説明

単一画面タッチパネルを持つポータブル・イメージング・システム

【課題】ポータブル・イメージング・システム及び該システムを使用したイメージング方法を提供する。
【解決手段】ポータブル・イメージング・システム(90)は、画像(96)を表示するように構成されている第1の部分(94)と、タッチ式ユーザ・インターフェースとして構成されている第2の部分(98)とを有する単一パネル表示装置(92)を含んでいる。本システム(90)はまた、共通に使用される機能を遂行するのに役立つように構成されている1つ以上のボタン(122,124,126,128,130,132,134)を有する制御器部分(120)を含む。イメージング方法は、前記イメージング・システムの単一パネル表示装置の第1の部分上に画像を表示する段階と、タッチ式ユーザ・インターフェース上の制御器を使用して画像を操作する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に云えば、診断用イメージング方法及び装置に関するものであり、より具体的には、診断用イメージング装置のためのユーザ・インターフェースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
診断用イメージングは患者管理の主要な面に現れている。診断用イメージング期間中に得られた医学的画像は、患者の内部器官、組織、骨及び他の解剖学的領域の解剖学的断面を観察するための非侵襲性手段を臨床医に与えるツールとして発展した。より具体的に述べると、医学的画像は、例えば、臨床医が病状の診断、適当な治療法の選択肢の決定及び/又は治療効果の監視を行うのに役立つ。理解されるように、医学的画像は、これに限定するものではないが、コンピュータ断層撮影(CT)イメージング、超音波イメージング、磁気共鳴(MR)イメージング、ディジタル・マンモグラフィ、X線イメージング、核医学イメージング、又はポジトロン放出型断層撮影(PET)イメージングのような、広範なイメージング・モダリティにより得ることができる。
【0003】
超音波イメージング(超音波走査又はソノグラフィとも呼ばれる)は、比較的安価で且つ放射線の無いイメージング・モダリティである。理解されるように、超音波は、典型的には、非侵襲性イメージングに用いられていて、X線を用いずに多数の気管及び病状の診断に用いられることが多くなってきている。更に、妊娠及び出産を誘導するための現代の産科医療は、胎児及び子宮の詳細な画像を提供するために超音波に大きく依存していることが知られている。更に、超音波はまた腎臓、肝臓、膵臓、心臓、並びに頸部及び腹部の血管を診察するために広く使用されている。より最近では、超音波イメージング及び超音波血管撮影が、心臓疾患、心臓発作、脳卒中、及び発作の原因となることのある血管疾患の検出、診断及び治療においてより大きな役割を果たしている。また、超音波は、胸部をイメージングし且つ乳癌の生体検査を誘導するためにも益々使用されている。
【0004】
更に、超音波イメージング・システムのような診断用イメージング・システムは、典型的には、走査動作を制御するためにユーザ・インターフェースを使用し且つ走査している画像を観察するために表示スクリーンを使用することを含む。典型的には、これらのイメージング・システムは別々のコンソール及び表示スクリーンを含む。しかしながら、理解されるように、イメージング・システムによっては、表示スクリーンに隣接して複数のボタンを備えた箱形又はタブレット形スキャナが含まれている。いずれかの実施形態では、表示装置及びコンソールは一般に、イメージング・システムを形成するために一緒に結合することのできる別々の構成部品である。
【0005】
超音波イメージング・システムの場合、プローブのような画像取得装置によって生成される画像を観察するために表示スクリーンが使用される。最近では、超音波イメージング・システムは、化学薬品又は流体の飛沫に対して何らの他の保護を設けていないプラスチックのフレームを持つフラットパネルであることが多いスクリーンを含むことが知られている。更にまた、多数の構成部品を使用したイメージング・システムにおいて、構成部品を一緒に接合する部品ライン又は継ぎ目があり、これらは、診断用イメージング・システムを用いることのできる医学的環境内で感染症及び/又は細菌による汚染の危険性を増大させる。同様な汚染の危険性が、診断用イメージング・システムの一部であるキーパッド、機械的ボタン、トラックボール及びタッチパッドの周囲に生じる。
【0006】
全ての構成部品の間の継ぎ目を清浄にすることは、臨床医が細部まで丁寧に毎日行うことを必要とするような煩わしい仕事である。しかしながら、血液及び他の体液の小さな飛沫は目に見えないことがあるので、機器を完全に清浄化できない危険性がある。この問題を改善するために、コンソール及びキーボードの上に被せることのできる可撓性のプラスチック・フィルム又はシートが用いられている。残念なことに、このような覆い又はカバーは、画像の視認性及びイメージング・システムの操作を妨げる傾向があり、また汚染を除くのに常に完全に有効であるとは限らない。更に他の場合には、イメージング・システムは、減菌した場の外側に配置される。しかしながら、そのときユーザは画像を見るために捩り及び捻らなければならないことがあり、またイメージング・システムを操作するために別の人を必要とすることがある。
【0007】
更に、手術室(OR)のような減菌した環境では、大きさが比較的小さく、持ち運び可能であり、また使用するのが簡単で、且つ容易に洗浄可能であるイメージング・システムを使用することが望ましいことがある。例えば、ORでは、非侵襲性手術処置を視覚化するために比較的小さい設置面積を持つ超音波イメージング・システムを使用することが望ましいことがある。また、超音波検査技師以外の臨床医が超音波イメージング・システムを使用する場合、イメージング・システムの簡単さが使用の容易さのために重要である。その上、減菌した場で作業すると、各々の亀裂及び継ぎ目の全てが伝染性の細菌の繁殖する場所になる。そこで、超音波イメージング・システムは容易に清浄化可能であることが望ましいことがある。
【特許文献1】米国特許出願公開第20070162858号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、大きさが比較的小さく且つ使用法が簡単であるポータブル・イメージング・システムについての設計を開発することが望ましいと考えられる。また、拭き取り可能で且つ容易に洗浄化することでき、従って減菌した環境で使用することのできるイメージング・システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明技術の様々な面に従って、ポータブル・イメージング・システムが提供される。本システムは単一パネル表示装置を含み、この単一パネル表示装置は、画像を表示するように構成されている第1の部分、及びタッチ(touch ;接触)型ユーザ・インターフェースとして構成されている第2の部分を含む。
【0010】
本発明技術の別の様々な面に従って、ポータブル・イメージング・システムを製作する方法が提供される。本方法は、画像を表示するように構成されている第1の部分と、タッチ式ユーザ・インターフェースとして構成されている第2の部分とを含む単一パネル表示装置を設ける段階を含む。
【0011】
本発明技術の別の様々な面に従って、ポータブル・イメージング・システムを使用してイメージングする方法が提供され、前記ポータブル・イメージング・システムは、画像を表示するように構成されている第1の部分、及びタッチ式ユーザ・インターフェースとして構成されている第2の部分を含む単一パネル表示装置と、共通に使用される機能を遂行するのに役立つように構成されている1つ以上のボタンを含む制御器部分とを含む。本方法は、前記単一パネル表示装置の前記第1の部分上に画像を表示する段階を含む。更に、本方法は、前記タッチ式ユーザ・インターフェース上の制御器を使用して画像を操作する段階を含む。また、本方法によって規定された種類の機能を与えることのできるコンピュータ読取り可能な媒体も、本発明技術に関連して考えられる。
【0012】
本発明のこれらの及び他の特徴、側面及び利点は、以下の詳しい説明を添付の図面を参照して読むことにより一層よく理解されよう。図面では、同じ参照符号は全図面を通じて同様な部品を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に例示する模範的な実施形態は医用イメージング・システムに関連して説明するが、工業用途における診断用システムの使用も本発明技術に関連して考えられることが理解されよう。例えば、診断用システムは、工業用イメージング・システムのような工業用システム、並びにパイプライン検査システム及び液体反応器検査システムのような非破壊式評価検査システムに用いることができる。
【0014】
図1は、本発明技術の様々な面に従って診断用イメージングに使用するための模範的なシステム10のブロック図である。システム10は、画像取得装置14を介して患者12から画像データを取得するように構成することができる。一実施形態では、画像取得装置14は、画像データの取得に役立つように構成されているプローブを含むことができ、該プローブは、侵襲性プローブ、或いは外部超音波プローブのような非侵襲性又は外部プローブであってよい。例えば、画像取得装置14はプローブを含むことができ、該プローブはイメージング用カテーテル、内視鏡、腹腔鏡、外科用プローブ、又はインターベンション処置に適したプローブを含む。また画像取得装置14は、画像ボリュームの取得を容易にするように構成されたプローブを含むことができる。ここで、用語「プローブ」及び「画像取得装置」が交換可能に使用できることに留意されたい。
【0015】
本例では画像取得装置14がプローブ・ケーブルを介してイメージング・システムに結合されるものとして示しているが、プローブが、例えば、無線手段のような他の手段を介してイメージング・システムと結合され得ることが理解されよう。また、他の実施形態によっては、画像データは、患者12上に配置することのできる1つ以上のセンサ(図示せず)を介して取得することができる。例えば、センサには、心電図(ECG)センサのような生理学的センサ(図示せず)、及び/又は電磁界センサ又は慣性センサのような位置センサを含むことができる。これらのセンサは、例えば、リード線(図示せず)を介して、イメージング・システムのようなデータ取得装置に動作上結合することができる。
【0016】
システム10はまた、画像取得装置14と動作上関連している医用イメージング・システム16を含むことができる。ここで、以下に例示する模範的な実施形態は医用イメージング・システムに関連して説明するが、工業用イメージング・システム、並びにパイプライン検査システム及び液体反応器検査システムのような非破壊式評価検査システムのような他のイメージング・システム及び用途も考えられることに留意されたい。また、以下に例示し説明する模範的な実施形態は、超音波イメージングと共に、他のイメージング・モダリティ、位置追跡システム又は他のセンサ・システムを用いるマルチモダリティ・イメージング・システムに用途を見付けることができる。他のイメージング・モダリティには、限定するものではないが、超音波イメージング・システム、コンピュータ断層撮影(CT)イメージング・システム、磁気共鳴(MR)イメージング・システム、核医学イメージング・システム、ポジトロン放出型断層撮影システム又はX線イメージング・システムのような、医用イメージング・システムを含むことができることに留意されたい。
【0017】
現在考えられる構成では、医用イメージング・システム16は、取得サブシステム18及び処理サブシステム20を含むことができる。更に、医用イメージング・システム16の取得サブシステム18は、画像取得装置14を介して患者12内の関心のある1つ以上の解剖学的領域を表す画像データを取得するように構成することができる。患者12から取得された画像データは、次いで、処理サブシステム20によって処理することができる。
【0018】
また、医用イメージング・システム16によって取得され及び/又は処理された画像データは、臨床医が病状を識別し、治療の必要性を診察し、適当な治療の選択肢を決定し、及び/又は病状についての治療の効果を監視するのを支援するために用いることができる。実施形態によっては、処理サブシステム20は、データ貯蔵所22のような記憶装置システムに更に結合することができ、そのデータ貯蔵所22は画像データを受け取り及び/又は記憶するように構成することができる。
【0019】
更に、図1に例示されているように、医用イメージング・システム16は表示装置24及びユーザ・インターフェース30を含むことができる。しかしながら、実施形態によっては、タッチ・スクリーンにおけるように、表示装置24及びユーザ・インターフェース30をオーバーラップさせることができる。また、実施形態によっては、表示装置24及びユーザ・インターフェース30は共通の区域を含むことができる。本発明技術の様々な面に従って、医用イメージング・システム16の表示装置24は、画像取得装置14によって取得された画像データに基づいて医用イメージング・システム16によって生成された1つ以上の画像を表示するように構成することができ、これについては図3〜図12を参照して後でより詳しく説明する。
【0020】
本発明技術の模範的な様々な面に従って、表示装置24は単一パネル表示装置を含むように構成することができる。また、単一パネル表示装置24は少なくとも第1の部分26及び第2の部分28を含むことができる。単一パネル表示装置24の第1の部分26は、例えば、患者12の関心のある解剖学的領域を表す画像を表示するように構成することができる。また、単一パネル表示装置24の第2の部分28は、タッチ式ユーザ・インターフェースとして使用するために構成することができる。タッチ式ユーザ・インターフェース28は、制御器(図1に図示せず)を表示するように構成することができる。それらの制御器は、イメージング・システム16に関連したイメージング用タスクを遂行するために使用することができる。別の参照数字29は、単一パネル表示装置24を実質的に第1及び第2の部分26,28に分割するように構成された境界表示図形を表しているが、境界表示図形29の使用は随意選択であり、実施形態によっては省略することができる。模範的な単一パネル表示装置24、画像区域26及びタッチ式ユーザ・インターフェース28の働きについては、図3〜図12を参照して後でより詳しく説明する。
【0021】
更に、医用イメージング・システム16のユーザ・インターフェース30は、臨床医が患者12を表す画像データを取得するのを容易にするように構成されたヒューマン・インターフェース装置(図示せず)を含むことができる。ヒューマン・インターフェース装置は、臨床医が患者12内の1つ以上の関心のある領域を表す画像データを取得するのに役立つように構成された、マウス型装置、トラックボール、ジョイスティック、スタイラス又はボタンを含むことができる。しかしながら、理解されるように、他のヒューマン・インターフェース装置、例えば、限定するものではないが、タッチ・スクリーンを用いることもできる。また更に、本発明技術の様々な面に従って、ユーザ・インターフェース30は、臨床医が医用イメージング・システム16によって取得された複数の画像を検索するのに役立つように構成することができる。その上、ユーザ・インターフェース30はまた、表示装置24上に表示するために、取得された画像データを操作し及び/又は編成するのに役立つように構成することもでき、これについては図3〜図12を参照して後でより詳しく説明する。
【0022】
本発明技術の別の様々な面に従って、イメージング・システム16はまた、現在の周囲の状態に基づいて単一パネル表示装置24の輝度を自動的に調節するように構成することができる。例えば、周囲の状態が実質的に明るい環境を含んでいる場合には、イメージング・システム16は単一パネル表示装置24の輝度を増強するように構成することができる。しかしながら、周囲の状態が実質的に暗い環境を含んでいる場合、イメージング・システム16は単一パネル表示装置24の輝度を対応的に減少させるように構成することができる。現在考えられる構成では、イメージング・システム16は、周囲光センサ32を使用することにより単一パネル表示装置24の輝度を自動的に調節するように構成することができる。ここで、図1に示された実施形態では周囲光センサ32は表示区域24内に配置されているが、周囲光センサ32はイメージング・システム16上の他の位置に配置してもよいことが理解されよう。
【0023】
前に述べたように、医用イメージング・システム16は超音波イメージング・システムを含むことができる。図2は、図1の医用イメージング・システム16の一実施形態のブロック図であり、この場合、医用イメージング・システム16は超音波イメージング・システム16を含むものとして示されている。また更に、超音波イメージング・システム16は、前に述べたように、取得サブシステム18及び処理サブシステム20を含むものとして示されている。取得サブシステム18はトランスデューサ集成体54を含むことができる。その上、取得サブシステム18は、送信/受信(T/R)切換え回路56、送信器58、受信器60、及びビームフォーマ62を含む。一実施形態では、トランスデューサ集成体54は画像取得装置14(図1参照)内に配置することができる。また、実施形態によっては、トランスデューサ集成体54は、例えば一次元又は二次元トランスデューサ・アレイのようなトランスデューサ・アレイを形成するために間隔を置いた関係で配列された複数のトランスデューサ素子(図示せず)を含むことができる。更に、トランスデューサ集成体54は、トランスデューサ・アレイを外部装置(図示せず)に動作上結合するのを容易にするように構成された相互接続構造(図示せず)、例えば、限定するものではないが、ケーブル集成体又は関連電子装置を含むことができる。相互接続構造は、トランスデューサ・アレイをT/R切換え回路56に結合するように構成することができる。
【0024】
処理サブシステム20は、制御処理装置64、復調器66、イメージング・モード処理装置68、走査変換器70及び表示処理装置72を含む。表示処理装置72は、画像を表示するために、単一パネル表示装置24(図1参照)のような表示モニタに更に結合される。ユーザ・インターフェース30(図1参照)のようなユーザ・インターフェースが、制御処理装置64及び表示装置24と相互作用する。制御処理装置64はまた、ウェブ・サーバ76及び遠隔接続インターフェース78を含む遠隔接続サブシステム74に結合することができる。処理サブシステム20は更に、図1に関して前に述べたように、超音波画像データを受け取るように構成されたデータ貯蔵所22(図1参照)に結合することができる。データ貯蔵所22はイメージング・ワークステーション80と相互作用する。
【0025】
上述した様々な構成部品は、ディジタル信号処理装置を備えた回路基板のような専用のハードウエア素子であってよく、或いは市販のパーソナル・コンピュータ(PC)のような汎用コンピュータ又はプロセッサで実行されるソフトウエアであってもよい。様々な構成部品は本発明技術の様々な実施形態に従って組み合わせ又は分離することができる。従って、当業者には、上記の超音波イメージング・システム16が例として提供されたものであり、且つ本発明技術が特定のシステム構成によって限定されるものではないことが理解されよう。
【0026】
取得サブシステム18において、トランスデューサ集成体54が、患者12との直接接触か又は音響結合用ジェルを介した結合のいずれかによって、患者12(図1参照)に音響結合される。トランスデューサ集成体54は送信/受信(T/R)切換え回路56に結合される。また、T/R切換え回路56は送信器58の出力及び受信器60の入力と動作上関連している。受信器60の出力がビームフォーマ62に対する入力である。また、ビームフォーマ62は更に、送信器58の入力と復調器66の入力とに結合される。ビームフォーマ62はまた、図2に示されているように制御処理装置64に動作上結合される。
【0027】
処理サブシステム20において、復調器66の出力がイメージング・モード処理装置68の入力と動作上関連している。更に、制御処理装置64がイメージング・モード処理装置68、走査変換器70及び表示処理装置72と相互作用する。イメージング・モード処理装置68の出力が走査変換器70の入力に結合される。また、走査変換器70の出力が表示処理装置72の入力に動作上結合される。表示処理装置72の出力が表示装置24に結合される。
【0028】
超音波イメージング・システム16は超音波エネルギを患者12の中へ送信し、次いで患者12からの後方散乱された超音波信号を受信して処理することにより、画像を生成して表示する。超音波エネルギの送信ビームを発生するために、制御処理装置64はビームフォーマ62に指令データを送信して、トランスデューサ集成体54の表面の特定の点から所望のステアリング角度で開始する所望の形状のビームを発生するように送信パラメータを生成させる。これらの送信パラメータはビームフォーマ62から送信器58へ送られる。送信器58は送信パラメータを使用して、T/R切換え回路56を介してトランスデューサ集成体54へ送るべき送信信号を適切に符号化する。送信信号は互いに対して特定のレベル及び位相に設定されて、トランスデューサ集成体54の個々のトランスデューサ素子に供給される。送信信号はトランスデューサ素子を励起して、同じ位相及びレベル関係を持つ超音波を放出させる。結果として、ランスデューサ集成体54が、例えば、超音波結合用ジェルを使用することによって、患者12に音響結合されたときに、超音波エネルギの送信ビームが走査線に沿って患者12内に形成される。この方法は、電子走査法として知られている。
【0029】
一実施形態では、トランスデューサ集成体54は二方向トランスデューサであってよい。超音波が患者12の中へ送信されたとき、超音波は患者12内の組織及び血液サンプルから後方散乱される。トランスデューサ集成体54は後方散乱波を、それらが戻って来る組織までの距離とそれらが戻って来るトランスデューサ集成体54に対する角度とに依存して、相異なる時点に受信する。トランスデューサ素子は後方散乱波からの超音波エネルギを電気信号へ変換する。
【0030】
これらの電気信号はT/R切換え回路56を通って受信器60へ送られる。受信器60は、受信した信号を増幅しディジタル化し、また利得補償のような他の機能を提供する。各トランスデューサ素子によって様々な時点で受け取った後方散乱波に対応するディジタル化された受信信号は、後方散乱波の振幅及び位相情報を保存する。
【0031】
ディジタル化された信号は、ビームフォーマ62に送られる。制御処理装置64がビームフォーマ62に指令データを送る。ビームフォーマ62は指令データを使用して、トランスデューサ集成体54の表面上の一点から、典型的には走査線に沿って送信された以前の超音波ビームに対応するステアリング角度で開始する受信ビームを形成する。ビームフォーマ62は適切な受信信号に作用して、制御処理装置64からの指令データの命令に従った時間遅延及び集束を行うことにより、患者12内の走査線に沿ったサンプル・ボリュームに対応する受信ビーム信号を生成する。様々なトランスデューサ素子からの受信信号の位相、振幅及びタイミング情報が、受信ビーム信号を生成するために使用される。
【0032】
受信ビーム信号は処理サブシステム20に送られる。復調器66が受信ビーム信号を復調して、走査線に沿ったサンプル・ボリュームに対応する対になったI及びQ復調データ値を生成する。復調は、受信ビーム信号の位相及び振幅を基準周波数に対して比較することによって達成される。I及びQ復調データ値は、受信信号の位相及び振幅情報を保存する。
【0033】
復調データはイメージング・モード処理装置68に転送される。イメージング・モード処理装置68はパラメータ推定手法を使用して、走査シーケンス・フォーマットで復調データからイメージング・パラメータ値を生成する。イメージング・パラメータは、例えば、Bモード、カラー速度モード、スペクトル・ドップラー・モード及び組織速度イメージング・モードのような、様々な可能なイメージング・モードに対応するパラメータを含むことができる。イメージング・パラメータ値は走査変換器70に送られる。走査変換器70はパラメータ・データを処理して、走査シーケンス・フォーマットから表示フォーマットへの変換を遂行する。この変換は、パラメータ・データについて補間演算を行って、表示画素データを表示フォーマットで生成することを含む。
【0034】
走査変換された画素データは表示処理装置72に送られて、そこで、走査変換された画素データの任意の最終的な空間又は時間フィルタリングを遂行し、走査変換された画素データにグレースケール又はカラーを適用し、そして表示装置24上に表示するためにディジタル画素データをアナログ・データに変換する。ユーザが表示装置24上に表示されたデータに基づいて超音波イメージング・システム16と相互作用できるようにするために、ユーザ・インターフェース30が制御処理装置64に結合される。
【0035】
図3は、模範的なポータブル・イメージング・システム90を例示する。本例では、ポータブル・イメージング・システム90は、超音波イメージング・システム16(図2参照)のような超音波イメージング・システムを含むことができる。イメージング・システム90は、手持ち式イメージング・システム又は持ち運び式イメージング・システムを含むことができる。また更に、イメージング・システム90はモノリシック設計を含むことができる。言い換えると、イメージング・システム90は単一体ユニットを含むことができる。また、イメージング・システム90は、小さな設置面積のカート、柱状スタンド、又はストレッチャーに動作上結合されるように構成することができる。この代わりに、イメージング・システム90は壁取付け式であってよい。
【0036】
更に、イメージング・システム90は単一スクリーン又は単一パネル表示装置92を含むことができる。この単一パネル表示装置92は、単一パネル表示装置24(図1参照)のような単一パネル表示装置を含むことができる。本発明技術の模範的な様々な面に従って、単一パネル表示装置92は、表示区域及びユーザ・インターフェース区域の両方として作用するように構成することができる。より具体的に述べると、単一パネル表示装置92は第1の部分94及び第2の部分98に実質的に分割することができる。繰り返して云うと、第1の部分94は、第1の部分26(図1参照)のような第1の部分を含むことができ、他方、第2の部分98は、第2の部分28(図1参照)のような第2の部分を含むことができる。単一パネル表示装置92の第1の部分94は、画像96の表示を容易にするように構成することができ、ここで、画像96は、例えば、患者12(図1参照)のような患者内の関心のある領域を表すことができる。
【0037】
また更に、単一パネル表示装置92の第2の部分98は、タッチ式ユーザ・インターフェースを含むように構成することができる。タッチ式ユーザ・インターフェース98は、ある時点で特定のタスクを遂行するために必要とされることのある制御器を表示するように構成することができる。言い換えると、単一パネル表示装置92のタッチ式ユーザ・インターフェース98は、典型的には超音波走査の際に使用される制御器を操作するためにユーザ・インターフェースを提供するように構成することができる。従って、タッチ式ユーザ・インターフェース98内に配置された制御器は、例えば走査動作のためにのみ使用される制御器を含むことができる。更に、画像の多数のパラメータは、タッチ式ユーザ・インターフェース98内のこれらのタッチ・スクリーン制御器を使用することにより調節することができる。例えば、タッチ式ユーザ・インターフェース98内の制御器は、画像が現れる態様、画像が表示している走査モード、及び画像内で焦点合わせする解剖学的構造の部分、を制御するために使用することができる。
【0038】
また、イメージング・システム90は、イメージング・システム90の動作モード又は使用されている機構に基づいてタッチ式ユーザ・インターフェース98内に表示される制御器を動的に変更するように構成することができる。例えば、図3に示されたタッチ式ユーザ・インターフェース98内に表示された制御器は、イメージング・システム90のBモードの動作を表すことができる。図4に示された例では、タッチ式ユーザ・インターフェース98は、「時間・利得補償(TGC)」制御器102、「焦点」制御器104、「ズーム」制御器106、「周波数」制御器108及び「深度」制御器110のような制御器を含むように構成することができる。その上、タッチ式ユーザ・インターフェース98はまた、「M」ボタン112、「PWD」ボタン114、「カラー」ボタン116及び「利得」ボタン118を含むことができる。この代わりに、イメージング・システム90がカラー・モードで動作している場合、イメージング・システム90は、タッチ式ユーザ・インターフェース98上にカラー動作モードに特有の制御器を表示するように構成することができる。更に、単一パネル表示装置92の第1の部分94及び第2の部分98は、実施形態によっては、境界表示図形100によって実質的に分離されるように構成することができる。境界表示図形100は、境界表示図形29(図1参照)のような境界表示図形を含むことができる。
【0039】
本発明技術の別の様々な面に従って、イメージング・システム90はまた制御器部分120を含むことができる。ここで、制御器部分120がユーザ・インターフェース30(図1参照)のようなユーザ・インターフェースを含むことができることに留意されたい。また、制御器部分120は、患者12(図1参照)のイメージングに役立つように構成することのできる1つ以上のボタンを含むことができる。より具体的に述べると、制御器部分120は、イメージング・システム90の共通に使用される機能を遂行するように構成することのできるボタンを含むように構成することができる。現在考えられる構成では、イメージング・システム90の制御器部分120内のボタンは、固形のボタンを含むことができる。固形のボタンは、実施形態によっては、固形の膜キーを含むことができる。
【0040】
前に述べたように、共通に遂行される機能はイメージング・システム90の制御器部分120内の固形のボタンを介して利用することができる。ここで、制御器部分120内に配置された固形のキーは、典型的な走査動作の外側の機構を制御するために使用されるキーを表すことができることに留意されたい。共通に遂行される機能の例としては、「印刷」機能、「コメント(注釈)」機能、「設定」機能、「保存」機能及び「フリーズ」機能を含むことができる。
【0041】
図3に示されている例において、一般的に遂行される機能は、例えば、「設定」ボタン122、「患者」ボタン124、「注釈」ボタン126、「印刷」ボタン128、「保存」ボタン130、「フリーズ」ボタン132及び「測定」ボタン134のようなボタンを使用することにより遂行することができる。例えば、臨床医は「患者」ボタン124を使用して患者データを入力することができ、また臨床医は「測定」ボタン134を使用することにより画像96の測定値を得ることができる。参照数字136はマウス・パッドを表している。更に、参照数字138はマウス・パッド136上の左クリック・ボタンを表しており、ここで、左クリック・ボタン138は、例えば、カーソルの設定、測定キャリパの設定、又はメニューの項目についてのクリックのために使用することができる。同様に、マウス・パッド136上の右クリック・ボタンが参照数字139で一般的に表されており、ここで、右クリック・ボタン139は単一パネル表示装置92上のカーソルをオン状態とオフ状態との間で切り換えるのに役立つように用いることができる。また、電源ボタンが参照数字140で一般的に表されている。
【0042】
制御器部分120を上述したように具現化することによって、固形のキーを他の制御器から分離して制御器部分120内に配置することができる。これらの固形のキーを制御器部分120内に配置することによって、固形のキーは、機構の運転及び/又はイメージング・システム90の動作モードに依存して変更されるタッチ式ユーザ・インターフェース98上の制御器と異なり、常に利用することができる。例えば、「フリーズ」機能及び「保存」機能は、イメージング・システムのカラー・モード、ドップラー・モード又はBモードの動作のような、イメージング・システム90の現在の動作モードとは関係なく、何時でも適用することができる。また、「フリーズ」、「保存」及び「深度」のような共通に使用される機能は、膜で覆った固形のキーを使用することにより制御することができる。固形のキーの設計は、人間工学的な快適さ及び使用の容易さのための隆起したテクスチャ及び背面照明と同様に、触覚による手応えを可能にする。
【0043】
本発明技術の別の様々な面に従って、単一パネル表示装置92及び制御器部分120は、イメージング・システム90が単一ユニット筐体の継ぎ目無し形状因子を含むように配置することができる。換言すると、単一パネル表示装置92と固形のボタンを含む制御器部分120とは継ぎ目のない前面を形成することができ、これによってコンソール及びスクリーンを消毒剤で清浄に拭くことができ、従って清浄にし難い亀裂の中で細菌が累積する場所を生じさせないようにすることができる。その上、イメージング・システム90の前面の継ぎ目無しの設計により、イメージング・システム90の内部構成部品を液体の飛沫から保護することができる。
【0044】
更に、実施形態によっては、イメージング・システム90は約250mm〜約300mmの高さを持つことができる。また、イメージング・システム90は約250mm〜約300mmの幅を持つことができる。また、イメージング・システム90は約30mm〜約50mmの深さを持つことができる。更にまた、イメージング・システム90は約2キログラム〜約4キログラムの重さを持つことができる。
【0045】
イメージング・システム90に関して引き続き説明すると、現在考えられる構成では、単一パネル表示装置92はイメージング・システム90の前面の約75%を占めるように構成することができる。しかしながら、理解されるように、他の実施形態では、単一パネル表示装置92はまたイメージング・システム90の前面の約70%〜約90%を占めるように構成することができる。
【0046】
更にまた、図3に示されている例では、単一パネル表示装置92の第1の部分94は、単一パネル表示装置92の面積の約66%を占めるものとして示されており、他方、タッチ式ユーザ・インターフェース98は単一パネル表示装置92の面積の約34%を占めるものとして示されている。しかしながら、本発明技術の模範的な様々な面によれば、第1の部分94によって占められる面積と単一パネル表示装置92の第2の部分98によって占められる面積とは、イメージング・システム90の動作モードに基づいて動的に変更することができる。換言すると、実施形態によっては、単一パネル表示装置92の第1の部分94に比較的大きな画像を表示することが望ましいことがあり、従ってそのために第1の部分94の面積を増大させると共に、単一パネル表示装置92の第2の部分98の面積を減少させることが必要である。この代わりに、他の実施形態では、タッチ式ユーザ・インターフェース98内に比較的より多数の制御器を表示させるために第2の部分98の面積を増大させることが望ましいことがあり、これにより第1の部分94の面積を減少させることが必要になる。前に述べたように、単一パネル表示装置92の第1の部分94及び第2の部分98は、実施形態によっては、実質的に境界表示図形100により区切ることができる。
【0047】
本発明技術の別の様々な面に従って、イメージング・システム90は、現在の周囲の状態に基づいて単一パネル表示装置92の輝度を自動的に調節するように構成することができる。例えば、周囲の状態が実質的に明るい環境を含んでいる場合、イメージング・システム90は単一パネル表示装置92の輝度を高めるように構成することができる。しかしながら、周囲の状態が実質的に暗い環境を含んでいる場合、イメージング・システム90は単一パネル表示装置92の輝度を対応して減少させるように構成することができる。現在考えられる構成では、イメージング・システム90は周囲光センサ142を含むことができ、周囲光センサ142は、イメージング・システム90が現在の周囲の状態を検知して、単一パネル表示装置92の輝度を自動的に調節するのに役立つように構成することができる。また、本例では、周囲光センサ142は制御器部分120内に配置されものとして示されている。しかしながら、周囲光センサ142はイメージング・システム90上の他のどこかに配置することもできる。
【0048】
前に述べたように、タッチ式ユーザ・インターフェース98は所望の一組の制御器のみを表示するように構成することができ、この所望の一組の制御器は、遂行している特定の走査用タスクに対応するボタンを含むことができる。本発明技術の模範的な様々な面に従って、タッチ式ユーザ・インターフェース98は、臨床医のようなユーザ、用途、イメージング・システム90の動作モード、又はそれらの組合せに基づいて、カスタマイズすることができる。換言すると、タッチ式ユーザ・インターフェース98は、イメージング・システム90の現在の動作モード、ユーザ又はイメージング・システム90の用途に基づいて制御器を選択的に表示するように構成することができる。
【0049】
更にまた、イメージング・システム90は、1つ以上のポート、1つ以上のコネクタ、又は両方を含むことができる。ここで図4を参照すると、イメージング・システム90(図3参照)の概略側面図150を示している。参照数字152は1つ以上のポートを表しており、また、1つ以上のコネクタは参照数字154によって一般的に表されている。ここで、1つ以上のポート152、1つ以上のコネクタ154、又は両方は、1つ以上の装置をイメージング・システム90に動作上結合することができるように構成することができることに留意されたい。例えば、限定するものではないが、プローブのような、1つ以上の画像取得装置は、1つ以上のポート152及び/又は1つ以上のコネクタ154を介してイメージング・システム90に結合することができる。更に、イメージング・システム90はまた、1つ以上の保護フラップを含むことができ、これらのフラップは、ポート152及び/又はコネクタ154を覆うように構成することができる。図4に示された例では、参照数字156はポート152を覆うように構成された保護フラップを表しており、また、コネクタ154を覆うように構成された保護フラップは参照数字158によって一般的に表されている。
【0050】
本発明技術の様々な面に従って、イメージング・システム90は、独立の充電装置、壁取付けの充電装置、ポータブル充電アダプタ、又はそれらの組合せを介して再充電することができる。図4に示されている実施形態を再び参照して説明すると、参照数字166は充電コネクタを表し、また充電コネクタを覆うように構成されている保護フラップが一般的に参照数字168で表されている。イメージング・システム90はまた、接触スタイラス162用の貯蔵区域160を含むように構成することができる。参照数字164は、貯蔵区域160及び/又はスタイラス162を覆うように構成されている保護フラップを一般的に表している。ここで、これらの保護フラップ156,158,164,168は、例えば、ゴム製フラップ又はシリコーン製フラップを含むことができることに留意されたい。
【0051】
再び図3を参照して説明すると、イメージング・システム90内の蓄電池は約1時間の寿命を持つことができる。更に、イメージング・システム90は頑丈なユニットを含むように設計することができる。例えば、イメージング・システム90は、実施形態によっては、約80cmの高さから落下可能であるように構成することができる。また更に、イメージング・システム90は、約10秒未満の時間で起動するように構成することができる。
【0052】
その上、イメージング・システム90はまた、ユーザによってイメージング・システム90をカスタマイズすることができるように構成することができる。より具体的に述べると、ユーザはタッチ式ユーザ・インターフェース98上の制御器の表示をカスタマイズすることができる。換言すると、タッチ式ユーザ・インターフェース98を使用することにより、イメージング・システム90の仕様、パラメータ又は他の有用な事項を入力し調節することができる。更に、イメージング・システム90はまた、ユーザがユーザ・プロファイルを選択することができるように構成することができ、そのユーザ・プロファイルは、対応するユーザに適合させるための可変の設定を含むことができる。イメージング・システム90のユーザによるカスタマイズは、図5を参照するとより良く理解されよう。
【0053】
ここで図5について説明すると、タッチ式ユーザ・インターフェース98(図3参照)を使用してイメージング・システム90(図3参照)をカスタマイズする方法の概略図170が示されている。図5の例では、ユーザはイメージング・システム90を、より具体的にはタッチ式ユーザ・インターフェース98を、ユーザ選択の制御器が含まれるようにカスタマイズすることができる。現在考えられる構成では、ユーザは「設定」ボタン122を使用することによりタッチ式ユーザ・インターフェース98をカスタマイズすることができる。一旦ユーザが「設定」ボタン122を選択すると、イメージング・システム90はダイアログ・ボックス172を表示するように構成することができる。ユーザは、次いで、イメージング・システム90をカスタマイズするために、ダイアログ・ボックス172上に表示された1つ以上の制御器を選択し、これにより、タッチ式ユーザ・インターフェース98上の制御器の表示を更新することができる。
【0054】
図6は、ユーザ定義の制御パネル182の一例180を示す。ここで、ユーザ定義の制御パネル182は、図5に例示したユーザの選択に基づいて変更されたタッチ式ユーザ・インターフェース98(図3参照)を表すことができることに留意されたい。ユーザ定義の制御パネル182は、「利得」ボタン118、「ズーム」制御器106、「深度」制御器110、「M」ボタン112、「PWD」ボタン114及び「カラー」ボタン116を含むように構成することができる。それに加えて、ユーザ定義の制御パネル182はまた、「仮想凸面」ボタン184を含むように構成することができる。ここで、「TGC」制御器102(図3参照)、「焦点」制御器104(図3参照)及び「周波数」制御器108(図3参照)がユーザ定義の制御パネル182から削除されていて、その代わりに「仮想凸面」ボタン184のような他のボタンが配置されていることに留意されたい。更に、「ズーム」制御器106及び「深度」制御器110の位置が、配置し直されている。
【0055】
その上、画像96(図3参照)のような画像に注釈を付けることが望ましいことがある。本発明技術の様々な面に従って、イメージング・システム90は、臨床医が単一パネル表示装置92の第1の部分94上に表示された画像に注釈を付けることができるように構成することができる。図7は、タッチ式ユーザ・インターフェース98を使用することにより画像に注釈を付ける方法の概略図190である。これに対応して、イメージング・システム90は、単一パネル表示装置92(図3参照)の第2の部分98上にタッチパネル・キーボード192を表示するように構成することができる。そこで、臨床医は、このタッチパネル・キーボード192を使用して、画像96に注釈を付けることができる。一実施形態では、タッチパネル・キーボード192は、「注釈」ボタン126を選択することによりタッチ式ユーザ・インターフェース98上に表示することができる。
【0056】
本発明技術の別の様々な面に従って、イメージング・システム90、より具体的にはタッチ式ユーザ・インターフェース98は、イメージング・システム90の現在の動作モードに基づいて選択的に制御器を表示するように構成することができる。理解されるように、イメージング・システム90はBモード、カラー・モード又はドップラー・モードで動作することができる。図8は、イメージング・システム90(図3参照)のBモードの動作に対応する制御器を示しているタッチ式ユーザ・インターフェース98(図3参照)の一実施形態200を例示する。次に、図9は、イメージング・システム90(図3参照)のカラー・モードの動作に対応する制御器を示しているタッチ式ユーザ・インターフェース98(図3参照)の一実施形態202を例示する。更に、図10は、イメージング・システム90(図3参照)のドップラー・モードの動作に対応する制御器を示しているタッチ式ユーザ・インターフェース98(図3参照)の一実施形態204を例示する。
【0057】
上述したようにイメージング・システムを具現化することによって、ポータブルで、使用するのが簡単なイメージング・システムを製作することができ、このイメージング・システムは継ぎ目のない前面を持つ。この設計の有利な点は、イメージング・システムを容易に清浄にすることができ、従ってイメージング・システムを滅菌した環境内で使用できることである。
【0058】
本発明技術の別の様々な面に従って、図3の模範的なイメージング・システム90を製作する方法が提供される。そこで図11を参照すると、ポータブル・イメージング・システム90を製作する模範的な方法を例示する流れ図210が示されている。本方法は段階212で開始し、該段階では、単一パネル表示装置92(図3参照)のような単一パネル表示装置を用意する。この単一パネル表示装置は第1の部分及び第2の部分を含むように構成することができ、ここで、第1の部分は画像を表示するように構成することができ、他方、第2の部分はタッチ式ユーザ・インターフェースとして構成することができる。前に述べたように、患者12(図1参照)の1つ以上の関心のある領域を表す画像は、単一パネル表示装置の画像区域上に表示することができる。その上、単一パネル表示装置のタッチ式ユーザ・インターフェースは、臨床医がイメージング用タスクを遂行するのに役立つように1つ以上の制御器を表示するように構成することができる。
【0059】
更に、段階214で、制御器部分を設けることができる。制御器部分は1つ以上のボタンを含むように構成することができ、これらのボタンは、「印刷」機能、「保存」機能、「フリーズ」機能などのような共通に使用される機能を遂行するのに役立つように構成することができる。また、制御器部分上のこれらのボタンは固形の膜キーを含むように構成することができる。
【0060】
次に、段階216で、1つ以上のポートを設けることができ、この1つ以上のポートは、プローブのような構成部品をイメージング・システムに動作上結合することを容易にするように構成することができる。次いで、段階218で、1つ以上の保護フラップを設けることができ、それらのフラップは、開放しているポート及び/又はコネクタを覆うように構成することができ、これによってポート及び/又はコネクタを流体の飛沫から保護することができる。
【0061】
本発明技術の別の様々な面に従って、図3の模範的なイメージング・システム90を使用してイメージングする方法が提供される。そこで図12を参照すると、イメージング・システム90を使用してイメージングする模範的な方法を例示する流れ図220が示されている。前に述べたように、イメージング・システム90は単一パネル表示装置92(図3参照)を含むことができ、この単一パネル表示装置92は実質的に画像表示部分94(図3参照)とタッチ式ユーザ・インターフェース98(図3参照)とに分割することができる。その上、イメージング・システム90はまた制御器部分120(図3参照)を含むことができる。本方法は段階222で開始し、該段階では、患者12(図1参照)内の1つ以上の関心のある領域を表す画像を、イメージング・システムの単一パネル表示装置の第1の部分上に表示することができる。次いで、段階224で、タッチ式ユーザ・インターフェース98上の制御器を使用することにより、画像データの取得及び/又は表示された画像を操作することができる。更に、段階226に示されているように、イメージング・システムの制御器部分上のボタンを使用することにより、共通に使用される機能、例えば、限定するものではないが、「印刷」、「フリーズ」又は「保存」機能を遂行することができる。
【0062】
また、タッチ式ユーザ・インターフェースは、ユーザ、用途、動作モード、又はそれらの組合せに基づいてカスタマイズすることができる。前に述べたように、タッチ式ユーザ・インターフェースのカスタマイズは、イメージング・システムの現在の動作モードに基づいて制御器を選択的に表示することを含むことができる。更に、画像表示部分の区域及びタッチ式ユーザ・インターフェースの区域を、イメージング・システムの現在の動作モードに基づいて動的に変更することができる。また、イメージング・システムの制御器部分上で利用可能である制御器を、「印刷」、「フリーズ」、「保存」などのような共通に使用される機能を遂行するために使用することができる。その上、イメージング・システムはまた、独立の充電装置、壁取付けの充電装置、ポータブル充電アダプタ、又はそれらの組合せを介して再充電することができる。また、単一パネル表示装置の輝度は、周囲の照明状態に基づいて自動的に調節することができる。
【0063】
上述の模範的なポータブル・イメージング・システム及びこの模範的なポータブル・イメージング・システムを使用したイメージング方法は、イメージング・システムの実質的に小さい大きさにより、手術室や救急車内のようなよりきつく混雑した室内にイメージング・システムを適合させることができるので、臨床上のワークフローを劇的に向上させる。イメージング・システムはまた、既に室内にある点滴(IV)用支柱又は小さなスタンドに取り付けることができる。更に、イメージング・システムは必要なときに部屋から部屋へ持ち運ぶことができる。また更に、イメージング・システムは、離れているが直ぐに利用できる壁取付けの充電装置の中に設置することができる。また、イメージング・システムは救急車及びヘリコプターのような窮屈な区域の中に収めることができる。
【0064】
その上、単一パネル表示装置の模範的なタッチ式ユーザ・インターフェース部分は、走査用制御器のより簡単な動作を可能にする。更にまた、タッチ式ユーザ・インターフェース上に表示された制御器は、ユーザ、用途又は動作モードに基づいてカスタマイズすることができ、これによりイメージング処理を簡単化することができる。更にまた、イメージング・システムのコンソールの継ぎ目無し設計により、ユーザは消毒剤でイメージング・システムを素早く拭くことが可能になり、これによって時間を節約し且つ滅菌した手術室のような厄介な環境内でイメージング・システムを使用することが可能になる。
【0065】
ポータブル・イメージング・システム及びこのポータブル・イメージング・システムを使用したイメージング方法の上述の実施形態は、模範的なポータブル・イメージング・システムのモノリシックな設計が小さく且つ持ち運び及び/又は手持ちすることができるので、臨床上のワークフローを向上させる技術的効果を持つ。更に、この小さな単一体のユニットは、画像を表示するために専用される部分とシステムを動作させるタッチパネル制御器として専用される部分とを備えた単一パネル表示装置を持つ。タッチパネル制御器は、一時点に特定の走査用タスクを遂行するのに必要とされるボタンのみを表示する。更にまた、少数の共通に使用されるボタンは、コンソール上の依然として伝統的な固形のボタンである。その上、単一スクリーン走査/操作用制御器、膜で覆われた固形のキー、及び単一ユニット筐体の継ぎ目無し形状因子により、コンソール及びスクリーンを消毒剤で清浄に拭くことができ、且つ清浄にし難い亀裂の中で細菌が累積する場所を生じさせないようにすることができる。また、システムの内部構成部品を液体の飛沫から保護することができる。
【0066】
以上、本発明の特定の特徴のみを例示し説明したが、当業者には多数の修正及び変更をなし得よう。従って、特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内に入るこのような全ての修正及び変更を包含しようとするものであることを理解されたい。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明技術の様々な面に従った模範的な診断用システムのブロック図である。
【図2】図1の模範的な診断用システムに使用するための超音波イメージング・システムの形態の模範的なイメージング・システムのブロック図である。
【図3】本発明技術の様々な面に従った模範的なポータブル・イメージング・システムの概略図である。
【図4】本発明技術の様々な面に従った図3の模範的なポータブル・イメージング・システムの概略側面図である。
【図5】本発明技術の様々な面に従った図3の模範的なポータブル・イメージング・システムをカスタマイズする方法の概略図である。
【図6】本発明技術の様々な面に従った図3の模範的なポータブル・イメージング・システム内のユーザ定義のタッチ式ユーザ・インターフェースの概略図である。
【図7】本発明技術の様々な面に従った図3の模範的なポータブル・イメージング・システム上に表示される画像に注釈付けする方法の概略図である。
【図8】本発明技術の様々な面に従ったタッチ式ユーザ・インターフェースの一実施形態の概略図である。
【図9】本発明技術の様々な面に従ったタッチ式ユーザ・インターフェースの別の実施形態の概略図である。
【図10】本発明技術の様々な面に従ったタッチ式ユーザ・インターフェースの更に別の実施形態の概略図である。
【図11】本発明技術の様々な面に従った模範的なポータブル・イメージング・システムを製作する方法を示す流れ図である。
【図12】本発明技術の様々な面に従った模範的なポータブル・イメージング・システムを使用したイメージング方法を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0068】
10 診断用システム
12 患者
14 画像取得装置
16 医用イメージング・システム
24 表示装置
29 境界表示図形
32 周囲光センサ
54 トランスデューサ集成体
74 遠隔接続サブシステム
90 ポータブル・イメージング・システム
92 単一パネル表示装置
94 画像表示区域
96 画像
98 タッチ式ユーザ・インターフェース
100 境界表示図形
102 「TGC」制御器
104 「焦点」制御器
106 「ズーム」制御器
108 「周波数」制御器
110 「深度」制御器
112 「M」ボタン
114 「PWD」ボタン
116 「カラー」ボタン
118 「利得」ボタン
120 制御器部分
122 「設定」ボタン
124 「患者」ボタン
126 「注釈」ボタン
128 「印刷」ボタン
130 「保存」ボタン
132 「フリーズ」ボタン
134 「測定」ボタン
136 マウス・パッド
138 左クリック・ボタン
139 右クリック・ボタン
140 電源ボタン
142 周囲光センサ
150 イメージング・システムの側面図
152 ポート
154 コネクタ
156 ポート用の保護フラップ
158 コネクタ用の保護フラップ
160 スタイラスの貯蔵区域
162 スタイラス
164 スタイラス貯蔵区域用の保護フラップ
166 充電コネクタ
168 充電コネクタ用の保護フラップ
170 イメージング・システムをカスタマイズする方法の概略図
172 ダイアログ・ボックス
180 ユーザ定義の制御パネルの概略図
182 ユーザ定義の制御パネル
184 「仮想凸面」ボタン
190 画像に注釈を付ける方法の概略図
192 タッチパネル・キーボード
200 タッチ式ユーザ・インターフェースの一実施形態
202 タッチ式ユーザ・インターフェースの一実施形態
204 タッチ式ユーザ・インターフェースの一実施形態
210 ポータブル・イメージング・システムを製作する方法の流れ図
220 イメージング・システムを使用したイメージング方法の流れ図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像(96)を表示するように構成されている第1の部分(94)、及びタッチ式ユーザ・インターフェースとして構成されている第2の部分(98)を有する単一パネル表示装置(92)を含んでいる、ポータブル・イメージング・システム(90)。
【請求項2】
更に、共通に使用される機能を遂行するのに役立つように構成されている1つ以上のボタン(122,124,126,128,130,132,134)を有する制御器部分(120)を含んでいる請求項1記載のシステム(90)。
【請求項3】
前記単一パネル表示装置(92)及び前記制御器部分(120)は、単一ユニット筐体の継ぎ目無し形状因子を有している、請求項2記載のシステム(90)。
【請求項4】
前記タッチ式ユーザ・インターフェース(98)は、前記イメージング・システム(90)を操作するための制御器を含んでいる、請求項1記載のシステム(90)。
【請求項5】
前記タッチ式ユーザ・インターフェース(98)は、ユーザ、用途、動作モード、又はそれらの組合せに基づいてカスタマイズされるように構成されている、請求項1記載のシステム(90)。
【請求項6】
前記単一パネル表示装置(92)の前記第1の部分(94)の区域及び前記第2の部分(98)の区域は、カスタマイズに基づいて動的に変更される、請求項5記載のシステム(90)。
【請求項7】
更に、1つ以上のプローブを前記システム(90)に動作上結合するのを容易にするように構成されている1つ以上のポート(152)、1つ以上のコネクタ(154,166)、又はそれらの両方を含んでいる請求項1記載のシステム(90)。
【請求項8】
画像を表示するように構成されている第1の部分と、タッチ式ユーザ・インターフェースとして構成されている第2の部分とを有する単一パネル表示装置を設ける段階を含んでいる、ポータブル・イメージング・システムを製作する方法。
【請求項9】
ポータブル・イメージング・システムを使用してイメージングする方法であって、
前記ポータブル・イメージング・システムが、
画像(96)を表示するように構成されている第1の部分(94)、及びタッチ式ユーザ・インターフェースとして構成されている第2の部分(98)を有する単一パネル表示装置(92)と、
共通に使用される機能を遂行するのに役立つように構成されている1つ以上のボタン(122,124,126,128,130,132,134)を有する制御器部分(120)と、を有しており、
当該方法は、
前記単一パネル表示装置の前記第1の部分上に画像を表示する段階と、
前記タッチ式ユーザ・インターフェース上の制御器を使用して画像を操作する段階と、
を有している、方法。
【請求項10】
1つ以上の有形の媒体を有するコンピュータ読取り可能な媒体であって、前記1つ以上の有形の媒体が、
単一パネル表示装置の第1の部分上に画像を表示させるように構成されているコードと、
前記単一パネル表示装置の第2の部分上のタッチ式ユーザ・インターフェースを使用して前記画像を操作するように構成されているコードと、
を有している、コンピュータ読取り可能な媒体。

【図1】
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【図2】
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【図11】
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【図12】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−119259(P2009−119259A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281037(P2008−281037)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】