印刷システムおよび印刷システムの制御方法
【課題】印刷前に認証処理を要するジョブの機密性を可能な限り維持する。
【解決手段】印刷システムは、プリンタドライバにより生成された印刷データを受信し、受信した印刷データを全てイメージデータに展開した後に印刷を開始する場合、印刷を完了させるのに必要な資源が揃っていることを展開後のイメージデータに基づいて確認したうえで画像の印刷を開始し、受信した印刷データを全てイメージデータに展開する前に印刷を開始する場合、印刷を完了させるのに必要な資源が揃っているか否かを確認することなく画像の印刷を開始する。
【解決手段】印刷システムは、プリンタドライバにより生成された印刷データを受信し、受信した印刷データを全てイメージデータに展開した後に印刷を開始する場合、印刷を完了させるのに必要な資源が揃っていることを展開後のイメージデータに基づいて確認したうえで画像の印刷を開始し、受信した印刷データを全てイメージデータに展開する前に印刷を開始する場合、印刷を完了させるのに必要な資源が揃っているか否かを確認することなく画像の印刷を開始する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ機能を具備した印刷システムおよび印刷システムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、事務機のネットワーク化に伴い、オフィスでは、ネットワークに接続された1台の印刷装置を、複数のクライアントコンピュータで兼用して使用するというケースが増えている。このような利用環境においては、出力された印刷物を第三者に持ち去られたり、盗み見されたりする事態が発生し得る。このような状況は、セキュリティを確保しながら行いたい印刷、例えば第三者に見られては困る機密情報や、プライベート情報を印刷する場合に問題となる。
【0003】
上述した問題を解決する方法として、機密プリント(セキュアプリントともいう)という機能がある(特許文献1を参照)。機密プリントにおいては、まず、印刷ジョブデータに加えてパスワードを送信するプリンタドライバをクライアントコンピュータにインストールしておく。そして、このプリンタドライバを用いて印刷処理を印刷装置に指示することにより、印刷ジョブデータとパスワードがプリンタに送信される。印刷ジョブデータとパスワードを受信した印刷装置は、すぐに印刷処理を開始するのではなく、これら印刷ジョブデータとパスワードのデータを一旦、印刷装置内の記憶媒体に保存する。
【0004】
ユーザが、この印刷ジョブデータに従った印刷を印刷装置に行わせたい場合には次のような操作を行う。まず、印刷装置に備わっているユーザインタフェースを用いて、例えば印刷ジョブリストをユーザインタフェース上に表示させる。そして、表示されたジョブリストより印刷目的の印刷ジョブを選択し、パスワード入力を行う。印刷装置は入力されたパスワードと、印刷ジョブデータと共に記憶媒体に記憶しているパスワードとが一致した場合にのみ、この印刷ジョブデータに従った印刷処理を開始する。このとき、ユーザは印刷装置の前にすでにいるので、第三者に見られることなく、また第三者に盗まれることなく、目的の機密文書を受け取ることが可能となる。尚、本明細書ではこのような印刷前に認証処理を行うような印刷ジョブをセキュアプリントジョブと呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−186657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記セキュアプリントジョブの印刷処理を印刷装置により実際に開始した後に、例えば該ジョブにて「用紙無し」が印刷装置で発生した場合を想定する。この場合、用紙補給のための用紙を取りに行くためにユーザがその場を離れるケースが予想される。換言すると、適正なユーザが印刷装置の前から不在となる期間が生じる可能性が想定される。この場合、適正なユーザが不在となる間に該セキュアプリントジョブの印刷物を第三者に見られる可能性や該データの機密性の維持が懸念されるという課題が発生しうる。又、「用紙無し」等により印刷装置の前をユーザが離れる際に、途中まで出力された該セキュアプリントジョブの印刷物を該ジョブのユーザが取り除いて機密の維持を図ることも上記課題の対応策の1つとして考えることもできる。しかしながら、このような方法でも対処困難な課題が残されることが予想される。例えば、もし仮に、そのジョブが、ステイプル等のフィニッシング処理が指定されている場合には、印刷物を途中で取り除くことにより所望のフィニッシング処理がなされなくなるという新たな別の問題が発生する事が懸念される。
【0007】
又、「用紙無し」等のリカバリ処理の際に、印刷装置の傍に補給する用紙があったとしても、リカバリ処理を行うのに要する時間が発生することにかわりはない。この場合、リカバリ処理を行うのに要する時間の分だけ、セキュアプリントジョブの印刷開始から印刷完了するまでに要する時間が、リカバリ処理無しに印刷を完了することができる場合に要する時間よりも、長くなると言える。換言すると、リカバリ処理なしにセキュアプリントジョブの印刷を完了できる場合よりも、リカバリ処理を経てセキュアプリントジョブの印刷を完了する場合の方が、第三者に該ジョブの印刷結果を見られる可能性が高くなることが予想されうる。
【0008】
又、上述したような課題に対処したいが為に、その他のジョブの生産性に影響がでてしまうといった新たな別の問題が発生したりすることも極力防ぐことが望ましいと考える。このように、セキュアプリントジョブに関わる課題がまだ残されていると考える。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、背景技術で想定したような課題にも柔軟に対処した便利な印刷環境を構築することを目的とする。
【0010】
例えば、印刷前に認証処理を要するジョブにおいて印刷処理を開始した後に中断要因が発生する可能性が低減され、印刷前に認証処理を要するジョブにおける機密性を維持することを目的とする。また、このような目的を果たすために、印刷前に認証処理を要するジョブの印刷物に所望のフィニッシング処理がなされなくなるという新たな別の課題が発生する可能性を低減することも目的とする。
【0011】
また、上述したような目的を果たすために、その他のジョブの生産性に影響が出てしまうといった新たな別の問題が発生することも極力防ぐことを目的とする。
【0012】
そして、印刷前に認証処理を要するジョブにおける機密性を維持する。且つ、所望のフィニッシング処理がなされなくなるという別の課題が発生する可能性を低減する。尚且つ、その他のジョブの生産性に影響が出るといった別の問題が発生することも極力防ぐことを目的とする。
【0013】
本発明の他の目的及び特徴は例えば以下の明細書及び図面より明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の一態様による印刷システムは、
プリンタドライバにより生成された印刷データを受信する受信手段と、
前記受信した印刷データを全てイメージデータに展開した後に印刷を開始する場合、前記印刷を完了させるのに必要な資源が揃っていることを前記展開後のイメージデータに基づいて確認したうえで画像の印刷を開始し、前記受信した印刷データを全てイメージデータに展開する前に印刷を開始する場合、前記印刷を完了させるのに必要な資源が揃っているか否かを確認することなく画像の印刷を開始する印刷手段と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、背景技術で想定したような課題にも柔軟に対処した便利な印刷環境が構築可能となる。例えば、印刷前に認証処理を要するジョブにおいて印刷処理を開始した後に中断要因が発生する可能性が低減され、印刷前に認証処理を要するジョブにおける機密性を維持することができる。また、例えば、機密性を保持するが為に、印刷前に認証処理を要するジョブの印刷物に所望のフィニッシング処理がなされなくなるという新たな別の課題が発生する可能性を低減することができる。また、例えば、機密性を保持するが為に、その他のジョブの生産性に影響が出てしまうといった新たな別の問題が発生することを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態のプリントシステムを示す図である。
【図2】第1実施形態による画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】画像形成装置における装置内コントローラの詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】画像形成装置の操作部を示す図である。
【図5】画像形成装置のスキャナ部の詳細な構成を示す図である。
【図6】画像形成装置のスキャナコントローラの構成を示すブロック図である。
【図7】画像形成装置のプリンタ部の詳細な構成を示す図である。
【図8】画像形成装置のフィニッシャ部の構成を示す図である。
【図9】第1実施形態による外部コントローラの構成を示すブロック図である。
【図10】プリンタドライバによる表示画面の例を示す図である。
【図11】プリンタドライバによるプリント詳細設定の画面例を示す図である。
【図12】画像形成装置におけるプリント状況画面の表示例を示す図である。
【図13】第1実施形態による機密プリント処理を説明するフローチャートである。
【図14】イメージ蓄積中のプリント状況画面の表示例を示す図である。
【図15】イメージ蓄積後のプリント状況画面の表示例を示す図である。
【図16】第1実施形態におけるプリント設定及びプリント時に使用する用紙を表すプリント情報の例を示す図である。
【図17】第1実施形態における警告付きパスワード入力画面の例を示す図である。
【図18】第1実施形態における警告なしパスワード入力画面の例を示す図である。
【図19】第2実施形態による機密プリント処理を説明するフローチャートである。
【図20】第2実施形態における、他の機密プリントジョブのプリントが実行中の場合の画面例を示す図である。
【図21】第2実施形態による、機密プリント開始時の優先処理が行われた場合の、プリント状況画面の例を示す図である。
【図22】第3実施形態による警告画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態によるプリントシステム100の構成を示すブロック図である。図2は、第1実施形態のプリントシステム100における画像形成装置101の構成を示すブロック図である。本実施形態のプリントシステムが有する機能について、図1及び図2を参照して概要を説明する。
【0019】
画像形成装置101はフルカラーでスキャンまたは、プリントなどが可能なカラースキャナ/プリンタ装置である。画像形成装置101は、内部ネットワーク102と画像データ転送のためのビデオ(Video)ケーブル103を介して外部コントローラ104と接続されている。外部コントローラ104は、外部ネットワーク105に接続されている。外部ネットワーク105にはコンピュータ端末106が接続されている。従って、画像形成装置101は外部ネットワーク105を介してコンピュータ端末106と接続されている。
【0020】
図2に示すように、画像形成装置101は、スキャナ部201、プリンタ部202を有しており、スキャナ部201から読み取った画像をプリンタ部202にてプリントするコピー機能を備えている。操作部203は、ユーザインタフェースを提供する。即ち、操作部203は、ユーザが画像形成装置101の機能の実行を指示したり、機能実行時の動作設定を行うための入力デバイスを有する。また、操作部203は、画像形成装置101の状態をユーザに知らせるための表示デバイスを備えている。
【0021】
画像形成装置101内部の装置内コントローラ204は、画像形成装置101の全体の動作制御、状態管理、画像処理を行う。例えば、装置内コントローラ204は上記のようなスキャナ部201及びプリンタ部202の動作の制御や、操作部108からのユーザ指示/状態表示の処理を行なう。また、装置内コントローラ204は、スキャナ部201やプリンタ部202にて扱われる画像データの処理や、内部ネットワーク102を介して接続される外部コントローラ104とのデータ送受信制御も行う。尚、プリンタ部202の下流にはステイプルなどの後処理を行うためのフィニッシャ部205が接続される。尚、フィニッシャ部205は、オプションであり、画像形成装置101は、フィニッシャ部205を具備していなくてもよい。
【0022】
また、本実施形態のプリントシステム100では、コンピュータによって作成されたドキュメントが、ページ記述言語(PDL)データとして外部ネットワーク105を介してコンピュータ端末106から外部コントローラ104に送信される。外部コントローラ104は、受信したPDLデータをイメージに展開し、画像形成装置101にてプリント可能な形式のイメージデータを生成する。外部コントローラ104は、生成されたイメージデータをビデオケーブル103を介して画像形成装置101に送信するとともに、プリント時の動作設定やビデオケーブル103にて送出する画像データに関する諸情報を内部ネットワーク102にて通信する。画像形成装置101は、外部コントローラ104からビデオケーブル103を介して受信した画像データと、内部ネットワーク102を介して受信した諸情報に基づいてプリントを実行する。こうして、本実施形態のプリントシステム100は、コンピュータ端末106からネットワークを介して送信されたPDLデータを画像形成装置101でプリントするというネットワークプリンタ機能を実現する。
【0023】
外部コントローラ104においては、コンピュータ端末106から送出されたPDLを、色空間変換を行うプロファイルを用いて、RGB色空間、又は、CMYK色空間の2種類の色空間でイメージに展開する機能を有する。そして、ビデオケーブル103上にRGBとCMYKの2種類の色空間の画像を転送する。なお、RGB色空間は、Red/Green/Blueによって色を表現するための色空間である。同様に、CMYK色空間は、Cyan/Magenta/Yellow/Blackによって色を表現するための色空間である。
【0024】
更に、本実施形態のプリントシステムでは、画像形成装置101にてスキャンした画像をコンピュータ端末106に表示/保存するネットワークスキャン機能を有している。ネットワークスキャン機能はその操作形態から、プルスキャン機能/プッシュスキャン機能に大別される。プルスキャン機能では、ユーザによるスキャン指示がコンピュータ端末106にて行われる。また、プッシュスキャン機能では、ユーザによるスキャン指示が画像形成装置101の操作部203にて行われる。即ち、両者ではスキャン指示を行う形態が異なる。しかし、プルスキャン/プッシュスキャンいずれの機能であっても、画像形成装置101はユーザからの指示によって、スキャナ部201に予め載置された原稿画像を読み取ることになる。そして、画像形成装置101は、読み取った画像を、内部ネットワーク102、外部コントローラ104、外部ネットワーク105を介して、コンピュータ端末106にて扱うのに適した形式で、コンピュータ端末106に転送する。
【0025】
本実施形態のプリントシステムの画像形成装置101はフルカラー画像を扱うため、プリンタ部202での画質向上を目的とした画質調整機能を備えている。このような画質調整機能には、画像形成装置101単体での濃度調整と、コンピュータ端末106からの電子文書のプリントによる画質調整の2種類がある。
【0026】
画像形成装置101単体での濃度調整においては、まず、プリンタ部202にて規程の画像をプリントして得られた画像をスキャナ部201で読み取る。この読み取りに基づいて得られたプリンタ部202の特性を装置内コントローラ204の画像処理にて行われる濃度調整値に反映させる。この調整により、安定した画像をプリントすることができるようになる。尚、この濃度調整のためのプリントに用いられる規程の画像は、装置内コントローラ204にて生成される。
【0027】
一方、コンピュータ端末106からの電子文書のプリントによる画質調整は、外部コントローラ104主導で行われる。まず、外部コントローラ104より規程の画像を画像形成装置101に送信し、これをプリンタ部202にプリントさせる。そして、プリントされた画像をスキャナ部201で読み取り、読み取った画像を外部コントローラ104へ送る。外部コントローラ104は受信した画像に基づいて画像形成装置101の画像特性を認識する。そして、この認識された特性は、コンピュータ端末106からのPDLデータをイメージに展開する際に外部コントローラ104が考慮する値として外部コントローラ104に保持される。
【0028】
[装置内コントローラ204の構成]
次に、装置内コントローラ204の構成を図3を用いて説明する。装置内コントローラ204は、CPU301、ワークメモリ302、画像処理部303、画像メモリ304、大容量記憶装置(以下、HDD)305、ファクシミリ(FAX)通信部306、ネットワークI/F部307を備える。画像処理部303は画像信号線311,312を介してスキャナ部201及びプリンタ部202に接続されるとともに、ビデオケーブル103を介して外部コントローラ104と接続される。更に、画像処理部303は、画像メモリ304と接続され、画像メモリ304にはFAX通信部306が接続されている。
【0029】
スキャナ部201によって読込まれた画像データは、画像処理部303と画像メモリ304を介してHDD305に格納される。格納された画像データは、プリントのために、再び画像メモリ304と画像処理部303を介してプリンタ部202に送出される。同様に、外部コントローラ104からビデオケーブル103を介して入力された画像データは、画像処理部303、画像メモリ304を介してHDD305に格納される。また、FAX通信部306に対して、ファクシミリ送受信に用いられる画像データの入出力ができるようになっている。HDD305への画像格納の機能を利用して、スキャナ部201より入力された画像データ、あるいは外部コントローラ104からビデオケーブル103を介して入力した画像データをすぐに外部へ出力せずにHDD305に蓄積しておくことができる。これにより、所謂ボックス機能が実現される。ボックス機能によれば、HDD305に蓄積された画像を、ユーザがプリントまたはファクス送信したいときに、操作部203からの指示に従ってプリント/ファクスしたり、複数のユーザ間でHDD305に蓄積した画像を共有したりすることができる。
【0030】
更に、本実施形態のプリントシステムは、HDD305に蓄積した画像を外部ネットワーク105に接続された所望のコンピュータ端末に送出し、コンピュータ端末にて再利用するという、ファイル送信機能も備えている。このファイル送信機能において、画像処理部303は、HDD305に蓄積された画像をコンピュータ端末等で一般に用いられているファイルフォーマットの画像(例えばJpeg等)に変換する。こうして変換されたファイルは、ネットワークインターフェース部307、内部ネットワーク102、外部コントローラ104及び外部ネットワーク105を介して所望のコンピュータ端末へ送出され得る。
【0031】
CPU301はHDD305に格納されたプログラムに従って動作し、操作部203の制御も行う。また、CPU301は、機器内のFAX通信部306等の各処理部を制御する。また、CPU301は、プリンタ部202やスキャナ部201との間で、画像データ送受信の同期を図るための通信を行う。更に、CPU301は、内部ネットワーク102を介した外部コントローラ104との通信のために、ネットワークインターフェース部307にアクセスする。
【0032】
また、装置内コントローラ204は、HDD305に格納されたデータを、Webサービス等により内部ネットワーク102と外部コントローラ104を介してコンピュータ端末106に送信する。また、逆に、コンピュータ端末106からの情報が、Webサービス等により内部ネットワーク102と外部コントローラ104を介して画像メモリ304やHDD305に格納され得る。これらにより、画像形成装置101の状態をコンピュータ端末106にて参照したり、コンピュータ端末106より画像形成装置101の設定を行ったりすることが可能なリモート操作サービスが提供される。
【0033】
[操作部203]
次に、図4を用いて画像形成装置101の操作部203について説明する。操作部203はLCD表示画面401を具備する。LCD表示画面401には、画像形成装置101の設定状況や動作状況が表示される。図4では、一例として、動作設定画面402にコピー画面が表示された様子が示されている。コピー画面には、コピー時のズーム設定や給紙段設定、印刷部数などが表示されている。動作設定画面402における機能キー403の選択に応じて、液晶(LCD)表示画面401の表示は、ファクシミリ機能や、外部コントローラ104からのプリント機能の画面へと遷移する。またLCD表示画面401の下部には、画像形成装置101の状態や、選択している機能画面以外の機能の状況を示すステイタスメッセージ表示部404がある。また、右下部には、動作設定画面402をシステム状況画面に遷移させるシステム状況キー405が配置されている。システム状況画面では、画像形成装置101の状態や、選択している機能画面以外の機能の状況についての詳細を参照することができる。システム状況画面については図12により後述する。
【0034】
また、操作部203は、数値設定を入力するテンキー406を有する。IDキー407は、使用するユーザを判別するためのユーザIDを入力するためのID入力画面に、液晶表示画面401の表示を遷移させるためのキーである。画像形成装置101においてコピーやファクスなどの各機能を使用する際には、使用するユーザを識別するためのユーザIDの入力が必要である。ID入力画面はこのようなユーザIDの入力に用いられる。リセットキー408は、動作設定画面402によって設定された各機能の設定状態を既定の状態に戻すものである。詳細設定キー409は、液晶表示画面401の表示を、画像形成装置101の動作設定の詳細やネットワーク設定などを行う画面に遷移させるためのものある。スタートキー410、ストップキー411は各機能の動作開始や中止を行うためのボタンである。
【0035】
[スキャナ部106の構成]
図5を用いてスキャナ部201の構成を説明する。原稿台ガラス501上には、読み取られるべき原稿502が置かれる。原稿502は照明ランプ503により照射され、その反射光はミラー504、505、506を経て、レンズ507によりCCD508上に結像する。ミラー504、照明ランプ503を含む第1ミラーユニット510は速度vで移動し、ミラー505、506を含む第2ミラーユニット511は速度v/2で移動する。このように第1及び第2ミラーユニット510,511が移動することにより、原稿502の全面が走査される。第1ミラーユニット510及び第2ミラーユニット511はモータ509により駆動される。スキャナ部201の各ユニット510、511の動作はスキャナコントローラ部512からの信号によって制御される。スキャナコントローラ部512は装置内コントローラ204からの指示に応じて、各ユニット510、511の動作制御を行う。
【0036】
次に図6を用いてスキャナコントローラ部512での画像処理について説明する。入力された光学的信号がCCDセンサ601により電気信号に変換される。このCCDセンサ601はRGB3ラインのカラーセンサであり、R、G、B夫々の画像信号がA/D変換部602に入力される。A/D変換部602は、入力された画像信号に対してまずゲイン調整及びオフセット調整を行い、その後、A/Dコンバータによって各色信号毎に8bitのデジタル画像信号R0,G0,B0に変換する。シェーディング補正部603は、色毎に、基準白色板の読み取り信号を用いた、公知のシェーディング補正を施す。また、CCDセンサ601の各色ラインセンサは、相互に所定の距離を隔てて配置されている。従って、ラインディレイ調整回路(ライン補間部)604により、そのような副走査方向の空間的ずれが補正される。
【0037】
入力マスキング部605は、CCDセンサ601のR/G/Bフィルタの分光特性で決まる読取色空間を、NTSCの標準色空間に変換する。入力マスキング部605は、CCDセンサ601の感度特性や照明ランプのスペクトル特性等の諸特性を考慮した装置固有の定数を用いた3×3のマトリックス演算を用いて、入力された(R0,G0,B0)信号を標準的な(R,G,B)信号に変換する。輝度/濃度変換部(LOG変換部)606は、ルックアップテーブル(LUT)により構成され、RGBの輝度信号をC1,M1,Y1の濃度信号に変換する。こうして変換された信号は、装置内コントローラ204に送出される。
【0038】
[プリンタ部202の構成]
図7に、プリンタ部202の概観図を示す。ポリゴンミラー701は、半導体レーザ駆動部から発光された4本のレーザ光を受ける。その内の1本のレーザ光はミラー702、703、704を経て感光ドラム705を走査する。別の1本のレーザ光はミラー706、707、708を経て感光ドラム709を走査する。更に別の1本のレーザ光はミラー710、711、712を経て感光ドラム713を走査する。更に別の1本のレーザ光はミラー714、715、716をへて感光ドラム717を走査する。
【0039】
一方、現像器718はイエロー(Y)のトナーを供給し、レーザ光の走査に応じて感光ドラム705上に形成された潜像を現像してイエローのトナー像を形成する。現像器719はマゼンタ(M)のトナーを供給し、レーザ光の走査に応じて感光ドラム709上に形成された潜像を現像してマゼンタのトナー像を形成する。現像器720はシアン(C)のトナーを供給し、レーザ光の走査に応じて感光ドラム713上に形成された潜像を現像してシアンのトナー像を形成する。更に、現像器721はブラック(B)のトナーを供給し、レーザ光の走査に応じて感光ドラム717上に形成された潜像を現像してブラックのトナー像を形成する。以上の4色(Y,M,C,K)のトナー像がシートに転写され、フルカラーの出力画像を得ることができる。
【0040】
シートカセット722、723および、手差しトレイ724のいずれかより給紙されたシートは、レジストローラ725を経て、転写ベルト726上に吸着され、搬送される。給紙のタイミングと同期して、予め感光ドラム705、709、713、717には各色のトナーが現像されており、シートの搬送とともに、トナーがシートに転写される。各色のトナーが転写されたシートは、転写ベルト726から分離され、搬送ベルト727により定着器728に搬送される。定着器728では、トナーがシートに定着される。定着器728を抜けたシートは、フラッパ729により一旦下方向へ導かれてシートの後端がフラッパ729を抜けた後、スイッチバックさせて排出する。これによりフェースダウン状態で排出され、先頭頁から順にプリントしたときに正しいページ順となる。
【0041】
なお、4つの感光ドラム705、709、713、717は、距離dをおいて等間隔に配置されており、搬送ベルト724によりシートは一定速度v(但し、スキャナユニットの第1ミラーユニット510の移動速度vとは無関係)で搬送される。このような位置関係と搬送速度に応じたタイミングに同期して感光ドラムにトナー像が形成されるように、ポリゴンミラー701や半導体レーザが駆動される。
【0042】
[フィニッシャ部205の構成]
図8に、フィニッシャ部205の概観図を示す。プリンタ部202の定着器728を経て排紙されたシートは、フィニッシャ部205に入る。フィニッシャ部205には、サンプルトレイ801及びスタックトレイ802があり、ジョブの種類や排出されるシートの枚数に応じて排出先のトレイが切り替わる。
【0043】
ソーティングの方式には2通りある。1つは、複数のビンを用いてジョブ毎に出力シートを各ビンに振り分けるビンソート方式である。他の1つは、後述の電子ソート機能と、ビン(またはトレイ)を図8の奥手前方向にシフトしてジョブ毎に出力シートを振り分けるシフトソート方式である。電子ソート機能は、コレートと呼ばれる。前述の装置内コントローラ204が大容量メモリ(例えば、画像メモリ304、HDD305)を持っていれば、このメモリを利用してバッファリングしたページ順と排出順を変更する、所謂コレート機能を用いることで電子ソーティングの機能をサポートできる。尚、グループ機能は、ソーティングがジョブ毎に振り分けるのに対し、ページ毎に仕分けする機能である。
【0044】
更に、スタックトレイ802に排出する場合には、シートが排出される前のシートをジョブ毎に蓄えておき、排出する直前にステープラ805にてバインドすることも可能である。その他、上記2つのトレイに至るまでに、紙をZ字状に折るためのZ折り機804、ファイル用の2つ(または3つ)の穴開けを行うパンチャ806があり、ジョブの種類に応じてそれぞれの処理を行う。
【0045】
更に、サドルステッチャ807は、シートの中央部分を2ヶ所バインドした後に、シートの中央部分をローラに噛ませることによりシートを半折りし、週刊誌やパンフレットのようなブックレットを作成する処理を行う。サドルステッチャ807で製本されたシートは、ブックレットトレイ808に排出される。
【0046】
その他、図8には記載されていないが、製本のためのグルー(糊付け)によるバインドや、あるいはバインド後にバインド側と反対側の端面を揃えるためのトリム(裁断)などのフィニッシャを加えることも可能である。
【0047】
また、インサータ803は、トレイ809にセットされたシートをプリンタを通さずにトレイ801、802、808のいずれかに送るためのものである。これによってフィニッシャ205に送り込まれるシートとシートの間にインサータ803にセットされたシートをインサート(中差し)することができる。インサータ803のトレイ809には、インサートすべきシートがユーザによりフェースアップの状態でセットされ、ピックアップローラ810により最上部のシートから順にフィニッシャ部205内に給送される。従って、インサータ803からのシートをそのままトレイ801、802へ搬送することにより、フェースダウン状態で排出される。尚、サドルステッチャ807へ記録紙を送る場合は、一度パンチャ806側へ記録紙を送り込んだ後、スイッチバックさせて送り込むことによりフェースの向きを合わせる。
【0048】
[外部コントローラ104]
次に、図9を用いて外部コントローラ104の構成、及びプリント時の動作を説明する。外部コントローラ104は、CPU901、ワークメモリ902、画像処理部903、画像メモリ904、大容量記憶装置(以下、HDD)905、外部ネットワークI/F部906、内部ネットワークI/F部907を具備する。
【0049】
画像処理部903はビデオケーブル103を介しての画像形成装置101と接続されている。また、画像処理部903は画像メモリ904とも接続されている。外部ネットワークI/F部906は外部ネットワーク105に接続され、内部ネットワークI/F部907は内部ネットワーク102に接続されている。CPU901はHDD905に格納されたプログラムに従って動作し、ネットワークI/F部906、907を介して、コンピュータ端末106や画像形成装置101と通信し、所定の処理を実行する。
【0050】
続いて、コンピュータ端末106上の文書ファイルをプリントする際の、外部コントローラ104における動作(CPU901の制御)について説明する。外部コントローラ104は、外部ネットワークI/F部906を用いてコンピュータ端末106より送信されたPDLデータを外部ネットワーク105を介して受信する。外部ネットワークI/F部906によって受信されたPDLデータはHDD905に蓄積される。次に、CUP901は、画像処理部903を用いて、HDD905に蓄積されたPDLデータを画像メモリ904上にイメージとして展開する。そして、画像処理部903は、ビデオケーブル103を介して、展開されたイメージを画像形成装置101に転送する。このとき、CPU901は、当該展開されたイメージの印刷属性情報を、内部ネットワークI/F部907と内部ネットワーク102を介して、画像形成装置101に送信する。尚、印刷属性情報には、展開されたイメージのサイズなどの情報や、PDLデータに含まれる画像形成装置101にて実施されるプリント時の設定等が含まれている。こうして、外部コントローラ104から送信された印刷属性情報と展開されたイメージとに基づいて、画像形成装置101はイメージをシート上に印刷する。
【0051】
[プリンタドライバ]
次に、図10、図11を用いて、コンピュータ端末106上で稼動するプリンタドライバについて説明する。
【0052】
図10には、コンピュータ端末106で作成したドキュメントをプリントする際に表示されるプリンタドライバ画面の一例がプリンタドライバ画面1001として示されている。プリンタドライバ画面1001は、コンピュータ端末106で表示される。プリンタドライバ画面1001においては、出力先として選択されているプリンタが出力先フィールド1002に示される。この出力先フィールド1002はプルダウンメニューとなっており、別のプリンタを選択することが可能である。図10の例では、出力先のプリンタは画像形成装置101が選択された状態が示されている。
【0053】
また、ドキュメントの印刷範囲を設定する印刷範囲設定1003にて、ドキュメントのすべてのページを印刷するのか、特定のページを印刷するのかを設定できるようになっている。また、プリンタドライバ画面1001には、OKキー1004、キャンセルキー1005が設けられている。OKキー1004が押下されると、印刷範囲設定1003にて設定されたドキュメントのページがPDLデータに変換される。そして変換されたPDLデータが後述するプリント時の詳細な設定とともに、画像形成装置101に接続されている外部コントローラ104に対して送出される。キャンセルキー1005が押下された場合は、PDLデータへの変換、送出がなされずに、プリンタドライバ画面1001が閉じられる。
【0054】
プリンタドライバ画面1001には詳細設定キー1006が設けてあり、詳細設定キー1006が押下されると、図11に示すようなプリント詳細設定画面1101が表示される。プリント詳細設定画面1101では、選択した画像形成装置及び外部コントローラにおいて施すことができる処理を設定する。即ち、プリント詳細設定画面1101を用いることにより、画像形成装置101及び外部コントローラ104で処理可能な各機能の設定を行うことができる。プリント詳細設定画面1101によって設定できる項目としては、設定項目1102に例示した部数や用紙サイズ、レイアウト等がある。また、後述する機密プリントを実行する/しないの設定と機密プリント時のパスワード設定も、フィールド1103,1104により、プリント詳細設定画面1101上で行える。ユーザは、このようなプリント詳細設定画面1101により所望の設定を行うことができる。
【0055】
プリント詳細設定画面1101においてOKキー1105が押下されると、プリント詳細設定画面1101が閉じられる。そして、図10に示したプリンタドライバ画面1001に戻るとともに、プリント詳細設定画面1101で設定された内容がコンピュータ端末106に保持される。キャンセルキー1106が押下されると、プリンタドライバ画面1001に戻るが、プリント詳細設定画面1101での設定内容はコンピュータ端末106に反映されない。
【0056】
[プリント状況画面]
次に、画像形成装置101の操作部203によるプリント状況画面について、図12を参照して説明する。プリント状況画面1201は、操作部203のLCD表示画面401にあるシステム状況キー405が押下された際に表示される画面である。
【0057】
プリント状況画面1201には以下の項目が表示される。〈ジョブ種別1202〉コピー、PDLプリントなどのジョブ種別を表す。機密プリント設定がなされたジョブの場合はジョブ種別のところに、1203で示すように「機密プリント」と表示される。〈受付時刻1204〉プリントのジョブ毎の、画像形成装置101に該当のジョブが投入された時刻を示す。〈ジョブ名1205〉ジョブの名称を示す。PDLプリントジョブの場合には、プリンタドライバにプリント指示されたドキュメントの、コンピュータ端末106での文書ファイル名が表示される。〈状況1206〉画像形成装置101におけるジョブの処理状況を示す。
【0058】
また、プリント状況画面1201内には、指定したジョブをキャンセルするキャンセルキー1207、機密プリントの際にプリント開始時にパスワード入力を行うための画面を表示するパスワード入力キー1208がある。閉じるキー1209はプリント状況画面1201を閉じて、LCD表示画面401における表示を図4の標準画面に戻すためのキーである。
【0059】
[機密プリント]
次に本実施形態における機密プリントについて図13〜図18を用いて説明する。
【0060】
まず、ユーザがコンピュータ端末106で稼動するプリンタドライバによって提供されるプリンタドライバ画面1001を用いて、所望の文書ファイルのプリントを指示する。このとき、上述したように、ユーザは所望の設定をプリント詳細設定画面1101にて行うことができる。プリンタドライバ画面1001のOKキー1004が押下されると、コンピュータ端末106は、PDLデータを詳細設定とともにプリントジョブとして外部コントローラ104に送信する。外部コントローラ104はコンピュータ端末106から送信されたプリントジョブ(PDLデータと詳細設定の情報を含む)を受信する。
【0061】
プリントジョブを受信した外部コントローラ104は、受信したプリントジョブを解釈する。そして、プリント詳細設定画面1101にて設定された当該プリントジョブのプリント時の詳細設定情報と、当該プリントジョブのPDLデータをイメージに展開して得られる画像データを画像形成装置101の装置内コントローラ204に送信する。
【0062】
次に、画像形成装置101の動作を説明する。図13に示される各ステップの処理は、画像形成装置101の装置内コントローラ204によって実行されるものである。更に詳しくは、例えば、装置内コントローラ204のCPU301が、HDD305に格納された制御プログラムをワークメモリ302にロードして実行することにより、図13の処理は実現される。
【0063】
画像形成装置101は、ステップS1301において外部コントローラ104からプリントジョブの詳細設定の情報を受信すると、ステップS1302において詳細設定の情報を解析する。ステップS1303では、この解析の結果に基づいて、外部コントローラ104から送信されたプリントジョブのイメージデータが機密プリントにより保護すべきジョブか否かを判断する。機密プリントではない(保護すべきジョブではない)と判断された場合、処理はステップS1303からステップS1304に進む。ステップS1304では、PDLデータを順次解釈、展開して得られたイメージを外部コントローラ104から受信し、プリンタ部202によりプリントする。尚、装置内コントローラ204に既に印刷中の他のジョブが存在する場合は、HDD305に用意された印刷待ち行列に登録されることになる。
【0064】
一方、ステップS1303で、投入されたジョブが機密プリント(保護すべきジョブ)と判断された場合、処理はステップS1305へ進む。ステップS1305において、装置内コントローラ204は、当該ジョブの詳細設定の情報をHDD305に保持すると共に、PDLデータを順次解釈、展開して得られたイメージを外部コントローラ104から受信してHDD305に保持する。結果、HDD305には、保護すべきジョブが蓄積されることになる。即ち、各ページのイメージとともに各ページの用紙サイズや用紙の種類といった情報が保持されることになる。このステップS1305の処理は、投入されたジョブの全てのページがHDD305に蓄積されるまで行われる(ステップS1306)。また、機密プリントのジョブの場合、全てのページのイメージの受信とHDD305への蓄積が終わるまでは当該ジョブのプリントを開始できないようにする。従って、プリント状況画面においては、図14に示されるように該当機密プリントジョブのプリントを開始するためのパスワード入力キー1401はグレイアウトされ、選択できないようになっている。
【0065】
投入された機密プリントジョブの全てのページがHDD305に蓄積されると、処理はステップS1306からステップS1307へ進む。ステップS1307では、パスワード入力キー1401の選択不能な状態(グレイアウト状態)を解除して、パスワード入力によるプリント開始の指示が可能な状態とする。この結果、プリント状況画面は図15に示されるように、パスワード入力キー1501が操作可能な状態として表示される。尚、上下キー1502により、ジョブの一覧における選択状態のジョブを切り替え可能にし、所望の機密プリントのジョブを選択できるようにしてもよい。このようにすれば、複数の機密プリントジョブが投入され、HDD305に蓄積された場合に、所望の機密プリントジョブを選択することができる。
【0066】
パスワード入力キー1501が押下されることにより処理はステップS1307からステップS1308へ進む。ステップS1308において、画像形成装置101は、該当ジョブをプリントするにあたってプリント中に用紙不足などによるユーザのリカバリ操作が発生するか否かをチェックする。
【0067】
装置内コントローラ204は、ステップS1305において、プリント詳細設定画面1101でのプリント設定及びプリント時に使用する用紙サイズと用紙の種類及び各枚数といった図16のようなプリント情報1601をHDD305に保持する。例えば、プリント情報1601は、1602〜1610に示される項目の情報を保持する。本例において、項目1602〜1610は夫々、「部数」、「用紙サイズと1部あたりの枚数」、「用紙の種類」、「排紙トレイ」、「排紙モード」、「ステープラモード」、「カラーモード」、「機密プリント設定」、「機密プリント用パスワード」である。また、1611はプリントに関する各項目(属性)を示し、1612は各項目に対する値を示している。1613は、本実施形態の説明のために記載した各値の意味の説明であり、実際のプリント情報1601に含まれる必要はない。
【0068】
図16のプリント情報1601に示されるジョブは、A4の普通紙を20枚(10枚×2部)、A3の普通紙を30枚(15枚×2部)使用し、印刷結果をトレイ2に排紙する。また、左上1箇所にステイプルを施し、カラー印刷を行う。装置内コントローラ204はこのようなプリント情報1601に基づいてリカバリ操作が発生する可能性をチェックする。例えば、以下のようなチェックが実施される。
【0069】
(1)カラーモード1607に「カラー」が設定されている場合は、画像形成装置101にカラーでプリントするための各色のトナー(C,M,Y,K)があるかをチェックする。カラーモード1607が「モノクロ」の場合は、黒(K)のトナーがあるかをチェックする。例えば、チェック対象のトナーが残量警告状態であった場合は、リカバリ操作が発生する可能性があると判定する。
(2)プリントに必要な用紙の枚数を「用紙サイズと1部あたりの枚数」1602や「用紙の種類」1603の内容から判断し、画像形成装置101にこれらが存在するかをチェックする。図16の例では、「A4の普通紙は20枚以上あるか」、「A3の普通紙は30枚以上あるか」といったチェックとなる。
(3)「ステープラモード」1607においてステープラの使用が指示されている場合、「ステープラの針はあるか」をチェックする。
(4)「部数」1602、「用紙サイズと1部あたりの枚数」1603、「用紙種類」1604の設定項目から、プリント中に排出先のトレイ(トレイ2)の積載上限に達しないかをチェックする。
【0070】
尚、例えばプリントに必要な枚数の用紙がシートカセットに存在するかを判定するためには、シートカセットに存在する用紙の枚数を画像形成装置101が検出する必要がある。用紙の有無は、例えば光軸方向がシートカセット内における用紙の積層方向と一致するような投受光型センサを配置することで検出できる。更に、例えば、光軸方向が用紙の積層方向に対して直交する方向の投受光型センサを積双方向に複数個配置することにより、シートカセット内の用紙の枚数を大まかに検出することができる。例えば、積層方向に4つの投受光型センサを配置することにより、用紙残量が「〜20%」「20%〜40%」「40%〜60%」「60%〜80%」「80%〜」のように検出できる。シートカセットにおける100%の状態の用紙枚数が既知であるので、このような構成により、大まかではあるがシートカセット内の枚数を認識でき、上記(2)の判断を実現できる。
【0071】
或は、シートカセット内の用紙枚数の判定の他の方法の例として次ような構成が挙げられる。シートカセットの満杯状態における用紙枚数を予め設定しておき、用紙が供給された時点では用紙は満杯状態になっているものと仮定する。そして、以降の印刷動作において給紙数をカウントし、満杯状態の用紙枚数から差し引くことで、シートカセット内の用紙枚数を得る。このような構成によれば、用紙供給時にはシートカセット内に用紙を満杯とするという運用により、シートカセット内の正確な用紙枚数を検出できることになる。又、(3)においても、ステイプラの針の残数を認識し、必要数の針があるかをチェックするようにしてもよいことは明らかである。
【0072】
ステップS1308による上記のようなチェックの結果、例えばプリント中に用紙不足等によるユーザのリカバリ操作が発生すると判断された場合は、処理をステップS1309へ進める。ステップS1309では、図17に示すように、不足が発生している旨とその内容の表示を含むパスワード入力画面1701を表示する。パスワード入力画面1701においてパスワードが入力されOKキー1702が押下されると、処理はステップS1310からステップS1311へ進む。これは、ユーザが、リカバリ操作が発生するリスクを負ってもプリント開始することを選択した場合である。一方、パスワード入力画面1701においてキャンセルキー1703が押下されると、処理はステップS1310からステップS1307へ戻る。即ち、ジョブの選択からやり直しができる。従って、ユーザが機密プリントのプリント実行中にリカバリ操作を行いたくない場合には、キャンセルキー1703を選択することで、警告表示にて予測されたリカバリ操作をプリント開始前に行うことができる。
【0073】
一方ステップS1308のチェックにてプリント時に用紙不足などによるユーザのリカバリ操作が発生しないと判断された場合、処理はステップS1312へ進む。ステップS1312では、図18に示すように警告表示のないパスワード入力画面1801を表示する。そして、このパスワード入力画面1801において、パスワードが入力され、OKキー1802が押下されると、処理はステップS1310からステップS1311へ進む。
【0074】
ステップS1311では、パスワードの照合を行う。即ち、パスワード入力画面1701或いは1801において入力されたパスワードがプリント詳細設定画面1101で設定されたパスワード(プリント情報1601の「機密プリント用パスワード」1610に格納されたパスワード)と一致するかを判定する。一致すると判定された場合は、ステップS1311からステップS1304へ進み、当該ジョブのプリントが実行される。一方、ステップS1311において、パスワードが一致しないと判定された場合は、ステップS1308へ戻り、ステップS1309もしくはS1312によるパスワード入力待機状態となる。
【0075】
以上説明したように、プリント開始前にセキュアプリントに必要な資源の有無が確認されるため、プリント開始後の「用紙無し」エラー等の発生が低減される。このため、機密プリントの実行中に、エラーリカバリのためにユーザがその場を離れるというような事態の発生を低減できる。この結果、ユーザが不在となる間に第三者に出力物を見られるといった危険性を低減でき、機密性を維持できる。さらに、プリント開始後に「用紙無し」等のエラーリカバリによって機密プリントの印刷に要する時間が長くなるという事態を防止できる。即ち、機密プリント中のエラー復旧作業をより確実に無くすことができ、プリント時間を最小限に抑えることができる。このため、第三者に印刷物を見られる危険性を更に低減できる。以上によりセキュアプリント時の機密性を高めることができる。
【0076】
尚、上記実施形態では、図16に示すジョブの例において、ジョブの処理に必要な資源、即ち、A4普通紙が20枚以上存在するか、A3普通紙が30枚以上存在するか、ステープラの針が存在するか、CMYKのトナーが存在するか等をチェックした。ここで、用紙に関するチェックを行うためには、各シートカセットに収納されている用紙のサイズと種類を登録しておく必要がある。そのような登録は、例えばHDD305に、シートトレイと収容されている用紙のサイズ及び種類を対応付けたテーブル形式で記録しておけばよい。また、上記実施形態では、シートカセットに収容されている用紙の枚数を検出可能にしている。しかしながら、シートカセット内の用紙の有無を検出する機構のみが設けられている場合は、印刷に使用する用紙がシートカセットに存在するか否かによりジョブに必要な資源の有無を判断することになる。同様に、ステープラ805において残存する針の数を検出可能であれば、ステープラの針がジョブで指定された印刷部数分残っているかを検出することにより、ジョブに必要な資源の有無を判断することになる。
【0077】
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態のプリントシステムにおける機密プリントにおいて、リカバリ操作が発生するか否かのチェック(ステップS1308)の精度を高めるために該当ジョブをできるだけ早くプリント開始させる。より具体的には、ステップS1308においてチェックを行った時点からの他のジョブによる印刷を極力減らし、他のジョブを処理したことによる資源の変動を抑えることにより、ステップS1308によるチェックの精度を相対的に向上させる。以下、図19のフローチャートを用いて第2実施形態を説明する。尚、図19に示される処理は、第1実施形態のステップS1307〜S1311(図13)の処理に置き換わるものである。
【0078】
ステップS1307においてパスワード入力キー1501が押下されると、ステップS1901において、機密プリントが開始済みの他の機密プリントジョブが存在するか否かをチェックする。ここで、他の機密プリントジョブのプリントが実行中の場合は、ステップS1902へ進み、図20に示すように他に機密プリントが行われている旨の画面2001を表示する。閉じるキー2002が押されると、ステップS1902からステップS1307へ処理が戻る。即ち、画面2001を閉じて、再び図15に示すようなプリント状況画面に戻る。従って、他の機密プリントが実行されている場合、当該ジョブに対する、パスワード入力を経た機密プリントの開始は行われない。
【0079】
一方、ステップS1901にて他に機密プリントのプリントが実行されていないと判定された場合は、ステップS1308〜ステップS1312の処理が行われる。ステップS1308〜ステップS1312の処理は第1実施形態で説明したとおりである。
【0080】
ステップS1311においてパスワード照合がなされ、パスワードがOKと判定されると、ステップS1903へ進む。ステップS1903において、画像形成装置101はプリント状況画面1201にある他のジョブの受付時刻と当該機密プリントジョブの受付時刻とを比較する。機密プリントジョブの受付時刻が他のプリント待ちのジョブの受付時刻よりも早ければ、先にプリントするようにプリント順を優先させる。図21は、機密プリントが、当該機密プリントよりも受付時刻が遅く、待ち状態となっている「回覧」、「打合せ資料」のジョブよりも先にプリントされるよう優先される例を示した図である。
【0081】
以上の処理により、他のプリントジョブに割り込まれて用紙が消費される等、資源の状態が変動することを防ぐことができる。この結果、ステップS1308における、ユーザのリカバリ操作が発生するか否かのチェックの精度が高まることになる。
【0082】
なお、ステップS1901で他に機密プリントをプリントしているか否かをチェックしているのは、機密プリントが優先されることにより、機密プリントばかりが行われて通常のプリントが実施されない状況になることを防ぐためである。また、機密プリントが連続した場合、後にプリント開始が指示されたプリントでは、ステップS1308のチェック時から別の機密プリントが処理されて、用紙等が消費されてしまう。即ち、ステップS1308のチェック精度が低下することになる。よって、ステップS1901により他の機密プリントをプリント中の場合はパスワードの入力ができないようにすることで、このような事態を防ぐことができる。
【0083】
尚、シートカセットに収容されている用紙枚数を検出可能であれば、機密プリントを実行する前に実行されるジョブによって用紙が消費された結果、機密プリントの実行に必要な用紙が残っているかを判断することができる。このように、機密プリントの実行前に実行されるジョブによる資源の消費後の残存する量を予測できる資源については、その残存状態を参照して機密プリントが必要とする資源が存在するかどうかを判定するようにすることが好ましい。これにより、機密プリント実行前に実行されるジョブによる資源の残存状態への影響を考慮した判断が可能となり、操作性、機密性を向上できる。
【0084】
この点は、全ての実施形態にて共通して言える事項である。換言すると、本実施形態の構成は、処理対象のジョブの印刷を完成させるのに必要な印刷資源の一例として、例えば、処理対象のジョブの印刷を完成させるのに必要な枚数分の印刷用紙を想定している。又、例えば、印刷対象のジョブの印刷を完成されるのに必要なトナー等も、印刷資源の一例として、本実施形態の制御部(例えば、装置内コントローラ204或いは外部コントローラ104が該当する)が実行するジョブ制御にて確認対象となる印刷資源である。又、例えば、ステイプル実行要求がなされた印刷対象のジョブの印刷を完成させるのに必要な分のステイプル針等のシート処理部材(シート綴じ部材)等も、処理対象のジョブの印刷を完成させるのに必要な印刷資源の一例として制御対象としている。本実施形態の画像形成装置101は、このような様々な印刷資源のうちの少なくとも、何れかを印刷資源に対処した構成の装置であるならば、適用可能である。且つ、処理対象のジョブの印刷を完成させるのに必要な印刷資源が画像形成装置101に有るか否か(揃っているか否か)を、本実施形態の制御部が確認する方法は、上述したような例示に限られるものではなく、如何なる方法を採用しても良い。
【0085】
例えば、本実施形態のユーザインタフェースユニット(以下、UI部と呼ぶ)の一例に該当する、画像形成装置101自身が具備する操作部203を介して、印刷資源の情報残量情報等をオペレータ自らが操作部を介して手動入力させる構成でも良い。或いは、ホストコンピュータのUI部(表示装置等を含む)を介して、印刷資源の情報残量情報等をオペレータ自らが操作部を介して手動入力させる構成でも良い。この構成の一例を挙げれば、次のとおりである。例えば、処理対象となるセキュアプリントジョブの印刷完了に如何なる印刷資源が必要であるかを該制御部が特定可能にする情報、及び、その印刷資源がどれくらいの量必要なのかを該制御部が特定可能にする情報等を、上記UI部を介して作業者に入力させる。且つ、現在、如何なる資源が画像形成装置101にセットされているかを該制御部が特定可能にする情報、及び、その資源がどれだけの量セットされているのかを該制御部が特定可能にする情報等も、併せて該ユーザにより該UI部を介して入力させる。そして、これらの情報をもとに、上記本実施形態の制御部が、上記確認を実行する。その上で、本形態で述べている各種ジョブ制御を該制御部が実行する。本発明は、このような構成も包含出来るものである。このように、背景技術で想定したような課題に対処できる構成であるならば、具体的な確認方法は限定せずに、如何なる構成でも良い。
【0086】
<第3実施形態>
第1実施形態のシステムにおける機密プリントにおいて、ステップS1308においてユーザのリカバリ操作が発生すると判定された場合、パスワード入力画面を表示せず、プリント開始に移行できないようにしてもよい。この場合、例えば、ステップS1309において図22に示すような警告のみの画面(パスワード入力欄を含まない)を表示することが好ましい。そして、図22に示すような警告のみの画面を表示したあと、閉じるキー2202が押されると、ステップS1309からS1307に処理を戻す。このように、パスワード入力開始の指示を受けた場合でも、リカバリ操作が発生すると判定された場合は、印刷の開始を禁止する。そして、図22に示すような警告のみの画面2201を表示したあと、閉じるキー2202が押されると、ステップS1309からS1307に処理を戻す。このように、パスワード入力開始の指示を受けた場合でも、リカバリ操作が発生すると判定された場合は、印刷の開始を禁止する。
【0087】
尚、この第3実施形態を含めて本実施形態の全ての実施形態にて共通して言えるジョブ制御を以下に説明する。本実施形態のシステムが具備する制御部(例えば、装置内コントローラ204或いは外部コントローラ104)は、背景技術で想定したような課題に対処し、上記効果を図るべく、本形態のプリントシステム100(画像形成装置101自身)を以下のように制御する。尚、全ての実施形態にて共通して言える事項として、画像形成装置101のことを印刷装置とも呼ぶ。又、本画像形成装置101を具備するプリントシステム100のことを印刷システムとも呼ぶ。
【0088】
本実施形態の制御部(例えば、上述の装置内コントローラ204。或いは、外部コントローラ104等が、これに該当する)は、印刷前に認証処理を要する第1タイプの印刷ジョブの一例に相当するセキュアプリントジョブを、本画像形成装置101により受付可能に制御する。且つ、印刷前に認証処理が不要な第2タイプの印刷ジョブの一例に相当する非セキュアプリントジョブも、本画像形成装置101により受付可能に制御する。このような第1タイプのジョブ及び第2タイプのジョブを含む複数種類の印刷ジョブを受付可能な画像形成装置101に対して、該制御部は、例えば、以下のような制御を実行する。
【0089】
例えば、上記制御部は、処理対象のジョブの印刷を完了させるのに必要な資源が該画像形成装置101に無い(準備されていない、或いは、揃っていない)場合に、該ジョブの印刷を該画像形成装置101により開始させない(印刷開始を禁止する)。一方、処理対象のジョブの印刷を完了させるのに必要な資源が前記画像形成装置101に存在する場合に、該ジョブの印刷を前記画像形成装置101により開始させる(印刷開始を許可する)。このような、場合分けの特定の動作(特定のジョブ制御シーケンスとも呼ぶ)を、上記画像形成装置101により、実行可能にするよう、上記制御部により、制御する。このような構成を前提とし、上記制御部は、処理対象のジョブが、上記第1タイプの印刷ジョブ及び上記第2タイプの印刷ジョブのうちの、第1タイプの印刷ジョブである場合に、上記特定の動作を該画像形成装置101により実行可能に制御する。
【0090】
且つ、このような構成を前提とし、該制御部は、上記特定の動作をどのようなジョブに対してどのようなタイミングで実行するかも制御している。この一例として、該制御部は、
(1)上記第1タイプの印刷ジョブの印刷データが上述のようなHDD等の記憶部に記憶され、且つ、
(2)処理対象のジョブの印刷を完了させるのに必要な資源が該画像形成装置101に有るか否かに関わる確認処理が該第1タイプの印刷ジョブ及び第2タイプの印刷ジョブのうちの該第1タイプの印刷ジョブに対してなされたうえで、
上記特定の動作を、該画像形成装置101により、実行させる。
【0091】
以上のような構成を採用することで、上述の背景技術で想定したような課題に対処可能となる。尚且つ、本実施形態の構成は、機密性を保持するが為にその他のジョブに影響を与えてしまいシステム全体のジョブの生産性が低下してしまうといった新たな別の問題が発生したりすることも未然に防止可能となるように構成している。この一例として、上記制御部(例えば、装置内コントローラ204。或いは、後述の外部コントローラ等が、これに該当する。)は、以下のジョブ制御を実行する。
【0092】
上記の如く、該上記制御部は、処理対象のジョブが上述の第1タイプの印刷ジョブ及び第2タイプの印刷ジョブのうちの該第1タイプの印刷ジョブである場合に、上記特定の動作を、前記画像形成装置101により実行させる。このような制御を実行する一方で、該制御部は第2タイプの印刷ジョブ(印刷開始前に認証処理が不要な非セキュアプリントジョブ)に対しては、該制御とは異なる制御を実行する。尚、第1タイプの印刷ジョブに対して実行する上記特定の動作を、第1の印刷制御シーケンスと呼ぶならば、第2タイプの印刷ジョブに対して実行する特定の動作は、第2の印刷制御シーケンスであると、定義する。この制御の一例として制御部は、処理対象のジョブが上記第2タイプの印刷ジョブである場合には、該ジョブの印刷を完了させるのに必要な資源が画像形成装置101に揃っていない場合でも、該ジョブの印刷を画像形成装置101により開始することを許可する。換言すると、上記の如く第1タイプの印刷ジョブについては、そのジョブの印刷開始から印刷完了までに、該ジョブの印刷が中断しないように、事前に、上記印刷資源を確保させておく。且つ、そのうえで、認証処理を経て印刷を開始させる。これにより、該第1タイプの印刷ジョブの印刷を開始してから印刷終了までに該ジョブの印刷資源が途中で無くなるといった状況が発生してしまうことが禁止される。一方、上記の如く第2タイプの印刷ジョブについては、そのジョブの印刷開始から印刷完了までに、該ジョブの印刷が中断するか否かに関係なく、換言すると、事前に印刷資源を該画像形成装置101に確保させておかなくても、印刷開始を許可する。即ち、該第2タイプの印刷ジョブは、印刷を開始してから印刷終了までに該ジョブの印刷資源が途中で無くなるといった状況が発生することを許可する。
【0093】
このような選択制御は、どの点に重点をおくかによって構成している仕組みである。例えば、後者の制御は、途中で印刷は停止する可能性があるものの、ジョブの受付けから該ジョブの1頁目の印刷開始までのタイミング(所謂、ファーストコピーオンタイム。略してFCOTと呼ぶ)が、前者の制御よりも短くすむ。理由は、そのジョブの全ての印刷を完了するのに必要な資源の確認を行わなくても、印刷を開始させるからである。更に掘り下げていくと、ジョブの全ての印刷を完了するのに必要な資源とは、換言すると、指定された分の印刷部数で且つ該ジョブに含まれる印刷データの全頁を印刷を完了させるのに必要な分に相当する印刷資源のことである。このような、そのジョブにて必要な印刷資源の確認を上記制御部が行うには、処理対象となるジョブの全頁の印刷データを、全て、上記のHDD等の記憶部に記憶させた時点で、はじめて、上記制御部が特定できるものである。例えば、ホストコンピュータからのPDL等の印刷データの全頁分のPDLデータを受信し、当該装置のメモリにビットマップ展開されて記憶された時点で、はじめて、そのジョブのトータルのページ数が特定できるような構成の画像形成装置がある。又、スキャナ部201からの原稿をプリンタ部202でプリントするといった、所謂、コピー機能を具備する画像形成装置がある。このような画像形成装置では、該コピー機能のジョブに含まれる原稿のトータルのページ数は、該スキャナ部201が具備するADFを介して全ての原稿束を読み取って、上記HDDに全頁のデータを記憶した時点ではじめて、特定できる構成のものが想定される。故に、このように、全頁のデータをメモリに蓄積した時点で該ジョブの印刷頁の合計が特定できるようなタイプの構成の画像形成装置において、一律的に、上記第1の印刷制御シーケンスを実行してしまうと、第2タイプのジョブのFCOTが懸念される。故に、上記制御部は、上記第2タイプの印刷ジョブについては、上記第2の印刷制御シーケンスを実行する。
【0094】
尚、上記第1タイプの印刷ジョブを上記第1の印刷制御シーケンスで処理しても良い理由は、例えば、以下である。第1タイプのジョブは、上記の如く、セキュアプリントジョブである。このセキュアプリントジョブというのは、そもそも、上記画像形成装置101が、該ジョブを受付けても自動的にプリンタ部で印刷を開始するような制御を実行しないジョブである。換言すると、該画像形成装置101の上記UI部を介して認証データが該ジョブのユーザにより入力されたうえで、はじめて、印刷開始を許可する対象のジョブである。これにより、ユーザが画像形成装置101の目の前に赴いた時点で印刷を開始させ、それまでは、画像形成装置101のメモリに保持させておくことができるものという効果を奏す。このように、セキュアプリントジョブは、印刷開始を希望するユーザが画像形成装置101のUI部を介して該ジョブに対する印刷開始要求を入力するまで、少なくとも印刷は開始させずに、HDD等のメモリにて該ジョブの印刷データを保持しておくものである。このようにHDD等のメモリで印刷データを保持したまま印刷を待機しているセキュアプリントジョブならば、印刷時間に大きな影響を及ぼさない。ユーザがホストから該画像形成装置101に赴いて、該装置101のUI部を介して該ジョブの印刷開始要求を入力するまでの間に、該セキュアプリントジョブの印刷データを、全頁、HDD等のメモリに蓄積完了することが出来るからである。故に、上記のようにFCOTに関わる問題もなく、上記効果を奏することが出来る。このようなジョブの性質を見据えた選択的制御を上記制御部により実行可能に構成している。尚、この構成を換言して説明するならば、上記制御部は次のように制御する。即ち、該画像形成装置101が具備するUI部を介して上記第1タイプの印刷ジョブの印刷開始要求をユーザから受付けた場合に、上記特定の動作を画像形成装置101により実行可能にする。しかし、画像形成装置101が具備するUI部を介して該第1タイプの印刷ジョブの印刷開始要求をユーザから受付けていない場合は、該ジョブの印刷を完了させるのに必要な資源が画像形成装置101に揃っているか否かに関係なく該ジョブの印刷を開始させない。
【0095】
上述した第1〜第3実施形態の構成の特徴と効果の一例をより具体例でもって説明する。そのためにも、第1〜第3実施形態とは異なる、以下のような構成を検討してみる。
【0096】
例えば、機密プリントジョブの印刷処理を画像形成装置101により開始した後に、該ジョブにて中断要因が発生すると、画像形成装置101は、当該ジョブの印刷処理を中断する。そして、当該画像形成装置101は、中断したジョブの印刷処理を、例えば、該画像形成装置101が具備する操作部203からの指示により、再開可能に構成する。このような構成を検討してみる。
【0097】
この構成の場合、適正なユーザではなく、第三者でも当該ジョブの印刷処理を再開することを可能にした場合、印刷処理の再開後に出力された該機密プリントジョブの印刷物を第三者に見られるおそれがあることが想定される。
【0098】
そこで、例えば、上記のような課題を解決するために下記のような構成を検討してみる。
【0099】
例えば、中断された機密プリントジョブの印刷を再開する場合に、パスワード入力画面を表示し、パスワードを入力させる。それにより、中断された機密プリントジョブの印刷処理が適正なユーザ以外の第三者によって再開される可能性を低減することができると考える。従って、当該ジョブの印刷処理が再開された後に出力された印刷物が第三者に見られる可能性を低減することができると考える。
【0100】
ただ、このような構成においても、印刷処理を中断した時点で出力済みの印刷物は、既に排紙トレイの上に存在し、第三者に見られる可能性があると考える。この課題の対応策として、当該排紙トレイに出力された機密プリントジョブの印刷物をユーザが取り除く。例えば、このような方法により、機密の維持を図ることが可能であると考える。
【0101】
しかしながら、このような方法でも対処困難な課題が残されることが予想される。例えば、機密プリントジョブに対してステイプル等のフィニッシング処理が指定されている場合には、印刷処理を中断した時点で出力済みの該ジョブの印刷物を途中で取り除くと次のような不具合が予想される。即ち、その場合、該ジョブの出力済みの印刷物と、該ジョブのまだ出力していない残りの印刷物とを1束としてフィニッシング処理をおこなうことができなくなることが予想される。このように、ジョブに対して所望のフィニッシング処理がなされなくなるという課題が残されることが予想される。
【0102】
これに対して、第1実施形態から第3実施形態のような構成により、機密プリントジョブの印刷が、中断要因の発生により中断される可能性を低減し、該ジョブの印刷物を第三者に見られる可能性を低減できる。また、機密プリントジョブの印刷物を第三者に見られる可能性を低減するために、該ジョブに対して所望のフィニッシング処理がなされなくなるといった新たな課題にも対処できるようにしている。
【0103】
また、それらの課題に対処したいが為に、その他のジョブの生産性に影響がでてしまうといった新たな別の課題が発生することも防ぐことができる。
【0104】
そして、第1実施形態から第3実施形態のような構成によれば、機密プリントジョブの印刷物を第三者に見られる可能性を低減することができる。且つ、機密プリントジョブに対して所望のフィニッシング処理がなされなくなるといった新たな課題に対処することができる。尚且つ、それらの課題に対処したいが為に、その他のジョブの生産性に影響がでてしまうといった新たな別の課題が発生することも防ぐことができる。
【0105】
このような課題に対処できるようにした構成も、本願の特徴の一例である。
【0106】
さらに、上述した第1〜第3実施形態の構成の特徴と効果の一例を他の具体例でもって説明する。そのために、実施形態1から3とは異なる、以下のような構成についても検討してみる。
【0107】
例えば、画像形成装置101は、印刷要求のあったプリントジョブのPDLデータとともに、当該プリントジョブに関する印刷設定情報を受付け、受付けたPDLデータと印刷設定情報をHDDに保存する。次に、画像形成装置101は、その印刷設定情報から当該プリントジョブが機密プリントジョブであるか否かを判断する。そして、画像形成装置101は、当該プリントジョブが機密プリントジョブであると判断した場合に、そのプリントジョブの印刷処理の開始前に、そのプリントジョブにて中断要因が発生するか否かを予測する。そして、画像形成装置101は、中断要因が発生すると予測した場合に、そのプリントジョブの印刷を開始させることを禁止する。その後、画像形成装置101は、該プリントジョブに対して、印刷を開始するように指示を受けてから、当該プリントジョブのPDLデータをイメージデータに展開する処理を行い、印刷する。このような構成を検討してみる。
【0108】
このような構成を用いると、印刷開始が禁止された状態のプリントジョブに対して、印刷を開始するように指示する場合に、印刷開始の指示があってから、実際に1頁目の印刷を開始するまでに時間がかかることが想定される。なぜならば、当該プリントジョブに対して印刷開始の指示があってから1頁目の印刷を開始するまでの間に、当該プリントジョブのPDLデータをイメージデータに展開する時間が必要になるからである。さらに、当該プリントジョブにて中断要因が発生するか否かを予測するための時間も必要になるからである。
【0109】
これに対して、上述した第1〜第3実施形態のように、画像形成装置101は、例えば、機密プリントジョブの印刷開始を禁止する場合に、HDDに予め該ジョブのPDLデータをイメージデータに展開したものを保持しておく。さらに、当該機密プリントジョブにて中断要因が発生するか否かを、印刷開始の指示があるまでに予測するように構成されている。それにより、印刷開始が禁止された印刷ジョブの印刷を再開する場合に、印刷開始の指示があってから1頁目の印刷を開始するまでに時間がかかるという課題に対処できるようにしている。
【0110】
例えば、画像形成装置101は、当該機密プリントジョブの印刷を完了するために必要な資源が画像形成装置101にない場合に、当該機密プリントジョブにて中断要因が発生すると予測する。そこで、以下に、画像形成装置101が、当該機密プリントジョブの印刷を完了するために必要な資源が画像形成装置101にあるか否かを判定する方法の一例について説明する。
【0111】
まず、画像形成装置101は、当該機密プリントジョブの印刷を完了するために必要な資源を把握する。次に、把握した必要な資源をもとに、画像形成装置101は、当該印刷を完了するために必要な資源が画像形成装置101にあるか否かを判断する。それら、それぞれの方法について、より具体的に説明する。
【0112】
まず、画像形成装置101が、当該機密プリントジョブの印刷を完了するために必要な資源の量を把握する方法について説明する。
【0113】
画像形成装置101は、例えば、展開されたイメージデータから、該ジョブの印刷を完了するのために必要なページ数を取得する。そして、画像形成装置101は、該ページ数と、該ジョブの詳細設定情報に含まれる、印刷レイアウト、片面/両面印刷設定に関する情報を用いて、該ジョブの印刷を完了するために必要な用紙の枚数を計算する。
【0114】
例えば、画像形成装置101は、受付けたジョブのPDLデータをイメージデータに展開した結果、イメージデータが80ページ分あると把握する。そして、該ジョブの印刷設定情報として、2in1印刷が設定されている場合、画像形成装置101は、該ジョブの印刷を完了するために、40枚(80ページ÷2)の用紙が排紙されると計算する。一方、該ジョブの印刷設定情報として、2in1印刷で、且つ、両面印刷が設定されている場合には、画像形成装置101は、20枚(80ページ÷2÷2)の用紙が排紙されると計算する。つまり、画像形成装置101は、PDLデータをイメージデータに展開して、そのジョブの総ページ数を取得し、当該ページ数を、用紙1枚あたりに印刷するページ数で割ることで、当該ジョブの実行を完了するために必要な用紙の枚数を得ることができる。
【0115】
このように、画像形成装置101は、当該機密プリントジョブの印刷を完了するために必要な資源の量を把握する。
【0116】
次に、画像形成装置101は、把握した必要な資源をもとに、処理対象の機密プリントジョブの印刷処理中に中断要因が発生するか否かを予測する。中断要因の発生を予測する方法の一例として、画像形成装置101は、該必要な資源が画像形成装置101にあるか否かを画像形成装置101が判断する方法について説明する。
【0117】
例えば、画像形成装置101は、処理対象の機密プリントジョブの印刷を完了するために必要な用紙がシートトレイにあるか否かを判断する。そのために、画像形成装置101は、シートトレイに存在する用紙の枚数の情報を保持しておく必要がある。
【0118】
まず、画像形成装置101が、用紙の枚数の情報を保持する方法について、説明する。画像形成装置101はシートトレイに用紙が補充されたことを、例えば、シートトレイが具備するセンサによって検知した場合に、用紙が満載の状態であると判定する。例えば、画像形成装置101は、500枚の用紙を収容可能なシートトレイに、用紙が補充されたと検知した場合、該シートトレイには500枚の用紙があると判定する。そして、画像形成装置101は、シートトレイに500枚の用紙が存在するという情報をHDDに格納しておく。
【0119】
その後、画像形成装置101は、用紙を出力する際に、出力した印刷用紙の枚数を、例えば、カウンタによってカウントし、カウントした値をHDDに格納された用紙の枚数から減算する。例えば、画像形成装置は、20枚の用紙を排紙したことをカウントした場合、シートトレイに存在する用紙の枚数500枚から、20枚を減算し、残り480枚の用紙がシートトレイに存在するという情報をHDD内に格納しておく。
【0120】
このような方法で、画像形成装置101は、シートトレイに存在する用紙の枚数の情報を把握する。
【0121】
そして、画像形成装置101は、処理対象の機密プリントジョブの実行を完了するために必要なシートの枚数と、シートトレイに存在する用紙の枚数とを比較する。画像形成装置101は、処理対象の機密プリントジョブの実行を完了するために必要なシートの枚数が、シートトレイに存在する用紙の枚数よりも多い場合に、充分な用紙がシートトレイに存在すると判定する。
【0122】
このようにして、第1〜第3実施形態の画像形成装置101は、資源が画像形成装置にあるか否かを判断する。
【0123】
また、第1〜第3実施形態の画像形成装置101は、受付けたジョブが機密プリントジョブである場合、該ジョブが処理対象に選択され、パスワードが入力されるまで、該ジョブの印刷処理を開始させない。従って、受付けたジョブが機密プリントジョブである場合、画像形成装置は、該ジョブを受付けてから、パスワードが入力されるまでの間に、次の処理をおこなっておく。画像形成装置101は、PDLデータをイメージデータに展開する処理をおこなっておく。さらに、画像形成装置101は、該ジョブの印刷を完了するために必要な資源の有無の確認処理を、該ジョブを受付けてからパスワードが入力され、印刷を開始するまでの間におこなっておく。
【0124】
これにより、第1〜第3実施形態に記載の画像形成装置101は、ユーザが該ジョブの印刷開始の指示をした後で、それらの処理を行う必要がなく、該ジョブの1頁目の出力が画像形成装置101によって開始されるまでに、時間がかかる問題もない。
【0125】
このように、第1実施形態から第3実施形態のような構成により、印刷開始が禁止された印刷ジョブの印刷を再開する場合に、ユーザにより印刷開始の指示があってから1頁目の印刷を開始するまでに時間がかかるという課題に対処できるようにしている。
【0126】
このような問題に対処できるような構成も、本願の特徴の一例である。
【0127】
尚、上記、各実施形態で説明した、機密プリントジョブを完了させるために必要な資源とは、該ジョブの印刷処理を開始してから、該ジョブの印刷処理を完了するまでに、該ジョブの印刷にて使用される資源のことである。従って、例えば、機密プリントジョブを完了させるために必要な資源が画像形成装置101にない場合、画像形成装置101が該ジョブの印刷を開始してから該ジョブの印刷を完了するまでに、該画像形成装置101に、資源がなくなり、印刷処理は中断される。一方、機密プリントジョブを完了させるために必要な資源が画像形成装置101にある場合、該ジョブの印刷処理の途中で印刷を中断することなく、該ジョブの印刷を完了することができる。
【0128】
以上のような複数種類のジョブの各ジョブの特性や生産性を考慮しているが故に、上記制御を本実施形態にて実行するように構成している。しかし、処理対象のジョブが、第1タイプの印刷ジョブの場合でも、第2タイプの印刷ジョブの場合でも、上記第1の制御シーケンスでもって、動作するよう、上記制御部が、本画像形成装置101を制御する構成でも良い。これにより、装置のシンプル化を図る等の効果を奏するようにしても良い。但し、このような構成においても、少なくとも、上記セキュアプリントジョブに関わる課題については対処可能に構成する。
【0129】
<他の実施形態>
上記各実施形態では、外部コントローラ104によって印刷ジョブをイメージに展開し、これを画像形成装置101のHDDに蓄積するが、これに限られるものではない。画像形成装置101がプリンタとしての機能を有し、コンピュータ端末106から送られてきたプリントジョブを自身でイメージへ展開してHDDに蓄積するようにしてもよい。この場合、外部コントローラ104を省略できる。
【0130】
また、上記実施形態では、機密プリントのジョブは、展開されたイメージの形態でHDDへ保持される。しかしながら、これに限られるものではなく、外部のコンピュータ端末から送信されてきたPDLデータと詳細設定情報の形態で保持するようにしてもよい。この場合、パスワードにより認証が得られ、実際に印刷を行う段階で、イメージへの展開が行われることになる。
【0131】
また、上記実施形態では、機密プリントの実行に必要な資源が不足すると判断した場合に、パスワード(認証情報)の入力前にその旨を表示した。しかしながら、資源が不足する場合に、機密プリントの開始前にその旨を通知し、対処できればよいので、認証情報を入力した後に資源が不足する旨の警告を行い、当該認証情報の入力をキャンセルするように構成することもできる。
【0132】
尚、本発明は、ソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによって前述した実施形態の機能が達成される場合を含む。この場合、供給されるプログラムは実施形態で図に示したフローチャートに対応したプログラムである。
【0133】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0134】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0135】
プログラムを供給するための記録媒体としては以下が挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0136】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることが挙げられる。この場合、ダウンロードされるプログラムは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0137】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布するという形態をとることもできる。この場合、所定の条件をクリアしたユーザに、インターネットを介してホームページから暗号を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用して暗号化されたプログラムを実行し、プログラムをコンピュータにインストールさせるようにもできる。
【0138】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0139】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。この場合、機能拡張ボードや機能拡張ユニットにプログラムが書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行なう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ機能を具備した印刷システムおよび印刷システムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、事務機のネットワーク化に伴い、オフィスでは、ネットワークに接続された1台の印刷装置を、複数のクライアントコンピュータで兼用して使用するというケースが増えている。このような利用環境においては、出力された印刷物を第三者に持ち去られたり、盗み見されたりする事態が発生し得る。このような状況は、セキュリティを確保しながら行いたい印刷、例えば第三者に見られては困る機密情報や、プライベート情報を印刷する場合に問題となる。
【0003】
上述した問題を解決する方法として、機密プリント(セキュアプリントともいう)という機能がある(特許文献1を参照)。機密プリントにおいては、まず、印刷ジョブデータに加えてパスワードを送信するプリンタドライバをクライアントコンピュータにインストールしておく。そして、このプリンタドライバを用いて印刷処理を印刷装置に指示することにより、印刷ジョブデータとパスワードがプリンタに送信される。印刷ジョブデータとパスワードを受信した印刷装置は、すぐに印刷処理を開始するのではなく、これら印刷ジョブデータとパスワードのデータを一旦、印刷装置内の記憶媒体に保存する。
【0004】
ユーザが、この印刷ジョブデータに従った印刷を印刷装置に行わせたい場合には次のような操作を行う。まず、印刷装置に備わっているユーザインタフェースを用いて、例えば印刷ジョブリストをユーザインタフェース上に表示させる。そして、表示されたジョブリストより印刷目的の印刷ジョブを選択し、パスワード入力を行う。印刷装置は入力されたパスワードと、印刷ジョブデータと共に記憶媒体に記憶しているパスワードとが一致した場合にのみ、この印刷ジョブデータに従った印刷処理を開始する。このとき、ユーザは印刷装置の前にすでにいるので、第三者に見られることなく、また第三者に盗まれることなく、目的の機密文書を受け取ることが可能となる。尚、本明細書ではこのような印刷前に認証処理を行うような印刷ジョブをセキュアプリントジョブと呼ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−186657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記セキュアプリントジョブの印刷処理を印刷装置により実際に開始した後に、例えば該ジョブにて「用紙無し」が印刷装置で発生した場合を想定する。この場合、用紙補給のための用紙を取りに行くためにユーザがその場を離れるケースが予想される。換言すると、適正なユーザが印刷装置の前から不在となる期間が生じる可能性が想定される。この場合、適正なユーザが不在となる間に該セキュアプリントジョブの印刷物を第三者に見られる可能性や該データの機密性の維持が懸念されるという課題が発生しうる。又、「用紙無し」等により印刷装置の前をユーザが離れる際に、途中まで出力された該セキュアプリントジョブの印刷物を該ジョブのユーザが取り除いて機密の維持を図ることも上記課題の対応策の1つとして考えることもできる。しかしながら、このような方法でも対処困難な課題が残されることが予想される。例えば、もし仮に、そのジョブが、ステイプル等のフィニッシング処理が指定されている場合には、印刷物を途中で取り除くことにより所望のフィニッシング処理がなされなくなるという新たな別の問題が発生する事が懸念される。
【0007】
又、「用紙無し」等のリカバリ処理の際に、印刷装置の傍に補給する用紙があったとしても、リカバリ処理を行うのに要する時間が発生することにかわりはない。この場合、リカバリ処理を行うのに要する時間の分だけ、セキュアプリントジョブの印刷開始から印刷完了するまでに要する時間が、リカバリ処理無しに印刷を完了することができる場合に要する時間よりも、長くなると言える。換言すると、リカバリ処理なしにセキュアプリントジョブの印刷を完了できる場合よりも、リカバリ処理を経てセキュアプリントジョブの印刷を完了する場合の方が、第三者に該ジョブの印刷結果を見られる可能性が高くなることが予想されうる。
【0008】
又、上述したような課題に対処したいが為に、その他のジョブの生産性に影響がでてしまうといった新たな別の問題が発生したりすることも極力防ぐことが望ましいと考える。このように、セキュアプリントジョブに関わる課題がまだ残されていると考える。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、背景技術で想定したような課題にも柔軟に対処した便利な印刷環境を構築することを目的とする。
【0010】
例えば、印刷前に認証処理を要するジョブにおいて印刷処理を開始した後に中断要因が発生する可能性が低減され、印刷前に認証処理を要するジョブにおける機密性を維持することを目的とする。また、このような目的を果たすために、印刷前に認証処理を要するジョブの印刷物に所望のフィニッシング処理がなされなくなるという新たな別の課題が発生する可能性を低減することも目的とする。
【0011】
また、上述したような目的を果たすために、その他のジョブの生産性に影響が出てしまうといった新たな別の問題が発生することも極力防ぐことを目的とする。
【0012】
そして、印刷前に認証処理を要するジョブにおける機密性を維持する。且つ、所望のフィニッシング処理がなされなくなるという別の課題が発生する可能性を低減する。尚且つ、その他のジョブの生産性に影響が出るといった別の問題が発生することも極力防ぐことを目的とする。
【0013】
本発明の他の目的及び特徴は例えば以下の明細書及び図面より明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するための本発明の一態様による印刷システムは、
プリンタドライバにより生成された印刷データを受信する受信手段と、
前記受信した印刷データを全てイメージデータに展開した後に印刷を開始する場合、前記印刷を完了させるのに必要な資源が揃っていることを前記展開後のイメージデータに基づいて確認したうえで画像の印刷を開始し、前記受信した印刷データを全てイメージデータに展開する前に印刷を開始する場合、前記印刷を完了させるのに必要な資源が揃っているか否かを確認することなく画像の印刷を開始する印刷手段と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、背景技術で想定したような課題にも柔軟に対処した便利な印刷環境が構築可能となる。例えば、印刷前に認証処理を要するジョブにおいて印刷処理を開始した後に中断要因が発生する可能性が低減され、印刷前に認証処理を要するジョブにおける機密性を維持することができる。また、例えば、機密性を保持するが為に、印刷前に認証処理を要するジョブの印刷物に所望のフィニッシング処理がなされなくなるという新たな別の課題が発生する可能性を低減することができる。また、例えば、機密性を保持するが為に、その他のジョブの生産性に影響が出てしまうといった新たな別の問題が発生することを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態のプリントシステムを示す図である。
【図2】第1実施形態による画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】画像形成装置における装置内コントローラの詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】画像形成装置の操作部を示す図である。
【図5】画像形成装置のスキャナ部の詳細な構成を示す図である。
【図6】画像形成装置のスキャナコントローラの構成を示すブロック図である。
【図7】画像形成装置のプリンタ部の詳細な構成を示す図である。
【図8】画像形成装置のフィニッシャ部の構成を示す図である。
【図9】第1実施形態による外部コントローラの構成を示すブロック図である。
【図10】プリンタドライバによる表示画面の例を示す図である。
【図11】プリンタドライバによるプリント詳細設定の画面例を示す図である。
【図12】画像形成装置におけるプリント状況画面の表示例を示す図である。
【図13】第1実施形態による機密プリント処理を説明するフローチャートである。
【図14】イメージ蓄積中のプリント状況画面の表示例を示す図である。
【図15】イメージ蓄積後のプリント状況画面の表示例を示す図である。
【図16】第1実施形態におけるプリント設定及びプリント時に使用する用紙を表すプリント情報の例を示す図である。
【図17】第1実施形態における警告付きパスワード入力画面の例を示す図である。
【図18】第1実施形態における警告なしパスワード入力画面の例を示す図である。
【図19】第2実施形態による機密プリント処理を説明するフローチャートである。
【図20】第2実施形態における、他の機密プリントジョブのプリントが実行中の場合の画面例を示す図である。
【図21】第2実施形態による、機密プリント開始時の優先処理が行われた場合の、プリント状況画面の例を示す図である。
【図22】第3実施形態による警告画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態によるプリントシステム100の構成を示すブロック図である。図2は、第1実施形態のプリントシステム100における画像形成装置101の構成を示すブロック図である。本実施形態のプリントシステムが有する機能について、図1及び図2を参照して概要を説明する。
【0019】
画像形成装置101はフルカラーでスキャンまたは、プリントなどが可能なカラースキャナ/プリンタ装置である。画像形成装置101は、内部ネットワーク102と画像データ転送のためのビデオ(Video)ケーブル103を介して外部コントローラ104と接続されている。外部コントローラ104は、外部ネットワーク105に接続されている。外部ネットワーク105にはコンピュータ端末106が接続されている。従って、画像形成装置101は外部ネットワーク105を介してコンピュータ端末106と接続されている。
【0020】
図2に示すように、画像形成装置101は、スキャナ部201、プリンタ部202を有しており、スキャナ部201から読み取った画像をプリンタ部202にてプリントするコピー機能を備えている。操作部203は、ユーザインタフェースを提供する。即ち、操作部203は、ユーザが画像形成装置101の機能の実行を指示したり、機能実行時の動作設定を行うための入力デバイスを有する。また、操作部203は、画像形成装置101の状態をユーザに知らせるための表示デバイスを備えている。
【0021】
画像形成装置101内部の装置内コントローラ204は、画像形成装置101の全体の動作制御、状態管理、画像処理を行う。例えば、装置内コントローラ204は上記のようなスキャナ部201及びプリンタ部202の動作の制御や、操作部108からのユーザ指示/状態表示の処理を行なう。また、装置内コントローラ204は、スキャナ部201やプリンタ部202にて扱われる画像データの処理や、内部ネットワーク102を介して接続される外部コントローラ104とのデータ送受信制御も行う。尚、プリンタ部202の下流にはステイプルなどの後処理を行うためのフィニッシャ部205が接続される。尚、フィニッシャ部205は、オプションであり、画像形成装置101は、フィニッシャ部205を具備していなくてもよい。
【0022】
また、本実施形態のプリントシステム100では、コンピュータによって作成されたドキュメントが、ページ記述言語(PDL)データとして外部ネットワーク105を介してコンピュータ端末106から外部コントローラ104に送信される。外部コントローラ104は、受信したPDLデータをイメージに展開し、画像形成装置101にてプリント可能な形式のイメージデータを生成する。外部コントローラ104は、生成されたイメージデータをビデオケーブル103を介して画像形成装置101に送信するとともに、プリント時の動作設定やビデオケーブル103にて送出する画像データに関する諸情報を内部ネットワーク102にて通信する。画像形成装置101は、外部コントローラ104からビデオケーブル103を介して受信した画像データと、内部ネットワーク102を介して受信した諸情報に基づいてプリントを実行する。こうして、本実施形態のプリントシステム100は、コンピュータ端末106からネットワークを介して送信されたPDLデータを画像形成装置101でプリントするというネットワークプリンタ機能を実現する。
【0023】
外部コントローラ104においては、コンピュータ端末106から送出されたPDLを、色空間変換を行うプロファイルを用いて、RGB色空間、又は、CMYK色空間の2種類の色空間でイメージに展開する機能を有する。そして、ビデオケーブル103上にRGBとCMYKの2種類の色空間の画像を転送する。なお、RGB色空間は、Red/Green/Blueによって色を表現するための色空間である。同様に、CMYK色空間は、Cyan/Magenta/Yellow/Blackによって色を表現するための色空間である。
【0024】
更に、本実施形態のプリントシステムでは、画像形成装置101にてスキャンした画像をコンピュータ端末106に表示/保存するネットワークスキャン機能を有している。ネットワークスキャン機能はその操作形態から、プルスキャン機能/プッシュスキャン機能に大別される。プルスキャン機能では、ユーザによるスキャン指示がコンピュータ端末106にて行われる。また、プッシュスキャン機能では、ユーザによるスキャン指示が画像形成装置101の操作部203にて行われる。即ち、両者ではスキャン指示を行う形態が異なる。しかし、プルスキャン/プッシュスキャンいずれの機能であっても、画像形成装置101はユーザからの指示によって、スキャナ部201に予め載置された原稿画像を読み取ることになる。そして、画像形成装置101は、読み取った画像を、内部ネットワーク102、外部コントローラ104、外部ネットワーク105を介して、コンピュータ端末106にて扱うのに適した形式で、コンピュータ端末106に転送する。
【0025】
本実施形態のプリントシステムの画像形成装置101はフルカラー画像を扱うため、プリンタ部202での画質向上を目的とした画質調整機能を備えている。このような画質調整機能には、画像形成装置101単体での濃度調整と、コンピュータ端末106からの電子文書のプリントによる画質調整の2種類がある。
【0026】
画像形成装置101単体での濃度調整においては、まず、プリンタ部202にて規程の画像をプリントして得られた画像をスキャナ部201で読み取る。この読み取りに基づいて得られたプリンタ部202の特性を装置内コントローラ204の画像処理にて行われる濃度調整値に反映させる。この調整により、安定した画像をプリントすることができるようになる。尚、この濃度調整のためのプリントに用いられる規程の画像は、装置内コントローラ204にて生成される。
【0027】
一方、コンピュータ端末106からの電子文書のプリントによる画質調整は、外部コントローラ104主導で行われる。まず、外部コントローラ104より規程の画像を画像形成装置101に送信し、これをプリンタ部202にプリントさせる。そして、プリントされた画像をスキャナ部201で読み取り、読み取った画像を外部コントローラ104へ送る。外部コントローラ104は受信した画像に基づいて画像形成装置101の画像特性を認識する。そして、この認識された特性は、コンピュータ端末106からのPDLデータをイメージに展開する際に外部コントローラ104が考慮する値として外部コントローラ104に保持される。
【0028】
[装置内コントローラ204の構成]
次に、装置内コントローラ204の構成を図3を用いて説明する。装置内コントローラ204は、CPU301、ワークメモリ302、画像処理部303、画像メモリ304、大容量記憶装置(以下、HDD)305、ファクシミリ(FAX)通信部306、ネットワークI/F部307を備える。画像処理部303は画像信号線311,312を介してスキャナ部201及びプリンタ部202に接続されるとともに、ビデオケーブル103を介して外部コントローラ104と接続される。更に、画像処理部303は、画像メモリ304と接続され、画像メモリ304にはFAX通信部306が接続されている。
【0029】
スキャナ部201によって読込まれた画像データは、画像処理部303と画像メモリ304を介してHDD305に格納される。格納された画像データは、プリントのために、再び画像メモリ304と画像処理部303を介してプリンタ部202に送出される。同様に、外部コントローラ104からビデオケーブル103を介して入力された画像データは、画像処理部303、画像メモリ304を介してHDD305に格納される。また、FAX通信部306に対して、ファクシミリ送受信に用いられる画像データの入出力ができるようになっている。HDD305への画像格納の機能を利用して、スキャナ部201より入力された画像データ、あるいは外部コントローラ104からビデオケーブル103を介して入力した画像データをすぐに外部へ出力せずにHDD305に蓄積しておくことができる。これにより、所謂ボックス機能が実現される。ボックス機能によれば、HDD305に蓄積された画像を、ユーザがプリントまたはファクス送信したいときに、操作部203からの指示に従ってプリント/ファクスしたり、複数のユーザ間でHDD305に蓄積した画像を共有したりすることができる。
【0030】
更に、本実施形態のプリントシステムは、HDD305に蓄積した画像を外部ネットワーク105に接続された所望のコンピュータ端末に送出し、コンピュータ端末にて再利用するという、ファイル送信機能も備えている。このファイル送信機能において、画像処理部303は、HDD305に蓄積された画像をコンピュータ端末等で一般に用いられているファイルフォーマットの画像(例えばJpeg等)に変換する。こうして変換されたファイルは、ネットワークインターフェース部307、内部ネットワーク102、外部コントローラ104及び外部ネットワーク105を介して所望のコンピュータ端末へ送出され得る。
【0031】
CPU301はHDD305に格納されたプログラムに従って動作し、操作部203の制御も行う。また、CPU301は、機器内のFAX通信部306等の各処理部を制御する。また、CPU301は、プリンタ部202やスキャナ部201との間で、画像データ送受信の同期を図るための通信を行う。更に、CPU301は、内部ネットワーク102を介した外部コントローラ104との通信のために、ネットワークインターフェース部307にアクセスする。
【0032】
また、装置内コントローラ204は、HDD305に格納されたデータを、Webサービス等により内部ネットワーク102と外部コントローラ104を介してコンピュータ端末106に送信する。また、逆に、コンピュータ端末106からの情報が、Webサービス等により内部ネットワーク102と外部コントローラ104を介して画像メモリ304やHDD305に格納され得る。これらにより、画像形成装置101の状態をコンピュータ端末106にて参照したり、コンピュータ端末106より画像形成装置101の設定を行ったりすることが可能なリモート操作サービスが提供される。
【0033】
[操作部203]
次に、図4を用いて画像形成装置101の操作部203について説明する。操作部203はLCD表示画面401を具備する。LCD表示画面401には、画像形成装置101の設定状況や動作状況が表示される。図4では、一例として、動作設定画面402にコピー画面が表示された様子が示されている。コピー画面には、コピー時のズーム設定や給紙段設定、印刷部数などが表示されている。動作設定画面402における機能キー403の選択に応じて、液晶(LCD)表示画面401の表示は、ファクシミリ機能や、外部コントローラ104からのプリント機能の画面へと遷移する。またLCD表示画面401の下部には、画像形成装置101の状態や、選択している機能画面以外の機能の状況を示すステイタスメッセージ表示部404がある。また、右下部には、動作設定画面402をシステム状況画面に遷移させるシステム状況キー405が配置されている。システム状況画面では、画像形成装置101の状態や、選択している機能画面以外の機能の状況についての詳細を参照することができる。システム状況画面については図12により後述する。
【0034】
また、操作部203は、数値設定を入力するテンキー406を有する。IDキー407は、使用するユーザを判別するためのユーザIDを入力するためのID入力画面に、液晶表示画面401の表示を遷移させるためのキーである。画像形成装置101においてコピーやファクスなどの各機能を使用する際には、使用するユーザを識別するためのユーザIDの入力が必要である。ID入力画面はこのようなユーザIDの入力に用いられる。リセットキー408は、動作設定画面402によって設定された各機能の設定状態を既定の状態に戻すものである。詳細設定キー409は、液晶表示画面401の表示を、画像形成装置101の動作設定の詳細やネットワーク設定などを行う画面に遷移させるためのものある。スタートキー410、ストップキー411は各機能の動作開始や中止を行うためのボタンである。
【0035】
[スキャナ部106の構成]
図5を用いてスキャナ部201の構成を説明する。原稿台ガラス501上には、読み取られるべき原稿502が置かれる。原稿502は照明ランプ503により照射され、その反射光はミラー504、505、506を経て、レンズ507によりCCD508上に結像する。ミラー504、照明ランプ503を含む第1ミラーユニット510は速度vで移動し、ミラー505、506を含む第2ミラーユニット511は速度v/2で移動する。このように第1及び第2ミラーユニット510,511が移動することにより、原稿502の全面が走査される。第1ミラーユニット510及び第2ミラーユニット511はモータ509により駆動される。スキャナ部201の各ユニット510、511の動作はスキャナコントローラ部512からの信号によって制御される。スキャナコントローラ部512は装置内コントローラ204からの指示に応じて、各ユニット510、511の動作制御を行う。
【0036】
次に図6を用いてスキャナコントローラ部512での画像処理について説明する。入力された光学的信号がCCDセンサ601により電気信号に変換される。このCCDセンサ601はRGB3ラインのカラーセンサであり、R、G、B夫々の画像信号がA/D変換部602に入力される。A/D変換部602は、入力された画像信号に対してまずゲイン調整及びオフセット調整を行い、その後、A/Dコンバータによって各色信号毎に8bitのデジタル画像信号R0,G0,B0に変換する。シェーディング補正部603は、色毎に、基準白色板の読み取り信号を用いた、公知のシェーディング補正を施す。また、CCDセンサ601の各色ラインセンサは、相互に所定の距離を隔てて配置されている。従って、ラインディレイ調整回路(ライン補間部)604により、そのような副走査方向の空間的ずれが補正される。
【0037】
入力マスキング部605は、CCDセンサ601のR/G/Bフィルタの分光特性で決まる読取色空間を、NTSCの標準色空間に変換する。入力マスキング部605は、CCDセンサ601の感度特性や照明ランプのスペクトル特性等の諸特性を考慮した装置固有の定数を用いた3×3のマトリックス演算を用いて、入力された(R0,G0,B0)信号を標準的な(R,G,B)信号に変換する。輝度/濃度変換部(LOG変換部)606は、ルックアップテーブル(LUT)により構成され、RGBの輝度信号をC1,M1,Y1の濃度信号に変換する。こうして変換された信号は、装置内コントローラ204に送出される。
【0038】
[プリンタ部202の構成]
図7に、プリンタ部202の概観図を示す。ポリゴンミラー701は、半導体レーザ駆動部から発光された4本のレーザ光を受ける。その内の1本のレーザ光はミラー702、703、704を経て感光ドラム705を走査する。別の1本のレーザ光はミラー706、707、708を経て感光ドラム709を走査する。更に別の1本のレーザ光はミラー710、711、712を経て感光ドラム713を走査する。更に別の1本のレーザ光はミラー714、715、716をへて感光ドラム717を走査する。
【0039】
一方、現像器718はイエロー(Y)のトナーを供給し、レーザ光の走査に応じて感光ドラム705上に形成された潜像を現像してイエローのトナー像を形成する。現像器719はマゼンタ(M)のトナーを供給し、レーザ光の走査に応じて感光ドラム709上に形成された潜像を現像してマゼンタのトナー像を形成する。現像器720はシアン(C)のトナーを供給し、レーザ光の走査に応じて感光ドラム713上に形成された潜像を現像してシアンのトナー像を形成する。更に、現像器721はブラック(B)のトナーを供給し、レーザ光の走査に応じて感光ドラム717上に形成された潜像を現像してブラックのトナー像を形成する。以上の4色(Y,M,C,K)のトナー像がシートに転写され、フルカラーの出力画像を得ることができる。
【0040】
シートカセット722、723および、手差しトレイ724のいずれかより給紙されたシートは、レジストローラ725を経て、転写ベルト726上に吸着され、搬送される。給紙のタイミングと同期して、予め感光ドラム705、709、713、717には各色のトナーが現像されており、シートの搬送とともに、トナーがシートに転写される。各色のトナーが転写されたシートは、転写ベルト726から分離され、搬送ベルト727により定着器728に搬送される。定着器728では、トナーがシートに定着される。定着器728を抜けたシートは、フラッパ729により一旦下方向へ導かれてシートの後端がフラッパ729を抜けた後、スイッチバックさせて排出する。これによりフェースダウン状態で排出され、先頭頁から順にプリントしたときに正しいページ順となる。
【0041】
なお、4つの感光ドラム705、709、713、717は、距離dをおいて等間隔に配置されており、搬送ベルト724によりシートは一定速度v(但し、スキャナユニットの第1ミラーユニット510の移動速度vとは無関係)で搬送される。このような位置関係と搬送速度に応じたタイミングに同期して感光ドラムにトナー像が形成されるように、ポリゴンミラー701や半導体レーザが駆動される。
【0042】
[フィニッシャ部205の構成]
図8に、フィニッシャ部205の概観図を示す。プリンタ部202の定着器728を経て排紙されたシートは、フィニッシャ部205に入る。フィニッシャ部205には、サンプルトレイ801及びスタックトレイ802があり、ジョブの種類や排出されるシートの枚数に応じて排出先のトレイが切り替わる。
【0043】
ソーティングの方式には2通りある。1つは、複数のビンを用いてジョブ毎に出力シートを各ビンに振り分けるビンソート方式である。他の1つは、後述の電子ソート機能と、ビン(またはトレイ)を図8の奥手前方向にシフトしてジョブ毎に出力シートを振り分けるシフトソート方式である。電子ソート機能は、コレートと呼ばれる。前述の装置内コントローラ204が大容量メモリ(例えば、画像メモリ304、HDD305)を持っていれば、このメモリを利用してバッファリングしたページ順と排出順を変更する、所謂コレート機能を用いることで電子ソーティングの機能をサポートできる。尚、グループ機能は、ソーティングがジョブ毎に振り分けるのに対し、ページ毎に仕分けする機能である。
【0044】
更に、スタックトレイ802に排出する場合には、シートが排出される前のシートをジョブ毎に蓄えておき、排出する直前にステープラ805にてバインドすることも可能である。その他、上記2つのトレイに至るまでに、紙をZ字状に折るためのZ折り機804、ファイル用の2つ(または3つ)の穴開けを行うパンチャ806があり、ジョブの種類に応じてそれぞれの処理を行う。
【0045】
更に、サドルステッチャ807は、シートの中央部分を2ヶ所バインドした後に、シートの中央部分をローラに噛ませることによりシートを半折りし、週刊誌やパンフレットのようなブックレットを作成する処理を行う。サドルステッチャ807で製本されたシートは、ブックレットトレイ808に排出される。
【0046】
その他、図8には記載されていないが、製本のためのグルー(糊付け)によるバインドや、あるいはバインド後にバインド側と反対側の端面を揃えるためのトリム(裁断)などのフィニッシャを加えることも可能である。
【0047】
また、インサータ803は、トレイ809にセットされたシートをプリンタを通さずにトレイ801、802、808のいずれかに送るためのものである。これによってフィニッシャ205に送り込まれるシートとシートの間にインサータ803にセットされたシートをインサート(中差し)することができる。インサータ803のトレイ809には、インサートすべきシートがユーザによりフェースアップの状態でセットされ、ピックアップローラ810により最上部のシートから順にフィニッシャ部205内に給送される。従って、インサータ803からのシートをそのままトレイ801、802へ搬送することにより、フェースダウン状態で排出される。尚、サドルステッチャ807へ記録紙を送る場合は、一度パンチャ806側へ記録紙を送り込んだ後、スイッチバックさせて送り込むことによりフェースの向きを合わせる。
【0048】
[外部コントローラ104]
次に、図9を用いて外部コントローラ104の構成、及びプリント時の動作を説明する。外部コントローラ104は、CPU901、ワークメモリ902、画像処理部903、画像メモリ904、大容量記憶装置(以下、HDD)905、外部ネットワークI/F部906、内部ネットワークI/F部907を具備する。
【0049】
画像処理部903はビデオケーブル103を介しての画像形成装置101と接続されている。また、画像処理部903は画像メモリ904とも接続されている。外部ネットワークI/F部906は外部ネットワーク105に接続され、内部ネットワークI/F部907は内部ネットワーク102に接続されている。CPU901はHDD905に格納されたプログラムに従って動作し、ネットワークI/F部906、907を介して、コンピュータ端末106や画像形成装置101と通信し、所定の処理を実行する。
【0050】
続いて、コンピュータ端末106上の文書ファイルをプリントする際の、外部コントローラ104における動作(CPU901の制御)について説明する。外部コントローラ104は、外部ネットワークI/F部906を用いてコンピュータ端末106より送信されたPDLデータを外部ネットワーク105を介して受信する。外部ネットワークI/F部906によって受信されたPDLデータはHDD905に蓄積される。次に、CUP901は、画像処理部903を用いて、HDD905に蓄積されたPDLデータを画像メモリ904上にイメージとして展開する。そして、画像処理部903は、ビデオケーブル103を介して、展開されたイメージを画像形成装置101に転送する。このとき、CPU901は、当該展開されたイメージの印刷属性情報を、内部ネットワークI/F部907と内部ネットワーク102を介して、画像形成装置101に送信する。尚、印刷属性情報には、展開されたイメージのサイズなどの情報や、PDLデータに含まれる画像形成装置101にて実施されるプリント時の設定等が含まれている。こうして、外部コントローラ104から送信された印刷属性情報と展開されたイメージとに基づいて、画像形成装置101はイメージをシート上に印刷する。
【0051】
[プリンタドライバ]
次に、図10、図11を用いて、コンピュータ端末106上で稼動するプリンタドライバについて説明する。
【0052】
図10には、コンピュータ端末106で作成したドキュメントをプリントする際に表示されるプリンタドライバ画面の一例がプリンタドライバ画面1001として示されている。プリンタドライバ画面1001は、コンピュータ端末106で表示される。プリンタドライバ画面1001においては、出力先として選択されているプリンタが出力先フィールド1002に示される。この出力先フィールド1002はプルダウンメニューとなっており、別のプリンタを選択することが可能である。図10の例では、出力先のプリンタは画像形成装置101が選択された状態が示されている。
【0053】
また、ドキュメントの印刷範囲を設定する印刷範囲設定1003にて、ドキュメントのすべてのページを印刷するのか、特定のページを印刷するのかを設定できるようになっている。また、プリンタドライバ画面1001には、OKキー1004、キャンセルキー1005が設けられている。OKキー1004が押下されると、印刷範囲設定1003にて設定されたドキュメントのページがPDLデータに変換される。そして変換されたPDLデータが後述するプリント時の詳細な設定とともに、画像形成装置101に接続されている外部コントローラ104に対して送出される。キャンセルキー1005が押下された場合は、PDLデータへの変換、送出がなされずに、プリンタドライバ画面1001が閉じられる。
【0054】
プリンタドライバ画面1001には詳細設定キー1006が設けてあり、詳細設定キー1006が押下されると、図11に示すようなプリント詳細設定画面1101が表示される。プリント詳細設定画面1101では、選択した画像形成装置及び外部コントローラにおいて施すことができる処理を設定する。即ち、プリント詳細設定画面1101を用いることにより、画像形成装置101及び外部コントローラ104で処理可能な各機能の設定を行うことができる。プリント詳細設定画面1101によって設定できる項目としては、設定項目1102に例示した部数や用紙サイズ、レイアウト等がある。また、後述する機密プリントを実行する/しないの設定と機密プリント時のパスワード設定も、フィールド1103,1104により、プリント詳細設定画面1101上で行える。ユーザは、このようなプリント詳細設定画面1101により所望の設定を行うことができる。
【0055】
プリント詳細設定画面1101においてOKキー1105が押下されると、プリント詳細設定画面1101が閉じられる。そして、図10に示したプリンタドライバ画面1001に戻るとともに、プリント詳細設定画面1101で設定された内容がコンピュータ端末106に保持される。キャンセルキー1106が押下されると、プリンタドライバ画面1001に戻るが、プリント詳細設定画面1101での設定内容はコンピュータ端末106に反映されない。
【0056】
[プリント状況画面]
次に、画像形成装置101の操作部203によるプリント状況画面について、図12を参照して説明する。プリント状況画面1201は、操作部203のLCD表示画面401にあるシステム状況キー405が押下された際に表示される画面である。
【0057】
プリント状況画面1201には以下の項目が表示される。〈ジョブ種別1202〉コピー、PDLプリントなどのジョブ種別を表す。機密プリント設定がなされたジョブの場合はジョブ種別のところに、1203で示すように「機密プリント」と表示される。〈受付時刻1204〉プリントのジョブ毎の、画像形成装置101に該当のジョブが投入された時刻を示す。〈ジョブ名1205〉ジョブの名称を示す。PDLプリントジョブの場合には、プリンタドライバにプリント指示されたドキュメントの、コンピュータ端末106での文書ファイル名が表示される。〈状況1206〉画像形成装置101におけるジョブの処理状況を示す。
【0058】
また、プリント状況画面1201内には、指定したジョブをキャンセルするキャンセルキー1207、機密プリントの際にプリント開始時にパスワード入力を行うための画面を表示するパスワード入力キー1208がある。閉じるキー1209はプリント状況画面1201を閉じて、LCD表示画面401における表示を図4の標準画面に戻すためのキーである。
【0059】
[機密プリント]
次に本実施形態における機密プリントについて図13〜図18を用いて説明する。
【0060】
まず、ユーザがコンピュータ端末106で稼動するプリンタドライバによって提供されるプリンタドライバ画面1001を用いて、所望の文書ファイルのプリントを指示する。このとき、上述したように、ユーザは所望の設定をプリント詳細設定画面1101にて行うことができる。プリンタドライバ画面1001のOKキー1004が押下されると、コンピュータ端末106は、PDLデータを詳細設定とともにプリントジョブとして外部コントローラ104に送信する。外部コントローラ104はコンピュータ端末106から送信されたプリントジョブ(PDLデータと詳細設定の情報を含む)を受信する。
【0061】
プリントジョブを受信した外部コントローラ104は、受信したプリントジョブを解釈する。そして、プリント詳細設定画面1101にて設定された当該プリントジョブのプリント時の詳細設定情報と、当該プリントジョブのPDLデータをイメージに展開して得られる画像データを画像形成装置101の装置内コントローラ204に送信する。
【0062】
次に、画像形成装置101の動作を説明する。図13に示される各ステップの処理は、画像形成装置101の装置内コントローラ204によって実行されるものである。更に詳しくは、例えば、装置内コントローラ204のCPU301が、HDD305に格納された制御プログラムをワークメモリ302にロードして実行することにより、図13の処理は実現される。
【0063】
画像形成装置101は、ステップS1301において外部コントローラ104からプリントジョブの詳細設定の情報を受信すると、ステップS1302において詳細設定の情報を解析する。ステップS1303では、この解析の結果に基づいて、外部コントローラ104から送信されたプリントジョブのイメージデータが機密プリントにより保護すべきジョブか否かを判断する。機密プリントではない(保護すべきジョブではない)と判断された場合、処理はステップS1303からステップS1304に進む。ステップS1304では、PDLデータを順次解釈、展開して得られたイメージを外部コントローラ104から受信し、プリンタ部202によりプリントする。尚、装置内コントローラ204に既に印刷中の他のジョブが存在する場合は、HDD305に用意された印刷待ち行列に登録されることになる。
【0064】
一方、ステップS1303で、投入されたジョブが機密プリント(保護すべきジョブ)と判断された場合、処理はステップS1305へ進む。ステップS1305において、装置内コントローラ204は、当該ジョブの詳細設定の情報をHDD305に保持すると共に、PDLデータを順次解釈、展開して得られたイメージを外部コントローラ104から受信してHDD305に保持する。結果、HDD305には、保護すべきジョブが蓄積されることになる。即ち、各ページのイメージとともに各ページの用紙サイズや用紙の種類といった情報が保持されることになる。このステップS1305の処理は、投入されたジョブの全てのページがHDD305に蓄積されるまで行われる(ステップS1306)。また、機密プリントのジョブの場合、全てのページのイメージの受信とHDD305への蓄積が終わるまでは当該ジョブのプリントを開始できないようにする。従って、プリント状況画面においては、図14に示されるように該当機密プリントジョブのプリントを開始するためのパスワード入力キー1401はグレイアウトされ、選択できないようになっている。
【0065】
投入された機密プリントジョブの全てのページがHDD305に蓄積されると、処理はステップS1306からステップS1307へ進む。ステップS1307では、パスワード入力キー1401の選択不能な状態(グレイアウト状態)を解除して、パスワード入力によるプリント開始の指示が可能な状態とする。この結果、プリント状況画面は図15に示されるように、パスワード入力キー1501が操作可能な状態として表示される。尚、上下キー1502により、ジョブの一覧における選択状態のジョブを切り替え可能にし、所望の機密プリントのジョブを選択できるようにしてもよい。このようにすれば、複数の機密プリントジョブが投入され、HDD305に蓄積された場合に、所望の機密プリントジョブを選択することができる。
【0066】
パスワード入力キー1501が押下されることにより処理はステップS1307からステップS1308へ進む。ステップS1308において、画像形成装置101は、該当ジョブをプリントするにあたってプリント中に用紙不足などによるユーザのリカバリ操作が発生するか否かをチェックする。
【0067】
装置内コントローラ204は、ステップS1305において、プリント詳細設定画面1101でのプリント設定及びプリント時に使用する用紙サイズと用紙の種類及び各枚数といった図16のようなプリント情報1601をHDD305に保持する。例えば、プリント情報1601は、1602〜1610に示される項目の情報を保持する。本例において、項目1602〜1610は夫々、「部数」、「用紙サイズと1部あたりの枚数」、「用紙の種類」、「排紙トレイ」、「排紙モード」、「ステープラモード」、「カラーモード」、「機密プリント設定」、「機密プリント用パスワード」である。また、1611はプリントに関する各項目(属性)を示し、1612は各項目に対する値を示している。1613は、本実施形態の説明のために記載した各値の意味の説明であり、実際のプリント情報1601に含まれる必要はない。
【0068】
図16のプリント情報1601に示されるジョブは、A4の普通紙を20枚(10枚×2部)、A3の普通紙を30枚(15枚×2部)使用し、印刷結果をトレイ2に排紙する。また、左上1箇所にステイプルを施し、カラー印刷を行う。装置内コントローラ204はこのようなプリント情報1601に基づいてリカバリ操作が発生する可能性をチェックする。例えば、以下のようなチェックが実施される。
【0069】
(1)カラーモード1607に「カラー」が設定されている場合は、画像形成装置101にカラーでプリントするための各色のトナー(C,M,Y,K)があるかをチェックする。カラーモード1607が「モノクロ」の場合は、黒(K)のトナーがあるかをチェックする。例えば、チェック対象のトナーが残量警告状態であった場合は、リカバリ操作が発生する可能性があると判定する。
(2)プリントに必要な用紙の枚数を「用紙サイズと1部あたりの枚数」1602や「用紙の種類」1603の内容から判断し、画像形成装置101にこれらが存在するかをチェックする。図16の例では、「A4の普通紙は20枚以上あるか」、「A3の普通紙は30枚以上あるか」といったチェックとなる。
(3)「ステープラモード」1607においてステープラの使用が指示されている場合、「ステープラの針はあるか」をチェックする。
(4)「部数」1602、「用紙サイズと1部あたりの枚数」1603、「用紙種類」1604の設定項目から、プリント中に排出先のトレイ(トレイ2)の積載上限に達しないかをチェックする。
【0070】
尚、例えばプリントに必要な枚数の用紙がシートカセットに存在するかを判定するためには、シートカセットに存在する用紙の枚数を画像形成装置101が検出する必要がある。用紙の有無は、例えば光軸方向がシートカセット内における用紙の積層方向と一致するような投受光型センサを配置することで検出できる。更に、例えば、光軸方向が用紙の積層方向に対して直交する方向の投受光型センサを積双方向に複数個配置することにより、シートカセット内の用紙の枚数を大まかに検出することができる。例えば、積層方向に4つの投受光型センサを配置することにより、用紙残量が「〜20%」「20%〜40%」「40%〜60%」「60%〜80%」「80%〜」のように検出できる。シートカセットにおける100%の状態の用紙枚数が既知であるので、このような構成により、大まかではあるがシートカセット内の枚数を認識でき、上記(2)の判断を実現できる。
【0071】
或は、シートカセット内の用紙枚数の判定の他の方法の例として次ような構成が挙げられる。シートカセットの満杯状態における用紙枚数を予め設定しておき、用紙が供給された時点では用紙は満杯状態になっているものと仮定する。そして、以降の印刷動作において給紙数をカウントし、満杯状態の用紙枚数から差し引くことで、シートカセット内の用紙枚数を得る。このような構成によれば、用紙供給時にはシートカセット内に用紙を満杯とするという運用により、シートカセット内の正確な用紙枚数を検出できることになる。又、(3)においても、ステイプラの針の残数を認識し、必要数の針があるかをチェックするようにしてもよいことは明らかである。
【0072】
ステップS1308による上記のようなチェックの結果、例えばプリント中に用紙不足等によるユーザのリカバリ操作が発生すると判断された場合は、処理をステップS1309へ進める。ステップS1309では、図17に示すように、不足が発生している旨とその内容の表示を含むパスワード入力画面1701を表示する。パスワード入力画面1701においてパスワードが入力されOKキー1702が押下されると、処理はステップS1310からステップS1311へ進む。これは、ユーザが、リカバリ操作が発生するリスクを負ってもプリント開始することを選択した場合である。一方、パスワード入力画面1701においてキャンセルキー1703が押下されると、処理はステップS1310からステップS1307へ戻る。即ち、ジョブの選択からやり直しができる。従って、ユーザが機密プリントのプリント実行中にリカバリ操作を行いたくない場合には、キャンセルキー1703を選択することで、警告表示にて予測されたリカバリ操作をプリント開始前に行うことができる。
【0073】
一方ステップS1308のチェックにてプリント時に用紙不足などによるユーザのリカバリ操作が発生しないと判断された場合、処理はステップS1312へ進む。ステップS1312では、図18に示すように警告表示のないパスワード入力画面1801を表示する。そして、このパスワード入力画面1801において、パスワードが入力され、OKキー1802が押下されると、処理はステップS1310からステップS1311へ進む。
【0074】
ステップS1311では、パスワードの照合を行う。即ち、パスワード入力画面1701或いは1801において入力されたパスワードがプリント詳細設定画面1101で設定されたパスワード(プリント情報1601の「機密プリント用パスワード」1610に格納されたパスワード)と一致するかを判定する。一致すると判定された場合は、ステップS1311からステップS1304へ進み、当該ジョブのプリントが実行される。一方、ステップS1311において、パスワードが一致しないと判定された場合は、ステップS1308へ戻り、ステップS1309もしくはS1312によるパスワード入力待機状態となる。
【0075】
以上説明したように、プリント開始前にセキュアプリントに必要な資源の有無が確認されるため、プリント開始後の「用紙無し」エラー等の発生が低減される。このため、機密プリントの実行中に、エラーリカバリのためにユーザがその場を離れるというような事態の発生を低減できる。この結果、ユーザが不在となる間に第三者に出力物を見られるといった危険性を低減でき、機密性を維持できる。さらに、プリント開始後に「用紙無し」等のエラーリカバリによって機密プリントの印刷に要する時間が長くなるという事態を防止できる。即ち、機密プリント中のエラー復旧作業をより確実に無くすことができ、プリント時間を最小限に抑えることができる。このため、第三者に印刷物を見られる危険性を更に低減できる。以上によりセキュアプリント時の機密性を高めることができる。
【0076】
尚、上記実施形態では、図16に示すジョブの例において、ジョブの処理に必要な資源、即ち、A4普通紙が20枚以上存在するか、A3普通紙が30枚以上存在するか、ステープラの針が存在するか、CMYKのトナーが存在するか等をチェックした。ここで、用紙に関するチェックを行うためには、各シートカセットに収納されている用紙のサイズと種類を登録しておく必要がある。そのような登録は、例えばHDD305に、シートトレイと収容されている用紙のサイズ及び種類を対応付けたテーブル形式で記録しておけばよい。また、上記実施形態では、シートカセットに収容されている用紙の枚数を検出可能にしている。しかしながら、シートカセット内の用紙の有無を検出する機構のみが設けられている場合は、印刷に使用する用紙がシートカセットに存在するか否かによりジョブに必要な資源の有無を判断することになる。同様に、ステープラ805において残存する針の数を検出可能であれば、ステープラの針がジョブで指定された印刷部数分残っているかを検出することにより、ジョブに必要な資源の有無を判断することになる。
【0077】
<第2実施形態>
第2実施形態では、第1実施形態のプリントシステムにおける機密プリントにおいて、リカバリ操作が発生するか否かのチェック(ステップS1308)の精度を高めるために該当ジョブをできるだけ早くプリント開始させる。より具体的には、ステップS1308においてチェックを行った時点からの他のジョブによる印刷を極力減らし、他のジョブを処理したことによる資源の変動を抑えることにより、ステップS1308によるチェックの精度を相対的に向上させる。以下、図19のフローチャートを用いて第2実施形態を説明する。尚、図19に示される処理は、第1実施形態のステップS1307〜S1311(図13)の処理に置き換わるものである。
【0078】
ステップS1307においてパスワード入力キー1501が押下されると、ステップS1901において、機密プリントが開始済みの他の機密プリントジョブが存在するか否かをチェックする。ここで、他の機密プリントジョブのプリントが実行中の場合は、ステップS1902へ進み、図20に示すように他に機密プリントが行われている旨の画面2001を表示する。閉じるキー2002が押されると、ステップS1902からステップS1307へ処理が戻る。即ち、画面2001を閉じて、再び図15に示すようなプリント状況画面に戻る。従って、他の機密プリントが実行されている場合、当該ジョブに対する、パスワード入力を経た機密プリントの開始は行われない。
【0079】
一方、ステップS1901にて他に機密プリントのプリントが実行されていないと判定された場合は、ステップS1308〜ステップS1312の処理が行われる。ステップS1308〜ステップS1312の処理は第1実施形態で説明したとおりである。
【0080】
ステップS1311においてパスワード照合がなされ、パスワードがOKと判定されると、ステップS1903へ進む。ステップS1903において、画像形成装置101はプリント状況画面1201にある他のジョブの受付時刻と当該機密プリントジョブの受付時刻とを比較する。機密プリントジョブの受付時刻が他のプリント待ちのジョブの受付時刻よりも早ければ、先にプリントするようにプリント順を優先させる。図21は、機密プリントが、当該機密プリントよりも受付時刻が遅く、待ち状態となっている「回覧」、「打合せ資料」のジョブよりも先にプリントされるよう優先される例を示した図である。
【0081】
以上の処理により、他のプリントジョブに割り込まれて用紙が消費される等、資源の状態が変動することを防ぐことができる。この結果、ステップS1308における、ユーザのリカバリ操作が発生するか否かのチェックの精度が高まることになる。
【0082】
なお、ステップS1901で他に機密プリントをプリントしているか否かをチェックしているのは、機密プリントが優先されることにより、機密プリントばかりが行われて通常のプリントが実施されない状況になることを防ぐためである。また、機密プリントが連続した場合、後にプリント開始が指示されたプリントでは、ステップS1308のチェック時から別の機密プリントが処理されて、用紙等が消費されてしまう。即ち、ステップS1308のチェック精度が低下することになる。よって、ステップS1901により他の機密プリントをプリント中の場合はパスワードの入力ができないようにすることで、このような事態を防ぐことができる。
【0083】
尚、シートカセットに収容されている用紙枚数を検出可能であれば、機密プリントを実行する前に実行されるジョブによって用紙が消費された結果、機密プリントの実行に必要な用紙が残っているかを判断することができる。このように、機密プリントの実行前に実行されるジョブによる資源の消費後の残存する量を予測できる資源については、その残存状態を参照して機密プリントが必要とする資源が存在するかどうかを判定するようにすることが好ましい。これにより、機密プリント実行前に実行されるジョブによる資源の残存状態への影響を考慮した判断が可能となり、操作性、機密性を向上できる。
【0084】
この点は、全ての実施形態にて共通して言える事項である。換言すると、本実施形態の構成は、処理対象のジョブの印刷を完成させるのに必要な印刷資源の一例として、例えば、処理対象のジョブの印刷を完成させるのに必要な枚数分の印刷用紙を想定している。又、例えば、印刷対象のジョブの印刷を完成されるのに必要なトナー等も、印刷資源の一例として、本実施形態の制御部(例えば、装置内コントローラ204或いは外部コントローラ104が該当する)が実行するジョブ制御にて確認対象となる印刷資源である。又、例えば、ステイプル実行要求がなされた印刷対象のジョブの印刷を完成させるのに必要な分のステイプル針等のシート処理部材(シート綴じ部材)等も、処理対象のジョブの印刷を完成させるのに必要な印刷資源の一例として制御対象としている。本実施形態の画像形成装置101は、このような様々な印刷資源のうちの少なくとも、何れかを印刷資源に対処した構成の装置であるならば、適用可能である。且つ、処理対象のジョブの印刷を完成させるのに必要な印刷資源が画像形成装置101に有るか否か(揃っているか否か)を、本実施形態の制御部が確認する方法は、上述したような例示に限られるものではなく、如何なる方法を採用しても良い。
【0085】
例えば、本実施形態のユーザインタフェースユニット(以下、UI部と呼ぶ)の一例に該当する、画像形成装置101自身が具備する操作部203を介して、印刷資源の情報残量情報等をオペレータ自らが操作部を介して手動入力させる構成でも良い。或いは、ホストコンピュータのUI部(表示装置等を含む)を介して、印刷資源の情報残量情報等をオペレータ自らが操作部を介して手動入力させる構成でも良い。この構成の一例を挙げれば、次のとおりである。例えば、処理対象となるセキュアプリントジョブの印刷完了に如何なる印刷資源が必要であるかを該制御部が特定可能にする情報、及び、その印刷資源がどれくらいの量必要なのかを該制御部が特定可能にする情報等を、上記UI部を介して作業者に入力させる。且つ、現在、如何なる資源が画像形成装置101にセットされているかを該制御部が特定可能にする情報、及び、その資源がどれだけの量セットされているのかを該制御部が特定可能にする情報等も、併せて該ユーザにより該UI部を介して入力させる。そして、これらの情報をもとに、上記本実施形態の制御部が、上記確認を実行する。その上で、本形態で述べている各種ジョブ制御を該制御部が実行する。本発明は、このような構成も包含出来るものである。このように、背景技術で想定したような課題に対処できる構成であるならば、具体的な確認方法は限定せずに、如何なる構成でも良い。
【0086】
<第3実施形態>
第1実施形態のシステムにおける機密プリントにおいて、ステップS1308においてユーザのリカバリ操作が発生すると判定された場合、パスワード入力画面を表示せず、プリント開始に移行できないようにしてもよい。この場合、例えば、ステップS1309において図22に示すような警告のみの画面(パスワード入力欄を含まない)を表示することが好ましい。そして、図22に示すような警告のみの画面を表示したあと、閉じるキー2202が押されると、ステップS1309からS1307に処理を戻す。このように、パスワード入力開始の指示を受けた場合でも、リカバリ操作が発生すると判定された場合は、印刷の開始を禁止する。そして、図22に示すような警告のみの画面2201を表示したあと、閉じるキー2202が押されると、ステップS1309からS1307に処理を戻す。このように、パスワード入力開始の指示を受けた場合でも、リカバリ操作が発生すると判定された場合は、印刷の開始を禁止する。
【0087】
尚、この第3実施形態を含めて本実施形態の全ての実施形態にて共通して言えるジョブ制御を以下に説明する。本実施形態のシステムが具備する制御部(例えば、装置内コントローラ204或いは外部コントローラ104)は、背景技術で想定したような課題に対処し、上記効果を図るべく、本形態のプリントシステム100(画像形成装置101自身)を以下のように制御する。尚、全ての実施形態にて共通して言える事項として、画像形成装置101のことを印刷装置とも呼ぶ。又、本画像形成装置101を具備するプリントシステム100のことを印刷システムとも呼ぶ。
【0088】
本実施形態の制御部(例えば、上述の装置内コントローラ204。或いは、外部コントローラ104等が、これに該当する)は、印刷前に認証処理を要する第1タイプの印刷ジョブの一例に相当するセキュアプリントジョブを、本画像形成装置101により受付可能に制御する。且つ、印刷前に認証処理が不要な第2タイプの印刷ジョブの一例に相当する非セキュアプリントジョブも、本画像形成装置101により受付可能に制御する。このような第1タイプのジョブ及び第2タイプのジョブを含む複数種類の印刷ジョブを受付可能な画像形成装置101に対して、該制御部は、例えば、以下のような制御を実行する。
【0089】
例えば、上記制御部は、処理対象のジョブの印刷を完了させるのに必要な資源が該画像形成装置101に無い(準備されていない、或いは、揃っていない)場合に、該ジョブの印刷を該画像形成装置101により開始させない(印刷開始を禁止する)。一方、処理対象のジョブの印刷を完了させるのに必要な資源が前記画像形成装置101に存在する場合に、該ジョブの印刷を前記画像形成装置101により開始させる(印刷開始を許可する)。このような、場合分けの特定の動作(特定のジョブ制御シーケンスとも呼ぶ)を、上記画像形成装置101により、実行可能にするよう、上記制御部により、制御する。このような構成を前提とし、上記制御部は、処理対象のジョブが、上記第1タイプの印刷ジョブ及び上記第2タイプの印刷ジョブのうちの、第1タイプの印刷ジョブである場合に、上記特定の動作を該画像形成装置101により実行可能に制御する。
【0090】
且つ、このような構成を前提とし、該制御部は、上記特定の動作をどのようなジョブに対してどのようなタイミングで実行するかも制御している。この一例として、該制御部は、
(1)上記第1タイプの印刷ジョブの印刷データが上述のようなHDD等の記憶部に記憶され、且つ、
(2)処理対象のジョブの印刷を完了させるのに必要な資源が該画像形成装置101に有るか否かに関わる確認処理が該第1タイプの印刷ジョブ及び第2タイプの印刷ジョブのうちの該第1タイプの印刷ジョブに対してなされたうえで、
上記特定の動作を、該画像形成装置101により、実行させる。
【0091】
以上のような構成を採用することで、上述の背景技術で想定したような課題に対処可能となる。尚且つ、本実施形態の構成は、機密性を保持するが為にその他のジョブに影響を与えてしまいシステム全体のジョブの生産性が低下してしまうといった新たな別の問題が発生したりすることも未然に防止可能となるように構成している。この一例として、上記制御部(例えば、装置内コントローラ204。或いは、後述の外部コントローラ等が、これに該当する。)は、以下のジョブ制御を実行する。
【0092】
上記の如く、該上記制御部は、処理対象のジョブが上述の第1タイプの印刷ジョブ及び第2タイプの印刷ジョブのうちの該第1タイプの印刷ジョブである場合に、上記特定の動作を、前記画像形成装置101により実行させる。このような制御を実行する一方で、該制御部は第2タイプの印刷ジョブ(印刷開始前に認証処理が不要な非セキュアプリントジョブ)に対しては、該制御とは異なる制御を実行する。尚、第1タイプの印刷ジョブに対して実行する上記特定の動作を、第1の印刷制御シーケンスと呼ぶならば、第2タイプの印刷ジョブに対して実行する特定の動作は、第2の印刷制御シーケンスであると、定義する。この制御の一例として制御部は、処理対象のジョブが上記第2タイプの印刷ジョブである場合には、該ジョブの印刷を完了させるのに必要な資源が画像形成装置101に揃っていない場合でも、該ジョブの印刷を画像形成装置101により開始することを許可する。換言すると、上記の如く第1タイプの印刷ジョブについては、そのジョブの印刷開始から印刷完了までに、該ジョブの印刷が中断しないように、事前に、上記印刷資源を確保させておく。且つ、そのうえで、認証処理を経て印刷を開始させる。これにより、該第1タイプの印刷ジョブの印刷を開始してから印刷終了までに該ジョブの印刷資源が途中で無くなるといった状況が発生してしまうことが禁止される。一方、上記の如く第2タイプの印刷ジョブについては、そのジョブの印刷開始から印刷完了までに、該ジョブの印刷が中断するか否かに関係なく、換言すると、事前に印刷資源を該画像形成装置101に確保させておかなくても、印刷開始を許可する。即ち、該第2タイプの印刷ジョブは、印刷を開始してから印刷終了までに該ジョブの印刷資源が途中で無くなるといった状況が発生することを許可する。
【0093】
このような選択制御は、どの点に重点をおくかによって構成している仕組みである。例えば、後者の制御は、途中で印刷は停止する可能性があるものの、ジョブの受付けから該ジョブの1頁目の印刷開始までのタイミング(所謂、ファーストコピーオンタイム。略してFCOTと呼ぶ)が、前者の制御よりも短くすむ。理由は、そのジョブの全ての印刷を完了するのに必要な資源の確認を行わなくても、印刷を開始させるからである。更に掘り下げていくと、ジョブの全ての印刷を完了するのに必要な資源とは、換言すると、指定された分の印刷部数で且つ該ジョブに含まれる印刷データの全頁を印刷を完了させるのに必要な分に相当する印刷資源のことである。このような、そのジョブにて必要な印刷資源の確認を上記制御部が行うには、処理対象となるジョブの全頁の印刷データを、全て、上記のHDD等の記憶部に記憶させた時点で、はじめて、上記制御部が特定できるものである。例えば、ホストコンピュータからのPDL等の印刷データの全頁分のPDLデータを受信し、当該装置のメモリにビットマップ展開されて記憶された時点で、はじめて、そのジョブのトータルのページ数が特定できるような構成の画像形成装置がある。又、スキャナ部201からの原稿をプリンタ部202でプリントするといった、所謂、コピー機能を具備する画像形成装置がある。このような画像形成装置では、該コピー機能のジョブに含まれる原稿のトータルのページ数は、該スキャナ部201が具備するADFを介して全ての原稿束を読み取って、上記HDDに全頁のデータを記憶した時点ではじめて、特定できる構成のものが想定される。故に、このように、全頁のデータをメモリに蓄積した時点で該ジョブの印刷頁の合計が特定できるようなタイプの構成の画像形成装置において、一律的に、上記第1の印刷制御シーケンスを実行してしまうと、第2タイプのジョブのFCOTが懸念される。故に、上記制御部は、上記第2タイプの印刷ジョブについては、上記第2の印刷制御シーケンスを実行する。
【0094】
尚、上記第1タイプの印刷ジョブを上記第1の印刷制御シーケンスで処理しても良い理由は、例えば、以下である。第1タイプのジョブは、上記の如く、セキュアプリントジョブである。このセキュアプリントジョブというのは、そもそも、上記画像形成装置101が、該ジョブを受付けても自動的にプリンタ部で印刷を開始するような制御を実行しないジョブである。換言すると、該画像形成装置101の上記UI部を介して認証データが該ジョブのユーザにより入力されたうえで、はじめて、印刷開始を許可する対象のジョブである。これにより、ユーザが画像形成装置101の目の前に赴いた時点で印刷を開始させ、それまでは、画像形成装置101のメモリに保持させておくことができるものという効果を奏す。このように、セキュアプリントジョブは、印刷開始を希望するユーザが画像形成装置101のUI部を介して該ジョブに対する印刷開始要求を入力するまで、少なくとも印刷は開始させずに、HDD等のメモリにて該ジョブの印刷データを保持しておくものである。このようにHDD等のメモリで印刷データを保持したまま印刷を待機しているセキュアプリントジョブならば、印刷時間に大きな影響を及ぼさない。ユーザがホストから該画像形成装置101に赴いて、該装置101のUI部を介して該ジョブの印刷開始要求を入力するまでの間に、該セキュアプリントジョブの印刷データを、全頁、HDD等のメモリに蓄積完了することが出来るからである。故に、上記のようにFCOTに関わる問題もなく、上記効果を奏することが出来る。このようなジョブの性質を見据えた選択的制御を上記制御部により実行可能に構成している。尚、この構成を換言して説明するならば、上記制御部は次のように制御する。即ち、該画像形成装置101が具備するUI部を介して上記第1タイプの印刷ジョブの印刷開始要求をユーザから受付けた場合に、上記特定の動作を画像形成装置101により実行可能にする。しかし、画像形成装置101が具備するUI部を介して該第1タイプの印刷ジョブの印刷開始要求をユーザから受付けていない場合は、該ジョブの印刷を完了させるのに必要な資源が画像形成装置101に揃っているか否かに関係なく該ジョブの印刷を開始させない。
【0095】
上述した第1〜第3実施形態の構成の特徴と効果の一例をより具体例でもって説明する。そのためにも、第1〜第3実施形態とは異なる、以下のような構成を検討してみる。
【0096】
例えば、機密プリントジョブの印刷処理を画像形成装置101により開始した後に、該ジョブにて中断要因が発生すると、画像形成装置101は、当該ジョブの印刷処理を中断する。そして、当該画像形成装置101は、中断したジョブの印刷処理を、例えば、該画像形成装置101が具備する操作部203からの指示により、再開可能に構成する。このような構成を検討してみる。
【0097】
この構成の場合、適正なユーザではなく、第三者でも当該ジョブの印刷処理を再開することを可能にした場合、印刷処理の再開後に出力された該機密プリントジョブの印刷物を第三者に見られるおそれがあることが想定される。
【0098】
そこで、例えば、上記のような課題を解決するために下記のような構成を検討してみる。
【0099】
例えば、中断された機密プリントジョブの印刷を再開する場合に、パスワード入力画面を表示し、パスワードを入力させる。それにより、中断された機密プリントジョブの印刷処理が適正なユーザ以外の第三者によって再開される可能性を低減することができると考える。従って、当該ジョブの印刷処理が再開された後に出力された印刷物が第三者に見られる可能性を低減することができると考える。
【0100】
ただ、このような構成においても、印刷処理を中断した時点で出力済みの印刷物は、既に排紙トレイの上に存在し、第三者に見られる可能性があると考える。この課題の対応策として、当該排紙トレイに出力された機密プリントジョブの印刷物をユーザが取り除く。例えば、このような方法により、機密の維持を図ることが可能であると考える。
【0101】
しかしながら、このような方法でも対処困難な課題が残されることが予想される。例えば、機密プリントジョブに対してステイプル等のフィニッシング処理が指定されている場合には、印刷処理を中断した時点で出力済みの該ジョブの印刷物を途中で取り除くと次のような不具合が予想される。即ち、その場合、該ジョブの出力済みの印刷物と、該ジョブのまだ出力していない残りの印刷物とを1束としてフィニッシング処理をおこなうことができなくなることが予想される。このように、ジョブに対して所望のフィニッシング処理がなされなくなるという課題が残されることが予想される。
【0102】
これに対して、第1実施形態から第3実施形態のような構成により、機密プリントジョブの印刷が、中断要因の発生により中断される可能性を低減し、該ジョブの印刷物を第三者に見られる可能性を低減できる。また、機密プリントジョブの印刷物を第三者に見られる可能性を低減するために、該ジョブに対して所望のフィニッシング処理がなされなくなるといった新たな課題にも対処できるようにしている。
【0103】
また、それらの課題に対処したいが為に、その他のジョブの生産性に影響がでてしまうといった新たな別の課題が発生することも防ぐことができる。
【0104】
そして、第1実施形態から第3実施形態のような構成によれば、機密プリントジョブの印刷物を第三者に見られる可能性を低減することができる。且つ、機密プリントジョブに対して所望のフィニッシング処理がなされなくなるといった新たな課題に対処することができる。尚且つ、それらの課題に対処したいが為に、その他のジョブの生産性に影響がでてしまうといった新たな別の課題が発生することも防ぐことができる。
【0105】
このような課題に対処できるようにした構成も、本願の特徴の一例である。
【0106】
さらに、上述した第1〜第3実施形態の構成の特徴と効果の一例を他の具体例でもって説明する。そのために、実施形態1から3とは異なる、以下のような構成についても検討してみる。
【0107】
例えば、画像形成装置101は、印刷要求のあったプリントジョブのPDLデータとともに、当該プリントジョブに関する印刷設定情報を受付け、受付けたPDLデータと印刷設定情報をHDDに保存する。次に、画像形成装置101は、その印刷設定情報から当該プリントジョブが機密プリントジョブであるか否かを判断する。そして、画像形成装置101は、当該プリントジョブが機密プリントジョブであると判断した場合に、そのプリントジョブの印刷処理の開始前に、そのプリントジョブにて中断要因が発生するか否かを予測する。そして、画像形成装置101は、中断要因が発生すると予測した場合に、そのプリントジョブの印刷を開始させることを禁止する。その後、画像形成装置101は、該プリントジョブに対して、印刷を開始するように指示を受けてから、当該プリントジョブのPDLデータをイメージデータに展開する処理を行い、印刷する。このような構成を検討してみる。
【0108】
このような構成を用いると、印刷開始が禁止された状態のプリントジョブに対して、印刷を開始するように指示する場合に、印刷開始の指示があってから、実際に1頁目の印刷を開始するまでに時間がかかることが想定される。なぜならば、当該プリントジョブに対して印刷開始の指示があってから1頁目の印刷を開始するまでの間に、当該プリントジョブのPDLデータをイメージデータに展開する時間が必要になるからである。さらに、当該プリントジョブにて中断要因が発生するか否かを予測するための時間も必要になるからである。
【0109】
これに対して、上述した第1〜第3実施形態のように、画像形成装置101は、例えば、機密プリントジョブの印刷開始を禁止する場合に、HDDに予め該ジョブのPDLデータをイメージデータに展開したものを保持しておく。さらに、当該機密プリントジョブにて中断要因が発生するか否かを、印刷開始の指示があるまでに予測するように構成されている。それにより、印刷開始が禁止された印刷ジョブの印刷を再開する場合に、印刷開始の指示があってから1頁目の印刷を開始するまでに時間がかかるという課題に対処できるようにしている。
【0110】
例えば、画像形成装置101は、当該機密プリントジョブの印刷を完了するために必要な資源が画像形成装置101にない場合に、当該機密プリントジョブにて中断要因が発生すると予測する。そこで、以下に、画像形成装置101が、当該機密プリントジョブの印刷を完了するために必要な資源が画像形成装置101にあるか否かを判定する方法の一例について説明する。
【0111】
まず、画像形成装置101は、当該機密プリントジョブの印刷を完了するために必要な資源を把握する。次に、把握した必要な資源をもとに、画像形成装置101は、当該印刷を完了するために必要な資源が画像形成装置101にあるか否かを判断する。それら、それぞれの方法について、より具体的に説明する。
【0112】
まず、画像形成装置101が、当該機密プリントジョブの印刷を完了するために必要な資源の量を把握する方法について説明する。
【0113】
画像形成装置101は、例えば、展開されたイメージデータから、該ジョブの印刷を完了するのために必要なページ数を取得する。そして、画像形成装置101は、該ページ数と、該ジョブの詳細設定情報に含まれる、印刷レイアウト、片面/両面印刷設定に関する情報を用いて、該ジョブの印刷を完了するために必要な用紙の枚数を計算する。
【0114】
例えば、画像形成装置101は、受付けたジョブのPDLデータをイメージデータに展開した結果、イメージデータが80ページ分あると把握する。そして、該ジョブの印刷設定情報として、2in1印刷が設定されている場合、画像形成装置101は、該ジョブの印刷を完了するために、40枚(80ページ÷2)の用紙が排紙されると計算する。一方、該ジョブの印刷設定情報として、2in1印刷で、且つ、両面印刷が設定されている場合には、画像形成装置101は、20枚(80ページ÷2÷2)の用紙が排紙されると計算する。つまり、画像形成装置101は、PDLデータをイメージデータに展開して、そのジョブの総ページ数を取得し、当該ページ数を、用紙1枚あたりに印刷するページ数で割ることで、当該ジョブの実行を完了するために必要な用紙の枚数を得ることができる。
【0115】
このように、画像形成装置101は、当該機密プリントジョブの印刷を完了するために必要な資源の量を把握する。
【0116】
次に、画像形成装置101は、把握した必要な資源をもとに、処理対象の機密プリントジョブの印刷処理中に中断要因が発生するか否かを予測する。中断要因の発生を予測する方法の一例として、画像形成装置101は、該必要な資源が画像形成装置101にあるか否かを画像形成装置101が判断する方法について説明する。
【0117】
例えば、画像形成装置101は、処理対象の機密プリントジョブの印刷を完了するために必要な用紙がシートトレイにあるか否かを判断する。そのために、画像形成装置101は、シートトレイに存在する用紙の枚数の情報を保持しておく必要がある。
【0118】
まず、画像形成装置101が、用紙の枚数の情報を保持する方法について、説明する。画像形成装置101はシートトレイに用紙が補充されたことを、例えば、シートトレイが具備するセンサによって検知した場合に、用紙が満載の状態であると判定する。例えば、画像形成装置101は、500枚の用紙を収容可能なシートトレイに、用紙が補充されたと検知した場合、該シートトレイには500枚の用紙があると判定する。そして、画像形成装置101は、シートトレイに500枚の用紙が存在するという情報をHDDに格納しておく。
【0119】
その後、画像形成装置101は、用紙を出力する際に、出力した印刷用紙の枚数を、例えば、カウンタによってカウントし、カウントした値をHDDに格納された用紙の枚数から減算する。例えば、画像形成装置は、20枚の用紙を排紙したことをカウントした場合、シートトレイに存在する用紙の枚数500枚から、20枚を減算し、残り480枚の用紙がシートトレイに存在するという情報をHDD内に格納しておく。
【0120】
このような方法で、画像形成装置101は、シートトレイに存在する用紙の枚数の情報を把握する。
【0121】
そして、画像形成装置101は、処理対象の機密プリントジョブの実行を完了するために必要なシートの枚数と、シートトレイに存在する用紙の枚数とを比較する。画像形成装置101は、処理対象の機密プリントジョブの実行を完了するために必要なシートの枚数が、シートトレイに存在する用紙の枚数よりも多い場合に、充分な用紙がシートトレイに存在すると判定する。
【0122】
このようにして、第1〜第3実施形態の画像形成装置101は、資源が画像形成装置にあるか否かを判断する。
【0123】
また、第1〜第3実施形態の画像形成装置101は、受付けたジョブが機密プリントジョブである場合、該ジョブが処理対象に選択され、パスワードが入力されるまで、該ジョブの印刷処理を開始させない。従って、受付けたジョブが機密プリントジョブである場合、画像形成装置は、該ジョブを受付けてから、パスワードが入力されるまでの間に、次の処理をおこなっておく。画像形成装置101は、PDLデータをイメージデータに展開する処理をおこなっておく。さらに、画像形成装置101は、該ジョブの印刷を完了するために必要な資源の有無の確認処理を、該ジョブを受付けてからパスワードが入力され、印刷を開始するまでの間におこなっておく。
【0124】
これにより、第1〜第3実施形態に記載の画像形成装置101は、ユーザが該ジョブの印刷開始の指示をした後で、それらの処理を行う必要がなく、該ジョブの1頁目の出力が画像形成装置101によって開始されるまでに、時間がかかる問題もない。
【0125】
このように、第1実施形態から第3実施形態のような構成により、印刷開始が禁止された印刷ジョブの印刷を再開する場合に、ユーザにより印刷開始の指示があってから1頁目の印刷を開始するまでに時間がかかるという課題に対処できるようにしている。
【0126】
このような問題に対処できるような構成も、本願の特徴の一例である。
【0127】
尚、上記、各実施形態で説明した、機密プリントジョブを完了させるために必要な資源とは、該ジョブの印刷処理を開始してから、該ジョブの印刷処理を完了するまでに、該ジョブの印刷にて使用される資源のことである。従って、例えば、機密プリントジョブを完了させるために必要な資源が画像形成装置101にない場合、画像形成装置101が該ジョブの印刷を開始してから該ジョブの印刷を完了するまでに、該画像形成装置101に、資源がなくなり、印刷処理は中断される。一方、機密プリントジョブを完了させるために必要な資源が画像形成装置101にある場合、該ジョブの印刷処理の途中で印刷を中断することなく、該ジョブの印刷を完了することができる。
【0128】
以上のような複数種類のジョブの各ジョブの特性や生産性を考慮しているが故に、上記制御を本実施形態にて実行するように構成している。しかし、処理対象のジョブが、第1タイプの印刷ジョブの場合でも、第2タイプの印刷ジョブの場合でも、上記第1の制御シーケンスでもって、動作するよう、上記制御部が、本画像形成装置101を制御する構成でも良い。これにより、装置のシンプル化を図る等の効果を奏するようにしても良い。但し、このような構成においても、少なくとも、上記セキュアプリントジョブに関わる課題については対処可能に構成する。
【0129】
<他の実施形態>
上記各実施形態では、外部コントローラ104によって印刷ジョブをイメージに展開し、これを画像形成装置101のHDDに蓄積するが、これに限られるものではない。画像形成装置101がプリンタとしての機能を有し、コンピュータ端末106から送られてきたプリントジョブを自身でイメージへ展開してHDDに蓄積するようにしてもよい。この場合、外部コントローラ104を省略できる。
【0130】
また、上記実施形態では、機密プリントのジョブは、展開されたイメージの形態でHDDへ保持される。しかしながら、これに限られるものではなく、外部のコンピュータ端末から送信されてきたPDLデータと詳細設定情報の形態で保持するようにしてもよい。この場合、パスワードにより認証が得られ、実際に印刷を行う段階で、イメージへの展開が行われることになる。
【0131】
また、上記実施形態では、機密プリントの実行に必要な資源が不足すると判断した場合に、パスワード(認証情報)の入力前にその旨を表示した。しかしながら、資源が不足する場合に、機密プリントの開始前にその旨を通知し、対処できればよいので、認証情報を入力した後に資源が不足する旨の警告を行い、当該認証情報の入力をキャンセルするように構成することもできる。
【0132】
尚、本発明は、ソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することによって前述した実施形態の機能が達成される場合を含む。この場合、供給されるプログラムは実施形態で図に示したフローチャートに対応したプログラムである。
【0133】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0134】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であっても良い。
【0135】
プログラムを供給するための記録媒体としては以下が挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0136】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることが挙げられる。この場合、ダウンロードされるプログラムは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0137】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布するという形態をとることもできる。この場合、所定の条件をクリアしたユーザに、インターネットを介してホームページから暗号を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用して暗号化されたプログラムを実行し、プログラムをコンピュータにインストールさせるようにもできる。
【0138】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0139】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。この場合、機能拡張ボードや機能拡張ユニットにプログラムが書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行なう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタドライバにより生成された印刷データを受信する受信手段と、
前記受信した印刷データを全てイメージデータに展開した後に印刷を開始する場合、前記印刷を完了させるのに必要な資源が揃っていることを前記展開後のイメージデータに基づいて確認したうえで画像の印刷を開始し、前記受信した印刷データを全てイメージデータに展開する前に印刷を開始する場合、前記印刷を完了させるのに必要な資源が揃っているか否かを確認することなく画像の印刷を開始する印刷手段と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷手段は、前記展開後のイメージデータから特定される、前記印刷を完了させるのに必要な枚数の印刷用紙の資源が印刷システムに揃っていることを確認したうえで、前記展開後のイメージデータに基づく画像の印刷を開始することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷手段は、前記展開後のイメージデータから特定される、前記印刷を完了させるのに必要なトナー資源が前記印刷システムに揃っていることを確認したうえで、前記展開後のイメージデータに基づく画像の印刷を開始することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項4】
プリンタドライバにより生成された印刷データを受信する受信ステップと、
前記受信した印刷データを全てイメージデータに展開した後に印刷を開始する場合、前記印刷を完了させるのに必要な資源が揃っていることを前記展開後のイメージデータに基づいて確認したうえで画像の印刷を開始し、前記受信した印刷データを全てイメージデータに展開する前に印刷を開始する場合、前記印刷を完了させるのに必要な資源が揃っているか否かを確認することなく画像の印刷を開始する印刷ステップと、
を有することを特徴とする印刷システムの制御方法。
【請求項1】
プリンタドライバにより生成された印刷データを受信する受信手段と、
前記受信した印刷データを全てイメージデータに展開した後に印刷を開始する場合、前記印刷を完了させるのに必要な資源が揃っていることを前記展開後のイメージデータに基づいて確認したうえで画像の印刷を開始し、前記受信した印刷データを全てイメージデータに展開する前に印刷を開始する場合、前記印刷を完了させるのに必要な資源が揃っているか否かを確認することなく画像の印刷を開始する印刷手段と、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記印刷手段は、前記展開後のイメージデータから特定される、前記印刷を完了させるのに必要な枚数の印刷用紙の資源が印刷システムに揃っていることを確認したうえで、前記展開後のイメージデータに基づく画像の印刷を開始することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷手段は、前記展開後のイメージデータから特定される、前記印刷を完了させるのに必要なトナー資源が前記印刷システムに揃っていることを確認したうえで、前記展開後のイメージデータに基づく画像の印刷を開始することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷システム。
【請求項4】
プリンタドライバにより生成された印刷データを受信する受信ステップと、
前記受信した印刷データを全てイメージデータに展開した後に印刷を開始する場合、前記印刷を完了させるのに必要な資源が揃っていることを前記展開後のイメージデータに基づいて確認したうえで画像の印刷を開始し、前記受信した印刷データを全てイメージデータに展開する前に印刷を開始する場合、前記印刷を完了させるのに必要な資源が揃っているか否かを確認することなく画像の印刷を開始する印刷ステップと、
を有することを特徴とする印刷システムの制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−91523(P2012−91523A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−11481(P2012−11481)
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【分割の表示】特願2006−293156(P2006−293156)の分割
【原出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【分割の表示】特願2006−293156(P2006−293156)の分割
【原出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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