説明

半減期が延長された改変凝固第VIIa因子

本発明は、第VII因子(FVII)および第VIIa因子(FVIIa)アルブミン結合ポリペプチドの分野に関する。より詳細には、本発明は、介在するペプチドリンカーをコードするオリゴヌクレオチドによって結合させ得るヒト血清アルブミンをコードするcDNAに遺伝子工学的に融合させたヒト第VII因子および第VIIa因子および誘導体をコードするcDNA配列、増加した安定性および延長された有効血漿半減期を示すそのようにコードされた誘導体、そのようなcDNA配列を含む組み換え発現ベクター、そのような組み換え発現ベクターで形質転換させた宿主細胞、未改変の野生型タンパク質の生物活性を有するが、安定性が向上し、半減期が延長した組み換えポリペプチドおよび誘導体、そのような組換え型タンパク質、ならびにそれらの誘導体の製造方法に関する。本発明はまた、ヒト遺伝子治療で使用される、そのような改変DNA配列を含むトランスファーベクターを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第VII因子(FVII)および第VIIa因子(FVIIa)アルブミン結合ポリペプチドの分野に関する。より詳細には、本発明は、介在するペプチドリンカーをコードするオリゴヌクレオチドによって結合させ得るヒト血清アルブミンをコードするcDNAに遺伝子工学的に融合させたヒト第VII因子および第VIIa因子ならびに誘導体をコードするcDNA配列、向上した安定性および延長された有効血漿半減期を示すそのようにコードされた誘導体、そのようなcDNA配列を含む組み換え発現ベクター、そのような組み換え発現ベクターで形質転換させた宿主細胞、未改変の野生型タンパク質の生物活性を有するが、安定性が向上し、貯蔵寿命が延長された、組み換えポリペプチドおよび誘導体、そのような組換え型タンパク質、ならびにそれらの誘導体の製造方法に関する。本発明はまた、ヒト遺伝子治療で使用される、そのような改変DNA配列を含むトランスファーベクターを包含する。
【背景技術】
【0002】
第VII因子および第VIIa因子
血友病Aは遺伝性の出血性疾患である。X染色体の血液凝固第VIII因子のX染色体連結欠損に起因し、殆ど男性に発症し、その発病率は10,000人に1人〜2人である。X染色体欠損は、自身は血友病患者でない女性保因者によって遺伝する。血友病Aの臨床症状は出血傾向の増加である。第VIII因子濃縮物による治療が導入される前、重篤な血友病患者の平均寿命は20歳に満たなかった。まず、血漿由来の第VIII因子の濃縮物を使用し、さらにその後第VIII因子の組換え型の濃縮物を使用することで、血友病患者の状況は相当に改善され、平均寿命も大幅に伸び、殆どの患者が、程度の差はあるものの、普通の生活を送ることが可能になった。血友病Bは、有病率は血友病Aの5分の1であり、第IX因子の欠損または機能低下によって引き起こされ、血漿由来の第IX因子濃縮物または第IX因子の組換え型で治療する。血友病Aと血友病Bのいずれにおいても、この疾患の治療における最も深刻な医学的問題は、補充された因子に対する同種抗体の発生である。血友病A患者全体の30%までに第VIII因子に対する抗体が生じる。第IX因子に対する抗体は、発生率はより低いが、免疫学的寛容導入療法に対する感受性が低下すればするほどより重篤な結果をもたらす。
【0003】
現在の凝固のモデルによれば、生理的に凝固のきっかけとなるのは、通常血管系の外部に存在する組織因子(TF)発現細胞の表面で、TFと第VIIa因子(FVIIa)との間に複合体が形成されることである。その結果、第IX因子と第X因子が活性化され、最終的に一定量のトロンビンが生成する。正のフィードバックループにおいて、トロンビンは第VIII因子および第IX因子を活性化し(血液凝固カスケードのいわゆる「内因性」経路)、それにより第Xa因子の生成を増幅する。第Xa因子は十分なトロンビンバーストを引き起こし完全な止血を達成するために必要なものである。通常の生理学的レベルを超える濃度の第VIIa因子を投与することにより、止血が第VIIIa因子および第IXa因子の作用を経る必要なく達成されることが示された。第VII因子についてのcDNAのクローニング(米国特許第4,784,950号)により、活性型第VII因子を医薬品として開発することが可能になった。第VIIa因子は、1988年に初めて成功裡に投与され、それ以来、第VIIa因子の適応数は増加し、第VII因子が出血を止めるための普遍的な止血剤になりえる可能性を示している(Erhardtsen、2002)。しかし、第VIIa因子の半減期は約2時間と短いため、その利用は限られている。
【0004】
FVIIは、分子量50kDaを有する単鎖糖タンパク質で、アミノ酸406個からなる不活性なチモーゲンとして、肝細胞によって血流中に分泌されている。FVIIは、このタ
ンパク質のN末端Glaドメインに局在するγ−カルボキシ−グルタミン酸残基10個(第6、7、14、16、19、20、25、26、29、および35番目)を含む。Gla残基を生合成するためには、ビタミンKが必要である。C末端側からGlaドメインに向かって、2個の表皮増殖因子ドメイン、続いてトリプシンタイプのセリンプロテアーゼドメインが局在する。FVIIの翻訳後修飾にはさらに、ヒドロキシル化(Asp63)、ならびにN型糖鎖付加(Asn145とAsn322)およびO型糖鎖付加(Ser52とSer60)がある。
【0005】
FVIIは、単一ペプチド結合Arg152−Ile153がタンパク質加水分解されることにより、その活性型第VIIa因子に変換され、その結果、2個のポリペプチド鎖、N末端軽鎖(24kDa)とC末端重鎖(28kDa)が形成され、これらは1個のジスルフィド架橋により結合している。他のビタミンK依存性凝固因子とは対照的に、FVIIについては、これらの他のビタミンK依存性凝固因子が活性化する間に切断される活性化ペプチドについて説明されていない。Arg152−Ile153切断部位および下流の数個のアミノ酸は、他のビタミンK依存性ポリペプチドの活性化切断部位に対する相同性を示す。
【0006】
第VIIa因子の活性なコンフォメーションを達成するために不可欠なのは、活性化による切断後、Ile153とAsp343との間に塩架橋が形成されることである。第VII因子の活性化による切断は、in vitroで、第Xa因子、第XIIa因子、第IXa因子、第VIIa因子、血液凝固第VII因子活性化プロテアーゼ、およびトロンビンにより達成される。Mollerupら(Biotechnol. Bioeng. (1995)48: 501-505)は、一定量の切断が重鎖のArg290および/またはArg315でも生じると報告している。
【0007】
第VII因子は、濃度500ng/mlで血漿中に存在する。第VII因子の1%、例えば5ng/mlが第VIIa因子として存在する。第VII因子の血漿半減期は、約4時間で、第VIIa因子の血漿半減期は約2時間であることが明らかにされた。2時間という第VIIa因子の半減期は活性型凝固因子としては比較的長い(他の活性型凝固因子は、アンチトロンビンIIIのようなセルピンによる不可逆的阻害のため、分単位である場合が多い)にもかかわらず、止血を達成するためには複数回の静脈注射または持続的注入を行うことが必要になってくるため、第VIIa因子の治療的用途の厳しい弱点になっている。そのため、患者にとっては高額な治療費の負担となり、不便を引き起こしている。これまで、血漿半減期が改善された第VIIa因子の医薬製剤は市販されておらず、また、in vivoでの半減期が延長されたFVII/FVIIa変異体を示すデータも公表されていない。それでも、第VII/VIIa因子は、普遍的な止血剤として使用される可能性をもつので、in vivoでより長い有効半減期を有する第VIIa因子の形態を開発することが、医療上必要である。
【0008】
Ballanceら(国際公開第01/79271号)多くの異なる治療用タンパク質またはその治療用タンパク質の変異体および/または断片の融合ポリペプチドについて記載している。この治療用タンパク質はヒト血清アルブミン、またはそのアルブミンの変異体および/または断片に融合させた場合、in vivoでの有効半減期の増加と増加した貯蔵期間を有することが期待されている。Ballanceらは、潜在能力のある融合パートナーの長いリストを提供し(これらのタンパク質のほとんどすべての実験データは示されていないが)、個々のアルブミン融合ポリペプチドが、実際に治療用タンパク質融合パートナーの生物活性を保持し、その特性も改良されているということを示している。さらに国際公開第01/79271号によれば、その治療用タンパク質のリストの各メンバーは、様々な配向にアルブミンと融合させることができる。例えば、ある治療用タンパク質の2個分子の片方を、アルブミンのN末端に、また一方をC末端に融合させる。または、ある治療用タンパク質の1個の分子を、アルブミンのN末端もしくはC末端に融合させる、あるいは、別のタンパク質の複数の領域を、他のタンパク質の複数の領域に融合させる、などである。潜在能力を有するアルブミン融合パートナーとして、国際公開第01/79271号にリストされている多くの治療用タンパク質の中に、第IX因子およびFVII/FVIIaが含まれているが、これらのタンパク質のいずれについても、実験による原理の検証は行われていない。
【0009】
Sheffieldは第IX因子(アミノ酸415個からなるプロトロンビン因子)アルブミン融合ポリペプチドを発現させ、ウサギの第IX因子アルブミン融合ポリペプチドのクリアランス挙動が、アルブミンよりも第IX因子にきわめて類似しており、終末相半減期が僅かに長くなる(2倍未満)のみであることを薬物動態学実験で示した(Sheffield WP et al. (2004 Br. J. Haematol. 126: 565-573)。
【0010】
Sheffieldの結果を考慮し、かつ、第IX因子と第VII因子(両者ともにビタミンK依存性プロトロンビン因子である)との間の高い相同性とこれらがほぼ同様の大きさであることから、当業者でも、第VII因子も、in vivoでの有効半減期という観点からは、アルブミンに融合することで有益になるとは考えなかったであろう。
【0011】
したがって、本発明の基礎となる技術的問題は、生物活性を保持し、in vivoでの増加した有効半減期を示す、機能的なFVIIaアルブミン融合タンパク質を開発することであった。
【0012】
この点で、第VII/VIIa因子ポリペプチドの生物活性とは、自身が活性化された後に、組織因子の存在下で、凝固第IX因子および第X因子を活性化する能力を意味する。
【0013】
In vivoでの有効血漿半減期とは、第VII/VIIa因子融合ポリペプチドが、ひとたび血漿に注入された後の、生物活性の半減期を意味する。好ましくは、血漿はヒト血漿である。
【特許文献1】米国特許第4,784,950号
【非特許文献1】Erhardtsen、2002
【非特許文献2】Mollerup et al. (Biotechnol. Bioeng. (1995)48: 501-505
【特許文献2】Balance et al.(国際公開第01/79271号)
【非特許文献3】Sheffield WP et al. (2004 Br. J. Haematol. 126: 565-573)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、アルブミンまたはその断片もしくは変異体に融合させた、少なくとも1つの第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドまたはその断片もしくは変異体を含有し、少なくとも1つのそのような第VII因子もしくは第VIIa因子部分がこの融合タンパク質のN末端に位置することを特徴とする、アルブミン結合ポリペプチドが、生物学的に活性な第VII因子/第VIIa因子部分を有する融合ポリペプチドをもたらすことを発見した。
【0015】
したがって、本発明の1つの態様は、第VII/VIIa因子ポリペプチドをヒト血清アルブミンのN末端に融合させた、生物学上活性な融合タンパク質である。本融合タンパク質は、野生型第VII/VIIa因子の分子特異的活性の少なくとも25%、好ましくは40%超、さらに好ましくは70%超、最も好ましくは90%超を示す。
【0016】
さらに驚くべきことに、Sheffieldが発表した、第IX因子のヒト血清アルブミンN末端への融合とは対照的に、第VII/VIIa因子のヒト血清アルブミンN末端へのアルブミン融合の結果、第VII/VIIa因子融合タンパク質がもたらされ、それは第VII/VIIa因子の生物活性を保持するばかりでなく、第VII/VIIa因子のin vivoでの有効血漿半減期の有意な延長を示すことが明らかとなった。
【0017】
発現させたアルブミン融合タンパク質が完全な分子として分泌されなかったため、アルブミンのC末端に所望のFVII/FVIIa部分を有するアルブミン融合構築物を発現させることは、成功しなかった。細胞膜を通過して移行する際、γ−カルボキシル化が損なわれたことによりモル特異的活性が減少した成熟FVII/FVIla分子と、そのC末端にFVIIプロペプチドが付着したアルブミン部分とに切断されるのが観察された。したがって、Ballanceらの開示内容とは対照的に、FVII/FVIIa部分のヒト血清アルブミンN末端への融合のみが、所望の生物特性を有し、FVII/FVIIaのそれぞれの生物活性を保持し、そのうえ増加した血漿半減期を有する融合タンパク質をもたらすことが明らかとなった。
【0018】
したがって、本発明の別の態様は、第VII/VIIa因子ポリペプチドがアルブミンのN末端に融合した、融合していない第VII/VIIa因子と比較して有効血漿半減期の有意な延長を示す、生物学的に活性な融合タンパク質である。好ましい実施形態では、FVII/FVIIaポリペプチドを含有する本発明のFVII/FVIIaアルブミン融合ポリペプチドは、融合していないFVII/FVIIaのin vivoでの半減期または治療活性と比較して、延長されたin vivoでの有効半減期、またはより長時間持続するかもしくは増加した治療活性を有する。
【0019】
したがって、本発明の1つの態様は、融合していないFVII/FVIIaと比較して、血漿半減期が、少なくとも100%、好ましくは200%超、さらに好ましくは500%超、最も好ましくは1000%超延長されている、アルブミンのN末端に融合したFVII/FVIIaである。
【0020】
本発明の別の意外な態様において、本発明者らは、リンカーを有しないFVII/FVIIaアルブミン融合ポリペプチドは、生物活性の有意な減少を示すが、これに対し、FVII/FVIIa部分がリンカーによってアルブミンから分離されているFVII/FVIIaアルブミン融合ポリペプチドは、第VII/VIIa因子の生物活性がリンカーの長さに依存して増加することを見出した。第VII因子または第VIIa因子のペプチド部分を、ペプチドリンカーによってアルブミン部分と結合させると、融合分子は、コンフォメーションをとることができ、その結果、そのようなリンカー配列を有しない融合分子と比較して、モル特異的活性がより高くなるという効果がある。
【0021】
したがって、本発明のまた別の態様は、第VII/VIIa因子部分とアルブミンのN末端との間にリンカーペプチドを含む、増強された第VII/VIIa因子生物活性を有する、第VII/VIIa因子アルブミン融合ポリペプチドである。この生物活性は、例えば、そのようなリンカーを有しない第VII/VIIa因子融合タンパク質と比較したモル特異的活性として測定される。第VII/VIIa因子部分がペプチドリンカーによってアルブミンのN末端に融合した融合タンパク質のモル特異的活性の増加率は、そのようなリンカーを有しない対応する融合タンパク質と比較して、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも100%である。また、このリンカーを有する第VII/VIIa因子アルブミン融合ポリペプチドは、野生型FVIIaと比較して、増加したin vivoでの有効半減期を示す。しかし、ほぼ同等の距離が第VII/VIIa因子部分とアルブミン部分とのに間に導入される限り、化学的リンカーまたはアビジン・ビオチン(これに限らず無限にあるが)のようなリンカーシステムも同様に機能すると思われる。以下、「リンカーペプチド」又は類似する用語は、このような他の機能的なリンカー手段を適宜含むものとする。
【0022】
本発明は、アルブミンのN末端に結合した治療用の第VII/VIIa因子ポリペプチド、組成物、医薬組成物、製剤、およびキットを包含する。本発明はまた、特定の医学的適応における、この治療用アルブミン結合ポリペプチドの使用を包含する。本発明は、さらに本発明のアルブミン結合ポリペプチドをコードする核酸分子のほか、このような核酸を含有
するベクター、このような核酸およびベクターで形質転換させた宿主細胞、ならびにこのような核酸、ベクター、および/または宿主細胞を使用する、本発明のアルブミン結合ポリペプチドの製造方法を包含する。
【0023】
また本発明は、第VII因子もしくは第VIIa因子ペプチドまたはその断片もしくは変異体、場合によりペプチドリンカー、およびアルブミンまたはその断片もしくは変異体を含む第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチド、ならびに薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物生物を提供する。本発明の別の目的は、出血性疾患患者の治療方法を提供することである。その方法は、有効量のFVII/FVIIa結合アルブミンポリペプチドを投与する工程を含む。
【0024】
本発明の別の目的は、第VII因子もしくは第VIIa因子ペプチドまたはその断片もしくは変異体、場合によりペプチドリンカー、およびアルブミンまたはその断片もしくは変異体、第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸分子、ならびに、そのような核酸分子を含有するベクターを提供することである。本融合タンパク質をコードする上述の核酸配列は、第VII/VIIa因子融合部分のγ−カルボキシル化を仲介するプロペプチドをコードする核酸配列の3'末端に位置する。
【0025】
本発明はさらに、第VII因子または第VIIa因子ペプチドまたはその断片もしくは変異体、ペプチドリンカー、およびアルブミンまたはその断片もしくは変異体を含む、第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチドの製造方法を提供する。この方法は、
(a)哺乳動物細胞内で発現させることができる第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供すること、
(b)この生体内で前記核酸を発現させて第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチドを生成させること、および
(c)この第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチドを精製することを特徴とする。
【0026】
1つの態様では、本発明は、アルブミン融合ポリペプチドおよび、疾患もしくは障害の治療法、予防法、または改善方法に関する。本明細書で使用する「第VII/VIIa因子アルブミン融合ポリペプチド」とは、第VII/VIIa因子(またはその断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子を、アルブミン(またはその断片もしくは変異体)の少なくとも1つの分子のN末端に融合させることにより形成するポリペプチドを指す。ここで、これらの2つの部分は、場合によりペプチドリンカーで隔てられる。
【0027】
本発明の第VII/VIIa因子アルブミン融合ポリペプチドは、遺伝的融合(すなわち、アルブミン融合ポリペプチドは、第VII/VIIa因子の全部または一部をコードするポリヌクレオチドが、場合によりリンカー配列をコードするポリヌクレオチドによって結合するアルブミンの全部または一部をコードするポリヌクレオチドの5'末端にインフレームで連結される核酸の翻訳により生成され、このリンカー配列が第VII/VIIa因子部分とアルブミン部分との間にリンカーペプチドを導入する)などにより互いに関係している、第VII/VIIa因子の少なくとも1つの断片または変異体、およびヒト血清アルブミンの少なくとも1つの断片または変異体を含有する。
【0028】
1つの実施形態では、本発明は、血清アルブミンポリペプチドのN末端に融合させた生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な第VII/VIIa因子を含有する、またはこれからなる第VII/VIIa因子アルブミン融合ポリペプチドを提供する。
【0029】
他の実施形態では、本発明は、血清アルブミンタンパク質のN末端に融合した生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な第VII/VIIa因子の断片と、血清アルブミンタン
パク質のN末端に融合させたペプチドリンカーとを含有する、またはこれらからなるアルブミン融合ポリペプチドを提供する。
【0030】
他の実施形態では、本発明は、血清アルブミンポリペプチドのN末端に融合させた生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な第VII/VIIa因子の変異体と、場合によりペプチドリンカーとを含有する、またはこれらからなる第VII/VIIa因子アルブミン融合ポリペプチドを提供する。
【0031】
さらなる実施形態では、本発明は、血清アルブミンの断片もしくは変異体のN末端に融合させた生物学的に活性なおよび/または治療的に活性な第VII/VIIa因子の断片もしくは変異体と、場合によりペプチドリンカーとを含む、またはこれらからなる第VII/VIIa因子アルブミン融合ポリペプチドを提供する。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明は、血清アルブミンの成熟部分のN末端に融合させた第VII/VIIa因子の成熟部分と、場合によりペプチドリンカーとを含む、またはこれらからなるアルブミン融合ポリペプチドを提供する。
【0033】
国際公開第01/79271号によれば、FVII/FVIIaを含有するアルブミン融合ポリペプチドは、適応症「出血性疾患」、「血友病AおよびB」、「肝障害」、および「外科手術に関係する出血エピソード」に、治療薬として使用することができる。
【0034】
本発明の別の態様では、FVII/FVIIaを含有するアルブミン融合ポリペプチドを、その他の適応症に治療上使用することができる。最も好ましい適応症は、「凝固因子(FVIIIまたはFIX)のインヒビターによる、遺伝性または後天性血友病患者の出血エピソードおよび外科手術」、「抗血小板医薬品または抗凝固医薬品などの薬物療法の結果として発生した止血障害(hemostasis deficits)の回復」、「二次止血の改善」、「感染症またはビタミンK欠乏症や重篤な肝臓病などの疾患に罹患中に生じた止血障害(hemostasis deficits)」、「肝臓切除術」、「蛇咬症の結果として生じる止血障害(hemostasis deficits)」、「胃腸出血」、「外傷」、「大量輸血の結果(希釈性凝固障害)」、「FVIIIおよびFIX以外の凝固因子欠乏症」、「VWD」、「Fl欠乏症」、「FV欠乏症」、「FVII欠乏症」、「FX欠乏症」、「FXIII欠乏症」、「HUS」、「血小板減少症のような遺伝性または後天性の血小板疾患および障害、ITP、TTP、HELLP症候群、ベルナール・スリエ症候群、グランツマン血小板無力症、HIT」、「チェディアック・東症候群」、「ヘルマンスキー・パドラック症候群」、「ランデュ・オスラー症候群」、「ヘノッホ・シェーンライン紫斑病」、および「創傷治癒」である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の目的は、ヒト第VII因子およびヒト第VIIa因子またはその断片もしくは変異体と比較して、in vivoでのより長い有効半減期を有する、ヒトアルブミンまたはその断片もしくは変異体のN末端に融合させた、ヒト第VII因子およびヒト第VIIa因子またはその断片もしくは変異体を提供することである。本発明のまた別の目的は、増加したモル特異的活性を有する、ヒトアルブミンまたはその断片もしくは変異体のN末端に融合させたヒト第VII因子およびヒト第VIIa因子またはその断片もしくは変異体を提供することである。この目標を達成するため、場合により、FVII/FVIIaとアルブミンとの間に介在するペプチドリンカーを有する、第VII因子または第VIIa因子の血清アルブミンN末端への融合体を提供する。
【0036】
ヒト血清アルブミン(HSA)とヒトアルブミン(HA)という用語は、本明細書中で互換可能に使用される。「アルブミン」および「血清アルブミン」という用語は、より広義であり、ヒト血清アルブミン(ならびにその断片および変異体)ならびに他の種由来の
アルブミン(ならびにその断片および変異体)を包含する。アルブミンの代わりに、ヒトα−フェトプロテイン(国際公開第2005/024044号に記載されている)のような(これに限らない)、他のアルブミン状タンパク質、およびそれらの機能的な断片または変異体を用いてもよい。
【0037】
本明細書中で使用される「アルブミン」とは、アルブミンの1つまたはそれ以上の機能的活性(例えば生物活性)を有する、アルブミンポリペプチドもしくはアミノ酸配列、またはアルブミン断片もしくは変異体を集合的に意味する。特に、「アルブミン」とは、ヒトアルブミンもしくはその断片、詳細には、本明細書中の配列番号22に示すヒトアルブミンの成熟形態、または他の脊椎動物由来のアルブミンもしくはその断片、またはこれらの分子もしくは断片のアナログもしくは変異体を意味する。
【0038】
本アルブミン結合ポリペプチドのアルブミン部分は、上述のHA配列全長を含んでもよいし、または、治療活性を安定もしくは延長させることができるような、その配列の1つまたはそれ以上の断片を含んでもよい。そのような断片は、10以上のアミノ酸長でもよいし、またはHA配列からの約15、20、25、30、もしくは50個以上の連続するアミノ酸を含んでもよい。あるいは、HAのドメインの一部または全部を含んでもよい。
【0039】
本発明のアルブミン結合ポリペプチドのアルブミン部分は、正常HAの変異体であってよい。本発明のアルブミン結合ポリペプチドの第VII因子タンパク質部分もまた、本明細書中に記載する第VII因子ポリペプチドの変異体であってよい。「変異体」という用語は、保存性または非保存性の挿入、欠失、および置換を包含するが、この場合そのような変化が生じても、第VII因子ポリペプチドの治療活性を付与する活性部位(すなわち活性なドメイン)は実質的に変化しない。
【0040】
特に、本発明のアルブミン結合ポリペプチドは、ヒトアルブミンの天然多型変異体およびヒトアルブミンの断片を含んでもよい。このアルブミンは任意の脊椎動物、特に、例えばヒト、ウシ、ヒツジ、またはブタなどの任意の哺乳動物由来でよい。非哺乳動物のアルブミンの例としては、ニワトリおよびサケが挙げられるが、これらに限定されない。本アルブミン結合ポリペプチドのアルブミン部分は、FVII/FVIIa部分が由来している動物とはまた別の動物由来でもよい。
【0041】
概して、アルブミン断片または変異体は、少なくとも20、好ましくは少なくとも40、最も好ましくは70超のアミノ酸長である。本アルブミン変異体は、優先的には、少なくともアルブミンの1つのドメイン全体、例えばドメイン1(配列番号22のアミノ酸1〜194)、2(配列番号22のアミノ酸195〜387)、3(配列番号22のアミノ酸388〜585)、1+2(配列番号22の1〜387)、2+3(配列番号22の195〜585)、または1+3(配列番号22のアミノ酸1〜194+配列番号22のアミノ酸388〜585)、またはこれらのドメインの断片からなってもよく、あるいは、これらを含んでいてもよい。各ドメイン自体は、2つの相同なサブドメイン、すなわち1〜105、120〜194、195〜291、316〜387、388〜491、および512〜585から構成され、可撓性のサブドメイン間リンカー領域が、残基Lys106〜Glu119、Glu292〜Val315、およびGlu492〜Ala511を含んでいる。
【0042】
本発明のアルブミン融合ポリペプチドのアルブミン部分は、HAの少なくとも1つのサブドメインもしくはドメイン、またはその保存的改変体を含んでよい。
【0043】
本発明は、第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドまたはその断片もしくは変異体を、アルブミンポリペプチドまたはその断片もしくは変異体のN末端に結合させることを
含む、改変第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドに関する。ここで、場合により、この改変第VII因子または第VIIa因子とアルブミンとの間に、介在するペプチドリンカーを導入し、改変型第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドが、アルブミンに結合していない第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドと比較して、増加したin vivoでの有効半減期を有するように、あるいは、介在するペプチドリンカーを有するアルブミン融合FVII/FVIIaのモル特異的活性が、介在するペプチドリンカーを有しないアルブミンに融合FVII/FVIIaのモル特異的活性より高くなるように、結合させる。
【0044】
本願で用いる「第VII/VIIa因子」とは、活性化されていない形態(第VII因子)もしくは活性化された形態(第VIIa因子)のどちらか、またはそれらの混合物からなる、治療用ポリペプチドを意味する。上記の定義に含まれる「第VII/VIIa因子」としては、天然のヒト第VII/VIIa因子のアミノ酸配列を有するポリペプチドが挙げられる。また、わずかに改変されたアミノ酸配列を有するポリペプチド、例えば、これらのポリペプチドが実質的に第VIIa因子の生物活性を保持している限り、末端アミノ酸の欠失または付加など、改変されたN末端またはC末端を有するポリペプチドも包含される。上記の定義に含まれる「VII因子」としては、個体ごとに存在し、発生する可能性がある天然の対立遺伝子変異も挙げられる。上記の定義に含まれる「VII因子」としてはさらに、FVII/FVIIaの変異体も挙げられる。このような変異体は、野生型配列とは1またはそれ以上のアミノ酸残基が異なっている。このような差異の例としては、1またはそれ以上のアミノ酸残基(例えば1〜10個のアミノ酸残基)によるN末端および/またはC末端のトランケーション、または、N末端および/またはC末端での1またはそれ以上の余分な残基の付加のほか、保存的アミノ酸置換、すなわち類似の特徴を有するアミノ酸群、例えば(1)小さいアミノ酸、(2)酸性アミノ酸、(3)極性アミノ酸、(4)塩基性アミノ酸、(5)疎水性アミノ酸、および(6)芳香族アミノ酸の範囲内で行われる置換が挙げられる。このような保存的置換の例を、以下の表に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
本融合タンパクは、融合していない野生型第VII/VIIa因子またはその対応するFVII/FVIIa断片もしくは変異体のモル特異的活性の、少なくとも25%超、好ましくは40%超、さらに好ましくは70%超、最も好ましくは90%超を示す。
【0047】
介在するペプチドリンカーによってアルブミンのN末端に結合した本発明のFVII/VIIaポリペプチドは、介在するペプチドリンカーを有しない相同な第VII/VIIa因子アルブミン融合体のモル特異的活性と比較して、増加したモル特異的活性を有する。本発明のアルブミン結合第VII/VIIa因子ポリペプチドのモル特異的活性の増加は、介在するペプチドリンカーのない第VII/VIIa因子アルブミン融合体のモル特異的活性と比較して、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも100%、最も好ましくは少なくとも200%である。第VII/VIIa因子の活性とは、基質である第X因子を活性な第Xa因子に変換する能力である。第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプ
チドのFVIIa活性は、好ましくはSTACLOT(登録商標)を用いて測定してよい。本発明中で使用されるモル特異的活性とは、ELISAによって測定されるような、第VII/VIIa因子抗原の100国際単位(IU)毎のIUで表される、FVII結合アルブミン融合タンパク質の活性化の後にSTACLOT(登録商標)アッセイにおいて測定される活性を意味する。
【0048】
本発明のFVII/FVIIaアルブミン結合ポリペプチドは、介在するペプチドリンカーを有しない第VII/VIIa因子アルブミン融合体と比較して、少なくとも25%高いモル特異的活性を示し、かつ、第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドの非結合形態と比較して、増加したin vivoでの有効半減期を示す。in vivoでの有効半減期は、Lindleyら (Pharmacokinetics and pharmacodynamics of recombinant Factor VIIa, Clin. Pharmacol. Ther. 1994 55: 638-648)により示されているようにして測定することができる。
【0049】
本発明のFVII/FVIIaアルブミン結合ポリペプチドは、介在するペプチドリンカーを有しない第VII/VIIa因子アルブミン融合タンパク質と比較して、少なくとも25%高いモル特異的活性を示し、そのin vivoでの有効半減期は、第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドの非結合形態と比較して、通常少なくとも100%、好ましくは少なくとも200%、より好ましくは少なくとも500%増加している。
【0050】
したがって、本発明の1つの実施形態は、少なくとも1個のアミノ酸、好ましくは少なくとも3個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも7個のアミノ酸、最も好ましくは少なくとも25個のアミノ酸からなるペプチドリンカーを有する、FVII/FVIIaアルブミン結合ポリペプチドである。
【0051】
ヒト第VII因子の野生型のin vivoでの有効半減期は、ヒトにおいて約4時間である。本発明の第VII因子アルブミン結合ポリペプチドの有効半減期は、通常、少なくとも約8時間、好ましくは少なくとも約12時間、より好ましくは少なくとも約24時間である。
【0052】
ヒト第VIIa因子の野生型のin vivoでの有効半減期は、ヒトにおいて約2時間である。本発明の第VIIa因子結合アルブミンポリペプチドの有効半減期は、通常、少なくとも約4時間、好ましくは少なくとも約6時間、より好ましくは少なくとも約12時間である。
【0053】
本発明によれば、第VII/VIIa因子部分は、ペプチドリンカーによってアルブミン部分に結合する。リンカーは好ましくは可撓性で、かつ非免疫原性である。リンカーを用いることにより、ヒトアルブミンとFVII/FVIIaとの間にある距離が生じるため、この2つの融合パートナーの潜在的干渉をできるだけ小さくすることができ、その結果、本融合タンパク質のFVII/FVIIa活性が増加する。典型的なリンカーとしては、(GGGGS)Nまたは(GGGS)Nまたは(GGS)Nが挙げられ、ここでNは1以上の整数であり、Gはグリシンを、またSはセリンを表わす。これらのアミノ酸は天然のアミノ酸に属し、そして全ての天然のアミノ酸の例として選ばれた。
【0054】
本発明の別の実施形態では、第VII/VIIa因子部分とアルブミン部分との間のペプチドリンカーは、翻訳後修飾を付加するためのコンセンサス部位を含んでいる。好ましくは、そのような修飾は糖鎖付加部位から成る。さらに好ましくは、そのような修飾は、Asn−X−Ser/Thr構造の少なくとも1つのN型糖鎖付加部位からなる。ここで、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸を示す。さらにより好ましくは、そのようなN型糖鎖付加部位はペプチドリンカーのアミノおよび/またはカルボキシ末端に接近して挿入される。そのように挿入することにより、N型糖鎖付加部位は、配列の中の、第VII/VIIa因子部分がペプチドリンカー内へ移行している箇所とペプチドリンカーがアルブミン部分配列中へ移行している箇所で、それぞれに、生じる可能性のある潜在的ネオエピトープを保護することができる。
【0055】
本発明の別の実施形態では、第VII/VIIa因子部分とアルブミン部分との間のペプチドリンカーは、ヒトタンパク質中の天然のドメイン間リンカーとして働くペプチド配列からなる。天然環境では、そのようなペプチド配列は、被験者がこの配列に対する自己寛容を獲得することができるよう、タンパク質表面に接近して位置し免疫系を利用可能であることが好ましい。表2に例を示す
【0056】
【表2】

【0057】
本発明のまた別の実施形態では、第VII/VIIa因子部分とアルブミン部分との間のペプチドリンカーは、既知の血漿タンパク質のドメイン間リンカーであるペプチド配列からなる。表3に例を示す。
【0058】
【表3】

【0059】
本発明のまた別の実施形態では、第VII/VIIa因子部分を、凝固部位で第VII/VIIa因子ポリペプチドを遊離するペプチドリンカーによってアルブミン部分に結合させる。ここで、このリンカーは血漿プロテアーゼ切断部位を含む。好ましくは、このような血漿プロテアーゼ切断部位はセリンプロテアーゼのものである。より好ましくは、この切断部位は凝固プロテアーゼ切断部位に由来するものである。最も好ましくは、この凝固プロテアーゼは、第IIa因子、第IXa因子、第Xa因子、第XIa因子、第XIIa因子、活性化プロテインC、エラスターゼ、またはカリクレインからなる群から選ばれる。これらのセリンプロテアーゼによって認識され切断されるアミノ酸配列は、当業者には既知である(例えば、“Hemostasis and Thrombosis, Basic Principles and Clinical Practice”, Fourth Edition, Colman et al. 2001 に記載の通り)。第IIa因子:p34〜35およびp176、第IXa因子:p40〜41、第Xa因子:p34〜35、第XIa因子:p128〜129、第XIIa因子:p194、aPC:p34〜35およびp159、カリクレイン:p103〜104またはエラスターゼ(O'Reilly et al., 1999; Antiangiogenic activity of the cleaved conformation of the serpin antithrombin: Science 285: 1926-1928).
【0060】
さらに本発明は、第VII/VIIa因子部分内に付加的な改変を含めた、本発明に係る改変第VII/VIIa因子アルブミン融合ポリペプチドに関する。
【0061】
特に、異なるビタミンK依存ポリペプチドの活性化ペプチドの少なくとも一部を付加することによって、または第VII/VIIa因子ポリペプチドの推定上の活性化ペプチドの少なくとも一部を、異なるビタミンK依存ポリペプチドの活性化ペプチドの少なくとも一部で置換することによって、第VII/VIIaをArg144とArg152ポリペプチド間で改変した第VII/VIIa因子の改変体が本発明に包含される。これについては、欧州特許出願第04019485.4(参照によって本明細書中に組み入れる)に記載されており、また次のパラグラフでも説明する。
【0062】
FVIIは特に、FIX、FX、およびプロテインCなどのその他のGlaドメインタンパク質と密接に関連している。これらは、N末端Glaドメイン、それ続いて2個の上皮増殖因子(EGF)ドメイン、それに続いてトリプシン様セリンプロテアーゼドメインからなる。
【0063】
特筆すべきは、これらの密接に関連した血漿タンパク質の血漿半減期の大きな差である。
FVII 2〜4時間
プロテインC 6〜8時間
FIX 18〜30時間
FX 20〜42時間
【0064】
これらの分子は高度に保存されており、最も著しい差異は、活性化ドメイン内にある。FVIIについては、活性化ペプチドは説明されていない。しかし、活性化の際に、FVIIはArg152での切断に加えてArg144でも切断される可能性もあり、その場合、保存されたN型糖鎖付加部位を含む8個のアミノ酸からなる推定上の活性化ペプチドが放出される。Arg144とArg152の間の配列は、欧州特許出願第第04019485.4号において、「推定上の活性化ペプチド」と呼ばれている。
【0065】
驚くべきことに、活性化ペプチドの長さおよび活性化ペプチドの翻訳後修飾は、半減期の増加と相関する。
【0066】
【表4】

【0067】
したがって、本発明は、Arg144とArg152との間の領域で、第VII/VIIa因
子ポリペプチドを改変することを含む、アルブミンに結合させた改変第VII/VIIa因子ポリペプチドの製造方法に関する。このように改変させることにより、改変第VII/VIIa因子ポリペプチドは、当該領域が改変されていない第VII/VIIa因子ポリペプチドと比較して、増加した半減期を有するようになる。
【0068】
本発明はさらに、別のビタミンK依存ポリペプチドの活性化ペプチドの少なくとも一部を付加することによって、または第VII/VIIa因子ポリペプチドの推定上の活性化ペプチドの少なくとも一部を、異なるビタミンK依存ポリペプチドの活性化ペプチドの少なくとも一部で置換することによって、第VII/VIIaポリペプチドを上述の第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチドのArg144とArg152との間の領域で改変させることを含む、このような改変第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチドの製造方法に関する。
【0069】
本発明はまた、触媒能力を促進したり、血漿半減期を延長させたり、または組織因子相互作用を改変する、第VII/VIIa因子ポリペプチド配列内の付加的な突然変異を包含する。特に有用な第VII因子突然変異は タンパク質の機能の増強について報告するShah et al. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:4229-4234 中に記載されている。他の有用な第VII/VIIa因子突然変異は、欧州特許出願第04019485.4号の先行技術の記載中で詳細に説明されている。
【0070】
本発明はさらに、本願中に記載されている第VII/VIIa因子アルブミン融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。「ポリヌクレオチド」という用語は、一般的に、あらゆるポリリボヌクレオチド、または、ポリデオキシリボヌクレオチドを意味し、改変されていないRNAまたはDNAでも改変されたRNAまたはDNAでもよい。ポリヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖DNAでもよいし、一本鎖または二本鎖RNAでもよい。本明細書で用いる「ポリヌクレオチド」という用語は、1またはそれ以上の修飾塩基および/または通常ではない塩基(例えばイノシン)を含むDNAまたはRNAも含む。当業者に既知の多くの有用な目的に役立つ様々な改変をDNAおよびRNAに施してもよいことは理解されよう。本明細書で用いる「ポリヌクレオチド」という用語は、このような化学的、酵素的、または代謝的に改変されたポリヌクレオチドの形態のほか、ウイルスおよび細胞(例えば単細胞および複雑型細胞など)に特徴的なDNAおよびRNAの化学的形態を包含する。
【0071】
遺伝コードの縮重により、所定のポリペプチドは、異なるポリヌクレオチドによってコードされている場合もあることは当業者なら理解するであろう。これらの「変異体」も本発明に包含される。
【0072】
好ましくは、 本発明のポリヌクレオチドは、単離されたポリヌクレオチドである。「単離された」ポリヌクレオチドという用語は、その他の核酸配列、例えば、その他の染色体のDNAおよびRNA、ならびに、染色体外のDNAおよびRNA(これらに限らない)を実質的に含まないポリヌクレオチドを意味する。単離されたポリヌクレオチドは、宿主細胞から精製してもよい。当業者既知の従来の核酸精製方法を用いて、単離されたポリヌクレオチドを得てもよい。「単離された」ポリヌクレオチドという用語は、組換えポリヌクレオチド、および化学合成されたポリヌクレオチドも含む。
【0073】
本発明のさらにその他の態様は、本発明に係るポリヌクレオチドを含有するプラスミドまたはベクターである。好ましくは、本プラスミドまたはベクターは、発現ベクターである。具体的な実施形態において、このベクターは、ヒト遺伝子治療に使用するためのトランスファーベクターである。
【0074】
本発明のさらにその他の形態は、本発明のポリヌクレオチド、または、本発明のプラスミドまたはベクターを含む宿主細胞である。
【0075】
本発明の宿主細胞は、第VII/VIIa因子アルブミン融合ポリペプチドの製造方法において用いてもよく、それは本発明の一部である。
この方法は、
−第VII/VIIa因子アルブミン融合ポリペプチドが発現されるような条件下で本発明の宿主細胞を培養し、さらに
−場合により、その培地から第VII/VIIa因子アルブミン融合ポリペプチドを回収することを含む。
【0076】
提案した変異体の発現
適切な宿主細胞中で組換えタンパク質を大量生産するには、当業者に既知の方法に従い、上述の改変されたcDNAを、様々な発現系で増殖が可能な組換え発現ベクター中に、適切な調節因子と共に効率的な転写単位に構築する必要がある。効率的な転写調節因子は、動物細胞を天然の宿主とするウイルス、または動物細胞の染色体DNAから誘導することができる。好ましくは、シミアンウイルス40、アデノウイルス、BKポリオーマウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、もしくは、ラウス肉腫ウイルスのロングターミナルリピートから誘導した、プロモーター−エンハンサーの組み合わせ、または、ベータ−アクチンもしくはGRP78のような動物細胞中で強く構成的に転写された遺伝子を含む、プロモーター−エンハンサーの組み合わせを用いることができる。安定な高レベルのcDNAからのmRNAの転写を達成するためには、転写単位は、その3'近位部分に、転写終結のためのポリアデニル化配列をコードするDNA領域を含む必要がある。好ましくは、この配列は、シミアンウイルス40初期転写領域、ウサギベータ−グロビン遺伝子、または、ヒト組織プラスミノゲン活性化因子遺伝子から誘導される。
【0077】
次に、cDNAは、第VII/VIIa因子アルブミン融合ポリペプチドを発現させるための適切な宿主細胞系のゲノムに統合される。正しいフォールディング、Glaドメイン内のグルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、ジスルフィド結合形成、アスパラギン結合型の糖鎖付加、O−結合型の糖鎖付加、およびその他の翻訳後修飾、ならびに培地への分泌を確実にするため、上記細胞系は、脊椎動物由来の動物細胞系である必要がある。その他の翻訳後修飾の例としては、新成ポリペプチド鎖のチロシンのO−硫酸化、水酸化およびタンパク質分解処理ならびにプロペプチド領域の切断が挙げられる。使用可能な細胞系の例としては、サルCOS細胞、マウスL細胞、マウスC127細胞、ハムスターBHK−21細胞、ヒト胎児腎臓293細胞が挙げられ、選択的にはハムスターCHO細胞である。
【0078】
対応するcDNAをコードする組換え発現ベクターは、数種の様々な方法で、動物細胞系に導入することができる。例えば、組換え発現ベクターは、異なる動物ウイルスをベースとしたベクターから作製することができる。その例としては、バキュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、および、好ましくはウシパピローマウイルスをベースとしたベクターが挙げられる。
【0079】
また、ゲノムに組換えDNAを統合した特定の細胞クローンの単離を容易にするために、対応するDNAをコードする転写単位を、動物細胞に、その中で優勢な選択マーカーとして機能する可能性がある別の組換え遺伝子と共に導入することもできる。このタイプの優勢な選択マーカー遺伝子の例としては、Tn5アミノ配糖体ホスホトランスフェラーゼ(ゲネチシン(G418)耐性を付与する)、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(ハイグロマイシン耐性を付与する)、および、ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ(ピューロマイシン耐性を付与する)が挙げられる。このような選択マーカーをコードする組換え発現ベクターは、所望のタンパク質のcDNAをコードするベクターと同じベクターに含有させてもよい。または、同時に導入されて宿主細胞のゲノムに統合される別個のベクターにコードされてもよく、そうすることにより、異なる転写単位間で堅い物理的な連結が形成されることが多い。
【0080】
所望のタンパク質のcDNAと共に用いることができるその他のタイプの選択マーカー遺伝子は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)をコードする様々な転写単位をベースとしたものである。このタイプの遺伝子を内因性dhfr活性が欠損した細胞、選択的にはCHO細胞(DUKX−B11、DG−44)に導入した後、ヌクレオシドを含まない培地中でこれらを増殖させることが可能になると予想される。このような培地の例は、ヒポキサンチン、チミジンおよびグリシンを含まないハムF12である。これらのdhfr遺伝子は、凝固因子のcDNA転写単位と共に、同じベクターまたは異なるベクターのいずれかに連結させて上記のタイプのCHO細胞に導入することができるため、組換えタンパク質を生産するdhfr陽性細胞系を作製することができる。
【0081】
上記の細胞系を細胞毒性のdhfr阻害剤であるメトトレキセートの存在下で増殖させる場合、メトトレキセート耐性の新しい細胞系が出現すると予想される。これらの細胞系は、連結されたdhfrと所望のタンパク質の転写単位の数が増幅されているために、組換えタンパク質を高速で生産する可能性がある。高濃度のメトトレキセート(1〜10000nM)中でこれらの細胞系を増殖させると、極めて高速で望ましいタンパク質を生産する新しい細胞系を得ることができる。
【0082】
上記の所望のタンパク質を生産する細胞系は、懸濁培養、または、様々な固体支持体のいずれかでラージスケールで増殖させることができる。これらの支持体の例は、デキストランまたはコラーゲンマトリックスをベースとしたマイクロキャリアー、または、中空糸の形態の固体支持体、または、様々なセラミック材料である。細胞懸濁培養またはマイクロキャリアーで増殖させる場合、上記の細胞系培養は、バッチ培養として、または、長期間にわたり調整培地の連続的な供給を伴う潅流培養のどちらかとして行うことができる。したがって、本発明によれば、上記の細胞系は、所望の組換えタンパク質の生産のための工業的プロセスの開発にきわめて適している。
【0083】
上記のタイプの分泌細胞の培地中に蓄積する組換えタンパク質は、濃縮し、様々な生化学的な方法やクロマトグラフィー法によって精製することができ、例えば、細胞培地中での所望のタンパク質とその他の物質との、大きさ、電荷、疎水性、溶解性、特異的な親和性などの差を利用する方法が挙げられる。
【0084】
このような精製の例は、固体支持体に固定したモノクローナル抗体へ組換えタンパク質を吸着させることである。脱離させた後、タンパク質を、上記の特性に基づいて多種多様なクロマトグラフィー技術によってさらに精製することができる。
【0085】
本発明の第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチドは、純度80%以上、より好ましくは純度95%以上に精製することが好ましく、具体的には、汚染高分子、具体的にはその他のタンパク質や核酸に関して純度99.9%超の製薬的に純粋な状態であり、さらに感染性の物質や発熱性の物質を含まないことが好ましい。単離された、または、精製された本発明の第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチドは、他のポリペプチドを実質的に含まないことが好ましい。
【0086】
本発明に記載される第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチドは、治療用途に応じた医薬配合物に製剤化することができる。精製したタンパク質は、従来の生理学的に適合する水性のバッファー溶液に溶解してもよく、そこに場合により、医薬調合物を提供するための製薬用賦形剤を添加してもよい。
【0087】
そのような薬学的担体および賦形剤、ならびに好適な医薬製剤は、当技術分野で既知である(例えば、“Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins”, Frokjaer et al., Taylor & Francis (2000)または“Handbook of Pharmaceutical Excipients”, 3rd edition, Kibbe et al., Pharmaceutical Press (2000)を参照されたい)。特に、本発明のポリペプチド変異体を含有する医薬組成物は、凍結乾燥形態または安定な可溶化形態で製剤化してもよい。本ポリペプチド変異体は、当技術分野で既知の様々な手法によって凍結乾燥してよい。凍結乾燥製剤は、使用に先立ち、注射用減菌水または減菌生理食塩液などの1つまたはそれ以上の薬学的に許容される希釈剤を添加することにより再構成される。
【0088】
本組成物の製剤は、任意の薬学的に適切な投与手段により個体に送達される。様々な送達系が既知であり、任意の都合よい経路により組成物を投与するために使用することができる。選択的には、本発明の組成物は全身投与する。全身での使用のため、本発明のアルブミン結合第VII/VIIa因子変異体は、定法に従って、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、大脳内、肺内、鼻腔内、もしくは経皮)、または腸内(例えば、経口、膣内、もしくは直腸内)送達のために製剤化する。最も優先的な投与経路は静脈内投与である。当該製剤は、注入または急速静注によって連続投与することができる。製剤によっては、徐放系も包含する。
【0089】
本発明の、改変型の生物学的に活性なアルブミン結合第VII/VIIa因子ポリペプチドは、治療上有効量で患者に投与する。治療上有効量とは、耐えられないほどの副作用を生じる投与量に達することなく、治療中の状態または適応症の重症化または広がりを予防または軽減し、所望の効果を生むのに十分な投与量を意味する。正確な投与量は、例えば、適応、製剤、および投与方法などの多くの要因に左右され、個々の適応症の前臨床および臨床試験において決定する必要がある。
【0090】
本発明の医薬組成物は、単独投与してもよいし、他の治療薬と併用投与してもよい。これらの薬剤を同じ医薬品の一部として組み込んでもよい。
【0091】
本発明の様々な製品は、医薬品として有用である。したがって、本発明は、本明細書中に記載されている第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチド、本発明のポリヌクレオチド、または本発明のプラスミドもしくはベクターを含有する医薬組成物生物に関する。
【0092】
また、本発明の改変DNAは、ヒト遺伝子治療に使用するためのトランスファーベクターに統合してもよい。
【0093】
本発明のまた別の形態は、出血性疾患の治療用または予防用の医薬品を製造するための、本明細書中に記載している第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチド、本発明のポリヌクレオチド、本発明のプラスミドもしくはベクター、または本発明の宿主細胞の使用である。出血性疾患としては、血友病Aが挙げられるがこれに限定されない。本発明の別の実施形態では、該治療には、ヒト遺伝子治療が含まれる。
【0094】
本発明は、さらに、以下の適応症のうち、1つまたはそれ以上において、個体を治療する方法に関する:「凝固因子(FVIIIまたはFIX)のインヒビターによる、遺伝性または後天性血友病患者の出血エピソードおよび外科手術」、「抗血小板医薬品または抗凝固医薬品などの薬物療法の結果として発生した止血障害(hemostasis deficits)の回復」、「二次止血の改善」、「感染症またはビタミンK欠乏症や重篤な肝臓病などの疾患に罹患中に生じた止血障害(hemostasis deficits)」、「肝臓切除術」、「蛇咬症の結果として生じる止血障害(hemostasis deficits)」、「胃腸出血」。また好ましい適応症は「
外傷」、「大量輸血の結果(希釈性凝固障害)」、「FVIIIおよびFIX以外の凝固因子欠乏症」、「VWD」、「Fl欠乏症」、「FV欠乏症」、「FVII欠乏症」、「FX欠乏症」、「FXIII欠乏症」、「HUS」、「血小板減少症のような遺伝性または後天性の血小板疾患および障害、ITP、TTP、HELLP症候群、ベルナール・スリエ症候群、グランツマン血小板無力症、HIT」、「チェディアック・東症候群」、「ヘルマンスキー・パドラック症候群」、「ランデュ・オスラー症候群」、「ヘノッホ・シェーンライン紫斑病」、および「創傷治癒」である。本方法は、有効量の本明細書中に記載されている第VII/VIIa因子結合アルブミンポリペプチドを、前記個体に投与することを含む。別の実施形態では、本方法はこの個体に、有効量の本発明のポリヌクレオチド、または本発明のプラスミドもしくはベクターを投与することを含む。あるいは、本方法は、この個体に有効量の本明細書中に記載されている本発明の宿主細胞を投与することを含んでもよい。
【実施例】
【0095】
[実施例1]FVIIアルブミン融合ポリペプチドをコードするcDNAの作製
プライマーWe1303およびWe1304(配列番号1および2)を用いて、第VII因子コード配列を、ヒト肝臓cDNAライブラリー(ProQuest、インビトロジェン)からPCRにより増幅した。プライマーWe1286およびWe1287(配列番号3および4)を用いた2回目のPCRの後、得られた断片をpCR4TOPO(インビトロジェン)にクローニングした。そこから、FVII cDNAを、すでに内部のXhoI部位を削除したpIRESpuro3(BDバイオサイエンシーズ)のEcoRI部位に、EcoRI断片としてトランスファーした。得られたプラスミドをpFVII−659と命名した。
続いて、オリゴヌクレオチドWe1643およびWe1644(配列番号5および6)を用いて、標準プロトコール(QuickChange XL部位特異的突然変異誘発キット、ストラタジーン)による部位特異的突然変異誘発法により、XhoI制限部位を、pFVII−659の天然FVII停止コドン(図1)の部位に導入した。得られたプラスミドをpFVII−700と命名した。
【0096】
オリゴヌクレオチドWe1731およびWe1732(配列番号7および8)を、標準PCR条件下で、94℃で2分間初期変性の後、94℃で15秒間変性、55℃で15秒間アニーリング、72℃で15秒間伸長のサイクルを7回繰返し、最後に72℃で5分間伸長工程というPCRプロトコールを用いて、等モル濃度(10pmol)でアニールし、平滑化し、増幅した。得られた断片は制限エンドヌクレアーゼXhoIおよびNotIで消化し、同じ酵素で消化したpFVII−700にライゲートした。得られたプラスミドをpFVII−733と命名した。これは、FVIIおよびトロンビン切断可能グリシン/セリン・リンカーのC末端の伸展のためのコード配列を含んでいた。
【0097】
pFVII−733を元に、トロンビン切断部位および付加的なN型糖鎖付加部位のない他のリンカーを挿入した。そのために、プライマー対We2148およびWe2149(配列番号9および10)、We2148およびWe2150(配列番号9および11)、We2148およびWe2151(配列番号9および12)、We2152およびWe2153(配列番号13および14)、We2152およびWe2154(配列番号13および15)、We2152および2155(配列番号13および16)、ならびにWe2156およびWe2157(配列番号17および18)をそれぞれ、上述の通り、アニールし増幅した。それぞれのPCR断片は制限エンドヌクレアーゼXhoIおよびBamH1で消化し、同酵素により消化したpFVII−733に挿入した。成熟ヒトアルブミンのcDNAを含むBamH1断片を、得られたプラスミドおよびpFVII−733のBamH1部位に挿入した。この断片は、標準条件下で、プライマーWe1862およびWe1902(配列番号19および20)を用いて、アルブミンcDNA配列に対してPCRを行い、作製しておいたものである。最終プラスミドを、それぞれpFVII−935、pFVII−936、pFVII−937、pFVII−938、pFVII−939、pFVII−940、pFVII−941、およびpFVII−834と命名した。それらのリンカー配列ならびにC末端FVIIおよびN末端アルブミン配列の概要を図2に示す。
【0098】
pFVII−938を元に、より短いリンカー配列を欠失突然変異誘発により作製した。そのために、突然変異誘発プライマーWe2247およびWe2248(配列番号23および24)、We2249およびWe2250(配列番号25および26)、We2251およびWe2252(配列番号27および28)、ならびにWe2253およびWe2254(配列番号29および30)を用いて、標準突然変異誘発プロトコール(QuickChange XL部位特異的突然変異誘発キット、ストラタジーン)で用いて、プラスミドpFVII−1014、pFVII−1015、およびpFVII−1016、およびpFVII−1370をそれぞれ作製した。
【0099】
リンカーを有しないFVIIアルブミン融合タンパク質を生成するため、プライマーWe2181およびWe2182(配列番号31および32)を用いて、上記の通り、プラスミドpFVII−935に対し欠失突然変異誘発を行った。得られたプラスミドをpFVII−974と命名した。
【0100】
プラスミドpFVII−974を元に挿入突然変異誘発を行い、1〜3個のアミノ酸からなるリンカーを作製した。そのため、突然変異誘発プライマーWe2432およびWe2433(配列番号33および34)、We2434およびWe2435(配列番号35および36)、ならびに We2436およびWe2437(配列番号37および38)を用いて、標準突然変異誘発プロトコール(QuickChange XL部位特異的突然変異誘発キット、ストラタジーン)により、プラスミドpFVII−1158、pFVII−1159、およびpFVII−1160をそれぞれ作製した。
【0101】
さらに別の構築物を同様の手法で生成した。標準突然変異誘発プロトコールにより、プラスミドpFVII−1370を元に突然変異誘発プライマーWe2713およびWe2714(配列番号39および40)を、プラスミドpFVII−1370を元にWe2715およびWe2716(配列番号41および42)を、プラスミドpFVII−1016を元にWe2717およびWe2718(配列番号43および44)を、ならびにプラスミドpFVII−935を元にWe2756およびWe2757(配列番号45および46)を用いて、プラスミドpFVII−1361、pFVII−1362、pFVII−1363、およびpFVII−1382をそれぞれ作製した。
リンカー配列、ならびに上述の各プラスミドのC末端FVIIおよびN末端アルブミン配列の概要を図2に示す。
【0102】
[実施例2]第VII因子アルブミン融合ポリペプチドのトランスフェクションおよび発現
プラスミドを大腸菌TOP10(インビトロジェン)中で増殖させ、標準的なプロトコール(キアゲン)で精製した。HEK293細胞をリポフェクトアミン2000試薬(インビトロジェン)を用いてトランスフェクトし、無血清培地(インビトロジェン293 Express)中で、50ng/mlビタミンK、および4μg/mlビューロマイシンの存在下で増殖させた。トランスフェクトした細胞集団をT−フラスコを介してローラーボトルに拡散させ、そこから精製のために上清を回収した。
【0103】
[実施例3]FVIIおよびFVIIアルブミン融合ポリペプチドの精製
FVIIまたはFVIIアルブミン融合ポリペプチドを含む細胞培養回収物を、20mM Hepes(pH7.4)バッファーで平衡化した2.06mLのQ−セファロースFFカラムに適用した。続いて、カラムを10倍量の指定されたHepesバッファーで洗浄した。結合したFVII分子を、20カラム容積以内の20のmM Hepesバッファー中で
、塩化ナトリウム濃度0〜1.0Mまで直線濃度勾配により溶出させた。溶出液には、適用したFVII抗原の約85〜90%が、タンパク濃度0.5〜1g/Lで含まれていた。
別の方法として、FVIIを、欧州特許出願公開第0770625B1号に記載されているように、固定した組織因子を用い、クロマトグラフィーにより精製した。
実施例4に記載の通りに、FVII抗原および活性を測定した。
【0104】
[実施例4]FVII活性および抗原の測定
FVII活性を、 Seligsohn et al. Blood (1978) 52: 978-988に記載されている方法に基づき、標準ヒト血清(デイド・ベーリング)を標準として、市販の比色試験キット(Chromogenix Coaset FVII)を用い測定した。
FVIIa活性は、Morissey et al. (1993) Blood 81: 734-744に記載された方法に基づいて、市販の試験キット(STACLOT(登録商標))VIIa−rTF(ダイアグノティカ・スターゴ)を用い測定した。
FVII抗原を、当業者に性能が既知のELISAによって測定した。簡潔に述べると、マイクロプレートを、ウェルあたり120μLの捕捉抗体(ヒツジ抗ヒトFVII IgG、セダレーンCL20030AP、バッファーA(シグマC3041)で1000倍に希釈)と共に、周囲温度で一晩インキュベートした。プレートをバッファーB(シグマP3563)で3回洗浄した後、各ウェルを、バッファーC(シグマP3688)200μLと共に、周囲温度で1時間インキュベートした。バッファーBでさらに3回洗浄工程を行った後、試験サンプルのバッファーBでの連続希釈液、および、標準ヒト血漿(デイド・ベーリング;50〜0.5mU/mL)のバッファーB(ウェルあたりの共に:100μL)での連続希釈液を、周囲温度で2時間インキュベートした。バッファーBでの3回の洗浄工程の後、検出抗体(ヒツジ抗ヒトFVII IgG,セダレーンCL20030K,ペルオキシダーゼ標識)のバッファーBでの5000倍希釈液100μLを各ウェルに添加し、周囲温度でさらに2時間インキュベートした。バッファーBでの3回の洗浄工程の後、基質溶液(TMB,デイド・ベーリング,OUVF)をウェルあたり100μLで添加し、暗所で周囲温度で30分間インキュベートした。希釈していない停止溶液(デイド・ベーリング,OSFA)100μLを添加して、適切なマイクロプレートリーダーで波長450nmで読み取るためのサンプルを製造した。次に、参照として標準ヒト血漿を用いた標準曲線を用いて、試験サンプルの濃度を計算した。
【0105】
[実施例5]因子XaによるFVIIおよびFVIIアルブミン融合ポリペプチドの活性化
実施例3に記載の通りに精製したFVIIポリペプチドを、20mM HEPES、150mM NaCl、1mM クエン酸ナトリウム、1g/l カプリル酸ナトリウム pH8.5から成るバッファーに対して透析した。このバッファー環境内でFVIIをFXa(市販の調合物、100IU/mL、ERL)、リン脂質(Phosphorlipon 25P、1g/l、ローヌ・プーランク−ナターマン、ケルン)、およびCa++(塩化カルシウムをAqua destに溶解させたもの、1M)と共に、37℃で様々な時間間隔でインキュベートすることにより、FVIIaに活性化した。比色アッセイによって測定した最終濃度は、約30〜65IU/mL FVIIであった。よって、FVIIに対して0.5%FXa、すなわち1IU FXa、200IU FVII、0.02g/lリン脂質、5mM CaCl2であった。
活性化は、20mM HEPES、150mM NaCl、200mM クエン酸ナトリウム、1g/lカプリル酸ナトリウム pH5.0からなる10%(v/v)のバッファーを添加することにより終了させた。
【0106】
並行して、分子の切断をモニターするため、活性化混合物のサンプルおよび対応する活性化されていないサンプルを、SDS−PAGEに供し、クマシーブルー染色し、スキャンしてバンドの密度を調べた。
簡潔に述べると、サンプルを還元してSDS−PAGE(8〜16%グラジエント、ポ
リアクリルアミド、Novex(登録商標)トリス・グリシン・ゲル、インビトロジェン;メーカーの使用説明書に従う)に供し、クマシーブルーG−250で染色した。得られたバンドをスキャンし(Versa DOC(登録商標)、バイオラッド)、相対的タンパク質濃度を、Image Quantソフトウェア(V4.20(アマシャム))を用いて計算した。
【0107】
[実施例6]FVIIアルブミン融合タンパク質の活性はリンカーの長さに依存する。
上述のように、リンカーの長さが0〜31アミノ酸のFVIIアルブミン融合タンパク質を活性化し、FVIIa活性をSTACLOT(登録商標)アッセイにより測定した。融合ポリペプチドは、リンカーの長さにかかわらず、同程度のFXa切断を示したが、活性アッセイにより測定したアルブミン融合タンパク質のFVIIa活性は、驚くべき結果を示した。すなわち、FVIIとアルブミン部分間のリンカーが長くなるほど、測定されたモル特異的FVIIa活性は高くなり(図3および表5)、リンカーを有しない構築物(974)は、19以上のアミノ酸長からなるアミノ酸構築物と比較して、FVIIa活性が半分未満になることが示された。1アミノ酸増加しただけのリンカー(pFVII−1158)でさえ、リンカーを有しない融合タンパク質(pFVII−974)と比較して、融合タンパク質のモル特異的活性が31%増加した。このことは、FVIIとアルブミン配列とを直接融合させると、アルブミン部分が、そのFVIIa部分の立体配座またはその基質とのその相互作用のいずれかに干渉する立体配座の立場に導く可能性があることを強く示唆している。この干渉は、第VII/VIIa因子とアルブミンとの間に介在するペプチドリンカーを導入した構築物では、有意に減少すると考えられる。
【0108】
NovoSeven(登録商標)と比較した場合、リンカーを有しないアルブミン融合タンパク質(974)は、約25%の特異的分子活性を示した(表6)。
【0109】
【表5】

【0110】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】TAGをTCGで置換することにより、天然のFVII停止コドン部位に導入したXhoI制限部位を、アンダーラインで示す。別の構築物に使用したNotI部位を、二重アンダーラインで示す。第VII因子C末端のアミノ酸配列を、3文字コードで示す(四角で囲む)。
【図2】様々なpFVII構築物において、第VII因子のC末端とアルブミンのN末端との間に挿入したリンカー配列の概要である。pFVII−834中のトロンビン切断部位を、アンダーラインで示す。N型糖鎖付加部位のアスパラギンを、二重アンダーラインで示す。
【図3】FVIIアルブミン融合タンパク質をFXaで活性化させ、FVIIa活性をSTACLOT(登録商標)アッセイで測定した。プロットは、リンカーを有さないタンパク質(プラスミドpFVII−974由来)に関する、リンカーの長さの増加に伴う上記タンパク質の活性を示す。
【図4】ELISAにより測定した、野生型第VII因子(pFVII−659)、FVIIアルブミン融合タンパク質、ならびに血漿由来FVII(pdFVII)およびrFVIIa(NovoSeven(登録商標))のPK実験の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルブミンまたはその断片もしくは変異体に融合させた、少なくとも1つの第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドまたはその断片もしくは変異体を含有し、少なくとも1つのそのような第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチドが該融合タンパク質のN末端側に位置し、そして、該融合タンパク質が第VII/VIIa因子の生物活性を有する、アルブミン融合ポリペプチド。
【請求項2】
融合タンパク質が、融合していない野生型第VII因子もしくは第VIIa因子のそれぞれ、またはその断片もしくは変異体と比較して、少なくとも25%のモル特異的第VII/VIIa因子生物活性を有する、請求項1に記載のアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項3】
融合タンパク質が、融合していない第VII因子または第VIIa因子と比較して、増加したin vivoでの有効血漿半減期を有する、請求項1または2に記載の、第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドを含有するアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項4】
融合タンパク質が、融合していない第VII因子または第VIIa因子と比較して、少なくとも100%増加したin vivoでの有効半減期を有する、請求項3に記載の、第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドを含有するアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項5】
リンカーがアルブミン部分と第VII因子または第VIIa因子部分を分離している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の、第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドを含有するアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項6】
ペプチドリンカーが、アルブミン部分から第VII因子または第VIIa因子部分を分離し、そして、融合ポリペプチドが、リンカーを有しない第VII因子または第VIIa因子の融合タンパク質と比較して、少なくとも25%増加したモル特異的活性を有する、請求項5に記載の、第VII因子または第VIIa因子ポリペプチドを含有するアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項7】
リンカーがプロテアーゼ切断部位を含む、請求項5または6に記載のアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項8】
切断部位が、第IIa因子、第IXa因子、第Xa因子、第XIa因子、第XIIa因子、活性化プロテインC、エラスターゼ、またはカリクレインからなる群から選択される凝固プロテアーゼによって切断されることが可能である、請求項7に記載のアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項9】
リンカーが、翻訳後修飾部位の挿入によって改変される、請求項5〜8のいずれか1項に記載のアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項10】
翻訳後修飾が、Asn−X−Ser/Thr構造の1個またはそれ以上のN型糖鎖付加部位を含み、Xが、プロリン以外の任意のアミノ酸を表す、請求項9に記載のアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項11】
ペプチドリンカーが配列番号47〜55を含む、請求項5または6に記載のアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項12】
ペプチドリンカーが、少なくとも1個のアミノ酸を含む、請求項5〜10のいずれか1項に記載のアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項13】
ペプチドリンカーが、少なくとも3個のアミノ酸を含む、請求項5〜10のいずれか1項に記載のアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項14】
ペプチドリンカーが、少なくとも7個のアミノ酸を含む、請求項5〜10のいずれか1項に記載のアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項15】
ペプチドリンカーが、少なくとも25個のアミノ酸を含む、請求項5〜10のいずれか1項に記載のアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項16】
アルブミン融合ポリペプチドが改変され、該改変が、異なるビタミンK依存性ポリペプチドの活性化ペプチドの少なくとも一部を挿入により付加すること、または、該異なるビタミンK依存性ポリペプチドの活性化ペプチドのアナログを挿入により付加することを含むように行われる、請求項1〜15のいずれか1項に記載のアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項17】
第VII因子または第VIIa因子ポリペプチド部分が凝固促進活性を有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載のアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項18】
薬剤として使用される、請求項1〜17のいずれか1項に記載のアルブミン融合ポリペプチド。
【請求項19】
薬学的に許容される担体または賦形剤と共に、請求項1〜17のいずれか1項に記載の、有効量のアルブミン融合ポリペプチドを含む、医薬組成物。
【請求項20】
請求項1〜17のいずれか1項に記載のアルブミン融合ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含み、該ポリヌクレオチド配列が、第VII/VIIa因子融合部分のγ−カルボキシル化を仲介するプロペプチドをコードするヌクレオチド配列の3'末端に位置する、核酸分子。
【請求項21】
請求項20に記載の核酸分子を含む、プラスミドまたはベクター。
【請求項22】
発現ベクターである、請求項21に記載のプラスミドまたはベクター。
【請求項23】
ヒト遺伝子治療で使用される遺伝子導入ベクターである、請求項22に記載のベクター。
【請求項24】
請求項19〜23のいずれか1項に記載の核酸分子を含む、宿主細胞。
【請求項25】
請求項1〜17のいずれか1項に記載のアルブミン融合ポリペプチドを製造する方法であって、
a.生体内で発現させることができるアルブミン融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供すること、
b.上記生体内で、上記核酸を発現させてアルブミン融合ポリペプチドを形成させること、および、
c.上記アルブミン融合ポリペプチドを精製すること
を含む上記方法。
【請求項26】
請求項21〜23のいずれか1項に記載のプラスミドまたはベクターを含有する、医薬組成物。
【請求項27】
血液凝固障害の治療用または予防用薬剤を製造するための、請求項1〜17のいずれか1項に記載のアルブミン融合ポリペプチド、請求項20に記載のポリヌクレオチド、請求項21〜23のいずれか1項に記載のプラスミドもしくはベクター、または請求項24に記載の宿主細胞の使用。
【請求項28】
以下の適応症:血友病A、血友病B、外科手術に関係する出血エピソード、血液凝固障害をもたらす肝障害、「凝固因子(FVIIIまたはFIX)のインヒビターによる、遺伝性または後天性血友病患者の出血エピソードおよび外科手術」、「抗血小板医薬品または抗凝固医薬品などの薬物療法の結果として発生した止血障害の回復」、「二次止血の改善」、「感染症またはビタミンK欠乏症もしくは重篤な肝臓病などの疾患に罹患中に生じた止血障害」、「肝臓切除術」、「蛇咬症の結果として生じる止血障害」、「胃腸出血」、「外傷」、「大量輸血の結果(希釈性凝固障害)」、「FVIIIおよびFIX以外の凝固因子欠乏症」、「VWD」、「Fl欠乏症」、「FV欠乏症」、「FVII欠乏症」、「FX欠乏症」、「FXIII欠乏症」、「HUS」、「血小板減少症のような遺伝性または後天性の血小板疾患および障害、ITP、TTP、HELLP症候群、ベルナール・スリエ症候群、グランツマン血小板無力症、「HIT」、「チェディアック・東症候群」、「ヘルマンスキー・パドラック症候群」、「ランデュ・オスラー症候群」、「ヘノッホ・シェーンライン紫斑病」、および「創傷治癒」;
のうち、1つまたはそれ以上を治療するための薬剤を製造するための、第VII因子もしくは第VIIa因子ポリペプチド、またはその断片もしくは変異体、およびアルブミンまたはその断片もしくは変異体を含有するアルブミン融合ポリペプチドの使用。
【請求項29】
治療が、ヒト遺伝子治療を含む、請求項27または28に記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−525724(P2009−525724A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552755(P2008−552755)
【出願日】平成19年2月3日(2007.2.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000937
【国際公開番号】WO2007/090584
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(597070264)ツェー・エス・エル・ベーリング・ゲー・エム・ベー・ハー (32)
【Fターム(参考)】