説明

半導体記憶デバイス及びその制御方法

【課題】不揮発性半導体メモリを搭載した半導体記憶デバイスの通常状態と待機状態との間を移行する速度が改善し、このデバイス全体の待機電力が低減する。
【解決手段】本発明の例に係わる半導体記憶デバイスは、メモリセルアレイと、メモリセルアレイにデータを送受信する際、一時的にデータを保持するラッチ型のセンスアンプ14とを有する不揮発性半導体メモリ11と、外部装置15からの命令を受信し、外部装置15から受信した命令に基づき前記不揮発性半導体メモリ11を制御するCPU18と、CPU18上で動作するファームフェアが管理するデータ及び命令コードを格納するSRAM20とを具備し、外部からの命令が一定期間無い場合、CPU18は、ファームウェアが管理するデータ及び命令コードをラッチ型のセンスアンプ14に格納させ、SRAM20への電源供給を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不揮発性半導体メモリを搭載した半導体記憶デバイス及び半導体記憶デバイスの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々ある半導体記憶デバイスの中には、例えば、NAND型不揮発性半導体メモリとコントローラとを備えたものがある。コントローラは、NAND型不揮発性半導体メモリを制御するCPUと、CPU上で動作するファームウェアがNAND型不揮発性半導体メモリ内管理データや論物アドレス(Logical address to Physical address:L2P)変換Table等のデータ及び命令コードを格納したSRAMと、CPUの常駐プログラムを格納するRAMとを含んでいる。また、NAND型不揮発性半導体メモリは、データを記憶するメモリセルアレイと、メモリセルアレイにデータを送受信する際、一時的にデータを保持するセンスアンプとを含んでいる。
【0003】
半導体記憶デバイスは、通常状態において常に電力を消費している。そのため、外部装置から一定期間内に命令を受信しない場合、消費電力を抑えるために待機状態となる(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、待機状態においても、データ保持のため、コントローラ内のメモリに電力を供給し続ける必要がある。
【0004】
この際、メモリによって生じる消費電力も低消費電力を実現する上では無視することができない。
【0005】
また、実用上の要請により通常状態と待機状態との間の移行がすばやくできることも必要不可欠である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−40609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、不揮発性半導体メモリを搭載した半導体記憶デバイスの通常状態と待機状態との間を移行する速度が改善し、このデバイス全体の待機電力が低減する技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例に係る半導体記憶デバイスは、メモリセルアレイと、前記メモリセルアレイにデータを送受信する際、一時的にデータを保持するラッチ型のセンスアンプとを有する不揮発性半導体メモリと、外部装置からの命令を受信し、前記命令に基づき前記不揮発性半導体メモリを制御するCPUと、前記CPU上で動作するファームウェアが管理するデータ及び命令コードを格納するSRAMとを具備し、前記外部装置からの命令が一定期間無い場合、前記CPUは、前記ファームウェアが管理するデータ及び命令コードを前記ラッチ型のセンスアンプに格納させ、前記SRAMへの電源供給を停止させる。
【0009】
本発明の例に係る半導体記憶デバイスの制御方法は、外部装置からの命令を受信し、前記命令に基づき前記不揮発性半導体メモリを制御するCPUと、前記CPU上で動作するファームウェアが管理するデータ及び命令コードを格納するSRAMと、データ転送を高速に行うよう制御されるDMACと、メモリセルアレイと、前記メモリセルアレイにデータを送受信する際、一時的にデータを保持するラッチ型のセンスアンプとを有する不揮発性半導体メモリとを具備し、前記CPUは、前記外部からの命令が一定期間あるか否かを判断し、前記外部からの命令が一定期間無かった場合、前記DMACに制御信号を送信し、前記制御信号を受信したDMACは、前記DMACの制御レジスタに前記ファームウェアが管理するデータ及び命令コードの転送元/転送先アドレス及び転送サイズを設定し、前記SRAM及び不揮発性半導体メモリに対しデータを送受信させるための信号を送信し、前記ファームウェアが管理するデータ及び命令コードをラッチ型のセンスアンプ内に転送し、前記転送が完了した信号を前記CPUに送信し、前記転送が完了した信号を受信したCPUは、前記SRAMへの電源供給を止める。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、不揮発性半導体メモリを搭載した半導体記憶デバイスの通常状態と待機状態との間を移行する速度が改善し、このデバイス全体の待機電力が低減する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】半導体記憶デバイスの構成を示すブロック図。
【図2】NAND型フラッシュメモリ内記憶領域の構成を示すブロック図。
【図3】半導体記憶デバイスが待機状態になる際の信号及びデータの流れを示す図。
【図4】半導体記憶デバイスが待機状態になるまでのフローチャート図。
【図5】半導体記憶デバイスが待機状態から復帰する際の信号及びデータの流れを示す図。
【図6】半導体記憶デバイスが復帰するまでのフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の例を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0013】
1. 概要
本発明の例において、通常状態と待機状態との間を移行するための時間を短縮し、且つ、半導体記憶デバイスにおける待機電力を低減する。
【0014】
具体的には、通常状態から待機状態に移行する際、SRAMに格納された、CPU上で動作するファームウェアが管理するL2Pテーブル等のデータ及び命令コードは、DMAC(Direct Memory Access Controller)を介して不揮発性半導体メモリ内に形成されるセンスアンプ内に格納される。その後、SRAMへの電力供給を止める。
【0015】
この際、不揮発性半導体メモリのセンスアンプに書き込む専用コマンドシーケンスに従うことで、センスアンプ内にファームウェアが管理するデータ及び命令コードを格納することができる。
【0016】
また、待機状態から通常状態に移行する際、SRAMへの電力を供給した後、センスアンプ内に格納されているファームウェアが管理するデータ及び命令コードは、DMACを介してSRAM内に格納される。
【0017】
この際、不揮発性半導体メモリ内のレジスタに格納されているセンスアンプから直接データを読み出す専用コマンドシーケンスに従うことで、センスアンプ内に格納された、ファームウェアが管理するデータ及び命令コードを直接読み出すことができる。
【0018】
センスアンプ内にファームウェアが管理するデータ及び命令コードが格納されることで、不揮発性半導体メモリのメモリセルアレイにファームウェアが管理するデータ及び命令コードを格納する場合と比較して、ファームウェアが管理するデータ及び命令コードが格納されるまでの時間及びセンスアンプ内に格納された、ファームウェアが管理するデータ及び命令コードをSRAMに格納するまでの時間を短縮できる。
【0019】
その結果、待機状態における半導体記憶デバイスの消費電力を抑えると共に、通常状態と待機状態との間を移行する時間が短縮される。
【0020】
更に、メモリセルアレイにファームウェアが管理するデータ及び命令コードを書き込まないため、メモリセルアレイの信頼性の低下が起こらない。
【0021】
2. 実施形態
図1は、本発明の半導体記憶デバイスの構成を示すブロック図である。図2は、不揮発性半導体メモリの一例であるNAND型フラッシュメモリ内記憶領域の構成を示すブロック図である。
【0022】
本発明の実施形態に係る半導体記憶デバイス10は、例えば、外部装置からのデータを記憶するNAND型フラッシュメモリ11と、NAND型フラッシュメモリを制御するコントローラ12とを有している。
【0023】
NAND型フラッシュメモリ11は、データを記憶しておくメモリセルアレイ13と、メモリセルアレイ13にデータを送受信する際に一時的にデータを保持するセンスアンプ14とから構成される。
【0024】
メモリセルアレイ13は、複数のブロックBK1,BK2、・・・BKjを有し、複数のブロックそれぞれは、マトリクス状に配置された複数のメモリセルを有している。また、複数のブロックそれぞれは、データの書き込み及び読み出しの基本単位であるページを複数有している。
【0025】
センスアンプ14は、ラッチ型のセンスアンプで構成され、外部から入力される物理アドレス毎に読み出し或いは書き込みデータを保持することが可能である。
【0026】
コントローラ12は、ホストコンピュータと接続される外部装置15に接続されるホストインターフェース16、NAND型フラッシュメモリへのデータ転送を制御するメモリインターフェース17、コントローラ12内各ブロック間の処理を一元管理しているCPU18、データ転送を高速に行うよう制御されるDMAC19、SRAM20及びCPU18の常駐プログラムを格納するRAM21、SRAM20へのデータ転送を制御するSRAMC22を有している。
【0027】
CPU18は、主にホストインターフェース16を介して外部装置15からデータを受信し、メモリインターフェース17を介してNAND型フラッシュメモリ11へ受信したデータを書き込む。逆に、外部装置15からの命令により、メモリインターフェース17を介してNAND型フラッシュメモリ11からデータを読み出し、ホストインターフェース16を介して外部装置15へ出力する。
【0028】
DMAC19は、転送元(Source側)から転送先(Destination側)へデータを送信するよう制御している。また、データ等が格納された転送元/先の開始アドレス及び転送サイズの設定情報を一時的に保持するための制御レジスタを有している。
【0029】
SRAM20は、CPU18上で動作するファームウェアが管理するデータ及び命令コードを格納している。例えば、外部装置15からアクセスされる論理アドレスに対するフラッシュメモリの物理アドレス対応(L2P)テーブルや物理ブロックへのWrite/Erase回数を管理するデータ及び外部装置15やNAND型フラッシュメモリ11へWrite/Read/Erase等のアクセスシーケンスやエラー処理などのプログラムが配置されている。
【0030】
SRAMC22は、DMACからのデータ転送要求に対してSRAM20へアクセスするタイミングに合わせて信号を制御する。ここで、制御される信号は、主にアドレス信号、データ信号、WEZ信号及びREZ信号である。
【0031】
メモリインターフェース17は、DMACからのデータ転送要求に対してNAND型フラッシュ11へアクセスするタイミングに合わせて信号を制御する。ここで制御される信号は、主にチップイネーブル信号、コマンドラッチ信号、アドレスラッチ信号、データ信号、WEZ信号及びREZ信号である。
【0032】
先ず、半導体記憶デバイスが通常状態から待機状態になるまでの実施形態について説明する。
【0033】
図3は、半導体記憶デバイスが通常状態から待機状態になる際の信号及びデータの流れを示している。
【0034】
外部装置15からの命令が一定期間受信されなかった場合、CPU18は、DMAC19の制御レジスタに対してSRAM20上のファームウェアが管理するデータ及び命令コードが格納されたアドレスを転送元(Source側)の開始アドレスに設定すると共に転送サイズを設定する。更に、転送先(Destination側)のメモリインターフェース17を介してNAND型フラッシュメモリ11内に配置されたセンスアンプ14にデータを書き込むよう
転送先の開始アドレスを設定する。
【0035】
その後、CPU18は、DMAC19に対して転送開始通知信号Dconを送信する。
【0036】
転送開始通知信号Dconを受信したDMAC19は、制御レジスタの設定に基づきSRAMC22に対して転送要求信号Dreq1及び転送元開始アドレス信号Daddr1を送信すると共に、メモリインターフェース17に対して転送要求信号Dreq2及び転送先開始アドレス信号Daddr2を送信する。
【0037】
転送元開始アドレス信号Daddr1を受信したSRAMC22は、SRAM20に対して開始アドレスを設定する。更に、転送要求信号Dreq1を受信したSRAMC22は、SRAM20に対して読み出し許可信号REZがアサートになるよう制御する。更に、SRAMC22が読み出し許可信号REZを受信したら、読み出し許可信号REZを元に生成されたアクノリッジ信号Dack1をDMAC19に対して送信する。
【0038】
転送先開始アドレス信号Daddr2を受信したメモリインターフェース17は、転送先開始アドレス信号からNAND型フラッシュメモリ11に対してアクセスする物理アドレスを生成する。更に、転送要求信号Dreq2を受信したメモリインターフェース17は、DMAC19に対してアクノリッジ信号Dack2を送信すると共に、アクノリッジ信号Dack2を送信するタイミングに合わせ、NAND型フラッシュメモリ11へ書き込み許可信号WEZを送信する。
【0039】
DMAC19が受信する、転送要求信号Dreq1に対するアクノリッジ信号Dack1及び転送要求信号Dreq2に対するアクノリッジ信号Dack2がそれぞれ独立してアクティブのとき、データバス上にデータが転送される。DMAC19は、SRAMC22を介し、共通のデータバスを経由してファームウェアが管理するデータ及び命令コードをセンスアンプ14内に転送する。この際、メモリインターフェース17経由でセンスアンプ14に書き込み専用コマンドシーケンスがNAND型フラッシュメモリ11へ送信されることにより、センスアンプ14にファームウェアが管理するデータ及び命令コードを格納させる。
【0040】
転送サイズ分、つまり、ファームウェアが管理するデータ及び命令コードの転送が完了したら、DMAC19は、転送要求信号Dreq1及びDreq2の送信を停止する。その後、CPU18に対して転送完了信号Dendを送信する。
【0041】
最後に、転送完了信号Dendを受信したCPU18は、SRAM20及びSRAMC22への電源供給を停止するよう制御する。その後、半導体記憶デバイス10は、通常状態から待機状態へと移行する。
【0042】
図4は、本発明の実施形態に係る半導体記憶デバイスの制御方法を示すフローチャート図である。ここでは、半導体記憶デバイスが待機状態になるまでの制御に係わる部分について示している。
【0043】
ステップS101において、ホストインターフェース16が外部装置15から一定期間命令を受信しているか、いないかを判断する。もし、ホストインターフェース16が外部装置15から一定期間内に命令を受信していた場合、命令受信待ちのステップに戻る。
【0044】
ステップS102において、外部装置15から一定期間命令を受信していなかった場合、ホストインターフェース16は、電源遮断処理開始を通知する制御信号をCPU18に対して送信する。
【0045】
ステップS103において、制御信号を受信したCPU18は、DMAC19の制御レジスタにSRAMのファームウェアが管理するデータ及び命令コードが格納されたアドレスを転送元(Source側)の開始アドレスに設定すると共に転送サイズを設定する。更に、転送先(Destination側)のメモリインターフェース17を介してNAND型フラッシュメモリ11内に配置されたセンスアンプ14にデータを書き込むよう設定する。
【0046】
ステップS104において、CPU18は、DMAC19に対して転送開始通知信号Dconを送信する。
【0047】
転送開始通知信号Dconを受信したDMAC19は、制御レジスタの設定に基づきDMAC19は、SRAMC22に対して転送要求信号Dreq1及び転送元開始アドレス信号Daddr1を送信すると共に、メモリインターフェース17に対して転送要求信号Dreq2及び転送先開始アドレス信号Daddr2を送信する。
【0048】
転送元開始アドレス信号Daddr1を受信したSRAMC22は、SRAM20に対して開始アドレスを設定する。更に、転送要求信号Dreq1を受信したSRAMC22は、SRAM20に対して読み出し許可信号REZがアサートになるよう制御する。更に、SRAMC22が読み出し許可信号REZを受信したら、読み出し許可信号REZを元に生成されたアクノリッジ信号Dack1をDMAC19に対して送信する。
【0049】
転送先開始アドレスDaddr2を受信したメモリインターフェース17は、転送先開始アドレス信号からNAND型フラッシュメモリ11に対してアクセスする物理アドレスを生成する。更に、転送要求信号Dreq2を受信したメモリインターフェース17は、DMAC19に対してアクノリッジ信号Dack2を送信すると共に、アクノリッジ信号Dack2を送信するタイミングに合わせ、NAND型フラッシュメモリ11へ書き込み許可信号WEZを送信する。
【0050】
更に、DMAC19が受信する、転送要求信号Dreq1に対するアクノリッジ信号Dack1及び転送要求信号Dreq2に対するアクノリッジ信号Dack2がそれぞれ独立してアクティブのとき、データバス上にデータが転送される。DMAC19は、SRAMC22を介し、共通のデータバスを経由してファームウェアが管理するデータ及び命令コードをセンスアンプ14へと転送する。この際、NAND型フラッシュメモリ11内のアクセスコマンドレジスタ内に格納されたセンスアンプ14への書き込み専用コマンドシーケンスを実行して、センスアンプ14にファームウェアが管理するデータ及び命令コードを格納させる。
【0051】
次に、制御レジスタに設定したサイズ分、つまり、ファームウェアが管理するデータ及び命令コードの転送が完了したら、DMAC19は、転送要求信号Dreq1及びDreq2の送信を停止し、その後、転送終了信号DendをCPU18に対して送信する。
【0052】
ステップS105において、転送終了信号Dendを受信したCPU18は、SRAM20への電力供給が停止するよう制御する。その後、半導体記憶デバイス10は、通常状態から待機状態へと移行する。
【0053】
本発明の特徴は、待機状態に入る際、専用コマンドシーケンスを用いてSRAMに格納された、CPU上で動作するファームウェアが管理するデータ及び命令コードをNAND型フラッシュメモリ内のセンスアンプに格納し、SRAMへの電源供給を停止することである。
【0054】
例えば、メモリセルアレイ内にファームウェアが管理するデータ及び命令コードを保持する場合、SRAMから読み出したファームウェアが管理するデータ及び命令コードを一度センスアンプに保持し、その後、メモリセルアレイ内にファームウェアが管理するデータ及び命令コードを書き込む必要がある。しかしながら、本発明において、センスアンプにファームウェアが管理するデータ及び命令コードを保持するため、センスアンプからメモリセルアレイ内にファームウェアが管理するデータ及び命令コードを書き込む時間が省略される。その結果、ファームウェアが管理するデータ及び命令コードをNAND型フラッシュメモリ内に格納するまでの時間が短縮され、半導体記憶デバイスが待機状態になるまでの時間が短縮されるという特徴を有する。
【0055】
更に、ファームウェアが管理するデータ及び命令コードは、DMACを介してセンスアンプ内に格納するため、DMACを介さずにセンスアンプ内に格納する場合と比較して高速に書き込めるという特徴も有する。
【0056】
また、待機時において、ファームウェアが管理するデータ及び命令コードをメモリセルアレイへ書き込む前にセンスアンプへ格納することにより、半導体記憶デバイス全体の消費電力が低減されるという特徴も有する。
【0057】
更に、メモリセルアレイにファームウェアが管理するデータ及び命令コードを書き込まないため、メモリセルアレイの信頼性の低下が起こらない。
【0058】
次に、半導体記憶デバイスが待機状態から復帰し、通常状態になるまでの実施形態について説明する。
【0059】
図5は、待機状態の半導体記憶デバイスに対して、外部装置からの命令を受信した場合において、待機状態から復帰する際の信号及びデータの流れを示している。
【0060】
待機状態となった後、外部装置から命令が再開した場合、CPU18は、SRAMに対して電源供給が再開されるよう制御する。
【0061】
更に、CPU18は、DMAC19の制御レジスタに対して転送元(Source側)のメモリインターフェース17を介してNAND型フラッシュメモリ内に配置されたセンスアンプ内に保持されているファームウェアが管理するデータ及び命令コードが格納されたアドレスを開始アドレスに設定すると共に転送サイズを設定する。更に、転送先(Destination側)のSRAMCを介してSRAMにデータを書き込むよう設定する。
【0062】
その後、CPU18は、DMAC19に対して転送開始通知信号Dconを送信する。
【0063】
次に、CPU18は、半導体記憶デバイスが待機状態から復帰するための転送開始通知信号DconをDMAC19に対して転送する。
【0064】
転送開始通知信号Dconを受信したDMAC19は、SRAMC22に対して転送要求信号Dreq1及び転送先開始アドレスDaddr1を送信すると共に、メモリインターフェース17に対して転送要求信号Dreq2及び転送元開始アドレスDaddr2を送信する。
【0065】
転送先開始アドレス信号Daddr1を受信したSRAMC22は、SRAM20に対して開始アドレスを設定する。更に、転送要求信号Dreq1を受信したSRAMC22は、SRAM20に対して書き込み許可信号WEZがアサートになるよう制御する。更に、SRAMC22が書き込み許可信号WEZを受信したら、書き込み許可信号WEZを元に生成されたアクノリッジ信号Dack1をDMAC19に対して送信する。
【0066】
転送元開始アドレスDaddr2を受信したメモリインターフェース17は、転送元開始アドレス信号からNAND型フラッシュメモリ11に対してアクセスする物理アドレスを生成する。更に、転送要求信号Dreq2を受信したメモリインターフェース17は、DMAC19に対してアクノリッジ信号Dack2を送信すると共に、アクノリッジ信号Dack2を送信するタイミングに合わせ、NAND型フラッシュメモリ11へ読み出し許可信号REZを送信する。
【0067】
DMAC19が受信する、転送要求信号Dreq1に対するアクノリッジ信号Dack1及び転送要求信号Dreq2に対するアクノリッジ信号Dack2がそれぞれ独立してアクティブのとき、データバス上にデータが転送される。DMAC19は、SRAMC22を介し、共通のデータバスを経由してセンスアンプ14内に格納されているファームウェアが管理するデータ及び命令コードをSRAM内に転送する。この際、NAND型フラッシュメモリ11内に格納されているアクセスコマンドレジスタ内にセンスアンプ14から直接データを読み出す専用コマンドシーケンスを内蔵させることでセンスアンプ14から直接ファームウェアが管理するデータ及び命令コードの読み出しを可能にしている。
【0068】
転送サイズ分、つまり、ファームウェアが管理するデータ及び命令コードの転送が完了したら、転送要求信号Dreq1及びDreq2の送信を停止する。
【0069】
転送終了後、DMAC19は、転送終了信号DendをCPU18に対して送信する。転送終了信号Dendを受信した後、CPU18は、ホストインターフェース16を介し、データ送受信が可能となったことを伝える信号を外部装置15に対して送信する。その後、半導体記憶デバイス10は、待機状態から復帰し通常状態へと移行する。
【0070】
図6は、本発明の実施形態に係る半導体記憶デバイスの制御方法を示すフローチャート図である。ここでは、半導体記憶デバイスが待機状態から復帰し通常状態へと移行するまでの制御に係わる部分について示している。
【0071】
ステップS201において、待機状態の半導体記憶デバイス10のホストインターフェース16は、外部装置15からの命令を受信する。
【0072】
ステップS202において、外部装置15からの命令を受信したホストインターフェース16は、CPU18に対して外部装置15から命令を受信したことを通知する制御信号を送信する。
【0073】
ステップS203において、制御信号を受信したCPU18は、SRAM20への電力供給を再開するよう制御する。
【0074】
ステップS204において、SRAMへの電力供給が再開された後、CPU18は、DMAC19の制御レジスタに対して転送元(Source側)のメモリインターフェース17を介してNAND型フラッシュメモリ11内に配置されたセンスアンプ14内に保持されているファームウェアが管理するデータ及び命令コードが格納されたアドレスを開始アドレスに設定すると共に転送サイズを設定する。更に、転送先(Destination側)のSRAMC22を介してSRAM20にデータを書き込むよう設定する。
【0075】
その後、CPU18は、DMAC19に対して転送開始通知信号Dconを送信する。
【0076】
次に、CPU18は、半導体記憶デバイス10が待機状態から復帰するための転送開始通知信号DconをDMAC19に対して転送する。
【0077】
ステップS205において、CPU18は、半導体記憶デバイス10が待機状態から復帰するための転送開始通知信号DconをDMAC19に対して送信する。
【0078】
転送開始通知信号Dconを受信したDMAC19は、制御レジスタの設定に基づいてSRAMC22に対して転送要求信号Dreq1及び転送先開始アドレスDaddr1を送信すると共に、メモリインターフェース17に対して転送要求信号Dreq2及び転送元開始アドレスDaddr2を送信する。
【0079】
転送先開始アドレス信号Daddr1を受信したSRAMC22は、SRAM20に対して開始アドレスを設定する。更に、転送要求信号Dreq1を受信したSRAMC22は、SRAM20に対して書き込み許可信号WEZがアサートになるよう制御する。更に、SRAMC22が書き込み許可信号WEZを受信したら、書き込み許可信号WEZを元に生成されたアクノリッジ信号Dack1をDMAC19に対して送信する。
【0080】
転送元開始アドレスDaddr2を受信したメモリインターフェース17は、転送元開始アドレス信号からNAND型フラッシュメモリ11に対してアクセスする物理アドレスを生成する。更に、転送要求信号Dreq2を受信したメモリインターフェース17は、DMAC19に対してアクノリッジ信号Dack2を送信すると共に、アクノリッジ信号Dack2を送信するタイミングに合わせ、NAND型フラッシュメモリ11へ読み出し許可信号REZを送信する。
【0081】
DMAC19が受信する、転送要求信号Dreq1に対するアクノリッジ信号Dack1及び転送要求信号Dreq2に対するアクノリッジ信号Dack2がそれぞれ独立でアクティブのとき、データバス上にデータが転送される。SRAM20は、共通のデータバスを経由してメモリインターフェース17からSRAMC22を介してセンスアンプ14内に格納されるファームウェアが管理するデータ及び命令コードをSRAM20へと転送する。この際、NAND型フラッシュメモリ11内のアクセスコマンドレジスタ内に格納された専用コマンドシーケンスによって、センスアンプ14から直接読み出すことを可能にしている。
【0082】
次に、設定したサイズ分、つまり、ファームウェアが管理するデータ及び命令コードの転送が完了したら、SRAMC22へのDreq1送信及びメモリインターフェース17へのDreq2送信を停止し、転送終了信号DendをCPU18に対して送信する。
【0083】
ステップS206において、転送終了信号Dendを受信した後、CPU18は、ホストインターフェース16を介し、データ送受信が可能となったことを伝える信号を外部装置15に対して送信する。その後、半導体記憶デバイス10は、待機状態から復帰し通常状態へと移行する。
【0084】
本発明の特徴は、待機状態から通常状態へと復帰する際、NAND型フラッシュメモリのアクセスコマンドレジスタ内に格納されている専用コマンドシーケンスを用いて、センスアンプ内に格納された、CPU上で動作するファームウェアが管理するL2PTable等のデータ及び命令コードをSRAMへと転送できることである。
【0085】
例えば、メモリセルアレイ内にファームウェアが管理するデータ及び命令コードを格納する場合、ファームウェアが管理するデータ及び命令コードを一度センスアンプに読み出した後、SRAMにファームウェアが管理するデータ及び命令コードを送信する必要がある。しかしながら、本発明において、センスアンプにファームウェアが管理するデータ及び命令コードを保持し、センスアンプからファームウェアが管理するデータ及び命令コードを直接読み出す専用コマンドを用いてSRAMへファームウェアが管理するデータ及び命令コードを転送できる。そのため、メモリセルアレイからセンスアンプへの読み出し時間が省略することが可能となる。その結果、ファームウェアが管理するデータ及び命令コードをSRAM内に格納するまでの時間が短縮され、半導体記憶デバイスが復帰するまでの時間が短縮されるという特徴を有する。
【0086】
更に、DMACを介してファームウェアが管理するデータ及び命令コードをSRAM内に格納するため、DMACを介さないでSRAM内に格納する場合と比較して高速に書き込めるという特徴も有する。
【0087】
3. 適用例
本発明の実施形態は、半導体記憶デバイスを搭載した、例えば、USBフラッシュメモリ、SDカード及びSSDに適用することが出来る。
【0088】
4. むすび
本発明によれば、不揮発性半導体メモリを搭載した半導体記憶デバイスの通常状態と待機状態との間を移行する速度が改善し、このデバイス全体の待機電力が低減する。
【0089】
本発明の例は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10: 半導体記憶デバイス、 11: NAND型フラッシュメモリ、 12: コントローラ、 13: メモリセルアレイ、 14: センスアンプ、 15: 外部装置、 16: ホストインターフェース、 17: メモリインターフェース、 18: CPU、 19: DMAC、 20:SRAM、 21: RAM、 22: SRAMC。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルアレイと、前記メモリセルアレイにデータを送受信する際、一時的にデータを保持するラッチ型のセンスアンプとを有する不揮発性半導体メモリと、外部装置からの命令を受信し、前記命令に基づき前記不揮発性半導体メモリを制御するCPUと、前記CPU上で動作するファームフェアが管理するデータ及び命令コードを格納するSRAMとを具備し、
前記外部装置からの命令が一定期間無い場合、前記CPUは、前記ファームウェアが管理するデータ及び命令コードを前記ラッチ型のセンスアンプに格納させ、前記SRAMへの電源供給を停止させることを特徴とする半導体記憶デバイス。
【請求項2】
前記SRAMへの電源供給を停止した後に前記外部装置からの命令を前記CPUが受信した場合、前記CPUは、前記SRAMに対して電源を供給させ、前記ファームウェアが管理するデータ及び命令コードを前記SRAMに格納することを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶デバイス。
【請求項3】
前記SRAMと前記ラッチ型のセンスアンプとの間で前記ファームウェアが管理するデータ及び命令コードを送受信する際、データ転送を高速に行うよう制御されるDMACを介して行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体記憶デバイス。
【請求項4】
外部装置からの命令を受信し、前記命令に基づき前記不揮発性半導体メモリを制御するCPUと、前記CPU上で動作するファームウェアが管理するデータ及び命令コードを格納するSRAMと、データ転送を高速に行うよう制御されるDMACと、メモリセルアレイと、前記メモリセルアレイにデータを送受信する際、一時的にデータを保持するラッチ型のセンスアンプとを有する不揮発性半導体メモリとを具備し、
前記CPUは、前記外部からの命令が一定期間あるか否かを判断し、前記外部からの命令が一定期間無かった場合、前記DMACに制御信号を送信し、前記制御信号を受信したDMACは、前記DMACの制御レジスタに前記ファームウェアが管理するデータ及び命令コードのアドレス及びサイズを設定し、前記SRAM及び不揮発性半導体メモリに対しデータを送受信させるための信号を送信し、前記ファームウェアが管理するデータ及び命令コードをラッチ型のセンスアンプ内に転送し、前記転送が完了した信号を前記CPUに送信し、前記転送が完了した信号を受信したCPUは、前記SRAMへの電源供給を止めることを特徴とする半導体記憶デバイスの制御方法。
【請求項5】
前記SRAMの電源供給を止めた後、前記外部装置からの命令を前記CPUが受信した場合、前記CPUは、前記SRAMへの電源供給を再開し、前記DMACに制御信号を送信し、前記制御信号した前記DMACは、前記DMACの制御レジスタ内に転送するデータのアドレス及びサイズを設定し、前記SRAM及び不揮発性半導体メモリに対しデータを送受信させるための信号を送信し、前記ファームウェアが管理するデータ及び命令コードをラッチ型のセンスアンプ内に転送し、前記転送が完了した信号を前記CPUに送信し、前記転送が完了した信号を受信したCPUは、前記外部装置に対し、データの送受信が可能となったことを知らせる信号を送信することを特徴とする半導体記憶デバイスの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−198127(P2010−198127A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39811(P2009−39811)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】