説明

半田付け装置

【課題】エネルギー消費量を増加させずに排出ガスから不純物を除去する能力を向上させることができ、エネルギー消費及び環境の両方の観点においてエコである半田付け装置を提供する。
【解決手段】排出ガスを導入するためのガス導入部1と浄化された後の排出ガスを導出するためのガス導出部6との間に形成した流路と、前記流路上に設けた流路上フィルタ3とを具備してなり、前記ガス導入部1が、炉本体200の内部から排出ガスを導入するための排出ガス導入部11と、前記排出ガス導入部から導入された排出ガスとともに外部空気を取り込むための外部空気導入部12とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフロー炉又は半田槽を含む半田付け装置から排出される不純物を含んだ排出ガスを浄化する機能を有した半田付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リフロー炉には、大気を次々導入して加熱するとともに余ったガスを外部に放出する開放型のものと、ガスを内部で循環させて外部には排出しない内部循環型のものとがある。これらのリフロー炉においては、内部で加熱されたガスに、半田に含まれるフラックス等が気化して含有することになるが、特に内部循環型のリフロー炉では、ガス中のフラックス濃度が次第に増加する上、そのフラックスが、ゾーン間の温度差などで顕出し、炉内壁や基板に付着する恐れが生じるため、特許文献1に示すように、内部にガス循環経路を設け、その循環経路上にフラックス除去機構を設けてガス中のフラックスを除去するように構成している。
【0003】
近時では、排出されるガスの不純物が環境汚染等につながるとして開放型のリフロー炉は用いられなくなってきており、また、内部循環型のリフロー炉でさえ、基板搬入口又は基板搬出口からわずかに漏れ出る内部ガスを問題にされる場合がある。加えて、内部循環型のリフロー炉では、炉本体の内部を窒素等の不活性ガスで満たす場合もあり、不活性ガスが充填される際に炉本体内部の空気が押し出されることにより搬入口又は搬出口から多くの不純物を含んだガスが排出されてしまうことがある。このような排出ガスは前述したフラックスのみならず、半田の燃えカスや発がん性のある有害物質の粒子等から構成される粉塵等も含んでおり、そのまま大気に排出されてしまうと、健康被害を誘発したり、その有害物質等に起因する悪臭などの問題が生じたりしてしまう。
【0004】
このような炉本体内からの排出ガスによる環境汚染の問題を解決するために本出願人らは、排気ガス浄化機構を備えたリフロー炉を出願している(特許文献2参照)。
【0005】
このものは、排出ガスを導入するためのガス導入口と浄化された排出ガスを導出するガス導出口との間に形成した流路と、前記流路上に設けた臭い除去フィルタ、冷却部材及び不純物回収機構とを具備してなるものである。前記ガス導入口は、リフロー炉の基板の搬出口及び搬入口に開口させてあり、リフロー炉の炉本体内からの略排出ガスのみを吸引して、冷却部材で強制的に冷却したのちに気体のフラックス等を析出させるとともに、粉塵の粒径を大きくし、フィルタによって捕集し易くしたうえで、不純物回収機構でそのフラックス等を回収して浄化された空気を工場内等に放出するようにしてある。
【0006】
しかしながら、近時における工場内に求められる清浄度や近隣に住宅等が存在する場合に求められる環境基準を達成するためには、このような半田付け装置でも、フラックス又は粉塵等の除去率をより向上させる必要がある。1つの方策としては、より多くのフラックスが排出ガスから析出するように前記冷却部材の能力を上げることが考えられる。ところが、前記冷却部材の能力を上げると今度は冷却のために必要なエネルギーの消費量が増加してしまう。これでは、排出ガス中に含まれる不純物を取り除くという環境に関する観点ではエコであるものの、エネルギー消費量の観点ではエコではなく、総合的な観点では満足のいくものとならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−335807号公報
【特許文献2】実用新案登録第3144228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述したような問題を鑑みてなされたものであり、あまりエネルギー消費量を増加させずに排出ガスから不純物、例えば、フラックスや粉塵等の有害物質を除去する能力を向上させることができ、エネルギー消費及び環境の両方の観点においてエコである半田付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本願請求項1に記載された発明に係る半田付け装置は、不純物を含有するガスを内部で発生させる炉本体と、前記炉本体から排出される排出ガスを導入して浄化し、大気に放出する排出ガス浄化機構と、を備えた半田付け装置であって、前記排出ガス浄化機構が、前記排出ガスを導入するためのガス導入部と浄化された後の排出ガスを導出するためのガス導出部との間に形成した流路と、前記流路上に設けた流路上フィルタとを具備してなり、前記ガス導入部が、前記半田付け装置の内部から排出ガスを導入するための排出ガス導入部と、前記排出ガス導入部から導入された排出ガスとともに外部空気を取り込むための外部空気導入部とを備えたことを特徴とする。ここで半田付け装置とは、少なくとも加熱された炉本体の内部において基板上の半田付けを行うためのリフロー炉又は半田槽を含む概念の装置である。
【0010】
このようなものであれば、前記炉本体内で加熱され、高温となっている排出ガスとともに前記半田付け装置の外に存在する低温な外部空気をともに導入するように構成してあるので、前記ガス導入部に導入された時点から排出ガスの温度を低下させることができる。前記排出ガスの温度を低くすることができるので、排出ガス中に含まれる不純物をより析出させやすくなるので、前記流路上フィルタによって捕集できる不純物の量を向上させることができるとともに、外部空気を用いるというエネルギー消費を伴わない方法で前記排出ガスを冷却することができる。従って、環境に対してエコであるとともに、エネルギー消費の面でもエコな半田付け装置にすることができる。
【0011】
本願請求項2に記載された発明に係る半田付け装置は、前記ガス導入部が、前記炉本体に設けてある基板の搬入口又は搬出口の近傍を覆うように設けるものであり、前記排出ガス導入部が、前記搬入口又は前記搬出口に面しており、前記外部空気導入部が、前記搬入口又は前記搬出口とは反対側又は下方が開口しているものである。
【0012】
このような構成であれば、前記搬入口又は前記搬出口から出る排出ガスを漏れなく回収するとともに、外部空気と混合して排出ガスの温度を低下させるのに適したものとすることができる。
【0013】
本願請求項3に記載された発明に係る半田付け装置は、前記ガス導入部が、前記排出ガスと前記外部空気が混合した状態で通過するガス導入部フィルタを更に備えており、前記排出ガスが、前記排出ガス導入部、前記外部空気導入部、前記ガス導入部フィルタの順に流路を形成するようにしてある。
【0014】
このような構成であれば、前記排出ガスが前記外部空気と混合されて、冷却された状態で前記ガス導入部フィルタを通過させることができるので、排出ガスから析出したフラックスや粉塵等を多量に捕集する事が可能となる。
【0015】
本願請求項4に記載された発明に係る半田付け装置は、前記ガス導入部フィルタが、前記排出ガス中の不純物の液体成分を除去する液体除去層と、前記排出ガス中の不純物の固体成分を除去する固体除去層とを二重にして形成してある。
【0016】
このような構成であれば、排出ガス中に含まれる不純物のうち液体成分と固体成分の両方に適したガス導入部フィルタとすることができ、不純物の捕集効率を向上させることができる。また、二重にして形成してあるので、それぞれの層を別々に設けた場合に比べて、両方の寿命を略同じものとすることができ、フィルタの交換の手間や頻度を極力少なくすることができる。
【0017】
本願請求項5に記載された発明に係る半田付け装置は、前記搬出口の側方から当該搬出口を覆うように流れる層流を形成するエアカーテン形成部を更に備え、前記層流の流れる向きと前記搬出口から搬出される基板の移動方向とが略直交しており、前記層流が前記基板の面板部上を通過するように流れた後に前記ガス導入部フィルタへと流れるように構成してある。
【0018】
このような構成であれば、炉本体内からの基板の搬出時において、基板に付随して持ちだされてしまうフラックスや粉塵等を前記導入部フィルタへと吸い込ますことができ、より不純物の捕集率を上げることができる。
【0019】
本願請求項6に記載された発明に係る半田付け装置は、前記流路上フィルタの上流に第1冷却部が設けてある。
【0020】
このような構成であれば、前記流路上フィルタを排出ガスが通過する前に冷却することができ、前記流路上フィルタが捕集するのに適した粒径のフラックスを析出させたり、粉塵の粒径を大きくしたりすることができ、捕集できるフラックスの量をさらに向上させることができる。
【0021】
また、本願請求項6に記載された発明に係る半田付け装置は、前記流路上フィルタの下流に第2冷却部が設けてある。
【0022】
このような構成であれば、浄化された後の排出ガスを工場内等の外部空間に再び導出する際の温度を低くしておくことができる。このため、工場内の温度が上がってしまい、工場内の冷房を強めることにより生じるエネルギーの無駄を省くことができる。
【0023】
本願請求項7に記載された発明に係る半田付け装置は、前記流路上フィルタが、上流側に設けられる網目の粗い粗取り層と、下流側に設けられる網目の細かい細取り層とを二重にして形成してある。
【0024】
このような構成であれば、不純物の粒径等に広がりがあったとしても、まず大きい粒径のものは粗取り層に捕集され、その後に小さい粒径のものは細取り層に捕集されるので、前記流路上フィルタがすぐに目詰まりを起こし使えなくなってしまうことを防ぎながら、不純物の捕集できる量を多くすることができる。
【0025】
請求項8に記載された発明に係る半田付け装置は、前記ガス導出部から導出されたる浄化された排出ガスを前記搬出口から搬出された基板に当てるように構成してある。
【0026】
このようなものであれば、炉本体内において熱せられた基板を、不純物の捕集のために冷却された清浄な空気を有効利用して効果的に冷やすことができる。従って、排出ガスを再利用して、省エネルギーで基板を冷やし、後の工程に適した温度で搬送させることができるようになる。
【0027】
請求項9に記載された発明に係る半田付け装置は、前記流路上に臭気除去手段を更に備えたものである。このようなものであれば、排出ガス中に含まれる臭気成分を除去し、より健康被害等の問題を起こりにくくするとともに、浄化された排出ガスを大気中に導出した際の再利用が容易になり、用途を増やすことができるようになる。
【0028】
不純物を含有するガスを内部で発生させる炉本体とから排出される排出ガスを導入して浄化し、大気に放出する半田付け装置用排出ガス浄化機構であって、前記排出ガス浄化装置が、前記排出ガスを導入するためのガス導入部と浄化された後の排出ガスを導出するためのガス導出部との間に形成した流路と、前記流路上に設けた流路上フィルタとを具備してなり、前記ガス導入部が、前記炉本体の内部から排出ガスを導入するための排出ガス導入部と、前記排出ガス導入部から導入された排出ガスとともに外部空気を取り込むための外部空気導入部とを備えたことを特徴とする半田付け装置用排出ガス浄化装置であれば、環境に対するエコ及び不純物の除去にかかるエネルギーに対するエコを両立させつつ、フラックスや粉塵等を捕集することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の半田付け装置は、半田付け装置内で高温となった排出ガスを導入する時点で、多量の外部空気とともに導入するように構成してあるので、導入された時点から排出ガスの温度を低くすることができ、その後に設けられたフィルタに到達するまでに排ガス中のフラックス等の不純物を析出させやすく、粉塵の粒径を大きくすることができることから、不純物の捕集量を劇的に多くすることができる。しかも、そのような捕集量を増やす事が出来るにもかかわらず、排出ガスとともに外部空気も導入していることにより排出ガスから不純物を析出させるために必要なエネルギーの消費量も低下させることができる。従って、環境面でも経済的な面でも非常にエコな排出ガス浄化装置又はシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係る半田付け装置の構成を示す模式図。
【図2】同実施形態におけるガス導入部の構造を示す模式的断面図。
【図3】同実施形態におけるガス導入部を上方から見た模式的斜視参考図。
【図4】同実施形態における冷却部の構造を示す模式的斜視参考図。
【図5】本発明の別の実施形態に係る半田付け装置のガス導入部の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0031】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0032】
本実施形態に係る半田付け装置たるリフロー炉Sは、図1に示すように、例えばリフロー炉の炉本体200と、前記炉本体200に接続される排出ガス浄化機構100とから構成してあるものであり、前記炉本体200から排出される排出ガスを浄化して大気に解放するものである。
【0033】
具体的に排出ガス浄化機構100は、前記排出ガスを導入するためのガス導入部1と浄化された後の排出ガスを導出するためのガス導出部6との間に形成した流路を具備し、その流路上に、上流から順に第1冷却部2、流路上フィルタ3、第2冷却部4、吸引器たるブロア5を備えるものである。前記第1冷却部2、前記流路上フィルタ3、前記第2冷却部4、前記ブロア5は、直方体形状の筐体に収納してあるものであり、前記ガス導入部1と前記筐体はダクトDによって接続されており、前記筐体に前記ガス導出部6が設けてある。
【0034】
各部について説明する。ここで、図2はガス導入部1の断面図、図3はガス導入部1を上方から見た斜視図である。
【0035】
前記ガス導入部1は、図2の断面図、図3の上方から見た斜視図に示すように炉本体200の基板の搬入口H1又は搬出口H2のそれぞれの近傍を覆うように設けてある概略直方体形状の2段構造のものであり、排出ガス及び外部空気を吸入する下部構造1Bと、吸入された排出ガスからフラックス又は粉塵等の不純物を除去する上部構造1Aとから構成してある。前記下部構造1Bは、前記炉本体200の内部から排出ガスを導入するための排出ガス導入部11と、前記排出ガス導入部11から導入された排出ガスとともに外部空気を取り込むための外部空気導入部12とを備えるものである。
【0036】
前記ガス導入部1は、後述する平面状のガス導入部フィルタ13を、基板が前記炉本体200から搬出入される方向である搬出入方向に対して平行であり、基板の面板部に対しても平行となるように設けてあるとともに、前記炉本体200の搬入口H1又は搬出口H2の設けてある搬入面H11又は搬出面H21に対して接触させて取り付けられている。さらに、前記搬出入方向の側方のみを側壁によって囲うようにして、前記ガス導入フィルタ13の基板と対向する対向面は開口するようにしてある。このように、既存炉本体200の外側である搬入面H11及び搬出面H21に対して、ガス導入部1を取り付けるだけでも排出ガスの浄化設備を簡単に増設することができる。
【0037】
前記下部構造1Bについて詳述すると、図3に示すように前記排出ガス導入部11は、炉本体200の基板の搬出口H2又は搬入口H1に面している部分であり、搬出口H2又は搬入口H1の側方及び上方を囲うように概略コの字形状の外壁を有するものである。
【0038】
前記外部空気導入部12は、基板の搬出入方向について搬入口H1又は搬出口H2とは反対側に設けてある。この外部空気導入部12は、基板の搬出入方向と下方が開放してあり、側面のみが起立壁により仕切ってあるものであり、基板の搬出入方向であり、かつ、搬入口H1又は搬出口H2に向かう方向及び下方から外部空気が吸入されるようにしてある。このように、前記搬入口H1及び搬出口H2の側方を起立壁により囲うようにしておくことにより、外部空気をスムーズに前記導入部フィルタ13へと導くことができる。前記下部構造1Bにおいて搬出入方向における前記排出ガス導入部11と前記外部空気導入部12の割合は略1対2となるようにしてあり、前記排出ガス導入部11においては、外部空気が導入されないようにしてある。
【0039】
前記上部構造1Aについて説明すると、その底面には前記排出ガスと前記外部空気が混合した状態で通過するガス導入部フィルタ13を更に備えており、排出ガスに注目すると図2の断面図に示すように前記排出ガス導入部11、前記外部空気導入部12、前記ガス導入部フィルタ13の順に流れていくように構成してある。つまり、排出ガスは前記外部空気によりある程度冷却された後に前記ガス導入部フィルタ13に流入するように流路が形成してあるので、フラックス及び粉塵等を析出させて多量に捕集することができる。
【0040】
前記ガス導入部フィルタ13は、前記排出ガス中の不純物の液体成分を除去する液体除去層と、前記排出ガス中の不純物の固体成分を除去する固体除去層とを二重にして形成してあるものである。このようにすることで、排出ガス中の不純物について液体のものと、固体のものを捕集できるようにするとともに、2つの異なる層で使用できる期間が略一致するようにできる。
【0041】
図1に示すように搬出口H2及び搬入口H1のそれぞれに設けられた前記ガス導入部1を通過した排出ガスは、合流した後に前記第1冷却部2に流入し更に自身の温度を低下させられる。前記第1冷却部2は、排出ガスの流れる方向に対して垂直に設けてある複数の遮断壁21から構成されるラビリンス構造であり、排出ガスの流れが曲がりくねったものとなるように構成してある。
【0042】
前記第1冷却部2を通過した排出ガスは、前記流路上フィルタ3に流入する。前記流路上フィルタ3は、前記流路上フィルタ3が、上流側に設けられる網目の粗い粗取り層と、下流側に設けられる網目の細かい細取り層とを二重にして形成してある。より具体的には、例えば前記粗取り層における目1つ分に対して前記細取り層における目が2つ分入るようにして二重にしてある。このように形成しておくことによって、それぞれを別々のフィルタとして取り付けた場合に比べて寿命を長くするとともに、よりフラックス等の捕集できる量を多くすることができる。また、このように従来でればフィルタの目詰まりなどの異常を検知するために2つのフィルタのそれぞれに前後の差圧を検出するための差圧計が必要であったが、このように二重にして形成してあるので、差圧計(図示しない)を1つだけ設けて、前記流路上フィルタ3の差圧を見ておくだけでよくなる。従って、複数の異常監視用のセンサを設ける必要が無くコストを削減することができる。また、使用者からすれば、2つの差圧計の圧力を監視しなくてもよいので、フィルタに関する異常を注視する手間を大幅に低減することができ、例えば、前記流路上フィルタ3に異常が起こったときのみランプが点灯するといった簡単な構成で異常を報知するようにしても重大な問題が起きにくくなる。
【0043】
前記流路上フィルタ3を通過した排出ガスは前記第2冷却部4にてさらに冷却される。前記第2冷却部4は、筐体内に配置される図4(a)に示すような概略平板状をなすものであり、その厚み方向に多数のガス貫通孔4aを貫通させてある。より具体的にこのものは、図4(b)に示すように内部に冷却用媒体が流通する流通管51を隙間を空けて複数並列させ平板状に形成するとともに、隣接する流通管51の間に帯状の金属伝熱板52を仮想平板面と垂直で、なおかつ波状に折り曲げて配設し、折り曲げた金属伝熱板間に前記ガス貫通孔5aが形成されるように構成したものである。
【0044】
ここで、前記流路上フィルタ3を通過した排出ガスは略不純物が除去されているが、まだ熱量を有しているので、前記第2冷却部4にて冷却されてから外部に導出するようにしてある。このようにしておくことで、例えば工場内の温度上昇を招かないようにすることができる。
【0045】
最後にブロア5を通過した排出ガスは、前記ガス導出部6から導出されることになる。
【0046】
次に、このように構成された半田付け装置たるリフロー炉Sにおける、温度分布の計測結果の一例について説明する。搬入口H1側では、前記炉本体200から前記排出ガス導入部11のラビリンス構造に導入された時点の排出ガスの温度は120℃であったところ、前記外部空気導入部12に入り、前記導入部フィルタ13に流入する時点では、42℃まで低下した。これは、排出ガスと外部空気とがともに吸引されるように構成したことによる効果である。従って、フラックス及び粉塵等を捕集するために用いられるHEPAフィルタ等において、フラックス及び粉塵を除去するのに適しているといわれる60℃以下の温度にすることができており、捕集できるフラックス及び粉塵の量を増加させることができる。流路上フィルタ3に流入する前の前記第1冷却部2ではさらに温度を低下させて38℃にすることで、析出して切れていなかったフラックス及び粉塵を更に捕集できるようにしている。前記第2冷却部4では、排出ガスの温度を28℃まで低下させ、略室温と同じ程度の温度にしてから前記ガス導出部6から導出されるようにしてある。
【0047】
このように各フィルタに排出ガスが流入する前に排出ガスの温度を十分に低下させた結果、前記ガス導入部1に流入していた時点では、1.2×10cpm以上のフラックス等の粒子が排出ガス中に含まれていたのを前記ガス流出部から流出する際には、13cpmまで低下させることができた。
【0048】
このように本実施形態の半田付け装置たるリフロー炉Sによれば、前記ガス導入部1において排出ガスと外部空気を混合して前記導入部フィルタ13に流入するように構成してあるので、十分に温度が下がりフラックス等の不純物が析出させることができ、捕集できる不純物の量を多くすることができる。しかも、排出ガスの温度を低下させるために、排出ガスだけでなく、さらに外部空気をも同時に取り込むような構成にしてあるだけなので、冷却のために新たなエネルギー消費を招くこともない。つまり、上述したように、捕集できる不純物の量を劇的に増加させることができ、エネルギーの消費量も抑えることができるという、環境にもエネルギー消費についてもエコな半田付け装置Sとすることができる。
【0049】
その他の実施形態について説明する。以下の説明において前記実施形態の半田付け装置に対応する部材には同じ符号を付すこととする。
【0050】
図5に示すように、前記ガス導入部が、上下方向に延びる層流を前記搬出口の側方から形成するエアカーテン形成部を更に備え、前記層流の流れる向きと前記搬出口から搬出される基板の移動方向とが略直交しており、前記層流が前記基板の面板部上を通過するように流れた後に前記ガス導入部フィルタへと流れるように構成してあるものであっても構わない。
【0051】
より具体的には、前記ガス導入部の側方にエアカーテン形成部たるクロスフローファンFを設けておき、前記搬出口を横切るように層流によってエアカーテンが形成してある。この層流は上下方向に延びるものであり、前記導入部フィルタ13において前記層流が流れる幅にガイド板14が取り付けられている。このようにすることで、前記クロスフローファンFにより形成された層流がそのまま前記導入部フィルタ13に直接取り込まれるのを防ぐようにして、図5(b)に示すような基板K上での流れが保たれるようにしてある。前記ガイド板14の幅は前記クロスフローファンFにより形成される層流の奥行き方向の幅と同じ程度となるようにしてある。さらに、前記クロスフローファンFが設けてある側板の対面にある側板には、図5(a)、(b)に示すように概略1/4球殻状に形成してある流れ方向変更部15が設けてあり、側面にエアカーテンの流れが当たった際に乱流が発生せずに、流れ方向が上方向に変更されたのちに前記導入部フィルタ13へと入射するように構成してある。
【0052】
このようなガス導入部1であれば、前記クロスフローファンFにより形成される層流が、前記ガイド板14に沿って流れることによって層流を保ったまま、基板Kの面板部K1上を流れていくようにすることができる。面板部K1上を流れるときに、層流は、基板が搬出口から搬出される際に付随して持ちだされる不純物であるフラックスや粉塵をとばすことができ、その後対面にある側板に到達すると、球殻状の流れ方向変更部15により無理なく層流を保ったまま上方へと向きを変えられる。従って、乱流を発生することがないことから、基板からとばした不純物を散らすことなく前記導入部フィルタ13へと入射させることができる。このことから、直接導入部フィルタ12に入る不純物の量をより増やすことができ、より捕集量を向上させることできる。さらに、前記クロスフローファンFにより形成されるのは層流であり非常に緩やかな流れであるとともに、前記流れ変更部により流れ方向を変えることにより前記導入部フィルタ13へと入射するようにしてあるので、前記上部構造1A等に吸引ポンプ等を別途設けることなく導入部フィルタ13へと入射させることができる。また、緩やかな流れであることから、例えば、外部空気導入部12に対して気流の乱れを発生させることがなく、前記ブロア5の吸引できる容量を超えた負荷を発生させずに排出ガスと外部空気を取り込むことができる。
【0053】
前記ガス導出部から導出された浄化された排出ガスを前記搬出口から搬出される基板にあてるように構成してあってもよい。このようなものであれば、フラックスや粉塵等の不純物を捕集しやすくするために冷やされていた排出ガスを清浄な状態にしてから、その低温を無駄にすることなく、炉本体内において熱せられた基板を冷却することができる。従って、余分な冷却エネルギーを使うことなく、基板を冷ますことができるので、よりエコな半田付け装置とすることができる。つまり、浄化された排出ガスの再利用方法としても優れた効果を示すものとなる。
【0054】
前記実施形態では、前記半田付け装置はリフロー炉であったが、半田槽であっても構わない。また、各冷却部においては前記実施形態ではラビリンス構造を用いたものや冷却構造をあげたが、その他の方法で冷却しても構わない。例えば、空冷や水冷を利用したものであってもよいし、その他、排出ガスから熱を奪う手段を用いても構わない。前記流路上にいずれかに排出ガスの臭気除去手段を設けても構わない。例えば、前記流路上フィルタ又はガス導入部フィルタに排出ガス中の臭気を除去するための臭気除去フィルタを更に設けても構わない。また、ガス導出部の近傍等に臭気除去フィルタを用いてもよい。臭気除去フィルタとしては活性炭を用いてもよい。また前記臭気除去手段はフィルタに限られるものではなく、例えば、電気的に臭い除去を行うように構成されたものであっても構わない。
【0055】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、様々な変形や実施形態の組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0056】
S・・・半田付け装置(リフロー炉)
100・・・排出ガス浄化機構
200・・・炉本体
1・・・ガス導入部
11・・・排気ガス導入部
12・・・外部空気導入部
13・・・ガス導入部フィルタ
2・・・第1冷却部
3・・・流路上フィルタ
4・・・第2冷却部
6・・・ガス導出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物を含有するガスを内部で発生させる炉本体と、前記炉本体から排出される排出ガスを導入して浄化し、大気に放出する排出ガス浄化機構と、を備えた半田付け装置であって、
前記排出ガス浄化機構が、前記排出ガスを導入するためのガス導入部と浄化された後の排出ガスを導出するためのガス導出部との間に形成した流路と、前記流路上に設けた流路上フィルタとを具備してなり、
前記ガス導入部が、前記炉本体の内部から排出ガスを導入するための排出ガス導入部と、前記排出ガス導入部から導入された排出ガスとともに外部空気を取り込むための外部空気導入部とを備えたことを特徴とする半田付け装置。
【請求項2】
前記ガス導入部が、前記炉本体に設けてある基板の搬入口又は搬出口の近傍を覆うように設けるものであり、
前記排出ガス導入部が、前記搬入口又は前記搬出口に面しており、
前記外部空気導入部が、前記搬入口又は前記搬出口とは反対側又は下方が開口しているものである請求項1記載の半田付け装置。
【請求項3】
前記ガス導入部が、前記排出ガスと前記外部空気が混合した状態で通過するガス導入部フィルタを更に備えており、
前記排出ガスが、前記排出ガス導入部、前記外部空気導入部、前記ガス導入部フィルタの順に流路を形成するようにしてある請求項1又は2記載の半田付け装置。
【請求項4】
前記ガス導入部フィルタが、前記排出ガス中の不純物の液体成分を除去する液体除去層と、前記排出ガス中の不純物の固体成分を除去する固体除去層とを二重にして形成してある請求項3記載の半田付け装置。
【請求項5】
前記ガス導入部が、上下方向に延びる層流を前記搬出口の側方から形成するエアカーテン形成部を更に備え、前記層流の流れる向きと前記搬出口から搬出される基板の移動方向とが略直交しており、前記層流が前記基板の面板部上を通過するように流れた後に前記ガス導入部フィルタへと流れるように構成してある請求項3又は4記載の半田付け装置。
【請求項6】
前記流路上フィルタの上流に第1冷却部が設けてあり、前記流路上フィルタの下流に第2冷却部が設けてある請求項1、2、3、4又は5記載の半田付け装置。
【請求項7】
前記流路上フィルタが、上流側に設けられる網目の粗い粗取り層と、下流側に設けられる網目の細かい細取り層とを二重にして形成してある請求項1、2、3、4、5又は6記載の半田付け装置。
【請求項8】
前記ガス導出部から導出される浄化された排出ガスを前記搬出口から搬出された基板に当てるように構成してある請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の半田付け装置。
【請求項9】
前記流路上に臭気除去手段を更に備えた請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の半田付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−165897(P2011−165897A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27026(P2010−27026)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(507118884)グリーンテクノロジーズ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】