説明

半径流のメンブレインバイオフィルムリアクタ

メンブレインバイオフィルムリアクタ(MBfR)装置はルーメンを画定する壁及び穿孔領域を画定する前記壁の1つ以上の穿孔を有する中心コアチューブ、複数の中空フィラメント;及び空洞、第1のエンドキャップ、第2のエンドキャップ及び少なくとも1つの流出口を有し、中空フィラメントの外表面と連通するケース;を含み、コアチューブはさらに第1開放端と実質的に閉じた第2端を有し、各フィラメントは内部のルーメン、外表面、第1端部及び第2端部を画定する壁を有し、コアチューブの第1開放端はケースの中央空洞内に延在する穿孔領域と共に第1のエンドキャップで密封され、及び複数の中空フィラメントの第1端部は開放されて第1のエンドキャップで密封され、複数の中空フィラメントの第2端部は開放されて第2のエンドキャップで密封されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本装置、システム、及び方法は、水処理のための改良されたメンブレインバイオフィルムリアクタ(MBfR)に関係する。
【背景技術】
【0002】
本出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれている2009年7月28日に出願された米国仮出願シリアルNo.61/084,250に基づき優先権を主張する。
メンブレインバイオフィルムリアクタ(MBfR)はリツマン(Ahham他、AWWA研究基礎報告書p.156(2005);米国特許第6,387,262号)により記述されていた。典型的なMBfR装置では、中空繊維メンブレインのマトリックスが流出流中に存在する汚染物質を代謝させることができるバイオフィルムのための成長表面を提供する。ガスは中空繊維メンブレインのルーメンに導入され、中空繊維メンブレインの外部表面上で成長するバイオマスに接触するメンブレインの壁を通じて拡散する。ガスは酸化汚染物質を低減するための電子供与体として働くことができる。ガスの利用効率は大気中に過剰なガスの放出を最小にし、ほぼ100%になることができ、これは可燃性水素(H)ガスが頻繁に電子供与体として使用されるため望ましい。効率的なガスの利用率は工程費用も削減させる。
【0003】
従来のMBfR装置は実験室や制御されたテスト環境でうまく機能するが、現場でのMBfR装置の使用は更に問題がある。高充填密度は所定のサイズのMBfR装置で所定の時間内にどれほど多くの汚染物質が排出水から除去されるかを決定するMBfRの効率を向上させる。しかし、高充填密度は、MBfR作動の効率を低下させ、MBfRの維持のために要求されること(例えば、逆洗、分解、クレンジングなど)により工程費用を増加させる生物付着をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
汚れを最小にしながら充填密度を最大にする必要がMBfR装置やシステムに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に述べられて示される態様の姿及び実施形態は例示的なことであり、範囲を限定するものではない。
【0006】
1つの態様において、メンブレインバイオフィルムリアク(MBfR)装置は提供される。装置は、ルーメンを画定する壁及び穿孔領域を画定する壁の1つ以上の穿孔を有する中心コアチューブ;複数の中空フィラメント;及び空洞、第1のエンドキャップ、第2のエンドキャップ及び少なくとも1つの流出口を有するケースを含み、コアチューブはさらに第1開放端と実質的に閉じた第2端を有し、各フィラメントは内部のルーメン、外表面、第1端部及び第2端部を画定する壁を有する。コアチューブの第1開放端はケースの中央空洞内に延在する穿孔領域と共に第1のエンドキャップで密封され、複数の中空フィラメントの第1端部は開放されて第1のエンドキャップで密封されて複数の中空フィラメントの第2端部は開放されて第2のエンドキャップで密封される。
【0007】
1つの実施形態において、コアチューブはチューブのルーメン内に流入液体を導入するために流入液体源との連結に適合な取付具を含む。別の実施形態において、第1及び第2のエンドキャップの1つ又は両方は複数の中空フィラメント内のフィラメントの内部ルーメン内にガスを導入するためにガス源との連結のため取付具を含む。
【0008】
別の実施形態において、装置は複数の中空フィラメントのルーメンから排出される不活性物質のために複数の中空フィラメントのルーメンと連通する排水口を含む。1つの実施形態において、排水口はガスが複数のフィラメントのルーメン内に導入されるところから反対側の装置の端部に位置される。
【0009】
1つの実施形態において、第1のエンドキャップと第2のエンドキャップはケース内で密封される。
【0010】
別の実施形態において、中空フィラメントはファブリックを形成するために1つ以上のワープ繊維と組み合わされる。更に別の実施形態において、ファブリックはコアチューブに対して螺旋状で巻かれ、コアチューブから外側に放射状で延在するファブリックの半径方向の層を形成する。更に別の実施形態において、ファブリックの半径方向の層はインターリーフ材料により分離される。更に別の実施形態において、複数の中空フィラメントはワープ繊維と組み合わされるだけでなくインターリーフ材料により分離される。
【0011】
更に別の実施形態において、装置は第1のエンドキャップを第2のエンドキャップの下方にして垂直方向に向けられ、第1のエンドキャップは流入液体の進入に適合して第2エンドキャップはガスの進入に適合する。
【0012】
別の実施形態において、中空フィラメントはポリエステル、セルローストリアセテート、ポリエチレン、ポリウレタンの合成物で製造される。好ましい実施形態において、中空フィラメントはポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、またはポリ(エチレンテレフタレート)で構成される。
【0013】
更に別の実施形態において、装置はさらに少なくとも1つの精練ガスの吸入口を含む。特定の実施形態において、少なくとも1つの精練ガスの吸入口はケースの底部に位置する。特定の実施形態において、少なくとも1つの精練ガスの吸入口はケースの底部に位置する複数の精練ガスの吸入口である。
【0014】
別の態様において、述べられた装置の複数を含み、前記装置が並列または直列に配置されるシステムが提供される。
【0015】
さらに別の態様において、バイオマスによりMBfR装置の汚れを低減させる方法が提供される。方法はルーメンを画定する壁及び壁で1つ以上の穿孔を有する中心コアチューブ、コアチューブを囲む複数の中空フィラメント、及び中心コアチューブと複数の中空フィラメントを収容するケースを有し、各フィラメントは内部のルーメンと外表面を画定する壁を有し、中心コアチューブ内に液体流入を導入し、複数の中空フィラメントの内部ルーメンにガスを導入し、前記ガスは中空フィラメントの外表面上のバイオマスの成長を支え、液体流入が前記1つ以上の穿孔を通して流れてフィラメントの外表面上のバイオマスに接触することを可能にし、前記液体流入の流れは装置内の半径方向の流路を画定し、前記ケース上に配置された1つ以上の流出口で排出水を収集することを含み、流入液体の半径方向の流路はバイオマスにより装置の汚れを低減する。
【0016】
一実施形態において、排出水の第1部分は装置を通して再循環される。別の実施形態において、排出水の40〜50%は、装置を通して再循環される。排出水の第2部分は処理される排出水として排水されたり更なる処理段階で流入水として使用されたりすることができる。
【0017】
さらに別の実施形態において、排出液体は装置の第1端部で中央コアチューブ内に導入されてガスは装置の第2端部で中空フィラメントに導入される。
【0018】
他の実施形態では、周期的な精練サイクルが含まれ、精練ガスは中空中心コアチューブ内に導入される。ある実施形態において、精練ガスはケースの底部内に導入される。ある実施形態において、周期的な逆洗サイクルが行われ、液体は少なくとも1つの排出口内に導入される。特定の実施形態において、精練ガスは周期的な逆洗サイクルの間に底部内に導入される。
【0019】
上述された例示的な態様及び実施形態に加えて、他の態様及び実施形態は図面の参照及び次の記述の検討により明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0020】
本半径流MBfRの例示的な使用は水処理のためのものである。MBfR装置は水に存在する化学物質(例えば、塩素)がMBfRのバイオフィルムの形成と維持やバイオフィルム中の微生物の代謝活動を妨げない限り、他の水処理プロセスと組み合わせに使用することができる。MBfRはそのいくつかが上記特定された様々の水質汚染物質を除去するために使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来のMBfR装置の外観図である。
【図2】典型的な半径流MBfR装置の外観図である。
【図3】中空フィラメント、ワープ繊維、及びインターリーフ材料の外観図である。
【図4】例示的な半径流MBfRをテストするためのシステムの概略図である。
【図5A】例示的な半径流MBfR装置の特徴と性能特性を示す表である。
【図5B】例示的な半径流MBfR装置の特徴と性能特性を示す表である。
【図6A】例示的な半径流MBfR装置の性能を示す表である。
【図6B】例示的な半径流MBfR装置の性能を示す表である。
【図6C】例示的な半径流MBfR装置の性能を示す表である。
【図6D】例示的な半径流MBfR装置の性能を示す表である。
【図7】硝酸塩濃度の関数として非定常状態のバイオフィルムの理論的な硝酸塩フラックスである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
I イントロダクション
いくつかのMBfR装置が作られ、最大のフィラメントの充填密度を確かめてバイオフィルムの汚れを最小にするためにテストされた。後述するように、流入液体が装置の中心に入って半径の外側方向に流れてバイオマスの成長を支える複数の中空フィラメントに接触し、フィラメントの最小のバイオフィルムの汚れ及びフィラメントの望ましい充填密度を提供する半径方向の流体流れのデザインの装置が見つかった。半径流MBfRのデザイン態様及び特徴が今から述べられる。
【0023】
本装置と方法の特徴の記述の前に、明確にするために次の用語が定義される。 定義されない用語及び略語は当技術分野で使用される通常の意味と一致されるであろう。
ここで使用されるように、用語の“バイオフィルム”と“バイオマス”はMBfRの中空フィラメントの外表面上で成長する有機体を総体的に言う。このような有機体は、通常、MBfRに入る流入液体中に存在する1つ以上の汚染物質の除去に影響を与える。当業者はバイオフィルム又はバイオマスが作動中にMBfRに蓄積し、本MBfR装置はバイオフィルム/バイオマスの成長を支えるが、含まないことの良さが分かるだろう。
【0024】
ここで使用されるように、用語の“生物付着”とは、バイオフィルム/バイオマスがMBfR内で流体または/ガスの流れを詰まらせ、ブロックし、またはそれでなければ制限することによるプロセスを言う。
【0025】
ここで使用されるように、用語の“不活性”と“不活性材料”は中空繊維のルーメン内に蓄積する破片及び他の材料を総体的に言う。このような破片及び材料は中空繊維のルーメン内に導入されるガスに存在する粒子物質、中空繊維の外表面よりルーメンへ拡散する液体及び溶質、中空繊維のルーメン内で成長する有機体、及び塵を含むが、それに限定されない。
【0026】
ここで使用されるように、用語の“インターリーフ”または“インターリーフ材料”は中空フィラメントの間隔を分離して維持するために使用される多孔質、実質的に平面の材料を言う。例示的な材料はリサイクル可能なプラスチックから作られるオープンメッシュである。
【0027】
ここで使用されるように、用語の“ワープ繊維”は中空フィラメントの間隔を分離して維持するために中空フィラメントと組み合わせることができる不活性繊維(すなわち、バイオマスを支えるために必要とされない繊維)を広く言う。ワープ繊維は中空フィラメントの長さに沿って均一に離間され、間隔を維持するのに役立つ中空繊維の動きを制限するのに十分な緊張下にあることができる。典型的なワープ繊維はリサイクル可能なプラスチックから作られる。
【0028】
II 通常流れMBfR装置
MBfR装置内の生物付着の問題はよく知られており、(i)高背圧、(ii)リサイクル後の急速な汚れ、及び/又は(iii )定期的なリサイクルにもかかわらず進行される汚れ、及びその変化した物の形態をとる。生物付着は一般的に残留汚染レベルの増加に伴う増加された圧力のMBfR装置にわたる降下により特徴付けられる。生物付着は例えば、コロニーをカウントし、酵素レベル等を測定することにより、存在する微生物の数とタイプに対して排出水を分析することにより識別されることができる。
【0029】
いくつかの従来のフローMBfR装置のデザインは図1A〜1Cに示されている。装置は通常ケースやハウジング10、第1及び第2のエンドキャップ12a、12b、エンドキャップ内で密封される複数の中空フィラメント14を含む。矢印13で示されるように、中空フィラメントのルーメンはエンドキャップ12aでのような、エンドキャップのいずれかで導入されるガスの流れに開放されている。流入液(通常的に汚染される水)は流入/入口16を通してケースに入って排水/排出口20を通して排出される。図1Bの装置は追加の流入口19及び追加の排出口を含む。この実施形態では、中空フィラメントはワープ繊維と、大まかにケース内にパックされる。
【0030】
中空フィラメントのもっと詳細な外観が図1D〜1Eに示されている。図1Dに見られるように、フィラメント24のような、複数のフィラメントの個々のフィラメントはフィラメントの端に植えられ、それでフィラメントのルーメンにガスを配布するためのマニホールド26を画定する。典型的な先行技術の中空フィラメントは図1Eに示されている。ルーメン50は、マイクロ多孔質ポリエチレンの壁54に挟まれた1μmの厚さの非多孔質、疎水性ポリウレタン層52により形成される。フィラメントの外観面58は汚染される水60と相互に作用するためのバイオフィルム56の成長を支える。
【0031】
図1Cを参照すると、示す装置はMBfRモジュールを通しての流れを改善する試みを表している。中心コアチューブ30は中央バッフル44により配布部33と収集部35に分かれる。コアチューブは次のように流入水を配布するための、穿孔34のような、穿孔を含む。流入水は流入口40から入り、中心チューブの配布部33にある穿孔を通して流れ、及び初期に連絡先装置の底部36の複数の中空フィラメント37に接触する。装置の上部38の複数の中空フィラメントからの排出水は排水口42から穿孔34を有する排出用の水を収集するためのコアチューブの収集部35に入る。
【0032】
中央バッフル44は流入水が配布コアチューブ部30から直接収集コアチューブ部32に流れることを防ぎ、それにより中空フィラメントとの接触を減らす。類似の装置は配布部及び収集部を分離するために設置されるバッフルを有するケースを横断する単一のチューブではなく、各々ケース内に終端する独立/離散される配布及び収集コアチューブを使用して構成される。
【0033】
図1A〜1Cに示すすべての3つのMBfR装置は生物付着の問題を抱える。空気精練及び高水圧流速は生物付着を制御し、更には図1A〜1Bの装置での流量分布を維持するのに効果的であったが、図1Cの装置の生物付着を制御するには効果がなった。図1Cの装置は収集コアチューブに逆らう汚れとフィラメントの圧縮の組み合わせに起因する高圧力の降下を発生させる、これは収集コアチューブの穿孔を通して水の流れを制限する(Adham他、上記参照 81)。
【0034】
II 半径流れMBfR装置
A デザイン
図2〜3を参照して改良された半径流MBfRのデザインが今から述べられる。図2Aを始めて参照すると、半径流MBfR装置100はケース110、穿孔中心コアチューブ130、及び上部エンドキャップ144及び下部エンドキャップ145に付着される、例えば、植えられることにより、複数の中空フィラメント132を含む。ケース110はキャビティ又は穴を画定する内部表面を持つ壁を有する。ケースのキャビティはケースの内部表面に対してシールするための1つ以上のO〜リング、クワッドリング、又は他のシールタイプ142を選択的に含む第1及び第2のエンドキャップをかみ合って収容するのに適合する。
【0035】
中心コアチューブはチューブの壁内の1つ以上の穿孔を有する穿孔領域117を含む。コアチューブの第1端部は好ましく流体及び/又はガス流れに開かれているが、第2端部はチューブの壁の穿孔を通して出てチューブのルーメンに入る直接の流体/ガスに実質的に閉じるべきである。図2Aの実施例では、外部の流入流体の供給と流体連通のための流入口146に隣接するコアチューブの端部が開放され、エンドキャップ144に隣接するコアチューブの反対側の端部(図面において、上端部)は実質的に又は完全に閉じる。流入口146は穿孔中心コアチューブ130の1つの部分を含むことができる。排水口148は、図2Aに示すように、ケース110上に、又は図2Bに示すように、エンドキャップ上に配置されることができる。排水口がケース上に配置される場合、ポート148a、148b、148cのような、複数の排水口はケースの長さに沿って離間することができる。図2Bに示すように、排水口がエンドキャップ上に配置される場合、例えば、ケース110内に延在する穿孔チューブ149を通して、ケースの内部表面110と流体連通するだろう。ケース110は、それは後述するように、中空フィラメントの実質的な円筒形状、例えば、モジュール、に干渉しないように、穿孔チューブ149のための凹部を提供するのに適合する。
【0036】
複数の中空フィラメント132は個々のフィラメント、トウ又はバンドルに配置されたフィラメント、又は“チューブシート”に提供されるフィラメントであり、複数の実質的に平行なフィラメントは、折り畳まれ、又は巻き込まれて要求される密度の層にのシートにMBfRフィラメントを提供することができるシートに埋め込まれる。フィラメントの植えられた端部はフィラメントが開放され、ガスを導くのに利用可能なことを確かにするように加工される。ある実施形態では、植えられた中空フィラメントは洗浄又は交換のためにケース110からモジュールユニット(すなわち、“モジュール”)として除去されることができる。
【0037】
ガスはケース110のエンドキャップ144に位置するガスポート113を通して植えられた中空フィラメントのルーメンに入り、反面、不活性物質(すなわち、不活性材料)はエンドキャップ145に配置される又は隣接するドレインポート114を通して中空フィラメントのルーメンから流れ出たり排出されたりする。不活性材料はガス供給内に存在する過剰ガスと微粒子物質、フィラメントの外表面からフィラメントのルーメン内に拡散される液体及び溶質、塵、微生物、及びフィラメントのルーメンに蓄積される他の材料を含む。
【0038】
図3Aに示すように、複数の中空フィラメント113は1つ以上のワープ繊維150と組み合わせることができる。ワープ繊維は実質的に不活性物質、構造繊維又は中空フィラメントに典型的だが必ずではない垂直方向に向けられるフィラメントである。ワープ繊維は、量は重要ではないが、好ましくはフィラメントが収縮し、膨張することを可能にする弾力性を持つ。ワープ繊維は中空フィラメントの長さに沿って約1から約6センチメートルの間隔で離間されることができる。ワープ繊維の張力が動作条件の下でフィラメントの偏向と動きを最小にする中空フィラメントのグループの位置を維持するのに十分であるが、しかし、フィラメントは収縮し、膨張することができる。フィラメントはグループに配置され、ワープ繊維と組み合わせる。各グループは2から約200フィラメントを含むことができる。
【0039】
図3B〜3Dに示すように、インターリーフ材料160は個々の中空フィラメント132又は中空フィラメントのグループ又は層を分離するのに利用されることができる。繊維をワープと同様に、インターリーフ材料は流れ制限や汚れを最小にするためにフィラメントのグループ分けと分離を維持し、それによりMBfR装置にわたって圧力降下を低減させる。インターリーフ材料160の層は、中空フィラメント間の間隔を設置して維持するために、中空フィラメントの層又はワープ繊維(例えば、ファブリック)と組み合わせた中空フィラメントの層と交代することができる。例示的なインターリーフ材料は、図3Dに示すように、プラスチックのオープンメッシュ素材である。
【0040】
述べたように、ワープ繊維およびインターリーフ材料は単一MBfR装置に組み合わせることができる。好ましい装置では、ワープ繊維によりつながった複数の中空フィラメントは、スパイラルワインディングやファブリックの層を形成する中心チューブの周りに巻かれるファブリックを形成する。ファブリックのスパイラル層は、図3B〜3Cに示すように、インターリーフ又は間隔材により分離される。
【0041】
B.オペレーション(作動)
作動では、汚染された流入水は流入口を通して半径流MBfR装置に入り、外側への半径方向に、すなわち、穿孔コアチューブからケースの内側表面に向かって、流れる。流入水はバイオマス(図示せず)が形成された中空フィラメントの外表面に接触する。バイオマス中に存在する1つ以上の有機体は流入水中に存在する汚染物質の除去に影響を与え、それにより低下される汚染のレベルを持つ排出水を作る。
【0042】
排出水はケースの内側表面で又は近くで収集される。流入水の圧力は排出水が1つ以上の排水口を通して外に出るように強いる。多量の排出水は排出生成物としてシステムから排水され、又は例えば、フィラメント及びバイオマスにさらに露出されたMBfR装置を通して逆循環されることができる。
【0043】
ガスはガスポートを通して中空フィラメントのルーメンに供給され、不活性物質は排水口を通じる排水のためにフィラメントの他の端部より収集される。大部分のガスはフィラメントの外表面上で成長するバイオマスによる利用のための中空フィラメントの壁を通して拡散する。ガスは存在する有機体及び実行される代謝の段階に応じて、水素、酸素、または二酸化炭素であることができる。
【0044】
装置はさらに中空フィラメントの外表面を精練するためにガスを導入するための、 図2Aに示すポート115ような、1つ以上の精練ガス吸入口を含むことができる。精練ガス導入口はケースの底部または下部エンドキャップに位置されることができ、そのためポートからのガスがケースの内部表面及びフィラメントの外表面を磨く。精練ガスは、下記述べられるように、通常の動作中または逆洗中に導入されることができる。追加精練ガス導入口(図示せず)は、半径方向のガス流れを通して中空フィラメントの外表面を磨くためにガスを導入するための、流入口またはその近くに配置されることができる。典型的な精練ガスは、他の精練ガスが満足な結果を生成する可能性があるとはいえ、窒素である。通常、大気中へのガスの放出を伴うので、可燃性又は有毒ガスの使用はあまり望ましくない。ガス精練の導入が精練サイクルと呼ばれることができる。MBfR装置はさらにガスや液体試薬を導入するための多数の追加ポートを含むことができる。
【0045】
C テスト
半径流MBfR装置の性能を評価するためのテストシステムの概略図が図4に示されている。システムは半径流MBfR200、供給タンク220を有する自動供給構成構造の再循環ポンプ210を含む。水素供給システム250、窒素供給システム255、及び二酸化炭素供給システム260が示されている。サンプルポート290を持つ排水ラインはサンプルが分析されるようにする。浄化された水は中空フィラメントに渡って半径方向に流れてケース内に収集されることからMBfR装置200の穿孔コアチューブ(図2Aを参照)内に投入され、1つ以上の排水口を通して排出される。
【0046】
2つの3方バルブ270はシステムに配置されて流れの方向を逆にするための排水口に水の流れを変える。逆流方向では、水か排水口から流れ、中空フィラメントの外表面を磨き、及び穿孔コアチューブで収集され、それにより中空フィラメントを逆洗する。逆洗は通常一日1回から6回に行われてMBfR装置を通して背圧(圧力降下)を減らす。逆洗の後に、MBfR装置にわたっての圧力降下は公称1〜2psiに戻る。
【0047】
テストシステムは窒素供給システム255及びいくつか(例えば、4)の窒素吸入/注入口 256,257を備えていた。MBfR装置の下部周囲に位置する窒素吸入/注入口255はケースと中空フィラメントの外表面を磨くのためのもので、それによりバイオマスの発生量とMBfR装置200にわたっての圧力降下を減らす。さらにMBfR200の穿孔コアチューブを供給する注入ラインに設置される窒素注入口257は半径方向に窒素ガスを注入することによりフィラメントを精練するためのものである。ガス精練はMBfR装置の圧力降下を発生させるバイオマスの過剰蓄積を避けるのに十分な周期で行われる。テストシステムは硝酸塩の還元から生成された窒素を排出するだけでなく、精練に使用された窒素を排出するためのガス分離排出バルブ295を備える。他の不活性ガス、あるいは空気、は精練に使用することができる。
【0048】
テストシステムはさらに二酸化炭素の供給システム260及び二酸化炭素の注入口(図示せず)を備えていた。MBfR200内部のpHを調節したり(すなわち、低くする)、独立栄養微生物のための炭素源を提供したりするために二酸化炭素が注入されることができる。例えば、式1に示すように、硝酸塩の独立栄養還元は水酸化物(OH)を発生させる。二酸化炭素は水酸化物と反応して重炭酸塩を生成することができる。付け加えられる二酸化炭素の量はMBfR内部のpHを約7〜8で維持しながら、通常減少される硝酸の量に依存する。
2.5H+NO→0.5N+2HO+OH (1)
【0049】
D 結果
半径流MBfR装置デザインの効率をテストするために、異なる中空フィラメント材料や構成を使用する4つの半径流装置が準備された。3つの“モジュール”はセルローストリアセテート(CTA)を使用し、1つは複合ポリエチレン/ポリウレタンフィラメント(CPP)を使用した。別の中空フィラメントに加えて、典型的な装置は中空フィラメントを支える別のワープ繊維を使用した。それぞれの4つのモジュール(モジュール1〜4)の仕様は図5Aの表に示されている。
【0050】
1. モジュール1
モジュール1は45%の充填密度と43.7m2(図5A)の表面積でCTA繊維を使用した。タイトなフィラメントのバンドルはしっかり織り合わされた多数のワープ繊維により製作された。モジュール1を含むMBfR装置は毎日逆洗され、窒素精練はせずに、63日間作動された。硝酸塩の流量 (NO−Nmg/m2/日)及び圧力降下(psi)データは図6Aに表示されている。最初の30日間、硝酸塩の流量及び圧力降下は増加した。硝酸塩の流量は最大値の1004(NO−Nmg/m2/日)に達したが、定常状態の値を達成するのに失敗した。事後分析によって圧力降下がモジュールにわたって不均一に分布されたバイオマスの形成によるものであったことが分かった。バイオマスの特徴である淡黄褐色が排出口の周辺部に低減した量でモジュールの外側で見られた。
【0051】
モジュール1は計27のフィラメントのワープ/層を有した。モジュールを広げると、4〜17層の間で多量のバイオマスが現れ、約8層に集中されていた(外側の層から数えた)。逆洗手続はモジュールの内部層内ではなく、外側の層のバイオマスの調節を維持したようであった、この外側の層はバイオマスで塞がれ始めた。
【0052】
2. モジュール2
モジュール2は低充填密度(すなわち、20%)と相応の19.4m2の低い表面積(図5A)を持つCTAフィラメントを使用した。モジュール2は毎日逆洗されたが、窒素精錬はせず、51日間作動された。硝酸塩の流量は20日後に約490NO−Nmg/m2/日の定常状態レベルを達成したようであり、それからモジュールの作動が止まるまでわずかに減少した(図6B)。平均硝酸塩の流量は432(NO−Nmg/m2/日)であった。圧力は徐々に増加したが、モジュール1で観察された程度ではなかった。
【0053】
モジュール2がケースから除去された後の事後分析によってバイオマスが均一に分布されなかったことが分かった。モジュール1と同様に、繊維バンドルの中央のバイオマスが表面より密度が高かった。
【0054】
3. モジュール3
モジュールは20%の充填密度でCPPフィラメントを使用し、17.9m2の表面積を持った(図5A)。CPPフィラメントはモジュール1、2及び4で使用されたCTAフィラメント(330ミクロン)よりわずかに小さい直径(300ミクロン)を持っていた。モジュール3はワープ繊維を持たず、中空繊維は非常に緩かった。上記のように、モジュールは毎日逆洗されたが、窒素精錬はしなかった。
【0055】
モジュールの圧力降下はモジュール1及び2で観察されたことと異なるパターンを持った。特に、圧力降下は作動の最初の30日間わずかであったが、その後急速に3psiに増加し、1psiに減少した(図6C)。硝酸塩の流量は圧力の増加に伴って減少し、圧力が一定に維持された間にも減少し続け、作動の30日後に500NO−Nmg/m2/日のピークに達し、平均315(NO−Nmg/m2/日)になった。モジュール内の水のチャネリングはケースを介して目に見え、ある場合には水の流れがコアチューブから直接排出されることをもたらした。多数の逆洗及びケース内への硝酸注入はチャネリングを減少させなかった。モジュール3は、サービスから除去される前、68日間作動された。
【0056】
4. モジュール4
モジュール4はモジュール1及び2で使用されたものと同じCTAフィラメントを使用した。モジュール4のワープ繊維のパッキングはモジュール1及び2のものの中間であった(図5A)。モジュール4のワープ繊維を緩める目的はバイオマスが中空繊維の外側で成長するためのスペースを提供することであり、一方ワープ繊維は均一な流量分布を確保し、チャネリングを避けるのに十分な緊張を提供した。全体的に減少されたモジュールの直径により、ただ12.3m2の表面積で繊維充填密度は45%であった。減少されたモジュールの直径の目的は繊維からバイオマスの完全な洗浄を可能にすることであった。モジュール4は作動中に一日に2回10分間逆洗された。さらに、フィラメントを洗うために必要に応じて窒素がケース及びコアチューブ内に散布された。
【0057】
定常状態に達していなかったようだが(図6D)、モジュール4の硝酸塩の流量は80日後に横ばい状態になった。モジュール4の圧力降下は作動の60日後2psiで安定化され、その後5psiに増加した。モジュール4は104日 にケースから除去され、水で洗浄され、その後作動に戻された。硝酸塩の流量は8日以内に800NO−Nmg/m2/日に戻り、増加し続け、恐らくフィラメントとケースの間の分解とクリーニングの前よりもっと深いバイオマスの蓄積により圧力降下を伴った。窒素精練は蓄積されたバイオマスの除去に失敗した。153日に、モジュール4はまたケースから除去されて洗浄され、その時にいくつかのフィラメントが不注意で壊れ、ケースへの水素の漏洩をもたらしてモジュール4の研究を終わらせた。モジュール4の平均の硝酸塩の流量はそれが作動された全体時間の間860(NO−Nmg/m2/日)であった。
【0058】
モジュール4の性能は硝酸塩の流量、圧力降下、及び作動の時間の合計時間の面でモジュール1、2及び3より優れた(フィラメントの損傷にもかかわらず)。モジュール4が作動された202日間の平均流量はテストされた他のモジュールの2倍である866mgNO−Nmg/m2/日であった。モジュール1〜4の平均作動条件の概要が図5Bの表に示されている。
【0059】
E. 結論
これらの結果は、半径流MBfRが報告された他のMBfRリアクタより低い圧力降下で高い硝酸塩の流量を達成することができることを示す。半径流MBfR装置のデザインの重要な側面としては(i)フィラメントのバンドルの厚さと(ii)ワープ繊維の緊張がある。充填密度も重要であるが、20%の充填密度を持っていたモジュール2は硝酸塩の流量で45%の充填密度を持っていたモジュール1を上回ってわずかな改善を示した。ワープ繊維の重要性が明確にモジュール3を用いて観察されたチャネリングにより示されている。
【0060】
一般的にMBfR装置のpHはバイオフィルムを支えるために8から9の範囲で維持されなければならない。このpH範囲はMBfRへの二酸化炭素の添加により容易に得られる。テストされたすべてのMBfRは蓄積されたバイオフィルムの量を減らすために周期的なクリーニングの手続を要する。最善の結果は逆洗、窒素ガスの散布、及び時折の分解とクリーニングの組み合わせを使用して得られた。
【0061】
効率の問題に目を向けると、図7に示す表はバルク液体(S in mg−N/L)及びバイオフィルムの厚さ(Lf in μm)中の硝酸塩濃度の関数として非定常状態のバイオフィルムの理論的硝酸の流量を示す。低硝酸塩濃度(すなわち、0.2mg−N/L未満)において、理論的な硝酸塩の流量は850〜1,000mg−N/m2/日である(水素利用に制限がないという前提)。図6Dに示すように、内部コアチューブデザインを持つモジュール4は半径流MBfR装置の効率を示しながら、その作動の多くの間、低硝酸塩濃度のMBfRのための流量の理論上の限界を達成した。
【0062】
さらに半径流MBfRを使用する実験はMBfR排出水の部分(例えば、40〜50%)を戻ってMBfR流入口にリサイクルすることにより改良された汚染物質の除去が達成されることを示した。この結果の1つの説明は簡単に水の一部を2回バイオフィルムに触れさせ、バイオフィルムが最終の排出水からより多くの汚染物質を除去することを可能にするということである。しかし、別の理論は混合物又は“未処理水”を含む“処理水”が流入水の溶存酸素の総量を薄め、バイオフィルムが電子受容体として、酸素より硝酸を使用するように促すということである。希釈又は流入水からの酸素の除去の他の方法は類似の結果をもたらすことと期待される。
【0063】
理論に限定されることなく、半径流のデザインはフィルムでコーティングされた中空フィラメント上の流入流れの速度及び均一性を向上させ、汚染物質の除去の効率を向上させ、生物付着を最小にし、周期的な精練の効率を向上させると考えられる。いくつかのMBfRデザインは実験的にテストされ、その結果は半径流MBfR装置が他の流れ構造を使用する従来のMBfRより優れていたことを示した。
【0064】
III 中空フィラメント、ワープ繊維、およびインターリーフ材料に使用する材料
A. 中空フィラメント
典型的な装置に使用される中空フィラメントは約300μmの外径と約150μmの内径を有するセルローストリアセテート(CTA)から製造された。しかし、ポリエステル、ポリウレタン、またはポリ塩化ビニルを含む他の材料は半径流装置に使用することができる。MBfR装置に使用する中空フィラメントの生産のための有用な1種類の化合物はポリエステルである。エステルはアルコールと有機酸の縮合により形成される伝統的に有機化合物の1種類である。酸がカルボン酸である場合には、結果として生じるエステルはR1−C(=O)OR2の構造を持ち、ここでR1とR2は独立的にH又は無数の官能基である。エステルはまたリン酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、安息香酸、及び他の酸から生成されることができる。環状エステルはラクトンとして知られている。
【0065】
エステルは水素結合受容体としての水素結合に加わる。しかし、エステルは水素供与体として機能しない。これはエステル基の間の水素結合を防ぎながら、エステル基が他の多くの官能基と水素結合を形成するようにする。 R1とR2−基の性質は特定のエステルの特性に影響を与えるが、エステルは一般的に疎水性である。
【0066】
ポリエステルは、特定のポリエステルに応じて、通常共沸混合エステル化、アルコールエステル交換、アシル化(すなわち、HCl法)、シリル又はシリルアセテート法、開環法、及びのこれらの変形により生成される1つの以上の事前に選択されたエステルモノマーのポリマーである。ポリエステルは消費財の製造に広く使用され、その機械的性質はよく知られている。
【0067】
ポリエステルはポリ(テレフタル酸エチレン)(PET)、ポリ(テレフタル酸トリメチレン)(PTT)、ポリ(テレフタル酸ブチレン)(PBT)、ポリ(エチレンナフタレート)(PEN)、ポリ(テレフタル酸シクロヘキシレンジメチレン)(PCTA)、ポリカーボネート(PC)、ポリ(テレフタル酸ブチレン)(PBN)、及びポリ(乳酸)(PLA)を含むが、それに限定されない。ポリエステルはホモポリマーまたはヘテロポリマーであることができる。ここで使用されるように、ヘテロポリマーは共重体を含む。一般的なポリエステル共重合体は1.4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)である。たとえば、PCTAはテレフタル酸、イソフタル酸、及びCHDMである3つのモノマーの共重合体である。いくつかの産業には、“ポリエステル”と“PET”という用語を同じ意味で使われるが、“ポリエステル”の用語は全種類の化合物を言う。
【0068】
繊維が放り込まれるまたはトウ、ロープ、布などに織り込まれるとき、ポリエステルの多くの利点が最も明らかになる。たとえば、ポリエステルは織物産業で広く使用されている。最も広く使われているポリエステルは非晶質(透明)及び半結晶(白または不透明)の形態で存在し、容易に繊維とシートにされるPET(又はPETE)である。PET及び二価アルコールとテレフタル酸の他のポリエステルは一般的にロープを作るのに使用される。
【0069】
生成するのに費用のかからないことに加えて、ポリエステルは特に頑丈で、弾力性があり、耐摩耗性及び耐伸縮性がある。ポリエステル繊維は防しわ性、カビ抵抗性、高速乾燥性があり、熱セットプリーツや折り目を保持する。ポリエステルは酸化剤、洗浄溶剤、及び界面活性剤に優れる耐性を示す。一方日光に対する耐性において、紫外線安定剤が屋外や紫外線にさらされる使用に通常追加される。
【0070】
ポリエステルは、ほとんどの熱可塑性樹脂のように、リサイクルされ、バージンポリエステル、リサイクルポリエステル、ポストコンシューマポリエステル、リサイクルモノマー、またはそれらの組み合わせや変形であることができる。PETを含むいくつかのポリエステルはたったの炭素、酸素、および水素(すなわち、硫黄、リン、窒素など)を含み、それらを焼却の対象になるようにする付加的な利点を提供する。
【0071】
典型的なポリエステル中空フィラメントは溶融されてスピナレットの穴を介して押され、水や空気の流れで急冷され、加熱と組み合わせる1つ以上のステップで伸ばされ、その後に巻線機を使用するスプール上に巻かれるPETのような溶融紡積可能なポリエステルで製造される。中空フィラメントはきめ細かく、効果的に必要に応じて任意の長さに切断されることができる“無限の”柔軟な中空ポリエステルチューブであり、フィラメントは通常排出水にさらされる外表面及び散布ガスと相互に作用する内部表面を有する。内面は中空の内部空間を画定する。
【0072】
半径流MBfRで使用する中空フィラメントの好ましい直径は特定の実施形態に依存する。中空フィラメントの直径は500μm以下、さらには100μm以下であることができる。フィラメントの直径も50μm以下、20μm以下、さらには10μm以下であることができる。中空フィラメントは直径に対して均一な直径を持つか、不均一な直径であることができる。フィラメントが不均一な直径である場合には、直径はあらかじめ選択された範囲内にあることができる。
【0073】
中空フィラメントはバンドルに放り込まれてマルチフィラメント糸を形成し、それから述べられるバイオリアクターで使用するためのモジュールに組み立てられる。糸のために10デシテックス(すなわち、デシテックは1万メートル当たり1グラム)未満のフィラメントが好ましく、反面100デシテックス以上のフィラメントは通常モノフィラメントとして使用される。中間のフィラメントはいずれかの形式で使用される。モノとマルチフィラメントの両方は工業用布のワープ又はウェフトとして使用することができる。
【0074】
ポリマー膜を通じるガスの拡散は一般的に拡散のフィックの法則で説明される。溶解度係数は特定のポリマーガスの組み合わせ及びヘンリーの法則に依存する。適度な圧力でゴム状ポリマー中の低分子量のガス(そのガラス転移温度以下)の浸透はフィック則のものであり、様々な吸着モード(すなわち、吸収、微細空洞内のプラスの補足、クラスタリング、及び凝集)のヘンリーの法則に従う。(Klopffer,M.H.及びFlaconneche,B.,オイル&ガスの科学と技術−Rev.IFP,56,2001,第3号)。
【0075】
中空フィラメントのバースト圧力は式2を使用して計算することができる:
P=T・(OD・ID)/(OD+ID) (2)
Pはバースト圧力である場合、Tは引っ張り強さで、OD及びIDはそれぞれ外側と内側の直径である。OD及びIDは事前に選択される変数で、引っ張り強さは特定のポリマーと関連付けられる定数である。
【0076】
記述されたように使用のための好ましいフィラメントの直径は約50μmから約5000μm(OD)、さらには約0.10ミリメートルから3000μmである。1つの好ましい直径は約300μmである。より不規則な形状は満足な結果を挙げることが期待されるが、中空フィラメントの最適形状は円形てある。一貫した密度は好ましいが、必須ではない。好ましい引っ張り強さ(T)の値は約10から約80cN/テックス、さらには約20から約60cN/テックスである。
【0077】
空隙容量(%V)の割合は式3を使用して計算することができる:
%V=T・(inside area)/(outside area)×100 (3)
【0078】
空隙容量の許容範囲は約1%から約99%であり、反面ある実施形態の好ましい範囲は約25%から約50%である。
【0079】
B. ワープ繊維およびインターリーフ材料
ワープ繊維及びインターリーフ材料はセルロースアセテート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、及びそれらの合成物で作ることができる。ワープ繊維は100〜500μm、約150〜450μm、または約200〜400μmの外径を持つ必要がある。一例では、ワープ繊維は約300μmの外径と約150μmの内径を有する150デニールテクスチャード加工のポリエステルである。他の寸法及び約75〜約300デニールの範囲のテクスチャポリエステルは類似の結果をもたらすはずである。
【0080】
同様に、インターリーフ材料はセルロースアセテート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン等の合成物、ポリエチレンやポリプロピレンのような不活性プラスチック材料で作ることができる。インターリーフ材料は大きな制限なしMBfR内の半径方向の流れを可能にするために十分な多孔質であるべきである。インターリーフ材料は不織布繊維、穿孔シート、または広範な材料から作られることができる。例示的なインターリーフ材料は、図3Dに示すように、押出ポリプロピレンダイヤモンドネットである。特定のネットは公称0.110インチ×0.110インチの穴寸法、0.046インチの厚さ及び公称66%の割合の粗らかを持つ。
【0081】
IV 微生物の選択
前述のように電子供与体として独立栄養細菌と水素ガスを用いる硝酸塩還元のためのMBfR装置が例示された。しかし、装置が多くの種類の汚染物質と適切な微生物とともに使用できることは開示より明らかになるであろう。酸化汚染物質は硝酸塩、亜硝酸塩、過塩素酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、及びハロゲン化された有機汚染物質の範囲等を含むが、それに限定されない。
【0082】
窒素汚染物質の除去は通常、細菌または好気性、化学合成無機独立栄養細菌の2つの主要なグループを含む“硝化細菌”を脱窒することにより実行される。アンモニア酸化細菌はアンモニアを亜硝酸塩に酸化し、亜硝酸酸化細菌(NOB)は亜硝酸塩を酸化塩に酸化する。最初のプロセスは一般的に多くの土壌中通性嫌気性菌によって実行される。たまに“真の”脱窒と呼ばれ、2番目のプロセスはパラコッカス・デニトリフィカンス、アルカリゲネスユートロフス、アルカリゲネスパラドクスス、シュードモナス疑似フラバ、ビブリオデクロラチカン、Cuznesive B−1168、アシネトバクターサーモトレランチクス(thermotoleranticus)、イデオネラ デクロロラタンス(ideonella dechloratans)、GR−1(β-プロテオバクテリア、パラコッカス・デニトリフィカンス、ウォリネラスクノゲン(succnogenes)及びラルストニアユートロファに属することと知られた菌株)に代表される細菌の追加選択グループにより行われる。シュードモナス疑似フラバ、アルカリゲネスユートロフス、アルカリゲネスパラドクスス、パラコッカス・デニトリフィカンス、及びラルストニアユートロファはすべて電子供与体として水素ガスを使用することができる。ラルストニアユートロファはコレクションの番号の17697としてアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC;マナッサ、バージニア州、米国)から得られる好ましい細菌である。
【0083】
過塩素酸塩還元細菌は一般的通性嫌気性菌や微細好気性細菌である。細菌は電子供与体として酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸エステル、 酪酸塩、 吉草酸塩、フマル酸塩(fumerate)、乳酸塩、塩素酸塩、及び酸素を使用するが、一般的にはメタノール、カテコール、グリセロール、クエン酸塩、グルコース、水素、硫酸塩、セレン、フマル酸塩(fumerate)、リンゴ酸塩、マンガン(IV)、または鉄(III )は使用しない。ほとんどの過塩素酸塩還元細菌はプロテオバクテリアである。デクロロモナス(Dechloromonas)、デクロロソーマ(Dechlorosoma)、菌株GR−1はβ-プロテオバクテリアであり、アゾスピリルム(Azospirillum)はα-プロテオバクテリアてある。デクロロモナス(Dechloromonas)とデクロロソーマ(Dechlorosoma)の菌株は電子供与体として乳酸塩を使用することができ、デクロロソーマ(Dechlorosoma)の菌株は電子供与体としてエタノールを使用することができる。3つのデクロロソーマ(Dechlorosoma)菌株を除き、すべての過塩素酸塩還元細菌は電子受容体として硝酸塩を使用することができる。いくつかの独立栄養のデクロロモナス(Dechloromonas)菌株は電子供与体として水素を使用する。このような菌株は本装置、システム及び方法での使用に特に有用である。
【0084】
水素酸化細菌はが水素酸化、独立栄養細菌及び水素に加えて有機炭素や他のエネルギー源を利用することができる細菌の両方を含む。水素酸化細菌は本装置、システム、および方法のある実施形態が好ましい。酸化汚染物質の存在下では、このような細菌は水性の水処理システム内で実行可能な、定常状態のバイオマスを維持するのに十分な量の一次電子受容体の酸化型を減小させる。減小を通して成長のための駆動エネルギーは異化的還元と呼ばれてる。水素酸化細菌の例として、すべて硝酸塩を使用することができるシュードモナス疑似フラバ、アルカリゲネスユートロフス、アルカリゲネスパラドクスス、パラコッカス・デニトリフィカンス、およびラルストニアユートロファ、及び過塩素酸塩を使用することができるデクロロモナス(Dechloromonas)菌株が含まれるが、これに限定されない。
【0085】
1つ又は複数(すなわち、組み合わせ)の上記の特定された細菌はラジアルプローMBfRに植菌されることができ、中空フィラメントの外側でバイオフィルムを形成することが可能である。類似の成長条件を必要とする細菌(例えば、同じガスを散布する)は同じバイオフィルムで成長させることができるが、別の成長要件を持つ細菌は一般的に異なるバイオリアクターで成長される。
【0086】
その代わりに又はそれに加えて、排出水中の内因性細菌はリアクター内でバイオフィルムを形成することができる。この方法は、排出水中に存在する細菌がすでに利用可能な栄養に適応し、その結果、既に排出水中の酸化汚染物質を代謝させることができるという利点を持つ。
【0087】
これら及び他の応用と実施は開示の観点より明らかになるであろう。そのような変更、置換、及び代替は添付の特許請求の範囲から決定されるべきである本発明の思考と範囲から逸脱することなく行うことができる。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーメンを画定する壁及び穿孔領域を画定する前記壁の1つ以上の穿孔を有する中心コアチューブ、
複数の中空フィラメント;及び
空洞、第1のエンドキャップ、第2のエンドキャップ及び少なくとも1つの流出ポートを有するケース;を含み、
前記コアチューブはさらに第1開放端と実質的に閉じた第2端を有し、前記各フィラメントは内部のルーメン、外表面、第1端部及び第2端部を画定する壁を有し、前記コアチューブの第1開放端は前記ケースの中央空洞内に延在する前記穿孔領域と共に第1のエンドキャップで密封され、前記複数の中空フィラメントの第1端部は開放されて前記第2のエンドキャップで密封されることを特徴とするメンブレインバイオフィルムリアクタ(MBfR)装置。
【請求項2】
前記コアチューブの第1開放端は流入液体源への取付けのための取付具を有し、前記第1エンドキャップ及び前記第2エンドキャップの1つはガス源への取付けのための取付具を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の中空フィラメントのルーメンとの連通のために、さらに前記ケース内に排水口を有することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
ガス源への取り付けのための前記取付具より反対側の前記ケースの端部に位置している排水口をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のエンドキャップと第2のエンドキャップは前記ケース内で密封されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の装置。
【請求項6】
前記中空フィラメントはファブリックを形成するためにワープ繊維と組み合わされることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の装置。
【請求項7】
前記中空フィラメントはインターリーフ材料により分離されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のエンドキャップを前記第2のエンドキャップの下方にして垂直方向に向けられ、前記第1のエンドキャップは流入液体の進入に適合して前記第2エンドキャップはガスの進入に適合することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記中空フィラメントはポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリプロピレン、およびポリ塩化ビニルから選択される材料で作られることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの精練ガスの吸入口をさらに含むことを特徴とする請求項1〜10の何れか1つに記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの精練ガスの吸入口は前記ケースの底部に位置することを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの精練ガスの吸入口は前記ケースの底部に位置する複数の精練ガスの吸入口であることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの精練ガスの吸入口は前記流入ポートに位置することを特徴とする請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記装置が並列または直列に配置されることを特徴とする請求項1〜15の何れか1つに記載の複数の装置からなるシステム。
【請求項16】
ルーメンを画定する壁及び前記壁の1つ以上の穿孔を有する中心コアチューブ、前記コアチューブを囲む複数の中空フィラメント、及び前記中心コアチューブと前記複数の中空フィラメントを収容するケースを有し、前記各フィラメントは内部のルーメンと外表面を画定する壁を有する装置を提供し、 前記中心コアチューブ内に液体流入を導入し、
前記複数の中空フィラメントの前記ルーメンにガスを導入し、前記ガスは前記中空フィラメントの外表面上のバイオマスの成長を支え、
前記液体流入が前記1つ以上の穿孔を通して流れて前記フィラメントの外部表面上の前記バイオマスに接触することを可能にし、前記液体流入の流れは前記装置内の半径方向の流路を画定し、
前記ケース上に配置された1つ以上の流出ポートで排出水を収集することを含み、
前記流入液体の半径方向の流路は前記バイオマスにより前記装置の汚れを低減することを特徴とするバイオマスによるメンブレインバイオフィルム装置の汚れを低減する方法。
【請求項17】
前記装置を通じる流出の第1部分を再循環させることをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記再循環は前記装置を通じる流出の約40%から約50%を再循環させることを含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記液体を導入する段階は前記装置の第1端部にある前記中心コアチューブ内に排出液体を導入することを含み、前記ガスを導入する段階は前記装置の第2端部にガスを導入することを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記装置のコアチューブ内に精練ガスを導入することをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記精練ガスは前記ケースの底部に導入されることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
周期的逆流サイクルのために前記1つ以上の流出ポートに液体を導入することによる逆流をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記逆流は前記周期的逆流サイクルの間に前記装置の底部内に精練ガスを含めることを含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。

【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−529396(P2011−529396A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521245(P2011−521245)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/051957
【国際公開番号】WO2010/014605
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(511025880)アプトウォーター,インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】