説明

半導体装置の製造方法

【課題】リードに表面処理を施す際、表面処理によってリード間の樹脂部分に付着する異物を残さないようにする。
【解決手段】ダムバー81で連結された複数のリード40を備えて構成されるリードフレーム80に半導体チップを実装し、少なくとも半導体チップおよびリード40の一部をモールド樹脂60で封止したものを用意する。続いて、リードフレーム80のうち各リード40を連結するダムバー81以外の不要な部分をカットし、モールド樹脂60から露出した複数のリード40にはんだコート41を形成する。この後、隣り合うリード40をそれぞれ連結するダムバー81をカットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップを樹脂でモールドし、樹脂から露出したリードの先端部分に表面処理を施してなる半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、IGBTなどの縦型のパワー素子としての半導体チップの表裏面にヒートシンクが電気的、熱的に接続されると共に、半導体チップを外部と電気的に接続するためのリードが樹脂でモールドされたものが知られている。
【0003】
図5は、従来の半導体装置の製造方法を示した図である。なお、図5(b)、(c)では、(a)に示すリード140部分の拡大図を示している。
【0004】
図5(a)に示す工程では、リードフレーム180に図示しない半導体チップを実装したものを用意する。すなわち、リード140や端子部151等で構成されるリードフレーム180および上側ヒートシンク113や端子部152等で構成されるリードフレーム185を用意し、そのリードフレーム180に設けられた図示しない下側ヒートシンク上に半導体チップを実装する。また、半導体チップとリード140とをワイヤボンディングすると共に、半導体チップの表面に上側ヒートシンク113を接続する。そして、上側ヒートシンク113および下側ヒートシンクの片面、リード140や端子部151、152の一部が露出するようにモールド樹脂160でモールドし、図5(a)に示されるものを用意する。
【0005】
図5(b)に示す工程では、リードフレーム180の不要な部分をカットする。具体的には、リードカットのための金型を用意し、この金型をリードフレーム180に押し付けることでリードフレーム180の不要な部分をカットする。この際、隣り合うリード140を連結するダムバー181もカットする。こうしてリードフレーム180の不要な部分を取り除く。
【0006】
図5(c)に示す工程では、リード140に対する表面処理として、リード140の先端部分にはんだコート141を形成する。このため、まず、リード140を除く部分にマスク190を設置する。このマスク190は、モールド樹脂160にはんだが付着してしまうことを防止するためのものであり、例えばリード140を挿入する開口部分が設けられたものが用いられる。なお、図5(c)では、マスク190がリード140を除いた部分のみに設置されているように描かれているが、実際には、リード140の表裏面にもマスク190が配置されている。
【0007】
従来では、リード140の先端部分にはんだをコートする場合、はんだディップやはんだめっきなどの方法がある。また、はんだディップの方法には例えば超音波の方法がある。この超音波の方法では、まず、溶融させたはんだのはんだ液にリード140の先端部分を浸ける。そして、はんだ液を超音波振動させる。これにより、はんだ液に浸けたリード140の先端を超音波によって洗浄しつつ、リード140の先端部分にはんだコート141を形成する。このようにして、半導体装置が完成する。
【0008】
なお、フラックスの方法では、はんだ液の表面にリード140の表面を洗浄するためのフラックス溶液を積層しておく。そして、フラックス溶液を介してリード140をはんだ液に浸ける。これにより、まず、リード140の先端部分をフラックス溶液によって洗浄し、フラックス溶液を通過したリード140をそのままはんだ液に浸ける。こうしてリード140の先端部分にはんだコート141を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の技術では、はんだコート141を形成する際、隣り合うリード140の間のモールド樹脂160に異物が残ってしまう。具体的には、超音波の方法ではんだコート141を形成する際、超音波振動するはんだ液の表面からはんだの霧が上昇することが発明者らの実験等により明らかとなっている。つまり、この霧状のはんだがはんだ液面から舞い上がる。
【0010】
このため、図5(c)に示されるように、リード140を除いた場所にマスク190を設置しているが、各リード140間を繋いでいたダムバー181がすでにカットされているため、霧状になって舞い上がったはんだの粉が隣り合うリード140間のモールド樹脂160に異物200として付着してしまう。なお、マスク190の状態によっては、リード140の根元にも異物200が付着する可能性がある。
【0011】
この異物200は、隣り合うリード140を電気的に接続させてしまうことや、半導体装置が長く使用されたときに信頼性の低下を引き起こす可能性がある。したがって、ブラシ等によってこの異物200を掻き取らなければならず、その工程が必要になってしまう。また、異物200を掻き取る際、リード140を曲げてしまって形状精度を損なう可能性もある。
【0012】
なお、フラックスの方法では、リード140の先端部分をはんだ液に浸けると、リード140の根元がフラックス溶液に浸かった状態になる。このため、隣り合うリード140間のモールド樹脂160にフラックス溶液が付着する可能性がある。このため、フラックス溶液が異物となり、超音波の方法と同様に、洗浄工程によって異物を取り除かなければならない。さらに、はんだめっきの方法においても、ダムバー181を切断した後にめっき工程を実施することで、リード140間のモールド樹脂160にめっきによる異物が付着してしまう可能性がある。
【0013】
以上のように、リード140に対して表面処理を行うことで、隣り合うリード140間のモールド樹脂160に異物200を残してしまうという問題がある。
【0014】
本発明は、上記点に鑑み、リードに表面処理を施す際、表面処理によってリード間の樹脂部分に付着する異物を残さないようにすることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明では、ダムバー(81)で連結された複数のリード(40)を備えて構成されるリードフレーム(80)に半導体チップ(20)を実装し、少なくとも半導体チップおよびリードの一部をモールド樹脂(60)で封止したものを用意する。続いて、モールド樹脂から露出した複数のリードに表面処理を行い、この後、隣り合うリードをそれぞれ連結するダムバーをカットすることを特徴とする。
【0016】
このように、各リードに対して表面処理を施した後、各リードを連結するダムバーをカットする。これにより、表面処理によって異物が生じ、この異物がダムバーに付着したとしても、表面処理後にダムバーをカットしているため、ダムバーと共に異物を取り除くことができる。したがって、モールド樹脂から露出する隣り合うリード間の樹脂部分に異物を残さないようにすることができる。
【0017】
本発明では、表面処理を行う際、リードフレームのうち、ダムバー以外の部分をカットすることを特徴とする。
【0018】
このように、リードフレームのうち、不要な部分をカットする。これにより、リードフレームをカットする前よりもワークサイズを小さくすることができ、ハンドリングの向上や収納マガジンの省スペース化の向上を実現できる。
【0019】
本発明では、ダムバー(81)で連結された複数のリード(40)を備えて構成されるリードフレーム(80)に半導体チップ(20)を実装し、少なくとも半導体チップおよびリードの一部をモールド樹脂(60)で封止したものを用意する。続いて、モールド樹脂から露出した複数のリードにはんだコート(41)を形成し、この後、隣り合うリードをそれぞれ連結するダムバーをカットすることを特徴とする。
【0020】
このように、各リードにはんだコートを形成した後、各リードを連結するダムバーをカットする。これにより、はんだコートの際にはんだやはんだをコートするために用いられた液剤などの異物がダムバーに付着したとしても、はんだコートを形成した後にダムバーをカットしているため、ダムバーと共に異物を取り除くことができる。したがって、モールド樹脂から露出する隣り合うリード間の樹脂部分に異物を残さないようにすることができる。
【0021】
本発明では、はんだコートを形成する際、リードフレームのうち、ダムバー以外の部分をカットすることを特徴とする。
【0022】
このように、リードフレームのうち、不要な部分をカットする。これにより、リードフレームをカットする前よりもワークサイズを小さくすることができ、ハンドリングの向上や収納マガジンの省スペース化の向上を実現できる。
【0023】
本発明では、ダムバーをカットする工程では、モールド樹脂とダムバーとの間に形成されたバリ(61)をダムバーと共に除去することを特徴とする。
【0024】
このように、ダムバーと共に、ダムバーでせき止められたバリも除去する。これにより、ダムバーやバリに付着した異物を除去することができる。また、バリは隣り合うリード間に形成されて除去されるため、隣り合うリード間の樹脂部分に異物を確実に残さないようにすることができる。
【0025】
本発明では、ダムバーをカットする工程では、モールド樹脂の壁面に形成されたバリを除去するバリ取り工程と、リードの形状を矯正するリード矯正工程と、を含んでいることを特徴とする。
【0026】
このように、バリ取り工程やリード矯正工程を行う。これにより、製品としての外観を整えることができる。
【0027】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態で示される半導体装置は、例えばハイブリッド車のインバータ制御に用いられるものである。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の平面図である。また、図2は、図1
のA−A断面図である。図2に示されるように、本実施形態に係る半導体装置S1では、下側ヒートシンク11上に半導体チップ20が搭載され、半導体チップ20上にヒートシンクブロック12を介して上側ヒートシンク13が設置されている。
【0030】
下側ヒートシンク11および上側ヒートシンク13は、半導体チップ20から発せられる熱を放出するための放熱板としても機能するため、熱伝導性が良く、電気抵抗が低いCuなどで構成される。ヒートシンクブロック12は半導体チップ20から発せられる熱を上側ヒートシンク13側へ逃がすためのものであり、例えばCuなどで構成される。
【0031】
これにより、上記した構成においては、半導体チップ20の上面では、ヒートシンクブロック12および上側ヒートシンク13を介して放熱が行われ、半導体チップ20の下面では、下側ヒートシンク11を介して放熱が行われる構成となっている。
【0032】
本実施形態では、矩形状で薄板状の2つの半導体チップ20が用いられ、図2において紙面垂直方向にそれぞれ配置されている。2つの半導体チップ20のうち、図2に示される一方には例えばIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やサイリスタ等のパワー半導体素子が採用され、図示しない他方には例えばFWD(フリーホイールダイオード)等からなる半導体素子が採用される。
【0033】
また、図2に示される半導体チップ20のゲート電極には、ゲートワイヤ30を介してリード40が接続され、上側ヒートシンク13および下側ヒートシンク11には、それぞれ図1に示される端子部51、52が接続された状態になっている。そして、下側ヒートシンク11の片面、上側ヒートシンク13の片面、リード40の一部、端子部51、52の一部がそれぞれ露出するように、モールド樹脂60にて封止した構成となっている(図1参照)。
【0034】
なお、上側ヒートシンク13に接続された端子部52は、モールド樹脂60内で折り曲げられている。そして、端子部51、52およびリード40は同一平面上に配置された状態とされている。また、下側ヒートシンク11と半導体チップ20との間、半導体チップ20とヒートシンクブロック12との間、ヒートシンクブロック12と上側ヒートシンク13との間は、それぞれはんだ70により接合されている。
【0035】
以上が、本実施形態に係る半導体装置S1の構成である。
【0036】
上記半導体装置S1において、モールド樹脂60から露出したリード40の先端部分にはんだコート41が形成されている(図1に示される斜線部分)。本実施形態では、このはんだコート41は、例えばはんだディップの方法のうち超音波によってリード40の先端部分の表面に形成されている。また、はんだとしてSn(すず)系はんだが用いられている。
【0037】
このようにリード40の先端部分にはんだコート41を形成しておくことで、半導体装置S1を電気回路が形成された基板等に実装する際の搭載性を向上できる。
【0038】
次に、上記半導体装置S1の製造方法について図を参照して説明する。図3は、図1に示される半導体装置S1の製造工程を示したものである。なお、図3(b)〜(d)は、図3(a)に示されるリード40近傍を拡大した図である。
【0039】
図3(a)に示す工程では、半導体チップ20をリードフレーム80に実装したものを用意する。具体的に、まず、下側ヒートシンク11、リード40、端子部51等がパターン化され、それぞれがダムバーで接合された状態のリードフレーム80を例えばプレス加工や切削等によって形成する。また同様に、上側ヒートシンク13、端子部52等もパターン化され、リードフレーム85が形成される。
【0040】
そして、このリードフレーム80に半導体チップ20、ヒートシンクブロック12、リードフレーム85を実装し、半導体チップ20のゲート電極とリード40とをゲートワイヤ30で接続する。この後、上側ヒートシンク13、下側ヒートシンク11、リード40、そして端子部51、52が露出するようにモールド樹脂60にてリードフレーム80を封止する。こうして図3(a)に示されるものを用意する。
【0041】
図3(b)に示す工程では、リードフレーム80のうち隣り合うリード40を連結するダムバー81を除いた部分をカットする。すなわち、リードフレーム80をカットする際、各リード40をそれぞれ繋ぐダムバー81が残されるように、リードフレーム80のうちダムバー81以外の不要な部分を切除する。したがって、リードフレーム80をカットする際、ダムバー81が残されるような金型を用意し、この金型をリードフレーム80にプレスすることでリードフレーム80の不要な部分をカットする。これにより、図3(b)に示されるように、隣り合うリード40がそれぞれダムバー81で繋がれたものが得られる。
【0042】
このように、リードフレーム80のうち、不要な部分をカットすることで、リードフレーム80をカットする前よりもワークサイズを小さくすることができ、ハンドリングの向上や収納マガジンの省スペース化の向上を実現できる。
【0043】
図3(c)に示す工程では、リード40に対する表面処理として、モールド樹脂60から露出するリード40の先端部分にはんだコート41を形成する。このように、はんだコート41を形成するため、はんだディップの方法を採用すると共に、はんだディップのうち超音波を用いた方法によって各リード40にはんだをコートする。
【0044】
本実施形態では、モールド樹脂60にはんだが付着することを防止するために、リード40を除く部分にマスク90を設置する。このようなマスク90として、リード40を配置させる開口部分が設けられたものや、2枚のゴムでリード40を挟み込むものが採用される。また、溶融したはんだの熱に耐えられる素材のマスク90を用いることが好ましい。
【0045】
なお、図3(c)では、マスク90がリード40を除いた部分のみに設置されているように描かれているが、実際には、リード40の表裏面にもマスク90が配置されている。
【0046】
続いて、はんだを溶融させたはんだ液を用意し、マスク90でモールド樹脂60を遮断した状態で、リード40の先端部分をはんだ液に浸ける。そして、はんだ液を超音波振動させる。なお、はんだ液を超音波振動させる方法として、はんだ液中で振動子を超音波振動させる方法や、はんだ液が入れられた容器そのものを超音波振動させる方法などが採用される。
【0047】
はんだ液の超音波振動によってリード40の表面の酸化膜を破壊して除去し、リード40の表面にはんだに対する濡れ性を確保する。このように、リード40の先端部分を超音波によって洗浄しつつ、リード40の先端部分にはんだをコートしてはんだコート41を形成する。
【0048】
このようにしてはんだコート41を形成する際、上述のように、超音波振動に応じてはんだ液の表面から霧状のはんだが舞い、はんだの粉がリード40のうちはんだ液に浸かっていない部分に付着する。しかしながら、このはんだの粉は、上記マスク90によって遮断され、モールド樹脂60に付着しないようになっている。また、リード40においては、隣接するリード40がそれぞれダムバー81で接続されている。このため、はんだ液面からモールド樹脂60側に上昇するはんだの粉をダムバー81でブロックすることができる。
【0049】
なお、上述のように、マスク90はモールド樹脂60にはんだの粉が異物として付着してしまうことを防止するためのものである。このため、ダムバー81およびダムバー81よりもモールド樹脂60側にはんだの粉が付着する可能性があるが、後で説明する工程で除去できるようになっている。
【0050】
はんだコート41を形成した後、バリ取り工程を行う。すなわち、図3(a)に示す工程において、リードフレーム80を樹脂封止した際、モールド樹脂60を形作る型から樹脂が漏れてバリとなる。したがって、モールド樹脂60から突出したバリを取り除く。
【0051】
そして、図3(d)に示す工程では、ダムバー81を除去する。具体的には、ダムバー81を切除する金型を用意し、この金型をダムバー81に押し付けることで、各リード40を連結するダムバー81を切断除去する。
【0052】
このようにダムバー81を除去する際、モールド樹脂60とダムバー81との間に形成されたバリも一緒に除去する。このことについて、図4を参照して説明する。図4は、図3(c)のB−B断面図である。なお、図4では、モールド樹脂60に封止された部品や部材を省略してある。
【0053】
図3(a)に示す工程において、リードフレーム80を樹脂封止した際、モールド樹脂60の型から樹脂が漏れ、図4に示されるように、モールド樹脂60とダムバー81との間にバリ61が形成されている。そして、図3(d)に示す工程では、ダムバー81を切除する際、ダムバー81と共にこのバリ61も除去する。
【0054】
これにより、はんだコート41を形成する際に霧状になってダムバー81およびバリ61の表面に付着したはんだの粉は、ダムバー81のカットの際にダムバー81およびバリ61と共に除去されることとなる。したがって、超音波振動によって発生したはんだの粉がはんだコート41の形成の際に各リード40の表面やダムバー81、そしてバリ61に付着したとしても、少なくともダムバー81およびバリ61に付着したはんだの粉は除去される。このため、隣り合うリード40間に異物を残さないようにすることができ、隣り合うリード40がはんだの粉によって電気的に接続された状態となることを防止することができる。
【0055】
また、本実施形態では、モールド樹脂60にはんだの粉が付着することを防止するためにマスク90を用いているため、はんだ液から霧状のはんだが舞ったとしても、マスク90の厚さによってモールド樹脂60とバリ61との接続部分にまではんだの粉が付着することはない。したがって。図3(d)に示されるダムバー81の除去の工程により、モールド樹脂60から露出する各リード40の間に異物を残さないようにすることができる。
【0056】
この後、図示しないが、リード矯正工程を行って、各リード40の形状矯正を行い、最終検査工程にて、外観や電気的特性の検査を行う。以上のようにして、図1および図2に示される半導体装置S1が完成する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態では、各リード40にはんだコート41を形成した後、隣り合うリード40をそれぞれ連結するダムバー81をカットする。これにより、はんだコート41を形成する際に発生するはんだの粉などの異物がダムバー81に付着したとしても、はんだコート41を形成した後にダムバー81をカットしているため、ダムバー81と共にダムバー81に付着したはんだの粉を取り除くことができる。したがって、モールド樹脂60から露出する隣り合うリード40間の樹脂部分に異物であるはんだの粉を残さないようにすることができる。
【0058】
また、ダムバー81と共に、ダムバー81でせき止められたバリ61も除去しているため、ダムバー81と共にバリ61を除去することにより、隣り合うリード40間の樹脂部分に異物を確実に残さないようにすることができる。
【0059】
(他の実施形態)
上記実施形態では、表面処理として、リード40にはんだをコートする処理を例に説明したが、隣り合うリード40間に異物が付着する他の表面処理においても、上記実施形態で示された方法を適用することができる。
【0060】
上記実施形態で示された半導体装置の構成は一例を示すものであって、半導体装置の構成は図1および図2に限定されるものではない。すなわち、用いる半導体チップ20は1つでも良いし、ヒートシンクブロック12を用いないなど、設計に応じて構成を変更しても構わない。
【0061】
上記実施形態では、はんだコート41を形成した後、バリ取り工程を行うようにしているが、このバリ取り工程は、図3(a)に示す樹脂封止されたリードフレーム80を用意した後、どの時点で行うようにしても構わない。
【0062】
上記実施形態において、図3(c)に示す工程では、はんだコート41を形成する際、マスク90を用いてモールド樹脂60にはんだの粉が付着してしまうことを防止しているが、このマスク90を用いずに表面処理を施しても構わない。すなわち、表面処理を施した後、バリ61と共にダムバー81をカットするようにしているため、隣り合うリード40間の樹脂部分にはんだの粉などの異物を残さないようにすることができる。
【0063】
また、図3(d)に示す工程において、ダムバー81をカットすると共に、製品としての形状バリエーションに応じたカットを行うようにしても構わない。これにより、カット工程を統合することができ、工程数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置の平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1に示される半導体装置の製造工程を示した図である。
【図4】図3(c)のB−B断面図である。
【図5】従来の半導体装置の製造方法を示した図である。
【符号の説明】
【0065】
20…半導体チップ、40…リード、41…はんだコート、60…モールド樹脂、
61…バリ、81…ダムバー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップ(20)と、前記半導体チップが外部との電気的接続を行うための複数のリード(40)と、前記半導体チップと前記リードの一部とをモールド樹脂(60)で封止し、前記リードのうち前記モールド樹脂から露出した部分に表面処理を施してなる半導体装置の製造方法であって、
ダムバー(81)で連結された前記複数のリードを備えて構成されるリードフレーム(80)に前記半導体チップを実装し、少なくとも前記半導体チップおよび前記リードの一部を前記モールド樹脂で封止したものを用意する工程と、
前記モールド樹脂から露出した前記複数のリードに表面処理を行う工程と、
前記リードに表面処理を行った後、前記隣り合うリードをそれぞれ連結する前記ダムバーをカットする工程と、を含んでいることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記表面処理を行う工程では、前記リードフレームのうち、前記ダムバー以外の部分をカットする工程を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
半導体チップ(20)と、前記半導体チップが外部との電気的接続を行うための複数のリード(40)と、前記半導体チップと前記リードの一部とをモールド樹脂(60)で封止し、前記リードのうち前記モールド樹脂から露出した部分にはんだコート(41)を形成してなる半導体装置の製造方法であって、
ダムバー(81)で連結された前記複数のリードを備えて構成されるリードフレーム(80)に前記半導体チップを実装し、少なくとも前記半導体チップおよび前記リードの一部を前記モールド樹脂で封止したものを用意する工程と、
前記モールド樹脂から露出した前記複数のリードそれぞれに前記はんだコートを形成する工程と、
前記リードに前記はんだコートを形成した後、前記隣り合うリードをそれぞれ連結する前記ダムバーをカットする工程と、を含んでいることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記はんだコートを形成する工程では、前記リードフレームのうち、前記ダムバー以外の部分をカットする工程を含んでいることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ダムバーをカットする工程では、前記モールド樹脂と前記ダムバーとの間に形成されたバリ(61)を前記ダムバーと共に除去することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ダムバーをカットする工程では、
前記モールド樹脂の壁面に形成されたバリを除去するバリ取り工程と、
前記リードの形状を矯正するリード矯正工程と、を含んでいることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−103643(P2007−103643A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−291101(P2005−291101)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】