説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】ダイパッド等の半導体チップ搭載部の表面に塗布したダイボンド材を、その上に載せて押圧する半導体チップの下面の端部まで万遍なく濡れ広がらせ、かつ、半導体チップ搭載部からはみ出したり、半導体チップ上面へ這い上がることを防止する。
【解決手段】ダイパッド2等の半導体チップ搭載部上における半導体チップ1の搭載領域を画する各辺に対応する少なくとも外側領域に、半導体チップ1の搭載領域の中央部に向かう方向に凸状をなす突起部11を設ける。半導体チップ1下のダイボンド材4は、半導体チップ1の辺中心部から外側へはみ出す傾向にあるが、突起部11により半導体チップ1の端部側へ案内され、濡れ性が改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置およびその製造方法に関し、特に半導体チップを固着するダイボンド材の濡れ広がり性を改善した半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ウェハーからダイシングにより個片化された半導体チップは、リードフレームのダイパッド部や回路基板のアイランド部に固着されており、そのダイボンドの際には作業性やコストの面からペースト状のダイボンド材が最も一般的に使用されている。
【0003】
図17(a)(b)は従来の半導体装置の平面図および断面図である。半導体チップ1をダイパッド2上にダイボンド材4を介して固着し、半導体チップ1の上面の電極パッド1aを金属細線5によりリード6に接続し、半導体チップ1(およびダイパッド2)と金属細線5とリード6の接続領域とを封止樹脂8で封止している。
【0004】
図18はダイボンドの際のダイボンド材4の濡れ広がりを示す。
図18(a)はダイボンド材4の塗布量が少なめの時の平面図である。ダイボンド材4上に載せた半導体チップ1の下面の各辺の中央部では、図18(a′)にもa−a′断面を示すように、ダイボンド材4の濡れ広がりを確保でき、一部が半導体チップ1の外側へのはみ出し4aとなる。一方、半導体チップ1のコーナー部では、図18(a″)にもb−b′断面を示すように、ダイボンド材4の濡れ不足領域4bが発生する。
【0005】
この場合、半導体チップ1のワイヤーボンド時に、はみ出し4a部分のダイボンド材4の付着が発生したり、樹脂封止後に、濡れ不足領域4b部分に空間ができ、水分などの進入で剥離が進行し、ハンダ実装の際に耐熱できなくなったり、後工程(パッケージダイシングや、検査工程)での物理的衝撃強度で、パッケージクラックの起点になる可能性がでてくる等の問題がある。
【0006】
図18(b)はダイボンド材4の塗布量が多めの時の平面図である。図18(b′)にもa−a′断面を示すように、ダイボンド材4のチップ上面への這い上がり4c,ダイパッド裏面への垂れ4dが発生する。
【0007】
この場合、這い上がり4c部分のダイボンド材4が、半導体チップ1のワイヤーボンド時に用いるコレットに付着したり、半導体チップ1上面の電極パッド(図17参照)に付着し、ワイヤーボンディング不良等の問題が発生する。ダイパッド2裏面への垂れ4d部分により、ダイボンダー設備のダイボンドプレートの汚れが生じ、後続する他の製品も不良にしてしまう恐れもある。ダイボンド材4の塗布量が多過ぎなくとも、半導体チップ1とダイパッド2との大きさがほぼ同じである場合には、ダイボンド材4がダイパッド2からはみ出し、同様の問題が起こる。
【0008】
このため、図19に示すように、ダイパッド2の周縁部に半導体チップ1の端辺に沿う方向の直線状の突起部9を配置することで、ダイボンド材4のはみ出しを防止し、塗布量のバラツキに対応するものもある。突起部9に代えて溝を配置したものもある(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平3−85735公報
【特許文献2】特開平2−283041公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図19に示すようにダイパッド2上に直線状の突起部9を配置した場合も、ダイボンド材4の供給量を増加したときには、半導体チップ1上面への這い上がり、コレットや電極パッドへの付着が起こり、依然として、ワイヤーボンディング不良等の原因となっていた。
【0010】
一方、半導体装置の高信頼性の要求に伴い、従来は問題視されていなかった僅かな濡れ不足が問題視されるようになってきた。
本発明は、上記の問題に鑑み、ダイパッド等の半導体チップ搭載部の表面に塗布したダイボンド材を、その上に載せて押圧する半導体チップの下面の端部まで万遍なく濡れ広がらせ、かつ、半導体チップ搭載部からはみ出したり、半導体チップ上面へ這い上がることを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置は、半導体チップ搭載部上にその中央部に向かう方向に凸状をなす突起部を設けることで、ダイボンド材の濡れ性を改善するようにしたものである。
【0012】
すなわち、本発明の半導体装置は、半導体チップと、前記半導体チップを搭載するための半導体チップ搭載部と、前記半導体チップを半導体チップ搭載部上に固着したダイボンド材と、前記半導体チップ搭載部の外側に内部端子が配置された導体と、前記半導体チップと前記導体の内部端子とを電気的に接続した金属細線と、前記半導体チップと前記金属細線と前記導体の接続領域とを覆った封止樹脂とを有した半導体装置において、前記半導体チップ搭載部上における半導体チップ搭載領域を画する各辺に対応する少なくとも外側領域に、前記半導体チップ搭載領域の中央部に向かう方向に凸状をなす前記半導体チップよりも低い突起部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
(1)半導体チップ搭載領域の外側領域(周辺)に、半導体チップ側に向いた凸形部を有する突起部を設ける。たとえば、半導体チップ側に向いた外形円弧状の凸形部を有する突起部を設ける。あるいは、半導体チップ側に1つの角部が向いた断面三角形の凸形部を有する突起部を設ける。
ダイボンドの際に、半導体チップ搭載部の半導体チップ搭載領域上にペースト状のダイボンド材を塗布し、その上に半導体チップを載せて押圧すると、半導体チップ下のダイボンド材は半導体チップの各辺の中央部に先に到達し、そこから外側に濡れ広がる傾向にある。
【0014】
上記のような半導体チップ側に向いた凸形部を有する突起部を設けておくと、半導体チップの各辺の中央部から外側に濡れ広がったダイボンド材は、凸形部の先端に接触し、続いて凸形部の両側へと流れることになり、半導体チップ下のダイボンド材は各辺の端部側へ案内される。このため、半導体チップの裏面全体にダイボンド材が濡れ広がる。
【0015】
(2)半導体チップ搭載領域とその外側領域とにわたる突起部を放射状に設ける。
上述したように、ダイボンドの際には、半導体チップ下のダイボンド材は半導体チップの各辺の中央部に先に到達し、そこから外側に濡れ広がる傾向にある。
上記のような放射状の突起部を設けておくと、半導体チップの中央領域から各辺の中央部に向かう経路が狭まり、移動量が制限されるため、半導体チップ下のダイボンド材は各辺の端部側へと案内される。このため、半導体チップの裏面全体にダイボンド材が濡れ広がる。
【0016】
ダイボンド材がこのように半導体チップの裏面全体に濡れ広がるため、半導体チップの外側への濡れ広がりを抑えること、つまり塗布量を従来よりも抑えることが可能になり、ダイボンド材の半導体チップ上面への這い上がりや半導体チップ搭載部からのはみ出しが防止されることとなる。
【0017】
最終的には、ペースト状態で塗布され硬化されたダイボンド材は、半導体チップの外側まで濡れ広がり、前記半導体チップの各辺の中央よりも端部寄りの位置での前記ダイボンド材の濡れ広がり距離が大きいものとなる。
【0018】
チップ搭載部は金属板よりなり、導体として、前記チップ搭載部に内部端子が対向する複数本のリードが設けられているものであってよい。いわゆるリードフレームから構成されるものである。
【0019】
チップ搭載部は樹脂あるいはセラミックスを基材とする基板の表面に設けられており、前記導体として、前記チップ搭載部の外側の基板表面に内部端子を有する配線が形成されているものであってよい。いわゆる回路基板から構成されるものである。
【0020】
半導体チップが平面視で長方形であり、前記半導体チップ側に向いた突起部の凸形部が外形円弧状あるいは断面三角形であるときには、前記半導体チップの短辺に対向する凸形部の頂部が長辺に対向する凸形部の頂部よりも極率あるいは角度が小さいことが好ましい。
【0021】
放射状の突起部は、半導体チップの各辺に対応して一対ずつ形成することができる。半導体チップが平面視で長方形であるときに、半導体チップの短辺に対応する各一対の突起部間の角度が長辺に対応する各一対の突起部間の角度よりも小さいことが好ましい。各一対の突起部は、各々の長手方向の端部に、先端に近づくにしたがって幅狭まるように傾斜部が設けられており、その傾斜方向は、先端に近づくにしたがって双方の傾斜部が互いに接近する方向であることが好ましい。
突起部は各々、半導体チップ搭載領域内に位置する一端に向かって徐々に薄くなる楔状に形成されていてもよいし、厚みが均一であってもよい。
【0022】
上記の半導体装置を製造する際には、突起部を有する半導体チップ搭載部とその外側に内部端子が配置された導体とを有した半導体チップ支持体を準備する工程と、前記半導体チップ搭載部上にペースト状のダイボンド材を塗布する工程と、半導体チップを前記ダイボンド材上に載せ、押圧して、前記ダイボンド材を前記突起部により案内して前記半導体チップと前記半導体チップ搭載部との間で濡れ広げる工程と、前記ダイボンド材を硬化させて当該ダイボンド材を介して前記半導体チップを半導体チップ搭載部上に固着する工程と、前記半導体チップに形成された電極部と前記導体の内部端子とを金属細線により電気的に接続させる工程と、前記半導体チップと前記金属細線と前記導体の接続部分とを封止樹脂で覆って封止する工程とを少なくとも行うことを特徴とする。
【0023】
半導体チップ支持体を準備する工程において、半導体チップ搭載部を金属板で構成するときには、その所定箇所にプレス加工により突起部を形成することができる。また、半導体チップ搭載部上の所定箇所にマスクを用いて樹脂を塗布することで突起部を形成することができる。また、半導体チップ搭載部上の所定箇所に別途に個片として形成した突起部を接着することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、半導体チップ搭載部上にその中央部に向かう方向に凸状をなす突起部を設けることにより、ダイボンド材の濡れ性を改善して、半導体チップの裏面全体に濡れ広げながら、半導体チップ搭載部からのはみ出し、半導体チップ上面へ這い上がり、それによる電極パッド等への付着を防止することができ、高信頼性、耐湿性を確保した半導体装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の構成を示す。図1(a)は同半導体装置の平面図、図1(b)は同半導体装置の一部拡大斜視図、図1(c)は同半導体装置の図1(a)におけるa−a’ラインでの断面図である。
【0026】
図1(a)(b)(c)において、半導体装置は、主面に複数の電極パッド1aを有する半導体チップ1と、半導体チップ1を搭載するためのダイパッド2と、ダイパッド2に内部端子6aが対向するように且つダイパッド2の周囲を囲むように配列された複数本のリード6と、半導体チップ1をダイパッド2上に固着したダイボンド材4と、半導体チップ1の電極パッド1aとリード6とを電気的に接続した金属細線5と、半導体チップ1、ダイパッド2、金属細線5、リード6の接続部分を覆った封止樹脂8とで構成されており、封止樹脂8の四方の外側にリード6の外部端子6bが突出している。このような形状の半導体装置はQFP(Quad-Flat-Package)と呼称されている。
【0027】
なお、図1(a)では、内部構成が分かり易いように、封止樹脂8の上部と金属細線5の一部を除去して図示している。実際には、図示した電極パッド1aは全て金属細線5によりリード6に接続されている。後述する各図について、特に断らなくても同様であることとする。
【0028】
この半導体装置が、先に図17、19を用いて説明した従来の半導体装置と相違するのは、ダイパッド2上における半導体チップ1(平面視で概ね正方形)が搭載される領域(以下、半導体チップ搭載領域という)の外側領域、つまり半導体チップ1の各辺(したがって半導体チップ搭載領域を画する各辺)に対応する四方の領域にそれぞれ、半導体チップ1側に向いた外形円弧状の突出部11aを持った突起部11が設けられている点である。4つの外形円弧状の突出部11a(以下、円弧部11aという)は、同一形状、同一寸法であり、各々、半導体チップ1の各辺を2分する上下方向の中線に円弧部11aの頂部が対向しており、頂部の両側は対称形である。
【0029】
ダイパッド2、リード6、吊りリード7は、いわゆるリードフレームの一部であり、ダイパッド2は、既に切り離されているため図示していない外枠部に対して吊りリード7により連結され、リード6は前記外枠部の内周に櫛歯状に配列されていたものである。リードフレームは一般に、Cu合金、Fe−Ni合金、Al合金などの金属板で作製されている。
【0030】
ダイボンド材4としては、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などが用いられ、放熱性が要求される場合には金属粉(例えばAgフィラー)入りのものが選択され、放熱性がそれほど重要でない場合には金属粉を含まないものが選択される。金属細線5としては、金(Au)線やアルミニウム(Al)線や銅(Cu)線などが用いられ、封止樹脂8としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が用いられる。
【0031】
図2は、上記の半導体装置(リードフレームを用いたQFP)の製造方法の第1例を示す断面図である。
図2(a)(b)に示すようにして、突起部11を有するダイパッド2とリード6と外枠部(図示せず)とを有したリードフレーム14(半導体チップ支持体)を準備する。
【0032】
詳細には、ダイパッド2とリード6と外枠部(図示せず)とを打ち抜いたリードフレーム14を、プレス金型の上型12、下型13でプレス加工することにより、ダイパッド2とリード6(および外枠部)とに段差をつけるなどの加工を施すと同時に、プレス金型の凹部12a,凸部13aによってダイパッド2に突起部11を形成する。
【0033】
図2(c)に示すように、ダイパッド2の中央にディスペンサ15によりダイボンド材4を塗布し、図2(d)(e)に示すように、コレット16により半導体チップ1をダイボンド材4上に載せ、ボンディング荷重wで押圧して、ダイボンド材4を半導体チップ4の下面とダイパッド2との間に塗り広げる。
【0034】
この際に、ダイボンド材4を半導体チップ1の各辺の端部まで塗り広げることが重要である。このようにすると、ダイボンド材4は、半導体チップ1の裏面全体に十分に濡れ広がり、ダイパッド2からはみ出したり、半導体チップ1上面へ這い上がることはなく、電極パッド1aへの付着、コレット16への付着を防止できる。
【0035】
この状態でダイボンド材4を加熱硬化させることにより、当該ダイボンド材4を介して半導体チップ1をダイパッド2上に固着させる。上記のように半導体チップ1の裏面全体にダイボンド材4が十分に濡れ広がっているので良好にダイボンドできることとなる。
【0036】
その後に、図2(f)に示すように、半導体チップ1上面の電極パッド(図示せず)とリード6とを金属細線5によって電気的に接続し、図2(g)に示すように、半導体チップ1とダイパッド2と金属細線5とリード6の接続部分とを封止樹脂8で覆って封止する。最後に、図2(h)に示すように、リード6を外枠部(図示せず)から切り離し、外部端子6bを所定形状に折り曲げ加工する。
【0037】
上記のようにして半導体チップ1をダイボンドするときのダイボンド材4の濡れ広がりについて、図3(a)〜(d)の平面図、対応する(a′)〜(d′)の断面図を参照して詳述する。
【0038】
図3(a)(a′)では、ダイパッド2の中央部にダイボンド材4を円形に塗布している。このダイボンド材4上に、コレット16に吸着した半導体チップ1を、図3(b)(b′)に示すように載せ、ボンディング荷重wで押圧する。
【0039】
このことにより、半導体チップ1下のダイボンド材4は、ほぼ円形のまま濡れ広がり、半導体チップ1の各辺の中央部に先に到達し、そこから外側に濡れ広がる。この時点では、ダイボンド材4は半導体チップ1の各辺の中央部まで濡れ広がっているが、各辺の端部までは濡れ広がっていない。
【0040】
さらにボンディング荷重wを加えると、図3(c)(c′)に示すように、半導体チップ1の各辺の中央部から外側に濡れ広がったダイボンド材4は、突起部11の円弧部11aの頂部に接触し、続いて、図3(d)(d′)に示すように、円弧部11aの両側へと流れ、半導体チップ1下のダイボンド材4は半導体チップ1の各辺の端部側へ案内されることとなる。
【0041】
このため、ダイボンド材4は半導体チップ1の裏面全体に濡れ広がり、最終的には、ダイボンド材4の濡れ広がり形状は、半導体チップ1の各辺の中央部よりもその両側部でのはみ出し距離が大きい、4つ葉のクローバーのような形状となる。
【0042】
このように、突起部11の円弧部11aを利用してダイボンド材4の濡れ広がりをコントロールすることができ、半導体チップ1の裏面全体、コーナー部まで、ダイボンド材4の十分な濡れ広がりを確保することが可能である。
【0043】
円弧部11aの長さ(半導体チップ1の各辺に沿う方向の長さ)は、半導体チップ1の各辺の長さの1/4〜3/4の範囲で効果があり、好ましくは1/2程度である。円弧部11aの厚さは、半導体チップ1の厚さの1/4〜1/1の範囲が効果的であり、好ましくは3/4程度である。円弧部11aがこのようなサイズであれば、ダイパッド2からはみ出したり、半導体チップ1上面へ這い上がるのを抑えることができる。
【0044】
以上のように、円弧部11aをもった突起部11によって、ダイボンド材4の半導体チップ1の裏面全体への十分な濡れ広がりを確保しながら、ダイパッド2からのはみ出しや、半導体チップ1上面への這い上がりを防止することができるので、小型、薄型化に対応した高信頼性、高耐湿性の半導体装置を実現できる。携帯電話、DSC(デジタルスチルカメラ)、DVDやBDディスクレコーダー、HDDレコーダーのような、いわゆるデジタル家電の小型化、薄型化および品質の向上に寄与するものである。
【0045】
図4は、上記の半導体装置の製造方法の第2例を示す断面図である。
先に図2を用いて説明した製造方法と異なるのは、図4(a)〜(e)に示す、突起部11を有するダイパッド2とリード6と外枠部(図示せず)とを有したリードフレーム14を準備する工程である。
【0046】
図4(a)に示すように、ダイパッド2とリード6と外枠部(図示せず)とを打ち抜いたリードフレーム14上にマスク17を重ね、その上に樹脂11′を塗布し、しかる後に図4(b)に示すようにマスク17上の樹脂11′を取り除くことにより、図4(c)に示すように突起部11を形成する。
【0047】
その後に、図4(d)(e)に示すように、プレス金型の上型12、下型13でプレス加工することにより、ダイパッド2とリード6(および外枠部)とに段差をつけるなどの加工を施す。このときに、突起部11を潰さないように、突起部11に対応する凹部11bを設けたプレス金型を用いる。以下の工程は図2の方法と同様なので説明を省略する。
【0048】
図5は、上記の半導体装置の製造方法の第3例を示す断面図である。
先に図2を用いて説明した製造方法と異なるのは、図5(a)〜(d)に示す、突起部11を有するダイパッド2とリード6と外枠部(図示せず)とを有したリードフレーム14を準備する工程である。この工程のみ以下に説明して、他の工程の説明を省略する。
【0049】
図5(a)に示すように、樹脂フィルム11″を所望の形状およびサイズにカットし(例えば短冊状に剪断したり、所望形状のパンチで打ち抜く)、図5(b)に示すように、ダイパッド2上の所望の位置に貼り付けることで、突起部11を形成する。
【0050】
その後に、図5(c)(d)に示すように、プレス金型の上型12、下型13でプレス加工することにより、ダイパッド2とリード6(および外枠部)とに段差をつけるなどの加工を施す。このときに、突起部11を潰さないように、突起部11に対応する凹部11bを設けたプレス金型を用いる。以下の工程は図2の方法と同様なので説明を省略する。
【0051】
図6は本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の構成を示す。図6(a)は同半導体装置の平面図、図6(b)は同半導体装置の一部拡大斜視図、図6(c)は同半導体装置の図6(a)におけるa−a’ラインでの断面図である。
【0052】
この半導体装置が図1の半導体装置と異なるのは、ダイパッド2とリード6とが段差なく配列され、それぞれの下面が封止樹脂8から露出していて、露出したリード6の下面が外部端子6bとされている点である。このようにリード6の下面が外部端子6bとなる形状の半導体装置はQFN(Quad-Flat-Nonlead-Package)と呼称されている。またダイパッド2の下面が露出する形態は、HQFN(Heatslag-Quad-Flat-Nonlead-Package、放熱板露出タイプQFN)と呼称されている。
【0053】
突起部11の配置および形状は、図1のものと同様である。このため、突起部11によって上述したのと同様の効果が得られる。つまり、円弧部11aをもった突起部11によって、ダイボンド材4の半導体チップ1の裏面全体への十分な濡れ広がりを確保しながら、ダイパッド2からのはみ出しや、半導体チップ1上面への這い上がりを防止することができる。
【0054】
この半導体装置(QFN)は、図1に示した半導体装置(QFP)に比較すると、外部端子の数が少ない構造(多くできない構造)ではあるが、外部端子6bを下面に配置する分、小型化が可能である。かかる半導体装置(QFN)の寸法精度の要求は半導体装置(QFP)よりも厳しい。このため、上記のように突起部11によってダイボンド材4のダイパッド2からのはみ出しを防止できることは、より有効となる。
【0055】
ただし、ダイパッド2が露出していない構造、LGAのような構造であってもよく、このような構造でも突起部11による上述の効果が有効であることは言うまでもない。
図7は本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の構成を示す。図7(a)は同半導体装置の平面図、図7(b)は同半導体装置の一部拡大斜視図、図7(c)は同半導体装置の図7(a)におけるa−a’ラインでの断面図である。
【0056】
この半導体装置は、図1の半導体装置と同じくQFP(Quad-Flat-Package)である。この半導体装置が図1の半導体装置と異なるのは、図1の突起部11とは形状が異なる突起部21、つまり、半導体チップ1側に向いた断面三角形の突出部21a(以下、三角部21aという)を持った突起部21が形成されている点である。
【0057】
4つの突起部21は、同一形状、同一寸法であり、各々、半導体チップ1の各辺を2分する上下方向の中線に三角部21aの頂部が対向しており、頂部の両側は対称形である。突起部21の配置は図1の突起部11と同様である。
【0058】
このため、突起部11によって、ダイボンド材4の半導体チップ1の裏面全体への十分な濡れ広がりを確保しながら、ダイパッド2からのはみ出しや、半導体チップ1上面への這い上がりを防止することができる。
【0059】
三角部21aの長さは、半導体チップ1の各辺の長さの1/4〜3/4の範囲で効果があり、好ましくは1/2程度である。三角部21aの厚さは、半導体チップの厚さの1/4〜1/1の範囲が効果的であり、好ましくは3/4程度である。半導体チップ1に対向する頂部に、丸みをもたせてもよい。半導体チップ1のサイズなどが変化すると、ダイボンド材4の濡れ広がり性が変化するため、半導体チップ1に対向している三角部21aの頂部の角度、その両側の辺の長さを変化させることで対応する。
【0060】
図8は本発明の第4実施形態にかかる半導体装置の構成を示す。図8(a)は同半導体装置の平面図、図8(b)は同半導体装置の一部拡大斜視図、図8(c)は同半導体装置の図8(a)におけるa−a’ラインでの断面図である。
【0061】
この半導体装置は、図7の半導体装置と同じくQFP(Quad-Flat-Package)である。この半導体装置が図7の半導体装置と異なるのは、半導体チップ1が平面視で長方形であり、半導体チップ1の長辺側と短辺側とで突起部21の形状がやや異なる点である。
【0062】
つまり、半導体チップ1の長辺側に、半導体チップ1に向いた断面三角形の突出部21Aa(以下、三角部21Aaという)を持った突起部21Aが形成され、半導体チップ1の短辺側に、半導体チップ1に向いた断面三角形の突出部21Ba(以下、三角部21Baという)を持った突起部21Bが形成されている。
【0063】
突起部21Aの三角部21Aaの頂部の角度は、突起部21Bの三角部21Baの頂部の角度よりも大きい。突起部21A,21Bは、半導体チップ1の長辺または短辺と直交する方向の寸法は同一であり、したがって三角部21Aa,21Baの互いに対応する2辺の長さは異なっている。各1対の突起部21A,21Bは各々、同一形状、同一寸法であり、半導体チップ1の各辺を2分する上下方向の中線に三角部21Aa,21Baの頂部が対向しており、頂部の両側は対称形である。
【0064】
これは、上記のように半導体チップ1が長方形であるときには、半導体チップ1の外側にはみ出るダイボンド材4は長辺からの量が短辺からの量よりも多いので、三角部21Aa,21Baの頂角や大きさを変えることで対処したものである。
【0065】
この突起部21(21A,21B)によっても、ダイボンド材4の半導体チップ1の裏面全体への十分な濡れ広がりを確保しながら、ダイパッド2からのはみ出しや、半導体チップ1上面への這い上がりを防止することができる。
【0066】
図9は本発明の第5実施形態にかかる半導体装置の構成を示す。図9(a)は同半導体装置の平面図、図9(b)は同半導体装置の一部拡大斜視図、図9(c)は同半導体装置の図9(a)におけるa−a’ラインでの断面図である。
【0067】
この半導体装置は、上述してきたようなリードフレームを用いるのでなく、回路基板30を用いて構成されている。回路基板30は、樹脂(セラミックス等でもよい)を基材として構成され、半導体チップ1を搭載する領域であるアイランド31が上面に設けられ、その周囲に内部端子32aを有する配線32が形成され、下面に外部端子(図示せず)が格子状に配置され、内部端子32aおよび外部端子以外の配線32は保護膜33で覆われている。格子状配置の外部端子上にはボール電極34が搭載されている。
【0068】
すなわち、この半導体装置は、主面に複数の電極パッド1aを有する半導体チップ1と、アイランド31および配線32を有する回路基板30と、半導体チップ1をアイランド31上に固着したダイボンド材4と、半導体チップ1の電極パッド1aと配線32の内部端子32aとを電気的に接続した金属細線5と、半導体チップ1、アイランド31、金属細線5、配線32を含む回路基板30上面を覆った封止樹脂8と、上述の格子状配置の外部端子上に搭載したボール電極34とで構成されている。このような形状の半導体装置はBGA(Ball-Grid-Arrey-Package)と呼称されている。
【0069】
そして、回路基板30のアイランド31上に、図1と同様の配置、形状の突起部11が形成されている。つまり、アイランド31上における半導体チップ搭載領域の外側領域、半導体チップ1の各辺に対応する四方の領域にそれぞれ、半導体チップ1側に向いた円弧部11aを持った突起部11が設けられている。4つの突起部11は、同一形状、同一寸法であり、各々、半導体チップ1の各辺を2分する上下方向の中線に円弧部11aの頂部が対向しており、頂部の両側は対称形である。
【0070】
この半導体装置でも、突起部11によって、ダイボンド材4の半導体チップ1の裏面全体への十分な濡れ広がりを確保しながら、ダイパッド2からのはみ出しや、半導体チップ1上面への這い上がりを防止することができる。
【0071】
なお、回路基板30は、両面基板や複数層構造に形成される。配線32は、基材が樹脂であれば、Cuを用いて形成され、表面に露出している部分がNi−Auで被覆されることが多く、また基材がセラミックであれば、一般にタングステンなどを用いて形成され、表面に露出している部分がAuなどで被覆されることが多い。ボール電極34としては、はんだやCuなどの金属ボールが搭載されるが、ボール電極34に代えて突起電極を設けてもよいし、ボール電極34を設けないLGA(Land-Grid-Arrey-Package)として構成してもよい。
【0072】
図10は、上記の半導体装置(回路基板を用いたBGA)の製造方法の第1例を示す断面図である。
図10(a)(b)に示すように、突起部11を有するアイランド31と配線32とを有した回路基板30(半導体チップ支持体)を準備する。
【0073】
詳細には、図10(a)に示すように、アイランド31と配線32とを有した回路基板30上にマスク17を重ねておき、その上に樹脂(レジスト)11′を塗布し、しかる後に図10(b)に示すようにマスク17上の樹脂11′を取り除くことにより、図10(c)に示すように突起部11を形成する。
【0074】
この後は先に図2を用いて説明した方法とほぼ同様なので説明を省略する。ボール電極34は最後に搭載する。保護膜の図示は省略している。
図11は、上記の半導体装置の製造方法の第2例を示す断面図である。
【0075】
図11(a)(b)に示すように、突起部11を有するアイランド31と配線32とを有した回路基板30を準備する。
詳細には、図11(a)に示すように、樹脂フィルム11″を所望の形状およびサイズにカットし(例えば短冊状に剪断したり、所望形状のパンチで打ち抜く)、図11(b)に示すように、ダイパッド2上の所望の位置に貼り付けることで、突起部11を形成する。
【0076】
この後は先に図2を用いて説明した方法とほぼ同様なので説明を省略する。ボール電極34は最後に搭載する。保護膜の図示は省略している。
図12は本発明の第6実施形態にかかる半導体装置の構成を示す。図12(a)は同半導体装置の平面図、図12(b)は同半導体装置の一部拡大斜視図、図12(c)は同半導体装置の図12(a)におけるa−a’ラインでの断面図である。
【0077】
この半導体装置は、図1の半導体装置と同じくリードフレームを用いたQFP(Quad-Flat-Package)である。この半導体装置が図1の半導体装置と異なるのは、ダイパッド2上に、半導体チップ搭載領域の外側だけでなく領域内にも入り込むかたちの突起部41(41A,41B)が放射状に形成されている点である。突起部41A,41Bは一対をなすもので、半導体チップ1の各辺に対応して一対ずつ形成されている。
【0078】
なお図12(a)において、突起部41A,41Bは断面では表われないが、理解しやすいように斜線を付している。後述する各図について、特に断らなくても同様であることとする。
【0079】
各一対の突起部41A,41Bは、各々の長手方向の端部に、先端に近づくにしたがって幅狭まるように傾斜部41A′,41B′が設けられており、その傾斜方向は、先端に近づくにしたがって双方の傾斜部41A′,41B′が互いに接近する方向である。言い換えると、各一対の突起部41A,41Bは平面視で各々台形であり、より長い底辺どうしが対向し、傾斜部41A′,41B′は互いに背反している。このため、突起部41(41A,41B)が周方向に等間隔で配置されていても、一対の突起部41A,41Bの先端どうしの間隔は、隣り合う一方の対の突起部41Aともう一方の対の突起部41Bとの先端どうしの間隔よりも狭い。
【0080】
また、各突起部41A,41Bは、半導体チップ搭載領域内に位置する内端に向かって徐々に薄くなる楔状に形成されている。このため、楔状の突起部41A,41B上に半導体チップ1の下面のエッジが支持されている。半導体チップ1の外側へはみ出たダイボンド材4の外端部の厚みは、突起部41A,41Bの外端部の厚みより小さい。
【0081】
上記のダイパッド2上に半導体チップ1をダイボンドするときのダイボンド材4の濡れ広がりについて、図13(a)〜(c)の平面図、対応する(a′)〜(c′)の断面図を参照して説明する。
【0082】
図13(a)(a′)では、ダイパッド2の中央にダイボンド材4を円形に塗布している。このダイボンド材4上に、コレット16に吸着した半導体チップ1を、図13(b)(b′)に示すように載せ、ボンディング荷重wで押圧する。
【0083】
このことにより、半導体チップ1下のダイボンド材4は、放射状の突起部41(41A,41B)の間に濡れ広がる。この際に、上述のように、一対の突起部41A,41Bの先端どうしの間隔は、隣り合う一方の対の突起部41Aともう一方の対の突起部41Bとの先端どうしの間隔よりも狭いため、半導体チップ1の各辺の中央部に向かう方向よりも対角線方向に多めにダイボンド材4が濡れ広がっていく。
【0084】
さらにボンディング荷重wを加えると、図13(c)(c′)に示すように、半導体チップ1の下面の各辺(エッジ)が楔状の突起部41(41A,41B)の上面(傾斜面)に当接する。
【0085】
このときまでダイボンド材4は半導体チップ1の裏面全体、半導体チップ1の各辺の中央部および端部まで濡れ広がり、半導体チップ1下には突起部41(41A,41B)の当接点の高さ(楔形状に依存する)で規定される適量が保持される。
【0086】
最終的には、ダイボンド材4の濡れ広がり形状は、半導体チップ1の各辺の中央部よりもその両側部分のはみ出し距離が大きい、4つ葉のクローバーのような形状となる。
このように、突起部41の放射状の配置と形状とを利用して、ダイボンド材4の濡れ広がりをコントロールすることができ、半導体チップ1の裏面全体、コーナー部まで、ダイボンド材4の十分な濡れ広がりを確保することが可能である。
【0087】
またダイボンド材4がこのように半導体チップ1の裏面全体に濡れ広がるため、半導体チップ1の外側への濡れ広がりを抑えること、つまり塗布量を従来よりも抑えることが可能になり、ダイボンド材4の半導体チップ1上面への這い上がりやダイパッド2からのはみ出しが防止されることとなる。
【0088】
図14は本発明の第7実施形態にかかる半導体装置の構成を示す。図14(a)は同半導体装置の平面図、図14(b)は同半導体装置の一部拡大斜視図、図14(c)は同半導体装置の図14(a)におけるa−a’ラインでの断面図である。
【0089】
この半導体装置は、図12の半導体装置と同じくQFP(Quad-Flat-Package)である。この半導体装置が図13の半導体装置と異なるのは、半導体チップ1が平面視で長方形であり、放射状に配置された突起部51の形状が半導体チップ1の長辺側と短辺側とでやや異なる点である。
【0090】
つまり、半導体チップ1の長辺側に各一対の突起部51A,51Bが角度θ1をなすように形成され、半導体チップ1の短辺側に各一対の突起部51C,51Dが角度θ2(<θ1)をなすように形成されている。長辺と直交する方向の突起部51A,51Bの寸法と、短辺と直交する方向の突起部51C,51Dの寸法とは同等である。
【0091】
各一対の突起部51A,51B,突起部51C,51Dが、各々の長手方向の端部に、傾斜部51A′,51B′,傾斜部51C′,51D′を有すること、および、各突起部51A,51B,51C,51Dが楔状に形成されていることは、図13の半導体装置と同様である。
【0092】
これは、上記のように半導体チップ1が長方形であるときには、半導体チップ1の外側にはみ出るダイボンド材4は長辺からの量が短辺からの量よりも多いので、突起部51A,51B,突起部51C,51Dの挟角や大きさを変えることで対処したものである。
【0093】
この突起部51(51A,51B,51C,51D)によっても、ダイボンド材4の半導体チップ1の裏面全体への十分な濡れ広がりを確保しながら、ダイパッド2からのはみ出しや、半導体チップ1上面への這い上がりを防止することができる。
【0094】
なおここでは、図示したように、短辺に対応するθ2を鋭角とし、長辺に対応するθ1を鈍角としているが、それぞれの角度は半導体チップ1の長辺、短辺の長さの比率によって決めればよい。
【0095】
図15は本発明の第8実施形態にかかる半導体装置の構成を示す。図15(a)は同半導体装置の平面図、図15(b)は同半導体装置の一部拡大斜視図、図15(c)は同半導体装置の図15(a)におけるa−a’ラインでの断面図である。
【0096】
この半導体装置は、図12の半導体装置と同じくリードフレームを用いたQFP(Quad-Flat-Package)である。この半導体装置が図12の半導体装置と異なるのは、突起部61が、内端から外端まで均一な厚みに形成されている点である。
【0097】
各一対の突起部61A,61Bは、図12の突起部41A,41Bと同様の放射状の配置、ほぼ同様の形状を有しており、各々の長手方向の端部に、傾斜部61A′,61B′を有している。
【0098】
この突起部61(61A,61B)によっても、ダイボンド材4の半導体チップ1の裏面全体への十分な濡れ広がりを確保しながら、ダイパッド2からのはみ出しや、半導体チップ1上面への這い上がりを防止することができる。
【0099】
この構造の利点は、楔状の突起部41を設けている場合には必要である半導体チップ1の微妙な傾き調整が不要であることである。したがってこの構造は、特に半導体チップ1の傾きを抑制する必要がある、センサー、光学チップ、特にMEMSやイメージセンサーなどに有用である。かかるセンサー等として構成する場合、半導体チップ1(光学チップ)の上面は樹脂封止せずに光が入射できるようにする。
【0100】
図16は本発明の第9実施形態にかかる半導体装置の構成を示す。図16(a)は同半導体装置の平面図、図16(b)は同半導体装置の一部拡大斜視図、図16(c)は同半導体装置の図16(a)におけるa−a’ラインでの断面図である。
【0101】
この半導体装置は、上述してきたようなリードフレームを用いるのでなく、図9の半導体装置と同様の回路基板30を用いて構成されたBGA(Ball-Grid-Arrey-Package)である。回路基板30上に、図12と同様の放射状の配置、形状(楔状)の突起部41が形成されている。
【0102】
この半導体装置でも、突起部41(41A,41B)によって、ダイボンド材4の半導体チップ1の裏面全体への十分な濡れ広がりを確保しながら、ダイパッド2からのはみ出しや、半導体チップ1上面への這い上がりを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明によれば、半導体チップ搭載部上にダイボンドする際に、ダイボンド材の半導体チップの裏面全体への十分な濡れ広がりを確保しながら、半導体チップ搭載部からのはみ出しや半導体チップ上面への這い上がりを防止することができるので、小型、薄型化に対応した高信頼性、高耐湿性の半導体装置を実現できる。したがって、携帯電話等の電子機器の小型化、薄型化および品質の向上に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置の構成図
【図2】図1の半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図
【図3】図2の半導体装置の製造方法における一工程の説明図
【図4】図1の半導体装置の製造方法の第2例を示す断面図
【図5】図1の半導体装置の製造方法の第3例を示す断面図
【図6】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置の構成図
【図7】本発明の第3実施形態にかかる半導体装置の構成図
【図8】本発明の第4実施形態にかかる半導体装置の構成図
【図9】本発明の第5実施形態にかかる半導体装置の構成図
【図10】図9の半導体装置の製造方法の第1例を示す断面図
【図11】図9の半導体装置の製造方法の第2例を示す断面図
【図12】本発明の第6実施形態にかかる半導体装置の構成図
【図13】図12の半導体装置の製造方法における一工程の説明図
【図14】本発明の第7実施形態にかかる半導体装置の構成図
【図15】本発明の第8実施形態にかかる半導体装置の構成図
【図16】本発明の第9実施形態にかかる半導体装置の構成図
【図17】従来の半導体装置の構成図
【図18】図17の半導体装置の製造方法における一工程の説明図
【図19】従来の他の半導体装置の構成図
【符号の説明】
【0105】
1 半導体チップ
1a 電極パッド
2 ダイパッド
4 ダイボンド材
5 金属細線
6 リード
6a 内部端子
6b 外部端子
8 封止樹脂
11 突起部
11a 円弧部
11′ 樹脂
11″ 樹脂フィルム
14 リードフレーム
17 マスク
21 突起部
21A,21B 突起部
30 回路基板
31 アイランド
32 配線
34 ボール電極
41,41A,41B 突起部
41A′,41B′ 傾斜部
51,51A,51B,51C,51D 突起部
51A′,51B′,51C′,51D′傾斜部
61,61A,61B 突起部
61A′,61B′ 傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップと、前記半導体チップを搭載するための半導体チップ搭載部と、前記半導体チップを半導体チップ搭載部上に固着したダイボンド材と、前記半導体チップ搭載部の外側に内部端子が配置された導体と、前記半導体チップと前記導体の内部端子とを電気的に接続した金属細線と、前記半導体チップと前記金属細線と前記導体の接続領域とを覆った封止樹脂とを有した半導体装置において、
前記半導体チップ搭載部上における半導体チップ搭載領域を画する各辺に対応する少なくとも外側領域に、前記半導体チップ搭載領域の中央部に向かう方向に凸状をなす前記半導体チップよりも低い突起部が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
チップ搭載部は金属板よりなり、導体として、前記チップ搭載部に内部端子が対向する複数本のリードが設けられていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
チップ搭載部は樹脂あるいはセラミックスを基材とする基板の表面に設けられており、前記導体として、前記チップ搭載部の外側の基板表面に内部端子を有する配線が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
突起部は、半導体チップ搭載領域の外側領域に形成されていて、半導体チップ側に向いた凸形部を有していることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
半導体チップが平面視で長方形であり、前記半導体チップ側に向いた突起部の凸形部が外形円弧状あるいは断面三角形であるときには、前記半導体チップの短辺に対向する凸形部の頂部が長辺に対向する凸形部の頂部よりも極率あるいは角度が小さいことを特徴とする請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体チップ搭載領域とその外側領域とにわたる突起部が放射状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
突起部は、半導体チップの各辺に対応して一対ずつ形成されていることを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体チップが平面視で長方形であるときに、半導体チップの短辺に対応する各一対の突起部間の角度が長辺に対応する各一対の突起部間の角度よりも小さいことを特徴とする請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
各一対の突起部は、各々の長手方向の端部に、先端に近づくにしたがって幅狭まるように傾斜部が設けられており、その傾斜方向は、先端に近づくにしたがって双方の突起部の傾斜部が互いに接近する方向であることを特徴とする請求項7記載の半導体装置。
【請求項10】
突起部は各々、半導体チップ搭載領域内に位置する一端に向かって徐々に薄くなる楔状に形成されていることを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
【請求項11】
突起部は各々、厚みが均一であることを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
【請求項12】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
突起部を有する半導体チップ搭載部とその外側に内部端子が配置された導体とを有した半導体チップ支持体を準備する工程と、前記半導体チップ搭載部上にペースト状のダイボンド材を塗布する工程と、半導体チップを前記ダイボンド材上に載せ、押圧して、前記ダイボンド材を前記突起部により案内して前記半導体チップと前記半導体チップ搭載部との間で濡れ広げる工程と、前記ダイボンド材を硬化させて当該ダイボンド材を介して前記半導体チップを半導体チップ搭載部上に固着する工程と、前記半導体チップに形成された電極部と前記導体の内部端子とを金属細線により電気的に接続させる工程と、前記半導体チップと前記金属細線と前記導体の接続部分とを封止樹脂で覆って封止する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
半導体チップ支持体を準備する工程において、半導体チップ搭載部を金属板で構成するときには、その所定箇所にプレス加工により突起部を形成することを特徴とする請求項12記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
半導体チップ支持体を準備する工程において、半導体チップ搭載部上の所定箇所にマスクを用いて樹脂を塗布することで突起部を形成することを特徴とする請求項12記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
半導体チップ支持体を準備する工程において、半導体チップ搭載部上の所定箇所に別途に個片として形成した突起部を接着することを特徴とする請求項12記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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