説明

半閉鎖動力サイクルシステムを制御するシステム及び方法

【課題】半閉鎖動力サイクルシステムを制御するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】システム10は、半閉鎖動力サイクルシステム12を制御するように構成されたコントローラ56を含む。コントローラ56は、1次圧縮機20を通る第1のガス流33、34中の酸素濃度を示す第1の信号、半閉鎖動力サイクルシステム12によって出力される動力を示す第2の信号、タービン16を通る第2のガス流26、30の温度を示す第3の信号、及び半閉鎖動力サイクルシステム12内の質量流量バランスを示す第4の信号の少なくとも1つを受け取るように構成される。コントローラ56は、第1の信号、第2の信号、第3の信号、及び第4の信号の少なくとも1つに基づいて、1次圧縮機20を通る第1のガス流33、34、燃焼器14内への燃料流、1次圧縮機20から抽出される第1のガス流33、34の一部分、及び供給圧縮機22を通る空気流25の少なくとも1つを調整するように、さらに構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の主題は、半閉鎖動力サイクルシステム(semi-closed power cycle system)を制御するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
幾つかの発電システムは、燃料と圧縮空気との混合物を燃焼させて高温燃焼ガスを生成するように構成されたガスタービンエンジンを含む。燃焼ガスは、タービンを通って流れ、発電機など負荷のための動力を生成する。幾つかのガスタービンエンジンは、希薄燃料混合比で運転するように構成された燃焼器を含む。従って、燃焼器に供給される圧縮空気の量は、燃料の完全燃焼に必要な量よりも多い。その結果、燃焼器からの排気ガスは、かなりの量の酸素を含む。
【0003】
幾つかの発電システムからの排気ガスは、石油などの鉱物の2次回収に使用することができる。そのようなシステムでは、圧縮排気ガスは、地中の鉱床内に導かれ、油圧を増加させ、及び/又は地層を破断させ、それにより、石油回収を促進する。それに加えて、排気ガスが地層中に残るので、発電システムにより発生する二酸化炭素の少なくとも一部分が、地中に捕捉される。不都合なことに、排気ガス中の酸素は、石油の質を低下させ、及び/又はその他に、石油の質に悪影響を及ぼす可能性がある。従って、ガスタービンエンジンからの排気ガスの酸素濃度を大幅に低減するのが望ましい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7784288号明細書
【発明の概要】
【0005】
本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明の幾つかの実施形態について要約する。これらの実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の技術的範囲を限定するものではなく、本発明の可能な形態を簡単にまとめたものである。実際、本発明は、以下に記載する実施形態と同様のものだけでなく、異なる様々な実施形態を包含する。
【0006】
第1の実施形態では、システムは、半閉鎖動力サイクルシステムを制御するように構成されたコントローラを含む。コントローラは、1次圧縮機を通る第1のガス流中の酸素濃度を示す第1の信号、半閉鎖動力サイクルシステムによって出力される動力を示す第2の信号、タービンを通る第2のガス流の温度を示す第3の信号、及び半閉鎖動力サイクルシステム内の質量流量バランスを示す第4の信号の少なくとも1つを受け取るように構成される。コントローラは、第1の信号、第2の信号、第3の信号、及び第4の信号の少なくとも1つに基づいて、1次圧縮機を通る第1のガス流、燃焼器内への燃料流、1次圧縮機から抽出される第1のガス流の一部分、及び供給圧縮機を通る空気流の少なくとも1つを調整するように、さらに構成される。
【0007】
第2の実施形態では、システムは、燃料空気混合物を燃焼するように構成された燃焼器と、燃焼器に流体連通し、燃焼器に空気流を供給するように構成された供給圧縮機とを含む。システムは、燃焼器に流体連通し、燃焼器からの第1のガス流を受け取るように構成されたタービンをさらに含む。システムは、タービンに流体連通し、タービンからの第2のガス流を受け取り、第2のガス流を圧縮し、タービンに第3のガス流を供給するように構成された1次圧縮機をさらに含む。第3のガス流の一部分が、1次圧縮機から抽出される。さらに、システムは、第3のガス流中の酸素濃度を示す第1の信号を受け取り、第1の信号に基づいて燃焼器への空気流を調整するように構成されたコントローラを含む。
【0008】
第3の実施形態では、半閉鎖動力サイクルシステムを制御する方法は、1次圧縮機を通る第1のガス流中の酸素濃度を示す第1の信号、半閉鎖動力サイクルシステムによって出力される動力を示す第2の信号、タービンを通る第2のガス流の温度を示す第3の信号、及び半閉鎖動力サイクルシステム内の質量流量バランスを示す第4の信号の少なくとも1つを受け取ることを含む。本方法は、第1の信号、第2の信号、第3の信号、及び第4の信号の少なくとも1つに基づいて、1次圧縮機を通る第1のガス流、燃焼器内への燃料流、1次圧縮機から抽出される第1のガス流の一部分、及び供給圧縮機を通る空気流の少なくとも1つを調整することをさらに含む。
【0009】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点については、図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって理解を深めることができるであろう。図面を通して、同様の部材には同様の符号を付した。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】半閉鎖動力サイクルシステムの一実施形態を含む、例示的なコンバインドサイクル発電システムの概略図である。
【図2】半閉鎖動力サイクルシステムの別の実施形態の概略図である。
【図3】半閉鎖動力サイクルシステムを制御する方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の1以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するため、現実の実施に際してのあらゆる特徴について本明細書に記載しないこともある。実施化に向けての開発に際して、あらゆるエンジニアリング又は設計プロジェクトの場合と同様に、実施毎に異なる開発者の特定の目標(システム及び業務に関連した制約に従うことなど)を達成すべく、実施に特有の多くの決定を行う必要があることは明らかであろう。さらに、かかる開発努力は複雑で時間を要することもあるが、本明細書の開示内容に接した当業者にとっては日常的な設計、組立及び製造にすぎないことも明らかである。
【0012】
本発明の様々な実施形態の構成要素について紹介する際、単数形で記載したものは、その構成要素が1以上存在することを意味する。「含む」、「備える」及び「有する」という用語は内包的なものであり、記載した構成要素以外の追加の要素が存在していてもよいことを意味する。
【0013】
幾つかのガスタービンエンジンは、排気ガス中の酸素濃度を大幅に低減するのに、半閉鎖動力サイクルに基づいて運転するように構成される。そのようなガスタービンエンジンは、半閉鎖動力サイクルシステムとして説明することができる。幾つかの半閉鎖動力サイクルシステムは、燃焼器に空気流を供給するように構成された供給圧縮機と、燃焼器からのガス流を受け取るように構成されたタービンと、タービンから出力されるガス流を受け取り、ガスを圧縮し、圧縮されたガス流をタービン内に再び供給するように構成された1次圧縮機とを含む。1次圧縮機により供給される再循環ガスは、燃焼器から吐出するガス温度を大幅に低減し、それにより、ほぼ理論的な燃料空気混合比で燃焼器を運転できるようにする。その結果、1次圧縮機から抽出される排気ガスの酸素含有量は、希薄燃料混合比で燃焼器を運転する幾つかのガスタービンエンジンに比べて大幅に低減される。その結果、半閉鎖動力サイクルシステムは、2次回収、及び/又は炭素捕捉運転に十分適している排気ガスを効率的に供給することができる。
【0014】
本開示の実施形態は、半閉鎖動力サイクルシステム内の様々な流体流量を制御することにより、半閉鎖動力サイクルシステムの効率的な運転を可能にすることができる。例えば、幾つかの半閉鎖動力サイクルシステムは、1次圧縮機からのガス流中の酸素濃度を示す第1の信号を受け取り、第1の信号に基づいて燃焼器への空気流を調整するように構成されたコントローラを含む。別の実施形態では、コントローラは、タービンによって出力される動力を示す第2の信号、タービンを通るガス流の温度を示す第3の信号、及びシステム内の質量流量バランスを示す第4の信号を受け取るように構成される。コントローラは、第1の信号、第2の信号、第3の信号、及び第4の信号に基づいて、燃焼器への空気流を調整し、1次圧縮機内へのガス流を調整し、燃焼器内への燃料流を調整し、1次圧縮機から抽出されるガス流の一部分を調整するように、さらに構成される。例えば、コントローラは、第3の信号に基づいて1次圧縮機内へのガス流を調整し、第2の信号に基づいて燃焼器内への燃料流を調整し、第4の信号に基づいて1次圧縮機から抽出されるガス流の一部分を調整し、第1の信号に基づいて燃焼器への空気流を調整するように構成することができる。或いは、コントローラは、第3の信号に基づいて1次圧縮機内へのガス流を調整し、第1の信号に基づいて燃焼器内への燃料流を調整し、第2の信号に基づいて1次圧縮機から抽出されるガス流の一部分を調整し、第4の信号に基づいて燃焼器への空気流を調整するように構成することができる。その結果、コントローラは、半閉鎖動力サイクルシステムの効率的な運転を可能にすることができる。
【0015】
図1は、半閉鎖動力サイクルシステム12の実施形態を含む、例示的なコンバインドサイクル発電システム10の概略図である。半閉鎖動力サイクルシステム12の実施形態の背景を示すために、以下にコンバインドサイクル発電システム10を説明する。以下に説明する半閉鎖動力サイクルシステム12は、例えば、他の発電システム、タービンシステム、又は化学プラント内で負荷を駆動するのに利用することができる。本実施形態では、半閉鎖動力サイクルシステム12は、燃焼器14、タービン16、駆動軸18、1次圧縮機20、及び供給圧縮機22を含む。燃焼器14は、圧力下で燃料ノズルから噴射することができる、天然ガスなどの燃料24を受け取る。この燃料は、圧縮空気25と混合され、燃焼器14内で燃焼され、それにより、高温圧縮ガス26を生成する。燃焼器14は、ガス26をタービン16の入口の方に導く。燃焼器14からのガス26が、タービン16を通過するとき、タービン16内のブレードが、駆動されて回転し、それにより、半閉鎖動力サイクルシステム12の軸に沿った駆動軸18を回転させる。例示するように、駆動軸18は、1次圧縮機20及び供給圧縮機22を含む、半閉鎖動力サイクルシステム12の様々な要素に接続される。
【0016】
駆動軸18は、ブレードを含む供給圧縮機22のロータにタービン16を接続する。従って、タービン16内のタービンブレードの回転により、タービン16を供給圧縮機22に接続する駆動軸18が、供給圧縮機22内のブレードを回転させる。供給圧縮機22内のブレードの回転により、圧縮機22が、例えば、空気入口を介して受け取った空気27を圧縮する。次いで、圧縮空気25は、燃焼器14に供給され、燃料24と混合されて、燃焼を可能にする。駆動軸18は、負荷28にも接続され、負荷28は、発電プラント内で電力を生成する、発電機などの安定負荷とすることができる。実際に、負荷28は、半閉鎖動力サイクルシステム12の回転出力によって動力を供給される、いずれかの適当なデバイスとすることができる。
【0017】
タービン16からのガス30は、排熱回収ボイラ(HRSG)32に導かれる。HRSG32は、HRSG32を通して、水などの2次流体をガス流30と交差する方向に(例えば、ほぼ垂直に)輸送するように構成された、複数の導管を含む熱交換器である。ガス30が導管を流れるとき、熱がガスから水に伝達され、それにより、熱を生成する。それに加えて、ガスの温度は大幅に低減する。冷却されたガス33は、HRSG32を通過した後、1次圧縮機20の入口の方に導かれ、ガス33が、半閉鎖動力サイクルシステム12を通して再循環することができるようにする。
【0018】
例示するように、駆動軸18は、ブレードを含む1次圧縮機20のロータにタービン16を接続する。従って、タービン16内のタービンブレードの回転により、タービン16を1次圧縮機20に接続する駆動軸18が、1次圧縮機20内のブレードを回転させる。1次圧縮機20内のブレードの回転により、圧縮機20が、冷却ガス33を圧縮する。次いで、圧縮されたガス34は、タービン16に供給され、燃焼器14からのガス26の温度を低減する。例えば、燃焼器14は、理論燃料空気混合比で動作するように構成することができる。幾つかの実施形態では、化学量論的反応によるガス26の温度は、タービン16の所望の運転温度よりも高くなる可能性がある。その結果、燃焼器14からのガス26を再循環ガス34と混合することにより、タービン16に所望の温度のガス流を供給することができる。それに加えて、ガス26が、化学量論的燃焼反応(例えば、燃料と空気との完全な燃焼)の生成物であるので、ガス26の酸素含有量は、希薄燃焼反応によるガスよりも大幅に低くなる。例えば、希薄燃焼反応は、約10%、12%、14%、16%、18%、20%以上よりも高い酸素濃度を有するガスを供給することができる。それとは対照的に、化学量論的燃焼反応によるガス26の酸素濃度は、約5%、4%、3%、2%、1%以下よりも低くすることができる。
【0019】
本実施形態では、1次圧縮機20から吐出するガス34の一部分は、2次回収、及び/又は炭素捕捉運転内で使用するために抽出される。以下に詳細に説明するように、具体的には、抽出されたガスの一部分は、半閉鎖動力サイクルシステム12内の質量流量バランスを維持するように調整され、負荷28に対する回転出力を変化させ、及び/又は半閉鎖動力サイクルシステム12の他の運転パラメータに影響を及ぼすことができる。抽出される排気ガス35の酸素含有量が低いため、排気ガス35は、鉱物(例えば石油)の質を大幅に低下させることなく、及び/又はその他に、鉱物の質に悪影響を及ぼすことなく、鉱床内に噴射することができる。その結果、半閉鎖動力サイクルシステム12からの排気ガス35は、2次回収、及び/又は炭素捕捉運転に十分適している可能性がある。
【0020】
上述したように、タービン16からのガス30は、HRSG32内に供給され、冷却ガス33は、1次圧縮機20に戻される。ガス30がHRSG32内で冷却されるとき、ガス30内の水蒸気は、凝縮して水37になる。水37は、HRSG32から抽出され、それにより、ガス33の含水量を低減することができる。その結果、1次圧縮機20から抽出される排気ガス35は、ガスタービンエンジンから直接排出される排気ガスよりも大幅に低い水分濃度を有する。
【0021】
例示した実施形態では、HRSG32を通して高温ガス流30により発生する高圧蒸気36は、蒸気タービン38の方に導かれる。高圧蒸気36が蒸気タービン38を通過するとき、タービン38内のブレードが駆動されて回転し、それにより、第2の負荷40を駆動する。本実施形態は、2つの負荷28及び40を含むが、半閉鎖動力サイクルシステム12及び蒸気タービン38は、別の実施形態では同じ負荷に結合することができることを理解されたい。蒸気が蒸気タービン38を通過するとき、圧力は、低減し、タービン38から低圧蒸気42を排出するようにする。例示するように、低圧蒸気42は、蒸気を凝縮する復水器44に流れ込む。復水器44は、水などの2次流体を蒸気流と交差する方向に(例えば、ほぼ垂直に)輸送するように構成された、複数の導管を含む熱交換器である。蒸気が導管を流れるとき、蒸気からの熱が、水46に伝達され、それにより、蒸気を凝縮して水48になる。水48は、再びHRSG32へ流れ、ガス30によって加熱されて、より高圧の蒸気36が発生する。冷却水46は、復水器44内で加熱され、熱水50として出る。熱水50は、冷却塔52の方に導かれ、冷却塔52は、熱水50を冷却して復水器44用の冷却水46を生成する。本実施形態では、高圧蒸気36が蒸気タービン38の方に導かれるが、別の実施形態では、低圧蒸気42を復水器44に戻す前に、工業プロセス(例えばガス化)用に高圧蒸気36を利用することができることを理解されたい。
【0022】
例示した実施形態では、発電システム10は、半閉鎖動力サイクルシステム12の運転を調整するように構成された制御システム54を含む。例示するように、制御システム54は、半閉鎖動力サイクルシステム12の様々な運転パラメータを示す信号を受け取り、半閉鎖動力サイクルシステム12を通る流体流を制御して効率的な運転を可能にするように構成されたコントローラ56を含む。幾つかの実施形態では、コントローラ56は、1次圧縮機20からのガス流34中の酸素濃度を示す信号、半閉鎖動力サイクルシステム12によって出力される動力を示す信号、タービン16からのガス流30の温度を示す信号、及び半閉鎖動力サイクルシステム12内の質量流量バランスを示す信号の少なくとも1つを受け取るように構成される。例示した実施形態では、制御システム54は、1次圧縮機20から抽出される排気ガス35と流体連通するセンサ58を含む。センサ58は、コントローラ56と通信可能に結合し、抽出排気ガス35の酸素濃度、及び/又は圧力を測定するように構成される。上述したように、2次回収、及び/又は炭素捕捉運転を可能にするのに、排気ガス35中の酸素含有量を大幅に低減するのが望ましい場合がある。その結果、コントローラ56は、排気ガス35中の酸素濃度を示すセンサ58からの信号を受け取り、半閉鎖動力サイクルシステム12の運転を調整して排気ガス35中の酸素含有量を低く維持するように構成することができる。
【0023】
それに加えて、センサ58は、1次圧縮機20から抽出される排気ガス35の圧力を測定するように構成することができる。測定圧力は、半閉鎖動力サイクルシステム12内の質量流量バランスを判定するのに利用することができる。理解されるように、質量流量バランスを維持することにより、半閉鎖動力サイクルシステム12の効率的な運転が可能になる。半閉鎖動力サイクルシステム12が質量バランスするとき、1次圧縮機20から抽出される排気ガス35の質量流量は、供給圧縮機22からの圧縮空気25の質量流量と燃焼器14への燃料24の質量流量との和から、HRSG32より抽出される水37の質量流量を減じたものに等しい。排気ガス35の質量流量が所望のものよりも低いとき、圧力を1次圧縮機20内で生成し、それにより、半閉鎖動力サイクルシステム12の効率が低下する。その結果、圧縮機20から吐出する排気ガス35中の圧力を測定することにより、コントローラ56は、半閉鎖動力サイクルシステム12が適切に質量流量バランスしているか否かを判定することができる。
【0024】
コントローラ56は、負荷28とも通信可能に結合し、半閉鎖動力サイクルシステム12によって出力される動力を測定するように構成される。例えば、負荷28が発電機であるとき、コントローラ56は、発電機の電力出力を示す信号を受け取ることができる。その結果、コントローラ56は、半閉鎖動力サイクルシステム12を制御し、所望の動力出力を生成するように構成することができる。それに加えて、制御システム54は、タービン16を通ったガスの温度を測定するように構成された温度センサ60を含む。例示した実施形態では、温度センサ60は、タービン16の出口でガス30と流体連通する。しかし、温度センサ60は、タービン16の入口、及び/又はタービン16の中間段においてガス温度を測定するように構成することができることを理解されたい。本実施形態では、コントローラ56は、半閉鎖動力サイクルシステム12を制御して所望のガス温度をもたらすように構成される。例えば、コントローラ56は、ガス温度がタービン16の最大運転温度を確実に超えないようにするように構成することができる。
【0025】
本実施形態では、コントローラ56は、1次圧縮機20からのガス流34中の酸素濃度を示す信号、半閉鎖動力サイクルシステム12によって出力される動力を示す信号、タービン16からのガス流30の温度を示す信号、及び半閉鎖動力サイクルシステム12内の質量流量バランスを示す信号の少なくとも1つに基づいて、1次圧縮機20を通るガス流、燃焼器14内への燃料流24、1次圧縮機20から抽出される排気ガス流35の一部分、及び供給圧縮機22を通る空気流の少なくとも1つを調整するように構成される。例えば、例示した実施形態では、コントローラ56は、供給圧縮機22内への空気流27を調整するように構成された入口案内翼62と通信可能に結合される。理解されるように、供給圧縮機22内への空気流27の調整により、燃焼器14内への圧縮空気流25が変化する。幾つかの実施形態では、コントローラ56は、抽出排気ガス35中の測定酸素濃度に基づいて、案内翼62の位置を調整するように構成することができる。例えば、酸素濃度が所望のものよりも高いとき、コントローラ56は、入口案内翼62を部分的に閉鎖して、供給圧縮機22を通る空気流を制限することができる。或いは、コントローラ56は、半閉鎖動力サイクルシステム12内の質量流量バランスに基づいて、案内翼62の位置を調整するように構成することができる。例えば、抽出排気ガス35の圧力が所望のものよりも高いとき、コントローラ56は、入口案内翼62を部分的に閉鎖して供給圧縮機22を通る空気流を制限し、それにより、半閉鎖動力サイクルシステム12内への空気の質量流量を低減することができる。
【0026】
幾つかの実施形態では、抽出排気ガス35中の酸素濃度は、燃焼器14内の燃料空気混合比に基づいて計算される。そのような実施形態では、コントローラ56は、燃料空気混合比に基づいて、案内翼62の位置を調整するように構成することができる。上述したように、排気ガスの酸素含有量を大幅に低減するのに、理論燃料空気混合比で燃焼器14を運転するのが望ましい場合がある。その結果、供給圧縮機22からの圧縮空気25の量が、燃料24の完全燃焼に必要な量よりも多いとき、コントローラ56は、案内翼62を調整して供給圧縮機22を通る流量を制限することができる。逆に、供給圧縮機22からの圧縮空気25の量が、燃料24の完全燃焼に必要な量よりも少ないとき、コントローラ56は、案内翼62を調整して供給圧縮機22を通る流量を増加させることができる。
【0027】
コントローラ56は、1次圧縮機20を通るガス流を調整するのに1次圧縮機20の入口案内翼64とも通信可能に結合される。理解されるように、1次圧縮機20内へのガス流33を調整することにより、タービン16への圧縮ガス34の流量が変化する。幾つかの実施形態では、コントローラ56は、タービン16を通るガスの測定温度に基づいて、案内翼64の位置を調整するように構成することができる。例えば、ガス温度が所望のものよりも高いとき、コントローラ56は、入口案内翼64を開放して1次圧縮機20を通るガス流を増加させ、それにより、タービン16内へのガス流の温度を低下させることができる。
【0028】
それに加えて、コントローラ56は、燃焼器14内への燃料流24を調整するように構成されたバルブ66と通信可能に結合される。幾つかの実施形態では、コントローラ56は、半閉鎖動力サイクルシステム12の動力出力に基づいて、バルブ66を通る流量を調整するように構成される。例えば、動力出力が所望のものよりも低いとき、コントローラ56は、バルブ66を開放し、それにより、燃焼器14への燃料流を増加させ、動力出力を増加させることができる。或いは、コントローラ56は、抽出排気ガス35中の測定酸素濃度に基づいて、バルブ66を通る流量を調整するように構成することができる。例えば、酸素濃度が所望のものよりも高いとき、コントローラ56は、燃焼器14への燃料流を増加させ、それにより、燃料空気混合比を理論比に移行させることができる。
【0029】
さらに、コントローラ56は、1次圧縮機20から抽出される排気ガス35の一部分を調整するように構成されたバルブ68と通信可能に結合される。幾つかの実施形態では、コントローラ56は、半閉鎖動力サイクルシステム12内の質量流量バランスに基づいて、バルブ68を通る流量を調整するように構成される。例えば、抽出排気ガス35の圧力が所望のものよりも高いとき、コントローラ56は、バルブ68を開放し、1次圧縮機20から、より多い量の排気ガス35を抽出することができる。その結果、1次圧縮機20の吐出圧力は、低減され、それにより、1次圧縮機20内の所望の運転圧力を維持する。或いは、コントローラ56は、半閉鎖動力サイクルシステム12によって出力される動力に基づいて、バルブ68を通る流量を調整するように構成することができる。例えば、動力出力が所望のものよりも高いとき、コントローラ56は、バルブ68を開放し、それにより、タービン16を通る流量を低減することができる。タービン16と負荷28との間の接続のために、タービン16を通る流量を低減することにより、負荷28への動力は減少する。
【0030】
図2は、半閉鎖動力サイクルシステム12の別の実施形態の概略図である。例示した実施形態では、半閉鎖動力サイクルシステム12は、軸72を介して供給圧縮機22を駆動するように構成されたモータ70を含む。従って、図1を参照して上述した半閉鎖動力サイクルシステム12の供給圧縮機22などの供給圧縮機22は、タービン16に直接結合しない。モータ70は、供給圧縮機22を駆動することができる、いずれかの適当なデバイスとすることができる。例えば、モータ70は、幾つかのモータ構成の中で特に、内燃エンジン、電気モータ、蒸気タービン、又はガスタービンとすることができる。本実施形態では、コントローラ56は、モータ70と通信可能に結合し、モータ70の動力出力を調整することにより、供給圧縮機22を通る空気流を変化させるように構成される。例えば、コントローラ56は、抽出排気ガス35中の測定酸素濃度に基づいて、モータ70の動力出力を調整するように構成することができる。例えば、酸素濃度が所望のものよりも高いとき、コントローラ56は、供給圧縮機22への動力を減少させ、燃焼器14への空気流を低減することができる。或いは、コントローラ56は、半閉鎖動力サイクルシステム12内の質量流量バランスに基づいて、モータ70の動力出力を調整するように構成することができる。例えば、抽出排気ガス35の圧力が所望のものよりも高いとき、コントローラ56は、供給圧縮機22への動力を減少させ、燃焼器14への空気流を低減することができる。別の実施形態では、コントローラ56は、燃焼器14内の燃料空気混合比に基づいて、モータ70の動力出力を調整するように構成することができる。例えば、供給圧縮機22からの圧縮空気25の量が、燃料24の完全燃焼に必要な量よりも多いとき、コントローラ56は、供給圧縮機22への動力を減少させ、燃焼器14への空気流を低減する。
【0031】
コントローラ56は、例示した実施形態では、供給圧縮機22への動力出力を変化させることにより、燃焼器14への空気流を調整するように構成されるが、別の実施形態では、空気流を調整するように構成された追加的な機構を含むことができることを理解されたい。例えば、幾つかの実施形態では、モータ70は、一定速度で供給圧縮機22を駆動するように構成することができる。そのような実施形態では、供給圧縮機22は、供給圧縮機22を通る空気流を調整する、図1を参照して上述した入口案内翼などの入口案内翼を含むことができる。別の実施形態では、モータ70の動力出力が調整可能であり、供給圧縮機22は、入口案内翼を含むことができる。そのような実施形態では、コントローラ56は、モータ70の動力出力及び入口案内翼の位置を調整することにより、燃焼器14への空気流を調整するように構成することができる。
【0032】
図3は、半閉鎖動力サイクルシステム12を制御する方法74の一実施形態のフローチャートである。第1に、ブロック76によって表すように、半閉鎖動力サイクルシステム12の運転パラメータを示す少なくとも1つの信号を受け取る。例示するように、信号は、ブロック78によって表した、1次圧縮機20からのガス流34中の酸素濃度を示す第1の信号、ブロック80によって表した、半閉鎖動力サイクルシステム12によって出力される動力を示す第2の信号、ブロック82によって表した、タービン16からのガス流30の温度を示す第3の信号、及びブロック84によって表した、半閉鎖動力サイクルシステム12内の質量流量バランスを示す第4の信号を含むことができる。例えば、コントローラ56は、1次圧縮機20からのガス流34中の酸素濃度を示す信号、及びセンサ58を介する半閉鎖動力サイクルシステム12内の質量流量バランスを示す信号を受け取ることができる。それに加えて、コントローラ56は、負荷28からの半閉鎖動力サイクルシステム12によって出力される動力を示す信号、及び温度センサ60からのガス流30の温度を示す信号を受け取ることができる。
【0033】
次に、ブロック86によって表すように、半閉鎖動力サイクルシステム12の少なくとも1つの運転パラメータは、信号の少なくとも1つに基づいて調整される。例示するように、運転パラメータは、ブロック88によって表した、1次圧縮機20を通るガス流、ブロック90によって表した、燃焼器14内への燃料流、ブロック92によって表した、1次圧縮機20から抽出されるガス流の一部分、及び/又はブロック94によって表した、供給圧縮機22を通る空気流を含む。例えば、コントローラ56は、抽出排気ガス35中の測定酸素濃度に基づいて、供給圧縮機22の案内翼62の位置を調整するように構成することができる。それに加えて、コントローラ56は、タービン16を通るガスの測定温度に基づいて、1次圧縮機20の案内翼64の位置を調整するように構成することができる。さらに、コントローラ56は、半閉鎖動力サイクルシステム12によって出力される動力に基づいて、燃料バルブ66を通る流量を調整するように構成することができる。コントローラ56は、半閉鎖動力サイクルシステム12内の質量流量バランスに基づいて、排気バルブ68を通る流量を調整するように構成することもできる。このように、コントローラ56は、半閉鎖動力サイクルシステム12を効率的に運転することができるが、希薄燃料混合比で運転するように構成されたガスタービンエンジンよりも大幅に低い酸素含有量を有する排気ガス流35をもたらす。その結果、半閉鎖動力サイクルシステム12により発生する排気ガス35は、2次回収、及び/又は炭素捕捉運転に十分適している可能性がある。
【0034】
開示した実施形態の技術的効果は、半閉鎖動力サイクルシステム内の様々な流体流を制御することにより、半閉鎖動力サイクルシステムを効率的に運転する能力を含むことである。例えば、幾つかの半閉鎖動力サイクルシステムは、1次圧縮機からのガス流中の酸素濃度を示す第1の信号を受け取り、第1の信号に基づいて燃焼器への空気流を調整するように構成されたコントローラを含む。別の実施形態では、コントローラは、タービンによって出力される動力を示す第2の信号、タービンを通ったガス流の温度を示す第3の信号、及びシステム内の質量流量バランスを示す第4の信号を受け取るように構成される。コントローラは、第1の信号、第2の信号、第3の信号、及び第4の信号に基づいて、燃焼器への空気流を調整し、1次圧縮機内へのガス流を調整し、燃焼器内への燃料流を調整し、1次圧縮機から抽出されるガス流の一部分を調整するように、さらに構成される。
【0035】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0036】
10 発電システム
12 半閉鎖動力サイクルシステム
14 燃焼器
16 タービン
18 軸
20 圧縮機
22 供給圧縮機
24 燃料
25 圧縮空気
26 高温圧縮ガス
27 空気
28 負荷
30 ガス
32 排熱回収ボイラ
33 冷却されたガス
34 圧縮ガス
35 排気ガス
36 高圧蒸気
37 水
38 蒸気タービン
40 負荷
42 低圧蒸気
44 復水器
46 冷却水
48 水
50 熱水
52 冷却塔
54 制御システム
56 コントローラ
58 センサ
60 温度センサ
62 入口案内翼
64 入口案内翼
66 バルブ
68 バルブ
70 モータ
72 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半閉鎖動力サイクルシステム(12)を制御するように構成されたコントローラ(56)を含む、システム(10)であって、
前記コントローラ(56)が、1次圧縮機(20)を通る第1のガス流(33、34)中の酸素濃度を示す第1の信号、前記半閉鎖動力サイクルシステム(12)によって出力される動力を示す第2の信号、タービン(16)を通る第2のガス流(26、30)の温度を示す第3の信号、及び前記半閉鎖動力サイクルシステム(12)内の質量流量バランスを示す第4の信号の少なくとも1つを受け取るように構成され、前記コントローラ(56)が、第1の信号、第2の信号、第3の信号、及び第4の信号の少なくとも1つに基づいて、前記1次圧縮機(20)を通る第1のガス流(33、34)、燃焼器(14)内への燃料流、前記1次圧縮機(20)から抽出される第1のガス流(33、34)の一部分、及び供給圧縮機(22)を通る空気流(25)の少なくとも1つを調整するように構成されている、システム(10)。
【請求項2】
前記コントローラ(56)が、第1の信号、第2の信号、第3の信号、及び第4の信号を受け取り、第1の信号、第2の信号、第3の信号、及び第4の信号に基づいて、前記1次圧縮機(20)を通る第1のガス流(33、34)、前記燃焼器(14)内への前記燃料流、前記1次圧縮機(20)から抽出される第1のガス流(33、34)の前記一部分、及び前記供給圧縮機(22)を通る前記空気流(25)を調整するように構成されている、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記コントローラ(56)が、第3の信号に基づいて前記1次圧縮機(20)を通る第1のガス流(33、34)を調整し、第2の信号に基づいて前記燃焼器(14)内への前記燃料流を調整し、第4の信号に基づいて前記1次圧縮機(20)から抽出される第1のガス流(33、34)の前記一部分を調整し、第1の信号に基づいて前記供給圧縮機(22)を通る前記空気流(25)を調整するように構成されている、請求項2記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記コントローラ(56)が、第3の信号に基づいて前記1次圧縮機(20)を通る第1のガス流(33、34)を調整し、第1の信号に基づいて前記燃焼器(14)内への前記燃料流を調整し、第2の信号に基づいて前記1次圧縮機(20)から抽出される第1のガス流(33、34)の前記一部分を調整し、第4の信号に基づいて前記供給圧縮機(22)を通る前記空気流(25)を調整するように構成されている、請求項2記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記半閉鎖動力サイクルシステム(12)内の前記質量流量バランスを示す第4の信号が、前記1次圧縮機(20)の吐出圧力を示す信号を含む、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記コントローラ(56)が、第1の信号を受け取り、第1の信号に基づいて前記供給圧縮機(22)を通る前記空気流(25)を調整するように構成されている、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記コントローラ(56)が、前記1次圧縮機(20)の入口案内翼(64)の位置を調整することにより、前記1次圧縮機(20)を通る第1のガス流(33、34)を調整するように構成されている、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記コントローラ(56)が、前記供給圧縮機(22)の入口案内翼(62)の位置を調整することにより、前記供給圧縮機(22)を通る前記空気流(25)を調整するように構成されている、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項9】
燃料空気混合物を燃焼するように構成された燃焼器(14)と、
前記燃焼器(14)に流体連通し、前記燃焼器(14)に前記空気流(25)を供給するように構成された供給圧縮機(22)と、
前記燃焼器(14)に流体連通し、前記燃焼器(14)からの第2のガス流(26、30)を受け取るように構成されたタービン(16)と、
前記タービン(16)に流体連通し、第1のガス流(33、34)を圧縮するように構成された1次圧縮機(20)と
を含む、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項10】
第2のガス流(26、30)から熱を抽出し、第1のガス流(33、34)を前記1次圧縮機(20)に供給するように構成された排熱回収ボイラ(32)を含む、請求項1記載のシステム(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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