説明

半導体記憶装置

【課題】ファイル管理が容易なUSBメモリ1を提供する。
【解決手段】ホスト機器2と接続するためのUSB端子部14と、NANDメモリ10、および、NANDメモリ10に記憶するデータの管理を行うプロセッサモジュール13が内蔵された本体部11と、本体部11とUSB端子部14との相対位置を可変する回転部12と、を有し、プロセッサモジュール13は、相対位置に応じて、ホスト機器2のNANDメモリ10へのアクセスの管理を行うアクセス管理モードを、第1のアクセス管理モードまたは第2のアクセス管理モードのいずれかのモードに切り替え、第1のアクセス管理モードで記憶されたデータは第2のアクセス管理モードではホスト機器2からアクセス不可能であり、かつ、第2のアクセス管理モードで記憶されたデータは第1のアクセス管理モードではホスト機器2からアクセス不可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関し、特に、ホスト機器と接続するための外部接続部と、ホスト機器のデータを記憶する半導体メモリ部が内蔵された本体部と、を有する半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体記憶装置、特に、不揮発性の記憶媒体であるフラッシュメモリにデータを記憶する半導体記憶装置の開発が行われ、パーソナルコンピュータ、携帯電話またはデジタルカメラ等のホスト機器の補助記憶装置として普及している。ホスト機器が扱うデータが大容量化したことに伴い、フラッシュメモリの大容量化および高密度化も進んでいる。その中でも、近年、NAND型フラッシュメモリが、特に多く用いられている。
【0003】
NAND型フラッシュメモリは、電荷蓄積層に絶縁膜を介して注入した電荷をデジタルビットの情報として用い、その電荷量に応じたトランジスタの閾値電圧変化を測定し、情報を読み出す。
【0004】
このNAND型フラッシュメモリを使用した可搬性に優れた小型の半導体記憶装置として、パーソナルコンピュータ等で多く利用されているUSBメモリ装置(以下、「USBメモリ」という。)を例示することができる。
【0005】
例えば、登録実用新案第3118657号公報には、USB伝送インタフェースと、またはSD伝送インタフェース、MMC伝送インタフェース等の伝送インタフェースなどを含むマルチメモリカード伝送インタフェースと信号のアクセスを行う可変式USBメモリが開示されている。
【0006】
USBメモリの大容量化のため、ユーザは、1つのUSBメモリに大量の数のファイルを保存することが可能になった。ここで、USBメモリに保存するデータは、保存後、削除せずに何回も利用するデータと、一時的に利用して利用後は削除しても問題ないデータとの2種類に大きく分類できる。例えば、データの受け渡しのために、USBメモリに保存するデータは、一時的に利用して、利用後は削除しても問題ないデータである。しかし、ユーザは、USBメモリの残り保存可能容量が十分にあるため、削除しても問題ないデータ、言い替えれば、不要データであっても、USBメモリから削除しない場合が多い。すると、USBメモリに不要データが蓄積されてしまう。
【0007】
1つのUSBメモリに多数のファイルが保存されていると、ユーザは保存されている多数のファイルの中から所望のファイルを探し出すのが困難となる。また、1つのUSBメモリに多数のファイルが保存されていると、ユーザは、それぞれのファイルが必要ファイルか不要ファイルかの判断が困難となる。特に保存後時間が経過したファイルは要・不要の判断が困難であり、ユーザは、不要ファイルを削除できなかったり、誤って必要ファイルを削除してしまったりする可能性があった。さらに、不要ファイルを探し出し、削除するという作業はユーザにとり繁雑な作業であった。
【0008】
一方、他の人とのデータの受け渡しのためにUSBメモリを利用する場合も多い。その場合、USBメモリに空き容量が十分にあったとしても、すでに他のデータが保存されているUSBメモリに、受け渡しデータを保存し、他の人が使用しているホスト機器とUSBメモリを接続することは、情報漏洩の可能性があり好ましくない。すなわち、他人が使用しているホスト機器と接続する際には、全く他のデータが保存されていないUSBメモリに、受け渡しデータを保存することが好ましい。しかし、このためには、ユーザは、USBメモリに保存されているデータをすべて削除する必要があった。
【特許文献1】登録実用新案第3118657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ファイル管理が容易な半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の一態様の半導体記憶装置は、ホスト機器と接続するための外部接続部と、半導体メモリ部、および、半導体メモリ部に記憶するデータの管理を行うプロセッサモジュールが内蔵された本体部と、本体部と外部接続部との相対位置を可変する可動部と、を有し、プロセッサモジュールは、相対位置に応じて、ホスト機器の半導体メモリ部へのアクセスの管理を行うアクセス管理モードを、第1のアクセス管理モードまたは第2のアクセス管理モードのいずれかのモードに切り替え、第1のアクセス管理モードで記憶されたデータは第2のアクセス管理モードではホスト機器からアクセス不可能であり、かつ、第2のアクセス管理モードで記憶されたデータは第1のアクセス管理モードではホスト機器からアクセス不可能であることを特徴とする半導体記憶装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ファイル管理が容易な半導体記憶装置を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリ1について説明する。図1は本実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリの使用形態を説明するための説明図であり、図2は本実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリの構成を示すブロック図である。
【0013】
図1および図2に示すように、USBメモリ1は、ホスト機器2と接続するための外部接続部であるUSB(Universal Serial Bus)規格のインタフェース用信号端子部(以下「USB端子部」という。)14を有する。なお、USB端子部14は、電気的接続のための端子部だけでなく、端子保護およびホスト機器2との物理的接続のための、外装部材を有している。そして、USBメモリ1は、ホスト機器2からのデータを記憶する半導体メモリ部であるNANDメモリ10、および、NANDメモリ10に記憶するデータの管理を行うプロセッサモジュール13が内蔵された本体部11を有する。なお、後述するように、本実施の形態のUSBメモリにおいては、NANDメモリ10は2つのデータ記憶領域を有し、プロセッサモジュール13が切り替え処理を行うアクセス管理モード(以下、単に、「モード」または「管理モード」という。)に基づいて、どちらのデータ記憶領域にアクセス可能であるかが設定される。
【0014】
そして、図1に示すように、USBメモリ1は、外部接続部であるUSB端子部14と本体部11との接続部分に可動部である回転部12を有する。このため、USBメモリ1は、USB端子部14と本体部11とが回転可能、言い替えれば、USB端子部14と本体部11との相対位置である相対角度が回転により可変である。
【0015】
すなわち、USBメモリ1では、直方体形状の本体部11の長軸方向(図1:L方向)の軸に対して、USB端子部14が回転可能である。ここで、直方体形状とは、すべての面が長方形あるいは長方形と正方形とで構成される六面体であるが、完全な直方体ではなく、デザイン上、あるいは、取り扱い性を向上するために、角や面に丸みを付けたり、略台形状の面を有していても良い。また、回転部12は、配設される本体部11の面の中央に配設されていなくともよい。
【0016】
そして、本体部11のUSB端子部14形成面には、管理モードを切り替えるスイッチ部9が配設されている。管理モードについては、後に詳述する。スイッチ部9は、USB端子部14と本体部11との相対位置の変化、言い替えれば、USB端子部14の回転に対応して、開放状態または押圧状態のいずれかの状態に切り替わる。
【0017】
すなわち、USBメモリ1では、通常の状態(相対角度0度)、で利用する場合は、図1(A)に示すように、スイッチ部9が押圧状態となる。これに対して、図1(B)に示すように、本体部11をUSB端子部14に対して90度回転し、相対角度を90度にすると、スイッチ部9が開放状態の非押圧状態となる。ユーザは、USB端子部14と本体部11との相対位置を回転により変化させるだけで、スイッチ部9の状態を切り替えることができる。そして、プロセッサモジュール13は、スイッチ部9の状態により、管理モードの切り替えを行う。すなわち、プロセッサモジュール13は、スイッチ部9が押されているときには第1のアクセス管理モード(以下「第1のモード」という。)に切り替えてホスト機器2の半導体メモリ部であるNANDメモリ10へのアクセスを管理し、スイッチ部9が押されていないときは第2のアクセス管理モード(以下「第2のモード」という。)に切り替えて管理する。
【0018】
さらに、USBメモリ1では、USB端子部14と本体部11との相対角度が90度変化するため、図1に示すように、ホスト機器2と接続された際のUSBメモリ1の外観が大きく変化する。このため、USBメモリ1では、ユーザが、スイッチ部9の状態を確実に認識できる。
【0019】
なお、上記説明ではUSBメモリ1が、USB端子部14と本体部11との相対位置が回転により90度可変な回転部12を有し、相対位置が0度の場合に、スイッチ部9が押圧状態、90度の場合に非押圧状態となる例を示した。しかし、USBメモリ1が、USB端子部14と本体部11との相対位置を回転により180度可変な回転部を有し、相対位置が0度の場合に、スイッチ部9が押圧状態、180度の場合に非押圧状態となるようにしてもよい。
【0020】
また、可動部が回転部12でなく、本体部11の一面に配設されたUSB端子部14が、配設面上をスライド移動可能なスライド移動部であってもよい。さらには、可動部が、本体部11の一面に配設されたUSB端子部14が、前記配設面に対して90度折れ曲がる折曲部であってもよい。
すなわち、可動部は、本体部11とUSB端子部14との、相対位置が可変できればよく、可動部の構造等は公知の可動構造から選択して使用することができる。
【0021】
また、上記説明のUSBメモリ1では、スイッチ手段は、本体部11に配設されたスイッチ部9が、USB端子部14の回転により物理的に押圧状態となるスイッチ手段を例示したが、これに限られるものではない。すなわち、スイッチ手段としては、光センサ、磁気センサ等の非接触検知可能なセンサも用いることができる。また、スイッチ手段は、回転部12内に収納され外部からは観察されない位置に配設されていてもよい。
【0022】
次に図2を用いて、USBメモリ1の構成について説明する。
すでに説明したように、USBメモリ1は、ホスト機器2とUSB規格のインタフェースを介してデータを送受信する。USB規格には、USB Mass Storage Class(USBマスストレージクラス)という補助記憶装置をホスト機器2に接続するための仕様があり、このクラスに対応した機器およびオペレーティングシステムであれば、ホスト機器2にドライバをインストールする必要がなく、標準機能でUSBバスを介して接続された機器を記憶装置として認識することができる。この仕組みを用いた半導体記憶装置が、USBメモリである。
【0023】
そして、本実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリ1では、データの管理、言い換えれば、ホスト機器2のNANDメモリ10へのアクセス管理、を行う管理モードを2種類有しており、USBメモリ1は、第1のモードまたは第2のモードのいずれかの管理モードで動作する。そして、プロセッサモジュール13が、スイッチ部9の状態により、ホスト機器2のNANDメモリ10へのアクセスの管理を行うアクセス管理モードを切り替えるために、第1のモードにおいて記憶されたデータは第2のモードではホスト機器2からアクセス不可能であり、かつ、第2のモードにおいて記憶されたデータは第1のモードではホスト機器2からアクセス不可能である。
【0024】
USB端子部14は、4本の端子、すなわち、電源端子としてのVBUS(+VDD)端子18と、データ端子であるDATA+端子16および、DATA−端子17の2本の端子と、グランド端子のGND端子15を有する。
【0025】
プロセッサモジュール13はUSBメモリ1の主制御部をなすコントローラ19と、ワークバッファメモリとして使用されるSRAM2と2、制御プログラムが格納されているROM20と、USB端子部14と通信するUSBIOインタフェース23と、NANDメモリ10とのインタフェースをなすメモリインタフェース24と、スイッチ部9の値を確認するモード確認手段21と、前回電源が投入されたときの管理モードを保持するモード保存手段25とから構成されている。
【0026】
プロセッサモジュール13は、NANDメモリ10に記憶するデータをFAT(File Allocation Tables)ファイルシステムにより管理している。そして、図1に示すように、プロセッサモジュール13が管理するNANDメモリ10では、通常のFATファイルシステムで管理されているNANDメモリが有する、ファイルにアクセスするためのファイルシステムフォーマットのパーティションテーブル31と、ブートセクタ32と、FAT1とFAT2とからなるFAT領域33と、ルートディレクトリ(以下「RD」ともいう。)領域34と、データエリア35との6つの領域に加えて、通常のFATファイルシステムで管理されているNANDメモリにはない第1のRD保存領域であるRD保存領域A(36)と、第2のRD保存領域であるRD保存領域B(37)とを有する。このうち、RD保存領域A(36)とRD保存領域B1(37)はホスト機器2からはアクセスすることができず、プロセッサモジュール13のみが、アクセスが可能な領域である。ホスト機器2からアクセスすることができないとは、ホスト機器2からは、少なくとも、当該ファイルの内容、すなわち、データが認識できない状態を意味する。
【0027】
ここで、ルートディレクトリ領域34のデータとは、データエリア35に保存されているファイルのデータが、データエリア35のどこに保存されているかを示す情報である。また、FAT2はFAT1のバックアップデータである。
【0028】
そして、モード確認手段21は、本体部11とUSB端子部14との相対位置に応じて、すなわち、スイッチ部9が押されている状態の場合は管理モードが第1のモードであり、スイッチ部9が押されていない状態の場合は管理モードが第2のモードということを判断し、コントローラ19へ伝える。コントローラ19は管理モードに応じて、NANDメモリ10内の初期データを変更する。
【0029】
モード保存手段25は前回アクセスしたとき、すなわち、USBメモリ1がホスト機器2と接続されたときの管理モードを保存する。モード保存手段25は、USBメモリ1内部の初期化処理がすべて終わったあとに、モード確認手段21から設定されている管理モードの情報を取得し保存する。
【0030】
また、プロセッサモジュール13は、管理モードが第1のモードの場合のルートディレクトリ領域34のデータを第1のRD保存領域36に、管理モードが第2のモードの場合のルートディレクトリ領域34のデータを第2のRD保存領域37に保存する。プロセッサモジュール13は起動時にモード確認手段が確認した管理モードの情報をもとに、第1のRD保存領域36または第2のRD保存領域37のデータをルートディレクトリ領域34にコピーする。
【0031】
USBメモリ1では、NANDメモリ10のデータエリアを第1のモードと第2のモードとで共通に利用し、管理モードによりユーザが利用可能なデータ、すなわち、ホスト機器2からアクセス可能なデータが切り替わる。
また、上記説明では、スイッチ部9が押されているときを第1のモード、スイッチ部9が押されていないときを第2のモードとしているが、スイッチ手段の設定は、これに限ったものでなく、第1のモードと第2のモードとが区別できるようになっていればよい。
【0032】
次に、図3を用いて、起動時のUSBメモリ1の動作について説明する。図3は本実施の形態のUSBメモリの起動時の動作について説明するための表である。
【0033】
(A) 前管理モード、すなわち前回、USBメモリ1がホスト機器2と接続したときの管理モード、が第1のモードで、かつ、現管理モード、すなわち、起動時の管理モード、が第1のモードの場合、プロセッサモジュール13は、特別な動作は行わない。すると、ホスト機器2は、第2のモードで記憶されたデータにアクセスできないばかりでなく、その存在も認識できない一方で、第1のモードで記憶されたデータにはアクセスが可能であり、第1のモードでNANDメモリ10に新規にデータを記憶できる。また、第1のモードおよび第2のモードの、それぞれのルートディレクトリ領域のデータは保存される。
【0034】
(B) 前管理モードが第1のモードで、現管理モードが第2のモードの場合、起動時のルートディレクトリ領域34には第1のモードのときのデータが保存されている。このため、プロセッサモジュール13は、ルートディレクトリ領域34のデータを第1のRD保存領域36に書き込む。次にプロセッサモジュール13は第2のRD保存領域37のデータをルートディレクトリ領域34に書き込む。これによりルートディレクトリ領域34のデータが第1のモードのルートディレクトリデータから第2のモードのルートディレクトリデータに書き換わる。すると、ホスト機器2は、第1のモードで記憶されたデータにアクセスできないばかりでなく、その存在も認識できない一方で、第2のモードで記憶されたデータにはアクセスが可能であり、第2のモードでNANDメモリ10に新規にデータを記憶できる。
【0035】
このとき、第1のモードのルートディレクトリデータは第1のRD保存領域36に保存されるため、次回の起動時に管理モードを第1のモードにした場合には、ユーザはホスト機器2から第1のモードで記憶されたデータにアクセスが可能となる。
【0036】
(C) 前管理モードが第2のモードで、現管理モードが第1のモードの場合、現在のルートディレクトリ領域34には第2のモードのときのデータが保存されている。このため、プロセッサモジュール13は、ルートディレクトリ領域34のデータを第2のRD保存領域37に書き込む。次に、プロセッサモジュール13は、第1のRD保存領域36のデータをルートディレクトリ領域34に書き込む。これによりルートディレクトリ領域34のデータが第2のモードのルートディレクトリデータから第1のモードのルートディレクトリデータに書き換わる。すると、ホスト機器2は、第2のモードで記憶されたデータにアクセスできないばかりでなく、その存在も認識できない一方で、第1のモードで記憶されたデータにはアクセスが可能であり、第1のモードでNANDメモリ10に新規にデータを記憶できる。
【0037】
このとき、第2のモードのルートディレクトリデータは第2のRD保存領域37に保存されるため、次回の起動時に、管理モードを第2のモードにした場合には、ユーザはホスト機器2から第2のモードで記憶されたデータにアクセスが可能となる。
【0038】
(D) 前管理モードが第2のモードで、かつ、現管理モードが第2のモードの場合、プロセッサモジュール13は、特別な動作は行わない。すると、ホスト機器2は、第1のモードで記憶されたデータにアクセスできないばかりでなく、その存在も認識できない一方で、第2のモードで記憶されたデータにはアクセスが可能であり、第2のモードでNANDメモリ10に新規にデータを記憶できる。また、第1のモードおよび第2のモードのルートディレクトリ領域のデータは、それぞれ保存される。
【0039】
次に、図4を用いて、USBメモリ1の起動時の動作の流れを説明する。図4は、本実施の形態のUSBメモリの起動時の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【0040】
<ステップS11>
USBメモリ1がホスト機器に接続され、電源が投入されると、プロセッサモジュール13内の初期化処理およびNANDメモリ10の初期化処理等が行われる。
【0041】
<ステップS12>
次に、プロセッサモジュール13は、スイッチ部9の状態をモード確認手段21にて確認し、現管理モードの情報を取得する。
【0042】
<ステップS13>
次に、プロセッサモジュール13は、モード保存手段25に保存されている前管理モードの情報を取得する。
【0043】
<ステップS14、ステップS15> 図3(A)の場合
前管理モードが第1のモードで(S14、Yes)、かつ、現管理モードが第1のモード(S15、Yes)の場合、USBメモリ1の動作においては、前回と同じルートディレクトリを利用できる。このため、プロセッサモジュール13は特別な処理は行わない。すると、ホスト機器2は第1のモードで記憶されたデータにアクセスが可能となり、第1のモードでNANDメモリ10に新規にデータを記憶できる。
【0044】
<ステップS14、ステップS15> 図3(B)の場合
前管理モードが第1のモードで(S14、Yes)、かつ、現管理モードが第2のモード(S15、No)の場合、起動時のルートディレクトリ領域34に保存されているデータは第1のモードのデータである。
【0045】
<ステップS16>
プロセッサモジュール13はルートディレクトリ領域34のデータを第1のRD保存領域36に書き込む。
【0046】
<ステップS17>
プロセッサモジュール13は、ホスト機器2が、第2のモードで記憶されたデータへアクセス可能にするため、第2のRD保存領域37のデータをルートディレクトリ領域34に書き込む。これにより、ルートディレクトリ領域34のデータが第1のモードのデータから、第2のモードのデータに書き換わる。このため、ホスト機器2は、第1のモードのときに記憶したデータを認識できなくなり、第2のモードのときに記憶したデータにはアクセス可能となり、第2のモードでNANDメモリ10に新規にデータを記憶できる。
【0047】
<ステップS14、ステップS18> 図3(C)の場合
前管理モードが第2のモードで(S14、No)、かつ、現管理モードが第1のモード(S18、Yes)の場合、起動時にルートディレクトリ領域34に保存されているデータは第2のモードで記憶されたデータである。
【0048】
<ステップS19>
プロセッサモジュール13は、ルートディレクトリ領域34のデータを第2のRD保存領域37に書き込む。
【0049】
<ステップS20>
プロセッサモジュール13は、ホスト機器2が、第1のモードで記憶されたデータをアクセス可能にするため、第1のRD保存領域36のデータをルートディレクトリ領域34に書き込む。これにより、ルートディレクトリ領域34のデータが第2のモードのデータから、第1のモードのデータに書き換わる。このため、ホスト機器2は、第2のモードのときに記憶したデータは認識できなくなり、第1のモードのときに記憶したデータにはアクセス可能となり、第1のモードでNANDメモリ10に新規にデータを記憶できる。
【0050】
<ステップS14、ステップS18> 図3(D)の場合
前管理モードが第2のモードで(S14、No)、かつ、現管理モードが第2のモード(S18、No)の場合、USBメモリ1は、前回の起動時と同じルートディレクトリを利用できる。このため、プロセッサモジュール13は特別な処理は行わない。すると、ホスト機器2は第2のモードで記憶されたデータにアクセスが可能となり、第2のモードでNANDメモリ10に新規にデータを記憶できる。
【0051】
上記説明のように、USBメモリ1では、プロセッサモジュール13は、データをFATファイルシステムにより管理し、管理モードに応じて、RD保存領域36または37に保存されていたデータに、ルートディレクトリ領域34のデータを切り替える。このため、USBメモリ1は、ホスト機器2からアクセス可能なデータを簡単に切り替えることが可能である。
【0052】
このため、例えば、ユーザは、管理モードが第1のモードを一時保存データを保存するモードとし、第2のモードを長期保存データを保存するモードとして使い分けることができる。あるいは、ユーザは、他の人とのデータの受け渡しの際には、第1のモードを使用するように予め決めておけば、他の人が使用しているホスト機器と接続しても第2のモードで記憶しておいたデータが情報漏洩する可能性はない。
【0053】
また、USBメモリ1においては、USB端子部14と本体部11との相対位置を回転により変化させるだけで、管理モードを切り替えることができ、さらに、ホスト機器2と接続された際のUSBメモリ1の外観によりユーザが、管理モードを確実に認識できる。
【0054】
以上の説明のように、本実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリ1は、ホスト機器2と接続するための外部接続部であるUSB端子部14と、第1のデータ記憶領域と第2のデータ記憶領域とを有する半導体メモリ部、および、前記半導体メモリ部に記憶するデータの管理を行うプロセッサモジュールが内蔵された本体部と、前記本体部と前記外部接続部との相対位置を可変する可動部と、を有し、前記プロセッサモジュールは、前記相対位置に応じて、前記ホスト機器がアクセス可能な前記データ記憶領域が異なる管理モードを、第1のモードまたは第2のモードのいずれかのモードに切り替えることを特徴とする半導体記憶装置である。そして、前記第1のモードで前記第1のデータ記憶領域に記憶された前記データは前記第2のモードでは前記ホスト機器からアクセス不可能であり、かつ、前記第2のモードで前記第2のデータ記憶領域に記憶された前記データは前記第1のモードでは前記ホスト機器からアクセス不可能である。
【0055】
本実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリ1は、ファイル管理が容易で、ユーザの利便性が高い半導体記憶装置である。
【0056】
なお、上記説明では、USBメモリ1が、それぞれの管理モードに応じたルートディレクトリ領域34のデータを、それぞれのRD保存領域に保存する場合を例示したが、USBメモリ1は、ルートディレクトリ領域34だけでなく、それぞれの管理モードに応じたFAT領域33のデータ等もルートディレクトリ領域34のデータとともに保存してもよい。
【0057】
<第2の実施の形態>
以下、図面を参照して、本発明の第2の実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリ1Bについて説明する。図5は本実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリの構成を示すブロック図である。USBメモリ1Bは、第1の実施の形態のUSBメモリ1と類似しているため、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0058】
第1の実施の形態のUSBメモリ1では、スイッチ部9により管理モードが切り替わっても、NANDメモリ10Bに記憶されたデータは保存されていた。これに対して、本実施の形態のUSBメモリ1Bでは、管理モードが第2のモードから第1のモードへ切り替わった場合に、第2のモードで記憶したデータが自動的に消去される。すなわち、USBメモリ1Bでは、ユーザは、第2のモードを、一時保管データを記憶する場合の管理モードとして使用する。
【0059】
図5に示すように、USBメモリ1Bでは、第1の実施の形態のUSBメモリ1と比較すると、NANDメモリ10Bに、第2のRD保存領域37の代わりにFAT保存領域38を有する。このFAT保存領域38は第1のモードの場合のFAT領域33のデータを保存する領域であり、管理モードが第2のモードへ移った場合に、プロセッサモジュール13Bは、FAT領域33のデータをFAT保存領域38へ書き込む。また、管理モードが第2のモードから第1のモードへ戻った場合に、プロセッサモジュール13Bは、FAT領域33にFAT保存領域38のデータを書き込む。これにより第2のモードのときに記憶したデータはFAT情報が消されるため、ファイルシステム上ではファイルが消去され、ホスト機器2はアクセスできなくなる。また、ルートディレクトリ領域34のデータはUSBメモリ1と同様にRD保存領域39に保存する。しかし、USBメモリ1Bでは第2のモードのルートディレクトリ領域34のデータは保存しないため、RD保存領域は、RD保存領域A(36)に相当するRD保存領域39である。
【0060】
次に、図6を用いて、起動時のUSBメモリ1Bの動作について説明する。図6は本実施の形態のUSBメモリの起動時の動作について説明するための表である。
【0061】
(E) 前管理モード、すなわち前回、USBメモリ1Bがホスト機器2と接続したときの管理モード、が第1のモードで、かつ、現管理モード、すなわち、起動時の管理モード、が第1のモードの場合、プロセッサモジュール13Bは、特別な動作は行わない。すると、ホスト機器2からは、第2のモードで記憶されたデータは認識されず、第1のモードで記憶されたデータにアクセスが可能であり、第1のモードでNANDメモリ10Bに新規にデータを記憶できる。
【0062】
(F) 前管理モードが第1のモードで現管理モードが第2のモードの場合、起動時のルートディレクトリ領域34のデータは第1のモードのデータである。このため、プロセッサモジュール13Bは、ルートディレクトリ領域34のデータを、RD保存領域39に保存する。さらにプロセッサモジュール13BはFAT領域33のデータをFAT保存領域38へ保存する。次に、プロセッサモジュール13Bはルートディレクトリ領域34のデータをすべて0に書き替える。このため、第1のモードのときに記憶されたデータ等は実際に保存されているが、ホスト機器2は、データがすべてクリア、言い替えれば、消去された状態と認識した状態となり、USBメモリ1Bに第2のモードで、アクセスが可能となる。
【0063】
(G) 前管理モードが第2のモードで現管理モードが第1のモードの場合、プロセッサモジュール13Bは、RD保存領域39のデータをルートディレクトリ領域34へ書き込み、さらにFAT保存領域38のデータをFAT領域33に書き込む。これにより、第2のモードのデータはすべて第1のモードのデータに上書きされることで消去される。なお、NANDメモリにおいては、上書きのときには、領域を初期化してから新規にデータを書き込む。
【0064】
この結果、USBメモリ1は、前回、第1のモードで使用していたときの状態に戻り、ホスト機器2は第1のモードで記憶されたデータにアクセスが可能であり、第1のモードでNANDメモリ10Bに新規にデータを記憶できる。
【0065】
(H) 前管理モードが第2のモード、現管理モードが第2のモードの場合、特別な処理はなく、ホスト機器2は、第2のモードでUSBメモリ1Bにアクセスすることが可能である。
【0066】
以上の説明のように、USBメモリ1Bでは、第2のモードではNANDメモリ10Bを一時的に利用するだけであり、ユーザは不要データの削除という操作をすることなく、不要データが自動的に削除される。
【0067】
次に、図7を用いて、USBメモリ1Bの起動時の動作の流れを説明する。図7は、本実施の形態のUSBメモリの起動時の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【0068】
<ステップS31>
USBメモリ1Bがホスト機器に接続され、電源が投入されると、プロセッサモジュール13B内の初期化処理およびNANDメモリ10Bの初期化処理等が行われる。
【0069】
<ステップS32>
次に、プロセッサモジュール13Bは、スイッチ部9の状態をモード確認手段21にて確認し、現管理モードの情報を取得する。
【0070】
<ステップS33>
次に、プロセッサモジュール13Bは、モード保存手段25に保存されている前管理モードの情報を取得する。
【0071】
<ステップS34、ステップS35> 図6(A)の場合
前管理モードが第1のモードで(S34、Yes)、かつ、現管理モードが第1のモード(S35、Yes)の場合、USBメモリ1Bは前回と同じルートディレクトリ領域およびFAT領域を利用できる。このため、プロセッサモジュール13Bは特別な処理は行わない。すると、ホスト機器2は第1のモードで記憶されたデータにアクセスが可能な状態となり、第1のモードでNANDメモリ10Bに新規にデータを記憶できる。
【0072】
<ステップS34、ステップS35> 図3(B)の場合
前管理モードが第1のモードで(S34、Yes)、かつ、現管理モードが第2のモード(S35、No)の場合、ルートディレクトリ領域34のデータは第1のモードのときのデータである。
【0073】
<ステップS36>
プロセッサモジュール13Bはルートディレクトリ領域34のデータをRD保存領域39へ書き込む。
【0074】
<ステップS37>
プロセッサモジュール13BはFAT領域33のデータをFAT保存領域38へ書き込む。
【0075】
<ステップS38>
プロセッサモジュール13Bは第2のモードで記憶されたデータを書き込むために、ルートディレクトリ領域34のデータをすべて「0」に書き替える。
【0076】
<ステップS34、ステップS39> 図3(C)の場合
前管理モードが第2のモードで(S34、No)、現管理モードが第1のモード(S39、Yes)、の場合、起動時にルートディレクトリ領域34に保存されているデータは第2のモードのときのデータである。
【0077】
<ステップS40>
プロセッサモジュール13BはRD保存領域39に保存されているデータをルートディレクトリ領域34に書き込む。
【0078】
<ステップS41>
プロセッサモジュール13Bは、FAT保存領域38に保存されているデータをFAT領域33へ書き込む。これにより、第1のモードのときの状態に戻り、第1のモードで記憶されたデータにアクセスが可能であり、第1のモードでNANDメモリ10に新規にデータを記憶できる。
【0079】
なお、第2のモードのときにデータエリア35へ記憶したデータはファイルシステム上では消去したことになり、ホスト機器2は第2のモードで記憶したデータにはアクセス不可能となる。
【0080】
<ステップS34、ステップS39> 図3(D)の場合
前管理モードが第2のモードで(S34、No)、かつ、現管理モードが第2のモード(S39、No)の場合、前回と同じルートディレクトリを利用できる。このため、プロセッサモジュール13Bは特別な処理は行わなくとも、ホスト機器2は第2のモードでNANDメモリ10Bに新規にデータを記憶できる。
【0081】
以上の説明のように、USBメモリ1Bでは、USBメモリ1が有する効果に加えて、第2のモードはNANDメモリ10Bを一時的に利用するモードであり、ユーザは不要データの削除という操作をすることなく、自動的に不要データが削除される。このため、USBメモリ1Bは、USBメモリ1より、ユーザの利便性がより高い場合もある半導体記憶装置である。
【0082】
<第3の実施の形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリ1Cについて説明する。図8は本実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリの構成を示すブロック図である。USBメモリ1Cは、第2の実施の形態のUSBメモリ1B等と類似しているため、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0083】
第2の実施の形態のUSBメモリ1Bでは、スイッチ部9が切り替わる度、すなわち、管理モードが第2のモードから第1のモードに切り替わる度に、第2のモードで記憶されたデータを消去していた。これに対して、本実施の形態のUSBメモリ1Cでは、第2のモードに設定された状態でUSBメモリ1Cに電源の入った回数、言い替えれば第2のモードでホスト機器2と接続された回数、をカウントし、その回数が所定の回数以上となったときに、第2のモードで記憶されたデータを消去する。
【0084】
図8に示すように、USBメモリ1Cの構成は、第2の実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリ1Bの構成と比較すると、モードカウント手段40とモード限度回数保存手段41とが付加されている。モードカウント手段40は、USBメモリ1Cの起動時にモード確認手段21の情報から管理モード情報を取得し、管理モードが第2のモードの場合に、内部のカウンタを1カウントアップする。モード限度回数保存手段41は、第2のモードで記憶されているデータを消去する所定の回数であるモード限度回数が保存されているものである。なお、モード限度回数保存手段41に保存されている所定の回数は、USBメモリ1Cの出荷前に設定され、ユーザが書き替えられないことが好ましい。
【0085】
次に、図9を用いて、USBメモリ1Cの起動時の動作の流れを説明する。図9は、本実施の形態のUSBメモリの起動時の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【0086】
<ステップS51>
USBメモリ1Cがホスト機器に接続され、電源が投入されると、プロセッサモジュール13C内の初期化処理およびNANDメモリ10Cの初期化処理等が行われる。
【0087】
<ステップS52>
次に、プロセッサモジュール13Cは、スイッチ部9の状態をモード確認手段21にて確認し、現管理モードの情報を取得する。
【0088】
<ステップS53>
起動時の管理モードが第1のモード(S53、Yes)の場合、プロセッサモジュール13Cは特別な処理は行わない。すると、ホスト機器2は第1のモードで記憶されたデータにアクセスが可能な状態となり、第1のモードでNANDメモリ10Cに新規にデータを記憶できる。
【0089】
<ステップS54>
起動時の管理モードが第2のモード(S53、No)の場合、プロセッサモジュール13Cはモードカウント手段40の内部のカウンタに保存されているカウント値に1を加算する。
【0090】
<ステップS55>
プロセッサモジュール13Cは、モードカウント手段40に保存されているカウント値と、モード限度回数保存手段41に保存されている所定のモード限度回数とを比較する。比較した結果、カウント値がモード限度回数より小さい((S55、No)場合は、プロセッサモジュール13Cは、特別な処理は行わない。すると、ホスト機器2は第2のモードで記憶されたデータにアクセスが可能な状態となり、第2のモードでNANDメモリ10Cに新規にデータを記憶できる。
【0091】
<ステップS56>
ステップS55で、カウント値がモードクリア回数以上であった(S55、Yes)場合、プロセッサモジュール13Cは、ルートディレクトリ領域34のデータにすべて0を書き込む。また、プロセッサモジュール13Cは、モードカウント手段40に保存されているカウント値を0に戻す。
【0092】
<ステップS57>
次に、プロセッサモジュール13Cは、FAT保存領域38のデータをFAT領域33に書き込む。このため、保存されていた第2のモードで記憶されたデータはすべて消去される。なお、このとき第1のモードで記憶されていたデータ等は消去されず、管理モードを第1のモードに戻した場合、ホスト機器2は、第1のモードで記憶されていたデータを読み出すことが可能である。また、管理モードを第2のモードから第1のモードへ変更した場合、第2のモードで記憶されたデータは、USBメモリ1の場合と同様に保存されており、第2のモードでのアクセス回数がモード限度回数以上になった場合、第2のモードで記憶されたデータが消去される。
【0093】
なお、USBメモリ1Cでは第2のモードで記憶されたデータはアクセス回数、言い替えれば、第2のモードでの起動回数、がモード限度回数以上になった場合に、第2のモードで記憶されたデータが消去される例を示した。しかし、USBメモリ1Cでは、USBメモリ1Bと同様に、管理モードが第2のモードから第1のモードへ変更になった場合にも第2のモードで記憶されたデータを消去することも可能である。
【0094】
また、第2のモードで記憶されたデータを消去するタイミングの管理は、モード限度回数だけでなく、USBメモリ1Cが第2のモードで使用された累積時間等で管理してもよい。
【0095】
<第4の実施の形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリ1Dについて説明する。図10は本実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリの構成を示すブロック図であり、図11は本実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリの起動時の動作の流れを説明するためのフローチャートである。USBメモリ1Dは、第1の実施の形態のUSBメモリ1等と類似しているため、同じ構成要素には同じ符号を付し説明は省略する。
【0096】
USBメモリ1Dにおいては、メモリ部であるNANDメモリ10Dが、ホスト機器2が第1のモードにおいてアクセス可能な第1のデータエリアであるデータエリア35と、ホスト機器2が第2のモードにおいてアクセス可能な第2のデータエリアである仮想ディスクファイル35B内のデータエリア135とを有する。そして、第2のデータエリアは、第1のデータエリア内に作成された。いわゆる仮想ディスクファイル35Bのデータエリア135である。すなわち、第1のモードにおいてホスト機器2はデータエリア35に仮想ディスクファイル35Bがあることは認識できても、その内部のデータエリア135に保存されている個々のファイルにアクセスすることはできない。
【0097】
USBメモリ1Dのプロセッサモジュール13Dは、ファイルシステム確認手段42と、仮想ディスク作成手段43とを有している。仮想ディスク作成手段43とは管理モードが2の場合に、データエリア35に仮想ディスクファイル35Bを作成する。このとき作成するファイル名は、例えば、「m2data.dat」のように予め決められた名前とし、さらに作成するファイル容量については、500MBのように予め決められた容量のファイルを作成する。なお、作成するファイルは、NANDメモリ10Dと同様のFATファイル構造を持っており、パーティションテーブル131と、ブートセクタ132と、FAT1、2(133)と、ルートディレクトリ134と、データエリア135とを有する仮想ディスクファイルである。
【0098】
ファイルシステム確認手段42とは管理モードが2の場合に、仮想ディスク作成手段43によって作成されたNANDメモリ10D内のデータエリア35内にファイルとして存在している仮想ディスクファイル35Bにアクセスするための手段である。管理モードが2の場合、ファイルシステム確認手段42は「m2data.dat」を読み出し、その中の各種データをNANDメモリ10内のデータであるかのように出力する。
【0099】
USBメモリ1Dでは、スイッチ部9の設定をもとに、通常記録モードと、一時的記録モードとの2つの動作モードを有している。一時的記憶モードの場合は、USBメモリ1Dでは、通常の記録領域に仮想ディスクファイル35Bを作成し、仮想ディスクファイル35Bにアクセスする。また、通常モードのときにUSBメモリ1Dでは、仮想ディスクファイル35Bを削除することで、一時的に保存したデータを簡単に削除が可能となる。USBメモリ1Dでは、ユーザは簡単なスイッチ部9の切り替え動作により、異なるモードで記録されたファイルを互いに隠し属性ファイルとしたり、また、一時的記録モードで保存したファイルを簡単に削除したりすることができる。
【0100】
次に、図11を用いて、USBメモリ1Dの起動時の動作の流れを説明する。図11は、本実施の形態のUSBメモリの起動時の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【0101】
<ステップ61>
USBメモリ1Dがホスト機器に接続され、電源が投入されると、プロセッサモジュール13D内の初期化処理およびNANDメモリ10Dの初期化処理等が行われる。
【0102】
<ステップS62>
次に、プロセッサモジュール13Dは、スイッチ部9の状態をモード確認手段21にて確認し、現管理モードの情報を取得する。
【0103】
<ステップS63>
起動時の管理モードが第1のモード(Yes)の場合、プロセッサモジュール13Dは特別な処理は行わない。すると、ホスト機器2は、第1のモードで記憶されたデータにアクセスが可能な状態となり、第1のモードでNANDメモリ10Dに新規にデータを記憶できる。
【0104】
<ステップS64>
起動時の管理モードが第2のモード(S63、No)の場合、プロセッサモジュール13Dは、ファイルシステム確認手段42にてNANDメモリ10D内のルートディレクトリ領域34に仮想ディスクファイル35Bの情報があるかどうかを確認する。ファイルシステム確認手段42は、例えば、予め決められている特定のファイル名「m2data.dat」を検索する。
【0105】
<ステップS65>
仮想ディスクファイル35Bが存在しない場合(S64:No)、プロセッサモジュール13Dは、仮想ディスク作成手段43にてルートディレクトリ領域34に仮想ディスクファイル35Bを作成する。仮想ディスクファイル35Bは、例えば、「m2data.dat」というファイル名で、サイズ500MBであり、データとしては「パーティションテーブル」、「ブートセクタ」、「FAT1,2」、「ルートディレクトリ」、「データエリア」があり、ファイルシステムの情報が格納されている。なお、移行の処理は、仮想ディスクファイル35Bが存在していた場合(S64:Yes)と同じである。
【0106】
<ステップS66>
プロセッサモジュール13Dは、ルートディレクトリ領域34に格納されている仮想ディスクファイル35Bのファイル情報の中からスタートクラスタ情報を取得する。
【0107】
<ステップS67>
ホスト機器2よりNANDメモリ10Dにアクセスするためのアドレス値が送付された場合に、ファイルシステム確認手段42は、そのアドレス値を仮想ディスクファイル35Bのデータアドレスに変換する。すなわち、ファイルシステム確認手段42は、FAT1領域133からFATチェーンの情報を取得し、取得したアドレス値から、データエリア135のアドレス値を算出する。
【0108】
<ステップS68>
ファイルシステム確認手段42は、算出したアドレス値をコントローラ19に送信し、コントローラ19はNANDメモリ10Dから仮想ディスクファイル35B内のデータエリア135のファイルデータを取得し、ホスト機器2へ送信する。
【0109】
なお、USBメモリ1Dでは、管理モードが第1のモードの場合には仮想ディスクファイル35Bである「m2data.dat」ファイルは通常のファイルとして、その存在を認識することが可能である。このため、ユーザは、第2のモードにおいて記録したデータをすべて削除したい場合は、「m2data.dat」ファイルを削除することで簡単に削除可能である。なお、この後再度、USBメモリ1Dを、第2のモードで起動した場合には、仮想ディスクファイル35Bがないため、仮想ディスク作成手段43は、仮想ディスクファイル35Bである「m2data.dat」を新規に作成する。本実施例では、仮想ディスクファイル35Bのファイル名を「m2data.dat」としたが、特にこれに定めるものではなく、USBメモリ1Dの製造元等で任意で設定してよい。また、仮想ディスクファイル35Bは、予め決められた容量のファイルに限られるものではなく、最大容量値を規定した可変容量型のファイルであってもよい。
【0110】
ここで、USBメモリ1Dではプロセッサモジュール13D内にファイルシステム解析部を有するファイルシステム確認手段42を実装する必要がある。しかし、USBメモリ1Dのファイルシステム確認手段42は、仮想ディスクファイル35Bの領域が分かるようにデータエリア35にフラグを追加する手段、もしくはデータエリア35内部で仮想ディスクファイル領域のアドレス値を管理するテーブルを設ける手段等の簡易的なファイルシステム解析機能のファイルシステム確認手段42であってもよい。
また、USBメモリ1Dでは、第1のモードに切り替わったときに、第2のモードのときに使用された仮想ディスクファイル35Bを自動的に削除してもよい。
【0111】
以上の説明のように、USBメモリ1Dは、仮想ディスクファイル35Bを有し、プロセッサモジュール13Dは、第2のモードにおいては仮想ディスクファイル35Bにデータを記憶するため、USBメモリ1Dは、USBメモリ1等と同様の効果を有する。
【0112】
以上の説明のように、USBメモリ1Dは、USBインタフェースであるUSB接続部と、プロセッサモジュール13Dと、NANDメモリ10と、本体を回転することが可能な可動部である回転軸と、回転軸によりモードを切り替えるために押されるスイッチ部と、スイッチ部の値を確認し管理モードを判定するモード確認手段と、ファイルシステム確認手段と、仮想ディスク作成手段と、を具備し、第1の管理モードの場合はNANDメモリ10Dのデータエリア35にアクセスし、第2の管理モードの場合は仮想ディスクファイル35B内のデータエリア135にアクセスする。また、USBメモリ1Dは、第2の管理モードの場合に仮想ディスクファイル35Bを作成し、仮想ディスクファイル35BのデータがFAT ファイルシステムとなっている。
【0113】
<第4の実施の形態の変形例>
以下、本発明の第4の実施の形態の変形例の半導体記憶装置であるUSBメモリ1E(不図示)について説明する。USBメモリ1Eは、第4の実施の形態のUSBメモリ1D等と類似しているため、同じ構成要素には同じ符号を付し、図示および説明は省略する。
【0114】
第4の実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリ1Dでは仮想ディスクファイル35Bをデータエリア35に作成し、管理モードにより通常のデータエリア35と仮想ディスクファイル35B内のデータエリア135とを切り替えた。これに対して、本変形例のUSBメモリ1Eでは、NANDメモリ10D内にパーティションを2つ形成し、管理モードに応じてホスト2がアクセス可能なパーティションを切り替える。もちろん、それぞれのパーティションは管理モードに応じてアクセス可能なように、いわゆる「hidden(隠し)」属性を付与しておく。
【0115】
パーティションによる切り替えを行うUSBメモリ1Eの場合は、例えば、パーティション1のデータエリア35C(不図示)に「parti2.dat」のような予め決められたファイル名のファイルを作成しておき、決められたファイル名のファイルが第1のモードのときに削除されていた場合、パーティション2のデータ領域を初期化することで、ユーザは簡単にデータを削除することができる。
【0116】
以上の説明のように、USBメモリ1Eは、管理モードによりNANDメモリ10D内のパーティションを切り替える。また、USBメモリ1Eは、NANDメモリ10Dのデータエリア35に特定のファイルを作成し、そのファイルがユーザに削除された場合はパーティション2のデータを初期値に戻す。
【0117】
本発明は、上述した実施の形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、組み合わせ、改変等が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】第1の実施の形態の半導体記憶装置であるUSBメモリの使用形態を説明するための説明図である。
【図2】第1の実施の形態のUSBメモリの構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態のUSBメモリの起動時の動作について説明するための表である。
【図4】第1の実施の形態のUSBメモリの起動時の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【図5】第2の実施の形態のUSBメモリの構成を示すブロック図である。
【図6】第2の実施の形態のUSBメモリの起動時の動作について説明するための表である。
【図7】第2の実施の形態のUSBメモリの起動時の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【図8】第3の実施の形態のUSBメモリの構成を示すブロック図である。
【図9】第3の実施の形態のUSBメモリの起動時の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【図10】第4の実施の形態のUSBメモリの構成を示すブロック図である。
【図11】第4の実施の形態のUSBメモリの起動時の動作の流れを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0119】
1…USBメモリ、2…ホスト機器、9…スイッチ部、1010B、10C、10D…NANDメモリ、11…本体部、12…回転部、13、13B、13C、13D…プロセッサモジュール、14…USB端子部、15…GND端子、16…DATA+端子、17…DATA−端子、18…+VDD端子、19…コントローラ、21…モード確認手段、23…USB IOインタフェース、24…メモリインタフェース、25…モード保存手段、31…パーティションテーブル、32…ブートセクタ、33…FAT領域、34…ルートディレクトリ領域、35…データエリア、35B…仮想ディスクファイル、35C…データエリア、36…第1のRD保存領域、37…第2のRD保存領域、38…FAT保存領域、39…RD保存領域、40…モードカウント手段、41…モード限度回数保存手段、42…ファイルシステム確認手段、43…仮想ディスク作成手段、117…ルートディレクトリ、131…パーティションテーブル、132…ブートセクタ、133…FAT領域、134…ルートディレクトリ、135…データエリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト機器と接続するための外部接続部と、
半導体メモリ部、および、前記半導体メモリ部に記憶するデータの管理を行うプロセッサモジュールが内蔵された本体部と、
前記本体部と前記外部接続部との相対位置を可変する可動部と、を有し、
前記プロセッサモジュールは、前記相対位置に応じて、前記ホスト機器の前記半導体メモリ部へのアクセスの管理を行うアクセス管理モードを、第1のアクセス管理モードまたは第2のアクセス管理モードのいずれかのモードに切り替え、
前記第1のアクセス管理モードで記憶された前記データは前記第2のアクセス管理モードでは前記ホスト機器からアクセス不可能であり、かつ、前記第2のアクセス管理モードで記憶された前記データは前記第1のアクセス管理モードでは前記ホスト機器からアクセス不可能であることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記相対位置に応じて切り替わるスイッチ手段をさらに有し、
前記外部接続部が、前記可動部により、直方体形状の前記本体部の長軸方向の軸に対して、回転可能であり、
前記プロセッサモジュールは、前記スイッチ手段の状態により、前記アクセス管理モードの切り替えを行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記プロセッサモジュールは、前記第2のアクセス管理モードで記憶された前記データを、管理モードが前記第1のアクセス管理モードに切り替わったとき、消去することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記プロセッサモジュールは、前記データをFATファイルシステムにより管理し、
前記半導体メモリ部は、前記第1のアクセス管理モードに応じたルートディレクトリを保存する第1のルートディレクトリ保存領域と、前記第2のアクセス管理モードに応じたルートディレクトリを保存する第2のルートディレクトリ保存領域とを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
ホスト機器と接続するための外部接続部と、
第1のデータ記憶領と第2のデータ記憶領域とを有する半導体メモリ部、および、前記半導体メモリ部に記憶するデータの管理を行うプロセッサモジュールが内蔵された本体部と、
前記本体部と前記外部接続部との相対位置を可変する可動部と、を有し、
前記プロセッサモジュールは、前記相対位置に応じて、前記ホスト機器がアクセス可能な前記データ記憶領域が異なるアクセス管理モードを、第1のアクセス管理モードまたは第2のアクセス管理モードのいずれかのアクセス管理モードに切り替えることを特徴とする半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−26717(P2010−26717A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186305(P2008−186305)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】