説明

半導体装置

【目的】 半導体装置への放熱用フィンの取り付けに伴うパッケージの破損やアウタリードの変形などを確実に防止する。
【構成】 セラミックパッケージ2の製造時、ビアパンチなどによってセラミックパッケージ2の上面の隅部の近傍に固定用の半導体装置固定用穴6を設ける。放熱用フィン4をスタッド5に取り付ける場合、半導体装置固定用治具に設けられたピンを半導体装置固定用穴6に嵌合させ固定し、放熱用フィン4をねじ込み、ドライバーにより規定のトルクまで締め付け固定する。放熱用フィン4が規定のトルクで締められてもセラミックパッケージ2が半導体装置固定用穴6により固定されているのでセラミックパッケージ2の回転を防止でき、4個の半導体装置固定用穴6によってセラミックパッケージ2にかかる圧力が分散される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体装置に関し、特に、放熱用フィンの取り付けに伴うQFP(Quad Flat Package)形半導体装置のセラミックパッケージの割れや欠けおよびアウタリードの変形防止に適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明者が検討したところによれば、この種のセラミックパッケージからなるQFP形半導体装置は、図5に示すように、たとえば、アルミナからなるセラミックパッケージ30の上面にスタッド(図示せず)およびアウタリード31がロウ材などによって接着されている。
【0003】また、このスタッドには、セラミックパッケージ30内に固定させている半導体チップ(図示せず)の放熱を行う放熱用フィン32が取り付けられている。
【0004】さらに、放熱用フィン32の取り付けは、ねじ込み式の場合、スタッドに切られたねじ山に放熱用フィン32のねじ部を嵌合させる。
【0005】また、このスタッドに放熱用フィン32を取り付けるには、セラッミックパッケージ30の隅部の側面を、たとえば、ステンレスからなる所定の半導体装置固定用治具により固定し、ドライバーなどにより規定のトルクまで放熱用フィン32を締めることにより固定している。
【0006】また、かしめ式の場合では、スタッドに設けられた穴に放熱用フィン32の先端部を所定の圧力を加えることによって挿入し、固定している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のような従来の半導体装置では、スタッドに放熱用フィンを固定する際の配慮がされておらず、放熱用フィンを規定のトルクで締めた場合に、半導体装置固定用治具によって固定された半導体装置のパッケージであるセラミックパッケージの隅部の側面に大きな応力がかかってしまい、セラミックパッケージの割れや欠けなどが生じてしまう。
【0008】また、放熱用フィンに所定の圧力を加えてスタッドの穴に固定する場合でも、同様にセラミックパッケージの割れや欠けが生じてしまう。
【0009】さらに、半導体装置固定用治具がトルクや圧力によって所定の箇所からずれてしまうことによって、アウタリードの変形や破損が生じてしまう。
【0010】また、セラミックパッケージの周辺に半導体装置固定用治具によって固定される部分が少ない多ピン化された半導体装置では、セラミックパッケージの割れや欠け、アウタリードの変形などが顕著に発生してしまう。
【0011】本発明の目的は、放熱用フィンの取り付けに伴うパッケージの破損やアウタリードの変形などを確実に防止する半導体装置を提供することにある。
【0012】本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0014】すなわち、本発明の半導体装置は、パッケージの所定の箇所に、放熱手段を取り付けるために半導体装置を固定する半導体装置固定用治具のピンが嵌合される2個以上の半導体装置固定用穴が設けられたものである。
【0015】また、本発明の半導体装置は、前記パッケージがセラミックパッケージであって、半導体装置固定用穴がそのセラミックパッケージの上面または下面に設けられているものである。
【0016】さらに、本発明の半導体装置は、前記パッケージがセラミックパッケージであって、半導体装置固定用穴がそのセラミックパッケージの上面と下面とを貫通しているものである。
【0017】また、本発明の半導体装置は、前記パッケージがセラミックパッケージであって、半導体装置固定用穴がそのセラミックパッケージの隅部の近傍に設けられたものである。
【0018】
【作用】上記した本発明の半導体装置によれば、パッケージに設けられた半導体装置固定用穴によって、放熱用フィンの取り付け時に、パッケージの隅部の側面を固定することなく確実に半導体装置を固定することができる。
【0019】また、複数の半導体装置固定用穴によりパッケージを固定することによって、パッケージに加わる圧力を分散することができる。
【0020】それにより、放熱用フィンの取り付けに伴うパッケージの欠け、割れおよびアウタリードの変形などを防止することができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】図1は、本発明の一実施例による放熱用フィンが取り付けられたセラミックパッケージからなるQFP半導体装置の断面図、図2は、本発明の一実施例による放熱用フィンが取り付けられたセラミックパッケージからなるQFP半導体装置の平面図である。
【0023】本実施例において、半導体装置1は、たとえば、アルミナで形成されたセラミックパッケージ2によって形成されている。
【0024】このセラミックパッケージ2の上部の下面には半導体チップ(図示せず)が所定の接着剤によって固定されている。また、セラミックパッケージ2の四辺には、アウタリード3がロウ材などによって接着されており、このアウタリード3と半導体チップの電極部とは、ボンディングワイヤ(図示せず)によって電気的に接続されている。
【0025】さらに、セラミックパッケージ2の上面には、半導体チップから発生した熱を空気中に放散させる放熱用フィン(放熱手段)4を取り付けるスタッド5がロウ材などによって取り付けられている。
【0026】この放熱用フィン4は、たとえば、アルミニウムによって形成されており、スタッド5は、たとえば、銅とタングステンとの合金によって形成されている。
【0027】また、セラミックパッケージ2の上面のそれぞれの隅部の近傍には半導体装置固定用穴6が形成されている。この半導体装置固定用穴6は、セラミックパッケージ2を製造するときに、同時に、ビアパンチなどによって加工することにより設ける。
【0028】次に、放熱用フィン4をスタッド5に取り付ける場合には、半導体装置固定用治具(図示せず)に設けられている固定用のピンをセラミックパッケージ2に設けられた半導体装置固定用穴6に嵌合させることによって取り付ける。
【0029】そして、スタッド5のねじ穴に放熱用フィン4をねじ込み、ドライバーなどによって規定のトルクまで締めることにより固定する。
【0030】よって、放熱用フィン4が規定のトルクで締められても、セラミックパッケージ2が、半導体装置固定用穴6により固定されているので、セラミックパッケージ2の回転を防止することができる。また、これら4個の半導体装置固定用穴6によってセラミックパッケージ2にかかる圧力も分散される。
【0031】さらに、スタッド5に放熱用フィン4を圧力を加えることにより固定する場合でも、半導体装置固定用穴6がセラミックパッケージ2を確実に固定しており、セラミックパッケージ2に加わる圧力も4個の半導体装置固定用穴6によって分散される。
【0032】それにより、本実施例においては、セラミックパッケージ2を半導体装置固定用治具により確実に固定することができる。
【0033】また、4個の半導体装置固定用穴6によって、セラミックパッケージ2に加わる圧力を分散させることができ、セラミックパッケージ2の割れ、欠けおよびアウタリード3の変形などを防止することができる。
【0034】以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0035】たとえば、半導体装置搬送用のキャリアまたはトレイなどに所定の固定用ピンを設け、このピンに半導体装置固定用穴6を嵌合させることによって半導体装置が固定され、キャリアまたはトレイなどにアウタリード3を接触させることなく搬送させることができるので、搬送の振動や衝撃などによるアウタリード3の変形やずれなどを防止することもできる。
【0036】また、セラミックパッケージ2に設けられた半導体装置固定用穴は、図3に示すように、セラミックパッケージ2の下面側に半導体装置固定用穴6aを設けたり、図4に示すように、セラミックパッケージの上面から下面にかけて貫通するように半導体装置固定用穴6bを設けても効果は同様である。
【0037】さらに、本実施例では、セラミックパッケージ2に4個の半導体装置固定用穴6が設けられているが、半導体装置固定用穴の個数および形状は前記実施例以外でも良く、セラミックパッケージ2を確実に固定できるように2個以上の半導体装置固定用穴が設けられていればよい。
【0038】
【発明の効果】本願によって開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0039】(1)本発明によれば、パッケージに設けられた半導体装置固定用穴により、確実にパッケージを固定させることができる。
【0040】(2)また、本発明では、パッケージに設けられた半導体装置固定用穴により、パッケージに加わる圧力を分散させることができる。
【0041】(3)さらに、本発明においては、上記(1)および(2)により、放熱用フィンの取り付けによるセラミックパッケージの割れ、欠けおよびアウタリードの変形などを防止することができ、半導体装置に生産効率が良くなる。
【0042】(4)また、本発明では、搬送用のキャリアまたはトレイなどに所定の固定用ピンを設けることにより、搬送によるアウタリードの変形やずれなどを防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による放熱用フィンが取り付けられたセラミックパッケージからなるQFP形半導体装置の断面図である。
【図2】本発明の一実施例による放熱用フィンが取り付けられたセラミックパッケージからなるQFP形半導体装置の平面図である。
【図3】本発明の他の実施例による放熱用フィンが取り付けられたセラミックパッケージからなるQFP形半導体装置の断面図である。
【図4】本発明のその他の実施例による放熱用フィンが取り付けられたセラミックパッケージからなるQFP形半導体装置の断面図である。
【図5】本発明者が検討した放熱用フィンが取り付けられたセラミックパッケージからなるQFP形半導体装置の平面図である。
【符号の説明】
1 半導体装置
2 セラミックパッケージ
3 アウタリード
4 放熱用フィン(放熱手段)
5 スタッド
6 半導体装置固定用穴
6a 半導体装置固定用穴
6b 半導体装置固定用穴
30 セラミックパッケージ
31 アウタリード
32 放熱用フィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 パッケージの所定の箇所に、放熱手段を取り付けるために半導体装置を固定する半導体装置固定用治具のピンが嵌合される2個以上の半導体装置固定用穴が設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】 前記パッケージはセラミックパッケージであって、前記半導体装置固定用穴が、そのセラミックパッケージの上面または下面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】 前記パッケージはセラミックパッケージであって、前記半導体装置固定用穴が、そのセラミックパッケージの上面と下面とを貫通していることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】 前記パッケージはセラミックパッケージであって、前記半導体装置固定用穴が、そのセラミックパッケージの隅部の近傍に設けられたことを特徴とする請求項1,2または3記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平8−17981
【公開日】平成8年(1996)1月19日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−148844
【出願日】平成6年(1994)6月30日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000100997)アキタ電子株式会社 (41)