説明

半導体装置及び流通システム

【課題】半導体素子の特性のばらつきの影響を小さくすることにより、高い歩留まりを実現する半導体装置を提供することを課題とする。また、半導体素子の特性のばらつきの影響を小さくすることにより、生産性を向上させて、安価な半導体装置を提供することを課題とする。さらに、ガラス基板やフレキシブル基板等のように面積が大きな基板上に大量に作製することにより、安価な半導体装置を提供することを課題とする。
【解決手段】復調信号生成回路と、アンテナ又はアンテナを接続するための配線を有し、復調信号生成回路は、復調回路と補正回路を有する。そして、補正回路は、復調回路によって生成された第1復調信号を補正して第2復調信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線でデータの送受信が可能な半導体装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線でデータの送受信が可能な半導体装置の開発が進められ、大きな注目を浴び
ている。このような半導体装置の例としては、RFID(Radio Frequenc
y Identification)、RFチップ、RFタグ、ICチップ、ICタグ、
無線チップ、無線タグ、電子チップ、電子タグ、無線プロセッサ、無線メモリと呼ばれる
ものがあり、一部の市場では導入が開始している。なかでも物品を管理するための半導体
装置は、小型で軽量、使い勝手がよく、セキュリティが高く、かつ安価なものの開発が進
められている。また、このような無線チップ等の半導体装置は、例えばカード等に搭載さ
れることもあり、最近では様々な分野への応用が提案されている(例えば、特許文献1)

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−260580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無線でデータの送受信が可能な半導体装置は、電磁波を介してデータを受信、送信する
アナログ回路と、受信したデータを入力として送信データを出力する論理回路とから構成
される。アナログ回路と論理回路は、半導体素子によって作製される。このような、アナ
ログ回路と論理回路を含む半導体装置を、ガラス基板上やフレキシブル基板上等に設けら
れた半導体素子により構成すると、半導体素子の特性(代表的にはトランジスタのしきい
値や半導体層の抵抗値)のばらつきの影響を受けてしまう。特に、アナログ回路(代表的
には復調回路)は、半導体素子の特性のばらつきによる影響を受けて正常に動作せず、歩
留まり低下の大きな要因となる。
【0005】
本発明は、半導体素子の特性のばらつきの影響を小さくすることにより、高い歩留まり
を実現する半導体装置を提供することを課題とする。また本発明は、半導体素子の特性の
ばらつきの影響を小さくすることにより、生産性を向上させて、安価な半導体装置を提供
することを課題とする。さらに本発明は、ガラス基板やフレキシブル基板等のように面積
が大きな基板上に大量に作製することにより、安価な半導体装置を提供することを課題と
する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体装置は、アンテナを含む共振回路と、共振回路に発生した交流信号を復
調して第1の復調信号を生成する復調回路と、第1の復調信号を補正して第2の復調信号
を生成する補正回路を有する。
【0007】
上記の構成において、補正回路は、レベルシフタを有する。また、補正回路は、差動増
幅器を有する。
【0008】
また、補正回路は、インバータを有する。インバータは、入出力特性の変化点の電圧値
が電源電圧の25%乃至45%の大きさの範囲内にある。又は、インバータは、入出力特
性の変化点の電圧値が電源電圧の55%乃至75%の大きさの範囲内にある。
【0009】
また、補正回路は、Nチャネル型トランジスタとPチャネル型トランジスタとで構成さ
れるインバータを有する。インバータは、入出力特性の変化点の電圧値が電源電圧の25
%乃至45%の大きさの範囲内にあり、Nチャネル型トランジスタのチャネル幅は、Pチ
ャネル型トランジスタのチャネル幅よりも大きい。より具体的には、Nチャネル型トラン
ジスタのチャネル幅は、Pチャネル型トランジスタのチャネル幅よりも1倍乃至10倍の
大きさを有する。
【0010】
また、補正回路は、Nチャネル型トランジスタとPチャネル型トランジスタとで構成さ
れるインバータを有する。インバータは、入出力特性の変化点の電圧値が電源電圧の25
%乃至45%の大きさの範囲内にあり、Pチャネル型トランジスタのしきい値電圧の絶対
値は、Nチャネル型トランジスタのしきい値電圧の絶対値よりも大きい。
【0011】
また、補正回路は、Nチャネル型トランジスタとPチャネル型トランジスタとで構成さ
れるインバータを有する。また、インバータは、入出力特性の変化点の電圧値が電源電圧
の25%乃至45%の大きさの範囲内にあり、Pチャネル型トランジスタのチャネル長は
、Nチャネル型トランジスタのチャネル長よりも大きい。
【0012】
また、補正回路はNチャネル型トランジスタとPチャネル型トランジスタとで構成され
るインバータを有する。インバータは、入出力特性の変化点の電圧値が電源電圧の55%
乃至75%の大きさの範囲内にあり、Pチャネル型トランジスタのチャネル幅は、Nチャ
ネル型トランジスタのチャネル幅よりも大きい。より具体的には、Pチャネル型トランジ
スタのチャネル幅は、Nチャネル型トランジスタのチャネル幅よりも4倍乃至20倍の大
きさを有する。
【0013】
また、補正回路はNチャネル型トランジスタとPチャネル型トランジスタとで構成され
るインバータを有し、インバータは、入出力特性の変化点の電圧値が電源電圧の55%乃
至75%の大きさの範囲内にあり、Nチャネル型トランジスタのしきい値電圧の絶対値は
、Pチャネル型トランジスタのしきい値電圧の絶対値よりも大きい。
【0014】
また、補正回路は、Nチャネル型トランジスタとPチャネル型トランジスタとで構成さ
れるインバータを有し、インバータは、入出力特性の変化点の電圧値が電源電圧の55%
乃至75%の大きさの範囲内にあり、Nチャネル型トランジスタのチャネル長は、Pチャ
ネル型トランジスタのチャネル長よりも大きい。
【0015】
また、共振回路、復調回路及び補正回路は、同じ基板上に設けられている。基板は、ガ
ラス基板又は可撓性基板である。
【0016】
また、復調回路と補正回路は、第1の基板上に設けられており、アンテナは、第2の基
板上に設けられている。第1の基板と第2の基板は、ガラス基板又は可撓性基板である。
【0017】
また、復調回路は、複数の薄膜トランジスタを有する。また、補正回路は、複数の薄膜
トランジスタを有する。
【0018】
また、本発明の半導体装置は、電源回路、クロック発生回路、メモリ、メモリ制御回路
及び変調回路から選択された一つ又は複数を有する。
【0019】
また、復調信号生成回路は、ガラス基板上又は可撓性基板上に設けられている。また、
復調信号生成回路は、薄膜トランジスタを含む。また、本発明の半導体装置は、電源回路
、クロック発生回路、メモリ、メモリ制御回路及び変調回路から選択された一つ又は複数
を有する。
【0020】
また、本発明の半導体装置の駆動方法は、アナログ回路で構成された復調回路が生成す
る復調信号の振幅を、補正回路によって補正する。補正回路は、レベルシフタ、差動増幅
器、又はインバータから選択された一つを有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、半導体素子の特性のばらつきの影響により、復調回路によって生成される第
1復調信号が不完全な場合でも、当該第1復調信号を補正回路に入力して電源電圧と等し
い振幅の第2復調信号を生成する。したがって、本発明を用いることにより、半導体素子
の特性のばらつきの影響を小さくすることが可能となり、高い歩留まりを実現し、生産性
を向上させることにより安価な半導体装置を提供することができる。また本発明の半導体
装置は、ガラス基板やフレキシブル基板等のように面積が大きな基板上に大量に作製する
ことができるため、安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の半導体装置および周辺機器を説明する図。
【図2】本発明の半導体装置が有する復調回路とその動作を説明する図。
【図3】復調回路の出力特性ばらつきを説明する図。
【図4】本発明の半導体装置が有する振幅補正回路とその出力特性を説明する図。
【図5】本発明の半導体装置が有する振幅補正回路の例。
【図6】本発明の半導体装置の作製工程例を説明する図。
【図7】本発明の半導体装置の作製工程例を説明する図。
【図8】本発明の半導体装置の使用形態例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。しかしながら本発明は以下の説明に限
定されず、本発明の趣旨から逸脱することなくその形態を様々に変更し得ることは当業者
であれば容易に理解される。したがって本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定
して解釈されるものではない。また、以下に説明する本発明の構成において、同じものを
指す符号は異なる図面間で共通する場合がある。
【0024】
(実施の形態1)
本発明の半導体装置とその周辺機器の構成について、図1を参照して説明する。本発明
の半導体装置101は、リーダライタ110と電磁波を介して無線でデータの送受信を行
う。リーダライタ110は、通信回線111を介してコンピュータ112に接続される。
コンピュータ112は、リーダライタ110と半導体装置101との通信を制御する。
【0025】
半導体装置101は、アンテナと共振容量からなる共振回路102、電源回路103、
復調信号生成回路104、クロック発生回路105、制御回路106、メモリ107、符
号化回路108、変調回路109を有する。また半導体装置101はアンテナを有さず、
アンテナを接続するための配線を有する場合がある。この場合は別途作製されたアンテナ
を配線に接続して半導体装置を使用する。さらに半導体装置101は上記構成に制限され
ず、中央処理演算装置(CPU)、輻輳制御回路等を有していてもよい。
【0026】
共振回路102は、リーダライタ110より発信される電磁波を受信し、交流の誘導電
圧を発生する。この誘導電圧は半導体装置101の電源になるほか、リーダライタ110
から送信されるデータを含んでいる。電源回路103は、共振回路102に発生した誘導
電圧をダイオードで整流し、容量を用いて安定化することで一定の電源電圧とグラウンド
電圧(以下、GND電圧と記す)とを生成する。復調信号生成回路104は、共振回路1
02に発生した誘導電圧に含まれるデータを復調して取り出す。クロック発生回路105
は、共振回路102に発生した交流の誘導電圧を基に、必要な周波数のクロック信号を生
成する。制御回路106は、メモリ107を制御する。ここではメモリ制御信号の生成の
ほか、復号化回路や情報判定回路等を含む。メモリ107は、半導体装置101固有のデ
ータを保持する。半導体装置101が電池を有さないパッシブ型である場合、メモリ10
7は不揮発性であることが望ましい。符号化回路108は、メモリ107が有するデータ
を符号化信号に変換する。変調回路109は、符号化信号を基に搬送波を変調する。
【0027】
本実施の形態における半導体装置は、電池を持たずにリーダライタから電磁波を介して
電力供給を受けて駆動するが、本発明はこれに限定されない。半導体装置の内部に電池を
有する構成として、電池により電力供給を受けて駆動しても良い。
【0028】
リーダライタから発信される電磁波は、規定周波数の搬送波が副搬送波により変調され
ている。副搬送波はリーダライタから半導体装置に送信する2値のデジタル信号である。
搬送波の変調方式には、振幅を変えるASK(Amplitude Shift Key
ing)変調方式、位相を変えるPSK(Phase Shift Keying)変調
方式、周波数を変えるFSK(Frequency Shift Keying)変調方
式があり、以下には、ASK変調方式によって変調された電磁波を復調する場合について
説明する。しかしながら、本発明はASK変調方式には限定されず、他の変調方式により
変調された電磁波を復調する場合にも適用される。
【0029】
本発明の半導体装置101における復調信号生成回路104は、復調回路104aと補
正回路104bを有する。復調回路104aは、例えば、図2(A)に示すように容量2
03、ダイオード204、206、抵抗205、208、容量207、209から構成さ
れる。復調回路104aには、共振回路102に発生した交流信号が入力される。また、
復調回路104aは、副搬送波を復調した第1復調信号を生成する。なお、復調回路10
4aは図2に示した回路構成には限定されない。補正回路104bは、例えば、公知のレ
ベルシフタで構成され、第1復調信号を補正した第2復調信号を生成する。
【0030】
一般的に、復調回路が生成する復調信号は、メモリ制御回路等に入力される。復調信号
を入力して動作する回路は論理回路であるので、復調信号は2値のデジタル信号である必
要がある。しかしながら、復調回路はアナログ回路で構成され、半導体素子の特性のばら
つきの影響を受けるために、完全なデジタル信号を生成することが難しい。したがって、
本発明では、デジタル信号を生成するために、復調信号生成回路を復調回路と補正回路で
構成する。そして、復調回路が出力する第1復調信号を補正回路に入力することで、デジ
タル信号である第2復調信号を生成する。ここでは、第1復調信号の補正とは、第1復調
信号を補正回路に入力し、補正回路において、第2の復調信号を生成する動作に相当する

【0031】
図2(A)で示す復調回路104aについて説明する。図2(A)において抵抗205
、208の抵抗値をR1、R2とし、容量207、209の容量値をC1、C2とし、図
2(B)には図2(A)におけるノードa、b、cの動作波形を示す。ノードa、b、c
の動作波形はそれぞれ、図2(B)の(B−1)、(B−2)、(B−3)で示される。
ノードaの信号は共振回路に発生した交流の誘導電圧であり、高周波の搬送波が低周波の
副搬送波によって変調されている(図2(B)の(B−1))。ノードaの信号に対し、
受信する電磁波の強度と副搬送波の周波数に合わせて、回路201の抵抗205に流れる
電流量と容量207に蓄積される電荷量とを適切に設定することで、ノードbの信号が得
られる(図2(B)の(B−2))。ノードbの信号には小振幅で高周波数の成分が残留
するので、副搬送波より大きな周波数成分をカットするローパスフィルタ202を設ける
ことで、ノードcにはLowレベル(以下、Loレベルと記す)及びHighレベル(以
下、Hiレベルと記す)の電位(電圧)からなるデジタル信号である第1復調信号が得ら
れる(図2(B)の(B−3))。
【0032】
このように、復調回路104aは、抵抗205、208の抵抗値R1、R2と容量20
7、209の容量値C1、C2の特性により動作特性が決定する。単結晶シリコン基板上
に作製した半導体素子は、特性のばらつきが小さいため、復調回路104aが出力するノ
ードcの第1復調信号を論理回路へ供給しても、論理回路は正常に動作する。しかしなが
ら、ガラス基板上やフレキシブル基板上に作製した半導体素子は、一般に、半導体層の抵
抗値やトランジスタのしきい値電圧等の半導体素子の特性のばらつきが大きいという問題
がある。その結果として、復調回路104aの動作特性のばらつきも大きくなる。図2(
B)に示した復調回路の動作特性は、半導体素子の特性が理想的な場合である。図3に示
した復調回路の動作特性は、半導体素子の特性のばらつきの影響を受けた場合である。
【0033】
図3(A)は、復調回路104aの回路201において抵抗205に流れる電流量が大
きいため、ノードbには大きな振幅で高周波数成分が残留する場合を示す(図3(A)の
(A−1))。ノードbの信号をローパスフィルタ202に入力すると、ノードcではH
iレベルを表す信号が電源電圧より低い電圧で出力される(図3(A)の(A−2))。
特に、復調回路104aによって生成される信号であってHiレベルを表す信号の振幅が
、論理回路のしきい値(LoレベルとHiレベルを認識する境界となる電圧)より小さい
場合、当該信号を復調信号として論理回路に入力すると、Hiレベルと認識されずに半導
体装置は誤動作を起こすこととなる。
【0034】
図3(B)は、図3(A)と同様、ノードbに大きな振幅で高周波成分が残留し(図3
(B)の(B−1))、さらにローパスフィルタ202における抵抗208の抵抗値R2
および容量209の容量値C2がばらつくことで搬送波の周波数成分がカットできずにノ
ードcに出力される場合を示す(図3(B)の(B−2))。特に、ノイズを有するノー
ドcのHiレベルを表す信号が論理回路のしきい値電圧よりも小さくなるような場合に、
当該信号を復調信号として論理回路に直接入力すると、ノイズと信号が識別できずに半導
体装置は誤動作を起こすこととなる。
【0035】
図3(C)は図3(A)とは逆に、復調回路104aの回路201において抵抗205
に流れる電流量が小さいため、ノードbにはLoレベルを表す信号がGND電圧にまで下
がり切らずに出力される場合を示す(図3(C)の(C−1))。ノードbの信号をロー
パスフィルタ202に入力すると、高周波数成分はカットされるが、LoレベルはGND
電圧より高いまま出力される(図3(C)の(C−2))。特に、ノードcのLoレベル
を表す信号の振幅が論理回路のしきい値よりも大きくなる場合に、当該信号を復調信号と
して論理回路に直接入力すると、Loレベルと認識されずに誤動作を起こすこととなる。
【0036】
図3(D)は回路201によって副搬送波が復調されているものの(図3(D)の(D
−1))、ローパスフィルタ202における抵抗208の抵抗値R2および容量209の
容量値C2のばらつきにより副搬送波の周波数成分までがカットされ、ノードcでは、L
oレベルを表す信号がGND電圧に変化するまでの遅延が大きくなる場合、およびHiレ
ベルを表す信号が電源電圧に変化するまでの遅延が大きくなる場合を示す(図3(D)の
(D−2))。ノードcの信号を復調信号として論理回路に直接入力すれば、Loレベル
又はHiレベルと認識される期間が変化して誤動作を起こすこととなる。
【0037】
上記のように半導体素子の特性がばらつくことによって、アナログ回路で構成される復
調回路の出力特性は大きくばらつく可能性がある。したがって、本発明は復調信号生成回
路を復調回路と補正回路で構成する。補正回路は、復調回路から供給される第1復調信号
に基づき、デジタル信号であり、電源電圧と等しい振幅の第2復調信号を生成する。この
ように、復調信号生成回路内に補正回路を設ける本発明は、半導体素子の特性のばらつき
による影響を抑制して、電源電圧と等しい振幅の信号を生成することができる。
【0038】
補正回路104bは、レベルシフタ又は差動増幅器を有する。本実施の形態では補正回
路104bとしてNチャネル型トランジスタ402とPチャネル型トランジスタ401か
らなるインバータの例を挙げる(図4(A))。インバータは入出力特性の変化点が通常
の論理回路で用いられる電圧(電源電圧の大きさをVDDとするとVDD/2)付近では
なく、意図的にGND電圧側、もしくは電源電圧(以下、VDDとも記す)側にずらして
いることを特徴とする。
【0039】
まず図4(B)に、通常の論理回路で用いられるインバータの入出力特性を示す。イン
バータの入出力特性の変化点はVDD/2付近である。これはインバータを構成するNチ
ャネル型トランジスタとPチャネル型トランジスタの駆動能力がほぼ等しいためである。
このようなインバータは、例えばNチャネル型トランジスタの移動度(以降μと記す)
がPチャネル型トランジスタの移動度(以降μと記す)の2倍であり、二つのトランジ
スタのチャネル長が等しい時、Pチャネル型トランジスタのチャネル幅(以降Wと記す
)がNチャネル型トランジスタのチャネル幅(以降Wと記す)の2倍の大きさを有する
構成とすることで実現できる。
【0040】
次に図4(C)、(D)に、補正回路が有するインバータの入出力特性を示す。図4(
C)は入出力特性の変化点をVDD/2よりも低い電圧に設定し、図4(D)は変化点を
VDD/2よりも大きい電圧に設定している。これらの入出力特性は、インバータを構成
するNチャネル型トランジスタの駆動能力とPチャネル型トランジスタの駆動能力に差を
付けることで実現でき、例えばWとWの大きさを調節することによって実現できる。
【0041】
インバータが有する入出力特性の変化点をVDD/2よりもどれだけ低い電圧、もしく
は高い電圧に設定するかは、インバータを構成するトランジスタのしきい値電圧や、半導
体素子のばらつきの影響を受けた復調回路から出力される第1復調信号のばらつきの度合
いに依存する。ここで電源電圧の大きさVDDを100%とする百分率で表すと(VDD
/2は50%で表される)、本発明の形態は、LoレベルおよびHiレベルを表す第1復
調信号の振幅が各々20%乃至60%程度ばらついた場合に適用することが好ましい。し
たがって、半導体素子のばらつきにより復調回路から出力されるHiレベルを表す信号が
電源電圧よりも20%乃至60%程度減少する場合には、補正回路が有するインバータの
変化点を電源電圧の25%乃至45%程度の間に設定すれば良いこととなる。逆にLoレ
ベルを表す信号がGND電圧よりも20%乃至60%程度増加する場合には、補正回路が
有するインバータの変化点を電源電圧の55%乃至75%程度の間に設定すれば良いこと
となる。
【0042】
図4(C)の入出力特性を有するインバータは、例えばWをWよりも大きくするこ
とで作製できる。さらに具体的には、μがμの2倍であり、両トランジスタのゲート
長が等しい場合、WをWの1倍乃至10倍程度にすることで、当該インバータを作製
することができる。または、Pチャネル型トランジスタのチャネル長は、Nチャネル型ト
ランジスタのチャネル長よりも大きくしてもよい。Pチャネル型トランジスタのしきい値
電圧の絶対値は、Nチャネル型トランジスタのしきい値電圧の絶対値よりも大きくしても
よい。このようにインバータの入出力特性を設定することで、図3(A)、(B)に示す
Hiレベルを表す信号が電源電圧よりも20%乃至60%程度小さな値を取る場合であっ
ても、補正回路104bによって振幅を補正した第2復調信号を生成することができる。
【0043】
図4(D)の入出力特性を有するインバータは、例えばWをWよりも大きくするこ
とで作製できる。さらに具体的には、μがμの2倍であり、両トランジスタのゲート
長が等しい場合、WをWの4倍乃至20倍程度にすることで、当該インバータを作製
することができる。または、Nチャネル型トランジスタのチャネル長は、Pチャネル型ト
ランジスタのチャネル長よりも大きくしてもよい。Nチャネル型トランジスタのしきい値
電圧の絶対値は、Pチャネル型トランジスタのしきい値電圧の絶対値よりも大きくしても
よい。このようにインバータの入出力特性をこのように設定することで、図3(C)に示
すLoレベルを表す信号がGND電圧よりも20%乃至60%程度大きな値を取る場合で
あっても、補正回路104bによって振幅を補正した第2復調信号を生成することができ
る。
【0044】
また、上記ではインバータが有する入出力特性の変化点をVDD/2よりGND電圧側
、もしくは電源電圧側にずらすためにインバータを構成する二つのトランジスタの駆動能
力を設定する方法として、トランジスタのチャネル幅を設定する例を示したが、本発明は
この方法に限定されない。例えば、NチャネルトランジスタおよびPチャネルトランジス
タのしきい値電圧を設定したり、NチャネルトランジスタおよびPチャネルトランジスタ
のチャネル長を設定したりすることでインバータの入出力特性の変化点を決定することも
可能である。
【0045】
上記のように、半導体装置が有する復調信号生成回路を復調回路と補正回路で構成する
ことによって、半導体素子の特性のばらつきに対するマージンが大幅に増加する。つまり
補正回路を設けない場合には、復調回路が有する抵抗と容量は図3(A)〜(C)のいず
れの場合も生じさせないような適切な特性値内に製造しなければならない。さらに抵抗と
容量の素子特性にばらつきが生じた場合には、図3(A)〜(C)のように不完全な復調
信号が論理回路に入力され、半導体装置は誤動作を起こすので歩留まりが低下することと
なる。しかしながら本発明の構成とすることで、図3(A)、(B)もしくは(C)の場
合が生じても構わないような、より広い特性値内に製造すればよく、半導体素子の特性の
ばらつきが生じても復調信号を補正することで、半導体素子の誤動作を低減し、歩留まり
を向上することができる。
【0046】
さらに本発明により、容易に入手が可能で基板面積が大きいガラス基板やフレキシブル
基板上に半導体装置を大量に作製することが可能となるため、安価に半導体装置を提供す
ることができる。
【0047】
(実施の形態2)
本実施の形態では本発明の半導体装置が有する補正回路104bについて実施の形態1
と異なる形態を、図5を用いて説明する。図5に示す回路は差動増幅器である。
【0048】
図5(A)、(B)に示すのは、抵抗分割を用いてVDDとGNDの中間に発生させた
電圧と、復調回路104aの出力である第1復調信号とを比較する構成を有する差動増幅
器である。抵抗分割によって発生させる電圧の大きさを調節することで、図3の例に示し
た第1復調信号のばらつきを補正することが可能である。図5(A)は、第1復調信号の
HiレベルがVDDより低い電圧になる場合(図3(A)、(B))の補正に適している
。逆に図5(B)は、第1復調信号のLoレベルがGNDより高い電圧になる場合(図3
(C))の補正に適している。
【0049】
差動増幅器の出力振幅は完全にVDDとはならないものの、第1復調信号の振幅が小さ
くても増幅して補正できる利点がある。したがって補正回路として差動増幅器を用いる場
合には後にインバータ501を設けて信号の振幅をVDDにする事が望ましい。そして、
補正回路の出力である第2復調信号を論理回路に入力することで、半導体装置の誤動作を
防ぐことができる。
【0050】
また、本発明の半導体装置が有する補正回路は、上記に説明した差動増幅器の構成に限
定されない。例えば、差動増幅器の出力が抵抗を介して正帰還される構成を有することも
できる。
【0051】
上記のように、本発明の半導体装置は、復調信号生成回路が復調回路と補正回路とを有
することで、半導体素子の特性のばらつきの影響を小さくすることができる。したがって
本発明の半導体装置は高い歩留まりを実現し、その結果、安価な半導体装置を提供するこ
とができる。
【0052】
本実施の形態は、実施の形態1、実施例1及び実施例2と自由に組み合わせることがで
きる。
【実施例1】
【0053】
本発明の半導体装置は主に半導体素子から構成されている。本実施例では、半導体素子
の作製例を、断面図を用いて説明する。以下には、半導体素子を総称して素子群と記載す
る。
【0054】
本実施例では素子群をガラス基板上に作製する。その後半導体装置に軽量、可撓性等の
付加価値を加えるため、素子群を基板から剥離して可撓性を有する基板(フィルム等も含
む)に貼り合わせる工程の例を説明する。
【0055】
まずガラス基板4001上に剥離層4002を形成する(図6(A))。基板はガラス
以外にも石英、シリコン、金属等を用いることができる。剥離層4002は、金属、珪素
等の元素や化合物等を用いて基板の全面、もしくは一部に形成する。なおガラス基板40
01上に半導体装置を作製する場合は剥離層4002を形成しなくてもよい。次に剥離層
4002を覆うように絶縁層4003を形成する。絶縁層4003は珪素酸化物、珪素窒
化物等で形成する。次に絶縁層4003上に半導体層4004を形成し、レーザ結晶化や
金属触媒を用いた熱結晶化等により結晶化させ、その後所望の形状にエッチングする。次
に半導体層4004を覆うようにゲート絶縁層4005を形成する。ゲート絶縁層400
5は珪素酸化物、珪素窒化物等で形成する。
【0056】
次にゲート電極層4006を形成する。ゲート電極層4006は導電性を持つ元素や化
合物で形成し、所望の形状にエッチングする。フォトリソグラフィ法を用いる場合、レジ
ストマスクをプラズマ等でエッチングすることでゲート電極幅を短く作製し、トランジス
タの性能を高めることができる。本実施例ではゲート電極層4006を積層構造となるよ
うに形成した場合を示す。次に半導体層4004に不純物元素を添加してN型不純物領域
4007、P型不純物領域4008を形成する。不純物領域はフォトリソグラフィ法によ
りレジストマスクを形成し、燐、砒素、ボロン等の不純物元素を添加することで形成する
。次に窒素化合物等により絶縁層を形成し、当該絶縁層に垂直方向の異方性エッチングを
することでゲート電極の側面に接する絶縁層4009(サイドウォールともよぶ)を形成
する(図6(B))。次にN型不純物領域を有する半導体層に不純物を添加し、絶縁層4
009の直下の第一のN型不純物領域4010と、第一の不純物領域よりも高い不純物濃
度を有する第二のN型不純物領域4011とを形成する。上記の工程によりN型トランジ
スタ4012、P型トランジスタ4013が形成される。
【0057】
続いてトランジスタ4012、4013を覆うように絶縁層4014を形成する(図6
(C))。絶縁層4014は絶縁性を有する無機化合物、有機化合物等により形成する。
本実施例では絶縁層4014を積層構造で形成したものを示す。次に第二のN型不純物領
域4011とP型不純物領域4008とを露出させるコンタクトホールを形成し、当該コ
ンタクトホールを充填するように導電層4015を形成した後、当該導電層4015を所
望の形状にエッチングする。導電層4015は導電性を有する金属元素や化合物等で形成
する。次に導電層4015を覆うように絶縁層4016を形成する。絶縁層4016は絶
縁性を有する無機化合物、有機化合物等で形成する。次に導電層4015を露出させるコ
ンタクトホールを形成し、当該コンタクトホールを充填するように導電層を形成した後、
所望の形状にエッチングすることでアンテナ、もしくはアンテナを接続するための配線を
形成する。次にアンテナ4019を形成する導電層を覆うように保護層4026を形成す
る。保護層4026は絶縁性を有する化合物、樹脂等により形成する。
【0058】
絶縁層、導電層、素子を形成する各々の層は、単一材料を用いて単層構造としても良く
、複数の材料を用いて積層構造で形成してもよい。また上記工程では絶縁層4016上に
アンテナ4019を形成したが、導電層4015と同じ層に形成しても良い。
【0059】
上記の工程により作製した半導体素子が有する半導体層は、非晶質半導体、微結晶半導
体、多結晶半導体、有機半導体等のいずれを用いてもよい。良好な特性の半導体素子を得
るためには、200度から600度の温度(好適には350度から500度)で結晶化し
た結晶質半導体層(低温ポリシリコン層)や、600度以上の温度で結晶化した結晶質半
導体層(高温ポリシリコン層)を用いることができる。さらに良好な特性の半導体素子を
得るためには、金属元素を触媒として結晶化した半導体層や、レーザにより結晶化した半
導体層を用いるとよい。また、プラズマCVD法により、SiHとFの混合ガス、S
iHとHの混合ガス等を用いて形成した半導体層や、前記半導体層にレーザ照射を行
ったものを用いるとよい。さらに回路内の半導体素子が有する半導体層は、キャリアの流
れる方向(チャネル長方向)と平行に延びる結晶粒界を有するように形成するとよい。こ
のような半導体層は連続発振レーザ(CWLCと略記することができる)や10MHz以
上(好ましくは60〜100MHz)で動作するパルスレーザで形成することができる。
【0060】
また、半導体層の厚さは20nm〜200nm(好ましくは50nm〜150nm)と
するとよい。さらに、半導体層(特にチャネル形成領域)に1×1019atoms/c
〜1×1022atoms/cmの濃度(好ましくは1×1019atoms/c
〜5×1020atoms/cmの濃度)で水素又はハロゲン元素を添加すると、
欠陥が少なくクラックが生じにくい活性層を得ることができる。
【0061】
上記のように作製したトランジスタは、S値(サブスレッシュホールド値)が0.35
V/sec以下(好ましくは0.09〜0.25V/sec)を有する。また、移動度は
10cm/Vs以上の特性を有するとよい。さらに当該トランジスタは、電源電圧が3
〜5Vで動作するリングオシレータで1MHz以上(好ましくは10MHz以上)の特性
を有することが望ましい。また、本実施例に示されたトランジスタは基板上に半導体層、
ゲート絶縁層、ゲート電極層を順に積層を積層させた構造を取るが、この例には限定され
ず、ゲート電極層、絶縁膜、半導体層を順に積層させる構造を取ることも可能である。ま
た本実施例のN型のトランジスタは第一のN型不純物領域と第二のN型不純物領域を有す
るが、この例には限定されず不純物領域における不純物濃度が一様であっても良い。
【0062】
また、素子群は複数の層に渡って設けられていてもよい。多層構造で作製する場合は、
層間での寄生容量を低減するために層間絶縁膜の材料として低誘電率材料を用いるとよい
。例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の樹脂材料、シロキサン系ポリマー等の重合によ
ってできた化合物材料などが挙げられる。寄生容量を低減した多層構造を採用すれば、小
面積化、動作の高速化、低消費電力化を実現することができる。また、アルカリ金属の汚
染を防ぐための保護層を設けることで、信頼性を向上することができる。当該保護層は窒
化アルミニウム、窒化珪素膜等の無機材料により形成し、回路内の素子を包むように、ま
たは回路全体を包むように設けるとよい。
【0063】
次に、上記のように構成した素子群をガラス基板4001から剥離し、可撓性を有する
基板、フィルム等へ張り付ける方法を説明する。素子群をガラス基板4001から剥離し
て可撓性を有する基板、フィルム等へ張り付ける場合、当該素子群の厚さは5μm以下(
好ましくは1μm〜3μm)であることが望ましい。また、本発明の半導体装置を構成す
る場合、素子群の面積は5mm角以下(好ましくは、0.3mm角〜4mm角)であるこ
とが望ましい。
【0064】
まず剥離層4002が露出するように開口部4027を形成し、当該開口部4027に
エッチング剤を導入して剥離層4002を部分的に除去する(図7(A))。次に、ガラ
ス基板上面方向から第一の可撓性基板4029を接着し、剥離層4002を境に素子群4
028をガラス基板4001から第一の可撓性基板4029側へ移し取る。次に、素子群
4028がガラス基板4001と接していた側に第二の可撓性基板4030を接着するこ
とで、可撓性を有する半導体装置を作製することができる図7(B)。可撓性基板として
はプラスティックフィルム、紙等を用いることができる。外部からの影響を最小限にする
ため、第一の可撓性基板4029と第二の可撓性基板4030とが同一の厚さを有し、素
子群4028が断面の中心に存在することが望ましい。
【0065】
上記工程において素子群4028にアンテナを接続する配線のみを作製した場合、第一
の可撓性基板4029にアンテナを作製し、素子群4028と接着することで半導体装置
を作製することが可能である。また、曲面を有する可撓性基板に素子群4028を張り付
ける場合、半導体素子のキャリアの流れる方向(チャネル長方向)が、できる限り曲面の
湾曲の影響を受けない方向となるように形成することで、半導体素子への影響を少なくす
ることができる。
【0066】
また、本実施例においては開口部4027から剥離層4002をエッチングした後に素
子群4028を第一の可撓性基板4029へ移し取る方法を挙げたが、本発明はこの例に
は限定されない。例えば剥離層4002を開口部4027からのエッチング工程のみで除
去した後、素子群4028を可撓性基板へ移しかえる方法や、開口部4027を設けずに
第一の可撓性基板4029を貼り付けて素子群4028をガラス基板から剥がし取る方法
、さらにはガラス基板4001を裏面から研磨して素子群4028を得る方法などがあり
、これらの方法を組み合わせて行うことも可能である。ガラス基板を裏面から研磨する以
外の方法で素子群4028を可撓性基板へ移しかえる工程を用いれば、素子群4028を
作製するためのガラス基板4001が再利用できる利点がある。
【0067】
本実施例は、実施の形態1、実施の形態2、及び実施例2と自由に組み合わせることが
できる。
【実施例2】
【0068】
本発明の半導体装置の具体的な使用形態について説明する。本発明の半導体装置の用途
は広範にわたり、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類、包装用容器
類、書籍類、記録媒体、身の回り品、乗物類、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、
薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。
【0069】
紙幣、硬貨とは市場に流通する金銭であり、特定の地域で貨幣と同じように通用するも
の(金券)、記念コイン等を含む。有価証券類とは、小切手、証券、約束手形等を指す。
証書類とは、運転免許証、住民票等を指す。無記名債券類とは、切手、おこめ券、各種ギ
フト券等を指す。包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指す。書籍類
とは、雑誌、辞書等を指す。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指す。身の
回り品とは、鞄、眼鏡等を指す。乗物類とは、自転車等の車両、船舶等を指す。食品類と
は、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。保健用品類とは、医療器具
、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、
農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ
受像機ともよぶ)、携帯電話、携帯情報端末等を指す。
【0070】
紙幣、硬貨、有価証券類、証書類、無記名債券類等に半導体装置を設けることにより、
偽造を防止することができる。また、包装用容器類、書籍類、記録媒体等、身の回り品、
食品類、生活用品類、電子機器等に半導体装置を設けることにより、検品システムやレン
タル店のシステムなどの効率化を図ることができる。乗物類、保健用品類、薬品類等に半
導体装置を設けることにより、偽造や盗難の防止、薬品類ならば、薬の服用の間違いを防
止することができる。半導体装置の設け方としては、物品の表面に貼ったり、物品に埋め
込んだりして設ける。例えば、本ならば紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージ
なら当該有機樹脂に埋め込んだりするとよい。
【0071】
半導体装置を物の管理や流通のシステムに応用することでシステムの高機能化を図るこ
とができる。例えば図8(A)に示すように、本発明の半導体装置3001が実装された
品物3002をベルトコンベアにより搬送し、ベルトコンベアの脇にリーダライタ300
3を設けることで品物3002の検品を簡単に行うことができる。
【0072】
さらに図8(B)に示すように、表示部3004を含む携帯端末3005の側面にリー
ダライタ3003を設け、上記検品された品物3002に実装された半導体装置3001
にかざすと、表示部3004に品物3002の原材料、原産地、流通過程の履歴等が表示
されるシステムにすることが可能である。
【0073】
本実施例は、実施の形態1、実施の形態2、及び実施例1と自由に組み合わせることが
できる。
【符号の説明】
【0074】
101 半導体装置
102 共振回路
103 電源回路
104 復調信号生成回路
104a 復調回路
104b 補正回路
105 発生回路
106 制御回路
107 メモリ
108 符号化回路
109 変調回路
110 リーダライタ
111 通信回線
112 コンピュータ
201 回路
202 ローパスフィルタ
203 容量
204 ダイオード
205 抵抗
207 容量
208 抵抗
209 容量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナを有する共振回路と、
前記共振回路に発生した交流信号を復調して第1の復調信号を生成することができる機能を有する第1の回路と、
前記第1の復調信号を補正して第2の復調信号を生成することができる機能を有する第2の回路と、を有し、
前記第2の回路は、インバータを有し、
前記インバータは入力信号の振幅値が電源電圧より小さい場合に、信号を出力することができる機能を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
アンテナを有する共振回路と、
前記共振回路に発生した交流信号を復調して第1の復調信号を生成することができる機能を有する第1の回路と、
前記第1の復調信号を補正して第2の復調信号を生成することができる機能を有する第2の回路と、を有し、
前記第2の回路は、インバータを有し、
前記インバータは、入力信号に応じて信号を出力することができる機能を有し、前記入力信号は前記インバータに供給される電源電圧より小さいことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記半導体装置が実装された品物をベルトコンベアにより搬送し、ベルトコンベアの脇にリーダライタを設けることで品物の検品を行うことを特徴とする流通システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−74060(P2012−74060A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251418(P2011−251418)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【分割の表示】特願2006−38792(P2006−38792)の分割
【原出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】