説明

単セルおよび該単セルを含む電池パック

単セル(1)は、外殻、カバー板(2)および電気的な芯部(5)を含む。カバー板(2)は、シール法によって外殻に接続される。電気的な芯部(5)は、外殻内に収容され、同一極性を有する2個以上の電極端子は、カバー板(2)をそれぞれ貫通する。パワーバッテリーパックは、上述の複数個の単セルを含む。単セルおよびバッテリーパックによって、放電率特性が改善される。特に溶接についての問題を解決でき、製造工程を簡単にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関する。特に、改良された構造を有する単セル、および該単セルを含む電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、電池がますます広範に使用されるにつれ、電池性能の向上に対する要求が高まっている。電気自動車などの最近の装置では、より高い電力出力が要求される。通常、複数個の単セルが接続されて、パワーバッテリーパックが形成される。また、単セルのボルトとナットは、一般に、正電極と負電極として用いられ、正電極と負電極は、並列または直列に、あるいは並列と直列を組み合わせて接続されて、高出力を有する所望の電源を形成する。
【0003】
しかしながら、この種の接続によれば、内部抵抗が高くなる場合がある。つまり、利用可能なスペースでの電流の導電領域が制限されるので、電池の放電率特性は制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記実情に鑑みて、本発明は、当該技術分野での問題の少なくとも一つを解決することを目的とする。そのために、高出力放電の要求を満たし、かつ当該技術分野での安全性についての欠点を解消できる単セルを提供する必要がある。さらに、安全性と信頼性を高めつつ、高放電率で放電できる単セルを提供する必要がある。
【0005】
さらに、該単セルを含むパワーバッテリーパックを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、単セルが提供される。該単セルは、第1の開口端と第2の開口端を備える外殻、前記第1の開口端を気密に封止する第1のカバー板、前記第2の開口端を気密に封止する第2のカバー板、電流を導くための正極タブと負極タブを備えて、前記外殻内に収容される1個以上の電気的な芯部、前記正極タブに電気的に結合される第1の端部と前記第1のカバー板を通って延びる第2の端部をそれぞれ有する2個以上の正極端子、および、前記負極タブに電気的に結合される第1の端部と前記第2のカバー板を通って延びる第2の端部をそれぞれ有する2個以上の負極端子を含む。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、上述の単セルを複数個含むパワーバッテリーパックが提供される。該パワーバッテリーパックは直列または並列に、あるいは直列と並列を組み合わせて接続される。
【0008】
単セル中には、同一極性を有する複数個の電極端子があるので、電流の導電領域が増加し、電池の放電率特性は高められる。特に、高放電率放電を長時間維持する電池が要求される電気自動車の場合、前記単セルおよび前記パワーバッテリーパックによって、有力な解決手段がもたらされる。
【0009】
通常、出力電力の高い電池では、電流を取り出すために、単セル中に複数個のタブが用いられ、電極端子が前記複数個のタブに溶接されている。また、出力電力が高いほど、それに応じてタブがより多く必要になる。そのため、電極端子に接続されるタブの総厚さは大きくなるので、電極端子をタブに接続するのは、かなり困難になる。さらに、タブが簡単に脱落すると、電流の出力に影響を及ぼす場合があり、同時に、短絡や短絡に関連する他の問題の原因になる場合がある。
【0010】
本発明によれば、同一極性の複数個の電極端子は、タブの総厚さを分割するのに役立つので、電極端子とタブの間を、より簡単に超音波溶接あるいはレーザ溶接できる。したがって、出力電力の高い電池と該電池の製造を、より簡単に実現できる。また、電池の性能に影響を及ぼさずに、電池の容量を改善できる。また、溶接がより簡単になるので、本発明は、相当な太さの電池の芯部を有する高容量電池に特に適している。芯部の厚さを適度に増加させて、電極プレートの幅を減ずる場合であっても、巻き回すときの問題、つまり、セパレータに皺がよるなどの問題を改善できる。さらに、単セルの周囲長さを減ずることができるので、電池の重量は低減される。
【0011】
複数個の電極端子によって、大電流放電および/または充電、あるいは異常時の放電に起因する電池内部の熱を効率的に散逸できるので、電池の寿命とともに、電池の大電流放電特性および電池の安全性を改善できる。さらに、単セルは接続、特にパワーバッテリーパックの接続において極めて使い勝手がよいので、バンプ接続された電気自動車の安定性が高まる。
【0012】
本発明の上記の態様および利点、並びに他の態様および利点は、後述する詳細な説明を下記の図面と合わせて検討すれば、より理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る単セルを示す部分斜視図である。
【図2】図1に示すA−A線に沿った断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態に係る単セルを示す斜視図である。
【図4】図3に示すB−B線に沿った断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る同一極性を有する3個の電極端子を含む単セルを示す断面図である。
【図6A】従来技術の単セルを示す平面図である。
【図6B】図6Aに示した単セルと同じ容量を有する、本発明の一実施形態に係る単セルの外周部を示す平面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る電池パックを示す概略図であり、単セル中の電極端子は突合わせ接続されている。
【図8】本発明の一実施形態に係る電池パックを示す概略図であり、単セル中の電極端子は重ね接続されている。
【図9】本発明の一実施形態に係る電池パックを示す概略図であり、単セル中の電極端子はフランジ状に突合わせ接続されている。
【図10】本発明の一実施形態に係る電池パックを示す概略図であり、電極端子はブリッジ接続されている。
【図11a】本発明の一実施形態に係る電池パックを示す正面斜視図である。
【図11b】図11aに示す電池パックの後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、以下の図面と発明の詳細な説明を参照すると、より理解できる。図中の部品は必ずしも実寸で描かれていない代わりに、本発明の原理を説明することを重視して誇張されている。さらに、図中では、同じ参照番号は、異なる図面を通じて同じ部品を表している。
【0015】
本発明の実施形態について詳細に参照する。図面を参照してここに記載される実施形態は、説明、例示のためのものであり、本発明の概略を理解するために使用される。前記実施形態は、本発明を限定するように構成されるべきではない。同一または類似の要素および同一または類似の機能を有する要素は、発明の詳細な説明を通じて、同じ参照番号で表される。
【0016】
本発明は、図面を参照してさらに詳細に説明される。図1は、本発明の一実施形態に係る単セルの部分斜視図を示している。図2は、図1に示すA−A線に沿った断面図を示している。図3は、本発明の別の実施形態に係る単セルの斜視図を示している。図4は、図3に示すB−B線に沿った断面図を示している。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、単セル1が提供される。該単セルは、第1の開口端と第2の開口端を備える外殻、前記第1の開口端を気密に封止する第1のカバー板、前記第2の開口端を気密に封止する第2のカバー板、電流を導くための正極タブと負極タブを備えて、前記外殻内に収容される1個以上の電気的な芯部、前記正極タブに電気的に接続される第1の端部と前記第1のカバー板を通って延びる第2の端部をそれぞれ備える2個以上の正極端子、前記負極タブに電気的に結合される第1の端部と前記第2のカバー板を通って延びる第2の端部をそれぞれ備える2個以上の負極端子を含む。
【0018】
単セル1の何れか一方の端部に示された構造は、該単セルの両端に用いられるので、以下では、明確化の観点から、一端部にある前記構造だけについて説明していることに注意されたい。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、カバー板2はシール法により外殻に接続され、電気的な芯部5は前記外殻の内部に収容される。電気的な芯部5は、正極版、負極板およびそれらの間に挿入されるセパレータを含む。電気的な芯部5は、正極タブと負極タブをさらに含んで、電流を取り出すようにしてもよい。カバー板2は、カバー板2を貫通する電極端子3をさらに含んで、電流を取り出すようにしてもよく、電極端子3は、前記外殻に封止される電気的な芯部5と導通する第1の端部31と、前記外殻から引き出されて配置されて、電流を導通させる2の端部32を含んでもよい。電極端子3は、正極端子と負極端子を含んでもよい。
【0020】
図1、2に示すように、2個の電極端子3は同一極性を有し、単セル1の一端に一直線状に配置され、電極端子3は、90°の曲げ角度で曲げられた第2の端部32を有し、カバー板2のビアホール21を貫通して、前記外殻から延びている。カバー板2は、シール構造4によって電極端子3と一緒にシールされてもよい。シール構造4は、中空リベット41と絶縁性の弾性材42を含んでもよい。電極端子3は、絶縁性の弾性材42とリベット41で保持されてもよく、リベット41は、絶縁性の弾性材42に強く押し付けられる。絶縁性の弾性材42は、中空リベット41を超えて延びて、中空リベット41の上部を包み込んで、フランジ構造を形成している。電極端子3の第1の端部31は、超音波溶接によって電気的な芯部5のタブ51に溶接されてもよい。図1において、2個の電極端子3は、タブ51の幅方向に沿って配置され、タブ51からの電流を分配している。電気的な芯部5は、巻き回し型の芯部構造を有してもよく、正極板と負極板の幅を約290mm、外殻の断面周長を約644mmにしてもよい。カバー板2上に2個以上の電極端子3を備えて、該電極端子をタブ51と電気的に接続させると、単セル1の導電領域を増加させることができるので、放電率特性を高めることができる。
【0021】
複数個の正極端子の第2の端部のそれぞれにおいて、電流を取り出してもよい。あるいは接続構造を形成して電流を取り出してもよい。前記接続構造は、一般的な溶接法あるいは他の接続法によって形成できる。ある実施形態によれば、正極端子の第2の端部は、一体構造を形成するように接続されてもよく、該一体構造は、電流を導通する第1の端部に接続される複数個のタブを含み、一体型をなす電極端子として理解することもできる。
【0022】
電極端子間あるいは負極端子間の位置関係は、特に限定されない。接続、組み立ておよび製造をより簡単にするために、本発明のある実施形態によれば、同一極性を有する電極端子は、互いに並列に接続される。電極端子はカバー板を貫通した後、カバー板の長さ方向に沿って、あるいは幅方向に沿って配置される。ある好適な実施形態によれば、電極端子はカバー板を貫通し、接続とシールを簡単にするために折り曲げられていて、さらに、直達外力を緩和できる。別のある好適な実施形態によれば、電極端子の第2の部分はカバー板を貫通し、1または複数回折り曲げられてもよい。同一極性を有する電極端子から別々に電流を取り出す場合、ある実施形態によれば、電極端子の曲げ方向は同じであってもよく、より詳細には、同一極性を有する電極端子は、カバー板上に、直に一直線状に並べられる。
【0023】
電極端子は、当該技術分野で公知のあらゆる導電材であってもよく、例えば、一体鋳造で形成された折り曲げられた導電棒あるいは導電シート、種々の形状で溶接した種々の導電材で形成された導電部品であってもよい。ある実施形態によれば、電極端子はシート状である。電極端子、および電極端子とカバー板とのシール部の接合箇所における衝撃を緩和するように、電極端子の2個の端部は柔軟性を有する導電シートであると好ましく、電極端子の2個の端部は、複数枚の導電シートの層を重ねて、あるいは巻き回して形成されるとさらに好ましい。電極端子の材料は、当該技術分野で公知の種々の導電材料、例えば、金属箔、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケル鉄合金などである。実用上の要求に応じて、電極端子の寸法を変えてもよい。ある好適な実施形態によれば、製造工程における熱散逸性能などを考慮して、直方体形状が用いられてもよい。電極端子がシート状を取る場合、該電極端子の幅は外殻の幅の約1〜90%であり、電極端子の厚さは約5〜90%である。これは、セルの寸法が58mm×150mm×400mmの場合、電極端子の厚さは約2〜6mmであり、幅は約40〜60mmであり、長さは約20〜40mmであることを意味している。
【0024】
正極板と負極板は、加工領域と非加工領域をそれぞれ有してもよい。加工領域には活物質が塗布され、電極板の長さ方向に平行な端部に、所定の幅を有する非加工領域が形成される。非加工領域は、電極板に活物質を塗布するときに特に塗布を施さない領域であってもよいし、加工領域を削り取って形成されてもよい。活物質には、当該技術分野において公知のあらゆる種類の正極あるいは負極活物質を用いることができる。塗布または削り取り工程には、当該技術分野において公知のあらゆる方法を用いることができる。電極板の製造方法には、当該技術分野において公知のあらゆる方法を用いることができる。ある好適な実施形態によれば、電極の芯部は、正極板、負極板、および正極板と負極板の間に挿入されたセパレータを、セパレータの長さ方向に巻き回して形成できる。電池の安全性能を改善するために、本発明の一実施形態によれば、巻き回した後の芯部の外層にセパレータを設けてもよい。正極タブと負極タブには、当該技術分野において公知のあらゆるタブを用いることができる。1または複数個のタブは、正極板と負極板にそれぞれ溶接されてもよい。ある好適な実施形態によれば、正極および負極タブは、非加工領域を直接巻き回して、圧縮して形成される。タブは、セルの芯部の二端から延びていてもよいし、一端だけから延びていてもよい。ある好適な実施形態によれば、正極タブと負極タブは反対側に配置され、正極板と負極板の間に挿入されたセパレータを超えて延びてもよい。
【0025】
一方で、ある好適な実施形態によれば、正極板と負極板の幅を、約10〜110mm、より好ましくは40〜60mmにすることができる。正極版と負極板の幅を上述のようにすると、セパレータの巻き回しが難しいことと、セパレータに皺が寄ることを解消するのに役立ち、セルの外殻の断面周囲を低減できる。ある好適な実施形態によれば、セルの外殻の断面周囲を、約30〜600mm、より好ましくは約260〜400mmにすることができる。この場合、容量を同じに保ちつつ、セルの重量を低減するのに有利である。このことは、電気を供給するセルが複数個必要である電気自動車などの可動装置にとって特に重要である。本発明の上記の好適な実施形態によれば、容量を同じに保てば、本発明の上記の好適な実施形態において提供された電池は、電池の重量を低減でき、製造中の溶接を簡単に実現できるので、歩留まりをさらに改善できる。さらに、上述のセルによれば、高い電力放電を実現でき、安全性能を高めることができる。
【0026】
セルの外殻の一端部は、ビアホールを有するカバー板を備えて形成されてもよく、正極端子または負極端子は、ビアホールを貫通し、外殻から延びる一端部を備える。タブが電極の芯部の両端から延びる場合、ある好適な実施形態によれば、正極端子と負極端子は、外殻の両端からそれぞれ延びてもよい。正極端子と負極端子は、セルの2個の端部から電流を導通させる手段である。絶縁性の弾性材の材料には、あらゆる種類のシールおよび絶縁材料、例えば、プラスチック、ゴム、樹脂、ガラス、セラミックなどであって、絶縁性を有し、有機溶媒とフッ化水素酸に対する耐性を有し、さらに金属材料に取り付けることができる材料を用いることができる。絶縁性の弾性材の製造方法は、射出成形などの当該技術分野において公知のプロセスによって実行されてもよい。
【0027】
単セルの安全性を改善するために、本発明のある別の実施形態によれば、正極端子と正極タブの接合部と、負極端子と負極タブの接合部には、絶縁リングがそれぞれ備えられる。絶縁リングには、ゴムリング、プラスチックリングなどの、当該技術分野において公知の従来のあらゆる絶縁リングを用いることができる。同一極性を有する電極端子は、タブの幅方向に沿ってタブに接続されてもよい。このことは、同一極性を有する電極端子が同じタブに接続され、同じタブから電流を取り出せることを意味しているので、電流の取り出しと熱散逸を、同一極性を有する2個以上の電極端子の全体に分散させることができる。単セルの放電率特性と安全性能を改善できる。特に本発明に係るタブの場合、薄型のタブ群は、同一極性を有する電極端子によって、タブ群の厚さ方向に沿ってそれぞれ共有される。そのため、厚型のタブ群を高容量かつ高電流放電の電池に接続することが難しいという問題を解決できる。電極端子とタブは超音波溶接またはレーザ溶接によって簡単に接続できるので、電極端子とタブをより簡単に接続でき、製造工程がより簡単になる。
【0028】
本発明によれば、上述のセルを複数個含むパワーバッテリーパックがさらに提供される。複数個のセルは、並列または直列に、あるいは並列と直列を組み合わせて接続される。単セル間の接続は、突合わせ接続、ブリッジ接続、重ね接続、またはフランジ状の突合わせ接続で実現できる。接続方法には、溶接および/または接着が用いられる。溶接方法には、超音波溶接、レーザ溶接、ブレーズ溶接、フラッシュ溶接、摩擦溶接、抵抗溶接などを選ぶことができる。ある好適な実施形態によれば、レーザ溶接が好ましい。2個以上の正極端子または負極端子は、カバー板を貫通し、適宜曲げられる。接続された正極端子または負極端子は、1または複数回曲げられてもよい。電極端子の第2の部分が同一極性を有する、ある好適な実施形態の場合、電極端子の接続には、ブリッジ接続が用いられる。ここで、ブリッジ接続とは、電極端子間に、セル間の電流を導通する導電材を取り付けた接続のことである。導電材は特に限定されない。ある好適な実施形態によれば、抵抗を低減するために、導電材には、電極端子と同一の材料が用いられる。
【0029】
図3および図4に示されるような本発明の別の実施形態によれば、同一極性を有し、平行に並べられた2個の電極端子3は、セル11の一端に備えられる。90°の曲げ角を有する電極端子3の第2の端部32は、カバー板2のビアホールを貫通し、外殻から延びている。図3に示すように、2個の電極端子の第2の端部32は、一体構造をなすように接続される。シール構造4は、カバー板2と電極端子3の接合部をシールするように用いられる。シール構造4は、リベット41と絶縁性の弾性材42を含んでいてもよい。電極端子3は、まず絶縁性の弾性材42、次にリベット41によって順に保持されてもよい。リベット41は、絶縁性の弾性材42に強く押し付けられてもよい。絶縁性の弾性材42は、中空リベット41を超えて延びて、中空リベット41の上部を包み込み、さらにフランジ構造を形成してもよい。電極端子3の第1の端部31は、超音波溶接によって、電気的な芯部5のタブに溶接されてもよい。2個の電極端子3は、タブ群の厚さ方向に沿って配置されてもよい。各電極端子3はそれぞれ、タブの部分51’に溶接されて、適宜電流を導通してもよい。電気的な芯部5は、被覆されたコア構造を有してもよく、正極および負極板の幅を約145mm、セルの外殻の断面周囲を約406mmにしてもよい。カバー板2上にあって、タブに導電接続される2個以上の電極端子3によって、セルの導電領域は増加し、放電率特性は向上する一方で、タブの溶接厚さは低減されて、製造に有利になる。
【0030】
図5は、本発明の一実施形態に係る、同一極性を有する3個の電極端子を含む単セルの断面図を示している。
【0031】
図7、図8および図9に示すように、単セル1中の電極端子3の第2の端部32は、突合わせ接続、重ね接続またはフランジ状の突合わせ接続で接続されて、接続部6を形成している。
【0032】
図10は、本発明の一実施形態に係る電池パックの断面図を示しており、電極端子はブリッジ接続されている。図10に示すように、導電シート7によって電極端子3との接続部6が形成されるように、単セル1中の電極端子3の第2の端部32は導電シート7によってブリッジ接続されてもよい。図11は、上述の単セル1を含むパワーバッテリーパックを示している。図11中において、単セル1が並列または直列に、あるいは並列と直列を組み合わせて適宜接続されるように、電極端子はブリッジ接続される。
【0033】
図11aと11bは、本発明の一実施形態に係るバッテリーパック100の正面および後方斜視図を示していて、単セル101、102、103、104は、それぞれ直列に接続される。図11a、11bに示すように、単セル1中の電極端子3は、導電シート70、71および72によって、ブリッジ接続されてもよい。図11aに示すように、単セル101、102の電極端子3がブリッジ接続され、単セル103、104の電極端子がブリッジ接続される。図11bに示すように、単セル102、103の電極端子は、単セル101、102、103、104が直列に接続されるように、ブリッジ接続される。もっとも、単セルは、並列に、あるいは直列と並列を組み合わせて接続されてもよいことに注意されたい。したがって、上記の説明の目的は、限定するというよりはむしろ例示することである。
【0034】
説明のために、実施例を示して記載したが、当業者であれば、本発明の精神および原理から逸脱せずに、種々の変形、代替および修正を実施例になすことができることを理解できる。このような変形、代替および修正は全て、特許請求の範囲およびこれらと等価なもの範囲に含まれる。
【0035】
(関連出願の相互参照)
本願は、中華人民共和国国家知識産権局に2009年4月30日に出願された、中国特許出願第200910107175.1号についての優先権の利益を主張し、その内容の全ては、ここに参照されて包含される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開口端と第2の開口端を有する外殻;
前記第1の開口端を気密にシールする第1のカバー板;
前記第2の開口端を気密にシールする第2のカバー板;
前記外殻の内部に収容され、電流を導くための正極タブと負極タブを備える1個以上の電気的な芯部;
2個以上の正極端子;
2個以上の負極端子;を備え、
前記正極端子は、それぞれ前記正極タブに電気的に接続される第1の端部と前記第1のカバー板を通って延びる第2の端部を有し、
前記負極端子は、それぞれ前記負極タブに電気的に接続される第1の端部と前記第2のカバー板を通って延びる第2の端部を有する、
単セル。
【請求項2】
前記正極端子の前記第2の端部は互いに接続され、および/または、前記負極端子の第2の端部は互いに接続される、
請求項1に記載の単セル。
【請求項3】
複数個の電気的な芯部を備え、
前記正極端子は前記正極タブの厚さ方向に一直線状に配置され、
前記正極タブに電気的に接続される前記正極端子の前記第1の端部は、互いに平行をなしていて、
前記負極端子は前記負極タブの厚さ方向に一直線状に配置され、
前記負極タブに電気的に接続される前記負極端子の前記第1の端部は、互いに平行をなしている、
請求項1に記載の単セル。
【請求項4】
前記正極端子は、前記正極タブの幅方向に一直線状に配置され、
前記正極端子の前記第1の端部は、前記正極タブに電気的に接続され、
前記負極端子は、前記負極タブの幅方向に一直線状に配置され、
前記負極端子の前記第1の端部は、前記負極タブに電気的に接続される、
請求項1に記載の単セル。
【請求項5】
前記外殻は直方体状をなし、
前記電極端子は、シート状に形成され、
前記電極端子の幅は、前記単セルの幅の約5〜90%であり、
前記電極端子の厚さは、前記単セルの厚さの約1〜90%である、
請求項1に記載の単セル。
【請求項6】
前記電気的な芯部は、正極板、負極板、および前記正極板と前記負極板の間に挿入されるセパレータを含み、
前記正極板、前記負極板、および前記セパレータは、一緒に巻き回され、
前記正極板および前記負極板は、加工領域と前記加工領域の一端に非加工領域をそれぞれ有し、
前記加工領域には電極用活物質が塗布され、前記加工領域と前記非加工領域はそれぞれ正極と負極として用いられ、
前記正極タブと前記負極タブは、前記セパレータを超えて互いに反対方向に延びている、
請求項1に記載の単セル。
【請求項7】
前記正極板と前記負極板の幅は、約10〜110mmであり、
前記外殻は、約30〜600mmの周長を有する断面を備える、
請求項6に記載の単セル。
【請求項8】
前記第1のカバー板は、前記正極端子に応じた数の第1のビアホールを備えて形成され、
前記正極端子は、第1の中空リベットと第1の絶縁性のシール材を有するとともに、前記第1のビアホールを貫通し、
前記第1の絶縁性のシール材は、前記正極端子と前記第1の中空リベットの間に備えられて、前記第1の絶縁性のシール材中には、前記正極端子のそれぞれが固定され、
前記第1の中空リベットは、前記第1のカバー板と一体に形成され、
前記第1の絶縁性のシール材は、前記第1の中空リベット中に配置されて、前記第1の中空リベットの開口端を隙間無く包み込み、
前記第2のカバー板は、前記負極端子に応じた数の第2のビアホールを備えて形成され、
前記負極端子は、第2の中空リベットと第2の絶縁性のシール材を有するとともに、前記第2のビアホールを貫通し、
前記第2の絶縁性のシール材は、前記負極端子と前記第2の中空リベットの間に備えられて、前記第2の絶縁性のシール材中には、前記負極端子のそれぞれが固定され、
前記第2の中空リベットは、前記第2のカバー板と一体に形成され、
前記第2の絶縁性のシール材は、前記第2の中空リベット中に配置されて、前記第2の中空リベットの開口端を隙間無く包み込む、
請求項6に記載の単セル。
【請求項9】
前記負極端子と前記負極タブとの接合部および前記正極端子と前記正極タブとの接合部は、絶縁リングによってそれぞれシールされる、
請求項1に記載の単セル。
【請求項10】
請求項1に記載の複数個の単セルを含み、
前記複数個の単セルは、並列または直列に、あるいは並列と直列を組み合わせて接続される、
パワーバッテリーパック。
【請求項11】
正極および負極端子のそれぞれの第2の端部を突合わせ接続、重ね接続、フランジ状の突合わせ接続して、前記単セルを並列または直列に、あるいは並列と直列を組み合わせて接続する、
請求項10に記載のパワーバッテリーパック。
【請求項12】
各単セル中の正極端子の第2の端部は互いに一体に接続され、
各単セル中の負極端子の第2の端部は互いに一体に接続され、
前記単セルの前記正極端子と前記負極端子は、前記単セルが並列または直列に、あるいは並列と直列を組み合わせてそれぞれ接続されるように、導電材によって互いに接続される、
請求項10に記載のパワーバッテリーパック。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【公表番号】特表2012−525665(P2012−525665A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507584(P2012−507584)
【出願日】平成22年4月18日(2010.4.18)
【国際出願番号】PCT/CN2010/071862
【国際公開番号】WO2010/124562
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(505327398)ビーワイディー カンパニー リミテッド (52)
【氏名又は名称原語表記】BYD COMPANY LIMITED
【Fターム(参考)】