半導体装置の製造方法
【課題】液状樹脂の流し込みの際に生じるワイヤ間の接触を防止することにより、ワイヤ間の電気的短絡を防止することができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体チップCHの長方形状の主面は、対角線上にある第1および第2の頂点A1、A2と、第1および第2の頂点A1、A2を繋ぐ第1および第2の辺L1、L2とを有する。電極ILと半導体チップCHのパッドPDとの間にワイヤWRが形成される。金型MLのキャビティCV内にワイヤWRが収められる。第1の頂点A1から第1および第2の辺L1、L2に沿って第2の頂点A2に向かうようにキャビティCV内に液状樹脂が流し込まれる。液状樹脂を硬化することによって樹脂部が形成される。ワイヤWRの形成は、平面視において、パッドPDと電極ILとを結んだ直線に対して第1の頂点A1から遠い側を通るようにワイヤWRを形成することにより行なわれる。
【解決手段】半導体チップCHの長方形状の主面は、対角線上にある第1および第2の頂点A1、A2と、第1および第2の頂点A1、A2を繋ぐ第1および第2の辺L1、L2とを有する。電極ILと半導体チップCHのパッドPDとの間にワイヤWRが形成される。金型MLのキャビティCV内にワイヤWRが収められる。第1の頂点A1から第1および第2の辺L1、L2に沿って第2の頂点A2に向かうようにキャビティCV内に液状樹脂が流し込まれる。液状樹脂を硬化することによって樹脂部が形成される。ワイヤWRの形成は、平面視において、パッドPDと電極ILとを結んだ直線に対して第1の頂点A1から遠い側を通るようにワイヤWRを形成することにより行なわれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、ワイヤを封止する樹脂部を有する半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージを封止構造的に見ると、気密封止パッケージと、非気密封止パッケージとの2つに分けることができる。特に非気密封止パッケージの中でも、トランスファ・モールド・タイプのプラスチック・パッケージが現在主流となっている。
【0003】
トランスファ・モールド・タイプのプラスチック・パッケージの技術は、たとえば特開2002−314003号公報(特許文献1)に開示されている。この技術によれば、半導体装置の製造方法は以下の工程を有する。
【0004】
樹脂フレーム上にダイボンド材によりICチップが固定される。ワイヤボンディングによりICチップ上のボンディングパッドと、樹脂フレームのランドとが電気的に接続される。モールド金型を使用してトランスファ・モールドを行なうことにより、ICチップが樹脂封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−314003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
SoC(System on Chip)などのように多数の密集したボンディングパッドを有するチップを用いた場合、各ボンディングパッドに接続されるワイヤも密集して形成される。これらのワイヤは、トランスファ・モールド工程において、流体であるモールド樹脂によって流れ方向にある程度押し流される。この際に特定のワイヤが特に大きく押し流されて下流側のワイヤと接触することで、ワイヤ間の電気的短絡が生じてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、液状樹脂の流し込みの際に生じるワイヤ間の接触を防止することにより、ワイヤ間の電気的短絡を防止することができる半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施の形態の半導体装置の製造方法は、互いに対角線上にある第1および第2の頂点とこの第1および第2の頂点をつなぐ第1および第2の辺とを有する長方形状の主面を有し、かつ主面上に第1のパッドを有する半導体チップと、電極と、第1のパッドと電極とを接続するワイヤと、このワイヤを封止する樹脂部とを含む半導体装置の製造方法であって、以下の工程を有する。
【0009】
第1のパッドと電極との間にワイヤが形成される。金型のキャビティ内にワイヤが収められる。第1の頂点から第1および第2の辺に沿って第2の頂点に向かうようにキャビティ内に液状樹脂が流し込まれる。液状樹脂を硬化することによって樹脂部が形成される。ワイヤの形成は、平面視において、第1のパッドと電極とを結んだ直線に対して第1の頂点から遠い側を通るようにワイヤを形成することにより行なわれる。
【0010】
本発明の他の実施の形態の半導体装置の製造方法は、頂点を共有する第1および第2の辺を有する四角形状の主面を有し、かつ、主面上にパッド群を有する第1の半導体チップと、電極群と、パッド群と電極群とを接続するワイヤ群と、ワイヤ群を封止する樹脂部とを含む半導体装置の製造方法であって、以下の工程を有する。パッド群と電極群との間にワイヤ群が形成される。ワイヤ群を形成する工程は、パッド群に属する第1のパッドと、電極群に属する第1の電極との間に、ワイヤ群に属しかつ平面視において第2の辺に交差する第1のワイヤを形成する工程を含む。金型のキャビティ内にワイヤ群が収められる。キャビティ内に液状樹脂が流し込まれる。液状樹脂を流し込む工程は、液状樹脂が、第1の辺に沿った位置と、頂点周りの位置とを順に経由して、第2の辺に沿った位置へと流れるように行われる。液状樹脂を硬化することによって樹脂部が形成される。第1のワイヤを形成する工程は、平面視において、第1のパッドと第1の電極とを結んだ直線に対して頂点に近い側を通るように第1のワイヤを形成することにより行なわれる。
【発明の効果】
【0011】
上記一実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、第1のパッドと電極とを結んだ直線に対して、半導体チップの第1の頂点から遠い側、すなわち液状樹脂の流れの下流側を通るようにワイヤが形成される。これにより、液状樹脂によってワイヤが上流側から下流側に押し流される程度のワイヤ間ばらつきが抑制される。よって、特定のワイヤが大きく押し流されて他のワイヤに接触することが防止されるので、ワイヤ間の電気的短絡を防止することができる。
【0012】
上記他の実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、第1のパッドと第1の電極とを結んだ直線に対して、半導体チップの第1の頂点に近い側、すなわち液状樹脂の流れの上流側を通るように第1のワイヤが形成される。これにより、第1のワイヤと、この第1のワイヤに対して液状樹脂の流れの下流側に位置するワイヤとの間隔を広くすることができるので、ワイヤ間の電気的短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の線II−IIに沿った概略断面図である。
【図3】図1の樹脂部内部における構成を概略的に示す平面図である。
【図4】図3のボンディングワイヤのうち半導体チップの外周ボンディングパッドに接続されたものの配置を説明するための平面図である。
【図5】図3のボンディングワイヤのうち半導体チップの内周ボンディングパッドに接続されたものの配置を説明するための平面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図である。
【図7】図6のボンディングワイヤの形状を説明するための概略的な部分断面図である。
【図8】図7のボンディングワイヤの高さを説明するための概略的な断面図である。
【図9】図7の線IX−IXに沿った概略的な部分断面図である。
【図10】図7の矢印Xから見た概略的な部分平面図である。
【図11】図7の矢印XIから見た概略的な部分斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分平面図である。
【図13】図12の線XIII−XIIIに沿った概略的な部分断面図である。
【図14】図13の線XIV−XIVに沿った概略的な部分断面図である。
【図15】比較例における半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図であり、本実施の形態の図9に対応する図である。
【図16】比較例における半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図であり、本実施の形態の図14に対応する図である。
【図17】比較例における半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分平面図である。
【図18】比較例における半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分断面図である。
【図19】本発明の実施の形態1の変形例における半導体装置の製造方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【図20】本発明の実施の形態2における半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図21】図20の樹脂部内部における構成を概略的に示す平面図である。
【図22】図21の破線部XXIIの概略拡大図である。
【図23】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【図24】本発明の実施の形態2の変形例における半導体装置の製造方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【図25】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す上面図である。
【図26】図25の一部拡大図である。
【図27】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法において用いられる上金型を概略的に示す断面図である。
【図28】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法において用いられる下金型を概略的に示す断面図である。
【図29】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す模式図である。
【図30】図29の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態の半導体装置は、トランスファ・モールド・タイプのプラスチック・パッケージQPであり、たとえばQFP(Quad Flat Package)である。このタイプのパッケージQPは、半導体チップCHを封止する樹脂部MRの外周の四辺の各々から突き出したアウターリード部OLを有する。また半導体チップCHは、長方形状の主面(図中の上面)を有する。この主面は、第1および第2の頂点A1、A2と、第1および第2の辺L1、L2とを有する。第1および第2の頂点A1、A2は、互いに対角線上に位置している。また第1および第2の辺L1、L2は、第1および第2の頂点A1、A2を繋いでいる。
【0015】
図2〜図5を参照して、樹脂部MR内部には、上述した半導体チップCHと、リードフレームLFと、ボンディングワイヤWRとが配置されている。
【0016】
半導体チップCHは主面上にボンディングパッドPDを有する。ボンディングパッドPDは、この主面の内周側に位置する内周ボンディングパッドPD1(第1のパッド)と、この主面の外周側に位置する外周ボンディングパッドPD2(第2のパッド)とを有する。この主面の外縁と外周ボンディングパッドPD2との間隔は、この外縁と内周ボンディングパッドPD1との間隔に比して小さい。
【0017】
ボンディングワイヤWRは、内周ボンディングワイヤWR1と、外周ボンディングワイヤWR2とを有する。内周ボンディングワイヤWR1は、内周ボンディングパッドPD1とリードフレームLFとを接続している。また外周ボンディングワイヤWR2は、外周ボンディングパッドPD2とリードフレームLFとを接続している。図2に示すように、内周ボンディングワイヤWR1は、外周ボンディングワイヤWR2を飛び越えるように設けられている。このため内周ボンディングワイヤWR1の高さは、外周ボンディングワイヤWR2の高さよりも高くされている。
【0018】
リードフレームLFは、樹脂部MR内部において、ダイパッドDPと、複数本のインナーリード部IL(電極)と、バスバーBBと、接地リングGRと、接続部CPと、吊リードSLとを有し、また樹脂部MR外部においてアウターリード部OL(電極)を有する。
【0019】
ダイパッドDPは、リードフレームLFのほぼ中央に位置している。またダイパッドDP上に接着剤を介して半導体チップCHが搭載されている。
【0020】
複数本のインナーリード部ILは、半導体チップCHとの間で入出力信号をやり取りする部分であり、たとえば半導体チップCHを中心とした放射線状に配置されている。複数本のインナーリード部ILの各々の先端は、平面視においてダイパッドDPおよび半導体チップCHの各々の外縁よりも外周側に位置している。
【0021】
バスバーBBは、たとえば半導体チップCHに電源電位を供給するためのものである。またバスバーBBは屈曲部STを有する。
【0022】
接地リングGRは、半導体チップCHに接地電位を供給するためのものである。この接地リングGRは、平面視においてダイパッドDPの外縁よりも外周側に位置し、バスバーBBの張り出し部よりも内周側に位置している。この接地リングGRはダイパッドDPの外周全周を取囲むように配置されている。また接地リングGRとダイパッドDPとの間には、接地リングGRの上面に対してダイパッドDPの上面が低くなるように屈曲された屈曲部ST1が形成されている。また接地リングGRと吊リードSLとの間には、吊リードSLの上面に対して接地リングGRの上面が低くなるように屈曲された屈曲部ST2が形成されている。
【0023】
接続部CPは、ダイパッドDPと接地リングGRとを繋ぐためのものであり、平面視においてダイパッドDPの一辺にたとえば2つずつ設けられている。吊リードSLは、接地リングGRの4つの角部の各々に接続されており、かつ接地リングGRとの接続部から外周側へ延びている。
【0024】
外周ボンディングパッドPD2のいくつかは、バスバーBBの張り出し部に外周ボンディングワイヤWR2により電気的に接続されている。外周ボンディングパッドPD2の残りのいくつかは、接地リングGRに外周ボンディングワイヤWR2により電気的に接続されている。
【0025】
内周ボンディングパッドPD1のいくつかは、インナーリード部ILに内周ボンディングワイヤWR1により電気的に接続されている。内周ボンディングパッドPD1のたとえば1つは、バスバーBBの並走部に内周ボンディングワイヤWR1により電気的に接続されている。
【0026】
主に図6〜図11を参照して、まずリードフレームLFが準備される。次にリードフレームLFのダイパッドDP上に半導体チップCHが接着剤などを介して接着される。
【0027】
次にボンディングパッドPDからリードフレームLFへボンディングワイヤWRが形成されることにより、ボンディングパッドPDとリードフレームLFとのワイヤボンディングが行なわれる。より具体的には、まず外周ボンディングパッドPD2からリードフレームLFへ外周ボンディングワイヤWR2が形成され、次に内周ボンディングパッドPD1からリードフレームLFへ内周ボンディングワイヤWR1が形成される。
【0028】
ボンディングワイヤWRの形成は、平面視において、ボンディングパッドPDとリードフレームLFとを結んだ直線(図10および図11の破線)に対して第1の頂点A1(図1)から遠い側(図中、矢印Mが向かう側)を通るようにボンディングワイヤWRを形成することにより行なわれる。この矢印Mは、後述する液状樹脂の流れ方向に対応している。
【0029】
ボンディングワイヤWRは、部分Wa〜Wcを有する。部分WaはボンディングパッドPDからほぼ垂直に立上がっている。部分Wbは、部分Waと部分Wcを繋いでいる。部分Wcは、部分Wbと、インナーリード部ILなどのリードフレームLFとを繋いでいる。部分Wbと部分Wcとの間にはワイヤボンディングの際に屈曲点Fが形成される。
【0030】
ボンディングワイヤWRの高さ方向の形状変化をより詳しく説明すると、図8に示すように、ボンディングワイヤWRは、ボンディングパッドPDからインナーリード部ILに至るまでの間に、屈曲点G1、G2、およびFを順に有する。ボンディングワイヤWRのうち、ボンディングパッドPDから屈曲点G1までの部分が部分Waに対応し、屈曲点G1から屈曲点G2を経由して屈曲点Fまでの部分が部分Wbに対応し、屈曲点Fからインナーリード部ILまでの部分が部分Wcに対応している。
【0031】
屈曲点G1、G2、およびF(図8)のそれぞれは、半導体チップCH表面からの高さとして、高さHG1、HG2、およびHFを有する。ボンディングワイヤWRの高さHG1、HG2、およびHFのそれぞれは、たとえば、80μm、195μm、および175μmである。
【0032】
屈曲点Fは、平面視において、ボンディングパッドPDとリードフレームLFとを結んだ直線(図10および図11の破線)に対して第1の頂点A1(図1)から遠い側(図10の上側、図11の右側)を通るように形成される。またボンディングワイヤWRは、図9に示すように、屈曲点F近傍において半導体チップCHの主面の法線に対して角度THだけ傾いた面に沿って延びている。角度THは、たとえば20度とされる。
【0033】
図12〜図14を参照して、トランスファ・モールド用の金型MLが準備される。金型MLは上金型MLaと、下金型MLbとを有する。上金型MLaおよび下金型MLbは、互いに対向することによりキャビティCVが形成されるような形状を有する。
【0034】
次にアウターリード部OLが上金型MLaと下金型MLbとの間に挟み込まれる。これによりボンディングワイヤWRはキャビティCV内に収められる。
【0035】
次に、矢印M(図12および図14)に示すように、第1の頂点A1(図14)から第1および第2の辺L1、L2に沿って第2の頂点A2に向かうように、キャビティCV内に液状樹脂が流し込まれる。この液状樹脂の流し込みによって、角度TH(図9)は、たとえば20度から10±5度だけ増大して30±5度となる。すなわち角度THの増大の程度は、各ボンディングワイヤWR間で、±5度程度のばらつきを有する。
【0036】
また図8を参照して、上記の液状樹脂の流し込みによって、ボンディングワイヤWRの高さHG2およびHFのそれぞれが小さくなる。たとえば、高さHG2は195μmから170μmに減少し、高さHFは175μmから165μmに減少する。
【0037】
上記の液状樹脂が硬化されることによって樹脂部MR(図1)が形成される。次にアウターリード部OL(図1)の切断および曲げ加工が行なわれる。これにより、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0038】
次に、本実施の形態の比較例について説明する。
図15および図16を参照して、本比較例のボンディングワイヤWZは、本実施の形態のボンディングワイヤWR(図9)と異なり、液状樹脂が流し込まれる前においては半導体チップCHの主面に対する傾斜(図9の角度THに示す傾斜)を有していない。これによりボンディングワイヤWZは、図16に示すように、平面視においては直線的な形状を有する。なおボンディングワイヤWZの高さHG1、HG2、およびHF(図8)のそれぞれは、たとえば、80μm、200μm、および200μmである。
【0039】
図17および図18を参照して、このボンディングワイヤWZに対して液状樹脂が矢印Mの方向に流し込まれると、図17に示すように、ボンディングワイヤWZは平面視において矢印Mの方向に湾曲するように押し流される。この結果、ボンディングワイヤWZは、図9に示す形状に近い形状を有するようになるが、角度TH(図9)のボンディングワイヤWZ間でのばらつきは、本実施の形態に比して大きくなる。すなわち液状樹脂が流し込まれた後のボンディングワイヤWZの角度TH(図9)は、たとえば30±20度となり、本実施の形態における角度TH=30±5度と比して、角度THのばらつきが大きくなる。
【0040】
このようにボンディングワイヤWZ間で液状樹脂に押し流される程度のばらつきが大きいことから、図18に示すように、ボンディングワイヤWZ間での接触による短絡SCが発生しやすくなる。この短絡SCは、半導体装置の故障の原因となる。
【0041】
なお図8を参照して、上記の液状樹脂の流し込みによって、ボンディングワイヤWZの高さHG2およびHFのそれぞれが小さくなる。たとえば、高さHG2は200μmから170μmに減少し、高さHFは200μmから165μmに減少する。すなわち、液状樹脂の流し込みが完了した時点では、比較例のボンディングワイヤWZの高さと、本実施の形態のボンディングワイヤWRの高さとは、平均的には同程度となる。この理由は、ボンディングワイヤの高さがある程度まで低くなると、液状樹脂の流れによる力とボンディングワイヤのテンションとが釣り合うことで、ボンディングワイヤの変位が停止するためと推測される。
【0042】
また本実施の形態のボンディングワイヤWRの最終的な角度TH(図9)と、比較例のボンディングワイヤWZの最終的な角度THとは、ともに同程度であり、たとえば平均値として30°である。このように角度THが本実施の形態と比較例とで同程度となる理由は、上述したようにボンディングワイヤの高さがある程度まで低くなることでボンディングワイヤの変位が停止することに加えて、さらに屈曲点F(図9)における屈曲が作用していると推測される。具体的には、以下のように推測される。
【0043】
屈曲点F近傍において屈曲しているボンディングワイヤを含む仮想平面を想定して、液状樹脂の流れによって角度TH(図9)が増大するにつれて、液状樹脂の流れ方向が、この仮想平面の面内方向に近づいていく。この結果、屈曲点Fにおける屈曲部が、液状樹脂の流れに抗する部分として、より強く作用するようになる。よって角度THがある程度まで大きくなると、屈曲点Fにおける屈曲部が液状樹脂の流れに抗して変形しなくなり、この結果、角度THの増大が特定の値(たとえば30°程度)で停止すると推測される。
【0044】
本実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、ボンディングパッドPDと、リードフレームLFのたとえばインナーリード部ILとを結んだ直線(図10および図11の破線)に対して、半導体チップCHの第1の頂点A1から遠い側、すなわち液状樹脂の流れ(矢印M)の下流側を通るようにボンディングワイヤWRが形成される。これにより、液状樹脂によってボンディングワイヤWRが上流側から下流側に押し流される程度のボンディングワイヤWR間でのばらつきが抑制される。よって、特定のボンディングワイヤWRが大きく押し流されて他のボンディングワイヤWRに接触することが防止されるので、ボンディングワイヤWR間の電気的短絡SC(図18)を防止することができる。
【0045】
また本実施の形態によれば、外周ボンディングワイヤWR2の高さよりも高い内周ボンディングワイヤWR1が形成される。このように高さが高いことで液状樹脂に押し流されやすい内周ボンディングワイヤWR1の短絡を、本実施の形態により防止することができる。
【0046】
また本実施の形態によれば、図5に示すように、一部の内周ボンディングワイヤWR1は、接地リングGRを超えることができるだけの長さに渡って設けられる。このように長さが長いことで液状樹脂に押し流されやすい内周ボンディングワイヤWR1の短絡を、本実施の形態により防止することができる。
【0047】
また本実施の形態によれば、図5に示すように、一部の内周ボンディングワイヤWR1は、バスバーBBを超えることができるだけの長さに渡って設けられる。このように長さが長いことで液状樹脂に押し流されやすい内周ボンディングワイヤWR1の短絡を、本実施の形態により防止することができる。
【0048】
また本実施の形態によれば、リードフレームLFは、アウターリード部OLを有する。これにより、たとえばQFPなどの、樹脂部MRから突き出た外部電極を有するパッケージを形成することができる。
【0049】
次に本実施の形態の変形例について説明する。
図19を参照して、本変形例の半導体装置は、実施の形態1とほぼ同様に、半導体チップCHと、複数のインナーリード部IL(電極群)と、複数のボンディングワイヤWR(ワイヤ群)と、樹脂部MR(図19において図示せず)とを有する。半導体チップCHは、たとえば長方形状などの、四角形状の主面と、この主面上に設けられた複数のボンディングパッドPD(パッド群)とを有する。ボンディングワイヤWRはボンディングパッドPDとインナーリード部ILとを接続している。樹脂部MRはボンディングワイヤWRを封止している。
【0050】
複数のボンディングパッドPDは、少なくとも1つの特定パッドPDf(第1のパッド)と、標準パッドPDs(第3のパッド)とを有する。特定パッドPDfは、複数のボンディングパッドPDのうち、半導体チップCHの主面上における第2の辺L2に沿って配置されたものに含まれ、かつ第1の頂点A1に近い位置、すなわち第2の頂点A2から遠い位置、に配置されている。標準パッドPDsは、複数のボンディングパッドPDのうち特定パッドPDf以外のものである。
【0051】
複数のインナーリード部ILは、少なくとも1つの特定リード部ILf(第1の電極)と、標準リード部ILs(第2の電極)とを有する。特定リード部ILfは、複数のインナーリード部ILのうち、第2の辺L2に沿って配置されたものに含まれ、かつ第1の頂点A1に近い位置、すなわち第2の頂点A2から遠い位置、に配置されている。標準リード部ILsは、複数のインナーリード部ILのうち特定リード部ILf以外のものである。
【0052】
複数のボンディングワイヤWRは、少なくとも1つの特定ワイヤWRf(第1のワイヤ)と、標準ワイヤWRs(第2のワイヤ)とを有する。特定ワイヤWRfは、複数のボンディングワイヤWRのうち、平面視(図19の視野)において第2の辺L2に交差するものに含まれ、かつ第1の頂点A1に近い位置、すなわち第2の頂点A2から遠い位置、に配置されている。標準ワイヤWRsは、複数のボンディングワイヤWRのうち特定ワイヤWRf以外のものである。
【0053】
次に本変形例の半導体装置の製造方法について説明する。
まず、ワイヤボンディング工程が行われる。すなわち、複数のボンディングパッドPDと、複数のインナーリード部ILとのそれぞれの間に、ボンディングワイヤWRが形成される。すなわち、標準パッドPDsと標準リード部ILsとの間に標準ワイヤWRsを形成する工程と、特定パッドPDfと特定リード部ILfとの間に特定ワイヤWRfを形成する工程とが行われる。
【0054】
ボンディングワイヤWRのうち特定ワイヤWRfのボンディングは、上述した本実施の形態のボンディングワイヤWR(図10)と同様に行われる。すなわち、平面視において、特定パッドPDfと特定リード部ILfとを結んだ直線に対して第1の頂点A1から遠い側(すなわち第2の頂点A2に近い側)を通るように、第1のワイヤが形成される。
【0055】
他方、ボンディングワイヤWRのうち標準ワイヤWRsのボンディングは、上述した比較例のボンディングワイヤWZ(図15)と同様に行われる。すなわち標準ワイヤWRsは、液状樹脂が流し込まれる前においては、半導体チップCHの主面に対する傾斜を有しておらず、これにより標準ワイヤWRsは、図19に示すように、平面視においては直線的な形状を有する。
【0056】
次に、上述した本実施の形態と同様に、液状樹脂の流し込みおよびその硬化が行われることで、本変形例の半導体装置が得られる。
【0057】
次に本変形例の作用効果について説明する。
図19の白抜き矢印Mのうち直角に曲がったものに示すように、第1の辺L1に沿う方向から第2の辺L2に沿う方向へと方向を変えた直後の液状樹脂は、その流れの勢いが増大する。本変形例によれば、このように勢いの増大した液状樹脂にさらされる位置に、上述した本実施の形態と同様の形状を有する特定ワイヤWRfが形成される。よって、このように勢いの増大した液状樹脂に起因したボンディングワイヤWR間の接触を、上述した本実施の形態と同様に防止することができる。
【0058】
他方、比較的流れが穏やかな液状樹脂にさらされる位置には、標準ワイヤWRs、すなわち、より一般的な形状のワイヤを用いることができる。
【0059】
(実施の形態2)
図20〜図22を参照して、本実施の形態の半導体装置は、BGA(Ball Grid Array)タイプのプラスチック・パッケージBPである。パッケージBPは、リードフレームLF(実施の形態1)の代わりに、電極ELと、回路基板CBと、はんだボールBLとを有する。また樹脂部MR(実施の形態1)の代わりに樹脂部MRbを有する。
【0060】
電極ELは、ボンディングワイヤWRによって半導体チップCHと接続されている。また半導体チップCHおよび電極ELの各々は回路基板CBに支持されている。また樹脂部MRbは、ボンディングワイヤWRおよび半導体チップCHを封止している。
【0061】
図23を参照して、本実施の形態の半導体装置の製造方法においても、上述した実施の形態1と同様に、ボンディングワイヤWRの形成と、液状樹脂の流し込み(矢印M)とが行われる。
【0062】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰返さない。
【0063】
本実施の形態によっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また本実施の形態によれば、パッケージBPは、半導体チップCHおよび電極ELの各々を支持する回路基板CBを有する。これにより、回路基板CBを有するBGAパッケージを形成することができる。
【0064】
次に本実施の形態の変形例について説明する。
図24を参照して、複数のボンディングパッドPDは、実施の形態1の変形例(図19)と同様に、少なくとも1つの特定パッドPDf(第1のパッド)と、標準パッドPDs(第3のパッド)とを有する。
【0065】
また複数の電極EL(電極群)は、少なくとも1つの特定電極ELf(第1の電極)と、標準電極ELs(第2の電極)とを有する。特定電極ELfは、複数の電極ELのうち、第2の辺L2に沿って配置されたものに含まれ、かつ第1の頂点A1に近い位置、すなわち第2の頂点A2から遠い位置、に配置されている。標準電極ELsは、複数の電極ELのうち特定電極ELf以外のものである。
【0066】
複数のボンディングワイヤWRは、少なくとも1つの特定ワイヤWRf(第1のワイヤ)と、標準ワイヤWRs(第2のワイヤ)とを有する。特定ワイヤWRfは、複数のボンディングワイヤWRのうち、平面視(図19の視野)において第2の辺L2に交差するものに含まれ、かつ第1の頂点A1に近い位置、すなわち第2の頂点A2から遠い位置、に配置されている。標準ワイヤWRsは、複数のボンディングワイヤWRのうち特定ワイヤWRf以外のものである。
【0067】
本変形例によれば、半導体装置がBGAタイプのプラスチック・パッケージBPである場合に、実施の形態1の変形例と同様の効果が得られる。
【0068】
(実施の形態3)
本実施の形態においては、実施の形態2とほぼ同様の半導体装置(図20〜図22)を製造するための、他の製造方法について説明する。
【0069】
図25および図26を参照して、まず、基板CBAが準備される。基板CBAは、複数の回路基板CB(図20〜図22)が一体化されたものである。よって後述する樹脂封止の後に基板CBAが切断されることで、各々が回路基板CBを有する複数の半導体装置を得ることができる。基板CBAのうち回路基板CBとなる部分の各々には、複数の電極ELが設けられている。また基板CBAのうち、後述する液状樹脂の流し込みの際の上流側には、位置決め穴15と、テーパピン用穴16とが設けられ、下流側にはエアベントである溝31が設けられている。
【0070】
また複数の半導体チップCHが準備される。なお以下においては、説明の便宜上、複数の半導体チップCHのうち、半導体チップCH1(第1の半導体チップ)、および液状樹脂の流し込みの際に半導体チップCH1の上流側に位置する半導体チップCH2(第2の半導体チップ)について、特に詳しく説明する。
【0071】
半導体チップCH1は長方形状の主面を有し、この主面は、第1の辺L6aと、第2の辺L7と、第3の辺L6bと、第4の辺L5とを有する。第1の辺L6aおよび第2の辺L7は、頂点A6aを共有している。第2の辺L7および第3の辺L6bは、頂点A6bを共有している。第3の辺L6bおよび第4の辺L5は、頂点A5bを共有している。第4の辺L5および第1の辺L6aは、頂点A5aを共有している。
【0072】
またこの主面上には、複数のボンディングパッドPD(パッド群)が設けられている。複数のボンディングパッドPDは、少なくとも1つの特定パッドPDr(第1のパッド)と、標準パッドPDs(第3のパッド)とを有する。特定パッドPDrは、複数のボンディングパッドPDのうち、半導体チップCH1の主面上における第2の辺L7に沿って配置されたものに含まれ、かつ頂点A6aに近い部分L7a(すなわち頂点A6bから遠い部分)に配置されている。標準パッドPDsは、複数のボンディングパッドPDのうち特定パッドPDr以外のものである。
【0073】
半導体チップCH2も半導体チップCH1と同様の構成を有するが、説明の便宜上、半導体チップCH2の主面が有する辺のうち、半導体チップCH1の第1の辺L6aに相当する辺を、第5の辺L9と称する。
【0074】
次に、基板CBA上に接着層を介して複数の半導体チップCHが取り付けられる。この取付は、半導体チップCH1およびCH2が整列され、かつ、半導体チップCH1の第1の辺L6aと、半導体チップCH2の第5の辺L9とが整列するように行われる。
【0075】
次にボンディングパッドPDと電極ELとの間にボンディングワイヤWRが形成される。これにより半導体チップCH1の特定パッドPDrと、特定電極ELrとの間に、ボンディングワイヤWRに属する特定ワイヤWRrが形成される。また半導体チップCH1の標準パッドPDsと、標準電極ELsとの間に、ボンディングワイヤWRに属する標準ワイヤWRsが形成される。
【0076】
特定ワイヤWRrは、平面視において、第2の辺L7に交差し、特に、第2の辺L7のうち頂点A6aに近い部分L7aに交差する。また特定ワイヤWRrは、平面視において、頂点A6aの方に凸形状となる。すなわち特定ワイヤWRrは、特定パッドPDrと特定電極ELrとを結んだ直線に対して頂点A6aに近い側を通る。
【0077】
他方、標準ワイヤWRsは、実施の形態2の変形例と同様に、平面視においては直線的な形状を有する。
【0078】
上記のように特定ワイヤWRrと標準ワイヤWRsとが異なる形状を付与される結果、図26に示すように、特定ワイヤWRrと標準ワイヤWRs(平面視において直線状のワイヤ)との間の間隔SPが、より広く確保される。
【0079】
なおボンディングワイヤWRのうち、第2の辺L7の頂点A6bに近い部分L7bと交差するワイヤは、図26に示すように、平面視において、頂点A6bの方に凸形状となるように形成される。
【0080】
図27および図28を参照して、上金型MMaには、カル5、カル側ランナー6の一部、オーバーフローキャビティ7、オーバーフローキャビティランナー8の一部、位置決めピン受け部17、及びテーパピン18が設けられている。一方、下金型MMbには、カル5、カル側ランナー6の一部、オーバーフローキャビティランナー8の一部、基板CBAを載置するための凹部19、キャビティCMおよび位置決めピン20が設けられている。
【0081】
図29および図30を参照して、基板CBAを下金型MMbの凹部19内に、半導体チップCHがキャビティCM内に配置されるように載置する。すなわち半導体チップCH1およびCH2がキャビティCMに同時に収められる。
【0082】
次に基板CBAを下金型MMbと上金型MMaで挟んだ状態で、キャビティCM内へカル5からカル側ランナー6を介して液状樹脂が流し込まれる。これにより、半導体チップCH1およびCH2についての樹脂封止が一括して行われる。
【0083】
上記の液状樹脂の流し込みにおいて、液状樹脂は、まず半導体チップCH2の第5の辺L9(図29)に沿った位置を経由した後、矢印M(図30)に示すように、第1の辺L6aに沿った位置と、頂点A6aとを順に経由して、第2の辺に沿う位置へと流れ、これにより第2の辺の部分L7aに到達する。
【0084】
次に液状樹脂が硬化されることで、複数の樹脂部MR(図20)が一体となった樹脂構造が得られる。次にこの一体となった樹脂構造を基板CBとともに切断することで、実施の形態2とほぼ同様の半導体装置(図20〜図22)が得られる。
【0085】
次に本変形例の作用効果について説明する。
図30の白抜き矢印Mのうち直角に曲がったものに示すように、第1の辺L6aに沿う方向から第2の辺L7に沿う方向へと頂点A6a周りに方向を変えた直後の液状樹脂は、その流れの勢いが増大する。本実施の形態によれば、このように勢いの増大した液状樹脂にさらされる位置において、ボンディングワイヤ間の間隔SPを広く確保することができる。よってこの広い間隔SPで隔てられた特定ワイヤWRrと標準ワイヤWRsとの間が液状樹脂に起因して接触することを防止することができる。
【0086】
他方、比較的流れが穏やかな液状樹脂にさらされる位置には、標準ワイヤWRs、すなわち、より一般的な形状のワイヤを用いることができる。
【0087】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態2の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰返さない。
【0088】
なお本明細書において「長方形状」とは、4つの角がすべて直角である四角形の形状を指すものであり、したがって正方形状を含む概念である。
【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、ワイヤを封止する樹脂部を有する半導体装置の製造方法に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0091】
A1 第1の頂点、A2 第2の頂点、BB バスバー、BL はんだボール、BP,QP パッケージ、CB 回路基板、CH 半導体チップ、CP 接続部、CV キャビティ、DP ダイパッド、EL 電極、F 屈曲点、GR 接地リング、IL インナーリード部(電極)、L1 第1の辺、L2 第2の辺、LF リードフレーム、ML 金型、MLa 上金型、MLb 下金型、MR,MRb 樹脂部、OL アウターリード部(電極)、PD ボンディングパッド、PD1 内周ボンディングパッド、PD2 外周ボンディングパッド、SL 吊リード、ST,ST1,ST2 屈曲部、WR ボンディングワイヤ、WR1 内周ボンディングワイヤ、WR2 外周ボンディングワイヤ、WZ ボンディングワイヤ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、ワイヤを封止する樹脂部を有する半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージを封止構造的に見ると、気密封止パッケージと、非気密封止パッケージとの2つに分けることができる。特に非気密封止パッケージの中でも、トランスファ・モールド・タイプのプラスチック・パッケージが現在主流となっている。
【0003】
トランスファ・モールド・タイプのプラスチック・パッケージの技術は、たとえば特開2002−314003号公報(特許文献1)に開示されている。この技術によれば、半導体装置の製造方法は以下の工程を有する。
【0004】
樹脂フレーム上にダイボンド材によりICチップが固定される。ワイヤボンディングによりICチップ上のボンディングパッドと、樹脂フレームのランドとが電気的に接続される。モールド金型を使用してトランスファ・モールドを行なうことにより、ICチップが樹脂封止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−314003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
SoC(System on Chip)などのように多数の密集したボンディングパッドを有するチップを用いた場合、各ボンディングパッドに接続されるワイヤも密集して形成される。これらのワイヤは、トランスファ・モールド工程において、流体であるモールド樹脂によって流れ方向にある程度押し流される。この際に特定のワイヤが特に大きく押し流されて下流側のワイヤと接触することで、ワイヤ間の電気的短絡が生じてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、液状樹脂の流し込みの際に生じるワイヤ間の接触を防止することにより、ワイヤ間の電気的短絡を防止することができる半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施の形態の半導体装置の製造方法は、互いに対角線上にある第1および第2の頂点とこの第1および第2の頂点をつなぐ第1および第2の辺とを有する長方形状の主面を有し、かつ主面上に第1のパッドを有する半導体チップと、電極と、第1のパッドと電極とを接続するワイヤと、このワイヤを封止する樹脂部とを含む半導体装置の製造方法であって、以下の工程を有する。
【0009】
第1のパッドと電極との間にワイヤが形成される。金型のキャビティ内にワイヤが収められる。第1の頂点から第1および第2の辺に沿って第2の頂点に向かうようにキャビティ内に液状樹脂が流し込まれる。液状樹脂を硬化することによって樹脂部が形成される。ワイヤの形成は、平面視において、第1のパッドと電極とを結んだ直線に対して第1の頂点から遠い側を通るようにワイヤを形成することにより行なわれる。
【0010】
本発明の他の実施の形態の半導体装置の製造方法は、頂点を共有する第1および第2の辺を有する四角形状の主面を有し、かつ、主面上にパッド群を有する第1の半導体チップと、電極群と、パッド群と電極群とを接続するワイヤ群と、ワイヤ群を封止する樹脂部とを含む半導体装置の製造方法であって、以下の工程を有する。パッド群と電極群との間にワイヤ群が形成される。ワイヤ群を形成する工程は、パッド群に属する第1のパッドと、電極群に属する第1の電極との間に、ワイヤ群に属しかつ平面視において第2の辺に交差する第1のワイヤを形成する工程を含む。金型のキャビティ内にワイヤ群が収められる。キャビティ内に液状樹脂が流し込まれる。液状樹脂を流し込む工程は、液状樹脂が、第1の辺に沿った位置と、頂点周りの位置とを順に経由して、第2の辺に沿った位置へと流れるように行われる。液状樹脂を硬化することによって樹脂部が形成される。第1のワイヤを形成する工程は、平面視において、第1のパッドと第1の電極とを結んだ直線に対して頂点に近い側を通るように第1のワイヤを形成することにより行なわれる。
【発明の効果】
【0011】
上記一実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、第1のパッドと電極とを結んだ直線に対して、半導体チップの第1の頂点から遠い側、すなわち液状樹脂の流れの下流側を通るようにワイヤが形成される。これにより、液状樹脂によってワイヤが上流側から下流側に押し流される程度のワイヤ間ばらつきが抑制される。よって、特定のワイヤが大きく押し流されて他のワイヤに接触することが防止されるので、ワイヤ間の電気的短絡を防止することができる。
【0012】
上記他の実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、第1のパッドと第1の電極とを結んだ直線に対して、半導体チップの第1の頂点に近い側、すなわち液状樹脂の流れの上流側を通るように第1のワイヤが形成される。これにより、第1のワイヤと、この第1のワイヤに対して液状樹脂の流れの下流側に位置するワイヤとの間隔を広くすることができるので、ワイヤ間の電気的短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の線II−IIに沿った概略断面図である。
【図3】図1の樹脂部内部における構成を概略的に示す平面図である。
【図4】図3のボンディングワイヤのうち半導体チップの外周ボンディングパッドに接続されたものの配置を説明するための平面図である。
【図5】図3のボンディングワイヤのうち半導体チップの内周ボンディングパッドに接続されたものの配置を説明するための平面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図である。
【図7】図6のボンディングワイヤの形状を説明するための概略的な部分断面図である。
【図8】図7のボンディングワイヤの高さを説明するための概略的な断面図である。
【図9】図7の線IX−IXに沿った概略的な部分断面図である。
【図10】図7の矢印Xから見た概略的な部分平面図である。
【図11】図7の矢印XIから見た概略的な部分斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分平面図である。
【図13】図12の線XIII−XIIIに沿った概略的な部分断面図である。
【図14】図13の線XIV−XIVに沿った概略的な部分断面図である。
【図15】比較例における半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図であり、本実施の形態の図9に対応する図である。
【図16】比較例における半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図であり、本実施の形態の図14に対応する図である。
【図17】比較例における半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分平面図である。
【図18】比較例における半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分断面図である。
【図19】本発明の実施の形態1の変形例における半導体装置の製造方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【図20】本発明の実施の形態2における半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図21】図20の樹脂部内部における構成を概略的に示す平面図である。
【図22】図21の破線部XXIIの概略拡大図である。
【図23】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【図24】本発明の実施の形態2の変形例における半導体装置の製造方法の一工程を概略的に示す断面図である。
【図25】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す上面図である。
【図26】図25の一部拡大図である。
【図27】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法において用いられる上金型を概略的に示す断面図である。
【図28】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法において用いられる下金型を概略的に示す断面図である。
【図29】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す模式図である。
【図30】図29の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態の半導体装置は、トランスファ・モールド・タイプのプラスチック・パッケージQPであり、たとえばQFP(Quad Flat Package)である。このタイプのパッケージQPは、半導体チップCHを封止する樹脂部MRの外周の四辺の各々から突き出したアウターリード部OLを有する。また半導体チップCHは、長方形状の主面(図中の上面)を有する。この主面は、第1および第2の頂点A1、A2と、第1および第2の辺L1、L2とを有する。第1および第2の頂点A1、A2は、互いに対角線上に位置している。また第1および第2の辺L1、L2は、第1および第2の頂点A1、A2を繋いでいる。
【0015】
図2〜図5を参照して、樹脂部MR内部には、上述した半導体チップCHと、リードフレームLFと、ボンディングワイヤWRとが配置されている。
【0016】
半導体チップCHは主面上にボンディングパッドPDを有する。ボンディングパッドPDは、この主面の内周側に位置する内周ボンディングパッドPD1(第1のパッド)と、この主面の外周側に位置する外周ボンディングパッドPD2(第2のパッド)とを有する。この主面の外縁と外周ボンディングパッドPD2との間隔は、この外縁と内周ボンディングパッドPD1との間隔に比して小さい。
【0017】
ボンディングワイヤWRは、内周ボンディングワイヤWR1と、外周ボンディングワイヤWR2とを有する。内周ボンディングワイヤWR1は、内周ボンディングパッドPD1とリードフレームLFとを接続している。また外周ボンディングワイヤWR2は、外周ボンディングパッドPD2とリードフレームLFとを接続している。図2に示すように、内周ボンディングワイヤWR1は、外周ボンディングワイヤWR2を飛び越えるように設けられている。このため内周ボンディングワイヤWR1の高さは、外周ボンディングワイヤWR2の高さよりも高くされている。
【0018】
リードフレームLFは、樹脂部MR内部において、ダイパッドDPと、複数本のインナーリード部IL(電極)と、バスバーBBと、接地リングGRと、接続部CPと、吊リードSLとを有し、また樹脂部MR外部においてアウターリード部OL(電極)を有する。
【0019】
ダイパッドDPは、リードフレームLFのほぼ中央に位置している。またダイパッドDP上に接着剤を介して半導体チップCHが搭載されている。
【0020】
複数本のインナーリード部ILは、半導体チップCHとの間で入出力信号をやり取りする部分であり、たとえば半導体チップCHを中心とした放射線状に配置されている。複数本のインナーリード部ILの各々の先端は、平面視においてダイパッドDPおよび半導体チップCHの各々の外縁よりも外周側に位置している。
【0021】
バスバーBBは、たとえば半導体チップCHに電源電位を供給するためのものである。またバスバーBBは屈曲部STを有する。
【0022】
接地リングGRは、半導体チップCHに接地電位を供給するためのものである。この接地リングGRは、平面視においてダイパッドDPの外縁よりも外周側に位置し、バスバーBBの張り出し部よりも内周側に位置している。この接地リングGRはダイパッドDPの外周全周を取囲むように配置されている。また接地リングGRとダイパッドDPとの間には、接地リングGRの上面に対してダイパッドDPの上面が低くなるように屈曲された屈曲部ST1が形成されている。また接地リングGRと吊リードSLとの間には、吊リードSLの上面に対して接地リングGRの上面が低くなるように屈曲された屈曲部ST2が形成されている。
【0023】
接続部CPは、ダイパッドDPと接地リングGRとを繋ぐためのものであり、平面視においてダイパッドDPの一辺にたとえば2つずつ設けられている。吊リードSLは、接地リングGRの4つの角部の各々に接続されており、かつ接地リングGRとの接続部から外周側へ延びている。
【0024】
外周ボンディングパッドPD2のいくつかは、バスバーBBの張り出し部に外周ボンディングワイヤWR2により電気的に接続されている。外周ボンディングパッドPD2の残りのいくつかは、接地リングGRに外周ボンディングワイヤWR2により電気的に接続されている。
【0025】
内周ボンディングパッドPD1のいくつかは、インナーリード部ILに内周ボンディングワイヤWR1により電気的に接続されている。内周ボンディングパッドPD1のたとえば1つは、バスバーBBの並走部に内周ボンディングワイヤWR1により電気的に接続されている。
【0026】
主に図6〜図11を参照して、まずリードフレームLFが準備される。次にリードフレームLFのダイパッドDP上に半導体チップCHが接着剤などを介して接着される。
【0027】
次にボンディングパッドPDからリードフレームLFへボンディングワイヤWRが形成されることにより、ボンディングパッドPDとリードフレームLFとのワイヤボンディングが行なわれる。より具体的には、まず外周ボンディングパッドPD2からリードフレームLFへ外周ボンディングワイヤWR2が形成され、次に内周ボンディングパッドPD1からリードフレームLFへ内周ボンディングワイヤWR1が形成される。
【0028】
ボンディングワイヤWRの形成は、平面視において、ボンディングパッドPDとリードフレームLFとを結んだ直線(図10および図11の破線)に対して第1の頂点A1(図1)から遠い側(図中、矢印Mが向かう側)を通るようにボンディングワイヤWRを形成することにより行なわれる。この矢印Mは、後述する液状樹脂の流れ方向に対応している。
【0029】
ボンディングワイヤWRは、部分Wa〜Wcを有する。部分WaはボンディングパッドPDからほぼ垂直に立上がっている。部分Wbは、部分Waと部分Wcを繋いでいる。部分Wcは、部分Wbと、インナーリード部ILなどのリードフレームLFとを繋いでいる。部分Wbと部分Wcとの間にはワイヤボンディングの際に屈曲点Fが形成される。
【0030】
ボンディングワイヤWRの高さ方向の形状変化をより詳しく説明すると、図8に示すように、ボンディングワイヤWRは、ボンディングパッドPDからインナーリード部ILに至るまでの間に、屈曲点G1、G2、およびFを順に有する。ボンディングワイヤWRのうち、ボンディングパッドPDから屈曲点G1までの部分が部分Waに対応し、屈曲点G1から屈曲点G2を経由して屈曲点Fまでの部分が部分Wbに対応し、屈曲点Fからインナーリード部ILまでの部分が部分Wcに対応している。
【0031】
屈曲点G1、G2、およびF(図8)のそれぞれは、半導体チップCH表面からの高さとして、高さHG1、HG2、およびHFを有する。ボンディングワイヤWRの高さHG1、HG2、およびHFのそれぞれは、たとえば、80μm、195μm、および175μmである。
【0032】
屈曲点Fは、平面視において、ボンディングパッドPDとリードフレームLFとを結んだ直線(図10および図11の破線)に対して第1の頂点A1(図1)から遠い側(図10の上側、図11の右側)を通るように形成される。またボンディングワイヤWRは、図9に示すように、屈曲点F近傍において半導体チップCHの主面の法線に対して角度THだけ傾いた面に沿って延びている。角度THは、たとえば20度とされる。
【0033】
図12〜図14を参照して、トランスファ・モールド用の金型MLが準備される。金型MLは上金型MLaと、下金型MLbとを有する。上金型MLaおよび下金型MLbは、互いに対向することによりキャビティCVが形成されるような形状を有する。
【0034】
次にアウターリード部OLが上金型MLaと下金型MLbとの間に挟み込まれる。これによりボンディングワイヤWRはキャビティCV内に収められる。
【0035】
次に、矢印M(図12および図14)に示すように、第1の頂点A1(図14)から第1および第2の辺L1、L2に沿って第2の頂点A2に向かうように、キャビティCV内に液状樹脂が流し込まれる。この液状樹脂の流し込みによって、角度TH(図9)は、たとえば20度から10±5度だけ増大して30±5度となる。すなわち角度THの増大の程度は、各ボンディングワイヤWR間で、±5度程度のばらつきを有する。
【0036】
また図8を参照して、上記の液状樹脂の流し込みによって、ボンディングワイヤWRの高さHG2およびHFのそれぞれが小さくなる。たとえば、高さHG2は195μmから170μmに減少し、高さHFは175μmから165μmに減少する。
【0037】
上記の液状樹脂が硬化されることによって樹脂部MR(図1)が形成される。次にアウターリード部OL(図1)の切断および曲げ加工が行なわれる。これにより、本実施の形態の半導体装置が製造される。
【0038】
次に、本実施の形態の比較例について説明する。
図15および図16を参照して、本比較例のボンディングワイヤWZは、本実施の形態のボンディングワイヤWR(図9)と異なり、液状樹脂が流し込まれる前においては半導体チップCHの主面に対する傾斜(図9の角度THに示す傾斜)を有していない。これによりボンディングワイヤWZは、図16に示すように、平面視においては直線的な形状を有する。なおボンディングワイヤWZの高さHG1、HG2、およびHF(図8)のそれぞれは、たとえば、80μm、200μm、および200μmである。
【0039】
図17および図18を参照して、このボンディングワイヤWZに対して液状樹脂が矢印Mの方向に流し込まれると、図17に示すように、ボンディングワイヤWZは平面視において矢印Mの方向に湾曲するように押し流される。この結果、ボンディングワイヤWZは、図9に示す形状に近い形状を有するようになるが、角度TH(図9)のボンディングワイヤWZ間でのばらつきは、本実施の形態に比して大きくなる。すなわち液状樹脂が流し込まれた後のボンディングワイヤWZの角度TH(図9)は、たとえば30±20度となり、本実施の形態における角度TH=30±5度と比して、角度THのばらつきが大きくなる。
【0040】
このようにボンディングワイヤWZ間で液状樹脂に押し流される程度のばらつきが大きいことから、図18に示すように、ボンディングワイヤWZ間での接触による短絡SCが発生しやすくなる。この短絡SCは、半導体装置の故障の原因となる。
【0041】
なお図8を参照して、上記の液状樹脂の流し込みによって、ボンディングワイヤWZの高さHG2およびHFのそれぞれが小さくなる。たとえば、高さHG2は200μmから170μmに減少し、高さHFは200μmから165μmに減少する。すなわち、液状樹脂の流し込みが完了した時点では、比較例のボンディングワイヤWZの高さと、本実施の形態のボンディングワイヤWRの高さとは、平均的には同程度となる。この理由は、ボンディングワイヤの高さがある程度まで低くなると、液状樹脂の流れによる力とボンディングワイヤのテンションとが釣り合うことで、ボンディングワイヤの変位が停止するためと推測される。
【0042】
また本実施の形態のボンディングワイヤWRの最終的な角度TH(図9)と、比較例のボンディングワイヤWZの最終的な角度THとは、ともに同程度であり、たとえば平均値として30°である。このように角度THが本実施の形態と比較例とで同程度となる理由は、上述したようにボンディングワイヤの高さがある程度まで低くなることでボンディングワイヤの変位が停止することに加えて、さらに屈曲点F(図9)における屈曲が作用していると推測される。具体的には、以下のように推測される。
【0043】
屈曲点F近傍において屈曲しているボンディングワイヤを含む仮想平面を想定して、液状樹脂の流れによって角度TH(図9)が増大するにつれて、液状樹脂の流れ方向が、この仮想平面の面内方向に近づいていく。この結果、屈曲点Fにおける屈曲部が、液状樹脂の流れに抗する部分として、より強く作用するようになる。よって角度THがある程度まで大きくなると、屈曲点Fにおける屈曲部が液状樹脂の流れに抗して変形しなくなり、この結果、角度THの増大が特定の値(たとえば30°程度)で停止すると推測される。
【0044】
本実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、ボンディングパッドPDと、リードフレームLFのたとえばインナーリード部ILとを結んだ直線(図10および図11の破線)に対して、半導体チップCHの第1の頂点A1から遠い側、すなわち液状樹脂の流れ(矢印M)の下流側を通るようにボンディングワイヤWRが形成される。これにより、液状樹脂によってボンディングワイヤWRが上流側から下流側に押し流される程度のボンディングワイヤWR間でのばらつきが抑制される。よって、特定のボンディングワイヤWRが大きく押し流されて他のボンディングワイヤWRに接触することが防止されるので、ボンディングワイヤWR間の電気的短絡SC(図18)を防止することができる。
【0045】
また本実施の形態によれば、外周ボンディングワイヤWR2の高さよりも高い内周ボンディングワイヤWR1が形成される。このように高さが高いことで液状樹脂に押し流されやすい内周ボンディングワイヤWR1の短絡を、本実施の形態により防止することができる。
【0046】
また本実施の形態によれば、図5に示すように、一部の内周ボンディングワイヤWR1は、接地リングGRを超えることができるだけの長さに渡って設けられる。このように長さが長いことで液状樹脂に押し流されやすい内周ボンディングワイヤWR1の短絡を、本実施の形態により防止することができる。
【0047】
また本実施の形態によれば、図5に示すように、一部の内周ボンディングワイヤWR1は、バスバーBBを超えることができるだけの長さに渡って設けられる。このように長さが長いことで液状樹脂に押し流されやすい内周ボンディングワイヤWR1の短絡を、本実施の形態により防止することができる。
【0048】
また本実施の形態によれば、リードフレームLFは、アウターリード部OLを有する。これにより、たとえばQFPなどの、樹脂部MRから突き出た外部電極を有するパッケージを形成することができる。
【0049】
次に本実施の形態の変形例について説明する。
図19を参照して、本変形例の半導体装置は、実施の形態1とほぼ同様に、半導体チップCHと、複数のインナーリード部IL(電極群)と、複数のボンディングワイヤWR(ワイヤ群)と、樹脂部MR(図19において図示せず)とを有する。半導体チップCHは、たとえば長方形状などの、四角形状の主面と、この主面上に設けられた複数のボンディングパッドPD(パッド群)とを有する。ボンディングワイヤWRはボンディングパッドPDとインナーリード部ILとを接続している。樹脂部MRはボンディングワイヤWRを封止している。
【0050】
複数のボンディングパッドPDは、少なくとも1つの特定パッドPDf(第1のパッド)と、標準パッドPDs(第3のパッド)とを有する。特定パッドPDfは、複数のボンディングパッドPDのうち、半導体チップCHの主面上における第2の辺L2に沿って配置されたものに含まれ、かつ第1の頂点A1に近い位置、すなわち第2の頂点A2から遠い位置、に配置されている。標準パッドPDsは、複数のボンディングパッドPDのうち特定パッドPDf以外のものである。
【0051】
複数のインナーリード部ILは、少なくとも1つの特定リード部ILf(第1の電極)と、標準リード部ILs(第2の電極)とを有する。特定リード部ILfは、複数のインナーリード部ILのうち、第2の辺L2に沿って配置されたものに含まれ、かつ第1の頂点A1に近い位置、すなわち第2の頂点A2から遠い位置、に配置されている。標準リード部ILsは、複数のインナーリード部ILのうち特定リード部ILf以外のものである。
【0052】
複数のボンディングワイヤWRは、少なくとも1つの特定ワイヤWRf(第1のワイヤ)と、標準ワイヤWRs(第2のワイヤ)とを有する。特定ワイヤWRfは、複数のボンディングワイヤWRのうち、平面視(図19の視野)において第2の辺L2に交差するものに含まれ、かつ第1の頂点A1に近い位置、すなわち第2の頂点A2から遠い位置、に配置されている。標準ワイヤWRsは、複数のボンディングワイヤWRのうち特定ワイヤWRf以外のものである。
【0053】
次に本変形例の半導体装置の製造方法について説明する。
まず、ワイヤボンディング工程が行われる。すなわち、複数のボンディングパッドPDと、複数のインナーリード部ILとのそれぞれの間に、ボンディングワイヤWRが形成される。すなわち、標準パッドPDsと標準リード部ILsとの間に標準ワイヤWRsを形成する工程と、特定パッドPDfと特定リード部ILfとの間に特定ワイヤWRfを形成する工程とが行われる。
【0054】
ボンディングワイヤWRのうち特定ワイヤWRfのボンディングは、上述した本実施の形態のボンディングワイヤWR(図10)と同様に行われる。すなわち、平面視において、特定パッドPDfと特定リード部ILfとを結んだ直線に対して第1の頂点A1から遠い側(すなわち第2の頂点A2に近い側)を通るように、第1のワイヤが形成される。
【0055】
他方、ボンディングワイヤWRのうち標準ワイヤWRsのボンディングは、上述した比較例のボンディングワイヤWZ(図15)と同様に行われる。すなわち標準ワイヤWRsは、液状樹脂が流し込まれる前においては、半導体チップCHの主面に対する傾斜を有しておらず、これにより標準ワイヤWRsは、図19に示すように、平面視においては直線的な形状を有する。
【0056】
次に、上述した本実施の形態と同様に、液状樹脂の流し込みおよびその硬化が行われることで、本変形例の半導体装置が得られる。
【0057】
次に本変形例の作用効果について説明する。
図19の白抜き矢印Mのうち直角に曲がったものに示すように、第1の辺L1に沿う方向から第2の辺L2に沿う方向へと方向を変えた直後の液状樹脂は、その流れの勢いが増大する。本変形例によれば、このように勢いの増大した液状樹脂にさらされる位置に、上述した本実施の形態と同様の形状を有する特定ワイヤWRfが形成される。よって、このように勢いの増大した液状樹脂に起因したボンディングワイヤWR間の接触を、上述した本実施の形態と同様に防止することができる。
【0058】
他方、比較的流れが穏やかな液状樹脂にさらされる位置には、標準ワイヤWRs、すなわち、より一般的な形状のワイヤを用いることができる。
【0059】
(実施の形態2)
図20〜図22を参照して、本実施の形態の半導体装置は、BGA(Ball Grid Array)タイプのプラスチック・パッケージBPである。パッケージBPは、リードフレームLF(実施の形態1)の代わりに、電極ELと、回路基板CBと、はんだボールBLとを有する。また樹脂部MR(実施の形態1)の代わりに樹脂部MRbを有する。
【0060】
電極ELは、ボンディングワイヤWRによって半導体チップCHと接続されている。また半導体チップCHおよび電極ELの各々は回路基板CBに支持されている。また樹脂部MRbは、ボンディングワイヤWRおよび半導体チップCHを封止している。
【0061】
図23を参照して、本実施の形態の半導体装置の製造方法においても、上述した実施の形態1と同様に、ボンディングワイヤWRの形成と、液状樹脂の流し込み(矢印M)とが行われる。
【0062】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰返さない。
【0063】
本実施の形態によっても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また本実施の形態によれば、パッケージBPは、半導体チップCHおよび電極ELの各々を支持する回路基板CBを有する。これにより、回路基板CBを有するBGAパッケージを形成することができる。
【0064】
次に本実施の形態の変形例について説明する。
図24を参照して、複数のボンディングパッドPDは、実施の形態1の変形例(図19)と同様に、少なくとも1つの特定パッドPDf(第1のパッド)と、標準パッドPDs(第3のパッド)とを有する。
【0065】
また複数の電極EL(電極群)は、少なくとも1つの特定電極ELf(第1の電極)と、標準電極ELs(第2の電極)とを有する。特定電極ELfは、複数の電極ELのうち、第2の辺L2に沿って配置されたものに含まれ、かつ第1の頂点A1に近い位置、すなわち第2の頂点A2から遠い位置、に配置されている。標準電極ELsは、複数の電極ELのうち特定電極ELf以外のものである。
【0066】
複数のボンディングワイヤWRは、少なくとも1つの特定ワイヤWRf(第1のワイヤ)と、標準ワイヤWRs(第2のワイヤ)とを有する。特定ワイヤWRfは、複数のボンディングワイヤWRのうち、平面視(図19の視野)において第2の辺L2に交差するものに含まれ、かつ第1の頂点A1に近い位置、すなわち第2の頂点A2から遠い位置、に配置されている。標準ワイヤWRsは、複数のボンディングワイヤWRのうち特定ワイヤWRf以外のものである。
【0067】
本変形例によれば、半導体装置がBGAタイプのプラスチック・パッケージBPである場合に、実施の形態1の変形例と同様の効果が得られる。
【0068】
(実施の形態3)
本実施の形態においては、実施の形態2とほぼ同様の半導体装置(図20〜図22)を製造するための、他の製造方法について説明する。
【0069】
図25および図26を参照して、まず、基板CBAが準備される。基板CBAは、複数の回路基板CB(図20〜図22)が一体化されたものである。よって後述する樹脂封止の後に基板CBAが切断されることで、各々が回路基板CBを有する複数の半導体装置を得ることができる。基板CBAのうち回路基板CBとなる部分の各々には、複数の電極ELが設けられている。また基板CBAのうち、後述する液状樹脂の流し込みの際の上流側には、位置決め穴15と、テーパピン用穴16とが設けられ、下流側にはエアベントである溝31が設けられている。
【0070】
また複数の半導体チップCHが準備される。なお以下においては、説明の便宜上、複数の半導体チップCHのうち、半導体チップCH1(第1の半導体チップ)、および液状樹脂の流し込みの際に半導体チップCH1の上流側に位置する半導体チップCH2(第2の半導体チップ)について、特に詳しく説明する。
【0071】
半導体チップCH1は長方形状の主面を有し、この主面は、第1の辺L6aと、第2の辺L7と、第3の辺L6bと、第4の辺L5とを有する。第1の辺L6aおよび第2の辺L7は、頂点A6aを共有している。第2の辺L7および第3の辺L6bは、頂点A6bを共有している。第3の辺L6bおよび第4の辺L5は、頂点A5bを共有している。第4の辺L5および第1の辺L6aは、頂点A5aを共有している。
【0072】
またこの主面上には、複数のボンディングパッドPD(パッド群)が設けられている。複数のボンディングパッドPDは、少なくとも1つの特定パッドPDr(第1のパッド)と、標準パッドPDs(第3のパッド)とを有する。特定パッドPDrは、複数のボンディングパッドPDのうち、半導体チップCH1の主面上における第2の辺L7に沿って配置されたものに含まれ、かつ頂点A6aに近い部分L7a(すなわち頂点A6bから遠い部分)に配置されている。標準パッドPDsは、複数のボンディングパッドPDのうち特定パッドPDr以外のものである。
【0073】
半導体チップCH2も半導体チップCH1と同様の構成を有するが、説明の便宜上、半導体チップCH2の主面が有する辺のうち、半導体チップCH1の第1の辺L6aに相当する辺を、第5の辺L9と称する。
【0074】
次に、基板CBA上に接着層を介して複数の半導体チップCHが取り付けられる。この取付は、半導体チップCH1およびCH2が整列され、かつ、半導体チップCH1の第1の辺L6aと、半導体チップCH2の第5の辺L9とが整列するように行われる。
【0075】
次にボンディングパッドPDと電極ELとの間にボンディングワイヤWRが形成される。これにより半導体チップCH1の特定パッドPDrと、特定電極ELrとの間に、ボンディングワイヤWRに属する特定ワイヤWRrが形成される。また半導体チップCH1の標準パッドPDsと、標準電極ELsとの間に、ボンディングワイヤWRに属する標準ワイヤWRsが形成される。
【0076】
特定ワイヤWRrは、平面視において、第2の辺L7に交差し、特に、第2の辺L7のうち頂点A6aに近い部分L7aに交差する。また特定ワイヤWRrは、平面視において、頂点A6aの方に凸形状となる。すなわち特定ワイヤWRrは、特定パッドPDrと特定電極ELrとを結んだ直線に対して頂点A6aに近い側を通る。
【0077】
他方、標準ワイヤWRsは、実施の形態2の変形例と同様に、平面視においては直線的な形状を有する。
【0078】
上記のように特定ワイヤWRrと標準ワイヤWRsとが異なる形状を付与される結果、図26に示すように、特定ワイヤWRrと標準ワイヤWRs(平面視において直線状のワイヤ)との間の間隔SPが、より広く確保される。
【0079】
なおボンディングワイヤWRのうち、第2の辺L7の頂点A6bに近い部分L7bと交差するワイヤは、図26に示すように、平面視において、頂点A6bの方に凸形状となるように形成される。
【0080】
図27および図28を参照して、上金型MMaには、カル5、カル側ランナー6の一部、オーバーフローキャビティ7、オーバーフローキャビティランナー8の一部、位置決めピン受け部17、及びテーパピン18が設けられている。一方、下金型MMbには、カル5、カル側ランナー6の一部、オーバーフローキャビティランナー8の一部、基板CBAを載置するための凹部19、キャビティCMおよび位置決めピン20が設けられている。
【0081】
図29および図30を参照して、基板CBAを下金型MMbの凹部19内に、半導体チップCHがキャビティCM内に配置されるように載置する。すなわち半導体チップCH1およびCH2がキャビティCMに同時に収められる。
【0082】
次に基板CBAを下金型MMbと上金型MMaで挟んだ状態で、キャビティCM内へカル5からカル側ランナー6を介して液状樹脂が流し込まれる。これにより、半導体チップCH1およびCH2についての樹脂封止が一括して行われる。
【0083】
上記の液状樹脂の流し込みにおいて、液状樹脂は、まず半導体チップCH2の第5の辺L9(図29)に沿った位置を経由した後、矢印M(図30)に示すように、第1の辺L6aに沿った位置と、頂点A6aとを順に経由して、第2の辺に沿う位置へと流れ、これにより第2の辺の部分L7aに到達する。
【0084】
次に液状樹脂が硬化されることで、複数の樹脂部MR(図20)が一体となった樹脂構造が得られる。次にこの一体となった樹脂構造を基板CBとともに切断することで、実施の形態2とほぼ同様の半導体装置(図20〜図22)が得られる。
【0085】
次に本変形例の作用効果について説明する。
図30の白抜き矢印Mのうち直角に曲がったものに示すように、第1の辺L6aに沿う方向から第2の辺L7に沿う方向へと頂点A6a周りに方向を変えた直後の液状樹脂は、その流れの勢いが増大する。本実施の形態によれば、このように勢いの増大した液状樹脂にさらされる位置において、ボンディングワイヤ間の間隔SPを広く確保することができる。よってこの広い間隔SPで隔てられた特定ワイヤWRrと標準ワイヤWRsとの間が液状樹脂に起因して接触することを防止することができる。
【0086】
他方、比較的流れが穏やかな液状樹脂にさらされる位置には、標準ワイヤWRs、すなわち、より一般的な形状のワイヤを用いることができる。
【0087】
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態2の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰返さない。
【0088】
なお本明細書において「長方形状」とは、4つの角がすべて直角である四角形の形状を指すものであり、したがって正方形状を含む概念である。
【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、ワイヤを封止する樹脂部を有する半導体装置の製造方法に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0091】
A1 第1の頂点、A2 第2の頂点、BB バスバー、BL はんだボール、BP,QP パッケージ、CB 回路基板、CH 半導体チップ、CP 接続部、CV キャビティ、DP ダイパッド、EL 電極、F 屈曲点、GR 接地リング、IL インナーリード部(電極)、L1 第1の辺、L2 第2の辺、LF リードフレーム、ML 金型、MLa 上金型、MLb 下金型、MR,MRb 樹脂部、OL アウターリード部(電極)、PD ボンディングパッド、PD1 内周ボンディングパッド、PD2 外周ボンディングパッド、SL 吊リード、ST,ST1,ST2 屈曲部、WR ボンディングワイヤ、WR1 内周ボンディングワイヤ、WR2 外周ボンディングワイヤ、WZ ボンディングワイヤ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対角線上にある第1および第2の頂点と前記第1および第2の頂点を繋ぐ第1および第2の辺とを有する長方形状の主面を有し、かつ前記主面上に第1のパッドを有する半導体チップと、電極と、前記第1のパッドと前記電極とを接続するワイヤと、前記ワイヤを封止する樹脂部とを含む半導体装置の製造方法であって、
前記第1のパッドと前記電極との間に前記ワイヤを形成する工程と、
金型のキャビティ内に前記ワイヤを収める工程と、
前記第1の頂点から前記第1および第2の辺に沿って前記第2の頂点に向かうように前記キャビティ内に液状樹脂を流し込む工程と、
前記液状樹脂を硬化することによって前記樹脂部を形成する工程とを備え、
前記ワイヤを形成する工程は、平面視において、前記第1のパッドと前記電極とを結んだ直線に対して前記第1の頂点から遠い側を通るように前記ワイヤを形成することにより行なわれる、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体チップは前記主面上に設けられた第2のパッドを含み、前記第2のパッドと前記主面の外縁との間隔は前記第1のパッドと前記外縁との間隔に比して小さい、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記電極は、前記樹脂部から突出した部分を有する、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記半導体装置は、前記半導体チップおよび前記電極の各々を支持する回路基板を含む、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
互いに対角線上にある第1および第2の頂点と前記第1および第2の頂点を繋ぐ第1および第2の辺とを有する四角形状の主面を有し、かつ、前記主面上にパッド群を有する半導体チップと、電極群と、前記パッド群と前記電極群とを接続するワイヤ群と、前記ワイヤ群を封止する樹脂部とを含む半導体装置の製造方法であって、
前記パッド群と前記電極群との間に前記ワイヤ群を形成する工程を備え、前記ワイヤ群を形成する工程は、前記パッド群に属する第1のパッドと、前記電極群に属する第1の電極との間に、前記ワイヤ群に属する第1のワイヤを形成する工程を含み、さらに、
金型のキャビティ内に前記ワイヤ群を収める工程と、
前記第1の頂点から前記第1および第2の辺に沿って前記第2の頂点に向かうように前記キャビティ内に液状樹脂を流し込む工程と、
前記液状樹脂を硬化することによって前記樹脂部を形成する工程とを備え、
前記第1のワイヤを形成する工程は、平面視において、前記第1のパッドと前記第1の電極とを結んだ直線に対して前記第1の頂点から遠い側を通るように前記第1のワイヤを形成することにより行なわれる、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記半導体チップは、前記主面上に設けられた第2のパッドを含み、前記第2のパッドと前記主面の外縁との間隔は前記第1のパッドと前記外縁との間隔に比して小さい、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記電極群の各々は、前記樹脂部から突出した部分を有する、請求項5または6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記半導体装置は、前記半導体チップおよび前記電極群の各々を支持する回路基板を含む、請求項5または6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記ワイヤ群を形成する工程は、前記パッド群に属する第3のパッドと、前記電極群に属する第2の電極との間に、前記ワイヤ群に属する第2のワイヤを形成する工程を含み、
前記第2のワイヤを形成する工程は、平面視において、前記第3のパッドと前記第2の電極とを結んだ直線に沿うように前記第2のワイヤを形成することにより行なわれる、請求項5〜8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
頂点を共有する第1および第2の辺を有する四角形状の主面を有し、かつ、前記主面上にパッド群を有する第1の半導体チップと、電極群と、前記パッド群と前記電極群とを接続するワイヤ群と、前記ワイヤ群を封止する樹脂部とを含む半導体装置の製造方法であって、
前記パッド群と前記電極群との間に前記ワイヤ群を形成する工程を備え、前記ワイヤ群を形成する工程は、前記パッド群に属する第1のパッドと、前記電極群に属する第1の電極との間に、前記ワイヤ群に属しかつ平面視において前記第2の辺に交差する第1のワイヤを形成する工程を含み、さらに、
金型のキャビティ内に前記ワイヤ群を収める工程と、
前記キャビティ内に液状樹脂を流し込む工程とを備え、前記液状樹脂を流し込む工程は、前記液状樹脂が、前記第1の辺に沿った位置と、前記頂点周りの位置とを順に経由して、前記第2の辺に沿った位置へと流れるように行われ、さらに、
前記液状樹脂を硬化することによって前記樹脂部を形成する工程を備え、
前記第1のワイヤを形成する工程は、平面視において、前記第2の辺と交差し、かつ前記第1のパッドと前記第1の電極とを結んだ直線に対して前記頂点に近い側を通るように前記第1のワイヤを形成することにより行なわれる、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記半導体チップは、前記主面上に設けられた第2のパッドを含み、前記第2のパッドと前記主面の外縁との間隔は前記第1のパッドと前記外縁との間隔に比して小さい、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記半導体装置は、前記半導体チップおよび前記電極群の各々を支持する回路基板を含む、請求項10または11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記ワイヤ群を形成する工程は、前記パッド群に属する第3のパッドと、前記電極群に属する第2の電極との間に、前記ワイヤ群に属する第2のワイヤを形成する工程を含み、
前記第2のワイヤを形成する工程は、平面視において、前記第3のパッドと前記第2の電極とを結んだ直線に沿うように前記第2のワイヤを形成することにより行なわれる、請求項10〜12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記キャビティは、前記第1の半導体チップと、第2の半導体チップとを同時に収めることができるように構成され、
前記液状樹脂を流し込む工程は、前記第2の半導体チップが有する第3の辺に沿った位置を経由して前記第1の辺に沿った位置へ前記液状樹脂が流れるように行われる、請求項10〜13のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
互いに対角線上にある第1および第2の頂点と前記第1および第2の頂点を繋ぐ第1および第2の辺とを有する長方形状の主面を有し、かつ前記主面上に第1のパッドを有する半導体チップと、電極と、前記第1のパッドと前記電極とを接続するワイヤと、前記ワイヤを封止する樹脂部とを含む半導体装置の製造方法であって、
前記第1のパッドと前記電極との間に前記ワイヤを形成する工程と、
金型のキャビティ内に前記ワイヤを収める工程と、
前記第1の頂点から前記第1および第2の辺に沿って前記第2の頂点に向かうように前記キャビティ内に液状樹脂を流し込む工程と、
前記液状樹脂を硬化することによって前記樹脂部を形成する工程とを備え、
前記ワイヤを形成する工程は、平面視において、前記第1のパッドと前記電極とを結んだ直線に対して前記第1の頂点から遠い側を通るように前記ワイヤを形成することにより行なわれる、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体チップは前記主面上に設けられた第2のパッドを含み、前記第2のパッドと前記主面の外縁との間隔は前記第1のパッドと前記外縁との間隔に比して小さい、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記電極は、前記樹脂部から突出した部分を有する、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記半導体装置は、前記半導体チップおよび前記電極の各々を支持する回路基板を含む、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
互いに対角線上にある第1および第2の頂点と前記第1および第2の頂点を繋ぐ第1および第2の辺とを有する四角形状の主面を有し、かつ、前記主面上にパッド群を有する半導体チップと、電極群と、前記パッド群と前記電極群とを接続するワイヤ群と、前記ワイヤ群を封止する樹脂部とを含む半導体装置の製造方法であって、
前記パッド群と前記電極群との間に前記ワイヤ群を形成する工程を備え、前記ワイヤ群を形成する工程は、前記パッド群に属する第1のパッドと、前記電極群に属する第1の電極との間に、前記ワイヤ群に属する第1のワイヤを形成する工程を含み、さらに、
金型のキャビティ内に前記ワイヤ群を収める工程と、
前記第1の頂点から前記第1および第2の辺に沿って前記第2の頂点に向かうように前記キャビティ内に液状樹脂を流し込む工程と、
前記液状樹脂を硬化することによって前記樹脂部を形成する工程とを備え、
前記第1のワイヤを形成する工程は、平面視において、前記第1のパッドと前記第1の電極とを結んだ直線に対して前記第1の頂点から遠い側を通るように前記第1のワイヤを形成することにより行なわれる、半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記半導体チップは、前記主面上に設けられた第2のパッドを含み、前記第2のパッドと前記主面の外縁との間隔は前記第1のパッドと前記外縁との間隔に比して小さい、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記電極群の各々は、前記樹脂部から突出した部分を有する、請求項5または6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記半導体装置は、前記半導体チップおよび前記電極群の各々を支持する回路基板を含む、請求項5または6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記ワイヤ群を形成する工程は、前記パッド群に属する第3のパッドと、前記電極群に属する第2の電極との間に、前記ワイヤ群に属する第2のワイヤを形成する工程を含み、
前記第2のワイヤを形成する工程は、平面視において、前記第3のパッドと前記第2の電極とを結んだ直線に沿うように前記第2のワイヤを形成することにより行なわれる、請求項5〜8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
頂点を共有する第1および第2の辺を有する四角形状の主面を有し、かつ、前記主面上にパッド群を有する第1の半導体チップと、電極群と、前記パッド群と前記電極群とを接続するワイヤ群と、前記ワイヤ群を封止する樹脂部とを含む半導体装置の製造方法であって、
前記パッド群と前記電極群との間に前記ワイヤ群を形成する工程を備え、前記ワイヤ群を形成する工程は、前記パッド群に属する第1のパッドと、前記電極群に属する第1の電極との間に、前記ワイヤ群に属しかつ平面視において前記第2の辺に交差する第1のワイヤを形成する工程を含み、さらに、
金型のキャビティ内に前記ワイヤ群を収める工程と、
前記キャビティ内に液状樹脂を流し込む工程とを備え、前記液状樹脂を流し込む工程は、前記液状樹脂が、前記第1の辺に沿った位置と、前記頂点周りの位置とを順に経由して、前記第2の辺に沿った位置へと流れるように行われ、さらに、
前記液状樹脂を硬化することによって前記樹脂部を形成する工程を備え、
前記第1のワイヤを形成する工程は、平面視において、前記第2の辺と交差し、かつ前記第1のパッドと前記第1の電極とを結んだ直線に対して前記頂点に近い側を通るように前記第1のワイヤを形成することにより行なわれる、半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記半導体チップは、前記主面上に設けられた第2のパッドを含み、前記第2のパッドと前記主面の外縁との間隔は前記第1のパッドと前記外縁との間隔に比して小さい、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記半導体装置は、前記半導体チップおよび前記電極群の各々を支持する回路基板を含む、請求項10または11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記ワイヤ群を形成する工程は、前記パッド群に属する第3のパッドと、前記電極群に属する第2の電極との間に、前記ワイヤ群に属する第2のワイヤを形成する工程を含み、
前記第2のワイヤを形成する工程は、平面視において、前記第3のパッドと前記第2の電極とを結んだ直線に沿うように前記第2のワイヤを形成することにより行なわれる、請求項10〜12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記キャビティは、前記第1の半導体チップと、第2の半導体チップとを同時に収めることができるように構成され、
前記液状樹脂を流し込む工程は、前記第2の半導体チップが有する第3の辺に沿った位置を経由して前記第1の辺に沿った位置へ前記液状樹脂が流れるように行われる、請求項10〜13のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2011−77169(P2011−77169A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225056(P2009−225056)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]