説明

半割すべり軸受の製造方法および半割すべり軸受

【課題】新規構成の位置決め部材を有する半割すべり軸受及びその製造方法を提案する。
【解決手段】工具の幅を狭めて押圧した軸受本体13の形成材料の一部が工具の外側へ逃げるようにすれば、軸受本体13の円周方向における形成材料の変形量を抑制しつつ、位置決め部材20がその機能を奏するために必要な突出量(軸受本体の外周面からの突出量)を確保できる。このようにして形成された半割すべり軸受の位置決め部材20は平坦部21aと突出部22とを備え、平坦部21aを含む仮想平面に対して突出部22の先端が合わせ面側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半割すべり軸受の製造方法および半割すべり軸受に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半割すべり軸受は、例えば、自動車用エンジンのコネクティングロッドに組み付けられ、コネクティングロッドに挿通されたクランクシャフトのクランクピンをコネクティングロッドに対して円滑に回転させるための軸受として用いられている。
【0003】
半割すべり軸受を軸受ハウジング(例えば、コネクティングロッドなど)に組み付ける際には、半割すべり軸受の外周面から突出した位置決め部材を形成すると共に、軸受ハウジングに嵌合溝(凹所)を形成しておき、嵌合溝に位置決め部材を嵌合させることにより、軸受ハウジングに対する半割すべり軸受の位置決めを行っている。
ここで、軸受ハウジングに対する半割すべり軸受の軸線方向の位置決めを容易にして位置決め機能を高めるためには、半割すべり軸受の外周面から半径方向外側への位置決め部材の突出量を、軸受ハウジングの嵌合溝の寸法に合わせて、可能な限り大きくすることが望ましい。
【0004】
特許文献1に記載の半割すべり軸受は、半円筒形の軸受本体と、該軸受本体の合わせ面に形成される位置決め部材を備える。位置決め部材は合わせ面より軸受本体の円周方向へ偏移した(凹んだ)平坦部を備え、該平坦部から軸受本体の半径方向外側へ突出した突出部を備える。突出部の上面は平坦部と面一であり、両者は同一の仮想平面上に存在する。
かかる構成の半割すべり軸受は次の様にして製造できる。
まず、半円筒形の軸受本体を準備する。この軸受本体の合わせ面(半割面)の外周側一部へ工具の平坦な加工面を当てつけ(図8参照)、これを押圧して合わせ面の外周側一部とともに軸受本体の外周面側の形成材料を塑性変形させる。その結果、軸受本体の形成材料は工具に沿って半径方向外側に展開する。
このようにして形成された位置決め部材の上面(工具当接面)は工具の加工面に沿った形状、即ち平坦面となる。
この発明に関連する文献として特許文献2及び特許文献3も参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−50226号公報
【特許文献2】特開平9−210064号公報
【特許文献3】特表2005−536696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既述のように、高い位置決め機能を発揮するためには位置決め部材の突出量を可能な限り大きくすることが好ましい。
しかしながら、特許文献1に記載の方法で位置決め部材を形成すると、位置決め部材の突出量の増大に伴い軸受本体の形成材料の変形量も増大する。
その結果、軸受本体に予期せぬ変形が生じたりして軸受性能に悪影響を与えたり、また軸受本体の材料選択に制限が生じたりして半割すべり軸受の設計自由度を制限するおそれがあった。また特許文献3に記載の方法で位置決め部材を形成すると、工具にかかる応力増大に起因する工具の耐久性低下も懸念され、製造効率が低くなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は上記課題の少なくとも一つを解決するために鋭意検討を重ねた結果、工具の幅を狭めて押圧した軸受本体の形成材料の一部が工具の外側へ逃げるようにすれば、軸受本体の円周方向における形成材料の変形量を抑制しつつ、位置決め部材がその機能を奏するために必要な突出量(軸受本体の外周面からの突出量)を確保できると考えた。
即ちこの発明の第1の局面は次のように規定される。
半円筒形の軸受本体と、
該軸受本体の合わせ面の外周側一部へ工具を押圧して、前記合わせ面の外周側一部とともに前記軸受本体の形成材料を半径方向外側へ変形させることにより、軸受本体の合わせ面に形成される位置決め部材と、を備える半割すべり軸受の製造方法において、
前記合わせ面の外周側一部へ前記工具を押圧することにより前記軸受本体の形成材料を前記工具の外側面へ近接するように塑性変形させて前記位置決め部材を形成する、半割すべり軸受の製造方法。
第1の局面の製造方法によれば、軸受本体の外周面側の形成材料を工具の外側面へ近接するように、換言すれば回り込むように塑性変形させるので、当該回り込みの量に対応して軸受本体における変形、特に円周方向への変形が抑制される。
工具の外側面へ回り込んだ材料により、軸受本体の外周面からの突出量をかせげるので、位置決め部材に求められる位置決め機能も確保できる。
【0008】
軸受本体の材料を工具の外側面へ回り込ませるためには、比較的薄い工具を用いることとなる。本発明者らの検討によれば、軸受本体の合わせ面に当接される工具の面(第1の面)は押圧方向に略垂直な面であってその幅(軸受本体の半径方向に対する)は軸受本体の材質、構造等によって適宜選択されるものであるが、軸受本体の合わせ面の外縁(軸受本体の、合わせ面と外周面との交線)との関係において、工具の外側面(第2の面)の前記第1の面側の先端の位置は、軸受本体の外縁と一致するか、若しくは外縁と一致するときの第1の面の幅の±30%以内の長さの範囲で軸受本体の外縁から半径方向に偏移しているものとする。第2の面の先端の位置が、外縁と一致するときの第1の面の幅より30%以内で軸受本体の外縁から外方へ偏移(第1の面の幅が、外縁と一致するときの第1の面の幅よりも長い)していると、軸受本体の形成材料が工具の外側面側へ回り込み易くなるので好ましい。また、第2の面の先端の位置が外縁と一致するときの第1の面の幅より30%以内で軸受本体の外周面から中心軸側へ偏移(第1の面の幅が、外縁と一致するときの第1の面の幅よりも短い)していると、突出部に充分な突出量が容易に得られるので好ましい。
【0009】
かかる製造方法に用いる工具は、加工面(第1の面)と外側面(第2の面)との挟角が直角ないし鈍角とすることが工具の耐久面で好ましい。工具の外側面(第2の面)には、工具を合わせ面に垂直な方向に押圧している途中で、軸受本体の形成材料が接触しない方が望ましい。
工具のより好ましい態様は加工面とそれに続く外側面の部分をそれぞれ平坦面として、両者を直交させる。さらには、加工面に続く内側面の部分も平坦面として両者を直交させることが好ましい。
【0010】
上記のようにして形成される位置決め部材は次のように規定することができる。即ち、
半円筒形の軸受本体と、
該軸受本体の合わせ面に形成される位置決め部材と、を備える半割すべり軸受であって、
前記位置決め部材は前記合わせ面より前記軸受本体の略円周方向へ偏移した平坦部と該平坦部から半径方向外側へ突出した突出部とを備え、前記平坦部を含む仮想平面に対して前記突出部の先端が前記合わせ面側に位置している、半割すべり軸受。
このように規定される半割すべり軸受において、工具の外側面へ回り込んだ軸受本体の材料が突出部となり、かかる突出部は平坦部から上方(合わせ面側)へ屈折している。 そのため、軸受本体の円周方向における形成材料の変形量が抑制されつつ、位置決め部材の機能を奏するために必要な突出量が確保されている。
従って、半割すべり軸受をハウジングに確実に固定させ易く、また、耐疲労性等の軸受性能の向上に貢献している。また、ハウジングに形成する嵌合溝をより小さくすることも可能である。
【0011】
このように構成された半割すべり軸受によれば、その位置決め部材が平坦部とこの平坦部から半径方向外側へ突出した突出部を有し、その突出部の先端は平坦部を含む仮想平面より上側、即ち合わせ面側に位置する。
このように突出部の先端側を合わせ面側へ偏移させることにより、合わせ面を含む平面と突出部の先端との距離が小さくなる。これにより、半割すべり軸受のハウジングへ覆うように組み付けられる相手側ハウジングへ干渉しやすくなり、相手側ハウジングの被干渉部材を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1(A)は、本発明を具体化した一実施形態の半割すべり軸受10の要部上面図。図1(B)は、半割すべり軸受10の側面図。
【図2】半割すべり軸受10を軸線に対して直角に切断した縦断面図であり、図1に示すα−α線断面図。
【図3】半割すべり軸受10における位置決め部材20の近傍を示す要部縦断面図。
【図4】半割すべり軸受10における位置決め部材20の形成方法を説明するための斜視図。
【図5】位置決め部材20の形成方法を説明するための縦断面図であり、図4に示すβ−β線断面図。
【図6】位置決め部材20の形成過程を説明するための要部縦断面図。
【図7】位置決め部材20の形成過程を説明するための要部縦断面図。
【図8】特許文献2の図1〜図3に記載されている従来技術の半割すべり軸受10’における位置決め部材20’の近傍を示す要部縦断面図。
【図9】本実施形態(図3参照)と従来技術(図8参照)における裏金層12の材質と寸法Y,Z,X,W(Y’,Z’,X’,W’)およびY/Z(Y’/Z’)値との関係を示す図表。
【図10】本実施形態(図3参照)と従来技術(図8参照)における寸法Zと寸法Yの関係を示すグラフ。
【図11】本実施形態(図3参照)と従来技術(図8参照)における寸法Xと押圧工具33,33’が裏金層12を押圧する際の荷重との関係を示すグラフ。
【図12】押圧工具33の底面部33aの厚みUと、寸法V,Y,Tとの関係を説明するための説明図であり、半割すべり軸受10における位置決め部材20の近傍を示す要部縦断面図。
【図13】図13(A)は、位置決め部材20を係止部材として用いる場合の加工方法を説明するための説明図であり、半割すべり軸受10における位置決め部材20の近傍を示す要部縦断面図。図13(B)は、位置決め部材20を係止部材として用いる場合に、半割すべり軸受10を軸受ハウジング40に組み付けた状態を説明するための要部縦断面図。
【図14】本実施形態の位置決め部材20を係止部材として用いる場合に、半割すべり軸受10を軸受ハウジング40に組み付けた状態を説明するための要部縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施形態の半割すべり軸受10について図面を参照しながら説明する。
[本実施形態の半割すべり軸受10の構成]
図1(A)は、半割すべり軸受10の要部上面図である。図1(B)は、半割すべり軸受10の側面図である。
図2は、半割すべり軸受10を軸線に対して直角に切断した縦断面図であり、図1に示すα−α線断面図である。
図3は、半割すべり軸受10における位置決め部材(位置決め爪)20の近傍を示す要部縦断面図である。
【0014】
半割すべり軸受10は、二層構造(バイメタルタイプ)の場合、摺動層11の外周面に裏金層12が重ね合わされて一体的になっており、全体が半円筒形状に湾曲して軸受本体13とされている。
摺動層11は、すべり軸受に適した性質(例えば、低摩擦性、耐摩耗性、耐疲労性、非焼付き性、なじみ性など)を有する例えばAl合金やCu合金から成る。
裏金層12は、半割すべり軸受10の強度を高めるために設けられており、例えば鋼から成る。
本明細書では、直径が約40〜80mmで、摺動層11と裏金層12とを合わせた肉厚が約1.5〜3.0mmの半割すべり軸受10を例として採り上げた。
【0015】
軸受本体13の湾曲した両縁がそれぞれ合わせ面(分割面、当接面)14a,14bとなり、半割すべり軸受10の軸方向における合わせ面14aの略中間位置に1個の位置決め部材20が形成されている。位置決め部材20の形成位置及び形成数は、半割すべり軸受10の用途や形状に応じて任意に設計可能である。
位置決め部材20は、凹部21および突出部22から構成され、裏金層12に形成されている。
【0016】
図3に示すように、凹部21は裏金層12(軸受本体13)の外周面に形成された断面コ字状の凹みであり、凹部21は合わせ面14aに開口している。
凹部21の底面側には、平坦な底面部(平坦部)21aが形成されている。
凹部21と摺動層11の間の裏金層12には、略一定厚さの背壁部23が形成されている。すなわち、背壁部23は、凹部21と軸受本体13の内周面との間に形成されている。
背壁部23の背後に位置する摺動層11には変形が無く、摺動層11の内周面は全体的に平滑である。
【0017】
突出部22は、裏金層12(軸受本体13)の外周面側の形成材料が半割すべり軸受10の半径方向の外側に向けて突出した突起である。
突出部22の内面側には、僅かに膨らんだ略平坦形状の内面部22aが形成されている。
内面部22aは凹部21の平坦部21aに連続しており、内面部22aは平坦部21aに対して鋭角の傾斜角度θを成した傾斜面である。
この傾斜角度θは任意に設計可能であるが、10〜50度とすることが好ましく、更に好ましくは20〜40度である。
【0018】
ここで、位置決め部材20の各部の寸法について、半割すべり軸受10の半径方向における凹部21の平坦部21aの幅を「寸法V」、合わせ面14aと突出部22の先端部分との距離を「寸法W」、合わせ面14aと平坦部21aとの距離を「寸法X」、わせ面14aの外縁(軸受本体13の、合わせ面14aと外周面との交線)から突出部22の先端部分までの半割すべり軸受10の半径方向の距離を「寸法Y」、合わせ面14aから位置決め部材20の下縁22bまでの前記半径方向に対する垂直方向の距離を「寸法Z」と表記する。
【0019】
[本実施形態の位置決め部材20の形成方法]
図4は、半割すべり軸受10における位置決め部材20の形成方法(製造方法、工法)を説明するための斜視図である。
図5は、位置決め部材20の形成方法を説明するための縦断面図であり、図4に示すβ−β線断面図である。
図6および図7は、位置決め部材20の形成過程を説明するための要部縦断面図である。
【0020】
図4および図5に示すように、半割すべり軸受10の位置決め部材20を形成するには、ダイス30、固定具(ストッパ)31a,31b,32、押圧工具33を用いる。
ダイス30は、内周面30a、上面30b,30c、成形凹部30dが形成されたブロック材である。
各固定具31a,31bは、同一寸法の矩形平板状のブロック材である。
固定具32は、矩形平板状のブロック材である。
押圧工具33は矩形平板状の金属製ブロック材であり、押圧工具33の底面側には、平坦形状の加工面(第1の面)33aが形成されている。
押圧工具33の外側面(第2の面)33bは平坦形状に形成され、加工面33aと外側面33bとは直交している。なお、外側面33bにおいて少なくとも加工面33aと連続する部分が平坦に形成されていればよい。外側面33bと加工面33aとの挟角(両者のなす角)は直角若しくは鈍角とすることが好ましい。押圧工具33に耐久性を付与するためである。
加工面33aと押圧工具33の内側面33cとの挟角は直角である。
【0021】
ダイス30の内周面30aは、半割すべり軸受10の外形に対応した縦断面半円形状の湾曲面を成している。
ダイス30の上面30b,30cは平坦になっている。
そのため、半割すべり軸受10をダイス30の内周面30aにセットすると、軸受本体13の外周面は内周面30aに対して隙間無く密着した状態で支持される。
【0022】
そこで、ダイス30に対して半割すべり軸受10を回転させ、半割すべり軸受10の合わせ面14a,14bがそれぞれ、ダイス30の上面30b,30cと面一状態になるように位置を合わせる。
そして、ダイス30の上面30bに各固定具31a,31bを取付け固定することにより、各固定具31a,31bの下面側と、半割すべり軸受10の合わせ面14aとを当接させる。
また、ダイス30の上面30cに固定具32を取付け固定することにより、固定具32の下面側と、半割すべり軸受10の合わせ面14bとを当接させる。
その結果、ダイス30の内周面30aと各固定具31a,31b,32とにより、ダイス30に対して半割すべり軸受10が挟持されて固定される。
【0023】
ダイス30の成形凹部30dは、上面30bに形成された断面コ字状の凹溝(切欠)であり、半割すべり軸受10の位置決め部材20を成形するために設けられている。
そこで、各固定具31a,31bは、ダイス30の成形凹部30dを避ける位置で、且つ、半割すべり軸受10の合わせ面14aにおける位置決め部材20が形成される箇所を避ける位置に取付け固定する。
その結果、各固定具31a,31bの間から、成形凹部30dと、半割すべり軸受10の合わせ面14aにおける位置決め部材20が形成される箇所とが露出される。
【0024】
そして、図4〜図7の矢印γに示すように、ダイス30の上方から成形凹部30dに向かって押圧工具33を下降させ、図6(A)に示すように、半割すべり軸受10の合わせ面14aの裏金層12の外周側の一部に対して、押圧工具33の平坦な加工面33aを当接させる。
【0025】
続いて、図6(B)に示すように、押圧工具33を合わせ面14aに垂直な方向(軸受本体13の略円周方向)に下降させ、半割すべり軸受10の合わせ面14aの裏金層12の外周側の一部を押圧工具33の加工面33aによって押圧すると、押圧された裏金層12に塑性変形が生じ、位置決め部材20の凹部21および突出部22が形成される。
このとき、裏金層12において、押圧工具33の加工面33aに当接している部分(外周側一部)が凹部21の平坦部21aとなり、押圧工具33の内側面33cと当接している部分が背壁部23となり、それぞれ押圧工具33の各面33a、33cの形状に沿ったものとなる。
他方、押圧工具33との接触がなくなった部分、即ち裏金層12の形成材料において押圧工具33の押圧に伴い半径方向外側へはみ出した部分は、図6(B)、(C)に示すように、押圧工具33の外側面33b側へ巻き込まれてくる。
【0026】
そして、図6(C)に示すように、押圧工具33を更に下降させ、押圧工具33による裏金層12の押圧を続けると、合わせ面14aと平坦部21aとの偏移量(寸法X)が大きくなってゆくのに伴い、合わせ面14aの外縁から突出部22の先端部分までの半割すべり軸受10の半径方向の距離(寸法Y)、合わせ面14aから位置決め部材20の下縁22bまでの前記半径方向に対する垂直方向の距離(寸法Z)、合わせ面14aと突出部22の先端部分との距離(寸法W)、傾斜角度θ(突出部22の内面部22aが凹部21の平坦部21aに対して成す角度)がいずれも大きくなってゆく。
【0027】
その後、用途に応じて、図7に示すように、押圧工具33を更に下降させ、押圧工具33による裏金層12への押圧を続けると、寸法X,Y,Z,Wが大きくなってゆき、突出部22の先端部分がダイス30の成形凹部30dの垂直内周面に当接した状態になると、寸法Yの増大が止まりそれ以上には大きくならない。
つまり、寸法Yは、ダイス30の成形凹部30dの垂直内周面と、合わせ面14aの外縁との距離によって規定することができる。
【0028】
図6(C)または図7の状態になった時点で、押圧工具33による押圧を停止させると、半割すべり軸受10の位置決め部材20が完成する。
位置決め部材20が完成すると、傾斜角度θは、0より大きく60度以下になる(0<θ≦60度)。
【0029】
上記の説明では、1つの押圧工具33を同一方向(図で上下方向)へ移動させているが、突出部22を任意に附形するため、押圧工具33を軸受本体13の半径方向(図で左右方向)へ移動させることができる。
また、加工面の幅の異なる複数の押圧工具を用いて突出部の形状を整えることができる。例えば、押圧工具による押圧量(図で上下方向の移動量)が所定の長さを超えたときに押圧工具をより幅広のものに交換することができる。
押圧工具において加工面33aと外側面33bとの交差部分を面トリ(曲面、若しくは平面)することも可能である。面トリすることにより、押圧工具の耐久性が向上する。
【0030】
[従来技術の半割すべり軸受10’の構成]
図8は、特許文献1に記載の従来技術の半割すべり軸受10’における位置決め部材20’の近傍を示す要部縦断面図である。
尚、説明を分かり易くするため、図8に示す従来技術において、図1〜図7に示す本実施形態と同一の構成部材および構成要素については、符号を等しくすると共に、符号の末尾に「’」を付してある。
【0031】
従来技術の位置決め部材20’において、図3に示す本実施形態の位置決め部材20と異なるのは、凹部21’の平坦部21a’に対して突出部22’の内面部22a’が傾斜しておらず、平坦部21a’と内面部22a’とが面一状態になっている点である。
【0032】
特許文献1には、突出部22’の形成方法について、単に「外側の突起(突出部22’)が軸受シェル(軸受本体13’)の分割面(合わせ面14a’)に強い力を作用させかつ軸受の内側を対応受けで支えることによって局部的に押出し成形されている」とのみ記載されているだけであり、突出部22’を押圧形成するための押圧工具33’の具体的な形状については一切記載されていない。
【0033】
そこで、本願発明者は実験を繰り返した結果、図8に示す突出部22’を形成するためには、寸法V’と寸法Y’の加算値(V’+Y’)に対して、底面部33a’の厚みU’が十分に大きな押圧工具33’を用いるしかないとの結論に達した(U’>V’+Y’)。即ち、従来技術で用いる押圧工具33’は広い加工面33a’を有するので、軸受本体の材料は押圧工具33’の外側面33b’まで回り込むことがなく、全てその加工面33a’の干渉下にある。その結果、突出部の上面形状は平坦部と面一の平坦形状となる。
尚、図3に示す本実施形態では、押圧工具33の加工面33aの厚みUと寸法Vとが同じになる。
【0034】
[本実施形態の作用・効果]
本実施形態によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
【0035】
図9は、本実施形態(図3参照)と従来技術(図8参照)における裏金層12の材質と寸法Y,Z,X,W(Y’,Z’,X’,W’)およびY/Z(Y’/Z’)値との関係を示す図表である。
実施例品1と比較例品1(図8の方法で形成したもの)とを比較すると、寸法X,X’は同等であるにも関わらず、寸法Y,Y’を寸法Z,Z’で除算したY/Z,Y’/Z’値が、実施例品1は0.21、比較例品1は0.19であるため、従来技術に比べて本実施形態では11%も大きくすることができる。
【0036】
実施例品2は、実施例品1よりもXを大きくした実施例だが、実施例1と同様にY/Z値が0.2以上を示す。
【0037】
裏金層12の材質が硬度200(HV)を超える硬質材である実施例品3は、実施例品1と比較すると、寸法Xはほぼ同じであるのに対して、寸法Yが大きくなり、寸法Zが小さくなり、Y/Z値が0.28であって大きい。このことから、本実施形態は硬質材料に対して特に好適であることが分かる。
【0038】
図10は、本実施形態(図3参照)と従来技術(図8参照)における寸法Zと寸法Yの関係を示すグラフである。
従来技術に比べて本実施形態では、寸法Z,Z’に対する寸法Y,Y’(Y/Z,Y’/Z’値)を大きくすることができる。
【0039】
軸受ハウジングに対する半割すべり軸受10,10’の軸線方向の位置決めを容易にして位置決め機能を高めるためには、寸法Y,Y’(合わせ面14a,14a’の外縁から突出部22,22’の先端部分までの半割すべり軸受10,10’の半径方向の距離)を、軸受ハウジングの嵌合溝の寸法に合わせて、可能な限り大きくすることが望ましい。
【0040】
他方、軸受ハウジングの嵌合溝が大きくなると、嵌合溝を切削加工するための製造コストが増大する上に、軸受ハウジングの剛性が低下するという問題がある。
そこで、軸受ハウジングの嵌合溝を小さくするためには、寸法Z,Z’(半割すべり軸受10の円周方向への突出部22の長さ)を、突出部22の強度を十分に確保した上で、可能な限り小さくすることが望ましい。
また、寸法Z、Z’が大きくなると軸受本体の形成材料自体の変形量が大きくなるので、工具により大きな荷重が要求されるとともに軸受本体の形状に歪が生じる可能性も大きくなる。
【0041】
以上の観点から、Y/Z値はこれを可能な限り大きくすることが好ましい。
図9および図10より、従来技術に比べて本実施形態では、Y/Z値が大きくなることがわかる。
好ましいY/Z値は0.2以上であり、更に好ましくは0.25以上である。Y/Zの上限は位置決め部材に要求される強度等に応じて任意に定めることができる。
これはまた、本実施形態によれば、裏金層12の肉厚が薄い場合でも、位置決め部材20の位置決め機能を高めることが可能になることを意味する。
また、本実施形態によれば、軸受ハウジングの嵌合溝を小さくして、軸受ハウジングの製造コストを低減させると共に剛性を高めることが可能になる。
【0042】
裏金層12の形成材料において塑性変形された体積は、押圧工具の半割すべり軸受軸線方向長さを所定寸法とした場合、押圧工具のストローク量(寸法X)と押圧工具により変形される幅(寸法V)とで定義される。後者が同じであると仮定して、図3に示す本実施形態と図8に示す従来技術とを比べると(特に実施例品1及び比較例品1参照)、寸法X,X’が同じ場合には(即ち、塑性変形される裏金層12の形成材料の体積が同じ場合には)、本実施形態の寸法Zが従来技術の寸法Z’に比べて小さくなる。即ち、本実施形態によれば裏金層12の成形材料においてその円周方向へ変形する成分がより小さくなることがわかる。換言すれば、裏金層12の形成材料を効率良く突出部の形成に寄与させることが可能となる。
また、裏金層12においてその円周方向への変形量が小さくなれば、軸受本体13に発生する応力が小さくなり、その変形をより確実に防止できる。
【0043】
図11は、本実施形態(図3参照)と従来技術(図8参照)における寸法Xと押圧工具33,33’が裏金層12を押圧する際の荷重との関係を示すグラフである。
押圧工具33,33’が裏金層12,12’を押圧する荷重が大きくなると、半割すべり軸受10に予期せぬ変形が生じるおそれがあるが、特に、図1(B)に示すように、半割すべり軸受10の外周面における突出部22の周辺部分Pに塑性変形が生じて形状が崩れ易くなる。
半割すべり軸受10の形状が崩れると、例えば軸受ハウジングに対して半割すべり軸受10を正常に組み付けることができなくなるおそれがある。
そのため、押圧工具33,33’が裏金層12,12’を押圧する荷重は、可能な限り小さくすることが望ましい。
【0044】
図11に示すように、従来技術に比べて本実施形態では、寸法Xを十分に大きくした場合に、押圧工具33が裏金層12を押圧する荷重を小さくすることが可能であるため、半割すべり軸受10の外周面における突出部22の周辺部分Pの形状を崩れ難くすることができる。
従って、本実施形態によれば、半割すべり軸受10の外周面を平滑にして高性能化を図ることができる。
また、押圧工具33,33’が裏金層12,12’を押圧する荷重が大きくなると、押圧工具33,33’の駆動装置(図示略)が大型化する上に、押圧工具33,33’の工具寿命が短くなるという問題がある。
本実施形態によれば、押圧工具33が裏金層12を押圧する荷重を小さくすることが可能であるため、押圧工具33の駆動装置を小型化することができる上に、押圧工具33の工具寿命を延長することができる。
【0045】
図12に示すように、半割すべり軸受10の合わせ面14aでの半径方向における凹部21の幅を「寸法T」と表記する。
図1〜図7に示す本実施形態では、寸法Tと寸法V(半割すべり軸受10の半径方向における凹部21の平坦部21aの幅)が等しくなっている。
【0046】
図12は、押圧工具33の加工面33aの厚みUと、寸法V,Y,Tとの関係を説明するための説明図であり、半割すべり軸受10における位置決め部材20の近傍を示す要部縦断面図である。
尚、厚みUと寸法Vとは同じになる。
図12(A)は、寸法Tに対して寸法U(=V)が30%だけ小さい場合を示す。
図12(B)は、図1〜図7に示すのと同じく、寸法U(=V)と寸法Tが等しい場合を示す。
図12(C)は、寸法Tに対して寸法U(=V)が30%だけ大きい場合を示す。
【0047】
寸法U(=V)に対する寸法Tの寸法範囲は、−30%(図12(A)参照)〜+30%(図12(C)参照)の範囲内が適当であり、望ましくは±20%の範囲内であり、特に望ましくは0%(図12(B)参照)である。
【0048】
寸法Tに対して寸法U(=V)が前記範囲内であると、裏金部12の材料が押圧工具33の外側面へより回り込み易い。突出部22に充分な突出量をより付与し易い。
【0049】
本実施形態では、裏金層12の背壁部23の背後に位置する摺動層11には変形が無く、摺動層11の内周面は全体的に平滑である。
すなわち、位置決め部材20の背後に位置する軸受本体13の内周面は平滑である
従って、本実施形態によれば、半割すべり軸受10の合わせ面14aからオイルが漏れ出し難いため、オイルリークを少なくすることが可能である。
また、本実施形態によれば、摺動層11の内周面にオイルのキャビテーションが発生し難いため、摺動層11の内周面の損傷を少なくすることが可能である。
【0050】
本実施形態では、位置決め部材20を押圧形成するのに、矩形平板状の押圧工具33を用いる。
裏金層12を押圧する押圧工具33の先端部分である加工面33aは、厚みを有した平坦形状であるため、強度が高く破損し難い。
従って、本実施形態によれば、半割すべり軸受10の生産性が高くなり製造コストを低減することが可能である。
【0051】
半割すべり軸受10に挿通された回転軸(例えば、クランクピンなど)の回転に伴い、半割すべり軸受10が円周方向に連れ回ってしまうと、すべり軸受として機能しなくなる。
そこで、本実施形態の位置決め部材20を、半割すべり軸受10の円周方向への回転を防止するための係止部材として用いることが考えられる。
【0052】
図13(A)は、本実施形態の位置決め部材20を係止部材として用いる場合の加工方法を説明するための説明図であり、半割すべり軸受10における位置決め部材20の近傍を示す要部縦断面図である。
裏金層12の背壁部23および摺動層11において、寸法Wに対応する部分を切断線Kに沿って切削除去する。
すると、元々の合わせ面14aは除去され、切断線Kに沿った新たな合わせ面14cが形成される。
図13(B)は、本実施形態の位置決め部材20を係止部材として用いる場合に、半割すべり軸受10を軸受ハウジング40に組み付けた状態を説明するための要部縦断面図である。
軸受ハウジング40の合わせ面40aには、嵌合溝41が形成されている。
半割すべり軸受10を軸受ハウジング40に組み付ける際には、嵌合溝41に位置決め部材20を嵌合させることにより、軸受ハウジング40に対する半割すべり軸受10の位置決めを行う。
このとき、半割すべり軸受10には切断線Kに沿った合わせ面14cが形成されているため、半割すべり軸受10の合わせ面14cと軸受ハウジング40の合わせ面40aとは同一平面状に位置することになる。
【0053】
半割すべり軸受10と対になる半割すべり軸受50は、軸受ハウジング60に組み付けられており、半割すべり軸受50と軸受ハウジング60の両者の合わせ面は面一状態になっている。
そのため、軸受ハウジング40に軸受ハウジング60を組み付けると、半割すべり軸受10と半割すべり軸受50の合わせ面同士が密着すると共に、半割すべり軸受10の位置決め部材20の突出部22の先端部分が、軸受ハウジング60の合わせ面に当接し、位置決め部材20は係止部材として機能する。
従って、各半割すべり軸受10に挿通された回転軸(図示略)の回転に伴い、半割すべり軸受10が円周方向に連れ回るのが防止される。
【0054】
ところで、図8に示す従来技術と図3に示す本実施形態とを比べると、寸法Y,Y’が同じ場合には、従来技術の寸法W’に比べて、本実施形態の寸法Wの方が小さくなる。
図13(A)に示すように、寸法Wに対応する部分を切断線Kに沿って切削除去する際には、寸法Wが小さいほど切削量が少なくなり切削加工が容易になるため望ましい。
従って、従来技術に比べて本実施形態では、寸法Wが小さいため、位置決め部材20を係止部材として用いる場合における半割すべり軸受10の切削加工が容易になることから、生産性が高くなり製造コストを低減することができる。
【0055】
図14は、本実施形態の位置決め部材20を係止部材として用いる場合に、半割すべり軸受10を軸受ハウジング40に組み付けた状態を説明するための要部縦断面図である。
図14に示す例では、図13に示す例のように半割すべり軸受10を切削加工せず、軸受ハウジング60の合わせ面に穿設した取付穴61に対して、ピン62を挿入固定し、ピン62の先端部分と位置決め部材20の突出部22の先端部分とを当接させることにより、位置決め部材20を係止部材として機能させている。
そのため、寸法Wが小さいほど、ピン62の高さ寸法を小さくして部品コストを低減できるため望ましい。
従って、従来技術に比べて本実施形態では、寸法Wが小さいため、位置決め部材20を係止部材として用いる場合に、ピン62がより小型で済むことから部品コストの低減が可能になり、図14に示す軸受機構全体のコストも低減できる。
【0056】
<別の実施形態>
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、前記実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
前記実施形態の半割すべり軸受10は二層構造であるが、裏金層12を省いた一層構造(ソリッドタイプ)にしてもよく、その場合には、摺動層11となる部材に位置決め部材20を形成することになる。
また、半割すべり軸受10は、二層構造に加えてオーバーレイを施した三層構造(トリメタルタイプ)にしてもよく、更には四層構造以上の多層構造にしてもよい。
【0057】
前記実施形態では、半割すべり軸受10の軸方向における略中間位置に位置決め部材20を1個のみ形成しているが、略中間位置に限らず合わせ面14aのどの箇所に位置決め部材20を形成してもよく、合わせ面14aの適宜な箇所に2個以上の位置決め部材20を形成してもよい。合わせ面14aと合わせ面14bのように半割すべり軸受10の円周方向両端部に、位置決め部材20をそれぞれ形成してもよい。位置決め部材20の形成位置は特に限定されず、位置決め部材20を例えば半割すべり軸受10の軸線方向端部に形成してもよい。
【0058】
本発明は、前記各局面および前記実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した公開特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
以下、次の事項を開示する。
(1)
半円筒形の軸受本体と、
該軸受本体の合わせ面の外周側一部へ工具を押圧して、前記合わせ面の外周側一部とともに前記軸受本体の形成材料を半径方向外側へ変形させることにより、軸受本体の合わせ面に形成される位置決め部材と、を備える半割すべり軸受の製造方法において、
前記合わせ面の外周側一部へ前記工具を押圧することにより前記軸受本体の形成材料を前記工具の外側面へ近接するように塑性変形させて前記位置決め部材を形成する、半割すべり軸受の製造方法。
(2)
前記工具は前記合わせ面の外周側一部へ当接する第1の面と、該第1の面と連続する第2の面であって前記軸受本体に対して外周側に位置する第2の面とを備え、前記第1の面と前記第2の面との挟角は直角ないし鈍角であり、
前記第2の面の前記第1の面側の先端の位置は、前記軸受本体の外縁と一致するか、若しくは外縁と一致するときの第1の面の幅の±30%以内の長さの範囲で軸受本体の外縁から半径方向に偏移している、(2)に記載の製造方法。
(3)
前記工具の第1の面と前記第2の面はともに平坦であり、かつ両者の挟角は直角である、(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)
半円筒形の軸受本体と、
該軸受本体の合わせ面に形成される位置決め部材と、を備える半割すべり軸受であって、
前記位置決め部材は前記合わせ面より前記軸受本体の略円周方向へ偏移した平坦部と該平坦部から半径方向外側へ突出した突出部とを備え、前記平坦部を含む仮想平面に対して前記突出部の先端が前記合わせ面側に位置している、半割すべり軸受。
(5)
前記合わせ面の外縁から前記突出部の先端までの半径方向の距離Yと、前記合わせ面から前記位置決め部材の下縁までの前記半径方向に対する垂直方向の距離Zとの比(Y/Z)が0.2以上である、ことを特徴とする(4)に記載の半割すべり軸受。
(6)
前記平坦部の外周側端部は、前記軸受本体の外周面と一致するか、若しくは前記平坦部の内周側端部を前記軸受本体の略円周方向に合わせ面まで偏移したところとその合わせ面の外縁との距離の±30%以内の長さの範囲で前記外周面から半径方向に偏移している、(4)又は(5)に記載の軸受。
【符号の説明】
【0059】
10…半割すべり軸受
11…摺動層
12…裏金層
13…軸受本体
14a,14b,14c…合わせ面
20…位置決め部材
21…凹部
21a…平坦部
22…突出部
22a…内面部
23…背壁部
30…ダイス
30a…内周面
30b,30c…上面
30d…成形凹部
31a,31b,32…固定具
33…押圧工具
33a…加工面
40…軸受ハウジング
40a…合わせ面
41…嵌合溝
50…半割すべり軸受
60…軸受ハウジング
61…取付穴
62…ピン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半円筒形の軸受本体と、
該軸受本体の合わせ面の外周側一部へ工具を押圧して、前記合わせ面の外周側一部とともに前記軸受本体の形成材料を半径方向外側へ変形させることにより、軸受本体の合わせ面に形成される位置決め部材と、を備える半割すべり軸受の製造方法において、
前記軸受本体の円周方向における形成材料の変形量を抑制しつつ、前記位置決め部材がその機能を奏するために必要な突出量を確保する、半割すべり軸受の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−31991(P2012−31991A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86685(P2011−86685)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【分割の表示】特願2010−548685(P2010−548685)の分割
【原出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(591001282)大同メタル工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】