説明

印刷システム、印刷装置および印刷装置の印刷制御方法

【課題】印刷指示をその都度行わなくても、必要に応じた枚数を連続して印刷することができる印刷システム、印刷装置および印刷装置の印刷制御方法を提供すること。
【解決手段】本発明の印刷システム1は、印刷データを記憶する印刷データ記憶手段91と、記憶された印刷データに基づいて、繰り出された用紙に印刷を行うと共に用紙を用紙取出部13に送る印刷送り処理を実行する印刷送り手段92と、用紙取出部13から用紙が取り除かれたか否かを検出する検出手段24と、を備え、印刷送り手段92は、検出手段24による検出をトリガーとして、印刷送り処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データに基づいて、繰り出された用紙に印刷を行うと共に用紙を用紙取出部に送る印刷システム、印刷装置および印刷装置の印刷制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の印刷装置として下記特許文献1に記載のものが知られている。この印刷装置は、ホスト装置から送信された印刷指示通知を受信する通信部と、この印刷指示通知の印刷データに基づいて用紙に印刷する印刷部と、を備えており、印刷された用紙は、排紙トレイ(用紙取出部)に排出される。
【特許文献1】特開2006−92405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の印刷装置では、同一内容の印刷結果を複数欲しい場合でも、その都度印刷指示を行う必要があるが、連続印刷や連番印刷等の機能を用いると、印刷指示無しに複数の印刷結果を得ることができる。しかしながら、予め印刷枚数が正確に把握できない場合には、大よその必要枚数を推定して印刷を行うことになるため、印刷物が必要枚数に足りなかったり、必要枚数以上に印刷してしまうことが考えられる。そのため、印刷物が必要枚数に足りない場合には、改めて印刷指示が必要となり、効率的な印刷処理を行うことができない。一方、必要枚数以上に印刷した場合には、用紙が無駄に消費されてしまう問題がある。
【0004】
本発明は、印刷指示をその都度行わなくても、必要に応じた枚数を連続して印刷することができる印刷システム、印刷装置および印刷装置の印刷制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印刷システムは、印刷データを記憶する印刷データ記憶手段と、記憶された印刷データに基づいて、繰り出された用紙に印刷を行うと共に用紙を用紙取出部に送る印刷送り処理を実行する印刷送り手段と、用紙取出部から用紙が取り除かれたか否かを検出する検出手段と、を備え、印刷送り手段は、検出手段による検出をトリガーとして、印刷送り処理を実行することを特徴とする。
【0006】
本発明の印刷装置の印刷制御方法は、用紙に印刷を行う印刷部と、用紙を取り出す用紙取出部と、用紙を用紙取出部に送る用紙送り部と、を有する印刷装置の印刷制御方法であって、用紙取出部から用紙が取り除かれたか否かを検出する検出工程と、検出工程における検出をトリガーとして、印刷部により用紙に印刷を行うと共に用紙送り部により用紙を送る印刷送り工程と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、用紙取出部から用紙が取り除かれたことを検出すると、これをトリガーとして、印刷送り処理が実行される。これにより、印刷指示をその都度行わなくても、用紙取出部から用紙を取り除くだけで、必要に応じた印刷送り処理を繰り返させることができる。したがって、予め必要枚数を正確に把握できないような場合でも、必要枚数のみ連続して印刷を行わせることができ、用紙を無駄に消費することが無い。
【0008】
この場合、印刷送り処理の実行を指示する印刷指示手段をさらに備え、印刷送り手段は、印刷指示手段による印刷指示に従って最初の印刷送り処理を実行し、検出手段による検出をトリガーとして、次の回以降の印刷送り処理を実行することが好ましい。
【0009】
この構成によれば、最初の印刷送り処理に印刷指示を行うと、次の回以降の印刷送り処理の印刷指示が不要となる。これにより、次の回以降の印刷指示はその都度行わなくても、用紙取出部から用紙を取り除くだけで、必要に応じた印刷送り処理を連続して行わせることができる。
【0010】
この場合、次の回以降の印刷送り処理を、検出手段による検出をトリガーとして実行する自動印刷モードと、次の回以降の印刷送り処理を、印刷指示手段による印刷指示に基づいて実行する通常印刷モードと、のいずれかの印刷モードを選択する印刷モード選択手段をさらに備え、印刷送り手段は、印刷モード選択手段による選択結果に基づいて印刷送り処理を実行することが好ましい。
【0011】
この構成によれば、印刷モードの選択により、例えば、印刷枚数が指定されていない場合には、自動印刷モードに切替えて印刷送り処理を行い、印刷枚数が指定されている場合には、通常印刷モードに切替えて印刷送り処理を行う。これにより、状況に応じた印刷送り処理を実行することができる。
【0012】
これらの場合、順序性を有する複数のキャラクタまたは画像から成る連続データを記憶する連続データ記憶手段と、印刷データを生成する印刷データ生成手段と、をさらに備え、印刷データ生成手段は、印刷データの中に連続データが含まれる場合、検出手段による検出毎に連続データを順序性に従って変更させることにより印刷データを更新することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、印刷データの中に順序性を有する連続データが含まれていると、検出手段による検出毎に、連続データを順序性に従い変更する。これにより、例えば、印刷データの一部に連続データを付加して印刷することができる。なお、連続データとしては、連続番号、アルファベット24文字および平仮名54文字等のキャラクタや、干支や暦の画像等が考えられる。また、連続データをグループ別に分類して記憶しておけば、各グループの中の連続データが、検出手段の検出の度に次々変更されて、異なる印刷結果を得ることができる。
【0014】
これらの場合、印刷送り手段による印刷送り処理の繰り返し実行回数を指定する実行回数指定手段をさらに備えたことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、繰り返し実行回数の上限回数を指定することができるため、予め必要枚数が決まっている場合には、不要な繰り返し動作を防止することができる。
【0016】
これらの場合、印刷送り手段による印刷送り処理の繰り返し実行を強制的に終了させる強制終了手段をさらに備えたことが好ましい。
【0017】
この構成によれば、印刷送り処理の繰り返し実行を強制的に終了するので、繰り返し実行回数が指定されている場合であっても、状況に応じて印刷送り処理を中断することができる。
【0018】
これらの場合、繰り出された用紙が、複数枚の付箋紙から成る付箋紙束から1枚ずつ引き剥がして繰り出された付箋紙であることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、複数の付箋紙に連続して印刷を行うことができ、付箋紙を対象物に貼着しながら、必要枚数の印刷済みの付箋紙を得ることができる。
【0020】
本発明の印刷システムは、印刷データ記憶手段および印刷送り手段を備えた外部装置と、外部装置と接続され、検出手段と、用紙取出部と、用紙に印刷を行う印刷部と、用紙を用紙取出部に送る用紙送り部と、を備えた印刷装置と、から成ることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、外部装置からの指令に基づいて、印刷装置が繰り返し印刷送り処理を行う。これにより、印刷装置の装置構成を簡素化できる。
【0022】
本発明の印刷装置は、上記の印刷システムにおける各手段を備えたことを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、印刷装置単体で、印刷指示をその都度行わなくても、用紙取出部から用紙を取り除くだけで、必要に応じた印刷送り処理を繰り返させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る印刷装置を付箋紙プリンタに組み込んだ場合について説明する。この付箋紙プリンタは、付箋紙印刷システム(印刷システム)を構成する1つであり、パソコンなどの外部装置で作成した印刷データに基づいて、セットした付箋紙束から最上位の付箋紙を1枚ずつ引き剥がして繰り出し、繰り出された付箋紙に印刷を行って、印刷済みの付箋紙を用紙取出口に送るものである。先ず、付箋紙印刷システムについて説明する。
【0025】
図1に示すように、付箋紙印刷システム1は、付箋紙束H(図3参照)がセットされる付箋紙プリンタ2と、付箋紙プリンタ2にUSB(USBケーブル)4等で接続され、付箋紙H1(図2参照)に印刷するための印刷データを作成および編集すると共に、付箋紙プリンタ2の各種駆動を制御するパーソナルコンピュータ3(以下、「パソコン3」と称する)とから構成されている。
【0026】
パソコン3は、パソコン本体5と、パソコン本体5に接続され、データを入力するキーボード6およびマウス7と、入力結果等を表示するディスプレイ8とを有しており、パソコン本体5には、付箋紙プリンタ2に関するアプリケーションソフト(プログラム)やプリンタドライバ等のデータを記憶したCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)9が着脱自在にセットされている。そして、キーボード6等から各種検出信号、各種指令、各種データ等が入力されると、パソコン3は、CD−ROM9内のプログラムに従って、各種データを処理し、付箋紙プリンタ2を制御するようになっている。
【0027】
図2に示すように、付箋紙プリンタ2は、装置ケース15により外殻が形成され、装置ケース15の内部は、付箋紙束H(図3参照)がセット可能に構成されている。そして、付箋紙プリンタ2は、セットした付箋紙束Hから1枚ずつ付箋紙H1を引き剥がし、当該付箋紙H1にパソコン3で作成した所望のキャラクタ列を印刷し、これを装置ケース15に形成した用紙取出部13に排出するようにしている。
【0028】
装置ケース15は、全体として小型に形成されており、装置ケース15の下部前面には、後述する付箋紙ホルダ20をケース内部に前方から引き出し式に導入するための付箋紙導入開口17が形成されている。用紙取出部13は、前面中央に設けられると共に印刷済み付箋紙H1をケース外部に排出するための水平スリット状の排紙口16と、排紙口16廻りに設けられ、排出された印刷済み付箋紙H1を受ける受け部14と、が形成されている。また、装置ケース15の上面には、インクリボンRを収容したリボンカートリッジCの着脱およびメンテナンスのための開閉蓋18が取り付けられている(図3参照)。
【0029】
付箋紙束Hは、裏面の基端部を部分糊付けした複数の付箋紙H1から構成されている。すなわち、付箋紙束Hは、同一形状(長方形)且つ同一サイズの複数の付箋紙H1を、それぞれ裏面の基端部を部分糊付けして積層したものである。付箋紙H1は、付箋紙束Hから1枚ずつ剥離可能に構成されていると共に、剥離後に、この基端部の糊付け部(接着剤)を介して、手帳等の被貼着物に再貼着可能に構成されている。
【0030】
図3に示すように、付箋紙プリンタ2は、付箋紙束Hをセットする付箋紙ホルダ20と、セットした付箋紙束Hの最上位の付箋紙H1を捲り上げ、後述する挟持位置55に臨ませると共に用紙取出部13に搬送する搬送手段22と、挟持位置55に臨んだ付箋紙H1に印刷を行う印刷手段23と、装置ケース内の用紙取出部13近傍に配置され、付箋紙H1の有無を検出する検出センサ(検出手段)24と、を備え、これらは上記した装置ケース15内に収容されている。また、図2および図3では省略したが、装置ケース15の内部には、付箋紙プリンタ2を統括制御する制御部70(図5参照)を構成する回路基板が搭載されている。
【0031】
付箋紙ホルダ20は、所定サイズの付箋紙束Hを保持すると共に、上面を開放すると共にボックス状に形成された付箋紙束ケース30と、付箋紙束ケース30に収容され、付箋紙束Hを水平に載置するセットステージ31と、で構成され、セットステージ31と付箋紙束ケース30の底面との間には、セットステージ31を上方に付勢する複数のコイルバネ32が介設されている。付箋紙束ケース30は、セットステージ31をスライドするように案内する四周枠状のケース本体33と、ケース本体33の上端部に設けられ、付箋紙束Hの自由端部および糊付け部を相対的に押えるよう内向きに突設された前後一対の位置規制部34と、で一体に形成されている。セットステージ31は、複数のコイルバネ32により上方に付勢されており、これにセットされた付箋紙束Hは、付箋紙H1が1枚ずつ送り出され目減りしても、その最上位に位置する付箋紙H1の高さレベルが一定となっている。
【0032】
付箋紙ホルダ20は、装置ケース15に対して、引き出し式で装着する構成になっており、付箋紙導入開口17を介して着脱自在に装着される。すなわち、付箋紙ホルダ20に付箋紙束Hをセットするときには、付箋紙ホルダ20を装置ケース15内部から取り外し、付箋紙ホルダ20に付箋紙束Hを入れた後、再び付箋紙ホルダ20を装置ケース15内部に取り付ける。
【0033】
搬送手段22は、ピックアップ位置48に臨んだ付箋紙束Hの最上位の付箋紙H1を捲り上げるように構成されており、最上位の付箋紙H1に転接してこれを捲り上げると共に後述するサーマルヘッド50との間に捲り上げた付箋紙H1を挟持して回転送りする送りローラ51と、送りローラ51の駆動源となる駆動モータ52と、駆動モータ52の駆動力を送りローラ51に伝達する減速ギヤ列53と、送りローラ51を付箋紙H1を捲り上げるピックアップ位置48と付箋紙H1をサーマルヘッド50と挟持する挟持位置55との間で移動させるローラ移動手段54と、を備えている。
【0034】
送りローラ51は、捲り上げた付箋紙H1の自由端側の裏面に転接すると共に、挟持位置55において、これを引き剥がしながら回転送りするものであり、付箋紙H1に直接転接するローラ本体58と、ローラ本体58の回転軸としてのローラ駆動軸59とを有している。ローラ駆動軸59は、両端部をローラ移動手段54に回転自在に両持ちで保持され、減速ギヤ列53を介して伝達される駆動モータ52の動力により回転する。また、送りローラ51は、付箋紙H1に転接してこれを捲り上げる機能と、後述するサーマルヘッド50と協働するプラテンローラの機能とを併せ持つようになっている。
【0035】
ローラ移動手段54は、先端部でローラ駆動軸59を回転自在に保持すると共に、基端部を中心に回動(揺動)自在に構成された一対の回動アーム60を有しており、例えば、一方の回動アーム60をキャリアとし、且つ上記減速ギヤ列53を構成する一部のギヤを利用した遊星歯車機構と、そのギヤの回転力を回動アーム60の回動動作に変換するカム機構とにより構成されている。すなわち、遊星歯車機構による円運動が、カム機構により回動アーム60の往復回動運動に変換されるようになっている。この回動アーム60の往復回動運動により、送りローラ51が回転しながら、ピックアップ位置48と挟持位置55との間で移動する。
【0036】
印刷手段23は、排紙口16近傍に配設されると共に送りローラ51と略同一幅に形成されたサーマルヘッド50と、装着されたリボンカートリッジCのインクリボンRを巻き取るリボン巻取り機構(図示省略)とを備えている。リボンカートリッジCは、インクリボンRを繰り出し自在に巻回したリボン繰出しリール61と、インクリボンRを巻き取るリボン巻取りリール62と、これらを回転自在に収容するカートリッジケース(図示省略)とから構成されている。また、リボン巻取り機構は、送りローラ51が挟持位置55へ移動すると、上記の減速ギヤ列53と連結して駆動モータ52からの動力が入力されるようになっており、付箋紙H1の送りと併せて、インクリボンRの巻取り(送り)を開始するようになっている。
【0037】
このようにして構成された印刷手段23および搬送手段22は、パソコン3からの制御信号により、サーマルヘッド50および駆動モータ52が制御されながら、付箋紙H1に対する印刷を行う。すなわち、挟持位置55に移動した送りローラ51とサーマルヘッド50との間で、付箋紙H1とインクリボンRとを挟み込み、これらを併走させて送りつつ、サーマルヘッド50の発熱駆動により付箋紙H1の表面に印刷を行い、印刷済みの付箋紙H1を用紙取出部13に向かって送る。
【0038】
検出センサ24は、挟持位置55に移動した送りローラ51に対して送り方向の下流側、すなわち、送りローラ51と排出口16との間に配設され、且つ受け部14に形成した検出開口19に臨んでいる。検出センサ24は、用紙取出部13における付箋紙H1の「有・無」により、排出口16から付箋紙H1が取り除かれたか否かを検出し、検出結果をパソコン3に送る。なお、検出センサ24は、マイクロスイッチやフォトセンサで構成される。
【0039】
検出センサ24の検出信号は、パソコン3に入力され、その検出結果に基づいて、パソコン3は、印刷手段23および搬送手段22を駆動制御する。すなわち、検出センサ24が、付箋紙H1「無」を検出した場合、つまり、排出口16から付箋紙H1が取り除かれたことを検出した場合、これをトリガーとして、パソコン3は、印刷手段23および搬送手段22を駆動させる。
【0040】
次に、上記構成を備える付箋紙プリンタ2の付箋紙H1の捲り上げから排紙に至る一連の動作を説明する。
【0041】
印刷待機状態において、送りローラ51は、ピックアップ位置48にあり、付箋紙ホルダ20にセットされた付箋紙束Hの最上位の付箋紙H1の表面に転接している。ユーザがパソコン3により印刷開始を指示すると、送りローラ51は、回転して付箋紙H1の捲り上げ動作を開始する。すなわち、送りローラ51が最上位の付箋紙H1に対し、表面の自由端側に転接することで、その長手方向の中間部が次第に上方へと湾曲するように撓んでいく。
【0042】
捲り上がっていく付箋紙H1の先端が送りローラ51の下側を通過した直後に、送りローラ51が回転しながら上方へ移動して付箋紙束Hから離間すると、付箋紙H1は、送りローラ51の回転力により、送りローラ51の上側に撥ね上げられ、自由端部が送りローラ51に乗り上げる。付箋紙H1を乗せた送りローラ51は、続いて、回転(自転)しながら挟持位置55に移動(公転)する。送りローラ51が挟持位置55に達してサーマルヘッド50との間に付箋紙H1を挟持すると、これに併せてインクリボンRの送りが開始される。
【0043】
送りローラ51は、付箋紙H1の裏面に転接してこれを付箋紙束Hから引き剥がし、自由端側を先にして排紙口16に向けて回転送りすると同時に、プラテンローラとして機能する。すなわち、糊付け部を引き剥がしながら、サーマルヘッド50と送りローラ51とが協働して、付箋紙H1の表面に自由端側から印刷を行う。付箋紙H1の糊付け部が送りローラ51に達したところで、送りローラ51は、挟持位置55からピックアップ位置48に移動し、印刷済み付箋紙H1は、排紙口16の受け部14に受け渡される。
【0044】
そして、検出センサ24は、用紙取出部13から印刷済み付箋紙H1が取り除かれたか否かを検出すると共に、検出結果をパソコン3に送る。ここで、検出センサ24の検出結果が「無」のとき、すなわちユーザにより用紙取出部13から付箋紙H1が取り除かれた状態を検出したときには、パソコン3により印刷送り手段92(図6参照)が駆動されて上述した印刷送り処理を繰り返し実行する。一方、検出センサ24の検出結果が「有」のとき、すなわち用紙取出部13に付箋紙H1が残っている状態を検出したときには、印刷送り手段92は、付箋紙H1が取り除かれるまで待機状態となる。
【0045】
ここで、図4および図5を参照して、付箋紙印刷システム1の制御系について説明する。上述したように、付箋紙印刷システム1は、付箋紙プリンタ2と、パソコン3とから成る。図5に示すように、付箋紙プリンタ2は、印刷部71と、送り部72と、検出部73と、データ送受信部74と、各部と接続して、付箋紙プリンタ2全体を制御する制御部70と、を有している。印刷部71は、サーマルヘッド50により印刷駆動を行う。送り部72は、駆動モータ52により付箋紙束Hから付箋紙H1を引き剥がすと共に引き剥がした付箋紙H1を用紙取出部13に送る。検出部73は、検出センサ24により用紙取出部13から印刷済みの付箋紙H1が取り除かれたか否かを検出する。データ送受信部74は、USBインタフェース(USB−IF)75を有し、USBケーブル4を介してパソコン3からとデータの送受信を行う。制御部70は、CPU(Central Processing Unit)76と、ROM(Read Only Memory)77と、RAM(Random Access Memory)78と、入力制御装置(IOC:Input Output Controller)79とを備え、互いに内部バスにより接続されている。そして、CPU76は、ROM77内の制御プログラムに従って、IOC79を介して付箋紙プリンタ2の各部からの各種信号・データを入力する。そして、CPU76は、入力した各種信号・データに基づいて、RAM78内の各種データを処理し、IOC79を介して付箋紙プリンタ2の各部に各種信号・データを出力する。
【0046】
一方、図4に示すように、パソコン3は、キーボード6およびマウス7からのデータ入力や、各種情報のディスプレイ8への表示など、ユーザインターフェースとして機能する操作部81と、USBインタフェース(USB−IF)83を有し、USBケーブル4を介して付箋紙プリンタ2と各種信号・データの送受信を行うデータ送受信部82と、付箋紙プリンタ2の各部を制御する制御部84とを有し、制御部84は、パソコン3全体を制御している。制御部84は、CPU85と、ROM86と、RAM87と、CD−ROM9と、入力制御装置(IOC:Input Output Controller)88とを備え、互いに内部バスにより接続されている。パソコン3内の各部からIOC88を介して各種信号・データが入力されると、CPU85は、CD−ROM9内に記憶された制御プログラムにしたがって、入力された各種信号・データに基づいて、RAM87内の各種データを処理し、IOC88を介してパソコン3内の各種信号・データを出力する。
【0047】
ここで、図6の機能ブロック図を参照し、付箋紙印刷システム1の制御系についてさらに説明する。パソコン3は、同図に示すように、印刷データ記憶手段91と、印刷送り手段92と、印刷指示手段93と、印刷モード選択手段94と、連続データ記憶手段95と、印刷データ生成手段96と、実行回数指定手段97と、強制終了手段98と、を備えている。
【0048】
印刷データ記憶手段91は、RAM87によりその主要部が構成され、ユーザにより作成された印刷データを記憶するものである。印刷送り手段92は、印刷指示手段93からの印刷送り処理の指示に基づいて印刷送り処理を行うものである。詳細については後述するが、最初の印刷送り処理は、ユーザからの印刷指示に基づいて実行され、次の回以降の印刷送り処理は、検出手段24の検出をトリガーとして実行される。
【0049】
印刷指示手段93は、印刷送り手段92に印刷送り処理の実行を指示するものである。印刷モード選択手段94は、次の回以降の印刷送り処理を検出手段24による検出をトリガーとして実行する自動印刷モード(連続印刷モード)と、次の回以降の印刷送り処理を印刷指示手段93による印刷指示に基づいて実行する通常印刷モードと、のいずれかの印刷モードを選択するものである。
【0050】
連続データ記憶手段95は、順序性を有する複数のキャラクタまたは画像から成る連続データを記憶するものである。印刷データ生成手段96は、印刷データを生成するものであり、印刷データの中に連続データが含まれる場合、検出手段24の検出毎に連続データを順序性に従って変更させることにより印刷データを更新するものである。これにより、例えば、印刷データの一部に連続番号95aを付加することができる(図7参照)。
【0051】
実行回数指定手段97は、印刷送り手段92の印刷送り処理の繰り返し実行回数(枚数)を指定するものである。強制終了手段98は、印刷送り手段92の印刷送り処理の繰り返し実行を強制的に終了するものである。
【0052】
なお、印刷データ記憶手段91は、RAM87によってその主要部が構成され、連続データ記憶手段95は、ROM86によってその主要部が構成される。また、印刷送り手段92、印刷指示手段93、印刷モード選択手段94、印刷データ生成手段96、実行回数指定手段97および強制終了手段98は、CPU85がROM86およびCD−ROM9内の制御プログラムに従って各種データを演算し、さらに操作部81およびIOC88と協働して処理を実行することにより実現されるものである。
【0053】
次に、図8を参照して、付箋紙印刷システム1の制御動作について説明する。本実施形態では、自動印刷モードが選択され、かつ、連続データが記憶されている場合を例に説明する。
【0054】
CD−ROM9に記憶された制御プログラムを起動させ、ユーザがキーボード6等から印刷開始を指示すると、通常印刷モード94aと連続印刷モード(自動印刷モード)94bとの選択画面がディスプレイ8に表示され(図9参照)、ユーザの操作に基づいて印刷モード選択手段94により、連続印刷モード94aが選択される(S1)。なお、印刷モードの設定は、印刷処理の開始時ではなく、環境設定により事前に行うようにしてもよい。
【0055】
次に、実行回数指定手段97により、印刷送り手段92の印刷送り処理の繰り返し実行回数が設定され、上限枚数カウンタ(CNT)がセットされる(S2)。そして、枚数カウンタがゼロに設定される(S3)。
【0056】
次に、印刷送り手段92に印刷指示手段93から最初の印刷送り処理の実行が指示されると、印刷データが付箋紙プリンタ2に送信されて(S4)、印刷部71および送り部72により印刷送り処理が実行される(S5)。このとき、枚数カウンタの値を増加させる(S6)。
【0057】
次に、印刷送り処理の繰り返し実行回数(枚数カウンタ)が設定回数を超えたか否かが判定され(S7)、設定回数以下の場合(S7:Yes)、強制終了手段98からの終了指示の有無が判定される(S8)。一方、枚数カウンタが設定回数を超えた場合(S7:No)、印刷送り処理を終了する。
【0058】
次に、強制終了手段98からの終了指示が無い場合(S8:No)、検出センサ24により、用紙取出部13における印刷済み付箋紙H1の有無が検出され、検出結果がパソコン3に送られる(S9)。一方、強制終了手段98からの終了指示があった場合(S8:Yes)、印刷送り処理を終了する。
【0059】
次に、検出センサ24が、印刷済み付箋紙H1が無い状態、つまり、用紙取出部13から印刷済み付箋紙H1が取り除かれたことを検出した場合(S9:No)、印刷データ生成手段96が、印刷データ記憶手段91および連続データ記憶手段95と協働して、連続データを順序性に従って変更して印刷データの更新を行う(S10)。そして、S5に戻って、印刷送り処理を繰り返す。一方、検出センサ24が、印刷済み付箋紙H1が有る状態、つまり、用紙取出部13から印刷済み付箋紙H1が取り除かれていないことを検出した場合(S9:Yes)、S8の処理に戻る。
【0060】
このように、検出センサ24により用紙取出部13から用紙が取り除かれたことを検出すると、この検出をトリガーとして印刷送り処理を実行する。これにより、印刷指示をその都度行わなくても、用紙取出部13から用紙を取り除くだけで、必要に応じた印刷送り処理を繰り返すことができる。したがって、予め必要枚数を正確に把握できないような場合でも、必要枚数のみ連続して印刷を行うことができ、用紙を無駄に消費することが無い。
【0061】
なお、本実施形態では、付箋紙印刷システム1を例に説明したが、付箋紙プリンタ2に印刷データ記憶手段91、印刷送り手段92および印刷指示手段93等の各種の制御機能を設け、付箋紙プリンタ2を単体として、用いることも当然可能である。また、本実施形態では、付箋紙束Hを用いたが、長尺状のテープを用いても良い。この場合、長尺状のテープを巻回した状態で付箋紙プリンタ2に収容しておき、印刷に伴ってテープを繰り出し、印刷終了後にテープを切断する切断手段を備えることが好ましい。この構成によれば、テープの長手方向において自由度の高い印刷データを印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る付箋紙印刷システムの模式図である。
【図2】本実施形態に係る付箋紙プリンタの外観斜視図である。
【図3】本実施形態に係る付箋紙プリンタの内部模式図である。
【図4】パソコンの制御ブロック図である。
【図5】付箋紙プリンタの制御ブロック図である。
【図6】付箋紙印刷システムの機能ブロック図である。
【図7】付加情報の一例を示す図である。
【図8】付箋紙印刷システムの制御動作を示すフローチャートである。
【図9】通常印刷モードと自動印刷モードとの選択画面の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1…付箋紙印刷システム 2…付箋紙プリンタ 3…パソコン 24…検出センサ 91…印刷データ記憶手段 92…印刷送り手段 13…用紙取出部 93…印刷指示手段 94…印刷モード選択手段 94a…通常印刷モード 94b…自動印刷モード 95…連続データ記憶手段 96…印刷データ生成手段 97…実行回数指定手段 98…強制終了手段 H…付箋紙束 H1…付箋紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを記憶する印刷データ記憶手段と、
記憶された前記印刷データに基づいて、繰り出された用紙に印刷を行うと共に前記用紙を用紙取出部に送る印刷送り処理を実行する印刷送り手段と、
前記用紙取出部から前記用紙が取り除かれたか否かを検出する検出手段と、を備え、
前記印刷送り手段は、前記検出手段による検出をトリガーとして、前記印刷送り処理を実行することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷送り処理の実行を指示する印刷指示手段をさらに備え、
前記印刷送り手段は、前記印刷指示手段による印刷指示に従って最初の前記印刷送り処理を実行し、前記検出手段による検出をトリガーとして、次の回以降の前記印刷送り処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
次の回以降の前記印刷送り処理を、前記検出手段による検出をトリガーとして実行する自動印刷モードと、次の回以降の前記印刷送り処理を、前記印刷指示手段による印刷指示に基づいて実行する通常印刷モードと、のいずれかの印刷モードを選択する印刷モード選択手段をさらに備え、
前記印刷送り手段は、前記印刷モード選択手段による選択結果に基づいて前記印刷送り処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
順序性を有する複数のキャラクタまたは画像から成る連続データを記憶する連続データ記憶手段と、
前記印刷データを生成する印刷データ生成手段と、をさらに備え、
前記印刷データ生成手段は、前記印刷データの中に前記連続データが含まれる場合、前記検出手段による検出毎に前記連続データを前記順序性に従って変更させることにより前記印刷データを更新することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項5】
前記印刷送り手段による前記印刷送り処理の繰り返し実行回数を指定する実行回数指定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項6】
前記印刷送り手段による前記印刷送り処理の繰り返し実行を強制的に終了させる強制終了手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項7】
前記繰り出された用紙が、複数枚の付箋紙から成る付箋紙束から1枚ずつ引き剥がして繰り出された付箋紙であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の印刷システム。
【請求項8】
前記印刷データ記憶手段および前記印刷送り手段を備えた外部装置と、
前記外部装置と接続され、前記検出手段と、前記用紙取出部と、前記用紙に印刷を行う印刷部と、前記用紙を前記用紙取出部に送る用紙送り部と、を備えた印刷装置と、から成ることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項9】
請求項1に記載の印刷システムにおける各手段を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
用紙に印刷を行う印刷部と、前記用紙を取り出す用紙取出部と、前記用紙を前記用紙取出部に送る用紙送り部と、を有する印刷装置の印刷制御方法であって、
前記用紙取出部から前記用紙が取り除かれたか否かを検出する検出工程と、
前記検出工程における検出をトリガーとして、前記印刷部により前記用紙に印刷を行うと共に前記用紙送り部により前記用紙を送る印刷送り工程と、を備えたことを特徴とする印刷装置の印刷制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−142921(P2008−142921A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329482(P2006−329482)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】