説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】複数のワイヤがボンディングされた半導体素子を備える半導体装置であって、十分な接合信頼性を実現することができるとともに、放熱性が良好な半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
半導体層上に設けられた電極上に、ボールボンディングされた第1のワイヤを有し、該第1のワイヤは、前記電極上に接合されたボール部と、該ボール部から延伸して折り返された折り返し部とを有し、該折り返し部に延伸する部分と該折り返し部から延伸する部分とが前記ボール部上で接触し、前記ボール部の上で前記第1のワイヤにボンディングされた第2のワイヤを有し、前記ボール部の周縁部上において、前記第1のワイヤの折り返し部または前記第2のワイヤと前記ボール部との間に空隙を有することを特徴とする半導体装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、より詳細には、半導体素子内又は間でワイヤボンディングされた半導体素子を備える半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ダイオード等の半導体素子を用いた従来の半導体装置では、複数の半導体素子(チップ)を1つのパッケージ内に搭載したものがあり、このような複数のチップ間をワイヤボンディングにて接続する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
この特許文献1に開示されている方法によれば、複数のチップ間をワイヤ接続する場合、まず第1のワイヤとして電極パターンの端子上からチップの上部電極上にウェッジボンディングする。次に、そのウェッジボンディング部の上に、第2のワイヤを重ねてボールボンディングする。
【0003】
これにより、チップの上部電極上に、ボールボンディングで形成されたボールが接続されることとなり、この部分におけるワイヤの薄膜化を防止して、ワイヤボンディングの接合の強化を実現している。
【0004】
しかしながら、特許文献1において、半導体素子の電極に直接ウェッジボンディングを行うと、前記電極の膜厚が薄いことに起因して、安定した接合を得ることができないという課題があった。さらに、片面側に正負の電極を有するタイプの半導体素子の場合、一方の電極面の高さが発光素子表面の高さよりも低いため、前記一方の電極面に上記ウェッジボンディングをすると、キャピラリの先端部にて半導体素子の段差表面を傷つけるという不具合が発生する。また、特許文献1においては、ウェッジボンディング部の上から重ねてボールボンディングしている。そのため、ワイヤのウェッジボンディング部と半導体素子の表面との間隔が狭く、ウェッジボンディング部と半導体素子との間において、周辺部材等の放熱効率が低下してしまうという問題がある。
【0005】
そのような問題を解決する手段として、ワイヤループのボール部上面を、その頂上部分がワイヤの一部を含めてツブされた状態とし、そのボール部の上面とボンディング面とを架橋するようなワイヤループを用いることが提案されている(例えば、特許文献2)。この方法によれば、ワイヤの劣化、接触/短絡等に起因する不具合を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−353267号公報
【特許文献2】特開2008−130863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、更なる高出力化が求められており、半導体素子(発光素子)の出力が向上される傾向にある。そこで、本発明は、更に良好で信頼性の向上した半導体発光装置を提供することを目的とし、特に、複数のワイヤがボンディングされた半導体素子を備える半導体装置であって、十分な接合信頼性を実現することができるとともに、放熱性が良好な半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、半導体層上に設けられた電極上に、ボールボンディングされた第1のワイヤを有し、第1のワイヤは、電極上に接合されたボール部と、ボール部から延伸して折り返された折り返し部と、ボール部上に接合された平坦部とを有し、その平坦部の上にボンディングされた第2のワイヤを有し、第1のワイヤの折り返し部又は第2のワイヤは、第1のワイヤのボール部の周縁部上において、ボール部との間に空隙を有する半導体装置に関する。かかる構成によれば、ワイヤの十分な接合信頼性を実現することができるとともに、放熱性が良好な半導体装置を提供することができる。
【0009】
また、第2のワイヤは、第1のワイヤとの間に空隙を有することが好ましい。かかる構成によれば、ワイヤの接合信頼性を確保しつつ、放熱性が良好な半導体装置とすることができる。
【0010】
また、本発明は、半導体層上に設けられた電極上に、ボールボンディングされた第1のワイヤを有し、第1のワイヤは、電極上に接合されたボール部と、ボール部から延伸して折り返された折り返し部と、ボール部上に接合された平坦部とを有し、その平坦部の上にボンディングされた第2のワイヤを有し、前記第2のワイヤは、前記第1のワイヤのボール部の周縁部上において、第1のワイヤの折り返し部との間に空隙を有する半導体装置に関する。かかる構成によれば、ワイヤの十分な接合信頼性を実現することができるとともに、放熱性が良好な半導体装置を提供することができる。
【0011】
また、第1のワイヤのボール部の上において、第1のワイヤ又は第2のワイヤは、略水平に設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、ワイヤの接合信頼性を確保しつつ、放熱性が良好な半導体装置とすることができる。
【0012】
また、第1のワイヤのボール部から延伸するワイヤとボール部との接触面において、最も高い位置と最も低い位置との高低差が、ワイヤの径の2分の1以下であることが好ましい。かかる構成によれば、ワイヤの接合信頼性を確保しつつ、放熱性が良好な半導体装置とすることができる。
【0013】
また、本発明は、半導体層上に設けられた電極の上に、第1のワイヤをボールボンディングする第1工程と、第1のワイヤのボール部の上に第2のワイヤをボンディングする第2の工程と、を有し、第2の工程において、第2のワイヤは、第1のワイヤのボール部の中心点上を覆うようにボンディングされる半導体素子の製造方法に関する。かかる構成によれば、ワイヤの十分な接合信頼性を実現することができるとともに、放熱性が良好な半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のワイヤがボンディングされた半導体素子を備える半導体装置において、十分な接合信頼性を実現することができるとともに、放熱性が良好な半導体装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置を示す概略平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る半導体装置のワイヤ接合を説明するための概略断面工程図である。
【図3A】本発明の第1実施形態に係る半導体装置のワイヤ接合を説明するための概略断面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの拡大図である。
【図4A】本発明の第2実施形態に係る半導体装置のワイヤ接合を説明するための概略断面図である。
【図4B】図4Bは、図4Aの拡大図である。
【図5A】比較例の半導体装置のワイヤ接合を説明するための概略断面図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について詳細に説明する。ただし、本発明は、この実施形態に限定されない。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置を示す概略平面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置のワイヤ接合を説明するための概略断面工程図である。図3A、図3Bは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置のワイヤ接合を説明するための概略断面図である。
【0018】
(半導体装置)
本実施形態に係る半導体装置は、少なくとも、半導体素子11とワイヤとを含んで構成されている。更に、半導体素子が載置されると共に、ワイヤが接続される金属部材を有しており、更にこれらを一体的に保持する封止樹脂を有する。通常、ワイヤは、半導体素子11間又は金属部材12と半導体素子11との間を接続している。ワイヤは、少なくとも第1のワイヤ14と第2のワイヤ15とを有している。半導体素子11は、電極上16に、第1のワイヤ14がボールボンディングされ、さらにその上に第2のワイヤ15がボンディングされる。第1のワイヤは、半導体素子の電極上に接合されたボール部と、ボール部14aの上部の略中央部から延伸して折り返された折り返し部と、さらにその折り返し部から延伸してボール部の上でボール部から折り返し部に至るワイヤ上に接合された平坦部14cとを有している。
即ち、図4Bに示すように、ボール部14aから折り返し部14bに至る第1のワイヤ14(下側の第1のワイヤ14)の上に折り返し部14bから折り返してきた第1のワイヤ14(上側の第1のワイヤ14)を接合する際に、上側の第1のワイヤ14がボール部14aの方向に押圧力を受けることにより上側のワイヤ14に平坦部14cが形成される。平坦部14cは上側のワイヤ14の上面だけでなく下面も平坦なことが好ましい。
なお、図4Bでは、上側の第1のワイヤ14はボール部14aから離間しているが、上側の第1ワイヤ14と下側の第1のワイヤ14との接合条件によっては、上側の第1のワイヤ14はボール部14aと接触してもよい。
第2のワイヤ15は、第1のワイヤ14のボール部14aの中心点上において第1のワイヤ14の平坦部14cの上に接合されている。本実施の形態では、ボール部14aの周縁部上において、第1のワイヤ14の折り返し部14b又は第2のワイヤ15と第1のワイヤ15のボール部との間に空隙18を有している。これにより、十分な接合状態を確保することができるとともに、半導体素子11及びその近傍に生じる熱を効率よく放熱させることができる。また、第1のワイヤ14のボール部14aの上において、第1のワイヤ14又は第2のワイヤ15は、略水平に設けられている。これにより、ワイヤにかかる応力を低減することができるため、ワイヤの断線等を防止することができる。
本実施形態の半導体装置は、半導体素子、ワイヤ及び金属部材等が、好ましくは一体的に、樹脂によって成形又は封止されていることが好ましい。このような樹脂は、半導体素子等に対して、絶縁性を確保することができるものであれば、どのような材料によって形成されていてもよい。成形又は封止樹脂の大きさ及び形状は、特に限定されるものではない。
【0019】
以下、各構成部材について詳述する。
【0020】
(半導体素子)
本発明で用いられる半導体素子は、半導体によって構成される素子であれば特に限定されない。
本発明に用いられる半導体素子は、対向する面に正および負の電極がそれぞれ形成されたものであってもよく、同一面側に正および負の電極がともに形成されていてもよい。後者の場合の一対の電極は、同じ高さ(半導体層からほぼ同じ距離)で配置していてもよいし、電極間に高低差があってもよい。高低差を有している場合、直接電極にウェッジボンディングすることは、接合状態が悪く、ダイスへのキャピラリ接触による損傷が発生することから、本発明の効果がより顕著に現れる。また、この場合の正および負の電極は、必ずしも1つずつ形成されていなくてもよく、それぞれ2つ以上形成されていてもよい。つまり、同一面側に合計3つ以上形成されていてもよい。特に、本発明の半導体装置が1つの半導体素子によって構成される場合には、正および負の電極が半導体層の同じ面側にそれぞれ2つ以上形成されている。これにより、上述した本発明の効果をより発揮させることができる。
【0021】
電極は、その材料、膜厚、構造において、特に限定されないが、例えば、信頼性の点から金により形成されているものが好ましいが、後述するワイヤの種類によって、金、銅、鉛、アルミニウム又はこれらの合金を含む単層構造、積層構造のいずれでもよい。また、各電極の表面には、パッド電極として、Ni、Ti、Au、Pt、Pd、W等の金属又は合金の単層膜又は積層膜を形成してもよい。パッド電極の膜厚は特に限定されないが、なかでも、最終層(最も表面側)がAuを配置され、その膜厚が100nm程度以上であることが好ましい。
【0022】
半導体装置において、半導体素子は、1つの半導体装置において1つのみ搭載されていてもよいし、複数個搭載されていてもよい。半導体素子が複数個搭載されている場合には、それらが並列、直列又はそれらの組み合わせなど、接続形態は特に限定されない。
【0023】
(金属部材)
金属部材は、半導体素子と電気的に接続するための電極及び半導体素子を搭載する基板としての役割を果たすものであり、実質的に板状であればよく、波形板状、凹凸を有する板状であってもよい。その膜厚は均一であってもよいし、部分的に厚膜又は薄膜であってもよい。材料は特に限定されず、熱伝導率の比較的大きな材料(例えば、200W/(m・K)程度以上)、比較的大きい機械的強度を有するもの、あるいは打ち抜きプレス加工又はエッチング加工等が容易な材料で形成することが好ましい。このような材料で形成することにより、半導体素子で発生する熱を効率的に逃がすことができる。具体的には、銅、アルミニウム、金、銀、タングステン、鉄、ニッケル等の金属又は鉄−ニッケル合金、燐青銅等の合金等が挙げられる。また、金属部材の表面には、搭載される半導体素子からの光を効率よく取り出すために反射メッキが施されていることが好ましい。また、金属部材は、板状の他に、セラミックやガラスエポキシ樹脂等の表面に形成された鍍金層であってもよい。
【0024】
金属部材は、通常、1つの半導体装置において2本以上備えられている。これら2つの金属部材は、互いに電気的に離間することで正負一対の電極として機能させることができる。また、半導体素子の数+1本以上であってもよい。
金属部材は、半導体素子を搭載し、半導体素子と接続される領域の他に、外部と接続するリード端子として延長する領域を有していてもよい。リード端子は、本発明の半導体装置の実装タイプ(例えば、サイドビュータイプ、トップビュータイプ等)、使用態様に応じて、適宜屈曲、変形させることができる。
【0025】
(ワイヤ)
ワイヤは、半導体素子の表面に形成された電極と金属部材との間、半導体素子間、半導体素子内の電極間などを電気的に接続する(ボンディングする)ために用いられる導電部材である。特に、半導体素子間を接続する場合には、半導体素子の同極の電極間を接続していることが好ましい。
【0026】
本発明においては、2つのポイント間のワイヤにおいて、始点として接合するポイントを第1のボンディング点、終点として次に接続するポイントを第2のボンディング点と称する。
第1ボンディング点は、半導体素子の電極上に、ワイヤが溶融して形成されたボール又は塊がボンディングされている。このようにボールボンディングされたワイヤの接続部分を、ボール部と称する。
また、第2のボンディング点においては、ワイヤは、ボールを介することなく接続されている。この第2のボンディング点におけるワイヤの接続部分を、ウェッジボンド部と称する。なお、第2のボンディング点(又はウェッジボンド部)は、金属部材に接触するように金属部材の直上に配置されることが好ましい。また、第2のボンディング点が、半導体素子の電極上に配置される場合には、少なくともボール部を介して配置されていることが好ましい。
【0027】
ボンディング点とは、通常、半導体素子の電極表面又は半導体装置を構成する金属部材表面の一部領域を指すが、複数のワイヤが形成される場合は、ボンディングされた領域、例えば、ワイヤ上又はボール部上をも包含する。
【0028】
本発明において、ワイヤは、少なくとも第1のワイヤと第2のワイヤとを有している。第1のワイヤは、第1のボンディング点と、第2のボンディング点とを接続するワイヤを意味する。また、第2のワイヤは、第1ワイヤのボール部の上と、第3のボンディング点とを接続するワイヤを意味する。このような第2のワイヤに対応するものが、1つの半導体装置において複数形成されていてもよい。
【0029】
第1のワイヤ14は、上述したように、半導体素子の電極の上にボールボンディングされたボール部14aを有しており、さらに、ボール部14aの上からワイヤの終点となる点(つまり、第2のボンディング点)とは逆方向に突出するようにワイヤが延伸して折り返された折り返し部14bと、折り返し部14bからボール部14a上に延在するワイヤ上面に形成された平坦部14cと、を有している。平坦部14cは、ボール部14aから折り返し部14bに延伸するワイヤ14(下側のワイヤ14)に折り返し部14bから第2のボンディング点に延在するワイヤ14(上側のワイヤ14)を接合させるように、該ワイヤをボール部14aの方向に押し付る際に形成される。
ボール部14aの径は、半導体装置やそれに搭載される電極の大きさによって適宜調節されるものであり、例えば50μm〜100μm程度である。また、折り返し部14bは、ボール部14aの周縁部よりも、大きく突出し過ぎないようにするのが好ましく、例えばボール部14aの径が上記範囲の場合は、ボール部14aの中心から折り返し部14bの先端までの距離は10μm〜100μm程度が好ましい。平坦部14cは、ボール部の中心点上に配置されている。
【0030】
第1のワイヤ14は、平坦部14cからワイヤ14の終点となる点の方向に、略水平方向に伸びていることが好ましい。ここで、略水平方向とは、ワイヤ(下側のワイヤ14)がボールボンディングされるボール部14bの面に対して、略平行な方向であることを意味する。
また、ボール部の上面、すなわち第1のワイヤ14(下綿の第1のワイヤ14)とボール部14aとが接合されている接触面の最も高い位置と最も低い位置との高低差が、第1のワイヤ14の径の2分の1以下であることが好ましい。すなわち、ボール部から延伸する線状のワイヤが、ボール部に接合される際に図5Bに示すように大きく屈曲、変形することなく接合されることが好ましい。
また、ワイヤの折り返し部14bとボール部14aとの間、及び平坦部14cから延びる第2のワイヤとボール部14aとの間には、空隙18が設けられていることが好ましい。これにより、十分な接合状態を確保することができるとともに、放熱性が良好なものとなる。
空隙18は、その側面の一部に第1のワイヤを折り返すことにより(ワイヤの折り返し部14bを形成することにより)生ずる曲面を含んでいる。
【0031】
第2のワイヤ15の先端領域(第1のワイヤ上に接合される領域)は、第1のワイヤ14の平坦部14cに対して略水平に設けられる。第2のワイヤ15は、第1のワイヤのボール部14aの中心点上において、第1のワイヤ14に接合されるが、第1のワイヤのボール部14aの周縁部上においては、第1のワイヤのボール部14aとの間に空隙を有していることが好ましい。これにより、十分な接合状態を確保することができるとともに、放熱性が良好なものとなる。この空隙の部分には、封止樹脂が存在していてもよい。
【0032】
ワイヤは、半導体素子の電極とのオーミック性が良好であるか、機械的接続性が良好であるか、電気伝導性及び熱伝導性が良好なものであることが好ましい。熱伝導率としては、0.01cal/S・cm・℃/cm程度以上が好ましく、さらに0.5cal/S・cm・℃/cm程度以上がより好ましい。作業性などを考慮すると、ワイヤの直径は、10μm〜45μm程度であることが好ましい。このようなワイヤの材料としては、例えば、金、銅、白金、アルミニウム等の金属及びそれらの合金が挙げられる。なかでも、接合信頼性、接合後の応力緩和等の観点から、金が好ましい。
【0033】
(製造方法)
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第1のワイヤをボールボンディングする第1の工程と、第1のワイヤのボール部の上に第2のワイヤをボンディングする第2の工程と、を有する。
【0034】
本実施形態のワイヤ接続を実現するために用いられるワイヤボンディング法としては、特に限定されないが、通常、熱圧着ワイヤボンディング、超音波併用熱圧着ワイヤボンディング等を好適に利用することができる。
【0035】
以下、各工程について詳述する。
【0036】
(第1の工程)
第1ボンディング点である半導体素子の電極の上に、ワイヤの溶融により形成されたボールを接合(圧着)する。この圧着されたボールから延長するワイヤの別の一部をさらにボール上に圧着し、第2のボンディング点の方向に前記ワイヤを引き伸ばして、第2のボンディング点に接続する。
【0037】
この第1の工程は、まず、ワイヤをキャピラリ等の治具に通し、スパーク等による高温を利用して、その先端を溶融させてワイヤによるボールを生成させる。温度は、特に限定されることなく、用いるワイヤの材料、太さ等によって調整することができる。例えば、360℃程度以下の温度が挙げられる。ボールの大きさは特に限定されることなく、通常、ワイヤの直径の2〜20倍程度の直径、好ましくは2〜10倍程度の直径、更に好ましくは2〜5倍程度の直径とすることができる。
【0038】
続いて、そのボールを金属部材又は電極表面に圧着する。尚、工程の説明において、ワイヤの先端に形成された接合前のボールと区別するため、ボンディング点に圧着によって接合されたボールを圧着ボールと称する。本発明では、上述したように、この圧着点(接合点)が第1のボンディング点となる。この際の負荷は、例えば、金属部材又は電極表面でのボールの直径の広がりを考慮して、適宜調整することができる。また、この際、超音波を印加しながら圧着してもよい。
【0039】
次いで、第1のワイヤを接続の終点となる点(つまり、第2ボンディング点)とは逆方向に引き伸ばして折り返し部を形成するために、キャピラリを逆方向に移動させる。この場合の逆方向は、第2ボンディング点への方向に対して、150〜210°程度の範囲が含まれる。この際の引き伸ばし量、つまりキャピラリの移動長さは、10〜100μm程度とすることが適している。また、第1のボール部の中心点から第2ボンディング点とは逆の方向へ移動させたキャピラリの中心までの水平距離を、キャピラリのリバース量と称する。キャピラリのリバース量は、第1のワイヤのボール部の径が50μm〜100μm程度の場合、10〜100μm程度とすることが好ましい。
このシフト量と、キャピラリのリバース量によって、ボール部の中心部から折り返し部の端部までの距離、すなわち折り返し部の長さが決められる。
【0040】
その後、キャピラリを、その引き延ばした位置において任意の高さまで上昇させた後、ボール(圧着ボール)直上に戻るように移動させ、さらに下降させることにより、ボール上で圧着ボールに接合している第1のワイヤにキャピラリを圧着させて、圧着ボールから延長する第1のワイヤの別の一部、すなわち引き延ばされた部分のワイヤを圧着ボール上で圧着ボールに接合している第1のワイヤに圧着させる。その結果、ボール表面及びその近傍に位置する第1ワイヤの表面をほぼ平坦とすることができる。この場合、超音波を印加しながら圧着してもよいが、印加せずに圧着することが好ましい。超音波の印加により、ワイヤが細く潰れることがあり、接合信頼性の低下を招くことがあるからである。また、圧着ボール上で第1ワイヤの一部を第1ワイヤの別の一部を圧着することにより、ワイヤの上方向への伸び(空間の占有)を低減し、例えば、接合された第1ワイヤの一部と別の一部の合計の高さを圧着ボール底面からワイヤ径の1.0〜5.0倍程度の高さ、別の観点から、圧着ボールの高さの1倍から5倍、更に好ましくは1倍から3倍程度以内の高さに止めることができる。
【0041】
続いて、ワイヤを、圧着ボールの直上から、第2ボンディング点へ引き伸ばし、第2ボンディング点に接合する。この場合の接合は、超音波を印加しながら又は印加せずに接合することができる。
【0042】
(第2の工程)
第1の工程の後、第1のワイヤのボール部の上に第2のワイヤをボンディングする。
第2のワイヤは、第1、第2のボンディング点とは異なる位置にある第3のボンディング点上にボールボンディングした後、第1のボンディング点の方向に引き伸ばして第3ボンディング点にボンディングしていてもよい。
【0043】
この第2の工程は、まず、第1の工程と同様に、ワイヤをキャピラリ等の治具に通し、スパーク等による高温を利用して、その先端を溶融させてワイヤによるボールを生成させる。温度は、特に限定されることなく、用いるワイヤの材料、太さ等によって調整することができる。例えば、360℃程度以下の温度が挙げられる。ボールの大きさは特に限定されることなく、通常、ワイヤの直径の2〜20倍程度の直径、好ましくは2〜10倍程度、さらに2〜5倍程度の直径とすることができる。
【0044】
続いて、そのボールを金属部材又は電極表面に圧着する。本発明では、上述したように、この圧着点(接合点)が第3のボンディング点となる。この際の負荷は、例えば、金属部材又は電極表面でのボールの直径の広がりを考慮して、適宜調整することができる。また、この際、超音波を印加しながら圧着してもよい。また、第1の工程と同様に、ワイヤの溶融により形成されたボールを圧着し、この圧着ボールから延長するワイヤの別の一部をさらに第2ワイヤに圧着することにより、第2のワイヤのボール部の表面に平坦部を形成してもよい。
【0045】
次いで、キャピラリを第3のボンディング点上から、第1のワイヤのボール部上に移動させる。この際、第1のワイヤのボール部の中心点の直上から、第2のワイヤのボール部とは逆方向にずらす位置まで移動させることが好ましい。この場合の逆方向は、第1のワイヤのボール部の中心点から第2ボンディング点への方向に対して、150〜210°程度の範囲が含まれる。ここで、第3のボンディング点上からキャピラリを第1のワイヤのボール部上に移動させた状態において、第1のワイヤのボール部の中心点からキャピラリの中心までの水平方向の距離を、キャピラリのシフト量と称する。キャピラリのシフト量は、第1のワイヤのボール部の径が50μm〜100μm程度の場合、40〜80μm程度とすることが好ましい。このシフト量と、前述のキャピラリのリバース量によって、ボール部の中心部から折り返し部の端部までの距離、すなわち折り返し部の長さが決められる。
続いて、キャピラリを下降させることにより、第1のワイヤのボール部の上にキャピラリを圧着させて、第2のワイヤを第1のワイヤにボンディングする。
【0046】
このようにキャピラリの中心を第1のワイヤのボール部の中心からずらした状態で、圧着させることにより、第1のワイヤのボール部の中心点上にキャピラリのフェイスを押し付けることができるため、ボール部の周縁部に過剰な荷重が加わることを防止することができる。また、これにより、第2のワイヤは、第1のワイヤのボール部の中心点上を覆うようにボンディングされる。ボンディングの際の荷重は、40〜80gfが好ましい。これにより、良好な接合状態を確保することができる。
【0047】
なお、キャピラリの中心が第1ワイヤのボール部の中心点上に位置する状態、すなわち、キャピラリのシフト量が0(ゼロ)の状態で第2のワイヤのボンディングを行うと、キャピラリの中心はワイヤの材料が供給される部分であるため、キャピラリによってボール部の中心を押し付けることができない。そのため、ボール部の周縁部上にキャピラリの圧力が加わるため、例えば図5A、図5Bに示すように、ワイヤがボール部の周縁部上に押し付けられた状態となってしまう。そのため、そのボール部から延伸している第1のワイヤも押し付けることになり、ワイヤの劣化の原因になる場合がある。
【0048】
本発明の半導体装置では、上述したボールの生成から第2ボンディング点への接合までの一連方法を、互いに異なる任意の2ポイント間で2回以上適用されるが、搭載される半導体素子の数、半導体素子の電極の態様、半導体素子の接続態様等に応じて、3回、4回、さらにそれ以上行われたものであることが好ましい。また、別の観点から、1つの半導体素子に対して、第1ボンディング点及び/又は第2ボンディング点が、合計3点以上設定されていることが好ましく、それぞれ2点以上ずつ設定されていることがより好ましい。
【0049】
<第2実施形態>
図4A、図4Bは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置のワイヤ接合を説明するための概略断面図である。
第2実施形態に係る半導体装置は、前述した第1実施形態の半導体装置と比べて、第1のワイヤ14及び第2のワイヤ15の構成が異なる。すなわち、第1のワイヤの折り返し部14bが、ボール部14aと接している点が異なる。第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、第1実施形態と重複する説明は省略することもある。
【0050】
本実施形態に係る半導体装置は、少なくとも、半導体素子とワイヤとを含んで構成されている。ワイヤは、少なくとも第1のワイヤ14と第2のワイヤ15とを有している。半導体素子は、電極上に、第1のワイヤ14がボールボンディングされ、さらにその上に第2のワイヤ15がボンディングされる。第2のワイヤ15は、第1のワイヤ14のボール部14aの中心点上において第1のワイヤ14に接合されている。第1のワイヤ14のボール部14aの上において、第1のワイヤ14又は第2のワイヤ15は、略水平に設けられている。これにより、ワイヤにかかる応力を低減することができるため、ワイヤの断線等を防止することができる。
【0051】
本実施の形態において、第2のワイヤは、第1のワイヤの折り返し部14bとの間に空隙18を有している。具体的には、第1ワイヤ及び第2ワイヤは、第1ワイヤのボール部14aの周縁部上において、第1のワイヤの折り返し部14bと第2のワイヤ15との間に空隙18が設けられていることが好ましい。これにより、十分な接合状態を確保することができるとともに、半導体素子及びその近傍に生じる熱を効率よく放熱させることができる。
【0052】
本実施形態のワイヤ接続は、例えば、第1のワイヤの上に第2のワイヤをボンディングする際の荷重や、第1のワイヤのボール部に対するキャピラリのリバース量やシフト量等を調節することにより実現することができる。具体的には、リバース量を小さくすることで、折り返し部の長さを短くすることができ、それによって折り返し部をボール部上に接するように押し付けることができる。
【0053】
以下に、本発明の半導体装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
実施例1
図1は、実施例1に係る半導体装置を示す概略平面図である。図2は、実施例1に係る半導体装置のワイヤ接合を説明するための概略断面工程図である。
また、図3A、図3Bは、実施例1に係る半導体装置のワイヤ接合を説明するための概略断面図である。
図1に示すように、この実施例の半導体装置10は、半導体素子(発光素子)11と、板状の金属部材12と、半導体素子11と金属部材12との間及び半導体素子11間をそれぞれ電気的に接続するワイヤと、これらを一体的に樹脂封止する封止樹脂19とを備えて構成されている。この半導体装置10には、半導体素子からの光を反射可能な部材からなる反射性部材と、その反射性部材に設けられ半導体素子が載置された凹部内に充填される透光性部材とを有している。封止樹脂19の内部において、金属部材12に電気的に接続された保護素子13がさらに搭載されている。
ワイヤは、半導体素子11の電極16上にボールボンディングされる第1のワイヤ14と、さらにその上にボンディングされる第2のワイヤ15と、を有している。第1のワイヤ14及び第2のワイヤ15の先端は、第1のワイヤ14のボール部14aとの間に空隙18を有している。
第1のワイヤ及び第2のワイヤは、直径が25μmのものを用いる。
【0054】
金属部材12は、アルミニウム合金からなる板状体であり、半導体素子11を搭載する領域と、そこから一方向に延長する領域を備えている。
封止樹脂19の成形体は、金属部材12の一部を挟持して一体的に、直方体に近い形状(縦3mm×横3mm×高さ0.85mm)で成形されている。成形体は、その中央付近に、略円形(直径3mm)の窓部19aを有している。窓部19a内では、金属部材12の一部が露出しており、露出した金属部材12上に半導体素子11が搭載されている。なお、窓部19a内には、透光性樹脂(図示せず)が埋設(充填)されている。
【0055】
半導体素子11は、その表面に2つの電極が形成されており、各電極が、金属部材12又は他の電極と、ワイヤによってそれぞれ電気的に接続されている。ワイヤは、ワイヤボンディングにより、金属部材表面又は電極表面に直接接合されている。
【0056】
第1のワイヤ14は、図2に示すように、第1ボンディング部A1である半導体素子11の電極16上において、ワイヤの溶融により形成されたボールが電極表面に圧着されており、この圧着ボールから延長する第1のワイヤの別の一部がさらに圧着ボール上で第1のワイヤに圧着されており(ボール部)、第2ボンディング点B2である金属部材12の方向に延長し、金属部材12の表面に接合されている(ウェッジボンド部)。つまり、第1ボンディング部A1において、第2ボンディング部B2と反対側に、ワイヤによるループ形状の折り返し部が形成されており、その圧着ボール表面/頂上部分はワイヤの一部を含めて潰された状態であり、比較的平坦化された形状となっている。
【0057】
この第1のワイヤ14の接合は、まず、ワイヤをキャピラリ(図示せず)に通し、スパークによる高温を利用して、その先端を溶融させてワイヤによるボールを生成させる。
続いて、そのボールを電極表面に圧着し、接合する。この圧着点が第1ボンディング点A1となる。ボールの径は、70μmとする。
次いで、図2の点線矢印に従って、圧着点からキャピラリを上昇させ、ワイヤを繰り出し、第2ボンディング点B2とは逆方向に引き伸ばすために、キャピラリを逆方向に約50μm水平移動させる。
【0058】
その後、キャピラリを上昇させ、ボール直上に移動させてワイヤを繰り出し、ボール上で第1のワイヤにキャピラリを圧着することにより、圧着ボールから延長するワイヤの別の一部がさらに圧着ボール上で第1のワイヤに圧着され、ボール表面及びその近傍に位置するワイヤがほぼ平坦となる。
続いて、図2の実線矢印に従って、キャピラリを上昇させて、ワイヤを繰り出し、第2ボンディング点B2とは逆方向にキャピラリを水平移動させ、再度上昇させてワイヤを繰り出し、圧着ボールの直上を通り、第2ボンディング点B2へ水平移動及び下降しながらワイヤを引き伸ばし、第2ボンディング点B2に接合する。これにより、第1ボンディング点A1と第2ボンディング点B2とを架橋する第1のワイヤ14が形成される。
【0059】
この半導体装置では、電極16の第1ボンディング点A1の上に、この電極16と別の電極17(第3ボンディング点C1)との間で第2のワイヤ15が設けられている。この第2のワイヤ15の接合は、上述した一連の工程を行うことにより、第2のワイヤ15のボール部の表面を、上述した第1のワイヤ14のボール部と同様に、平坦化した形状とすることができる。また、第2のワイヤ15の終点は、半導体素子11上の電極16の上であるが、すでに第1ワイヤ14のボール部として、圧着ボールが形成されており、その圧着ボールが平坦な形状であるために、パッド電極のような電極保護の役割を果たし、第2のワイヤ15の接合を可能とする。
【0060】
本実施例においては、第2のワイヤ15を第1のワイヤ14のボール部の上に接合する際に、キャピラリのシフト量を80μmとして、40gfの荷重によりボンディングを行う。
【0061】
このように構成された半導体装置10では、第1のワイヤ14のボール部の上において、第1のワイヤ14又は第2のワイヤ15は、略水平に設けられている。また、第1のワイヤ14の折り返し部及び第2のワイヤ15は、第1のワイヤのボール部の周縁部上においてボール部との間に空隙18を有している。
本実施例の半導体装置10においては、ワイヤの接合状態を良好なものとすることができるとともに、ワイヤのボール部近傍における熱を効率よく放熱させることができる。
実施例1と同様の半導体装置を25個作製し、ヒートサイクル試験として、−40度(℃)1分、100度(℃)1分を3000サイクル行った。試験後、実施例1の半導体装置において、断線したものはないことを確認した。
【0062】
比較例
図5A、図5Bは、比較例に係る半導体装置の一部を拡大した概略断面図である。
第2のワイヤ15を第1のワイヤ14の上にボンディングする際に、キャピラリの中心が第1のワイヤ14のボール部14aの中心点上に位置する状態、すなわち、キャピラリのシフト量を0として、ボンディングを行う。
その結果、第1のワイヤ14のボール部14aの上において、第1のワイヤ14及び第2のワイヤ15は、略水平にはならずに、キャピラリのフェイスによってボール部の中心部の周辺が強く押圧されることによってボール部の周縁部上に押し付けられた状態になる。
比較例の半導体装置は、実施例1の半導体装置と比較して、信頼性試験においてワイヤが断線しやすい傾向にある。
【0063】
実施例2
この実施例では、第2のワイヤを第1のワイヤの上にボンディングする際に、キャピラリのシフト量を60μmに変更した以外、実質的に実施例1と同様の製造方法で、同様の半導体装置を作製する。
この実施例の半導体装置は、半導体素子と、板状の金属部材と、半導体素子と金属部材との間及び半導体素子間をそれぞれ電気的に接続するワイヤと、これらを一体的に樹脂封止する封止樹脂とを備えて構成されている。この半導体装置には、封止樹脂の内部において、金属部材に電気的に接続された保護素子がさらに搭載されている。
ワイヤは、半導体素子の電極上にボールボンディングされる第1のワイヤと、さらにその上にボンディングされる第2のワイヤと、を有している。
この半導体装置においては、第1のワイヤのボール部の上において、第1のワイヤ又は第2のワイヤは、略水平に設けられている。また、第1のワイヤの折り返し部及び第2のワイヤは、第1のワイヤのボール部の周縁部上においてボール部との間に空隙を有している。
本実施例の半導体装置においても、ワイヤの接合状態を良好なものとすることができるとともに、ワイヤのボール部近傍における熱を効率よく放熱させることができる。
【0064】
実施例3
この実施例では、第2のワイヤを第1のワイヤの上にボンディングする際に、キャピラリのシフト量を40μmに変更した以外、実質的に実施例1と同様の製造方法で、同様の半導体装置を作製する。
この実施例の半導体装置は、半導体素子と、板状の金属部材と、半導体素子と金属部材との間及び半導体素子間をそれぞれ電気的に接続するワイヤと、これらを一体的に樹脂封止する封止樹脂とを備えて構成されている。この半導体装置には、封止樹脂の内部において、金属部材に電気的に接続された保護素子がさらに搭載されている。
ワイヤは、半導体素子の電極上にボールボンディングされる第1のワイヤと、さらにその上にボンディングされる第2のワイヤと、を有している。
この半導体装置においては、第1のワイヤのボール部の上において、第1のワイヤ又は第2のワイヤは、略水平に設けられている。また、第1のワイヤの折り返し部及び第2のワイヤは、第1のワイヤのボール部の周縁部上においてボール部との間に空隙を有している。
本実施例の半導体装置においても、ワイヤの接合状態を良好なものとすることができるとともに、ワイヤのボール部近傍における熱を効率よく放熱させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の半導体装置は、半導体素子を搭載することにより、ファクシミリ、コピー機、ハンドスキャナ等における画像読取装置に利用される照明装置のみならず、照明用光源、LEDディスプレイ、携帯電話機等のバックライト光源、信号機、照明式スイッチ、車載用ストップランプ、各種センサおよび各種インジケータ等の種々の照明装置に利用することができる。
また、半導体装置のみならず、IC、メモリ等の種々の半導体装置のワイヤボンディングにおいても広く利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 半導体装置
11 半導体素子
12 金属部材
13 保護素子
14 第1のワイヤ
14a 第1のワイヤのボール部
14b 第1のワイヤの折り返し部
14c 第1のワイヤの平坦部
15 第2のワイヤ
16、17 電極
18 空隙
19 封止樹脂
19a 窓部
A1 第1のボンディング点
B2 第2のボンディング点
C1 第3のボンディング点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層上に設けられた電極上に、ボールボンディングされた第1のワイヤを有し、
該第1のワイヤは、前記電極上に接合されたボール部と、該ボール部から延伸して折り返された折り返し部とを有し、該折り返し部に延伸する部分と該折り返し部から延伸する部分とが前記ボール部上で接触し、
前記ボール部の上で前記第1のワイヤにボンディングされた第2のワイヤを有し、
前記ボール部の周縁部上において、前記第1のワイヤの折り返し部または前記第2のワイヤと前記ボール部との間に空隙を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2のワイヤは、前記第1のワイヤとの間に空隙を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体層上に設けられた電極上に、ボールボンディングされた第1のワイヤを有し、
該第1のワイヤは、前記電極上に接合されたボール部と、該ボール部から延伸して折り返された折り返し部とを有し、該折り返し部に延伸する部分と該折り返し部から延伸する部分とが前記ボール部上で接触し、
前記ボール部の上で前記第1のワイヤにボンディングされた第2のワイヤを有し、
前記ボール部の周縁部上において、前記第1のワイヤの折り返し部と前記第2のワイヤとの間に空隙を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
前記第1のワイヤの前記折り返しから延伸する部分が前記ボール部上で平坦部を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1のワイヤのボール部の上において、前記第1のワイヤ又は第2のワイヤは、水平に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1のワイヤのボール部から延伸するワイヤと前記ボール部との接触面の最も高い位置と最も低い位置との高低差が、前記第1のワイヤの径の2分の1以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体層上に設けられた電極の上に、第1のワイヤをボールボンディングする第1工程と、
前記第1のワイヤのボール部の上に第2のワイヤをボンディングする第2の工程と、を有し、
前記第2の工程において、前記第2のワイヤは、前記第1のワイヤのボール部の中心点上を覆うようにボンディングされることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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