の組織の層を除去した後に組織上に推進することができる。さらに、本発明は、最初に角質層を除去するか、または連続的に薬物粒子を循環する(すなわち、粒子を皮膚に対して推進し、次いで包埋されなかった粒子を真空で吸い取ってリサイクルし、それを再び推進することにより)デバイスであって、包埋の深さをより正確に制御しかつ浪費される薬物の量を減ずるという、従来技術のデバイスを超える利点を有する前記デバイスを特徴とする。本発明の方法、キット、および組成物をさらに詳しく以下に記載する。
【0049】
薬物送達の方法
本発明は、粒子を組織に対して界面を突破しかつ組織中に貫入するのに十分な速度で連続的に推進することによって、治療化合物を組織へ送達する方法を特徴とする。本方法は、(a)例えば、微小皮膚剥離粒子(microdermabration particles)、テープ剥がし(tape stripping)、化学的皮むき(chemical peel)、または光に基づく方法を用いて皮膚を剥離することにより皮膚のほとんどの表面層を除去するステップ、および(b)有意なパーセント(例えば、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%以上)の薬物粒子を皮膚中に包埋するのに十分な速度で薬物粒子を推進するステップに関わってもよい。これらのステップはまた同じ操作で同時に組合わせて行ってもよい。
【0050】
一実施形態においては、微小皮膚剥離デバイスを用いて第1のステップで皮膚の角質層を除去し、そして第2のステップで薬物粒子を有意なパーセント(例えば、1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%以上)の粒子を皮膚中に包埋するのに十分な速度で推進する。両方のステップを、同じデバイスを用いて、または場合により異なるデバイスによって行ってもよい。
【0051】
皮膚の有意な破壊を(微小皮膚剥離デバイスで使用する典型的な推進速度で)達成するのに必要な典型的なサイズは100ミクロンのオーダーであり、薬物送達粒子の理想的なサイズは1以上のオーダー小さいサイズでありうる。従って、組織を2つの異なるサイズの粒子と接触させて、ある特定の粒子は組織を破壊する一方、他の粒子は効率的に医薬化合物を組織に送達する方法が所望される。さらに、皮膚剥離に必要な典型的な用量は、薬物送達に必要な用量と大きく異なる。一般に、微小皮膚剥離操作は1治療当たり200gのオーダーの粒子を使用する一方、典型的な薬物用量はmgのオーダーである。剥離用と薬物送達用とで必要な用量の間に1,000〜100,000倍の相違があるので、本発明は薬物と剥離粒子の異なる用量の組合わせを特徴とする。最初のステップにおいて、当技術分野で公知のいずれかのタイプ(いくつかの事例では「結晶」でもよい)の粒子(例えば、アルミナおよび他の金属酸化物、ガラス、塩、例えば塩化ナトリウムまたは重炭酸ナトリウム、氷、またはいずれかのタイプの生体適合粒子、例えば、Weberらが米国特許番号6,764,493、6,726,693、および6,306,119に記載しているもの)を皮膚に対して推進して、ほとんどまたは全ての角質層を除去することができる。場合により、生成するデブリスを真空で吸引除去して皮膚の表面を清浄にしてもよい。もし金属酸化物粒子、例えばアルミナを使用して剥離ステップを実施すれば、肉芽腫形成を最小限にするため、剥離は理想的には角質層を超えないように操作する。もし塩、氷または他の生体適合材料を使用すれば、角質層を超えて操作しかつ表皮の部分または全て、および真皮の部分または全てを除去することが所望されよう。この最初のステップ中に包埋される粒子は、(もし、例えば、それらが塩、氷、または水溶性化合物の粒子であれば)水を適用するか、または(もし、例えば、粒子が室温近くの融点を有すれば)皮膚をおだやかに温めることにより除去することができる。典型的には、剥離ステップ中に少数の粒子しか角質層を貫入するのに十分な運動量密度を有しないので、無視しうる量の粒子だけが皮膚中に包埋されるだけである。角質層を突破しかつ横断するためには2.5kg/(sec*m)より高い運動量密度が必要である(Kendall et al, J of Biomechanics, 37, 2004)ことが確認されていて;典型的な3.7g/cm3の密度をもつ、30m/secで推進した100ミクロンのアルミナ粒子でも1.9kg/(sec*m)の運動量しか有せず、全角質層を貫通するのには不十分である。
【0052】
上記方法の第2のステップにおいては、薬物含有粒子を皮膚に対して、微小皮膚剥離デバイス(例えば、第1のステップで使用したのと同じ微小皮膚剥離デバイス)を用いて推進し、所望の深さに包埋することができる。先のステップで角質層が除去されているので、残っている皮膚はもはや通常の皮膚の機械的結合力を持たず完全性な状態でない。従って、粒子径、粒子形状、粒子密度および粒子速度から選択される1以上のパラメーターを変えることにより、粒子の所望深さへの貫入をよく制御することを保証することができる。さらに、粒子貫入はまた、具体的な皮膚の特徴の関数であり、これは次いで被験者の年齢に、および治療する身体の領域に依存する。これらのパラメーターを医師または実施者は改変して、治療する被験者および/または組織に対する一貫したかつ望ましい貫入を保証することができる。例えば、粒子密度を、WO1997048485に記載のように、高圧を用いて、および場合により真空を用いて医薬組成物をぎっしり詰めることによって増加することができる。得られるぎっしり詰まった材料を、通常の方法を用いて摩耗して小粒子にすることができる。粒子速度は真空のレベル(吸引ポンプを用いて粒子を推進する場合)または加圧レベル(圧縮空気源を用いて粒子を推進する場合)を調節することにより変えることができる。デバイスノズルの特定の形状も粒子速度に影響を与える。気流による薬物粒子の同伴は、剥離結晶の同伴と同じやり方で行われる。例えば、圧縮機によるシステムでは、圧縮機からの空気を粒子カートリッジまたは混合ボトルを通して流して、その空気に薬物粒子を同伴させ、その気流をハンドピースに導く。
【0053】
本発明の方法とデバイスは、皮膚に包埋しうる実行可能な粒子径の範囲を広げる。粒子貫入に対する抵抗は、角質層の除去後、非常に低下するので、小粒子でも所与の速度で挿入することができる。例えば、密度1g/cm3(薬物製剤の典型的な値)および速度1000m/secの薬物の10ミクロン粒子は、その運動量密度がほぼ1.7kg/(sec*m)である(角質層を横断するための閾値2.5kg/(sec*m)より低い)ので典型的には包埋しないであろう。しかし、角質層を除去した後は、包埋を達成することができる。
【0054】
貫入深さは0.01mm〜7mmのいずれの値にも調節することができる。粒子の貫入深さは、粒子の慣性力と皮膚降伏に要する静的力を説明する貫入モデルにより予測することができる(Dehn, Int J of Impact Eng, 5, 239-248,1987)。
【0055】
これは次の関係式:
【数1】

により与えられる。
【0056】
ここで、dは貫入深さであり、ρpは粒子密度であり、ρtは組織(皮膚)密度であり、rpは粒子半径であり、viは衝突時粒子速度であり、そしてσtは組織の降伏応力(この場合、角質層なしの皮膚に対するもの)である。上記式は薬物担体の設計ならびに推進デバイスの操作条件の選択のための手引きとして用いることができる。
【0057】
薬物粒子は包埋を容易にしかつ真空吸引によるロスを減ずるために非球体であってもよい。あるいは、薬物粒子は非球体である一方、剥離粒子は球体であってよく、これは、薬物粒子の優先的包埋および剥離粒子の優先的除去を容易にする。
【0058】
いずれかの機械、化学、電磁、超音波、または光に基づく方法を用いて角質層を除去した後、微小皮膚剥離デバイスと速度ベースまたは無針の経皮送達デバイスからなる群より選択されるデバイスを用いて粒子を皮膚中に包埋する。また、生体適合剥離粒子と薬物粒子を皮膚に同時に推進して、治療を単一ステップで行うこともできる。
【0059】
異なる薬物を含有する粒子を、薬物の作用が所望である皮膚の異なる深さに送達することができる。複数の薬物を、同時に単一ガスジェットにより所与の速度で適用することができ、その場合、それらのサイズの比、それらの密度の比、またはそれらの球面度の比が貫入深さの相違を決定する。複数の薬物をまた、連続的なステップで適用することができ、その場合、粒子は異なるまたは等しいサイズ、密度、または形状を有してもよく、また、それらの薬物を異なる速度で適用してもよい。異なる薬物を、異なる症状を同時に治療するために、または単一症状をいくつかの薬物の組合わせ療法を介して治療するために適用することができる。異なる粒子を含有する薬物による組合わせ療法は、異なる薬物の作用が皮膚の異なる位置で行われる場合に助けとなりうる。例示であって、限定されるものでないが、毛成長のための組合わせ療法は、ミノキシジル含有粒子とステロイド代謝のインヒビターを含有する粒子の適用から構成されうる。ミノキシジルは毛嚢への血管循環を増加することにより作用すると考えられる一方、ステロイド代謝のインヒビターはテストステロンのジヒドロテストステロンへの変換を停止することにより毛サイクルに影響を与える。局所適用したミノキシジルとステロイド代謝のインヒビター製剤は皮膚の随所に分布しうるが、異なる粒子を介する適用は、薬物が最も有効であるかまたは薬物が最小の副作用を有する、異なる深さに優先的に薬物を包埋するように仕立てることができる。
【0060】
乾癬を治療する組合わせ療法は、コルチコステロイド(抗炎症性作用を有する)を含有する粒子とビタミンD類似体(ケラチノサイトに作用することにより障害を減ずる)を含有する粒子を使用することから成ってもよい。ざ瘡を治療する組合わせ療法は、レチノイド(濾胞上皮の剥離を正常化する)を含有する粒子と抗生物質(P. acneの増殖を阻害する)を含有する粒子を使用することから成ってもよい。
【0061】
微小皮膚剥離ビーズ
本発明の化合物(例えば、EGFRインヒビター)を微小皮膚剥離粒子中に製剤化することができる。これらの粒子は微小皮膚剥離デバイスで使用する際に、1以上の次の目的を果たす:(1)毛嚢再生などの皮膚関連症状を治療するためのその後の治療を最適化する、正確に規定した深さに皮膚を剥離すること(例えば、EGFRインヒビター)、(2)治療化合物の制御放出製剤を送達すること、および(3)治療化合物を放出し終わった後に、自然のまたは内部のまたは外部的にトリガーされた分解プロセスにより治療化合物担体を除去すること。
【0062】
本発明の微小皮膚剥離粒子は例えば、直径で0.05μm〜200μm(例えば、15μm〜150μm、0.1μm〜10μm、または1μm〜2μm)でありうる。150μmより大きい粒子は、より大きい粒子に適合するよう改変した微小皮膚剥離デバイスによって、組合わせで用いることができる。理想的な平均粒子径と許容しうる標準偏差は治療する症状、放出される特定の治療化合物、および所望の放出のタイミングに依存しうる。
【0063】
本発明の一態様において、粒子の集団の粒子径分布(psd)は非常に狭いものであろう。一態様において、平均粒子径はほぼ100μmであって、粒子組成の90重量%は200μmメッシュ篩を通過しうる(好ましくは95%、より好ましくは99%)。一態様において、粒子径分布は単ピークである。
【0064】
本発明の他の態様において、微小皮膚剥離粒子は化合物(例えば、EGFRインヒビター)の制御放出(例えば、遅延、持続、または改変された放出)を与える。遅延放出として製剤化した粒子においては、以下に記載するように、治療化合物が再上皮化の導入前にまたはある特定の再上皮化期の前に実質的に放出されることはなかろう。一実施形態においては、何秒間、何分間、何時間、何日間(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日間)、または何週間(例えば、2週間)または何箇月の期間にわたって、外因刺激を与えて化合物の放出または活性化をトリガーする。治療化合物放出を刺激するために用いる外因トリガーのいくつかの例は、限定されるものでないが、光、熱、電気、磁気、超音波または化学の適用である。
【0065】
あるいは、以下に記載するように、治療化合物の放出が、再上皮化の特徴であるパラメーターのいずれかに関係する内因事象によりトリガーされるよう、治療化合物を設計することができる。内因トリガーのいくつかの例は、(1)治療化合物を含有する粒子担体と結合するかまたは酵素的に切断することができるマーカーの発現の増加であって、それにより担体粒子の構造に変化を引き起こして治療化合物放出を可能にする例、および(2)再上皮化プロセス完了による皮膚中の水のレベルの増加であって、これは架橋したゲル構造の加水分解切断、またはヒドロゲルの膨張を引き起こし、これにより治療化合物放出を可能にする例である。
【0066】
特異的な放出窓をもつ粒子を、担体の物理および化学特性に関係するパラメーターの操作によりおよび、程度は小さいが、乳濁化剤などの添加物の濃度の操作により設計することができる。もし担体がポリマーであれば、分子量、親水性、およびポリマーのモノマー相対比(コポリマーの場合)を、特異的な放出窓を得るように仕立てることができる。1つの製剤中に異なる分解速度をもついくつかのポリマーが共存しうるのであって;この場合、全放出速度は各ポリマーからの放出速度の平均であり、それ故に、例えば、米国特許番号4,897,268に記載のように、製剤中のポリマーの比を調節することにより調整することができる。
【0067】
当技術分野で公知のよく制御した合成法(例えば、以下に記載の通り)を用いて、上記の制御放出および破壊特性をもつ粒子を作製することができる。合成方法としては、限定されるものでないが、コアセルベーション(coacervation)、エマルジョン相分離、噴霧乾燥封入、および有機または水相の溶媒蒸発が挙げられる。これらの方法は当技術分野において周知であり、例えば、米国特許番号6,506,410に記載されている。一実施形態において、合成は水相における溶媒蒸発に関わるものであってもよい。溶媒蒸発は、水溶性治療化合物を(例えば、生物分解性担体中に)封入するために用いられる水/油/水乳濁化、または、脂質可溶性治療化合物に対する油/水封入の後に行われる。この方法の特徴は、油/水技法が、より多孔性であって、最初に送達する治療化合物の高い破裂(burst)を可能にする粒子をもたらすことである(同書)。治療化合物を充填した粒子はまた、多孔性担体粒子を、治療化合物を含有する溶液中に分散することにより作製してもよく、それにより溶液中の治療化合物は担体の細孔中に貫入して内部にトラップされて残る。その後のステップにおいて、添加物を加えて担体中の治療化合物の安定化を行うことができる。残存する溶液中の液は、次いでデカンテーション、乾燥、凍結乾燥、真空乾燥、または当業者に公知の方法により分離することができる。
【0068】
これらの方法により合成することができるポリマーのいくつかの例としては、セルロース誘導体(例えば酢酸セルロース、酪酸セルロース、エチルセルロース)、ポリ(ウレタン)、ポリ(シロキサン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(ブタジエン)、ポリ(エステル)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(エチレン)、ワックス、タンパク質、および脂質が挙げられる(同書)。ある特定の実施形態において、担体は化学的に不活性、非分解性、かつ上記の合成方法により処理可能でありうる。かかる特性をもち、制御放出用に好適であるいくつかの材料としては、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(エチレン-コ-酢酸ビニル)、ポリ(エチレングリコール)、およびポリ(メタクリル酸)が挙げられる。ある特定の他の実施形態において、担体は上記の合成方法により処理可能である一方、体内で分解するように、担体を設計することができる。生物分解性でありかつ制御放出用に好適であるいくつかの材料としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリ酸無水物、およびポリオルトエステルが挙げられる。ある特定の他の実施形態においては、相状態または膨張などのいくつかの重要な特性を体温でまたは体温近くで変化するように、担体を設計することができる。体温よりわずかに低くいと固体であるが、体温よりわずかに高いと融解する材料としては、低融点の脂肪および低融点と高融点の脂肪の混合物が挙げられる。体温付近で膨張する材料としては温度感受性ヒドロゲルが挙げられる。ある特定の他の実施形態においては、担体が皮膚に強く接着するように設計することができる。この目的に好適な材料は、高濃度の極性基(すなわち、カルボン酸)、高分子量、ポリマー鎖柔軟性、および表面電荷(例えば、ポリ(酸無水物))を有する傾向がある。ある特定の他の実施形態においては、治療化合物の放出が外因事象または内因事象によりトリガーされうるように、担体材料を設計することができる。例えば、紫外光への曝露はポリアミド中の治療化合物の光放出を引き起こすことができる;超音波はポリ酸無水物からの治療化合物放出を加速することができる;ヒドロゲルは温度、pH、イオン強度、またはある特定の分子の結合の変化が治療化合物放出をトリガーするように設計することができる。ある特定の他の実施形態においては、治療化合物が一定速度で放出されるように、担体を設計することができる。かかる特性をもつ担体としては、二重壁ポリマー系、例えば、1,3-ビス(p-カルボキシフェノキシプロパン)-コ-セバシン酸無水物ポリマーとポリ乳酸の混合物が挙げられる。
【0069】
抗酸化剤
所望であれば、本発明の小分子治療化合物(例えば、EGFRインヒビター)製剤は、1以上の抗酸化剤を含むことができる。有用な抗酸化剤としては、限定されるものでないが、チオール類(例えば、金チオグルコース、ジヒドロリポ酸、プロピルチオールウラシル、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン、チオジプロピオン酸)、スルホキシミン類(例えば、ブチオニン-スルホキシミン、ホモシステイン-スルホキシミン、ブチオニン-スルホン、およびペンタ-、ヘキサ-、およびヘプタチオニン-スルホキシミン)、金属キレート物質(例えば、α-ヒドロキシ-脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン、クエン酸、乳酸、およびリンゴ酸、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTA、およびDTPA)、ビタミン類(例えば、ビタミンE、ビタミンC、アスコルビルパルミテート、リン酸アスコルビルMg、および酢酸アスコルビル)、フェノール(例えば、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ユビキノール、ノルジヒドログアヤク脂酸、トリヒドロキシブチロフェノン)、ベンゾエート類(例えば、安息香酸コニフェリル)、尿酸、マンノース、没食子酸プロピル、セレン(例えば、セレン-メチオニン)、スチルベン類(例えば、酸化スチルベン、酸化トランススチルベン)、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0070】
本発明の製剤に組込まれる抗酸化剤としては、植物抽出物から選択される天然の抗酸化剤、例えばアロエベラ;アボカド;カモミール;エキナシア;イチョウ;チョウセンニンジン;緑茶;ヒース;ホホバ;ラベンダー;レモングラス;甘草;ゼニアオイ;オート麦;ペパーミント;セイヨウオトギリソウ;ヤナギ;ヒメコウジ;ホイートワイルドヤーン(wheat wild yarn)抽出物;海産物の抽出物;およびこれらの混合物からの抽出物が挙げられる。
【0071】
製剤中に含まれる抗酸化剤の総量は、製剤の総重量に基づいて、0.001%〜3重量%、好ましくは0.01%〜1重量%、特に0.05%〜0.5重量%であってもよい。
【0072】
他の生物学的活性成分
本発明の方法、キット、および組成物で使用できる他の生物活性物質としては、限定されるものでないが、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗癌剤、レチノイド、抗アンドロゲン剤、免疫抑制剤、チャンネル開口薬、抗微生物剤、ハーブ類(例えば、ノコギリパルメット)、抽出物(例えば、桑白皮抽出物)、ビタミン(例えば、ビオチン)、補助因子、ソラレン、アントラリン、および抗生物質が挙げられる。
【0073】
抗ヒスタミン剤
ある特定の実施形態において、抗ヒスタミン剤は、本発明の組成物、方法、およびキットで使用することができる。有用な抗ヒスタミン剤としては、限定されるものでないが、エタノールアミン類(例えば、ブロモジフェンヒドラミン、カルビノキサミン、クレマスチン、ジメンヒドリネート、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、およびドキシルアミン);エチレンジアミン類(例えば、フェニラミン、ピリラミン、トリペレナミン、およびトリプロリジン);フェノチアジン類(例えば、ジエタジン、エトプロパジン、メトジラジン、プロメタジン、チエチルペラジン、およびトリメプラジン);アルキルアミン類(例えば、アクリバスチン、ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、デスブロムフェニラミン、デキスクロルフェニラミン、ピロブタミン、およびトリプロリジン);ピペラジン類(例えば、ブクリジン、セチリジン、クロルシクリジン、シクリジン、メクリジン、ヒドロキシジン);ピペリジン類(例えば、アステミゾール、アザタジン、シプロヘプタジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、ケトチフェン、オロパタジン、フェニンダミン、およびテルフェナジン);および非定型抗ヒスタミン類(例えば、アゼラスチン、レボカバスチン、メタピリレン、およびフェニルトキサミン)が挙げられる。非鎮静性および鎮静性抗ヒスタミン剤の両方が使用される。非鎮静性抗ヒスタミン剤としては、ロラタジンおよびデスロラタジンが挙げられる。鎮静性抗ヒスタミン剤としては、アザタジン、ブロモジフェンヒドラミン;クロルフェニラミン;クレミゾール;シプロヘプタジン;ジメンヒドリネート;ジフェンヒドラミン;ドキシラミン;メクリジン;プロメタジン;ピリラミン;チエチルペラジン;およびトリペレナミンが挙げられる。
【0074】
本発明の組成物、方法、およびキットで使用するのに適した他の抗ヒスタミン剤としては、アクリバスチン;アヒスタン;アンタゾリン;アステミゾール;アゼラスチン;バミピン;ベポタスチン;ビエタナウチン;ブロモフェニラミン;カルビノキサミン;セトリジン;セトキシム;クロロシクリジン;クロロピラミン;クロロテン;クロロフェノキサミン;シナリジン;クレマスチン;クロベンゼパム;クロベンゼトピン;クロシニジン;シクリジン;デプトロピン;デキスクロルフェニラミン;マレイン酸デキスクロルフェニラミン;ジフェニルピラリン;ドキセピン;エバスチン;エンブラミン;エメダスチン;エピナスチン;塩酸エチメマジン;フェキソフェナジン;ヒスタピロジン;ヒドロキシジン;イソプロメタジン;イソチペンジル;レボカバスチン;メブヒドロリン;メキタジン;メタフリレン;メタピリレン;メトロン;ミゾラスチン;オラパタジン;オルフェナドリン;フェニンダミン;フェニラミン;フェニルトロキサミン;p-メチルジフェンヒドラミン;ピロブタミン;セタスチン;タラスチン;テルフェナジン;テニルジアミン;チアジナミウム;塩酸トンジラミン;トルプロパミン;トリプロリジン;およびトリトクアリンが挙げられる。
【0075】
抗ヒスタミン類似体を、本発明の組成物、方法、およびキットで使用することができる。抗ヒスタミン類似体としては、10-ピペラジニルプロピルフェノチアジン;4-(3-(2-クロロフェノチアジン-10-イル)プロピル)-1-ピペラジンエタノール二塩酸塩;1-(10-(3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロピル)-10H-フェノチアジン-2-イル)-(9CI)1-プロパノン;3-メトキシシプロヘプタジン;4-(3-(2-クロロ-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル)ピペラジン-1-エタノール塩酸塩;10,11-ジヒドロ-5-(3-(4-エトキシカルボニル-4-フェニルピペリジノ)プロピリデン)-5H-ジベンゾ(a,d)シクロヘプテン;アセプロメタジン;アセトフェナジン;アリメマジン(例えば、塩酸アリメマジン);アミノプロマジン;ベンズイミダゾール;ブタペラジン;カルフェナジン;クロルフェネタジン;クロルミダゾール;シンプラゾール;デスメチラスタミゾール;デスメチルシプロヘプタジン;ジエタジン(例えば、塩酸ジエタジン);エトプロパジン(例えば、塩酸エトプロパジン);2-(p-ブロモフェニル-(p'-トリル)メトキシ)-N,N-ジメチル-エチルアミン塩酸塩;N,N-ジメチル-2-(ジフェニルメトキシ)-エチルアミンメチルブロミド;EX-10-542A;フェネタジン;フプラゾール;メチル10-(3-(4-メチル-1-ピペラジニル)プロピル)フェノチアジン-2-イルケトン;レリセトロン;メドリラミン;メソリダジン;メチルプロマジン;N-デスメチルプロメタジン;ニルプラゾール;ノルチオリダジン;ペルフェナジン(例えば、エナント酸ペルフェナジン);10-(3-ジメチルアミノプロピル)-2-メチルチオ-フェノチアジン;4-(ジベンゾ(b,e)チエピン-6(11H)-イリデン)-1-メチル-ピペリジン塩酸塩;プロクロルペラジン;プロマジン;プロピオマジン(例えば、塩酸プロピオマジン);ロトキサミン;ルパタジン;Sch37370;Sch434;テカステミゾール;チアジナミウム;チオプロパゼート;チオリダジン(例えば、塩酸チオリダジン);および3-(10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ(a,d)シクロヘプテン-5-イリデン)-トロパンが挙げられる。
【0076】
本発明の組成物、方法、およびキットで使用するのに適した他の化合物は、AD-0261;AHR-5333;アリナスチン;アルプロミジン;ATI-19000;ベルマスチン;ビラスチン;Bron-12;カレバスチン;クロルフェナミン;クロフレナジン;コルシム;DF-1105501;DF-11062;DF-1111301;EL-301;エルバニジン;F-7946T;F-9505;HE-90481;HE-90512;ヒベニル;HSR-609;イコチジン;KAA-276;KY-234;ラミアカスト;LAS-36509;LAS-36674;レボセチリジン;レボプロチリン;メトクロパミド;NIP-531;ノベラスチン;オキサトミド;PR-881-884A;キスルタジン;ロカスチン;セレノチフェン;SK&F-94461;SODAS-HS;タゴリジン;TAK-427;テメラスチン;UCB-34742;UCB-35440;VUF-K-8707;Wy-49051;およびZCR-2060である。
【0077】
本発明の組成物、方法、およびキットで使用できるさらに別の化合物は、米国特許番号3,956,296;4,254,129;4,254,130;4,282,233;4,283,408;4,362,736;4,394,508;4,285,957;4,285,958;4,440,933;4,510,309;4,550,116;4,692,456;4,742,175;4,833,138;4,908,372;5,204,249;5,375,693;5,578,610;5,581,011;5,589,487;5,663,412;5,994,549;6,201,124;および6,458,958に記載されている。
【0078】
抗微生物剤
ある特定の実施形態においては、抗微生物剤を本発明の組成物、方法、およびキットで使用することができる。有用な抗微生物剤としては、限定されるものでないが、安息香酸ベンジル、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、樟脳メタクレゾール、樟脳フェノール、ヘキシルレソルシノール、塩化メチルベンザルコニウム、セトリミド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、グリセリン、イミヅレア(イミヅレア)、フェノール、フェノールエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、およびチメロサールが挙げられる。
【0079】
抗微生物剤は、樟脳フェノールと樟脳メタクレゾール以外は、総組成物の約0.05%〜0.5重量%であってもよい。樟脳フェノールについては、好適な重量パーセントは、約8%〜12%樟脳と約3%〜7%フェノールである。樟脳メタクレゾールについては、好適な重量パーセントは、約3%〜12%樟脳と約1%〜4%フェノールである。
【0080】
抗炎症剤
ある特定の実施形態においては、抗炎症剤を本発明の組成物、方法、およびキットで使用することができる。有用な抗炎症剤としては、限定されるものでないが、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)(例えば、ナプロキセンナトリウム、ジクロフェナックナトリウム、ジクロフェナックカリウム、アスピリン、スリンダック、ジフルニサル、ピロキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、ナブメトン、トリサルチル酸コリンマグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチルサリチル酸(サルサレート)、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、メクロフェナマートナトリウム、メロキシカム、オキサプロジン、スリンダック、およびトルメチン)、COX-2インヒビター(例えば、ロフェコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、およびルミラコキシブ)、およびコルチコステロイド(例えば、ジプロピオン酸アルクロメタソン、アムシノニド、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾル、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラソンジアセテート、フルシノロンアセトニド、フルメタゾン、フルオシノニド、フルランドレノリド、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾル、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、フロ酸モメタゾン、プレドニソロン、またはトリアムシノロンアセトニド)が挙げられる。
【0081】
免疫抑制剤
ある特定の実施形態においては、非ステロイド性免疫抑制剤を本発明の組成物、方法、およびキットで使用することができる。好適な免疫抑制剤には、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、エベロリムス、およびピメクロリムスがある。
【0082】
シクロスポリン類
シクロスポリン類は、免疫抑制剤として作用する環状オリゴペプチドのクラスを含む真菌代謝物である。シクロスポリンAは、11個のアミノ酸からなる疎水性環状ポリペプチドである。これは、細胞内受容体シクロフィリンと結合し複合体を形成する。シクロスポリン/シクロフィリン複合体は、カルシニューリン(Ca2+-カルモジュリン依存性セリン-スレオニン-特異的タンパク質ホスファターゼ)に結合し阻害する。カルシニューリンは、T細胞活性化に必要なシグナル伝達を仲介する(Schreiber et al., Cell 70:365-368, 1991の総説)。シクロスポリン類とその機能的および構造的類似体は、抗原誘導性シグナル伝達を阻害することによりT細胞依存性免疫応答を抑制する。この阻害は、炎症促進性サイトカイン(例えばIL-2)の発現を低下させる。
【0083】
多くの異なるシクロスポリン(例えば、シクロスポリンA、B、C、D、E、F、G、H、およびI)が真菌により産生される。シクロスポリンAは、商品名NEORALでNovatisから市販されている。シクロスポリンAの構造的および機能的類似体としては、1以上のフッ素化アミノ酸を有するシクロスポリン(例えば米国特許番号5,227,467に記載されている);修飾アミノ酸を有するシクロスポリン(米国特許番号5,122,511と4,798,823に記載されている);および重水素化シクロスポリン、例えばISAtx247(米国特許公開公報2002/0132763 A1に記載されている)が挙げられる。さらなるシクロスポリン類似体は、米国特許番号6,136,357, 4,384,996, 5,284,826, および5,709,797に記載されている。シクロスポリン類似体としては、限定されるものでないが、D-Sar (α-SMe)3 Val2-DH-Cs (209-825)、Allo-Thr-2-Cs、Norvaline-2-Cs、D-Ala(3-アセチルアミノ)-8-Cs、Thr-2-Cs、およびD-MeSer-3-Cs、D-Ser(O-CH2CH2-OH)-8-Cs、およびD-Ser-8-Csが挙げられる(これらは、Cruz et al., Antimicrob. Agents Chemother. 44:143 (2000)に記載されている)。
【0084】
タクロリスムス類
タクロリムスとタクロリムス類似体は、Tanaka et al.(J. Am. Chem. Soc., 109:5031 (1987))と米国特許番号4,894,366、4,929,611、および4,956,352に記載されている。FK506関連化合物(FR-900520、FR-900523、およびFR-900525を含む)は、米国特許番号5,254,562に記載されている。O-アリール、O-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニルマクロライドは、米国特許番号5,250,678、532,248、5,693,648に記載され;アミノO-アリールマクロライドは、米国特許番号5,262,533に記載され;アルキリデンマクロライドは、米国特許番号5,284,840に記載され;N-ヘテロアリール、N-アルキルヘテロアリール、N-アルケニルヘテロアリール、およびN-アルキニルヘテロアリールマクロライドは、米国特許番号5,208,241に記載され;アミノマクロライドおよびその誘導体は、米国特許番号5,208,228に記載され;フルオロマクロライドは、米国特許番号5,189,042に記載され;アミノO-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニルマクロライドは、米国特許番号5,162,334に記載され;ハロマクロライドは、米国特許番号5,143,918に記載されている。
【0085】
タクロリムスは、混合機能オキシダーゼ系、特にシトクロムP-450系により広汎に代謝される。代謝の主要な機構は、脱メチル化とヒドロキシル化である。種々のタクロリムス代謝物は免疫抑制生物活性を示す可能性がある一方、13-デメチル代謝物はタクロリムスと同じ活性を有すると報じられている。
【0086】
ピメクロリムス類
ピメクロリムスは、マクロラクタムアスコミンの33-エピ-クロロ誘導体である。ピメクロリムスの構造的および機能的類似体は、米国特許番号6,384,073に記載されている。
【0087】
ラパマイシン類
ラパマイシンの構造的および機能的類似体としては、モノ-およびジアシル化ラパマイシン誘導体(米国特許番号4,316,885);ラパマイシン水溶性プロドラッグ (米国特許番号4,650,803);カルボン酸エステル(PCT公開WO 92/05179);カルバメート(米国特許番号5,118,678);アミドエステル(米国特許番号5,118,678);ビオチンエステル(米国特許番号5,504,091);フッ素化エステル(米国特許番号5,100,883);アセタール(米国特許番号5,151,413);シリルエーテル(米国特許番号5,120,842);二環式誘導体(米国特許番号5,120,725);ラパマイシン二量体(米国特許番号5,120,727);O-アリール、O-アルキル、O-アルケニル、およびO-アルキニル誘導体(米国特許番号5,258,389);ならびに重水素化ラパマイシン(米国特許番号6,503,921)が挙げられる。さらなるラパマイシン類似体は、米国特許番号5,202,332、および5,169,851に記載されている。
【0088】
レチノイド類
ある特定の実施形態においては、レチノイドを本発明の組成物、方法、およびキットに使用することができる。有用なレチノイドとしては、限定されるものでないが、13-cis-レチノイン酸、9-cis-レチノイン酸、全てのtrans-レチノイン酸、エトレチネート、アシトレチン、レチノール、レチナール、トレチノイン、アリトレチノイン、イソトレチノイン、タザロテン、ベキサロテン、およびアダパレンが挙げられる。
【0089】
チャンネル開口薬
ある特定の実施形態においては、チャンネル開口薬を、本発明の組成物、方法、およびキットで使用することができる。有用なチャンネル開口薬には、特に限定されないが、ミノキシジル、ジアゾキシド、およびフェニトインがある。
【0090】
抗アンドロゲン剤
ある実施形態においては、抗アンドロゲン剤を、本発明の組成物、方法、およびキットで使用することができる。有用な抗アンドロゲン剤には、特に限定されないが、フィナステリド、フルタミド、ジアゾキシド、11α-ヒドロキシプロゲステロン、ケトコナゾール、RU58841、ヅタステリド、フルリジル、QLT-7704、および抗アンドロゲンオリゴヌクレオチドがある。
【0091】
抗生物質
ある特定の実施形態においては、抗生物質を、本発明の組成物、方法、およびキットに使用することができる、有用な抗生物質には、限定されるものでないが、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、アンピシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、アズロシリン、テモシリン、セパロチン、セファピリン、セファラジン、セファロリジン、セファゾリン、セファマンドール、セルロキシム、セファレキシン、セフプロジル、セファクロル、ロラカルベフ、セフォキシチン、セフマトゾール、セフォタキシム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、セフィキシム、セフポドキシム、セフチブテン、セフジニル、セフピロム、セフェピム、BAL5788、BAL9141、イミペネム、エルタペネム、メロペネム、アストレオナム、クラブラネート、スルバクタム、タゾバクタム、ストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン、パロマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルミシン、スペクチノマイシン、シソマイシン、ジベカリン、イセパミシン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、テリスロマイシン、ABT-773、リンコマイシン、クリンダマイシン、バンコマイシン、オリタバンシン、ダルババシン、テイコプラニン、キヌプリスチン、およびダルホプリスチン、スルファニルアミド、パラ-アミノ安息香酸、スルファジアジン、スルフィソキサゾール、スルファメトキサゾール、スルファタリジン、リネゾリド、ナリジキシン酸、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ペルフロキサシン、エノキサシン、オフルキサシン、シプロフロキサシン、テマフルキサシン、ロメフロキサシン、フレロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシン、トロバフロキサシン、クリナフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、ゲミフロキサシン、シタフロキサシン、メトロニダゾール、ダプトマイシン、ガレノキサシン、ラモプラニン、ファロペネム、ポリミキシン、チゲシクリン、AZD2563、およびトリメトプリムが挙げられる。
【0092】
増殖因子
他の実施形態においては、増殖因子、増殖因子アンタゴニスト、および増殖因子アゴニストを本発明の化合物に使用することもできる。
【0093】
再上皮化
本発明の一態様においては、皮膚が再上皮化の状態にあるときに、本発明の組成物を被験者の皮膚(限定されるものでないが、皮膚位置の例は、頭部、例えば、頭皮、顔、眉、または瘢痕部分)中に投与しかつ放出する。再上皮化は、新しい表皮の形成中に起きるプロセスであり、本発明の目的については、完全に形成された毛嚢の欠如(例えば、組織内にある場合、一部の細胞は毛嚢生成のプレプラコード段階にある)、毛嚢が再生する胚様状態、または角質層の欠如で特徴付けることができる。
【0094】
再上皮化の状態
再上皮化は、新しい表皮の観察により検出することができ、その場合、創傷領域のケラチン細胞による被覆が再上皮化を示す。ケラチン細胞の存在は、開いた創傷を徐々に被覆する、白色の光沢ある輝く表面として、肉眼で見ることができる。共焦点顕微鏡を使用すると、ケラチン細胞は「丸石(cobblestone)」を敷いたような外観の細胞シートとして可視化される。再上皮化はまた、経表皮水分喪失(TEWL)の測定を介して検出することができる。上皮バリアが回復すると、TEWLは低下する。共焦点走査レーザー顕微鏡および/または光学的コヒーレンス断層撮影を使用して、再上皮化の状態を検出することもでき、その場合、ケラチン細胞の存在が再上皮化を示す。
【0095】
角質層の存在は、視覚による観察、毛細管顕微鏡を使用する乳頭状血管の直接観察、または生存細胞が存在すると反応する化合物の酸化還元反応の比色測定により確認することができる。例えば、皮膚に適用した0.01%のニトラジンイエローは、角質層が存在する場合は黄色のままであり、そうでない場合は緑がかった褐色になる。他の例では、皮膚に適用した0.01%のブロモクレゾールパープルは、角質層が存在する場合は黄色のままであり、角質層が存在しない場合は紫色に変わるであろう。
【0096】
再上皮化の領域は、例えば幅0〜2センチメートル(cm)(例えば1cm、1.5cm、および2.0cm)であってもよく、またはそれ以上であってもよい。
【0097】
場合により再上皮化の領域は毛嚢間であってもよい(例えば、再上皮化に導く破壊領域は既存のまたは新しい嚢を直接囲む領域に限られていてもよい)。
【0098】
本発明のいくつかの態様においては、再上皮化の特定の段階に本発明の化合物を放出することが好ましい。本発明の化合物の投与および/または活性化が好ましい段階としては、
・破壊の前、
・破壊と同時、
・再上皮化プロセスの完了後(例えば、皮膚を破壊した後、3〜12日、または9〜11日)、
・再生毛嚢中に発生しうる幹細胞集団の確立後または確立中(Ito et al., Nature 447, 316-320, May 2007)、
・毛嚢分化マーカーKRT17とLef1の発現前、創傷閉鎖後数日間(Ito et al., Nature 447, 316-320, May 2007)、
・KRT17、Lef-1、アルカリホスファターゼ、Wnt10b、およびShhを含む1以上のタンパク質の発現後または発現中(Ito et al., Nature 447, 316-320, May 2007)、
・K10発現(これは正常な表皮で発現される)の欠如および/またはK16とK17発現(これらは正常な表皮で発現されない)の誘導を特徴とする期間(Patel et al, Journal of Investigative Dermatology, 126, 2006)、
・AP-1とNF-κBを含む1以上の転写因子、一次サイトカインIL-1βとTNF-α、およびマトリックス金属プロテアーゼの上昇を特徴とする期間(Karimipour et al, Journal of the American Academy of Dermatology, 52, Issue 2, 2005)、
・例えば、
-表皮と真皮の肥厚、
-乳頭間隆起の平坦化、
-血管拡張症、
-血管周辺炎症、
-新たに沈着したコラーゲンと弾性繊維を有する真皮乳頭層のガラス質化、
-コラーゲンと他の構造体の配向、密度、または充填の変化、
を含む組織学的変化を特徴とする期間(Freedman et al, Dermatologic Surgery, 27 Issue 12, December 2001)、
・痂皮の分離を特徴とする期間(剥離プロセスの深さにより、本発明の化合物を痂皮の分離の前または後に投与または活性化することが所望されうる。あるいは、例えば皮膚剥離の場合、毛嚢は痂皮が落ちる前に生成し始めることがある)
が挙げられる。
【0099】
あるいは本発明の化合物を、表皮破壊の前に投与してもよい。かかる実施形態においては、化合物を制御放出用に製剤化(例えば、上記のように)して、再上皮化中にまたは再上皮化の特定の段階中に治療活性化合物が放出されるようにする。化合物はまた、内因刺激または外因刺激(例えば、後述するように)により活性化されるように、製剤化してもよい。
【0100】
再上皮化の誘導
再上皮化の状態は誘導することができる。この状態を誘導する方法は、本発明の化合物を投与しようとする位置における被験者の皮膚の破壊を含む。破壊は剥離(例えば、皮膚をこするかまたはすりへらすこと)により、または焼くこと(例えば日焼けを誘導する)または表皮もしくは表皮層に穴を空けることを含む、表皮もしくは表皮層の完全性を破壊する任意の方法により行うことができる。この破壊は、目的の位置における表皮層の部分的または完全な除去をもたらしうる。
【0101】
上皮層の破壊は、例えば機械的、化学的、電磁的、または電気的手段により行うことができる。機械的手段は、例えばサンドペーパー、フェルトホイール、超音波、食塩水と酸素の超音速加速混合物、テープ剥がし(tape stripping)、微小皮膚剥離、または化合物の適用(例えば、皮むき(peel))により行うことができる。
【0102】
微小皮膚剥離は皮膚を最適な深さまで破壊(例えば、剥離)する方法を提供し、それと同時に、またはその後に、持続および/または制御放出方式で治療化合物を放出できる粒子(またはローション、ゲル、クリーム、または泡状物)を毛嚢再生に関係する領域全体に適用する。
【0103】
1つの特定の例においては、粒子を流体(例えば液体または気体)中に懸濁化し、治療する組織へチップを通して推進する、例えば、先に記載されたように行う(米国特許番号5,037,432)。皮膚上に推進された粒子は最初に表面組織をある特定の深さまで破壊する(例えば、下記の通り)。粒子は破壊された皮膚上に留まる(その後、除去してもよい)かまたは皮膚中に挿入される。創傷後直ぐにまたは上記のようにある特定の遅延後に、粒子中に含有される治療化合物は直ぐにまたは数時間〜数週間にわたり制御された方式で放出される。もし担体を用いて治療化合物を送達する場合は、担体は生物分解されかつ皮膚から自然にまたは外因もしくは内因によりトリガーされる分解プロセスによりクリアされる。最初の創傷ステップ後またはステップ中に皮膚表面上に残された皮膚デブリスと剥離粒子は真空で除去することができる。
【0104】
皮膚上で行う剥離の深さを最適化して最大の毛嚢再生または他の治療利益を達成することができる。本発明に記載した粒子を用いて皮膚を厳密に規定した深さ、最低5μm(角質層を部分的に除去するだけ)〜最高約5mm(真皮を完全に除去する)まで剥離することができる。所与の深さは、(i)粒子速度および流速を変える(例えば、微小皮膚剥離デバイスのカートリッジからの粒子を引く吸引圧力のレベルを調節することにより)こと、および/または(ii)デバイスが皮膚上を通過する回数を調節することにより達成することができる。
【0105】
上記のいずれかの方法を、表皮組織の正確な量を除去するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の剥離法を使用して、
・死滅した皮膚細胞の最初の10〜30μmの除去による角質層の除去、
・皮膚の最初の30〜100μmを除去することによる、角質層と、表皮の一部またはすべての除去(これは、存在する毛嚢構造の皮脂腺、隆起、または毛乳頭を除去するほど深くはない)、
・約500μmまでの、角質層、完全な表皮、真皮の部分の除去(このプロセスは、500μm以下の皮脂腺のほとんどを除去する)、
・約800μmまでの、角質層、完全な表皮、真皮の部分の除去(このプロセスは、800μm以下の皮脂腺のほとんど、および、隆起領域を除去する(Dunkin et al., Plastic Reconstructive Surgery, 119(6), May 2007))、
・約2000〜4000μmまでの、角質層、完全な表皮、および真皮の部分の除去(このプロセスは、2000μm以下の皮脂腺、隆起領域、および毛乳頭のほとんどを除去する)、
・皮膚の最大5〜7mmまでの除去をもたらす角質層、完全な表皮、完全な真皮の除去であって、(このプロセスは、皮脂腺、隆起、および乳頭突起を含む毛嚢のすべての構造を除去する)
を達成することができる。
【0106】
上記方法のいずれかにおいて、破壊はおよそ毛嚢のサイズの領域に限局することができる(例えば、破壊は0.00001mm2、0.001mm2、0.01mm2、0.05mm2、0.1mm2、0.5mm2、1mm2、2mm2、3mm2、4mm2、または5mm2の皮膚の領域をカバーしうる)。かかる場合、破壊の領域はお互いから分離することができる。破壊の領域を限定することにより瘢痕形成を生じないでより深く破壊することができる。これは手作業で実施してもよいし、または、例えば、破壊ステップの前にパターン化したテンプレートを皮膚表面上に置いて実施し、これによりテンプレートの硬い部分の下の皮膚を破壊せずかつテンプレートの空隙部分の下の皮膚を微小皮膚剥離に曝して破壊してもよい。例えば、薄くかつフレキシブルであるが微小皮膚剥離に耐える材料から成りかつ一連の孔またはギャップをもつメッシュまたはチェッカーボードテンプレートを、微小皮膚剥離操作の間、皮膚の上に置くことができる。
【0107】
本発明はまた、微小皮膚剥離粒子として投与する化合物のリサイクルを特徴とする。皮膚上に投射する粒子の全てがその中に包埋されるのではない。粒子のかなりの部分は真空により除去しうる皮膚デブリスと混合して残存しうる。治療化合物または治療化合物粒子のリサイクルを可能にする方法は、既存の微小皮膚剥離デバイスに少なくとも1つの回収または分離操作を加えることに関わる。この分離操作の目的は、治療化合物のある画分または治療化合物とその担体ビーズを残存する材料から分離することであろう。治療化合物(または治療化合物担体ビーズ)と他の副産物の間のいくつかの特性差を利用してこの分離を達成することができ、前記特性差には、限定されるものでないが、サイズ、密度、溶解度、引火点、蒸発点、融点、凍結点、イオン特性、磁気特性、および相状態が含まれる。これらの特性差を利用しうる具体的な分離技法としては、限定されるものでないが、篩分けまたは膜分離、遠心分離、沈降またはデカンテーション、燃焼、蒸発、任意の形式のイオンまたはアフィニティ分離、磁気分離、融解、凍結、結晶化、または凝集が挙げられる。回収ステップの目的は、治療化合物または治療化合物粒子のデブリスからの分離を、オンサイトまたはオフサイトにて、後ほど可能にすることである。
【0108】
本発明はまた、微小皮膚剥離粒子を投与しかつ皮膚を剥離するためのデバイスを特徴とする。かかるデバイスとしては、推進ユニット、ハンドピース、チップ、およびカートリッジまたは一対のカートリッジが挙げられる。カートリッジは、例えば、剥離粒子および治療化合物粒子の混合物を含有するカートリッジ、剥離固体担体中に製剤化した治療化合物粒子を含有するカートリッジ、および剥離粒子を含有するカートリッジと治療化合物粒子を含有するカートリッジの組合わせから選択される。かかるデバイスはまた、場合によっては、剥離された皮膚デブリスを除去する真空源、および真空吸引された治療化合物粒子を、皮膚デブリスおよび回収可能な治療化合物を含有しない他の粒子から分離するためのリサイクルユニット、または真空吸引された治療化合物粒子および皮膚粒子を回収するための回収ユニットを含む。
【0109】
本発明はまた、標準の微小皮膚剥離デバイスと共に、または本発明の微小皮膚剥離デバイス(例えば、上記の通り)と共に使用するキットを特徴とする。本キットは本発明の微小皮膚剥離粒子を含有する治療化合物のカートリッジ、チップ、および、任意に、治療化合物を剥離ステップの他の副産物から分離するリサイクルユニット、または製造業者および後の分離に返すために真空吸引した治療化合物粒子およびデブリスを回収する回収ユニットを含有する。一実施形態においては、リサイクルユニットはチップ(例えば、剥離の副産物を真空吸引するセクションに組み込まれた、ある特定のサイズだけをデバイス中に戻す篩を備えたチップ)の一部であってもよい。
【0110】
破壊の他の手段としては、例えば、フェノール、トリクロロ酢酸、またはアスコルビン酸を用いて実施することができる化学的手段が挙げられる。
【0111】
表皮破壊の電磁的手段は、例えば経上皮傷害を誘導することができるレーザー(例えば、Fraxelレーザー、CO2レーザー、エキシマーレーザー)を使って行うことができる。破壊はまた、可視光線、赤外線、紫外線、電波、またはX線照射により行うことができる。
【0112】
表皮破壊の電気的手段は、例えば電流の印加または電気穿孔法により行うことができる。
【0113】
火傷、切除、または微小皮膚剥離を誘導するために、上記の任意の手段を使用することができる。
【0114】
場合により、表皮破壊後の皮膚を、感染を防ぐために剥離または創傷に通常投与するいずれの物質(例えば、軟膏剤、包帯、または器具)にも、ある期間接触させない。この場合、皮膚を例えば、表皮破壊が治癒するまで(例えば2日間〜3週間の任意の期間)いずれの物質にも接触させない。代わりに皮膚を、ギプスまたは包帯と接触させることができ、これは、例えば、破壊された皮膚への血流の増加、または経皮水分喪失の低減または皮膚中へのおよび皮膚からのガス(例えば、酸素、二酸化炭素、水蒸気)の物質移動の低減、または皮膚からの熱移動の低減(例えば、皮膚表面の温度の上昇)をもたらす。
【0115】
破壊前に皮膚を脱毛することができる。脱毛は、例えば、ワックス掛け、引き抜き、剥離材料、レーザー、電気分解、機械器具、またはチオグリコール酸により行うことができる。
【0116】
表皮の破壊は本発明の組成物の添加前の1〜12日(例えば、4〜12、5〜12、4〜11、6〜11、6〜10、6〜9、7〜8、5〜11、5〜10、または7〜10日)に誘導することができる。他の実施形態においては、皮膚の破壊の前に、本発明の組成物を皮膚中に包埋することができる。
【0117】
以下の例は、本明細書に記載の方法と化合物をいかに行い、作製し、評価するかの完全な開示と説明を当業者に提供するが、これは純粋に本発明の例示を目的とするものであって、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0118】
(実施例1)
皮膚剥離、強力な皮膚との接着、制御された薬物放出、生物分解性の特性をもつ組成物、および通常の微小皮膚剥離デバイスにおけるその使用
1以上の本発明の化合物(例えば、先に記載したEGFRインヒビター類)を、確立された方法(Mathiowitz et al, Biomaterials, 24, 2003)により合成したポリ酸無水物ポリマー中に製剤化した。この方法は、無水フマル酸オリゴマーと無水セバシン酸オリゴマーをメルト重縮合プロセスでブレンドする第1ステップおよびこのポリマーの微小球をホットメルト技法を介して取得する第2ステップ(Mathiowitz et al, J Control Rel, 5, 1987)を含むものである。得られる球体をある特定の所望サイズ範囲(例えば、100〜125μm)に篩分する。所望のサイズ範囲は、(1)所望の放出時間(大きい粒子ほど長い分解時間がかかるので、薬物を長時間放出する)、および(2)所望の剥離力(大きい粒子ほど剥離力が大きい)に応じて変わりうる。
【0119】
この合成法により得られるポリ(酸無水物)担体は、剛性があり、生物学的環境で浸食し、かつ皮膚と強く接着する好都合な特性を有する。剛性は担体が剥離性をもつために好都合である。生物学的環境での浸食は担体中に含有される薬物の制御放出を可能にし、かつ放出後の皮膚からの担体のクリアランスは完全である。皮膚に強く接着するので、担体はおそらく真空によって除去されることが、皮膚剥離ステップの残留副産物(例えば皮膚デブリス)より少ない。また、強く接着するので、担体が薬物を所望の期間送達しなければならない組織と接触したまま留まりうることも保証される。表面粗さと担体の接着強度は、初期ブレンド中の無水フマル酸オリゴマーのパーセントを増加することにより、増加することができる。
【0120】
担体粒子を、通常の微小皮膚剥離デバイスに差し入れできるカートリッジに詰める。カートリッジを吸引ラインと接続すると、粒子は吸引されてハンドヘルドピースを介して高速で推進される。ハンドヘルドピースはその末端にチップがあり、それを通って推進された粒子が出て皮膚に衝突する出口およびそれを通って真空が適用されて剥離ステップの生成物を除去する入口を有する。他の実施形態においては、チップは出る粒子のための出口および真空強度を制御する調節可能な入口を有してもよい。さらに他の実施形態においては、チップは出る粒子のための出口だけを有するが真空のための入口を有しなくてもよい。他の実施形態においては、チップはいくつかのタイプの粒子を皮膚に対して同時に推進することを可能にするいくつかの出口を有してもよい。剥離ステップにより作製された生成物の混合物(皮膚デブリスおよび粒子)は真空を適用することにより除去することができる。真空吸引された生成物は分離ユニットに送られ、ここで薬物を含有する粒子担体または粒子担体中に含有される薬物だけが本明細書に記載の方法の1つにより回収される。他の実施形態において、剥離ステップにより作製された生成物の混合物は真空吸引されず、皮膚の表面上に残留する。
【0121】
さらなる実施形態においては、圧力が高く、表皮または真皮中への挿入を保証する速度で粒子または懸濁粒子を含有する液ジェットを推進するのに十分である。数100μmのオーダーの挿入深さを得ることができる(Mitragorti et al, PNAS, 104(11), 2007)。表皮および真皮中への粒子の貫入深さを正確に調節して、関係する構造のレベルで粒子濃度が最高となるようにすることができる。関係する挿入深さは、例えば、10〜30μm(角質層までまたはそれを通過)、ほぼ100μm(表皮を通過)、300〜500μm(皮脂腺を通過)、500〜800μm(隆起を通過)、および2000〜4000μm(乳頭を通過)である。好ましい実施形態においては、角質層を除去した(例えば、通常のアルミナ粒子による微小皮膚剥離により)後に、粒子を皮膚に対して推進する。粒子を皮膚中に挿入することは、その大部分が真空または機械的摩擦により除去されないことを保証する。好ましい実施形態においては、平均粒子径が100μm未満である。他の実施形態においては、粒子を、超音波または微小針(microneedle)による注入などの他の方法により皮膚中に挿入する。
【0122】
所望の剥離深さは、(1)ハンドヘルドピースで行う剥離回数、(2)所与の速度と流速で粒子を推進するために使う圧力ヘッドおよび(3)粒子径を調節することによって得られる。他の実施形態において、所望の剥離深さは、皮膚に対して、微小皮膚剥離に使われる通常の剥離剤(例えば、アルミナ粒子)を、薬物担体粒子と同時に、薬物担体粒子の適用の前に、または薬物担体粒子の適用の後に推進することによって得られる。他の実施形態において、所望の剥離深さは、皮膚に対して、薬物または薬物と担体を含有するように製剤化されているアルミナなどの通常の剥離粒子を推進することによって得られる。
【0123】
正確な所望の薬物放出時間は、狭いサイズ分布をもつ粒子を用いることによって得ることができる。ポリ(酸無水物)コポリマーは、関係する時間スケール(2〜15日)にて生理学的条件下でほぼ一定の分解速度および薬物放出速度を提示することが示されている(Domb et al, Journal of Polymer Science Part A- Polymer Chemistry, 29 (4), 1991)。
【0124】
薬物の一定(または零次)放出は、二重壁構造をもつ粒子を用いることによって得ることができる。かかる構造は、薬物を含有する第1材料の内部コアとそれを囲んで薬物の放出速度を制御する第2材料のシェルとから構成される。外側のシェルは急速に分解しない、それ故に、その厚みは一定のまま残り、その結果として薬物の拡散速度は、薬物がシェル内部に残る限り一定である。ポリ(酸無水物)とポリ(乳酸)の二重壁球体を合成する方法は報じられている(例えば、Matthiowitz et al, Nature, 367 (6460), 1994を参照)。かかる粒子は、ポリ(1,3-ビス(p-カルボキシフェノキシプロパン)-コ-無水セバシン酸とポリ(乳酸)の2つのポリマー溶液を連続相中に導入することにより合成することができる。安定なエマルジョンが出来て、その際、各滴内で相分離が生じ、1つのポリマーが他のポリマーを吸込んで、それにより二重壁の微小球を形成する。ポリ(乳酸)の外層をもつ20〜1000μmの球体がこの方法を用いて得られている。これらを後に篩い分けて、サイズが所与の許容しうる限界内に収まるようにすることができる。溶媒蒸発などの他の合成法は随所に報じられている(Matthiowitz et al, Advanced Materials, 6 (9), 1994)。放出の具体的な時間は、コアとシェルのサイズを操作することにより調節することができる。
【0125】
他の実施形態においては、超音波を用いてセルの完全な状態を傷付けるレベルまで処理することによってポリ酸無水物粒子の分解速度を増加する。この実施形態の任意のさらなる特徴には、浸透促進剤、酸無水物オリゴマーと第2ポリマー(例えば、所望の特性(例えばより緩慢な薬物放出)を与えるポリスチレン)との組合わせ、高濃度の極性基(例えばカルボン酸)、高分子量、および高表面電荷などの好都合な生体接着特性をもつ担体ポリマーが含まれる。かかる特性をもつポリマーの例としては、ヒドロゲル、およびポリ(アクリル酸)などのカルボン酸基を含有する親水性ポリマーが挙げられる。
【0126】
(実施例2)
外因または内因刺激に感受性があり、初期遅延を伴う制御された薬物放出用の、生物分解性を有する組成物、および通常の微小皮膚剥離デバイスにおけるその使用
本発明に使用する1以上の医薬化合物(例えば、小分子EGFRインヒビター)も、当技術分野で公知の方法を用いてヒドロゲル中に製剤化することができる(例えば、N Peppas et al, J Biomater Sci Polymer Edn, 15, 2, 2004を参照)。このヒドロゲルは生体組織内に置くと溶解することなく膨潤しうる。ヒドロゲル担体は、生体環境において分解可能である好都合な特性を有し、かつ最も注目に値するのは、周囲環境の変化に応じて膨潤する能力を有して、これは次いで制御された方式での医薬化合物放出を可能にする。具体的なヒドロゲルのタイプに応じて、膨潤を起こす環境変化としては、pH(酸性または塩基性ヒドロゲル)、温度(感熱性ヒドロゲル)、またはイオン強度(イオン性ヒドロゲル)の変化、酵素(固定化酵素を含有するヒドロゲル)などの化学または生物学的種の認識、磁場の適用(アルギン酸微小球中に分散した磁性粒子)、電場の適用(多価電解質ヒドロゲル)、紫外光の適用(感光性ヒドロゲル)、または超音波の適用(エチレン-ビニルアルコールヒドロゲル)が挙げられる。
【0127】
一実施形態において、ゲルの膨潤と医薬化合物の同時放出は温度変化によりトリガーされる。温度感受性ヒドロゲルはポジティブな感熱性(親水性モノマーの存在によってより高い温度で膨潤する)およびネガティブな感熱性(疎水性モノマーの存在によってより低い温度で膨潤する)を示すことができる。一実施形態において、温度感受性ヒドロゲルは、約32℃を超えるとコンフォメーションが変化する架橋ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)から調製される(N Peppas et al, J Biomater Sci Polymer Edn, 15, 2, 2004)。膨潤温度は、少量のイオン性コポリマーと共重合することにより、37℃より若干低くまたは若干高くなるように調節することができる。
【0128】
一実施形態においては、ゲルの膨潤と医薬化合物の同時放出は再上皮化プロセス完了後の表皮と真皮中の水レベルの増加によりトリガーされる(角質層の除去は皮膚外表面近くの水の喪失および平均水濃度の低下を引き起こし;皮膚が再上皮化すると、水レベルは正常に戻る)。水感受性ヒドロゲルは加水分解反応を起こすゲルであってもよい。他の実施形態においては、水の高いレベルによってヒドロゲル中の疎水基の凝集が起こり、構造が破壊して「圧搾」プロセスにより医薬化合物を放出する(N Peppas et al, J Biomater Sci Polymer Edn, 15, 2, 2004)。
【0129】
他の実施形態において、新生領域(neogenic window)中に差別的に発現される生体マーカーの認識は、担体のコンフォメーション変化をトリガーするかまたはゲル網の架橋の破壊を引き起こし、次いで医薬化合物の放出を引き起こす。例えば、皮膚の剥離により引き起こされる高濃度のマトリックスメタルプロテアーゼ(Karimipour et al, Journal of the American Academy of Dermatology, 52, Issue 2, 2005)は、ヒドロゲルをそのように設計すれば、医薬化合物をヒドロゲルマトリックスから活性型で放出することができる。マトリックスメタルプロテアーゼの非存在のもとまたは低レベルの存在のもとでは、医薬化合物は放出されないかまたは遥かに低い速度でしか放出されない。
【0130】
他の実施形態において、担体はポリアミドマイクロカプセルであって、紫外光照射に曝されると、その医薬化合物含量を光放出により放出することができる。
【0131】
他の実施形態においては、本実施例で記載した粒子を実施例1で記載した粒子と一緒に使用することができる。2つのタイプの粒子を2つの別のカートリッジに入れて補給し、皮膚に、異なる時間にまたは同時に(例えば、両カートリッジから同時に引き出して混合した後、それらを皮膚に衝突させることにより)適用するか、またはこれらを1つの単独カートリッジ中で混合して補給し、皮膚に同時に適用することができる。
【0132】
(実施例3)
体温で融解し、生物分解性であり、そして通常の微小皮膚剥離デバイスで使用できる組成物
本発明に使用する1以上の化合物(例えば、EGFRインヒビター類、レチノイド類、抗炎症剤類など)を、低融点脂肪(例えば、サル脂オレイン(sal fat olein)、ココアバター、ヤシ油スーパーオレイン(palm super olein)、およびオリーブ油)または低融点と高融点脂肪(例えば、ベヘン酸含量の高い全水素化ナタネ油、ステアリン酸含量の高い全水素化ナタネ油、トリステアロイル-グリセロール、トリアラキドノイル-グリセロール、およびトリベヘノイル-グリセロール)中に、いくつかのよく確立された方法、例えば、ディスクスピニング(disk spinning)(Geary et al, Journal of Controlled Release, 45210fca" 23, Issue 1, 1993)または急速冷却加熱サイクル(Higaki K et al, Journal of the American Oil Chemists Society, (3), 2003)のいずれかによって製剤化する。脂肪または脂肪の混合物は、体温より低いと固体でありかつ体温近くで融解するという所望の特性を有する。固体形状の担体(または担体粒子とアルミナなどの通常の剥離粒子)を皮膚に対して推進させて剥離することができる。液状の担体は、生体組織と接触すると溶解して医薬化合物放出を可能にする。
【0133】
一実施形態において、脂肪はパーム油からの第2段階の固体画分(ステアリン)であり、34℃と38℃の間で融解する(Higaki et al, Food Research International, 37 (8), 2004)。これらの粒子は単独で使用することも、または本明細書に記載の他の微小皮膚剥離粒子のいずれかと組合わせて使用することもできる。
【0134】
一実施形態において、脂肪は、体温より高いが皮膚を損傷するほど高くない温度で融解する高融点脂肪である。1つの例は、85%を超える純度のトリパルミチンであって、61〜65℃にて融解する。この実施形態においては、医薬化合物を放出させるために、皮膚を61〜65℃の間に加熱する。
【0135】
(実施例4)
微小皮膚剥離デバイス
図1のデバイスには圧力計2を備えた加圧ガスタンクが含まれる。タンク1は、バルブ3と4を通して加圧ガスを供給する。バルブ3は薬物カートリッジ5に進入するガスの圧力を調節し、それ故にこれを使ってガスに同伴する薬物粒子の速度を制御することができる。バルブ4は剥離粒子カートリッジ6に入るガスの圧力を調節し、それ故にこれを使ってガスに同伴する剥離粒子の速度を制御することができる。バルブ3、4の開き具合は、気流が剥離粒子だけ、薬物粒子だけ、または両方の混合物を同伴するかどうかを、ならびに混合物の相対的比率を決定する。例示であって、限定されるものでないが、薬物粒子カートリッジ5は、制御した方式で薬物を放出しうるポリマー担体で作られた粒子を含有してもよい。例示であって、限定されるものでないが、剥離粒子カートリッジ6は、アルミナ粒子または他の金属酸化物、塩化ナトリウム、または炭酸水素ナトリウムなどの剥離剤を含有してもよい。あるいは(図に示してないが)、このデバイスは剥離剤の混合物と薬物粒子を含有する1つの単一カートリッジを含んでもよい。カートリッジ5、6、または両方からの粒子を同伴するガスはミキサー7に進入し、ここで、もしラインのうちの1つだけが使われていれば、流れは通過するだけであり、もし両方のラインが使われていれば、カートリッジ5、6からの流れは混合して均一なガス混合物を形成する。粒子を同伴するガスはミキサー7からハンドピース8へ流れ、ハンドピースはそれをチップ9を通して皮膚13に向ける。ハンドピース8を患者の皮膚と接触させ、皮膚表面上を水平に移動する。ハンドピースはまた、廃棄物回収ライン10を有し、これを通して皮膚デブリス断片と残りの粒子を皮膚の表面から除去する。この導管は、真空レベルを調節する吸引ポンプ12に連結されている。この吸引は廃棄物を廃棄物キャニスター11に向ける。使用方法としては、最初にバルブ3を閉じたままでバルブ4を開けて、ガスが剥離粒子だけを同伴するが薬物粒子を同伴しないようにする。第1のステップでは、カートリッジ6からの剥離粒子を用いて皮膚の表面層を剥離する。気流の剥離力は、剥離粒子のサイズと硬度、および圧力、従って気流の速度を調節するバルブ4の開き具合により決定される。バルブ4の開き具合は、剥離粒子が皮膚表面層を除去するのに十分な運動量を有するが、皮膚中に貫入して皮膚中に深く包埋するのに十分な運動量は有しないように選ぶ。発生する廃棄物(皮膚デブリスと残りの剥離粒子)の完全な除去を確実にするために、ライン10の吸引は吸引ポンプ12によって高いレベルに保つ。この最初のステップが完了すると、バルブ4を閉じ、吸引ポンプ12の真空レベルを低減するかまたは(ポンプを停止することにより)全く無くする。第2のステップでは、バルブ3を開き、気流はカートリッジ7から薬物粒子を同伴する。これらの粒子は皮膚に対して推進され、皮膚に貫入しかつ皮膚に包埋される。粒子の貫入深さは皮膚の特性によりならびに粒子径、形状、速度、および密度により決定される。治療を実施する医師は皮膚の特性と粒子の特徴をあらかじめ知り、粒子速度と貫入深さを調節する方法としてバルブ3を開き具合を用いるであろう。このステップの間、吸引による薬物粒子の損失を最小限にするため、吸引ポンプ12による真空吸引は少なくするかまたは全くしない。
【0136】
図2に掲げたデバイスには、カートリッジ11の下流にリサイクルユニット14がある。リサイクルユニット14で、薬物粒子は皮膚デブリスから、場合により他の剥離粒子から分離される。例示であって、限定されるものでないが、1つの分離方法は、小さい薬物粒子を通すが大きい剥離粒子または皮膚断片を保持する篩であってもよい。保持された廃棄物の画分は廃棄物ライン15を通ってリサイクルユニットを出て、次いで廃棄されるか、または廃棄物カートリッジ11に再循環して戻され、さらなるラウンドの精製に向かう(図に示してない)。篩を横切る薬物粒子は回収され、薬物カートリッジ5へ再循環されて再使用される。
【0137】
他の実施形態
本明細書で言及したすべての刊行物、特許、および特許出願は、各刊行物、特許、および特許出願が具体的に個々に参照することにより本明細書に組み込まれるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
特定の実施形態により本発明を説明したが、さらなる修飾が可能であること、本出願が、一般に本発明の原理に従う本発明の任意の変更態様、用途、または改変態様を包含すること、本発明が関連する分野の公知のまたは一般的慣習内であり、前記した基本的特徴に適用され、特許請求の範囲に従う本開示からのかかる逸脱を、含むことは理解されるであろう。他の実施形態は特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を組織上へ連続的に推進するステップを含むものである医薬化合物を組織へ送達する方法であって;前記粒子の少なくともいくつかは医薬化合物を含み;前記粒子の少なくともいくつかを組織に包埋し;そして前記医薬化合物を前記組織中に放出する、上記方法。
【請求項2】
前記粒子の少なくとも0.1%を前記組織に包埋する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粒子の少なくともいくつかは医薬化合物を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
医薬化合物を含まない粒子は医薬化合物を含む粒子と異なるサイズを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
医薬化合物を含まない粒子を、サイズに基づいて優先的に除去するステップをさらに含むものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
医薬化合物を含まない粒子は医薬化合物を含む粒子と異なる形状を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
医薬化合物を含まない粒子を、形状に基づいて優先的に除去するステップをさらに含むものである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
粒子を組織中に包埋するステップを含むものである医薬化合物を組織に送達する方法であって;前記粒子の少なくともいくつかは医薬化合物を含み;前記包埋は前記粒子の前記組織中への推進を含み;そして前記医薬化合物を前記組織中に放出する、上記方法。
【請求項9】
医薬化合物を含有する粒子の少なくとも0.1%を前記組織に包埋する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記粒子の混合物は医薬化合物を含まない粒子をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
さらに組織を破壊するステップを含むものである、請求項1または8に記載の方法。
【請求項12】
組織を破壊した後に薬物を包埋するステップを、経皮送達デバイスおよび微小皮膚剥離デバイスから選択されるデバイスによって実施する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記粒子は1以上の医薬化合物を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記粒子を少なくとも2つの異なる深さに包埋する、請求項1または8に記載の方法。
【請求項15】
前記破壊は胚様状態をトリガーするのに十分な量である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記破壊は再上皮化をトリガーするのに十分な量である、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記組織は皮膚である、請求項1または8に記載の方法。
【請求項18】
前記医薬化合物を、毛嚢新生または毛成長を促進するのに十分な量で投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記医薬化合物を、毛嚢新生または毛成長を阻害するのに十分な量で投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記医薬化合物を、加齢に関係する皮膚症状を予防または治療するのに十分な量で投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記医薬化合物を、色素沈着障害を治療するのに十分な量で投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記医薬化合物を、増殖を治療するのに十分な量で投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記医薬化合物を、ざ瘡を治療するのに十分な量で投与する、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記医薬化合物を制御放出用に製剤化した、請求項1または8に記載の方法。
【請求項25】
制御放出用に製剤化された前記医薬化合物が遅延放出用に製剤化されている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記制御放出は内因源または内因事象により活性化される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
内因源は温度、化学、圧力、水、細胞分泌物、酵素、溶存ガス、反応性酸素種からなる群より選択される少なくとも1つの源を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
放出は外因源または外因事象により活性化される、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
外因源は電磁照射、電流、光、熱、化学、圧力、超音波、水、溶媒、触媒、または酵素からなる群より選択される少なくとも1つの源を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記医薬化合物を胚様状態である皮膚細胞に送達する、請求項11に記載の方法。
【請求項31】
前記医薬化合物を持続放出用に製剤化した、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
持続放出用に製剤化された前記医薬化合物が1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10日からなる群より選択される時間にわたって放出される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記遅延放出用に製剤化された医薬化合物が3、4、5、6、7、8、および9日からなる群より選択される時間後に放出される、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記破壊が微小皮膚剥離を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項35】
前記医薬化合物は小分子EGFRインヒビター、またはその代謝物である、請求項1または8に記載の方法。
【請求項36】
前記小分子EGFRインヒビターは約2,000ダルトン未満の非天然の窒素を含有する複素環またはその代謝物である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記小分子EGFRインヒビターはレフルノミド、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、カネルチニブ、バンデタニブ、CL-387785、PKI166、ペリチニブ、HKI-272、およびHKI-357から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記医薬化合物はEGFである、請求項1または8に記載の方法。
【請求項39】
前記医薬化合物はザルツムマブ、セツキシマブ、IMC 11F8、マツズマブ、SC 100、ALT 110、PX 1032、BMS599626、MDX 214、およびPX 1041から選択されるEGFR抗体である、請求項1または8に記載の方法。
【請求項40】
前記医薬化合物は毛嚢におけるWntタンパク質発現のサプレッサーまたはDkk1タンパク質発現のインデューサーである、請求項1または8に記載の方法。
【請求項41】
前記医薬化合物は塩化リチウム、塩化リチウムと相乗作用のある分子、アゴニストの6-ブロモインジルビン-3'-オキシム、デオキシコール酸、ピリミジン誘導体、アンタゴニストのケルセチン、ICG-001、プリン誘導体QS11、真菌誘導体PKF115-854およびCGP049090、ならびに有機分子NSC668036から選択されるWnt経路のモジュレーターである、請求項1または8に記載の方法。
【請求項42】
前記医薬化合物はtrans-レチノイン酸、N-レチノイル-D-グルコサミン、およびセレチノイドGから選択されるレチノイン酸シグナル伝達経路のモジュレーターである、請求項1または8に記載の方法。
【請求項43】
前記医薬化合物は17β-エストラジオールおよび選択的エストロゲン受容体モジュレーターから選択されるエストロゲンシグナル伝達経路のモジュレーターである、請求項1または8に記載の方法。
【請求項44】
前記医薬化合物はユビキチン-プロテアソーム系をモジュレートする化合物、またはイミキモドおよびIL-1αから選択されるサイトカインシグナル伝達をモジュレートする化合物である、請求項1または8に記載の方法。
【請求項45】
前記医薬化合物はメラノコルチンシグナル伝達、チロシナーゼ活性、アポトーシスシグナル伝達、エンドセリンシグナル伝達、核内受容体シグナル伝達、TGFβ-SMADシグナル伝達、骨形態形成タンパク質シグナル伝達、幹細胞因子シグナル伝達、およびサイトカインシグナル伝達からなる群より選択される経路のモジュレーターである、請求項1または8に記載の方法。
【請求項46】
前記医薬化合物はアンドロゲンシグナル伝達、レチノイン酸シグナル伝達、ペルオキシソーム増殖因子活性化応答受容体シグナル伝達、エストロゲンシグナル伝達、サイトカインシグナル伝達、増殖因子シグナル伝達、非アンドロゲンホルモンシグナル伝達、toll様受容体シグナル伝達、およびニューロトロフィンおよび神経内分泌シグナル伝達からなる群より選択される経路のモジュレーターである、請求項1または8に記載の方法。
【請求項47】
前記医薬化合物は過酸化ベンゾイルである、請求項1または8に記載の方法。
【請求項48】
前記医薬化合物は感光剤である、請求項1または8に記載の方法。
【請求項49】
前記医薬化合物はインターフェロン、ダカルバジン、インターロイキン-2、イミキモド、または転写因子MITF発現のプロモーターから選択される、請求項1または8に記載の方法。
【請求項50】
その破壊が0.01〜7mmの深さまでの組織の除去をもたらす、請求項11に記載の方法。
【請求項51】
その破壊が角質層、表皮の一部分、全表皮、真皮の一部分、全真皮、皮脂腺、隆起、および皮膚乳頭からなる群より選択される少なくとも1つの皮膚成分の除去をもたらす、請求項11に記載の方法。
【請求項52】
粒子を0.01mm〜7mmの深さに包埋する、請求項8に記載の方法。
【請求項53】
前記深さが10〜30μmである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記深さが30〜100μmである、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記深さが500μmである、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記深さが800μmである、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記深さが2mmである、請求項52に記載の方法。
【請求項58】
前記深さが5mmである、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
少なくともいくつかの粒子を回収するステップを含むものである、請求項1または8に記載の方法。
【請求項60】
回収した粒子をさらにリサイクルするステップを含むものである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
回収した粒子をさらに精製するステップを含むものである、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
制御放出用に製剤化された医薬化合物を含むものである微小皮膚剥離粒子。
【請求項63】
制御放出用に製剤化された医薬化合物が遅延放出用に製剤化されている、請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
制御放出用に製剤化された医薬化合物が持続放出用に製剤化されている、請求項62に記載の組成物。
【請求項65】
前記医薬化合物は小分子EGFRインヒビター、またはその代謝物である、請求項62に記載の組成物。
【請求項66】
前記小分子EGFRインヒビターは約2,000ダルトン未満の非天然の窒素を含有する複素環、またはその代謝物である、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記小分子EGFRインヒビターはレフルノミド、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ラパチニブ、カネルチニブ、バンデタニブ、CL-387785、PKI166、ペリチニブ、HKI-272、および HKI-357から選択される、請求項62に記載の組成物。
【請求項68】
前記医薬化合物はEGFである、請求項62に記載の組成物。
【請求項69】
前記医薬化合物はザルツムマブ、セツキシマブ、IMC 11F8、マツズマブ、SC 100、ALT 110、PX 1032、BMS599626、MDX 214、およびPX 1041から選択されるEGF抗体である、請求項62に記載の組成物。
【請求項70】
前記医薬化合物はWntタンパク質発現のサプレッサーまたはDkk1タンパク質発現のインデューサーである、請求項62に記載の組成物。
【請求項71】
前記医薬化合物は塩化リチウム、塩化リチウムと相乗作用のある分子、アゴニストの6-ブロモインジルビン-3'-オキシム、デオキシコール酸、ピリミジン誘導体、アンタゴニストのケルセチン、ICG-001、プリン誘導体QS11、真菌誘導体PKF115-854およびCGP049090、ならびに有機分子NSC668036から選択されるWnt経路のモジュレーターである、請求項62に記載の組成物。
【請求項72】
前記医薬化合物はtrans-レチノイン酸、N-レチノイル-D-グルコサミン、およびセレチノイドGから選択されるレチノイン酸シグナル伝達経路のモジュレーターである、請求項62に記載の組成物。
【請求項73】
前記医薬化合物は17β-エストラジオールおよび選択的エストロゲン受容体モジュレーターから選択されるエストロゲンシグナル伝達経路のモジュレーターである、請求項62に記載の組成物。
【請求項74】
前記医薬化合物はユビキチン-プロテアソーム系をモジュレートする化合物である、請求項62に記載の組成物。
【請求項75】
前記医薬化合物はイミキモドおよびIL-1αから選択されるサイトカインシグナル伝達をモジュレートする化合物である、請求項62に記載の組成物。
【請求項76】
前記医薬化合物はメラノコルチンシグナル伝達、チロシナーゼ活性、アポトーシスシグナル伝達、エンドセリンシグナル伝達、核内受容体シグナル伝達、TGFβ-SMADシグナル伝達、骨形態形成タンパク質シグナル伝達、幹細胞因子シグナル伝達、およびサイトカインシグナル伝達からなる群より選択される経路のモジュレーターである、請求項62に記載の組成物。
【請求項77】
前記医薬化合物はアンドロゲンシグナル伝達、レチノイン酸シグナル伝達、ペルオキシソーム増殖因子活性化応答受容体シグナル伝達、エストロゲンシグナル伝達、サイトカインシグナル伝達、増殖因子シグナル伝達、非アンドロゲンホルモンシグナル伝達、toll様受容体シグナル伝達、およびニューロトロフィンおよび神経内分泌シグナル伝達からなる群より選択される経路のモジュレーターである、請求項62に記載の組成物。
【請求項78】
前記医薬化合物は過酸化ベンゾイルである、請求項62に記載の組成物。
【請求項79】
前記医薬化合物は感光剤である、請求項62に記載の組成物。
【請求項80】
前記感光剤はアミノレブリン酸である、請求項62に記載の組成物。
【請求項81】
前記医薬化合物はインターフェロン、ダカルバジン、インターロイキン-2、イミキモド、および転写因子MITF発現のプロモーターから選択される、請求項62に記載の組成物。
【請求項82】
前記医薬化合物を1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10日からなる群より選択される時間後に放出するように製剤化した、請求項62に記載の組成物。
【請求項83】
前記医薬化合物を3、4、5、6、7、8、および9日からなる群より選択される時間の後に放出するように製剤化した、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
前記医薬化合物を1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10日からなる群より選択される時間の間、放出するように製剤化した、請求項62に記載の組成物。
【請求項85】
医薬化合物の放出は外因源または外因事象により活性化される、請求項62に記載の組成物。
【請求項86】
外因源は電磁照射、電流、光、熱、化学、圧力、超音波、水、溶媒、触媒、または酵素からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項85に記載の組成物。
【請求項87】
医薬化合物の放出は内因源または内因事象により活性化される、請求項62に記載の組成物。
【請求項88】
内因源は温度、化学、圧力、水、細胞分泌物、酵素、溶存ガス、反応性酸素種のいずれかまたは1以上を含む、請求項87に記載の組成物。
【請求項89】
前記微小皮膚剥離粒子は体温と60℃の間の温度で少なくとも部分的に融解する、請求項87に記載の組成物。
【請求項90】
前記微小皮膚剥離粒子は体温で少なくとも部分的に融解する、請求項89に記載の組成物。
【請求項91】
前記微小皮膚剥離粒子は室温と体温の間で融解する、請求項89に記載の組成物。
【請求項92】
前記微小皮膚剥離粒子は高融点脂肪と低融点脂肪の混合物を含む、請求項62に記載の組成物。
【請求項93】
前記微小皮膚剥離粒子を皮膚に接着するように製剤化した、請求項62に記載の組成物。
【請求項94】
前記微小皮膚剥離粒子は高い表面電荷または極性、カルボン酸、ポリ(酸無水物)基、高分子量ポリマー、および高い鎖柔軟性をもつポリマーからなる群より選択される少なくとも1つの特性を有する、請求項93に記載の組成物。
【請求項95】
前記微小皮膚剥離粒子の直径は0.01μm〜200μmである、請求項62に記載の組成物。
【請求項96】
前記微小皮膚剥離粒子の直径は0.05μm、0.1μm、1μm、2μm、10μm、15μm、25μm、50μm、100μm、150μm、および200μmからなる群より選択される、請求項95に記載の組成物。
【請求項97】
ハンドピース、チップ、推進剤、ならびに剥離担体中に製剤化された医薬化合物粒子を含有するカートリッジおよび剥離粒子と医薬化合物粒子の混合物を含有するカートリッジからなる群より選択されるカートリッジを含む微小皮膚剥離デバイス。
【請求項98】
ハンドピース、チップ、推進剤、ならびに剥離粒子を含有するカートリッジおよび医薬化合物粒子を含有するカートリッジを含む微小皮膚剥離デバイス。
【請求項99】
ハンドピース、チップ、推進剤、および医薬化合物粒子を含有するカートリッジを含む微小皮膚剥離デバイスであって、前記医薬化合物粒子は剥離固体担体中に製剤化されている前記デバイス。
【請求項100】
前記微小皮膚剥離粒子または粒子の混合物を制御放出用に製剤化した、請求項97〜99のいずれか1項のデバイス。
【請求項101】
微小皮膚剥離デバイスと共に使用する微小皮膚剥離キットであって、カートリッジとチップを含み、前記カートリッジは微小皮膚剥離粒子を含み、前記微小皮膚剥離粒子は制御放出用に製剤化した医薬を含む前記キット。
【請求項102】
さらにリサイクルユニットを含む、請求項101に記載の微小皮膚剥離キット。
【請求項103】
さらに回収ユニットを含む、請求項101に記載の微小皮膚剥離キット。
【請求項104】
前記医薬化合物を化粧的に前記皮膚を改善するのに十分な量で投与する、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−502571(P2011−502571A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532013(P2010−532013)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/011979
【国際公開番号】WO2009/061349
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(510121710)
【Fターム(参考)】