説明

半導体チップ取付用ケース

【課題】 金属製端子を「L字」状に屈曲させることなく必要なボンディング面を得ることができ、それによって、金属製端子を「L字」状に屈曲させることに起因した各種問題を解消することが可能な半導体チップ取付用ケースを提供すること。
【解決手段】 半導体チップ取付部を備えた樹脂製ケースと、上記樹脂製ケース内にインサート成形法によって一体に組み込まれた一対の金属製端子と、を具備してなる半導体チップ取付用ケースにおいて、上記金属製端子は直線状に形成されその先端の剪断面に表面粗さを低くする加工を施してワイヤーボンディング面とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、半導体チップを取り付けるための半導体チップ取付用ケースに係り、特に、金属製端子を
「L字」状に屈曲させることなく必要なワイヤーボンディング面を得ることができ、それによって、加工形状の単純化及び小型化を図ることができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
温度、圧力、湿度等を検出するためのセンサは、例えば、図3及び図4に示すような構成になっている。まず、樹脂製ケース101があり、この樹脂製ケース101は、ソケット部103と、このソケット部103に連設され半導体チップ105が取り付けられる半導体チップ取付部107とから構成されている。上記ソケット部103は中空状に形成されている。又、上記半導体チップ取付部107は上記ソケット部103に比べてその径が大きくなっていて皿状に形成されている。
【0003】
上記樹脂製ケース101には金属製端子109、111がインサート成形法によって一体に取り付けられている。上記金属製端子109は「L字」形状をなしていて、長片109aと短片109bとから構成されている。上記長片109aはソケット部103側に延長・配置されていて、ソケット部103の中空部内に突出・配置されている。又、上記短片109bは上記半導体チップ取付部107側に延長・配置されている。又、上記短片109bには凸部113が形成されていて、該凸部113がワイヤーボンディング面として機能するように構成されている。すなわち、上記凸部113に対して「コイニング加工」を施して、その表面粗さを低くしてワイヤーボンディング面としているものである。
上記コイニング加工とは、ダイとポンチを使用した冷間押付加工であり、凸部113の一部を押し潰してその表面の面祖度を低くしているものである。
【0004】
同様に、上記金属製端子111も「L字」形状をなしていて、長片111aと短片111bとから構成されている。上記長片111aはソケット部103側に延長・配置されていて、ソケット部103の中空部内に突出・配置されている。又、上記短片111bは上記半導体取付部107側に延長・配置されている。又、上記短片111bには凸部115が形成されていて、該凸部115がワイヤーボンディング面として機能するように構成されている。すなわち、上記凸部115に対して「コイニング加工」を施して、その表面粗さを低くしてワイヤーボンディング面としているものである。
【0005】
上記半導体チップ取付部107の中央部には半導体チップ搭載面117が突出・配置されていて、この半導体チップ搭載面117には半導体チップ搭載凹部119が形成されている。上記半導体チップ搭載凹部119内に既に説明した半導体チップ105が搭載されている。そして、上記半導体チップ105と上記金属製端子109、111の凸部113、115との間にはワイヤ123、125が半田付けされている。
尚、上記半導体チップ搭載面117が凹状に設けられる構成もある。
【0006】
一方、上記樹脂製ケース101のソケット部103にはコネクタ131が差し込まれることになる。このコネクタ131は樹脂製ケース133と、この樹脂製ケース133内に設置された金属製端子135、137と、これら金属製端子135、137に接続されたリード線139、141とから構成されている。
尚、前記樹脂製ケース101には図示しないケースカバが取り付けられることになる。
【0007】
上記構成をなすセンサを任意の場所に設置する。そして、半導体チップ105を介して、例えば、温度、圧力、湿度等を検出するものである。検出信号はリード線139、141を介して、図示しない制御装置に送信されることになる。
【0008】
尚、構成は異なるが同種のセンサの構成を開示するものとして、例えば、特許文献1がある。
【0009】
【特許文献1】特開2001−242032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
従来の構成の場合には、金属製端子109、111を「L字」状に屈曲させてインサート整形法により樹脂製ケース101内に一体に組み込むようにしている。これは短片109b、111bに凸部113、115を形成してそこに「コイニング加工」を施して面祖度を低くし
、これらをワイヤーボンディング面として提供するためである。その為、金属端子109、111を 「L字」状とするための曲げ加工を施す必要があり、その作業が面倒であると共に加工コストが上昇してしまうという問題があった。
又、金属端子109、111を 「L字」状とするための曲げ加工を施すために、金属端子109、111の寸法が安定しないという問題があった。
又、金属端子109、111の寸法が安定しないことに起因して、インサート成形時に金属端子109、111に樹脂が被ってしまい、凸部113、115が露出しないようなこともあった。
又、金属端子109、111が「L字」状に屈曲されていることにより、樹脂製ケース101、特に、半導体チップ取付部107が大径化してしまうという問題があった。
【0011】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、金属製端子を「L字」状に屈曲させることなく必要なワイヤーボンディング面を得ることができ、それによって、金属製端子を「L字」状に屈曲させることに起因した各種問題を解消することが可能な半導体チップ取付用ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による半導体チップ取付用ケースは、半導体チップ取付部を備えた樹脂製ケースと、上記樹脂製ケース内にインサート成形法によって一体に組み込まれた一対の金属製端子と、を具備してなる半導体チップ取付用ケースにおいて、上記金属製端子は直線状に形成されその先端の剪断面に表面粗さを低くする加工を施してワイヤーボンディング面とするものであることを特徴とするものである。
又、請求項2による半導体取付用ケースは、請求項1記載の半導体チップ取付用ケースにおいて、上記金属製端子の剪断面にはシェービング加工が施されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように本願発明による半導体チップ取付用ケースは、半導体チップ取付部を備えた樹脂製ケースと、上記樹脂製ケース内にインサート成形法によって一体に組み込まれた一対の金属製端子と、を具備してなる半導体チップ取付用ケースにおいて、上記金属製端子は直線状に形成されその先端の剪断面に表面粗さを低くする加工を施してワイヤーボンディング面とする構成になっているので、まず、金属製端子を「L字」状に屈曲させることなく必要なワイヤーボンディング面を提供することができる。よって、金属製端子を「L字」状に屈曲させることに起因した各種不具合、すなわち、加工の困難性、製造コストの上昇、大型化、金属製端子の寸法制度の低下等の問題を一掃することができる。
又、上記金属製端子の剪断面にシェービング加工を施すようにした場合には、表面粗さを容易に低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図1及び図2を参照して本発明の一実施の形態を説明する。本実施の形態によるセンサは、図1及び図2に示すような構成になっている。まず、樹脂製ケース1があり、この樹脂製ケース1は、ソケット部3と、このソケット部3に連設され半導体チップ5が取り付けられる半導体チップ取付部7とから構成されている。上記ソケット部3は中空状に形成されている。又、上記半導体チップ取付部7は上記ソケット部3と同径状に形成されている。
【0015】
上記樹脂製ケース1には金属製端子9、11がインサート成形法によって一体に取り付けられている。上記金属製端子9は直線形状をなしていて、その上端の剪断面9aがワイヤーボンディング面として機能するように構成されている。上記剪断面9aにはシェービング加工が施されていて、その表面粗さが低く抑えられている。
【0016】
同様に、上記金属製端子11も直線形状をなしていて、その上端の剪断面11aがワイヤーボンディング面として機能するように構成されている。上記剪断面11aにはシェービング加工が施されていて、その表面粗さが低く抑えられている。
【0017】
上記半導体チップ取付部7の中央部には半導体チップ搭載面17が配置されていて、この半導体チップ搭載面17には既に述べた半導体チップ5が搭載されている。そして、上記半導体チップ5と上記金属製端子9、11の剪断面9a、11aとの間にはワイヤ23、25が半田付けされている。
【0018】
一方、上記樹脂製ケース1のソケット部3にはコネクタ31が差し込まれることになる。このコネクタ31は樹脂製ケース33と、この樹脂製ケース33内に設置された金属製端子35、37と、これら金属製端子35、37に接続されたリード線39、41とから構成されている。
尚、前記樹脂製ケース1には図示しないケースカバが取り付けられることになる。
【0019】
上記構成をなすセンサを任意の場所に設置する。そして、半導体チップ5を介して、例えば、温度、圧力、湿度等を検出するものである。検出信号はリード線39、41を介して、図示しない制御装置に送信されることになる。
【0020】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、金属製端子9、11は直線形状をなしていて、従来のように、「L字」 状に屈曲させることなく必要なワイヤーボンディング面(剪断面9a、剪断面11a)を得ることができるような構成になっている。よって、面倒な曲げ加工を施す必要がなくなり加工コストの低減を図ることができる。
又、金属製端子9、11を 「L字」状とするための曲げ加工を施す必要がないので、金属製端子9、11の寸法が安定することになり、金属製端子9、11の寸法が安定しないことに起因した各種不具合をなくすことができる。
又、金属端子9、11が直線形状になっているので、樹脂製ケース1の大径化、特に、半導体チップ取付部7の大径化を防止することができる。
【0021】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
樹脂製ケースの形状図示したものに限定されず、様々な形状が考えられる。
又、半導体チップの用途としては、圧力センサ、温度センサ、湿度センサ等様々なものが想定される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、例えば、圧力センサ等の半導体を取り付けるための半導体取付用ケースに係り、特に、形状の単純化及び小型化を図ることができるように工夫したものに関し、例えば、圧力センサを取り付けるための半導体取付用ケースに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態を示す図で、半導体取付用ケースの構成を示す平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示す図で、半導体取付用ケースの構成を示す断面図である。
【図3】従来例を示す図で、半導体取付用ケースの構成を示す平面図である。
【図4】従来例を示す図で、半導体取付用ケースの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 樹脂製ケース
3 ソケット部
5 半導体チップ
7 半導体取付部
9 金属製端子
9a 剪断面
11 金属性端子
11a 剪断面
23 ワイヤ
25 ワイヤ














【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップ取付部を備えた樹脂製ケースと、
上記樹脂製ケース内にインサート成形法によって一体に組み込まれた一対の金属製端子と、
を具備してなる半導体チップ取付用ケースにおいて、
上記金属製端子は直線状に形成されその先端の剪断面に表面粗さを低くする加工を施してワイヤーボンディング面とするものであることを特徴とする半導体チップ取付用ケース。
【請求項2】
請求項1記載の半導体チップ取付用ケースにおいて、
上記金属製端子の剪断面にはシェービング加工が施されていることを特徴とする半導体チップ取付用ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−237024(P2006−237024A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−44935(P2005−44935)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(391011696)不二電子工業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】