説明

印刷に有用な装置、および媒体上のマーキング材料を処理する方法

【課題】昇温時間を減らし、より高いエネルギー効率を提供する印刷に有用な装置を提供する。
【解決手段】印刷に有用な装置は、外側表面を備えるロール220と、内側表面214および外側表面212を有してニップ224を形成し、ロール220の回転によって回転駆動するベルト210と、ベルト210の内側に配置されて内側表面214と接触する加熱表面232を有するヒータ230と、ベルト210の内側表面214のニップ前部分と接触するよう円周方向に延びる加熱表面256を有する加熱フィン250とを備える。熱エネルギーはヒータ230から加熱フィン250へと伝導し、第2加熱表面256は、ニップ前部分がニップ224へと回転して来る前に、ベルト210のニップ前部分を予熱し、ヒータ230の加熱表面232は、予熱されたニップ前部分をニップ224で加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここでの記述は、印刷に有用な装置、および媒体上のマーキング材料を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの印刷法では、画像は媒体上にマーキング材料を用いて形成され、マーキング材料を媒体上に定着させるように処理される。このような印刷法に使用される印刷装置は部材を備えることができ、この部材は対向する表面がニップを形成してなる。印刷処理の際には、媒体はニップに給送され、ここでマーキング材料は処理されて、画像を媒体上に定着させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,228,082号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昇温時間を減らし、より高いエネルギー効率を提供することができる、媒体上のマーキング材料を処理する装置および方法を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における印刷に有用な装置は、第1外側表面を有するロールと、内側表面、および前記第1外側表面と接触してニップを形成する第2外側表面を有する連続ベルトであって、前記ロールの回転によって回転駆動するベルトと、前記ベルトの内側に配置され、前記ニップにおいて前記ベルトの内側表面と接触する第1加熱表面を有するヒータと、前記ヒータと熱的に接触する加熱フィンであって、前記ベルトの内側表面のニップ前部分と接触するよう円周方向に延びる第2加熱表面を有する加熱フィンと、を備え、熱エネルギーは前記ヒータから前記加熱フィンへと伝導し、前記第2加熱表面は、前記ニップ前部分が前記ニップへと回転して来る前に、前記ベルトのニップ前部分を予熱し、前記ヒータの第1加熱表面は、予熱された前記ニップ前部分を前記ニップで加熱する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】定着装置を備える印刷装置の例示的実施の形態を示す。
【図2】定着装置の例示的実施の形態の断面図である。
【図3】図2の定着装置の等倍図である。
【図4】加熱フィンを有する定着機構と加熱フィンを有さない定着機構について、作成された印刷物数(回数)の関数として定着ベルト温度を示した曲線を表す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
開示される実施の形態は印刷に有用な装置を包含し、この装置は、第1外側表面を有するロールと、内側表面、および第1外側表面と接触してニップを形成する第2外側表面を有する連続ベルトであって、ロールの回転によって回転駆動するベルトと、ベルトの内側に配置され、ニップにおいてベルトの内側表面と接触する第1加熱表面を備えるヒータと、ヒータと熱的に接触する加熱フィンであって、ベルトの内側表面のニップ前部分と接触するよう円周方向に延びる第2加熱表面を備える加熱フィンとを備える。熱エネルギーはヒータから加熱フィンへと伝導する。第2加熱表面は、ニップ前部分がニップへと回転して来る前に、ベルトのニップ前部分を予熱し、ヒータの第1加熱表面は、予熱されたニップ前部分をニップで加熱する。
【0008】
さらに開示される実施の形態は定着機構を包含し、この定着機構は、第1外側表面を有する加圧ロールと、内側表面、および第1外側表面と接触してニップを形成する第2外側表面を有する連続定着ベルトであって、加圧ロールの回転によって回転駆動する定着ベルトと、ベルトの内側に配置され、ニップにおいて定着ベルトの内側表面と接触する平坦な第1加熱表面を有するヒータと、ヒータと熱的に接触する加熱フィンであって、定着ベルトの内側表面のニップ前部分と接触するよう円周方向に延びる湾曲した第2加熱表面を有する加熱フィンとを備える。熱エネルギーはヒータから加熱フィンへと伝導する。第2加熱表面は、ニップ前部分がニップへと回転して来る前に、定着ベルトのニップ前部分を予熱し、ヒータの第1加熱表面は、予熱されたニップ前部分をニップで加熱する。
【0009】
さらに開示される実施の形態は媒体上のマーキング材料を処理する方法を包含し、この方法は、ロールの第1外側表面がベルトの第2外側表面と接触することによって形成されたニップへと、マーキング材料を有する媒体を給送し、ベルトの内側に配置され、ベルトの内側表面とニップで接触する第1加熱表面を有するヒータに関して、かつヒータと熱的に接触し、ベルトの内側表面のニップ前部分で接触するよう円周方向に延びる第2加熱表面を有する加熱フィンに関して、ベルトを回転させ、ヒータを作動させて、ヒータからの熱エネルギーを加熱フィンへと伝導させ、第2加熱表面を用いて、ニップ前部分がニップへと回転して来る前に、ベルトのニップ前部分を予熱し、第1加熱表面を用いて、予熱されたニップ前部分をニップで加熱し、媒体を、ロールの第1外側表面およびベルトの第2外側表面とニップで接触させて、マーキング材料を処理することを包含する。
【0010】
ここで使用されるように、「印刷装置」という用語は、何らかの目的のために印刷物出力機能を実行することができる何らかの装置、たとえば、複写機、製本機、多機能装置等またはこれらの装置の一部を表すことができる。
【0011】
図1は、米国特許第7,228,082号公報に開示される例示的印刷装置100を示す。印刷装置100は、回転可能な連続ベルト112と加圧ロール120を有する定着機構110を備え、このベルトとロールはニップ122を規定する。さらに印刷装置100は回転可能な感光体130を備える。トナー画像を感光体130上に形成するために、帯電装置140を作動させて感光体130の外側表面を帯電させる。感光体130を露光装置150へと回転させ、静電潜像を感光体130上に形成する。次に、感光体130を現像装置160へと回転させ、トナー粒子を静電潜像に適用しトナー画像を感光体130上に形成する。トナー画像を、感光体130から、シート供給スタック164から搬送された媒体162、たとえば、紙シートへと転写する。トナー画像が形成された媒体162を、定着機構110のニップ122へと搬送する。印刷装置100はコントローラ170を備え、コントローラは印刷時に画像形成装置の操作を制御するように構成される。媒体162がニップ122を通過した後、媒体を排出トレイ180に搬送する。画像形成処理を別の媒体に対して繰り返す前に、クリーニング装置182は残留トナー粒子を感光体130から除去する。
【0012】
定着機構では、エネルギー効率を向上させる要求が昇温時間に制限を課す場合がある。このような定着機構では、定着部材、たとえば、定着ベルトの定着表面を、待機温度から所望温度までより早急に加熱できることが必要である。低質量の定着ベルトを、ヒータを用いて早急に加熱して、昇温時間を減らすようにしていた。しかし、定着ベルトを用いて媒体を所望温度に加熱するためには、ヒータと定着ベルト間の表面ドエル量は、定着ベルトへ熱エネルギーを十分に供給できるように、十分に高いことが望ましい。十分である表面ドエル量は、比較的低い熱伝導率を有するポリマー状材料から成る定着ベルトでは、より高くなり得る。媒体が、ヒータによって定着ベルトに供給されるよりも多くの熱エネルギーを、定着ベルトから吸収した結果、定着ベルト温度が所望温度(たとえば、温度設定値)以下に落ちることによって生じる、温度「ドループ(droop)(降下)」を減らすことが望ましい。定着ベルトの温度ドループが大きすぎる場合には、媒体上へのマーキング材料の定着不良を生じ得る。
【0013】
媒体上にマーキング材料を定着する定着装置を提供する。定着装置は媒体に熱および圧力を印加することができる対面する部材を備え、マーキング材料を媒体上に定着させる。定着機構の実施の形態は、定着機構のドエルを増加させ、短時間昇温を提供することができる。定着機構の実施の形態は、バランスの取れた熱的入力および熱的出力を達成することによって、定着部材の温度ドループを制御することができる。
【0014】
図2および3は定着装置の例示的実施の形態を示す。例示される定着装置は定着機構200である。図2および3に示される定着機構200の実施の形態は、たとえば、印刷装置100内の定着機構110の代わりに使用されてもよい。印刷装置100を用いて、各種媒体、たとえば、各種大きさおよび重量を有するコートまたは未コート(プレーン)紙シートから印刷物を作成することができる。
【0015】
定着機構200は、外側表面212および内側表面214を有する連続定着ベルト210と、外側表面212と接触する外側表面222を有する加圧ロール220とを備える。外側表面222と定着ベルト210の外側表面212はニップ224を形成する。実施の形態では、加圧ロール220は駆動ロールであり、定着ベルト210は自由回転し加圧ロール220と係合することによって駆動する。加圧ロール220は時計回りに回転し、ベルトを反時計回りに回転させて、媒体を、ニップ224を通して運搬する。
【0016】
定着ベルト210の実施の形態は、2以上のポリマー状材料から成る層を備えてもよい。たとえば、定着ベルト210は内側表面214を形成するベース層と、ベース層上に配置された中間層と、中間層の上に配置され、外側表面212を形成する外側層を備えてもよい。内側層はポリイミド等、中間層はシリコン等、外側層は低摩擦特性を有するフルオロポリマー、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))等から成るものでよい。定着ベルト210は、定着機構200において弾性変形することができる厚さおよび材料組成を有する。
【0017】
他の実施の形態では、定着機構210は金属または金属合金、たとえば、スチール、ステンレススチール等から成るものでもよい。金属または金属合金を、中間層を形成する弾性材料でコートしてもよい。弾性材料はシリコン等でもよい。低摩擦特性を有する材料、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)等を、中間層上に塗布して、定着ベルト210の外側層を形成してもよい。
【0018】
例示される加圧ロール220は、コア224、コア224上に設けられる内側層226、および内側層226上に設けられる外側層228を有する。コア224は金属、金属合金等、内側層226は弾性材料、たとえばシリコン等、外側層228は低摩擦材料、たとえばテフロン(登録商標)等から成るものでよい。
【0019】
さらに定着機構200は、定着ベルト210の内側に配置されるヒータ230を備える。ヒータ230は固定されており、定着ベルト210に沿って軸方向(長手方向)に延びる。実施の形態では、ヒータ230はニップ224に配置され、ニップ224へと回転してきた定着ベルト210を加熱するように構成される。ヒータ230は加熱表面232と反対面234を有する。加熱表面232は定着ベルト210の内側表面214と接触するように構成される。ヒータ230は定着ベルト210を熱伝導によって加熱する。加熱表面232は、示されるように、平坦であってもよい。実施の形態では、実質的に加熱表面232全体が、定着ベルト210の内側表面214と接触してもよい。
【0020】
ヒータ230本体はセラミック材料からなるものでもよい。セラミック材料は、十分に高い熱伝導率を有するので、ヒータ230を作動させた場合に、熱エネルギーを定着ベルト210に早急に伝達させることができる。実施の形態では、ヒータ230は低熱容量を有するので、作動時に早急に加熱することができる。加熱表面232は滑らかに仕上げられており、加熱表面と回転する定着ベルト210の内側表面214との間の摩擦を低減することができる。熱伝導性潤滑剤を加熱表面232に塗布して、定着ベルト210の回転時の加熱表面と内側表面214との間の摩擦を低減することができる。
【0021】
実施の形態では、ヒータ230は1以上の加熱要素(図示せず)を備える。加熱要素を作動させて、加熱表面232を加熱する。加熱要素は定着ベルト210の軸方向に沿って延びる。加熱要素はたとえば、ヒータ230に内蔵されてもよい。加熱要素を、電源240に接続し、コントローラ242を電源240に接続して、加熱要素への電力供給を制御し、定着ベルト210を所望温度に加熱してもよい。定着ベルト210の温度は典型的に、ニップ224の入口端部付近の外側表面212で測定される。実施の形態では、加熱要素は実質的に、定着ベルト210と接触する加熱表面232全体を加熱することができる。
【0022】
さらに定着機構200は加熱フィン250を備える。加熱フィン250の例示される実施の形態は、平坦部分252と湾曲部分254を有する。平坦部分252は、ヒータ230の表面234と熱的に接触するように配置される。図示されるように、加熱フィン250の湾曲部分254は、定着ベルト210の内側表面214と接触する外側加熱表面256を有する。加熱表面256は湾曲形状を有する。たとえば、加熱表面256は、図示されるように、略半円状であってもよい。加熱フィン250は定着ベルト210の軸方向に沿って延びる。ヒータ230および加熱フィン250は、媒体がニップ224を通過する媒体経路となる(すなわち、媒体と接触する)定着ベルト210の外側表面212部分を加熱するように取付けられる。加熱フィン250はヒータ230が発生させた熱エネルギーを伝導させて、ニップ224の入口端部と隣接する定着ベルト210のニップ前部分を加熱する。実施の形態では、加熱フィン250の湾曲部分254を、ヒータ230と接触して配置することができる。実施の形態では、定着ベルト210のニップ前部分は、定着ベルト210について、少なくとも約30°、たとえば、少なくとも約45°、少なくとも約60°、または少なくとも約90°の角度にわたって円周状に延びてもよい。
【0023】
実施の形態では、加熱フィン250の湾曲部分254は実際には、湾曲部分254に関する加熱要素によって加熱されるのではない。例示される実施の形態では、加熱フィン250は十分に高い熱伝導率を有する材料から成るので、ヒータ230から平坦部分252に沿って湾曲部分254まで十分に熱を伝導させ、所望温度に定着ベルト210のニップ前部分を加熱することができる。他の実施の形態では、ヒータおよび加熱フィンは、ヒータから加熱フィンの湾曲部分まで、直接熱を伝導させるように構成されてもよい。異なる構造および材料組成を有する定着ベルト210の実施の形態でも、定着ベルト210のニップ前部分を所望温度に加熱することができる。たとえば、定着ベルト210の実施の形態は、ポリマー状材料、たとえば、弾性体のコーティングを有してもよく、この材料は定着ベルト210の他の部分を形成する他の材料より相対的に低い熱伝導率を有するものである。加熱フィン250はたとえば、金属または金属合金、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等からなるものでもよい。加熱フィン250はたとえば、単一片材料の半製品プレートであってもよい。加熱フィン250はまた、所望加熱温度に早急に達するように、低い熱容量を有してもよいが、定着機構200の昇温時間への影響は僅かしかない。実施の形態では、加熱フィン250は3mm以下、たとえば、約2mm以下または約1mm以下の厚さを有してもよい。
【0024】
定着機構200は、定着ベルト210が媒体上のマーキング材料を処理するのに望ましい温度に到達するための昇温時間を有し、これは約15秒以下であり得る。ヒータ230が発生させた熱エネルギーを用いて加熱フィン250を加熱することで、場合によっては定着ベルト210に伝達されずに、定着機構200の他の部分または周囲に伝達されたであろう熱エネルギーの損失を減らすことができる。
【0025】
実施の形態では、加熱フィン250を、定着ベルト210の内部に配置されるベルトガイド260によって支持してもよい。ベルトガイド260は、定着ベルト210の内側表面214の一部と接触する外側ガイド表面262を備える。ベルトガイド260は低熱伝導率を有する材料(すなわち、熱絶縁体)から成り、加熱フィン250および定着ベルト210からベルトガイド260への熱伝達を低減することができる。
【0026】
ベルトガイド260はヒータハウジング270に取付けられる。ヒータハウジング270は定着ベルト210の軸方向(長手方向)に沿って延びる。図示されるように、ヒータハウジング270の一部は加熱フィン250の平坦部分252の上を覆って設けることができる。ヒータハウジング270は低熱伝導率を有する材料(すなわち、熱絶縁体)から成り、加熱フィン250からヒータハウジング270への熱伝達を低減することができる。
【0027】
実施の形態では、定着機構200は負荷部材(図示せず)を備えてもよく、負荷部材はヒータハウジング270に負荷または荷重を作用させて、ニップ224での加熱表面232と定着ベルト210の内側表面214との接触を強めるように構成される。負荷部材は定着ベルト210に沿って軸方向に延びる。負荷部材はたとえば、金属または金属合金から成るものでもよい。
【0028】
作動時に、媒体をニップ224に給送する。図2は、媒体275が処理方向Aでニップ224へと移動することを示す。媒体275はたとえば、少なくとも1つのトナー画像を備える紙シートであってもよい。ニップ224で、定着ベルト210の外側表面212と加圧ロール220の外側表面222は、媒体275の対面する表面と接触する。定着ベルト210は十分な熱エネルギーを媒体275に供給し、マーキング材料を十分高温に加熱し、マーキング材料を定着する。ニップ前部分はその先のニップ224へと回転する前に、加熱表面256を通過して回転し、そして加熱フィン250は定着ベルト210のニップ前部分を予熱する。実施の形態では、定着ベルト210の予熱部分は、ニップ224に給送される媒体上にあるマーキング材料、たとえば、トナーを定着するための温度設定値またはこの設定値以上で、ニップ224に進入することができる。ニップ224で、ヒータ230はさらなる熱エネルギーを定着ベルト210に供給する。
【0029】
定着機構200で、典型的なドエル時間は約20msである。実施の形態では、加熱フィン250およびヒータ230によって加熱される定着ベルト210の円弧部分の長さは、少なくとも処理方向Aでの媒体寸法と同じであり得る。加熱フィン250が定着ベルト210を少なくとも温度設定値まで予熱する場合には、ヒータ230がその後、ニップ224でマーキング材料を媒体上に定着するために供給せねばならない仕事量は、ニップ224のみでヒータ230を用いて定着ベルト210を加熱する場合に比べて、減少する。定着ベルト210の予熱部分が、ニップ224にほぼ温度設定値かそれ以上で到着する場合には、ヒータ230は、マーキング材料および媒体の温度を所望温度、たとえば、トナー定着温度にまで上げるのに十分な量の追加の熱エネルギーを供給するだけでよい。定着温度は、媒体重量によって異なるが、たとえば、約180℃〜約210℃であってもよい。定着機構200では、媒体を定着ベルト210と、ほぼドエル時間中は、温度設定値またはそれ以上の温度で接触させて、媒体上に高定着レベルを生成することができる。
【0030】
実施の形態では、加熱フィン250を備える定着機構200は、印刷ジョブ時、定着ベルト210の円周方向および軸方向の両方で改良された温度均一性を提供することができる。図4は、ニップ入口付近での定着ベルトの外側表面における定着ベルト温度を、加熱フィンを有する定着機構と加熱フィンを有さない定着機構について、作成された印刷物数(回数)の関数として示した模範的曲線を示す。示されるように、加熱フィンを備える定着機構は、印刷稼動時にほぼ均一な定着ベルト温度を生じるが、加熱フィンを有さない定着機構の定着ベルトは、印刷稼動時に、温度に著しい低下を示す。加熱フィンを有する定着ベルトの外側表面温度は、定着ベルトの円周方向でも軸(すなわち媒体経路を横断する)方向でも共に、図4に示される形状を表す。
【0031】
図2に示されるように、センサ280(たとえば、光学センサ)をニップ224の上流に配置し、ニップ224に媒体275が到着するのを検知してもよい。センサ280は、図示されるように、コントローラ250に接続されてもよい。ニップ224に媒体275が到着する時間を検知することによって、電力を電源240からヒータ230に供給し、媒体275がニップ224に達する前に、定着ベルト210の外側表面212を所望温度まで加熱してもよい。実施の形態では、媒体275がニップ224を通過したら、センサ280がニップ224に次の媒体が到着するのを検知するまで、電源240によるヒータ230への電力供給をオフにしてもよい。
【0032】
上記では電子写真印刷に使用される定着機構を教示しているが、ここでの教示および請求の範囲を、印刷に有用な装置において、媒体上のマーキング材料の如何なる処理に適用してもよいことは理解される。たとえば、マーキング材料はトナー、液体またはゲルインク、および/または熱または放射線硬化性インクでもよく、および/または媒体は印刷成功のための一定の処理条件、たとえば、温度を用いてもよい。処理条件、たとえば、加熱、圧力および所定の実施の形態で媒体上のインク処理に必要な他の条件は、電子写真の定着に好適な条件と異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0033】
100 印刷装置、200 定着機構、210 定着ベルト、212 外側表面、214 内側表面、220 加圧ロール、222 外側表面、224 ニップ、230 ヒータ、232 加熱表面、250 加熱フィン、256 加熱表面、275 媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1外側表面を有するロールと、
内側表面、および前記第1外側表面と接触してニップを形成する第2外側表面を有する連続ベルトであって、前記ロールの回転によって回転駆動するベルトと、
前記ベルトの内側に配置され、前記ニップにおいて前記ベルトの内側表面と接触する第1加熱表面を有するヒータと、
前記ヒータと熱的に接触する加熱フィンであって、前記ベルトの内側表面のニップ前部分と接触するよう円周方向に延びる第2加熱表面を有する加熱フィンと、を備え、
熱エネルギーは前記ヒータから前記加熱フィンへと伝導し、前記第2加熱表面は、前記ニップ前部分が前記ニップへと回転して来る前に、前記ベルトのニップ前部分を予熱し、前記ヒータの第1加熱表面は、予熱された前記ニップ前部分を前記ニップで加熱する、
印刷に有用な装置。
【請求項2】
前記第1加熱表面は平坦な形状であり、前記加熱フィンおよび第2加熱表面は、凸状形状であって、かつ前記ニップの入口端部の隣接位置から少なくとも約30°〜少なくとも約90°の角度にわたって延びる前記ベルトの内側表面のニップ前部分と接触する、請求項1の装置。
【請求項3】
第1外側表面を有する加圧ロールと、
内側表面、および前記第1外側表面と接触してニップを形成する第2外側表面を有する連続定着ベルトであって、前記加圧ロールの回転によって回転駆動する定着ベルトと、
前記ベルトの内側に配置され、前記ニップにおいて前記定着ベルトの内側表面と接触する平坦な第1加熱表面を有するヒータと、
前記ヒータと熱的に接触する加熱フィンであって、前記定着ベルトの内側表面のニップ前部分と接触するよう円周方向に延びる湾曲した第2加熱表面を有する加熱フィンと、を備え、
熱エネルギーは前記ヒータから前記加熱フィンへと伝導し、前記第2加熱表面は、前記ニップ前部分が前記ニップへと回転して来る前に、前記定着ベルトのニップ前部分を予熱し、前記ヒータの第1加熱表面は、予熱されたニップ前部分をニップで加熱する、
定着機構。
【請求項4】
媒体上のマーキング材料を処理する方法であって、
ロールの第1外側表面がベルトの第2外側表面と接触することによって形成されたニップへと、マーキング材料を有する媒体を給送し、
前記ベルトの内側に配置され、前記ベルトの内側表面とニップで接触する第1加熱表面を有するヒータに関して、かつヒータと熱的に接触し、前記ベルトの内側表面のニップ前部分と接触するよう円周方向に延びる第2加熱表面を有する加熱フィンに関して、前記ベルトを回転させ、
前記ヒータを作動させて、前記ヒータからの熱エネルギーを前記加熱フィンへと伝導させて、前記第2加熱表面を用いて、前記ニップ前部分が前記ニップへと回転して来る前に、前記ベルトのニップ前部分を予熱し、前記第1加熱表面を用いて、予熱されたニップ前部分を前記ニップで加熱し、
媒体を、前記ロールの第1外側表面および前記ベルトの第2外側表面と前記ニップで接触させて、マーキング材料を処理すること、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−8256(P2011−8256A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141290(P2010−141290)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】