説明

単一溶媒ポリマーの抽出方法

本発明は、単一溶媒ポリマーの抽出方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年9月13日に出願された米国仮特許出願第60/609,280号の優先権を主張し、その開示内容は、参照により本明細書に援用されている。
【0002】
技術分野
本発明は、ポリマーの抽出方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ポリヒドロキシアルカノエート(polyhydroxyalkanoate:「PHA」)は、PHAを含有する細胞を有するバイオマスから抽出されうる。一般的に、この方法は、バイオマスをPHA用の溶媒と混合した後、加熱して、攪拌することを含む。典型的には、これは、一方の相が上記溶媒とPHAを含有する溶液であり、他方の相が減量した量のPHAを含有する細胞を有する残留バイオマスを含有する2つの相を含む系を提供する。通常、上記の2つの相は、分離され、PHAは溶媒から除去される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、本発明は、ポリマーの抽出方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
一の態様において、本発明は、PHAを単離する方法に関し、その方法は、PHA、第一溶媒および第二溶媒を混合して(combine)、混合体(combination)を形成すること(第一溶媒は、第二溶媒と共沸混合物を形成することが可能である)と、上記混合体を加熱して、第一溶媒と第二溶媒の共沸混合物を形成することとを含む。
【0006】
別の態様において、本発明は、PHAを単離する方法を特徴とし、その方法は、PHA、第一溶媒および第二溶媒を混合して、混合体を形成すること(第一溶媒は、第二溶媒と共沸混合物を形成することが可能である)と、上記混合体を形成後、PHAの顆粒を形成することとを含む。
【0007】
さらなる一の態様において、本発明は、PHAを単離する方法を特徴とし、その方法は、PHA、第一溶媒および第二溶媒を混合して、混合体を形成すること(第一溶媒は、第二溶媒よりも高い沸点を有する)と、上記混合体を第二溶媒の沸点よりも低い温度まで加熱して、混合体から少なくともいくらかのPHAを除去することとを含む。
【0008】
一の態様において、本発明は、PHAを単離する方法を特徴とし、その方法は、PHA、第一溶媒および第二溶媒を混合して、混合体を形成すること(第一溶媒は、第二溶媒よりも高い沸点を有する)と、第二溶媒の沸点よりも低い温度まで上記混合体を加熱して、上記混合体から第一溶媒をほぼ除去することとを含む。
【0009】
別の態様において、本発明は、PHAを単離する方法を特徴とし、その方法は、PHA、第一溶媒および第二溶媒を混合して、混合体を形成すること(第一溶媒は、第二溶媒と共沸混合物を形成することが可能である)と、上記混合体を加熱して、第一溶媒と第二溶媒を含む混合蒸気を形成することと、混合蒸気を凝縮して第一および第二相を含む液体を形成すること(その液体の第一相は、第一溶媒をほとんど含有せず、その液体の第二相は、第二溶媒をほとんど含有していない)とを含む。
【0010】
さらなる一の態様において、本発明は、PHAを単離する方法を特徴とし、その方法は、PHA、第一溶媒および第二溶媒を混合して、混合体を形成すること(第一溶媒は、第二溶媒よりも高い沸点を有する)と、上記混合体を加熱して、第一溶媒と第二溶媒を含む混合蒸気を形成することと、その混合蒸気を凝縮して第一および第二相を含む液体を形成すること(その液体の第一相は、第一溶媒をほとんど含有せず、その液体の第二相は、第二溶媒をほとんど含有していない)とを含む。
【0011】
実施形態は、以下の特徴のうち1つもしくは複数を含むことが可能である。
【0012】
第一溶媒は、MIBK、酢酸ブチル、酢酸エチル、シクロペンタノン、およびシクロヘキサノンからなる群から選択されうる。特定の実施形態において、第一溶媒は、MIBKである。
【0013】
第二溶媒は、水を含むことが可能である。
【0014】
上記混合体を加熱することにより、上記混合体から第一溶媒をほぼ除去することが可能である。
【0015】
共沸混合物は、第一溶媒の沸点より低くかつ第二溶媒の沸点よりも低い温度で、形成することが可能である。
【0016】
その方法は、さらに、PHAの顆粒を形成することを含みうる。そのPHA顆粒は、少なくとも約0.25Kg/mの嵩密度を有する。
【0017】
その方法は、加熱前に、PHAと第一溶媒を混合して、第一混合体を形成することと、第一混合体を第二溶媒と混合して混合体を形成することとを含む。
【0018】
その方法は、PHA顆粒を形成する前に、上記混合体を加熱して第一溶媒をほぼ除去し、それにより、PHAと第二溶媒を含む第二混合体を形成することと、第二混合体の温度を下げることとを含みうる。
【0019】
第一溶媒は、第二溶媒と共沸混合物を形成することが可能である。
【0020】
上記混合体を加熱することにより、第一溶媒と第二溶媒の共沸混合物を形成することが可能である。
【0021】
上記混合体は、第一溶媒の沸点より低くかつ第二溶媒の沸点よりも低い温度まで加熱されることが可能である。
【0022】
上記混合体は、第一溶媒の沸点より低くかつ第二溶媒の沸点よりも低い温度まで加熱されることが可能である。
【0023】
一の態様において、本発明は、PHAを単離する方法を特徴とし、その方法は、PHAと、第一溶媒と、第二溶媒と、第三溶媒を混合して、混合体を形成すること(第一溶媒および第二溶媒は、第三溶媒と共沸混合物を形成することが可能である)と、上記混合体を形成後、PHAの顆粒を形成することとを含む。
【0024】
実施形態は、以下の特徴のうち1つもしくは複数を含むことが可能である。
【0025】
上記混合体を加熱することにより、上記混合体から第一溶媒と第二溶媒をほぼ除去することが可能である。
【0026】
上記混合体を加熱することにより、第一溶媒と、第二溶媒と、第三溶媒との三元共沸混合物を形成することが可能である。
【0027】
上記混合体を加熱することにより、第一溶媒と第三溶媒の二元共沸混合物ならびに第二溶媒と第三溶媒との二元共沸混合物を形成することが可能である。
【0028】
上記共沸混合物は、第一溶媒の沸点より低く、第二溶媒の沸点より低く、かつ第三溶媒の沸点より低い温度で形成することが可能である。
【0029】
第一溶媒は、MIBK、酢酸ブチル、酢酸エチル、シクロペンタノン、およびシクロヘキサノンからなる群から選択されうる。特定の実施形態において、第一溶媒は、MIBKでありうる。
【0030】
第一溶媒は、第二溶媒と混和できる。
【0031】
第一溶媒に対する第二溶媒の比は、約0.10未満でありうる。
【0032】
上記PHAは、20℃で、上記PHAの約0.2%未満の、第二溶媒中での溶解度を有することが可能である。
【0033】
第二溶媒は、n−ヘプタンを含みうる。
【0034】
第三溶媒は、水を含みうる。
【0035】
上記PHAの顆粒は、少なくとも約0.25Kg/mの嵩密度を有しうる。
【0036】
その方法は、PHA顆粒を形成する前に、上記混合体を加熱して第一溶媒と第二溶媒をほぼ除去し、それにより、PHAと第三溶媒を含む第二混合体を形成することと、第二混合体の温度を下げることとを含みうる。
【0037】
その方法は、加熱する前に、PHAと、第一溶媒と、第二溶媒とを混合して、第一混合体を形成することと、前記第一混合体を第三溶媒と混合して、混合体を形成することとを含みうる。
【0038】
その方法は、上記混合体を加熱して(例えば、第一溶媒の沸点より低い温度で、第二溶媒の沸点より低い温度で、および第三溶媒の沸点より低い温度で)、第一、第二および第三溶媒を含む混合蒸気を形成することと、その混合蒸気を凝縮して第一および第二相を含む液体を形成することとを含むことが可能であり、その液体の第一相は、第一溶媒および第二溶媒をほとんど含有せず、その液体の第二相は、第三溶媒をほとんど含有しない。
【0039】
その他の実施形態は、他のいずれかに記載される1つもしくは複数の特徴を含みうる。
【0040】
いくつかの実施形態において、PHAを抽出するのに使用される溶媒は、PHAを沈殿させるのに使用される溶媒よりも高い沸点を有しうる。
【0041】
特定の実施形態において、その方法は、相対的に有効な方法で溶媒を使用できる。例えば、その方法において使用される溶媒は、相対的に高い割合で、回収されうる(例えば、再使用のために)。
【0042】
いくつかの実施形態において、溶媒は、溶媒混合液の物理的分離により(例えば、デカンテーションにより)回収されうる。
【0043】
いくつかの実施形態において、溶媒は、相対的に適度の減圧に相当する圧力で、かつ相対的に低温度で、PHAから除去されることが可能であり、それにより、相対的にエネルギー集約的な蒸留を実施する必要性を最小限に抑えることが可能である。
【0044】
いくつかの実施形態において、単離されたPHAは、相対的に優れた濾過性を有しうる。
【0045】
いくつかの実施形態において、単離されたPHAは、所望のケーク洗浄性を有しうる。
【0046】
いくつかの実施形態において、単離されたPHAは、相対的に自由流動性および/または相対的に非圧縮性および/または相対的に非繊維性であることが可能でありおよび/または相対的に高い嵩密度を有することが可能でありおよび/または相対的に大きい顆粒径を有することが可能であり、その結果、重力条件を利用する方法によってPHAのさらなる精製を促進することが可能である。
【0047】
特定の実施形態において、その方法は、相対的に高い収量で、バイオマスからPHAを抽出することが可能である。いくつかの実施形態において、相対的に高いPHAの収量が、多段階を使用せずに(例えば、1段階工程で)、バイオマスから抽出されうる。
【0048】
いくつかの実施形態において、その方法は、相対的に純粋なポリマー(例えば、PHA)を抽出することが可能である。
【0049】
いくつかの実施形態において、その方法は、軽減された環境影響を有しうる。
【0050】
特定の実施形態において、その方法は、相対的に高い空間速度で(例えば、プロセス装置内で総体的に短い滞留時間で高い処理量で)、ポリマーを抽出することが可能である。
【0051】
特定の実施形態において、その方法は、望ましくない反応副産物(例えば、有機酸)の生成を比較的少なくすることが可能となる。これにより、例えば、上記方法に使用されるシステムへの腐食もしくは他の望ましくない損害の可能性を抑え、および/または上記のシステムの耐用寿命を延ばすことが可能となる。
【0052】
特定の実施形態において、その方法は、相対的に優れた溶媒回収を提供することが可能である。
【0053】
いくつかの実施形態において、粘性が相対的に低い残留バイオマスが、形成される。
【0054】
本発明の1つもしくは複数の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に示されている。本発明の他の特徴および利点は、詳細な説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
詳細な説明
図1は、他のPHAでないバイオマス関連材料(例えば、細胞物質、水)中に含有される1種または複数種のPHAを有するバイオマスからPHAを抽出する方法の実施形態のフローチャートである。上記バイオマスは、PHA抽出溶媒と接触して、混合物を形成する。上記PHA抽出溶媒は、プロセスに後に導入されるPHA保持溶媒(receiving solvent)と共沸混合物(例えば、最低共沸混合物)を形成することが可能である。上記混合物は、攪拌(例えば、かき回す)されて、2相(つまり「PHA相」と「残留バイオマス相」)を含む混合体を提供する。PHA相は、抽出され可溶化したPHA、PHA抽出溶媒、および、場合により微量のPHAでないバイオマス関連材料を含有する溶液から形成される。残留バイオマス相は、含量が減少したPHA分、PHAでないバイオマス関連材料、場合により、PHA抽出溶媒のキャリーオーバー分を有する残留バイオマスから形成される。次に、PHA相および残留バイオマスは、分離される。いくつかの実施形態において、上記の2つの相は、分離を促進するために遠心力を利用する適切な装置(例えば、ディスク遠心分離器、ボウル遠心分離機、デカンター型遠心分離機、ハイドロサイクロン(hydroclone)、向流遠心抽出器)を用いて、分離されうる。場合により、1種または複数種の溶媒が、分離を促進するために遠心力を利用する装置に添加されうる。
【0056】
PHA保持溶媒を含有する系(例えば、蒸留器もしくは蒸発器)に、PHA相を導入して、第二混合体を形成する。上記系は、PHA相のPHA抽出溶媒およびPHA保持溶媒の一部が、共沸混合物として、気体状態の第二混合体から除去される温度と圧力で、維持される。気体状の共沸混合物は、凝縮されて、液体状態でPHA抽出溶媒とPHA保持溶媒を含む第三混合体を形成する。PHA抽出溶媒が、PHA保持溶媒と混和しない場合(例えば、PHA抽出溶媒とPHA保持溶媒が、不均質共沸混合物を形成する場合)、第三混合体を形成する2種の溶媒は、物理的に分離される(例えば、一方の溶媒を他方からデカンテーションすることにより)ことが可能である。PHA抽出溶媒が、第二混合体から上記のように除去される(例えば、ほぼ除去される)場合、PHA保持溶媒中にPHAの沈殿が生じる。固体のPHAは、PHA保持溶媒から分離される(例えば、濾過により)。場合により、単離されたPHAは、なお存在しうる不純物を除去するために1種または複数種の追加の溶媒でさらに洗浄されうる。
【0057】
一般的に、PHA抽出溶媒およびPHA保持溶媒は、以下の特徴のうち1つまたは複数を有しうる。
【0058】
(1)PHA抽出溶媒は、分子レベルでほぼ均一な溶液を形成するようにPHAを溶解しうる。
【0059】
(2)PHA保持溶媒は、単離されるPHAに対して相対的に弱い溶解力を有する。
【0060】
(3)PHA抽出溶媒/PHA保持溶媒の混合体が、その沸点に達する場合(例えば、混合体の加熱により)、PHA抽出溶媒は、PHA保持溶媒と共沸混合物を形成する。
【0061】
いくつかの実施形態において、PHA抽出溶媒/PHA保持溶媒の混合体が、その沸点に達する場合(例えば、混合体の加熱により)、PHA抽出溶媒は、PHA保持溶媒と不均質共沸混合物を形成する。その蒸気相が、凝縮される(例えば、蒸気相を冷却器で冷却して)場合、蒸気相は、続いて2つの非混和性の液体層を形成しうる。
【0062】
本明細書に用いる用語「共沸混合物」は、分留塔の効率にかかわらず、分留により実質的に純成分に分離できない2成分以上の定沸点の液体混合物を意味する。いくつかの実施形態において、PHA抽出溶媒は、PHA保持溶媒と最低共沸混合物を形成し、そのPHA抽出溶媒/PHA保持溶媒の混合体の沸点は、ほぼ純粋なPHA抽出溶媒とほぼ純粋なPHA保持溶媒のいずれの沸点よりも低い。いくつかの実施形態において、PHA抽出溶媒は、PHA保持溶媒と最高共沸混合物を形成し、そのPHA抽出溶媒/PHA保持溶媒の混合体の沸点は、ほぼ純粋なPHA抽出溶媒とほぼ純粋なPHA保持溶媒のいずれの沸点よりも高い。
【0063】
一般的に、PHA抽出溶媒とPHA保持溶媒の数は、所望通りに選択できる。一例として、単一のPHA抽出溶媒が、単一のPHA保持溶媒と二元共沸混合物(例えば、最低共沸混合物)を形成することが可能である。別の例として、単一のPHA抽出溶媒が、2種の異なるPHA保持溶媒と三元共沸混合物(例えば、最低共沸混合物)を形成することが可能である。さらなる例として、2種の異なるPHA抽出溶媒が、単一のPHA保持溶媒と三元共沸混合物(例えば、最低共沸混合物)を形成することが可能である。いくつかの実施形態において、2種以上のPHA抽出溶媒(例えば、3種のPHA抽出溶媒、4種の抽出溶媒、5種の抽出溶媒)は、2種以上のPHA保持溶媒(例えば、3種のPHA保持溶媒、4種の保持溶媒、5種の保持溶媒)と多成分共沸混合物(例えば、4成分、5成分、6成分、7成分、8成分、9成分、10成分)を形成することが可能である。
【0064】
PHA抽出溶媒/PHA保持溶媒の混合体の選択は、所与の精製されたPHAと、PHA抽出溶媒/PHA保持溶媒の共沸混合物の所望の沸点とにより、決まる。理論に拘束されることを望むものではないが、所与のPHAに適切なPHA抽出および保持溶媒は、所与のPHAと溶媒の適切な溶媒和パラメータ(例えば、分散力、水素結合力および/または極性)を十分に調和させることにより、選択されうると考えられる。例えば、相対的に無極性のPHAは、相対的に無極性のPHA抽出溶媒で調和されうる。また、理論に拘束されることを望むものではないが、所与のPHAに適切なPHA抽出および保持溶媒は、候補のPHA抽出溶媒/PHA保持溶媒の混合体のいずれが、所望の沸点を有する共沸混合物を形成するかを決定することにより、選択されうると考えられる。いくつかの実施形態において、所望の共沸沸点は、単離されるPHAの融解温度(T)に基づいて選択されうる。溶媒和パラメータは、例えば、ハンセン(Hansen)著「溶解度パラメータ、ユーザーズ・ハンドブック、ニューヨーク州ニューヨークのCRC出版、2000年(Solubility Parameters−A User’s Handbook,CRC Press,NY,NY(2000))」に開示されている。共沸データは、例えば、ウィースト(Weast),R.C.編「化学および物理学のCRCハンドブック、63版、フロリダ州ボカラトンのCRC出版、1982年(CRC Handbook of Chemistry and Physics,63rd Edition,CRC Press,Boca Raton,FL(1982))」およびそれらに記載される参考文献に開示されている。
【0065】
PHA保持溶媒は、水、または相対的に高極性もしくは無極性有機溶媒でありうる。有機PHA保持溶媒として、例えば、アルカンまたは単純アルコール(例えば、メタノールもしくはエタノール)が挙げられる。いくつかの実施形態において、PHA保持溶媒中のPHAの溶解度は、20℃で、該PHAの約0.2%未満(例えば、約0.1%未満)である。
【0066】
一般的に、PHA抽出溶媒は、有機溶媒でありうる。PHA抽出溶媒は、例えば、ケトン、エステル、アルコール(例えば、少なくとも4個の炭素を有するアルコール)、およびアルカンでありうる。一般的に、上記ケトンは、環状もしくは非環式、直鎖もしくは分岐、および/または置換もしくは未置換でありうる。非環式ケトンおよび環状ケトンの例として、メチルイソブチルケトン(「MIBK」)、3−メチル−2−ペンタノン(ブチルメチルケトン)、4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン)、3−メチル−2−ブタノン(メチルイソプロピルケトン)、2−ペンタノン(メチルn−プロピルケトン)、ジイソブチルケトン、2−ヘキサノン(メチルn−ブチルケトン)、3−ペンタノン(ジエチルケトン)、2−メチル−3−ヘプタノン(ブチルイソプロピルケトン)、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン(エチルn−ブチルケトン)、4−ヘプタノン、2−オクタノン(メチルn−ヘキシルケトン)、5−メチル−3−ヘプタノン(エチルアミルケトン)、5−メチル−2−ヘキサノン(メチルイソ−アミルケトン)、ヘプタノン(ペンチルメチルケトン)、シクロ−ペンタノン、シクロ−ヘキサノンが挙げられる。
【0067】
一般的に、上記エステルは、環状もしくは非環式、直鎖もしくは分岐、および/または置換もしくは未置換でありうる。非環式エステルおよび環状エステルの例として、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル、酪酸エチル、イソ酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸イソブチル、n−酪酸メチル、酪酸イソアミル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸ブチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、カプロン酸メチル、酪酸エチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンが挙げられる。
【0068】
一般的に、少なくとも4個の炭素原子を有するアルコールは、環状もしくは非環式、直鎖もしくは分岐、および/または置換もしくは未置換でありうる。上記の環状アルコールおよび非環式アルコールの例として、n−ブタノール、sec−ブチルアルコール、メチル−1−ブタノール、エチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール(アミルアルコール)、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール(tert−アミルアルコール)、3−メチル−2−ペンタノール(メチルイソブチルカルビノール)、メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、2−ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、シクロ−ヘキサノール、メチル−シクロ−ヘキサノールおよびフーゼル油(高級アルコールの混合液で、アルコール蒸留の副産物であることが多く、典型的には、主にアミルアルコール(メチルブタノール)である)が挙げられる。
【0069】
一般的に、上記アルカンは、環状もしくは非環式、直鎖もしくは分岐、および/または置換もしくは未置換でありうる。いくつかの実施形態において、上記アルカンは、直鎖アルカンを含み、5個以上の炭素原子を有する(例えば、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、ノナン、ドデカン)。特定の実施形態において、上記アルカンは、イソアルカン(例えば、メチルヘプタン、メチルオクタン、ジメチルヘプタン)を含む。特定の実施形態において、ソルトロール(Soltrol)(登録商標)100(C9〜C11のイソアルカンの混合物、テキサス州のヒューストン(Houston,TX)にあるシェブロン・フィリップス・ケミカル・カンパニー(Chevron Phillips Chemical Company)から市販されている)を使用することができる。
【0070】
いくつかの実施形態において、PHA抽出溶媒は、ハロゲン化されていない。非ハロゲン溶媒は、溶媒の環境への悪影響を軽減し、溶媒を使用することに伴う健康リスクを抑え、および/または溶媒の保管、取り扱いおよび/または廃棄に伴うコストを削減することが可能であるので、非ハロゲン溶媒を用いることは、有利でありうる。
【0071】
特定の実施形態において、PHA抽出溶媒は、相対的に低い密度を有しうる。例えば、PHA抽出は、20℃で、約0.95Kg/L未満(例えば、約0.9Kg/L未満、約0.8Kg/L未満、約0.7Kg/L未満)の密度を有しうる。理論に拘束されることを望むものではないが、相対的に低い密度のPHA抽出を用いることにより、残留バイオマス相からのPHA相の分離の精度を高めることが可能であると考えられる。
【0072】
いくつかの実施形態において、PHA抽出溶媒は、水中において相対的に小さい溶解度を有する。例えば、PHA抽出溶媒は、20℃で、約1%未満(例えば、約0.5%未満、約0.2%未満)の水中での溶解度を有しうる。水中で相対的に小さい溶解度を有するPHA抽出溶媒は、このような溶媒は水とあまり混ざらない傾向にあるので、望ましい。このことにより、プロセス中に2種の別々の相が提供され易くなるので、プロセスのコストおよび/または複雑性が軽減されうる。
【0073】
特定の実施形態において、PHA抽出溶媒は、実質的に非加水分解性である。例えば、上記溶媒は、せいぜい酢酸エチルと同じくらいの加水分解性である。実質的に非加水分解性のPHA抽出溶媒を使用することにより、望ましくない副産物(例えば、有機酸などの化学反応性種)が生成する可能性が下がりうる。それによって、例えば、PHA抽出を実施する系の部分(例えば鉛管)の腐食の量および/または速度が抑えられうる。
【0074】
いくつかの実施形態において、PHA抽出溶媒は、PHA保持溶媒よりも高い沸点を有することが可能である。
【0075】
いくつかの実施形態において、PHA抽出溶媒が、約200℃以下(例えば、約190℃以下、約180℃以下、約170℃以下、約160℃以下、約150℃以下)の沸点を有することは、望ましい。理論に拘束されることを望むものではないが、上記のPHA抽出溶媒を使用することにより、単離されたPHAをさらに容易に乾燥させ、それにより、単離されたPHAに伴う望ましくない残留溶媒の量を最小限に抑えることが可能となると考えられる。
【0076】
特定の実施形態において、PHA抽出溶媒(例えば、MIBK)は、相対的に少量のPHA保持溶媒(例えば、n−ヘプタン)をさらに含みうる。この追加されるPHA保持溶媒は、一般的にPHA抽出溶媒と混和性であり、単離されたPHAを保持するために使用されるPHA保持溶媒と同じでも異なってもよい。理論に拘束されることを望むものではないが、PHA抽出溶媒中にPHA保持溶媒を含むことにより、PHAを含有する溶液(例えば、PHA相)およびPHA抽出溶媒の粘性を低くしおよび/または所望のPHAを抽出する際にプロセスの選択性を高めうると考えられる。
【0077】
いくつかの実施形態において、追加されるPHA保持溶媒は、単離されたPHAを保持するために使用されるPHA保持溶媒と異なる(例えば、PHAを保持するためのPHA保持溶媒−1とPHA抽出溶媒に追加されるPHA保持溶媒−2とを有する実施形態)。
【0078】
特定の実施形態において、PHA保持溶媒−2の量は、PHA抽出溶媒/PHA保持溶媒−1の混合体の最大蒸気圧が、ほとんど変更されないくらいの量である。例えば、PHA抽出溶媒の体積に対する追加されるPHA保持溶媒の体積比は、約0.10未満(例えば、約0.07未満、約0.05未満、約0.02未満)である。
【0079】
いくつかの実施形態において、PHA保持溶媒−2は、PHA抽出溶媒とPHA保持溶媒−1と共に三元共沸混合物を形成することが可能である。
【0080】
いくつかの実施形態において、PHA保持溶媒−2とPHA抽出溶媒は、互いにPHA保持溶媒−1と二元共沸混合物を形成することが可能である。特定の実施形態において、PHA保持溶媒−2/PHA保持溶媒−1の混合体から形成される二元共沸混合物は、PHA抽出溶媒/PHA保持溶媒−1の混合体の沸点の約10℃の範囲内(例えば8℃の範囲内、6℃の範囲内、5℃の範囲内)の沸点を有することが可能である。
【0081】
理論に拘束されることを望むものではないが、三元共沸混合物(例えば、PHA抽出溶媒/PHA保持溶媒−2/PHA保持溶媒−1)または沸点近似(close boiling)対の二元共沸混合物(例えば、PHA抽出溶媒/PHA保持溶媒−1およびPHA保持溶媒−2/PHA保持溶媒−1)を形成することにより、例えば、気体状の共沸混合物が凝縮されて、PHA抽出溶媒、PHA保持溶媒−1、およびPHA保持溶媒−2を含む第三混合体を形成する場合、有効なリサイクルおよび再使用のための、PHA抽出溶媒とPHA保持溶媒−2のいずれの完全な回収も容易になると考えられる。特定の実施形態において、PHA保持溶媒−2は、有効な分離およびリサイクルがされる(例えば、第三混合体を形成後に、PHA抽出溶媒でデカンテーションすることによって)ように、相対的に小さい溶解度を有するか或いはPHA保持溶媒−1と混和しない。
【0082】
有用なPHA抽出溶媒/PHA保持溶媒の混合体として、PHA保持溶媒が水であり、かつPHA抽出溶媒が水と最低共沸混合物を形成しうる溶媒である混合体が挙げられる。
【0083】
いくつかの実施形態において、最低共沸混合物は、1気圧(atm)で、約60℃〜約99℃(例えば、約65℃〜約95℃、約70℃〜約95℃、約75℃〜約95℃、約80℃〜約95℃、約85℃〜約95℃、約90℃〜約95℃)の沸点を有しうる。いくつかの実施形態において、最低共沸混合物の沸点は、PHAの融解温度(T)よりも少なくとも約10℃低く(例えば、少なくとも約20℃低く、少なくとも約30℃低く)なりうる。理論に拘束されることを望むものではないが、上記の共沸混合物は、沈殿段階中にゲルが生成する可能性を最小限に抑えることができると考えられる。ここでも理論に拘束されることを望むものではないが、上記の共沸混合物は、相対的に適度の減圧状態に相当する圧力(例えば、少なくとも約10kPa(絶対)、少なくとも約20kPa(絶対)、少なくとも約30kPa(絶対))で、かつ相対的に低い温度(例えば、約30℃〜約60℃)で、除去されることが可能であることも考えられる。これにより、水との最低共沸混合物としてPHA抽出溶媒を除去する相対的にエネルギー集約的な蒸留を実施する必要性を最小限に抑えることが可能となる。いくつかの実施形態において、PHA抽出溶媒は、100℃より高い沸点を有する。
【0084】
特定の実施形態において、PHA抽出溶媒は、ハロゲン化されておらず、相対的に小さい(例えば、酢酸エチルよりも小さい)水溶解度と、加水分解の視点からおよび/またはポリマーに対する反応性の視点から相対的に低い反応性とを有する。
【0085】
特定の実施形態において、PHA抽出溶媒は、MIBKであり、約25%の含水率および約88℃の共沸沸点を有する、水との共沸混合物を形成する。
【0086】
一般的に、PHA抽出溶媒は、PHA保持溶媒との共沸混合物として、蒸留もしくは蒸発(例えば、PHA抽出溶媒のほぼ完全な回収を達成する多段階の蒸発)によって、除去される。
【0087】
いくつかの実施形態において、蒸留もしくは蒸発は、相対的に適度の減圧状態に相当する圧力で、実行されうる。例えば、上記蒸留もしくは蒸発は、約50キロパスカル(kPa)以下(例えば、約40kPa以下、約30kPa以下、約20kPa以下、約10kPa以下)の圧力(絶対)で、実行されうる。
【0088】
いくつかの実施形態において、蒸留もしくは蒸発は、相対的に低い温度で、実行されうる。例えば、上記蒸留もしくは蒸発は、約60℃以下(例えば、約50℃以下、約40℃以下、約30℃以下、約25℃以下、約20℃以下)の温度で、実行されうる。
【0089】
いくつかの実施形態において、PHA相は、蒸留もしくは蒸発の開始に先立って、PHA保持溶媒と混合されうる。いくつかの実施形態において、PHA相は、PHA保持溶媒を含有する系(例えば、蒸留もしくは蒸発装置)に導入され、その系は、形成するのにも、また気相中の系からPHA抽出溶媒/PHA保持溶媒の共沸混合物を除去する(例えば、図1を参照のこと)のにも十分な温度と圧力で、維持される。特定の実施形態において、PHA相は、系に少量ずつ導入されうる(例えば、注入される)。いくつかの実施形態において、PHA相を相対的に遅い速度で系に導入するのが、望ましい。例えば、PHA相は、PHA保持溶媒100ガル当りPHA相約2gpm(ガロン/分)以下(例えば、約4gpm/100gal以下、約3gpm/100gal以下、約2gpm/100gal以下、約1gpm/100gal以下、約0.5gpm/100gal以下)の速度で、導入されうる。いくつかの実施形態において、PHA相は、共沸留出液が収集される速度とほぼ同じくらいの速度で導入されうる。
【0090】
いくつかの実施形態において、PHA相/PHA保持溶媒の混合物は、高剪断インペラ(例えば、平面翼型タービン)などの高剪断装置を用いて、蒸留中に攪拌される。その剪断速度は、種々の装置の先端速度により、決められ、例えば、約100回転/分(rpm)〜約500rpmの間(例えば、300rpm)で変えられうる。理論に拘束されることを望むものではないが、高剪断混合は、特定の条件下で、沈殿したPHAの品質を向上させると考えられる。
【0091】
一般的に、PHAは、PHA相からPHA抽出溶媒が除去される際に、固体形状(例えば、ポリマー顆粒として、結晶質固体として)で、PHA保持溶媒に保持される。いくつかの実施形態において、PHAは、PHA抽出溶媒がPHA相からほぼ除去される場合に、固体形状で保持される。
【0092】
いくつかの実施形態において、PHA保持溶媒は、PHAの保持中に、ゲルもゲル状物質もほとんど生成しない。
【0093】
PHAは、次に、PHA保持溶媒から分離される。この分離は、例えば、濾過または遠心分離(例えば、バスケット型遠心分離機を用いて、真空ベルトフィルターを用いて)により、実施されうる。
【0094】
いくつかの実施形態において、PHAは、相対的に非圧縮性および非繊維性の固体として、獲得されうる。理論に拘束されることを望むものではないが、上記の非圧縮性および非繊維性の固体が、濾過およびケーク洗浄の特性を向上させて、それにより、PHA単離と精製とをそれぞれ促進すると考えられる。濾過およびケーク洗浄操作へのPHA固体の適合性は、上面に最大サイズの開口部と底面に最小サイズの開口部とを有するスクリーンをラックとして積み重ねた一連のスクリーンを通して、PHA固体をスクリーニングすることにより測定される粒径分布を特徴とする。典型的なスクリーンデッキのサイズは、約0.25ミリメートル(mm)〜約6mmの範囲である。スクリーンデッキを通してPHA固体の代表的試料を通過させた後、留分は、収集され、秤量されて、各スクリーンデッキ上に保留される総量の百分率として表される。典型的に、スクリーンデッキは、有効な分留を促進するために、上面スクリーンに試料を載せた後に、適切な攪拌器に固定される。いくつかの実施形態において、PHA固体は、微粉を相対的に含有せず(例えば、約10%未満、約5%未満、約2.5%未満の約0.25mm未満のサイズの累積物質)、またさらに装置内に沈降してそれにより遮断を生じる過大な物質を相対的に含有しない(例えば、10%未満、5%未満、2.5%未満の5mm超サイズの累積物質)。スクリーニング試験を用いる粒径分布を測定する適切な方法は、ASTM−D1921−01に開示されている。いくつかの実施形態において、PHAは、相対的に高い嵩密度を有する固体として、獲得されうる。例えば、上記PHAは、少なくとも約0.200キログラム(Kg)/リットル(L)もしくはKg/立法メートル(m)(例えば、少なくとも約0.200Kg/L、少なくとも約0.250Kg/L、少なくとも約0.300Kg/L、少なくとも約0.350Kg/L、少なくとも約0.400Kg/L、少なくとも約0.450Kg/L、少なくとも約0.500Kg/L、少なくとも約0.600Kg/L)の嵩密度を有しうる。嵩密度は、ASTM−D527−93に基づいたメスシリンダー中で測定されるタップ嵩密度を用いて測定されうる。
【0095】
いくつかの実施形態において、PHAは、相対的に大きな直径を有するポリマー顆粒として、獲得されうる。例えば、上記ポリマー顆粒は、少なくとも約0.5ミリメートル(mm)(例えば、少なくとも約1.0mm、少なくとも約1.5mm、少なくとも約2.0mm、少なくとも約2.5mm)の直径を有しうる。
【0096】
典型的に、沈殿したPHAは、次に、残留溶媒などの望ましくない不純物の除去を助力するために洗浄される。いくつかの実施形態において、該ポリマーは、溶媒(例えば、MIBK、メタノール、または溶媒の混合物)で洗浄されうる。通常、洗浄用の組成物は、PHAの再溶解を減少させる(例えば、最小限に抑える)および/または不純物の除去を高める(例えば、最大にする)ように選択される。
【0097】
特定の実施形態において、単離されたPHAは、アルコール(例えばメタノール)で、そして向流カスケード(例えば、相対的に純粋でないメタノールで事前工程から始めて相対的に純粋なメタノールで終える)を用いて、洗浄することにより、さらに精製されうる。いくつかの実施形態において、この洗浄工程は、不純物の洗浄および除去をさらに促進するように、高温かつ適切な滞留時間で実施されうる。一般的に、PHA濾過ケークのメタノール洗浄の全容量は、容易く再精製(例えば、濾過、活性炭、不揮発性不純物からのフラッシングまたは蒸留を用いて)、および再使用できる、相対的に非常に僅かな量を示しうる。
【0098】
典型的に、洗浄され、沈殿されたPHAは、乾燥される(例えば、約40℃〜約100℃の温度で)。乾燥は、真空下で実施されうる(例えば、残留溶媒の回収を容易にするために)。特定の実施形態において、例えば、液化押出機内に、なお溶媒を含有する沈殿したPHAを直接押出すのが、望ましい場合もある。このような押出は、例えば、ポリマーの融点に近い温度で実施されることが可能であり、その溶媒は、押出機から直接回収されうる。水は、場合により、液化押出機内に圧力下で注入されうる(例えば、残留溶媒の痕跡の有効なストリッピングおよび除去を促進するようにin−situで水蒸気を発生させるために)。ガス流(例えば、空気、COまたは水蒸気)は、場合により、押出機内に注入されうる(例えば、溶媒除去を促進するために)。押出は、例えば、資本やプロセス操作のコスト削減のために、乾燥や製品成型(例えばペレット化)操作を統合して単一のユニットにすることが可能である。
【0099】
共沸留出液は、PHA抽出溶媒およびPHA保持溶媒が再使用できるように、さらに処理されうる。例えば、PHA保持溶媒が水であり、かつPHA抽出溶媒が水と混和しない溶媒(例えば、MIBK)である実施形態において、2種の成分は、デカンテーションによって、例えば、一番下の水層から一番上のPHA抽出溶媒層に分離されうる。
【0100】
いくつかの実施形態において、バイオマスは、スラリーとして提供されうる。典型的に、スラリーは、水とバイオマスを含有する発酵ブロスを形成して、発酵ブロスから水の一部を除去することにより、提供される。水は、例えば、濾過(例えば、精密濾過、膜濾過)によりおよび/またはデカンテーションによりおよび/または遠心力を用いることにより、除去されうる。特定の実施形態において、バイオマス不純物(例、細胞壁や細胞膜不純物等)は、スラリーを提供するプロセス中に除去されうる。上記の不純物として、タンパク質、脂質(例えば、トリグリセリド、リン脂質、およびリポタンパク質)およびリポ多糖が挙げられうる。他の実施形態において、乾燥バイオマスを使用することが可能である。特定の実施形態において、上記乾燥バイオマスは、水と混合されて、スラリーを提供することが可能である。
【0101】
いくつかの実施形態において、溶媒系を加える前に、スラリーに沈殿剤を加えることにより、相対的に純粋な単離された抽出PHA(例えば、少なくとも約99%の純度、少なくとも約99.5%の純度、または少なくとも約99.9%の純度を有する)が生成されうる。適切な沈殿剤として、直鎖もしくは分岐、置換もしくは未置換アルコールおよび/またはアルカンが挙げられる。そのアルカンは、環状でも非環式でもどちらでもよい。沈殿剤として使用されうる適切なアルコールの例として、メタノール、エタノール、プロパノール、およびイソプロパノールが挙げられる。沈殿剤として使用されうる適切なアルカンの例として、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルヘプタン、ジメチルヘプタン、オクタン、メチルオクタン、およびノナンが挙げられる。本明細書に記載される沈殿剤は、市販製品から購入可能である。例えば、ソルトロール(SOLTROL)100(C9〜C11イソアルカンの混合物)は、テキサス州ヒューストンのシェブロン・フィリップ・ケミカルカンパニー(Chevron Phillips Chemical Company (Houston,TX)から入手可能である。このように得られるPHAの純度は、PHA試料を酸性条件下でブタン分解(butanolysis)して、脂質とリン脂質の脂肪酸残基とのブチルエステルだけでなくPHA単量体単位のブチルエステルを形成した後、ガスクロマトグラフィー(GC)分析(例えば、0.25μmフィルムを有する30m × 0.32mmIDのスペルコ(Supelco)24044SBP−1カラムを装備するヒューレット・パッカード社(Hewlett Packard)の5890シリーズIIGC)により、測定されうる。脂肪酸およびヒドロキシ酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、または3−ヒドロキシブチレート)の適切な標準を使用して、クロマトグラフィー応答(chromatographic response)を較正、評定、および定量化する。この方法を用いて、ポリマー含有量と不純物の含有量の両方を定量化することが可能である。無機不純物は、灰化により、定量化されうる。
【0102】
理論に拘束されることを望むものではないが、溶媒系を加える前に、PHAを含有するスラリーに沈殿剤を加えることにより、バイオマス不純物(例えば、リン脂質、天然脂質、またはリポタンパク質)の除去が容易になると考えられる。バイオマス中のPHA固体含有量が、相対的に高い(例えば、少なくとも約65%または少なくとも約75%のPHA固体の含有量を有する)場合、これは、特に有利となる。
【0103】
スラリーをさらに化学的に前処理して、相対的に純粋に単離された抽出PHA(例えば、少なくとも約99%または少なくとも約99.5%の純度を有する)を得ることが可能である。例えば、溶媒系を加える前に、塩基性物質(例、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化アンモニウム等)で、上記スラリーを処理して、弱い苛性混合物(例えば、約8.5〜約10、約8.5〜約9、約9〜約9.5、または約9.5〜約10のpHを有する)の形成後、中和する。スラリーを化学的に前処理する間に、その温度は、上昇し(例えば室温〜約95℃の任意の温度に)、そして他の適切な化学物質(例、界面活性剤、洗浄剤、および/または酵素等)を添加して、相対的に純粋に単離された抽出PHAの生成がさらに促進されうる。適切な界面活性剤および洗浄剤として、陰イオン界面活性剤(例えば、硫酸ドデシルナトリウム)および非イオン界面活性剤(例えば、ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ社(Sigma Aldrich)(St.Louis,MO)から入手可能なTWEEN20およびTWEEN80およびデラウェア州ニューキャッスルのユニケマ社(Uniqema(New Castle,DE))から入手可能なHYPERMER CG−6)が挙げられる。適切な酵素として、リパーゼ(例えば、デンマークのバウスヴェアのノバザイム社(Novazymes(Bagsvaerd,Denmark)から入手可能なLIPOLASEまたはLIPEX)、ホスホリパーゼ(例えば、デンマークのバウスヴェアのノバザイム社(Novazymes(Bagsvaerd,Denmark)から入手可能なLECITASE)、ヌクレアーゼ(例えば、ニューヨーク州ホーソンのE.M.インダストリー社(E.M.Industries(Hawthorne NY))から入手可能なBENZONASE)、プロテアーゼ(例えば、カリフォルニア州パロアルトのジェネンコア社(Genencor(Palo Alto,CA)から入手可能なPROTEX 6Lおよびデンマークのバウスヴェアのノバザイム社(Novazymes(Bagsvaerd,Denmark)から入手可能なALCALASE、およびリゾチーム(例えば、カナダのブリティッシュコロンビアのイノバテック社(Inovatech Inc.(British Columbia,Canada))から入手可能なエッグホワイトリゾチーム)が挙げられる。いくつかの実施形態において、錯化剤および金属イオン遮閉剤(例、クエン酸およびEDTA等)を使用して、不純物の除去をさらに促進することも可能である。
【0104】
理論に拘束されることを望むものではないが、溶媒系を加える前に、スラリーを化学処理する(例えば、塩基性物質を用いて弱い苛性混合物を形成する)ことにより、バイオマス中に存在する不純物(例えば、脂質、リン脂質、またはリポタンパク質)の除去を促進すると考えられる。バイオマス中のPHA固体含有量が、相対的に高い(例えば、少なくとも約65%または少なくとも約75%のPHA固体含有量を有する)場合、これは、特に有利となりうる。
【0105】
いくつかの実施形態において、スラリーは、約15重量%〜約40重量%(例えば、約25重量%〜約35重量%)の固体含有量(例えば、スラリーの総湿重量に対するそのPHA含有量を含む乾燥バイオマス重量)を有する。
【0106】
バイオマスのPHA含有量(例えば、重量%を基準として、ポリマー含有量を含む乾燥バイオマスのPHA含有量)は、所望通りに変更できる。一例として、バイオマスが微生物由来である実施形態において、バイオマスは、少なくとも約50重量%(例えば、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%)のPHA含有量を有することが可能である。別の例として、バイオマスが植物由来である実施形態において、バイオマスは、約50重量%未満(例えば、約40重量%未満、約30重量%未満、約20重量%未満)のPHA含有量を有することが可能である。
【0107】
バイオマスは、1種または複数種の構成単位(entities)から形成されうる。上記の構成単位として、例えば、PHAを生成するための微生物菌株(例えば、アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)(ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)と改名)、アルカリゲネス・レータス(Alcaligenes latus)、アゾトバクター(Azotobacter)、アエロモナス(Aeromonas)、コマモナス(Comamonas)、シュードモナドス(Pseudomonads))、PHAを生成するための遺伝子改変生物(例えば、シュードモナス(Pseudomonas)、ラルストニア(Ralstonia)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、クレブシエラ(Klebsiella))、PHAを生成するための酵母菌、およびPHAを生成するためのプラントシステムが挙げられる。上記の構成単位は、例えば、リー(Lee)著「バイオテクノロジーとバイオエンジニアリング(Biotechnology & Bioengineering)49巻、1−14頁(1996年)」、ブラウネッグ(Braunegg)ら著(1998年)、「ジャーナル・バイオテクノロジー(J.Biotechnology)65巻、127−161頁」、マディソンおよびユイスマン(Madison and Huisman)、1999年、およびスネルおよびピープル(Snell and Peoples)、2002年、「代謝工学(Metabolic Engineering)、4巻、29−40頁」に開示され、それらは、参照により本明細書に援用されている。
【0108】
バイオマスが微生物細胞を含有する実施形態において、バイオマスに含有される微生物細胞のサイズは、所望通りに変更できる。一般的に、微生物細胞(例えば、細菌細胞)は、少なくとも約0.2ミクロン(例えば、少なくとも約0.5ミクロン、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約3ミクロン、少なくとも約4ミクロン、少なくとも約5ミクロン)のサイズを伴う少なくとも1つの寸法を有する。特定の実施形態において、バイオマス中に相対的に大型の微生物細胞(例えば、相対的に大型の細菌細胞)を使用することは、バイオマスの分離を促進し、バイオマススラリーを形成することが可能であるので、有利でありうる。
【0109】
一般的に、PHAは、1種または複数種のモノマー単位の重合(例えば、酵素的重合)により、形成される。上記のモノマー単位の例として、例えば、3−ヒドロキシブチレート、グリコール酸、3−ヒドロキシプロピオネート、3−ヒドロキシバレレート、3−ヒドロキシヘキサノエート、3−ヒドロキシヘプタノエート、3−ヒドロキシオクタノエート、3−ヒドロキシノナオエート、3−ヒドロキシデカノエート、3−ヒドロキシドデカノエート、3−ヒドロキシドデセノエート、3−ヒドロキシテトラデカノエート、3−ヒドロキシヘキサデカノエート、3−ヒドロキシオクタデカノエート、4−ヒドロキシブチレート、4−ヒドロキシバレレート、5−ヒドロキシバレレート、および6−ヒドロキシヘキサノエートが挙げられる。
【0110】
いくつかの実施形態において、PHAは、化学式−OCR(CRCO−[式中、nは、0または整数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15等)である]を有する少なくとも1種のモノマー単位を有する。R、R、RおよびRの各々は、水素原子、飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、置換された基(例えば、置換炭化水素基)または未置換基(例えば、未置換の炭化水素基)である。置換された基の例として、ハロ置換された基(例えば、ハロ置換された炭化水素基)、ヒドロキシ置換された基(例えば、ヒドロキシ置換された炭化水素基)、ハロゲン基、窒素置換された基(例えば、窒素置換された炭化水素基)および酸素置換された基(例えば、酸素置換された炭化水素基)が挙げられる。置換された基として、例えば、置換された飽和炭化水素基および置換された不飽和炭化水素基が挙げられる。Rは、R、RおよびRの各々と同じであるかもしくは異なる。Rは、R、RおよびRの各々と同じであるかもしくは異なる。Rは、R、RおよびRの各々と同じであるかもしくは異なり、Rは、R、RおよびRの各々と同じであるかもしくは異なる。
【0111】
いくつかの実施形態において、PHAは、2種以上の異なるモノマー単位を含有する共重合体である。上記の共重合体の例として、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシバレレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−6−ヒドロキシヘキサノエート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシデカノエート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシドデカノエート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート−コ−3−ヒドロキシデカノエート、ポリ−3−ヒドロキシデカノエート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート、およびポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタデカノエートが挙げられる。
【0112】
特定の実施形態において、PHAは、ホモポリマーである。上記のホモポリマーの例として、ポリ−4−ヒドロキシブチレート、ポリ−4−ヒドロキシバレレート、ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシヘキサノエート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシオクタノエート、ポリ−3−ヒドロキシデカノエートおよびポリ−3−ヒドロキシドデカノエートが挙げられる。
【0113】
PHAは、少なくとも約500ダルトン(例えば、少なくとも約10,000ダルトン、少なくとも約50,000ダルトン)および/または約2,000,000ダルトン未満(例えば、約1,000,000ダルトン未満、約800,000ダルトン未満)のポリスチレン当量の重量平均分子量を有しうる。本明細書に用いる重量平均分子量は、例えば、PHA試料用の溶離液と希釈剤の両方としてクロロホルムを用いるゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される。分子量を測定するための検量線は、ポリスチレン分子量標準を用いて、生成されうる。
【0114】
一般的に、バイオマスに加えられるPHA抽出溶媒の量は、所望通りに変更できる。特定の実施形態において、遠心分離後に、PHA相が約10重量%未満(例えば、約8重量%未満、約6重量%未満、約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満)のPHA固体含有量を有するように、PHA抽出溶媒の量が、バイオマスに加えられる。
【0115】
特定の実施形態において、PHAは、ポリ−3−ヒドロキシブチレート共重合体(例えば、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシバレレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエートおよび/またはポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート−コ−3−ヒドロキシデカノエート−コ−3−ヒドロキシドデカノエート)であり、モノマー単位の大部分は、3−ヒドロキシブチレートであり(例えば、少なくとも約50%のモノマー単位が、3−ヒドロキシブチレートであり、少なくとも約60%のモノマー単位が、3−ヒドロキシブチレートである)、候補PHA抽出溶媒は、ケトン、エステルまたは少なくとも4個の炭素原子を有するアルコールから選択されてもよく、そして候補PHA保持溶媒は、アルカン、メタノール、エタノール、または水から選択されてもよい。いくつかの実施形態において、PHAが、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレートである場合、PHA抽出溶媒は、MIBK、酢酸ブチル、およびシクロヘキサノンでありうる。いくつかの実施形態において、PHAが、PHB、ポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート、またはポリ−3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエートである場合、PHA抽出溶媒は、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、またはMIBKとシクロヘキサノンの混合物でありうる。一般的に、PHA抽出溶媒が約100℃を超える沸点を有すケトンおよびエステルを含む場合、PHA保持溶媒は、水でありうる。
【0116】
PHAがポリ−3−ヒドロキシオクタノエートであるいくつかの実施形態において、候補PHA抽出溶媒は、ケトン、エステル、少なくとも4個の炭素原子を有するアルコール、またはアルカン(例えば、ヘキサン)から選択されてもよく、候補PHA保持溶媒は、メタノール、エタノール、または水から選択されてもよい。
【0117】
特定の実施形態において、バイオマスとPHA抽出溶媒との接触は、PHA相に移動した相対的に多量のPHA抽出溶媒を用いて、実施されうる。例えば、いくつかの実施形態において、バイオマスと接触した溶媒の量に対するPHA相中の回収されたPHA抽出溶媒の量の比は、少なくとも約0.8(例えば、0.85、少なくとも約0.9、少なくとも約0.95、少なくとも約0.98、少なくとも約0.99)である。いくつかの実施形態において、相対的に多量のPHA抽出溶媒は、バイオマスからポリマー(例えば、PHA)を分離する間に、例えば、向流条件を用いて、PHA相に移動されうる。
【0118】
特定の実施形態において、バイオマスとPHA抽出溶媒との接触は、残留バイオマス相に移動した相対的に少量のPHA抽出溶媒を用いて、実施されうる。例えば、いくつかの実施形態においてバイオマスと接触した溶媒の量に対する残留バイオマス相中の回収されたPHA抽出溶媒の量の比は、約0.2以下(例えば、約0.15以下、約0.1以下、約0.05以下、約0.02以下、約0.01以下)である。いくつかの実施形態において、相対的に少量のPHA抽出溶媒は、バイオマスからポリマー(例えば、PHA)を分離する間に、例えば、向流条件を用いて、残留バイオマス相に移動される。
【0119】
一般的に、PHA抽出溶媒とバイオマスとを含有する混合物を加熱して、PHA抽出溶媒とPHAの相互作用を高め、それにより、バイオマスからPHAを除去させる。
【0120】
一般的に、攪拌中のPHA抽出溶媒とバイオマスの温度は、所望通りに変更できる。いくつかの実施形態において、上記温度は、約160℃未満(例えば、約125℃未満、約95℃未満、約65℃未満)および/または少なくとも約20℃である。特定の実施形態において、上記温度は、周囲温度〜約95℃(例えば、約40℃〜約80℃、約60℃〜約70℃)である。特定の実施形態において、圧力は、高温での抽出を容易にするように、大気圧よりも大きく(例えば1気圧よりも大きく、最大20気圧まで)に調節されうる。
【0121】
一般的に、PHA抽出溶媒とバイオマスを攪拌する場合に使用される剪断力は、所望通りに変更できる。特定の実施形態において、PHA抽出溶媒とバイオマスは、溶解時間が短縮されるようにかき回すことにより、攪拌される。いくつかの実施形態において、溶解を助力するように、高剪断インペラと攪拌機(例えば、6翼のラシュトン(Rushton)タービンなどの平面翼型インペラ)は、例えば、約5メートル/秒以上(例えば、約10メートル/秒まで)の先端速度で使用されうる。特定の実施形態において、低い断面翼(profile blade)を有する高速度分散機は、例えば、約10メートル/秒以上(例えば約15メートル/秒以上、約20メートル/秒〜約25メートル/秒)の先端速度で、使用されうる。典型的に、高速度分散機は、低い断面翼または鋸の波状先端を有する翼を有し、増速した先端速度で高剪断を生み出す。特定の実施形態において、溝付固定子内を回転する、高速度回転子間の隙間内に、相対的に高剪断(例えば、約50メートル/秒までの先端速度)を生成する回転子/固定子系が使用される。一般的に、回転子および固定子の形状や寸法は、個々の適用に適合するように変更することが可能であり、多種のデザインが市販されている。
【0122】
一般的に、PHA抽出溶媒とバイオマスは、混合物の遠心分離試料が所望のPHA固体含有量を伴うPHA相を有するまで、攪拌される。いくつかの実施形態において、PHA抽出溶媒とバイオマスは、約3時間未満(例えば、約2時間未満)および/または少なくとも約1分(例えば、少なくとも約10分、少なくとも約30分)間、攪拌される。
【0123】
特定の実施形態において、PHA相は、PHA相中に溶解したPHAに対して約0.5重量%未満(例えば、約0.25重量%未満、約0.1重量%未満)のバイオマスを含有する。
【0124】
いくつかの実施形態において、バイオマス相は、最初に存在したPHA抽出溶媒を約25重量%未満(例えば、約20重量%未満、約15重量%未満)含有し、および/または最初に存在したPHA抽出溶媒を少なくとも約1重量%(例えば、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%)含有する。
【0125】
いくつかの実施形態において、PHA相は、相対的に低い粘性を有する。例えば、この相は、約100センチポアズ未満(例えば、約75センチポアズ未満、約50センチポアズ未満、約40センチポアズ未満、約30センチポアズ未満)の粘性を有しうる。理論に拘束されることを望むものではないが、PHA相が相対的に低い粘性を有するようにPHA相を調製することは、残留バイオマス相からPHA相を相対的に良好に分離する結果となると考えられる。具体的には、遠心分離中に相が分離する割合は、PHA相の粘性に反比例し、その結果、所与の遠心分離時間に対して、PHA相の粘性を低下させることにより、PHA相がより高い粘性を有する特定の系と比較して、相の分離が改善されると考えられている。
【0126】
特定の実施形態において、PHA相は、相対的に高いポリマー濃度を有する。例えば、PHA相は、少なくとも約2%(例えば、少なくとも約2.5%、少なくとも約3%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4%、少なくとも約4.5%、少なくとも約5%)のポリマー濃度を有しうる。
【0127】
いくつかの実施形態において、バイオマスからのポリマー(例えば、PHA)の分離は、1段階プロセスを用いて、実施されうる。一般的に、1段階プロセスは、バイオマスからポリマーを分離する間に、1回だけの遠心分離工程を用いるプロセスである。一般的に、多段階のプロセスは、バイオマスからポリマー(例えば、PHA)を分離する間に、2回以上の遠心分離工程を用いるプロセスを意味する。例えば、図1においてプロセスで形成された残留バイオマスは、処理されて、そして最終的に遠心分離され、それにより、2段階プロセスを作り出す。
【0128】
遠心力を利用する各種の装置を使用できる。一例として、いくつかの実施形態において、ディスクスタック(例えば、ニュージャージー州ノースベールのウエストファリアセパレーターUS社(Westfalia Separator US,Northvale,NJ)から入手可能であるモデルSC−6)を用いて、遠心分離を実施する。特定の実施形態において、デカンター(例えば、ニュージャージー州ノースベールのウエストファリアセパレーター(Westfalia Separator US),Northvale,NJ)から入手可能なモデルCA−220)を用いて、遠心分離を実施する。いくつかの実施形態において、ハイドロサイクロン(hydroclone)を用いることが可能である。他の実施形態において、CINC分離機(例えばテキサス州ヒューストンのコスナー・インダストリーズ(Costner Industries,Houston,TX)から入手可能CINCモデルV−02)を使用できる。
【0129】
特定の実施形態において、向流遠心抽出器(例えば、ポドビールニアク(Podbielniak)遠心抽出器、ルウェスタ(Luwesta)遠心抽出器、ウエストファリア(Westfalia)向流デカンター、テイラー・クエット(Taylor−Couette)遠心抽出器)を使用できる。一般的に、向流遠心抽出器は、2つ(もしくは可能ならばそれ以上)の液体流を互いに接触させることにより、使用される。一方の流(溶媒流)は、溶媒中で相対的に豊富な液体流として始まる。別の流(バイオマス流)は、PHA中で相対的に豊富な液体流として始まる。溶媒中で最も豊富な溶媒流の一部が、PHA中で最も乏しいバイオマス流の一部に接触するように(バイオマス流からのPHAの回収を高める(例えば、最適にする)ために)、および/またはPHA中で最も豊富であるバイオマス流の一部が、PHAを最も含んだ溶媒流の一部に接触するように(溶媒流中のPHAの濃度を高める(例えば、最適にする)ために)、2つの流は、向流条件下で、互いに接触する。特定の実施形態において、これは、バイオマス流と逆に溶媒流を流すことにより(逆流条件)、達成される。向流遠心抽出器は、例えば、ミシガン州サギノーのB&Pプロセス・エクイップメント(Process Equipment(Saginaw,MI))およびクアドロニックス(Quadronics)から入手可能である。市販の向流遠心抽出器の例として、ポドビールニアク(Podbielniak)A−1向流遠心抽出器(B&Pプロセス・エクイップメント)およびポドビールニアク(Podbielniak)B−10向流遠心抽出器(B&Pプロセス・エクイップメント)が挙げられる。
【0130】
一般的に、遠心分離に用いる条件(例えば、力、時間)は、所望通りに変更できる。
【0131】
ディスクスタックを用いるいくつかの実施形態において、遠心分離は、少なくとも約5,000RCF(相対遠心力)(例えば、少なくとも約6,000RCF、少なくとも約7,000RCF、少なくとも約8,000RCF)および/または約15,000RCF未満(例えば、約12,000RCF未満、約10,000RCF未満)を用いて、実施されうる。デカンターを用いる特定の実施形態において、遠心分離は、少なくとも約1,000RCF(例えば、少なくとも約1,500RCF、少なくとも約2,000RCF、少なくとも約2,500RCF)および/または約5,000RCF未満(例えば、約4,000RCF未満、約3,500RCF未満)を用いて、実施されうる。向流遠心抽出器を使用する特定の実施形態において、遠心分離は、少なくとも約1,000RCF(例えば、少なくとも約1,500RCF、少なくとも約2,000RCF、少なくとも約2,500RCF)および/または約5,000RCF未満(例えば、約4,000RCF未満、約3,500RCF未満)を用いて、実施されうる。
【0132】
ディスクスタックを用いるいくつかの実施形態において、遠心分離は、約1時間未満(例えば、約30分未満、約10分未満、約5分未満、約1分未満)および/または少なくとも約10秒(例えば、少なくとも約20秒、少なくとも約30秒)の間、実施されうる。デカンターを用いる特定の実施形態において、遠心分離は、約1時間未満(例えば、約30分未満、約10分未満、約5分未満、約1分未満)および/または少なくとも約10秒(例えば、少なくとも約20秒、少なくとも約30秒)の間、実施されうる。向流遠心抽出器を用いる特定の実施形態において、遠心分離は、約1時間未満(例えば、約30分未満、約10分未満、約5分未満、約1分未満)および/または少なくとも約10秒(例えば、少なくとも約20秒、少なくとも約30秒)の間、実施されうる。
【0133】
バイオマスからPHAを抽出する方法は、共有の米国特許出願第10/265,861号明細書(2003年7月23日出願、「ポリマー抽出方法(Polymer Extraction Methods)」と題する)に記載され、それらは、本明細書に参照により援用されている。
【0134】
特定の実施形態において、プロセス(またはプロセスの一部)は、連続および/またはインライン法で実施されうる。一例として、プロセスには、溶解のためのインライン回転子/固定子プロセス、および/またはPHAの沈殿のためのインライン回転子/固定子プロセスおよび/または溶媒を除去してPHA固体(例えばペレット)を形成するためのインライン液化押出機(例えば、ニュージャージー州ラムゼーのコペリオン社(Coperion Corporation,Ramsey,NJ)により供給されるワーナー・アンド・フライダー(Werner and Pfleiderer)ZSK押出機)が含まれうる。
【0135】
いくつかの実施形態において、プロセスは、相対的に有効な方法で、PHA抽出溶媒および/またはPHA保持溶媒を使用する。例えば、最初に使用される溶媒の少なくとも約90容量%(例えば、少なくとも約95容量%、少なくとも約97容量%、少なくとも約98容量%)が、再使用のために回収されることが可能である。
【0136】
以下の実施例は、例示であって、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0137】
実施例1
80℃でMIBKと接触させて、11%の4HBコモノマー分と共に80%PHB−コ−4HBを含有する30%の洗浄した乾燥固体を含有する大腸菌(E.coli)細胞ペーストを抽出し、遠心分離により分離して、4%の溶解したポリマーを含有する溶液を得た。この溶液の総計100mLを12インチ18ゲージの針を有するガラス注射器用いて、2mL/分の速度で、2Lのバッフル付きの丸底フラスコに徐々に注入した。フラスコは、30℃、80mbarの真空下で、1Lの沸騰DI水を含有した。フラスコには、50mmの直径、45°、テフロンピッチ翼型インペラを取り付けた攪拌機が装備されている。IKAユーロスター(Eurostar)オーバーヘッド攪拌機用いて、300rpmで、含有物を攪拌した。
【0138】
留出液を収集する速さにほぼ一致する2mL/分の速度で、溶液を注入した。溶媒を凝縮して、75mLのMIBKを回収した。残留溶媒を、水中に溶解させるか或いは真空ポンプで取り除いた。結果として、約0.5〜2.0mm径のポリマー顆粒の懸濁液を得た。濾過により、総計6.3gの湿潤ポリマーを収集し、ほとんど残留溶媒の臭いがしない3.7gの乾燥ポリマー(58.7%固体)を得た。乾燥嵩密度を測定し、ヘキサンまたはヘプタンの非溶媒中にポリマーを沈殿させた場合に得られる0.125Kg/Lよりもかなり高い0.450Kg/Lであった。
【0139】
実施例2
実施例1からの沈殿したポリマーの試料を、温メタノールを用いて、攪拌ビーカー内で、40℃で20分間洗浄した後、真空中で乾燥させた。実施例1からの乾燥した試料を用いて、フィルムを加圧し、カーバープレス(Carver Press)を用いる185℃でのメタノール洗浄工程後、試料を乾燥させた。結果を表1に示す。
【0140】
【表1】

【0141】
他の実施形態は、特許請求の範囲に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】PHAを含有するバイオマスからPHAを抽出する方法の実施形態のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PHAを単離する方法であって、前記方法が、
PHA、第一溶媒および第二溶媒を混合して、混合体を形成する工程であって、前記第一溶媒が、前記第二溶媒と共沸混合物を形成することが可能である工程と、
前記第一溶媒と前記第二溶媒の共沸混合物を形成するように前記混合体を加熱する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記第一溶媒が、MIBK、酢酸ブチル、酢酸エチル、シクロペンタノン、およびシクロヘキサノンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二溶媒が、水を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第二溶媒が、水を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記混合体を加熱することは、前記混合体から前記第一溶媒をほぼ除去する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記共沸混合物が、前記第一溶媒の沸点より低くかつ前記第二溶媒の沸点よりも低い温度で形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記PHAの顆粒を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記PHA顆粒が、少なくとも約0.25Kg/mの嵩密度を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
加熱の前に、前記方法が、
前記PHAと前記第一溶媒を混合して、第一混合体を形成する工程と、
前記第一混合体を前記第二溶媒と混合して、前記混合体を形成する工程と、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
PHAを単離する方法であって、前記方法が、
PHA、第一溶媒および第二溶媒を混合して、混合体を形成する工程であって、前記第一溶媒が、前記第二溶媒と共沸混合物を形成することが可能である工程と、
前記混合体を形成後、前記PHAの顆粒を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項11】
前記PHAの前記顆粒が、少なくとも約0.25Kg/mの嵩密度を有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第一溶媒が、MIBK、酢酸ブチル、酢酸エチル、シクロペンタノン、およびシクロヘキサノンからなる群から選択される請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第二溶媒が、水を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第二溶媒が、水を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記混合体を加熱することは、前記混合体から前記第一溶媒をほぼ除去する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記共沸混合物が、前記第一溶媒の沸点より低くかつ前記第二溶媒の沸点よりも低い温度で形成する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記PHA顆粒を形成する前に、前記方法が、
前記混合体を加熱して前記第一溶媒をほぼ除去し、それによって、前記PHAと前記第二溶媒を含む第二混合体を形成する工程と、
前記第二混合体の温度を減少させる工程と、
を含む請求項10に記載の方法。
【請求項18】
加熱する前に、前記方法が、
前記PHAと前記第一溶媒を混合して、第一混合体を形成する工程と、
前記第一混合体を前記第二溶媒と混合して、前記混合体を形成する工程と、
を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
PHAを単離する方法であって、前記方法が
PHA、第一溶媒および第二溶媒を混合して、混合体を形成する工程であって、前記第一溶媒が、前記第二溶媒よりも高い沸点を有する工程と、
前記混合体を前記第二溶媒の沸点より低い温度まで加熱して前記混合体から少なくともいくらかの前記PHAを除去する工程と、
を含む方法。
【請求項20】
前記第一溶媒が、MIBK、酢酸ブチル、酢酸エチル、シクロペンタノン、およびシクロヘキサノンからなる群から選択される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第二溶媒が、水を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第二溶媒が、水を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第一溶媒が、前記第二溶媒と共沸混合物を形成することが可能である、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記混合体を加熱することは、前記第一溶媒と第二溶媒の前記共沸混合物を形成する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記PHAの顆粒を形成することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記PHA顆粒が、少なくとも約0.25Kg/mの嵩密度を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
加熱の前に、前記方法が、
前記PHAと前記第一溶媒を混合して、第一混合体を形成する工程と、
前記第一混合体を前記第二溶媒と混合して、前記混合体を形成する工程と、
を含む請求項19に記載の方法。
【請求項28】
PHAを単離する方法であって、前記方法が、
PHA、第一溶媒および第二溶媒を混合して、混合体を形成する工程であって、前記第一溶媒が、前記第二溶媒よりも高い沸点を有する工程と、
前記混合体を前記第二溶媒の沸点より低い温度まで加熱して前記混合体からほぼ前記第一溶媒を除去する工程と、
を含む方法。
【請求項29】
前記第一溶媒が、MIBK、酢酸ブチル、酢酸エチル、シクロペンタノン、およびシクロヘキサノンからなる群から選択される請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第二溶媒が、水を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第二溶媒が、水を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記第一溶媒が、前記第二溶媒と共沸混合物を形成することが可能である、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記混合体を加熱することは、前記第一溶媒と前記第二溶媒の前記共沸混合物を形成する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記PHAの顆粒を形成することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記PHA顆粒が、少なくとも約0.25Kg/mの嵩密度を有する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
加熱の前に、前記方法が、
前記PHAと前記第一溶媒を混合して、第一混合体を形成する工程と、
前記第一混合体を前記第二溶媒と混合して、前記混合体を形成する工程と、
を含む請求項28に記載の方法。
【請求項37】
PHAを単離する方法であって、前記方法が、
前記PHA、第一溶媒および第二溶媒を混合して、混合体を形成する工程であって、前記第一溶媒が、前記第二溶媒と共沸混合物を形成することが可能である工程と、
前記混合体を加熱して、前記第一溶媒と前記第二溶媒とを含む混合蒸気を形成する工程と、
前記混合蒸気を凝縮して第一および第二相を含む液体を形成する工程であって、前記液体の第一相が、前記第一溶媒をほとんど含有せず、前記液体の第二相が、前記第二溶媒をほとんど含有しない工程と、
を含む方法。
【請求項38】
前記第一溶媒が、MIBK、酢酸ブチル、酢酸エチル、シクロペンタノン、およびシクロヘキサノンからなる群から選択される請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記第二溶媒が、水を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第二溶媒が、水を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記混合体を加熱することは、前記混合体から前記第一溶媒をほぼ除去する、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記第一溶媒と前記第二溶媒との前記共沸混合物が、前記第一溶媒の沸点より低くかつ前記第二溶媒の沸点よりも低い温度で形成する、請求項37に記載の方法。
【請求項43】
前記PHAの顆粒を形成することをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項44】
前記PHA結晶が、少なくとも約0.25Kg/mの嵩密度を有する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
加熱の前に、前記方法が、
前記PHAと前記第一溶媒を混合して、第一混合体を形成する工程と、
前記第一混合体を前記第二溶媒と混合して、前記混合体を形成する工程と、
を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
PHAを単離する方法であって、前記方法が、
PHA、第一溶媒および第二溶媒を混合して、混合体を形成する工程であって、前記第一溶媒が、前記第二溶媒よりも高い沸点を有する工程と、
前記混合体を加熱して、前記第一溶媒と前記第二溶媒とを含む混合蒸気を形成する工程と、
前記混合蒸気を凝縮して第一および第二相を含む液体を形成する工程であって、前記液体の前記第一相が、前記第一溶媒をほとんど含有せず、前記液体の前記第二相が、前記第二溶媒をほとんど含有しない工程と、
を含む方法。
【請求項47】
前記第一溶媒が、MIBK、酢酸ブチル、酢酸エチル、シクロペンタノン、およびシクロヘキサノンからなる群から選択される請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第二溶媒が、水を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第二溶媒が、水を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記第一溶媒が、前記第二溶媒と共沸混合物を形成することが可能である、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記混合体を加熱することが、前記第一溶媒と第二溶媒の前記共沸混合物を形成する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記混合体が、前記第一溶媒の沸点よりも低くかつ前記第二溶媒の沸点よりも低い温度まで加熱される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記混合体が、前記第一溶媒の沸点よりも低くかつ前記第二溶媒の沸点よりも低い温度まで加熱される、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記PHAの顆粒を形成することをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項55】
前記PHA結晶が、少なくとも約0.25Kg/mの嵩密度を有する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
加熱の前に、前記方法が、
前記PHAと前記第一溶媒を混合して、第一混合体を形成する工程と、
前記第一混合体を前記第二溶媒と混合して、前記混合体を形成する工程と、
を含む請求項46に記載の方法。
【請求項57】
PHAを単離する方法であって、前記方法が、
前記PHA、第一溶媒、第二溶媒、および第三溶媒を混合して、混合体を形成する工程であって、前記第一溶媒および前記第二溶媒が、前記第三溶媒と共沸混合物を形成することが可能である工程と、
前記混合体を形成後、前記PHAの顆粒を形成する工程と、
を含む方法。
【請求項58】
前記混合体を加熱することが、前記混合体から前記第一溶媒および前記第二溶媒をほぼ除去する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記混合体を加熱することが、前記第一溶媒と、前記第二溶媒と、前記第三溶媒との三元共沸混合物を形成する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記混合体を加熱することが、前記第一溶媒と前記第三溶媒との二元共沸混合物および前記第二溶媒と前記第三溶媒との二元共沸混合物を形成する、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記共沸混合物が、前記第一溶媒の沸点より低く、前記第二溶媒の沸点より低く、かつ前記第三溶媒の沸点より低い温度で形成する、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記共沸混合物が、前記第一溶媒の沸点より低く、前記第二溶媒の沸点より低く、かつ前記第三溶媒の沸点より低い温度で形成する、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記第一溶媒が、MIBK、酢酸ブチル、酢酸エチル、シクロペンタノン、およびシクロヘキサノンからなる群から選択される請求項57に記載の方法。
【請求項64】
前記第一溶媒が、MIBKである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記第一溶媒が、前記第二溶媒と混和性である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記第一溶媒に対する前記第二溶媒の比が、約0.10未満である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記PHAが、20℃で、前記PHAの約0.2%未満の、前記第二溶媒中での溶解度を有する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記第二溶媒が、n−ヘプタンを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記第三溶媒が、水を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記第三溶媒が、水を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項71】
前記PHAの顆粒が、少なくとも約0.25Kg/mの嵩密度を有する、請求項57に記載の方法。
【請求項72】
前記PHA顆粒を形成する前に、前記方法が、
前記混合体を加熱して、前記第一溶媒と前記第二溶媒をほぼ除去して、それによって、前記PHAと前記第三溶媒を含む第二混合体を形成する工程と、
前記第二混合体の温度を下げる工程と、
を含む請求項57に記載の方法。
【請求項73】
加熱する前に、前記方法が、
前記PHAと、前記第一溶媒と、前記第二溶媒とを混合して、第一混合体を形成する工程と、
前記第一混合体を前記第三溶媒と混合して、前記混合体を形成する工程と、
を含む請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記方法が、さらに
前記混合体を加熱して、前記第一、第二、および第三溶媒を含む混合蒸気を形成する工程と、
前記混合蒸気を凝縮して、第一および第二相を含む液体を形成する工程であって、前記液体の前記第一相が、前記第一溶媒と第二溶媒をほとんど含有せず、前記液体の前記第二相が、前記第三溶媒をほとんど含有していない工程と、
を含む請求項57に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−512552(P2008−512552A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531250(P2007−531250)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/031624
【国際公開番号】WO2006/031492
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(505045469)メタボリックス インコーポレイティッド (7)
【Fターム(参考)】