説明

卓球ラケット用ラバーのペースト状又は固形スティック状の接着剤

【課題】 容易な塗布作業で、卓球用ラケットと卓球ラケット用ラバーを優れた接着力により接着でき、卓球ラケット用ラバー貼替え時に卓球ラケット用ラバー及び卓球用ラケットを傷つけることなく、容易に剥がすことができ、また、貼替え時に発生する残余接着剤は、水又は水を含ませたスポンジ等を使って容易に除去する事ができる卓球ラバー用接着剤を提供する。
【解決手段】 樹脂性エマルジョン及びラテックスを主成分とした卓球用ラケットと卓球ラケット用ラバーを接着するための接着剤であって、ペースト状又は固形スティック状としたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓球ラケット用ラバーと卓球ラケットとの接着に用いる接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
卓球に用いる卓球ラケットは、卓球ラケット本体(以下「ラケット」という。)と卓球ラケット用ラバー(以下「ラバー」という。)とからなる。
【0003】
ラケットは、通常、木曽檜の単板を始め、中国、ヨーロッパ、アフリカ等を産地とする木材の合板等からなる。一方、ラバーは、ゴム製の表ラバーとゴム製のスポンジとからなるものが多く用いられている。
【0004】
また、ラケットは、シェークハンドタイプ、ペングリップタイプ等の形状があり、ラケットの片面であれば1枚、両面であれば2枚のラバーを貼り付けることで競技用ラケットが完成する。このラバーは打球面となる部分でもあり消耗品である。すなわち、打球による劣化やラバーの酸化により、反発弾力及びスピン性能は減少することになるため、ラバーの貼替え等のメンテナンスが必要である。特に、プロやレベルの高い競技者等になると試合の度にラバーを貼り替える。
【0005】
従来、このラバーとラケットとの貼替えは、以下の(1)〜(4)の手順で行われている。
(1)剥離作業・・・劣化等したラバーを剥がす工程
(2)除去作業・・・ラケットやラバーに残った、接着剤中に含まれていた天然ゴム又は合成ゴム等の残余物を除去する工程
この除去作業では、残余接着剤を完全に除去する必要がある。
(3)塗布作業・・・接着剤をラケット面およびラバーのスポンジ面に塗布する工程
この塗布作業では、ラバーのスポンジ面側のみに接着剤を塗布して貼合わせる場合(以下「片面塗布」という。)と、ラバーのスポンジ面側及びラケット側の双方に接着剤を塗布して貼合わせる場合(以下「両面塗布」という。)とがある。通常、接着剤は液状であるため、附属する刷毛を用いて塗布する。
(4)貼付作業・・・ラケットとラバーを貼り合わせる工程
尚、新品のラケットにラバーを貼り付ける際は(3)及び(4)の作業のみとなる。
【0006】
また、前記(4)貼付作業の際には、
(a)芯材の両面に粘着剤を塗布した両面テープ又はシートを用いて接着する方法(例えば、特許文献1参照。)
(b)天然ゴム又は合成ゴム等を有機溶剤に溶解した有機溶剤系接着剤を用いて接着する方法(例えば、特許文献2参照。)
が用いられていた。
【0007】
【特許文献1】特開平09−38258号公報(第2頁、右欄41行目〜第3頁、左欄10行目)
【特許文献2】特開2002−97433号公報(第2頁、左欄2〜3行目)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、有機溶剤系接着剤を用いる方法では、接着剤中に有害な有機溶剤が含まれている為、人体への有害性が大きく、室内等で接着を行うとき作業者や観客の健康を害する恐れがあった。貼付作業時には、接着剤を塗布した後、ラケットでラバーをあおぐ等して接着剤を完全に乾かす必要があり、特に有害物質が飛散する危険性があった。
【0009】
また、貼替えの際には、ラバーとラケットに残ったゴム分を除去する必要があり、この際にも有機溶剤系の除去剤(リムーバー)の使用するため、有害性が問題になっている。特に、卓球を行う会場は通常室内であり、有害物質の影響により、競技者、観客等の健康に影響を及ぼす危険性を伴っている。また、試合会場には貼替えルームが設けられている場合があり、貼替えの際の競技者の健康への影響が懸念される。
【0010】
現在、前記有機溶剤として主流であるヘプタン等は、刺激臭を有するとともに、皮膚等への影響や頭痛等の原因となる恐れがあり、国際的にも使用が問題視されている。
【0011】
更に、ヘプタンは引火性液体であり、これらの有機溶剤を主とする接着剤においては、引火点が低く、引火点60%以下の物質の搬入が禁止となっている航空機内等に持ち込むことができない。
【0012】
更に、剥離後は、接着剤中に含まれていた天然ゴム又は合成ゴム等の残余物が多量にラケット及びラバーに残存してしまい、これを除去するためには有機溶剤系の除去剤を使用しなければならない等、除去が容易でなかった。
【0013】
尚、通常、この接着剤は液状であり、附属の刷毛を用いて塗布する。その際、打球への影響からムラなく塗布することが必要であるが、塗布作業が初心者には困難な場合があり、運搬中の液漏れも懸念されていた。
【0014】
これらの事情により、使用時の臭気や有害性がなく、接着強度も安定しており、しかも塗布作業、剥離作業、除去作業及び運搬が安全かつ容易に行えるためのラケット及びラバーの非有機溶剤系接着剤が切望されている。
【0015】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたもので、下記を課題とする。
(1)使用時において人体や環境に対する有害性や刺激臭等のない安全なラケット用接着剤の製造。
(2)上記に加えて、安定した接着強度を有し、競技の際に長時間使用してもラバーが剥離することのないラケット用接着剤の製造。
(3)上記に加えて、貼替え時に剥離作業が容易なラケット用接着剤の製造。
(4)上記に加えて、貼替え時の除去作業がリムーバ(有機溶剤)を使用する必要がなく、かつ、容易に残余の接着剤を除去することができるラケット用接着剤の製造。
(5)上記に加えて、引火性がなく、安全に運搬・使用できるラケット用接着剤の製造。
(6)上記に加えて、初心者でもムラなく容易に塗布作業ができるペースト状又は固形スティック状の接着剤の製造。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、樹脂エマルジョン又はラテックス主体の接着剤を提供し、本発明の接着剤を使用しラケットとラバーとを接着することにより、有機溶剤による健康への悪影響をなくし、引火の危険性もなく、かつ、貼替えが容易で、卓球ラケット用ラバーとラケットに残った接着剤は、水又は水を含ませたスポンジ等で容易に除去できることを特徴とするものである。また、これらの接着剤をペースト状又は固形のスティック状として提供することにより、塗布作業や運搬を初心者でも簡単かつ安全に行えることを特徴とするものであり、具体的には、下記のような手段を取った。
【0017】
請求項1に記載の本発明は、卓球ラケット用ラバーを卓球用ラケットに接着するための接着剤であって、樹脂性エマルジョン及び/又はラテックスを主成分とすると共に、ゲル化剤を配合したことを特徴とするペースト状又は固形スティック状の卓球ラバー用接着剤である。
【0018】
請求項2に記載の本発明は、前記樹脂性エマルジョンはアクリル酸エステル系樹脂であり、その含有率が75重量%以下、好ましくは50重量%以下であることを特徴とする卓球ラバー用接着剤である。
【0019】
請求項3に記載の本発明は、前記ラテックスはスチレン系ラテックスであり、その含有率が50重量%以下であることを特徴とする卓球ラバー用接着剤である。
【0020】
請求項4に記載の本発明は、前記樹脂性エマルジョンとして、アクリル酸エステル系重合体、メタクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル系重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミン、ポリケトン、ポリオエテールのいずれか一つ又は複数を混合したものを用いることを特徴とする卓球ラバー用接着剤。である。
【0021】
請求項5に記載の本発明は、前記ラテックスとして、イソプレン系、ブタジェン系、ポリブタジェン系、スチレン系、クロロプレン系、ブチル系、ニトリル系、メチルメタクレート系、シリコーン系のラテックスのいずれか一つ又は複数を混合したものを用いることを特徴とする卓球ラバー用接着剤である。
【0022】
請求項6に記載の本発明は、前記ゲル化剤として、脂肪酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、カゼイン・グルー・ゼラチンその他の動物系、アルギン酸塩・デンプンその他の植物系、ベントナイトその他の鉱物系、ポリアクリル酸塩・繊維素誘導体・カチオン界面活性剤その他の合成又は半合成系のいずれか一つ又は複数を混合したものを用いることを特徴とする卓球ラバー用接着剤である。
【0023】
請求項7に記載の本発明は、前記接着補助剤は、水溶性樹脂及び/又は可塑剤であることを特徴とする卓球ラバー用接着剤である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の効果は、以上の説明から、以下の全ての効果を同時に達成した。
【0025】
(1)使用時において人体や環境に対する有害性や刺激臭等のない安全なラケット用接着剤を得ることができる。すなわち、本発明のラケット用接着剤は、有機化学物質を有しないことから、競技者の健康等に対する問題において心配がない。
(2)安定した接着強度を有し、競技の際に長時間使用してもラバーが剥離することがない。
(3)貼替え時の剥離作業が容易である。
(4)乾燥が速いため、貼り合わせる時間を短縮できる。
(5)貼替え時の除去作業がリムーバ(有機溶剤)を使用する必要がなく、かつ、容易に残余の接着剤を除去することができる。(4)乃至(6)より、結果として、迅速な貼替え作業が可能である。
(6)引火性がなく、安全に運搬・使用することができる。
(7)固形のスティック状・ペースト状としたので、液状の接着剤のように刷毛を用いず塗布作業が更に容易であり、初心者でも安定した接着が可能であるとともに、液状のものに比して液漏れの懸念がなく運搬が安心して行える。また、貼りムラが少なく安定した打球が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施例及び比較例に基いて詳細に説明する。尚、以下の各例における%は重量%を意味する。
実施例
【0027】
[実施例1]
水88%に脂肪酸ナトリウム3%を溶解して、その溶解液にグリセリン2%、アクリル酸エステル系樹脂7%を混合して接着剤を得た。
【0028】
[実施例2]
水75%に脂肪酸ナトリウム5%を溶解して、その溶解液にグリセリン5%、アクリル酸エステル系樹脂15%を混合して接着剤を得た。
【0029】
[実施例3]
水55%に脂肪酸ナトリウム5%を溶解して、その溶解液にグリセリン10%、アクリル酸エステル系樹脂30%を混合して接着剤を得た。
【0030】
[実施例4]
水30%に脂肪酸ナトリウム5%を溶解して、その溶解液にグリセリン10%、アクリル酸エステル系樹脂50%を混合して接着剤を得た。
【0031】
[実施例5]
水15%に脂肪酸ナトリウム5%を溶解して、その溶解液にグリセリン5%、アクリル酸エステル系樹脂75%を混合して接着剤を得た。
【0032】
[実施例6]
水88%に脂肪酸ナトリウム3%、及び水溶性樹脂2%を溶解して、その溶解液にアクリル酸エステル系樹脂7%を混合して接着剤を得た。
【0033】
[実施例7]
水73%に脂肪酸ナトリウム5%、及び水溶性樹脂2%を溶解して、その溶解液にグリセリン5%、アクリル酸エステル系樹脂15%を混合して接着剤を得た。
【0034】
[実施例8]
水50%に脂肪酸ナトリウム5%、及び水溶性樹脂5%を溶解して、その溶解液にグリセリン10%、アクリル酸エステル系樹脂30%を混合して接着剤を得た。
【0035】
[実施例9]
水25%に脂肪酸ナトリウム5%、及び水溶性樹脂10%を溶解して、その溶解液にグリセリン10%、アクリル酸エステル系樹脂50%を混合して接着剤を得た。
【0036】
[実施例10]
水15%に脂肪酸ナトリウム5%、及び水溶性樹脂3%を溶解して、その溶解液にグリセリン2%、アクリル酸エステル系樹脂75%を混合して接着剤を得た。
【0037】
[実施例11]
水88%に脂肪酸ナトリウム3%を溶解して、その溶解液にグリセリン2%、スチレン系ラテックス7%を混合して接着剤を得た。
【0038】
[実施例12]
水75%に脂肪酸ナトリウム5%を溶解して、その溶解液にグリセリン5%、スチレン系ラテックス15%を混合して接着剤を得た。
【0039】
[実施例13]
水55%に脂肪酸ナトリウム5%を溶解して、その溶解液にグリセリン10%、スチレン系ラテックス30%を混合して接着剤を得た。
【0040】
[実施例14]
水45%に脂肪酸ナトリウム5%を溶解して、その溶解液にグリセリン10%、スチレン系ラテックス40%を混合して接着剤を得た。
【0041】
[実施例15]
水40%に脂肪酸ナトリウム5%を溶解して、その溶解液にグリセリン5%、スチレン系ラテックス50%を混合して接着剤を得た。
【0042】
[実施例16]
水88%に脂肪酸ナトリウム3%、及び水溶性樹脂2%を溶解して、その溶解液にスチレン系ラテックス7%を混合して接着剤を得た。
【0043】
[実施例17]
水73%に脂肪酸ナトリウム5%、及び水溶性樹脂2%を溶解して、その溶解液にグリセリン5%、スチレン系ラテックス15%を混合して接着剤を得た。
【0044】
[実施例18]
水50%に脂肪酸ナトリウム5%、及び水溶性樹脂5%を溶解して、その溶解液にグリセリン10%、スチレン系ラテックス30%を混合して接着剤を得た。
【0045】
[実施例19]
水35%に脂肪酸ナトリウム5%、及び水溶性樹脂10%を溶解して、その溶解液にグリセリン10%、スチレン系ラテックス40%を混合して接着剤を得た。
【0046】
[実施例20]
水35%に脂肪酸ナトリウム5%、及び水溶性樹脂5%を溶解して、その溶解液にグリセリン5%、スチレン系ラテックス50%を混合して接着剤を得た。
【0047】
[比較例1]
トルエン95%に天然ゴム5%を溶解して接着剤を得た。
【0048】
[比較例2]
ヘプタン95%に天然ゴム5%を溶解して接着剤を得た。
【0049】
以上が実施例及び比較例である。表1は、これらの実施例及び比較例の接着剤の成分を表したものである。
【0050】
【表1】

【0051】
次に、上記の実施例1〜20、比較例1にて作製した接着剤を用いて、接着力、乾燥性、剥離性、水洗い性試験は、それぞれ次に示す方法で行った。これらの試験は、実際の一連の貼替えに要する作業に準じたものである。
【0052】
(1)接着力試験
各実施例における接着剤を卓球ラケット用ラバーのスポンジ面とラケットの両面に塗布し、常温で乾燥させ、このラバーをラケットに貼り合わせたラバーとラケットの接着状態を観察した。尚、実施例で製造した接着剤は、いずれもゲル化剤として脂肪酸ナトリウムの含有率を3乃至5重量%としてあり、固形のスティック状の接着剤となっている。
【0053】
(2)乾燥性試験
上記、接着力試験にて塗布した接着剤を常温乾燥させ、接着力が発揮される乾燥時間(オープンタイム)を測定した。
【0054】
(3)剥離性試験
上記接着力試験にて貼り合わせたラバーとラケットを手で剥がし、その剥がれ方を観察した
【0055】
(4)水洗い性試験
上記、剥離性試験にて剥離したラバー、又はラケットの接着剤塗布面に残った接着剤を、水を含ませたスポンジを使い、水での除去状態を観察した。
【0056】
次に、実施例1〜20、比較例1にて作製した接着剤の試験結果を評価したものを表2に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
試験結果の評価では、表2に示すように、接着力の評価、乾燥性の評価、剥離性の評価、水洗い性試験の評価のそれぞれにおいて、いずれも実施例1〜20は安定した評価を得ることができた。
【0059】
すなわち、
(1)接着力試験では、競技の際の長時間使用に絶えうる十分な接着力であることがわかった。
(2)固形のスティック状の接着剤としたため、はけを使用せず塗布作業が容易であり、迅速な貼り合わせができると共に、打球を試みたところ、貼りムラが少ないため安定した打球が得られた
(3)乾燥性試験では、有機溶剤と変わらないレベルの短時間の乾燥が可能であった。
(4)ラケットやラバーの破損がなく剥離作業が容易に行うことができた。
(5)除去試験では、リムーバ(有機溶剤)を使用する必要がなく、水洗いにて、容易に残余の接着剤を除去することができた。
(6)ヘプタン等の有機溶剤を用いないので、使用時において人体や環境に対する有害性や刺激臭等のない安全なラケット用接着剤の製造することができた。助剤として脂肪酸ナトリウムを配合してあるため、固形であり、揮発性が少ないものであった。
(7)同様に、有機溶剤を用いないため、引火性がなく、安全に運搬・使用することができるラケット用接着剤を製造することができた。
【0060】
[その他の実施例]
以上の評価に係る実施例では、脂肪酸ナトリウムを3乃至5重量%の含有率としてあるため、固形のスティック状となっているが、脂肪酸ナトリウムを1%ととして、ペースト状の接着剤も製造し、同様の試験を行ったところ、接着力試験、剥離性試験及び水洗い性試験については、固形のスティック状の場合と変わらない評価を得ることができた。
【0061】
乾燥性試験では、ペースト状の場合では、少し厚めに塗布される場合が多くなりやすいため固形のスティック状の場合と比較すると多少時間がかかったが、塗り方によっては固形のスティック状の場合と変わらない評価を得ることもできた。
【0062】
また、これらすべての評価を、比較例1で配合した有機溶剤を主成分とする接着剤の場合と比較すると、接着力試験及び剥離性試験では、本発明では有機溶剤の場合の有害性等が全くないにもかかわらず、有機溶剤と同等の十分な接着力の評価を得ており、乾燥時間も同レベルであった。また、水洗い性試験では、水のみでは有機溶剤系接着剤に含まれているゴム成分等の残余物を除去することができず、やはり有機溶剤系のリムーバが必要であることがわかった。(→藤原様、このような理解でよいか?)
比較例1及び2で使用したトルエン及びヘプタンは、いずれも有機溶剤であり、有害性、揮発性、引火点の低さ等前述した問題があるものである。
【0063】
尚、固形のスティック状とした場合の接着剤の形状は、例えば、円柱又は角柱状であり、その他の形状とすることもできる。また、例えば、円柱形のスティック状の接着剤として使用する際には、予め接着剤の直径よりもやや大きめの円柱形の容器に収納し、非使用時には、キャップをして乾燥を防ぐと共に、使用時のみ押出しその他の手段により、接着剤の先端が露出し、容器部分を把持して塗布することにより、手が汚れることがなく、より簡単に塗布作業ができるようにすることもできる。
【0064】
また、本発明で使用する樹脂性エマルジョンとしては、アクリル酸エステル系重合体、メタクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル系重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミン、ポリケトン、ポリオエテール、或いはこれらを混合したものを用いることができる。ラテックスとしてはイソプレン系、ブタジェン系、ポリブタジェン系、スチレン系、クロロプレン系、ブチル系、ニトリル系、メチルメタクレート系、シリコーン系のもの、或いはこれらを混合したものを主体とすることができる。
【0065】
また、ゲル化剤としては、本実施例で使用した脂肪酸ナトリウム等の脂肪酸のアルカリ金属塩の他、脂肪酸のアンモニウム塩、カゼイン・グルー・ゼラチンその他の動物系、アルギン酸塩・デンプンその他の植物系、ベントナイトその他の鉱物系、ポリアクリル酸塩・繊維素誘導体・カチオン界面活性剤その他の合成又は半合成系のもの、或いはこれらを混合したものを用いることができる。接着補助剤としては、水溶性樹脂や可塑剤を用いることができる。
【0066】
以上の説明は、開示された実施の形態のすべての点で例示であり制限的なものではない。従って、本発明の範囲は、上記の説明に限定されたものではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内のすべての変更が含まれることが意図されている。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、卓球ラケット用接着剤として必要な接着力や貼替え作業の容易性等を備えながら、安全性に優れた接着剤であり、国際的な競技上の安全基準等ができた場合には、もれなく基準を満たすものとなると考えられる。また、貼替えが容易で、反発弾性の低下を危惧しない接着剤タイプであるため、初心者からプロの競技者まで安心して使用可能なラケットを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓球ラケット用ラバーを卓球用ラケットに接着するための接着剤であって、樹脂性エマルジョン及び/又はラテックスを主成分とすると共に、ゲル化剤を配合したことを特徴とするペースト状又は固形スティック状の卓球ラバー用接着剤。
【請求項2】
請求項1に記載の卓球ラバー用接着剤であって、前記樹脂性エマルジョンはアクリル酸エステル系樹脂であり、その含有率が75重量%以下、好ましくは50重量%以下であることを特徴とする卓球ラバー用接着剤。
【請求項3】
請求項1に記載の卓球ラバー用接着剤であって、前記ラテックスはスチレン系ラテックスであり、その含有率が50重量%以下であることを特徴とする卓球ラバー用接着剤。
【請求項4】
請求項1に記載の卓球ラバー用接着剤であって、前記樹脂性エマルジョンとして、アクリル酸エステル系重合体、メタクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル系重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミン、ポリケトン、ポリオエテールのいずれか一つ又は複数を混合したものを用いることを特徴とする卓球ラバー用接着剤。
【請求項5】
請求項1に記載の卓球ラバー用接着剤であって、前記ラテックスとして、イソプレン系、ブタジェン系、ポリブタジェン系、スチレン系、クロロプレン系、ブチル系、ニトリル系、メチルメタクレート系、シリコーン系のラテックスのいずれか一つ又は複数を混合したものを用いることを特徴とする卓球ラバー用接着剤。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載の卓球ラバー用接着剤であって、前記ゲル化剤として、脂肪酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、カゼイン・グルー・ゼラチンその他の動物系、アルギン酸塩・デンプンその他の植物系、ベントナイトその他の鉱物系、ポリアクリル酸塩・繊維素誘導体・カチオン界面活性剤その他の合成又は半合成系のいずれか一つ又は複数を混合したものを用いることを特徴とする卓球ラバー用接着剤。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載の卓球ラバー用接着剤であって、前記接着補助剤は、水溶性樹脂及び/又は可塑剤であることを特徴とする卓球ラバー用接着剤。

【公開番号】特開2006−306978(P2006−306978A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130398(P2005−130398)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(596055039)株式会社レヂテックス (8)
【出願人】(593209404)株式会社ジュウイック (3)
【Fターム(参考)】