説明

半導体装置のパッド構造およびそれを用いた特性試験方法

【目的】 本発明は、パッドに対するバンプ電極の形成位置を特定することで、バンプ電極を形成する前後に特性試験が行え、かつバンプ電極どうしの短絡がないパッド構造を提供し、それを用いた試験方法を提供する。
【構成】 配線13を接続したもので基板11上に形成したパッド12と、それを覆う状態に形成したパッシベーション膜14と、パッド12上のパッシベーション膜14に設けた開口部15とよりなる半導体装置のパッド構造であって、バンプ電極16(16a)を隣り合うバンプ電極16(16b) と間隔を置いて、少なくとも配線13を接続する側のパッド12の露出している部分を覆う状態に設けたものである。そしてバンプ電極16を形成する前に試験装置の探針(図示せず)をパッド12に接触させて、半導体装置の特性試験を行い、バンプ電極16を形成した後に試験装置の探針をバンプ電極16に接触させて半導体装置の特性を評価する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体装置の製造工程において、当該半導体装置の特性値を計測するのに用いる半導体装置のパッド構造およびそれを用いた特性試験方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の半導体装置には、製品となる集積回路とこの集積回路を形成するプロセス中にその特性を測定するための評価用素子とが設けられている。またこの半導体装置のパッドにはバンプ電極が形成される。
【0003】通常、パッドを形成した後、パッシベーション膜を成膜し、続いてパッド上のパッシベーション膜に開口部を形成する。そして、開口部よりパッドに特性試験装置の探針を接触させて、例えば当該半導体装置の電気的特性を評価する。
【0004】次いで、バンプ電極の下地金属層を形成した後、ホトリソグラフィー技術とめっき技術によって、バンプ電極を形成する。その後、バンプ電極をエッチングマスクにしたエッチングによって、露出している下地金属層をエッチングする。このエッチングでは、下地金属層とともにパッドもエッチングされるので、バンプ電極と配線とを接続する状態にするために、開口部を覆う状態にバンプ電極を形成していた。その後、バンプ電極に探針を当てて、例えば電気的特性を評価する特性試験を行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図4に示すように、パッド61上のパッシベーション膜62に設けた開口部63を覆う状態にバンプ電極64を形成した場合には、バンプ電極64が大きな面積を占める。このようにバンプ電極64の占有面積が大きくなって、しかもチップサイズを変えない場合には、隣り合う状態に設けた別のバンプ電極74と短絡することになる。
【0006】そこで図5の(1)に示すように、バンプ電極64,74間の距離を十分に取るために、パッド61,71上のパッシベーション膜62に形成される開口部63,73を小さく形成すると、下地金属層(図示せず)をエッチングする際に、バンプ電極64で開口部63が覆われ、バンプ電極74で開口部73が覆われるので、パッド61,71がエッチングされるのは防げる。
【0007】しかしながら、図5の(2)に示すように、開口部63(または開口部73)が小さいために、それらの側周のパッシベーション膜62に、特性試験装置(図示せず)の探針81が当たって、探針81をパッド61(またはパッド71)に接触させることができない。したがって、半導体装置の電気的特性評価が行えない。
【0008】また図示はしないが、チップサイズを大きくして、各パッド間隔を広げ、かつ探針がパッドに接触できる大きさに開口部を形成すると、バンプ電極の短絡はなくなる。しかしながら、チップサイズを大きくしたことにより、1枚のウエハに形成できるチップ数が少なくなるので、製造コストは高くなる。
【0009】本発明は、パッド形成後の特性試験とバンプ電極を形成した後の特性試験とが行え、かつバンプ電極間の短絡を防いだ半導体装置のパッド構造およびそれを用いた試験方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するためになされた半導体装置のパッド構造およびそれを用いた特性試験方法である。すなわち、配線を接続したもので基板上に形成したパッドと、それを覆う状態に形成したパッシベーション膜と、パッド上のパッシベーション膜に設けた開口部と、パッドに接続する状態に形成したバンプ電極とよりなる半導体装置のパッド構造であって、少なくともバンプ電極は、配線が接続されている側のパッドの露出している部分を覆う状態に接続されているとともに、隣り合うバンプ電極との間隔を置いて設けられているものである。
【0011】また、その半導体装置のパッド構造を、半導体装置の製造工程における品質管理を行う特性評価用素子の入出力部の測定パッド構造に用いたものである。
【0012】さらに上記半導体装置のパッド構造を複数設けたものでは、各パッドに接続される配線を、それぞれのパッドに対して同一方向側に設ける。
【0013】上記半導体装置のパッド構造を用いた特性試験方法は、第1の工程で、半導体装置のパッドと当該パッドに接続する配線とを形成した後、当該パッド側の全面をパッシベーション膜で覆い、その後当該パッド上の当該パッシベーション膜に開口部を形成する。次いで第2の工程で、開口部よりパッドに試験装置の探針を接触させて当該半導体装置の特性を評価する。続いて第3の工程で、少なくとも配線が接続されている側のパッドの露出している部分を覆う状態にかつ隣り合うバンプ電極と間隔を置いた状態にしてバンプ電極を設ける。その後第4の工程で、バンプ電極に試験装置の探針を接触させて、当該半導体装置の特性を評価する。
【0014】
【作用】上記半導体装置のパッド構造では、隣り合うバンプ電極と間隔を置いた状態にして、少なくとも配線が接続されている側のパッドの露出している部分を覆う状態にバンプ電極を設けたことにより、バンプ電極間の接触による短絡がなくなる。またパッド上の開口部の面積は変える必要がないので、試験装置の探針をパッドに接触させることが容易にできる。しかもバンプ電極の形成面積も変える必要がないので、その面積は十分に確保される。
【0015】また、その半導体装置のパッド構造を半導体装置の入出力部の測定パッド構造に用いたことにより、パッド上のパッシベーション膜に開口部を形成した後とバンプ電極を形成した後とに、当該半導体装置の入出力にかかわる電気的特性試験が行える。
【0016】さらに半導体装置のパッド構造を複数設けたもので、各パッドに接続される配線を、それぞれのパッドに対して同一方向側に設けたことにより、各パッド間の相対位置も各バンプ電極間の相対位置も従来と変わらない。したがって、半導体装置の特性試験は、従来と同一のプローブカードで行える。
【0017】上記半導体装置のパッド構造を用いた特性試験方法では、パッド上のパッシベーション膜に開口部を形成した後と、バンプ電極を設けた後とに、半導体装置の特性を評価することにより、バンプ電極を形成する前後の工程における特性の評価が行える。この結果、半導体装置の特性異常は、早期に把握され解析される。
【0018】
【実施例】本発明の実施例を図1のレイアウト図により説明する。図では、一例として、半導体装置のパッドを示す。
【0019】図に示すように、基板11上には、半導体装置の複数のパッド12(12a,12b)が形成されている。また基板11上には、各パッド12(12a,12b)のそれぞれには接続した配線13(13a,13b)が形成されている。上記パッド12と上記配線13(13a,13b)とを覆う状態にパッシベーション膜14が成膜されている。そして各パッド12上のパッシベーション膜14には開口部15(15a,15b)が形成されている。さらに、少なくとも当該配線13とパッド12との接続部側の当該パッド13を覆う状態にバンプ電極16aが設けられている。このバンプ電極16aは、隣接して設けられる他のバンプ電極16bに接触しない状態に配設される。
【0020】例えば、上記バンプ電極16a,16bは、開口部15の全面を覆うのではなく、当該パッド12と当該配線13との接続部側の当該パッド12を覆う状態に設けられている。また、バンプ電極16a,16bどうしが接触しなければ、開口部15を覆う状態に当該バンプ電極16a,16bを形成することは差し支えない。上記のごとくに、半導体装置のパッド構造は構成されている。
【0021】上記半導体装置のパッド構造では、少なくとも配線13が接続されている側のパッド12の露出している部分を覆う状態にかつ隣り合うバンプ電極16a,16bどうしが接触しない状態に各バンプ電極16a,16bを設けたので、バンプ電極16a,16bどうしの接触による短絡はない。
【0022】次に、パッド12に対する配線13の形成位置に関し、図2のレイアウト図により説明する。なお、上記図1で説明したと同様の構成部品には同一の符号を付す。
【0023】図に示すように、基板11には、上記図1で説明したと同様のパッド12が複数配設されている。各パッド12の同一方向側、例えば図面上、各パッド12の右上角部17には、当該パッド12に接続した状態の配線13が基板11に形成されている。そして、バンプ電極16は、少なくとも配線13が接続されている側の当該パッド12の露出している部分を覆う状態にかつ隣り合うバンプ電極16どうしが接触しない状態に形成されている。
【0024】上記のごとくに、各パッド12に接続される配線13を、それぞれのパッド12に対して同一方向側に設けることにより、本案の各バンプ電極16に対する探針(図示せず)の接触位置Pは、従来の各バンプ電極に対する探針(図示せず)の接触位置Qを矢印方向に平行移動した位置になる。したがって、従来と同一のプローブカードを使用して特性試験(例えば電気的特性試験)が行える。
【0025】次に、上記パッド構造の形成とそれを用いた特性試験とバンプ電極の形成とそのバンプ電極を用いた特性試験とを行う手順を、図3に示すパッド構造を用いた特性試験方法の説明図により示す。なお、上記図1R>1,図2で説明したと同様の構成部品には同一符号を付す。
【0026】図3の(1)に示すように、第1の工程では、通常のパッドおよび配線の形成技術によって、基板11上の所定位置に、半導体装置のパッド12とそれに接続する配線13とを形成する。このパッド12および配線13は、通常、アルミニウム系金属で形成される。次いで、通常の成膜技術として、例えばCVD法により、上記パッド12および配線13側の全面を覆う状態にパッシベーション膜14を形成する。その後、ホトリソグラフィー技術とエッチングとによって、上記パッド12上の上記パッシベーション膜14に開口部15を形成する。
【0027】次いで図3の(2)に示す第2の工程を行う。この工程では、開口部15よりパッド12に探針51を接触させて当該半導体装置(図示せず)の特性を評価する。
【0028】続いて図3の(3)に示す第3の工程を行う。この工程では、まずスパッタ法または蒸着法等の成膜技術によって、上記開口部15に露出しているパッド12の表面および上記パッシベーション膜14の表面に下地金属層21を形成する。この下地金属層21は、例えば2層よりなり、第1層22は、パッド12に対して高い密着性が得られる金属として、例えばクロム,チタン等で形成される。そして、例えばめっきによって、上記第1層22上に第2層23が形成される。この第2層23は、例えばバンプ電極を金で形成する場合には、タングステン,白金,パラジウム,銅,銀,ニッケル等の金属で形成され、バンプ電極を銅で形成する場合には、例えばニッケルで形成される。またバンプ電極を半田で形成する場合には、例えば銅で形成される。上記に示した材料は一例であって、それに限定されることはない。また、下地金属層21を3層以上の構造に形成することも可能であり、また単層膜で形成することも可能である。
【0029】続いて、ホトリソグラフィー技術によって、バンプ電極を形成する位置に開口部31を設けたレジスト膜32を形成する。その後、めっき処理を行って、上記開口部31にバンプ電極16(16a)を形成する。このバンプ電極は、金または銅または半田等で、探針(図示せず)を接触させて特性評価ができる大きさに形成される。その形成位置は、少なくとも配線13が接続している側の当該パッド12の露出している部分を覆う状態に、隣り合うバンプ電極16(16b)との間隔を設けて、かつパッシベーション膜14の一部分にオーバラップする状態に設けられている。したがって、バンプ電極16と配線13とはバンプ電極16の下方のパッド12と下地金属層21とを介して接続された状態になる。
【0030】その後、上記レジスト膜32を除去する。さらに、例えば上記バンプ電極16をエッチングマスクにして、下地金属層21をエッチングし、バンプ電極16に接触している下地金属層21を残し、他の部分の下地金属層21を除去する。このとき、上記パッド12が、酸性またはアルカリ性のエッチング液に溶解しやすい金属(例えばアルミニウム)で形成されている場合には、開口部15内におけるバンプ電極16で覆われている以外のパッド12もエッチングされる。
【0031】そして図3の(4)に示す第4の工程を行う。この工程では、上記バンプ電極16に試験装置の探針51を接触させて、当該半導体装置の特性を評価する。上記のごとくに、半導体装置の特性試験は行われる。
【0032】したがって、上記パッド構造を用いた特性試験方法では、バンプ電極16を形成する前後で半導体装置の特性評価が行える。
【0033】
【発明の効果】以上、説明したように本発明の半導体装置のパッド構造によれば、隣り合うバンプ電極と間隔を置いた状態にして、少なくとも配線が接続されている側のパッドの露出している部分を覆う状態にバンプ電極を設けたので、バンプ電極間の接触による短絡がなくなる。このため、信頼性に優れたバンプ電極の形成ができる。またパッド上の開口部の面積は変えないので、試験装置の探針をパッドに接触させることが容易にできる。しかもバンプ電極の面積も十分に確保することができる。
【0034】また、上記半導体装置のパッド構造を、半導体装置の製造工程における品質管理を行う特性評価用素子の入出力部の測定パッド構造に用いたことにより、パッド上のパッシベーション膜に開口部を形成した後とバンプ電極を形成した後とに、当該半導体装置の特性試験が行える。
【0035】さらに複数のパッドのそれぞれに接続される配線を、それぞれのパッドに対して同一方向側に設けたので、各パッド間の相対位置も各バンプ電極間の相対位置も従来と変わらない。したがって、従来と同一のプローブカードを使用して、半導体装置の特性試験を行うことができる。
【0036】上記半導体装置のパッド構造を用いた特性試験方法では、パッド上のパッシベーション膜に開口部を形成した後と、バンプ電極を設けた後とに、半導体装置の特性を評価することができる。このため、半導体装置の特性異常を、早期に把握して解析することができるので、半導体装置の品質の向上を図ることが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のレイアウト図である。
【図2】複数配設したパッド構造のレイアウト図である。
【図3】実施例のパッド構造を用いた特性試験方法の説明図である。
【図4】課題の説明図である。
【図5】課題の説明図である。
【符号の説明】
12 パッド
13 配線
14 パッシベーション膜
15 開口部
16 バンプ電極
51 探針

【特許請求の範囲】
【請求項1】 配線を接続したもので基板上に形成したパッドと、前記パッドを覆う状態に形成したパッシベーション膜と、前記パッド上の前記パッシベーション膜に設けた開口部と、前記パッドに接続する状態に形成したバンプ電極とよりなる半導体装置のパッド構造であって、前記バンプ電極は、少なくとも前記配線が接続されている側の前記パッドの露出している部分を覆う状態に、当該パッドに接続されているとともに、隣り合うバンプ電極との間隔を置いて設けられていることを特徴とする半導体装置のパッド構造。
【請求項2】 請求項1記載の半導体装置のパッド構造を、半導体装置の製造工程における品質管理を行う特性評価用素子の入出力部の測定パッドに用いたことを特徴とする請求項1記載の半導体装置のパッド構造。
【請求項3】 請求項1または請求項2記載の半導体装置のパッド構造を複数設けた半導体装置のパッド構造であって、前記各パッドに接続される配線を、それぞれのパッドに対して同一方向側に設けたことを特徴とする半導体装置のパッド構造。
【請求項4】 半導体装置のパッドと当該パッドに接続する配線とを形成した後、当該パッド側の全面をパッシベーション膜で覆い、その後当該パッド上の当該パッシベーション膜に開口部を形成する第1の工程と、前記開口部より前記パッドに試験装置の探針を接触させて当該半導体装置の特性を評価する第2の工程と、少なくとも前記配線が接続されている側の前記パッドの露出している部分を覆う状態にかつ隣り合うバンプ電極と間隔を置いた状態にしてバンプ電極を設ける第3の工程と、前記バンプ電極に試験装置の探針を接触させて当該半導体装置の特性を評価する第4の工程とを行うことを特徴とする半導体装置のパッド構造を用いた特性試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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