半導体装置及びその製造方法
【課題】上下電極の短絡を防止し、かつ高温環境下であっても優れた接合信頼性を確保した半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体ペレットと、前記半導体ペレット1の一方の面に接合される絶縁シート7と、前記半導体ペレットの他方の面と接合される金属板13と、を備える半導体装置300であって、前記絶縁シートは、前記半導体ペレットにおける外周部よりも突出しており、前記半導体素子の他方の面と、前記金属板とは焼結銀層17を介して接続され、当該焼結銀層は、前記半導体ペレットの他方の面及び側面部を覆って接合されていることを特徴とする。
【解決手段】半導体ペレットと、前記半導体ペレット1の一方の面に接合される絶縁シート7と、前記半導体ペレットの他方の面と接合される金属板13と、を備える半導体装置300であって、前記絶縁シートは、前記半導体ペレットにおける外周部よりも突出しており、前記半導体素子の他方の面と、前記金属板とは焼結銀層17を介して接続され、当該焼結銀層は、前記半導体ペレットの他方の面及び側面部を覆って接合されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、鉄道等に用いられる高耐熱・高信頼な鉛フリーの半導体装置にかかる。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置において、半導体素子は鉛系はんだを用いて固定部材上に固定されていた。しかし、近年環境への影響が考慮され、はんだの鉛フリー対応が迫られている。
【0003】
そこで、高温はんだの代替材料となるナノAg粒子等を用いた半導体装置及び半導体装置の接合方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1では、半導体チップと絶縁基板との接合信頼性を高めるために、接合層に金属コアを用いることによって、ペーストが含有する揮発性有機成分を蒸散させる蒸散経路を確保することによって、接合面全域で未接合部の無い接合が達成されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−10703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した構成では、焼結Agペーストの回り込みによる上下電極の短絡を防止することができない。さらに、上述した構成では、半導体チップと絶縁基板との間に金属コア材を挟んでいるため、温度サイクルの繰り返しによって、クラックが入る可能性がある。さらに、半導体装置が高温環境下で使用される場合、高温下と常温下での温度変化が大きいため、特にクラックが入る可能性が大きくなる。
【0007】
本発明の目的は、上下電極の短絡を防止し、かつ高温環境下であっても優れた接合信頼性を確保した半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における半導体装置は、半導体ペレットと、前記半導体ペレットの一方の面に接合される絶縁シートと、前記半導体ペレットの他方の面と接合される金属板と、を備える半導体装置であって、前記絶縁シートは、前記半導体ペレットにおける外周部よりも突出しており、前記半導体素子の他方の面と、前記金属板とは焼結銀層を介して接続され、当該焼結銀層は、前記半導体ペレットの他方の面及び側面部を覆って接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、上下電極の短絡を防止し、かつ高温環境下であっても優れた接合信頼性を確保した半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)第一の実施形態に係る半導体素子200の上面図を示したものである。(b)は(a)におけるA−Aの断面図である。
【図2】第一の実施例に係る半導体装置の断面図である。
【図3】(a)〜(h)は、第一の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示した図である。
【図4】第二の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図5】第三の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図6】第四の実施形態に係る半導体素子202の上面図を示したものである。(b)は(a)におけるB−Bの断面図である。
【図7】図6の半導体装置202を実装した半導体装置の断面図である。
【図8】第五の実施形態に係る半導体装置の上面図を示したものである。(b)は(a)におけるC−Cの断面図である。
【図9】第六の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図10】第七の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図11】第八の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
《第一の実施形態》
図1は、第一の実施形態にかかる半導体素子200の平面及び断面構造を示すものである。
【0013】
n型の半導体基板2の上部には、SiO2膜6をマスクとしてホウ素を拡散したP型半導体領域5が形成され、最表面が貴金属で構成された金属電極4が形成され、半導体基板2の裏面全面に最表面が貴金属で構成された金属電極3が形成され、半導体ペレット1が構成されている。半導体ペレット1の上面には、パターニングされた金属電極4のサイズより小さい開口部8が形成され、外形が辺の中央領域でペレットサイズより大きく加工されたポリイミドまたはフッ素樹脂の有機絶縁シート7が、アクリル系またはシリコーン系の粘着剤9によって接着されている。有機絶縁シート7のコーナー部は切断されてペレットのコーナーと同サイズの形状となっている。なお、有機絶縁シート7のコーナー部は切断されていなくてもよい。しかし、後述するように、金属電極4に塗布された焼結Agペーストは、圧力がかかることによって同心円状に広がっていくので、絶縁シート7のコーナー部を切断した方が、本発明の効果を維持でき、かつコストを低減することができるので望ましい。
【0014】
図2は、図1の半導体素子200を用いて組み立てたダイオードパッケージ300の断面構造を示したものである。図では、半導体素子200の詳細を省略して描いている。図において、Cuのベース電極部材13とリード電極部材15には、全面に約5μm厚のAgめっきを施している。ベース電極部材13の台座14は逆台形に加工されており、リード電極部材15先端の接合用ヘッド16は、有機絶縁シート12の開口部の中に納まるサイズに加工されている。なお、ここで言う逆台形形状とは、例えば、搭載面と平行に台座14を切断したときの面の面積よりも、半導体ペレット1を搭載する面の面積の方が、大きくなるような形状のことを言う。また、実施形態ではベース電極部材13の周辺部が台座14と同じ高さになっているが、ベース電極部材13の周辺部の高さは、台座14の根元の高さと同じでも問題ない。半導体ペレット1の裏面は、下側のポーラスな焼結Ag17を介してベース電極部材の台座に金属接合されている。焼結Ag17は、半導体ペレット1の側面まで回り込み、有機絶縁シート7で高さが抑えられている。
【0015】
当該半導体ペレット1に設けられた有機絶縁シート7によって、焼結Agペースト170が半導体ペレット1の上面に回り込むことなくダイオードパッケージ300を作成することが可能になる。そのため、半導体ペレット1の上下面が短絡することを防ぐことができる。さらに、有機絶縁シート7によって、半導体ペレット1の裏面部だけでなく側面部についても焼結Ag17で覆うことが可能になり、接合強度が向上するので、高温状況下においても接合信頼性が向上する。
【0016】
半導体ペレット1の上面は上側のポーラスな焼結Ag18によってリード電極部材15の接合用ヘッド16と金属接合されている。焼結Ag18は、有機絶縁シート7の開口部からはみ出して有機絶縁シート7上に拡がっているが、シートサイズより拡がってはいない。ベース電極部材13及びリード電極部材15の一部と、半導体ペレット1を含む接合部はシリカフィラーを混錬したエポキシ樹脂20で封止されている。エポキシ樹脂20とダイオード構成部材の界面のうち面積比率50%以上の領域には金属と接着性に優れるイミド系またはアミドイミド系の有機皮膜19が形成されている。
【0017】
図3(a)〜(h)は、本発明によるダイオードパッケージ300の製造方法を説明する図である。図3(a)において、まずプレーナ型半導体ペレット1の上面に、電極サイズより一回り小さい開口部を有し外形が辺の部分でペレットサイズより大きい有機絶縁シート7を接着する。
【0018】
次に図3(b)に示すように、Agめつきしたベース電極部材13の台座部14で半導体ペレット1を接合する領域に、焼結Agペースト170を、中央部が盛り上がった状態にして供給する。なお、焼結Agペースト170、及び後述する焼結Agペースト180は、粒子径が0.2〜3μmのマイクロAg粒子を70〜94.5wt%含み、合計の金属成分含有量が92〜95wt%で残りが揮発性の有機溶剤と1.0wt%以下の低分子系樹脂から成る焼結Agペーストであって粘度が60〜150Pa・sに調整されている。
【0019】
また、図3(c)に示すように、半導体ペレット1の上面の絶縁シート開口部の電極上に、焼結Agペースト180を中央部が盛り上がった状態にして供給する。
【0020】
続いて、図3(d)に示すように、半導体ペレット1を、ペレットコーナー部の2〜4か所で保持し、ベース電極部材13の焼結Agペースト170上に位置合わせして搭載し、所定荷重を加えて停止するところまで押し込む。
【0021】
次に、図3(e)に示すように、Agめっきしたリード電極部材15を半導体素子200の焼結Agペースト180上に位置合わせして搭載し、所定荷重を加えて停止するところまで押し込む。このとき、焼結Agペースト180はペレット下から押し出されてペレット周辺で盛り上がりつつ周辺に流れ出し、リード電極部材15の接合用ヘッド16下から押し出された焼結Agペースト170も同様にヘッド周辺で盛り上がりつつ周辺に流れ出す。押し出される焼結Agペーストの量が多い位置は各辺の中央部付近で、コーナー部から押し出される焼結Agペーストの量は少ない。これは、粘性のある流動体の拡がり方が同心円状となるためである。また、固形の金属粒子比率が高いと、所定荷重で押し込んだときに金属粒子が互いに接触した状態になって流動性が低下し、それ以上は押し込めない状態になる。
【0022】
この組立て部材を大気雰囲気中で無加圧かつ200〜300℃/0.2〜3.0hの条件で加熱処理を加え、焼結接合して一体化する。すると、図3(f)に示すような状態になる。
【0023】
次に、図3(g)に示すように、ベース電極部材13とリード電極部材15の一部を含む接合用ヘッド16全体に、金属と接着性に優れるイミド系、アミド系、アミドイミド系樹脂いずれかを有機溶剤で低粘度化した液状樹脂を薄く塗布し、加熱硬化処理して有機皮膜19として固着させる。有機皮膜19で半導体ペレット1や、当該半導体ペレット1と接合している接合用ヘッド16、台座14及び焼結Agの剥離を防止することが可能となる。さらにこのとき、硬化レベルは100%ではなく50〜90%程度の硬化状態とすることによって、後述するトランスファーモールドをする際に、有機皮膜19とエポキシ樹脂20の接合をより高められるため、半導体ペレット1と接合用ヘッド16、半導体ペレット1と台座14との接合信頼性が向上する。
【0024】
図3(h)は、有機皮膜19を形成した状態で、当該有機皮膜19を覆った状態でフィラー含有のエポキシ封止樹脂20をトランスファーモールドした様子を示したものである。このとき、エポキシ樹脂20を加熱して硬化処理が、この加熱の際に、有機皮膜19の未硬化分が完全に硬化する。なお、製造工程中、エポキシ樹脂20が硬化するとき、焼結Ag17、18にクラックが入ったり、剥離したりする危険性が最も高い。しかし、本実施例に示すようにベース電極部材13に設けられた台座14を逆台形形状にすることにより、エポキシ樹脂20が硬化する際の圧縮応力が、ダイオードパッケージ300の中心部方向にかけることができる。したがって、本来剥離やクラックを生じさせる原因となる樹脂が硬化する際の応力を、締め付け応力として利用することができるため、接合信頼性の高いダイオードパッケージ300を作成することが可能となる。
【0025】
本実施形態によれば、半導体ペレット1のパターン形成面に電極サイズより小さい開口部を有し外形が辺の領域でペレットサイズより大きい有機絶縁シート7を接着して空間遮蔽物を形成したことにより、半導体ペレット1の上下電極を上下の電極部材に焼結Agペーストで接合する場合に、接合層を厚くするため多量の焼結Agペーストを供給して接合する場合においても、上下電極間が焼結Agで短絡して電気特性不良を発生するということが少なくなり、組立歩留まりの高い鉛フリーの半導体装置とその製造方法を提供できる。
【0026】
また本実施形態によれば、逆台形形状の台座14に半導体ペレット1を搭載し、半導体ペレット1を上下の電極部材に焼結Agペースト170、180で接合した構造体に対して、焼結Ag接合部17、18周辺の領域に金属と接着性に優れる有機皮膜19を形成し、その上から熱硬化性の封止樹脂をモールドした構造としたことにより、封止樹脂の圧縮応力をうまく利用できるため、高湿度環境や高温環境に繰り返し曝されても封止樹脂と下地の構造体とが剥離することが無くなる。また、封止樹脂によって長期に渡って焼結Ag接合部に圧縮力を加え続けられるので、焼結Ag接合部に部材の熱膨張差に起因した熱応力が加わってもクラック等の劣化が生じることが少なくなり、接合信頼性の高い鉛フリーの半導体装置を提供することができる。
【0027】
《第二の実施形態》
図4は、本発明にかかる第二の実施形態によるダイオードパッケージ400の断面構造を示したものである。なお、第一の実施形態で使用しているものと同じものには、第一の実施形態と同じ図面番号を用いている。
【0028】
図4において、Cuのベース電極部材13とリード電極部材15には、全面に約5μm厚のAgめっきを施している。ベース電極部材13の台座14は逆台形に加工されており、リード電極部材15先端の接合用ヘッド16は、半導体ペレット1の上側の電極より小さいサイズに加工されている。半導体ペレット1の裏面は下側のポーラスな焼結Ag17を介してベース電極部材13の台座14に金属接合されている。焼結Ag17は、半導体ペレットの側面まで回り込んでいるが、半導体ペレットの上面の高さを超えてはいない。半導体ペレットの上側の電極はポーラスな焼結Ag17によってリード電極部材15の接合用ヘッド16と金属接合されている。焼結Ag18は、上側中空では電極サイズより横に拡がっている箇所があるが、半導体ペレット1と接しているのは電極領域内に限られている。
【0029】
第一の実施形態と異なる点は、図1と同様の有機絶縁シート12を半導体ペレット1に接着した状態で接合し、接合後に半導体ペレット1から有機絶縁シート12を除去して、有機皮膜19を形成している点である。
【0030】
本実施形態のように、接合後に半導体ペレット1から有機絶縁シート12を除去することによって、第一の実施形態で記載した効果のほかに、有機絶縁シート12の張り出しによる封止樹脂の切り欠け形状を無くすことができる。そのため上下方向の引張に対する封止樹脂の変形が小さくなりかつ破断荷重が増加するため、焼結Ag17、18接合部により高い圧縮力を付与することができてダイオードパッケージ400の熱疲労寿命を延ばすことが可能となる。
【0031】
《第三の実施形態》
図5は、本発明にかかる第三の実施形態によるダイオードパッケージ500の断面構造を示したものである。なお、第一の実施形態で使用しているものと同じものには、第一の実施形態と同じ図面番号を用いている。
【0032】
図5において、Cuのベース電極部材13とリード電極部材15には、全面に約3μm厚のAgめっきを施している。また、ベース電極部材13の台座14は逆台形に加工されている。
【0033】
第一の実施形態と異なる第一の点は、半導体ペレット1と同等サイズで厚さの厚い絶縁遮蔽体112が、半導体ペレット1に形成されている点である。絶縁遮蔽体112は、表面を熱酸化したSiまたはコストの安いアルミナセラミックから成る。接着は200℃以上の耐熱性がある粘着剤で行っている。
【0034】
本実施形態の絶縁遮蔽体112の高さを高くするという構成によって、上下の焼結Ag17、18の短絡を防止しながら、焼結Ag接合層の厚さをより高くすることが可能となり、接合部に発生する熱応力を低減して熱疲労寿命を大幅に延ばすことができる。
【0035】
《第四の実施形態》
図6(a)及び(b)は、本発明にかかる半導体ペレット201の平面及び断面構造を示したものである。図6(a)において、半導体基板21の上部にはトランジスター素子が形成されており、SiO2の絶縁膜25とポリイミドのパッシベーション膜28によって遮断された主電極と制御電極の2つの電極が形成されている。主電極は素子とオーミックコンタクトを取るためのAl電極膜23と、その上に形成された焼結Agの接合性を良くするNi/Au電極膜26から成り、制御電極も同様にAl電極膜24とNi/Au電極膜27から成る。半導体ペレットの上面には、主電極及び制御電極のサイズより小さい開口部48、49を有し、外形がペレットサイズより大きく加工されたポリイミドやポリアミドイミドの絶縁シート29がアクリル系またはシリコーン系の粘着剤30によって接着されている。
【0036】
図7は、図6に示した、絶縁シート29を張り付けた半導体ペレット201を用いて組み立てた本発明によるトランジスターパッケージ600の一実施例を示す。図において、Cuのダイパッド38上のペレット接合領域には約5μm厚さのAgめっき膜39が形成され、その上に半導体基板21の裏面電極22がポーラスな焼結Ag43によって接合されている。Cuの主電極リード40には主電極33と接合する領域に約5μm厚のAgめっき膜41が施されてポーラスな焼結Ag44によって接合されている。半導体ペレット201の上面に接着された絶縁シート29は、ダイパッド側の焼結Agがペレット上面に回り込む現象を防ぎ、同時に主電極上の焼結Agが流れ出して制御電極と短絡する現象を防いでいる。さらに、当該絶縁シート29を有することによって、半導体ペレット201の側面部まで焼結Agで覆うことが可能になるため、半導体素子202とダイパッド38との接合強度を十分確保できるため、接合信頼性が向上した半導体装置を提供することが可能となる。
【0037】
Cuの制御電極リード42は、Alワイヤ45で半導体基板21上の制御電極34と電気的に接続されている。ダイパッド38や主電極リード40を含めて焼結Agで接合した領域には金属と接着性に優れた有機皮膜46が形成されており、半導体素子202と焼結Ag接合部とAlワイヤ45の全体及びダイパッド38と主電極リードと制御電極リード42の一部を覆うようにシリカフィラーを混入した熱硬化性のエポキシ樹脂47で封止している。
【0038】
本実施例によれば、半導体ペレット201の裏面電極21と主電極を流動性があり樹脂やSiにも濡れる焼結Agペーストを使ってダイパッド38やリード部材と接合しているが、絶縁シート29を使って焼結Agによる電極間の短絡現象を防ぐことができ、焼結Agの電気及び熱伝導特性が錫や鉛を主体とする半田材料より優れていることから、組立歩留まりが高くかつ電力損失が小さく、高温や高湿度や繰返し温度変動する環境に強い高信頼な鉛フリーの半導体装置を提供できる。また、上述したように、当該絶縁シート29によって、半導体ペレット201の側面部まで焼結Agで覆うことが可能になるため、高温環境下においても、接合信頼性を十分に確保した半導体装置を提供することが可能となる。
【0039】
《第五の実施形態》
図8(a)及び(b)は、上述した実施形態で説明した半導体素子を実装した半導体装置の一実施形態を示す。図8(a)及び(b)において、トランジスター基板51には裏面電極52と主電極54と制御電極53が形成され、半導体基板51における主電極54が形成された面側には、主電極54と制御電極53を囲うように絶縁層55が形成され、トランジスターペレット301が構成されている。また、主電極側の半導体基板面には、主電極53及び制御電極54部にそれらサイズより小さい開口部が形成され、外形の少なくとも辺の領域が半導体基板サイズより大きい絶縁性のポリイミドからなる絶縁シート56が接着されている。また、ダイオード基板57には全面に金属膜が形成された裏面電極58と周囲に絶縁領域60を形成したパターン電極59が形成されてダイオードペレット401が構成されており、パターン電極59側の半導体基板面にはパターン電極59のサイズより小さい開口部を有し、外形の少なくとも辺の領域が半導体基板サイズより大きい絶縁性のポリイミドからなる絶縁シート61が接着されている。セラミック基板62の裏面にはセラミック基板サイズより一回り小さいCuパターン66が形成され、上面には制御電極用と主電極用とベース電極用の3つのCuパターン63、64、65が形成され、セラミック配線基板が構成されている。セラミック配線基板の各Cuパターン表面には、無電解Ni/フラッシュAuめっきが施されている。ベース電極用Cuパターン63、64、65にはトランジスターペレット301とダイオードペレット401がポーラス構造を有する焼結Ag71、73で金属接合され、ペレット側面の焼結Agペーストの這い上がりはポリイミドからなる絶縁シート56、61で各ペレット上面の高さ以下となるように抑えられている。
【0040】
トランジスターペレット301の主電極54及び、ダイオードペレット401のパターン電極59は、上側に配置されたAgめっきリード70に焼結Ag72、74で金属的に接合され、Agめっきリード70はセラミック配線基板の主電極Cuパターン64に焼結Agで接合されている。トランジスターペレット301の制御電極53とセラミック配線基板の制御電極Cuパターン65は、Alボンディングワイヤ76で接続されている。セラミック配線基板の上面の3つのCuパターンには、外部導出用のCuリード67、68、69が超音波接合されており、各Cuリード及びセラミック配線基板の一部を除いて全体を熱硬化性の封止樹脂76でモールドしている。セラミック配線基板の熱膨張率は各板厚を最適化して5〜10ppmの範囲になるよう調整しており、封止樹脂の熱膨張率は低熱膨張率のフィラーを混ぜて10〜17ppmの範囲で調整している。Agめっきリード70は、低熱膨張の金属繊維あるいは炭素繊維を複合化して面内方向の熱膨張率を10ppm以下に小さくしたCu板で構成している。焼結Ag接合部は、直径0.5〜2.0μmのAg粒子を92.5〜94.3wt%含有する焼結Agペーストを無加圧条件で250℃に加熱・焼結して形成した組織で、空孔率が30〜50vol%の網目状構造となっており、弾性率が10MPa以下の物性となっている。また、絶縁シート56、61の構成により、トランジスターパッケージ301及びダイオードパッケージ401の側面部は、上面電極と短絡することなく、それぞれを焼結Ag71、73で覆うことが可能となる。そのため、接合信頼性が向上することが可能となる。
【0041】
以上、本実施形態によれば、トランジスターやダイオードの主電流が流れる電極と配線部材をポーラスな焼結Agによって広い面積で金属接合しているため、接合信頼性向上という効果に加え、モジュール実装部の電力損失を最小限まで小さくすることが可能となり、高効率な半導体装置を提供できる。
【0042】
《第六の実施形態》
図9は、実施形態1に記載した半導体素子を、ゲルを用いて封止した半導体装置の一実施形態を示す。図9において、熱膨張率を10ppm以下に下げた放熱板94と、内部にNiめっきCuリード96、97を埋設した熱可塑性樹脂の筐体95が接着されてモジュールケースが構成されている。セラミック絶縁基板84の上下に形成されたCuパターン85、86、87から成るセラミック配線基板は、Cuパターン87を下側として、放熱板94にSn、Ag、Cuを主要構成元素とする鉛フリーはんだ81で接合されている。セラミック配線基板のベース電極用Cuパターン85には、ポリアミドイミドから成る絶縁シート83が接着された半導体ペレット81が空孔率20〜40vol%のポーラスな焼結Ag89でダイボンディングされ、半導体ペレット81の上側の主電極82と金属リード88及び金属リード88と主電極用Cuパターン86が焼結Ag90、92で金属的に接合されている。主電極用Cuパターン86とNiめっきCuリード97はCuボンディングワイヤ99で接続され、ベース電極用Cuパターン85とNiめっきCuリード96はCuボンディングワイヤ98で接続されている。焼結Agで接合した領域は、熱硬化性のエポキシ樹脂91、93で部分的にポッティングで封止し、モジュールケース内全体を覆うようにシリコーンゲル100で覆っている。最終的にはモジュールケースの上部に樹脂製の蓋を被せて、モジュールが完成する。
【0043】
以上、本実施形態によれば、樹脂のモジュールケースを使い、主にゲルで封止した従来構造のパワーモジュールであっても、接続信頼性が高く、かつ鉛フリーのパワーモジュールを作製でき、低コストで環境に優しい半導体装置を提供できる。
【0044】
《第七の実施形態》
図10は、本実施形態による半導体装置の他の実施例を示す。図10において、Cuのベース電極部材126とリード電極部材128には、全面に約3μm厚のAgめっきを施している。ベース電極部材128の台座127は逆台形に加工されており、リード電極部材128先端の接合用ヘッド129は、有機絶縁シート125の開口部の中に納まるサイズに加工されている。ダイオードチップ121の下面に形成された裏面電極122は、下側のポーラスな焼結Ag130を介してベース電極部材126の台座に金属接合されている。ポーラスな焼結Ag130は、ダイオードペレット124の側面を這い上がって有機絶縁シート125まで達しているが、有機絶縁シート125によって、ダイオードペレット124の上面電極への焼結Agの回り込みが抑えられている。そのため、半導体装置作成時における上下電極の短絡を、確実に防止することが可能となる。ダイオードペレット124の上面のパターン電極123は上側のポーラスな焼結Ag132によってリード電極部材128と金属接合されている。焼結Ag132は、有機絶縁シート125の開口部からはみ出して有機絶縁シート125上に拡がっているが、シート面内から漏れ出すことは無い。
【0045】
ベース電極部材126及びリード電極部材128の一部と、ダイオードペレット124を含む接合部には金属と接着性に優れるポリイミド樹脂を塗布・硬化処理して有機皮膜134を形成している。また、有機皮膜を形成した領域を覆うようにシリカフィラーを混錬した低熱膨張のエポキシ樹脂135がモールドされ硬化処理されている。
【0046】
本実施形態が第一の実施形態と異なる点は、上下の焼結Ag130、132中には、Cu粒子に約3μm厚のAgめっきを施した大径サイズの導電性粒子131、133を10〜50wt%ほど混在させている点である。当該構成によって、接合信頼性を確保しつつ、高価なAgペーストの使用量を抑えることが可能となる。
【0047】
本実施形態によれば、焼結Agの中に貴金属でない導電性粒子を混入した構造としたため、高価なAgの使用量を少なくして厚い接合層で実装することが可能となり、接合信頼性を確保しつつも、半導体装置の実装コストを低減できる効果がある。
【0048】
《第八の実施形態》
図11は、本発明による半導体装置の他の実施例を示す。なお、本実施形態の説明において、第七の実施形態と同じ構成については同様の図面番号を用いている。
【0049】
図10において、Cuのベース電極部材126とリード電極部材128には、全面に約5μm厚のAgめっきを施している。
【0050】
第七の実施形態と異なる点は、半導体ペレット124とベース電極部材126の台座127との間には、熱膨張率が5〜11ppmの範囲の材料で中央付近に開口部を有する貴金属めっきされた応力緩衝板149が配置されている点である。また、応力緩衝板149の中央開口部には、接合材のポーラスな焼結Ag130が充填されている。
【0051】
以上、本実施形態によれば、半導体ペレットとベース電極部材の間に低熱膨張部材を挿入して焼結Agの接合厚さを薄くし、低熱膨張部材の内部は電気及び熱伝導性に優れる焼結Agで埋めているので、焼結Ag接合部に発生する熱応力を低減できしかも電気・熱伝導性を高く維持できるので、接合信頼性を確保しつつも電力損失の少ないダイオードパッケージを提供できる。同時に、接合材の融点が高いことから高温信頼性も高くできる。
【符号の説明】
【0052】
1 半導体ペレット
7 有機絶縁シート
13 ベース電極部材
14 台座
15 リード電極部材
16 接合用ヘッド
17、18 焼結Ag
19 有機皮膜
20 エポキシ樹脂
300 ダイオードパッケージ
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、鉄道等に用いられる高耐熱・高信頼な鉛フリーの半導体装置にかかる。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置において、半導体素子は鉛系はんだを用いて固定部材上に固定されていた。しかし、近年環境への影響が考慮され、はんだの鉛フリー対応が迫られている。
【0003】
そこで、高温はんだの代替材料となるナノAg粒子等を用いた半導体装置及び半導体装置の接合方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1では、半導体チップと絶縁基板との接合信頼性を高めるために、接合層に金属コアを用いることによって、ペーストが含有する揮発性有機成分を蒸散させる蒸散経路を確保することによって、接合面全域で未接合部の無い接合が達成されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−10703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した構成では、焼結Agペーストの回り込みによる上下電極の短絡を防止することができない。さらに、上述した構成では、半導体チップと絶縁基板との間に金属コア材を挟んでいるため、温度サイクルの繰り返しによって、クラックが入る可能性がある。さらに、半導体装置が高温環境下で使用される場合、高温下と常温下での温度変化が大きいため、特にクラックが入る可能性が大きくなる。
【0007】
本発明の目的は、上下電極の短絡を防止し、かつ高温環境下であっても優れた接合信頼性を確保した半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における半導体装置は、半導体ペレットと、前記半導体ペレットの一方の面に接合される絶縁シートと、前記半導体ペレットの他方の面と接合される金属板と、を備える半導体装置であって、前記絶縁シートは、前記半導体ペレットにおける外周部よりも突出しており、前記半導体素子の他方の面と、前記金属板とは焼結銀層を介して接続され、当該焼結銀層は、前記半導体ペレットの他方の面及び側面部を覆って接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、上下電極の短絡を防止し、かつ高温環境下であっても優れた接合信頼性を確保した半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)第一の実施形態に係る半導体素子200の上面図を示したものである。(b)は(a)におけるA−Aの断面図である。
【図2】第一の実施例に係る半導体装置の断面図である。
【図3】(a)〜(h)は、第一の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示した図である。
【図4】第二の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図5】第三の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図6】第四の実施形態に係る半導体素子202の上面図を示したものである。(b)は(a)におけるB−Bの断面図である。
【図7】図6の半導体装置202を実装した半導体装置の断面図である。
【図8】第五の実施形態に係る半導体装置の上面図を示したものである。(b)は(a)におけるC−Cの断面図である。
【図9】第六の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図10】第七の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【図11】第八の実施形態に係る半導体装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
《第一の実施形態》
図1は、第一の実施形態にかかる半導体素子200の平面及び断面構造を示すものである。
【0013】
n型の半導体基板2の上部には、SiO2膜6をマスクとしてホウ素を拡散したP型半導体領域5が形成され、最表面が貴金属で構成された金属電極4が形成され、半導体基板2の裏面全面に最表面が貴金属で構成された金属電極3が形成され、半導体ペレット1が構成されている。半導体ペレット1の上面には、パターニングされた金属電極4のサイズより小さい開口部8が形成され、外形が辺の中央領域でペレットサイズより大きく加工されたポリイミドまたはフッ素樹脂の有機絶縁シート7が、アクリル系またはシリコーン系の粘着剤9によって接着されている。有機絶縁シート7のコーナー部は切断されてペレットのコーナーと同サイズの形状となっている。なお、有機絶縁シート7のコーナー部は切断されていなくてもよい。しかし、後述するように、金属電極4に塗布された焼結Agペーストは、圧力がかかることによって同心円状に広がっていくので、絶縁シート7のコーナー部を切断した方が、本発明の効果を維持でき、かつコストを低減することができるので望ましい。
【0014】
図2は、図1の半導体素子200を用いて組み立てたダイオードパッケージ300の断面構造を示したものである。図では、半導体素子200の詳細を省略して描いている。図において、Cuのベース電極部材13とリード電極部材15には、全面に約5μm厚のAgめっきを施している。ベース電極部材13の台座14は逆台形に加工されており、リード電極部材15先端の接合用ヘッド16は、有機絶縁シート12の開口部の中に納まるサイズに加工されている。なお、ここで言う逆台形形状とは、例えば、搭載面と平行に台座14を切断したときの面の面積よりも、半導体ペレット1を搭載する面の面積の方が、大きくなるような形状のことを言う。また、実施形態ではベース電極部材13の周辺部が台座14と同じ高さになっているが、ベース電極部材13の周辺部の高さは、台座14の根元の高さと同じでも問題ない。半導体ペレット1の裏面は、下側のポーラスな焼結Ag17を介してベース電極部材の台座に金属接合されている。焼結Ag17は、半導体ペレット1の側面まで回り込み、有機絶縁シート7で高さが抑えられている。
【0015】
当該半導体ペレット1に設けられた有機絶縁シート7によって、焼結Agペースト170が半導体ペレット1の上面に回り込むことなくダイオードパッケージ300を作成することが可能になる。そのため、半導体ペレット1の上下面が短絡することを防ぐことができる。さらに、有機絶縁シート7によって、半導体ペレット1の裏面部だけでなく側面部についても焼結Ag17で覆うことが可能になり、接合強度が向上するので、高温状況下においても接合信頼性が向上する。
【0016】
半導体ペレット1の上面は上側のポーラスな焼結Ag18によってリード電極部材15の接合用ヘッド16と金属接合されている。焼結Ag18は、有機絶縁シート7の開口部からはみ出して有機絶縁シート7上に拡がっているが、シートサイズより拡がってはいない。ベース電極部材13及びリード電極部材15の一部と、半導体ペレット1を含む接合部はシリカフィラーを混錬したエポキシ樹脂20で封止されている。エポキシ樹脂20とダイオード構成部材の界面のうち面積比率50%以上の領域には金属と接着性に優れるイミド系またはアミドイミド系の有機皮膜19が形成されている。
【0017】
図3(a)〜(h)は、本発明によるダイオードパッケージ300の製造方法を説明する図である。図3(a)において、まずプレーナ型半導体ペレット1の上面に、電極サイズより一回り小さい開口部を有し外形が辺の部分でペレットサイズより大きい有機絶縁シート7を接着する。
【0018】
次に図3(b)に示すように、Agめつきしたベース電極部材13の台座部14で半導体ペレット1を接合する領域に、焼結Agペースト170を、中央部が盛り上がった状態にして供給する。なお、焼結Agペースト170、及び後述する焼結Agペースト180は、粒子径が0.2〜3μmのマイクロAg粒子を70〜94.5wt%含み、合計の金属成分含有量が92〜95wt%で残りが揮発性の有機溶剤と1.0wt%以下の低分子系樹脂から成る焼結Agペーストであって粘度が60〜150Pa・sに調整されている。
【0019】
また、図3(c)に示すように、半導体ペレット1の上面の絶縁シート開口部の電極上に、焼結Agペースト180を中央部が盛り上がった状態にして供給する。
【0020】
続いて、図3(d)に示すように、半導体ペレット1を、ペレットコーナー部の2〜4か所で保持し、ベース電極部材13の焼結Agペースト170上に位置合わせして搭載し、所定荷重を加えて停止するところまで押し込む。
【0021】
次に、図3(e)に示すように、Agめっきしたリード電極部材15を半導体素子200の焼結Agペースト180上に位置合わせして搭載し、所定荷重を加えて停止するところまで押し込む。このとき、焼結Agペースト180はペレット下から押し出されてペレット周辺で盛り上がりつつ周辺に流れ出し、リード電極部材15の接合用ヘッド16下から押し出された焼結Agペースト170も同様にヘッド周辺で盛り上がりつつ周辺に流れ出す。押し出される焼結Agペーストの量が多い位置は各辺の中央部付近で、コーナー部から押し出される焼結Agペーストの量は少ない。これは、粘性のある流動体の拡がり方が同心円状となるためである。また、固形の金属粒子比率が高いと、所定荷重で押し込んだときに金属粒子が互いに接触した状態になって流動性が低下し、それ以上は押し込めない状態になる。
【0022】
この組立て部材を大気雰囲気中で無加圧かつ200〜300℃/0.2〜3.0hの条件で加熱処理を加え、焼結接合して一体化する。すると、図3(f)に示すような状態になる。
【0023】
次に、図3(g)に示すように、ベース電極部材13とリード電極部材15の一部を含む接合用ヘッド16全体に、金属と接着性に優れるイミド系、アミド系、アミドイミド系樹脂いずれかを有機溶剤で低粘度化した液状樹脂を薄く塗布し、加熱硬化処理して有機皮膜19として固着させる。有機皮膜19で半導体ペレット1や、当該半導体ペレット1と接合している接合用ヘッド16、台座14及び焼結Agの剥離を防止することが可能となる。さらにこのとき、硬化レベルは100%ではなく50〜90%程度の硬化状態とすることによって、後述するトランスファーモールドをする際に、有機皮膜19とエポキシ樹脂20の接合をより高められるため、半導体ペレット1と接合用ヘッド16、半導体ペレット1と台座14との接合信頼性が向上する。
【0024】
図3(h)は、有機皮膜19を形成した状態で、当該有機皮膜19を覆った状態でフィラー含有のエポキシ封止樹脂20をトランスファーモールドした様子を示したものである。このとき、エポキシ樹脂20を加熱して硬化処理が、この加熱の際に、有機皮膜19の未硬化分が完全に硬化する。なお、製造工程中、エポキシ樹脂20が硬化するとき、焼結Ag17、18にクラックが入ったり、剥離したりする危険性が最も高い。しかし、本実施例に示すようにベース電極部材13に設けられた台座14を逆台形形状にすることにより、エポキシ樹脂20が硬化する際の圧縮応力が、ダイオードパッケージ300の中心部方向にかけることができる。したがって、本来剥離やクラックを生じさせる原因となる樹脂が硬化する際の応力を、締め付け応力として利用することができるため、接合信頼性の高いダイオードパッケージ300を作成することが可能となる。
【0025】
本実施形態によれば、半導体ペレット1のパターン形成面に電極サイズより小さい開口部を有し外形が辺の領域でペレットサイズより大きい有機絶縁シート7を接着して空間遮蔽物を形成したことにより、半導体ペレット1の上下電極を上下の電極部材に焼結Agペーストで接合する場合に、接合層を厚くするため多量の焼結Agペーストを供給して接合する場合においても、上下電極間が焼結Agで短絡して電気特性不良を発生するということが少なくなり、組立歩留まりの高い鉛フリーの半導体装置とその製造方法を提供できる。
【0026】
また本実施形態によれば、逆台形形状の台座14に半導体ペレット1を搭載し、半導体ペレット1を上下の電極部材に焼結Agペースト170、180で接合した構造体に対して、焼結Ag接合部17、18周辺の領域に金属と接着性に優れる有機皮膜19を形成し、その上から熱硬化性の封止樹脂をモールドした構造としたことにより、封止樹脂の圧縮応力をうまく利用できるため、高湿度環境や高温環境に繰り返し曝されても封止樹脂と下地の構造体とが剥離することが無くなる。また、封止樹脂によって長期に渡って焼結Ag接合部に圧縮力を加え続けられるので、焼結Ag接合部に部材の熱膨張差に起因した熱応力が加わってもクラック等の劣化が生じることが少なくなり、接合信頼性の高い鉛フリーの半導体装置を提供することができる。
【0027】
《第二の実施形態》
図4は、本発明にかかる第二の実施形態によるダイオードパッケージ400の断面構造を示したものである。なお、第一の実施形態で使用しているものと同じものには、第一の実施形態と同じ図面番号を用いている。
【0028】
図4において、Cuのベース電極部材13とリード電極部材15には、全面に約5μm厚のAgめっきを施している。ベース電極部材13の台座14は逆台形に加工されており、リード電極部材15先端の接合用ヘッド16は、半導体ペレット1の上側の電極より小さいサイズに加工されている。半導体ペレット1の裏面は下側のポーラスな焼結Ag17を介してベース電極部材13の台座14に金属接合されている。焼結Ag17は、半導体ペレットの側面まで回り込んでいるが、半導体ペレットの上面の高さを超えてはいない。半導体ペレットの上側の電極はポーラスな焼結Ag17によってリード電極部材15の接合用ヘッド16と金属接合されている。焼結Ag18は、上側中空では電極サイズより横に拡がっている箇所があるが、半導体ペレット1と接しているのは電極領域内に限られている。
【0029】
第一の実施形態と異なる点は、図1と同様の有機絶縁シート12を半導体ペレット1に接着した状態で接合し、接合後に半導体ペレット1から有機絶縁シート12を除去して、有機皮膜19を形成している点である。
【0030】
本実施形態のように、接合後に半導体ペレット1から有機絶縁シート12を除去することによって、第一の実施形態で記載した効果のほかに、有機絶縁シート12の張り出しによる封止樹脂の切り欠け形状を無くすことができる。そのため上下方向の引張に対する封止樹脂の変形が小さくなりかつ破断荷重が増加するため、焼結Ag17、18接合部により高い圧縮力を付与することができてダイオードパッケージ400の熱疲労寿命を延ばすことが可能となる。
【0031】
《第三の実施形態》
図5は、本発明にかかる第三の実施形態によるダイオードパッケージ500の断面構造を示したものである。なお、第一の実施形態で使用しているものと同じものには、第一の実施形態と同じ図面番号を用いている。
【0032】
図5において、Cuのベース電極部材13とリード電極部材15には、全面に約3μm厚のAgめっきを施している。また、ベース電極部材13の台座14は逆台形に加工されている。
【0033】
第一の実施形態と異なる第一の点は、半導体ペレット1と同等サイズで厚さの厚い絶縁遮蔽体112が、半導体ペレット1に形成されている点である。絶縁遮蔽体112は、表面を熱酸化したSiまたはコストの安いアルミナセラミックから成る。接着は200℃以上の耐熱性がある粘着剤で行っている。
【0034】
本実施形態の絶縁遮蔽体112の高さを高くするという構成によって、上下の焼結Ag17、18の短絡を防止しながら、焼結Ag接合層の厚さをより高くすることが可能となり、接合部に発生する熱応力を低減して熱疲労寿命を大幅に延ばすことができる。
【0035】
《第四の実施形態》
図6(a)及び(b)は、本発明にかかる半導体ペレット201の平面及び断面構造を示したものである。図6(a)において、半導体基板21の上部にはトランジスター素子が形成されており、SiO2の絶縁膜25とポリイミドのパッシベーション膜28によって遮断された主電極と制御電極の2つの電極が形成されている。主電極は素子とオーミックコンタクトを取るためのAl電極膜23と、その上に形成された焼結Agの接合性を良くするNi/Au電極膜26から成り、制御電極も同様にAl電極膜24とNi/Au電極膜27から成る。半導体ペレットの上面には、主電極及び制御電極のサイズより小さい開口部48、49を有し、外形がペレットサイズより大きく加工されたポリイミドやポリアミドイミドの絶縁シート29がアクリル系またはシリコーン系の粘着剤30によって接着されている。
【0036】
図7は、図6に示した、絶縁シート29を張り付けた半導体ペレット201を用いて組み立てた本発明によるトランジスターパッケージ600の一実施例を示す。図において、Cuのダイパッド38上のペレット接合領域には約5μm厚さのAgめっき膜39が形成され、その上に半導体基板21の裏面電極22がポーラスな焼結Ag43によって接合されている。Cuの主電極リード40には主電極33と接合する領域に約5μm厚のAgめっき膜41が施されてポーラスな焼結Ag44によって接合されている。半導体ペレット201の上面に接着された絶縁シート29は、ダイパッド側の焼結Agがペレット上面に回り込む現象を防ぎ、同時に主電極上の焼結Agが流れ出して制御電極と短絡する現象を防いでいる。さらに、当該絶縁シート29を有することによって、半導体ペレット201の側面部まで焼結Agで覆うことが可能になるため、半導体素子202とダイパッド38との接合強度を十分確保できるため、接合信頼性が向上した半導体装置を提供することが可能となる。
【0037】
Cuの制御電極リード42は、Alワイヤ45で半導体基板21上の制御電極34と電気的に接続されている。ダイパッド38や主電極リード40を含めて焼結Agで接合した領域には金属と接着性に優れた有機皮膜46が形成されており、半導体素子202と焼結Ag接合部とAlワイヤ45の全体及びダイパッド38と主電極リードと制御電極リード42の一部を覆うようにシリカフィラーを混入した熱硬化性のエポキシ樹脂47で封止している。
【0038】
本実施例によれば、半導体ペレット201の裏面電極21と主電極を流動性があり樹脂やSiにも濡れる焼結Agペーストを使ってダイパッド38やリード部材と接合しているが、絶縁シート29を使って焼結Agによる電極間の短絡現象を防ぐことができ、焼結Agの電気及び熱伝導特性が錫や鉛を主体とする半田材料より優れていることから、組立歩留まりが高くかつ電力損失が小さく、高温や高湿度や繰返し温度変動する環境に強い高信頼な鉛フリーの半導体装置を提供できる。また、上述したように、当該絶縁シート29によって、半導体ペレット201の側面部まで焼結Agで覆うことが可能になるため、高温環境下においても、接合信頼性を十分に確保した半導体装置を提供することが可能となる。
【0039】
《第五の実施形態》
図8(a)及び(b)は、上述した実施形態で説明した半導体素子を実装した半導体装置の一実施形態を示す。図8(a)及び(b)において、トランジスター基板51には裏面電極52と主電極54と制御電極53が形成され、半導体基板51における主電極54が形成された面側には、主電極54と制御電極53を囲うように絶縁層55が形成され、トランジスターペレット301が構成されている。また、主電極側の半導体基板面には、主電極53及び制御電極54部にそれらサイズより小さい開口部が形成され、外形の少なくとも辺の領域が半導体基板サイズより大きい絶縁性のポリイミドからなる絶縁シート56が接着されている。また、ダイオード基板57には全面に金属膜が形成された裏面電極58と周囲に絶縁領域60を形成したパターン電極59が形成されてダイオードペレット401が構成されており、パターン電極59側の半導体基板面にはパターン電極59のサイズより小さい開口部を有し、外形の少なくとも辺の領域が半導体基板サイズより大きい絶縁性のポリイミドからなる絶縁シート61が接着されている。セラミック基板62の裏面にはセラミック基板サイズより一回り小さいCuパターン66が形成され、上面には制御電極用と主電極用とベース電極用の3つのCuパターン63、64、65が形成され、セラミック配線基板が構成されている。セラミック配線基板の各Cuパターン表面には、無電解Ni/フラッシュAuめっきが施されている。ベース電極用Cuパターン63、64、65にはトランジスターペレット301とダイオードペレット401がポーラス構造を有する焼結Ag71、73で金属接合され、ペレット側面の焼結Agペーストの這い上がりはポリイミドからなる絶縁シート56、61で各ペレット上面の高さ以下となるように抑えられている。
【0040】
トランジスターペレット301の主電極54及び、ダイオードペレット401のパターン電極59は、上側に配置されたAgめっきリード70に焼結Ag72、74で金属的に接合され、Agめっきリード70はセラミック配線基板の主電極Cuパターン64に焼結Agで接合されている。トランジスターペレット301の制御電極53とセラミック配線基板の制御電極Cuパターン65は、Alボンディングワイヤ76で接続されている。セラミック配線基板の上面の3つのCuパターンには、外部導出用のCuリード67、68、69が超音波接合されており、各Cuリード及びセラミック配線基板の一部を除いて全体を熱硬化性の封止樹脂76でモールドしている。セラミック配線基板の熱膨張率は各板厚を最適化して5〜10ppmの範囲になるよう調整しており、封止樹脂の熱膨張率は低熱膨張率のフィラーを混ぜて10〜17ppmの範囲で調整している。Agめっきリード70は、低熱膨張の金属繊維あるいは炭素繊維を複合化して面内方向の熱膨張率を10ppm以下に小さくしたCu板で構成している。焼結Ag接合部は、直径0.5〜2.0μmのAg粒子を92.5〜94.3wt%含有する焼結Agペーストを無加圧条件で250℃に加熱・焼結して形成した組織で、空孔率が30〜50vol%の網目状構造となっており、弾性率が10MPa以下の物性となっている。また、絶縁シート56、61の構成により、トランジスターパッケージ301及びダイオードパッケージ401の側面部は、上面電極と短絡することなく、それぞれを焼結Ag71、73で覆うことが可能となる。そのため、接合信頼性が向上することが可能となる。
【0041】
以上、本実施形態によれば、トランジスターやダイオードの主電流が流れる電極と配線部材をポーラスな焼結Agによって広い面積で金属接合しているため、接合信頼性向上という効果に加え、モジュール実装部の電力損失を最小限まで小さくすることが可能となり、高効率な半導体装置を提供できる。
【0042】
《第六の実施形態》
図9は、実施形態1に記載した半導体素子を、ゲルを用いて封止した半導体装置の一実施形態を示す。図9において、熱膨張率を10ppm以下に下げた放熱板94と、内部にNiめっきCuリード96、97を埋設した熱可塑性樹脂の筐体95が接着されてモジュールケースが構成されている。セラミック絶縁基板84の上下に形成されたCuパターン85、86、87から成るセラミック配線基板は、Cuパターン87を下側として、放熱板94にSn、Ag、Cuを主要構成元素とする鉛フリーはんだ81で接合されている。セラミック配線基板のベース電極用Cuパターン85には、ポリアミドイミドから成る絶縁シート83が接着された半導体ペレット81が空孔率20〜40vol%のポーラスな焼結Ag89でダイボンディングされ、半導体ペレット81の上側の主電極82と金属リード88及び金属リード88と主電極用Cuパターン86が焼結Ag90、92で金属的に接合されている。主電極用Cuパターン86とNiめっきCuリード97はCuボンディングワイヤ99で接続され、ベース電極用Cuパターン85とNiめっきCuリード96はCuボンディングワイヤ98で接続されている。焼結Agで接合した領域は、熱硬化性のエポキシ樹脂91、93で部分的にポッティングで封止し、モジュールケース内全体を覆うようにシリコーンゲル100で覆っている。最終的にはモジュールケースの上部に樹脂製の蓋を被せて、モジュールが完成する。
【0043】
以上、本実施形態によれば、樹脂のモジュールケースを使い、主にゲルで封止した従来構造のパワーモジュールであっても、接続信頼性が高く、かつ鉛フリーのパワーモジュールを作製でき、低コストで環境に優しい半導体装置を提供できる。
【0044】
《第七の実施形態》
図10は、本実施形態による半導体装置の他の実施例を示す。図10において、Cuのベース電極部材126とリード電極部材128には、全面に約3μm厚のAgめっきを施している。ベース電極部材128の台座127は逆台形に加工されており、リード電極部材128先端の接合用ヘッド129は、有機絶縁シート125の開口部の中に納まるサイズに加工されている。ダイオードチップ121の下面に形成された裏面電極122は、下側のポーラスな焼結Ag130を介してベース電極部材126の台座に金属接合されている。ポーラスな焼結Ag130は、ダイオードペレット124の側面を這い上がって有機絶縁シート125まで達しているが、有機絶縁シート125によって、ダイオードペレット124の上面電極への焼結Agの回り込みが抑えられている。そのため、半導体装置作成時における上下電極の短絡を、確実に防止することが可能となる。ダイオードペレット124の上面のパターン電極123は上側のポーラスな焼結Ag132によってリード電極部材128と金属接合されている。焼結Ag132は、有機絶縁シート125の開口部からはみ出して有機絶縁シート125上に拡がっているが、シート面内から漏れ出すことは無い。
【0045】
ベース電極部材126及びリード電極部材128の一部と、ダイオードペレット124を含む接合部には金属と接着性に優れるポリイミド樹脂を塗布・硬化処理して有機皮膜134を形成している。また、有機皮膜を形成した領域を覆うようにシリカフィラーを混錬した低熱膨張のエポキシ樹脂135がモールドされ硬化処理されている。
【0046】
本実施形態が第一の実施形態と異なる点は、上下の焼結Ag130、132中には、Cu粒子に約3μm厚のAgめっきを施した大径サイズの導電性粒子131、133を10〜50wt%ほど混在させている点である。当該構成によって、接合信頼性を確保しつつ、高価なAgペーストの使用量を抑えることが可能となる。
【0047】
本実施形態によれば、焼結Agの中に貴金属でない導電性粒子を混入した構造としたため、高価なAgの使用量を少なくして厚い接合層で実装することが可能となり、接合信頼性を確保しつつも、半導体装置の実装コストを低減できる効果がある。
【0048】
《第八の実施形態》
図11は、本発明による半導体装置の他の実施例を示す。なお、本実施形態の説明において、第七の実施形態と同じ構成については同様の図面番号を用いている。
【0049】
図10において、Cuのベース電極部材126とリード電極部材128には、全面に約5μm厚のAgめっきを施している。
【0050】
第七の実施形態と異なる点は、半導体ペレット124とベース電極部材126の台座127との間には、熱膨張率が5〜11ppmの範囲の材料で中央付近に開口部を有する貴金属めっきされた応力緩衝板149が配置されている点である。また、応力緩衝板149の中央開口部には、接合材のポーラスな焼結Ag130が充填されている。
【0051】
以上、本実施形態によれば、半導体ペレットとベース電極部材の間に低熱膨張部材を挿入して焼結Agの接合厚さを薄くし、低熱膨張部材の内部は電気及び熱伝導性に優れる焼結Agで埋めているので、焼結Ag接合部に発生する熱応力を低減できしかも電気・熱伝導性を高く維持できるので、接合信頼性を確保しつつも電力損失の少ないダイオードパッケージを提供できる。同時に、接合材の融点が高いことから高温信頼性も高くできる。
【符号の説明】
【0052】
1 半導体ペレット
7 有機絶縁シート
13 ベース電極部材
14 台座
15 リード電極部材
16 接合用ヘッド
17、18 焼結Ag
19 有機皮膜
20 エポキシ樹脂
300 ダイオードパッケージ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ペレットと、
前記半導体ペレットの一方の面に接着される絶縁シートと、
前記半導体ペレットの他方の面と接合される金属板と、を備える半導体装置であって、
前記絶縁シートは、前記半導体ペレットにおける外周部よりも突出しており、かつ、前記半導体ペレットにおける電極面が露出するように形成され、
前記半導体ペレットの他方の面と、前記金属板とは焼結銀層を介して接続され、
当該焼結銀層は、前記半導体素子の他方の面及び側面部を覆っていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記半導体ペレット、前記絶縁シート、及び前記焼結銀層は、有機皮膜に覆われていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記金属板は、前記半導体ペレットを搭載する台座部を有し、
前記台座部は、前記半導体ペレットを搭載する上面部を有し、
前記上面部の面積は、前記台座部を前記上面部と平行に切断した面の面積よりも大きくなるように構成され、
前記半導体ペレット、前記絶縁シート、前記焼結銀層、及び前記台座部は樹脂で覆われていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記電極面は、焼結銀を介してリード電極と接続され、
当該リード電極の一部は、前記有機皮膜で覆われた有機皮膜被覆部を有し、かつ当該有機皮膜被覆部を介して前記樹脂に覆われていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置において、
前記焼結銀層は、導電性粒子を含有することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置において、
前記焼結銀層は、応力緩衝板を含有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
半導体ペレットと、
前記半導体ペレットにおける外周部よりも突出した絶縁シートと、
前記半導体ペレットを搭載する金属板と、を有する半導体装置の製造方法において、
前記半導体ペレットと前記絶縁シートとを接着する第一の工程と、
前記金属板に焼結銀ペーストを塗布する第二の工程と、
前記第一及び第二の工程の後に、加圧して、前記半導体ペレットを前記金属板に搭載する第三の工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属板は、前記半導体ペレットを搭載する台座部を有し、
前記台座部は、前記半導体ペレットを搭載する上面部を有し、
前記上面部の面積は、前記台座部を前記上面部と平行に切断した面の面積よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第三の工程の後に、液状樹脂を塗布し、当該液状樹脂を50〜90%の硬化状態として有機皮膜を作製する第四の工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第四の工程の後に、前記有機皮膜を覆う封止樹脂でトランスファーモールドする第五の工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
半導体ペレットと、
前記半導体ペレットの一方の面に接着される絶縁シートと、
前記半導体ペレットの他方の面と接合される金属板と、を備える半導体装置であって、
前記絶縁シートは、前記半導体ペレットにおける外周部よりも突出しており、かつ、前記半導体ペレットにおける電極面が露出するように形成され、
前記半導体ペレットの他方の面と、前記金属板とは焼結銀層を介して接続され、
当該焼結銀層は、前記半導体素子の他方の面及び側面部を覆っていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記半導体ペレット、前記絶縁シート、及び前記焼結銀層は、有機皮膜に覆われていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記金属板は、前記半導体ペレットを搭載する台座部を有し、
前記台座部は、前記半導体ペレットを搭載する上面部を有し、
前記上面部の面積は、前記台座部を前記上面部と平行に切断した面の面積よりも大きくなるように構成され、
前記半導体ペレット、前記絶縁シート、前記焼結銀層、及び前記台座部は樹脂で覆われていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体装置において、
前記電極面は、焼結銀を介してリード電極と接続され、
当該リード電極の一部は、前記有機皮膜で覆われた有機皮膜被覆部を有し、かつ当該有機皮膜被覆部を介して前記樹脂に覆われていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置において、
前記焼結銀層は、導電性粒子を含有することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置において、
前記焼結銀層は、応力緩衝板を含有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
半導体ペレットと、
前記半導体ペレットにおける外周部よりも突出した絶縁シートと、
前記半導体ペレットを搭載する金属板と、を有する半導体装置の製造方法において、
前記半導体ペレットと前記絶縁シートとを接着する第一の工程と、
前記金属板に焼結銀ペーストを塗布する第二の工程と、
前記第一及び第二の工程の後に、加圧して、前記半導体ペレットを前記金属板に搭載する第三の工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体装置の製造方法において、
前記金属板は、前記半導体ペレットを搭載する台座部を有し、
前記台座部は、前記半導体ペレットを搭載する上面部を有し、
前記上面部の面積は、前記台座部を前記上面部と平行に切断した面の面積よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第三の工程の後に、液状樹脂を塗布し、当該液状樹脂を50〜90%の硬化状態として有機皮膜を作製する第四の工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第四の工程の後に、前記有機皮膜を覆う封止樹脂でトランスファーモールドする第五の工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−98266(P2013−98266A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238163(P2011−238163)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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