説明

半導体試験装置

【課題】試験時間に大きな影響を与えることなく、校正により半導体試験の精度を向上させる。
【解決手段】試験対象の半導体デバイスにテスト信号を出力するための切替可能な複数の経路と、経路の切替を指示する設定命令ブロックとテスト信号出力を指示する信号出力命令ブロックとを含んだテストユニットを1または複数個備えたテストプログラムを実行する制御部と、テストプログラムのテストユニット実行中において、設定命令ブロックの実行後、信号出力命令ブロックの実行前に、設定命令ブロックで設定された経路における校正データを取得し、取得した校正データを用いて、信号出力命令ブロックに基づいて出力されるテスト信号の補正を行なう校正処理部とを備えた半導体試験装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体試験装置に係り、特に、半導体試験装置における校正動作に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、良品と不良品の選別を行なう試験が必要であり、この試験を行なうために半導体試験装置が用いられている。半導体試験装置は、テストプログラムに従ったテスト信号を試験対象の半導体デバイス(DUT:Device under test)に出力し、その応答信号を理想値と比較することでDUTの試験を行なう。
【0003】
図7は、従来の半導体試験装置の信号出力部分の構成を示すブロック図である。本図において、DUT400の試験を行なう半導体試験装置50は、テスタコントローラ500と信号発生器600とを備えている。
【0004】
テスタコントローラ500は、制御部510、切替制御部520、信号出力部530、テストプログラム格納部540、校正データテーブル550を備えている。制御部510は、テストプログラム格納部540に格納されたテストプログラムを実行し、信号出力部530を介してディジタル形式のテストデータを信号発生器600に出力する。切替制御部520は、テストプログラムを実行する制御部510からの指示に従って信号発生器600内の経路の切替制御を行なう。また、制御部510は、校正処理部511を備えている。校正処理部511は、信号発生器600の校正データを取得して校正データテーブル550に記録するとともに、試験実行時には校正データにしたがった校正を信号発生器600に指示する。ただし、校正処理部511は、信号発生器600が備える場合もある。
【0005】
信号発生器600は、DAC610、アッテネータ(Att)620、ローパスフィルタ(LPF)630、増幅部(Range)640、切替実行部650、出力切替部660、ADC670、校正用DAC(CalDAC)680を備えている。
【0006】
DAC610は、テスタコントローラ500から入力したテストデータをアナログ信号に変換する。この際に、CalDAC680からの校正値により、DAC610の出力信号値が調整される。
【0007】
Att620、LPF630、Range640は、切替経路の一例であり、DAC610から出力されるアナログ形式のテストデータを、DUT400に出力するのに適したレベル、周波数特性等に変換する。本例では、Att620は、4段階に切替えられ、LPF630は、オンオフが切替えられ、Range640は、3段階に切替えられるものとする。切替実行部650は、切替制御部520からの指示に従って、これらの経路の切替を実行する。
【0008】
出力切替部560は、テストデータの出力先を、DUT400側とADC670とで切替える。ADC670に導かれたテストデータの出力値は、ディジタル変換され、校正処理部511に入力される。出力切替部560における切替も、切替制御部520からの指示に従って切替実行部650が行なう。
【0009】
信号発生器600において、DAC610や途中の回路の出力特性は理想的なものではないので、試験の精度を高めるためには、校正動作が必要である。従来、校正動作は以下のような手順で行なわれている。
【0010】
まず、DUT400に対する試験実行に先立ち校正データの取得を行なう。校正データの取得では、出力切替部660のDUT400側のリレーをオフにし、校正側(ADC670側)のリレーをオンにする。そして、Att620、LPF630、Range640の経路を設定し、校正用データをDAC610に入力して、その出力値をADC670で測定する。この実際に出力された測定値と理想値との差から、設定された経路における校正データを算出し、校正データテーブル550に記録する。
【0011】
この校正データの算出・記録を、Att620、LPF630、Range640の経路のすべての組み合わせに対して行なった後、出力切替部660のDUT400側のリレーをオンにし、校正側(ADC670側)のリレーをオフにして、信号発生器600の校正データ取得処理を終了する。なお、信号発生器600が複数チャネル実装されている場合には、すべての経路に対する校正データ取得を全チャネルに対して繰り返す。
【0012】
図8は、4段階のAtt620、LPF630のオンオフ、3段階のRange640の組み合わせ毎の校正データがチャネル数分記録された校正データテーブル550の構造を模式的に示した図である。
【0013】
実際の試験時には、テストプログラムに従ってAtt620、LPF630、Range640の経路を設定し、その経路に対応した校正データを校正データテーブル550から取得してCalDAC680に設定する。これにより、DAC610の出力値が補正され、校正済のテストデータ値がDUT400に与えられることになる。そして、テストプログラムに従って経路が切替えられる毎に、対応する校正データを校正データテーブル550から取得してCalDAC680に設定する。
【0014】
このように、従来は、あらかじめすべての経路について校正データを算出するため、実際の試験時における校正時間は短くて済むが、校正データを算出する時間は長くなる。
【0015】
校正データの取得は、実際の試験に先立って行なわれるが、試験精度を高めるためには、時間の経過や周辺温度の変化によって校正データを取得し直す必要がある。一般に、校正データの取得は、基準値以上の温度変化があった場合、所定時間毎、所定個数のDUT400毎等にDUT400の交換時に合わせて行なわれる。このため、少なくとも1つのDUT400においては共通の校正データを用いて校正を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2010−216979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
信号発生器600中に温度特性のシビアな回路、例えば、フォトモスリレー等を含んでいる場合等には、1つのDUT400に対する試験中の温度変化等により出力特性が変化し、試験精度が低下してしまうおそれがある。このため、必要に応じて1つのDUT400に対する試験中にも校正データを再取得することが望ましい。
【0018】
しかしながら、従来の校正データの取得処理は時間を要するため、1つのDUT400に対する試験中にも校正データを再取得すると、その分試験時間が長くなり、スループットの低下、半導体デバイスのコスト上昇を招くことになる。
【0019】
そこで、本発明は、試験時間に大きな影響を与えることなく、校正により半導体試験の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である半導体試験装置は、試験対象の半導体デバイスにテスト信号を出力するための切替可能な複数の経路と、前記経路の切替を指示する設定命令ブロックとテスト信号出力を指示する信号出力命令ブロックとを含んだテストユニットを1または複数個備えたテストプログラムを実行する制御部と、前記テストプログラムのテストユニット実行中において、前記設定命令ブロックの実行後、前記信号出力命令ブロックの実行前に、前記設定命令ブロックで設定された経路における校正データを取得し、取得した校正データを用いて、前記信号出力命令ブロックに基づいて出力されるテスト信号の補正を行なう校正処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
ここで、前記構成処理部は、前記テストユニットに、所定の命令が記載されている場合には、前記校正データの取得は行なわず、あらかじめ取得しておいた別の校正データを用いて前記信号出力命令ブロックに基づいて出力されるテスト信号の校正を行なうことができる。
【0022】
また、上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である半導体試験装置は、試験対象の半導体デバイスから測定信号を入力するための切替可能な複数の経路と、前記経路の切替を指示する設定命令ブロックと測定信号の測定を指示する測定命令ブロックとを含んだテストユニットを1または複数個備えたテストプログラムを実行する制御部と、前記テストプログラムのテストユニット実行中において、前記設定命令ブロックの実行後、前記測定命令ブロックの実行前に、前記設定命令ブロックで設定された経路における校正データを取得し、取得した校正データを用いて、前記測定命令ブロックに基づいて測定される測定信号の補正を行なう校正処理部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、試験時間に大きな影響を与えることなく、校正により半導体試験の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る半導体試験装置の信号出力部分の構成を示すブロック図である。
【図2】テストプログラムの構造を説明する図である。
【図3】本実施形態の半導体試験装置の動作について説明するフローチャートである。
【図4】直前校正スキップ命令について説明する図である。
【図5】校正データを取得する対象を模式的に示した図である。
【図6】半導体試験装置の信号測定部分の構成を示すブロック図である。
【図7】従来の半導体試験装置の信号出力部分の構成を示すブロック図である。
【図8】校正データテーブルの構造を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る半導体試験装置の信号出力部分の構成を示すブロック図である。本図において、DUT400の試験を行なう半導体試験装置10は、テスタコントローラ100と信号発生器200とを備えている。信号発生器200は、半導体試験に用いるモジュールの1つであり、複数チャネル分用いることができる。また、半導体試験装置10は、信号発生モジュールである信号発生器200以外に、信号測定モジュール、その他のモジュールを含めることができる。
【0026】
テスタコントローラ100は、制御部110、切替制御部120、信号出力部130、テストプログラム格納部140、校正データテーブル150を備えている。テスタコントローラ100は、例えば、CPU、主メモリ、補助記憶装置、入出力インタフェース等を備えたパーソナルコンピュータ等の情報処理装置を用いて構成することができる。もちろん、テスタコントローラ100は、専用装置として構成してもよい。
【0027】
制御部110は、テストプログラム格納部140に格納されたテストプログラムを実行し、信号出力部130を介してディジタル形式のテストデータを信号発生器200に出力する。切替制御部120は、テストプログラムを実行する制御部110からの指示に従って、信号発生器200内の経路の切替制御を行なう。また、制御部110は、校正処理部111を備えている。校正処理部111は、信号発生器200の校正データを取得し、校正データにしたがった校正を信号発生器200に指示する。
【0028】
なお、本実施形態では、テスタコントローラ100側が校正処理の制御を行なう場合を例にしているが、信号発生器200側で校正処理の制御を行なったり、テスタコントローラ100と信号発生器200とが協同で校正処理の制御を行なうようにしてもよい。
【0029】
テストプログラム格納部140に格納されるテストプログラムは、半導体試験を行なうユーザによって作成される。テストプログラムは、図2に示すように、複数のテストユニット(T1、T2、T3…)を含んでおり、それぞれのテストユニットは、設定命令ブロック、信号出力命令ブロック、測定判定命令ブロックを含んで構成される。
【0030】
設定命令ブロックは、信号発生器200その他のモジュールの設定を行なうブロックである。信号発生器200の設定には、経路の設定が含まれる。すなわち、切替制御部120は、テストプログラムの設定命令ブロックに記載された経路設定命令に従って、信号発生器200内の経路切替を制御する。
【0031】
信号出力命令ブロックは、テストデータを出力する信号出力命令を含んでいる。すなわち、制御部110は、テストプログラムの信号出力命令ブロックに記載された信号出力命令に従って、信号出力部130からテストデータを出力する。テストデータは、設定命令ブロックで設定された経路を通ってDUT400に出力される。
【0032】
測定判定命令ブロックは、測定命令と、判定命令とを含んでいる。すなわち、制御部110は、テストプログラムの測定判定命令ブロックに記載された測定命令に従って、DUT400の測定を行ない、判定命令に従って、DUT400の出力値の判定を行なう。測定は他のモジュールである信号測定器によって行なわれる。
【0033】
図1の説明に戻って、信号発生器200は、DAC210、アッテネータ(Att)220、ローパスフィルタ(LPF)230、増幅部(Range)240、切替実行部250、出力切替部260、ADC270、校正用DAC(CalDAC)280を備えている。
【0034】
DAC210は、信号出力部130から入力したテストデータをアナログ信号に変換する。この際に、CalDAC280からの校正値により、DAC210の出力信号値が調整される。
【0035】
Att220、LPF230、Range240は、切替経路の一例であり、DAC210から出力されるアナログ形式のテストデータを、DUT400に出力するのに適したレベル、周波数特性等に変換する。本例では、Att220は、4段階に切替えられ、LPF230は、オンオフが切替えられ、Range240は、3段階に切替えられるものとする。切替実行部250は、切替制御部120からの指示に従って、これらの経路の切替を実行する。ただし、経路上の回路は、Att220、LPF230、Range240に限られず、またそれぞれの回路の切替段階も本図の例に限られない。
【0036】
出力切替部260は、テストデータの出力先を、DUT400側とADC270とで切替える。ADC270に導かれたテストデータの出力値は、ディジタル変換され、校正処理部111に入力される。出力切替部260における切替えも、切替制御部120からの指示に従って切替実行部250が行なう。
【0037】
次に、本実施形態の半導体試験装置10の動作について説明する。本実施形態では、経路が設定された後、テストデータを出力する前に、設定済の経路についてのみ校正データを取得する直前校正という動作を導入する。
【0038】
図2に示したように、1つのDUT400に対する試験には、経路を変更した複数のテストが含まれる。直前校正によれば、それぞれのテストにおいて経路が確定した時点で校正データを取得するため、1つのDUT400の試験中に温度変化が生じた場合であっても、この温度変化に対応した校正を行なうことができ、半導体試験の精度を向上させることができる。
【0039】
また、直前校正では、経路が設定された後、設定された経路についてのみ校正データを取得するため、試験時間への影響を最小限とすることができる。信号発生器200を複数チャネル用いている場合であっても、そのチャネルのみを対象に校正データを取得する。
【0040】
図3は、半導体試験装置10の動作について説明するためのフローチャートである。本実施形態では、直前校正を行なう場合であっても、事前に、従来と同様のすべての経路、チャネルを対象とした校正データの取得を行なっておくことが望ましい(S101)。これは、後述するように、直前校正をスキップさせる場合に用いる校正データを収集するためである。したがって、経路が設定された後、テストデータを出力する前に、直前校正を必ず行なう場合には、従来の校正を省くようにしてもよい。なお、従来の校正データは、従来と同様のタイミングで再取得することができる。
【0041】
従来の校正を行なうと、半導体試験装置10にDUT400をセットする(S102)。そして、テストプログラムの実行を開始する(S103)。テストプログラムが実行されると、設定命令ブロックに記載された設定命令に従って、信号発生器200の経路切替等の処理を行なう(S104)。
【0042】
設定処理は、テストプログラムの実行が信号出力命令ブロックに進んで信号出力命令が始まるまで続けられる(S105)。
【0043】
信号出力命令が始まると(S105:Yes)、設定処理が完了し、経路が設定されたことを意味するため、このタイミングで直前校正を行なう。ただし、本実施形態では、テストプログラムに直前校正をスキップする命令が記載されていた場合(S106:Yes)には、直前校正を行なわずに、従来どおり、経路に対応した校正データを校正データテーブル150から取得するようにする(S110)。例えば、経路中に温度特性にシビアな回路を含んでいない場合、精度が要求されない試験等の場合に、直前校正をスキップさせることができる。この場合、直前校正を行なわない分、試験時間を短縮することができる。
【0044】
直前校正をスキップする命令は、例えば、図4に示すように、信号出力命令ブロック内に記載することができる。あるいは、設定命令ブロックの最後尾に記載するようにしてもよい。逆に、直前校正を行なう場合のみ、直前校正実行命令を記載するようにしてもよい。
【0045】
テストプログラムに直前校正をスキップする命令が記載されていない場合(S106:No)には、直前校正を行なう。すなわち、出力切替部260のDUT400側のリレーをオフにし、校正側(ADC270側)のリレーをオンにする(S107)。
【0046】
そして、校正用データをDAC210に入力して、その出力値をADC270で測定する。この実際に出力された測定値と理想値との差から、設定済の経路における校正データを算出する(S108)。ここで算出された校正データは、図5に示すように、対象チャネルの設定済の経路についてのみの校正データ(本図の例では、Att2、LPF:On、Range2)であるため、直前校正で得られた校正データは、校正データテーブル150に保全せずに、設定済の経路における試験のみに使用する。
【0047】
直前校正により校正データが得られると、テストデータをDUT400に出力するため、出力切替部260のDUT400側のリレーをオンにし、校正側のリレーをオフにする(S109)。
【0048】
そして、直前校正により算出した校正データあるいは校正データテーブル150から取得した校正データをCalDAC280に設定し(S111)、テストプログラムに記載された出力命令に従ったテストデータをDUT400に出力する(S112)。
【0049】
その後は、測定判定命令ブロックに記載された測定命令と判定命令に従って測定・判定処理を行なう(S113)。テストプログラムに他のテストユニットが含まれている場合(S114:No)には、次のテストユニットに記載された設定命令ブロックの設定命令に従って経路を設定し、新たな経路において直前校正を行なう。
【0050】
テストプログラムに記載されたテストユニットをすべて終了すると(S114:Yes)、試験を行なう他のDUT400があれば(S115:No)、新たなDUT400をセットし(S102)、同様の手順により試験を行なう。他のDUT400がなければ(S115:Yes)、本試験処理を終了する。
【0051】
このように、本実施形態の半導体試験装置10によれば、経路が設定された時点で、その経路についてのみ校正データを取得するようにしているため、温度変化の特性に与える影響が大きい回路を含んでいる場合であっても、試験時間に大きな影響を与えることなく、校正により半導体試験の精度を向上させることができる。
【0052】
なお、上記の例は、本発明を信号発生器200に適用した場合を説明したが、本発明は、他のモジュールに適用することもできる。図6は、他のモジュールとして信号測定器300に本発明を適用した場合の構成を示すブロック図である。
【0053】
本例において、テスタコントローラ100には、DUT400が出力する測定信号を入力する信号入力部160が追加されている。また、信号測定器300は、ADC310、アッテネータ(Att)320、ローパスフィルタ(LPF)330、増幅部(Range)340、切替実行部350、入力切替部360、DAC370を備えている。
【0054】
DUT400から入力された測定信号は、試験時において入力切替部360、Range340、LPF330、Att320を経由して、ADC310に入力され、ADC310でディジタル変換されてテスタコントローラ100に入力される。信号発生器200と同様に、Range340、LPF330、Att32は、切替実行部350によって経路が切替られる。
【0055】
信号測定器300の経路もテストプログラム中の設定命令ブロックによって設定されるため、テストプログラムの測定命令を実行するタイミングで設定済の経路についての直前校正を行なうことができる。
【0056】
すなわち、測定命令実行直前に、入力切替部360のDUT400側のリレーをオフにし、校正側(DAC370側)のリレーをオンにする。そして、校正処理部111から校正用データをDAC370に入力して、その測定値をADC310で測定する。この実際に得られた測定値と理想値との差から、設定済の経路における校正データを算出することができる。
【0057】
次いで、入力切替部360のDUT400側のリレーをオンにし、校正側(DAC370側)のリレーをオフにする。そして、測定命令に従って、DUT400からの信号をADC310で測定する。この測定値を、校正データを用いて補正することで、精度の高い試験を行なうことができる。校正データを用いた補正においては、例えば、ADC310の出力値を電圧変換する際に校正データを補正パラメータとして用いるようにしてもよいし、信号発生器200と同様に、校正データを設定するようにしてもよい。
【0058】
なお、本発明では以下のような副次的な効果も得ることができる。すなわち、直前校正では、実際の経路が設定された状態で校正データを取得するため、例えば、ADCやDACの動作クロックも試験と同じ状態で校正が行なわれる。このため、仮に、ADCやDAC等が動作クロックに依存した特性を有していたとしても、その特性を含めて校正を行なうことができる。
【符号の説明】
【0059】
10…半導体試験装置、50…半導体試験装置、100…テスタコントローラ、110…制御部、111…校正処理部、120…切替制御部、130…信号出力部、140…テストプログラム格納部、150…校正データテーブル、160…信号入力部、200…信号発生器、210…DAC、220…Att、230…LPF、240…Range、250…切替実行部、260…出力切替部、270…ADC、280…CalDAC、300…信号測定器、310…ADC、320…Att、330…LPF、340…Range、350…切替実行部、360…出力切替部、370…DAC、400…DUT、500…テスタコントローラ、510…制御部、511…校正処理部、520…切替制御部、530…信号出力部、540…テストプログラム格納部、550…校正データテーブル、560…出力切替部、600…信号発生器、610…DAC、620…Att、630…LPF、640…Range、650…切替実行部、660…出力切替部、670…ADC、680…CalDAC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象の半導体デバイスにテスト信号を出力するための切替可能な複数の経路と、
前記経路の切替を指示する設定命令ブロックとテスト信号出力を指示する信号出力命令ブロックとを含んだテストユニットを1または複数個備えたテストプログラムを実行する制御部と、
前記テストプログラムのテストユニット実行中において、前記設定命令ブロックの実行後、前記信号出力命令ブロックの実行前に、前記設定命令ブロックで設定された経路における校正データを取得し、取得した校正データを用いて、前記信号出力命令ブロックに基づいて出力されるテスト信号の補正を行なう校正処理部と、
を備えたことを特徴とする半導体試験装置。
【請求項2】
前記構成処理部は、前記テストユニットに、所定の命令が記載されている場合には、前記校正データの取得は行なわず、あらかじめ取得しておいた別の校正データを用いて前記信号出力命令ブロックに基づいて出力されるテスト信号の校正を行なうことを特徴とする請求項1に記載の半導体試験装置。
【請求項3】
試験対象の半導体デバイスから測定信号を入力するための切替可能な複数の経路と、
前記経路の切替を指示する設定命令ブロックと測定信号の測定を指示する測定命令ブロックとを含んだテストユニットを1または複数個備えたテストプログラムを実行する制御部と、
前記テストプログラムのテストユニット実行中において、前記設定命令ブロックの実行後、前記測定命令ブロックの実行前に、前記設定命令ブロックで設定された経路における校正データを取得し、取得した校正データを用いて、前記測定命令ブロックに基づいて測定される測定信号の補正を行なう校正処理部と、
を備えたことを特徴とする半導体試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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