説明

医薬組成物に関連する改善

本発明は、溶媒を実質的に含まない、担体中活性成分のナノ分散液であって、担体は、腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である腸溶性担体を含み、腸溶性担体は、ナノ分散液の少なくとも50重量%を占めるナノ分散液、および溶媒を実質的に含まない、担体中活性成分のナノ分散液の調製方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腸溶保護された医薬組成物に関連する改善に関する。
【背景技術】
【0002】
胃酸から酸感受性医薬活性成分を保護すること、または刺激および/または胃壁に対する損傷を引き起こす医薬品から胃粘膜を保護することを含めて、種々の目的で、腸溶性コーティングが広範に使用されている。
【0003】
腸溶性コーティング剤では、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS)、およびカルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)を含めて、セルロース型、ポリビニルアルコールアセタートフタラート(PVAP)を含めて、ビニル型、ならびにメタクリル酸とアクリル酸エチルのコポリマーを含めて、アクリリック型が使用される。
【0004】
一例として材料HPMCPを挙げれば、HPMCPの急速崩壊のpH閾値は、フタリル含有量を変えることによって制御することができる。したがって、HPMCPでコーティングされた錠剤は、胃において不溶であるが(pHが、一般に4をはるかに下回る場合)、腸に入り込むと可溶性になる(pHが、典型的には4をはるかに超える場合)ことを確認することができる。したがって、錠剤またはカプセル剤などの医薬活性成分の投与単位をHPMCPでコーティングする場合、錠剤またはカプセル剤は、胃では活性成分を放出しないことになるが、腸ではコーティングを失い、活性成分を放出することになる。
【0005】
本出願人の同時係属中の国際特許出願PCT/GB03/03226(国際公開第2004/011537号として公開)には、三次元の連通気泡格子の水溶性ポリマー材料を含む固体の多孔質ビーズの形成が記載されている。これらは、典型的には、水相に溶解するポリマーを有する高内部相エマルジョン(HIPE)から水と非水性分散相とを除去することにより形成される「鋳型」材料である。ビーズは、液体窒素などの低温流体にHIPEエマルジョンを滴下し、次いで形成された粒子を凍結乾燥して、水相および分散相の大部分を除去することによって形成される。これによって、「骨格」構造の形のポリマーが残る。ビーズは水に急速に溶解するものであり、凍結および乾燥の前にエマルジョンの非水相に溶解させた非水溶性成分をビーズのポリマー骨格の溶液として水に分散させることもできる特性を有する。
【0006】
国際公開第2006/079409号および国際公開第2008/006712号(GB 0501835.3およびGB 0613925.7の優先権を主張する、各々2006年7月13日出願)には、水中ナノ分散液を形成することになる材料を、好ましくはスプレー乾燥プロセスによっていかに調製することができるかが記載されている。国際公開第2006/079409号において、非水溶性材料をエマルジョンの溶媒相に溶解する。国際公開第2008/006712号において、非水溶性材料は混合溶媒系に溶解し、水溶性構造化剤と同じ相に共存する。どちらの場合も、液体を、スプレー乾燥などによって周囲温度を超えて(20℃を超えて)乾燥させて、構造化剤の粒子を担体として生成するが、非水溶性材料はその中に分散されている。これらの粒子は水中に入れられると、溶解し、粒子が典型的には300nm未満である非水溶性材料のナノ分散液を形成する。このスケールは、ウイルス粒子のスケールと同様であり、非水溶性材料は溶液であるかのように挙動する。
【0007】
国際公開第2008/007150号には、非水溶性パラセタモールまたは非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を含む組成物を生成するエマルジョンベースでかつ単相の方法が開示されている。この方法は、非水溶性パラセタモールまたはNSAID、水溶性担体、ならびにパラセタモールまたはNSAIDおよび担体それぞれについて溶媒を含む混合物を準備するステップと、混合物をスプレー乾燥して、そのまたはそれぞれの溶媒を除去し、溶媒を実質的に含まない担体中パラセタモールまたはNSAIDのナノ分散液を得るステップとを含む。国際公開第2008/007150号は、腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である担体の使用を開示していない。
【0008】
国際公開第2005/020994号には、固体分散体、特に固溶体であって、親水性または水混和性媒体に分散または溶解されたタクロリムスおよびその類縁体から選択される活性成分を含み、媒体の融点は少なくとも20℃であり、活性成分は約0.01重量%から約15重量%までの間の濃度で存在する固体分散体が開示されている。国際公開第2005/020994号は、溶媒を実質的に含まない分散液、または活性成分と腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である担体とを含む分散液、またはこのような分散液の調製方法を開示していない。
【0009】
EP-1741424には、可溶性薬物およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS)を含むスプレー乾燥された固体分散体を含む組成物、ならびに組成物の調製方法が開示されている。EP-1741424には、ナノ分散液を提供するという教示はなく、その中に記載される方法はナノ分散液を生成するものではない。
【0010】
米国特許出願公開第2007/0218138号には、非晶質のVX-950(競合的で可逆的なペプチド模倣物HCV NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤)および複数のポリマーを含む固体分散体が開示されている。米国特許出願公開第2007/0218138号には、腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である担体が分散液の少なくとも50重量%を占めるナノ分散液は開示されていない。
【0011】
本出願において、別段の指定のない限り、「周囲温度」という用語は20℃を意味し、百分率はすべて、重量百分率である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2004/011537号
【特許文献2】国際公開第2006/079409号
【特許文献3】国際公開第2008/006712号
【特許文献4】国際公開第2008/007150号
【特許文献5】国際公開第2005/020994号
【特許文献6】EP-1741424
【特許文献7】米国特許出願公開第2007/0218138号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
今回、エマルジョンベースでかつ単相の方法を使用して、胃において不溶であるポリマーを構造化剤として使用することによって、腸溶保護された水溶性の分散形の活性成分(医薬活性成分など)を生成することができると確信した。また、公知の腸溶性コーティングポリマーがこの目的のために適していることもわかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は、溶媒を実質的に含まない、担体中活性成分のナノ分散液であって、担体は、腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である腸溶性担体を含み、腸溶性担体は、ナノ分散液の少なくとも50重量%を占めるナノ分散液を提供する。
【0015】
溶媒を実質的に含まない、腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である担体中医薬活性成分または栄養補助活性成分の分散液も提供される。好ましくは、分散液はナノ分散液である。好ましくは、活性成分は、水に対する溶解性が10g/L未満である。
【0016】
したがって、本発明は、活性成分を含む組成物の生成方法であって、
(a)混合物を準備するステップであって、ここで混合物は、
(i)前記活性成分、
(ii)腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である腸溶性担体、ならびに
(iii)活性成分および腸溶性担体それぞれのための溶媒
を含む、ステップと、
(b)混合物を乾燥(好ましくは、スプレー乾燥)して、そのまたはそれぞれの溶媒を除去し、溶媒を実質的に含まない、前記腸溶性担体中前記活性成分のナノ分散液を得るステップと
を含み、腸溶性担体はナノ分散液の少なくとも50重量%を占める方法も提供する。
【0017】
また、活性成分を含む組成物の生成方法であって、
(a)混合物を準備するステップであって、ここで混合物は、
(i)前記活性成分、
(ii)腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である担体、ならびに
(iii)活性成分および担体のそれぞれのための溶媒を含む、ステップと、
(b)混合物をスプレー乾燥して、そのまたはそれぞれの溶媒を除去し、溶媒を実質的に含まない、前記担体中前記活性成分の分散液を得るステップと
を含む方法も提供する。好ましくは、担体中活性成分の分散液は、ナノ分散液である。好ましくは、活性成分は、水に対する溶解性が10g/L未満である。
【0018】
本発明の実施形態において、活性成分は、胃における酸性状態に感受性を示すはずであるもの、または胃それ自体が感受性を示すはずであるものである。
【0019】
担体中活性成分の分散液はナノ分散液である。ナノ分散液は、この用語が本明細書で使用される場合、平均粒径が1ミクロン未満の分散液である。好ましくは、活性成分のピーク直径は800nm未満である。より好ましくは、活性成分のピーク直径は500nm未満である(例えば、350〜450nm)。本発明の特に好ましい実施形態において、活性成分のピーク直径は200nm未満、最も好ましくは100nm未満である。
【0020】
本発明の分散生成物の好ましい粒子サイズ測定方法は、動的光散乱装置を用いる(Nano S、Malvern Instruments UK製造)。具体的には、Malvern Instruments Nano Sは、赤色(633nm)4mWヘリウム-ネオンレーザーを使用して、材料の懸濁液が入っている標準光学品質UVキュベットを照射する。本出願に示す粒径は、標準プロトコルを使用して、その装置を用いて得られた「Z-平均」直径の結果である。固体生成物の粒径は、固体を水溶液にし、粒径を測定することによって得られた粒径の測定値から推測される粒径である。
【0021】
最終的なナノ分散液の粒径の低下は、その他の点では活性な材料の利用可能性を改善する際に著しい利点を有すると考えられる。これは、バイオアベイラビリティの改善が求められる場合、または材料の局所濃度が高くなることを避けなければならない同様の用途に特に有利であると考えられる。さらに、小粒径のナノ分散液は、より大きな粒径のものより安定であると考えられる。
【0022】
適切な任意の活性成分を本発明のナノ分散液に含めることができる。活性成分は、医薬活性成分または栄養補助活性成分とすることができる。活性成分は、障害または状態に対して有効な物質であり、したがってその障害または状態を被っている対象に投与すると、その障害または状態を予防し、かつ/あるいはその障害または状態の低減、寛解、または退行を引き起こす。
【0023】
活性成分は、水などの水性溶媒に対する溶解性が高いものとすることができる。この活性成分は、全体を通して水溶性活性成分と呼ばれる。本発明に照らして、活性成分に適用される「高い溶解性」とは、中性のpHおよび周囲温度(20℃)において水に対するその溶解性が10g/Lより高く、好ましくは15g/Lより高いことを意味する。この溶解性レベルは、本明細書において水溶性が意味することの所期の解釈を与えるものである。
【0024】
あるいは、活性成分は、水などの水性溶媒に対する溶解性が低いものとすることができる。発明に照らして、活性成分に適用される「低い溶解性」とは、中性のpHおよび周囲温度(20℃)において水に対するその溶解性が10g/L未満である。この活性成分は、全体を通して非水溶性活性成分と呼ばれる。好ましくは、非水溶性活性成分は、中性のpHおよび周囲温度において水に対する溶解性が、5g/L未満、好ましくは1g/L未満、特に好ましくは150mg/L未満、はるかにより好ましくは100mg/L未満である。この溶解性レベルは、本明細書において非水溶性が意味することの所期の解釈を与えるものである。
【0025】
好ましい活性成分としては、医薬活性成分または食品および栄養補助食品のクラスに入るものが挙げられる。
【0026】
適切な非水溶性活性成分およびその誘導体の例としては、抗高血圧薬(例えば、サルタン、カルシウムチャネル阻害薬)、NSAIDS、鎮痛剤、脂質調節薬(例えば、スタチン)、抗不整脈薬(例えば、アミオダロン)、経口抗糖尿病薬、抗癌薬、抗ヒスタミン薬(例えば、ロラタジン、セチリジン)、抗精神病薬(例えば、オランザピン、ハロペリドール)、抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、フルオキセチン)、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、ホルモンなどの医薬活性成分、およびビタミンやビタミン様物質(例えば、補酵素Q10)などの栄養補助食品が挙げられる。
【0027】
適切な水溶性活性成分およびその誘導体の例としては、上記の非水溶性活性成分の水溶性塩などの医薬活性成分、および水溶性ビタミン(例えば、ビタミンCおよびビタミンB12)などの栄養補助食品が挙げられる。
【0028】
ナノ分散液は担体を含み、担体は、腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である腸溶性担体を含む。
【0029】
腸溶性担体は、本発明のナノ分散液(および本発明の方法で形成されたナノ分散液)の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、はるかにより好ましくは少なくとも80重量%を占める。当業者なら理解するはずであるように、腸溶性コーティング剤は、典型的には医薬組成物のコーティングとして低レベルで使用される。本発明者らは、驚くべきことに、より高いレベル、すなわち少なくとも50重量%のこのような作用剤を、代わりに腸溶性担体または構造化剤として分散液に直接組み込んで、胃ではなく腸で活性成分の送達を実現できることを認識した。
【0030】
腸溶性担体とは、消化管に沿って腸溶性pH溶解を行うことができる担体または構造化剤を意味する。適切な任意の腸溶性担体は、腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶であることを条件として、本発明において使用することができる。好ましい腸溶性担体は、腸溶性コーティング剤からなる群から選択することができる。典型的には、これらは、(酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(ヒプロメロースフタル酸エステルとも呼ばれるHPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS)、およびカルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)を含めて)セルロース型、(ポリビニルアルコールアセタートフタラート(PVAP)を含めて)ビニル型、および/または(メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーを含めて)アクリリック型のものになる。
【0031】
腸溶性担体としては、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルアルコールアセタートフタラート、および/またはメタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーのうちの少なくとも1つを挙げることができる。
【0032】
腸溶性担体は、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルアルコールアセタートフタラート、およびメタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマー、ならびにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0033】
好ましくは、腸溶性担体は、(酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート、およびカルボキシメチルエチルセルロース;特に酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、およびカルボキシメチルエチルセルロース;さらに特にヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートを含めて)セルロース型のものとすることができる。
【0034】
本発明の実施形態において、担体は、水溶性担体および/または場合によって1種もしくは複数の追加の担体をさらに含んでもよい。すなわち、本明細書に述べる腸溶性担体以外に、水溶性担体および/または任意選択の追加の担体が含まれる。特に、担体は、水溶性担体および場合によって1種または複数の追加の担体をさらに含んでもよい。すなわち、本明細書に述べる腸溶性担体以外に、水溶性担体および任意選択の追加の担体が含まれる。
【0035】
本明細書に記載の「担体」および「担体材料」は、ナノ分散液に含まれるすべての担体、すなわち腸溶性担体、ならびに存在する場合は水溶性担体および追加の担体に関するよう意図されている。本明細書に具体的に記載の腸溶性担体、水溶性担体、および任意選択の追加の担体は、特定の担体だけに関するよう意図されている。
【0036】
本発明に照らして、担体に適用される「高い溶解性」とは、中性のpHおよび周囲温度(20℃)において水に対するその溶解性が10g/Lより高く、好ましくは15g/Lより高いことを意味する。この溶解性レベルは、本明細書において水溶性が意味することの所期の解釈を与える。
【0037】
本発明に照らして、担体に適用される「低い溶解性」とは、中性のpHおよび周囲温度(20℃)において水に対するその溶解性が10g/L未満、好ましくは5g/L未満、より好ましくは1g/L未満、特に好ましくは150mg/L未満、はるかにより好ましくは100mg/L未満であることを意味する。この溶解性レベルは、本明細書において非水溶性が意味することの所期の解釈を与えるものである。
【0038】
当業者なら理解するはずであるように、水溶性担体、および場合によって1種または複数の追加の担体が本発明の方法に存在する場合、これらの担体は、そのようにして形成された混合物中で組み合わせることができ、したがって混合物は、水溶性担体、および場合によって1種または複数の追加の担体をさらに含む。したがって、この態様において、混合物は、活性成分、腸溶性担体、水溶性担体、任意選択の追加の担体、ならびに活性成分のための溶媒と、腸溶性担体、水溶性担体、および任意選択の追加の担体それぞれのための溶媒を含むことができる。
【0039】
本発明の方法は、混合物をエマルジョンの形で形成するステップを含んでもよい。このような方法を使用して、水溶性活性成分を含むナノ分散液を調製することができる。したがって、本発明の別の態様は、水溶性活性成分を含む組成物の生成方法であって、
(a)エマルジョンを形成することによって、混合物を準備するステップであって、ここでエマルジョンは、
(i)水溶性活性成分の水溶液、および
(ii)そのための水と混じり合わない溶媒にとかした腸溶性担体の溶液
を含む、ステップと、
(b)エマルジョンを乾燥(好ましくは、スプレー乾燥)して、水および水と混じり合わない溶媒を除去して、溶媒を実質的に含まない、腸溶性担体中活性成分のナノ分散液を得るステップと
を含み、腸溶性担体はナノ分散液の少なくとも50重量%を占める方法を提供する。
【0040】
また、活性成分を含む組成物の生成方法であって、
(a)エマルジョンを形成するステップであって、ここでエマルジョンは、
(i)活性成分の水溶液、および
(ii)そのための水と混じり合わない溶媒にとかした担体の溶液、
を含む、ステップと、
(b)エマルジョンを乾燥して、水および水と混じり合わない溶媒を除去して、溶媒を実質的に含まない、担体中活性成分の分散液を得るステップと
を含む方法も提供する。
【0041】
便宜上、本明細書では、このクラスの方法を「エマルジョン」方法と呼ぶ。場合によって、エマルジョンは、水溶性担体、および/または場合によって本明細書に記載する1種または複数の追加の担体をさらに含んでもよい。場合によって、エマルジョンは、水溶性担体、および場合によって本明細書に記載する1種または複数の追加の担体をさらに含んでもよく、例えば水溶性担体は水溶液(i)中に含まれ、任意選択の追加の担体は、それらのタイプに応じて水溶液(i)および/または水と混じり合わない溶媒溶液(ii)中に含まれていてもよい。したがって、エマルジョンは、水溶液(i)中の水溶性担体、および場合によって1種または複数の追加の担体をさらに含んでもよい(すなわち、適切な場合には溶液(i)および/または(ii))。
【0042】
本発明の方法は、混合物を単相混合物の形で形成するステップを含んでもよい。このような方法は、水溶性活性成分と非水溶性活性成分の両方と適合性がある。したがって、本発明の別の態様は、活性成分(前記活性成分は非水溶性または水溶性である)を含む組成物の生成方法であって、
(a)単相混合物を形成することによって、混合物を準備するステップであって、ここで単相混合物は、
(i)少なくとも1種の非水性溶媒、
(ii)場合によって、水、
(iii)(i)と(ii)の混合物に可溶である腸溶性担体、および
(iv)(i)と(ii)の混合物に可溶である前記活性成分
を含む、ステップと、
(b)溶液を乾燥(好ましくは、スプレー乾燥)して、すべての水および水と混じり合う溶媒を除去して、溶媒を実質的に含まない、腸溶性担体中活性成分のナノ分散液を得るステップと
を含み、腸溶性担体はナノ分散液の少なくとも50重量%を占める方法を提供する。
【0043】
また、活性成分を含む組成物の生成方法であって、
(a)単相混合物を準備するステップであって、ここで単相混合物は、
(i)少なくとも1種の非水性溶媒、
(ii)場合によって、水、
(iii)(i)と(ii)の混合物に可溶である前記担体材料、および
(iv)(i)と(ii)の混合物に可溶である前記活性成分
を含む、ステップと、
(b)溶液を乾燥して、すべての水および水と混じり合う溶媒を除去して、溶媒を実質的に含まない、担体中活性成分の分散液を得るステップと
を含む方法も提供する。
【0044】
便宜上、本明細書では、このクラスの方法を「単相」方法と呼ぶ。場合によって、単相混合物は、水溶性担体、および/または場合によって本明細書に記載する1種または複数の追加の担体をさらに含んでもよい。場合によって、単相混合物は、水溶性担体、および場合によって本明細書に記載の1種または複数の追加の担体をさらに含んでもよく、例えば水溶性担体、および任意選択の追加の担体は、(i)と(ii)の混合物に可溶である。したがって、単相混合物は、水溶性担体、および場合によって、(i)と(ii)の混合物に可溶である1種または複数の追加の担体をさらに含むことができる。
【0045】
本発明に照らして、「溶媒を実質的に含まない」とは、生成物中の遊離溶媒の含有量が、15重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、最も好ましくは2重量%未満であることを意味する。
【0046】
本発明に照らして、担体と活性成分の両方が、乾燥ステップの前に、それぞれの溶媒に本質的に完全溶解していることが不可欠である。スラリーの乾燥を教示することは、本明細書の範囲内ではない。したがって、誤解を避けるために、エマルジョンまたは混合物の固形分は、乾燥ステップの前に、存在する可溶性材料の90重量%超、好ましくは95重量%超、より好ましくは98重量%超が溶液状態であることが事実である。
【0047】
上記の方法に関して、好ましい活性成分および好ましい担体は上述された通りであるが、以下にさらに詳細に説明される。同様に、材料の好ましい物理的特性も上述された通りである。
【0048】
活性成分と担体の両方が少なくとも1種の非水性溶媒(および任意選択の水)を含む相に溶解している「単相」方法は好ましい。これは、ナノ分散活性成分のより小さい粒径を得る際により有効であると考えられる。好ましくは、乾燥ステップは水と他の溶媒を同時に除去し、より好ましくは乾燥は、周囲温度を超えてスプレー乾燥することによって実施される。
【0049】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される溶媒を実質的に含まないナノ分散液を含む医薬品または組成物を提供する。
【0050】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される溶媒を実質的に含まないナノ分散液を含む栄養補助製品または組成物を提供する。
【0051】
本発明の別の態様は、対象へのナノ分散液の投与時に対象に活性成分を遅延放出するための本明細書に記載される溶媒を実質的に含まないナノ分散液の使用を提供する。
【0052】
本発明の別の態様は、遅延放出医薬品または栄養補助食品としての本明細書に記載される溶媒を実質的に含まないナノ分散液の使用を提供する。
【0053】
本発明の別の態様は、対象への投与時に活性成分を遅延放出して、すなわち対象における疾患または状態を治療および/または予防する際に使用するための本明細書に記載される溶媒を実質的に含まないナノ分散液を提供する。
【0054】
本発明の別の態様は、対象における障害または状態を治療および/または予防する際に、すなわち対象への活性成分の遅延放出により使用するための医薬品の製造における本明細書に記載される溶媒を実質的に含まないナノ分散液の使用を提供する。
【0055】
本発明の別の態様は、対象における障害または状態を治療および/または予防する際に、すなわち対象への活性成分の遅延放出により使用するための栄養補助食品の製造における本明細書に記載される溶媒を実質的に含まないナノ分散液の使用を提供する。
【0056】
障害または状態の治療および/または予防を必要とする対象において障害または状態を(すなわち、対象への活性成分の遅延放出により)治療および/または予防する方法であって、前記対象に治療上有効量の本明細書に記載される溶媒を実質的に含まないナノ分散液を投与することを含む方法を提供する。
【0057】
本発明の別の態様は、対象への製品または組成物の投与時に対象に活性成分を遅延放出するための本明細書に記載される製品または組成物の使用を提供する。
【0058】
本発明の別の態様は、遅延放出医薬品または栄養補助食品としての本明細書に記載される製品または組成物の使用を提供する。
【0059】
本発明の別の態様は、対象への投与時に活性成分を遅延放出して、すなわち対象における疾患または状態を治療および/または予防する際に使用するための本明細書に記載される製品または組成物を提供する。
【0060】
本発明の別の態様は、対象における障害または状態を治療および/または予防する際に、すなわち対象への活性成分の遅延放出により使用するための医薬品の製造における本明細書に記載される製品または組成物の使用を提供する。
【0061】
本発明の別の態様は、対象における障害または状態を治療および/または予防する際に、すなわち対象への活性成分の遅延放出により使用するための栄養補助食品の製造における本明細書に記載される製品または組成物の使用を提供する。
【0062】
障害または状態の治療および/または予防を必要とする対象において障害または状態を(すなわち、対象への活性成分の遅延放出により)治療および/または予防する方法であって、前記対象に治療上有効量の本明細書に記載される製品または組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0063】
「遅延放出」とは、活性成分が腸において放出され、胃においては実質的に放出されないことを意味する。
【0064】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される溶媒を実質的に含まないナノ分散液を含むキットを提供する。
【0065】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される製品または組成物を含むキットを提供する。
【0066】
本発明の別の態様は、疾患の治療で使用するための医薬品の調製方法であって、本発明による組成物を調製するステップを含む方法を提供する。
【0067】
以下に記載されるように、本発明に従って調製される材料は、酸条件下で徐放性を示し、アルカリ性溶液中では速放性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本発明の様々な好ましい特徴および実施形態について、以下にさらに詳述する。
【0069】
活性成分:
上述されたように、好ましい活性成分としては、医薬活性成分または食品および栄養補助食品のクラスに入るものが挙げられる。適切な非水溶性活性成分の例としては、抗高血圧薬(例えば、サルタン、カルシウムチャネル阻害薬)、NSAIDS、鎮痛剤、脂質調節薬(例えば、スタチン)、抗不整脈薬(例えば、アミオダロン)、経口抗糖尿病薬、抗癌薬、抗ヒスタミン薬(例えば、ロラタジン、セチリジン)、抗精神病薬(例えば、オランザピン、ハロペリドール)、抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、フルオキセチン)、抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗寄生虫薬、およびホルモンなどの医薬活性成分、ならびにビタミンやビタミン様物質(例えば、補酵素Q10)などの栄養補助食品が挙げられる。
【0070】
適切な水溶性活性成分およびその誘導体の例としては、上記の非水溶性活性成分の水溶性塩などの医薬活性成分、および水溶性ビタミン(例えば、ビタミンCおよびビタミンB12)などの栄養補助食品が挙げられる。
【0071】
生成物の形態(Product Form)
乾燥ステップ後に得られる材料の構造はあまりよくはわかっていない。得られた乾燥材料は、活性成分の分散した巨視的物体が乾燥生成物中に存在していないので、カプセル化体(encapsulate)ではないと考えられる。本発明と同様に、存在する成分の比が、利点を失うことなく変わり得るので、組成物はいわゆる固溶体ではないとも考えられる。また、X線およびDSCの検討から、本発明の組成物は固溶体ではないが、ナノスケールの相分離混合物を含むと考えられる。
【0072】
好ましくは、乾燥ステップ後に生成された組成物は、活性成分および担体を(活性成分:担体として)1:500〜4:5の重量比で含むことになり、1:100〜4:5が好ましい。スプレー乾燥によって、活性成分約10〜50重量%、特に10〜30重量%および担体90〜50重量%、特に90〜70重量%の典型的レベルを得ることができる。
【0073】
特に、本発明の溶媒を実質的に含まないナノ分散液は、10〜50重量%の活性成分および50〜90重量%の担体を含むことがあり、担体は、腸溶性担体(すなわち、腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である)を含み、腸溶性担体は、ナノ分散液の少なくとも50重量%を占める。
【0074】
特に、本発明の溶媒を実質的に含まないナノ分散液は、10〜35重量%の活性成分および65〜90重量%の担体を含むことがあり、担体は、腸溶性担体(すなわち、腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である)を含み、腸溶性担体は、ナノ分散液の少なくとも50重量%を占める。
【0075】
さらに詳細には、本発明の溶媒を実質的に含まないナノ分散液は、10〜30重量%の活性成分および70〜90重量%の担体を含むことがあり、担体は、腸溶性担体(すなわち、腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である)を含み、腸溶性担体は、ナノ分散液の少なくとも50重量%を占める。
【0076】
担体が、腸溶性担体に加えて水溶性担体を含む場合、本発明の溶媒を実質的に含まないナノ分散液は、特に10〜30重量%の活性成分および70〜90重量%の担体を含むことがあり、担体は、腸溶性担体(すなわち、腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である)および水溶性担体を含み、腸溶性担体は、ナノ分散液の50重量%〜80重量%を占め、担体の残部には、水溶性担体が含まれる。
【0077】
担体が、腸溶性担体に加えて水溶性担体、および場合によって1種または複数の追加の担体を含む場合、本発明の溶媒を実質的に含まないナノ分散液は、特に10〜30重量%の活性成分および70〜90重量%の担体を含むことがあり、担体は、腸溶性担体(すなわち、腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である)、水溶性担体、および場合によって1種または複数の追加の担体を含み、腸溶性担体は、ナノ分散液の50重量%〜80重量%を占め、担体の残部には、水溶性担体、および場合によって1種または複数の追加の担体が含まれる。
【0078】
本発明の方法では、活性成分の粒径を500nm未満に低減することができ、約300nmに低減してもよい。好ましい粒径は、40〜300nmの範囲である。
【0079】
「エマルジョン」調製方法:
本発明による好ましい一方法において、腸溶性担体のための溶媒は、水と混じり合わない。したがって、水との混合時に(活性成分を含む)、エマルジョンを形成することができる。
【0080】
不連続相(すなわち水相)は、好ましくは約10体積%から約95体積%のエマルジョン、より好ましくは約20体積%から約68体積%のエマルジョンを含む。
【0081】
エマルジョンは、典型的には当業者に周知である条件下で、例えば磁気撹拌子、ホモジナイザー、または回転式メカニカルスターラを使用することによって調製される。エマルジョンは、乾燥する前に甚だしい相分離を受けないことを条件として、特に安定である必要はない。
【0082】
高せん断混合装置(例えば、ジェットホモジナイザー)を使用する均質化が、水相が不連続相であるエマルジョンを作製するのに特に好ましい方式である。このような粗いエマルジョンの回避およびエマルジョンの分散相の液滴サイズの低減によって、乾燥生成物における活性材料の分散が改善されると考えられる。
【0083】
本発明による好ましい方法において、500nm〜5000nmの平均分散相(水相)液滴サイズ(Malvern Z-平均ピーク強度を使用)を有するエマルジョンが調製される。「Ultra-Turrux」T25型実験室用ホモジナイザー(または等価物)を10,000rpm超で1分超動作させると、適切なエマルジョンが得られることがわかった。
【0084】
エマルジョン液滴サイズと活性成分の粒子のサイズとの間には方向関係があり、これは、本発明の材料をリン酸緩衝生理食塩水溶液に分散させた後検出することができる。前駆体エマルジョンの均質化の速さが上昇すると、再溶解後の最終粒径が低減する可能性があると確認した。
【0085】
均質化の速さが13,500rpmから21,500rpmに上昇すると、再溶解した粒径は半分ほど低減する可能性があると考えられる。再溶解した粒径を制御する際に、均質化の時間も役割を果たすと考えられる。均質化の時間が長くなるにつれて、粒径は再び低減し、粒径分布は同じ時間ではより広くなる。
【0086】
エマルジョン系の液滴サイズを低減する上で、超音波処理も特に好ましい方式である。Heat SystemsソニケーターXLをレベル10で2分間動作させること、あるいはHielscher UP400Sを振幅60または80で3分間分間動作させることが適切であるとわかった。
【0087】
活性成分および/または担体の相対濃度を低減する成分の比は、より小さい粒径をもたらすと考えられる。
【0088】
「単相」調製方法:
本発明による代替方法において、担体と活性成分は共に、非水性溶媒またはそのような溶媒と水との混合物に可溶である。本明細書のここおよび他の箇所で、非水性溶媒は、非水性溶媒の混合物とすることができる。
【0089】
この場合、乾燥ステップのフィードストックは、単相材料とすることができ、担体と活性成分の両方が溶解している。このフィードストックは、担体と活性成分の両方が同じ相に溶解していることを条件として、エマルジョンの一成分として存在することも可能である。
【0090】
「単相」方法では、エマルジョン方法より小さい粒径のよりよいナノ分散液が得られると一般に考えられている。
【0091】
活性成分と溶媒および/または担体の相対濃度を低減する成分の比は、より小さい粒径をもたらすと考えられる。
【0092】
乾燥:
適切な任意の乾燥方法を本発明の方法で使用することができる。特に、スプレー乾燥を使用することができる。
【0093】
スプレー乾燥は当業者に周知である。本発明の場合は、乾燥するエマルジョン中に揮発性の非水性溶媒が存在するため、注意を払わなければならない。引火性の溶媒が使用されるときの爆発のリスクを低下させるために、いわゆる閉じられたスプレー乾燥系における乾燥媒体として、不活性ガス、例えば窒素を使用することができる。溶媒は、回収および再使用することができる。
【0094】
「Buchi」B-290型実験室用スプレー乾燥装置が適切であるとわかった。
【0095】
乾燥温度は60℃以上、好ましくは80℃超、より好ましくは100℃超とするのが好ましい。例えば、適切な温度範囲は60℃〜130℃、特に80℃〜130℃とすることができる。高温の乾燥温度は、再溶解したナノ分散材料においてより小さい粒子をもたらすことがわかった。
【0096】
当業者に周知の他の乾燥方法を使用することができる。典型的な方法としては、凍結乾燥またはスプレー造粒が挙げられる。
【0097】
担体:
腸溶性担体は腸において可溶であり、構造化水相(structured aqueous phase)および分子単分散種(molecularly mono-disperse species)の真のイオン性溶液の形成を含むものである。上記に指摘したように、適切な腸溶性担体としては、以下の腸溶保護された材料が挙げられる:
a)セルロース型(以下を含む:
酢酸フタル酸セルロース(CAP)、
酢酸トリメリト酸セルロース(CAT)、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(HPMCP)、
ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS)、
カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC))、および/または
b)ビニル型(ポリビニルアルコールアセタートフタラート(PVAP)を含む)、および/または
c)アクリリック型(メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーを含む)、および/または
d)それらの混合物。
【0098】
上述されたように、水溶性担体は、腸溶性担体に加えて存在することができると想定される。しかし、これらのレベルは、胃における腸溶性担体の保護効果に干渉しない程度とすべきである。典型的には、存在する全材料のうち、約50〜90重量%、特に約65〜90重量%、さらに詳細には約70〜90重量%が担体であり、少なくとも50重量%が腸溶性担体である。
【0099】
適切な水溶性担体としては、腸溶保護剤および/または界面活性剤を除いてポリマー(好ましくはポリビニルアルコールなどのポリオール)が挙げられる。これらの他のポリマーは、組成物の20重量%を超えないことが好ましい。他の水溶性担体に界面活性剤が含まれる場合、界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性、または双性イオン性とすることができる。
【0100】
適切な非イオン性界面活性剤の例としては、エトキシ化トリグリセリド;脂肪アルコールエトキシラート;アルキルフェノールエトキシラート;脂肪酸エトキシラート;脂肪アミドエトキシラート;脂肪アミンエトキシラート;ソルビタンアルカノアート;エチル化ソルビタンアルカノアート;アルキルエトキシラート;Pluronics(商標);アルキルポリグルコシド;ステアロールエトキシラート(stearol ethoxylate);アルキルポリグリコシドが挙げられる。
【0101】
適切なアニオン性界面活性剤の例としては、アルキルエーテルスルファート;アルキルエーテルカルボキシラート;アルキルベンゼンスルホナート;アルキルエーテルホスファート;ジアルキルスルホスクシナート;サルコシナート;アルキルスルホナート;石鹸;アルキルスルファート;アルキルカルボキシラート;アルキルホスファート;パラフィンスルホナート;第二級n-アルカンスルホナート;α-オレフィンスルホナート;イセチオナートスルホナートが挙げられる。
【0102】
適切なカチオン性界面活性剤の例としては、脂肪アミン塩;脂肪ジアミン塩;第四級アンモニウム化合物;ホスホニウム界面活性剤;スルホニウム界面活性剤;スルホキソニウム界面活性剤が挙げられる。
【0103】
適切な双性イオン界面活性剤の例としては、アミノ酸のN-アルキル誘導体(グリシン、ベタイン、アミノプロピオン酸など);イミダゾリン界面活性剤;アミンオキシド;アミドベタインが挙げられる。
【0104】
水溶性担体の混合物を使用してもよい。界面活性剤の混合物を使用してもよい。このような混合物においては、担体材料が全体として固体であることを条件として、個々の成分は液体であってもよい。
【0105】
アルコキシル化非イオン性物質(特に、PEG/PPG Pluronic(商標)材料)、フェノールエトキシラート(特に、TRITON(商標)材料)、アルキルスルホナート(特に、SDS)、エステル界面活性剤(好ましくは、Span(商標)およびTween(商標)型のソルビタンエステル)、およびカチオン性物質(特に、臭化セチルトリメチルアンモニウム-CTAB)が、腸溶性担体の補助剤として特に好ましい。
【0106】
本発明による組成物中の界面活性剤の典型的なレベルは、乾燥物の5〜15重量%になる。特に好ましい一実施形態において、組成物は、5〜15重量%のアルコキシル化非イオン性界面活性剤、65〜85重量%のHPMCP、および5〜15重量%の活性成分を含む。
【0107】
適切な水溶性ポリマー担体材料の例としては、下記が挙げられる:
(a)天然高分子(例えば、グアーゴム、アルギナート、イナゴマメガムなどの天然ゴム、またはデキストランなどの多糖);
(b)セルロース誘導体、例えばキサンタンガム、キシログルカン、酢酸セルロース、メチルセルロース、メチル-エチルセルロース、ヒドロキシ-エチルセルロース、ヒドロキシ-エチルメチル-セルロース、ヒドロキシ-プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルブチルセルロース、エチルヒドロキシ-エチルセルロース、カルボキシ-メチルセルロースおよびその塩(例えば、ナトリウム塩-SCMC)、またはカルボキシ-メチルヒドロキシエチルセルロースおよびその塩(例えば、ナトリウム塩);
(c)以下のホモポリマーまたは以下から選択される2種以上のモノマーから調製されたコポリマー:ビニルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミドメチルプロパンスルホナート、アミノアルキルアクリラート、アミノアルキル-メタクリラート、ヒドロキシエチルアクリラート、ヒドロキシエチルメチルアクリラート、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルアミン、ビニルピリジン、エチレングリコールおよび他のアルキレングリコール、エチレンオキシドおよび他のアルキレンオキシド、エチレンイミン、スチレンスルホナート、エチレングリコールアクリラート、ならびにエチレングリコールメタクリラート;
(e)シクロデキストリン、例えばβ-シクロデキストリン;および
(f)それらの混合物。
【0108】
ポリマー材料がコポリマーである場合、統計コポリマー(以前は、ランダムコポリマーとも呼ばれる)、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、または多分岐コポリマーとすることができる。上記のものに加えて、上記のもの以外のコモノマーも、その存在が得られたポリマー材料の水溶性を破壊しない場合には含めてもよい。
【0109】
適切で好ましいホモポリマーの例としては、ポリ-ビニルアルコール、ポリ-アクリル酸、ポリ-メタクリル酸、ポリ-アクリルアミド(ポリ-N-イソプロピルアクリルアミドなど)、ポリ-メタクリルアミド;ポリ-アクリルアミン、ポリ-メチルアクリルアミン(ポリジメチルアミノエチルメタクリラートやポリ-N-モルホリノエチルメタクリラートなど)、ポリビニルピロリドン、ポリ-スチレンスルホナート、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリ-2-エチル-オキサゾリンポリ-エチレンイミン、およびそれらのエトキシ化誘導体が挙げられる。
【0110】
ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(2-エチル-2-オキサザリン)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピル-メチルセルロース(HPMC)、ならびにアルギナートが、好ましい水溶性ポリマー担体材料である。
【0111】
適切な水溶性担体の別の例としては、界面活性剤でもポリマーでもない水溶性無機材料が挙げられる。単純な有機塩は、上述されたポリマー担体および/または界面活性剤担体と混合して特に適切であることがわかった。適切な塩としては、炭酸塩、重炭酸塩、ハリド、硫酸塩、硝酸塩、および酢酸塩、特にナトリウム、カリウム、およびマグネシウムの可溶性塩が挙げられる。好ましい材料としては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、および硫酸ナトリウムが挙げられる。これらの材料には、安価で生理学的に許容されるものであるという利点がある。これらは比較的に不活性でもあり、ならびに医薬品および栄養補助製品で見られる多くの材料と相溶性がある。
【0112】
水溶性担体材料の混合物は有利である。好ましい混合物としては、以下の少なくとも1種を含む、例えば界面活性剤とポリマーの組合せが挙げられる:
(a)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アルギナート、ならびに以下の少なくとも1種;
b)アルコキシル化非イオン性物質(特に、PEG/PPG Pluronic(商標)材料)、フェノール-エトキシラート(特に、TRITON(商標)材料)、アルキルスルホナート(特に、SDS)、エステル界面活性剤(好ましくは、Span(商標)型およびTween(商標)型のソルビタンエステル)、およびカチオン性物質(特に、臭化セチルトリメチルアンモニウム-CTAB)。
【0113】
適切な水溶性担体の別の例としては、界面活性剤でも、ポリマーでも、無機担体材料でもない水溶性低分子有機材料が挙げられる。単純な有機糖は、上述された水溶性ポリマーおよび/または界面活性剤担体材料と混合して特に適切であることがわかった。適切な低分子有機材料としては、マンニトール、ポリデキストロースでも、キシリトールでも、およびイヌリンなどが挙げられる。
【0114】
適切な任意の追加の担体を、本明細書に述べる分散液に場合によって含めてもよい。追加の担体の混合物を使用してもよい。
【0115】
適切な追加の担体の例としては、アルキルメタクリラート(例えば、ポリ(メチルメタクリラート))、ポリエステル(例えば、ポリ(カプロラクトン))、ポリ(ビニルアセタート)、ポリ(スチレン)、およびこれらのコポリマー、ワックス、粘性油(例えば、パラフィン蝋、カルナウバ蝋、パラフィン油、シロキサン)、低水溶性アルコール、脂肪酸、および界面活性剤(例えば、セチルアルコール、ステアリン酸、およびソルビタンエステル)などの非水溶性非腸溶性担体が挙げられる。
【0116】
非水性溶媒:
ドライヤーフィードストック(dryer feedstock)が揮発性の第2の非水性溶媒を含む本発明の実施形態において、これは、乾燥する前にプレミックスにおいて他の溶媒と混じり合うことができ、またはそれらの溶媒と共に、エマルジョンを形成することができる。
【0117】
本発明の一代替の形態において、単一の非水性溶媒が使用され、活性成分および担体の存在下で水と単相を形成することができる。これらの実施形態に好ましい溶媒は、極性、プロトン性、または非プロトン性溶媒である。一般に好ましい溶媒は、1より高い双極子モーメントおよび4.5より高い誘電率を有する。
【0118】
特に好ましい溶媒は、ハロホルム(好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム)、低級(C1〜C10)アルコール(好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール)、有機酸(好ましくは、ギ酸、酢酸)、アミド(好ましくは、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド)、ニトリル(好ましくは、アセトニトリル)、エステル(好ましくは、酢酸エチル)、アルデヒド、およびケトン(好ましくは、メチルエチルケトン、アセトン)、ならびに適当に大きな双極子を有するヘテロ原子結合を含む水と混じり合う他の種(好ましくは、テトラヒドロフラン、ジアルキルスルホキシド)からなる群から選択される。
【0119】
ハロホルム、低級アルコール、ケトン、およびジアルキルスルホキシドが最も好ましい溶媒である。
【0120】
非水性溶媒の混合物、例えばエタノール/アセトンミックスを使用してもよい。
【0121】
本発明の別の代替の形態において、非水性溶媒は水と混じり合わず、エマルジョンを形成する。
【0122】
エマルジョンの非水相は、好ましくは揮発性有機溶媒の以下の群からの1種または複数から選択される:
-アルカン、好ましくはヘプタン、n-ヘキサン、イソオクタン、ドデカン、デカン;
-環状炭化水素、好ましくはトルエン、キシレン、シクロヘキサン;
-ハロゲン化アルカン、好ましくはジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタン(クロロホルム)、フルオロ-トリクロロメタン、およびテトラクロロエタン;
-エステル、好ましくは酢酸エチル;
-ケトン、好ましくは2-ブタノン;
-エーテル、好ましくはジエチルエーテル;
-揮発性環状シリコーン、好ましくは4〜6個のケイ素単位を含む直鎖またはシクロメチコーン。適切な例としては、DC245およびDC345が挙げられ、両者共、Dow Corning Inc.から入手可能である。
【0123】
好ましい溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、およびジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0124】
乾燥、特にスプレー乾燥を実際的な条件下で、特殊な機器を使用することなく容易に行えるように、好ましい非水性溶媒は、混じり合うか否かに関わりなく、沸点が150℃未満、より好ましくは沸点が100℃未満である。好ましくは、これらは非引火性であり、または本発明の方法で遭遇する温度を超える引火点を有する。
【0125】
好ましくは、非水性溶媒は、形成された任意のエマルジョンの約10体積%〜約95体積%、より好ましくは約20体積%から約80体積%を占める。単相方法において、溶媒のレベルは好ましくは20〜100体積%である。
【0126】
特に好ましい溶媒は、アルコール、特にエタノール、およびハロゲン化溶媒、より好ましくは塩素含有溶媒、最も好ましくは(ジ-またはトリ-クロロメタン)から選択される溶媒である。
【0127】
任意選択の共界面活性剤:
非水性溶媒に加えて、任意選択の共界面活性剤を、乾燥ステップの前に、組成物中で使用してもよい。好ましい共界面活性剤は、短鎖アルコールまたは沸点<220℃のアミンである。
【0128】
好ましい共界面活性剤は、直鎖状アルコールである。好ましい共界面活性剤は、第一級アルコールおよびアミンである。特に好ましい共界面活性剤は、3〜6個の炭素のアルコールからなる群から選択される。適切なアルコール共界面活性剤としては、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、ヘキシルアミン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0129】
好ましくは、共界面活性剤は溶媒より少ない量(体積)で存在し、溶媒と共界面活性剤の体積比が好ましくは100:40〜100:2、より好ましくは100:30〜100:5の範囲に入る。
【0130】
医薬/栄養補助製品または組成物
本発明の分散液は、医薬もしくは栄養補助製品または組成物、すなわち対象への投与に適した形として調合することができる。
【0131】
医薬もしくは栄養補助製品または組成物は、適切な任意の手段による対象への投与、特に経口投与用に調合することができる。
【0132】
例えば、医薬品または組成物は、固体剤形、例えば錠剤またはカプセル剤など、経口投与に適した形とすることができる。固体剤形は、矯味剤、滑沢剤、可溶化剤、懸濁化剤、充填剤、流動化剤、圧縮助剤、結合剤、または崩壊剤として作用することもできる1種または複数の物質を含むことができる。
【0133】
本発明の分散液および/または医薬もしくは栄養補助製品/組成物を投与することができる「対象」は、家畜またはヒトなど、動物、特に温血動物、特にヒトである。
【実施例】
【0134】
本発明がさらに理解され、実施することができるように、非限定的な実施例を引用しながら以下にさらに説明する。
【0135】
(実施例1)
0.10gのロラタジンおよび0.70gのヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)を80mlのエタノール/アセトン混合物(50体積%)に溶解した。0.10gのPluronic F127および0.10gのマンニトールを20mlの蒸留水に溶解した。次いで、水溶液をエタノール/アセトン混合物に添加し、磁気棒を使用して撹拌して、均質な溶液を形成した。Buchi Mini B-290スプレー乾燥機を使用して、入口温度150℃および液体フィード速度2.5ml/分で、溶液をスプレー乾燥した。易流動性の白色粉末が得られた。
【0136】
乾燥した粉末の試料をリン酸緩衝溶液(pH=7.2)に再分散し、Malvern Nano-Sを使用して、ナノ粒子のサイズを測定した。粒径測定値385±21nm(濃度5mg/ml)が得られた(粘度を補正した後)。
【0137】
(実施例2)
0.10gのロラタジンおよび0.80gのヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)を80mlのエタノール/アセトン混合物(50体積%)に溶解した。0.10gのPluronic F127を10mlの蒸留水に溶解した。次いで、水溶液をエタノール/アセトン混合物に添加し、磁気棒を使用して撹拌して、均質な溶液を形成した。Buchi Mini B-290スプレー乾燥機を使用して、入口温度150℃および液体フィード速度2.5ml/分で、混合物をスプレー乾燥した。易流動性の白色粉末が得られた。
【0138】
乾燥した粉末の試料をリン酸緩衝溶液(pH=7.2)に再分散し、Malvern Nano-Sを使用して、ナノ粒子のサイズを測定した。粒径測定値429±8nm(濃度5mg/ml)が得られた(粘度補正せず)。
【0139】
(実施例3)
(実施例1の溶解試験):
オーバーヘッドパドル式撹拌を50rpmおよび(溶解媒体の)温度37℃で行って、実施例1のスプレー乾燥した粉末100mg(10mgのロラタジンに相当)を、溶解媒体900ml(それぞれ、蒸留水、pH=2.2のHCl溶液、またはpH=7.2のリン酸緩衝溶液)に分散した。
【0140】
ピペット(1mlのEppendorfピペット)を使用して、各溶液を5分、10分、20分などに少しずつ採取した。次いで、分散液をエタノールで希釈し、UVキャラクタリゼーションを行った(1mlのエタノールを1mlの分散液に添加した)。異なる媒体に対する実施例1の溶解を、Table 1(表1)にまとめる。
【0141】
【表1】

【0142】
(実施例4)
(実施例2の溶解試験)
オーバーヘッドパドル式撹拌を50rpmおよび(溶解媒体の)温度37℃で行って、実施例2のスプレー乾燥した粉末100mg(10mgのロラタジンに相当)を溶解媒体900ml(それぞれ、蒸留水、pH=2.2のHCl溶液、またはpH=7.2のリン酸緩衝溶液)に分散した。ピペット(1mlのEppendorfピペット)を使用して、各溶液を5分、10分、20分などに少しずつ採取した。次いで、分散液をエタノールで希釈し、UVキャラクタリゼーションを行った(1mlのエタノールを1mlの分散液に添加した)。異なる媒体に対する実施例2の溶解を、Table 2(表2)にまとめる。
【0143】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒を実質的に含まない、担体中活性成分のナノ分散液であって、担体は、腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である腸溶性担体を含み、腸溶性担体は、ナノ分散液の少なくとも50重量%を占める、ナノ分散液。
【請求項2】
活性成分が、医薬活性成分または栄養補助活性成分である、請求項1に記載の溶媒を実質的に含まないナノ分散液。
【請求項3】
腸溶性担体が、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルアルコールアセタートフタラート、およびメタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマー、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1または2に記載の分散液。
【請求項4】
担体が、水溶性担体、および場合によって1種または複数の追加の担体をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の分散液。
【請求項5】
活性成分を含む組成物の生成方法であって、
(a)混合物を準備するステップであって、ここで混合物は、
(i)前記活性成分、
(ii)腸内pHにおいて可溶であるが、胃のpHにおいて不溶である腸溶性担体、ならびに
(iii)活性成分および腸溶性担体それぞれのための溶媒
を含む、ステップと、
(b)混合物を乾燥(好ましくは、スプレー乾燥)して、そのまたはそれぞれの溶媒を除去し、溶媒を実質的に含まない、前記腸溶性担体中前記活性成分のナノ分散液を得るステップと
を含み、腸溶性担体はナノ分散液の少なくとも50重量%を占める方法。
【請求項6】
活性成分が、医薬活性成分または栄養補助活性成分である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
腸溶性担体が、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルアルコールアセタートフタラート、およびメタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマー、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
混合物が、水溶性担体、および場合によって1種または複数の追加の担体をさらに含む、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
活性成分が水溶性活性成分であり、
(a)エマルジョンを形成することによって、混合物を準備するステップであって、ここでエマルジョンは、
(i)水溶性活性成分の水溶液、および
(ii)そのための水と混じり合わない溶媒に溶かした腸溶性担体の溶液
を含む、ステップと、
(b)エマルジョンを乾燥(好ましくは、スプレー乾燥)して、水および水と混じり合わない溶媒を除去して、溶媒を実質的に含まない、腸溶性担体中活性成分のナノ分散液を得るステップと
を含み、腸溶性担体はナノ分散液の少なくとも50重量%を占める、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
エマルジョンが、溶液(i)中の水溶性担体、および場合によって1種または複数の追加の担体をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(a)単相混合物を形成することによって、混合物を準備するステップであって、ここで単相混合物は、
(i)少なくとも1種の非水性溶媒、
(ii)場合によって、水、
(iii)(i)と(ii)の混合物に可溶である前記腸溶性担体、および
(iv)(i)と(ii)の混合物に可溶である前記活性成分
を含む、ステップと、
(b)溶液を乾燥(好ましくは、スプレー乾燥)して、任意の水および水と混じり合う溶媒を除去して、溶媒を実質的に含まない、腸溶性担体中活性成分のナノ分散液を得るステップと
を含み、腸溶性担体はナノ分散液の少なくとも50重量%を占める、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
単相混合物が、水溶性担体、および場合によって、(i)と(ii)の混合物に可溶性である1種または複数の追加の担体をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項1から4のいずれか一項に記載の溶媒を実質的に含まないナノ分散液を含む医薬品または医薬組成物。
【請求項14】
請求項1から4のいずれか一項に記載の溶媒を実質的に含まないナノ分散液を含む栄養補助製品または栄養補助組成物。
【請求項15】
対象へのナノ分散液の投与時に対象に活性成分を遅延放出するための請求項1から4のいずれか一項に記載の溶媒を実質的に含まないナノ分散液の使用。
【請求項16】
対象への製品または組成物の投与時に対象に活性成分を遅延放出するための請求項13または14に記載の製品または組成物の使用。
【請求項17】
請求項1から4のいずれか一項に記載の溶媒を実質的に含まないナノ分散液を含むキット。

【公表番号】特表2012−501305(P2012−501305A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524292(P2011−524292)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060007
【国際公開番号】WO2010/023066
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(511053148)イオタ・ナノソリューションズ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】