説明

半導体装置

【課題】高電位側スイッチ素子の十分な駆動電圧を実現した半導体装置を提供する。
【解決手段】スイッチPMOSは、低電位側の出力MOSがオンのときにオンとなり、ブートストラップ容量(以下、容量という)を電源電圧に充電し、この出力MOSがオフのときにオフとなり、オンとなる高電圧側出力MOSを通した入力電圧と容量に蓄積された電圧が加算されて昇圧電圧が形成される。スイッチPMOSのソース領域およびドレイン領域は、逆の導電型を有するウェル領域内に形成される。容量で形成された昇圧電圧が電源電圧より高くなった時に、一方のソース領域またはドレイン領域とウェル領域によって形成される寄生ダイオードに対し逆方向電圧が印加されるように、スイッチPMOSの一方のソース領域またはドレイン領域およびウェル領域が容量の昇圧電圧側に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置に関し、例えば、高電圧を低電圧に変換するスイッチング電源用の半導体装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スイッチング電源では,低価格・小型・高効率・低電圧・大電流が求められる。そのため,スイッチ素子には安価で低オン抵抗(低Ron)・低Qgd(低ゲートチャージ電荷量)のNチャネル型のパワーMOSFET(以下、NMOSと略す)が使用される場合が多い。図12に、本願発明に先立って検討された降圧型スイッチング電源の構成図を示す。高電位側スイッチ素子M1にNMOSを用いるには、図中の「ブートストラップ」と呼ばれる昇圧回路と、レベルシフト回路が必要である。図13の昇圧回路では、電源電圧VDDよりダイオードD4の順方向電圧Vf 分低い電圧(VDD−Vf)が、高電位側スイッチ素子M1の駆動用に供給される。つまり、スイッチ素子M1のソース(中点LX)に対して、ブートストラップ容量CBに蓄えられた電圧(VDD−Vf)だけ高い電圧がスイッチ素子M1のゲートに供給される。上記電圧(VDD−Vf)を大きくするために上記ダイオードD4として順方向電圧Vf の低いショットキーバリア・ダイオードを使う。
【0003】
図14に、図13に示した降圧型スイッチング電源の各部動作波形図を示す。降圧型スイッチング電源では、高電位側スイッチ素子M1と低電位側スイッチ素子M2の中点LXは、スイッチング毎に入力電圧Vinと接地電位VSSに変化する。昇圧回路は、中点LXの電位が接地電位VSSの期間にブートストラップ容量CBを電源電圧VDDからダイオードD4を介して充電する。したがって、ブートストラップ容量CBの両端電圧は、電源電圧VDDからダイオードD4の順方向電圧Vf 分下がった電圧(VDD−Vf)となる。中点LXの電位が入力電圧Vinの時は、ダイオードD4が電源電圧VDDへの逆流を防止し、ブートストラップ容量CBから高電位側スイッチ素子M1の駆動回路に給電する。高電位側スイッチ素子M1の駆動電圧Vgsは(VDD−Vf)となる。
【0004】
一方、制御回路を含む周辺回路の電源電圧VDDは低電圧化の傾向にある。そのため、ダイオードD4の順方向電圧Vf の低下分が無視できなくなり、高電位側スイッチ素子M1の十分な駆動電圧を得られない可能性がでてきた。駆動電圧が不足すると、スイッチ素子本来の性能を引き出せず損失の増加等を招くことになる。そこで、ブートストラップ回路をジャンクション型FET(以下、JFETと略す。)を用いて構成しICに内蔵するスイッチング電源の例として、特表平11−501500号がある。このスイッチング電源では、ブートストラップ用コンデンサにはJFETを介して充電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平11−501500号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、JFETにおいてはオフ状態でのリーク電流が無視できなく、十分な昇圧電圧を確保するために逆流防止用のダイオードを直列接続して用いている。つまり、実用的な回路を構成するために、上記特許文献1のスイッチング電源においては、逆流防止ダイオードの接続が必要であると考えられ、結果として前記図13の回路と同じような問題を有するものとなる。
【0007】
本発明の目的は、電源電圧VDDが低い場合においても、高電位側スイッチ素子M1の十分な駆動電圧を得ることを実現したスイッチング電源用の半導体装置を提供することにある。この発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される発明のうち代表的な1つの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、スイッチング電源用の半導体装置は、入力電圧用端子、出力用端子、接地電位用端子および電源電圧用端子を有し、第1の半導体チップ、第2の半導体チップおよび第3の半導体チップが一つのパッケージ内に封止され。前記第1の半導体チップは、前記入力電圧用端子と一方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続され、前記出力用端子に他方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続された第1のMOSFETを含む。前記第2半導体チップは、前記第1のMOSFETの前記他方のソース領域またはドレイン領域および前記出力用端子と一方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続され、前記接地電位用端子に他方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続された第2のMOSFETを含む。前記第3半導体チップは、前記電源電圧用端子に電気的に接続され、前記第1のMOSFETのゲートを制御するための制御信号を生成する第1の制御回路と、前記電源電圧用端子に電気的に接続され、前記第2のMOSFETのゲートを制御するための制御信号を生成する第2の制御回路と、前記電源電圧用端子、前記第1および第2の制御回路と一方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続されたPチャネル型のブートストラップ用スイッチMOSFETを含む。前記出力用端子は、前記スイッチング電源においてブートストラップ容量の一端と電気的に接続可能となっている。前記ブートストラップ用スイッチMOSFETの他方のソース領域またはドレイン領域は、前記スイッチング電源において前記ブートストラップ容量の他の一端と電気的に接続可能となっている。前記ブートストラップ用スイッチMOSFETは、前記第2のMOSFETが導通状態のときに導通状態となり、前記第2のMOSFETが非導通状態のときに非導通状態となる。前記ブートストラップ用スイッチMOSFETの前記ソース領域およびドレイン領域はP型の導電型を有し、N型の導電型を有するェル領域内に形成される。前記ブートストラップ用スイッチMOSFETは、前記ソース領域またはドレイン領域と前記ウェル領域によって形成される寄生ダイオードを有する。前記ブートストラップ容量の前記他の一端の電位が前記電源電圧用端子の電位より高くなった時に、前記寄生ダイオードに対し逆方向電圧が印加されるように、前記ブートストラップ用スイッチMOSFETの前記ソース領域またはドレイン領域および前記ウェル領域が前記ブートストラップ容量の前記他の一端と電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0009】
電源電圧VDDが低い場合においても、高電位側スイッチ素子の十分な駆動電圧を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明に係るスイッチング電源の一実施例を示す概略回路図である。
【図2】図1のスイッチング電源における駆動回路の動作を説明する波形図である。
【図3】図1のPチャネルMOSFETM3の一実施例を示す概略素子断面図である。
【図4】この発明に係るスイッチング電源の一実施例を示す構成図である。
【図5】この発明に係るスイッチング電源の他の一実施例を示す構成図である。
【図6】この発明に係るスイッチング電源の更に他の一実施例を示す構成図である。
【図7】この発明に係るスイッチング電源の他の一実施例を示す概略回路図である。
【図8】この発明に係るスイッチング電源の更に他の一実施例を示す構成図である。
【図9】図8の電圧クランプ回路VCLの一実施例を示す回路図である。
【図10】この発明に係るスイッチング電源に用いられるレベルシフト回路LS2の一実施例を示す回路図である。
【図11】この発明に係るスイッチング電源の更に他の一実施例を示す概略回路図である。
【図12】この発明に係るスイッチング電源の更に他の一実施例を示す構成図である。
【図13】本願発明に先立って検討された降圧型スイッチング電源の構成図である。
【図14】図13に示した降圧型スイッチング電源の各部動作波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係わる半導体記憶装置の好適ないくつかの事例につき、図面を用いて説明する。
【実施例】
【0012】
図1には、この発明に係るスイッチング電源の一実施例の概略回路図が示されている。この実施例は、入力電圧Vinを降圧した出力電圧Vout を形成する、いわゆる降圧型スイッチング電源に向けられている。特に制限されないが、入力電圧Vinは、約12Vのような比較的高い電圧とされ、出力電圧Vout は約3V程度の低い電圧とされる。
【0013】
上記入力電圧Vinは、高電位側スイッチ素子M1を介してインダクタLOの一端から電流の供給を行う。インダクタLOの他端と回路の接地電位VSSとの間にはキャパシタCOが設けられ、かかるキャパシタCOにより平滑された出力電圧Vout が形成される。上記インダクタLOの一端と回路の接地電位VSSとの間には、上記スイッチ素子M1がオフ状態のときに中点LXを回路の接地電位にすることにより上記インダクタLOに発生する逆起電圧をクランプするスイッチ素子M2が設けられる。上記スイッチ素子M1とM2は、Nチャネル型のパワーMOSFETにより構成される。上記スイッチ素子M1とM2の接続点は、いわゆるインバーティッドプッシュプル出力回路の中点LXとされ、上記インダクタLOと一端に接続される。
【0014】
上記出力電圧Vout が約3Vのような設定された電位に制御するために、次のPWM制御回路が設けられる。一例として上記出力電圧Vout は、抵抗R1とR2からなる分圧回路により分圧されて、エラーエンプEAの一方の入力(−)に供給される。このエラーアンプEAの他方の入力(+)には、基準電圧Vrが供給される。上記分圧電圧と上記基準電圧Vrとの差電圧が電圧比較回路CMPの一方の入力(−)に供給される。上記電圧比較回路CMPの他方の入力(+)には、三角波発生回路TWGで形成された三角波が供給される。電圧比較回路CMPの出力信号は、制御回路CONTに供給されて、上記分圧電圧と上記基準電圧Vrとが一致させるようなPWM信号を形成する。尚PWM信号でなくても、PFM(パルス振幅変調)信号、PDM(パルス密度変調)信号等パワーMOSFETのスイッチングを制御して出力電圧Vout を制御するものであれば特に制限されない。
【0015】
制御回路CONTは、上記PWM信号に対応した高電圧側制御信号hgと、低電位側制御信号lgを形成する。この実施例では、低オン抵抗・低QgdのNチャネル型のパワーMOSFETを上記スイッチ素子M1として用ており、ソースフォロワ出力回路として動作させる。そのため、上記中点LXの電位を上記入力電圧Vinに対応した高電圧まで得るようにするために、言い換えるならば、MOSFETM1のしきい値電圧分だけ中点LXの電位が低下して損失が生じてしまうのを防ぐために、昇圧回路が設けられる。つまり、昇圧回路は、上記MOSFETM1がオン状態のときのゲート電圧を上記入力電圧Vinに対してそのしきい値電圧分以上の高電圧にするという動作を行う。
【0016】
上記中点LXは、ブートストラップ容量CBの一端に接続される。このブートストラップ容量CBの他端は、Pチャネル型のスイッチMOSFETM3のソース,ドレイン経路を介して電源電圧VDDに接続される。上記電源電圧VDDは、約5Vのような低い電圧であり、上記制御回路CONTを含みPWM制御回路を構成するエラーアンプEA、電圧比較回路CMP及び三角波発生回路TWGの動作電圧であり、後述するレベルシフト回路LS1,LS2の低電圧側回路の動作電圧としても用いられる。
【0017】
上記PWM信号に対応した高電圧側制御信号hgは、レベルシフト回路LS2を介してレベルシフトされて上記高電圧側のスイッチ素子M1の駆動信号HGとされる。レベルシフト回路LS2は、上記電源電圧VDDと上記ブートストラップ容量CBで形成された昇圧電圧Vbtを動作電圧としており、上記電源電圧VDDと接地電位(本例は約5V)振幅の高電圧側制御信号hgを、昇圧電圧Vbtと上記中点LX振幅の信号にレベルシフトしてスイッチ素子M1をオン状態にさせる時のゲート電圧を昇圧電圧Vbtのように高くする。
【0018】
上記PWM信号に対応した低電圧側制御信号lgは、バッファ等をして、基本的にそのまま低電位側のスイッチ素子M2のゲートに供給される。レベルシフト回路LS1は、かかる低電圧側制御信号lgをレベルシフトして、上記Pチャネル型MOSFETM3のゲートに供給される制御信号LGを形成する。つまり、スイッチ素子M2の低電圧側制御信号lgをレベルシフト回路により反転させ、スイッチM2をオフ状態にさせるときに、昇圧電圧Vbtに対応した制御信号LGを形成してPチャネル型のMOSFETM3のゲートに伝えて、かかるMOSFETM3をオフ状態にする。
【0019】
本発明の昇圧回路は、前記図12のダイオードD4に替えて、スイッチ素子であるPチャネル型パワースMOSFET(以下、PMOSと略す)M3を使用することに特徴がある。この時、PMOSM3はドレイン端子Dを電源VDDに、ソース端子Sをブートストラップ容量CB側に接続する。MOSFETのソースとドレインは、電圧の印加の方向によって逆転するものであるので、同図に示した上記ドレイン端子D及びソース端子Sは便宜的なものであり、ブートストラップ容量CBにより電源電圧VDDよりも高い昇圧電圧Vbtが形成されている状態でのドレイン及びソースを意味している。PMOSM3の基板ゲート(バックゲート、チャネル領域るいはN型ウェル領域)は、上記ソース端子S側、言い換えるならば、ブートストラップ容量CB側に接続されている。
【0020】
図2は、図1のスイッチング電源における駆動回路の動作を説明する波形図が示されている。基本的には、PWM信号に対応した制御信号hgとlgによりスイッチ素子M2がオンしている間(すなわち、スイッチ素子M1がオフしている間)、スイッチ素子M3をオンにしてブートストラップ容量CBを電源電圧VDDに充電する。同図では、この充電電圧をVDD−V3(on)のように表している。V3(on)は、MOSFETM3のソース−ドレイン経路での充電動作時の電圧損失であり、実質的にはゼロとみなすことができる。
【0021】
この時のPMOSM3の動作は、一般に逆方向特性と呼ばれるものである。つまり、PMOSM3のゲートには、レベルシフト回路LS1から接地電位のようなロウレベルの制御信号LGが供給されており、電源電圧VDD側(ドレイン端子D)がソース領域として動作してオン状態となり、ブートストラップ容量CBへの充電を開始する。もっとも、基板ゲートと上記ソースとして動作するドレイン端子DとのPN接合によって構成される寄生ダイオードによっても充電経路が形成されているので、このときにドレイン領域として動作するソース端子S側の電位VbtがVDD−Vf (Vfは寄生ダイオードの順方向電圧)よりも低いときには、かかる寄生ダイオードを通しても充電電流が流れる。
【0022】
PWM信号に対応した制御信号hgとlgによりスイッチ素子M1がオンしている間(すなわち、スイッチ素子M2がオフしている間)、スイッチ素子M1のオンにより中点LXの電位が上記ロウレベルから上昇する。これに対応してブートストラップ容量CBの昇圧電圧Vbtは、上記充電電圧VDD分だけ高い電圧として上昇する。つまり、スイッチ素子M1のゲートとソース間(HG−LX)には、上記レベルシフト回路LS2を介して上記ブートストラップ容量CBの保持電圧VDD(VDD−V3(on))が印加されており、ソース側から得られる中点LXの電位は、入力電圧Vinに対応した高電圧まで上昇するものとなる。ここで、VDDは約5Vであり、スイッチ素子M1のしきい値電圧は約1V程度であり、VDD>Vthの関係にある。
【0023】
上記昇圧電圧Vbtの上昇により、MOSFETM3の一対のソース,ドレインには、前記充電動作のときとは一対のソース,ドレイン領域に対して逆向に電圧が印加されて、図1に示したように昇圧電圧Vbt側がソース端子Sとして動作し、電源電圧VDD側がドレイン端子Dとして動作する。したがって、ゲートGに供給される制御信号LGが電源電圧VDDのようなハイレベルであると、そのしきい値電圧Vth以上にソース端子Sの電位が上昇すると、再度オン状態となって昇圧電圧Vbtを形成しているブートストラップ容量CBの電荷を電源電圧VDD側に抜いてしまう。レベルシフト回路LS1は、上記制御信号LGのハイレベルを上記昇圧電圧Vbtに対応した高電圧にし、ゲートGとソース端子Sを同電位(Vth以下)としてオフ状態を維持させる。そして、前記寄生ダイオードには、逆方向に電圧が印加されて上記ブートストラップ容量CBの電荷を放電させるような電流を流さない。
【0024】
上記スイッチ素子M1をオン状態にさせる1回の充電動作で消費するブートストラップ容量CBの電荷は、Cg ×Vgsで概算できる。ここで、Cg はスイッチ素子M1のゲート入力容量であり、Vgsはゲート,ソース間の駆動電圧である。上記電荷にスイッチング周波数を掛けることで、平均充電電流が求められる。一例として、Cg =3000pF、Vgs=5V、スイッチング周波数1MHzで計算すると、充電電流は15mAとなる。また、一般にMOSFETM3のオン抵抗は数十mΩであり、充電時の電圧降下V3(on)は小さくゼロと見做してよい。したがって、従来のダイオードD4の順方向電圧Vf による電圧降下に比べ非常に小さく抑えられるものである。
【0025】
前記のようにスイッチ素子M2がオフしている間(スイッチ素子M1がオン)は、PチャネルMOSFETM3をオフにする必要がある。このPチャネルMOSFETM3をオフにするため、レベルシフト回路LS1は、上記昇圧電圧Vbtを動作電圧とすることでPチャネルMOSFETM3のゲート端子Gに与えられる制御信号LGのレベルをソース端子Sの昇圧電圧Vbtと同じ電圧にレベルシフトする。そして、MOSFETM3のドレイン端子Dと基板ゲート間の寄生のダイオード(ボディダイオードと呼ばれる)が存在する。この寄生のダイオードによって、上記MOSFETM3が上記オフ状態にされるとともに、昇圧電位Vbtからの電源電圧VDDに向けての逆流が防止される。したがって、前記特許文献1において、JFETを用いたように逆流防止用のダイオードを新たに設ける必要がない。
【0026】
スイッチ素子M1、M2、M3のオン、オフ状態への移行時間には素子バラツキ等があるため、貫通電流防止のためにスイッチ素子M1とM2の切り替えにはデッドタイムが設けられる。同様に、スイッチ素子M1が完全にオフする前にスイッチ素子M3がオンすると、昇圧電位側から電源VDDに逆流が起きるで同様のデットタイムが設けられる。このデットタイムは、特に制限されないが、上記PWM信号に対応した信号lg及びhgを形成する制御回路CONTにより設定される。以上により、本発明は電源電圧VDDの低電圧化に際しても、十分なスイッチ素子M1の駆動電圧を得ることができる昇圧回路を提供できる。
【0027】
図3には、図1のPチャネルMOSFETM3の一実施例の概略素子断面図が示されている。図3(A)には、一般的なPチャネルMOSFETの例が示され、図3(B)には高耐圧MOSFETの例が示されている。前記図2の各部信号波形より、昇圧電圧Vbtは電源電圧VDD+入力電圧Vinに達することがわかる。そのためPチャネルMOSFETM3として、図3(B)に示したような高耐圧のLDMOS(Laterally Diffused MOS) を用いることが安全である。
【0028】
図3(A)の一般的なPチャネル型MOSFETにおいては、P型基板PSUB上にN型ウェル領域NWELを形成し、そこにP+型の一対のソース,ドレイン領域が形成される。かかる一対のソース,ドレイン領域間のウェル領域(チャネル又は基板ゲート)上には、薄い膜厚からなるゲート絶縁膜が形成される。上記ゲート絶縁膜上には、上記一対のソース,ドレイン領域を跨ぐようにゲート電極が形成される。そして、上記昇圧回路を構成するスイッチ素子M3として用いるときには、上記ウェル領域NWELと前記図1のソース端子S側とされるP+領域が接続される。前記図1のドレイン端子DとされるP+領域と基板ゲート(NWEL)との間には図示のような寄生ダイオードが存在する。
【0029】
図3(B)の高耐圧MOSFETにおいては、P型基板PSUB(P−)上に前記ドレイン端子DとさるP+領域が形成される。前記ソース端子Sに対応した半導体領域は、N型ウェル領域NWELに上記ドレイン端子DとさるP+領域に対向してP+領域が形成され、かかるN型ウェル領域NWELにへのオーミックコンタクトを得るためのN+領域が形成される。そして、上記P+領域及びN+領域に電極が設けられることによって、N型ウェル領域NWELとの接続が行われる。この高耐圧MOSFETは、ドレイン領域は、上記P+領域及びP−の基板が実効的なドレイン領域として動作し、N型ウェル領域NWELに形成されたP+領域間のウェル領域(チャネル又は基板ゲート)が実効的な基板ゲート(チャネル領域)とされる。
【0030】
上記一対のP+領域間のNウェル領域NWEL及び基板PSUB上には、薄い膜厚からなるゲート絶縁膜が形成される。上記ゲート絶縁膜上には、上記一対のP+領域を跨ぐようにゲート電極が形成される。そして、上記昇圧回路を構成するスイッチ素子M3として用いるときには、上記ウェル領域NWELと前記図1のソース端子S側とされるP+領域が接続される。前記図1のドレイン領域の一部とされる基板PSUBと基板ゲート(NWEL)との間には図示のような寄生ダイオードが存在する。このようなLDMOSにおいては、ソース領域とドレイン領域の構造が非対称であり、そのことを表すために図示のようにソース、ドレインのように表している。
【0031】
図3(A)、(B)の概略素子断面構造図に示すようにソースと基板ゲート(ウェル領域)を接続して用いるため、図3(A)の一般的なPチャネルMOSFET、図3(B)のLDMOS共に、ドレイン、ソース間には寄生のダイオードが存在する。したがって、本発明におけるスイッチ素子M3にPチャネルMOSFET及びLDMOSを用いても何ら問題ない。又、図3(B)のようなLDMOSをブーストラップ容量CBに電荷を充電するときに図3(B)におけるドレインからソースに電流を流す事になるが、この動作はリニア領域(低電流)での動作となり、スイッチ素子M3の性能が大幅に低下するようなことはない。
【0032】
この実施例のスイッチング電源においては、電源電圧VDDの低電圧化に際しても、高電位側スイッチ素子の十分な駆動電圧を得られる。高電位側のスイッチ素子にNチャネルパワーMOSFETが使用可能となり、低価格、小型のスイッチング電源を構成できる。また、後述するようにICに内蔵しやすいという利点がある。内蔵することにより、外付け部品点数を低減でき、電源の小型化、低コスト化に寄与できる。
【0033】
本発明の昇圧回路は、PチャネルMOSFETM3をオンさせてブートストラップ容量CBに充電し、昇圧電位側からの逆流防止は、MOSFETのゲート電圧を昇圧電圧に対応してレベルシトフすることによりフ状態にし、かつ、ボディダイオードを活用する。したがって、前記特許文献1のスイッチング電源のように逆流防止用のダイオードを省くことができる。また、一般にMOSのオン抵抗は数十mΩと小さいため、ダイオードの順方向電圧Vf に比べ、充電時の電圧低下を抑えることができる。十分な充電時間が設定できるなら、ブートストラップ容量CBをVDDまで高くすることができる。
【0034】
以上により、電源電圧VDDが低い場合も、高電位側スイッチ素子M1の十分な駆動電圧を得られる。これにより、高電位側スイッチ素子に低価格、小型、低Ron、低QgdのNチャネルパワーMOSFETを採用できるため、低価格、小型のスイッチング電源を構成できる。また、ショットキーバリア・ダイオードに比べMOSFETの方がチップ面積が小さいため、ICに内蔵しやすい。これにより、外付けのダイオードを省くことができ、電源の小型化、コスト低減に適する。
【0035】
図4には、この発明に係るスイッチング電源の一実施例の構成図が示されている。この実施例のスイッチング電源は、太線枠で囲まれた部分が半導体集積回路(IC)で構成される。つまり、高電位側スイッチ素子M1と、低電位側スイッチ素子M2は外付けの単体素子で構成される。また、インダクタLO、ブートストラップ容量CB及びキャパシタCOと、前記分圧回路を構成する抵抗R1とR2も単体素子で構成される。この実施例では、昇圧回路を構成するスイッチ素子M3は半導体集積回路に内蔵して形成される。つまり、半導体集積回路には、上記MOSFETM3の他に、エラーアンプEA、電圧比較回路CMP、三角波発生回路TWGと制御回路CONT、レベルシフト回路LS1,LS2等が形成される。図示しないが、MOSFETM1,M2を駆動する駆動回路も含まれる。この実施例では、制御部分を半導体集積回路化し、ブートストラップ用スイッチ素子M3を内蔵することで、電源の部品数低減、小型化を実現できる。
【0036】
図5には、この発明に係るスイッチング電源の他の一実施例の構成図が示されている。同図においても、前記同様に太線枠で囲まれた部分が半導体集積回路(IC)で構成される。この実施例では、スイッチ素子M1、M2も半導体集積回路に内蔵することで、外付け部品点数をさらに削減でき、電源の小型化、低コスト化に適する。
【0037】
図6には、この発明に係るスイッチング電源の更に他の一実施例の構成図が示されている。同図においても、前記同様に太線枠で囲まれた部分が半導体集積回路(IC)で構成される。この実施例では、制御用ICとドライバ用ICの2つの半導体集積回路が用いられる。制御ICには、PWM制御部であるエラーアンプEA、電圧比較回路CMP、三角波発生回路TWGと制御回路CONTが搭載されてPWM信号を出力する。ドライバICには、スイッチ素子M1、M2と、レベルシフト回路LS1、LS2及び昇圧回路を構成するMOSFETM3と、PWM信号を受けて低電位側の制御信号LG’を形成するインバータ回路INV1が設けられる。この実施例では、レベルシフト回路LS1は、上記PWM信号を受けて、上記スイッチMOSFETM3の制御信号LGを形成する。
【0038】
図7には、この発明に係るスイッチング電源の他の一実施例の概略回路図が示されている。この実施例は、前記図1の実施例の変形例であり、低電圧側のスイッチMOSFETM2に代えて、ダイオードD1が用いられる。このようにダイオードD1を用いた場合には、オン状態での順方向電圧Vfだけ電圧損失が発生する反面、そのアノードとカソードの電位関係でオン/オフが自動的に行われるために、前記のような制御信号lgが不要となる。いわゆる降圧型スイッチング電源では、上記制御信号lg、hgは図2に示すように相補的な関係にある。この実施例における昇圧回路のMOSFETM3の制御信号LGは、MOSFETM1の制御信号hgを元に生成すれば良い。この実施例においても、前記図4、図5及び図6のような構成とすることができる。
【0039】
図8には、この発明に係るスイッチング電源の更に他の一実施例の構成図が示されている。同図においても、前記図6の実施例と制御用ICとドライバ用ICの2つの半導体集積回路が用いられる。制御ICとドライバICには、例えば共通の動作電圧VCCが与えられる。この電圧VCCは、前記VDDのような低電圧であってもよいし、入力電圧Vinに対応した高電圧であってもよい。このため、ドライバICには、降圧電源回路Regが設けられて、前記VDDに対応した内部電圧が形成される。これに対して、制御ICは、上記電源電圧VCCに対応したPWM信号を形成する。このため、上記ドライバICには、上記PWM信号を受ける電圧クランプ回路VCLが設けられる。他の構成は、前記図6の実施例と同様であるので、その説明を省略する。
【0040】
この実施例では、ドライバICは特別な電源VDDが不要となり、入力電圧Vinを電源電圧VCCとして用いることができる。かかる高電圧を内部で降圧して低電圧として用いているので、内部ドライバ回路での消費電力を小さくすることができる。この場合には、PWM制御ICとドライバICとで動作電圧が異なるものとなる。つまり、制御ICは12V、ドライバICは内部5Vで動作するために、PWM信号の入力回路(VCL)で何らかの電圧クランプ手段が設けられるものである。
【0041】
図9には、前記図8の電圧クランプ回路VCLの一実施例の回路図が示されている。同図の電圧クンプ回路VCLは、ドライバICの外部端子から供給される高い信号振幅VCCの入力信号(PWM)のレベルを、ドライバICのインバータ回路INV1やレベルシフト回路LS1,LS2の低電圧側の動作電圧VDDレベルに対応したレベルにクランプする。
【0042】
入力端子PWMは、静電破壊防止回路としてのダイオードD2とD3が設けられる。特に制限されないが、この実施例のドライバICは、高い電圧VCCと、電源回路Regで形成された低い内部電圧VDDの2つの動作電圧を有する。上記ダイオードD2は、上記入力端子PWMと電源端子VCCとの間に設けられ、上記ダイオードD3は、上記入力端子PWMと回路の接地電位VSSとの間に設けられる。特に制限されないが、上記電源電圧VCCは、約12Vのような高い電圧であり、上記内部電圧VDDは約5Vのような低い電圧である。
【0043】
上記入力端子PWMは、電圧クランプ回路を構成するNチャネルMOSFETM4の一方のソース,ドレイン経路に接続される。このMOSFETM4のゲートには、制限すべき電圧として内部電圧VDDが供給される。上記MOSFETM4のソース,ドレイン経路の他方から上記内部電圧VDDによりクランプされた出力電圧が得られ、入力回路IBの入力端子に伝えられる。この実施例では、上記MOSFETM4による電圧クランプ動作を安定的に行うようにするために、上記ソース,ドレイン経路の他方と回路の接地電位との間に電流源Ioが設けられる。また、上記電流源Ioに対して並列形態にキャパシタCiが設けられる。
【0044】
この実施例では、入力端子PWMに、同図に波形として示されているようにVCC−0V(12V−0V)のような大きな信号振幅の入力信号が供給され、上記MOSFETM4のソース,ドレイン経路の他方からは、(VDD−Vth)−0Vのように電源VDDにより制限された小さな信号振幅に変換される。そして、入力回路IBを通した出力信号Voは、同図に波形として示されているようにVDD−0V(5V−0V)のようなCMOS振幅とされる。ここで、VthはMOSFETM4のしきい値電圧である。特に制限されないが、MOSFETM4は、電気的に基板から分離されたP型ウェル領域に形成され、かかるP型ウェル(チャネル領域)は、上記MOSFETM4の出力側であるソース,ドレイン経路の他方に接続されている。
【0045】
上記電圧クランプ回路において、MOSFETM4の出力側のノードVに、回路の絶縁不良等による高抵抗によるリーク電流経路が形成された場合、その電位が上昇してMOSFETM4がオフ状態のままとなって前記の電流源Ioが存在しないと電圧クランプ動作が不能に陥ってしまう。上記電流源Ioを設けることより上記出力ノード側の電位上昇が抑えられて安定的な電圧クランプ動作が行われる。このため、電流源Ioは、不良と見做されないリーク電流よりも大きな微小電流に設定すればよく、低消費電力化を図ることができる。
【0046】
また、MOSFETM4のソース,ドレイン間には、寄生容量Cdsが存在する。この寄生容量Cdsによって、入力信号PWMがVCCのような高電圧に変化したときに、カップリングによって出力側を電源電圧VDD以上に変化させてしまうという問題が生じる。これを回避するために、電流源Ioに並列形態にキャパシタCiが設けられる。これによって、寄生容量CdsとキャパシタCiが直列形態に接続されて、その容量比の逆比に対応して入力電圧PWMを分圧して上記出力側ノードが電源電圧VDD以上にならないようにすることができる。
【0047】
なお、入力回路IBには、入力回路を構成するMOSFETのゲート容量が存在するが、かかるゲート容量のみでは上記のようにカップリングによって出力側ノードが電源電圧VDD以上に変化してしまう。そのために、上記キャパシタCiは、入力回路IBの入力容量と比べても十分に大きなものとされる。本実施例では,上記入力信号PWMに対して上記電圧クランプ回路を適用したが,内部動作電圧より高い電圧レベルの入力信号に対して本回路は適用可能である。例としては,ドライバICの動作オン/オフ制御信号等があげられる。図8の入力信号PWMが入力される端子に図9のようなクランプ回路を適用することにより、PWM信号の高速な変化にも応答可能となり、ドライバICを正確に制御が可能となる。
【0048】
図10には、この発明に係るスイッチング電源に用いられるレベルシフト回路LS2の一実施例の回路図が示されている。この実施例のレベルシフト回路は、電源電圧VDDで動作するCMOSインバータ回路INV2が入力回路として設けられる。このインバータ回路INV2の入力には、前記制御信号hgが供給される。このインバータ回路INV2の出力信号は、NチャネルMOSFETM5のゲートに供給される。このMOSFETM5のドレインと、昇圧電圧Vbtとの間には負荷抵抗R3が設けられる。特に制限されないが、MOSFETM5のソースと回路の接地電位との間には、抵抗R4が設けられる。上記MOSFETM5のドレイン出力は、昇圧電圧Vbtと中点LXの電位とで動作するCMOSインバータ回路INV3とINV4を通してレベル変換された駆動信号HGとして出力される。
【0049】
制御信号hgがロウレベル(VSS)のときには、インバータ回路INV2の出力信号がハイレベルとなり、MOSFETM5をオン状態にする。この時の回路の動作点は,以下のように求めることができる。図10において,MOSFETM5のゲート電圧Vi,ソース電圧Vs,ドレイン電圧Vo,ゲート−ソース電圧Vgsとし,抵抗R4を流れる電流をIs,抵抗R3を流れる電流をIdとすると,以下のような関係が成り立つ。
Vs=Vi−Vgs=Is×R4 ・・・・(1)式
Is≒Id ・・・・(2)式
Vo=Vbt−Id×R3≒Vbt−Is×R3 ・・・・(3)式
【0050】
(1)式で,Vgsは上記MOSFETM5の特性で決まる値である。
上記式から、
Vo=Vbt−(Vi−Vgs)×(R3/R4) ・・・・(4)
が導出できる。ここで、インバータ回路INV3の入力電圧,すなわち上記ドレイン電圧Voがその論理しきい値よりも低い電位となるように上記抵抗R3,R4の値を設定する。これにより、インバータ回路INV3は昇圧電圧Vbtに対応したハイレベルを出力し、インバータ回路INV4からは中点LXの電位に対応したロウレベルの駆動信号HGが形成される。
【0051】
制御信号hgがハイレベル(VDD)のときには、インバータ回路INV2の出力信号がロウレベルとなり、MOSFETM5をオフ状態にする。これにより、MOSFETM5のドレイン出力は、抵抗R3により昇圧電圧Vbtのようなハイレベルが出力される。これにより、インバータ回路INV3の入力電圧は、その論理しきい値よりも高い電位となり、中点LXの電位に対応したロウレベルを出力し、インバータ回路INV4からは昇圧電圧Vbtに対応したハイレベルの駆動信号HGが形成される。上記レベルシフト回路は,電源投入時等においても出力が確定し,従来方式のラッチタイプのレベルシフト回路のように不定状態にならないという特長を有する。
【0052】
スイッチMOSFETM3のゲートに供給される制御信号LGを形成するレベルシフト回路LS1も、前記図10に括弧で示すように同様な回路により構成される。ただし、インバータ回路INV3、INV4の低電位側は回路の接地電位(VSS)とされる。制御信号(lg)の反転信号を制御信号(LG)として出力するときには、上記インバータ回路INV4が省略される。
【0053】
図11には、この発明に係るスイッチング電源の更に他の一実施例の概略回路図が示されている。この実施例は、前記図1の実施例の変形例であり、昇圧回路のスイッチ素子としてNチャネルMOSFETM3’が用いられる。このようにNチャネルMOSFETM3’を用いた場合には、ブートストラップ容量CBに電源電圧VDDまで充電するためにオン状態にするときにゲート電圧を電源電圧VDD以上にする必要がある。このために、レベルシフト回路LS1は、昇圧電圧VCCにより動作させられる。このVCCは外部から供給されてもよいし、同様な昇圧回路で形成してもよい。このようにNチャネルMOSFETを用いた場合には、電源電圧VDD側のソース,ドレイン領域と基板ゲートとが接続されて、昇圧電圧側のソース,ドレイン領域と基板ゲートとの間の寄生ダイオードが逆流防止用として利用される。この昇圧電圧VCCを生成するための回路が必要となる為に、昇圧回路のスイッチ素子としてはPチャネルMOSFETの方が優れている。
【0054】
図12には、この発明に係るスイッチング電源の他の一実施例の構成図が示されている。この実施例は、前記図6の実施例の変形例であり、上記ドライバICは、前記図6に示すように1つの半導体基板上に形成された半導体集積回路で構成してもよいが、この実施例では前記MOSFETM1、M2、その他の回路それぞれに適したプロセスで,同図に一点鎖線で示した半導体チップ(半導体基板)Chip1,Chip2,Chip3上にそれぞれを作成し、それらをマルチチップモジュール構成で1つのパッケージに封止されてなる半導体集積回路装置とするものであってもよい。また、それぞれの半導体チップChip1,Chip2,Chip3を別個のパッケージに封止した3つの半導体集積回路装置で構成して実装基板上で相互に接続して回路を構成するものとしてもよい。
【0055】
以上本発明者によってなされた発明を、前記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、低電位側のスイッチ素子M2を高電圧で駆動する駆動回路を設けるものであってもよい。このときには、スイッチ素子M2の小さなオン抵抗値によってインダクタで発生する中点LXを接地電位にクランプすることができるので、スイッチ素子の小型化又はいっそうの効率化を図ることができる。レベルシフト回路LS1、LS2の具体的回路は種々の実施形態を採ることができる
【産業上の利用可能性】
【0056】
この発明は、スイッチング電源装置に広く利用できる。
【符号の説明】
【0057】
D1〜D4…ダイオード、M1〜M3,M3’…MOSFET、Io…電流源、Ci…キャパシタ、CONT…制御回路、EA…エラーアンプ、CMP…電圧比較回路、TWG…三角波発生回路、IB…入力回路、CB…ブートストラップ容量、LO…インダクタ、CO…キャパシタ、R1〜R4…抵抗、INV1〜INV4…CMOSインバータ回路、Reg…電源回路、LS1,2…レベルシフト回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧用端子、出力用端子、接地電位用端子および電源電圧用端子を有し、第1の半導体チップ、第2の半導体チップおよび第3の半導体チップが一つのパッケージ内に封止された、スイッチング電源用の半導体装置であって、
前記第1の半導体チップは、前記入力電圧用端子と一方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続され、前記出力用端子に他方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続された第1のMOSFETを含み、
前記第2半導体チップは、前記第1のMOSFETの前記他方のソース領域またはドレイン領域および前記出力用端子と一方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続され、前記接地電位用端子に他方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続された第2のMOSFETを含み、
前記第3半導体チップは、
前記電源電圧用端子に電気的に接続され、前記第1のMOSFETのゲートを制御するための制御信号を生成する第1の制御回路と、
前記電源電圧用端子に電気的に接続され、前記第2のMOSFETのゲートを制御するための制御信号を生成する第2の制御回路と、
前記電源電圧用端子、前記第1および第2の制御回路と一方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続されたPチャネル型のブートストラップ用スイッチMOSFETを含み、
前記出力用端子は、前記スイッチング電源においてブートストラップ容量の一端と電気的に接続可能となっており、
前記ブートストラップ用スイッチMOSFETの他方のソース領域またはドレイン領域は、前記スイッチング電源において前記ブートストラップ容量の他の一端と電気的に接続可能となっており、
前記ブートストラップ用スイッチMOSFETは、前記第2のMOSFETが導通状態のときに導通状態となり、前記第2のMOSFETが非導通状態のときに非導通状態となり、
前記ブートストラップ用スイッチMOSFETの前記ソース領域およびドレイン領域はP型の導電型を有し、N型の導電型を有するウェル領域内に形成され、
前記ブートストラップ用スイッチMOSFETは、前記ソース領域またはドレイン領域と前記ウェル領域によって形成される寄生ダイオードを有し、
前記ブートストラップ容量の前記他の一端の電位が前記電源電圧用端子の電位より高くなった時に、前記寄生ダイオードに対し逆方向電圧が印加されるように、前記ブートストラップ用スイッチMOSFETの前記ソース領域またはドレイン領域および前記ウェル領域が前記ブートストラップ容量の前記他の一端と電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1および第2のMOSFETはNチャネル型のMOSFETであり、
前記第1のMOSFETの前記ソース領域と前記第2のMOSFETの前記ドレイン領域が電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第3の半導体チップは、前記第1および第2のMOSFETの動作を制御するパルス幅変調信号を生成するパルス幅変調制御回路を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記出力端子には、前記スイッチング電源において、インダクタと前記インダクタに直列に接続された容量が接続可能であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1のMOSFETのゲートを制御するための制御信号の振幅は、前記電源電圧用端子に印加される電圧よりも大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置であって、
出力用端子から出力される電圧は、前記入力電圧用端子に与えられる電圧よりも低いことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
入力電圧用端子、出力用端子、接地電位用端子および電源電圧用端子を有し、第1の半導体チップ、第2の半導体チップおよび第3の半導体チップが一つのパッケージ内に封止された、スイッチング電源用の半導体装置であって、
前記第1の半導体チップは、前記入力電圧用端子と一方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続され、前記出力用端子に他方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続された第1のMOSFETを含み、
前記第2半導体チップは、前記第1のMOSFETの前記他方のソース領域またはドレイン領域および前記出力用端子と一方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続され、前記接地電位用端子に他方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続された第2のMOSFETを含み、
前記第3半導体チップは、
前記電源電圧用端子に電気的に接続され、前記第1のMOSFETのゲートを制御するための制御信号を生成する第1の制御回路と、
前記電源電圧用端子に電気的に接続され、前記第2のMOSFETのゲートを制御するための制御信号を生成する第2の制御回路と、
前記電源電圧用端子、前記第1および第2の制御回路と一方のソース領域またはドレイン領域が電気的に接続されたNチャネル型のブートストラップ用スイッチMOSFETを含み、
前記出力用端子は、前記スイッチング電源においてブートストラップ容量の一端と電気的に接続可能となっており、
前記ブートストラップ用スイッチMOSFETの他方のソース領域またはドレイン領域は、前記スイッチング電源において前記ブートストラップ容量の他の一端と電気的に接続可能となっており、
前記ブートストラップ用スイッチMOSFETは、前記第2のMOSFETが導通状態のときに導通状態となり、前記第2のMOSFETが非導通状態のときに非導通状態となり、
前記ブートストラップ用スイッチMOSFETの前記ソース領域およびドレイン領域はN型の導電型を有し、P型の導電型を有するウェル領域内に形成され、
前記ブートストラップ用スイッチMOSFETは、前記ソース領域またはドレイン領域と前記ウェル領域によって形成される寄生ダイオードを有し、
前記ブートストラップ容量の前記他の一端の電位が前記電源電圧用端子の電位より高くなった時に、前記寄生ダイオードに対し逆方向電圧が印加されるように、前記ブートストラップ用スイッチMOSFETの前記ソース領域またはドレイン領域および前記ウェル領域が前記電源電圧用端子と電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置であって、
前記第1および第2のMOSFETはNチャネル型のMOSFETであり、
前記第1のMOSFETの前記ソース領域と前記第2のMOSFETの前記ドレイン領域が電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第3の半導体チップは、前記第1および第2のMOSFETの動作を制御するパルス幅変調信号を生成するパルス幅変調制御回路を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記出力端子には、前記スイッチング電源において、インダクタと前記インダクタに直列に接続された容量が接続可能であることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1のMOSFETのゲートを制御するための制御信号の振幅は、前記電源電圧用端子に印加される電圧よりも大きいことを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1記載の半導体装置であって、
出力用端子から出力される電圧は、前記入力電圧用端子に与えられる電圧よりも低いことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−136620(P2010−136620A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47954(P2010−47954)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【分割の表示】特願2005−517404(P2005−517404)の分割
【原出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】