説明

半導体装置

【課題】 デバイスピンから取り込んだチップセレクト信号によって内部回路が非アクティブ状態に固定された場合でも、メモリテストを円滑に行うことができる半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体装置は、入力信号に応答し、内部回路をアクティブにする選択信号を出力するチップセレクト回路10と、テスト入力信号に応答し、選択信号によるアクティブ/非アクティブの如何に拘わらず内部回路を強制的にアクティブに切り替えるテストアクティブ信号を出力するテスト回路26とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置に関し、特に、出荷前の製品に対する円滑なメモリテストを可能とする半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】DRAM(Dynamic RAM)を搭載した半導体装置では、RAS(Row Address Strobe)及びCAS(Column Address Strobe)の一対の信号が用いられる。これらの信号を用いることにより、行(ロウ)アドレス及び列(カラム)アドレスの双方に同じアドレス線が兼用でき、デバイスのピン数を削減してパッケージのコストダウンを図ることができる。
【0003】図3は、DRAMを搭載した半導体装置におけるアドレスの取込みタイミングを示すタイムチャートである。この半導体装置では、入力されたRASによってチップセレクト信号及びロウアドレス信号が取り込まれ、入力されたCASによってカラムアドレス信号が取り込まれる。
【0004】出荷に先立って、上記DRAMのメモリテストを行う場合には、試験装置からRAS、CASの各信号を1つのデバイスピンから送り込む。これにより、第1段階で、デバイスピンからチップセレクト信号及びロウアドレス信号がRASによって取り込まれ、第2段階で、同じデバイスピンからカラムアドレス信号がCASによって取り込まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記半導体装置では、第1段階でデバイスピンから取り込んだチップセレクト信号が内部回路を非アクティブ(非活性)状態に切り替えると、チップセレクト信号を切り替えてアクティブ(活性)状態に戻すまでは、同じデバイスピンからカラムアドレス信号を入力してもこれを取り込むことができず、メモリテストを円滑に行うことができない場合があった。
【0006】本発明は、上記に鑑み、デバイスピンから取り込んだチップセレクト信号によって内部回路が非アクティブ状態に固定された場合でも、メモリテストを円滑に行うことができる半導体装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の半導体装置は、内部回路を有する半導体装置において、入力信号に応答し、前記内部回路をアクティブにする選択信号を出力するチップセレクト回路と、テスト入力信号に応答し、前記選択信号によるアクティブ/非アクティブの如何に拘わらず前記内部回路を強制的にアクティブに切り替えるテストアクティブ信号を出力するテスト回路とを備えることを特徴とする。
【0008】本発明の半導体装置では、テスト回路の動作によって内部回路を強制的にアクティブ状態に切り替えることができるので、デバイスピンから取り込んだチップセレクト信号によって内部回路が非アクティブ状態に固定された場合でも、メモリテストを円滑に行うことができる。
【0009】ここで、本発明の好ましい半導体装置では、前記テスト回路が所定電位以上の電位のテスト入力信号に応答することが好ましい。この場合、テスト入力信号に応答してテストアクティブ信号を出力することができる。
【0010】また、前記チップセレクト回路が、入力信号を受けるインバータと、入力端子と出力端子との間に直列接続された第1及び第2のPchMOSトランジスタと、前記インバータの出力と前記出力端子との間に直列接続された第3及び第4のPchMOSトランジスタと、前記出力端子と低電位電源との間に接続された第5のPchMOSトランジスタとを有することも本発明の好ましい態様である。この場合、デプレッション型にするPchMOSトランジスタを適宜選定することによって、チップセレクト回路の動作形態を変更することができる。
【0011】例えば、前記第3〜第5のPchMOSトランジスタをエンハンスメント型、前記第1及び第2のPchMOSトランジスタをデプレッション型とすることができる。この場合、入力信号がロウレベルのときに内部回路をアクティブにできる。
【0012】或いは、上記に代えて、前記第1、第2及び第5のPchMOSトランジスタをエンハンスメント型、前記第3及び第4のPchMOSトランジスタをデプレッション型とすることも好ましい態様である。この場合、入力信号がハイレベルのときに内部回路をアクティブにできる。
【0013】或いは、上記に代えて、前記第1〜第4のPchMOSトランジスタをエンハンスメント型、前記第5のPchMOSトランジスタをデプレッション型とすることも好ましい態様である。この場合、入力信号のレベルの如何に拘わらず内部回路をアクティブにすることができる。
【0014】更に、前記テスト回路は、テスト入力端子と低電位電源との間に直列接続され且つ各ゲートが高電位電源に接続されたテスト用PchMOSトランジスタ及びNchMOSトランジスタと、入力が前記テスト用PchMOSトランジスタ及びNchMOSトランジスタのドレインに接続されたテスト用インバータとから構成されることが好ましい。この場合、メモリテスト時には、テスト入力端子に、電源電圧とテスト用PchMOSトランジスタのしきい値とを加算した電位以上の電位を印加することによりテストアクティブ信号が出力できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照し、本発明の実施形態例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態例の半導体装置の要部構成を示すブロック図である。半導体装置は、内部回路(図示せず)、入力保護回路24、アドレスバッファ25、チップセレクト回路10、及びテスト回路26を有する。
【0016】入力保護回路24は、アドレス信号及びチップセレクト入力信号を夫々、アドレスバッファ25及びチップセレクト回路10に受け渡す。アドレスバッファ25は、受け取ったアドレス信号を内部回路に送る。
【0017】チップセレクト回路10は、チップセレクト入力信号に応答して、内部回路のアクティブ/非アクティブ状態を切り替える選択信号を出力する。テスト回路26は、必要時に、選択信号によるアクティブ/非アクティブ状態に拘わらず内部回路を強制的にアクティブ状態に切り替えるテストアクティブ信号を出力する。
【0018】図2は、チップセレクト回路10、テスト回路26、及びその周辺回路を示す回路図である。チップセレクト回路10は、入力が入力端子28に接続されたインバータ12と、入力端子28と出力ノード(出力端子)29との間に直列に接続されたPchMOSトランジスタ16、17と、インバータ12の出力と出力ノード29との間に直列に接続されたPchMOSトランジスタ18、19と、出力ノード29とVssとの間に接続されたPchMOSトランジスタ20とを有する。PchMOSトランジスタ16、17のゲートが双方のドレイン及びソースに共通接続され、PchMOSトランジスタ18、19のゲートが双方のドレイン及びソースに共通接続され、PchMOSトランジスタ20のゲートがドレイン(Vss)に接続される。
【0019】PchMOSトランジスタ16〜20のいずれかは、製造工程で、ボロン等のイオンが注入されることによって、エンハンスメント型からデプレッション型に選択的に変更される。このような構成のチップセレクト回路10は、入力保護回路24を介して入力されるチップセレクト入力信号の有効/無効を選定する。
【0020】例えば、PchMOSトランジスタ16、17のみをデプレッション型とした場合には、チップセレクト入力信号がロウレベル(L)であると、PchMOSトランジスタ16、17の双方がオン、PchMOSトランジスタ18、19の双方がオフ、PchMOSトランジスタ20がオフとなっているので、出力ノード29における電位が“L”になる。これにより、NANDゲート11の一方の入力が“L”に固定されるので、他方の入力のレベルに拘わらずNANDゲート11はハイレベル(H)を出力する。更に、この出力がインバータ15で反転され、“L”のチップセレクト信号として送られ、内部回路がアクティブ状態になる。
【0021】PchMOSトランジスタ18、19のみをデプレッション型とした場合には、チップセレクト入力信号が“H”であると、PchMOSトランジスタ18、19の双方がオン、PchMOSトランジスタ16、17の双方がオフ、PchMOSトランジスタ20がオフとなっているので、出力ノード29における電位が“L”になる。このため、上記と同様に、他方の入力が“L”、“H”の何れであってもNANDゲート11は“H”を出力し、内部回路がアクティブ状態になる。
【0022】一方、PchMOSトランジスタ20のみをデプレッション型とした場合には、PchMOSトランジスタ16〜19は全て、チップセレクト入力信号の“L”又は“H”の如何に拘わらずオフとなり、PchMOSトランジスタ20のみがオンとなる。このため、出力ノード29における電位が“L”になるので、上記と同様に、内部回路がアクティブ状態になる。
【0023】以上のように、製造工程で、目的に合わせてPchMOSトランジスタのチャンネル領域に選択的にイオンを注入することにより、チップセレクト入力信号が“H”のとき、“L”のとき、或いは、“H”又は“L”の如何に拘わらず、内部回路をアクティブ状態にするチップセレクト回路10が得られる。これらを表1にまとめた。同表における16〜20はPchMOSトランジスタの符号に対応する。*は、イオン注入によってデプレッション型に構成された旨を示す。
【0024】
【表1】


【0025】テスト回路26は、ゲートがVddに接続され、ソースがテスト入力端子27に接続されたPchMOSトランジスタ21と、ゲートがVddに接続され、ドレインがPchMOSトランジスタ21のドレインに接続されたNchMOSトランジスタ22と、ゲートがVddに接続され、ドレインがNchMOSトランジスタ22のドレインに接続され、ソースがVssに接続されたNchMOSトランジスタ23と、入力がPchMOSトランジスタ21及びNchMOSトランジスタ22の各ドレインに共通接続されたインバータ13とを有する。
【0026】NANDゲート11は、チップセレクト回路10及びテスト回路26の双方の出力の論理積の反転値を出力し、インバータ15は、NANDゲート11の出力を反転させてチップセレクト出力信号として内部回路に送る。
【0027】上記構成の半導体装置は、メモリテスト時には、テスト入力端子27に、電源電圧(Vdd)とPchMOSトランジスタ21のしきい値とを加算した電位以上の電位を印加する。これにより、PchMOSトランジスタ21がオンとなり、PchMOSトランジスタ21及びNchMOSトランジスタ22、23から成るテスト回路26が“H”を出力する。このため、上記電位がテスト入力端子27に印加されている間、テスト回路26からはインバータ13を介して“L”がテスト信号として出力される。従って、NANDゲート11の他方の入力が“L”に固定されるので、チップセレクト回路10の出力信号のレベルに拘わらず内部回路はアクティブ状態になる。
【0028】本実施形態例では、デバイスピンから取り込んだチップセレクト信号によって内部回路が非アクティブ状態に固定された場合でも、テスト回路26からのテスト信号によって内部回路を強制的にアクティブ状態に切り替えるので、メモリテストを円滑に行うことができる。
【0029】なお、チップセレクト回路10におけるPchMOSトランジスタ16〜20を夫々NchMOSトランジスタから構成し、上記実施形態例と同様の効果が得られるように構成することも可能である。
【0030】以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明の半導体装置は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施した半導体装置も、本発明の範囲に含まれる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の半導体装置によると、デバイスピンから取り込んだチップセレクト信号によって内部回路が非アクティブ状態に固定された場合でも、内部回路を強制的にアクティブ状態に切り替えてメモリテストを円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例の半導体装置の要部構成を示すブロック図。
【図2】チップセレクト回路、テスト回路、及びその周辺回路を示す回路図。
【図3】半導体装置におけるアドレスの取込みタイミングを示すタイムチャート。
【符号の説明】
10:チップセレクト回路
11:NANDゲート
12、15:インバータ
16〜21:PchMOSトランジスタ
22、23:NchMOSトランジスタ
24:入力保護回路
25:アドレスバッファ
26:テスト回路
27:テスト入力端子
28:入力端子
29:出力ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部回路を有する半導体装置において、入力信号に応答し、前記内部回路をアクティブにする選択信号を出力するチップセレクト回路と、テスト入力信号に応答し、前記選択信号によるアクティブ/非アクティブの如何に拘わらず前記内部回路を強制的にアクティブに切り替えるテストアクティブ信号を出力するテスト回路とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】 前記テスト回路が所定電位以上の電位のテスト入力信号に応答する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】 前記チップセレクト回路が、入力信号を受けるインバータと、入力端子と出力端子との間に直列接続された第1及び第2のPchMOSトランジスタと、前記インバータの出力と前記出力端子との間に直列接続された第3及び第4のPchMOSトランジスタと、前記出力端子と低電位電源との間に接続された第5のPchMOSトランジスタとを有する、請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】 前記第3〜第5のPchMOSトランジスタがエンハンスメント型であり、前記第1及び第2のPchMOSトランジスタがデプレッション型である、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】 前記第1、第2及び第5のPchMOSトランジスタがエンハンスメント型であり、前記第3及び第4のPchMOSトランジスタがデプレッション型である、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】 前記第1〜第4のPchMOSトランジスタがエンハンスメント型であり、前記第5のPchMOSトランジスタがデプレッション型である、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】 前記テスト回路は、テスト入力端子と低電位電源との間に直列接続され且つ各ゲートが高電位電源に接続されたテスト用PchMOSトランジスタ及びNchMOSトランジスタと、入力が前記テスト用PchMOSトランジスタ及びNchMOSトランジスタのドレインに接続されたテスト用インバータとから構成される、請求項1〜6の何れかに記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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