説明

半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマーを含むマスカラ

本発明は、化粧料組成物において、生理学的に許容される媒体中に、有効量の少なくとも1の半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマー、及び少なくとも1の染料物質を含み、該コポリマーは20℃以上の融点を有する前記化粧料組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の課題は、熱的に調節可能性な機械的性質を与えられた化粧料組成物である。本発明の課題は、ケラチン繊維をメイクアップする及び/又はケアするための方法でもある。
【0002】
本発明に従う組成物は、より特に、ケラチン繊維例えば、ヒトのまつ毛、眉毛、及び毛髪、又は人工のまつ毛を被覆するための化粧料組成物であり得る。
【0003】
即ち、本発明に従う組成物は、メイクアップ組成物、マスカラともまた呼ばれるもの、ケラチン繊維のためのメイクアップベース即ちベースコートと呼ばれるもの、メイクアップの上に施与される組成物、即ちトップコートとも呼ばれるもの、又はケラチン繊維を処理するための組成物であり得る。より特に、本発明に従う組成物はマスカラである。
【背景技術】
【0004】
カーリングは、(長くすること、ボリューム、分離とともに)マスカラに関して消費者により表現される主な期待の一つである。それらのために、カーリングはまつ毛の形づけだけでなく、特に、数日間にわたるこのカールの安定性を通してもまた表現される。この期待は、まつ毛の類型学に部分的に関係し、特にアジアでは非常に明確に表現される。
【0005】
従って、いわゆるカーリングマスカラ組成物は、ワックスとフィルム形成性ポリマーとの混合物を含む先行技術、例えば、EP−B−0928607に記載された組成物からすでに公知である。
【0006】
まつ毛のカーリングのために改善された性質を得るために、ワックスの全部又は一部を置換するためにマスカラ組成物においてオルガノゲル化剤を使用することもまた、国際公開第00/74519号から公知である。BASFから商標名Luviset(商標)P.U.R.の商標名で入手可能なウレタンのホモポリマーは半結晶性コポリマーではないことに留意されたい。
【0007】
しかし、そのような組成物はまつ毛の最適なカーリングを許さない。
【0008】
他方、まつ毛をカーリングするためのデバイス、例えば、「まつ毛カーラー」が存在する。例えば、まつ毛カーラーの1つのタイプは、メイクアップする前にまつ毛にカールされた形を与えるために、トングスの顎部分の間にまつ毛をつかむことにあるが、この操作は実行するのに細心の注意を要する。他のまつ毛カーラーは、米国特許5,853,010又は日本国特許出願公開2000−38314に記載されているように、熱の作用下、まつ毛を形づけるための加熱トングス又はブラシの形である。
【0009】
実際には、取り扱いに有利な十分な期間を利用すること及びこの形づけの時間に対する良好な耐性を利用することによる、まつ毛の形づけの可能性は、堆積物の抑制因子の性質を含む。第一の場合において、堆積物に展性があるとき、該堆積物を作業することができることが必要であるが、第二の場合には、この堆積物は、そのカールされた位置にまつ毛を耐久的に維持するために、良好な機械的性質を有することが欠かせない。
【0010】
これらの2つの要件を満足させるために、より最近、マスカラタイプの組成物において、刺激、例えば、熱の効果の下に、状態を変える物質を開発することが提案されてきた。
【0011】
すなわち、米国特許第2005/0031656号及び米国特許第2005/0058496号は、これらの目的のために非晶質のフィルム形成性ポリマーと、ヒートプロファイルを有する化合物、特にワックス、半結晶性ポリマー及び増粘されたオイルから選択される化合物、との組み合わせを使用することを提案している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚いたことに、本発明者らは、化合物の能力であって、上記の能力とは異なるもの、すなわち、その機械的性質を改質し、特に温度の上昇に反応して硬直化(rigidification)する能力を開発することによりこのカーリング効果をさらに最適化することが、可能であることを今、発見した。
【0013】
より具体的には、本発明の課題は、ケラチン繊維のためのケア及び/又はメイクアップ用化粧料組成物において、生理学的に許容される媒体中に、有効量の少なくとも1の半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマー及び少なくとも1の染料物質を含み、該コポリマーは20℃以上の融点を有する該化粧料組成物である。
【0014】
表現「生理学的に許容される媒体」は、非毒性の媒体であって、ケラチン繊維、例えば、ヒトのまつ毛、眉毛、及び毛髪に施与されることができ、特に、目の領域と両立する媒体を意味することが理解される。
【0015】
本発明の課題は、ケラチン繊維上に堆積された、改善されたカーリング性を有するフィルムを得るために上記の化粧料組成物を使用する方法でもある。
【0016】
本発明の課題は、本発明に従う化粧料組成物をケラチン繊維に施与することを含む、ケラチン繊維をメイクアップするための又は非治療的にケアするための化粧方法において、該組成物が、その施与の前、同時、又は後にそれが含むコポリマーの融点以上の温度に加熱される該方法でもある。
【0017】
該組成物は、加熱手段例えば、加熱ブラシを含む施与デバイスにより特に、その施与の前、同時又は後にそのような温度に加熱され得る。
【0018】
従って、本発明に従う組成物は、それらが含むコポリマーの融点超の温度に加熱されるとき、ケラチン繊維の表面に、非常に満足できるカーリング性を有する均一なフィルムの形成をもたらすという特徴を有する。
【0019】
従って、コポリマー融点以上の温度を有する熱源(例えば、加熱ブラシ)の作用の下、そのような組成物で被覆されたまつ毛を素早く形付けることが可能である。
【0020】
半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマー
表現「結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマー」は、少なくとも1の結晶性ポリエステルブロックを含むポリウレタンポリマーを意味することが理解される。これ又はこれらのポリエステルブロックは、骨格を形成するポリウレタン鎖の内部に直接存在するか又はこのポリウレタン鎖に結合する1以上のグラフトを形成している1以上のポリエステルブロックであり得、これら2つの選択肢はポリウレタンのレベルにおいて同時に存在することもまた可能である。
【0021】
表現「半結晶性ポリエステル」は、ポリマーの相の変化を起こす融点を有する鎖又は結晶性の鎖の部分を有するポリエステルを意味することが理解される(固体−液体遷移)。
【0022】
表現「結晶性の鎖又はブロック」は、本発明の目的のために、もしそれだけであると、その温度がこの融点より上であるか又は下であるかによって、非晶質の状態から結晶性の状態に非可逆的に通過する鎖又はブロックを意味することが理解される。
【0023】
表現「ブロック」は、骨格に所属する原子の集団、ポリマーの繰り返し単位の1つを構成する集団を意味することが一般的に理解される。ブロックは一般的に少なくとも5の同一の繰り返し単位を含む。従って、結晶化可能なブロックは、非晶質のブロックとは異なる化学的性質である。該結晶化可能な部分がポリマー状の骨格の結晶化可能なブロックの形であるとき、該ポリマーの非晶質部分は非晶質ブロックの形である;この場合、半結晶性ポリマーは、少なくとも1の結晶化可能なブロック及び少なくとも1の非晶質ブロックを含むブロックコポリマー、例えばジブロック、トリブロック又はマルチブロックタイプである。
【0024】
表現「鎖」は、本発明の目的のために、ポリマーの骨格に対して原子のペンダント状集団又は側鎖の集団を意味することが理解される。有利に、「結晶化可能なペンダント鎖」は、少なくとも6の炭素原子を含む鎖であり得る。本発明のポリマーが結晶化可能な側鎖を有するポリマーであるとき、それら有利にはランダムの形である。
【0025】
本発明に従う組成物において使用されることのできる半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマーは、20℃以上、特に25℃〜100℃、好ましくは30〜80℃、さらによりよくは35℃〜70℃の範囲の融点を有する。
【0026】
融点は、任意の公知の方法により測定され得、特に示差走査熱量計(D.S.C.)、例えば、メトラー社によりDSC30の名前で販売されている熱量計を用いて、以下に記載されたプロトコルに従って測定され得る。
【0027】
ルツボに入れられた5〜10mgのコポリマーの試料は、加熱速度5℃/分において−20℃から110℃の範囲の第一昇温に付され、次に5℃/分の冷却速度で110℃〜−20℃に冷却され、最終的に5℃/分の加熱速度において−20℃〜110℃の範囲の第2昇温に付される。第2昇温の間に、空のルツボ及びコポリマーの試料を含むルツボにより吸収されるパワーの差の変動が時間の関数として測定される。
【0028】
融点の値は、このようにして得られた温度プロファイルの最高のピークに対応する。
【0029】
有利には、本発明に従って使用される半結晶性コポリマーは、1000以上の数平均分子量Mnを有する。
【0030】
有利には、本発明の組成物の半結晶性コポリマーは、2000から800000、好ましくは3000から500000、さらに好ましくは4000から150000、特に100000未満、さらによりよくは4000から99000の範囲の数平均分子量Mnを有する。
【0031】
好ましくは、本発明に従うコポリマーの結晶性ブロック又は鎖は、コポリマーの総重量の少なくとも20%、よりよくは少なくとも30%である。
【0032】
本発明に従う組成物において使用されることのできる半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマーは合成起源である。
【0033】
本発明に従う組成物は、1〜60重量%、特に3〜50重量%、より特に5〜40重量%の半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマーを含み得る。
【0034】
一般的に、本発明で考慮されているポリウレタン/ポリエステルコポリマーは、少なくとも1のジイソシアネート誘導体と、本発明の文脈において該コポリマーに熱変化可能な機械的性質を与えることを具体的に目的とする反応性−OH又はNH基、好ましくは−OH基、をその鎖の各α又はω末端に有する半結晶性ポリエステルとの反応により形成される。
【0035】
より具体的には、本発明に従う半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマーは、α及びω-OH末端を有する少なくとも1の結晶性又は半結晶性脂肪族ポリエステルと、少なくとも1の脂肪族、環状脂肪族又は芳香族の、一般的にはC〜C50のジイソシアネート誘導体との間の反応により得られ得る。
【0036】
単純化された実施態様に従うと、考慮されているポリエステルとジイソシアネートとは、期待されるコポリマーを形成するよう、同じモル当量でそれぞれの相互作用に有利な条件下で接触に至らせられ得る。
【0037】
本発明の文脈において特に好ましい別の変形の実施態様に従うと、これらの2つの化合物の間のこの反応は、カップリング剤又はカップラーと呼ばれる少なくとも1の第三のタイプの化合物の存在下で行われ得る。
【0038】
以下においてより詳しく記載されるように、この化合物はジオール、ジアミン又はアミノアルコール性のカップラーであり得る。
【0039】
この変形に従うと、ポリウレタン/ポリエステルコポリマーの構造は、ハードセグメント及びソフトセグメントと呼ばれる、交互に並ぶ少なくとも2の異なるタイプのセグメントであって共有結合により相互に結合されているブロックから形成される。いわゆるハードセグメントは、ジイソシアネートとカップラーとの反応により形成されるポリウレタン(及び/又はポリウレア)セグメントである。ハードセグメントは極性の高いウレタン基の高い密度を有し、室温において剛直である。ソフトセグメント関しては、それらはジイソシアネートとポリエステルとの反応により形成されるセグメントである。それらはポリエステルのものであるところの低い極性を有する。ソフトセグメントは、ウレタン単位の低い密度を有するので、室温において柔軟であり、従ってそれらを含む組成物の伸びという特徴の原因となる。さらに、ポリエステルを形成する化学的性質に照らすと、ソフトセグメントがある温度に曝され、その結果、カーリングしたときに、期待される剛直さをソフトセグメントを含む組成物に与えるとき、ソフトセグメントは結晶性である。
【0040】
脂肪族、環状脂肪族及び/又は芳香族ジイソシアネート
脂肪族、環状脂肪族及び/又は芳香族C〜C50ジイソシアネートに関しては、それらは当業者に周知であり、市販入手可能である。
【0041】
従って、本発明に適するのは式OCN−R−NCOのジイソシアネートである。上記式においてRは、アルキレン、アリーレン、シクロアルキレン、アルカリーレン又はアリールアルキレン基から選択された二価の基であり、該基は直鎖、分岐状であり、1〜50の炭素原子を含み、該基は少なくとも1の酸素、硫黄、及び/又は窒素原子を含むことが可能である。
【0042】
より特に、Rは以下の基から選択され得る。
【0043】

【0044】
ここで、fは1〜30の範囲の整数であり、gは1〜3の範囲の整数であり、hは1〜20、好ましくは1〜12の範囲の整数である。
【0045】
好ましくは、Rは二価の基、ヘキサメチレン、イソホロン、2,4−トルエン、2,6−トルエン、4,4’−ジシクロヘキシルメタン、パラ−フェニレン及び1,5−ナフチレンから選択される。
【0046】
最も特に適するのは、トルエンジイソシアネート(TDI),4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI),ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチレンキシレンジイソシアネート(TMXDI),イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート、(HDI)である。
【0047】
有利には、本発明に従うコポリマーは、少なくとも1のポリカプロラクトンと少なくとも4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)との反応から誘導される。
【0048】
結晶性ポリエステル
上で述べたように、本発明に従うコポリマーは少なくとも1の半結晶性ポリエステルブロックを有する。
【0049】
これらのブロックの量は、該コポリマーが本発明に従って期待される融点を明示することを許すために調節される。
【0050】
これらのポリエステルブロックはより特に脂肪族ポリエステルである。
【0051】
以下に示される詳細な説明から明らかであるように、これらのポリエステル単位は、製造方法に従って特徴とされ得る。
【0052】
第一の変形に従うと、C1〜6のアルキル基で置換又は非置換されている、好ましくは非置換であるC〜C20のラクトンの重付加から得られ得る。
【0053】
第二の変形に従うと、それらは、少なくとも1の直鎖、分岐状、又は環状、好ましくはC4〜50の脂肪族二酸と、少なくとも1の直鎖の、置換された又は環状の、好ましくは直鎖の脂肪族C〜C50ジオールの重縮合により得られ得る。
【0054】
第三の変形に従うと、それらは上で定義された少なくとも1のC〜C50のジオールと、やはり上で定義されたC〜C50のジカルボン酸のジメチル又はジエチルジエステルの間のエステル交換及び重縮合から誘導され得る。
【0055】
これらの3つの選択肢は以下でより特に検討される。
【0056】
1)ラクトン環即ち環状エステルの開環により得られるポリエステル
これらのポリエステルは、C1〜6のアルキル基で置換されている又は非置換である、一般的にC3〜20のラクトンの、ジオールにより開始される重付加により得られるポリエステルである。
【0057】
3〜20のラクトンは、下記の一般式の環状モノエステルである:
【0058】

【0059】
ここで、-R-は、1以上のH原子が置換されている、又は非置換である、直鎖又は分岐状のC2〜19のアルキレンを表す。
【0060】
例えば、DSMによる国際公開第0042091号の13ページを参照されたい。
【0061】
非置換のラクトンの代表として、特にβ−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、β−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、ω−エナントラクトン、ω−カプリルラクトン、ω−ラウロラクトンが挙げられ得る。
【0062】
置換されたラクトンに関しては、環のC原子上で置換されており、該環の1以上のH原子はC1〜22のアルキル基により置換されていてもよい。このアルキル基自身は、直鎖又は分岐状であってもよく又は環を含んでいてもよい。これらの置換されたポリラクトンの例として、特にβ−メチル−δ−バレロラクトン及びα−メチル−ε−カプロラクトンが挙げられ得る。
【0063】
引用されたラクトンの中で、ε‐カプロラクトンが好ましい。それは、Rが−(CH−基である上記のC〜C20のラクトンに相当する。
【0064】
また、モノエステルではなくジエステルである環状エステルであって、例えば、以下の式に相当するものもまた適する。
【0065】

【0066】
ここでTは水素又はC1〜10のアルキル基を表す。
TがCHを表すならば、化合物はラクチドである。
TがHを表すならば、化合物はグリコリドである。
【0067】
種々の光学異性体をとると、以下の化合物:L,L−ラクチド;D,D−ラクチド;D,L−ラクチドが識別される。ラクトン及びラクチドは、一緒に共重合することができることに留意されたい。
【0068】
これらの環状エステルの中で、ε−カプロラクトンが最も特に適する。
【0069】
上で述べたように、上で定義した環の開環は、OH末端を有するポリカプロラクトンをもたらすが、一般的にジオールにより開始される。
【0070】
特的の実施態様に従うと、本発明に従う結晶性ポリエステルは、ε‐カプロラクトンを開環することにより得られる。
【0071】
このタイプのポリエステルの合成については、特に欧州特許出願公開第1457514号公報に記載されたプロトコルを特に参照されたい。
【0072】
2)重縮合により得られるジオールポリエステル
少なくとも1の直鎖、分岐、又は環状の、好ましくは直鎖のC〜C50のジカルボン酸(又はエステル交換の場合には、メチル若しくはエチルジエステル)と、少なくとも1の脂肪族の直鎖の、置換された又は環状の、好ましくは直鎖のC〜C50のジオールとの重縮合(又はエステル交換)により得られるジオールポリエステル。
【0073】
考慮される反応すなわち、重縮合又はエステル交換にかかわらず、重縮合物がその末端のそれぞれにおいてヒドロキシ官能基を有するように、反応は二酸又はジエステルの化学量論に対して過剰のジオールの存在下で行われる。
【0074】
a)脂肪族又は環状脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体
本発明の目的のために、ジカルボン酸誘導体は、特にその酸二塩化物、無水物誘導体、又はそのメチル若しくはエチルジエステルを包含する。
【0075】
これらの二酸は、特に式HOOC−R−COOHにより表わされ得,ここでRは直鎖、分岐状、又は環状C2〜50の二価の炭化水素基、例えば飽和又は不飽和のアルキレン又はアリーレン、好ましくはアルキレン基(該基は鎖の中に1以上のヘテロ原子、例えばO,N,S及び/又はSiを含んでいてもよい)、及びそれらの酸塩化物及び酸無水物を表わす。これらのジカルボン酸の中で、より特にクエン酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、イタコン酸、シクロヘキサジカルボン酸、及びドデカンジカルボン酸が挙げられ得、これらは、上記の誘導体の形でもまた使用され得る。
【0076】
一つの変形の実施態様に従うと、反応媒体は、例えば、少なくとも1の要求される脂肪族カルボン酸、芳香族二酸、例えばテレフタル酸の異性体を含んでいてもよい。ただし、このようにして得られたポリマーが、本発明に適する半結晶性であるならばである。
【0077】
b)脂肪族又は環状脂肪族ジオール
本発明に適する脂肪族ジオールは、特に式HO−R−OHに該当し得る。該式においてRは直鎖、分岐状、又は環状のC2〜50の二価の炭化水素基、例えば、飽和又は不飽和のアルキレン基であって、その鎖に1以上のヘテロ原子例えば、O,N,S及び/又はSiを含んでいてもよく、かつ部分的又は全体的にフッ素原子で置換されていてもよい基を表す。
【0078】
本発明の場合、この点において最も特に適するのは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,6−シクロヘキサンジオール,1,10−デカンジオール,1,12−ドデカンジオール,ジプロピレングリコール,フランジメタノール、シクロヘキサンジメタノール、及びポリオール、例えば、グリセロール及びソルビトール、ならびにそれらの混合物である。
【0079】
本発明に従うジオールポリエステルは、ヒドロキシ酸の重縮合によってもまた得られ得る。
【0080】
これらのヒドロキシ酸の例として、アルファ、ベータ、ガンマ、及びオメガーヒドロキシカルボン酸、例えば、乳酸、リンゴ酸、及びクエン酸、が特に挙げられ得る。
【0081】
上記の、本発明に最も特に適するポリエステルの2つのクラスに加えて、以下のカテゴリーのポリエステルもまた挙げられ得る。
【0082】
3)バクテリアの重合から生じるジオールポリエステル
これらの天然のポリエステルの代表として、ポリ(ベータ−ヒドロキシアルカノエート)、例えばポリヒドロキシブチレート(PHB),より特にポリ−3−ヒドロキシブチレートの形だけなくポリ−4−ヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート(PHV),ポリヒドロキシヘキサノエート(PHH),ポリヒドロキシオクタノエート(PHO)、及びそれらのコポリマーが特に挙げられ得る。
【0083】
4)以下の一般式に対応するジオールポリカーボネート
【0084】

【0085】
ここでRはC50のジオール、特に上記のもの、を表わし、Rは好ましくは1〜20の炭素原子を有する直鎖又は分岐状であり、任意的に置換されていてもよく又は三価であってもよいアルキル、アルケニル、又はアルキニル基であり、nはジオールポリカーボネートの分子量が約300〜約10000g/モル、好ましくは約300〜約5000g/モル、より好ましくは約300〜約2000g/モルであるように選択される。
【0086】
これらのジオールポリカーボネートは、半結晶性であるという利点及び本発明の文脈において必要とされる要件に合致する融点を有するという利点を有する。
【0087】
これらのポリエステルの製造のために必要な物質の選択はこの要件を考慮してなされる。この面は、明らかに当業者の能力のうちである。
【0088】
しかし、この温度範囲に対応するポリエステルの融点をそのままでは調節することのできない化合物を使用することを好むことが所望される場合には、このポリエステルと他のタイプのポリマーブロック(今度は結晶性ではないもの)、例えばポリアミドブロック又はポリジエンブロック又はシリコーンブロック、とを組み合わせて、期待される値に融点を正確に下げることが可能である。
【0089】
上記のように、半結晶性のポリウレタン/ポリエステルコポリマーは、ジイソシアネート、特に上記のもの、及び上記の少なくとも1のポリエステルをカップリング剤の存在下、反応させることにより好ましい変形に従って得られ得る。
【0090】
カップリング剤又はカップラー
本発明に適するカップラーは、ジオール、ジアミン誘導体又はアミノアルコール誘導体、特に以下の式のもの:
HO−R−OH,
N−R−NH又は
HO−R−NH
であってもよい。上記式において、Rは1〜50の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の、直鎖又は分岐状のアルキレン基、6〜50の炭素原子を含むアリーレン基、シクロアルキレン、アルカリーレン、又はアリールアルキレン基(該基は直鎖又は分岐状であり、6〜50の炭素原子を含む)を表わす。
【0091】
低分子量のジオールの例として、以下の化合物が特に挙げられ得る:
1,2−ブタンジオール,1,2−ペンタンジオール;4−メチル−1,2−ペンタンジオール,2−メチル−l,2−ペンタンジオール,3,3−メチル−l,2−ブタンジオール,4−メチル−l,2−ヘキサンジオール;1,2−ヘプタンジオール,3−フェニル−l,2−プロパンジオール;1,2,6−ヘキサントリオール,1,2−ヘキサンジオール,1,2,4−ブタントリオール及びそれらの組み合わせ。
【0092】
ひとつの変形の実施態様に従うと、ジイソシアネート誘導体とポリエステルとの反応はイオン化可能な官能基、例えばカルボン酸、スルホン酸又はアミンタイプ、より特にカルボン酸タイプ、を有するカップラーの存在下で行われ得る。
【0093】
そのようなカップラーは、特に製造後に得られるコポリマーを単離する目的のために有利であり得る。
【0094】
そのようなカップラーの例として、ジメチロールプロピオン酸が特に挙げられ得る。
【0095】
さらに別の実施態様に従うと、イソシアネート誘導体とポリエステル誘導体との反応は、2つのタイプのカップラー、1つは少なくとも1のイオン化可能な官能基を有する、の存在下で行われ得る。
【0096】
本発明の文脈において考慮されるポリウレタンポリエステルコポリマーを製造するための反応条件は、明らかに当業者の能力の範囲内である手順を含み、以下において記載しない。そのような方法は、特に欧州特許第1457914号に記載されている。
【0097】
ラクトンから誘導されるポリエステルのカテゴリーは、60℃以下に制限される融点及び速い結晶化速度を一般的に有し、本発明の文脈において所望される形づけに期待される性質が素早く得られることを許すので、本発明の文脈において特に有利である。
【0098】
本発明に最も特に適するコポリマーの例として、カップラー、例えば1,4−ブタンジオール、の存在下又は不存在下での、ポリカプロラクトンタイプのポリエステル、特に1000〜6000、特に2000〜5500の範囲の分子量を有するものと、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)から選択されるオリゴイソシアネートとの反応から誘導されるものが挙げられ得る。
【0099】
このタイプのコポリマーの例としてより特に半結晶性ポリウレタン/ポリカプロラクトンコポリマーが挙げられ得る。より特に本発明に従う組成物は、NoveonによりTecoflex(商標)CLA−60D−V及びTecoflex(商標)CLA−93A−V樹脂の参照名で市販されているそれらの半結晶性ポリウレタン/ポリカプロラクトンコポリマー又はMerquinsaによりPearlbond(商標)及びディスパーボンド(商標),特にディスパーボンド(商標)D31S及びディスパーボンド(商標)D39Sの参照名で販売されているもの、及びそれらの混合物を含み得る。
【0100】
染料物質
本発明に従う組成物は、染料、例えば粉末染料物質、脂溶性染料、水溶性染料を含む。この染料物質は組成物の合計重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%の範囲の量で存在する。
【0101】
粉末染料物質は顔料及び真珠光沢剤から選択され得る。
【0102】
顔料は、白色又は着色されたもの、無機及び/又は有機、被覆されたもの又は被覆されていないものであり得る。無機顔料の中では、二酸化チタン、任意的に表面処理されていてもよい、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛又は酸化セリウム及び酸化鉄又は酸化クロム、マンガン紫、群青、水酸化クロム、及び第二鉄青(ferric blue)が挙げられ得る。有機顔料の中では、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、及びカーマインコチニール、バリウム、ストロンチウム、カルシウム又はアルミニウムに基づくラッカーが挙げられ得る。
【0103】
真珠光沢剤は、白色真珠光沢顔料、例えばオキシ塩化チタン又はビスマスで被覆されたマイカ、着色された真珠光沢顔料、例えば酸化鉄で被覆されたマイカチタン、特に第二鉄青又は酸化クロムで被覆されたマイカチタン、上述のタイプの有機顔料で被覆されたマイカチタン、及びオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料から選ばれ得る。脂溶性染料は、例えばスーダンレッド、D&Cレッド17(商標)、D&Cグリーン6(商標)、β−カロチン、大豆油、スーダンブラウン、D&Cイエロー11(商標)、D&Cバイオレット2(商標)、D&Cオレンジ5(商標)、キノリンイエロー、アナトーである。水溶性染料は例えばビートジュース及びメチレンブルーである。
【0104】
生理学的に許容される媒体
本発明に従う組成物は、連続水性相の形又は無水の形又は油中水エマルジョン、水中油エマルジョン、油中水分散物若しくは水中油分散物の形で提供され得る。本発明に従う組成物は、固体、液体又はペースト状であり得る。
【0105】
従って、本発明に従う組成物は、水を主成分とする水性相を含み得る。本発明に従う組成物は、水及び水と混合可能な溶媒、例えば、1〜5の炭素原子を有する低級モノアルコール例えば、エタノール、イソプロパノール、2〜8の炭素原子を有するグリコール例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、C〜Cケトン、C〜Cアルデヒドとの混合物をもまた含み得る。
【0106】
水性相(水及び、任意的に水と混和可能な有機溶媒)は該組成物の合計重量に関して5〜95重量%であってもよい。
【0107】
本組成物は、一般的に脂肪層を含む。これは少なくとも1のオイル及び/又は少なくとも1のワックスを含む。
【0108】
表現「オイル」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg、これは105Paである)において液状である脂肪質物質を意味することが理解される。オイルは揮発性又は非揮発性であり得る。
【0109】
表現「揮発性オイル」は本発明の目的のために、皮膚又はケラチン繊維と接触したとき室温及び大気圧において1時間未満内に蒸発することのできるオイルを意味することが理解される。本発明の揮発性オイルは、室温及び大気圧においてゼロでない蒸気圧、0.13Pa〜40000Pa(10−3〜300mmHg)の範囲、特に1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、より特に1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する、室温において液状である、揮発性の化粧料オイルである。
【0110】
表現「非揮発性オイル」とは、室温及び大気圧において皮膚又はケラチン性繊維の上に少なくとも数時間残り、特に10−3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有するオイルを意味することが理解される。
該オイルは、任意の生理学的に許容される、特に化粧的に許容されるオイル、特に鉱物、動物、植物及び合成オイル、特に揮発性又は非揮発性の炭化水素及び/又はシリコーン及び/又はフッ素化されたオイル及びそれらの混合物から選択され得る。より正確には、表現「炭化水素オイル」は炭素原子及び水素原子を主に含み、ヒドロキシ、エステル、エーテル、及びカルボキシル官能基から選択された1以上の官能基を任意的に含んでいてもよいオイルを意味することが理解される。一般的に該オイルは0.5〜100000mPa.s,好ましくは50〜50000mPa.sさらに好ましくは100〜300000mPa.sの粘度を有する。
【0111】
本発明において使用されることのできる揮発性オイルの例として、以下のものが挙げられ得る。
8〜16の炭素原子を有する炭化水素オイル、特に分岐状のC〜C16アルカンから選択され得る揮発性の炭化水素のオイル、例えば石油起源のC〜C16のイソアルカン(イソパラフィンともまた呼ばれる)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルヘプタンともまた呼ばれる)、イソデカン、イソヘキサデカン、そして例えば商標名Isopar(商標)又はPermetyls(商標)の下で販売されているオイル、分岐状のC〜C16エステル例えばネオペンタン酸イソヘキシル、及びそれらの混合物。他の揮発性の炭化水素をベースとするオイル、例えば石油の留出物、特にShell社によりShell Solt(商標)の名前の下に販売されているものもまた使用され得る。
揮発性のシリコーン、例えば揮発性の直鎖又は環状シリコーンオイル、特に≦8センチストーク(8×10−6/s)の粘度を有し、特に2〜7の珪素原子を有するもの、これらのシリコーンは任意的に1〜10の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ基を含んでいてもよい、もまた使用され得る。本発明において使用され得る揮発性オイルとして特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0112】
一般式(I)の揮発性直鎖アルキルトリシロキサンオイルもまた挙げられ得る。
【0113】

【0114】
ここでRは2〜4の炭素原子を含み、1以上の水素原子がフッ素又は塩素原子で置換されていてもよいアルキル基を表す。
一般式(I)のオイルの中で、3−ブチル1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、3−プロピル1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン及び3−エチル1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサンが挙げられ得、それらは、Rがそれぞれブチル基、プロピル基、又はエチル基である式(I)のオイルに相当する。
【0115】
本発明において使用されることのできる非揮発性の炭化水素オイルとして、以下のものが特に挙げられる:
動物起源の炭化水素オイル、例えば、ペルヒドロスクワレン;
炭化水素の植物性オイル、例えば4〜24の炭素原子の脂肪酸の液状トリグリセリド例えば、ヘプタン酸若しくはオクタン酸のトリグリセリド又は小麦胚芽オイル、オリーブオイル、スイートアーモンドオイル、パームオイル、菜種油、綿実油、アルファルファオイル、ポピーシードオイル、かぼちゃ種オイル、ゴーヤオイル、クロスグリシードオイル、月見草オイル、キビオイル、大麦オイル、キノアオイル、ライムギオイル、サフラワーオイル、ククイナッツオイル、パッションフラワーオイル、ジャコウバラ油、ヒマワリオイル、コーン油、大豆油、グレープシードオイル、ゴマ油、ヘーゼルナッツオイル、アプリコットオイル、マカデミアオイル、ひまし油、アボカドオイル、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えばStearineries Dubois社により販売されるもの若しくはDynamitNobel社によりMiglyol(商標)810、812、及び818の名前の下に販売されるもの、ホホバオイル、シアバター;
無機は合成起源の直鎖又は分岐状の炭化水素、パラフィンオイル及びその誘導体、石油ゼリー、ポリデセン、ポリブテン、水素化されたポリイソブテン例えばパーレアム(商標)、スクワラン;
10〜40の炭素原子を有する合成エーテル、
特に脂肪酸の合成エステル、例えば式RCOORのオイル、ここでRは1〜40の炭素原子を含む直鎖又は分岐の高級脂肪酸残基を表し、Rは炭化水素鎖を表し、それは特に、1〜40の炭素原子を含む分岐状であり、ただしR+R≧10であり、例えばプルセリンオイル(オクタン酸セテアリル)、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、安息香酸のC12〜C15のアルコールのエステル、ラウリル酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−オクチルドデシル、エルカ酸2−オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、トリメリット酸トリデシル;アルコール又はポリアルコールのオクタン酸、デカン酸、又はリシノール酸のエステル、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール;水酸化されたエステル、例えば乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、クエン酸トリイソセチル、脂肪族アルコールのヘプタン酸エステル、オクタン酸エステル、デカン酸エステル;ポリオールエステル、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール;ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール;及びペンタリスリトールのエステル、例えば、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル;
12〜26の炭素原子を有する分岐状及び/又は不飽和の炭素鎖を有する、室温において液状であるところの脂肪族アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、2−ブチルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール;
高級脂肪酸例えばオレイン酸、リノール酸、又はリノレン酸、
カーボネート類;
アセテート類;
クエン酸類;
任意的に、部分的に炭化水素であってもよい及び/又はシリコーンをベースとしていてもよいフッ化オイル、例えば、公報EP−A−847752に記載されたフルオロシリコーンオイル、フッ化ポリエーテル、フッ化シリコーン;
シリコーンオイル、例えば、直鎖又は環状の非揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS);ペンダント状である又はシリコーン鎖の末端にあるアルキル、アルコキシ基又はフェニル基を含み、各基は2〜24の炭素原子を有するポリジメチルシロキサン;フェニル化シリコーン、例えばフェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、
及びそれらの混合物。
【0116】
本発明に従う組成物は、組成物の合計重量に対して1〜80重量%、例えば、5〜70重量%,好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜40重量%の範囲の揮発性又は非揮発性のオイルを含み得る。
【0117】
本発明に従う組成物は、少なくとも1のワックスをもまた含み得る。
【0118】
本発明の文脈において考慮されるワックスは一般的に、室温(25℃)において固体であり、変形可能又は可能でなく、可逆的な固体/液体の状態変化を有し、30℃以上の融点を有し、かつ200℃もの高さ、特に120℃もの高さであり得る融点を有する親油性の化合物である。
【0119】
ワックスを液状状態(溶融)に至らせることにより、ワックスをオイルと混合可能にし、顕微鏡的に均一な混合物を形成することを可能にするが、該混合物を室温に戻すと、混合物中のオイルのワックスの再結晶化が得られる。
【0120】
特に、本発明に適するワックスは、45℃以上、特に55℃以上の融点を有し得る。
本発明の目的のために、融点は、ISO11357−3標準;1999に記載されているように、熱分析(DSC)において観察される最も発熱的なピークの温度に相当する。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、TAインスツルメンツ社により「MDSC2920」の名前で販売されている熱量計により測定され得る。
【0121】
測定プロトコルは以下の通りである:
ルツボに入れられた5mgのワックスの試料は、加熱速度10℃/分において−20℃から100℃の範囲の第一昇温に付され、次に10℃/分の冷却速度で100℃から−20℃に冷却され、最終的に5℃/分の加熱速度において−20℃〜100℃の範囲の第2昇温に付される。第2昇温の間に、空のルツボ及び試料のワックスを含むルツボにより吸収されるエネルギーの差のばらつきが温度の関数として測定される。化合物の融点は、温度の関数としての吸収されたエネルギーの差のばらつきを表す曲線のピークの頂上に対応する温度値である。
【0122】
本発明に従う組成物において使用され得るワックスは、環境温度において固体である、動物、植物、無機、又は合成起源のワックス及びそれらの混合物から選択される。
【0123】
本発明に従う組成物中で使用され得るワックスは、一般的に0.01MPa〜15MPa、特に0.05MPa超、特に0.1MPa超の硬度を有する。
【0124】
硬度は、RHEO社によりTA−XT2の商品名の下に販売されるテクスチュロメーター(直径2mmのステンレススチールのシリンダースピンドルが装備されており、0.1mm/秒の速度で移動し、ワックスに0.3mmの浸透深さまで浸透する)を用いて、20℃において測定された圧縮力の測定により決定される。
【0125】
測定プロトコルは以下の通りである:
ワックスはワックスの融点+10℃の温度において溶融される。溶融されたワックスは直径25mm、深さ20mmの容器に注がれる。ワックスは、ワックスの表面が平らかつなめらかになるように、室温(25℃)において24時間再結晶化され、次に、硬度又は粘着性(tackiness)の測定を行う前に20℃において少なくとも1時間貯蔵される。
テクスチュロメーターのスピンドルは0.1mm/秒の速度で移動され、次にワックスに0.3mmの浸透深さまで浸透する。スピンドが、0.3mmの深さまでワックスに浸透したとき、1秒間(緩和時間に相当する)固定された状態に維持され、次に0.5mm/秒の速度で引き抜かれる。
硬度の値は、ワックスと接触しているテクスチュロメーターのシリンダーの表面積により除された測定された最大圧縮力である。
【0126】
本発明に適するワックスの例として、特に炭化水素ワックス、例えばビーズワックス、ラノリンワックス、イボタワックス、コメワックス(rice bran wax)、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オウリキュリーワックス、エスパルトワックス、ベリーワックス、シェラックワックス、日本ロウ、ハゼロウ、モンタンロウ、オレンジ及びレモンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、及びオゾケライト、ポリエチレンワックス、フィッシャー−トロプシュ合成により得られるワックス、及びこれらのワックス状コポリマー及びエステルが挙げられ得る。
【0127】
直鎖又は分岐のC〜C32の脂肪鎖を有する動物又は植物オイルの触媒的水素化により得られたワックスもまた挙げられ得る。これらの中で、異性化されたホホバオイル、例えばDesert Whale社によりIso−Jojoba−50(商標)の商標で製造又は市販されているtrans異性化された部分的に水素化されたホホバオイル、水素化ヒマワリ油、水素化ひまし油、水素化ヤシ油、水素化ラノリンオイル、及びHeterene社によりHest 2T−4S(商標)の名前で販売されているジ(1,1,1−トリメチロールプロパン)テトラステアレートが特に挙げられ得る。
【0128】
シリコーンワックス及びフッ化ワックスもまた挙げられ得る。
【0129】
セチルアルコールでエステル化されたひまし油の水素化により得られるワックス、SOPHIM社によりPhytowax ricin 16L64(商標)及び22L73(商標)の名前で販売されているもの、を使用することもまた可能である。そのようなワックスはフランス国特許出願公開第2792190号に記載されている。
【0130】
好ましい実施態様に従うと、本発明に従う組成物は、粘着性ワックス(tacky wax)と呼ばれる少なくとも1のワックス、すなわち0.1N.s以上の粘着性及び3.5MPaの硬度を有するもの、を含む。
使用される粘着性ワックスは特に0.1N.s〜10N.s,特に0.1N.s〜5N.s,好ましくは0.2〜5N.sさらによりよくは0.3〜2N.s.の範囲の粘着性を有し得る。
【0131】
ワックスの粘着性は、硬度のために上で示されたプロトコルに従って20℃において時間の関数としての力(圧縮力)の変化を測定することにより決定される。
【0132】
1秒の緩和時間の間、力(圧縮力)はそれがゼロになるまで大きく減少し、そして次にスピンドルの引き抜きの間に力(延伸力)が負になり、次に0の値に向かって再び上昇する。粘着性は、負の値の力(延伸力)に対応する曲線の部分に対する時間の関数としての力の曲線の積分に相当する。粘着性の値はN.sで表される。
【0133】
使用され得る粘着性ワックスは、一般的に3.5MPa以下、特に0.01MPa〜3.5MPaの範囲、とりわけ0.05MPa〜3Mpaの範囲の硬度を有する。
【0134】
粘着性ワックスとして、C20〜C40のアルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(アルキル基は20〜40の炭素原子を含む)が単独で又は混合物として使用され得る。そのようなワックスは、KOSTER KEUNEN社により特に「Kester Wax K 82 P(商標)」,「ヒドロキシポリエステルK82P(商標)」及び「Kester Wax K 80 P(商標)」の名前で販売されている。
【0135】
本発明において、体積平均「有効」直径D[4,3](mean "effective" diameter by volume)で表わされて0.5〜30マイクロメートル,特に1〜20マイクロメートル、より特に5〜10マイクロメートルのオーダーのサイズを有する小さな粒子、以下、表現「マイクロワックス」により表示される、の形で供給されるワックスを使用することも可能である。
【0136】
粒子サイズは、種々の技術により測定され得る。特に(動的及び静的)光散乱技術、Coulterカウンター法、沈殿速度に基づく測定(ストークスの法則によるサイズに関連する)、及び顕微鏡が挙げられ得る。これらの技術は、粒子の直径、それらの内のいくつかについては、粒子サイズ分布を測定することを可能にする。
【0137】
好ましくは、本発明に従う組成物の粒子のサイズ及び粒子のサイズの 分布は、市販の粒子サイズアナライザー、例えばMalvern社製のMasterSizer 2000タイプにより静的光分散により測定される。データは、Mie分散理論に基づいて処理される。この理論は、等方性のある粒子に対しては正確であるが、非球形の粒子の場合、「有効」粒子直径を決定することを可能にする。この理論は、特に、Vande Hulst, H.C.著の書籍「小粒子による光分散」(Light Scattering by Small Particles)」第9及び10章,Wiley,ニューヨーク,1957年に記載されている。
【0138】
本組成物は、以下の方法で定義される体積平均「有効」直径D[4,3]を特徴とする。
【0139】

【0140】
ここでViは、有効直径dを有する粒子の体積を表わす。このパラメーターは、特に粒子サイズアナライザーのための技術的書類に記載されている。
測定は以下の方法:1)水で100の因子での希釈、2)該溶液の均一化、3)18時間、該溶液を休ませる、4)白色の均一な上澄みの回収、で組成物から得られる粒子の薄い分散物上で25℃において行われる。
【0141】
「有効」直径は水に対して1.33の屈折率、粒子に対して1.42の平均屈折率をとることにより得られる。
【0142】
本発明に従う組成物において使用され得るマイクロワックスとして、特にカルナウバマイクロワックス、例えばMicro Powders社によりMicroCare 350(商標)の名前で販売されるもの、合成ワックスのマイクロワックス、例えばMicro Powders社によりMicroEase 114Sの名前で販売されるもの、カルナウバワックス及びポリエチレンワックスの混合物からなるマイクロワックス、例えばMicro Powders社によりMicro Care 300(商標)及び310(商標)の名前で販売されるもの、カルナウバワックス及び合成ワックスの混合物からなるマイクロワックス例えばMicro Powders社によりMicro Care 325(商標)の名前で販売されるもの、ポリエチレンマイクロワックス、例えばMicro Powders社によりMicropoly 200(商標)、220(商標)、220L(商標)及び250S(商標)の名前で販売されるもの、及びポリテトラフルオロエチレンマイクロワックス、例えばMicro Powders社によりMicroslip 519(商標)及び519L(商標)の名前で販売されるものが挙げられ得る。
【0143】
本発明に従う組成物は、組成物の合計重量に対して0.1〜40重量%の範囲の含有量のワックスを含み得、特に0.5〜30重量%、より特に1〜20重量%のワックスを含み得る。
【0144】
上で述べたように、本発明に従って考慮される半結晶性コポリマーは、組成物において構造剤の役割を果たすことができる。
【0145】
しかし、組成物は、増粘剤、慣用的に化粧料において使用される親油性ゲル化剤、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1の他の構造剤をもまた含み得る
【0146】
化粧料において慣用的に使用される親油性ゲル化剤として、例えば無機の親油性ゲル化剤、例えば粘土又はシリカ、ポリマー状有機親油性ゲル化剤、例えば部分的に又は全体的に架橋されたエラストマー状オルガノポリシロキサン、ポリスチレン/コポリ(エチレン−プロピレン)タイプのブロックコポリマー、ポリアミド及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0147】
組成物の水性相は、増粘剤で増粘されてもよい。本発明に従って製造され得る水性相の増粘剤の中では、セルロース系増粘剤、粘土、多糖類、アクリルポリマー、会合性ポリマー及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0148】
親水性増粘剤としては、SEPPIC社により市販されているSEPIGEL(商標)又はシマルゲル(商標)タイプのAMPS/アクリルアミドコポリマーが特に挙げられ得る。
【0149】
本発明に従う組成物において、水性相増粘剤の量は、組成物の合計重量に対して0.1%〜15重量%、好ましくは1%〜10%,さらによりよくは1〜5重量%の範囲であり得る。
【0150】
界面活性剤
本組成物は、ノニオン性、アニオン性、カチオン性又は両親媒性の界面活性剤即ち界面活性乳化剤を含み得る。界面活性剤の性質及び機能(乳化)の定義については、書類「化学技術の百科事典、Kirk−Othmer」、第22巻、333〜432ページ、第3版、1979年、ワイリーを参照されたい、特にアニオン性、両親媒性、及びノニオン界面活性剤については、この参考文献の347〜377ページを参照されたい。
【0151】
そのような界面活性剤は、組成物の合計重量に対して特に0.1〜20重量%、さらによりよくは0.3〜15重量%の範囲の割合で存在することができる。
【0152】
本発明に従うと、水中油エマルジョンを得るために適切に選択された乳化性の界面活性剤が一般的に使用される。特に、25℃において8以上のGRIFFINに従うHLBバランス(疎水性−親油性バランス)を有する乳化性界面活性剤を使用することが可能である。GRIFFINに従うHLB値は、J.Soc.Cosm.Chem.1954年(第5巻),249〜256ページにおいて定義されている。
【0153】
本発明に従う組成物において好ましく使用される界面活性剤は、以下から選択される。
ノニオン性界面活性剤:
a)25℃において8以上のHLBを有するノニオン性界面活性剤(単独で又は混合物として使用される)特に以下のものが挙げられ得る。
オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたグリセロールエーテルであって、1〜150のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン願いを含み得るもの、
脂肪族アルコール(特にC〜C24,好ましくはC12〜C18アルコール)のオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたエーテル(1〜150のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン単位を含み得る)、例えば20のオキシエチレン単位を含むステアリルアルコールのオキシエチレン化されたエーテル(CTFA名「Steareth−20」)、例えばUNIQEMA社により市販されているBRIJ78(商標)、30のオキシエチレン単位を含むセタリールアルコールのオキシエチレン化されたエーテル(CTFA名「Ceteareth−30」)及び7のオキシエチレン単位を含むC12〜C15の脂肪族アルコールの混合物のオキシエチレン化されたエーテル(CTFA名「C12〜15Pareth−7」)、例えばSHELL CHEMICALS社により「Neodol 25−7(商標)」の名前で販売されているもの;
脂肪酸(特にC〜C24,好ましくはC16〜C22の酸)とポリエチレングリコール(即ちPEG)とのエステル(1〜150のエチレングリコール単位を含み得る)、例えば及びUNIQEMA社によりMYRJ 52P(商標)の名前で販売されているPEG−50ステアレート及びPEG−40モノステアレート;
脂肪酸(特にC〜C24、好ましくはC16〜C22)とオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたグリセロールエーテルとのエステル(1〜150のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン単位を有し得る)、例えばSEPPIC社によりSimulsol220(商標)の名前で販売されている200のオキシエチレン単位を含むポリオキシエチレン化されたグリセリルモノステアレート;30のオキシエチレン単位を含むポリオキシエチレン化されたグリセリルステアレート、例えばGOLDSCHMIDT社により販売されている製品TAGAT S(商標)、30のオキシエチレン単位を含むポリオキシエチレン化されたグリセリルオレエート、例えばGOLDSCHMIDT社により販売されている製品TAGAT O(商標)、30のオキシエチレン単位を含むポリオキシエチレン化されたグリセリルココエート、例えばSHEREX社により販売されている製品VARIONIC LI 13(商標)、30のオキシエチレン単位を含むポリオキシエチレン化されたグリセリルイソステアレート、例えばGOLDSCHMIDT社により販売されている製品TAGAT L(商標)、及び30のオキシエチレン単位を含むポリオキシエチレン化されたグリセリルラウレート、例えばGOLDSCHMIDT社により販売されている製品TAGAT I(商標);
脂肪酸、特にC〜C24、好ましくはC16〜C22、とオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化されたソルビトールエーテルとのエステル(1〜150のオキシエチレン及び/又はオキシプロピレン単位を含み得る)、例えばUNIQEMA社によりTWEEN60(商標)の名前で販売されているポリソルベート60;
ジメチコーンコポリオール、例えばダウコーニング社によりQ2−5220(商標)の名前で販売されている製品;
ジメチコーンコポリオールベンゾエート、例えばFINTEX社によりFINSOLV SLB 101(商標)及び201(商標)の名前で販売されている製品;
プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとのコポリマー、即ちEO/PO重縮合物とも呼ばれるもの;
及びそれらの混合物。
【0154】
EO/PO重縮合体は、より特に、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールブロックからなるコポリマーであり、例えばポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールのトリブロック重縮合体である。これらのトリブロック重縮合体は、例えば以下の化学構造を有する:
H-(O-CH2-CH2)a-(O-CH(CH3)-CH2)b-(O-CH2-CH2)a-OH、
ここでaは2〜120であり、bは1〜100である。
【0155】
EO/PO重縮合体は好ましくは1000〜15000、さらによりよく2000〜13000の範囲の重量平均分子量を有する。有利には、該EO/PO重縮合体は、20℃以上、好ましくは、60℃以上の、10g/蒸留水1Lにおける曇り温度を有する。曇り温度は、ISO標準1065に従って測定される。本発明に従って使用され得るEO/PO重縮合体としてICI社によりSYNPERONIC(商標)、例えばSYNPERONIC PE/L44(商標)及びSYNPERONIC PE/F127(商標)の名前で販売されているポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合体が挙げられ得る;
b)25℃において8未満のHLBを有するノニオン性界面活性剤、上記のように、25℃において8超のHLBを有する1以上のノニオン性界面活性剤、例えば
単糖類のエステル及びエーテル、例えばスクロースステアレート、スクロースココエート、ソルビタンステアレート及びそれらの混合物、例えばICI社により販売されているArlatone 2121(商標)又はUNIQEMA社により販売されているSPAN65V;
脂肪酸(特にC〜C24及び好ましくはC16〜C22の酸)とポリオール、特にグリセロール、又はソルビトールとのエステル、例えばGOLDSCHMIDT社によりTEGIN M(商標)の名前で販売されているグリセリルステアレート、グリセリルラウレート例えばHULS社によりIMWITOR 312(商標)の名前で販売されている製品、ポリグリセリル−2ステアレート、ソルビタントリステアレート及びグリセリルリシノレート;
オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エーテル、例えば2のオキシエチレン単位を含むステアリルアルコールのオキシエチレン化エーテル(CTFA名「Steareth−2」、例えばUNIQEMA社により市販されているBRIJ72(商標);
Dow Corning社によりQ2−3225C(商標)の名前で販売されているシクロメチコーン/ジメチコーンコポリオールの混合物;
と任意的に組み合わされていてもよい。
アニオン性界面活性剤:
a)ポリオキシエチレン化された脂肪酸の塩、特にアミノ塩又はアルカリ金属塩及びそれらの混合物;
b)C16〜C30脂肪酸の塩、特にアミノ塩、例えばトリエタノールアミンステアレート又は2−アミノ−2−メチルプロパン−1,3−ジオールステアレート;
c)リン酸エステル及びそれらの塩、例えば「DEA oleth−10ホスフェート」(Croda社製のCrodafos N 10N)又はモノカリウムモノセチルホスフェート(Givaudan社製 Amphisol K(商標)又はUNIQUEMA社製ARLATONE MAP 160K(商標));
d)スルホサクシネート、例えば「PEG−5サイトレートラウリルスルホサクシネート二ナトリウム」及び「リシノールアミドMEAスルホサクシネート二ナトリウム」;
e)アルキルエーテルサルフェート、例えばラウリルエーテルサルフェートナトリウム塩;
f)イセチオネート;
g)アシルグルタメート例えば「水素化牛脂グルタメート二ナトリウム」(味の素社により販売されているアミソフトHS−21R)、及びそれらの混合物、
カチオン性界面活性剤:
a)アルキル‐イミダゾリジニウム例えばイソステアリルエチルイミドニウムエトサルフェート;
b)アンモニウム塩例えば(C12〜30アルキル)−トリ(C1〜4アルキル)アンモニウムハロゲン化物、例えばN,N,N−トリメチル−1−ドコサナミニウム塩化物(又はベヘントリモニウムクロライド)、
両親媒性界面活性剤:N−アシルアミノ酸、例えばN−アルキル‐アミノアセテート及びココアンホジ酢酸二ナトリウム、及びアミンオキサイド例えばステアラミンオキサイド、又はシリコーン界面活性剤例えばジメチコーンコポリオールホスフェート例えばPHOENIX CHEMICAL社によりPECOSILPS 100(商標)の名前で販売されているもの。
【0156】
一つの実施態様に従うと、発明に従う組成物は、乳化システムとして、以下の組み合わせを含む。
少なくとも1のC10〜C30のアルキルホスフェート界面活性剤とポリエチレングルコールの少なくとも1のC〜C24の脂肪族アルコールエーテルとの組み合わせ、該エーテルは1〜19のオキシエチレン単位を含みかつ25℃においてHLB<8を有する。
【0157】
一つの実施態様に従うと、該乳化システムはポリエチレングリコールの少なくとも1のC〜C24の脂肪族アルコールエーテルを追加的に含み得る、該エーテルは20〜1000のオキシエチレン単位を含みかつ25℃においてHLB>8を有する。
【0158】
フィルム形成性ポリマー
本発明に従う組成物は、追加的に少なくとも1のフィルム形成性ポリマーを含み得る。
【0159】
表現「フィルム形成性ポリマー」とは自分自身で又はフィルム形成助剤の存在下、基体、特にケラチン物質上に、連続しかつ接着性のあるフィルムを形成できるポリマーを意味する。
【0160】
フィルム形成性ポリマーは、組成物の水性相に固体粒子の形で分散され得るか、あるいは液状脂肪相に溶解又は固体粒子の形で分散され得る。該組成物はこれらのポリマーの混合物を含み得る。該フィルム形成性ポリマーが固体粒子の形であるとき、これらの粒子は5nm〜600nm、好ましくは20nm〜300nmの範囲の平均粒子サイズを有し得る。
【0161】
該フィルム形成性ポリマーは、組成物の合計重量に対して0.1%〜60重量%、好ましくは0.5%〜40重量%、1%〜30重量%さえの固形分含量で本発明に従う組成物に存在し得る。
【0162】
本発明の組成物において使用されることのできるフィルム形成性ポリマーの中で、フリーラジカルタイプ又は重縮合タイプの合成ポリマー、天然起源のポリマー及びそれらの混合物が挙げられ得る。
【0163】
表現フリーラジカルのフィルム形成性ポリマーは、特にエチレン性不飽和を有するモノマー(各モノマーは(重縮合とは対照的に)ホモ重合することができる)の重合により得られるポリマーを意味することが理解される。
【0164】
フリーラジカルタイプのフィルム形成性ポリマーは、特にビニルポリマー又はコポリマー、特にアクリルポリマーであり得る。
【0165】
ビニルフィルム形成性ポリマーは少なくとも1の酸基を有するエチレン性不飽和モノマー及び/又はこれらの酸モノマーのエステル及び/又はこれらの酸モノマーのアミドの重合化から生じ得る。
【0166】
酸基を有するモノマーとして、不飽和α,β‐エチレン性カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、及びイタコン酸を使用することが可能である。(メタ)アクリル酸、及びクロトン酸が好ましく使用され、より好ましくは(メタ)アクリル酸が使用される。
【0167】
酸モノマーのエステルは(メタ)アクリル酸のエステル((メタ)アクリレートともまた呼ばれる)、特にアルキル、特にC〜C30、好ましくはC〜C20の(メタ)アクリレート、アリール、特にC〜C10アリールの(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル特にC〜Cのヒドロキシアルキルの(メタ)アクリレートから有利に選択される。
【0168】
アルキル(メタ)アクリレートの中で、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートが挙げられ得る。
【0169】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中で、ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられ得る。
【0170】
アリール(メタ)アクリレートので、ベンジルアクリレート及びフェニルアクリレートが挙げられ得る。
【0171】
特に好まれる(メタ)アクリル酸エステルはアルキル(メタ)アクリレートである。
【0172】
該エステルのアルキル基は、フッ素化又はパーフルオロ化されていてもよい、即ち、アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている。
【0173】
酸モノマーのアミドとして、例えば、(メタ)アクリルアミド、特にN―アルキル、特にC〜C12のアルキル、(メタ)アクリルアミドが挙げられ得る。N―アルキル(メタ)アクリルアミドの中で、N−エチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、及びN−t−オクチルアクリルアミド及びN−ウンデシルアクリルアミドが挙げられ得る。
【0174】
ビニルフィルム形成性ポリマーは、ビニルエステル及びスチレンモノマーから選択されたモノマーのホモ重合化又は共重合化からもまた生じる得る。特に、これらのモノマーは酸モノマー及び/又はそれらのエステル及び/又はそれらのアミド、例えば上述されたものと共に重合化され得る。
【0175】
ビニルエステルとして、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、t−ブチル安息香酸ビニルが挙げられ得る。
【0176】
スチレンモノマーとして、スチレン及びα―メチルスチレンが挙げられ得る。
【0177】
アクリル及びビニルモノマーのカテゴリーに入ることが当業者に公知の任意のモノマー(シリコーン鎖により修飾されているモノマーを含)を使用することが可能である。
【0178】
フィルム形成性重縮合物の中で、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、エポキシエステル樹脂、ポリウレアが挙げられ得る。
【0179】
ポリウレタンは、アニオン性、カチオン性、ノニオン性又は両親媒性ポリウレタン、ポリウレタン‐アクリル、ポリウレタン‐ポリビニルピロリドン、ポリエステル‐ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレア‐ポリウレタン及びそれらの混合物から選択され得る。
【0180】
天然起源の任意的に修飾されていてもよいポリマーは、シェラック樹脂、サンダラックガム、ダマース(dammars)、エレミス、コパール、セルロースポリマー及びそれらの混合物から選択され得る。
【0181】
第一の実施態様に従うと、追加のフィルム形成性ポリマーが、一般的にラテックス又は疑似ラテックス(pseudolatex)の名前で公知である水性分散物中の粒子の形で存在していてもよい。これらの分散物を製造する技術は当業者に周知である。
【0182】
フィルム形成性ポリマーの水性分散物として、DSM−Neoresins社によりNEOCRYL XK−90(商標)、NEOCRYL A−1070(商標),NEOCRYL A−1090(商標),NEOCRYL BT−62(商標),NEOCRYL A−1079(商標),及びNEOCRYL A−523(商標)の名前で販売されるアクリル分散物、DOW CHEMICAL社によるDOW LATEX 432(商標)、DAITO KASEY KOGYO社によるDAITOSOL 5000 AD(商標);INTERPOLYMERにより市販されているSYNTRAN 5760,SYNTRAN 5190及びSYNTRAN5170又はDSM−NEORESINS社によりNEOREZ R−981(商標)、及びNEOREZ R−974(商標)、NOVEON社によるAVALURE UR−405(商標)、AVALURE UR−410(商標)、AVALURE UR−425(商標)、AVALURE UR−450(商標)、SANCURE 875(商標)、SANCURE 861(商標)、SANCURE 878(商標)、及びSANCURE 2060(商標)、BAYER社によるIMPRANIL 85(商標)、HYDROMER社によりAQUAMERE H−1511(商標)の名前で販売されるアクリルの水性分散物を使用することができる。
【0183】
フィルム形成性ポリマーの水性分散物として、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリエステルアミド及び/又はアルキドからなる群から選択される少なくとも1のポリマーの前から存在する粒子の中及び/又は部分的にその表面における、1以上のフリーラジカルモノマーのフリーラジカル重合化から生じるポリマーの分散物を使用することもまた可能である。これらのポリマーは一般的にハイブリッドポリマーと呼ばれる。
【0184】
本発明に従う組成物の別の変形の実施態様に従うと、フィルム形成性ポリマーは有機オイル又は溶媒を含む液状脂肪相に存在し得る。
【0185】
表現「液状脂肪相」は、本発明の目的のために、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg、即ち10Pa)において液状である脂肪相であって、室温において液状である1以上の脂肪性物質からなり、油ともまた呼ばれ、一般的には相互に相溶性である脂肪相を意味することが理解される。
好ましくは、液状脂肪相は、揮発性オイルを含み、任意的に非揮発性オイルと混合されていてもよく、該オイルは上記のオイルから選択されものであることができる。
【0186】
本発明に従う組成物の別の実施態様に従うと、フィルム形成性ポリマーは、液状脂肪相に分散された表面が安定化された粒子の形で存在してもよい。
【0187】
表面が安定化されたポリマー粒子の分散物は欧州特許出願公開第749747号に記載されたように製造され得る。
【0188】
ポリマー粒子は、単独で又は混合物として、ブロックポリマー、グラフトポリマー及び/又はランダムポリマーであり得る安定化剤により表面が安定化され得る。
【0189】
安定化剤の存在下の液状脂肪相におけるフィルム形成性ポリマーの分散物は、特に書類、欧州特許出願公開第749746号、欧州特許出願公開第923928号、欧州特許出願公開第930060号に記載されている。
【0190】
水性相又は液状脂肪相のいずれかにおける分散物中のポリマー粒子のサイズは、5nm〜600nm、好ましくは20nm〜300nmの範囲であり得る。
【0191】
本発明に従う組成物の別の実施態様に従うと、フィルム形成性ポリマーは、液状脂肪相に溶解され得、そうすると、該フィルム形成性ポリマーは脂溶性ポリマーであると言われる。
【0192】
脂溶性ポリマーの例として、ビニルエステル(ビニル基は、エステル基の酸素原子に直接結合されており、かつビニルエステルは1〜19の炭素原子を有する直鎖又は分岐状の飽和の炭化水素基を有し、エステル基のカルボニル基に結合している)と、ビニルエステル(すでに存在するビニルエステルとは異なるもの)、α‐オレフィン(8〜28の炭素原子を有するもの)、アルキルビニルエーテル(ここでアルキル基は2〜18の炭素原子を含む)、又はアリル又はメタリルエステル(直鎖又は分岐状の1〜19の炭素原子を有する飽和炭化水素であって、エステル基のカルボニルに結合している基を有するもの)であってもよい少なくとも1の他のモノマーとのコポリマーが挙げられ得る。
【0193】
これらのコポリマーは、ビニルタイプ又はアリル若しくはメタリルタイプのいずれかであり得る架橋剤、例えばテトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、ジビニルオクタンジオエート、ジビニルドデカンジオエート、及びジビニルオクタデカンジオエートを使用して架橋され得る。
【0194】
これらのコポリマーの例として、以下のコポリマーが挙げられ得る:ビニルアセテート/アリルステアレート,ビニルアセテート/ビニルラウレート,ビニルアセテート/ビニルステアレート,ビニルアセテート/オクタデセン,ビニルアセテート/オクタデシルビニルエーテル,ビニルプロピオネート/アリルラウレート,ビニルプロピオネート/ビニルラウレート,ビニルステアレート/1−オクタデセン,ビニルアセテート/1−ドデセン,ビニルステアレート/エチルビニルエーテル,ビニルプロピオネート/セチルビニルエーテル,ビニルステアレート/アリルアセテート,ビニル2,2−ジメチルオクタノエート/ビニルラウレート,アリル2,2−ジメチルペンタノエート/ビニルラウレート,ビニルジメチル−プロピオネート/ビニルステアレート,アリルジメチルプロピオネート/ビニルステアレート,0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたビニルプロピオネート/ビニルステアレート,0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたビニルジメチルプロピオネート/ビニルラウレート,0.2%テトラアリルオキセタンで架橋されたビニルアセテート/オクタデシルビニルエーテル、0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたビニルアセテート/アリルステアレート,0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたビニルアセテート/1−オクタデセン及び0.2%のジビニルベンゼンで架橋されたアリルプロピオネート/アリルステアレート。
【0195】
脂溶性のフィルム形成性ポリマーとして、脂溶性ホモポリマー、特に9〜22の炭素原子を有するビニルエステル又はアルキルアクリレート若しくはメタクリレート、ここでアルキル基は10〜20の炭素原子を有する、のホモ重合化から生じるものが挙げられ得る。
【0196】
そのような脂溶性ポリマーは、ポリビニルステアレート,ジビニルベンゼンで架橋されたポリビニルステアレート、ジアリルエーテル又はジアリルフタレート、ポリステアリル(メタ)アクリレート,ポリビニルラウレート,ポリラウリル(メタ)アクリレートから選択され得、これらのポリ(メタ)アクリレートは、エチレングリコール又はテトラエチレングリコールジメタクリレートにより架橋されていることができる。
【0197】
上記の脂溶性コポリマー及びホモポリマーは、公知であり、特にフランス国特許出願公開第2262303号に記載されている;それらは2000〜500000、そして好ましくは4000〜200000の範囲の重量平均分子量を有し得る。
【0198】
本発明において使用されることのできる脂溶性フィルム形成性ポリマーとして、ポリアルキレン、特にC〜C20のアルケンのコポリマー、例えばポリブテン、直鎖又は分岐状の、飽和又は不飽和のC〜Cのアルキル基を有するアルキルセルロース、例えば、エチルセルロース及びプロピルセルロース、ビニルピロリドンのコポリマー(以降、VPと省略する)、特にビニルピロリドンとC〜C40,よりよくはC〜C20さえのアルケンとのコポリマーが挙げられ得る。本発明において使用されることのできるVPコポリマーの例として、VP/ビニルアセテート、VP/エチルメタクリレート、ブチル化ポリビニルピロリドン(PVP),VP/エチルメタクリレート/メタクリル酸,VP/エイコセン,VP/ヘキサデセン,VP/トリアコンテン、VP/スチレン,VP/アクリル酸/ラウリルメタクリレートコポリマーもまた挙げられ得る。
【0199】
本発明に従う組成物は、フィルム形成性ポリマーと一緒に、フィルムの形成を促進するフィルム形成性補助剤を含んでいてもよい。そのようなフィルム形成剤は所望され役割を果たすことのできる当業者に公知のすべての化合物から選択され得、特に可塑剤及び融着剤(coalescing agent)から選択され得る。
【0200】
他の添加剤、例えばフィラー
本発明の組成物は、化粧料において慣用的に使用される任意の添加物、例えばフィラー、抗酸化剤、保存料、香料、中和剤、可塑剤、化粧剤例えば皮膚柔軟化剤、湿潤剤、ビタミン類、サンスクリーン、及びそれらの混合物をもまた追加的に含み得る。これらの添加剤は組成物の合計重量の0.01〜30重量%の範囲の量で組成物に存在し得る。
【0201】
フィラーは当業者に公知であり、化粧料組成物において一般的に使用されているフィラーから選択され得る。フィラーは無機又は有機性、ラメラ状又は球状であることができる。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミド粉末例えばArkema社製のナイロン又はOrgasol(商標)、ポリ−β−アラニン及びポリエチレン、テトラフルオロエチレンポリマーの粉末、例えばTeflon(商標)、ラウロイルリジン、澱粉、窒化ホウ素、膨張されたポリマー状の中空微小球、例えば塩化ポリビニリデン/アクリロニトリルの微小球、例えばExpancel(商標)(Nobel Industrie社)、アクリル粉末、例えばPolytrap(商標)(Dow Corning社)、ポリメチルメタクリレート粒子及びシリコーン樹脂ミクロビーズ(例えば東芝製のTospearls(商標))、沈殿した炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及びハイドロカーボネート、ハイドロキシアパタイト、中空シリカ微小球(MAPRECOS製シリカビーズ(商標))、ガラス又はセラミックのマイクロカプセル、8〜22の炭素原子、好ましくは12〜18の炭素原子を有する有機カルボン酸から誘導される金属石鹸、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、若しくはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛及びミリスチン酸マグネシウムが挙げられ得る。
【0202】
フィラーは、組成物の合計重量の0.1〜25重量%、よりよくは1〜20重量%であり得る。
【0203】
もちろん、当業者は任意の追加の添加剤及び/又はその量を本発明に従う組成物の有利な性質が想定される添加により損なわれないように注意深く選択する。
【0204】
本発明に従う組成物は化粧料分野において一般的に使用される公知の方法により製造され得る。
【0205】
本発明に従う組成物は、好ましくは加熱されることが意図される。
【0206】
本発明の加熱、特にまつ毛をカールさせるための加熱、は例えば、米国特許第5853010号に記載されたデバイスによりその施与後に行われ得る。
【0207】
本発明に従う組成物は、
i)収容容器(2);
ii)本発明に従う該化粧料組成物を施与するためのデバイス(10);及び
iii)該組成物を、その施与と同時に又はその後に、それが含む半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマーの融点より高い温度に至らせるための加熱手段(53)、
を含むパッケージング及び施与セット(1)に梱包され得る。
【0208】
特に、本発明の別の課題は、特にまつ毛及び/又は眉毛のためのメイクアップ及び/又はケア組成物のパッケージング及び施与のためのセットであって
i)収容容器(2);
ii)該収容容器(2)の中に入れられたメイクアップ及び/又はケア組成物、該組成物は生理学的に許容される媒体中に、有効量の少なくとも1の半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマーを含む、
iii)メイクアップ及び/又はケア組成物を施与するためのデバイス(10);及び
iv)その施与と同時に又はその後に該組成物をそれが含む半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマーの融点より高い温度に至らせるための加熱手段(53)
を含む該セットである。
【0209】
一つの実施態様に従うと、加熱手段は施与デバイス若しくは施与部から独立したデバイスにより形成され、該セットは本発明に従う組成物を含む容器をさらに含むパッケージング及び施与デバイスの形で設計されている。そのようなデバイスはブリスタータイプのパッケージングの中に梱包され得る。加熱手段は米国特許第6 009 884号又は米国特許第5853 010号に記載されているタイプであり得る。加熱ピンセットの形で設計されている他のデバイスもまた使用され得る(まつ毛の場合)。そのようなデバイスは特に米国特許第 6 220 252号に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】図1に示されるキット1は、マスカラをパッケージングしかつ施与するためのセット(100)及び該パッケージング及び施与セットから独立している加熱デバイス(50)を含む。
【0211】
2つのデバイス(100)及び(50)は、ブリスタータイプの同じパッケージングで一緒に又は別々に販売され得る。
【0212】
パッケージング及び施与セット(100)は、本発明に従う組成物を含む容器(2)、該容器の上にはねじ山をつけられた首(3)があり、該首の自由端は開口部(4)を画する。ドレイン部(5)が開口部(4)に搭載されている。該セット(100)は、シャフト(13)に一体に取り付けられているストッパー(11)を含む施与デバイス(10)をもまた含み、該シャフトの末端はアプリケーター(12)を含み、該アプリケーターは、ねじられた鉄のワイヤーの2つの枝の間に保持された繊維の配列の形で一般的に設計されている。ストッパー(11)の内部表面は、首(3)のねじ山と協力するように、ねじ山がつけられている。従って、アプリケーター(12)及びシャフト(13)が容器(2)の中に入れられると、ストッパー(11)のねじは首(3)のねじと嵌合して、ストッパーが容器の開口部(4)を漏れないように閉じる。そのようなパッケージング及び施与セットは公知である。
【0213】
加熱デバイス(50)は、米国特許第6 009 884号に記載されていることと一致する。該特許は把握部(51)及びキャップ(52)を主に含む。バッテリーが、把握部(51)の中に置かれており、シャフト(54)に置かれたらせん状コイルの形に設計された加熱ワイヤ(53)に接続されている。スイッチ(55)はデバイスのスイッチをオンにする又はオフにすることを可能にする。ダイオード(56)は、それが色を変えるとき、デバイスが要求される温度であること、従って使用される準備ができていることを示す。
【0214】
バッテリーによる加熱部への電力供給は12Vである。分散される電力は約1ワットである。加熱ワイヤ(53)は、ニッケル/クロム合金からできていてもよい。
【0215】
この実施態様に従うと、マスカラはブラシ(12)によりまつ毛の上に慣用の方法で冷たい状態で施与され、次に施与後に加熱される:ユーザーは、デバイス(50)の加熱部(53)をまつ毛と嵌合させて、堆積された製品を組成物の融点に至らせる。
【0216】
冷却すると、組成物は、融点ピークの幅が非常に小さいのでその半結晶状態に非常に素早く戻る。まつ毛は、長持ちする、所望されたカールの形状に固定される。
【0217】
本発明は以下の実施例及び図1により、より詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0218】
下記に示される2つのマスカラ組成物を配合するためのプロトコルは、相反転によるマスカラのための「慣用」のプロトコルである。それは、脂肪相を98℃に加熱すること及び予め93℃に加熱された水性相を激しく撹拌しながら添加することからなるステップを特に含む。
【0219】
ここで水性分散物の形で使用されるポリマーは、組成物の温度が40℃に近いとき、上記配合の終わりに取り込まれる。
【0220】
組成物No.1:

【0221】
組成物No.2:

【0222】
これらの組成物それぞれをまつ毛に施与し、加熱ブラシを使用して数秒間、組成物のフィルムを加熱した後、これらのマスカラは良好な保持力を有し、かつまつ毛のカーリングの有意な改良を許すと判断された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料組成物において、生理学的に許容される媒体中に、有効量の少なくとも1の半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマー、及び少なくとも1の染料物質を含み、該コポリマーは20℃以上の融点を有する前記組成物。
【請求項2】
該コポリマーが、25℃〜100℃、好ましくは30〜80℃、より特に35℃〜70℃の範囲の融点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該コポリマーが、アルファ及びオメガ-OH末端を有する少なくとも1の結晶性又は半結晶性脂肪族ポリエステルと、少なくとも1の脂肪族、環状脂肪族又は芳香族のC〜C50のジイソシアネート誘導体との間の反応により得られるものである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
該ジイソシアネート誘導体が、式
OCN−R−NCO
で表わされ、Rは、アルキレン、アリーレン、シクロアルキレン、アルカリーレン又はアリールアルキレン基から選択された二価の基であり、該基は直鎖又は分岐状であり、1〜50の炭素原子を含み、該基は少なくとも1の酸素、硫黄、及び/又は窒素原子を含んでいてもよいところの、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
該ジイソシアネート誘導体が、トルエンジイソシアネート(TDI),4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI),ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチレンキシレンジイソシアネート(TMXDI),イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)及びヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)である、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
前記コポリマーを形成するポリエステルブロックが、C1〜6のアルキル基で置換されている又は非置換のC〜C20のラクトンの重付加から得られたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ラクトンが、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、β−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、ω−エナントラクトン、ω−カプリルラクトン、ω−ラウロラクトンから選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ラクトンが、ε−カプロラクトンである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記コポリマーが、少なくとも1のポリカプロラクトンと少なくとも4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)との反応から誘導されたものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
該ポリエステルが、少なくとも1の直鎖、分岐状、又は環状、好ましくは直鎖の、C4〜50の脂肪族二酸と、少なくとも1の直鎖の、置換された又は環状の、好ましくは直鎖の、脂肪族C〜C50ジオールとの重縮合により得られたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
該半結晶性のポリウレタン/ポリエステルコポリマーが、ジオール、ジアミン誘導体又はアミノアルコール誘導体から選択されるカップリング剤の存在下で行われる反応により得られたものである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
1〜60重量%、特に3〜50重量%、より特に5〜40重量%の半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマーを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
水性相を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
該水性相が該組成物の合計重量に対して5〜95重量%である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
該水性相が少なくとも1の増粘剤で増粘されている、請求項13又は14に記載の組成物。
【請求項16】
少なくとも1のフィルム形成性ポリマーを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
該フィルム形成性ポリマーが、組成物の合計重量に対して0.1%〜60重量%、好ましくは0.5%〜40重量%、よりよくは1%〜30重量%の範囲の固形分含量で存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
該染料物質が、組成物の合計重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%の範囲の量で存在する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
ケラチン繊維をコーティングするための組成物である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の化粧料組成物のケラチン繊維への施与を含む、ケラチン繊維をメイクアップするための又は非治療的にケアするための化粧方法において、該組成物が、その施与の前、同時、又は後に、前記組成物に含まれるコポリマーの融点以上の温度に加熱される前記方法。
【請求項21】
メイクアップ及び/又はケア組成物のパッケージング及び施与のためのセット(1)において、
i)収容容器(2);
ii)該収容容器(3)の中に入れられたメイクアップ及び/又はケア組成物、前記組成物は生理学的に許容される媒体中に、有効量の少なくとも1の半結晶性ポリウレタン/ポリエステルコポリマーを含む;
iii)該メイクアップ及び/又はケア組成物を施与するためのデバイス(10);及び
iv)前記組成物を、その施与と同時に又はその後に、それが含む前記コポリマーの融点より高い温度にもたらすための加熱手段(53)
を含む前記セット。
【請求項22】
該組成物が請求項1〜19において定義された通りである、請求項21に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2011−506426(P2011−506426A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537598(P2010−537598)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/IB2008/055389
【国際公開番号】WO2009/077994
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】