説明

半導体ウェーハの識別記号読み取り方法及びその装置

【課題】半導体ウェーハにマーキングされた識別記号の近傍に配線等が形成されて表面状態が変化しても、識別記号の読み取りが可能な読み取り方法及びその装置を提供する。
【解決手段】 半導体ウェーハに半導体装置を製造する複数の工程の合間に、前記半導体ウェーハ10にマーキングされた、複数の窪みの配列からなる識別記号12を、前記窪及び前記窪みの周囲に光58を照射して読み取る識別記号読み取り方法において、前記識別記号の位置に於いて前記光58の進行方向が前記半導体ウェーハ10の表面に対してなす角度を、前記周囲より前記窪みが明るく観察されるように設定する第1の工程と、第1の工程の後、前記識別記号を読み取る第2の工程を具備すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハの識別記号読み取り方法及びその装置に関し、特に、半導体装置の製造過程に於ける半導体ウェーハ表面の状態変化によって読み取り困難になった識別記号を、読み取り可能とする識別記号読み取り方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、種々の製造装置からなる製造ラインで、多数の半導体ウェーハを同時に処理して製造される。
【0003】
このような製造ラインでは、半導体ウェーハ毎に異なった識別記号(Identification number; ID)がマーキングされている。この識別記号によって、半導体ウェーハの処理履歴情報(施された処理の履歴)や品質情報(製造した半導体素子の特性やその測定条件)が管理される。
【0004】
また、一のキャリアから他のキァリヤ(例えば、材質の異なるキャリア)に、収納されている半導体ウェーハを一括して移し替える入れ替え作業にも識別番号は利用される。更に、半導体ウェーハを同一キャリア内で並べ替える並べ替え作業にも識別番号は利用される。
【0005】
このように識別記号は、半導体装置の製造には必要不可欠なものである。
【0006】
ところで、半導体ウェーハに識別記号をマーキングするためには、例えば、レーザ光を半導体ウェーハに照射して微細な窪み(ドット)を形成する。識別記号は、このような窪みを、例えば、文字やバーコードを構成するように配列して形成される。
【0007】
このように形成された識別記号を読み取るためには、光の照射された識別記号をCCDカメラ等によって撮影し、得られた画像を処理して識別記号を抽出する(特許文献1及び2)。
【特許文献1】特開平6−112300号公報
【特許文献2】特開平7−307256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、種々の製造工程を経て半導体ウェーハ表面の状態が変化すると、識別記号の読み取りが困難になり誤読が発生する。
【0009】
本発明者は、異なった構造を有する照明ユニットを備えた2種類の読み取り装置を用いて、半導体ウェーハにマーキングした識別記号の読み取りを行っている。
【0010】
しかし、何れの装置を用いても、種々の製造工程を経るうちには、識別記号を誤読してしまうようになる。そこで、両装置について、誤読発生のメカニズムを説明する。
【0011】
(1)落射照明ユニットを備えた識別記号読み取り装置(関連技術1)
(a)構 成
図19は、本発明者が使用している一方の識別記号読み取り装置2を側面から見た概略図である。この読み取り装置は、落射照明ユニット8で生成した光を半導体ウェーハ10に照射して、識別記号12を読み取る装置である。
【0012】
この識別記号読み取り装置2は、半導体ウェーハ10に半導体装置を製造する複数の工程の合間に使用される。そして、識別記号読み取り装置2は、半導体ウェーハ10にマーキングされた、複数の窪みの配列からなる識別記号12を、この窪及びその周囲に落射光14を照射して読み取る。
【0013】
この識別記号読み取り装置2の構成は、以下の通りである。
【0014】
まず、識別記号読み取り装置2は、照明4とハーフミラー6からなり、識別記号12を構成する複数の窪み及びその周辺に落射光14を照射する落射照明ユニット8を備えている。
【0015】
また、この識別記号読み取り装置は、上記窪及びその周囲からなる領域の画像を撮影するカメラ16を備えている。
【0016】
更に、識別記号読み取り装置2は、カメラ16によって撮影した画像を処理して、識別記号12を抽出する画像処理ユニット18を具備している。
(b)読み取り動作
図19に示す装置を用いた識別記号12の読み取りは、次のように行われる。
【0017】
まず、照明4を点灯して、識別記号12を構成する窪み及びその周囲に落射光を照射する。
【0018】
次に、識別記号12をCCDカメラ16で撮影し、CCDカメラ16によって撮影した画像を処理して識別記号12を抽出する。すなわち、識別記号12を読み取る。尚、落射光とは、半導体ウェーハ10に対して真上から照射される光のことをいう。
【0019】
図20は、識別記号12を構成する窪み20及びその周囲26に、落射光14を照射した状態を説明する図である。窪み20の周囲26に照射された落射光14は殆どが正反射し、正反射光22となる。その結果、反射光22の大分は、半導体ウェーハ10の真上に配置されるCCDカメラ16に入射する。ここで正反射とは、入射した平行光線が、反射後も平行光線となる反射のことを言う。
【0020】
一方、窪み20に照射された落射光14は、窪み20の表面を構成する曲面又はそこに形成された凹凸によって、反射方向が一定せず色々な方向に反射(乱反射)される。このため、窪み20で反射された落射光14は、その一部しかCCDカメラ16に入射しない。
【0021】
図20の窪み20とその周囲26をCCDカメラ16によって撮影し、窪み20を横断する線に沿って、CCDカメラ16に対して受光する反射光の強度を測定すると図21のようになる。
【0022】
従って、図21に示すように、窪み20からの反射強度Ibは、その周囲26からの反射光強度Iaより弱くなる。
【0023】
この反射光強度の濃淡の違いによって、識別記号12が読み取られる。
(c)誤読の発生メカニズム
(i)形 態
このようにマーキングされた直後の識別記号12は、読み取りが容易である。しかし、半導体装置の製造工程が進み、半導体ウェーハ10に種々の加工が施されると、識別記号12の判読が次第に困難になっていく。
【0024】
図22は、製造工程が進み、識別記号12を構成する窪み20の近傍に配線28が形成された状態を示している。図23は、このような半導体ウェーハ10の表面からの反射光強度を、識別記号12を構成する窪み20及び配線28を横断する線に沿って測定した結果を説明する図である。
【0025】
CCDカメラ16が受光する配線28からの反射光強度Icは、図23に示すように平坦なウェーハ表面32からの反射光強度Iaより小さくなる。これは、配線28を構成する金属膜がグレイン状に形成された場合や、配線28の太さが光の波長と同程度であった場合に、反射光30の方向が一定にならなくなるためと考えられる。
【0026】
すなわち、識別記号12を撮影した画像に、窪み20以外の場所にも暗く映し出される場所(暗所)が現れる。このように、識別記号12を構成する窪み20以外の場所に暗所が現れると、識別記号12の判読が困難になる。
【0027】
図24は、識別記号12の読み取りに誤りが生じる一例を示したものである。
【0028】
図24(a)は、識別記号12をマーキングした直後の半導体ウェーハの表面を、CCDカメラ16で観察した画像の例である。この図のようにマーキング直後の識別記号12は明瞭であり、読み取りに誤りが生じる余地はない。
【0029】
図24(b)は、識別記号12を含む領域に配線28を形成した状態を、CCDカメラ16で撮影した画像である。同図に示すように、文字列「12345ABC」からなる識別記号12の「3」と「C」の一部に配線28がかかっている。
【0030】
図24(c)は、図24(b)に示す画像を画像処理ユニット18で画像処理して、識別記号を読み取った結果である。図24(c)に示すように、画像処理ユニット18は、識別記号「12345ABC」中の文字「3」を「8」と誤読してしまう。また、画像処理ユニット18は、識別記号「12345ABC」中の文字「C」を「0」と誤読してしまう。
【0031】
(ii)発生メカニズム
次に、このような誤読の生じる理由について説明する。
【0032】
最初に誤読発生の前提となる、画像処理ユニット18が識別記号12を構成する一文字を読み取る工程を説明する。図25は、画像処理ユニット18が識別記号12を構成する文字を読み取る工程の流れを説明する図である。また、図26は、画像処理ユニット18で行われる画像処理を説明する図である。
【0033】
画像処理ユニット18は、CCDカメラ16が撮影した画像から、識別記号12を構成するある一文字に相当する画像を抽出する(S10)。
【0034】
次に、画像処理ユニット18は、ステップS10によって抽出した画像を窪み20に相当する大きさの画素に分解する。図26(a)は、識別記号12をCCDカメラ16で撮影した画像から文字「3」に相当する領域を抽出し、その領域を、窪み20に相当する大きさの画素34に分解した状態を説明する図である。
【0035】
各画素34は、図26(a)に示した正方形からなる微小領域である。図26(a)に示した「●」からなる像は、各画素34に分解される前の画像である。この画像は、文字「3」を構成するように窪み20が配列された像である。
【0036】
画素34は、上記画像全体を覆っている。画像処理ユニット18は、各画素内で信号強度(反射光強度に比例)を平均化し、所定の閾値Ithに基づいて、各画素に於ける信号強度を2値化する。すなわち、適宜閾値Ithを設定し、信号強度が閾値Ith以上の画素に対しては「0」を対応させ、信号強度が閾値Ith以下の画素に対しては「1」を対応させる(S20)。図21には、このような閾値Ithの一例が示されている。
【0037】
図26(b)は、以上のようにして各画素34に「1」又は「0」を対応させた結果である。
【0038】
次に、画像処理ユニット18は、図26(b)のように2値化された画像データを、画像処理ユニット18に記録された辞書データと比較する(S30)。辞書データには、例えば、図27のように、識別記号を構成する各文字(例えば、「3」)を特定の値(例えば、「H」)を有する画素の組合せで表したデータが記録されている。
【0039】
図27は、文字「3」に対する辞書データである。図27では、文字「3」が、値「H」を有する画素の組合せによって表されている。画像処理ユニット18は、各文字に対する辞書データを、自らに備わっている辞書データファイルから順次読出し、上記2値化された画像データと比較する。
【0040】
比較は、例えば、次のように行われる。
【0041】
辞書データ(図27)に記録された左上の画素36の値が「H」であり、画像データ(図26(b))に於ける対応する画素38の値が「1」である場合には、これらの画素36,38の値は一致したと判定する。一方、辞書データの値「L」に対して対応する画像データ画素の値が「0」であった場合に、両者が一致したと判断する。このような判定を、全ての画素について行う。その結果、一致率(全画素数に対する、値が一致した画素の数)が所定の値(基準値;例えば、90%)を超えた場合に、辞書データが表す文字(以上の例では、「3」)を比較相手の画像データに対する文字として特定する。
【0042】
図26及び図27に示した例では、一致率が100%であり、上記所定の値(基準値;90%)を超えている。従って、抽出された画像データ(図26(a))に対して文字「3」を特定する。
次に、図28に示すような、識別記号「3」を構成する窪み20の端に配線28がかかっている画像データを例として、誤読の発生するメカニズムを説明する。
【0043】
上述したように配線28は画像上では、暗く映し出される。従って、配線28に対応する画素40を2値化すると、暗所に対応する値「1」となる。従って、図28(a)に示す文字「3」の左端に配線28がかかった画像を2値化すると、図28(b)のようになる。
【0044】
図28(b)に示された画像データは、文字「3」ではなく文字「8」に近似している。
【0045】
図29は、文字「3」及び文字「8」の辞書データを表したものである。図29(a)は文字「3」に対する辞書データであり、図29(b)は文字「8」に対する辞書データである。
【0046】
図28(b)に示した画像データと図29(a)に示した辞書データ(文字「3」に対応)の一致率は、87%(=39÷45×100)である。一方、図28(b)に示した画像データと図29(b)に示した辞書データ(文字「8」に対応)の一致率は、93%(=42÷45×100)である。
【0047】
2値化された画像データとも辞書データの一致度を判定する上記所定の値(基準値)が、例えば90%であったとする。すると、図28(b)の2値化された画像データに対して、画像処理装置18は正しい文字「3」ではなく、文字「8」を特定してしまう。
【0048】
このように、製造工程の進捗により、識別記号12を構成する窪み20及びその周囲の表面状態が変化すると、窪み20以外にも、周囲より暗い領域がCCDカメラ16で撮影される画像に出現する。このような場合、画像処理ユニット18は、識別記号12を誤って読み取ってしまう。或いは、識別記号の読み取り自体が困難になる。
【0049】
尚、識別記号の誤読となる原因は上述した配線に限られるものではなく、半導体装置の製造過程で半導体ウェーハ上に形成される種々の構造が誤読の原因となる。
【0050】
(2)斜光照明ユニットを備えた識別記号読み取り装置(関連技術2)
(a)構 成
図30は、本発明者が使用しているもう一方の識別記号読み取り装置を側面から見た概略図である。この識別記号読み取り装置42は、斜光照明ユニットで生成した光を半導体ウェーハ10に照射して、識別記号12を読み取る装置である。
【0051】
この識別記号読み取り装置42は、半導体ウェーハ10に半導体装置を製造する複数の工程の合間に使用される。そして、識別記号読み取り装置2は、半導体ウェーハ10にマーキングされた、複数の窪みの配列からなる識別記号12を、この窪及びその周囲に斜光44を照射して読み取る。
【0052】
この識別記号読み取り装置42の構成は、以下の通りである。
【0053】
まず、識別記号読み取り装置42は、2つの照明4からなり、識別記号12を構成する複数の窪み及びその周辺に斜光44を両側から斜めに照射する斜光照明ユニット46を備えている。
【0054】
また、この識別記号読み取り装置42は、上記窪及びその周囲からなる領域の画像を撮影するカメラ16を備えている。
【0055】
更に、識別記号読み取り装置42は、カメラ16によって撮影した画像を処理して、識別記号12を抽出する画像処理ユニット18を具備している。
(b)読み取り動作
図30に示す装置を用いた識別記号12の読み取りは、次のように行われる。
【0056】
まず、照明4を点灯して、識別記号12を構成する窪み及びその周囲に斜光44を照射する。ここで、斜光とは、半導体ウェーハ10に斜めに入射してくる光のことをいう。
【0057】
次に、識別記号12をCCDカメラ16で撮影し、CCDカメラ16によって撮影した画像を、画像処理ユニット18で処理して識別記号12を抽出する。すなわち、識別記号12を読み取る。
【0058】
図31は、識別記号12を構成する窪み20及びその周囲26に、斜光44を照射した状態を説明する図である。窪み20の周囲26に照射された斜光44は殆どが正反射し、正反射光22となる。
【0059】
正反射光22は、半導体ウェーハ10によって斜めに反射される。ところで、斜光照明ユニット44は高い位置から半導体ウェーハに斜光44を照射する。従って、斜光44と入半導体ウェーハ10のなす角θ1は60度以上と大きく、従って、正反射光22と半導体ウェーハ10のなす反射角θ2(=θ1)も大きく。このため、殆どの正反射光22が、半導体ウェーハ10の真上に配置されるCCDカメラ16に入射する。
【0060】
一方、窪み20に照射された斜光44は、窪み20の表面を構成する曲面又はそこに形成された凹凸によって、反射方向が一定せず色々な方向に反射(乱反射)される。このため、窪み20で反射された斜光44は、その一部しかCCDカメラ16に入射しない。従って、窪み20は、その周囲26に対して明るくなる。
【0061】
図20の窪み20とその周囲26をCCDカメラ16によって撮影し、窪み20を横断する線に沿って、位置座標x(図31参照)に対してCCDカメラ16が受光する反射光の強度を測定すると、図21のようになる。
【0062】
すなわち、図21は、窪み20とその周囲26を横断する線に沿った、CCDカメラに入射する反射光の強度を説明する概略図である。横軸は窪み20を横断する線上の座標x(図20参照)であり、縦軸は反射光の強度である。
【0063】
この関係は、上述した落射照明ユニット8を用いた場合と同じである。すなわち、窪み20の周囲26からの反射光強度Iaは、窪み20からの反射強度Ibより強い。
【0064】
この反射光強度の濃淡の違いによって、識別記号12が読み取られる。
【0065】
このように、斜光照明ユニット44を備えた識別記号読み取り装置42の動作は、上述した落射照明ユニット8と殆ど同じである。
【0066】
従って、斜光照明ユニット44を備えた識別記号読み取り装置42においても、上述した落照明ユニット8を備えた識別記号読み取り装置2と同様、識別記号12を構成する窪み20及びその周囲26の表面状態が変化すると、窪み20以外にも周囲より暗い領域が、CCDカメラ16によって撮影される画像に出現してしまう。このため画像処理ユニット18が、識別記号12を誤って読み取ってしまう。
(3)課題
そこで、本発明の目的は、半導体装置の製造過程に於ける半導体ウェーハ表面の状態変化によって読み取り困難になった識別記号を、読み取り可能とする識別記号読み取り方法及びその装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0067】
(第1の側面)
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、識別記号読み取り方法において、半導体ウェーハに半導体装置を製造する複数の工程の合間に、前記半導体ウェーハにマーキングされた、複数の窪みの配列からなる識別記号を、前記窪及び前記窪みの周囲に光を照射して読み取る識別記号読み取り方法において、前記識別記号の位置に於いて前記光の進行方向が前記半導体ウェーハの表面に対してなす角度を、前記周囲より前記窪みが明るく観察されるように設定する第1の工程と、第1の工程の後、前記識別記号を読み取る第2の工程を具備することを特徴とする。
【0068】
第1の側面では、半導体ウェーハ表面と照射光の進行方向のなす角度を調整して、識別記号を構成する窪み(ドット)がその周囲より明るく観察されるようにする。このようにすると、識別記号を構成する窪みの近傍に配線等が形成されたとしても、窪みは配線等に比べ十分に明るく観察される。すなわち、窪み(ドット)の周囲に配線等の構造物が形成されても、窪みとその周囲の間に十分なコントラストが保たれる。従って、第1の側面によれば、配線等の形成に起因する識別記号の誤読を防止する識別記号読み取り方法を提供することができる。
【0069】
(第2の側面)
上記の目的を達成するために、本発明の第2の側面は、第1の側面における識別記号読み取り方法において、前記第1の工程が、前記識別記号の画像として予め登録されている辞書データと前記識別記号として読み取った画像データの一致率が、所定の値以上になるように前記角度を調整することを特徴とする。
【0070】
第2の側面によれば、識別記号を構成する窪み(ドット)がその周囲より明るくするための角度の調整が容易になる。
【0071】
(第3の側面)
上記の目的を達成するために、本発明の第3の側面は、第2の側面における識別記号読み取り方法において、前記第1の工程が、前記角度に加え、前記半導体ウェーハ上に於ける前記光の強度及び前記強度が最大になる位置のいずれか一方又は双方を調整することを特徴とする。
【0072】
第3の側面によれば、識別記号を構成する窪み(ドット)がその周囲より明るくするための角度の調整が更に容易になる。
【0073】
(第4の側面)
上記の目的を達成するために、本発明の第3の側面は、第1乃至3の側面において、前記第1の工程が、前記工程によって、前記窪み及び前記窪みの周囲からなる領域の表面状態が変化した場合に行うことを特徴とする。
(第5の側面)
上記の目的を達成するために、本発明の第5の側面は、半導体ウェーハに半導体装置を製造する複数の工程の合間に、前記半導体ウェーハにマーキングされた、複数の窪みの配列からなる識別記号を、前記窪及び前記窪みの周囲に光を照射して読み取る識別記号読み取り装置において、前記光を照射する照明ユニットと、前記窪及び前記窪みの周囲からなる領域を撮影するカメラと、前記画像を処理して、前記識別記号の抽出する画像処理ユニットを具備し、前記照明ユニットが、前記識別記号の位置に於いて前記光の進行方向が前記半導体ウェーハに対してなす角度を、前周囲より前記窪みが明るく観察されるように設定可能であることを特徴とする。
【0074】
第5の側面では、半導体ウェーハ表面と照射光の進行方向のなす角度を調子して、識別記号を構成する窪み(ドット)がその周囲より明るく観察されるようにする。このようにすると、識別記号を構成する窪みの近傍に配線等が形成されたとしても、窪みは配線等に比べ十分に明るく観察される。すなわち、窪み(ドット)の周囲に配線等の構造物が形成されても、窪みとその周囲の間に十分なコントラストが保たれる。従って、第4の側面によれば、配線等の形成に起因する識別記号の誤読を防止する識別記号読み取り装置を提供することができる。
【0075】
(第6の側面)
上記の目的を達成するために、本発明の第6の側面は、第5の側面における識別記号読み取り装置において、前記画像データに基づいて、前記照明ユニットを制御する制御ユニットを具備し、前記画像処理ユニットは、明るい画素に対応する第1の値及び暗い画素に対応させる第2の値の何れか一方を、前記画素の明暗に応じて、前記画素毎に対応させてなる前記画像データを作成し、前記制御ユニットは、前記照明ユニットを制御することによって、前記窪みに対応する画素が前記第1の値になり、前記周囲に対応する画素が前記第2の値になるように、前記角度を調整する。
【0076】
第6の側面に寄れば、識別記号を構成する窪み(ドット)がその周囲より明るくするための角度の調整が容易になる。
【0077】
(第7の側面)
上記の目的を達成するために、本発明の第7の側面は、半導体ウェーハにマーキングされた、複数の窪みの配列からなる識別記号を、前記窪み及び前記窪みの周囲に光を照射して読み取る第1の工程と、前記識別記号の位置に於いて前記光の進行方向が前記半導体ウェーハの表面に対してなす角度を、前記周囲より前記窪みが明るく観察されるように設定する第2の工程と、第2の工程の後、前記識別記号を読み取る第3の工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0078】
本発明では、半導体ウェーハ表面と照射光の進行方向のなす角度を調整して、識別記号を構成する窪み(ドット)がその周囲より明るく観察されるようにする。このようにすると、識別記号を構成する窪みの近傍に配線等が形成されたとしても、窪みは配線等に比べ十分に明るく観察される。すなわち、窪み(ドット)の周囲に配線等の構造物が形成されても、窪みとその周囲の間に十分なコントラストが保たれる。従って、本発明によれば、配線等の形成に起因する識別記号の誤読を防止する識別記号読み取り方法及びその装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0079】
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。なお、図面が異なっても対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0080】
(実施の形態1)
本実施の形態は、半導体装置の製造工程の進展に伴って識別記号12を構成する窪み20及びその周囲26からなる領域の表面状態が変化した場合にも、識別記号12の読み取りを可能とする識別記号読み取り装置および読み取る方法に係わるものである。
【0081】
(1)識別記号読み取り装置
本実施の形態における識別記号読み取り装置は、半導体ウェーハ表面と照射光の進行方向がなす角度を小さく(例えば、45度より小さく)設定可能な照明ユニットを有している。このため、識別記号を構成する窪み(ドット)以外の領域からカメラに入射する反射光を、少なくすることができる。このため、識別記号の近傍に配線等が形成されても窪みとその周囲のコントラストを十分に広く保つことができので、配線等の形成に起因する誤読を防止することができる。
【0082】
(I)構 成
図1は、本実施の形態に於ける識別記号読み取り装置54を側面から見た概略図である。図2は、本実施の形態に於ける識別記号読み取り装置54の主要部を鳥瞰した模式図である。
【0083】
この識別記号読み取り装置54は、半導体ウェーハ10に半導体装置(図示せず)を製造する複数の工程の合間に使用される。そして、識別記号読み取り装置54は、半導体ウェーハ10にマーキングされた、複数の窪み(ドット)の配列からなる識別記号12を、この窪及びその周囲に光58を照射して読み取る。尚、上記窪み(ドット)は、例えば、レーザマーキングによって形成される。
【0084】
この識別記号読み取り装置54の構成は、以下の通りである。
【0085】
まず、識別記号読み取り装置54は、例えば、発光ダイオード(LED)からなる照明4を備え、識別記号12を構成する複数の窪み及びその周辺に光58を照射する照明ユニット48を備えている。
【0086】
また、この識別記号読み取り装置54は、上記窪及びその周囲からなる領域の画像を撮影するカメラ50(例えば、CCDカメラ)を備えている。
【0087】
また、識別記号読み取り装置54は、カメラ50によって撮影した画像を処理して、識別記号12を抽出する画像処理ユニット18を具備している。
【0088】
更に、識別記号読み取り装置54は、図1のように、カメラ50によって撮影した画像データに基づいて、照明ユニット48を制御する制御ユニット52を具備してもよい。
【0089】
尚、制御ユニット52は、必ずしも必要ではない。制御ユニット52を用いない場合には、オペレータが、画像データに基づいて、照明ユニット48を調整すればよい。
(II)読み取り動作
(i)動 作
識別記号12は、図1に示す装置によって以下のように読み取られる。
【0090】
まず、照明ユニット48を点灯して、識別記号12を構成する窪み及びその周囲に光58を照射する。
【0091】
ここで、識別記号12の位置に於ける上記光58の進行方向(光強度が最大となる方向)が半導体ウェーハ10の表面に対してなす角度θを、識別記号12を構成する窪み(ドット)20がその周囲26より明るく観察されるように設定する。そのためには、例えば、光58が、半導体ウェーハ10の表面に対して45度より小さく0度より大きい角度θで入射するようにする。
【0092】
後述するように、照射光58と半導体ウェーハ10のなす角度θが小さくなるほど、識別記号を構成する窪み周辺からの反射光が少なり、相対的に窪みが明るくなる。このような状態で識別記号の近傍に配線等が形成されても、配線等の像は窪みに比べ十分に暗い。このため、窪みの周囲に配線等が形成されても、窪みとその周囲のコントラストは十分に広く保たれる。従って、識別記号の誤読が発生しにくくなる。
【0093】
このような照射光角度の調整の後、識別記号12をカメラ50で撮影し、カメラ50によって撮影した画像を画像処理ユニット18で処理して識別記号12を抽出する。すなわち、識別記号12を読み取る。
【0094】
ところで、上述した落射光を用いる識別記号読み取り装置2では、照射光と半導体ウェーハのなす角度θは90度である。また、斜光を用いる識別記号読み取り装置42でも、この角度θは60度以上である。すなわち、本実施の形態に於ける識別記号読み取り装置54で使用する光58の角度θは、これらの装置に比べ低い。そこで、以後、このような低角度で半導体ウェーハ10に照射される光を、低斜光と呼ぶこととする。
【0095】
(ii)原 理
まず、識別記号12を構成する窪み20及びその周辺26に配線等が形成された場合に、カメラ50によって撮影される画像について説明する。
【0096】
図3は、本実施の形態に於ける識別記号読み取り装置54によって、識別記号12を構成する窪み20及びその周囲26に、低斜光58を照射した状態を説明する図である。ここで、図3は、識別記号12を構成する窪み20及びその周辺26に配線等が未だ形成されていない状態を示している。
【0097】
窪み20の周囲26に照射された低斜光60は、平坦な半導体ウェーハ表面で正反射され正反射光22となる。ここで半導体ウェーハ10と低斜光60のなす角度θは、例えば45度より小さい低角度である。従って、正反射光22が半導体ウェーハ10の表面となす角度φ(=θ)も低くなるので(小さくなるので)、殆どがカメラ50には入射しない。
【0098】
一方、窪み20に照射された低斜光62は、窪み20の表面を構成する曲面又はそこに形成された凹凸によって、色々な方向に反射(乱反射)される。このため、窪み20で反射された低斜光64は、その一部がカメラ50に入射する。このため窪み20は、その周囲26に比べて明るくなる。
【0099】
図4は、窪み20とその周囲を横断する線に沿った、カメラ50に入射する反射光の強度を説明する概略図である。横軸は窪み20を横断する線上の座標x(図3参照)であり、縦軸は反射光の強度である。
【0100】
落射光や斜光を識別記号に照射する上記関連技術とは逆に、窪み20で発生する反射光強度Ib'が、窪み20の周囲26で生じる反射光の強度Ia'より強い。この反射光強度の濃淡の違いによって、識別記号12が読み取られる。
【0101】
次に、識別記号12を構成する窪み20及びその周辺26に配線等が形成された場合に、カメラ50によって撮影される画像について説明する。
【0102】
図5は、本実施の形態に於ける識別記号読み取り装置54によって、識別記号12を構成する窪み20及びその周囲26に低斜光60,62を照射した状態を説明する図である。図5は、識別記号12を構成する窪み20及びその周辺26を含む領域に配線が形成されている場合を示している。
【0103】
窪み20の周囲26に照射された低斜光60は、平坦な半導体ウェーハ表面で正反射され正反射光22となる。ここで半導体ウェーハ10と低斜光60のなす角度θは、例えば45度より小さい低角度である。従って、正反射光22が半導体ウェーハ10の表面となす角度φ(=θ)も低く、殆どがカメラ50には入射しない。
【0104】
一方、窪み20に照射された低斜光62は、窪み20の表面を構成する曲面又はそこに形成された凹凸によって色々な方向に反射(乱反射)され、反射方向が一定しない。このため、窪み20で反射された低斜光64は、その一部がカメラ50に入射する。従って、窪み20は、その周囲26に比べ明るくなる。
【0105】
更に、配線28を構成する金属膜がグレイン状に形成された場合や、配線28の太さが光の波長と同程度であった場合、配線28によって反射された反射光30の方向も一定にならなくなる。このため、反射光30の一部がカメラ50に入射し、配線28は、窪みの周囲26より明るくなる。但し、配線28の表面は窪み20の内部よりは平坦なので、配線28は窪み20よりは暗くなる。すなわち、明るさの順番は、窪み20、配線28、窪み20も配線28も形成されていない半導体ウェーハ10の表面の順である(窪み20が最も明るい。)。
【0106】
図6は、窪み20とその周囲を横断する線に沿った、カメラ50に入射する反射光の強度を説明する概略図である。横軸は窪み20を横断する線上の座標x(図3参照)であり、縦軸は反射光の強度である。
【0107】
窪み20で発生する反射光強度Ib'が最も強く、次に配線28で発生する反射光強度Ic'が強く、窪み20の周囲26であって配線28が形成されていない領域32からの反射光が最も弱い。
【0108】
上述したように、半導体ウェーハ10に照射される低斜光60と半導体ウェーハ10のなす角度θが小さいため、識別記号12を構成する窪み20の周辺26からカメラ50に入射する反射光の強度Ia'は極めて小さい。
【0109】
窪みの周辺26に配線28等が形成さえると反射光の方向が乱れ、反射光の一部がカメラ50に入射する。このため、配線28からカメラ50に入射する反射光の強度Ic'は、配線28等の周囲よりは強くなる。しかし、配線28等の表面はある程度平坦に保たれているので、配線28等の周囲32(半導体ウェーハ表面の平坦な領域)と同様、角度θが小さくなると配線28がカメラ50に向かって反射する光の量が急激に減少する。
【0110】
一方、窪み20からカメラ50に入射する反射光の強度は、あまり角度θには依存しない。
【0111】
すなわち、低斜光60と半導体ウェーハ10のなす角度θが小さくなると、平坦な半導体ウェーハ10の表面32(配線28が形成されていない窪みの周囲)に比べ窪み20の像は明るくなる。
【0112】
従って、窪み20の周辺に配線28等が形成されても、内部が大きく湾曲ししかも表面に微細な凹凸が形成された窪み20は、その周囲より格段に多くの光をカメラ50に反射する。このため、画像処理ユニット18は、容易に識別記号12を読み取ることができる。
【0113】
従って、本実施の形態における識別記号読み取り装置によれば、半導体装置の製造に伴う半導体ウェーハ表面の状態変化によって従来であれば読み取りが困難となってしまった識別記号であっても、容易に読み取ることができる。すなわち、識別記号12の近傍に配線等が形成されても誤読が発生ない。
【0114】
(2)識別記号読み取り方法
以上の説明から明らかなように、従来であれば半導体装置の製造に伴って半導体ウェーハの表面状態が変化し識別記号の読み取りが困難になる場合であっても、照明として低斜光を用いることによって、半導体ウェーハにマーキングされた識別記号12の読み取りが可能になる。
【0115】
図7は、識別記号12に低斜光を照射して識別記号を読み取る方法の工程を説明する図である。
【0116】
ここで説明する識別記号の読み取り方法は、半導体ウェーハに半導体装置を製造する複数の工程の合間に、この半導体ウェーハにマーキングされた、複数の窪みの配列からなる識別記号を、この窪及びその周囲に光を照射して読み取る方法である。
【0117】
まず、識別記号の位置に於いて上記光の進行方向が半導体ウェーハの表面に対してなす角度を、その周囲より上記窪みが明るく観察されるように設定する(S10)。
【0118】
ここで、上記角度としては、45度より小さく0度より大きいことが好ましい。更に好ましくは、30度より小さく5度より大きく、最も好ましくは、25度より低く10度より大きい。これは、上記説明から明らかように、低斜光58,60,62が半導体ウェーハ10となす角度θが小さいほど、窪み20とその周囲のコントラストが大きくなるからである。但し、角度θが小さすぎると、窪み20の中に光が届き難くなるので、角度θが小さすぎることも好ましくない。
【0119】
その後、識別記号を読み取る(S20)。
【0120】
このようにすれば、半導体装置の製造に伴う半導体ウェーハ表面の状態変化によって従来であれば読み取り困難となっていた識別記号であっても、読み取ることができるようになる。すなわち、識別記号12の近傍に配線等が形成されても誤読が発生しない。
【0121】
(実施の形態2)
本実施の形態は、図1の画像処理ユニット18及び制御ユニット52がより具体化された識別記号読み取り装置の一例である。
(1) 構 成
本実施の形態に於ける識別記号読み取り装置の構成54は、基本的には実施の形態1で説明した識別記号読み取り装置54と同じである(図1及び2参照)。
【0122】
但し、本実施の形態では、画像処理ユニット18が、明るい画素に対応する第1の値(例えば、“1”)及び暗い画素に対応させる第2の値(例えば、“0”)の何れか一方を、各画素の明暗に応じて、画素毎に対応させてなる画像データを作成する。
【0123】
また、本実施の形態では、制御ユニット52は、照明ユニット48を制御することによって、窪み20に対応する画素が第1の値(例えば、“1”)になり、窪み20の周囲26に対応する画素が第2の値(例えば、“0”)になるように、識別記号12がマーキングされた位置に於ける低斜光58の進行方向が半導体ウェーハ10に対してなす角度θを調整する。
【0124】
(2)動 作
(i)画像処理ユニットの動作
窪み10がその周囲に対して明るくなるように、低斜光58が半導体ウェーハ10に対してなす角度θが既に設定されている場合について、画像処理ユニット18の動作を説明する。但し、この様に角度θが設定されていない場合であっても、画像処理ユニット18の行う動作自体に異なる点はない。
【0125】
画像処理ユニット18は、識別記号12を構成する文字を一文字ずつ読み取ることによって、識別記号12全体を読み取る。
【0126】
画像処理ユニット18が識別記号12を構成する文字を読み取る工程は、図25に示した上記関連技術に於ける画像処理ユニットが文字を読み取る工程と基本的には同じである。図8は、画像処理ユニット18で行われる画像処理を説明する図である。
【0127】
まず、画像処理ユニット18は、カメラ50が撮影した画像から、識別記号12を構成するある一文字に相当する画像を抽出する(S10)。
【0128】
次に、画像処理ユニット18は、工程S10によって抽出した画像を、窪み20に相当する大きさを有する画素に分割する。図8(a)は、識別記号12をカメラ50で撮影した画像から文字「3」に相当する領域を抽出し、その領域を、窪み20に相当する大きさの画素34に分解した状態を説明する図である。
【0129】
各画素34は、図8(a)に示した正方形からなる微小領域である。図8(a)に示した「○」からなる像は、各画素34に分解される前の窪み20の画像である。ここで、窪み20は明るく、その周囲は暗く撮影されている。
【0130】
画素34は、上記画像全体を覆っている。画像処理ユニット18は、各画素内で信号強度(反射光強度に比例)を平均化し、所定の閾値I'thに基づいて、各画素に於ける信号強度を2値化する。すなわち、適宜閾値I'thを設定し、信号強度が閾値I'th以上の画素に対しては「1」を対応させ、信号強度が閾値I'th以下の画素に対しては「0」を対応させる(S20)。図4には、このような閾値I'thの一例が示されている。
【0131】
図8(b)は、以上のようにして各画素34に「1」又は「0」を対応させた結果である。
【0132】
次に、画像処理ユニット18は、図8(b)のように2値化された画像データを、画像処理ユニット18に記録された辞書データと比較し一致率を導出する(S30)。辞書データには、例えば、図27のように、識別記号を構成する各文字(例えば、「3」)を、値「H」(又は「L」)を対応させた画素の組合せで表したデータが記録されている。
【0133】
図27は、文字「3」に対する辞書データである。図27では、文字「3」が、値「H」に対応する画素の組合せによって表されている。画像処理ユニット18は、各文字に対する辞書データを、自らが備えている辞書データファイルから順次読出し、上記2値化された画像データと比較する。
【0134】
例えば、辞書データ(図27)に於ける左上の画素36の値が「H」であり、画像データ(図8(b))に於ける対応する画素38の値が「1」である場合には、これらの画素36,38の値は一致したと判定する。このような判定を、全ての画素について行う。その結果、一致率(全画素数に対する値が一致した画素の数)が所定の値(例えば、90%)を超えた場合に、辞書データが表す文字(以上の例では、「3」)を比較中の画像データ(図8(b))に対する文字として特定する。
【0135】
図8及び図27に示した例では一致率が100%で上記所定の値(90%)を超えているので、抽出された画像データに対して文字「3」を特定する。
【0136】
図9に示した表は、図8の画像データと図27の辞書データの一致率を、行番号が同じ行毎に比較した表である。画像処理ユニット18は、例えば、この表のように、行毎に一致率(横一致率)を算出し、その結果に基づいて全体の一致率を決定する。
【0137】
図8に示した例は、識別記号12を構成する窪み20及びその周囲に配線等が形成されていない例である。次に、識別記号12を構成する窪み20及びその周囲に配線等が形成されている画像に対する読み取り動作を説明する。図10に示す例では、識別記号「3」を構成する窪み20の配列(集合)の端に配線28がかかっている。
【0138】
上述したように、カメラ50によって撮影された窪み周辺26の画像は、配線28の形成された領域を含め、暗く映し出される(図10参照)。
【0139】
同じく上述したように、配線28が形成された領域は、その他の周囲26よりはやや明るい。しかし、配線28の画像は、窪み20より十分暗い。従って、図6に示すように、窪み20の周辺に対する画像信号の強度I'a,I'cは、適切に設定された閾値I'thより小さくなる。尚、窪み20は、たとえ配線28がかかっていたとしても、十分に明るく撮影される。
【0140】
従って、画像処理ユニット18は、窪み20の形成されている画素には、明所に対する数値「1」を対応させ、窪みの周囲26に対する画素には、暗所に対応する数値「0」を対応させることができる。
【0141】
図10(b)は、以上のようにして各画素34に「1」又は「0」を対応させた結果である。この図は、窪み20及びその周囲26に配線等が形成されていない場合の結果を示す、図8(b)と同じである。
【0142】
従って、画像処理ユニット18は、窪み20及びその周囲26に配線等が形成されていない場合と同様に、誤りなく文字「3」を抽出することができる。
【0143】
(ii)制御ユニットの動作
本実施の形態の制御ユニット52は、照明ユニット48を制御して、例えば、識別記号12に於いて低斜光58の進行方向が半導体ウェーハ10に対してなす角度θが、例えば、事前に導出しておいた最適値になるように調整する。ここで、事前に導出しておいた最適値とは、窪み20に対応する画素に第1の値(明所に対する“1”)を割り当て、窪み20の周囲26に対応する画素を第2の値(暗所に対する“0”)を割り当てることを可能となる角度θ(例えば、40度)である。
【0144】
本実施の形態に於ける照明ユニット48は、例えば、複数のLED4からなり放射光の強度が一方向に偏っている発光部材66(すなわち、指向性の強い光を放射する発光部材)と、この発光部材66を回転して、発光部材66からの放射光(低斜光)の強度が最も強い方向(指向性を示す方向)が半導体ウェーハ10となす角度θを変更する回転部材68によって構成されている。
【0145】
制御ユニット52は、回転部材68の回転角度を制御して、低斜光58と半導体ウェーハ10のなす角度θを調整する。
【0146】
従って、本実施の形態における識別記号読み取り装置によれば、半導体装置の製造に伴う半導体ウェーハ表面の状態変化によって従来であれば読み取り困難となっていた識別記号であっても、容易に読み取ることができるようになる。すなわち、識別記号12の近傍に配線等が形成されても誤読が発生ない。
【0147】
(実施の形態3)
本実施の形態は、半導体装置の製造工程の進展に伴って識別記号12を構成する窪み20及びその周囲26からなる領域の表面状態が変化した場合にも、識別記号12が正確に読み取れるように、上記表面状態の変化に応じて照明ユニットを自動的に調整する制御ユニット52を備えた識別記号読み取り装置及び識別記号読み取り方法に係わるものである。
(1) 識別記号読み取り装置
(I)構 成
図11は、本実施の形態に於ける識別記号読み取り装置54を側面から見た概略図である。
【0148】
本実施の形態に於ける識別記号読み取り装置の構成は、基本的には図1及び2に示した実施の形態1の識別記号読み取り装置と同じである。
【0149】
但し、本実施の形態では、実施の形態1又は2の識別記号読み取り装置54において、制御ユニット52が、照明ユニット50を制御することによって、識別記号12の画像として予め登録されている辞書データと識別記号として読み取った画像データの一致率が、所定の値(例えば、90%)以上になるように、識別記号12の位置に於ける低斜光58の進行方向が半導体ウェーハ10に対してなす角度を調整する。
【0150】
更に、識別記号読み取り装置54は、制御ユニット52が、照明ユニット48を制御することによって、上記角度に加え、識別記号がマーキングされている位置における低斜光の強度を調整する。
【0151】
図12は、本実施の形態に於ける識別記号読み取り装置54が備える照明ユニット48の一例である。本実施の形態の照明ユニット48は、実施の形態1及び2の照明ユニット48と基本的には同じである。但し、本実施の形態の照明ユニット48は、構成がより具体化されている。
【0152】
図12は、半導体ウェーハ12に低斜光を左右から照射する2つの照明ユニット48を並べて記載してある。図12(a)は、識別記号読み取り装置48を側面から見た図であり、図12(b)は正面から見た図である。
【0153】
図12に示す照明ユニット48は、例えば、碁盤の目状に整列した複数のLED4と、これらのLED4が配置された板状の支持体とからなる発光部材66を備えている。ここで、LED4が放射する光は指向性を有しており、各LED4は、上記支持体に垂直な方向70と放射光強度が最大値になる方向が一致するように取り付けられている。
【0154】
ここで、各LED4は、半導体ウェーハ10の表面に平行な方向にLED4を整列させた複数の列の何れかに属している。図12(b)に示した例では、a列、b列、及びc列の何れかに各LED4は属している。
【0155】
また、照明ユニット48は、発光部材66を、半導体ウェーハ10に平行な軸72を中心として回転する回転部材68を有している。
【0156】
従って、本実施の形態の照明ユニット48によれば、回転部材68の回転角度を調整することによって、照明ユニット48の放射する低斜光の進行方向が半導体ウェーハ10に対してなす角度θを調整することが可能である。
【0157】
また、照明ユニット48によって、LED4が整列された列毎にLED4の点灯を制御することにより、識別記号がマーキングされている位置における低斜光の強度を調整することも可能になる。
【0158】
(II)動 作
次に、本実施の形態に於ける識別記号読み取り装置54の動作について説明する。
【0159】
本実施の形態に於ける識別記号読み取り装置54の動作の動作は、基本的には実施の形態1の識別記号読み取り装置の動作と同じである。
【0160】
すなわち、識別記号読み取り装置54は、まず、識別記号12の位置に於ける低斜光58の進行方向(光強度が最大となる方向)が半導体ウェーハ10の表面に対してなす角度θを、識別記号12を構成する窪み20がその周囲26,28,32より明るく観察されるように設定する(第1のステップ)。
【0161】
その後、上記識別記号を読み取る(第2のステップ)。
但し、本実施の形態に於ける識別記号読み取り装置54は、第1のステップに於いて、制御ユニット52が、識別記号12の画像として予め登録されている辞書データと、識別記号として読み取った画像データの一致率が、所定の値(例えば、90%以上)になるように上記角度θを調整する。
【0162】
更に、識別記号読み取り装置54は、上記角度θに加え、識別記号がマーキングされている位置における低斜光の強度を調整する。
【0163】
図11に示すように、識別記号読み取り装置54は、照明ユニット48の回転角度としてA,B,C,D,Eの4種類の角度を設定できる。また、識別記号読み取り装置54は、照明ユニット48の発光部材66を構成するLED4の列(a列、b列、及びc列;以後、点灯列と呼ぶ)ごとに点灯を制御できる(図12参照)。
【0164】
識別記号読み取り装置54は、照明ユニット48の回転角度(A,B,C,D,E;以後、斜光照明角度と呼ぶ)によって低斜光58と半導体ウェーハ10のなす角度θを調整する。また、識別記号読み取り装置54は、照明ユニット48のLED4の列(a列、b列、及びc列)によって、識別記号がマーキングされている位置における低斜光の強度を調整する。すなわち、制御ユニット52は、照明ユニッチ48に対して種々の斜光照明角度と点灯列の組合せからなる照射条件を設定し、この照射条件に基づいて照明ユニッチ48を制御する。
【0165】
図13は、斜光照明角度と点灯列の組合せ(照射条件)を種々変更して、画像データ(例えば、図8(b))と辞書データ(図27)の一致率を測定した結果を記録したテーブルである。図13に示す表の第1列には、制御ユニット52の設定する斜光照明角度が記載されている。図13に示す表の第2列には、制御ユニット52の設定する点灯位置が記載されている。このテーブルは、画像処理ユニット18を構成するメモリ(図示せず)に記録される。
【0166】
そして、ある行の斜光照明角度と点灯列の組合せに対して得られた一致率が、同一行の第3列目に記載されている。
【0167】
図14は、識別記号を構成する文字として読み取った画像と辞書データの一致率が、所定の値(基準値)以上となるように、半導体ウェーハ10と低斜光58のなす角度θ及び低斜光58の強度を調整する第1のステップの具体的一例を説明する図である。
【0168】
まず、制御ユニット52は、最初の照射条件(例えば、図13の第3行目の組合せ;斜光照明角度がAで、点灯列がa,b,c)を自に設定する(S10)。
【0169】
次に、この照射条件に基づいて、照明ユニット48を制御し、発光部材66を点灯する(S20)。
【0170】
次に、画像処理ユニット18によって、照明ユニット48からの低斜光58によって照らし出された識別記号12のうち、マーキングされている文字が何であるかが分かっている箇所の画像を処理し、辞書データとの一致率を測定し記録する(S30)。
【0171】
次に、制御ユニット52は、次の照射条件(例えば、図13の第4行目の組合せ;斜光照明角度がAで、点灯列がa,b)を、メモリに設定する(S40)。但し、全ての照射条件の設定が済んで新たな照射条件がない場合には、新たな照射条件の設定は行わない。
【0172】
次に、制御ユニット52は、(一致率の測定が予定されている)全ての照射条件に対して、一致率の測定が終了しているか判断する(S50)。
【0173】
全ての一致率の測定が終了していない場合にはS20に戻り、次の照射条件における一致率を測定する。このような手順を繰り返し、全ての照射条件に於ける一致率を測定する。
【0174】
図14は、このような工程によって測定された一致率(第3列)と測定条件(第1列及び第2列)の組合せを記録したテーブルである。
【0175】
全ての照射条件に於ける一致率の測定が終了すると、制御ユニット54は、所定の値(基準値;例えば、90%)を超え、且つ最も高い一致率を達成した測定条件を選択する。そして、選択した条件に従って照明ユニット48の回転角度及び点灯列を設定し、発光部材66を点灯する(S60)。
【0176】
その後、半導体ウェーハ10にマーキングされた識別記号全体を読み取る第2のステップに進む。図15は、半導体ウェーハ10にマーキングされた識別記号全体を読み取る第2のステップの具体的一例を説明する図である。
【0177】
まず、画像処理ユニット18が、半導体ウェーハ10にマーキングした識別記号(ID)を読み取る(S70)。
【0178】
次に、読み取った識別記号(ID)を構成する文字のうち、マーキングされている文字が予め分かっている文字について、一致率を所定の値(基準値;例えば、90%)を比較する(S80)。
【0179】
一致率が所定の値以上の場合は、全半導体ウェーハについて識別記号の読み取りが終了しているか判断する(S90).
全半導体ウェーハについての読み取りが終了している場合には、読み取り作業を終了する。
【0180】
全半導体ウェーハについての読み取りが終了していない場合には、次の半導体ウェーハをセットする(S100)。その後、ステップS70に戻り、未だ識別記号を読み取っていない他の半導体ウェーハの識別記号を読み取る。
【0181】
一方、一致率が所定の値(基準値)未満の場合は、ステップS10に戻り、一致率が所定の値以下となった半導体ウェーハについて第1のステップを再度実行し、好ましい照射条件を探す。このような工程により、一致率が所定の値(基準値)以上となる照射条件を見つけ出す。
【0182】
識別記号の読み取りは、通常、類似した製造工程を経た複数の半導体ウェーハが格納されているキャリアごとに行われる。このため、同一キャリア内に格納された半導体ウェーハについては、一致率が所定の値以上になる照射条件は略同じと考えられる。
【0183】
従って、上記第2のステップ(図15)のように一致率が所定の値(基準値)を満たさなくなるまで、以前に設定した照射条件による識別記号の読み取りを続けることは、作業効率上有益である。
【0184】
言い換えるならば、半導体装置の製造工程によって窪20及びその周囲26からなる領域の表面状態が変化した場合に、上記第1のステップを改めて行うことによって識別記号の読み取りを効率的に行うことができる。
【0185】
次に、一致率を導出する工程(S30)を、具体例に基づいて詳しく説明する。
【0186】
図16は、画像処理ユニット18が、一致率を導出する工程(S30)の流れを説明する図である。また、図17及び図18は、画像処理ユニット18で行われる画像処理を説明する図である。
【0187】
画像処理ユニット18は、カメラ50が撮影した画像から、予めマーキングされている文字が何であるかが分かっている領域から一文字分の画像を抽出する(S10)。
【0188】
次に、画像処理ユニット18は、ステップS10によって抽出した画像を窪み74,76に相当する大きさの画素34に分解する。図17(a)は、識別記号をカメラ50で撮影した画像から既知の文字「3」に相当する領域を抽出し、その領域を、窪み(ドット)74,76に相当する大きさの画素34に分解した状態を示している。
【0189】
図17(a)に示した画像は、文字「3」を表す窪み20の配列の端に配線28がかかっている状態の画像である。低斜光58の照射条件は、図13の第5行目に示した条件である。すなわち、斜光照明角度はAであり、点灯列はcである。
【0190】
この場合、低斜光58と半導体ウェーハ10のなす角度θが十分低いので、窪み(ドット)の周囲26及び配線28は閾値I'thより暗くなる(図5及び図6参照)。一方、低斜光58が照射された一部の窪み74は、低斜光58が窪み74の内部で乱反射等され閾値I'thより明るくなる。
【0191】
しかし、窪み表面の曲率や状態は均一でないので、低斜光58の光量が十分でないと暗い窪み76が出現する。図17(a)は、このような状態を示したものである。
【0192】
画素34は、上記画像全体を覆っている。画像処理ユニット18は、各画素内で信号強度(反射光強度に比例)を平均化し、所定の閾値(基準値)I'thに基づいて、各画素に於ける信号強度を2値化する。ここで、平均化した信号強度が閾値I'th以上の画素に対しては「1」を対応させ、平均化した信号強度が閾値I'th以下の画素に対しては「0」を対応させる(S20)。
【0193】
図17(b)は、以上のようにして各画素34に「1」又は「0」を対応させた結果である。
次に、画像処理ユニット18は、図17(b)のように2値化された画像データを、画像処理ユニット18に記録された辞書データと比較する(S30)。辞書データには、例えば、図27のように、識別記号を構成する各文字(例えば、「3」)を特定の値(例えば、「H」)を有する画素の組合せで表したデータが記録されている。
【0194】
図27は、文字「3」に対する辞書データである。図27では、文字「3」が、値「H」を有する画素の組合せによって表されている。画像処理ユニット18は、各文字に対する辞書データを、自らに備わっている辞書データファイルから順次読出し、上記2値化された画像データと比較する。
【0195】
例えば、辞書データ(図27)に於ける左上の画素36の値が「H」であり、画像データ(図26(b))に於ける対応する画素38の値が「1」である場合には、これらの画素36,38の値は一致したと判定する。このような判定を、全ての画素について行い、一致率(全画素数に対する、値が一致した画素の数)を導出する。
【0196】
一致率は、例えば、同一行に属する画素の一致率(横一致率)を各行毎に求め、この横一致率を平均化して求めることができる(図17及び図18参照)。
【0197】
従って、本実施の形態における識別記号読み取り装置によれば、半導体装置の製造に伴う半導体ウェーハ表面の状態変化によって従来であれば読み取り困難となっていた識別記号であっても、読み取ることができるようになる。すなわち、識別記号12の近傍に配線等が形成されたとしても、誤読は発生しない。
(2)識別記号読み取り方法
本実施の形態に於ける識別記号読み取り方法は、基本的には実施の形態1で説明した識別記号読み取り方法と同じである(図7参照)。
【0198】
但し、本実施の形態では、第1の工程(S10)において、識別記号の画像として予め登録されている辞書データ(辞書データ)と識別記号として読み取った画像データ(2値化された画像データ)の一致率が、所定の値(基準値;例えば、90%)以上になるように半導体ウェーハ10と低斜光58がなす角度θを調整する。
【0199】
更に、第1の工程(S10)において、上記角度θに加え、(識別記号がマーキングされている位置における)低斜光の強度を調整してもよい。
【0200】
角度θの調整は、制御ユニット18が照明ユニット48の回転部68を制御して行う。また、(識別記号がマーキングされている位置における)低斜光の強度は、制御ユニット18が照明ユニット48の発光部材66の点灯列を制御して行う。
【0201】
従って、本実施の形態における識別記号読み取り装置によれば、半導体装置の製造に伴う半導体ウェーハ表面の状態変化によって従来であれば読み取り困難となっていた識別記号であっても、極めて容易に読み取ることができる。
【0202】
このような識別記号の読み取り方法は、半導体装置の製造工程によって、窪及び窪みの周囲からなる領域の表面状態が変化した場合に有効である。
【0203】
尚、識別記号は、文字を組合わせたものに限られず、例えば、バーコードのようなものであってもよい。また、識別記号は、レーザマーキングではなく、例えば、フォトレジスト膜を用いた半導体ウェーハのエッチングによって形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0204】
本発明は、半導体装置の製造業において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】実施の形態1に於ける識別記号読み取り装置を側面から見た概略図である。
【図2】実施の形態1に於ける識別記号読み取り装置の主要部を鳥瞰した模式図である。
【図3】識別記号を構成する窪み及びその周囲に低斜光を照射した状態を説明する図である(窪み及びその周囲に配線等が形成されていない場合)。
【図4】実施の形態1に於いて、識別記号を構成する窪みとその周囲を横断する線に沿った、カメラに入射する反射光の強度を説明する概略図である(窪み及びその周囲に配線等が形成されていな場合)。
【図5】識別記号を構成する窪み及びその周囲に低斜光を照射した状態を説明する図である(窪み及びその周囲に配線等が形成されている場合)。
【図6】実施の形態1に於いて、識別記号を構成する窪みとその周囲を横断する線に沿った、カメラに入射する反射光の強度を説明する概略図である(窪み及びその周囲に配線等が形成されている場合)。
【図7】実施の形態1に於ける、識別記号読み取り方法の工程を説明する図である。
【図8】実施の形態2の画像処理ユニットで実行される画像処理を説明する図である(その1)。
【図9】画像データと辞書データの一致率を行毎に比較した表である。
【図10】実施の形態2の画像処理ユニットで実行される画像処理を説明する図である(その2)。
【図11】実施の形態3に於ける識別記号読み取り装置を側面から見た概略図である。
【図12】実施の形態3に於ける照明ユニットの構成を説明する図である。
【図13】照明ユニットに於ける斜光照明角度と点灯列の組合せ(照射条件)を種々変更して、画像データと辞書データの一致率を測定した結果を説明する図である。
【図14】実施の形態3に於ける、識別記号読み取り動作の第1のステップ(識別記号を構成する文字として読み取った画像と辞書データの一致率が、所定の値以上となるように、低斜光の角度θや照射光強度を調整するステップ)の具体的な一例を説明する図である。
【図15】実施の形態3に於ける、識別記号読み取り動作の第2のステップ(半導体ウェーハにマーキングされた識別記号全体を読み取るステップ)の具体的な一例を説明する図である。
【図16】画像処理ユニットが、一致率を導出する流れを説明する図である。
【図17】画像処理ユニットで行われる画像処理を説明する図(その1)である。
【図18】画像処理ユニットで行われる画像処理を説明する図(その2)である。
【図19】落射照明ユニットを備えた識別記号読み取り装置を側面から見た概略図である。
【図20】識別記号を構成する窪み及びその周囲に落射光を照射した状態を説明する図である。
【図21】関連技術に於いて、識別記号を構成する窪みとその周囲を横断する線に沿った、カメラに入射する反射光の強度を説明する概略図である。
【図22】識別記号を構成する窪みの近傍に配線が形成された状態を説明する図である。
【図23】関連技術に於ける識別記号読み取り装置のカメラが受光する、半導体ウェーハ表面からの反射光強度を、識別記号を構成する窪み及び配線を横断する線に沿って測定した結果を説明する図である。
【図24】識別記号の読み取りに、誤りが生じる一例を説明する図である。
【図25】関連技術の画像処理ユニットが、識別記号を構成する文字を読み取る工程の流れを説明する図である。
【図26】関連技術の画像処理ユニットで実行される画像処理を説明する図である。
【図27】文字「3」に対する辞書データを説明する図である。
【図28】識別記号12を構成する文字「3」の端に配線28がかかっている画像データを説明する図である。
【図29】文字「3」及び「8」に対する辞書データを説明する図である。
【図30】斜光照明ユニットを備えた識別記号読み取り装置を側面から見た概略図である。
【図31】識別記号を構成する窪み及びその周囲に斜光を照射した状態を説明する図である。
【符号の説明】
【0206】
2・・・(落射照明ユニットを備えた)識別記号読み取り装置
4・・・照明 6・・・ハーフミラー
8・・・落射照明ユニット 10・・・半導体ウェーハ 12・・・識別記号
14・・・落射光 16・・・カメラ 18・・・画像処理ユニット
20・・・窪み 22・・・窪みの周囲で発生する正反射光
24・・・窪みで発生した反射光 26・・・窪みの周囲 28・・・配線
30・・・配線からの反射光
32・・・ウェーハ表面の平坦な領域(窪みの周囲であって配線が形成されていない領域)
34・・・画素 36・・・辞書データに於けるある画素
38・・・画像データに於ける対応する画素 40…配線に対応する画素
42・・・(斜光照明ユニットを備えた)識別記号読み取り装置
44・・・斜光 46・・・斜光照明ユニット 48・・・照明ユニット
50・・・カメラ 52・・・制御ユニット
54・・・本発明に於ける識別記号読み取り装置 58・・・光(低斜光)
60・・・窪みの周囲に照射された低斜光
62・・・窪みに照射された低斜光 64・・・窪みで反射された低斜光
66・・・発光部材 68・・・回転部材 72・・・半導体ウェーハに平行な軸
74・・・低斜光が十分に当たった窪み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェーハに半導体装置を製造する複数の工程の合間に、
前記半導体ウェーハにマーキングされた、複数の窪みの配列からなる識別記号を、
前記窪み及び前記窪みの周囲に光を照射して読み取る識別記号読み取り方法において、
前記識別記号の位置に於いて前記光の進行方向が前記半導体ウェーハの表面に対してなす角度を、前記周囲より前記窪みが明るく観察されるように設定する第1の工程と、
第1の工程の後、前記識別記号を読み取る第2の工程を具備することを特徴とする
識別記号読み取り方法。
【請求項2】
請求項1に記載の識別記号読み取り方法において、
前記第1の工程が、
前記識別記号の画像として予め登録されている辞書データと前記識別記号として読み取った画像データの一致率が、所定の値以上になるように前記角度を調整することを
特徴とする識別記号読み取り方法。
【請求項3】
請求項2に記載の識別記号読み取り方法において、
前記第1の工程が、
前記角度に加え、前記半導体ウェーハ上に於ける前記光の強度及び前記強度が最大になる位置のいずれか一方又は双方を調整することを
特徴とする識別記号読み取り方法。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の識別記号読み取り方法において、
前記第1の工程が、
前記工程によって、前記窪み及び前記窪みの周囲からなる領域の表面状態が変化した場合に行うことを
特徴とする識別記号読み取り方法。
【請求項5】
半導体ウェーハに半導体装置を製造する複数の工程の合間に、
前記半導体ウェーハにマーキングされた、複数の窪みの配列からなる識別記号を、
前記窪み及び前記窪みの周囲に光を照射して読み取る識別記号読み取り装置において、
前記光を照射する照明ユニットと、
前記窪み及び前記窪みの周囲からなる領域を撮影するカメラと、
前記画像を処理して、前記識別記号の抽出する画像処理ユニットを具備し、
前記照明ユニットが、
前記識別記号の位置に於いて前記光の進行方向が前記半導体ウェーハに対してなす角度を、
前周囲より前記窪みが明るく観察されるように設定可能であることを特徴とする
識別記号読み取り装置。
【請求項6】
請求項5に記載の識別記号読み取り装置において、
前記画像データに基づいて、前記照明ユニットを制御する制御ユニットを具備し、
前記画像処理ユニットは、
明るい画素に対応する第1の値及び暗い画素に対応させる第2の値の何れか一方を、前記画素の明暗に応じて、前記画素毎に対応させてなる前記画像データを作成し、
前記制御ユニットは、
前記照明ユニットを制御することによって、
前記窪みに対応する画素が前記第1の値になり、前記周囲に対応する画素が前記第2の値になるように、前記角度を調整することを
特徴とする識別記号読み取り装置。
【請求項7】
半導体ウェーハにマーキングされた、複数の窪みの配列からなる識別記号を、前記窪み及び前記窪みの周囲に光を照射して読み取る第1の工程と、
前記識別記号の位置に於いて前記光の進行方向が前記半導体ウェーハの表面に対してなす角度を、前記周囲より前記窪みが明るく観察されるように設定する第2の工程と、
第2の工程の後、前記識別記号を読み取る第3の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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