説明

半導体装置、その製造方法、及び半導体装置の検査方法

【課題】ボンディングの不良品を確実かつ簡便に選別する。
【解決手段】ボンディングパッド101を備えた半導体素子102が搭載され、入出力用端子103及び電源用端子104が形成された半導体基板105と、半導体基板105、入出力用端子103及び電源用端子104を覆う封止樹脂111と、半導体基板105のうち、平面視で半導体素子102と重ならない領域に形成され、封止樹脂111で覆われていない第一、第二のテスト用電極とを有し、ボンディングパッド101と入出力用端子103とがボンディングワイヤー106aを介して接続されており、ボンディングパッド101と電源用端子104とがボンディングワイヤー106bを介して接続されており、半導体素子102、入出力用端子103及び電源用端子104から独立して、第一のテスト用電極と第二のテスト用電極とが電気的に接続されている、半導体装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、その製造方法、及び半導体装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤーボンディングを用いて半導体素子を半導体基板に接続する技術が知られている(特許文献1−4)。
【0003】
特許文献1には、導電体上にチップをダイボンディングして該チップの各パッドとリード端子とを接続する半導体装置が記載されている。特許文献1では、チップ基板への供給電源を取り出し可能なパッドをチップに設け、該パッドとチップをダイボンディングした導電体とを電気的に接続するようにしたことで、より安定した電源供給が行えて電気的特性の安定した半導体装置を提供するものとされている。
【0004】
特許文献2には、半導体基板にワイヤーボンディングを用いて半導体素子を接続する部位を樹脂封止する樹脂封止型半導体装置が記載されている。特許文献2では、ダミーワイヤーでワイヤーを覆い、かつ外側に該ワイヤーより本数を多くし、狭い間隔でダミーワイヤーを張ることで、半導体装置の封止樹脂中に含まれるカーボン粒子によるワイヤー間のリーク不良を低減することができ、また電磁シールド効果を発揮することができ、誤動作を防ぐことができるとされている。
【0005】
特許文献3には、半導体チップ同士を金属線で接続するときに、一方の半導体チップ上でワイヤボンドを完了させることなく、近傍にあらかじめ設けられたダミーパッド上でワイヤボンドを完了させる半導体装置が記載されている。こうすることで、特許文献3では、半導体チップのカッターによる破損が防止され、歩留の高い、信頼性の高い半導体装置が得られるとされている。
【0006】
特許文献4には、基板に半導体チップをダイボンディングし、基板と半導体チップの電極間をワイヤーボンディング方式にて実装した半導体装置のリペア方法が記載されている。具体的には、特許文献4には、基板の電極に接続されているワイヤーの付け根部分にワイヤー切断用工具を加圧してワイヤーを切断し、その後、樹脂を加熱して半導体チップと基板との接着強度を低下させた状態で、半導体チップと基板との接着を剥離せしめ、ワイヤーを半導体チップの電極に保持したまま半導体チップを除去することが記載されている。特許文献4では、ワイヤーを除去する工程が不要であると共に配線間のショートなどが生じない、あるいは基板を熱により損傷させることなく半導体チップを除去できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−120974号公報
【特許文献2】特開2005−123379号公報
【特許文献3】特開平2−146739号公報
【特許文献4】特開平6−163645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ワイヤーボンディング工程でボンディング不良が発生した場合、出荷前には不良品として良品と選別される必要がある。そこで、入出力端子用のワイヤーがショートしたり、抜かれてオープンになったりすると、電気的に接続不良となることを利用し、まとまった単位(辺単位など)のワイヤーを倒してショートさせたり、抜いたりして、接続不良を発生させ、電気的テスト工程で、不良品として除去する方法が使われている。
【0009】
しかしながら、ショートさせたワイヤー、又は、抜かれたワイヤーに入出力端子用のワイヤーが含まれていない場合は、接続不良を検出することは困難である。また、入出力端子用のワイヤーを目視で判別することは困難である。さらに、ワイヤーの本数や周回数が多い製品では、こうした処置自体に時間を要することに加え、接続不良を確実に発生させることも困難となる。
【0010】
そこで、ワイヤーボンディング工程で不良品が発見された場合に、後の電気的テスト工程において、簡便な手法で確実に不良品を検出できる技術が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、
電極パッドを備えた半導体素子が搭載され、外部接続端子が形成された基板と、
前記半導体素子及び前記外部接続端子を覆う封止樹脂と、
前記基板のうち、平面視で前記半導体素子と重ならない領域に形成され、前記封止樹脂で覆われていない第一、第二のテスト用電極と、
を有し、
前記電極パッドと前記外部接続端子とがボンディングワイヤーを介して接続されており、
前記半導体素子及び前記外部接続端子から独立して、前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とが電気的に接続されている、半導体装置が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、
搭載される半導体素子ごとに設けられた一体基板の基板領域に、外部接続端子をそれぞれ形成する工程と、
前記外部接続端子から電気的に独立している第一、第二のテスト用電極を前記一体基板の前記基板領域ごとに形成する工程と、
前記一体基板の前記第一、第二のテスト用電極に重ならない領域に、電極パッドを備えた半導体素子を搭載する工程と、
ボンディングワイヤーを介して前記電極パッドと前記外部接続端子とを接続する工程と、
前記半導体素子及び前記外部接続端子を封止樹脂で覆う工程と、
を含み、
前記電極パッドと前記外部接続端子とを接続する前記工程において、前記第一、第二のテスト用電極は、前記半導体素子に電気的に接続されず、
前記封止樹脂で覆う前記工程において、前記第一、第二のテスト用電極を前記封止樹脂で覆わない、半導体装置の製造方法が提供される。
【0013】
さらに、本発明によれば、
電極パッドを備えた半導体素子が搭載され、外部接続端子が形成された基板と、
前記半導体素子及び前記外部接続端子を覆う封止樹脂と、
前記基板のうち、平面視で前記半導体素子と重ならない領域に形成され、前記封止樹脂で覆われていない第一、第二のテスト用電極と、
を有し、
前記電極パッドと前記外部接続端子とがボンディングワイヤーを介して接続されており、
前記半導体素子及び前記外部接続端子から独立して、前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とが電気的に接続されている半導体装置を用意するステップと、
前記ボンディングワイヤーを介した前記電極パッドと前記外部接続端子との接続が不良であるとき、前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とを電気的に切断するステップと、
前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とが電気的に切断されているか否かを判断するステップと、
を含み、
判断する前記ステップにおいて、前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とが電気的に切断されていないとき、前記半導体装置を良品と判定し、前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とが電気的に切断されているとき、前記半導体装置を不良品と判定する、半導体装置の検査方法が提供される。
【0014】
この発明によれば、半導体素子及び外部接続端子から独立して、第一のテスト用電極と第二のテスト用電極とが電気的に接続されている。これにより、ワイヤーボンディング工程で不良品が発見された場合は、第一のテスト用電極と第二のテスト用電極とを電気的に切断することにより、電気的テストを行うことで、第一のテスト用電極と第二のテスト用電極との接続不良を検出することができる。したがって、ワイヤーボンディング工程で発見された不良品を確実かつ簡便に良品から選別することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ワイヤーボンディングの不良品を確実かつ簡便に選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置を模式的に示した平面図である。
【図2】(a)は、図1のA−A'断面図であり、(b)は、(a)の部分拡大図である。
【図3】実施の形態の半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
【図5】図4のB−B'断面図である。
【図6】第1の実施形態に係る半導体装置の検査方法を説明する図である。
【図7】第1の実施形態に係る半導体装置の検査方法を説明する図である。
【図8】第2の実施形態に係る半導体装置を模式的に示した平面図である。
【図9】(a)は、図8のC−C'断面図であり、(b)は、(a)の部分拡大図である。
【図10】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する平面図である。
【図11】図10のD−D'断面図である。
【図12】第2の実施形態に係る半導体装置の検査方法を説明する図である。
【図13】第2の実施形態に係る半導体装置の検査方法を説明する図である。
【図14】関連する半導体装置を模式的に示した平面図である。
【図15】図14のE−E'断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の半導体装置を示す模式的な平面図である。また、図2(a)は、図1のA−A'断面図である。図2(b)は、図2(a)の破線で囲んだ領域を拡大した図である。図示するように、本実施形態の半導体装置は、ボンディングパッド(電極パッド)101を備えた半導体素子102が搭載され、入出力用端子103及び電源用端子104(外部接続端子)が形成された半導体基板105と、半導体素子102、入出力用端子103及び電源用端子104を覆う封止樹脂111と、半導体基板105のうち、平面視で半導体素子102と重ならない領域に形成され、封止樹脂111で覆われていない第一、第二のテスト用電極110a、110bと、を有する。ボンディングパッド101と入出力用端子103とがボンディングワイヤー106aを介して接続されており、ボンディングパッド101と電源用端子104とがボンディングワイヤー106bを介して接続されている。半導体素子102、入出力用端子103及び電源用端子104から独立して、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に接続されている。
【0019】
図2(a)で示すように、半導体基板105は、第一の面1aと、第一の面1aの反対側に設けられた第二の面1bとを有している。半導体素子102は、第一の面1aに搭載されている。また、入出力用端子103及び電源用端子104もまた、第一の面1aに搭載されている。一方、第一のテスト用電極110a及び第二のテスト用電極110bは、第二の面1bに形成されている。半導体基板105の第一の面1aは、封止樹脂111で覆われているが、第二の面1bは、封止樹脂111で覆われていない。
【0020】
より具体的には、第一の面1aには、第一、第二のマーク用パッド108a、108bが形成されている。マーク用ワイヤー107を第一のマーク用パッド108a及び第二のマーク用パッド108bにボンディングすることで、第一の面1a側で、第一のマーク用パッド108aと第二のマーク用パッド108bとを接続させることができる。第一、第二のマーク用パッド108a、108bは、それぞれ、半導体基板105を貫通する第一、第二の貫通電極109a、109bを介して、第一、第二のテスト用電極110a、110bに接続されている。一方、第一、第二のマーク用パッド108a、108b、及び、第一、第二のテスト用電極110a、110bは、いずれも、製品用の配線には接続していない。したがって、マーク用ワイヤー107により、半導体素子102、入出力用パッド103及び電源用端子104から独立して、第一のマーク用パッド108aと第二のマーク用パッド108bとが接続されることになり、これにより、半導体素子102、入出力用端子103及び電源用端子104から独立して、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に接続されることになる。このようにして、本実施形態の半導体装置には、第一、第二のマーク用パッド108a、108bと、第一、第二の貫通電極109a、109bと、第一、第二のテスト用電極110a、110bと、マーク用ワイヤー107とで、製品の動作とは電気的に分離した配線構造が設けられている。
【0021】
半導体基板105は、特に限定されないが、本実施形態では、BGA(Ball grid array)パッケージ用基板を例に挙げて説明する。半導体基板105の形状は、特に限定されず、矩形(長方形、正方形)であってもよいし、円形であってもよい。ここでは、矩形のものを例に挙げて説明する。
【0022】
第一、第二のテスト用電極110a、110bは、半導体装置の動作に影響のない位置に配置すればよく、半導体基板105の任意の領域に形成させることができるが、半導体素子102の形成面(第一の面1a)とは反対面(第二の面1b)に形成させることが好ましい。また、製造上簡便に形成させることができるという観点から、図示するように、半導体基板105のコーナー部に形成させることがより好ましい。また、第一、第二のマーク用パッド108a、108bもまた、半導体装置の動作に影響のない位置に配置すればよく、半導体基板105のコーナー部に形成させることが好ましい。また、第一、第二のマーク用パッド108a、108bを半導体素子102の形成面と同じ面(第一の面1a)に形成し、かつ、封止樹脂111により第一の面1aを覆うまでの工程では、マーク用ワイヤー107の切断の有無を容易に視認することができる。
【0023】
なお、入出力用端子103は、半導体基板105の入出力用端子であり、電源用端子104は、半導体基板105の電源用端子である。
【0024】
続いて、本実施形態の半導体装置の製造方法について図3〜7を用いて説明する。
まず、図3で示すように、基板領域10a、10bと、スクライブ領域11とが設けられた一体基板12を用意する。基板領域10a、10bは、搭載される半導体素子102ごとに設けられる。一体基板12がスクライブ領域11に沿って切断され、個片化したものが半導体基板105であり、換言すると、一体基板12は、半導体基板105の集合体である。
ついで、一体基板12の基板領域10a、10bごとに入出力用端子103及び電源用端子104を形成する。また、基板領域10a、10bごとに一体基板12を貫通する第一、第二の貫通電極109a、109bを形成する。そして、一体基板12の半導体素子102の形成面側に露出した第一の貫通電極109aの端部に第一のマーク用パッド108aを形成し、半導体素子102の形成面と反対面に露出した第一の貫通電極109aの端部に、第一のテスト用電極110aを形成する。また、一体基板12の半導体素子102の形成面側に露出した第二の貫通電極109bの端部には、第二のマーク用パッド108bを形成し、半導体素子102の形成面と反対面に露出した第二の貫通電極109bの端部には、第二のテスト用電極110bを形成する。したがって、第一、第二のテスト用電極110a、110bは、いずれも、入出力用端子103及び電源用端子104から電気的に独立するように形成される。
その後、基板領域10a、10bの第一、第二のテスト用電極110a、110bに重ならない領域に、それぞれ、ボンディングパッド101を備えた半導体素子102を搭載する。
ついで、ボンディングワイヤー106aを介してボンディングパッド101と入出力用端子103とを接続し、ボンディングワイヤー106bを介してボンディングパッド101と電源用端子104とを接続する。また、第一のマーク用パッド108aと第二のマーク用パッド108bとをマーク用ワイヤー107で接続する。このとき、第一、第二のテスト用電極110a、110bは半導体素子102に電気的に接続されない。したがって、第一、第二のテスト用電極110a、110bは、入出力用端子103、電源用端子104及び半導体素子102から電気的に独立して、第一のテスト用電極110aと第二110bとが接続されることになる。このようにして、図3で示す基板領域10a、10bには、それぞれ、図1に示す同様な構造が形成される。
【0025】
ここで、ボンディングワイヤー106aをボンディングパッド101及び入出力用端子103にボンディングしたり、ボンディングワイヤー106bをボンディングパッド101及び電源用端子104にボンディングしたりするとき、ボンディング不良が発生することがある。例えば、図3で示す基板領域10aでは、良好にボンディングが行われたが、基板領域10bにおいて、ボンディング不良が発見されたとする。そうすると、基板領域10bでは、手動又は治具を用いるなどしてマーク用ワイヤー107を抜き、第一のマーク用パッド108aと第二のマーク用パッド108bとを電気的にも物理的にも切断する。こうすることで、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に切断されることになる。図4は、切断後の基板領域10bの平面図であり、図5は、図4のB−B'断面図である。
【0026】
その後、半導体素子102、入出力用端子103及び電源用端子104を封止樹脂111で覆うが、このとき、第一、第二のテスト用電極110a、110bは、封止樹脂111で覆わない。そして、スクライブ領域11に沿って基板領域10a、10bごとに一体基板12を切断する(ダイシング工程)。
【0027】
ついで、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に切断されているか否かを判断し、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に切断されていない基板領域内に形成された半導体素子102を選別する(検査工程)。第一、第二のマーク用パッド108a、108bが封止樹脂111で覆われていないときは、切断されたマーク用ワイヤー107bが視認できるので、視覚により、マーク用ワイヤー107が切断されているか否かを判断することができる。このため、マーク用ワイヤー107が切断されていれば、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に切断されていると判断することができる。
【0028】
また、図6、7で示すように電気的テスト用テスタ301を用いた電気的テスト(オープン/ショートテスト)を実行することで、確実に第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとの切断を確認することができる。図6は、基板領域10aで形成された半導体素子102を個片化して得られた半導体装置の検査工程を説明する図であり、図7は、基板領域10bで形成された半導体素子102を個片化して得られた半導体装置の検査工程を説明する図である。こうした電気的テスト用テスタ301を用いたテストでは、まず、半導体基板105裏面(第二の面1b)に形成された第二のテスト用電極110bに入力配線303を接続し、第一のテスト用電極110aに出力配線304を接続する。つまり、第一、第二のテスト用電極110a、110bは、電気的テスト用テスタ301に接続するための専用部品の役割を有する。そして、電圧印加端子302から入力配線303に電圧が印加され、入力配線303と、第二のテスト用電極110bと、第二の貫通電極109bと、第二のマーク用パッド108bと、マーク用ワイヤー107と、第一のマーク用パッド108aと、第一の貫通電極109aと、第一のテスト用電極110aと、出力配線304との間にこの順で電流Iが流れ、電気的テスト用テスタ301の入出力端子(電圧印加端子302、電圧計測端子305)が接続されるか否かが検査される。
【0029】
図6で示すように、基板領域10aでは、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に切断されていないので、電気的テスト用テスタ301の電圧印加端子302から印加された電圧により、入力配線303とマーク用ワイヤー107と出力配線304とを介して電流Iが流れる。そのため、電気的テスト用テスタ301の電圧計測端子305において、電圧が計測されることとなる。一方、図7で示すように、基板領域10bでは、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に切断されているため、入力配線303を通過した電流Iはマーク用ワイヤー107で遮断されてしまう。そのため、電気的テスト用テスタ301の電圧計測端子305では、電圧を計測することができない。したがって、電圧計測端子305で電圧が計測されるか否かを調べることにより、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に切断されているかどうかを判断することができる。
【0030】
このように、視覚又は電気的テストにより、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に切断されていないと判断されたとき、得られた半導体装置を良品と判定する。一方、視覚又は電気的テストにより、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に切断されていると判断されたとき、得られた半導体装置を不良品と判定する。したがって、ここでは、基板領域10aから得られた半導体装置は、良品と判定され、基板領域10bから得られた半導体装置は、不良品と判定される。これにより、良品のみを選別して出荷することが可能になる。
【0031】
つづいて、本実施形態の半導体装置の作用効果について説明する。この発明によれば、半導体素子102、入出力用端子103及び電源用端子104から独立して、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとがマーク用ワイヤー107で電気的に接続されている。これにより、ワイヤーボンディング工程で不良品が発見された場合は、マーク用ワイヤー107を切断することで、容易に第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとを電気的に切断することができ、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に切断されているか否かを視覚的あるいは電気的テストにより確認することができる。したがって、ワイヤーボンディング工程で発見された不良品を確実かつ簡便に選別して、良品から不良品を除去することが可能になる。
【0032】
図14には、比較の半導体装置の構造を示す。図15には、図14のE−E'断面を示す(901:ボンディングパッド、902:半導体素子、903:入出力用端子、904:電源用端子、905:半導体基板)。図示するように、マーク用パッド、並びに、これに接続する貫通電極及びテスト用電極を有しない構造では、電気的テスト工程で確実に不良品とするには、良品・不良品の判定が可能な入出力用端子903に接続するボンディングワイヤー906aを含めた不良処置が必要となる。しかしながら、ボンディングワイヤーが入出力用端子903に接続しているのか、電源用端子904(またはグラウンド端子用パッド)に接続しているのかを視覚的に判別するのが困難である。そのため、入出力用端子903に接続するボンディングワイヤー906aが含まれる様に、複数のボンディングワイヤー(例えば1辺の全ワイヤ)を倒してショートさせる、または複数のボンディングワイヤーを引き抜いてオープンにすることが行われていた。そのため、ワイヤーの本数や周回数が多くなると不良処置に時間を要し、倒し方が不十分だと不良と検出されない可能性があることが問題とされていた。
【0033】
一方、本実施形態の半導体装置では、第一、第二のテスト用電極110a、110b、第一、第二の貫通電極109a、109b及び、第一、第二のマーク用パッド108a、108bを製品動作で使用する入出力用端子103及び電源用端子104から独立して半導体基板105に設けるため、ボンディング不良の半導体装置でのワイヤー処理を短時間で実施することができる。また、本実施形態の半導体装置では、第一、第二のマーク用パッド108a、108bを半導体素子102の形成面に形成し、製品動作で使用する入出力用端子103及び電源用端子104から独立して、マーク用ワイヤー107により接続するため、ボンディング不良の半導体装置を視覚で識別することができ、さらに、簡便かつ短時間でボンディングの不良品を良品と選別することができる。さらに、不良識別のために必要な処置は、1本のワイヤー(マーク用ワイヤー107)を抜くだけなので、処置に掛かる手間はかからず、時間も短く済む。したがって、ボンディング不良品が流出するリスクを確実に低減することが可能になる。
【0034】
(第2の実施形態)
図8は、本実施形態の半導体装置を示す模式的な平面図である。また、図9(a)は、図8のC−C'断面図である。図9(b)は、図9(a)の破線で囲んだ領域を拡大した図である。図示するように、本実施形態の半導体装置では、第1の実施形態とは異なり、第一、第二のマーク用パッド108a、108b、マーク用ワイヤー107は有しない代わりに、マーク用配線207が第一の貫通電極109aと第二の貫通電極109bとを接続している。これにより、第一のテスト用電極110aと、第二のテスト用電極110bとがマーク用配線207を介して接続されることになる。マーク用配線207は、半導体基板105の内部に形成されている。その他の構成は、第1の実施形態の半導体装置と同様である。
【0035】
続いて、本実施形態の半導体装置の製造方法について、図3、10〜13を用いつつ、第1の実施形態とは異なる点のみを説明する。
まず、図3で示す一体基板12を用意し、基板領域10a、10bに、図8に示す同様な構造を形成させる。本実施形態では、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとは半導体基板105内のマーク用配線207で電気的に接続させるため、ワイヤーボンディング工程でワイヤーによる接続は行わない。そして、例えば、基板領域10bにおいて、ボンディング不良が発見されたとすると、基板領域10bでは、半導体基板105の表面のレジストを塗布していない箇所のマーク用配線207を手動又は治具を用いるなどして切断して、オープンの状態にする。こうすることで、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとを電気的に切断させることができる。図10は、切断後の基板領域10bの平面図であり、図11は、図10のD−D'断面図である。
【0036】
ついで、半導体基板105の第一の面1aを封止樹脂111で覆い、ダイシングを行う。その後、電気的テストにより、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが切断されているか否かを判断し、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが切断されていない基板領域内に形成された半導体素子102を選別する。
【0037】
具体的には、図12、13で示すように電気的テスト用テスタ301を用いた電気的テストを実行し、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとの切断を確認することでボンディングの良不良を選別する。図12は、基板領域10aで形成された半導体素子102が個片化して得られた半導体装置の検査工程を説明する図である。図13は、基板領域10bで形成された半導体素子102が個片化して得られた半導体装置の検査工程を説明する図である。こうした電気的テスト用テスタ301を用いたテストでは、まず、半導体基板105裏面(第二の面1b)に形成された第二のテスト用電極110bに入力配線303が接続され、第一のテスト用電極110aに出力配線304が接続される。そして、電圧印加端子302から入力配線303に電圧が印加され、入力配線303と、第二のテスト用電極110bと、第二の貫通電極109bとマーク用配線207と、第一の貫通電極109aと、第一のテスト用電極110aと、出力配線304との間にこの順で電流Iが流れ、電気的テスト用テスタ301の入出力端子(電圧印加端子302、電圧計測端子305)が接続されるか否かが検査される。
【0038】
図12で示すように、基板領域10aでは、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとの接続が切断されていないので、電気的テスト用テスタ301の電圧印加端子302から印加された電圧により、入力配線303とマーク用配線207と出力配線304とを介して電流が流れる。そのため、電気的テスト用テスタ301の電圧計測端子305において、電圧が計測されることとなる。一方、図13で示すように、チップ領域10bでは、マーク用配線207間の接続が切断されているため、電気的テスト用テスタ301の電圧印加端子302から印加された電圧により、入力配線303からの電流Iはマーク用配線207bで遮断されてしまう。そのため、電気的テスト用テスタ301の電圧計測端子305では、電圧を計測することができない。したがって、電圧計測端子305で電圧が計測されるか否かを調べることにより、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に切断されているかどうかを判断することができる。
【0039】
このように、電気的テストにより、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に切断されていないと判断されたとき、得られた半導体装置を良品と判定する。一方、電気的テストにより、第一のテスト用電極110aと第二のテスト用電極110bとが電気的に切断されていると判断されたき、得られた半導体装置を不良品と判定する。したがって、ここでは、基板領域10aから得られた半導体装置は、良品と判定され、基板領域10bから得られた半導体装置は、不良品と判定される。これにより、本実施形態においても第1の実施形態と同様に、良品のみを選別して出荷することが可能になる。
【0040】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果が得られるが、本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、第一、第二のマーク用パッド108a、108bやマーク用ワイヤー107を使用していない。そのため、半導体基板の構成のみを変更だけすればよく、第1の実施形態の技術よりも安価に、ワイヤーボンディング工程の良品と不良品との識別が可能になる。
【0041】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
たとえば、実施の形態では、第一、第二のマーク用電極、第一、第二の貫通電極、及び、第一、第二のテスト用電極をそれぞれ1ずつ有する例のみを挙げて説明したが、これに限定されず、複数有することもできる。
また、実施の形態では、検査工程をダイシング工程の後に行う例を示したが、検査工程は、ワイヤーボンディング工程の後であれば、どのようなタイミングで行ってもよい。
また、実施の形態では、第一、第二のテスト用電極が貫通電極を介して接続される例を挙げて説明したが、第一のテスト用電極と第二のテスト用電極との間は、半導体素子など、製品の動作に影響する部材と電気的に分離されるように接続されていればよく、一般的な配線により、接続されていてもよい。例えば、第1の実施形態では、第一、第二のマーク用パッドと第一、第二のテスト用電極とが直線上に配置されていたが、配線で接続させることにより、第一のマーク用パッド及び第一のテスト用電極の配置や、第二のマーク用パッド及び第二のテスト用電極の配置を直線上にしなくても、これらが接続可能である。したがって、第一、第二のマーク用パッド及び第一、第二のテスト用電極の配置やパターンのバリエーションがさらに豊富になるというメリットが得られる。
【符号の説明】
【0042】
1a 第一の面
1b 第二の面
10a 基板領域
10b 基板領域
11 スクライブ領域
12 一体基板
101 ボンディングパッド
102 半導体素子
103 入出力用端子
104 電源用端子
105 半導体基板
106a ボンディングワイヤー
106b ボンディングワイヤー
107 マーク用ワイヤー
107b 切断されたマーク用ワイヤー
108a 第一のマーク用パッド
108b 第二のマーク用パッド
109a 第一の貫通電極
109b 第二の貫通電極
110a 第一のテスト用電極
110b 第二のテスト用電極
111 封止樹脂
207 マーク用配線
207b 切断されたマーク用配線
301 電気的テスト用テスタ
302 電圧印加端子
303 入力配線
304 出力配線
305 電圧計測端子
902 半導体素子
903 入出力用端子
904 電源用端子
905 半導体基板
906a ボンディングワイヤー
906b ボンディングワイヤー
I 電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極パッドを備えた半導体素子が搭載され、外部接続端子が形成された基板と、
前記半導体素子及び前記外部接続端子を覆う封止樹脂と、
前記基板のうち、平面視で前記半導体素子と重ならない領域に形成され、前記封止樹脂で覆われていない第一、第二のテスト用電極と、
を有し、
前記電極パッドと前記外部接続端子とがボンディングワイヤーを介して接続されており、
前記半導体素子及び前記外部接続端子から独立して、前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とが電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項2】
前記基板は、矩形であり、
前記第一、第二のテスト用電極が前記基板のコーナー部に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記基板は、第一の面と、前記第一の面とは異なる第二の面とを有し、
前記半導体素子が、前記第一の面に搭載されており、
前記第一、第二のテスト用電極が、前記第二の面に形成されている、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第一の面に形成された第一、第二のマーク用パッドと、
前記第一のマーク用パッドと第二のマーク用パッドとを接続しているマーク用ワイヤーと、
をさらに有し、
前記マーク用ワイヤーが、前記半導体素子及び前記電極パッドから独立して、前記第一のマーク用パッドと第二のマーク用パッドとを接続することにより、前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とが電気的に接続されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第一のテスト用電極と、前記第二のテスト用電極とを電気的に接続しているマーク用配線をさらに有し、
前記マーク用配線が前記基板の内部に形成されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
搭載される半導体素子ごとに設けられた一体基板の基板領域に、外部接続端子をそれぞれ形成する工程と、
前記外部接続端子から電気的に独立している第一、第二のテスト用電極を前記一体基板の前記基板領域ごとに形成する工程と、
前記一体基板の前記第一、第二のテスト用電極に重ならない領域に、電極パッドを備えた半導体素子を搭載する工程と、
ボンディングワイヤーを介して前記電極パッドと前記外部接続端子とを接続する工程と、
前記半導体素子及び前記外部接続端子を封止樹脂で覆う工程と、
を含み、
前記電極パッドと前記外部接続端子とを接続する前記工程において、前記第一、第二のテスト用電極は、前記半導体素子に電気的に接続されず、
前記封止樹脂で覆う前記工程において、前記第一、第二のテスト用電極を前記封止樹脂で覆わない、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第一、第二のテスト用電極を前記基板領域ごとに形成する前記工程、又は、前記電極パッドと前記外部接続端子とを接続する前記工程において、前記第一のテスト用電極と第二のテスト用電極とを電気的に接続し、
前記電極パッドと前記外部接続端子とを接続する前記工程の後、前記基板領域内で前記外部接続端子と前記電極パッドとの接続不良を発見したとき、不良を発見した前記基板領域内の前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とを電気的に切断する、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記基板領域ごとに前記一体基板を切断するダイシング工程と、
前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とが電気的に切断されているか否かを判断し、前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とが電気的に切断されていない前記基板領域内に形成された前記半導体素子を選別する検査工程と、
を含む請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
電極パッドを備えた半導体素子が搭載され、外部接続端子が形成された基板と、
前記半導体素子及び前記外部接続端子を覆う封止樹脂と、
前記基板のうち、平面視で前記半導体素子と重ならない領域に形成され、前記封止樹脂で覆われていない第一、第二のテスト用電極と、
を有し、
前記電極パッドと前記外部接続端子とがボンディングワイヤーを介して接続されており、
前記半導体素子及び前記外部接続端子から独立して、前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とが電気的に接続されている半導体装置を用意するステップと、
前記ボンディングワイヤーを介した前記電極パッドと前記外部接続端子との接続が不良であるとき、前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とを電気的に切断するステップと、
前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とが電気的に切断されているか否かを判断するステップと、
を含み、
判断する前記ステップにおいて、前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とが電気的に切断されていないとき、前記半導体装置を良品と判定し、前記第一のテスト用電極と前記第二のテスト用電極とが電気的に切断されているとき、前記半導体装置を不良品と判定する、半導体装置の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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